JP6801535B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、本発明において、「面内方向の熱伝導率」は、本発明の実施例に記載の測定方法に従って測定した値を指し、「面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上」であるとは、面内の何れの方向においても熱伝導率が15W/m・K以上であることを指す。
本発明の積層体の製造方法は、プレス前積層体を加熱プレスして積層体を得る積層体の製造方法である。ここで、プレス前積層体は、面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上のシート(一次シート)を厚み方向に複数枚積層して、或いは、折畳または捲回してなるものである。そして、本発明の積層体の製造方法は、上記加熱プレスが、前記プレス前積層体を前記積層方向に直交する方向から加熱することと、前記プレス前積層体を積層方向に加圧することとを含むことを特徴とする。
そして、本発明の積層体の製造方法により製造される積層体を、例えば、積層方向に対して所定の角度でスライスすれば、熱伝導性に優れた二次シート(熱伝導シート)を作製することができる。
本発明の積層体の製造方法に用いられるシート(一次シート)は、面内方向の熱伝導率が、15W/m・K以上であることを要する。また、上記の一次シートは、面内方向の熱伝導率が、20W/m・K以上であることが好ましく、30W/m・K以上であることがより好ましい。また、上記の一次シートの面内方向の熱伝導率は、通常は200W/m・K以下である。一次シートの面内方向の熱伝導率が15W/m・K未満であると、一次シートの積層体を加熱プレスする際に、中心部まで効率的に熱が伝わらない虞があるとともに、得られる積層体を用いて二次シートを作製したときに、当該二次シートの厚み方向の熱伝導性等の熱特性が良好にならない虞がある。なお、一次シートの面内方向の熱伝導率は、例えば、シート作製時に用いる熱伝導性材料の種類、配合量を調節したり、シート状に成形する方法を適宜選択したりすることなどにより、調整することができる。
また、一次シートは、厚み方向の熱伝導率が、通常、10W/m・K以下である。このような一次シートの積層体は、サイズが大きくなる(例えば、積層方向の長さが10cm以上になる)と特に、積層方向に加熱しつつ加圧したとしても、中心部まで加熱するのに長時間を要する。しかしながら、一次シートの積層体を、積層方向に直交する方向から加熱すれば、当該積層体を中心部まで効率的に加熱することができる。
一次シートが含み得る樹脂としては、特に限定されることなく、常温常圧下で液体の樹脂、および常温常圧下で固体の樹脂が挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、一次シートは、常温常圧下で液体の樹脂、および常温常圧下で固体の樹脂の両方を含むことが好ましい。
一次シートが含み得る常温常圧下で液体の樹脂は、一次シートおよび二次シートにおいてマトリックス樹脂を構成し、後述する炭素材料などを結着する結着材として機能することができる。また、一次シートが常温常圧下で液体の樹脂を含むことで、当該一次シート、ひいては二次シートの柔軟性を良好にすることができ、例えば、二次シートと、二次シートを接着させる被着体との間の密着性を高めて、二次シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。
一次シートが含み得る常温常圧下で固体の樹脂は、一次シートおよび二次シートにおいてマトリックス樹脂を構成し、後述する炭素材料などを結着する結着材として機能することができる。また、一次シートが常温常圧下で固体の樹脂を含むことで、当該一次シートを用いてプレス前積層体を形成したとき、および当該プレス前積層体を加熱プレスしたときに、一次シートからの液垂れの発生を抑えて、作業環境の汚染を抑制することができる。
中でも、一次シートの積層体から作製される二次シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性などを向上させる観点からは、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂であることが好ましい。
一次シートにおける樹脂全体の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが好ましい。樹脂の含有量が上記下限以上であれば、後述する炭素材料などを結着する結着材としての機能を十分にもたらすことができる。また、樹脂の含有量が上記上限以下であれば、一次シートの熱伝導性を良好に保持することができる。
一次シートが含み得る炭素材料としては、特に限定されることなく、繊維状炭素材料、粒子状炭素材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、繊維状炭素材料としては、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状の炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。一次シートにCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いれば、当該一次シート、ひいては二次シートの強度を向上させるとともに、これらシートの熱伝導性等の熱特性を更に向上させることができるからである。
ここで、繊維状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、10超であることが好ましい。なお、本発明において、「繊維状炭素材料のアスペクト比」は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて無作為に選択した100本の繊維状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、粒子状炭素材料としては、膨張化黒鉛を用いることが好ましい。一次シートに膨張化黒鉛を用いれば、当該一次シートの積層体から作製される二次シートの熱伝導性をより向上させることができる。ここで、膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
ここで、粒子状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。なお、本発明において、「粒子状炭素材料のアスペクト比」は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察された任意の50個の粒子状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式「LA−960」)を用いて、レーザー回折法を用いて測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となるときの粒子径(D50)として求めることができる。
本発明の積層体の製造方法に用いられる一次シートは、例えば、樹脂および炭素材料と、更に添加剤などの任意成分とを含む組成物を調製し、この組成物を加圧してシート状に成形することにより、作製することができる。
組成物は、例えば、樹脂と、炭素材料と、添加剤などの任意成分とを混合して調製することができる。ここで、樹脂および炭素材料としては、一次シートに好ましく含まれる上述した樹脂および炭素材料を用いることができる。
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧(一次加圧)してシート状に成形することができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形によりシート状に形成することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に圧延成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃とすることができる。
なお、一次シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
本発明の積層体の製造方法に用いられるプレス前積層体は、上述した一次シートを厚み方向に複数枚積層することにより、或いは、上述した一次シートを折畳または捲回することにより、作製される。
ここで、プレス前積層体の作製においては、一次シートの表面同士の接着力をより高めて、プレス前積層体の層間剥離を十分に抑制する目的で、一次シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層、折畳または捲回してもよいし、一次シートの表面に接着剤を塗布した状態または一次シートの表面に接着層を設けた状態で積層、折畳または捲回してもよい。
また、プレス前積層体を構成する一次シートの枚数は、特に限定されることなく、例えば10枚以上6000枚以下とすることができる。なお、プレス前積層体を構成する一次シートには、本発明の目的を逸しない範囲において、面内方向の熱伝導率が15W/m・K未満の一次シートが含まれていてもよい。具体的に、プレス前積層体を構成する一次シートの枚数のうち、面内方向の熱伝導率が15W/m・K未満の一次シートの割合は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、0%であることが更に好ましい。
そして、本発明の積層体の製造方法では、プレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱することと、プレス前積層体を積層方向に加圧することとを含む加熱プレスを行う。これにより、二次シートの作製に用いることができる積層体が得られる。
積層方向に直交する方向からのプレス前積層体の加熱は、短時間で熱を積層体の中心部に到達させ、積層体の製造効率の向上に寄与する操作である。
加熱プレス時にプレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱する際の、具体的な加熱する方向としては、積層方向に直交している方向であれば特に限定されず、任意の1方向のみであってもよいし、任意の2以上の方向であってもよい。ただし、加熱プレスでは、プレス前積層体を、積層方向に直交する任意の第一方向と、積層方向に直交し、且つ、上記第一方向に対向する第二方向とを含む2以上の方向から加熱することが好ましい。このように、少なくとも互いに対向する関係にある2方向からプレス前積層体の側部を加熱すれば、より短時間で熱を積層体の中心部に到達させることができるので、より効率的に積層体を製造することができる。
ここで、本発明において、離型シートの「グリップ力」は、離型シートを25mm×125mmの短冊状に切り出して試験体とし、試験体のうち被着体(プレス前積層体)と接触する方の面に対してポリエステル粘着テープ(日東電工製、商品名「No.31B」)を貼りつけ、引張り試験機(島津製作所社製、製品名「オートグラフAG−IS 20kN」)を用いて、JIS Z−0237に準拠して、剥離速度500mm/分、剥離角度180°の条件で測定される、試験体と試験体に貼りつけられたポリエステル粘着テープとの間の剥離力(mN/50mm)を指すものとする。
積層方向へのプレス前積層体の加圧は、得られる積層体の層間の接着性を高めて、当該積層体をシート状にスライスする際における、シート千切れ等の抑制に寄与する操作である。
プレス前積層体を積層方向に加圧する際の圧力は、特に限定されず、0.05MPa以上0.5MPa以下とすることができる。また、プレス前積層体を積層方向に加圧する際には、同時にまたは加圧時の任意のタイミングで、プレス前積層体を積層方向から加熱することが好ましい。ここで、積層方向からの加熱の温度としては、特に限定されず、80℃以上170℃以下とすることができる。そして、プレス前積層体を積層方向に加圧する時間としては、特に限定されず、10秒間〜30分間とすることができる。
本発明の積層体の製造方法により製造される積層体は、特に限定されず、熱伝導性等の熱特性に優れる二次シート(熱伝導シート)の作製に用いることができる。具体的には、本発明の積層体の製造方法により製造された積層体を、例えば積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得ることができる。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
なお、実施例および比較例において、一次シートの厚み方向、MD方向およびTD方向の熱伝導率、加熱プレス時の昇温時間、積層体の十点平均表面粗さRz、積層体からのヒーターの脱離性、並びに二次シートの比重および熱抵抗値は、それぞれ以下の方法を使用して測定および評価した。
一次シートについて、まず、厚み方向、MD方向およびTD方向の熱拡散率α(m2/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)、並びに密度ρ(g/m3)を、以下の方法で測定した。
−熱拡散率α−
熱物性測定装置(株式会社ベテル製、製品名「サーモウェーブアナライザTA35」)を使用して、一次シートの厚み方向、MD方向およびTD方向の熱拡散率α(m2/s)を、それぞれ測定した。
−定圧比熱Cp−
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下、一次シートの25℃における比熱を測定した。
−密度ρ−
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER−H」)を用いて、一次シートの密度ρ(g/m3)を測定した。
−熱伝導率λの算出−
そして、上記により得られた測定値を用い、下記式(I):
λ=α×Cp×ρ ・・・(I)
より、25℃における一次シートの厚み方向、MD方向およびTD方向の熱伝導率λ(W/m・K)を、それぞれ求めた。
加熱プレス時における積層体の中心部の温度を、熱電対にて経時的に測定できるようにした。そして、各実施例および比較例の条件に基づいて加熱プレスを行い、加熱開始から1分後をゼロとし、ヒーター温度と中心温度の差が20℃以下になる時間を、昇温時間として求めた。なお、ヒーター温度と中心温度の差が20℃以下になる時間が25分間以下であった場合には、いずれも昇温時間25分間とした。この時間が短いほど、積層体を効率的に製造することができることを示す。
加熱プレスした積層体における各側面の十点平均表面粗さRz(μm)を、表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、製品名「SJ−201」)を使用して測定した。
ここで、十点平均表面粗さRzとは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp1からYp5)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv1からYv5)の絶対値の平均値との和であり、式(II):
Rz=(|Yp1+Yp2+Yp3+Yp4+Yp5|
+|Yv1+Yv2+Yv3+Yv4+Yv5|)/5 ・・・(II)
によって算出される値である。側面が平滑な方が、言い換えれば上記Rzの値が小さい方が、その後のスライス工程において加工しやすい。
積層体からヒーターを取り外す時の取り外しやすさを、以下の基準に従って評価した。
○:積層体からヒーターをスムーズに取り外すことができる
×:積層体とヒーターとが密着するため、取り外し難い
二次シートの比重は、自動比重計(東洋精機社製、製品名「DENSIMETER−H」)を用いて測定した。
二次シートの熱抵抗値(厚さ方向)は、熱抵抗測定装置(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて、定常法で測定した。具体的には、1cm角の略正方形に切り取った各シートを試料とし、測定時の試料温度を50℃として、比較的低圧である0.05MPa下での熱抵抗値(℃/W)を測定した。熱抵抗値が小さいほど、二次シートが熱伝導性等の熱特性に優れ、例えば、熱伝導性シートとして発熱体と放熱体との間に介在させて放熱装置とした際の放熱特性に優れていることを示す。
<繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製>
繊維状の炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブ(日本ゼオン社製、比表面積:600m2/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN−20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、繊維状の炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
その後、上述で得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、繊維状炭素材料としての、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を得た。
溶媒としての酢酸エチル100質量部の存在下において、調製した繊維状炭素材料としての繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を0.1質量部と、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC50」、平均粒子径:250μm)を85質量部と、樹脂としての常温固体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG―704BP」)40質量部および常温液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG―101」)45質量部と、可塑剤としてのセバシン酸エステル(大八化学工業株式会社製、商品名「DOS」)5質量部とを、ホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT型」)を用いて5分攪拌混合した。得られた混合物を30分真空脱泡し、脱泡と同時に酢酸エチルの除去を行って、繊維状の炭素ナノ構造体A(SGCNT)と、膨張化黒鉛とを含む組成物を得た。そして、得られた組成物を解砕機に投入し、10秒間解砕した。
次いで、解砕した組成物5gを、サンドブラスト処理を施した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形し、厚み0.5mmの一次シートを得た。この一次シートについて、圧延成形の流れ方向に対し、平行な方向をMD方向、垂直な方向をTD方向と定義した。
そして、一次シートについて、上述の方法に従って、厚み方向、MD方向およびTD方向の熱伝導率を測定した。MD方向およびTD方向の熱伝導率の測定結果を表1に示す。
得られた一次シートを、15cm×15cmの平面視矩形状に、矩形の各辺がMD方向またはTD方向のいずれかと平行となるように複数枚裁断し、MD方向とTD方向とを揃えて厚み方向に300枚積層し、厚み約15cmの四角柱状の積層体(プレス前積層体)を得た。
得られたプレス前積層体の側面4面の全体を、金属板に貼り付けた接触式ヒーターとしてのヒーター(坂口電熱株式会社製、商品名「ラバーヒーター サミコン420」)で、ヒーターがプレス前積層体に接触するように押さえ付け、ヒーター温度を120℃にして、プレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱した。これと同時に、プレス前積層体を積層方向に、温度120℃、圧力0.25MPaで加熱プレスした。
そして、加熱プレス後の積層体について、上述の方法に従って、十点平均表面粗さRzおよびヒーターの脱離性を測定・評価した。結果を表1に示す。
続いて、加熱プレス後の積層体の積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層された一次シートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横60mm×厚み0.15mmの二次シート(熱伝導シート)を得た。
そして、得られた二次シートについて、上述の方法に従って、比重および熱抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
加熱プレスの際に、プレス前積層体の側面4面を押さえ付けるヒーターの表面に対し、離型シートとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(株式会社きもと製、商品名「離形フィルムZSM−01P」、グリップ力:47mN/50mm)を貼付し、離型シートを介してプレス前積層体の側面4面の全体を加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
加熱プレスの際に、プレス前積層体の側面4面の全体ではなく、積層体の側面4面のうち一次シートのMD方向の上流側および下流側にあたる側面2面の全体をヒーターで押さえ付けたこと以外は、実施例1と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
加熱プレスの際に、プレス前積層体の側面4面の全体ではなく、プレス前積層体の側面4面のうち一次シートのMD方向の上流側および下流側にあたる側面2面の、各中心部から積層方向それぞれ1.5cmに亘る矩形面(各側面の総面積の20%に相当)をヒーターで押さえ付けたこと以外は、実施例2と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
加熱プレスの際に、プレス前積層体を積層方向に圧力0.25MPaでプレスした(即ち、積層方向にプレスする時に、積層方向からの加熱は行わなかった)こと以外は、実施例2と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
加熱プレスの際に、ヒーターによるプレス前積層体の押さえ付けおよび側面からの積層体の加熱を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
一次シートの作製に用いる組成物の調製の際に、膨張化黒鉛の使用量を42.5質量部に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、組成物の調製、一次シートの作製、プレス前積層体の作製および加熱プレス並びに二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
Claims (7)
- プレス前積層体を加熱プレスして積層体を得る積層体の製造方法であって、
前記プレス前積層体は、面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上のシートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、折畳または捲回してなり、
前記加熱プレスは、前記プレス前積層体を前記積層方向に直交する方向から加熱することと、前記プレス前積層体を積層方向に加圧することとを含む、積層体の製造方法。 - 前記シートが、樹脂および炭素材料を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記プレス前積層体を、前記積層方向に直交する第一方向と、前記積層方向に直交し、且つ、前記第一方向に対向する第二方向とを含む2以上の方向から加熱する、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
- 前記プレス前積層体が、四角柱状の積層体であり、
前記加熱プレスは、前記プレス前積層体の側面のうち2以上の側面を全体的に加熱することを含む、請求項1〜3の何れかに記載の積層体の製造方法。 - 前記シートが、平面視矩形状のシートであり、且つ、矩形の一辺に平行な面内方向の熱伝導率が、前記一辺に直交する辺に平行な面内方向の熱伝導率よりも高く、
前記プレス前積層体は、前記シートを、前記一辺に平行な面内方向を揃え、複数枚積層して、或いは、折畳してなる四角柱状の積層体であり、
前記加熱プレスは、前記プレス前積層体を、少なくとも前記一辺に平行な方向から加熱することを含む、請求項1〜4の何れかに記載の積層体の製造方法。 - 前記加熱プレスが、前記プレス前積層体の側面全面を、接触式のヒーターにより加熱することを含む、請求項1〜5の何れかに記載の積層体の製造方法。
- 前記接触式ヒーターによる前記プレス前積層体の側面全面の加熱を、離型シートを介して行う、請求項6に記載の積層体の製造方法。
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