JP2017141345A - 複合材料シートおよび熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

複合材料シートおよび熱伝導シートの製造方法 Download PDF

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将純 小島
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大介 内海
尚宏 挾間
Naohiro Hazama
尚宏 挾間
村上 康之
Yasuyuki Murakami
康之 村上
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Abstract

【課題】本発明は、良好な硬度を維持しつつ、高い熱伝導性および高い強度を両立させた、複合材料シートの製造方法を提供する。【解決手段】粒子状炭素材料および樹脂を含む複合材料シートの製造方法であって、前記粒子状炭素材料および前記樹脂が複合化された複合混合物を準備する工程(A)と、前記複合混合物を微細化して、体積平均粒子径が7μm以上100μm以下である複合粒子を得る工程(B)と、前記複合粒子を加圧して複合材料シートを得る工程(C)とを含む、複合材料シートの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、複合材料シートの製造方法および熱伝導シートの製造方法に関するものである。
近年、熱伝導性および導電性などの機能性を有する複合材料を用いたシート状の部材(複合材料シート)が、種々の用途に用いられている。
例えば、電子機器の高性能化に伴う電子部品の発熱量の増大により電子部品の温度が上昇し、電子機器に機能障害をもたらすことがある。このような温度上昇による機能障害への対策としては、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、熱伝導性が高い熱伝導シートを介して発熱体と放熱体とを密着させており、当該熱伝導シートとして、熱伝導性に優れる複合材料シートを用いて成形したシートが用いられている。
また、例えば、電子機器同士が相互干渉することによって生じる電磁ノイズ、または静電気が、電子機器に機能障害をもたらすことがある。このような機能障害への対策としては、導電性が高い複合材料シートを、電子機器または電子部品に直接取り付ける部材、或いは、電子機器または電子部品に接触する部材(梱包材など)として用いることができる。導電性が高い複合材料シートの利用により、電子機器間に発生するノイズ伝播の防止および帯電防止などを図ることができる。
従って、複合材料シートには、高い熱伝導性および/または高い導電性を、望ましくは用途や使用箇所に応じた配向性をもって発揮することが求められている。
そこで、例えば、特許文献1には、アクリル酸エステル共重合樹脂と、黒鉛粒子などの粒子状炭素材料とを混合、乾燥した組成物に対して球状成形およびプレスを実施して得た一次シートを積層し、得られた積層体を厚み方向に切断することにより、熱伝導性および柔軟性に優れた熱伝導シートを製造する技術が開示されている。ここで、特許文献1では、黒鉛粒子として平均粒子径250μm〜430μmの鱗片状膨張黒鉛粉末を用い、製造された熱伝導シート中、熱伝導シートの膜厚の1/2以下の比較的小さな粒子径の黒鉛粒子の量を50質量%未満に抑えることにより、一次シートおよび熱伝導シートに高い熱伝導率を実現させている。なお、特許文献1に記載の熱伝導シート中の黒鉛粒子の平均粒子径は、約250μmに維持されていた。
このように、従来技術では、熱伝導シートなどの、複合材料で構成されるシート成形体に高い熱伝導性を発揮させるためには、熱伝導性を担う炭素材料などの粒子径を敢えて小さくしないことが通常であった。
特開2014−1388号公報
ここで、複合材料シートには、高い熱伝導性および/または導電性、並びに、高い柔軟性(取り付けられた際に非接触体と隙間なく良好に接触するための高い可撓性)に加え、シートの薄膜化を可能とし得る高い強度を有することも求められている。しかしながら、特許文献1などに記載の従来のシートでは、高い熱伝導性、可撓性、および強度の並立が十分ではなかった。
そこで、本発明は、良好な可撓性(低い硬度)を維持しつつ、高い熱伝導性および高い強度を両立させた、複合材料シートの製造方法並びに熱伝導シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、粒子状炭素材料と樹脂とを複合化してなる複合混合物を微細化して得た、所定の体積平均粒子径を有する複合粒子に対して圧力を加えてシート成形することにより、低いアスカーC硬度(以下、単に「硬度」ということがある。)を保ちつつ、高い熱伝導性および高い強度を両立する複合材料シートを製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。また、本発明者らは、当該複合材料シートを活用して熱伝導性に優れる熱伝導シートを製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。なお、本発明において「良好な硬度」、「優れた硬度」、「硬度の向上」等とは、アスカーC硬度が低い値であることを意味する。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の複合材料シートの製造方法は、粒子状炭素材料および樹脂を含む複合材料シートの製造方法であって、前記粒子状炭素材料および前記樹脂が複合化された複合混合物を準備する工程(A)と、前記複合混合物を微細化して、体積平均粒子径が7μm以上100μm以下である複合粒子を得る工程(B)と、前記複合粒子を加圧して複合材料シートを得る工程(C)とを含むことを特徴とする。このように、粒子状炭素材料および樹脂を含む複合混合物を所定の大きさに微細化して得た複合粒子を用いることにより、得られる複合材料シートの良好な硬度を保ちつつ、優れた熱伝導性および強度を発揮させることができる。
なお、本発明において、「体積平均粒子径」とは、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径(D50)を差す。
ここで、本発明の複合材料シートの製造方法は、前記工程(B)において、前記複合混合物に含まれている粒子状炭素材料も微細化することが好ましい。このように、複合混合物を所定の大きさに微細化するとともに、当該複合混合物に含まれている粒子状炭素材料をも微細化することにより、得られる複合材料シートの熱伝導性がより向上するからである。
また、本発明の複合材料シートの製造方法では、前記複合粒子に含まれている粒子状炭素材料の体積平均粒子径が、前記工程(A)で用いた粒子状炭素材料の体積平均粒子径の0.02倍以上0.4倍未満であることが好ましい。工程(B)において、粒子状炭素材料の粒子径を上記所定範囲まで微細化すれば、得られる複合材料シートの熱伝導性が更に向上するからである。
また、本発明の複合材料シートの製造方法では、前記工程(A)において、前記粒子状炭素材料100質量部に対して前記樹脂を50質量部以上150質量部以下の割合で用いることが好ましい。粒子状炭素材料および樹脂を上記範囲の割合で用いることにより、良好な硬度を保ちつつ、熱伝導性および強度が良好な複合材料シートが容易に得られるからである。
そして、本発明の複合材料シートの製造方法では、前記粒子状炭素材料が粒子状黒鉛であることが好ましい。粒子状黒鉛を用いて複合材料シートを製造すれば、得られる複合材料シートの熱伝導性が更に向上するからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートの製造方法は、粒子状炭素材料および樹脂を含む熱伝導シートの製造方法であって、上述したいずれかの製造方法で得られた複合材料シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、上述したいずれかの製造方法で得られた複合材料シートを折畳または捲回して、積層体を得る工程(a)と、前記積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、熱伝導シートを得る工程(b)とを含むことを特徴とする。このように、上述した製造方法で得られた複合材料シートに対して工程(a)および工程(b)を施すことにより、厚み方向の熱伝導性が高く、かつ、良好な強度および硬度を有する熱伝導シートを製造することができる。
本発明によれば、良好な硬度を維持しつつ、高い熱伝導性および高い強度を両立させた複合材料シートの製造方法、並びに、高い熱伝導性、高い強度、および良好な硬度を並立させた熱伝導シートの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の複合材料シートの製造方法は、粒子状炭素材料および樹脂を含む複合材料シートを製造する際に用いることができる。そして、本発明の複合材料シートの製造方法を用いて製造した複合材料シートは、熱伝導性、強度、硬度、および導電性に優れるため、特に限定されることなく、熱伝導性や導電性が求められるシート状の部材として、以下に記載するような各種用途に用いることができる。
また、本発明の複合材料シートの製造方法により製造された複合材料シートは、例えば、本発明の熱伝導シートの製造方法に従って熱伝導シートを製造する際に用いることができる。そして、本発明の熱伝導シートの製造方法を用いて製造した熱伝導シートは、熱伝導性、強度、および硬度に優れるため、特に限定されることなく、以下に記載するような各種用途において、発熱体に放熱体を取り付ける際に発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。即ち、本発明の熱伝導シートの製造方法を用いて製造した熱伝導シートは、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。
ここで、本発明の製造方法に従って製造した複合材料シートおよび熱伝導シートが用いられ得る各種用途としては、特に限定されることなく、例えば、各種機器および装置などにおいて使用される放熱材料、放熱部品、冷却部品、温度調節部品、電磁シールド部品、電磁波吸収部材、被圧着物を加熱圧着する場合に被圧着物と加熱圧着装置との間に介在させる熱圧着用ゴムシートが好適に挙げられる。ここで、各種機器および装置などとしては、特に限定されることなく、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器;ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器;液晶ディスプレイ(バックライトを含む)、プラズマディスプレイ、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクタ、時計等の表示機器;インクジェットプリンタ(インクヘッド)、電子写真装置(現像装置、定着装置、ヒートローラ、ヒートベルト)等の画像形成装置;半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、CPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品;リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(配線板にはプリント配線板なども含まれる);真空処理装置、半導体製造装置、表示機器製造装置等の製造装置;断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置;DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ハードディスクドライブ等のデータ記録機器;カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、CCD等の画像記録装置;充電装置、リチウムイオン電池、燃料電池等のバッテリー機器等が挙げられる。
(複合材料シートの製造方法)
本発明の複合材料シートの製造方法では、粒子状炭素材料と樹脂とが複合化された複合混合物を所定の粒子径に微細化した複合粒子に対して、加圧を行うことにより、シート状に成形された複合材料シートを得る。具体的には、本発明の複合材料シートの製造方法は、粒子状炭素材料および樹脂が複合化された複合混合物を準備する工程(A)と、得られた複合混合物の粒子径を所定範囲に微細化して複合粒子を得る工程(B)と、得られた複合粒子を加圧して複合材料シートを得る工程(C)とを含むことを特徴とする。そして、本発明の複合材料シートの製造方法では、加圧する複合粒子の粒子径を所定範囲に小さくしているため、硬度の高まりを抑制しつつ、高い熱伝導性および高い強度を両立させた複合材料シートが得られる。
なお、複合粒子の粒子径を上述の方法に従って制御することにより、熱伝導性、強度、および硬度に優れる複合材料シートが得られる理由は、明らかではないが、後に詳細に説明するように、粒子径を小さく制御した複合粒子をシート状に加圧して得た複合材料シートでは、加圧時に粒子状炭素材料が良好に配向すると共に、粒子状炭素材料同士の接触によって伝熱経路が良好に形成されるためであると推察される。
以下、各工程について具体的に説明する。
<工程(A)>
工程(A)では、粒子状炭素材料および樹脂が複合化された複合混合物を準備する。ここで、複合混合物の準備は、例えば、本発明の製造方法に従って複合材料シートを製造する際の原料としての粒子状炭素材料および樹脂を複合化することにより、または、粒子状炭素材料および樹脂が複合化された混合物を用いることにより行うことができる。また、工程(A)では、上記粒子状炭素材料および樹脂以外のその他の成分を更に複合化することにより複合混合物を準備してもよい。ここで、粒子状炭素材料および樹脂などの複合化方法としては、特に制限されることなく、例えば、粒子状炭素材料および樹脂などの原料を任意の方法で混合、混練してもよく、粒子状炭素材料および樹脂などの原料を含む分散液を乾燥してもよく、樹脂を粒子状炭素材料に噴霧してもよい。そして、準備された複合混合物は、通常、粒子状炭素材料の表面の全部または大部分が樹脂で被覆されている状態である。
<<粒子状炭素材料>>
ここで、粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの粒子状黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、粒子状炭素材料としては、粒子状黒鉛を用いることが好ましく、膨張化黒鉛を用いることがより好ましい。膨張化黒鉛などの粒子状黒鉛を使用すれば、当該粒子状黒鉛を含有する複合混合物を用いて製造した複合材料シートの熱伝導性を更に向上させることができるからである。
[膨張化黒鉛]
粒子状炭素材料として好適に使用し得る膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも製品名)等が挙げられる。また、膨張化黒鉛としては鱗片状の膨張化黒鉛が好ましい。粒子状炭素材料として鱗片状の膨張化黒鉛を用いることにより、製造される複合材料シート内において粒子状炭素材料が更に良好に配向すると共に、各粒子状炭素材料同士の接触が容易になって、伝熱経路を形成し易いからである。
[粒子状炭素材料の粒子径]
ここで、原料として用いる粒子状炭素材料の粒子径は、特に限定されないが、体積平均粒子径で100μm以上であることが好ましく、500μm以下であることが好ましい。原料として用いる粒子状炭素材料の粒子径が100μm以上であれば、粒子状炭素材料同士がより低い界面抵抗で良好に接触し、複合材料シートにより高い熱伝導性を発揮させやすいからである。また、粒子状炭素材料の粒子径が500μm以下であれば、共に複合される樹脂と粒子状炭素材料との接触面積が大きくなり、粒子状炭素材料と樹脂とが良好に複合化されるため、複合材料シートに、良好な硬度を保ちつつ、より良好な強度を発揮させやすいからである。
また、原料として用いる粒子状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。
ここで、原料として用いる粒子状炭素材料の「アスペクト比」の測定は、特に限定されることなく、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて求めることができる。具体的には、粒子状炭素材料を観察し、任意の50個の粒子状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径との比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
<<樹脂>>
樹脂としては、特に限定されることなく、複合材料シートの製造に使用され得る既知の樹脂を用いることができる。具体的には、樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。なお、本発明において、ゴムおよびエラストマーは、「樹脂」に含まれるものとする。また、熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂とは併用してもよい。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコーン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン−プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン−イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[熱硬化性樹脂]
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、フッ素樹脂を用いることがより好ましく、異なる単量体からなる二元系フッ素樹脂または三元系フッ素樹脂を用いることがより好ましい。そして、例えば三元系フッ素樹脂としては、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いることができる。上記フッ素樹脂は機械的性質等に優れており、また、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を用いれば、複合材料シートの硬度(可撓性、柔軟性)の高まりを抑制しつつ、強度を更に向上させることができるからである。
=樹脂の配合量=
また複合化させる樹脂の量の割合は、粒子状炭素材料100質量部に対して50質量部以上とすることが好ましく、55質量部以上とすることがより好ましく、150質量部以下とすることが好ましく、100質量部以下とすることがより好ましく、70質量部以下とすることが更に好ましい。粒子状炭素材料100質量部当たりの樹脂の量が50質量部以上であれば、粒子状炭素材料と樹脂とを良好に複合化させることができるため、複合材料シートに高い強度を与えてシートを成形することができると共に、複合材料シートの硬度が上昇する(即ち、柔軟性が低下する)のを十分に抑制することができるからである。また、粒子状炭素材料100質量部当たりの樹脂の含有量が150質量部以下であれば、複合材料シートの熱伝導性を十分に高めることができるからである。
<<その他の成分>>
複合混合物が必要に応じて更に含有し得るその他の成分としては、特に制限されることなく、例えば、繊維状炭素材料、および複合材料シートの成形に用いられる複合材料に一般に配合され得る既知の添加剤が挙げられる。
[繊維状炭素材料]
複合混合物は、複合材料シートの熱伝導性および強度を更に高める観点から、粒子状炭素材料に加えて繊維状炭素材料を更に含有することができる。繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、熱伝導性を有する任意の繊維状炭素材料を用いることができる。具体的には、繊維状炭素材料としては、例えば、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)等の円筒形状の炭素ナノ構造体、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素材料等の非円筒形状の炭素ナノ構造体、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、粒子状炭素材料と併用される繊維状炭素材料としては、更に良好な伝熱経路を形成して複合材料シートの熱伝導性を更に向上させ得る観点からは、CNTを含む繊維状炭素材料を用いることが好ましい。また、CNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、複合材料シートの熱伝導性を更に向上させ得る観点からは、CNTは、単層カーボンナノチューブを主に含むことがより好ましく、単層カーボンナノチューブのみであることが更に好ましい。
[[繊維状炭素材料の作製方法]]
なお、CNTを含む繊維状炭素材料は、特に限定されることなく、アーク放電法、レーザーアブレーション法、または、スーパーグロース法(国際公開第2006/011655号参照)を含む化学的気相成長法(CVD法)などの既知のCNTの合成方法を用いて製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
[[繊維状炭素材料の性状]]
ここで、繊維状炭素材料の平均直径は、0.5nm以上であることが好ましく、15nm以下であることが好ましい。繊維状炭素材料の平均直径が0.5nm以上であれば、繊維状炭素材料の凝集を抑制して、複合材料シートの熱伝導性を更に向上させることができる。また、繊維状炭素材料の平均直径が15nm以下であれば、繊維状炭素材料に優れた熱伝導性を発揮させ、複合材料シートの熱伝導性を更に高めることができる。
また、繊維状炭素材料は、合成時における平均長さが、1μm以上であることが好ましい。合成時の繊維状炭素材料の平均長さが1μm以上であれば、複合材料シート中において伝熱経路を良好に形成することができる。また、合成時の繊維状炭素材料の長さが長いほど、工程(A)での複合混合物を準備する過程で繊維状炭素材料に破断や切断などの損傷が発生し易いので、合成時の繊維状炭素材料の平均長さは10μm以下であることが好ましい。
なお、繊維状炭素材料は、通常、アスペクト比が10超である。
また、熱伝導性に優れる複合材料シートを得る観点からは、繊維状炭素材料は、BET比表面積が、200m2/g以上であることが好ましく、2500m2/g以下であることが好ましい。繊維状炭素材料のBET比表面積が200m2/g以上であれば、繊維状炭素材料に優れた熱伝導性を発揮させ、複合材料シートの熱伝導性を十分に高めることができる。また、繊維状炭素材料のBET比表面積が2500m2/g以下であれば、繊維状炭素材料の凝集を抑制して、複合材料シートの熱伝導性を更に向上させることができる。
ここで、本発明において、繊維状炭素材料の「平均直径」、「アスペクト比」および「平均長さ」は、TEM(透過型電子顕微鏡)またはSEM(走査型電子顕微鏡)等の顕微鏡を用いて、無作為に選択した繊維状炭素材料100本の直径(外径)および長さを測定して求めることができる。また、本発明において、繊維状炭素材料の「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
[[繊維状炭素材料の配合量]]
そして、工程(A)にて繊維状炭素材料を用いる場合、原料としての繊維状炭素材料の量の割合は、樹脂100質量部当たり、0.05質量部以上とすることができ、5.0質量部以下とすることができる。繊維状炭素材料の量を上記下限以上とすれば、複合材料シートの熱伝導性および強度を更に高めることができるからである。また、繊維状炭素材料の量を上記上限以下とすれば、繊維状炭素材料の配合により複合材料シートの硬度が上昇する(即ち、柔軟性が低下する)のを更に抑制しつつ複合材料シートを良好に成形することができるからである。
[添加剤]
また、複合混合物に任意に配合し得る添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、赤リン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤などの難燃剤;セバシン酸などの可塑剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの吸湿剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物などの接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などの濡れ性向上剤;無機イオン交換体などのイオントラップ剤;等が挙げられる。中でも、リン酸エステルなどのリン酸エステル系難燃剤を添加することが好ましい。
<<準備方法>>
工程(A)における複合混合物の準備は、特に制限されることなく、既知の手法を用いて、上述の粒子状炭素材料と、樹脂と、任意に繊維状炭素材料および添加剤とを複合化することにより行うことができる。具体的には、工程(A)では、例えば以下の(I)〜(III)の方法を用いて複合混合物を準備することができる。
(I)粒子状炭素材料と、樹脂と、任意の繊維状炭素材料および添加剤とを混合、混練して複合混合物を得る。
(II)粒子状炭素材料と、樹脂と、任意の繊維状炭素材料および添加剤とを含む分散液を乾燥造粒して複合混合物を得る。
(III)粒子状炭素材料および任意の繊維状炭素材料に樹脂などを噴霧して複合混合物を得る。
中でも、作業の容易性の観点から(I)の方法を用いることが望ましい。
ここで、混合、混練する方法は、特に限定されることなく、ニーダー;ホバートミキサー、バンバリーミキサー、ハイスピードミキサーなどのミキサー;二軸混練機;ロール;等の既知の混練装置を用いて行うことができる。そして、混練時間は、例えば5分以上60分以下とすることができる。また、混練温度は、例えば5℃以上150℃以下とすることができる。
なお、混練は、酢酸エチル等の溶媒の存在下で行ってもよく、混練時に溶媒を用いる場合には、溶媒を除去してから後述する粉砕段階へと移行することが好ましい。溶媒の除去は既知の乾燥方法にて行える。
ここで、工程(A)で得られる複合混合物は、通常、直径10mm〜200mm程度の塊状体である。
<工程(B)>
本発明の複合材料シートの製造方法が含む工程(B)では、上述した工程(A)で得られた複合混合物を所定の粒子径範囲に微細化することにより、複合粒子を得ることを特徴とする。
<<複合粒子>>
工程(B)で得られる複合粒子は、所定の粒子径を有する必要がある。
[複合粒子の粒子径]
複合混合物が微細化されて得られる複合粒子の大きさは、体積平均粒子径で7μm以上100μm以下である必要がある。また、複合粒子の体積平均粒子径は20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることが更に好ましく、90μm以下であることが好ましい。複合粒子の体積平均粒子径を7μm以上に制御すれば、製造される複合材料シートにおいて粒子状炭素材料および樹脂の良好な複合状態を維持しつつ、複合材料シートに、粒子状炭素材料などが担う熱伝導性、および良好な強度を十分に発揮させることができる。また、複合粒子の体積平均粒子径を100μm以下に制御すれば、製造される複合材料シートに、高い熱伝導性を発揮させるとともに、複合材料シートの硬度を良好に維持することができる。
[粒子状炭素材料の微細化]
ここで、工程(B)では、複合混合物に含まれている粒子状炭素材料も微細化することが好ましい。即ち、工程(B)で得られる複合粒子に含まれている粒子状炭素材料の体積平均粒子径は、工程(A)で用いた原料としての粒子状炭素材料の体積平均粒子径平均粒子径よりも小さいことが好ましい。複合混合物の微細化と共に、当該複合混合物に含まれている粒子状炭素材料をも微細化することにより、製造される複合材料シートの強度および硬度を良好にしつつ、複合材料シートおよび熱伝導シートの熱伝導性が飛躍的に向上し得るからである。
ここで、工程(B)において、複合混合物自体の粒子径を所定範囲に微細化し、かつ当該複合混合物に含まれている粒子状炭素材料も微細化することにより、製造される複合材料シートの強度および硬度を良好にしつつ、熱伝導性を飛躍的に高め得る理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、一般に、粒子状炭素材料および樹脂を含有する複合材料を加圧することにより成形したシート等の成形体では、粒子状炭素材料同士が互いに接触して熱伝導性に優れる伝熱経路が形成されることにより、熱伝導率が向上する。ここで、工程(A)で準備された複合混合物では、上述した混練などにより、樹脂が粒子状炭素材料の表面の全部または大部分を覆った状態であることが考えられる。そして、次の工程(B)において、このように粒子状炭素材料の表面に樹脂が存在している状態の複合混合物を、粒子状炭素材料の粒子径が小さくなる程度にまで粉砕などにより微細化することにより、粒子状炭素材料の表面には、樹脂が存在しない新たな界面が生じる。換言すれば、複合化された状態の粒子状炭素材料をも微細化することにより、微細化された粒子状炭素材料の表面に樹脂と複合化(樹脂が付着)していない界面を新たに露出させつつ、粒子状炭素材料の表面の一部では複合化状態を維持することができる。従って、複合混合物の状態にて粒子状炭素材料を微細化することにより、当該微細化された粒子状炭素材料の表面に、シート形状を成すための結着材として機能する樹脂が露出した部分と、熱伝導性を発揮する機能を有する粒子状炭素材料が露出した部分との、異なる機能を有する部分を生じさせることができる。その結果、準備された複合粒子を加圧した際に、樹脂部分同士が接触した箇所は良好な強度および硬度を有するシート形状の成型に寄与する。一方で、当該加圧により、微細化された粒子状炭素材料がシート面方向に配向して、粒子状炭素材料のむき出し部分同士が接触した箇所は、良好な伝熱経路を形成することにより、高い熱伝導性に寄与する。
また、複合粒子に含まれている粒子状炭素材料の体積平均粒子径は、工程(A)で用いた原料としての粒子状炭素材料の体積平均粒子径の0.02倍以上であることが好ましく、0.05倍以上であることがより好ましく、0.12倍以上であることが更に好ましく、0.2倍以上であることが一層好ましく、0.4倍未満であることが好ましく、0.3倍以下であることがより好ましい。工程(B)において、粒子状炭素材料が上記上限未満まで微細化されれば、複合混合物中で樹脂に被覆されていた粒子状炭素材料の一部が樹脂に被覆されない新しい界面として十分に露出するため、製造される複合材料シートの良好な強度および硬度を維持しつつ、熱伝導性を更に向上し得るからである。また、粒子状炭素材料の微細化の程度を上記下限以上とすれば、上述した粒子径の小さな粒子状炭素材料の寄与による高い熱伝導性および良好な硬度を維持しつつ、複合材料シートの強度をより向上することができるからである。
なお、複合粒子中(微細化後)の粒子状炭素材料の「体積平均粒子径」の測定は、特に限定されることなく、例えば、複合粒子に含まれている樹脂に対する良溶媒を用いて樹脂を溶解させる等の任意の手法を用いて複合粒子から粒子状炭素材料を取り出して行うことができる。
ここで、工程(B)にて粒子状炭素材料を上述した程度にまで微細化することにより、複合材料シートの良好な硬度を保ちつつ、複合材料シートおよび熱伝導シートの強度および熱伝導性を更に向上し得る理由は明らかではないが、以下の理由が推察される。
即ち、複合化された粒子状炭素材料の粒子径が粉砕などにより0.4倍未満に微細化されることにより、樹脂同士が接触する面積、および、粒子状炭素材料の新たな界面同士が接触する面積がともに増大する。その結果、上述した樹脂および粒子状炭素材料それぞれが担う機能がより十分に発揮されるため、製造される複合材料シートの優れた熱伝導性、強度、および硬度の並立が可能となる。更に、複合化された粒子状炭素材料の大きさが0.4倍未満に微細化されることにより、加圧に際して個々の粒子状炭素材料が受けるせん断力が大きく、かつ均一になるため、粒子状炭素材料がシート面内方向により良好に配向して面内方向の伝熱経路を形成し、特にシート面内配向性を有する高い熱伝導性を実現することができる。
<<微細化方法>>
工程(B)で行われる複合混合物の微細化方法は、得られる複合粒子が所定の粒子径を有すれば特に限定されることなく、例えば、粒子を砕く粉砕などにより行うことができる。また、当該粉砕に先立ち、塊物をほぐす解砕などを行っても良い。そして、複合混合物の解砕/粉砕は、例えば、せん断作用や摩砕作用を利用した既知の解砕/粉砕装置または撹拌式の既知の解砕/粉砕装置等を用いて行うことができる。上述した既知の解砕/粉砕装置としては、例えば、ハンマークラッシャー、カッターミル、ハンマーミル、ビーズミル、振動ミル、流星型ボールミル、サンドミル、ボールミル、ロールミル、三本ロールミル、ジェットミル、高速回転式粉砕機、微粉砕機・解砕整粒機、ナノジェットマイザー等を挙げることができる。中でも、所望の粒子径に容易に制御する観点からは、上記装置を複数使用することが好ましく、例えば、ハンマークラッシャー、微粉砕機・解砕整粒機、ナノジェットマイザー等を順次使用して、粗粒子への解砕から微粒子への粉砕へと、複合混合物を複数回に亘って段階的に微細化していくことが好ましい。
また、解砕/粉砕に際してのエネルギー、時間などの条件は、所望の粒子径に合わせて解砕/粉砕装置、解砕/粉砕時間などを適宜選択、調整すればよい。
<<分級方法>>
また、工程(B)では、例えば、上述した解砕および/または粉砕などの微細化作業の後に、複合粒子をより所望の平均粒子径に選り分けるために、分級作業を行ってもよい。
ここで、分級方法には、特に限定されることなく、例えば、ふるい分法、強制渦流型遠心分級機(ミクロンセパレーター、ターボプレックス、ターボクラシファイアー、スーパーセパレーター)、慣性分級機(改良型バーチュウアルインパクター、エルボジェット)等の気流分級機が使用できる。また湿式の沈降分離法や遠心分級法等も使用可能である。また、当該分級作業は、上述の解砕/粉砕装置の一機能として解砕/粉砕作業と同時に行っても良く、解砕/粉砕作業とは別に行ってもよい。解砕/粉砕作業と同時に行う場合には、例えば、用いる装置に任意のメッシュサイズのスクリーン等を設置して行うことができる。また、解砕/粉砕作業とは別に行う場合には、例えば、作業の簡便性の観点より、所望の目開きを有するふるい分法を行うことができる。
なお、分級は、特に制限なく、例えば温度25℃の環境下で行うことができる。
<工程(C)>
本発明の複合材料シートの製造方法が含む工程(C)では、上述の工程(B)で得られた複合粒子を加圧してシート状に成形することにより複合材料シートを得る。そして、複合粒子が、工程(B)にて微細化された粒子状炭素材料を含み、かつ、所定の粒子径範囲に微細化されているので、当該複合粒子に圧力を加えた際に、シート面内方向に粒子状炭素材料の良好な伝熱経路が形成されるとともに、樹脂が良好に結着したシート構造が得られる。その結果、面内方向に優れた熱伝導性を有しつつ、高い強度および良好な硬度を両立させた複合材料シートを製造することができる。
<<加圧方法>>
ここで、加圧方法としては、複合粒子に圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押し出し成形などの既知の成形方法が挙げられる。中でも、複合粒子は、圧延成形によりシート状に成形することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、シリコーン離型処理を施したPETフィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃以下、ロール間隙は50μm以上2500μm以下、ロール線圧は1kg/cm以上3000kg/cm以下、ロール速度は0.1m/分以上20m/分以下とすることができる。
そして、工程(C)での加圧を経て製造された複合材料シートでは、上述の通り、主としてシート面内方向に配列した粒子状炭素材料同士の接触によって、面内方向に伝熱経路が良好に形成されると推察される。従って、上記製造方法に従って製造された複合材料シートは、特に面内方向の熱伝導性に優れている。また、上記製造方法に従って製造された複合材料シートは、樹脂同士の良好な結着によって、良好な硬度を保ちつつ強度を向上させることができる。
なお、複合材料シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば、10μm以上2mm以下とすることができる。
また、上記製造方法に従って製造した複合材料シートのように、微細化された粒子状炭素材料を含む場合は、得られる複合材料シートの表面の光沢度が増加する傾向がある。そして、複合材料シートの表面は、粒子状炭素材料の微細化程度が大きいほど、つまり、微細化後の粒子状炭素材料の粒子径が小さいほど、光沢度を増す傾向がある。例えば、工程(B)において、上述した比率(倍)にまで粒子状炭素材料を微細化した場合は、得られる複合材料シート表面の60度光沢度は、30〜70程度にまで高まる。
(熱伝導シートの製造方法)
本発明の熱伝導シートの製造方法では、粒子状炭素材料および樹脂を含む熱伝導シートが得られる。また、本発明の熱伝導シートの製造方法は、上述したいずれかの製造方法で得られた複合材料シートに対して、積層体を得る工程(a)および熱伝導シートを得る工程(b)を施すことを特徴とする。
そして、本発明の熱伝導シートの製造方法で得られる熱伝導シートは、上述の複合材料シートを用いて製造されているため、強度、硬度、および特にシート厚み方向の熱伝導性の全てに優れている。
以下、各工程について具体的に説明する。
<工程(a)>
工程(a)では、上述した複合材料シートの製造方法を用いて製造した複合材料シートを、厚み方向に複数枚積層して、或いは、折畳または捲回することにより、積層体を形成する(積層工程)。ここで、複合材料シートの積層による積層体の形成は、特に限定されることなく、積層装置を用いて行ってもよく、手作業にて行ってもよい。また、複合材料シートの折畳による積層体の形成は、特に限定されることなく、折畳機を用いて複合材料シートを一定幅で折り畳むことにより行うことができる。さらに、複合材料シートの捲回による積層体の形成は、特に限定されることなく、複合材料シートの短手方向または長手方向に平行な軸の回りに複合材料シートを捲き回すことにより行うことができる。
ここで、通常、工程(a)で得られる積層体において、複合材料シートの表面同士の接着力は、複合材料シートを積層する際の圧力や折畳または捲回する際の引っ張り力により充分に得られる。しかし、接着力が不足する場合や、積層体の層間剥離を十分に抑制する必要がある場合には、複合材料シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層してもよいし、複合材料シートの表面に接着剤を塗布した状態または複合材料シートの表面に接着層を設けた状態で積層してもよい。
なお、層間剥離を抑制する観点からは、得られた積層体は、積層方向に0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力で押し付けながら、50℃以上170℃以下で10分〜8時間加熱してもよい。
複合材料シートの表面を溶解させる際に用いる溶剤としては、特に限定されることなく、複合材料シート中に含まれている樹脂を溶解可能な既知の溶剤(例えば、メチルエチルケトンなど)を用いることができる。
また、複合材料シートの表面に塗布する接着剤としては、特に限定されることなく、市販の接着剤や粘着性の樹脂を用いることができる。また、複合材料シートの表面に設ける接着層としては、特に限定されることなく、両面テープなどを用いることができる。そして、複合材料シートの表面に塗布する接着剤または複合材料シートの表面に設ける接着層の厚さは、例えば、1μm以上1000μm以下とすることができる。
ここで、接着剤や接着層には、得られる熱伝導シートが硬くなりすぎない範囲で熱伝導性フィラーが配合されていてもよい。
そして、工程(a)を経て得られる積層体では、粒子状炭素材料および任意の繊維状炭素材料が積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。また、当該積層体では、粒子状炭素材料同士、または粒子状炭素材料および繊維状炭素材料の良好な接触によって形成される伝熱経路が、主に積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。
<工程(b)>
工程(b)では、上記工程(a)で得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスすることにより、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを製造する(スライス工程)。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、ワイヤーソー法、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、当該スリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカッター、カンナ、スライサー)を用いることができる。
なお、熱伝導シートの厚み方向に対する熱伝導性をより高める観点からは、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して30°以下であることが好ましく、積層方向に対して15°以下であることがより好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが更に好ましい。
また、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際の積層体の温度は−20℃以上80℃以下とすることが好ましく、−10℃以上50℃以下とすることがより好ましい。更に、同様の理由により、スライスする積層体は、積層方向とは垂直な方向に圧力を負荷しながらスライスすることが好ましく、積層方向と垂直な方向に10N以上100N以下の圧力を負荷しながらスライスすることがより好ましい。
そして、工程(b)を経て得られた熱伝導シートでは、粒子状炭素材料および任意の繊維状炭素材料が熱伝導シートの厚み方向(即ち、プレ熱伝導シートとしての複合材料シートの積層方向に略直交する方向)に配列していると推察される。それ故に、当該熱伝導シートでは、粒子状炭素材料同士、または粒子状炭素材料および繊維状炭素材料の良好な接触によって形成される伝熱経路が、主に熱伝導シートの厚み方向に配列していると推察される。従って、当該熱伝導シートは、厚み方向の熱伝導性に優れている。
また、前述した複合材料シートは強度および硬度にも優れているので、当該複合材料シートを用いて製造した熱伝導シートも、強度および硬度に優れていると推察される。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、原料としての粒子状炭素材料、複合粗粒子、複合粒子、および複合粒子中(微細化後)の粒子状炭素材料の体積平均粒子径;複合材料シートの引張強度;複合材料シートのアスカーC硬度;複合材料シート表面の60度光沢度;熱伝導シートの熱伝導率は、下記の方法で測定した。
<体積平均粒子径>
原料としての粒子状炭素材料、複合粗粒子、複合粒子、および複合粒子中(微細化後)の粒子状炭素材料の体積平均粒子径は、以下の通り、レーザー回折法にて測定した。
<<原料としての粒子状炭素材料、複合粗粒子、および複合粒子>>
原料としての粒子状炭素材料、および複合粒子の体積平均粒子径については、原料としての膨張化黒鉛および複合粒子それぞれ100mgを試料とし、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(日機装製、型番「マイクロトラックMT3300EX−II」)を用いて、粒子径分布を得た。そして、得られたそれぞれの粒子径分布(体積基準)において小径側から計算した累積体積が50%となる中心粒子径(D50)を、原料としての粒子状炭素材料、および複合粒子の体積平均粒子径(μm)として算出した。結果を表1に示す。
<<微細化後の粒子状炭素材料>>
準備された複合粒子0.5gを、メチルエチルケトン溶媒6g内でスターラーを用いて5分間撹拌した後、目視により、メチルエチルケトン溶媒中に樹脂成分が溶解したことを確認し、複合粒子中に含まれていた粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛を含有する懸濁液を得た。次に、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型番「LA−960」)を用いて、得られた懸濁液中に含まれる膨張化黒鉛の粒子径分布を得た。そして、得られた粒子径分布(体積基準)において小径側から計算した累積体積が50%となる中心粒子径(D50)を、微細化後の粒子状炭素材料の体積平均粒子径(μm)として算出した。結果を表1に示す。
<複合材料シートの強度>
製造された複合材料シートを20mm×80mmのサイズで打ち抜き、試験体を得た。得られた試験体に対し、小型卓上試験機(日本電産シンポ製、型番「FGS−500TV」、デジタルフォースゲージとしてFGP−50を使用)を用いて、引張り速度20mm/分、チャック間距離60mmにて引張り試験を行うことにより、最大引張り強度(N)を測定した。得られた引張り強度が大きい程、複合材料シートの強度が高いことを示す。結果を表1に示す。
<複合材料シートの硬度>
複合材料シートの硬度は、複合材料シートを複数枚重ねた試験体(複合材料シート層)の硬度として評価した。ここで硬度は、日本ゴム協会規格(SRIS)のアスカーC法に準拠し測定した。
具体的には、得られた複合材料シートを幅25mm×長さ50mm×厚さ0.5mmの大きさに切り取り、24枚重ね合わせることにより積層片を得た。次に、得られた積層片を温度23℃に保たれた恒温室内に48時間以上静置することにより、試験体としての複合材料シート層を得た。続いて、指針が95〜98となるようにダンパー高さを調整し、複合材料シート層とダンパーとを衝突させた。当該衝突から60秒後の複合材料シート層のアスカーC硬度を、硬度計(高分子計器社製、製品名「ASKER CL−150LJ」)を用いて2回測定し、測定結果の平均値を採用した。アスカーC硬度が小さいほど、柔軟で、硬度に優れた複合材料シートであることを表す。結果を表1に示す。
<複合材料シート表面の60度光沢度>
後述する工程(c)において、圧延成形された複合材料シートの表面のうち、PETフィルム(保護フィルムB)と接していた表面を測定対象面とした。そして、当該測定対象面の光沢度を、グロスメーター(東京電色製、型番「GLOSS METER GP−60A」、入射角度:60度)用いて測定した。光沢度の数値が大きいほど、複合材料シート表面の光沢が高い外観を有することを示す。結果を表1に示す。
<熱伝導シートの熱伝導率>
製造した熱伝導シートについて、厚み方向の熱拡散率α(m2/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)および比重ρ(g/m3)を以下の方法で測定した。
[熱拡散率]
熱物性測定装置(株式会社ベテル製、製品名「サーモウェーブアナライザTA35」)を使用して温度25℃における熱拡散率を測定した。
[定圧比熱]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下、温度25℃における比熱を測定した。
[比重]
自動比重計(東洋精機社製、製品名「DENSIMETER−H」)を用いて測定した。
そして、得られた測定値を用いて下記式(I):
λ=α×Cp×ρ ・・・(I)
より温度25℃における熱伝導シートの熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。λ値が大きいほど、厚み方向の熱伝導性に優れた熱伝導性シートであることを表す。結果を表1に示す。
(実施例1)
<工程(A)>
粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業製、製品名「EC−50」、体積平均粒子径:250μm)を130部と、繊維状炭素材料としてのCNT易分散集合体を1部と、樹脂としてのフッ素樹脂(ダイキン工業製、製品名「ダイエルG−912」)を80部と、難燃剤としてのリン酸エステル(味の素ファインテクノ社製、製品名「レオフォス65」)を10部とを、ニーダー(井上製作所製)を用いて温度50℃の環境下にて30分撹拌混練し、膨張化黒鉛と、CNTと、フッ素樹脂と、リン酸エステルとを含有する複合混合物を得た。
なお、上記CNT易分散集合体は、以下の通り調製した。
−CNT易分散集合体の調製−
スーパーグロース法によってSGCNTを含む繊維状炭素材料を得た。得られた繊維状炭素材料は、BET比表面積が800m2/gであった。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に選択した100本の繊維状炭素材料の直径および長さを測定した結果、平均直径が3.3nm、平均長さが100μmであった。更に、得られた繊維状炭素材料は、主に単層CNTにより構成されていた。
次に、得られた繊維状炭素材料を、分散媒としてのメチルエチルケトンに分散させて得た分散液から、ろ紙(桐山社製、No.5A)を用いて減圧ろ過して溶媒を除去することにより、繊維状炭素材料としての、SGCNTを含むCNT易分散集合体を得た。CNTなどの繊維状炭素材料は一般的に凝集し易いため、このように易分散性集合体の状態にすることにより、他の成分との混合を容易にすることができる。
<工程(B)>
上記工程(A)で得られた複合混合物500gを、ハンマークラッシャー(三庄インダストリー社製、製品名「NH―30S」、解砕時間:10秒間)、およびスクリーン(メッシュサイズ:2mm)を用いて解砕することにより、複合粗粒子Aを得た。なお、本実施例で得られた複合粗粒子Aの粒子径は、体積平均粒子径で503μmであった。
次いで、微粉砕・解砕製粒機(アーステクニカ社製、製品名「クリプトロンゼプロス」、回転数:10000rpm、原料供給量:10kg/時間、粉砕時間:10秒間)を用いて複合粗粒子Aを粉砕することにより、複合粗粒子Bを得た。なお、本実施例で得られた複合粗粒子Bの粒子径は、体積平均粒子径で248μmであった。
続けて、ナノジェットマイザー(アイシンナノテクノロジーズ社製、製品名「NJ―100」、原料供給量:120g/時間、粉砕時間:10秒間)を用いて、複合粗粒子Bを更に微細に粉砕することにより、複合粒子を得た。そして、得られた複合粒子、および当該複合粒子に含有される膨張化黒鉛の体積平均粒子径(μm)を上述の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
なお、上記の工程(B)は、温度約25℃の室温環境下にて行った。
<工程(C)>
上述の工程(B)で得られた複合粒子10gを、サンドブラスト処理を施した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィルムA)と片面のシリコーン離形処理を施した厚さ75μmのPETフィルム(保護フィルムB)とで挟み、ロール間隙350μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件で圧延成形することにより、厚さ0.5mmの複合材料シートを得た。
そして、得られた複合材料シートの強度、硬度(アスカーC硬度)、および表面の60度光沢度を上述の方法により測定した。結果を表1に示す。
<工程(a)>
上述の工程(C)で得られた複合材料シートのいずれか任意の片面に両面テープ(日栄化工製、製品名「NeoFix10」、厚さ:10μm)を貼付けた。次に、複合材料シートにおける当該両面テープが貼付けられた面側と、別の複合材料シートにおける両面テープが貼付けられていない面側とを合わせ、同様の作業を120枚分繰り返すことにより、厚さ約6cmの積層体を得た。得られた積層体を手押しにて圧縮し、複合材料シートの各接着面を密着させることにより、複合材料シートの積層体を得た。
<工程(b)>
上述の工程(a)で得られた複合材料シートの積層体を、両刃(ファインテック製、製品名「超硬製カッターFILY」、各刃面の角度:α=22°、β=6°)、および万能試験機(日本電産シンポ製、製品名「FGS−500TV」、速度:1mm/秒)を用いて、当該積層体の積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層された複合材料シートの主面の法線方向に)押し切った。このように複合材料シートの積層体をスライスすることにより、厚さ0.5mmの熱伝導シートを得た。なお、当該押し切りの際に、複合材料シートの積層体における積層方向と垂直な方向には、78Nの力がかかっていた。
そして、得られた熱伝導シートの熱伝導率(W/mK)を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
工程(B)において、ナノジェットマイザーの原料供給量を480g/時間に変更した以外は実施例1と同様にして、複合混合物、複合粒子、複合材料シート、および熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
工程(B)において、ナノジェットマイザーの原料供給量を30g/時間に変更した以外は実施例1と同様にして、複合混合物、複合粒子、複合材料シート、および熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
工程(B)において、ハンマークラッシャー、微粉砕・解砕製粒機、ナノジェットマイザーに替えて、コーヒーミル(カリタ製、型番「CM−50」)を用いて約30秒間解砕した後に、ふるい(東京スクリーン製、目開き:150μmおよび250μm)を用いて分級し、150μmのふるい上および250μmのふるい下からなる複合粒子を得た以外は実施例1と同様にして、複合混合物、複合粒子、複合材料シート、および熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
工程(B)において、ハンマークラッシャー、微粉砕・解砕製粒機、ナノジェットマイザーに替えて、コーヒーミル(カリタ製、型番「CM−50」)を用いて約30秒間解砕した後に、ふるい(東京スクリーン製、目開き:250μmおよび500μm)を用いて分級し、250μmのふるい上および500μmのふるい下からなる複合粒子を得た以外は実施例1と同様にして、複合混合物、複合粒子、複合材料シート、および熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
工程(B)において、ハンマークラッシャー、微粉砕・解砕製粒機、ナノジェットマイザーに替えて、コーヒーミル(カリタ製、型番「CM−50」)を用いて約30秒間解砕した後に、ふるい(東京スクリーン製、目開き:500μmおよび850μm)を用いて分級し、500μmのふるい上および850μmのふるい下からなる複合粒子を得た以外は実施例1と同様にして、複合混合物、複合粒子、複合材料シート、および熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
工程(A)において、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業製、製品名「EC−300」、体積平均粒子径:50μm)を用いた。
また、工程(B)において、ハンマークラッシャー、微粉砕・解砕製粒機、ナノジェットマイザーに替えて、コーヒーミル(カリタ製、型番「CM−50」)を用いて約30秒間解砕した後に、ふるい(東京スクリーン製、目開き:250μmおよび500μm)を用いて分級し、250μmのふるい上および500μmのふるい下からなる複合粒子を得た以外は実施例1と同様にして、複合混合物、複合粒子、複合材料シート、および熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
(比較例5)
工程(B)において、微粉砕・解砕製粒機を用いずに(つまり、ハンマークラッシャーで解砕した複合粗粒子Aを、そのままナノジェットマイザーで粉砕して)、複合粒子を得た。また、ナノジェットマイザーの原料供給量を480g/時間に変更した以外は実施例1と同様にして、複合混合物、複合粒子、複合材料シート、および熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
Figure 2017141345
表1より、複合混合物を微細化して得られた、体積平均粒子径が7μm以上100μm以下である複合粒子を用いた実施例1〜3では、体積平均粒子径が100μm超である複合粒子を用いた比較例1〜5に対し、複合材料シートの優れた硬度を維持しつつ、強度が向上していた。また、実施例1〜3の複合材料シートを用いて製造した熱伝導シートは、比較例1〜5の複合材料シートを用いて製造した熱伝導シートに対し、熱伝導性に優れていた。
本発明によれば、高い熱伝導性、高い強度、および良好な硬度を並立させた複合材料シートの製造方法、並びに、熱伝導シートの製造方法提供することができる。

Claims (6)

  1. 粒子状炭素材料および樹脂を含む複合材料シートの製造方法であって、
    前記粒子状炭素材料および前記樹脂が複合化された複合混合物を準備する工程(A)と、
    前記複合混合物を微細化して、体積平均粒子径が7μm以上100μm以下である複合粒子を得る工程(B)と、
    前記複合粒子を加圧して複合材料シートを得る工程(C)と、
    を含む、複合材料シートの製造方法。
  2. 前記工程(B)において、前記複合混合物に含まれている粒子状炭素材料も微細化する、請求項1に記載の複合材料シートの製造方法。
  3. 前記複合粒子に含まれている粒子状炭素材料の体積平均粒子径が、前記工程(A)で用いた粒子状炭素材料の体積平均粒子径の0.02倍以上0.4倍未満である、請求項2に記載の複合材料シートの製造方法。
  4. 前記工程(A)において、前記粒子状炭素材料100質量部に対して前記樹脂を50質量部以上150質量部以下の割合で用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料シートの製造方法。
  5. 前記粒子状炭素材料が粒子状黒鉛である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料シートの製造方法。
  6. 粒子状炭素材料および樹脂を含む熱伝導シートの製造方法であって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた複合材料シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた複合材料シートを折畳または捲回して、積層体を得る工程(a)と、
    前記積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、熱伝導シートを得る工程(b)と、
    を含む、熱伝導シートの製造方法。
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