JP2021158274A - 熱伝導シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用時に千切れ難い熱伝導シートを提供する。【解決手段】樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含む熱伝導シートの製造方法であって、前記繊維状炭素材料および分散剤を含む分散液と、前記樹脂と、前記粒子状フィラーとを混合する工程を含み、前記分散液中における前記繊維状炭素材料の分散剤被覆率が30質量%以上160質量%以下である、熱伝導シートの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導シートおよび熱伝導シートの製造方法に関するものである。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
ここで、一般に、温度上昇による機能障害対策としては、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、熱伝導性が高いシート状の部材(熱伝導シート)を介して発熱体と放熱体とを密着させている。そのため、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用される熱伝導シートには、高い熱伝導性と、高い柔軟性とを有することが求められている。さらに、安全性などの観点から、熱伝導シートには、高い難燃性と、優れた耐久性とを有することも求められている。
例えば、特許文献1では、樹脂と粒子状炭素材料と繊維状炭素材料とを含む熱伝導シートが難燃性、耐久性、および熱伝導性を高いレベルで並立することができることが報告されている。
国際公開第2016/185688号
ここで、熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟み込んで加熱した状態で使用した際、加圧と減圧とのサイクルが繰り返されることにより、熱伝導シートのうち強い圧力が加わっている部分から千切れが生じ、発熱体と放熱体との間からはみ出すことがある。電子機器内において、はみ出した熱伝導シートは短絡の原因となり得るため、熱伝導シートは使用時に千切れ難いことが求められる。
しかしながら、上記従来技術の熱伝導シートは、使用時における千切れ難さの点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、使用時に千切れ難い熱伝導シートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、繊維状炭素材料の分散剤被覆率が所定の範囲内である分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合することにより、製造される熱伝導シートを使用時に千切れ難くすることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートの製造方法は、樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含む熱伝導シートの製造方法であって、前記繊維状炭素材料および分散剤を含む分散液と、前記樹脂と、前記粒子状フィラーとを混合する工程を含み、前記分散液中における前記繊維状炭素材料の分散剤被覆率が30質量%以上160質量%以下であることを特徴とする。このように、繊維状炭素材料の分散剤被覆率が所定の範囲内である分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合する工程を含む熱伝導シートの製造方法によれば、使用時に千切れ難い熱伝導シートを製造することができる。
なお、本発明において、分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記分散液中における前記繊維状炭素材料の含有量が、前記樹脂の使用量100質量部に対して、0.01質量部以上3.00質量部以下であることが好ましい。分散液中における繊維状炭素材料の含有量が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めつつ、熱伝導シートの熱抵抗を低減することができる。
また、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記粒子状フィラーの使用量と、前記分散液中における前記繊維状炭素材料の含有量との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)が、50以上20000以下であることが好ましい。粒子状フィラーの使用量と、分散液中における繊維状炭素材料の含有量との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
さらに、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記分散剤がアミン価を有することが好ましい。このように、分散剤がアミン価を有していれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
また、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記分散液中における前記分散剤と前記繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が0.5以上8以下であることが好ましい。分散液中における分散剤と繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
さらに、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記繊維状炭素材料のBET比表面積が400m2/g以上であることが好ましい。繊維状炭素材料のBET比表面積が上記所定値以上であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めると共に、熱伝導シートの熱伝導性を向上させることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートは、樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含む熱伝導シートであって、前記熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率が12W/m・K以上であり、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における前記熱伝導シートの厚みをT0.9とし、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における前記熱伝導シートの厚みをT0.1として、下記式(1):
C=100×{1−(T0.9/T0.1)}[%]・・・(1)
により算出される圧縮率Cが10%以下であることを特徴とする。このように、樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含み、厚み方向の熱伝導率が所定値以上であり、且つ、所定の方法で算出される圧縮率が所定値以下である熱伝導シートは、使用時に千切れ難い。
なお、本発明において、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートは、前記繊維状炭素材料の含有量が、前記樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上3.00質量部以下であることが好ましい。繊維状炭素材料の含有量が上記所定の範囲内であれば、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めつつ、熱伝導シートの熱抵抗を低減することができる。
また、本発明の熱伝導シートは、前記粒子状フィラーと、前記繊維状炭素材料との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)が、50以上20000以下であることがこのましい。粒子状フィラーと、繊維状炭素材料との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)が上記所定の範囲内であれば、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
さらに、本発明の熱伝導シートは、分散剤を更に含み、前記分散剤がアミン価を有することが好ましい。熱伝導シートにアミン価を有する分散剤が更に含まれていれば、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
また、本発明の熱伝導シートは、分散剤を更に含み、前記分散剤と前記繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が0.5以上8以下であることが好ましい。分散剤と繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が上記所定の範囲内であれば、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
さらに、本発明の熱伝導シートは、前記繊維状炭素材料のBET比表面積が400m2/g以上であることが好ましい。繊維状炭素材料のBET比表面積が上記所定値以上であれば、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めると共に、熱伝導シートの熱伝導性を向上させることができる。
本発明によれば、使用時に千切れ難い熱伝導シートを提供することができる。
本発明に従う熱伝導シートの製造方法の一例を用いて熱伝導シートを製造する過程を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の熱伝導シートは、例えば、発熱体に放熱体を取り付ける際に発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。即ち、本発明の熱伝導シートは、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。そして、本発明の熱伝導シートは、例えば本発明の熱伝導シートの製造方法を用いて製造することができる。
(熱伝導シートの製造方法)
本発明の熱伝導シートの製造方法は、樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含む熱伝導シートの製造方法であって、繊維状炭素材料および分散剤を含む分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合する工程(混合工程)を含み、分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率が所定の範囲内であることを特徴とする。本発明の熱伝導シートの製造方法によれば、使用時に千切れ難い熱伝導シートを製造することができる。
なお、本発明の熱伝導シートの製造方法は、上述した混合工程以外の工程(その他の工程)を更に含んでいてもよい。
<混合工程>
混合工程では、繊維状炭素材料の分散剤被覆率が所定の範囲内である分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合する。繊維状炭素材料の分散剤被覆率が所定の範囲内である分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合することで、製造される熱伝導シートを使用時に千切れ難くすることができる。
ここで、繊維状炭素材料の分散剤被覆率が所定の範囲内である分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合することで、製造される熱伝導シートを使用時において千切れ難くすることができる理由は明らかではないが、以下のように推察される。
まず、分散剤被覆率が所定の範囲内である繊維状炭素材料を含む分散液においては、繊維状炭素材料が良好に分散されている。よって、当該分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合することで、得られる混合物中においても繊維状炭素材料を良好に分散させることができる。これにより、製造される熱伝導シート中では、繊維状炭素材料が三次元網目構造を形成すると推察される。そして、繊維状炭素材料の三次元網目構造により熱伝導シートの強度が高まるため、例えば熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟み込み、加温と冷却とのサイクルおよび/または加圧と減圧とのサイクルを繰り返した場合であっても、熱伝導シートが潰れることを良好に抑制することができると考えられる。したがって、熱伝導シートを使用時においても千切れ難くすることができると推察される。
なお、混合工程においては、上述した分散液、樹脂、および粒子状フィラー以外の成分を更に混合してもよいものとする。
<<分散液>>
混合工程で使用する分散液は、繊維状炭素材料および分散剤を含む。ここで、分散液は、溶媒(分散媒)中に繊維状炭素材料が分散されてなる分散液である。そして、分散液に含まれる分散剤の少なくとも一部が、繊維状炭素材料に対して付着している。これにより、分散液中においては、繊維状炭素材料の表面の少なくとも一部が分散剤によって被覆されている。繊維状炭素材料の表面の少なくとも一部が分散剤により被覆されることで、繊維同士の絡み合いを抑制する効果が発生し、繊維状炭素材料は分散液中で良好に分散することができる。
〔繊維状炭素材料〕
繊維状炭素材料は、製造される熱伝導シートを使用時に千切れ難くすると共に、熱伝導シートに難燃性および熱伝導性などの特性を付与し得る材料である。
繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、および、それらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、上述した中でも、繊維状炭素材料としては、カーボンナノチューブなどの繊維状の炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、カーボンナノチューブを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。カーボンナノチューブなどの繊維状の炭素ナノ構造体を使用すれば、製造される熱伝導シートを使用時の千切れ難さを更に高めることができると共に、熱伝導シートの熱伝導性を向上させることができる。
−カーボンナノチューブを含む繊維状の炭素ナノ構造体−
ここで、繊維状炭素材料として好適に使用し得る、カーボンナノチューブを含む繊維状の炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)のみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状の炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
なお、繊維状の炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径が0.5nm以上であれば、繊維状の炭素ナノ構造体の凝集を抑制し、繊維状の炭素ナノ構造体の分散性を高めることで、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを一層高めることができる。一方、繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径が15nm以下であれば、製造される熱伝導シートの強度を高めることで、使用時の千切れ難さを一層高めることができる。また、繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径が15nm以下であれば、製造される熱伝導シートの熱伝導性を更に向上させることもできる。
また、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体は、平均長さが100μm以上5000μm以下であることが好ましい。CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体の平均長さが上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを一層高めると共に、熱伝導シートの熱伝導性を更に向上させることができる。
なお、「繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径」および「繊維状の炭素ナノ構造体の平均長さ」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状の炭素ナノ構造体100本の直径(外径)および長さを測定して求めることができる。そして、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体の平均直径および平均長さは、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、上述した性状を有するCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
ここで、スーパーグロース法により製造したCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体が含まれていてもよい。
−繊維状炭素材料のBET比表面積−
繊維状炭素材料のBET比表面積は、400m2/g以上であることが好ましく、600m2/g以上であることがより好ましく、800m2/g以上であることが更に好ましく、2500m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることがより好ましい。繊維状炭素材料のBET比表面積が400m2/g以上であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めると共に、熱伝導シートの熱伝導性を向上させることができる。また、繊維状炭素材料のBET比表面積が2500m2/g以下であれば、繊維状の炭素ナノ構造体の凝集を抑制し、繊維状の炭素ナノ構造体の分散性を高めることで、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
−繊維状炭素材料の濃度−
分散液中における繊維状炭素材料の濃度は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることが更に好ましく、0.20質量%以上であることが更に好ましく、2.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以下であることがより好ましく、0.50質量%以下であることが更に好ましい。分散液中における繊維状炭素材料の濃度が上記下限以上であれば、熱伝導シートの製造時に添加する分散液の量を少なくできるため、除去すべき溶媒の量を減らすことで、熱伝導シートの生産効率を高めることができる。一方、分散液中における繊維状炭素材料の濃度が上記上限以下であれば、分散液中に繊維状炭素材料を容易に分散させることができる。
−繊維状炭素材料の含有量−
混合工程で使用する分散液中の繊維状炭素材料の含有量は、後述の樹脂の使用量100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.10質量部以上であることが更に好ましく、3.00質量部以下であることが好ましく、2.00質量部以下であることがより好ましく、1.00質量部以下であることが更に好ましく、0.60質量部以下であることが一層好ましく、0.40質量部以下であることがより一層好ましい。分散液中の繊維状炭素材料の含有量が樹脂の使用量100質量部に対して上記下限以上であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。一方、分散液中の繊維状炭素材料の含有量が樹脂の使用量100質量部に対して上記上限以下であれば、製造される熱伝導シートの硬度が過度に高まることを抑制し、熱伝導シートと被着物(放熱体および発熱体など)とを良好に密着させることができるため、熱伝導シートの熱抵抗を低減することができる。
〔分散剤〕
分散剤は、上述した繊維状炭素材料に対して付着し、繊維状炭素材料の表面を被覆し、繊維同士に物理的な距離を持たせ繊維の絡み合いを抑制することで、分散液中において繊維状炭素材料を良好に分散させ得る成分である。
ここで、分散剤としては、本発明の所望の効果が得られる限り、特に限定されないが、繊維状炭素材料の分散性を向上させて、製造される熱伝導シートの千切れ難さを更に高める観点から、重合体を用いることが好ましく、アミン価を含有する重合体(例えば、塩基性基含有重合体など)を用いることがより好ましい。
そして、繊維状炭素材料の分散性を向上させて、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高める観点から、分散剤はアミン価を有することが好ましい。
分散剤のアミン価は、5mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上であることがより好ましく、50mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以下であることがより好ましい。分散剤のアミン価が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを一層高めることができる。
なお、本発明において、分散剤のアミン価は、水酸化カリウム(KOH)による滴定によって測定することができる。
また、繊維状炭素材料の分散性を向上させて、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高める観点から、分散剤は酸価を有することが好ましい。
分散剤の酸価は、3mgKOH/g以上であることが好ましく、5mgKOH/g以上であることがより好ましく、80mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましい。分散剤の酸価が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを一層高めることができる。
なお、本発明において、分散剤の酸価は、水酸化カリウム(KOH)による滴定によって測定することができる。
なお、分散剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ社製)、「BYK−2013」(ビックケミー社製)等を好適に用いることができる。
−繊維状炭素材料の分散剤被覆率−
そして、分散液中における上述した繊維状炭素材料の分散剤被覆率は、30質量%以上であることが必要であり、35質量%以上であることが好ましく、160質量%以下であることが必要であり、140質量%以下であることが好ましく、120質量%以下であることがより好ましく、100質量%以下であることが更に好ましい。分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率が30質量%未満である場合、繊維状炭素材料の分散性が不十分であるため、製造される熱伝導シートが使用時に千切れ易くなる。一方、分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率が30質量%以上であると、繊維状炭素材料の分散性が十分に高まるため、製造される熱伝導シートを使用時に千切れ難くすることができる。また、分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率が160質量%を超えると、繊維状炭素材料に付着し得る分散剤の量が飽和し、繊維状炭素材料に付着していない分散剤の量も過剰になるため、製造される熱伝導シートが過度に柔らかくなり、使用時に千切れ易くなる。一方、分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率が160質量%以下であれば、製造される熱伝導シートが過度に柔らかくなることを抑制できるため、熱伝導シートを使用時に千切れ難くすることができる。
なお、分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率は、繊維状炭素材料の種類および性状、分散剤の種類、分散液中における繊維状炭素材料および分散剤の濃度、分散剤と繊維状炭素材料との質量比、並びに、分散液の調製方法および調製条件などによって調整することができる。
−分散剤の濃度−
分散液中における分散剤の濃度は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.10質量%以上であることが更に好ましく、4.00質量%以下であることが好ましく、2.00質量%以下であることがより好ましく、0.50質量%以下であることが更に好ましい。分散液中における分散剤の濃度が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
−分散剤の含有量−
混合工程で使用する分散液中の分散剤の含有量は、後述の樹脂の使用量100質量部に対して、0.005質量部以上であることが好ましく、0.025質量部以上であることがより好ましく、0.050質量部以上であることが更に好ましく、2.000質量部以下であることが好ましく、1.500質量部以下であることがより好ましく、1.000質量部以下であることが更に好ましく、0.800質量部以下であることが一層好ましく、0.400質量部以下であることがより一層好ましい。分散液中の分散剤の含有量が樹脂の使用量100質量部に対して上記下限以上であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。一方、分散液中の分散剤の含有量が樹脂の使用量100質量部に対して上記上限以下であれば、製造される熱伝導シートが過度に柔らかくなることを抑制することで、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
−分散剤と繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)−
分散液中における分散剤と繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)は、0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.9以上であることが更に好ましく、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましい。分散液中における分散剤と繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が上記下限以上であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。一方、分散液中における分散剤と繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が上記上限以下であれば、製造される熱伝導シートが過度に柔らかくなることを抑制することで、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
〔溶媒〕
分散液に使用する溶媒(分散媒)としては、特に限定されることはなく、水および有機溶媒のいずれを用いることもできるが、有機溶媒を用いることが好ましい。溶媒として有機溶媒を用いれば、混合工程の際に分散液と樹脂とが良好に混ざり合い、得られる混合物において繊維状炭素材料が良好に分散するため、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
そして、有機溶媒としては、使用する樹脂の種類に応じて、例えば、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類;エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;などの極性有機溶媒、および、シクロヘキサン、トルエンを含む炭化水素系溶媒などの非極性有機溶媒を適宜選択して用いることができる。なお、これらの溶媒は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。
〔分散液の調製方法〕
分散液の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、上述した繊維状炭素材料と分散液と溶媒とを混合して粗分散液を調製した後、ジェットミルを備える装置を用いて、圧力を負荷しながら粗分散液をジェットミルの細管流路部に送り込む処理(サイクル)を1回または複数回実施する方法を用いることができる。
ここで、上記処理において、粗分散液を細管流路部に送り込む際に印加する圧力は、5MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることが更に好ましく、200MPa以下であることが好ましく、150MPa以下であることがより好ましく、120MPa以下であることが更に好ましい。粗分散液を細管流路部に送り込む際に印加する圧力が上記下限以上であれば、調製される分散液中において繊維状炭素材料の分散剤被覆率を高めて、繊維状炭素を良好に分散させることができる。一方、粗分散液を細管流路部に送り込む際に印加する圧力が上記以下であれば、繊維状炭素材料の切断を抑制することができる。
また、上記処理における処理温度は、特に限定されないが、例えば、0℃以上50℃以下とすることができる。
そして、細管流路部の目詰まりを防止しつつ、分散液中に炭素材料を良好に分散させる観点から、例えば、第1細管流路部を用いて上記処理を1回または複数回実施した後、第1細管流路部の直径よりも小さい直径を有する第2細管流路部を用いて上記処理を更に1回または複数回実施することができる。
ここで、第1細管流路部の直径は、特に限定されないが、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。第1細管流路部の直径が50μm以上であれば、細管流路部の目詰まりを良好に防止することができる。一方、第1細管流路部の直径が1000μm以下であれば、繊維状炭素を分散液中に更に良好に分散させることができる。
第2細管流路部の直径は、第1細管流路部の直径よりも小さければ、特に限定されないが、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、150μm未満であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。第2細管流路部の直径が50μm以上であれば、細管流路部の目詰まりを良好に防止することができる。一方、第2細管流路部の直径が150μm未満であれば、繊維状炭素を分散液中に更に良好に分散させることができる。
第1細管流路部を用いた処理の回数は、1回以上であればよく、2回以上が好ましく、3回以上がより好ましく、20回以下が好ましく、10回以下がより好ましく、5回以下が更に好ましい。第1細管流路部を用いた処理の回数が上記下限以上であれば、細管流路部の目詰まりを良好に防止することができる。一方、第1細管流路部を用いた処理の回数が上記上限以下であれば、繊維状炭素材料の切断を抑制することができる。
また、第2細管流路部を用いた処理の回数は、0回であってもよく、1回以上が好ましく、2回以上がより好ましく、3回以上が更に好ましく、20回以下が好ましく、10回以下がより好ましく、5回以下が更に好ましい。第2細管流路部を用いた処理の回数が上記下限以上であれば、分散液中に炭素材料を更に良好に分散させることができる。一方、第2細管流路部を用いた処理の回数が上記上限以下であれば、繊維状炭素材料の切断を抑制することができる。
なお、ジェットミルを備える装置としては、例えば、「ナノヴェイタ」(吉田機械興業社製)、「BERYU SYSTEM PRO」(美粒社製)、超高圧湿式微粒化装置(吉田工業社製)、「ナノマイザー」(ナノマイザー社製)、「スターバースト」(スギノマシン社製)等を用いることができる。
<<樹脂>>
樹脂としては、特に限定されず、任意の樹脂を用いることができる。例えば、樹脂としては、液状樹脂および固体樹脂のいずれも用いることができる。なお、樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さの向上と、熱抵抗の低減とを両立させる観点から、樹脂としては、液状樹脂と固体樹脂の双方を用いることが好ましい。
〔液状樹脂〕
そして、液状樹脂としては、常温常圧下で液体である限り、特に限定されることなく、例えば、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂を用いることができる。
なお、本発明において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
液状樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、液状樹脂としては、シリコーン樹脂およびフッ素樹脂が好ましく、フッ素樹脂がより好ましい。液状樹脂として、シリコーン樹脂とフッ素樹脂の少なくとも一方を用いれば、熱伝導シートの難燃性を向上させることができる。また、液状樹脂としてフッ素樹脂を用いれば、得られる熱伝導シートの耐熱性、耐油性、および耐薬品性を向上させることができる。
〔固体樹脂〕
固体樹脂としては、常温常圧下で液体でない限り、特に限定されることなく、例えば、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂等を用いることができる。
−常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂−
常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン−プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ニトリルゴム);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン−イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において、ゴムは、「樹脂」に含まれるものとする。
−常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂−
常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔液状樹脂の含有割合〕
樹脂中における液状樹脂の含有割合(換言すると、固形樹脂と液状樹脂の合計中に占める液状樹脂の割合)は、特に限定されないが、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが特に好ましく、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。樹脂中に占める液状樹脂の含有割合が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを一層高めることができる。
<<粒子状フィラー>>
粒子状フィラーとしては、特に限定されることはなく、例えば、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子および粒子状炭素材料などを用いることができる。
なお、これらの粒子状フィラーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。
そして、製造される熱伝導シートの熱伝導性を高める観点から、粒子状フィラーとしては粒子状炭素材料を用いることが好ましい。
〔粒子状炭素材料〕
粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、負極活物質、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、粒子状炭素材料としては、膨張化黒鉛を用いることが好ましい。膨張化黒鉛を用いることで、製造される熱伝導シートの熱伝導性を更に高めることができる。ここで、膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
〔粒子状フィラーの性状〕
粒子状フィラーの体積平均粒子径は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることが更に好ましく、180μm以下であることが好ましく、160μm以下であることがより好ましく、140μm以下であることが更に好ましい。粒子状フィラーの体積平均粒子径が上記下限以上であれば、製造される熱伝導シート中で粒子状フィラーの伝熱パスが良好に形成可能であるためと推察されるが、熱伝導シートの熱伝導性を高めることができる。一方、粒子状フィラーの体積平均粒子径が上記上限以下であれば、製造される熱伝導シートの厚み精度を十分に高く確保することができる。また、粒子状フィラーの体積平均粒子径が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠して測定することができ、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を表す。
また、粒子状フィラーは、アスペクト比(長径/短径)が、1超10以下であることが好ましく、1超5以下であることがより好ましい。粒子状フィラーのアスペクト比が1超10以下であれば、熱伝導シート中で粒子状フィラーが厚み方向に良好に配向し易くなるためと推察されるが、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を高めることができる。
なお、本発明において、「アスペクト比」は、粒子状フィラーをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、任意の50個の粒子状フィラーについて、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。なお、上記において、例えば粒子状フィラーが鱗片形状である場合、「長径」は当該鱗片形状が有する主面の長軸の方向の長さを指し、「短径」は当該主面の長軸に直交する方向の長さを指すものとする。
〔粒子状フィラーの使用量〕
混合工程における粒子状フィラーの使用量は、樹脂の使用量100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることが更に好ましく、150質量部以下であることが好ましく、120質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが更に好ましい。粒子状フィラーの使用量が樹脂の使用量100質量部に対して上記下限以上であれば、製造される熱伝導シートの熱伝導性を高めることができる。一方、粒子状フィラーの使用量が樹脂の使用量100質量部に対して上記上限以下であれば、製造される熱伝導シートの柔らかさを十分に保つことができ、結果として熱抵抗を下げることができる。また、粒子状フィラーの使用量が樹脂の使用量100質量部に対して上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
〔粒子状フィラーと繊維状炭素材料との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)〕
また、混合工程における粒子状フィラーの使用量と、上述した分散液中における繊維状炭素材料の含有量との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)は、50以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましく、100以上であることが更に好ましく、150以上であることが一層好ましく、200以上であることがより一層好ましく、20000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましく、3000以下であることが更に好ましく、1600以下であることが一層好ましく、800以下であることがより一層好ましい。混合工程における粒子状フィラーの使用量と、分散液中における繊維状炭素材料の含有量との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
また、混合工程における粒子状フィラーの使用量と、上述した分散液中における繊維状炭素材料の含有量との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)は、100以下であってもよい。
<<その他の成分>>
混合工程においては、必要に応じて、上述した分散液、樹脂、および粒子状フィラー以外の成分(その他の成分)を更に混合してもよいものとする。
その他の成分としては、熱伝導シートの形成に使用され得る成分であれば、特に限定されず、例えば、セバシン酸エステルといった脂肪酸エステルなどの可塑剤;赤リン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤などの難燃剤;ウレタンアクリレートなどの靭性改良剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの吸湿剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物などの接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などの濡れ性向上剤;無機イオン交換体などのイオントラップ剤;等が挙げられる。なお、添加剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、混合工程におけるその他の成分の使用量は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で適宜調整することができる。
<<混合方法>>
上述した繊維状炭素材料および分散剤を含む分散液と、樹脂と、粒子状フィラーと、必要に応じて添加されるその他の成分との混合は、特に限定されることなく、ホバート、攪拌羽、ミキサー等の既知の混合装置を用いて行うことができる。
そして、通常、上記混合は加温しながら実施する。加温しながら混合を実施することで、分散液中に含まれている溶媒(分散媒)を除去することができる。混合温度は、分散液に含まれる溶媒の種類に応じて適宜設定することができ、例えば70℃以上100℃以下とすることができる。また、溶媒の除去は減圧状態で実施してもよい。
また、混合時間は、例えば5分以上60分以下とすることができる。
なお、混合工程で得られた混合物は、必要に応じて、脱泡および解砕などの処理を施されてもよいものとする。
<その他の工程>
本発明の熱伝導シートの製造方法は、上述した混合工程以外の工程を更に含んでいてもよい。
例えば、本発明の熱伝導シートの製造方法は、その他の工程として、(1)混合工程で得られた混合物をシート状に成形して1次シートを得る工程(1次シート成形工程)、(2)得られた1次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレ熱伝導シートを折畳または捲回して、積層体を得る工程(積層体形成工程)、および、(3)得られた積層体をスライスする工程(スライス工程)を更に含むことが好ましい。
<<1次シート成形工程>>
1次シート成形工程では、混合工程で得られた混合物をシート状に成形して1次シートを得る。
上記混合物は、通常、加圧(一次加圧)されることによりシート状に成形される。ここで、混合物をシート状に成形する方法としては、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いることができる。中でも、圧延成形を用いることが好ましく、保護フィルムに混合物を挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形する方法を用いることがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃以下とすることができる。
〔1次シートの性状〕
1次シートでは、粒子状フィラーが主として面内方向に配向しているため、特に面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
なお、1次シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
1次シートの引張強度は、0.52MPa以上であることが好ましく、0.54MPa以上であることがより好ましく、0.56MPa以上であることが更に好ましく、1.00MPa以下であることが好ましく、0.90MPa以下であることがより好ましく、0.85MPa以下であることが更に好ましい。1次シートの引張強度が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
なお、1次シートの引張強度は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、1次シートの破断伸びは、2.60mm以上であることが好ましく、2.70mm以上であることがより好ましく、2.75mm以上であることが更に好ましく、3.15mm以下であることが好ましく、3.10mm以下であることがより好ましく、3.05mm以下であることが更に好ましい。1次シートの破断伸びが上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
なお、1次シートの破断伸びは、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
<<積層体形成工程>>
積層体形成工程では、1次シート成形工程で得られた1次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、1次シートを折畳または捲回して、積層体を得る。
ここで、積層体形成工程で得られる積層体において、1次シートの表面同士の接着力をより高めて、積層体の層間剥離を十分に抑制する場合には、1次シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層体形成工程を行ってもよいし、1次シートの表面に接着剤を塗布した状態またはプレ熱伝導シートの表面に接着層を設けた状態で積層体形成工程を行ってもよいし、1次シートを積層させた積層体を積層方向に更にプレス(二次加圧)してもよい。
なお、層間剥離を効率的に抑制する観点からは、得られた積層体を積層方向に二次加圧することが好ましい。そして、二次加圧の条件は、特に限定されず、積層方向への圧力0.05MPa以上0.5MPa以下、温度80℃以上170℃以下で、加圧時間10秒以上30分間以下とすることができる。
そして、1次シートを積層、折畳または捲回して得られる積層体では、粒子状フィラーが積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。
〔積層体の性状〕
積層体の25℃におけるアスカーC硬度は、70以上であることが好ましく、75以上であることがより好ましく、80以上であることが更に好ましく、100以下であることが好ましく、95以下であることがより好ましく、90以下であることが更に好ましい。積層体の25℃におけるアスカーC硬度が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
また、積層体の70℃におけるアスカーC硬度は、20以上であることが好ましく、25以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましく、55以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、45以下であることが更に好ましい。積層体の70℃におけるアスカーC硬度が上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートの使用時の千切れ難さを更に高めることができる。
なお、積層体のアスカーC硬度は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
<<スライス工程>>
スライス工程では、積層体形成工程で得られた積層体をスライスする。これにより、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートが得られる。
積層体をスライスする方法は、特に限定されることはなく、例えば、刃を備える切断具を用いたスライス方法を用いることができる。ここで、刃の形状は、特に限定されず、片刃、両刃、非対称刃いずれでもよいが、得られる熱伝導シートの厚み精度を十分に確保する観点からは、両刃であることが好ましい。また、刃の材質は特に限定されないが、金属製であることが好ましい。このような刃を備える切断具としては、例えば、カッター、カンナ、スライサー等が挙げられる。
そして、積層体をスライスする角度は、1次シートが積層される方向(以下、単に「積層方向」と称することがある。)に対して45°以下であることが好ましく、積層方向に対して30°以下であることがより好ましく、積層方向に対して15°以下であることが更に好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが特に好ましい。ここで、上述した1次シートを厚み方向に積層してなる積層体の内部においては、粒子状フィラーが積層方向に略直交する方向に配向していると推察される。そして、このような積層体を積層方向に対して45°以下の角度でスライスすれば、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を向上させることができる。なお、積層体を積層方向に対して上記所定値以下の角度でスライスすることで、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性が向上する理由は、得られる熱伝導シート中で粒子状フィラーが厚み方向(即ち、1次シートの積層方向に略直交する方向)に配向しつつ、粒子状フィラーの接触によって形成される伝熱経路が、主に熱伝導シートの厚み方向に良好に形成されるためと推察される。
また、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際の積層体の温度は−20℃以上80℃以下とすることが好ましく、−10℃以上50℃以下とすることがより好ましい。
さらに、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際に積層体を加圧する等して固定することが好ましい。このような加圧において、圧力を加える面は特に限定されない。例えば、積層体を積層方向に0.05MPa以上0.5MPa以下の圧力を負荷しながらスライスすることができる。
なお、スライス工程で得られた熱伝導シートにおいては、粒子状フィラーが面内方向に略直交する方向(即ち、熱伝導シートの厚み方向)に配向している。したがって、熱伝導シートは、特に厚み方向において優れた熱伝導性を発揮することができると推察される。
(熱伝導シート)
本発明の熱伝導シートは、樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含み、厚み方向の熱伝導率が所定値以上であり、且つ、所定の方法で算出される圧縮率が所定値以下であることを特徴とする。そして、本発明の熱伝導シートは、使用時に千切れ難い。例えば、本発明の熱伝導シートは、発熱体と放熱体との間に挟み込まれた状態で、加温と冷却とのサイクルおよび/または加圧と減圧とのサイクルが繰り返された場合であっても、千切れが発生し難い。したがって、本発明の熱伝導シートは耐久性に優れている。
そして、本発明の熱伝導シートは、上述した本発明の熱伝導シートの製造方法により、効率的に製造することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートに含まれる樹脂、粒子状フィラー、および繊維状炭素材料としては、例えば、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した樹脂および粒子状フィラー、並びに分散液に含まれる繊維状炭素材料を用いることができる。
なお、熱伝導シート中の樹脂100質量部に対する粒子状フィラーの含有量の好ましい範囲は、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した混合工程における樹脂の使用量100質量部に対する粒子状フィラーの使用量の好ましい範囲と同じ範囲とすることができる。
また、熱伝導シート中の樹脂100質量部に対する繊維状炭素材料の含有量の好ましい範囲は、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した混合工程における樹脂の使用量100質量部に対する分散液中の繊維状炭素材料の含有量の好ましい範囲と同じ範囲とすることができる。
さらに、熱伝導シート中の粒子状フィラーと繊維状炭素材料との質量比の好ましい範囲(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)は、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した混合工程における粒子状フィラーの使用量と分散液中における繊維状炭素材料の含有量との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)の好ましい範囲と同じ範囲とすることができる。
そして、本発明の熱伝導シートは、分散剤を更に含んでいてもよい。分散剤としては、例えば、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した分散液に含まれる分散剤を用いることができる。
なお、熱伝導シート中の樹脂100質量部に対する分散剤の含有量の好ましい範囲は、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した混合工程における樹脂の使用量100質量部に対する分散液中の分散剤の含有量の好ましい範囲と同じ範囲とすることができる。
また、熱伝導シート中の分散剤と繊維状炭素材料との質量比の好ましい範囲(分散剤/繊維状炭素材料)は、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した混合工程で使用する分散液中における分散剤と繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)の好ましい範囲と同じ範囲とすることができる。
なお、熱伝導シート中における分散剤の含有量は、溶解度の差を利用した抽出や、燃焼温度の差を利用した熱重量測定(TGA測定)などにより測定することができる。
本発明の熱伝導シートは、上述した樹脂、粒子状フィラー、繊維状炭素材、および分散剤以外の成分(その他の成分)を更に含んでいてもよい。熱伝導シートに含まれ得るその他の成分としては、例えば、「熱伝導シートの製造方法」の項で上述した混合工程において混合し得るその他の成分を用いることができる。
なお、熱伝導シート中におけるその他の成分の含有量は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で適宜調整することができる。
<熱伝導率>
熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率は、12W/m・K以上であることが必要であり、13W/m・K以上であることが好ましく、15W/m・K以上であることがより好ましい。熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率が12W/m・K未満である場合、熱伝導シートは厚み方向において十分な熱伝導性を発揮することができない。一方、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率が12W/m・K以上であると、熱伝導シートは厚み方向において十分な熱伝導性を発揮することができる。
また、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率の値の上限は、特に限定されないが、例えば、45W/m・K以下である。
なお、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率は、熱伝導シートに含まれる材料および成分(樹脂、粒子状フィラー、繊維状炭素材料、分散剤等)の種類および割合、並びに、熱伝導シートの製造方法および製造条件などにより調整することができる。
<圧縮率>
厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における熱伝導シートの厚みをT0.9とし、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における熱伝導シートの厚みをT0.1として、下記式(1):
C=100×{1−(T0.9/T0.1)}[%]・・・(1)
により算出される圧縮率Cは、10%以下であることが必要であり、9%以下であることが好ましく、7%以下であることが更に好ましい。熱伝導シートの圧縮率Cが10%を超えると、熱伝導シートは使用時に千切れ易くなる。一方、熱伝導シートの圧縮率Cが10%以下であると、熱伝導シートを使用時に千切れ難くすることができる。
また、熱伝導シートの圧縮率Cの下限は、特に限定されないが、例えば、3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。熱伝導シートの圧縮率Cが上記下限以上であれば、熱伝導シートと被着物(放熱体および発熱体など)とを良好に密着させることができるため、熱伝導シートの熱抵抗を低減することができる。
なお、熱伝導シートの圧縮率Cは、熱伝導シートに含まれる材料および成分(樹脂、粒子状フィラー、繊維状炭素材料、分散剤等)の種類および割合、並びに、熱伝導シートの製造方法および製造条件(例えば、使用する分散液中における繊維状炭素材料の分散剤被覆率など)により調整することができる。
<熱抵抗>
熱伝導シートを厚み方向に加圧した状態における熱抵抗は、特に限定されないが、例えば、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗は、0.25℃/W以下であることが好ましく、0.20℃/W以下であることがより好ましく、0.15℃/W以下であることが更に好ましい。熱伝導シートを厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における熱抵抗が上記所定の値以下であれば、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を高めることができる。
また、厚み方向に0.5MPaで加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗は、0.15℃/W以下であることが好ましく、0.12℃/W以下であることがより好ましく、0.10℃/W以下であることが更に好ましい。厚み方向に0.5MPaで加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗が上記所定の値以下であれば、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を高めることができる。
さらに、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗は、0.15℃/W以下であることが好ましく、0.12℃/W以下であることがより好ましく、0.10℃/W以下であることが更に好ましい。厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗が上記所定の値以下であれば、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を高めることができる。
なお、厚み方向に加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
<厚み>
本発明の熱伝導シートの厚みは、特に限定されないが、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることがより好ましい。熱伝導シートの厚みが上記上限以下であれば、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を高めることができる。一方、熱伝導シートの厚みが上記下限以上であれば、熱伝導シートが過度に薄膜化しないため、熱伝導シートの難燃性、強度、およびハンドリング性を十分に高く確保することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
製造例、実施例および比較例において、分散液中のCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率、1次シートの引張強度および破断伸び、積層体のアスカーC硬度、並びに、熱伝導シートの熱抵抗、厚み、圧縮率、熱伝導率、および使用時の千切れ難さは、それぞれ以下の方法により測定または評価した。
<CNTの分散剤被覆率>
各製造例で製造したCNT分散液から濾過により任意の量のCNTを取り出し、濾紙で包んだ。上記濾紙からCNTが出ないように上記濾紙の端を折り込み、さらにその周囲を金属クリップで封止した。このようにして得られた包装体を、過剰量の溶媒(メチルエチルケトン)に12時間浸した。これにより、CNTと相互作用を有しない分散剤を溶解除去した。
その後、上記包装体を溶媒から取り出し、真空乾燥させることにより、上記CNTを単離した。なお、取り出す際に、上記と同じ溶媒を用いて適宜洗浄作業を行った。
このようにして単離されたCNTを、空気雰囲気下、30〜600℃の温度範囲において、10℃/分の昇温速度により熱重量測定(TGA測定)を行った。このとき、CNTのうち、500℃に昇温されるまでに分解した分解物の量をA質量%とし、500℃まで昇温しても分解しなかった未分解物の量をB質量%として、下記の式により、CNT分散液中におけるCNTの分散剤被覆率を求めた。
分散剤被覆率(質量%)=100×A/B
なお、上記の単離されたCNTは、分散剤により被覆された状態のCNTであり、当該CNTのうち、500℃に昇温されるまでに分解した分解物の量(A質量%)はCNTを被覆していた分散剤の量を表し、500℃まで昇温しても分解しなかった未分解物の量は、分散剤が付着していない状態のCNTの量(B質量%)を表す。
<引張強度および破断伸び>
各実施例および比較例で製造した1次シートを、JIS K6251に準拠してダンベル2号にて打ち抜き成型し、試料片を作製した。引張試験機(株式会社島津製作所製、製品名「AG−IS20kN」)を用い、試料片の両末端から1cmの箇所をつまみ、温度23℃で、試料片の表面から出る法線に対して垂直な方向に、500mm/分の引張速度で引っ張り、破断強度(引張強度)および破断伸びを測定した。
<積層体のアスカーC硬度>
各実施例および比較例で製造した積層体のアスカーC硬度の測定は、日本ゴム協会規格(SRIS)のアスカーC法に準拠し、硬度計(高分子計器社製、製品名「ASKER CL−150LJ」を使用して温度25℃および温度70℃のそれぞれの条件で行った。具体的には、得られた積層体を温度25℃または70℃に保たれた恒温室内に48時間以上静置して、試験体とした。次に、積層面から針先の距離が2cmになるように硬度計を設置し、ダンパーを降ろして、積層体とダンパーとを衝突させた。当該衝突から60秒後の積層体のアスカーC硬度を、硬度計(高分子計器社製、商品名「ASKER CL−150LJ」)を用いて2回測定し、測定結果の平均値を採用した。
<熱抵抗、厚みおよび圧縮率>
各実施例および比較例で製造した熱伝導シートの厚み方向に加圧した状態における熱抵抗および厚みは、熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて測定した。ここで、1cm角の略正方形に切り出した熱伝導シートを試料とし、試料温度50℃において、0.1MPa、0.5MPaおよび0.9MPaの圧力を加えた状態における熱伝導シートの熱抵抗(℃/W)および厚みを測定した。熱抵抗の値が小さいほど、熱伝導シートが熱伝導性に優れ、例えば、発熱体と放熱体との間に介在させた際の放熱特性に優れていることを示す。
また、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における熱伝導シートの厚みをT0.9とし、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における熱伝導シートの厚みをT0.1として、下記式(1):
C=100×[1−(T0.9/T0.1)][%]・・・(1)
により算出される熱伝導シートの圧縮率(%)を求めた。
<熱伝導率>
各実施例および比較例で製造した熱伝導シートについて、厚み方向の熱拡散率α(m2/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)および比重ρ(g/m3)を以下の方法で測定した。
[熱拡散率α]
熱拡散・熱伝導率測定装置(株式会社アイフェイズ製、製品名「アイフェイズ・モバイル 1u」)を使用して、ISO 22007−3の規定に基づき測定した。
[定圧比熱Cp]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下、温度25℃における比熱を測定した。
[比重ρ(密度)]
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER−H」)を用いて測定した。
そして、得られた測定値を用いて下記式(I):
λ=α×Cp×ρ ・・・(I)
により、温度25℃における熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。
<熱伝導シートの使用時の千切れ難さ>
各実施例および比較例で製造した熱伝導シートを10mm×10mmにサイジングし、120℃に熱した第1金属板(発熱体)の上に設置した。
熱伝導シートの上に、12mm×12mmにサイジングした平滑な第2金属板(放熱体)を、熱伝導シートと中心が重なるように乗せ、上から250Nの圧力を10秒かけて10秒除荷することを1サイクルとし、これを50サイクル繰り返すサイクル試験を実施した。
上記サイクル試験終了後の熱伝導シートを真上から観察した時の第2金属板からの熱伝導シートのはみ出し具合から、熱伝導シートの使用時の千切れ難さを下記の基準で評価した。なお、熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟んで加熱した状態で、加圧・減圧のサイクルを繰り返すと、千切れ易い熱伝導シートにおいては、特に強い圧力が加わっている部分から千切れが発生し、発熱体および放熱体の間からはみ出す現象が起こる。したがって、熱伝導シートのはみ出している部分が小さいほど、熱伝導シートは使用時に千切れ難いことを示す。
A:少なくとも1辺が0mm以上1mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
B:少なくとも1辺が1mm以上3mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
C:少なくとも1辺が3mm以上6mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
(製造例1)
メチルエチルケトン溶媒中に濃度が0.2%になるように繊維状炭素材料としての単層CNT(ゼオンナノテクノロジー社製、製品名「ZEONANO SG101」、SGCNT、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m2/g)を添加し、CNTの添加量に対して1当量(同量)の分散剤としての塩基性基含有重合体(製品名「アジスパーPB821」、味の素ファインテクノ社製、アミン価:10mgKOH/g、酸価:17mgKOH/g)を更に添加し、マグネチックスターラーで1時間撹拌し、粗分散液を得た。
次いで、直径170μmの細管流路部を有する高圧分散処理部(ジェットミル)に連結した多段圧力制御装置(多段降圧器)を有する多段降圧型高圧ホモジナイザー(株式会社美粒製、「BERYU SYSTEM PRO」)に上記粗分散液を充填し、温度25℃にて、断続的かつ瞬間的に100MPaの圧力を粗分散液に負荷し、細管流路に送り込むことを1サイクルとし、これを3サイクル繰り返した。
次いで先の細管流路部を直径90μmの細管流路部に交換し、同様の分散処理を1サイクルとした。これを3サイクル繰り返し、CNTの分散液(1)を得た。
上述した方法に従って測定したところ、得られたCNT分散液(1)中におけるCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率は72%であった。
(製造例2)
分散剤としての塩基性基含有重合体の添加量をCNTの添加量に対して1当量(同量)から5当量に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、CNT分散液(2)を得た。
上述した方法に従って測定したところ、得られたCNT分散液(2)中におけるCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率は138%であった。
(製造例3)
直径170μmの細管流路部を用いた分散処理を3サイクル実施したのみで、直径90μmの細管流路部を用いた分散処理を3サイクル実施しなかったこと以外は、製造例1と同様にして、CNT分散液(3)を得た。
上述した方法に従って測定したところ、得られたCNT分散液(3)中におけるCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率は37%であった。
(製造例4)
分散剤としての塩基性基含有重合体の添加量をCNTの添加量に対して1当量(同量)から8当量に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、CNT分散液(4)を得た。
上述した方法に従って測定したところ、得られたCNT分散液(4)中におけるCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率は152%であった。
(製造例5)
分散剤としての塩基性基含有重合体を添加せず、また、直径170μmの細管流路部を用いた分散処理を3サイクル実施したのみで、直径90μmの細管流路部を用いた分散処理を3サイクル実施しなかったこと以外は、製造例1と同様にして、CNT分散液(5)を得た。
上述した方法に従って測定したところ、得られたCNT分散液(5)中におけるCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率は0%であった。
(製造例6)
繊維状炭素材料をSGCNT(単層CNT)から多層CNT(Nanocyl S.A.社製、商品名「ナノシルNC7000」、平均直径:9.5nm、平均長さ:1.5μm、BET比表面積:216m2/g)に変更すると共に、分散剤としての塩基性基含有重合体の添加量をCNTの添加量に対して1当量(同量)から5当量に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、CNT分散液(6)を得た。
上述した方法に従って測定したところ、得られたCNT分散液(6)中におけるCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率は28%であった。
(製造例7)
分散剤としての塩基性基含有重合体の添加量をCNTの添加量に対して1当量(同量)から10当量に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、CNT分散液(7)を得た。
上述した方法に従って測定したところ、得られたCNT分散液(7)中におけるCNT(繊維状炭素材料)の分散剤被覆率は170%であった。
(実施例1)
<混合工程>
製造例1で製造したCNT分散液(1)100部(CNT換算で0.2部)と、粒子状フィラーとしての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC−300」、体積平均粒子径:50μm)50部と、樹脂としての常温で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)70部および常温で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」)30部とを、ホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT型」、容量:5L)で80℃に加温し、CNT分散液に含まれていた溶媒(メチルエチルケトン)を除去しながら30分間混合した。得られた混合物をワンダークラッシュミル(大阪ケミカル株式会社製、商品名「D3V−10」)に投入して、1分間解砕した。
<1次シート成形工程>
解砕後の混合物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(1次加圧)することにより、厚みが0.5mmの1次シートを得た。上述した方法に従って、得られた1次シートの引張強度および破断伸びを測定した。結果を表1に示す。
<積層体形成工程>
得られた1次シートを縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断し、1次シートの厚み方向に120枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約60mmの積層体(ブロック体)を得た。そして、得られた積層体のアスカーC硬度を測定した。結果を表1に示す。
<スライス工程>
その後、スライスに必要な長さを残して、得られた積層体の上面の全体を金属板で押え、積層方向に(即ち、上から)0.1MPaの圧力をかけて、積層体を固定した。なお、積層体の側面、背面の固定は行わなかった。このとき、積層体の温度は25℃であった。
次いで、サーボプレス機(放電精密加工研究所製)のプレス部分に、図1に示す形状の刃10(両刃、刃角2θ:20°、刃部の最大厚み:3.5mm、材質:超鋼、ロックウェル硬度:91.5、刃面のシリコン加工:なし、全長:200mm)を取り付け、スライス幅:100μm、スライス速度:200mm/秒の条件で積層体20の積層方向(換言すれば、積層された1次シートの主面の法線に一致する方向に)にスライスして、縦150mm×横80mmの主面を有する熱伝導シート30を得た。なお、スライス時の刃の姿勢は、図1に示す角度αが10°になり、刃面11の延在方向が積層体20のスライス面21と平行な方向になる姿勢とした。
そして、得られた熱伝導シートについて、上述した方法に従って、熱抵抗、厚み、圧縮率、熱伝導率、および使用時の千切れ難さを測定または評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の混合工程において、CNTの分散剤被覆率が72%であるCNT分散液(1)に代えて、CNTの分散剤被覆率が138%であるCNT分散液(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の混合工程において、CNTの分散剤被覆率が72%であるCNT分散液(1)に代えて、CNTの分散剤被覆率が37%であるCNT分散液(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の混合工程において、CNTの分散剤被覆率が72%であるCNT分散液(1)に代えて、CNTの分散剤被覆率が152%であるCNT分散液(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の混合工程において、CNT分散液(1)の使用量を100質量部から250質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の混合工程において、CNTの分散剤被覆率が72%であるCNT分散液(1)に代えて、CNTの分散剤被覆率が0%であるCNT分散液(5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の混合工程において、CNTの分散剤被覆率が72%であるCNT分散液(1)に代えて、CNTの分散剤被覆率が28%であるCNT分散液(6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1の混合工程において、CNT分散液(1)を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1の混合工程において、CNTの分散剤被覆率が72%であるCNT分散液(1)に代えて、CNTの分散剤被覆率が170%であるCNT分散液(7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1次シート、積層体、および熱伝導シートを作製し、各種の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021158274
表1より、繊維状炭素材料(CNT)の分散剤被覆率が所定の範囲内である分散液と、樹脂と、粒子状フィラーとを混合する工程を含む実施例1〜5の熱伝導シートの製造方法によれば、使用時に千切れ難い熱伝導シートを製造できることがわかる。
一方、分散剤を含まない(即ち、繊維状炭素材料(CNT)の分散剤被覆率が0質量%である)分散液を用いた比較例1の熱伝導シートの製造方法により製造された熱伝導シートは、使用時に千切れ易いことがわかる。
また、繊維状炭素材料(CNT)の分散剤被覆率が所定の範囲に満たない分散液を使用した比較例2の熱伝導シートの製造方法により製造された熱伝導シートも、使用時に千切れ易いことがわかる。
さらに、繊維状炭素材料(CNT)および分散剤を含む分散液を使用しなかった比較例3の熱伝導シートの製造方法により製造された熱伝導シートも、使用時に千切れ易いことがわかる。
また、繊維状炭素材料(CNT)の分散剤被覆率が所定の範囲を超える分散液を使用した比較例4の熱伝導シートの製造方法により製造された熱伝導シートも、使用時に千切れ易いことがわかる。
本発明によれば、使用時に千切れ難い熱伝導シートを提供することができる。
10 刃
11 刃面
20 積層体
21 スライス面
30 熱伝導シート

Claims (12)

  1. 樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含む熱伝導シートの製造方法であって、
    前記繊維状炭素材料および分散剤を含む分散液と、前記樹脂と、前記粒子状フィラーとを混合する工程を含み、
    前記分散液中における前記繊維状炭素材料の分散剤被覆率が30質量%以上160質量%以下である、熱伝導シートの製造方法。
  2. 前記分散液中における前記繊維状炭素材料の含有量が、前記樹脂の使用量100質量部に対して、0.01質量部以上3.00質量部以下である、請求項1に記載の熱伝導シートの製造方法。
  3. 前記粒子状フィラーの使用量と、前記分散液中における前記繊維状炭素材料の含有量との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)が、50以上20000以下である、請求項1または2に記載の熱伝導シートの製造方法。
  4. 前記分散剤がアミン価を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
  5. 前記分散液中における前記分散剤と前記繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が0.5以上10以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
  6. 前記繊維状炭素材料のBET比表面積が400m2/g以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
  7. 樹脂と粒子状フィラーと繊維状炭素材料とを含む熱伝導シートであって、
    前記熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率が12W/m・K以上であり、
    厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における前記熱伝導シートの厚みをT0.9とし、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における前記熱伝導シートの厚みをT0.1として、下記式(1):
    C=100×{1−(T0.9/T0.1)}[%]・・・(1)
    により算出される圧縮率Cが10%以下である、熱伝導シート。
  8. 前記繊維状炭素材料の含有量が、前記樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上3.00質量部以下である、請求項7に記載の熱伝導シート。
  9. 前記粒子状フィラーと、前記繊維状炭素材料との質量比(粒子状フィラー/繊維状炭素材料)が、50以上20000以下である、請求項7または8に記載の熱伝導シート。
  10. 分散剤を更に含み、
    前記分散剤がアミン価を有する、請求項7〜9のいずれかに記載の熱伝導シート。
  11. 分散剤を更に含み、
    前記分散剤と前記繊維状炭素材料との質量比(分散剤/繊維状炭素材料)が0.5以上10以下である、請求項7〜10のいずれかに記載の熱伝導シート。
  12. 前記繊維状炭素材料のBET比表面積が400m2/g以上である、請求項7〜11のいずれかに記載の熱伝導シート。
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