JP6919377B2 - 熱伝導シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導シートに関するものである。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
電子部品の温度上昇による機能障害対策としては、一般に、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、通常、熱伝導率が高いシート状の部材(熱伝導シート)を介在させた状態で発熱体と放熱体とを密着させている。
従って、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用される熱伝導シートには、優れた熱伝導性を発揮することが求められている。
そこで、例えば、特許文献1では、高い熱伝導性を有する熱伝導シートとして、フッ素樹脂と膨張化黒鉛とを含む組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、折畳または捲回して得た積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスしてなる熱伝導シートが提案されている。また、特許文献1では、プレ熱伝導シートを、表面に接着剤を塗布した状態または表面に接着層を設けた状態で、積層、折畳、或いは、捲回することにより、得られる積層体の層間剥離を十分に抑制することも提案されている。そして、この特許文献1の熱伝導シートは、フッ素樹脂および膨張化黒鉛を含む条片(積層体を構成していたプレ熱伝導シートのスライス片)が任意の接着剤または接着層を介して並列接合されてなる構成を有しており、各条片がフッ素樹脂および膨張化黒鉛を含有しているので、高い熱伝導性を発揮することができる。
国際公開第2016/185688号
ここで、熱伝導シートには、発熱体等の被着体に熱伝導シートを接着させた状態で輸送する際や、熱伝導シートを介在させた状態で発熱体と放熱体とを密着させる際などに、面内方向(熱伝導シートの表面に平行な方向)に位置ズレを起こさないことも求められている。
しかし、上記従来の熱伝導シートには、熱伝導性を確保しつつ位置ズレを起こし難くするという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、十分に高い熱伝導性を有し、且つ、面内方向の位置ズレを起こし難い熱伝導シートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、熱伝導シートに所定の性状を有する領域を所定の割合で設ければ、熱伝導性を確保しつつ面内方向の位置ズレの発生を抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートは、樹脂および熱伝導性充填材を含む第一材料よりなる第一領域と、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2以上の第二材料よりなり、且つ、粘着力が5.0N/mm以上である第二領域とを有し、少なくとも一方の主面において前記第二領域が占める面積割合が0%超20%未満であることを特徴とする。このように、熱伝導性充填材を含有する第一領域を設ければ、十分に高い熱伝導性を確保することができる。また、所定の性状を有する第二材料からなり、且つ、所定の粘着力を有する第二領域を設ければ、熱伝導シートの形状を維持しつつ、面内方向の位置ズレの発生を抑制することができる。更に、第二領域の面積割合を所定の範囲内にすれば、熱伝導シートの熱伝導性が低下するのを抑制することができる。
ここで、本発明において、「ムーニー粘度」は、JIS K6300に準拠して温度100℃で測定することができる。また、「粘着力」は、プローブタック試験機を使用し、温度25℃、荷重0.5Nの条件でプローブを10秒間押し付けて測定することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートは、前記第二領域が占める面積割合が1%以上15%以下であることが好ましい。第二領域が占める面積割合が上記範囲内であれば、面内方向の位置ズレの発生を更に良好に抑制しつつ、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができる。
また、本発明の熱伝導シートは、前記樹脂がフッ素樹脂およびシリコン樹脂の少なくとも一方からなることが好ましい。第一材料の樹脂がフッ素樹脂および/またはシリコン樹脂であれば、熱伝導シートの難燃性を高めることができる。
更に、本発明の熱伝導シートは、前記第二材料が、粘着性樹脂と、熱伝導性充填材とを含むことが好ましい。粘着性樹脂と熱伝導性充填材とを含む第二材料を使用すれば、熱伝導シートの熱伝導性が低下するのを十分に抑制しつつ、第二領域の粘着力を十分に高めて面内方向の位置ズレの発生を更に抑制することができる。
ここで、前記第二材料中における前記熱伝導性充填材の含有割合は、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。第二材料中の熱伝導性充填材の含有割合が上記範囲内であれば、第二領域の粘着力が低下するのを十分に抑制しつつ、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができる。
更に、前記第二材料中の前記熱伝導性充填材が繊維状炭素ナノ材料を含み、前記繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が、400m/g以上2500m/g以下であることが好ましい。繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が上記範囲内であれば、第二領域の粘着力と熱伝導シートの熱伝導性とを十分に高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
また、本発明の熱伝導シートは、前記第一材料中の前記熱伝導性充填材が、体積平均粒子径が150μm以上300μm以下の粒子状材料を含むことが好ましい。第一材料の熱伝導性充填材として体積平均粒子径が150μm以上300μm以下の粒子状材料を含む熱伝導性充填材を使用すれば、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができる。
なお、本発明において、「体積平均粒子径」とは、レーザー回折法を用いて測定された体積基準の粒子径分布における極大値(モード径)を指す。そして、粒子状材料の体積平均粒子径の測定は、特に限定されることなく、例えば第一領域を構成する第一材料に含まれている樹脂に対する良溶媒を用いて樹脂を溶解させる等の任意の手法を用いて第一領域から粒子状材料を取り出して行うことができる。
そして、本発明の熱伝導シートは、前記第一材料中における前記粒子状材料の含有割合が5体積%以上30体積%以下であることが好ましい。粒子状材料の含有割合が上記範囲内であれば、熱伝導シートの柔軟性および被着体に対する密着性を十分に確保しつつ、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができる。
本発明によれば、十分に高い熱伝導性を有し、且つ、面内方向の位置ズレを起こし難い熱伝導シートを提供することができる。
本発明に従う熱伝導シートの一例を模式的に示す平面図である。 本発明に従う熱伝導シートの他の例を模式的に示す平面図である。 図1に示す熱伝導シートの製造に用いられる積層体を模式的に示す斜視図である。 図2に示す熱伝導シートの製造に用いられる積層体を模式的に示す斜視図である。 (a)〜(f)は、実施例および比較例の熱伝導シートの構成を模式的に示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。また、各図では、理解を容易にするために、各構成要素の大きさを適宜に拡大または縮小して示している。
(熱伝導シート)
ここで、本発明の熱伝導シートは、例えば、発熱体に放熱体を取り付ける際に発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。即ち、本発明の熱伝導シートは、放熱部材として、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。
そして、本発明の熱伝導シートは、樹脂および熱伝導性充填材を含む第一材料よりなる第一領域と、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2以上の第二材料よりなり、且つ、粘着力が5.0N/mm以上である第二領域とを有する。そして、本発明の熱伝導シートは、熱伝導シートの厚み方向に直交する面である主面の少なくとも一方、好ましくは両方において、第二領域が占める面積割合が0%超20%未満であることを特徴とする。
具体的には、本発明の熱伝導シートは、例えば図1、図2または図5に示すように、第一材料よりなる第一領域11と、第二材料よりなる第二領域12とを有している。そして、熱伝導シート10の少なくとも一方の主面において、第二領域12が占める面積の合計の割合は、20%未満である。
なお、第一領域11および第二領域12の形状および配置は、図1,2,5に示す形状および配置に限定されるものではない。そして、第一領域11および第二領域12は、それぞれが熱伝導シート10の厚み方向の全長に亘って(即ち、両主面間に亘って)延在していることが好ましい。更に、第一領域11および第二領域12の形状は、熱伝導シート10の厚み方向に変化しないことが好ましく、第二領域12が占める面積割合は、一方の主面側と他方の主面側とで同一であることが好ましい。また、熱伝導シート10は、第一領域11および第二領域12以外に、第一材料および第二材料以外の材料からなる領域を更に含んでいてもよいが、熱伝導シートの生産性の観点からは、熱伝導シートは、第一領域11および第二領域12のみからなることが好ましい。
そして、本発明の熱伝導シートは、熱伝導性充填材を含有する第一領域を有しているので、十分に高い熱伝導性を確保することができる。また、本発明の熱伝導シートは、所定の性状を有する第二材料からなり、且つ、所定の粘着力を有する第二領域を有しているので、熱伝導シートの形状を維持しつつ、面内方向の位置ズレの発生を抑制することができる。更に、本発明の熱伝導シートは、第二領域の面積割合が所定の範囲内であるので、熱伝導性の確保と、面内方向の位置ズレの発生の抑制とを両立することができる。
<第一領域>
ここで、第一領域は、樹脂と、熱伝導性充填材とを含有する第一材料で構成されている。そして、第一材料は、熱伝導性充填材を含有しているので、第一材料からなる第一領域を有する熱伝導シートは、熱伝導性を確保することができる。
なお、熱伝導シートに含まれる第一領域は、樹脂および熱伝導性充填材を含有する第一材料で構成されていれば、1種類の第一材料のみで構成されていてもよいし、2種類以上の第一材料で構成されていてもよい。また、第一材料からなる第一領域は、通常、第二材料からなる第二領域よりも粘着力が低い。そして、第一領域の粘着力は、5.0N/mm未満であってもよく、例えば4.0N/mm以下とすることができる。
[第一材料]
第一領域を構成する第一材料は、樹脂と、熱伝導性充填材とを含有する。そして、第一材料は、難燃剤や可塑剤などの添加剤を更に含有していてもよいが、添加剤のブリードアウトまたはブルーミングを防止する観点からは、第一材料は添加剤を含有しないことが好ましい。
−樹脂−
樹脂は、第一領域のマトリックス樹脂を構成すると共に、熱伝導性充填材を結着する結着材としても機能する。
そして、樹脂としては、常温常圧下で液体の樹脂と、常温常圧下で固体の樹脂との少なくとも一方を用いることができる。なお、本明細書において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
ここで、常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、熱伝導シートの使用時に熱伝導シートと被着体との間の密着性を高めて熱伝導シートを介した熱の良好な伝導を可能にする観点からは、常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、熱伝導シートと被着体との密着性を高める観点からは、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン−プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン−イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、熱伝導シートの難燃性を高める観点からは、樹脂としては、フッ素樹脂およびシリコン樹脂の少なくとも一方を用いることが好ましく、フッ素樹脂を用いることがより好ましい。
そして、常温常圧下で液体のフッ素樹脂としては、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロペンテン−テトラフルオロエチレン3元共重合体、パーフルオロプロペンオキサイド重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体などを用いることができる。
また、市販されている、常温常圧下で液体のフッ素樹脂としては、例えば、デュポン株式会社製のバイトン(登録商標)LM、ダイキン工業株式会社製のダイエル(登録商標)G−101、スリーエム株式会社製のダイニオンFC2210、信越化学工業株式会社製のSIFELシリーズなどが挙げられる。
更に、常温常圧下で固体のフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエステル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエポキシ変性物およびポリテトラフルオロエチレンのシラン変性物などを用いることができる。
また、市販されている、常温常圧下で固体のフッ素樹脂としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のダイエル(登録商標)G−912、G−700シリーズ、ダイエルG−550シリーズ/G−600シリーズ、ダイエルG−310;ALKEMA社製のKYNAR(登録商標)シリーズ、KYNAR FLEX(登録商標)シリーズ;スリーエム社製のダイニオンFC2211、FPO3600ULV;などが挙げられる。
そして、第一材料中の樹脂の含有割合は、特に限定されることなく、例えば、50体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、95体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましい。樹脂の含有割合が上記下限以上であれば、第一領域の柔軟性を高めることができるので、第一領域を有する熱伝導シートの被着体に対する密着性を高めることができるからである。また、樹脂の含有割合が上記上限以下であれば、熱伝導性充填材を十分に含有させて、第一領域および第一領域を有する熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができるからである。
−熱伝導性充填材−
熱伝導性充填材は、第一材料からなる第一領域に優れた熱伝導性を付与する。そして、熱伝導性充填材としては、特に限定されることなく、熱伝導性を有する粒子状材料および熱伝導性を有する繊維状材料などの既知の熱伝導性充填材を用いることができる。中でも、第一材料の熱伝導性充填材としては、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料などの炭素材料を用いることが好ましく、粒子状炭素材料を用いることがより好ましい。なお、熱伝導性充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性を有する粒子状材料としては、例えば、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、および、粒子状炭素材料が挙げられる。中でも、窒化ホウ素粒子および粒子状炭素材料が好ましく、粒子状炭素材料がより好ましい。
なお、熱伝導性を有する粒子状材料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、熱伝導性を有する粒子状材料として好適な粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、粒子状炭素材料としては、膨張化黒鉛を用いることが好ましい。膨張化黒鉛を使用すれば、第一領域および第一領域を有する熱伝導シートの熱伝導性をより向上させることができるからである。
なお、膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
そして、熱伝導性を有する粒子状材料の体積平均粒子径は、50μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。熱伝導性を有する粒子状材料の平均粒子径が上記範囲内であれば、第一領域中に粒子状材料の伝熱パスを良好に形成し、第一領域および第一領域を有する熱伝導シートに優れた熱伝導性を発揮させ得るからである。
また、熱伝導性を有する粒子状材料のアスペクト比(長径/短径)は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。
なお、「粒子状材料のアスペクト比」は、熱伝導シートの厚み方向における断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、任意の50個の粒子状材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
また、熱伝導性を有する繊維状材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、熱伝導性を有する繊維状材料のアスペクト比(長径/短径)は、10超であることが好ましい。
なお、「繊維状材料のアスペクト比」は、TEM(透過型電子顕微鏡)を使用し、無作為に選択した繊維状材料100本の最大径(長径)と、最大径に直交する方向の外径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
上述した中でも、熱伝導性を有する繊維状材料としては、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状炭素ナノ材料を用いることが好ましく、CNTを含む繊維状炭素ナノ材料を用いることがより好ましい。
ここで、熱伝導性を有する繊維状材料として好適に使用し得る、CNTを含む繊維状炭素ナノ材料は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ材料との混合物であってもよい。
なお、繊維状炭素ナノ材料中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
また、繊維状炭素ナノ材料の平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ材料の平均直径(Av)が上記下限以上であれば、繊維状炭素ナノ材料の凝集を抑制して繊維状炭素ナノ材料の分散性を高めることができるからである。また、繊維状炭素ナノ材料の平均直径(Av)が15nm以下であれば、熱伝導シートの熱伝導性および強度を十分に高めることができるからである。
なお、「繊維状炭素ナノ材料の平均直径(Av)」は、TEM(透過型電子顕微鏡)を使用し、無作為に選択した繊維状炭素ナノ材料100本の直径(外径)を測定して求めることができる。
更に、繊維状炭素ナノ材料の平均長さは、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、5000μm以下であることが好ましい。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ材料の平均長さ」は、TEM(透過型電子顕微鏡)を使用し、無作為に選択した繊維状炭素ナノ材料100本の最大径(長径)を測定し平均値を算出することにより求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積は、400m/g以上であることが好ましく、600m/g以上であることがより好ましく、2500m/g以下であることが好ましい。繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性および強度を十分に高めることができるからである。また、繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が上記上限以下であれば、繊維状炭素ナノ材料の凝集を抑制することができるからである。
更に、上述した性状を有する繊維状炭素ナノ材料としては、特に限定されることなく、CNT製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて製造したCNTを含む繊維状炭素ナノ材料を用いることが好ましい。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
ここで、スーパーグロース法により製造したSGCNTを含む繊維状炭素ナノ材料は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体が含まれていてもよい。
そして、第一材料中の熱伝導性充填材の含有割合は、特に限定されることなく、例えば、5体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがより好ましく、50体積%以下であることが好ましく、30体積%以下であることがより好ましい。熱伝導性充填材の含有割合が上記下限以上であれば、熱伝導性充填材を十分に含有させて、第一領域および第一領域を有する熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができるからである。また、熱伝導性充填材の含有割合が上記上限以下であれば、第一領域の柔軟性を高めることができるので、第一領域を有する熱伝導シートの被着体に対する密着性を高めることができるからである。
中でも、第一材料の熱伝導性充填材が、体積平均粒子径が150μm以上300μm以下の粒子状材料を含む場合には、第一材料中における体積平均粒子径が150μm以上300μm以下の粒子状材料の含有割合は、5体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがより好ましく、50体積%以下であることが好ましく、30体積%以下であることがより好ましい。粒子状材料の含有割合が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができ、また、粒子状材料の含有割合が上記上限以下であれば、熱伝導シートの被着体に対する密着性を高めることができるからである。
[面積割合]
そして、熱伝導シートの少なくとも一方の主面において第一領域が占める面積の合計の割合は、通常80%超100%未満であり、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、99%以下であることが好ましく、98.75%以下であることがより好ましい。第一領域の面積割合が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができる。また、第一領域の面積割合が上記上限値以下であれば、粘着力の高い第二領域の面積を十分に確保することができるので、上記面積割合を満たす主面側を被着体に密着させた際に熱伝導シートの面内方向の位置ズレの発生を良好に抑制することができる。
[形状]
なお、熱伝導シートにおける第一領域の形状は、特に限定されることなく、任意の形状とすることができる。具体的には、例えば図1および図5(a),(b),(e),(f)に平面視形状を示すように、島状の第二領域12を囲繞する形状(海状)であってもよいし、例えば図2および図5(c),(d)に平面視形状を示すように、第二領域12で分断された矩形状であってもよい。そして、熱伝導シート中に存在する第一領域の数は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
<第二領域>
第二領域は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2以上の第二材料で構成されている。そして、第二領域は、熱伝導シートの面内方向の位置ズレを抑制する機能を主として担っており、粘着力が5.0N/mm以上であることを必要とする。
なお、熱伝導シートに含まれる第二領域は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2以上の第二材料で構成されていれば、1種類の第二材料のみで構成されていてもよいし、2種類以上の第二材料で構成されていてもよい。そして、第二材料からなる第二領域は、通常、第一材料からなる第一領域よりも熱伝導性が低い。
[第二材料]
第二領域を構成する第二材料は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2以上であり、且つ、第二領域の粘着力を5.0N/mm以上とすることができるものであれば、特に限定されない。中でも、第二材料としては、粘着性樹脂、或いは、粘着性樹脂と熱伝導性充填材とを含有し、任意に難燃剤や可塑剤などの添加剤を更に含有する樹脂組成物が好ましい。なお、樹脂組成物は、難燃剤や可塑剤などの添加剤を含有していてもよいが、添加剤のブリードアウトまたはブルーミングを防止する観点からは、樹脂組成物は添加剤を含有しないことが好ましい。
そして、第二材料は、通常、第一材料とは異なる材料からなる。
−粘着性樹脂−
粘着性樹脂は、第二領域のマトリックス樹脂を構成すると共に、第二領域に所望の粘着力を付与する。また、第二材料に熱伝導性充填材が含まれている場合には、粘着性樹脂は、熱伝導性充填材を結着する結着材としても機能する。
そして、粘着性樹脂としては、特に限定されることなく、例えば、常温常圧下で固体のアクリル樹脂や常温常圧下で液体の樹脂を用いることができる。なお、本明細書において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
ここで、常温常圧下で液体の樹脂としては、第一材料の樹脂およびその好適例として例示したものと同様の常温常圧下で液体の樹脂を用いることができる。
中でも、熱伝導シートの難燃性を高める観点からは、常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体のフッ素樹脂および常温常圧下で液体のシリコン樹脂の少なくとも一方を用いることが好ましく、常温常圧下で液体のフッ素樹脂を用いることがより好ましい。
そして、第二材料中の粘着性樹脂の含有割合は、特に限定されることなく、例えば、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、93質量%以上であることが更に好ましく、100質量%未満であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましい。粘着性樹脂の含有割合が上記下限以上であれば、第二領域の粘着力を十分に高めることができるので、熱伝導シートの面内方向の位置ズレを抑制することができるからである。また、粘着性樹脂の含有割合が上記上限以下であれば、熱伝導性充填材を含有させて、第二領域を有する熱伝導シートの熱伝導性が低下するのを抑制することができるからである。
−熱伝導性充填材−
第二材料の熱伝導性充填材は、第二材料からなる第二領域の熱伝導性が低下するのを抑制する。
そして、第二材料の熱伝導性充填材としては、第一材料の熱伝導性充填材およびその好適例として例示したものと同様の熱伝導性充填材を用いることができる。中でも、第二材料の熱伝導性充填材としては、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料などの炭素材料を用いることが好ましく、粒子状炭素材料および/または繊維状炭素材料を用いることがより好ましく、繊維状炭素ナノ材料を用いることが更に好ましく、BET比表面積が400m/g以上2500m/g以下の繊維状炭素ナノ材料を用いることが特に好ましい。
そして、第二材料中の熱伝導性充填材の含有割合は、特に限定されることなく、例えば、0質量%超であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましく、20.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、7.0質量%以下であることが更に好ましい。熱伝導性充填材の含有割合が上記下限以上であれば、第二領域を有する熱伝導シートの熱伝導性が低下するのを抑制することができるからである。また、熱伝導性充填材の含有割合が上記上限以下であれば、第二領域の粘着力を十分に確保し、熱伝導シートの面内方向の位置ズレを抑制することができるからである。
中でも、第二材料の熱伝導性充填材が、繊維状炭素ナノ材料を含む場合には、第二材料中における繊維状炭素ナノ材料の含有割合は、1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましく、10.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましい。熱伝導性充填材の含有割合が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性が低下するのを十分に抑制することができ、また、熱伝導性充填材の含有割合が上記上限以下であれば、熱伝導シートの面内方向の位置ズレを十分に抑制することができるからである。
−ムーニー粘度−
そして、第二材料は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2以上であることを必要とし、第二材料のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、10以上であることが好ましく、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。第二材料のムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2未満の場合、熱伝導シートが形状を維持することが困難になるからである。また、第二材料のムーニー粘度(ML1+4,100℃)が上記範囲内であれば、第二材料からなる第二領域の粘着力を適度な大きさとすることができるからである。
[粘着力]
上記第二材料からなる第二領域は、粘着力が5.0N/mm以上であることを必要とし、第二領域の粘着力は、9.0N/mm以上20.0N/mm以下であることが好ましい。第二領域の粘着力が5.0N/mm未満の場合、熱伝導シートの面内方向の位置ズレを抑制することができないからである。また、第二領域の粘着力が上記範囲内であれば、粘着力を確保しつつ第二材料のベタつきに起因して熱伝導シートの製造容易性が低下するのを抑制して、面内方向の位置ズレを良好に抑制し得る熱伝導シートを容易に製造することができるからである。
[面積割合]
そして、熱伝導シートの少なくとも一方の主面において第二領域が占める面積の合計の割合は、20%未満である必要があり、1%以上であることが好ましく、1.25%以上であることがより好ましく、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。第二領域の面積割合が20%未満であれば、第一領域の面積を十分に確保し、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができる。また、第二領域の面積割合が上記下限値以上であれば、上記面積割合を満たす主面側を被着体に密着させた際に熱伝導シートの面内方向の位置ズレの発生を良好に抑制することができる。
[形状]
なお、熱伝導シートにおける第二領域の形状は、特に限定されることなく、任意の形状とすることができる。具体的には、第二領域の形状は、例えば図1および図5(a),(b),(e),(f)に平面視形状を示すように、熱伝導シート10が第一領域11からなる海部と第二領域12からなる島部とを有する海島構造となるような形状にしてもよい。この場合、島部となる第二領域12は、図1および図5(a),(e),(f)に示すように全周が第一領域11で囲繞されていてもよいし、図5(b)に示すように周囲の一部のみが第一領域11で囲繞されていてもよい。また、第二領域の形状は、図2および図5(c),(d)に平面視形状を示すように、熱伝導シート10の任意の一方向の全長に亘って延在する矩形状であってもよい。そして、熱伝導シート中に存在する第二領域の数は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
<熱伝導シートの製造方法>
そして、本発明の熱伝導シートは、特に限定されることなく、例えば、下記の(1)〜(3)の何れかの方法を用いて調製することができる。なお、下記において、第一材料または第二材料からなる「シート」には、「条片」と称されることもある狭幅のシートや、短尺のシートも含まれる。
(1)第一材料からなり、且つ、第二領域を形成する位置に所望の第二領域の形状に対応した形状の穴を有するシートを調製した後、シートの穴に第二材料を充填して、或いは、シートの穴に第二材料からなるシートを埋め込んで第一材料からなるシートと接合することにより、熱伝導シートを調製する方法。
(2)第一材料からなるシートと、第二材料からなるシートとを別個に調製した後、接着等の既知の手法を用いてシート同士を並列接合することにより、熱伝導シートを調製する方法。
(3)第一材料からなるシート(第一領域用シート)と、第二材料からなるシート(第二領域用シート)との積層体を形成した後、積層体をスライスすることにより、熱伝導シートを調製する方法。
中でも、製造容易性の観点からは、本発明の熱伝導シートは、上記(3)の方法で製造することが好ましい。
具体的には、例えば図1に示すような熱伝導シート10は、図3に示すような積層体20を形成した後、積層体20を積層方向にスライスすることにより、製造することができる。ここで、図3に示す積層体20は、第一領域用シート21を任意の枚数(図示例では2枚)積層してなる複数(図示例では4つ)の積層構造の間に幅方向(図示例では左右方向)に互いに離隔して配置した1対の第二領域用シート(条片)22Aを介在させてなる構造を有している。
また、例えば図2に示すような熱伝導シート10は、図4に示すような積層体20を形成した後、積層体20を積層方向にスライスすることにより、製造することができる。ここで、図4に示す積層体20は、第一領域用シート21を任意の枚数(図示例では3枚)積層してなる複数(図示例では3つ)の積層構造の間に第一領域用シート21と平面視寸法が等しい第二領域用シート22Bを任意の枚数(図示例では積層構造の間に1枚ずつ)介在させてなる構造を有している。
そして、上記(3)の方法で調製された熱伝導シートにおいては、第一領域用シート21のスライス片が上述した第一領域となり、第二領域用シート22A,22Bのスライス片が上述した第二領域となる。
ここで、第一領域用シートは、樹脂および熱伝導性充填材を含有し、任意に添加剤等を更に含有する第一材料を加圧してシート状に成形することにより、得ることができる。そして、第一材料を加圧してシート状に成形してなる第一領域用シートでは、熱伝導性充填材が主として面内方向に配列し、特に面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
なお、上述した第一材料は、特に限定されることなく、ニーダー、ロール、ミキサー等の既知の混合装置を用いて上述した成分を混合することにより、得ることができる。そして、混合は、有機溶剤等の溶媒の存在下で行ってもよい。
また、上述のようにして調製した第一材料は、任意に脱泡および解砕した後に、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。なお、混合時に溶媒を用いている場合には、溶媒を除去してからシート状に成形することが好ましく、例えば、真空脱泡を用いて脱泡を行えば、脱泡時に溶媒の除去も同時に行うことができる。
更に、第二領域用シートは、第一領域用シートと同様に、例えば第二材料を加圧してシート状に成形することにより、得ることができる。
そして、積層体は、第一領域用シートと、第二領域用シートとを任意の順番および配置で積層することにより、得ることができる。
ここで、通常、積層体において、シートの表面同士の接着力は、シートを積層する際の圧力により充分に得られる。しかし、接着力が不足する場合や、積層体の層間剥離を十分に抑制する必要がある場合には、シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層を行ってもよいし、シートを積層させた積層体を積層方向に更にプレスしてもよい。中でも、第一領域用シートよりも狭幅の第二領域用シートを使用する場合など、第一領域用シートの平面視寸法と第二領域用シートの平面視寸法とが異なる場合には、積層体を積層方向にプレスしてシート同士を接着させることが好ましい。
なお、シートを積層して得られる積層体では、熱伝導性充填材などが積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。
そして、積層体のスライスによる熱伝導シートの製造は、積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得ることにより行うことができる。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。
なお、熱伝導シートの熱伝導性を高める観点からは、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して30°以下であることが好ましく、積層方向に対して15°以下であることがより好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが好ましい。
また、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際の積層体の温度は−20℃以上30℃以下とすることが好ましい。更に、同様の理由により、スライスする積層体は、積層方向とは垂直な方向に圧力を負荷しながらスライスすることが好ましく、積層方向とは垂直な方向に0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力を負荷しながらスライスすることがより好ましい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、粒子状材料(膨張化黒鉛)の体積平均粒子径、第二材料のムーニー粘度、第一領域および第二領域の粘着力、熱伝導シートの熱伝導性、耐位置ズレ性および形状維持性は、それぞれ以下の方法を使用して測定および評価した。また、実施例および比較例において、熱伝導シートの一方の主面における第二領域の面積割合と、熱伝導シートの他方の主面における第二領域の面積割合とは同一であった。
<粒子状材料の体積平均粒子径>
第一領域用シート1gをメチルエチルケトン6gに添加し、スターラーで5分間撹拌した。目視により、メチルエチルケトン溶媒中にシート状のものが存在しないことを確認した。そして、得られた懸濁液を試験液とした。
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式「LA−960」)を使用し、懸濁液中に含まれる粒子状材料(膨張化黒鉛)の粒子径を測定した。そして、横軸を粒子径、縦軸を粒子状材料の体積とした体積基準の粒子径分布曲線を得て、その極大値における粒子径(モード径)を、粒子状材料の体積平均粒子径として求めた。
<ムーニー粘度>
ムーニー粘度計(島津製作所製、製品名「MOONEY VISCOMETER SMV−202」)を使用し、JIS K6300に準拠して、温度100℃におけるムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。
<粘着力>
プローブタック試験機(株式会社レスカ製、商品名「TAC1000」)を使用して第一領域用シートの粘着力および第二領域用シートの粘着力を測定し、それぞれの値を第一領域の粘着力および第二領域の粘着力とした。
具体的には、第一領域用シートおよび第二領域用シートのそれぞれを試験片とした。そして、得られた試験片の略中心位置に対して、温度25℃、荷重0.5Nの条件で、直径5mmの平らなプローブを10秒間押し付けた。その後、押しつけたプローブを試験片から引き離す際に要する力(N/mm)を測定し、粘着力とした。
<熱伝導性>
熱伝導シートについて、樹脂材料熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「C47108」)を使用し、温度50℃において、比較的低圧である0.05MPaを加えた時の熱抵抗値(℃/W)を測定した。熱抵抗値が小さいほど熱伝導シートが熱伝導性に優れ、例えば、発熱体と放熱体との間に介在させて放熱装置とした際の放熱特性に優れていることを示す。
<耐位置ズレ性>
アルミ板と熱伝導シートとの間の静止摩擦力を測定し、耐位置ズレ性を評価した。
具体的には、200gの移動重錘に熱伝導シート(縦:10mm、横:10mm、厚さ:150μm)を両面テープ(ニチバン社製、製品名「ナイスタック」)で貼り付けた。次に、熱伝導シート側を下にして縦20mm×横20mm×厚さ1mmのアルミ板の上に載せ、移動重錘を100mm/分の速度で引っ張った。そして、始動時の最大引張試験力(N)を読み取り、アルミ板と熱伝導シートとの間の静止摩擦力とした。静止摩擦力が大きいほど、熱伝導シートが面内方向に位置ズレし難く、耐位置ズレ性に優れていることを示す。
<形状維持性>
重量を測定した熱伝導シートをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に載せて、常温(25℃)で24時間保管した。そして、保管後の熱伝導シートの重量を測定し、重量変化率(={(保管前の重量−保管後の重量)/保管前の重量}×100%)を求めた。そして、以下の基準に従って評価した。重量変化率が小さいほど、第二材料からなる第二領域のPETフィルムへの転写などが起きておらず、形状維持性に優れていることを示す。
○:重量変化率が0.1質量%以下
×:重量変化率が0.1質量%超
(実施例1)
<第一領域用シートの製造>
熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC−100」、体積平均粒子径:190μm)を50質量部と、樹脂としての常温で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)100質量部とをホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT型」、容量:5L)で80℃に加温し、30分間混合した。混合して得られた組成物をワンダークラッシュミル(大阪ケミカル株式会社製、商品名「D3V−10」)に投入して、1分間解砕した。
次いで、解砕した組成物(第一材料)5gを、サンドブラスト処理を施した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形し、縦50mm、横50mm、厚さ0.5mmの第一領域用シートを得た。
そして、第一領域用シート中の粒子状材料(膨張化黒鉛)の体積平均粒子径および第一領域用シートの粘着力を測定した。結果を表1に示す。
<第二領域用シートの製造>
粘着性樹脂としての常温で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)97質量部と、繊維状炭素ナノ材料としてのSGCNT(BET比表面積:1050m/g)3質量部とを混合したものを、加圧ニーダーにて撹拌した。混合して得られた組成物をワンダークラッシュミル(大阪ケミカル株式会社製、商品名「D3V−10」)に投入して、1分間解砕した。そして、解砕した組成物(第二材料)のムーニー粘度を測定した。
次いで、解砕した組成物(第二材料)5gを、サンドブラスト処理を施した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形し、縦50mm、横2.5mm、厚さ0.5mmの第二領域用シート(条片)を得た。
また、同様にして、粘着力の測定用に縦50mm、横50mm、厚さ0.5mmの第二領域用シートを作製した。そして、第二領域用シートの粘着力を測定した。結果を表1に示す。
<積層体の形成>
第一領域用シート10枚を積層してなる積層構造(縦50mm、横50mm、高さ5mm)の上に、第二領域用シート(条片)を、第二領域用シートの縦方向と第一領域用シートの縦方向と一致するように、且つ、隣接する第二領域用シート同士が互いに2.5mm離隔するように合計10枚並列配置した。そして、第二領域用シートの上に、第一領域用シートを更に10枚積層し、プレスして高さ10mmのブロック体(積層体)を得た。
<熱伝導シートの作製>
得られた積層体を、0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」を用いて、積層方向に対して0度の角度でスライス(換言すれば、積層されたシートの主面の法線方向にスライス)し、長さ50mm×幅10mm×厚さ150μmのシートを得た。なお、木工用スライサーのナイフは、2枚の片刃が、切刃の反対側同士で接触し、表刃の刃先の最先端が裏刃の刃先の最先端よりも0.5mm高くスリット部からの突出長さ0.11mmに配置され、表刃の刃角21°である2枚刃のものを用いた。
次に、得られたシートを、シートの長さ方向端縁から長さ方向に10mmの位置で切断して、図5(a)に示すような平面視形状で、寸法が縦10mm、横10mm、厚さ150μmの熱伝導シートを得た。
そして、各種評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、2.5mm(=2.5mm×0.5mm×2箇所)であった。
(実施例2)
積層体の形成時に、第一領域用シート5枚を積層してなる積層構造(縦50mm、横50mm、高さ2.5mm)の上に、第二領域用シート(条片)を、第二領域用シートの縦方向と第一領域用シートの縦方向と一致するように、且つ、積層構造の横方向端縁から第二領域用シートの横方向中心位置までの距離がそれぞれ1.25mm、8.75mm、11.25mm、18.75mm、21.25mm、28.75mm、31.25mm、38.75mm、41.25mm、48.75mmになるように合計10枚並列配置した後、第一領域用シート10枚を更に積層し、その上に上記と同様にして第二領域用シート(条片)を10枚並列配置し、更にその上に第一領域用シート5枚を積層した以外は実施例1と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(b)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、5mm(=2.5mm×0.5mm×4箇所)であった。
(実施例3)
第二領域用シートの製造時に縦50mm、横50mm、厚さ0.5mmの第二領域用シートのみを製造し、積層体の形成時に、第一領域用シート4枚を積層してなる積層構造(縦50mm、横50mm、高さ2.0mm)の上に、第二領域用シート1枚を積層した後、その上に、第一領域用シート10枚、第二領域用シート1枚、第一領域用シート4枚を順次積層した以外は実施例1と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(c)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、10mm(=10mm×0.5mm×2箇所)であった。
(実施例4)
第二領域用シートの製造時に、縦50mm、横50mm、厚さ0.25mmの第二領域用シートを製造し、積層体の形成時に、第一領域用シート3枚を積層してなる積層構造(縦50mm、横50mm、高さ1.5mm)の上に、厚さ0.25mmの第二領域用シート1枚を積層した後、その上に、第一領域用シート4枚、厚さ0.25mmの第二領域用シート1枚、第一領域用シート4枚、厚さ0.25mmの第二領域用シート1枚、第一領域用シート4枚、厚さ0.25mmの第二領域用シート1枚、第一領域用シート3枚を順次積層した以外は実施例1と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(d)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、10mm(=10mm×0.25mm×4箇所)であった。
(実施例5)
第二領域用シートの製造時に、常温で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)の量を99質量部に変更し、SGCNT(BET比表面積:1050m/g)の量を1質量部に変更すると共に、縦50mm、横2.5mm、厚さ0.25mmの第二領域用シート(条片)を製造し、積層体の形成時に、第一領域用シート1枚を積層してなる積層構造(縦50mm、横50mm、高さ0.5mm)の上に、第二領域用シート(条片)を、第二領域用シートの縦方向と第一領域用シートの縦方向と一致するように、且つ、積層構造の横方向端縁から第二領域用シートの横方向中心位置までの距離がそれぞれ1.25mm、8.75mm、11.25mm、18.75mm、21.25mm、28.75mm、31.25mm、38.75mm、41.25mm、48.75mmになるように合計10枚並列配置した後、第一領域用シート1枚を更に積層し、その上に、第二領域用シート(条片)を、第二領域用シートの縦方向と第一領域用シートの縦方向と一致するように、且つ、積層構造の横方向端縁から第二領域用シートの横方向中心位置までの距離がそれぞれ3.75mm、6.25mm、13.75mm、16.25mm、23.75mm、26.25mm、33.75mm、36.25mm、43.75mm、46.25mmになるように合計10枚並列配置し、更に第一領域用シート1枚を積層する操作を4回繰り返した以外は実施例1と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(e)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、10mm(=2.5mm×0.25mm×16箇所)であった。
(実施例6)
第二領域用シートの製造時に、常温で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)の量を93質量部に変更し、SGCNT(BET比表面積:1050m/g)の量を7質量部に変更した以外は実施例5と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(e)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、10mm(=2.5mm×0.25mm×16箇所)であった。
(実施例7)
第二領域用シートの製造時に、常温で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)の量を90質量部に変更し、SGCNT(BET比表面積:1050m/g)に替えて膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC−100」、体積平均粒子径:190μm)10質量部を用いた以外は実施例5と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(e)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、10mm(=2.5mm×0.25mm×16箇所)であった。
(実施例8)
第二領域用シートの製造時に、解砕した組成物に替えて第二材料として常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン社製、商品名「Dyneon(登録商標)E−20575」、ムーニー粘度(ML1+4,100℃):4.0)のみを使用し、積層体の形成時に、第一領域用シート10枚を積層してなる積層構造(縦50mm、横50mm、高さ5mm)の上に、第二領域用シート(条片)を、第二領域用シートの縦方向と第一領域用シートの縦方向と一致するように、且つ、積層構造の横方向端縁から第二領域用シートの横方向中心位置までの距離がそれぞれ3.75mm、6.25mm、13.75mm、16.25mm、23.75mm、26.25mm、33.75mm、36.25mm、43.75mm、46.25mmになるように合計10枚並列配置した後、第一領域用シートを更に10枚積層した以外は実施例1と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(f)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、2.5mm(=2.5mm×0.5mm×2箇所)であった。
(実施例9)
第二領域用シートの製造時に、解砕した組成物に替えて第二材料として常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン社製、商品名「Dyneon(登録商標)E−20575」、ムーニー粘度(ML1+4,100℃):4.0)のみを使用した以外は実施例2と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(b)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、5mm(=2.5mm×0.5mm×4箇所)であった。
(比較例1)
第二領域用シートの製造時に縦50mm、横50mm、厚さ0.5mmの第二領域用シートのみを製造し、積層体の形成時に、第一領域用シート2枚を積層してなる積層構造(縦50mm、横50mm、高さ1.0mm)の上に、第二領域用シート1枚を積層した後、その上に、第一領域用シート4枚、第二領域用シート1枚、第一領域用シート4枚、第二領域用シート1枚、第一領域用シート4枚、第二領域用シート1枚、第一領域用シート2枚を順次積層した以外は実施例1と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(d)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、20mm(=10mm×0.5mm×4箇所)であった。
(比較例2)
第二領域用シートを製造せず、積層体の形成時に、第一領域用シートのみを20枚積層して積層体とした以外は実施例1と同様にして、第一領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
第二領域用シートの製造時に、常温で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)の量を99.5質量部に変更し、SGCNT(BET比表面積:1050m/g)の量を0.5質量部に変更した以外は実施例3と同様にして、第一領域用シートの製造、第二領域用シートの製造、積層体の形成および熱伝導シートの作製を行った。なお、熱伝導シートの平面視形状は図5(c)に示すような形状であった。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。なお、熱伝導シートの主面中における第二領域の合計面積は、10mm(=10mm×0.5mm×2箇所)であった。
Figure 0006919377
表1より、実施例1〜9の熱伝導シートは、十分に高い熱伝導性を有し、且つ、面内方向の位置ズレを起こし難いことが分かる。一方、表1より、第二領域が占める面積割合が大きい比較例1の熱伝導シートでは熱伝導性が低下し、第二領域を有さない比較例2の熱伝導シートでは面内方向の位置ズレを抑制できず、第二材料のムーニー粘度が2未満の比較例3の熱伝導シートは形状を維持できないことが分かる。
本発明によれば、十分に高い熱伝導性を有し、且つ、面内方向の位置ズレを起こし難い熱伝導シートを提供することができる。
10 熱伝導シート
11 第一領域
12 第二領域
20 積層体
21 第一領域用シート
22A,22B 第二領域用シート

Claims (8)

  1. 樹脂および熱伝導性充填材を含む第一材料よりなる第一領域と、
    ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が2以上の第二材料よりなり、且つ、粘着力が5.0N/mm以上である第二領域と、
    を有し、
    少なくとも一方の主面において前記第二領域が占める面積割合が0%超20%未満であり、
    前記第一領域および前記第二領域は、それぞれ、両主面間に亘って延在している、熱伝導シート。
  2. 前記第二領域が占める面積割合が1%以上15%以下である、請求項1に記載の熱伝導シート。
  3. 前記樹脂がフッ素樹脂およびシリコン樹脂の少なくとも一方からなる、請求項1または2に記載の熱伝導シート。
  4. 前記第二材料が、粘着性樹脂と、熱伝導性充填材とを含む、請求項1〜3の何れかに記載の熱伝導シート。
  5. 前記第二材料中における前記熱伝導性充填材の含有割合が1.0質量%以上20.0質量%以下である、請求項4に記載の熱伝導シート。
  6. 前記第二材料中の前記熱伝導性充填材が繊維状炭素ナノ材料を含み、
    前記繊維状炭素ナノ材料のBET比表面積が400m/g以上2500m/g以下である、請求項4または5に記載の熱伝導シート。
  7. 前記第一材料中の前記熱伝導性充填材が、体積平均粒子径が150μm以上300μm以下の粒子状材料を含む、請求項1〜6の何れかに記載の熱伝導シート。
  8. 前記第一材料中における前記粒子状材料の含有割合が5体積%以上30体積%以下である、請求項7に記載の熱伝導シート。
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