JP6801535B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体の製造方法に関するものである。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
電子部品の温度上昇による機能障害対策としては、一般に、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、通常、熱伝導率が高いシート状の部材(熱伝導シート)などの放熱部材を介在させた状態で発熱体と放熱体とを密着させて、放熱体から熱を逃がしている。
ここで、この熱伝導シートには、熱を効率的に発熱体から放熱体へと伝えるため、特に、シートの厚み方向の熱伝導性に優れることが求められている。そして、この要求への対応として、例えば、高熱伝導性材料を含む組成物をシート状に成形し、高熱伝導性材料を面内方向に配向させた一次シートを得、次いで、この一次シートを複数枚積層してなる積層体について、プレスすることで層間を接着させた後、積層方向にスライスすることにより、二次シートとして、高熱伝導性材料を厚み方向に配向させた熱伝導シートを得ることが提案されている。また、積層体の層間を接着させる効率を上げるため、上記プレスと同時に積層方向から加熱する(即ち、加熱プレスが行われる)こともある。
具体的には、例えば特許文献1では、樹脂と黒鉛粒子とを含む複合材料組成物をシート状に成形して黒鉛粒子が面内方向に配向した一次シートを得た後、得られた一次シートからなる積層体を、積層方向に0.3MPaの圧力をかけながら170℃で3時間加熱(加熱プレス)した後、積層方向にスライスすることにより、厚み方向の熱伝導性に優れた熱伝導シートを製造している。
特開2010−132856号公報
しかしながら、このような従来の加熱プレスの方法は、特に積層体のサイズが大きいほど、積層体の中心部まで効率的に熱を伝えることが困難となり、特許文献1のように、積層体の加熱に長時間を要するという問題があった。また、特許文献1のように積層体を長時間加熱した場合には、積層体のうち加熱源に近接する部分が熱により損傷し、当該積層体から作製される二次シートの熱特性が悪化し得るという問題もあった。
そこで、本発明は、一次シートの積層体であって、熱伝導性等の熱特性に優れる二次シートの作製に用いることができる積層体を効率的に製造可能な、積層体の製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体の製造方法は、プレス前積層体を加熱プレスして積層体を得る積層体の製造方法であって、前記プレス前積層体は、面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上のシートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、折畳または捲回してなり、前記加熱プレスは、前記プレス前積層体を前記積層方向に直交する方向から加熱することと、前記プレス前積層体を積層方向に加圧することとを含むことを特徴とする。このように、所定の熱伝導率を有するシートを用いたプレス前積層体に対して、積層方向に直交する方向からの加熱と、積層方向への加圧とを含む加熱プレスを行うことにより、短時間で熱を積層体の中心部に到達させることができ、且つ、得られる積層体を用いて作製される二次シートの厚み方向の熱伝導性等の熱特性を良好なものとすることができる。
ここで、本発明において、「面内方向の熱伝導率」は、本発明の実施例に記載の測定方法に従って測定した値を指し、「面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上」であるとは、面内の何れの方向においても熱伝導率が15W/m・K以上であることを指す。
本発明の積層体の製造方法では、前記シートが、樹脂および炭素材料を含むことが好ましい。シートが、樹脂を含むことにより、シート内でマトリックスを構成し、炭素材料などを結着する結着材として機能することができるとともに、炭素材料を含むことにより、当該シート、ひいては二次シートの熱伝導性等の熱特性を高めることができる。
本発明の積層体の製造方法では、前記プレス前積層体を、前記積層方向に直交する第一方向と、前記積層方向に直交し、且つ、前記第一方向に対向する第二方向とを含む2以上の方向から加熱することが好ましい。これにより、より短時間で熱を積層体の中心部に到達させることができるので、より効率的に積層体を製造することができる。
本発明の積層体の製造方法では、前記プレス前積層体が、四角柱状の積層体であり、前記加熱プレスは、前記プレス前積層体の側面のうち2以上の側面を全体的に加熱することを含むことが好ましい。これにより、プレス前積層体に対して熱を均一に且つ多量に付与できるとともに、積層体の矩形状の側面から、より短時間で熱を中心部に到達させることができるので、より効率的に積層体を製造することができる。
本発明の積層体の製造方法では、前記シートが、平面視矩形状のシートであり、且つ、矩形の一辺に平行な面内方向の熱伝導率が、前記一辺に直交する辺に平行な面内方向の熱伝導率よりも高く、前記プレス前積層体は、前記シートを、前記一辺に平行な面内方向を揃え、複数枚積層して、或いは、折畳してなる四角柱状の積層体であり、前記加熱プレスは、前記プレス前積層体を、少なくとも前記一辺に平行な方向から加熱することを含むことが好ましい。これにより、積層体の矩形状の側面から、熱伝導率がより高い面内方向に沿って熱が伝わって、より短時間で熱を中心部に到達させることができるので、より効率的に積層体を製造することができる。
本発明の積層体の製造方法では、前記加熱プレスが、前記プレス前積層体の側面全面を、接触式のヒーターにより加熱することを含むことが好ましい。これにより、プレス前積層体に対して多くの熱を迅速に付与することができ、積層体の製造効率を向上させることができる。また、側面全面にヒーターを接触させれば、側面が平滑な積層体を得ることができる。従って、当該積層体をシート状にスライスして二次シートを得る際に、スライス片の形状崩れを抑制し、得られる二次シートの熱伝導性等の熱特性を高めることができる。
また、本発明の積層体の製造方法では、前記接触式ヒーターによる前記プレス前積層体の側面全面の加熱を、離型シートを介して行うことが好ましい。これにより、加熱プレス後に得られる積層体の側面平滑性を一層向上させることができるため、当該積層体をシート状にスライスして二次シートを得る際に、スライス片の形状崩れを一層抑制することができる。
本発明によれば、一次シートの積層体であって、熱伝導性等の熱特性に優れる二次シートの作製に用いることができる積層体を効率的に製造可能な、積層体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されない。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、プレス前積層体を加熱プレスして積層体を得る積層体の製造方法である。ここで、プレス前積層体は、面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上のシート(一次シート)を厚み方向に複数枚積層して、或いは、折畳または捲回してなるものである。そして、本発明の積層体の製造方法は、上記加熱プレスが、前記プレス前積層体を前記積層方向に直交する方向から加熱することと、前記プレス前積層体を積層方向に加圧することとを含むことを特徴とする。
そして、本発明の積層体の製造方法により製造される積層体を、例えば、積層方向に対して所定の角度でスライスすれば、熱伝導性に優れた二次シート(熱伝導シート)を作製することができる。
<シート(一次シート)>
本発明の積層体の製造方法に用いられるシート(一次シート)は、面内方向の熱伝導率が、15W/m・K以上であることを要する。また、上記の一次シートは、面内方向の熱伝導率が、20W/m・K以上であることが好ましく、30W/m・K以上であることがより好ましい。また、上記の一次シートの面内方向の熱伝導率は、通常は200W/m・K以下である。一次シートの面内方向の熱伝導率が15W/m・K未満であると、一次シートの積層体を加熱プレスする際に、中心部まで効率的に熱が伝わらない虞があるとともに、得られる積層体を用いて二次シートを作製したときに、当該二次シートの厚み方向の熱伝導性等の熱特性が良好にならない虞がある。なお、一次シートの面内方向の熱伝導率は、例えば、シート作製時に用いる熱伝導性材料の種類、配合量を調節したり、シート状に成形する方法を適宜選択したりすることなどにより、調整することができる。
また、一次シートは、厚み方向の熱伝導率が、通常、10W/m・K以下である。このような一次シートの積層体は、サイズが大きくなる(例えば、積層方向の長さが10cm以上になる)と特に、積層方向に加熱しつつ加圧したとしても、中心部まで加熱するのに長時間を要する。しかしながら、一次シートの積層体を、積層方向に直交する方向から加熱すれば、当該積層体を中心部まで効率的に加熱することができる。
ここで、一次シートは、樹脂および炭素材料を含むことが好ましい。一次シートが、樹脂を含むことにより、シート内でマトリックスを構成し、炭素材料などを結着する結着材として機能することができるとともに、炭素材料を含むことにより、一次シート、ひいては二次シートの熱伝導性等の熱特性を高めることができる。
<<樹脂>>
一次シートが含み得る樹脂としては、特に限定されることなく、常温常圧下で液体の樹脂、および常温常圧下で固体の樹脂が挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、一次シートは、常温常圧下で液体の樹脂、および常温常圧下で固体の樹脂の両方を含むことが好ましい。
[常温常圧下で液体の樹脂]
一次シートが含み得る常温常圧下で液体の樹脂は、一次シートおよび二次シートにおいてマトリックス樹脂を構成し、後述する炭素材料などを結着する結着材として機能することができる。また、一次シートが常温常圧下で液体の樹脂を含むことで、当該一次シート、ひいては二次シートの柔軟性を良好にすることができ、例えば、二次シートと、二次シートを接着させる被着体との間の密着性を高めて、二次シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。
ここで、常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、二次シートを熱伝導シートとして使用する際に、当該二次シートと被着体との間の密着性を高めて発熱体から良好に放熱させるなどの観点からは、常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、一次シートの積層体から作製される二次シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性などを向上させる観点からは、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂が好ましい。
一次シートにおける常温常圧下で液体の樹脂の含有割合は、常温常圧下で液体の樹脂および後に詳述する常温常圧下で固体の樹脂の合計含有量の40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。常温常圧下で液体の樹脂の含有割合が上記下限以上であれば、当該一次シートの積層体から作製される二次シートの柔軟性をより高めて、例えば、二次シートと、二次シートを接着させる被着体との間の密着性をより良好にし得るため、二次シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。また、常温常圧下で液体の樹脂の含有割合が上記上限以下であれば、例えば、一次シートを用いてプレス前積層体を形成したとき、および当該プレス前積層体を加熱プレスしたときに、一次シートからの液垂れの発生を十分に抑えて、作業環境の汚染を抑制することができる。
[常温常圧下で固体の樹脂]
一次シートが含み得る常温常圧下で固体の樹脂は、一次シートおよび二次シートにおいてマトリックス樹脂を構成し、後述する炭素材料などを結着する結着材として機能することができる。また、一次シートが常温常圧下で固体の樹脂を含むことで、当該一次シートを用いてプレス前積層体を形成したとき、および当該プレス前積層体を加熱プレスしたときに、一次シートからの液垂れの発生を抑えて、作業環境の汚染を抑制することができる。
ここで、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、二次シートを熱伝導シートとして使用する際に、当該二次シートと被着体との良好な密着性を確保するなどの観点からは、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン−プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン−イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、一次シートの積層体から作製される二次シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性などを向上させる観点からは、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂であることが好ましい。
[含有量]
一次シートにおける樹脂全体の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが好ましい。樹脂の含有量が上記下限以上であれば、後述する炭素材料などを結着する結着材としての機能を十分にもたらすことができる。また、樹脂の含有量が上記上限以下であれば、一次シートの熱伝導性を良好に保持することができる。
<<炭素材料>>
一次シートが含み得る炭素材料としては、特に限定されることなく、繊維状炭素材料、粒子状炭素材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[繊維状炭素材料]
繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、繊維状炭素材料としては、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状の炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。一次シートにCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いれば、当該一次シート、ひいては二次シートの強度を向上させるとともに、これらシートの熱伝導性等の熱特性を更に向上させることができるからである。
ここで、繊維状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、10超であることが好ましい。なお、本発明において、「繊維状炭素材料のアスペクト比」は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて無作為に選択した100本の繊維状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
ここで、繊維状炭素材料は、市販品のものであってもよく、例えば、スーパーグロース法(国際公開第2006/011655号参照)に準じて、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を効率的に製造してもよい。
一次シートにおける繊維状炭素材料の含有量は、0.03質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、また、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。繊維状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、一次シートの積層体から作製される二次シート中において伝熱パスを良好に形成できるため、二次シートの熱伝導性をより高めることができると共に、強度をより高めることができる。また、繊維状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、繊維状炭素材料の配合により二次シートの柔軟性が低下するのを抑制し、二次シートおよび被着体間の密着性を高めて、二次シートに優れた熱伝導性を発揮させることができる。
[粒子状炭素材料]
粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、粒子状炭素材料としては、膨張化黒鉛を用いることが好ましい。一次シートに膨張化黒鉛を用いれば、当該一次シートの積層体から作製される二次シートの熱伝導性をより向上させることができる。ここで、膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
ここで、粒子状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。なお、本発明において、「粒子状炭素材料のアスペクト比」は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察された任意の50個の粒子状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
粒子状炭素材料の平均粒子径は、体積平均粒子径で1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。粒子状炭素材料の平均粒子径が上記下限以上であれば、一次シートの積層体から作製される二次シート中において粒子状炭素材料の伝熱パスをより良好に形成できるため、二次シートの熱伝導性をより高めることができる。また、粒子状炭素材料の平均粒子径が上記上限以下であれば、一次シートおよび二次シートの良好な柔軟性を確保することができるからである。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式「LA−960」)を用いて、レーザー回折法を用いて測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となるときの粒子径(D50)として求めることができる。
一次シートにおける粒子状炭素材料の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが好ましい。粒子状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、一次シートの積層体から作製される二次シート中において伝熱パスを良好に形成できるため、二次シートの熱伝導性をより高めることができる。また、粒子状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、粒子状炭素材料の配合により二次シートの柔軟性が低下するのを抑制し、二次シートおよび被着体間の密着性を高めて、二次シート優れた熱伝導性を発揮させることができる。
<一次シートの作製>
本発明の積層体の製造方法に用いられる一次シートは、例えば、樹脂および炭素材料と、更に添加剤などの任意成分とを含む組成物を調製し、この組成物を加圧してシート状に成形することにより、作製することができる。
<<組成物>>
組成物は、例えば、樹脂と、炭素材料と、添加剤などの任意成分とを混合して調製することができる。ここで、樹脂および炭素材料としては、一次シートに好ましく含まれる上述した樹脂および炭素材料を用いることができる。
添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、赤リン系難燃剤などの難燃剤;リン酸エステル系可塑剤などの可塑剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの吸湿剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物などの接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などの濡れ性向上剤;無機イオン交換体などのイオントラップ剤;粒子状炭素材料;等が挙げられる。
また、上述した成分の混合は、特に限定されることなく、ニーダー、ロール、ミキサー等の既知の混合装置を用いて行うことができる。また、混合は、有機溶剤等の溶媒の存在下で行ってもよい。そして、混合時間は、例えば5分以上60分以下とすることができる。また、混合温度は、例えば5℃以上150℃以下とすることができる。
<<組成物の成形>>
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧(一次加圧)してシート状に成形することができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形によりシート状に形成することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に圧延成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃とすることができる。
そして、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料等の炭素材料を含む組成物を加圧し、シート状に成形してなる一次シートでは、当該炭素材料が主として面内方向に配列し、特に面内方向の熱伝導性が向上するものと推察される。また、上述した炭素材料を含む組成物を、ロール間を通過させて圧延成形してなる一次シートは、圧延成形の流れ方向に対して平行な面内方向(MD方向)の熱伝導性が、圧延成形の流れ方向に対して垂直な面内方向(TD方向)の熱伝導性よりも良好になり、また、面内方向のうちTD方向の熱伝導性が最も悪くなる傾向にある。従って、上述した炭素材料を含む組成物を、ロール間を通過させて圧延成形したあと、圧延成形の流れ方向に対して垂直な方向に常法に従ってカットすることで、一辺に平行な面内方向の熱伝導率が、上記一辺に直交する辺に平行な面内方向の熱伝導率よりも高い平面視矩形状の一次シート(以下、「面内異方性一次シート」と称することがある。)が得られる。
なお、一次シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
<プレス前積層体>
本発明の積層体の製造方法に用いられるプレス前積層体は、上述した一次シートを厚み方向に複数枚積層することにより、或いは、上述した一次シートを折畳または捲回することにより、作製される。
ここで、プレス前積層体の作製においては、一次シートの表面同士の接着力をより高めて、プレス前積層体の層間剥離を十分に抑制する目的で、一次シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層、折畳または捲回してもよいし、一次シートの表面に接着剤を塗布した状態または一次シートの表面に接着層を設けた状態で積層、折畳または捲回してもよい。
プレス前積層体の厚みは、特に限定されることないが、後述する加熱プレスにより良好な圧着効果をもたらす観点から、例えば2cm以上30cm以下とすることができる。
また、プレス前積層体を構成する一次シートの枚数は、特に限定されることなく、例えば10枚以上6000枚以下とすることができる。なお、プレス前積層体を構成する一次シートには、本発明の目的を逸しない範囲において、面内方向の熱伝導率が15W/m・K未満の一次シートが含まれていてもよい。具体的に、プレス前積層体を構成する一次シートの枚数のうち、面内方向の熱伝導率が15W/m・K未満の一次シートの割合は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、0%であることが更に好ましい。
プレス前積層体の形状は、特に限定されるものではないが、四角柱状であることが好ましい。プレス前積層体が四角柱状であることにより、後述する加熱プレスの際に、当該プレス前積層体に対して、矩形状の側面から効率的に中心部まで熱を伝えることができる。なお、四角柱状のプレス前積層体は、例えば、平面視矩形状の一次シートを揃えて複数枚積層したり、平面視矩形状の一次シートを、一辺に平行な面内方向を揃えて折畳したりすることにより、作製することができる。
また、四角柱状のプレス前積層体は、一辺に平行な面内方向の熱伝導率が、上記一辺に直交する辺に平行な面内方向の熱伝導率よりも高い平面視矩形状の一次シート、即ち、上述した面内異方性一次シートを用い、これを、上記一辺に平行な面内方向を揃えて複数枚積層して、或いは、折畳してなる積層体(以下、「異方性プレス前積層体」と称することがある。)であることが好ましい。このような異方性プレス前積層体を用いることで、後述する加熱プレスの際に、当該プレス前積層体に対して、矩形状の側面から一層効率的に中心部まで熱を伝えることができる。
<プレス前積層体の加熱プレス>
そして、本発明の積層体の製造方法では、プレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱することと、プレス前積層体を積層方向に加圧することとを含む加熱プレスを行う。これにより、二次シートの作製に用いることができる積層体が得られる。
<<積層方向に直交する方向からの加熱>>
積層方向に直交する方向からのプレス前積層体の加熱は、短時間で熱を積層体の中心部に到達させ、積層体の製造効率の向上に寄与する操作である。
加熱プレス時にプレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱する際の、具体的な加熱する方向としては、積層方向に直交している方向であれば特に限定されず、任意の1方向のみであってもよいし、任意の2以上の方向であってもよい。ただし、加熱プレスでは、プレス前積層体を、積層方向に直交する任意の第一方向と、積層方向に直交し、且つ、上記第一方向に対向する第二方向とを含む2以上の方向から加熱することが好ましい。このように、少なくとも互いに対向する関係にある2方向からプレス前積層体の側部を加熱すれば、より短時間で熱を積層体の中心部に到達させることができるので、より効率的に積層体を製造することができる。
なお、プレス前積層体が複数の側面を有する場合、ヒーターで加熱する領域は、一部の側面のみであってもよいし、全ての側面であってもよい。また、加熱する領域は、加熱する側面の全面であってもよいし、加熱する側面の一部分のみであってもよい。中でも、十分に加熱する観点からは、加熱する領域は、加熱する側面の20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、全面であることが更に好ましい。
また、プレス前積層体として四角柱状の積層体を用いる場合には、当該プレス前積層体の側面4面のうち、2以上の側面を全体的に加熱することが好ましい。このように、四角柱状のプレス前積層体の2以上の側面を全体的に加熱すれば、プレス前積層体に対して熱を均一に且つ多量に付与できるとともに、積層体の矩形状の側面から、より短時間で熱を中心部に到達させることができるので、より効率的に積層体を製造することができる。
更に、上述した面内異方性一次シート(一辺に平行な面内方向の熱伝導率が、上記一辺に直交する辺に平行な面内方向の熱伝導率よりも高い平面視矩形状の一次シート)を、上記一辺に平行な面内方向を揃え、複数枚積層して、或いは、折畳してなる四角柱状のプレス前積層体を用いる場合には、当該プレス前積層体を、少なくとも上記一辺に平行な方向から加熱することも好ましい。このようにすれば、積層体の矩形状の側面から、熱伝導率がより高い面内方向に沿って熱が伝わって、より短時間で熱を中心部に到達させることができる。従って、より効率的に積層体を製造することができる。
なお、プレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱する際には、加熱の対象となるプレス前積層体の側部を、後述する接触式ヒーターなどで押さえ付けることが好ましい。これにより、加熱時に、プレス前積層体の当該側部の平面視形状を保持することができ、得られる積層体の密度の低下および不所望な変形を抑制することができる。
ここで、積層方向に直交する方向からのプレス前積層体の加熱は、接触式ヒーターおよび非接触式ヒーターのいずれでも行うことができるが、とりわけ、接触式ヒーターで行うことが好ましい。接触式ヒーターであれば、上述の通りプレス前積層体の側部を押さえ付けて形状を保持することができる上、プレス前積層体に対して多くの熱を迅速に付与することができ、積層体の製造効率を向上させることができるからである。そして、加熱プレスでは、接触式ヒーターにより、プレス前積層体の側面全面を加熱することが好ましい。このように、プレス前積層体の側面全面を接触式ヒーターで加熱すれば、側面が平滑な積層体を得ることができるため、当該積層体をシート状にスライスして二次シートを得るにあたり、当該積層体をスライス装置にセッティングする際のハンドリング性が向上するとともに、スライス片の形状崩れを抑制することができる。加えて、プレス前積層体の側面全面が接触式ヒーターで押さえ付けられるので、加熱時にプレス前積層体の平面視形状を保持して、得られる積層体の密度の低下および不所望な変形を抑制することができる。
なお、接触式ヒーターによるプレス前積層体の側面の加熱は、プレス前積層体と接触式ヒーターとの脱離性を良好にするため、離型シートを介して行うことが好ましい。特に、離型シートを介して、プレス前積層体の側面全面を接触式ヒーターにより加熱すれば、加熱プレス後に得られる積層体の側面平滑性を一層向上させることができるため、当該積層体をシート状にスライスして二次シートを得るにあたり、当該積層体をスライス装置にセッティングする際のハンドリング性が一層向上するとともに、スライス片の形状崩れを一層抑制することができる。
なお、離型シートとしては、特に限定されないが、シリコーン等で離型処理されたシートを用いることが好ましい。また、用いる離型シートは、グリップ力が8000mN/50mm以下であることが好ましい。そのような離型フィルムとして、具体的には、シリコーン剥離フィルム0E(株式会社フジコー製)、離型フィルムZSM−01P(株式会社きもと製)、エンブレット(登録商標)PTHA−50(ユニチカ株式会社製)などが挙げられる。
ここで、本発明において、離型シートの「グリップ力」は、離型シートを25mm×125mmの短冊状に切り出して試験体とし、試験体のうち被着体(プレス前積層体)と接触する方の面に対してポリエステル粘着テープ(日東電工製、商品名「No.31B」)を貼りつけ、引張り試験機(島津製作所社製、製品名「オートグラフAG−IS 20kN」)を用いて、JIS Z−0237に準拠して、剥離速度500mm/分、剥離角度180°の条件で測定される、試験体と試験体に貼りつけられたポリエステル粘着テープとの間の剥離力(mN/50mm)を指すものとする。
プレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱する際の加熱温度としては、特に限定されず、50℃以上170℃以下であることが好ましい。
<<積層方向への加圧>>
積層方向へのプレス前積層体の加圧は、得られる積層体の層間の接着性を高めて、当該積層体をシート状にスライスする際における、シート千切れ等の抑制に寄与する操作である。
プレス前積層体を積層方向に加圧する際の圧力は、特に限定されず、0.05MPa以上0.5MPa以下とすることができる。また、プレス前積層体を積層方向に加圧する際には、同時にまたは加圧時の任意のタイミングで、プレス前積層体を積層方向から加熱することが好ましい。ここで、積層方向からの加熱の温度としては、特に限定されず、80℃以上170℃以下とすることができる。そして、プレス前積層体を積層方向に加圧する時間としては、特に限定されず、10秒間〜30分間とすることができる。
なお、加熱プレスでは、積層方向への加圧を、上述した積層方向に直交する方向からの加熱と同時に行ってもよく、或いは、上述した積層方向に直交する方向からの加熱の後に行ってもよい。ただし、積層体の製造効率を上げるとともに、得られる積層体の層間の接着をより高める観点から、加熱プレスでは、積層方向への加圧を、上述した積層方向に直交する方向からの加熱と同時に行うことが好ましい。
<積層体の用途>
本発明の積層体の製造方法により製造される積層体は、特に限定されず、熱伝導性等の熱特性に優れる二次シート(熱伝導シート)の作製に用いることができる。具体的には、本発明の積層体の製造方法により製造された積層体を、例えば積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得ることができる。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
なお、熱伝導シートの熱伝導性を高める観点からは、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して30°以下であることが好ましく、積層方向に対して15°以下であることがより好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが好ましい。
また、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際の積層体の温度は−20℃以上30℃以下とすることが好ましい。更に、同様の理由により、スライスする積層体は、積層方向とは垂直な方向に圧力を負荷しながらスライスすることが好ましく、積層方向とは垂直な方向に0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力を負荷しながらスライスすることがより好ましい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、一次シートの厚み方向、MD方向およびTD方向の熱伝導率、加熱プレス時の昇温時間、積層体の十点平均表面粗さRz、積層体からのヒーターの脱離性、並びに二次シートの比重および熱抵抗値は、それぞれ以下の方法を使用して測定および評価した。
<一次シートの厚み方向、MD方向およびTD方向の熱伝導率>
一次シートについて、まず、厚み方向、MD方向およびTD方向の熱拡散率α(m/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)、並びに密度ρ(g/m)を、以下の方法で測定した。
−熱拡散率α−
熱物性測定装置(株式会社ベテル製、製品名「サーモウェーブアナライザTA35」)を使用して、一次シートの厚み方向、MD方向およびTD方向の熱拡散率α(m/s)を、それぞれ測定した。
−定圧比熱Cp−
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下、一次シートの25℃における比熱を測定した。
−密度ρ−
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER−H」)を用いて、一次シートの密度ρ(g/m)を測定した。
−熱伝導率λの算出−
そして、上記により得られた測定値を用い、下記式(I):
λ=α×Cp×ρ ・・・(I)
より、25℃における一次シートの厚み方向、MD方向およびTD方向の熱伝導率λ(W/m・K)を、それぞれ求めた。
<加熱プレス時の昇温時間>
加熱プレス時における積層体の中心部の温度を、熱電対にて経時的に測定できるようにした。そして、各実施例および比較例の条件に基づいて加熱プレスを行い、加熱開始から1分後をゼロとし、ヒーター温度と中心温度の差が20℃以下になる時間を、昇温時間として求めた。なお、ヒーター温度と中心温度の差が20℃以下になる時間が25分間以下であった場合には、いずれも昇温時間25分間とした。この時間が短いほど、積層体を効率的に製造することができることを示す。
<積層体の十点平均表面粗さRz>
加熱プレスした積層体における各側面の十点平均表面粗さRz(μm)を、表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、製品名「SJ−201」)を使用して測定した。
ここで、十点平均表面粗さRzとは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp1からYp5)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv1からYv5)の絶対値の平均値との和であり、式(II):
Rz=(|Yp1+Yp2+Yp3+Yp4+Yp5|
+|Yv1+Yv2+Yv3+Yv4+Yv5|)/5 ・・・(II)
によって算出される値である。側面が平滑な方が、言い換えれば上記Rzの値が小さい方が、その後のスライス工程において加工しやすい。
<積層体からのヒーターの脱離性>
積層体からヒーターを取り外す時の取り外しやすさを、以下の基準に従って評価した。
○:積層体からヒーターをスムーズに取り外すことができる
×:積層体とヒーターとが密着するため、取り外し難い
<二次シートの比重>
二次シートの比重は、自動比重計(東洋精機社製、製品名「DENSIMETER−H」)を用いて測定した。
<二次シートの熱抵抗値>
二次シートの熱抵抗値(厚さ方向)は、熱抵抗測定装置(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて、定常法で測定した。具体的には、1cm角の略正方形に切り取った各シートを試料とし、測定時の試料温度を50℃として、比較的低圧である0.05MPa下での熱抵抗値(℃/W)を測定した。熱抵抗値が小さいほど、二次シートが熱伝導性等の熱特性に優れ、例えば、熱伝導性シートとして発熱体と放熱体との間に介在させて放熱装置とした際の放熱特性に優れていることを示す。
(実施例1)
<繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製>
繊維状の炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブ(日本ゼオン社製、比表面積:600m/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN−20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、繊維状の炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
その後、上述で得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、繊維状炭素材料としての、繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を得た。
<組成物の調製>
溶媒としての酢酸エチル100質量部の存在下において、調製した繊維状炭素材料としての繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を0.1質量部と、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC50」、平均粒子径:250μm)を85質量部と、樹脂としての常温固体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG―704BP」)40質量部および常温液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG―101」)45質量部と、可塑剤としてのセバシン酸エステル(大八化学工業株式会社製、商品名「DOS」)5質量部とを、ホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT型」)を用いて5分攪拌混合した。得られた混合物を30分真空脱泡し、脱泡と同時に酢酸エチルの除去を行って、繊維状の炭素ナノ構造体A(SGCNT)と、膨張化黒鉛とを含む組成物を得た。そして、得られた組成物を解砕機に投入し、10秒間解砕した。
<一次シートの作製>
次いで、解砕した組成物5gを、サンドブラスト処理を施した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形し、厚み0.5mmの一次シートを得た。この一次シートについて、圧延成形の流れ方向に対し、平行な方向をMD方向、垂直な方向をTD方向と定義した。
そして、一次シートについて、上述の方法に従って、厚み方向、MD方向およびTD方向の熱伝導率を測定した。MD方向およびTD方向の熱伝導率の測定結果を表1に示す。
<プレス前積層体の作製>
得られた一次シートを、15cm×15cmの平面視矩形状に、矩形の各辺がMD方向またはTD方向のいずれかと平行となるように複数枚裁断し、MD方向とTD方向とを揃えて厚み方向に300枚積層し、厚み約15cmの四角柱状の積層体(プレス前積層体)を得た。
<プレス前積層体の加熱プレス>
得られたプレス前積層体の側面4面の全体を、金属板に貼り付けた接触式ヒーターとしてのヒーター(坂口電熱株式会社製、商品名「ラバーヒーター サミコン420」)で、ヒーターがプレス前積層体に接触するように押さえ付け、ヒーター温度を120℃にして、プレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱した。これと同時に、プレス前積層体を積層方向に、温度120℃、圧力0.25MPaで加熱プレスした。
そして、加熱プレス後の積層体について、上述の方法に従って、十点平均表面粗さRzおよびヒーターの脱離性を測定・評価した。結果を表1に示す。
<二次シートの作製>
続いて、加熱プレス後の積層体の積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層された一次シートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横60mm×厚み0.15mmの二次シート(熱伝導シート)を得た。
そして、得られた二次シートについて、上述の方法に従って、比重および熱抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
加熱プレスの際に、プレス前積層体の側面4面を押さえ付けるヒーターの表面に対し、離型シートとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(株式会社きもと製、商品名「離形フィルムZSM−01P」、グリップ力:47mN/50mm)を貼付し、離型シートを介してプレス前積層体の側面4面の全体を加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
(実施例3)
加熱プレスの際に、プレス前積層体の側面4面の全体ではなく、積層体の側面4面のうち一次シートのMD方向の上流側および下流側にあたる側面2面の全体をヒーターで押さえ付けたこと以外は、実施例1と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
(実施例4)
加熱プレスの際に、プレス前積層体の側面4面の全体ではなく、プレス前積層体の側面4面のうち一次シートのMD方向の上流側および下流側にあたる側面2面の、各中心部から積層方向それぞれ1.5cmに亘る矩形面(各側面の総面積の20%に相当)をヒーターで押さえ付けたこと以外は、実施例2と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
(実施例5)
加熱プレスの際に、プレス前積層体を積層方向に圧力0.25MPaでプレスした(即ち、積層方向にプレスする時に、積層方向からの加熱は行わなかった)こと以外は、実施例2と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
(比較例1)
加熱プレスの際に、ヒーターによるプレス前積層体の押さえ付けおよび側面からの積層体の加熱を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、プレス前積層体の加熱プレスおよび二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
(比較例2)
一次シートの作製に用いる組成物の調製の際に、膨張化黒鉛の使用量を42.5質量部に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、組成物の調製、一次シートの作製、プレス前積層体の作製および加熱プレス並びに二次シートの作製を行った。各測定・評価の結果を表1に示す。
Figure 0006801535
表1より、実施例1〜5では、加熱プレス時の昇温時間が短いため、積層体を効率的に製造することができる上、二次シートの比重(密度)が高くて熱抵抗値が小さいので、熱伝導性に優れることが分かる。一方、表1より、比較例1では、加熱プレス時にプレス前積層体を積層方向に直交する方向から加熱していないので、昇温に長時間を要していることが分かる。また、比較例2では、作製した一次シートの面内方向の熱伝導率が小さいため、昇温に長時間を要しているとともに、二次シートの熱抵抗値が大きいので、熱伝導性に劣ることが分かる。
本発明によれば、一次シートの積層体であって、熱伝導性等の熱特性に優れる二次シートの作製に用いることができる積層体を効率的に製造可能な、積層体の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. プレス前積層体を加熱プレスして積層体を得る積層体の製造方法であって、
    前記プレス前積層体は、面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上のシートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、折畳または捲回してなり、
    前記加熱プレスは、前記プレス前積層体を前記積層方向に直交する方向から加熱することと、前記プレス前積層体を積層方向に加圧することとを含む、積層体の製造方法。
  2. 前記シートが、樹脂および炭素材料を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記プレス前積層体を、前記積層方向に直交する第一方向と、前記積層方向に直交し、且つ、前記第一方向に対向する第二方向とを含む2以上の方向から加熱する、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記プレス前積層体が、四角柱状の積層体であり、
    前記加熱プレスは、前記プレス前積層体の側面のうち2以上の側面を全体的に加熱することを含む、請求項1〜3の何れかに記載の積層体の製造方法。
  5. 前記シートが、平面視矩形状のシートであり、且つ、矩形の一辺に平行な面内方向の熱伝導率が、前記一辺に直交する辺に平行な面内方向の熱伝導率よりも高く、
    前記プレス前積層体は、前記シートを、前記一辺に平行な面内方向を揃え、複数枚積層して、或いは、折畳してなる四角柱状の積層体であり、
    前記加熱プレスは、前記プレス前積層体を、少なくとも前記一辺に平行な方向から加熱することを含む、請求項1〜4の何れかに記載の積層体の製造方法。
  6. 前記加熱プレスが、前記プレス前積層体の側面全面を、接触式のヒーターにより加熱することを含む、請求項1〜5の何れかに記載の積層体の製造方法。
  7. 前記接触式ヒーターによる前記プレス前積層体の側面全面の加熱を、離型シートを介して行う、請求項6に記載の積層体の製造方法。
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