JP7218510B2 - 熱伝導シート - Google Patents
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Description
このように、特定の範囲の厚みを有する金属箔の両面に所定の熱伝導層を形成すれば、潰れはみだし性(ヒートサイクル試験)が良好であり、千切れのない(引張強度が向上された)熱伝導シートが得られる。
金属箔が、金、銀、銅およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有すると、潰れはみだし性(ヒートサイクル試験)が良好であり、千切れのない(引張強度が向上された)熱伝導シートが確実に得られる。
熱伝導シートの総厚みが100μm以上500μm以下であれば、潰れはみだし性(ヒートサイクル試験)が良好であり、千切れのない(引張強度が向上された)熱伝導シートがより確実に得られる。
金属箔の厚みが30μm以下であると、シワの発生が抑制された熱伝導シートが得られる。
ここで、本発明の熱伝導シートは、例えば、発熱体に放熱体を取り付ける際に、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。即ち、本発明の熱伝導シートは、発熱体と、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。
本発明の熱伝導シートは、金属箔と、金属箔の両面に形成された、以下に詳述する所定の熱伝導層とを有し、さらに、任意に、熱伝導層上に形成されたその他の層をさらに有する。
図1は、本発明の熱伝導シートの実施形態の一例を示す図である。
図1において、金属箔1と、金属箔1の両面に形成された熱伝導層2,3とを有する。
なおここで、金属箔上に熱伝導層を形成して熱伝導シートを作製する方法としては、例えば、金属箔の両面に熱伝導層を貼り合せ、貼り合せたものを離型PETフィルムに挟み、所定温度、所定圧力で、所定時間保持し、金属箔と熱伝導層を密着する方法、加圧プレスする方法などが挙げられる。加圧プレスする方法は、2枚の金属板に熱伝導層の片面あるいは両面に金属箔を貼り合せ、離形PETフィルムに挟み、0.3MPa以上3.0MPa以下の圧力で、加圧プレスすることが好ましい。また、加圧時に、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは70℃以下、特に好ましくは50℃以下で、加温してもよい。このように加圧加熱プレスすることで、熱伝導層と金属箔の密着性を向上させることができ、熱抵抗試験による、低荷重側の熱抵抗値をさらに下げることができる。熱伝導シート作製前後における、熱伝導層および金属箔の厚みは、熱伝導シート作製の際の加圧条件などにより異なるが、熱伝導シート作製後の厚みが熱伝導シート作製前の厚みの3%以上10%以下であることが好ましい。
熱伝導シートの0.80MPa加圧下の熱抵抗値としては、通常0.21(℃/W)以下であり、0.18(℃/W)以下であることが好ましく、0.15(℃/W)以下であることがより好ましい。
なお、熱伝導シートの熱抵抗値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
熱伝導層は、熱可塑性樹脂と熱伝導性充填剤とを含み、任意の他の成分をさらに含む。
以下、熱可塑性樹脂と熱伝導性充填剤とについて詳述する。
本発明の熱伝導シートにおける熱伝導層が熱可塑性樹脂を含有することにより、使用時(放熱時)の高温環境下で、熱伝導シートの柔軟性を向上させ、熱伝導シートを介して発熱体と放熱体とを良好に密着させることができる。また、本発明の熱伝導シートの特性及び効果を失わないことを条件として、熱伝導層に熱硬化性樹脂を併用することができる。なお、本明細書において、ゴムおよびエラストマーは、「樹脂」に含まれるものとする。
本発明の熱伝導シートにおける熱伝導層が含みうる熱可塑性樹脂は、熱伝導層のマトリックス樹脂を構成し、また、熱伝導性充填剤を結着する結着材としても機能する。
このような熱可塑性樹脂としては、「常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂」、「常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂」、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
これらの中でも、比較的低い圧力下でも、界面密着性を高めて界面熱抵抗を低下させることができ、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性(すなわち、放熱特性)を向上させることができる点で、「常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂」が好ましい。
なお、本明細書において、「常温」とは、23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
熱伝導層が常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂を含むことにより、熱伝導層の柔軟性を良好にすることができ、例えば、熱伝導層と、該熱伝導層を接着させる被着体(発熱体、放熱体)との間の密着性を高めて、熱伝導シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。
これらの中でも、熱伝導層ひいては熱伝導シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性を向上させることに加え、比較的低い圧力下でも、界面密着性を高め、界面熱抵抗を低下させて、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性(すなわち、放熱特性)を向上させることができる点で、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂が好ましい。
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂は、常温常圧下で液体状の熱可塑性フッ素樹脂であれば、特に制限されない。常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロペンテン-テトラフルオロエチレン3元共重合体、パーフルオロプロペンオキサイド重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレン-フッ化ビニリデン共重合体、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
また、市販されている、常温常圧下で液状の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、デュポン株式会社製のバイトン(登録商標)LM、ダイキン工業株式会社製のダイエル(登録商標)G-101、スリーエム株式会社製のダイニオンFC2210、信越化学工業株式会社製のSIFELシリーズ、などが挙げられる。
そして、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂の含有割合は、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂および後に詳述する常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂の合計含有量の40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、90質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂の含有割合が上記範囲内であれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの柔軟性をより高めて、例えば、熱伝導シートと熱伝導シートを挟み込んでいる被着体(発熱体、放熱体)との間の密着性をより良好にし得るため、比較的低い挟持圧力下(例えば、0.5MPa以下)での熱伝導シートにより高い熱伝導性を発揮させることができるからである。
熱伝導層が常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂を含むことにより、熱伝導層と、該熱伝導層を接着させる被着体(発熱体、放熱体)との間の密着性を高めて、熱伝導シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。
これらの中でも、熱伝導層ひいては熱伝導シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性などを向上させる観点からは、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂であることが好ましい。
常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂は、常温常圧下で固体状の熱可塑性フッ素樹脂であれば、特に制限されない。常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-プロピレン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系フッ素樹脂等、フッ素含有モノマーを重合して得られるエラストマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロジオキソール共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエステル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエポキシ変性物およびポリテトラフルオロエチレンのシラン変性物、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
これらの中でも、加工性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、が好ましい。
熱可塑性樹脂が熱可塑性フッ素樹脂である場合、熱伝導層における熱可塑性フッ素樹脂の含有割合は、30質量%以上60質量%以下であることが好ましい。熱可塑性フッ素樹脂の含有割合が上記範囲内であれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性などをより向上させることができる。なお、熱可塑性樹脂が常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂の双方を含む場合には、それら各々の含有割合の合計が上記範囲内にあることが好ましい。
本発明の熱伝導シートの特性および効果を失わないことを条件として、熱伝導層に任意に使用し得る熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
熱伝導シートにおける熱伝導層が熱伝導性充填剤を含むことにより、熱伝導層の熱伝導性をさらに高めることができる。熱伝導層が含みうる熱伝導性充填剤としては、炭素質材料や、無機酸化物材料、無機窒化物材料、などが挙げられる。熱伝導性充填剤としては、炭素質材料または無機窒化物材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
炭素質材料としては、粒子状炭素材料や繊維状炭素材料などが挙げられる。
熱伝導性充填材が炭素質材料である場合に、熱伝導層における炭素質材料の含有割合は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。炭素質材料の含有割合が上記下限値以上であれば、熱伝導層中において伝熱パスを良好に形成できるため、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性をより高めることができる。また、炭素質材料の含有割合が上記上限値以下であれば、炭素質材料の配合により熱伝導層ひいては熱伝導シートの柔軟性が低下するのを抑制し、熱伝導シートと被着体(発熱体、放熱体)との間の密着性を高めて、熱伝導シートに優れた熱伝導性を発揮させることができる。
粒子状炭素材料としては、特に制限されることはなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
これらの中でも、膨張化黒鉛が好ましい。熱伝導層に膨張化黒鉛を用いれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性をより向上させることができる。
膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業株式会社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
粒子状炭素材料の平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。粒子状炭素材料の平均粒子径が上記範囲内であれば、熱伝導層の硬さおよび粘着性のバランスをより向上させて、取扱い性を向上させることができると共に、熱伝導層の熱抵抗をより低下させて熱伝導性を向上させることができる。
なお、本明細書において、「平均粒子径」は、粒子状炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、任意の50個の粒子状炭素材料について最大径(長径)を測定し、測定した長径の個数平均値を算出することにより求めることができる。
また、粒子状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「アスペクト比」は、粒子状炭素材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、任意の50個の粒子状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
そして、熱伝導層中の粒子状炭素材料の含有割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、150質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることがさらに好ましい。熱伝導層中の粒子状炭素材料の含有割合が、熱可塑性樹脂100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下であれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの硬さと粘着性とのバランスを一層向上させることができ、取扱い性を一層向上させることができる。また、粒子状炭素材料の含有割合が、熱可塑性樹脂100質量部に対して、30質量部以上であれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導率を向上させることができる。また、熱伝導層中の粒子状炭素材料の含有割合が、熱可塑性樹脂100質量部に対して、90質量部以下であれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの粘着性を向上させ、粒子状炭素材料の粉落ちを十分に防止することができる。
上記熱伝導層が任意に含みうる繊維状炭素材料としては、特に制限されることなく、例えば、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状の炭素ナノ構造体、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
例えば、熱伝導層が繊維状炭素材料を含めば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性を向上させ得ると共に、粒子状炭素材料の粉落ちを防止することもできる。なお、繊維状炭素材料を配合することで、粒子状炭素材料の粉落ちを防止することができる理由は、明らかではないが、繊維状炭素材料が三次元網目構造を形成することにより、熱伝導性や強度を高めつつ、粒子状炭素材料の脱離を防止しているためであると推察される。
繊維状炭素材料として好適に使用し得る、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状の炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
なお、繊維状の炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性および強度をさらに向上させることができるからである。
なお、「繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径(Av)」および「繊維状の炭素ナノ構造体の直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状の炭素ナノ構造体100本の直径(外径)を測定して求めることができる。そして、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
なお、本明細書において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
そして、熱伝導シートにおける熱伝導層に含まれうる繊維状炭素材料の平均繊維径は、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。繊維状炭素材料の平均繊維径が上記範囲内であれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性、柔軟性および強度を十分に高いレベルで並立させることができるからである。ここで、繊維状炭素材料のアスペクト比は、10を超えることが好ましい。
そして、熱伝導層中における繊維状炭素材料の含有割合は、0.03質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。熱伝導層中における繊維状炭素材料の含有割合が0.03質量%以上であれば、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性および強度を十分に向上させることができると共に、粒子状炭素材料の粉落ちを十分に防止することができるからである。さらに、熱伝導層中の繊維状炭素材料の含有割合が2.0質量%以下であれば、繊維状炭素材料の配合により、熱伝導層ひいては熱伝導シートの硬度が上昇する(即ち、柔軟性が低下する)のを抑制して、熱伝導層ひいては熱伝導シートの熱伝導性および柔軟性を十分に高いレベルで並立させることができるからである。
無機窒化物材料としては、例えば、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
これらの中でも、絶縁性と熱伝導性の付与の点で、窒化ホウ素が好ましい。
ここで、窒化ホウ素粒子の市販品の具体例としては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製の「PT」シリーズ(例えば、「PT-110」);昭和電工社製の「ショービーエヌUHP」シリーズ(例えば、「ショービーエヌUHP-1」);Dangdong Chemical Engineering Institute Co.,Ltd.社製「HSL」「HS」;などが挙げられる。
上記熱伝導層には、必要に応じて、熱伝導層の成形に使用され得る既知の添加剤をさらに配合することができる。そして、熱伝導層に配合し得る添加剤としては、特に制限されることなく、例えば、赤りん系難燃剤、りん酸エステル系難燃剤等の難燃剤;脂肪酸エステル系可塑剤等の可塑剤;ウレタンアクリレート等の靭性改良剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物などの接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ性向上剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤;などが挙げられる。
そして、本発明の熱伝導層は、特に限定されることなく、以下の性状を有していることが好ましい。
熱伝導層の表面粗さRaは、1μm以上あることが好ましく、3μm以上あることがより好ましく、また、15μm以下であることが好ましく、10μm以下あることがより好ましい。本発明の熱伝導シートにおける表面粗さRaは、上記範囲内であれば、金属箔が熱伝導層に追従して、熱伝導性をより確実に維持することができる。
ここで、熱伝導層の表面粗さRaは、JISB0601に準拠して、例えばナノスケールハイブリッド顕微鏡(VK-X250キーエンス社製)を用いて、表面粗さに対して、好ましい範囲を選択し算出することができる。
熱伝導層は、0.30MPa加圧下の熱抵抗値が0.21(℃/W)以下である。0.30MPa加圧下の熱抵抗の値が0.21(℃/W)以下であると、比較的低い圧力が加えられる使用環境下で、優れた熱伝導性を有することができる。
ここで、熱抵抗値は、熱伝導層の熱抵抗を測定するのに通常用いられる既知の測定方法を用いて測定することができ、樹脂材料熱抵抗試験器(例えば、日立テクノロジーアンドサービス社製、商品名「C47108」)などで測定することができる。
尚、加圧力を0.80MPaから0.30MPaへ低下させたときの熱抵抗値の変化率は、次式で算出することができる:100×(0.30MPa加圧下での熱抵抗値-0.80MPa加圧下での熱抵抗値)/0.80MPa加圧下での熱抵抗値(%)。
熱伝導層は、厚み方向の熱伝導率が、25℃において、20W/m・K以上であることが好ましく、30W/m・K以上であることがより好ましく、40W/m・K以上であることがさらに好ましい。熱伝導率が20W/m・K以上であれば、例えば熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用した場合に、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えることができる。
熱伝導層の厚みは、80μm以上500μm以下であることが好ましい。本発明の熱伝導シートにおける熱伝導層は、取扱い性を損なわない限りにおいて、厚みを薄くする程、熱伝導層ひいては熱伝導シートのバルク熱抵抗を小さくすることができ、熱伝導性および放熱装置に使用した場合の放熱特性を向上させることができる。
熱伝導層は、密度が1.8g/cm3以下であることが好ましく、1.6g/cm3以下であることがより好ましい。このような熱伝導層を有する熱伝導シートは、汎用性が高く、例えば電子部品などの製品に実装した際に、かかる電子部品の軽量化に寄与することができるからである。
本発明の熱伝導シートにおける熱伝導層は、例えば、以下に詳述する、(i)プレ熱伝導層成形工程、(ii)積層体形成工程、(iii)スライス工程、などを含む熱伝導層調製方法により調製される。
プレ熱伝導層成形工程では、熱可塑性樹脂と、熱伝導性充填剤とを含み、添加剤等の任意成分をさらに含む組成物を加圧してシート状に成形し、プレ熱伝導層を得る。
ここで、組成物は、熱可塑性樹脂と、熱伝導性充填剤と、上述した任意成分(添加剤)とを混合して調製することができる。そして、熱可塑性樹脂、熱伝導性充填剤および任意の添加剤としては、本発明の熱伝導シートにおける熱伝導層に含まれ得る熱可塑性樹脂、熱伝導性充填剤および添加剤として上述した成分を用いることができる。
因みに、熱伝導層の樹脂を架橋型の樹脂とする場合には、架橋型の樹脂を含む組成物を用いてプレ熱伝導層を成形してもよいし、架橋可能な樹脂と硬化剤とを含有する組成物を用いてプレ熱伝導層を成形し、プレ熱伝導層成形工程後に架橋可能な樹脂を架橋させることにより、熱伝導層に架橋型の樹脂を含有させてもよい。
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧してシート状に成形することができる。このように組成物を加圧成形したシート状のものを、プレ熱伝導層とすることができる。なお、混合時に溶媒を用いている場合には、溶媒を除去してからシート状に成形することが好ましく、例えば、真空脱泡を用いて脱泡を行えば、脱泡時に溶媒の除去も同時に行うことができる。
そして、組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導層では、熱伝導性充填剤が主として面内方向に配列し、特にプレ熱伝導層の面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
積層体形成工程では、プレ熱伝導層成形工程で得られたプレ熱伝導層を厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレ熱伝導層を折畳または捲回して、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填剤を含む熱伝導層が厚み方向に複数形成された積層体を得る。ここで、プレ熱伝導層の折畳による積層体の形成は、特に制限されることなく、折畳機を用いてプレ熱伝導層を一定幅で折り畳むことにより行うことができる。また、プレ熱伝導層の捲回による積層体の形成は、特に制限されることなく、プレ熱伝導層の短手方向または長手方向に平行な軸の回りにプレ熱伝導層を捲き回すことにより行うことができる。また、プレ熱伝導層の積層による積層体の形成は、特に制限されることなく、積層装置を用いて行うことができる。例えば、シート積層装置(日機装社製、製品名「ハイスタッカー」)を用いれば、層間に空気が入り込むことを抑えることができるため、良好な積層体を効率的に得ることができる。
スライス工程では、積層体形成工程で得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる熱伝導層を得る。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導層の厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
刃部を備える1枚の刃は、刃先の表裏両側が切刃となっている「両刃」であってもよく、刃の表側のみが切刃となっている「片刃」であってもよい。
また、2枚の刃のうちの一方または両方の刃が両刃の場合、当該両刃は、対称刃であっても非対称刃であってもよい。
また、2枚の刃は、それぞれ、1段刃であっても2段刃であってもよい。
金属箔の厚みは、1μm超である限り、特に制限はないが、3μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、また、30μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。金属箔の厚みが3μm以上であれば、引張強度をより向上させることができる。また、金属箔の厚みが30μm以下であれば、シワの発生を抑制することができる。
なお、金属箔の厚みは、実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、金属箔の表面粗さRaは、JISB0601に準拠して、例えばナノスケールハイブリッド顕微鏡(VK-X250キーエンス社製)を用いて、表面粗さに対して、好ましい範囲を選択し算出することができる。
熱伝導層および金属箔の膜厚は、株式会社ミツトヨ社製デジマチックインジケーター(ID-C112X)を用いて(1/1000mm)の精度で測定した。測定結果を表1に示すが、表1の値は、熱伝導層上に金属箔を形成する(熱伝導シートを作製する)前の熱伝導層および金属箔の厚みである。
熱伝導層および金属箔の表面粗さRaは、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、形状解析レーザー顕微鏡、VK-X250シリーズ)を用いて測定した。20倍の倍率で測定し、任意に4線、長さ200μmを選択し、線粗さに対する表面粗さRaを求め、平均を算出した。結果を表1に示す。
熱伝導シートの熱抵抗値は、樹脂材料熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製)を用いて測定した。ここで、1.0cm2の略正方形に切り出した熱伝導シートを試料とし、試料温度50℃において、比較的低圧である0.30MPaを加えた時の熱抵抗値(℃/W)と、試料温度50℃において、比較的高圧である0.80MPaを加えた時の熱抵抗値(℃/W)をそれぞれ測定した。熱抵抗値が小さいほど熱伝導シートが熱伝導性に優れ、例えば、発熱体と放熱体との間に介在させて放熱装置とした際の放熱特性に優れていることを示す。さらに、下記評価基準により評価した。結果を表1に示す。
<<評価基準>>
A:0.15(℃/W)以下
B:0.15(℃/W)超0.18(℃/W)以下
C:0.18(℃/W)超0.21(℃/W)以下
D:0.21(℃/W)超
熱伝導シートをJIS K6251に準拠してダンベル2号にて打ち抜き成型し、試料片を作製した。引張試験機(島津製作所社製、商品名AG-IS20kN)を用い、試料片の両末端から1cmの箇所をつまみ、温度25℃で、試料片の表面から出る法線に対して垂直な方向に(MD方向、TD方向のそれぞれに)、500mm/分の引張速度で引っ張り、破断強度(引張強度)を測定した。結果を表1に示す。
<<評価基準>>
A:6.1(MPa)以上
B:3.1(MPa)以上6.1(MPa)未満
C:1.1(MPa)以上3.1(MPa)未満
D:1.1(MPa)未満
モジュール(平面部が5cm×8cm)の一方に熱伝導シートを張り付け、モジュールの他方にヒートシンクを組み込み、モジュール側のねじ穴2か所を3MPaのトルクで締め付けた。また、モジュール側にヒータをセットしモジュール側を加熱できるようにした。また、ヒートサイクル試験は、モジュール側を125℃に加熱して、30分間保持し、その後、ヒーターオフして、室温放置30分間を行うことを1サイクルとして実施した。前記を300サイクル実施することで、ヒートサイクル試験とし、はみだし性、潰れ性を評価した。結果を表1に示す。
<<評価基準>>
A:シートの潰れなし、はみだしなし
B:シートの潰れあり、はみだし少しあり
C:シートの潰れあり、はみだしあり、破れあり
D:シートの潰れあり、はみだしあり、千切れあり
熱伝導シートを3cm×5cmに打ち抜いて試験片を得た。得られた試験片を1mm径のスチール製の棒に斜め45°方向に巻きつけ、巻きつけたシートを再び広げて折れ目の状態を観察した。
<<評価基準>>
A:しわや折れ目が発生しない
B:しわが発生するが、PETフィルムに挟みローラーで伸ばせば消える。
C:しわが発生し、PETフィルムに挟みローラーで伸ばしても折り目が消えず残る
<繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製>
<<分散液の調製>>
繊維状の炭素ナノ構造体(SGCNT、日本ゼオン社製、比表面積:600m2/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN-20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、繊維状の炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
その後、上述で得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、繊維状炭素材料としての、シート状の繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を得た。
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG-101」)を70部と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC-2211」、ムーニー粘度:27ML1+4、100℃)を30部と、熱伝導性充填材である粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC100」、体積平均粒子径:250μm、電子顕微鏡観察における長軸方向の粒子径200μm、単軸方向の粒子径10~20μm)を50部と、繊維状炭素材料としての上述で得られた繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を0.5部とを、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.5mmのプレ熱伝導層を得た。
続いて、得られたプレ熱伝導層を縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断し、プレ熱伝導層の厚み方向に120枚積層し、さらに、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約60mmの積層体を得た。
その後、二次加圧されて得られた積層体の積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層されたプレ熱伝導層の主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横60mm×厚み0.080mm(80μm)の熱伝導層を得た。
金箔(株式会社ニラコ製、厚さ5μm、表面粗さRaが0.05μm)の両面に厚み0.080mm(80μm)の熱伝導層を貼り合せ、貼り合わせたものを離型PETフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:「エンブレット(登録商標)」、厚み50μm)に挟み、温度50℃、0.5MPaの圧力で、5分間保持し、熱伝導層を金箔の両面に密着させた。
実施例1において、金箔(株式会社ニラコ製、厚さ5μm、表面粗さRaが0.05μm)を、銅箔(株式会社ニラコ製、厚さ9μm、表面粗さRa0.08μm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、金属箔と熱伝導層との積層を行った。
実施例1において、金箔(株式会社ニラコ製、厚さ5μm、表面粗さRaが0.05μm)を、アルミ箔(株式会社ニラコ社製、厚さ13μm、表面粗さRa0.1μm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、金属箔と熱伝導層との積層を行った。
実施例3において、アルミ箔の上側の熱伝導層の厚さを80μmから50μmに変えたこと以外は、実施例3と同様にして、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、金属箔と熱伝導層との積層を行った。
実施例3において、熱伝導性充填材である粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC100」、体積平均粒子径:250μm、電子顕微鏡観察における長軸方向の粒子径200μm、単軸方向の粒子径10~20μm)50部と、繊維状炭素材料としての上述で得られた繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体0.5部とを添加したことに代えて、窒化ホウ素粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名「PT-110」)130部を添加したこと以外は、実施例3と同様にして、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、金属箔と熱伝導層との積層を行った。
実施例1において、金箔(株式会社ニラコ製、厚さ5μm、表面粗さRaが0.05μm)を、アルミ箔(株式会社今井金箔製、厚さ45.0μm、表面粗さRa1.2μm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、金属箔と熱伝導層との積層を行った。
実施例1において、金箔(株式会社ニラコ製、厚さ5μm、表面粗さRaが0.05μm)を用いずに、厚さ0.080mm(80μm)の熱伝導層2枚を重ね合せたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、熱伝導層との積層を行った。
実施例1において、「常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(G-101)70質量部および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(FC-2211)30質量部」を「常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(G-101)60質量部および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(FC-2211)40質量部」に変更し、金箔(株式会社ニラコ製、厚さ5μm、表面粗さRaが0.05μm)を、アルミ箔(株式会社今井金箔製、厚さ0.3μm、表面粗さRa0.04μm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、金属箔と熱伝導層との積層を行った。
実施例1において、「常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(G-101)70質量部および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(FC-2211)30質量部」を「常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(G-101)60質量部および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(FC-2211)40質量部」に変更し、金箔(株式会社ニラコ製、厚さ5μm、表面粗さRaが0.05μm)を、アルミ箔(株式会社今井金箔製、厚さ1.0μm、表面粗さRa0.18μm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製、組成物の調製、プレ熱伝導層の成形、積層体の形成、熱伝導層の成形、金属箔と熱伝導層との積層を行った。
また、表1の実施例6に示すように、金属箔の膜厚が45μmであり、金属箔の表面粗さ1.2μmである熱伝導シートは、引張強度がA判定であり、熱抵抗値が低荷重側でD判定であった。
また、表1の比較例1に示すように、金属箔を用いない熱伝導シートは、引張強度がD判定であり、ヒートサイクル試験がD判定であった。
また、表1の比較例2に示すように、金属箔の膜厚が0.3μmである熱伝導シートは、引張強度がD判定であり、ヒートサイクル試験がC判定であった。
さらに、表1の比較例3に示すように、金属箔の膜厚が1.0μmである熱伝導シートは、引張強度がD判定であり、ヒートサイクル試験がB判定であった。
ここで、各種機器および装置などとしては、特に限定されることなく、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器;ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器;液晶ディスプレイ(バックライトを含む)、プラズマディスプレイ、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクタ、時計等の表示機器;インクジェットプリンタ(インクヘッド)、電子写真装置(現像装置、定着装置、ヒートローラ、ヒートベルト)等の画像形成装置;半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、CPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品;リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(配線板にはプリント配線板なども含まれる);真空処理装置、半導体製造装置、表示機器製造装置等の製造装置;断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置;DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ハードディスクドライブ等のデータ記録機器;カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、CCD等の画像記録装置;充電装置、リチウムイオン電池、燃料電池等のバッテリー機器;などが挙げられる。
2 熱伝導層
3 熱伝導層
10 熱伝導シート
Claims (4)
- 金属箔と、金属箔の両面上に形成された熱伝導層とを有する熱伝導シートであって、
前記熱伝導層が熱可塑性樹脂および熱伝導性充填剤を含み、
前記金属箔の厚みが1μm超であり、
前記熱伝導層が、前記熱可塑性樹脂と、前記熱伝導性充填剤とを含む組成物をシート状に成形して得たプレ熱伝導層を厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレ熱伝導層を折畳または捲回して得た積層体を積層方向に対して45°以下の角度でスライスして得た積層体のスライス片よりなる、熱伝導シート。 - 前記金属箔が、金、銀、銅およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の熱伝導シート。
- 前記熱伝導シートの総厚みが100μm以上500μm以下である、請求項1または2に記載の熱伝導シート。
- 前記金属箔の厚みが30μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱伝導シート。
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