JP6984331B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物の製造方法に関するものである。
近年、導電性、熱伝導性、機械的特性等の各種特性に優れる材料として、フッ素ゴムやシリコーンゴム等のゴムに対してカーボンナノチューブを配合してなるゴム組成物が注目されている。
そして、例えば特許文献1では、FloTube9000等のBET比表面積が小さいカーボンナノチューブをゴムに分散させて得たマスターバッチをゴムに配合することで、導電性能が高い導電性ゴム組成物を得ている。
特開2012−167216号公報
ここで、最近の研究により、BET比表面積が大きい(400m/g以上の)カーボンナノチューブを用いるとより効果的にカーボンナノチューブの網目構造が形成できることが知られている。しかしながら、カーボンナノチューブのマスターバッチとゴムを混ぜてゴム組成物を得る方法において、BET比表面積が大きい(400m/g以上の)カーボンナノチューブを使用すると、カーボンナノチューブがマスターバッチ中で分散することで、強固な網目構造を形成して、マスターバッチが強化ゴムとなってしまう。そのため、マスターバッチをゴムなどに加えて本練りを行っても、マスターバッチ自体の分散性が低下して、カーボンナノチューブをゴム中に良好に分散させることができない。その結果、マスターバッチとゴムとの混合物(ゴム組成物)中におけるカーボンナノチューブの分散性を向上させることができずに、カーボンナノチューブの塊よりなる黒点が発生してしまうことがあった。
そこで、本発明は、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が400m/g以上であっても、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料の粒子径が40μm以上1000μm以下であると、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の樹脂組成物の製造方法は、少なくとも樹脂を含む樹脂材料にマスターバッチを混合して樹脂組成物を製造する樹脂組成物の製造方法であって、前記マスターバッチは繊維状炭素ナノ材料を含み、前記繊維状炭素ナノ材料は、BET比表面積が400m/g以上であり、且つ、粒子径が40μm以上1000μm以下であることを特徴とする。このように、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が400m/g以上であっても、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料の粒子径が40μm以上1000μm以下であれば、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」および「粒子径」は、それぞれ、本願実施例に記載した方法により測定することができる。
ここで、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記マスターバッチのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30以上であることが好ましい。マスターバッチのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30以上であれば、マスターバッチの解砕しやすさを向上させることができ、その結果、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる。
マスターバッチのムーニー粘度の値が30未満の場合、解砕機にマスターバッチが貼り付くなどの問題が生じるため、好ましくない。
なお、本発明において、「ムーニー粘度(ML1+4、100℃)」は、本願実施例に記載した方法により測定することができる。
また、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記マスターバッチの量が、前記マスターバッチと前記樹脂との合計量に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。マスターバッチの量が、マスターバッチと樹脂との合計量に対して、1質量%以上であれば、樹脂組成物中におけるカーボンナノチューブの量が少なくなるのを防止して、繊維状炭素ナノ材料を添加する効果を十分に発揮させることができる。また、マスターバッチの量が、マスターバッチと樹脂との合計量に対して、40質量%以下であれば、マスターバッチの分散不良に起因する塊状の繊維状炭素ナノ材料よりなる黒点が発生するのを防止することができる。
更に、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の含有量が1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の含有量が1質量%以上であれば、樹脂組成物中におけるカーボンナノチューブの量が少なくなるのを防止して、繊維状炭素ナノ材料を添加する効果を十分に発揮させることができる。また、マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の含有量が10質量%以下であれば、マスターバッチの分散不良に起因する塊状の繊維状炭素ナノ材料よりなる黒点が発生するのを防止することができる。
そして、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記繊維状炭素ナノ材料が、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す炭素ナノ構造体を含むことが好ましい。繊維状炭素ナノ材料が、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す炭素ナノ構造体を含めば、繊維状炭素ナノ材料の優れた特性を発揮させることができる。
更に、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記樹脂材料が粒子状炭素材料をさらに含むことが好ましい。樹脂材料が粒子状炭素材料をさらに含むと、樹脂組成物の熱伝導性を十分に高めることができる。
更に、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記樹脂が難燃性樹脂であることが好ましい。樹脂が難燃性樹脂であると、樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
本発明によれば、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
表面に細孔を有する炭素ナノ構造体試料のt−プロットの一例を示すグラフである。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物の製造方法は、少なくとも樹脂を含む樹脂材料にマスターバッチを混合する混合工程を含む。また、本発明の樹脂組成物の製造方法では、前記マスターバッチに繊維状炭素ナノ材料が含まれ、前記繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が400m/g以上であり、且つ、前記繊維状炭素ナノ材料の粒子径が40μm以上1000μm以下である。そして、本発明の樹脂組成物の製造方法は、前記マスターバッチに繊維状炭素ナノ材料が含まれ、前記繊維状炭素ナノ材料の粒子径が40μm以上1000μm以下であるので、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が400m/g以上であっても、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる。
<混合工程>
混合工程では、少なくとも樹脂を含む樹脂材料にマスターバッチを混合して(本練りを行って)、樹脂組成物を得る。
[混合]
また、上述した混合は、特に限定されることなく、ニーダー、ロール、ミキサー等の既知の混合装置を用いて行うことができる。また、混合は、有機溶剤等の溶媒の存在下で行ってもよい。そして、混合時間は、例えば5分以上60分以下とすることができる。また、混合温度は、例えば5℃以上150℃以下とすることができる。
[樹脂材料]
ここで、樹脂材料は、(i)樹脂と、(ii)粒子状炭素材料等の任意成分と、を含む。
[[樹脂]]
樹脂は、樹脂組成物のマトリックス樹脂を構成すると共に、樹脂組成物中で粒子状炭素材料等を結着する結着材としても機能する。
樹脂は、特に限定されることはなく、例えば、ハロゲン含有樹脂(フッ素樹脂、クロロプレンゴム)、シリコーン樹脂等の難燃性樹脂;アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の非難燃性樹脂;などを挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂の形状としては、特に制限はなく、常温・常圧下で、液状であっても、固形状であってもよい。
これらの中でも、樹脂組成物の難燃性の観点から、難燃性樹脂が好ましく、フッ素樹脂がより好ましく、また、マスターバッチとの混練の観点から液状樹脂が好ましい。
なお、本発明において、ゴムおよびエラストマーは、「樹脂」に含まれるものとする。
そして、樹脂組成物中における樹脂(樹脂材料中の樹脂であって、マスターバッチ中の母材樹脂を含まない)の含有量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以下であることが好ましい。樹脂組成物中における樹脂の含有量が30質量%以上であれば、粒子状炭素材料等に良好に結着して樹脂組成物からなるシート(例えば、後述する熱伝導シート)を良好に形成することができる。
−フッ素樹脂−
フッ素樹脂としては、特に限定されることなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエステル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエポキシ変性物およびポリテトラフルオロエチレンのシラン変性物等が挙げられる。これらの中でも、加工性の観点からは、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましい。
[[粒子状炭素材料]]
粒子状炭素材料は、熱伝導性などを付与する材料として機能する。
粒子状炭素材料は、粒子状の炭素材料であれば特に限定されることなく、例えば、膨張化黒鉛、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、カーボンブラック、などを挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、熱伝導性の観点から、膨張化黒鉛が好ましい。
粒子状炭素材料の平均粒子径は、体積平均粒子径で1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。粒子状炭素材料の平均粒子径が上記下限以上であれば、樹脂組成物からなるシート(例えば、後述する熱伝導シート)中に粒子状炭素材料の伝熱パスをより良好に形成し、比較的低い挟持圧力でも樹脂組成物からなるシートに優れた熱伝導性をより発揮させ得るからである。また、粒子状炭素材料の平均粒子径が上記上限以下であれば、樹脂組成物からなるシートの良好な柔軟性を確保できると共に、難燃性を高め得るからである。
なお、本発明において体積平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式「LA−960」)を用いて、レーザー回折法を用いて測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となるときの粒子径(D50)として求めることができる。ここで、粒子状炭素材料の粒子径の測定に際しては、特に限定されることなく、例えば熱伝導シートに含まれている樹脂に対する良溶媒を用いて樹脂を溶解させる等の任意の手法を用いて熱伝導シートから粒子状炭素材料を取り出して行うことができる。
また、粒子状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、「粒子状炭素材料のアスペクト比」は、熱伝導シートの厚み方向における断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、任意の50個の粒子状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
そして、樹脂組成物中の粒子状炭素材料の含有割合は、25体積%以上であることが好ましく、40体積%以下であることが好ましく、35体積%以下であることがより好ましい。粒子状炭素材料の含有割合が上記下限以上であれば、樹脂組成物中に粒子状炭素材料の伝熱パスをより良好に形成することにより、比較的低い挟持圧力でも樹脂組成物からなるシートに優れた熱伝導性をより発揮させ得るからである。加えて、粒子状炭素材料の含有割合が上記下限以上であれば、樹脂組成物からなるシートの耐ポンプアウト性をより向上できるからである。また、粒子状炭素材料の含有割合が上記上限以下であれば、樹脂組成物からなるシートの柔軟性をより高めて熱伝導シートおよび被着体間の密着性を高めることにより、比較的低い挟持圧力でも樹脂組成物からなるシートに優れた熱伝導性をより発揮させ得るからである。加えて、粒子状炭素材料の含有割合が上記上限以下であれば、例えば、樹脂組成物からなるシートを接炎させた際にシート中の粒子状炭素材料が滴下することを抑制し、樹脂組成物からなるシートの難燃性をより高め得るからである。
−膨張化黒鉛−
膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
[マスターバッチ]
ここで、マスターバッチは、繊維状炭素ナノ材料と、母材樹脂等の任意成分とを含む。
ここで、マスターバッチのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、100以上であることが特に好ましく、200以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、120以下であることが特に好ましい。マスターバッチのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が下限値以上であれば、マスターバッチが柔らかくなり過ぎて解砕機における刃にマスターバッチがへばりつき、解砕が困難となるのを防止することができる。また、マスターバッチのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が上限値以下であれば、マスターバッチが硬くなり過ぎて解砕機における刃が入りずらくなって解砕が困難となるのを防止することができる。
マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の含有量が下限値以上であれば、繊維状炭素ナノ材料を添加する効果(例えば、導電性、難燃性、耐久性、熱伝導性)を十分に発現させることができる。マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の含有量が上限値以下であれば、マスターバッチが補強ゴムになるのを防止することができる。
マスターバッチの量は、マスターバッチと樹脂材料に含まれる樹脂との合計量に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましく、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。マスターバッチの量が下限値以上であれば、繊維状炭素ナノ材料を添加する効果(例えば、導電性、難燃性、耐久性、熱伝導性)を十分に発現させることができる。マスターバッチの量が上限値以下であれば、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性をより向上させて、繊維状炭素ナノ材料の凝集による黒点の発生を防止することができる。
[[繊維状炭素ナノ材料]]
繊維状炭素ナノ材料としては、BET比表面積が400m/g以上であり、且つ、粒子径が40μm以上1000μm以下である限り、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、および、それらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、樹脂組成物に繊維状炭素ナノ材料を含有させれば、樹脂組成物の難燃性、耐久性および熱伝導性を並立させることができる。また、樹脂組成物からなるシートを良好に形成することができると共に、粒子状炭素材料の粉落ちを防止することもできる。なお、繊維状炭素ナノ材料を配合することで樹脂組成物からなるシートが良好に形成し得るようになると共に粒子状炭素材料の粉落ちを防止することができる理由は、明らかではないが、繊維状炭素ナノ材料が三次元網目構造を形成することにより、熱伝導性や耐久性を高めつつ膨張化黒鉛や粒子状炭素材料の脱離を防止しているためであると推察される。
ここで、上述した中でも、繊維状炭素ナノ材料としては、カーボンナノチューブなどの繊維状の炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、カーボンナノチューブを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。カーボンナノチューブなどの繊維状の炭素ナノ構造体を使用すれば、樹脂組成物の熱伝導性および耐久性を並立させることができるからである。
マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積は、400m/g以上である限り、特に制限はないが、500m/g以上であることが好ましく、600m/g以上であることがより好ましく、800m/g以上であることが特に好ましく、1500m/g以下であることが好ましく、1000m/g以下であることがより好ましく、900m/g以下であることが特に好ましい。マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が下限値以上であれば、繊維状炭素ナノ材料を添加する効果(例えば、導電性、難燃性、耐久性、熱伝導性)を発現させることができる。マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が上限値以下であれば、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の粒子径は、40μm以上1000μm以下である限り、特に制限はないが、70μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが特に好ましく、900μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の粒子径が下限値以上であれば、繊維状炭素ナノ材料を含有するマスターバッチの樹脂組成物中における分散性を向上させて、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる。マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の粒子径が上限値以下であれば、繊維状炭素ナノ材料のマスターバッチにおける分散性を向上させて、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる。
−繊維状炭素ナノ材料の性状−
そして、樹脂組成物に含まれる繊維状炭素ナノ材料の平均繊維径は、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ材料の平均繊維径が上記範囲内であれば、樹脂組成物の熱伝導性、耐久性および柔軟性を並立させることができるからである。ここで、繊維状炭素ナノ材料のアスペクト比は、10を超えることが好ましい。
なお、「繊維状炭素ナノ材料の平均繊維径」は、樹脂組成物からなるシートの厚み方向における断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、任意の50個の繊維状炭素材料について繊維径を測定し、測定した繊維径の個数平均値を算出することにより求めることができる。なお、繊維径が小さい場合は、同様の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察し、同様の方法で平均繊維径を求めることができる。
−繊維状炭素ナノ構造体−
繊維状炭素ナノ材料は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体を含むことが好ましい。繊維状炭素ナノ材料が吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体を含めば、繊維状炭素ナノ材料の優れた特性を発揮させることができる。
ここで、t−プロットが上に凸な形状を示す繊維状炭素ナノ構造体として、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましい。
そして、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)のみからなるものを用いてもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物を用いてもよい。
なお、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTの開口処理が施されておらず、t−プロットが上に凸な形状を示すことがより好ましい。
ここで、一般に、吸着とは、ガス分子が気相から固体表面に取り去られる現象であり、その原因から、物理吸着と化学吸着に分類される。そして、t−プロットの取得に用いられる窒素ガス吸着法では、物理吸着を利用する。なお、通常、吸着温度が一定であれば、繊維状炭素ナノ構造体に吸着する窒素ガス分子の数は、圧力が大きいほど多くなる。また、横軸に相対圧(吸着平衡状態の圧力Pと飽和蒸気圧P0の比)、縦軸に窒素ガス吸着量をプロットしたものを「等温線」といい、圧力を増加させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「吸着等温線」、圧力を減少させながら窒素ガス吸着量を測定した場合を「脱着等温線」という。
そして、t−プロットは、窒素ガス吸着法により測定された吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得られる。即ち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する試料の典型的なt−プロットを図1に示す。表面に細孔を有する試料では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、図1に示すようにt−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットは、図1に示すように、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となり、上に凸な形状を示す。かかるt−プロットの形状は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示しており、その結果として、繊維状炭素ナノ構造体は、優れた特性を発揮する一方で吸着水が脱離し難くなると推察される。
なお、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0を満たす範囲にあることが更に好ましい。t−プロットの屈曲点の位置が上記範囲であると、繊維状炭素ナノ構造体の特性を向上させることができる。
ここで、「屈曲点の位置」とは、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。S2/S1が0.05以上0.30以下であれば、バンドルの形成を十分に抑制しつつ、繊維状炭素ナノ構造体の特性を向上させることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、特に限定されないが、個別には、全比表面積S1は、600m/g以上1400m/g以下であることが好ましく、800m/g以上1200m/g以下であることが更に好ましい。一方、内部比表面積S2は、30m/g以上540m/g以下であることが好ましい。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、図1に示すt−プロットにより説明すると、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用する場合、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、樹脂組成物の熱伝導性および耐久性を向上させることができるからである。
更に、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、2nm以上であることが更に好ましく、2.5nm以上であることが特に好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、6nm以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が0.5nm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の凝集を抑制して炭素ナノ構造体の分散性を高めることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が15nm以下であれば、樹脂組成物の熱伝導性および耐久性を並立することができる。
そして、上述した性状を有し、成形体の形成に使用する繊維状炭素ナノ構造体として好適に使用し得るCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
なお、スーパーグロース法により製造した繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTと、導電性を有する非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体とから構成されていてもよい。具体的には、繊維状炭素ナノ構造体には、内壁同士が近接または接着したテープ状部分を全長に亘って有する単層または多層の扁平筒状の炭素ナノ構造体(以下、「グラフェンナノテープ(GNT)」と称することがある。)が含まれていてもよい。
ここで、GNTは、その合成時から内壁同士が近接または接着したテープ状部分が全長に亘って形成されており、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成された物質であると推定される。そして、GNTの形状が扁平筒状であり、かつ、GNT中に内壁同士が近接または接着したテープ状部分が存在していることは、例えば、GNTとフラーレン(C60)とを石英管に密封し、減圧下で加熱処理(フラーレン挿入処理)して得られるフラーレン挿入GNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、GNT中にフラーレンが挿入されない部分(テープ状部分)が存在していることから確認することができる。
そして、GNTの形状は、幅方向中央部にテープ状部分を有する形状であることが好ましく、延在方向(軸線方向)に直行する断面の形状が、断面長手方向の両端部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法が、いずれも、断面長手方向の中央部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法よりも大きい形状であることがより好ましく、ダンベル状であることが特に好ましい。
ここで、GNTの断面形状において、「断面長手方向の中央部近傍」とは、断面の長手中心線(断面の長手方向中心を通り、長手方向線に直交する直線)から、断面の長手方向幅の30%以内の領域をいい、「断面長手方向の端部近傍」とは、「断面長手方向の中央部近傍」の長手方向外側の領域をいう。
なお、非円筒形状の炭素ナノ構造体としてGNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、触媒層を表面に有する基材を用いてスーパーグロース法によりCNTを合成する際に、触媒層を表面に有する基材(以下、「触媒基材」と称することがある。)を所定の方法で形成することにより、得ることができる。具体的には、GNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布し、塗布した塗工液Aを乾燥して基材上にアルミニウム薄膜(触媒担持層)を形成した後、アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布し、塗布した塗工液Bを温度50℃以下で乾燥してアルミニウム薄膜上に鉄薄膜(触媒層)を形成することで得た触媒基材を用いてスーパーグロース法によりCNTを合成することで得ることができる。
[[母材樹脂]]
母材樹脂としては、上述した樹脂材料中の樹脂と同様のものを使用することができるが、混練が容易である観点で、フッ素、シリコン等の液状樹脂が好ましい。
[樹脂組成物に添加され得る添加剤]
樹脂組成物には、必要に応じて、既知の添加剤を配合することができる。そして、樹脂組成物に配合し得る添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、粘着性樹脂;赤りん系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤などの難燃剤;可塑剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの吸湿剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物などの接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などの濡れ性向上剤;無機イオン交換体などのイオントラップ剤;等が挙げられる。
<熱伝導シート>
本発明の樹脂組成物の製造方法により製造された樹脂組成物を用いることで、例えば、熱伝導シートを製造することができる。この熱伝導シートは、例えば、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用される熱伝導シートとして良好に使用することができる。即ち、この熱伝導シートは、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。
[熱伝導シートの性状]
そして、熱伝導シートは、特に限定されることなく、以下の性状を有していることが好ましい。
[[熱伝導率]]
熱伝導シートは、厚み方向の熱伝導率が、25℃において、20W/m・K以上であることが好ましく、30W/m・K以上であることがより好ましく、40W/m・K以上であることが特に好ましく、50W/m・K以上であることが最も好ましい。厚み方向の熱伝導率が下限値以上であれば、例えば発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用した場合に、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えることができる。
[[厚み]]
なお、熱伝導シートの厚みは、好ましくは0.1mm〜10mmである。
<熱伝導シートの製造方法>
そして、上述した熱伝導シートは、特に限定されることなく、例えば、樹脂組成物を用いてプレ熱伝導シートを形成する工程(プレ熱伝導シート成形工程)と、得られたプレ熱伝導シートを用いて積層体を形成する工程(積層体形成工程)と、積層体をスライスする工程(スライス工程)とを経て製造することができる。
以下、各工程について具体的に説明する。
[プレ熱伝導シート成形工程]
プレ熱伝導シート成形工程では、樹脂組成物を加圧してシート状に成形し、プレ熱伝導シートを得る。ここで、樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物の製造方法により製造することができる。
[[樹脂組成物の成形]]
そして、樹脂組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧してシート状に成形することができる。なお、混合時に溶媒を用いている場合には、溶媒を除去してからシート状に成形することが好ましく、例えば真空脱泡を用いて脱泡を行えば、脱泡時に溶媒の除去も同時に行うことができる。
ここで、樹脂組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押し出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形によりシート状に形成することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃とすることができる。
[[プレ熱伝導シート]]
そして、樹脂組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導シートでは、繊維状炭素ナノ材料や、任意に配合される粒子状炭素材料が主として面内方向に配列し、特に面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
なお、プレ熱伝導シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
[積層体形成工程]
積層体形成工程では、プレ熱伝導シート成形工程で得られたプレ熱伝導シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレ熱伝導シートを折畳または捲回して、積層体を得る。ここで、プレ熱伝導シートの折畳による積層体の形成は、特に限定されることなく、折畳機を用いてプレ熱伝導シートを一定幅で折り畳むことにより行うことができる。また、プレ熱伝導シートの捲回による積層体の形成は、特に限定されることなく、プレ熱伝導シートの短手方向または長手方向に平行な軸の回りにプレ熱伝導シートを捲き回すことにより行うことができる。
ここで、通常、積層体形成工程で得られる積層体において、プレ熱伝導シートの表面同士の接着力は、プレ熱伝導シートを積層する際の圧力や折畳または捲回する際の引っ張り力により充分に得られる。しかし、接着力が不足する場合や、積層体の層間剥離を十分に抑制する必要がある場合には、プレ熱伝導シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層体形成工程を行ってもよいし、プレ熱伝導シートの表面に接着剤を塗布した状態またはプレ熱伝導シートの表面に接着層を設けた状態で積層体形成工程を行ってもよい。
なお、プレ熱伝導シートの表面を溶解させる際に用いる溶剤としては、特に限定されることなく、プレ熱伝導シート中に含まれているフッ素樹脂などの樹脂成分を溶解可能な既知の溶剤を用いることができる。中でも、溶解性と揮発性の観点からはアセトンを用いることが好ましい。
また、プレ熱伝導シートの表面に塗布する接着剤としては、特に限定されることなく、市販の接着剤や粘着性の樹脂を用いることができる。中でも、接着剤としては、プレ熱伝導シート中に含まれている樹脂成分と同じ組成の樹脂を用いることが好ましい。そして、プレ熱伝導シートの表面に塗布する接着剤の厚さは、例えば、10μm以上1000μm以下とすることができる。
更に、プレ熱伝導シートの表面に設ける接着層としては、特に限定されることなく、両面テープなどを用いることができる。
ここで、接着剤や接着層には、得られる熱伝導シートが硬くなりすぎない範囲で熱伝導性フィラーが配合されていてもよい。
なお、層間剥離を抑制する観点からは、得られた積層体は、積層方向に0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力で押し付けながら、120℃以上170℃以下で2〜8時間加熱してもよい。
そして、プレ熱伝導シートを積層、折畳または捲回して得られる積層体では、繊維状炭素ナノ材料や、任意に配合される粒子状炭素材料が積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。
<スライス工程>
スライス工程では、積層体形成工程で得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得る。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
なお、熱伝導シートの熱伝導性を高める観点からは、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して30°以下であることが好ましく、積層方向に対して15°以下であることがより好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが好ましい。
また、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際の積層体の温度は−20℃以上20℃以下とすることが好ましく、−10℃以上0℃以下とすることがより好ましい。更に、同様の理由により、スライスする積層体は、積層方向とは垂直な方向に圧力を負荷しながらスライスすることが好ましく、積層方向とは垂直な方向に0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力を負荷しながらスライスすることがより好ましい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積(CNTのBET比表面積)、ムーニー粘度、繊維状炭素ナノ材料の粒子径(CNT粒子径)、マスターバッチの粉砕し易さ(解砕容易性)、黒点の確認、および難燃性は、それぞれ以下の方法を使用して測定または評価した。
<繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積(CNTのBET比表面積)>
繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積は「BELSORP(登録商標)−max」(日本ベル株式会社製)を用いて求めた。
<ムーニー粘度>
マスターバッチ(またはマスターバッチの製造に用いる母材樹脂)のムーニー粘度は、マスターバッチ(またはマスターバッチの製造に用いる母材樹脂)から切片を切り出し、ムーニー粘度計(島津製作所製、「MOONEY VISCOMETER SMV−202」)を用いて、JIS−K6300に従って、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)を測定した。結果を表1に示す。
<繊維状炭素ナノ材料の粒子径(CNT粒子径)>
マスターバッチ1gをメチルエチルケトン溶媒中に入れ、マスターバッチ中の母材樹脂成分を溶解することにより、繊維状炭素ナノ材料(CNT)を分離分散させた懸濁液を得た。次に、得られた懸濁液を試料とし、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式「LA960」)を用いて、懸濁液に含まれる繊維状炭素ナノ材料(CNT)の粒子径を測定した。そして、得られた粒子径を横軸とし、繊維状炭素ナノ材料の体積を縦軸とした粒子径分布曲線の極大値における粒子径を体積基準モード径(μm)として求めた。結果を表1に示す。
<マスターバッチの解砕し易さ(解砕容易性)>
得られた各マスターバッチを約1cm角に切断した後、各々10個を、コーヒーミル(カリタ製、型番「CM−50」)に投入し、周辺温度25℃にて約15秒間粉砕し、下記評価基準に基づき粉砕し易さ(解砕容易性)を評価した。ここで、下記の粒子径は定規を用いて目視で判断した。結果を表1に示す。なお、短い時間でより細かく粉砕(解砕)できることが製造上好ましい。
[評価基準]
○:解砕物の粒子径が1mm以下まで粉砕可能である。
△:解砕物の粒子径が1mm超5mm以下まで粉砕可能である。
×:解砕物の粒子径が5mm超であり、コーヒーミルの刃などに解砕物が付着する。
<黒点の確認>
得られた熱伝導シート(150mm×150mm)を試験体とした。この試験体を異物確認用カメラ(製造会社名:株式会社ジェイエイアイコーポレーション、製品名:GO−5000C−USB)で、倍率1倍で観察し、黒点の評価を行った。
「面積0.032mm以上の黒色の塊」を黒点と定義し、所定の面積あたりの黒点の個数を目視でカウントした。結果を表2に示す。なお、黒点の数が少ないほど外観上好ましい。また、黒点の数が多いことは、樹脂組成物中におけるマスターバッチの分散性が低いことを示し、ひいては、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性が低いことを示す。即ち、黒点の数は、マスターバッチの分散性の指標であり、ひいては、繊維状炭素ナノ材料の分散性の指標である。
<難燃性>
得られた熱伝導シートを長さ125mm×幅13mmの大きさに裁断した試験片を10枚用意した。そして、試験片5枚を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で48時間保管(I)を行った。一方、残りの試験片5枚を、温度70℃の環境下で168時間保管してエージング処理(II)を行った。このようにして、2つの処理を施した5枚1組の試験片を2組用意した。
次に、各組の試験片を1枚ずつ垂直に持ち上げて固定用クランプで支持し、支持した試験片の約300mm下方に脱脂綿を置いた。また、ブンゼンバーナーの空気およびガスの流量を調整して高さ20mm程度の青色炎をつくり、垂直に支持した試験片の下端にブンゼンバーナーの炎をあてて(炎と試験片とが約10mm交わるように)10秒間保った後、試験片からブンゼンバーナーの炎を離した。その後、試験片の炎が消えれば直ちにブンゼンバーナーの炎を試験片に再びあて、更に10秒間保持した後、試験片とブンゼンバーナーの炎とを離した。そして、1回目の接炎後の残炎時間(炎を立てて燃焼する時間)、2回目の接炎後の残炎時間、2回目の無炎燃焼時間(炎を取り去った後炎を立てずに燃焼する時間)、試験片が固定用クランプまで燃えたか否か、試験片が脱脂綿を発火させる、または試験片が炎をあげながら滴下物を生じたか否か、を確認し、UL94規格V試験(垂直燃焼試験)に準拠して、下記評価基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
具体的には、5枚2組の試験片に対して、(1)各試験片の1回目、2回目ともに接炎後の残炎時間が10秒以内であり、(2)5枚の接炎後の残炎時間の合計が50秒以内であり、(3)固定用クランプの位置まで燃焼または無炎燃焼する試験片が無く、(4)脱脂綿を発火させる滴下物が生じず、且つ、(5)2回目の接炎後の無炎燃焼時間が30秒以内であるかについて、上記5つの条件を満たすか否かを判定した。そして、上記条件を満たす場合に、V−0のグレードを満たすものとした。48時間保管(I)、および、エージング処理(II)を施した試験片がいずれもV−0のグレードを満たす熱伝導シートは難燃性に優れていると言える。
[評価基準]
○:48時間保管(I)、および、エージング処理(II)を施した試験片がいずれもV−0のグレードを満たす。
×:48時間保管(I)、および、エージング処理(II)を施した試験片の少なくともいずれかがV−0のグレードを満たさない。
(製造例1)
母材樹脂としての熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ケマーズ株式会社、商品名:「A−100」、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):30.2、常温常圧下で固体)1kgに対し、繊維状炭素ナノ材料としての繊維状炭素ナノ構造体(SGCNT、日本ゼオン株式会社製、BET比表面積:800m/g)100gを量り取り、加圧ニーダー(製造会社名:日本スピンドル製造株式会社)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機に投入して、10秒間解砕することにより、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が183であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が142μmであった。
(製造例2)
製造例1において、母材樹脂として、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ケマーズ株式会社、商品名:「A−100」、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):30.2、常温常圧下で固体)を用いる代わりに、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ダイキン工業株式会社、商品名:「ダイエルG−901」、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):97、常温常圧下で固体)を用いたこと以外は、製造例1と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が174であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が143μmであった。
(製造例3)
製造例1において、母材樹脂として、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ケマーズ株式会社、商品名:「A−100」、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):30.2、常温常圧下で固体)を用い、加圧ニーダー(製造会社名:日本スピンドル製造株式会社)を用いて温度150℃にて20分間撹拌混合する代わりに、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ダイキン工業株式会社、商品名「ダイエルG−101」、常温常圧下で液体)を用い、ホバートミキサー(製造会社名:株式会社小平製作所、商品名:「ACM−5LVT型」、容量:5L)で90℃に加温し、10分間攪拌混合したこと以外は、製造例1と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が47であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が321μmであった。
(製造例4)
製造例1において、母材樹脂として、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ケマーズ株式会社、商品名:「A−100」、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):30.2、常温常圧下で固体)を用いる代わりに、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ダイキン工業株式会社、商品名「ダイエルG−101」、常温常圧下で液体)を用いたこと以外は、製造例1と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が115であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が72μmであった。
(製造例5)
製造例4において、繊維状炭素ナノ材料としての繊維状炭素ナノ構造体の量を100gとする(母材樹脂に対するCNT添加量を10質量%とする)代わりに、繊維状炭素ナノ材料としての繊維状炭素ナノ構造体の量を50gとした(母材樹脂に対するCNT添加量を5質量%とした)こと以外は、製造例4と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が20であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が164μmであった。
(製造例6)
製造例3において、ホバートミキサーで90℃に加温し、10分間攪拌混合する代わりに、ホバートミキサーで90℃に加温し、5分間攪拌混合したこと以外は、製造例3と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が36であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が836μmであった。
(製造例7)
製造例4において、加圧ニーダーを用いて温度150℃にて20分間撹拌混合する代わりに、加圧ニーダーを用いて温度150℃にて40分間撹拌混合したこと以外は、製造例4と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が115であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が21μmであった。
(製造例8)
製造例1において、母材樹脂としての熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ケマーズ株式会社、商品名:「A−100」、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):30.2、常温常圧下で固体)と、繊維状炭素ナノ材料としての繊維状炭素ナノ構造体(SGCNT、日本ゼオン株式会社製、BET比表面積:800m/g)とを用いる代わりに、母材樹脂としての熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:スリーエムジャパン株式会社、商品名:「ダイニオンFC2211」、ムーニー粘度(ML1+4、100℃):27、常温常圧下で固体)と、繊維状炭素ナノ材料としての多層カーボンナノチューブ(製造会社名:シーナノテクノロジー社、商品名:「FloTube9000」、BET比表面積:256m/g)とを用いたこと以外は、製造例1と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が130であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が35μmであった。
(製造例9)
製造例3において、ホバートミキサーで90℃に加温し、10分間攪拌混合する代わりに、手混ぜで90℃で3分間攪拌混合を行ったこと以外は、製造例3と同様に実施して、マスターバッチを得た。得られたマスターバッチのムーニー粘度が27であり、得られたマスターバッチ中のCNT粒子径が1103μmであった。
(実施例1)
<樹脂組成物の調製>
(i)製造例1で作製したマスターバッチ10質量部と、(ii)粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(製造会社名:伊藤黒鉛工業株式会社、商品名:「EC−100」、平均粒子径:190μm)を50質量部と、(iii)樹脂材料における樹脂としての熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ダイキン工業株式会社、商品名「ダイエルG−101」、常温常圧下で液体)90質量部とをホバートミキサー(製造会社名:株式会社小平製作所、商品名:「ACM−5LVT型」、容量:5L)で80℃に加温し、30分間混合した。混合して得られた樹脂組成物をワンダークラッシュミル(大阪ケミカル株式会社製、商品名「D3V−10」)に投入して、1分間解砕した。
<プレ熱伝導シートの作製>
次いで、解砕した樹脂組成物5gを、サンドブラスト処理を施した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形し、厚さ0.5mmのプレ熱伝導シートを得た。
<積層体の作製>
得られたプレ熱伝導シートを6cm×6cm×0.5mmに裁断し、厚み方向に120枚積層し、120℃で3分間、0.1MPaでプレスして厚さ約6cmの積層体を得た。
<熱伝導シートの作製>
その後、プレ熱伝導シートの積層体の積層断面を、0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(製造会社名:株式会社丸仲鐵工所、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度でスライス(換言すれば、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線方向にスライス)し、縦6cm×横6cm×厚さ150μmの熱伝導シートを得た。木工用スライサーのナイフは、2枚の片刃が、切刃の反対側同士で接触し、表刃の刃先の最先端が裏刃の刃先の最先端よりも0.5mm高くスリット部からの突出長さ0.11mmに配置され、表刃の刃角21°である2枚刃のものを用いた。
(実施例2)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチを用いる代わりに、製造例2で作製したマスターバッチを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例3)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチを用いる代わりに、製造例3で作製したマスターバッチを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチを用いる代わりに、製造例4で作製したマスターバッチを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例5)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチ10質量部と、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ダイキン工業株式会社、商品名「ダイエルG−101」、常温常圧下で液体)90質量部とを用いる代わりに、製造例5で作製したマスターバッチ20質量部と、熱可塑性フッ素樹脂(製造会社名:ダイキン工業株式会社、商品名「ダイエルG−101」、常温常圧下で液体)80質量部とを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例6)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチを用いる代わりに、製造例6で作製したマスターバッチを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例1)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチを用いる代わりに、製造例7で作製したマスターバッチを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
(参考例1)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチを用いる代わりに、製造例8で作製したマスターバッチを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
なお、本参考例1は、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積(CNTのBET比表面積)が400m/g未満であると、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料の粒子径(CNT粒子径)が40μm以上1000μm以下の範囲外であっても、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性が高く、黒点の数が0であることを示す例である。
(比較例2)
実施例1において、製造例1で作製したマスターバッチを用いる代わりに、製造例9で作製したマスターバッチを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
Figure 0006984331
Figure 0006984331
表1および表2より、マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料の粒子径(CNT粒子径)が40μm以上1000μm以下である実施例1〜6の樹脂組成物の製造方法は、繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積(CNTのBET比表面積)が400m/g以上であっても、「マスターバッチに含まれる繊維状炭素ナノ材料の粒子径(CNTの粒子径)」が前記範囲外である比較例1および2の樹脂組成物の製造方法と比較して、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができることが分かる。
本発明によれば、樹脂組成物中における繊維状炭素ナノ材料の分散性を向上させることができる樹脂組成物の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも樹脂を含む樹脂材料にマスターバッチを混合して樹脂組成物を製造する樹脂組成物の製造方法であって、
    前記マスターバッチは繊維状炭素ナノ材料および母材樹脂を含み、
    前記繊維状炭素ナノ材料は、BET比表面積が400m/g以上であり、且つ、粒子径が40μm以上1000μm以下である、樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記マスターバッチのムーニー粘度(ML1+4、100℃)が30以上である、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記マスターバッチの量が、前記マスターバッチと前記樹脂との合計量に対して、1質量%以上40質量%以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記マスターバッチ中における繊維状炭素ナノ材料の含有量が1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記繊維状炭素ナノ材料は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示す炭素ナノ構造体を含む、請求項1〜4の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記樹脂材料が粒子状炭素材料をさらに含む、請求項1〜5の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記樹脂が難燃性樹脂である、請求項1〜6の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
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