JP6907636B2 - 熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導シートの製造方法に関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
電子部品の温度上昇による機能障害対策としては、一般に、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。また、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、良好な熱伝導性を発揮するシート状の部材(熱伝導シート)を介して発熱体と放熱体とを密着させている。そして、発熱体と放熱体との間に配設される熱伝導シートには、高い熱伝導性に加えて、高い機械特性を有することが求められている。
熱伝導シートは、一般に、柔軟性に優れる樹脂と熱伝導性に優れる炭素材料とを含む組成物から製造されている。例えば、特許文献1には、フッ素樹脂と膨張化黒鉛とを含む組成物を加圧してシート状に成形してプレ熱伝導シートを形成し、次いでプレ熱伝導シートを折畳または捲回して積層体を形成した後、積層体を積層方向に対して所定の角度でスライスする、いわゆる積層スライス法により、難燃性および機械特性に優れる熱伝導シートを形成する技術が記載されている。
国際公開第2016/185688号
上記積層スライス法により形成した熱伝導シートの機械特性を高めるためには、積層体を構成するプレ熱伝導シート間の密着性を高めることが重要である。この点について、特許文献1には、プレ熱伝導シート間の密着性を高めるために、シート表面に接着剤を塗布することが記載されている。しかし、コストや簡便性の点から、接着剤を用いず、熱プレスにより積層体をプレスしてシート間の密着性を向上させることが好ましい。熱プレスによりシート間の密着性が向上し、ひいては熱伝導シートの機械特性も向上することが期待できる。
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、熱プレスした積層体から作製した熱伝導シートの機械特性は、熱プレスしない場合に比べて、さほど変化しないことが判明した。一方で、得られた熱伝導シートを、発熱体と放熱体との間に比較的低い挟持圧力で挟み込んで使用すると、熱プレスしない場合に比べて、熱抵抗値が高くなることも判明した。
そこで、本発明の目的は、高い機械特性を有するとともに、比較的低い挟持圧力下で優れた熱伝導性を有する熱伝導シートを製造する方法を提供することにある。ここで、「比較的低い挟持圧力」とは、挟持圧力が0.05MPa以下(絶対圧)であることを指す。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、プレ熱伝導シートの積層体を、真空雰囲気下において、複数枚のプレ熱伝導シートを一枚ずつ積層してプレスして形成することが極めて有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートの製造方法は、複数枚のプレ熱伝導シートを厚み方向に積層して積層体とする積層体形成工程と、前記積層体を積層方向に対して所定の角度でスライスして複数枚の熱伝導シートとするスライス工程とを備える熱伝導シートの製造方法において、前記積層体形成工程は、真空雰囲気下において、前記複数枚のプレ熱伝導シートを一枚ずつ積層してプレスすることを特徴とする。本発明の熱伝導シートの製造方法により、高い機械特性を有するとともに、比較的低い挟持圧力下で優れた熱伝導性を有する熱伝導シートを製造することができる。
また、本発明の熱伝導シートの製造方法は、真空雰囲気の減圧度が−40kPa超えであることが好ましい。これにより、比較的低い挟持圧力での熱抵抗値を低減することができる。
さらに、プレ熱伝導シートをプレスする際に印加する圧力は0.5MPa未満であることが好ましい。これにより、比較的低い挟持圧力での熱抵抗値を低減することができる。
さらにまた、積層体形成工程とスライス工程との間に、積層体を積層方向に圧縮率10%以下で圧縮する圧縮工程をさらに備えることが好ましい。これにより、積層体の外周部の損傷を防止することができる。
また、プレ熱伝導シートを積層する際に、プレ熱伝導シートを保持する位置がプレ熱伝導シートの外周から5cm未満の位置であることが好ましい。これにより、積層体の外周部の損傷を防止することができる。
さらに、プレ熱伝導シートが樹脂と粒子状フィラーとを含むことが好ましい。これにより、プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シートの柔軟性を得ることができ、また熱伝導性を高めることができる。
さらにまた、粒子状フィラーが炭素材料を含むことが好ましい。これにより、プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シートの熱伝導性を高めることができる。
本発明によれば、高い機械特性を有するとともに、比較的低い挟持圧力下で優れた熱伝導性を有する熱伝導シートを製造することができる。
カセットに収容された複数枚のプレ熱伝導シートから1枚のシートを取り出す様子を示す図である。 位置決めステージにおいて取り出したプレ熱伝導シートを位置決めする様子を示す図である。 チャンバーにおいて位置決めしたプレ熱伝導シートを真空雰囲気下において積層してプレスする様子を示す図である。
(熱伝導シートの製造方法)
本発明の熱伝導シートの製造方法は、複数枚のプレ熱伝導シートを厚み方向に積層して積層体とする積層体形成工程と、上記積層体を積層方向にスライスして複数枚の熱伝導シートとするスライス工程とを備える。ここで、上記積層体形成工程は、真空雰囲気下において、複数枚のプレ熱伝導シートを一枚ずつ積層してプレスすることを特徴とする。これにより、プレ熱伝導シート間の空気を抜いてシート同士を良好に密着させて、高い機械特性を有するとともに、比較的低い圧力下で優れた熱伝導性を有する熱伝導シートを製造することができる。
<プレ熱伝導シートの用意>
まず、本発明の熱伝導シートの製造方法に用いるプレ熱伝導シートを用意する。このプレ熱伝導シートは、最終的に得られる熱伝導シートを構成するシートである。
<<プレ熱伝導シート>>
プレ熱伝導シートは、面内方向の熱伝導率が、15W/m・K以上であることが好ましく、20W/m・K以上であることがより好ましく、30W/m・K以上であることがさらに好ましい。また、上記のプレ熱伝導シートの面内方向の熱伝導率は、通常は200W/m・K以下である。プレ熱伝導シートの面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上とすることにより、得られた積層体を用いて熱伝導シートを作製したときに、当該熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を良好なものとすることができる。なお、プレ熱伝導シートの面内方向の熱伝導率は、例えば、シート作製時に用いる熱伝導性材料の種類、配合量を調節したり、シート状に成形する方法を適宜選択したりすることなどにより、調整することができる。
プレ熱伝導シートは、樹脂および粒子状フィラーを含むことが好ましい。プレ熱伝導シートが樹脂を含むことにより、シート内でマトリックスを構成し、粒子状フィラーを結着する結着材として機能することができる。また、プレ熱伝導シートが粒子状フィラーを含むことにより、プレ熱伝導シート、ひいては熱伝導シートの熱伝導性を高めることができる。
[樹脂]
プレ熱伝導シートが含み得る樹脂としては、特に限定されることなく、常温常圧下で液体の樹脂、および常温常圧下で固体の樹脂が挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、プレ熱伝導シートは、常温常圧下で液体の樹脂、および常温常圧下で固体の樹脂の両方を含むことが好ましい。
[[常温常圧下で液体の樹脂]]
プレ熱伝導シートが含み得る常温常圧下で液体の樹脂は、プレ熱伝導シートおよび熱伝導シートにおいてマトリックス樹脂を構成し、後述する炭素材料などを結着する結着材として機能することができる。また、プレ熱伝導シートが常温常圧下で液体の樹脂を含むことにより、当該プレ熱伝導シート、ひいては熱伝導シートの柔軟性を良好にすることができ、例えば、熱伝導シートと、該熱伝導シートを接着させる被着体との間の密着性を高めて、熱伝導シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。
ここで、常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、熱伝導シートと被着体との間の密着性を高めて発熱体から良好に放熱させるなどの観点からは、常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性などを向上させる観点からは、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂が好ましい。
プレ熱伝導シートにおける常温常圧下で液体の樹脂の含有割合は、常温常圧下で液体の樹脂および後に詳述する常温常圧下で固体の樹脂の合計含有量の40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。常温常圧下で液体の樹脂の含有割合が上記下限以上であれば、当該プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シートの柔軟性をより高めて、例えば、熱伝導シートと、熱伝導シートを接着させる被着体との間の密着性をより良好にし得るため、熱伝導シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。また、常温常圧下で液体の樹脂の含有割合が上記上限以下であれば、例えば、プレ熱伝導シートを用いてプレス前積層体を形成したとき、および当該プレス前積層体を加熱プレスしたときに、プレ熱伝導シートからの液垂れの発生を十分に抑えて、作業環境の汚染を抑制することができる。
[[常温常圧下で固体の樹脂]]
プレ熱伝導シートが含み得る常温常圧下で固体の樹脂は、プレ熱伝導シートおよび熱伝導シートにおいてマトリックス樹脂を構成し、後述する炭素材料などを結着する結着材として機能することができる。また、プレ熱伝導シートが常温常圧下で固体の樹脂を含むことにより、当該プレ熱伝導シートを用いてプレス前積層体を形成したとき、および当該プレス前積層体を加熱プレスしたときに、プレ熱伝導シートからの液垂れの発生を抑えて、作業環境の汚染を抑制することができる。
ここで、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、熱伝導シートと被着体との良好な密着性を確保するなどの観点からは、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン−プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン−イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シートの難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性などを向上させる観点からは、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂であることが好ましい。
[[含有量]]
プレ熱伝導シートにおける樹脂全体の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが好ましい。樹脂の含有量が上記下限以上であれば、後述する炭素材料などを結着する結着材としての機能を十分にもたらすことができる。また、樹脂の含有量が上記上限以下であれば、プレ熱伝導シートの熱伝導性を良好に保持することができる。
[粒子状フィラー]
プレ熱伝導シートが粒子状フィラーを含むことにより、プレ熱伝導シート、ひいては熱伝導シートの熱伝導性を向上させることができる。こうした粒子状フィラーとしては、高い熱伝導率を有する粒子状の炭素材料を好適に使用することができる。
[[粒子状炭素材料]]
粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、粒子状炭素材料としては、膨張化黒鉛を用いることが好ましい。プレ熱伝導シートに膨張化黒鉛を用いれば、当該プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シートの熱伝導性をより向上させることができる。ここで、膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
ここで、粒子状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましい。なお、本発明において、「粒子状炭素材料のアスペクト比」は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察された任意の50個の粒子状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
粒子状炭素材料の平均粒子径は、体積平均粒子径で1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。粒子状炭素材料の平均粒子径が上記下限以上であれば、プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シート中において粒子状炭素材料の伝熱パスをより良好に形成できるため、熱伝導シートの熱伝導性をより高めることができる。また、粒子状炭素材料の平均粒子径が上記上限以下であれば、プレ熱伝導シートおよび熱伝導シートの良好な柔軟性を確保することができるからである。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式「LA−960」)を用いて、レーザー回折法を用いて測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となるときの粒子径(D50)として求めることができる。
プレ熱伝導シートにおける粒子状炭素材料の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが好ましい。粒子状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シート中において伝熱パスを良好に形成できるため、熱伝導シートの熱伝導性をより高めることができる。また、粒子状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、粒子状炭素材料の配合により熱伝導シートの柔軟性が低下するのを抑制し、熱伝導シートおよび被着体間の密着性を高めて、熱伝導シート優れた熱伝導性を発揮させることができる。
[[繊維状炭素材料]]
また、プレ熱伝導シートは、任意に繊維状炭素材料を含んでもよい。この繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、繊維状炭素材料としては、CNTなどの繊維状の炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。プレ熱伝導シートにCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を用いれば、当該プレ熱伝導シート、ひいては熱伝導シートの強度を向上させるとともに、これらシートの熱伝導性等の熱特性を更に向上させることができるからである。
ここで、繊維状炭素材料のアスペクト比(長径/短径)は、10超であることが好ましい。なお、本発明において、「繊維状炭素材料のアスペクト比」は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて無作為に選択した100本の繊維状炭素材料について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径の比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
ここで、繊維状炭素材料は、市販品のものであってもよく、例えば、スーパーグロース(SG)法(国際公開第2006/011655号参照)に準じて、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体を効率的に製造してもよい(以下、SG法により得られたCNTを「SGCNT」とも称することがある。)。
プレ熱伝導シートにおける繊維状炭素材料の含有量は、0.03質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、また、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。繊維状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、プレ熱伝導シートの積層体から作製される熱伝導シート中において伝熱パスを良好に形成できるため、熱伝導シートの熱伝導性をより高めることができると共に、強度をより高めることができる。また、繊維状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、繊維状炭素材料の配合により熱伝導シートの柔軟性が低下するのを抑制し、熱伝導シートおよび被着体間の密着性を高めて、熱伝導シートに優れた熱伝導性を発揮させることができる。
<<プレ熱伝導シートの作製>>
本発明の熱伝導シートの製造方法に用いられるプレ熱伝導シートは、例えば、樹脂および炭素材料などのフィラーと、更に添加剤などの任意成分とを含む組成物を調製し、この組成物を加圧してシート状に成形することにより、作製することができる。
[組成物]
組成物は、例えば、樹脂と、フィラーと、添加剤などの任意成分とを混合して調製することができる。ここで、樹脂およびフィラーとしては、プレ熱伝導シートに好ましく含まれる上述した樹脂およびフィラーを用いることができる。
添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、赤リン系難燃剤などの難燃剤;リン酸エステル系可塑剤などの可塑剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの吸湿剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物などの接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などの濡れ性向上剤;無機イオン交換体などのイオントラップ剤;粒子状炭素材料;等が挙げられる。
また、上述した成分の混合は、特に限定されることなく、ニーダー、ロール、ミキサー等の既知の混合装置を用いて行うことができる。また、混合は、有機溶剤等の溶媒の存在下で行ってもよい。そして、混合時間は、例えば5分以上60分以下とすることができる。また、混合温度は、例えば5℃以上200℃以下とすることができる。
[組成物の成形]
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧(一次加圧)してシート状に成形することができる。ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形によりシート状に形成することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に圧延成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃とすることができる。
そして、上記フィラーとして、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料等の炭素材料を含む組成物を加圧し、シート状に成形してなるプレ熱伝導シートでは、当該炭素材料が主として面内方向に配列し、特に面内方向の熱伝導性が向上するものと推察される。また、上述した炭素材料を含む組成物を、ロール間を通過させて圧延成形してなるプレ熱伝導シートは、圧延成形の流れ方向に対して平行な面内方向(MD方向)の熱伝導性が、圧延成形の流れ方向に対して垂直な面内方向(TD方向)の熱伝導性よりも良好になり、また、面内方向のうちTD方向の熱伝導性が最も悪くなる傾向にある。従って、上述した炭素材料を含む組成物を、ロール間を通過させて圧延成形したあと、圧延成形の流れ方向に対して垂直な方向に常法に従ってカットすることにより、一辺に平行な面内方向の熱伝導率が、上記一辺に直交する辺に平行な面内方向の熱伝導率よりも高い平面視矩形状のプレ熱伝導シートが得られる。
なお、プレ熱伝導シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
<積層体形成工程>
次に、上述のように用意した複数枚のプレ熱伝導シートを厚み方向に積層して積層体を形成する。ここで、上記積層体の形成は、真空雰囲気下において、上記複数枚のプレ熱伝導シートを一枚ずつ積層してプレスすることが肝要である。これにより、積層体から作製される熱伝導シートの機械特性を向上させることができる。機械特性が向上する理由としては、プレ熱伝導シートの積層を真空雰囲気下で行うことにより、プレ熱伝導シート間の空気が抜かれて、シート同士の密着性が向上するためと考えられる。
また、上記積層体の形成を真空雰囲気下で行うことによって、最終的に得られる熱伝導シートの比較的低い圧力下での熱抵抗値を低減することができる。この理由は必ずしも明らかではないが、以下の理由によるものと考えられる。まず、プレ熱伝導シートの積層を真空雰囲気下で行うことにより、プレ熱伝導シート間の密着性が向上する。その結果、スライスをした際にシート内の条片同士が分離することなくより平滑なスライス面を形成することとなる(シート表面に微細なクラック等が生じにくい)。熱伝導シートの表面が平滑であると、熱源あるいは放熱部(ヒートシンク等)への密着性が良好になるため、界面抵抗が低くなり、熱抵抗が下がったものと考えられる。
上記積層体の形成は、例えば以下のように行うことができる。すなわちまず、図1(a)に示すように、複数枚のプレ熱伝導シート2が収容されたカセット1から、図1(b)に示すように、搬送チャックA(3)の吸着パッド3aにより、最表面のプレ熱伝導シートSの表面を保持して取り出す。
次いで、任意に、取り出したプレ熱伝導シートSを、図2(a)に示すように位置決めステージ4に搬送して載置し、図2(b)に示すように、位置決め爪5によりプレ熱伝導シートSの位置決めを行う。その後、図2(c)に示すように、搬送チャックB(6)をプレ伝熱シートSの上方に配置した後、図2(d)に示すように、搬送チャックB(6)により積層吸着板6aを通じてプレ熱伝導シートSの表面を保持する。
続いて、図3(a)に示すように、搬送チャックB(6)によりプレ熱伝導シートSをチャンバー7へ搬送する。ここで、搬送チャックB(6)における積層吸着板6aは、チャンバー7の上蓋として機能し、積層吸着板6aをチャンバー7の上部に配置することにより、チャンバー7の内部を密閉することができるように構成されている。また、チャンバー7内の下方には、既に積層されたプレ熱伝導シート8が載置された台9が配置されており、昇降手段10により昇降可能に構成されている。
図3(a)に示したように、チャンバー7の上部に積層吸着板6aを配置してチャンバー7内を密閉した後、チャンバー7内を所定の減圧度で減圧して、チャンバー7の内部を真空雰囲気とする。そして、図3(b)に示すように、昇降手段10により台9上に載置されたプレ熱伝導シート8を上昇させ、積層吸着板6aに保持されたプレ熱伝導シートSを、既に積層されたプレ熱伝導シート8上に積層してプレスする。これにより、プレ熱伝導シートSは、既に積層されたプレ熱伝導シート8上に積層される。その後、積層吸着板6aを上方に移動させてチャンバー7内を大気開放する。
上記図2および図3に示したプロセスを繰り返し行うことにより、プレ熱伝導シートの積層体を形成することができる。なお、上述の説明では、チャンバー7の内部を真空雰囲気とした後に、積層されたプレ熱伝導シート8を上昇させているが、チャンバー7内の減圧を行いつつ、プレ熱伝導シート8を上昇させてもよい。
上記積層体の形成において、真空雰囲気の減圧度(「真空度」とも言う。)は、−40kPa超えであることが好ましい。これにより、プレ熱伝導シートの比較的低い挟持圧力での熱抵抗値を低減することができる。なお、上記「減圧度」は大気圧を基準とするものであり、真空雰囲気の減圧度が−40kPa超えであるとは、真空雰囲気の圧力が、大気圧よりも40kPaを超えて低いことを指す。
真空雰囲気の減圧度は、−80kPa以上であることがより好ましい。これにより、プレ熱伝導シート間の空気を抜いて、シート同士の密着性を高めて、熱伝導シートの機械特性を高めることができる。また、真空雰囲気の減圧度は、−160kPa以下であることが好ましく、−120kPa以下であることがより好ましい。上記上限以上の場合、真空装置が大がかりなものになるのに対し、得られる効果が小さく、上記下限以下の場合、真空度が不十分でプレ熱伝導シート間の密着性が不十分になる。
また、プレ熱伝導シートを真空雰囲気下でプレスする際に印加する圧力は、0.5MPa未満であることが好ましい。プレ熱伝導シートをプレスする際に印加する圧力は、0.3MPa以下であることがより好ましく、0.1MPa以下であることがさらに好ましい。これにより、プレ熱伝導シート間の密着性を上げると同時に、比較的低い挟持圧力での熱抵抗値を低減することができる。また、プレ熱伝導シートをプレスする際に印加する圧力は、0.01MPa以上であることが好ましく、0.05MPa以上であることがより好ましい。
上記各プレ熱伝導シートをプレスする際にプレ熱伝導シートに印加する圧力は、従来の熱プレスにより印加される圧力よりも低いが、本発明においては、真空雰囲気下でプレ熱伝導シートを積層するため、熱プレスよりもプレ熱伝導シード間の密着性を高めることができる。
また、プレ熱伝導シートを積層する際に、プレ熱伝導シートを保持する位置がプレ熱伝導シートの外周から5cm未満の位置であることが好ましい。これにより、積層体の外周部の損傷を防止することができる。プレ熱伝導シートを保持する位置は、外周から4cm以下であることがより好ましく、3cm以下であることがさらに好ましい。また、プレ熱伝導シートを保持する位置は、外周から0.5cm以上であることが好ましく、1cm以上であることがより好ましい。これにより、シートを移動させる際に、シートの端部が曲がることなく真っ直ぐな状態を維持したまま移動が可能になる。
さらにまた、積層体形成工程と次工程であるスライス工程との間に、積層体を積層方向に圧縮率10%以下で圧縮する圧縮工程をさらに備えることが好ましい。これにより、積層体の外周部の損傷を防止することができる。積層体の圧縮率は、5%以下とすることがより好ましい。また、上記圧縮率は、0.1%以上とすることが好ましく、1%以上とすることがより好ましく、3%以上とすることがさらに好ましい。これにより、積層したシート間の密着性をより高めることが出来、スライス後のシートのハンドリング性が優れることとなる。
上記積層体の圧縮は、具体的には、積層体を熱プレスすることにより行うことができる。その際印加する圧力は、特に限定されず、0.05MPa以上0.5MPa以下とすることができる。また、積層体に圧力を印加する際には、同時にまたは加圧時の任意のタイミングで、積層体を積層方向から加熱することができる。ここで、積層方向からの加熱の温度としては、特に限定されず、80℃以上170℃以下とすることができる。さらに、積層体を積層方向に加圧する時間としては、特に限定されず、10秒以上30分以下とすることができる。
<スライス工程>
続いて、上述のように形成された積層体を、積層方向に対して所定の角度でスライスして複数枚の熱伝導シートとする。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
そして、上記スライス工程を経て得られた熱伝導シートは、通常、樹脂および炭素材料を含む条片(積層体を構成していたプレ熱伝導シートのスライス片)が並列接合されてなる構成を有する。
なお、熱伝導シートの熱伝導性を高める観点からは、積層体をスライスする所定の角度は、積層方向に対して40°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましく、積層方向に対して15°以下であることがさらに好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが特に好ましい。
また、材質にもよるが、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際の積層体の温度は−20℃以上40℃以下とすることが好ましく、10℃以上30℃以下とすることがより好ましい。更に、同様の理由により、スライスする積層体は、積層方向とは垂直な方向に圧力を負荷しながらスライスすることが好ましく、積層方向とは垂直な方向に0.1MPa以上0.5MPa以下の圧力を負荷しながらスライスすることがより好ましい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、熱伝導シートの機械特性の評価として、引張強度を以下の方法を使用して測定した。また、比較的低い挟持圧力下での熱伝導性の評価として、0.05MPaを印加した時の熱抵抗値を以下の方法を使用して測定した。さらに、熱プレスによる圧縮後の積層体についてエッジでの損傷の有無を目視で確認した。
<引張強度>
熱伝導シートの引張強度は、引張試験機(株式会社島津製作所製、商品名「AG−IS20kN」)を用いて測定した。具体的には、熱伝導シートを、JISK6251に準拠してダンベル2号にて打ち抜き成型して試料片を作製し、試料片の両末端から1cmの箇所をつまみ、試料温度23℃で、試料片の表面から出る法線に対して垂直な方向に、500mm/分の引張速度で引っ張り、破断強度(引張強度)を測定した。なお、上記測定は、熱伝導シートを構成する条片の積層方向に引っ張ったときの引張強度を測定するものであり、最も不利な条件での測定である。
<熱伝導シートの熱抵抗値>
熱伝導シートの熱抵抗値(厚さ方向)は、樹脂材料熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて、定常法で測定した。具体的には、1cm角の略正方形に切り出した熱伝導シートを試料とし、測定時の試料温度を50℃として、熱伝導シートの表面に比較的低圧である0.05MPaを印加した時の熱抵抗値(℃/W)を測定した。熱抵抗値が小さいほど、熱伝導シートが熱伝導性等の熱特性に優れ、例えば、熱伝導性シートとして発熱体と放熱体との間に介在させて放熱装置とした際の放熱特性に優れていることを示す。
<繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製>
<<分散液の調製>>
繊維状の炭素ナノ構造体(SGCNT、日本ゼオン社製、比表面積:600m/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN−20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、繊維状の炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
<<溶媒の除去>>
その後、上述で得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、繊維状炭素材料としての、シート状の繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を得た。
<組成物の調製>
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)を70部と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」、ムーニー粘度:27ML1+4、100℃)を30部と、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC50」、体積平均粒子径:250μm)を50部と、繊維状炭素材料としての上述で得られた繊維状の炭素ナノ構造体の易分散性集合体を0.5部とを、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
<プレ熱伝導シートの形成>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール幅300mm、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.5mmのプレ熱伝導シートを得た。得られたプレ熱伝導シートを150×150×0.5mmに切断した。
<積層体の形成>
(実施例1)
上述のように形成したプレ熱伝導シートを積層する際に、真空積層機(日機装製:ハイスタッカー)を用いて、真空雰囲気下において、300枚のプレ熱電シートを1枚ずつ積層してプレスし、積層体を形成した。その際、各積層時の圧力は0.1MPa、減圧度は−80kPaとした。得られた積層体を常温雰囲気下において、80℃で0.1MPaの圧力にて1分間熱プレスすることにより、積層体の高さを約5%圧縮した。
(実施例2)
実施例1において、積層体の熱プレスを0.5MPaにて行った。その他の条件は実施例1と全て同じである。
(実施例3)
実施例1において、積層体の熱プレスを0.5MPaにて2分間行った。その他の条件は実施例1と全て同じである。
(比較例1)
実施例1において、プレ熱伝導シートの積層は、真空雰囲気下で行わずに、常圧で手積みにより行った。その他の条件は実施例1と全て同じである。
(比較例2)
実施例1において、プレ熱伝導シートを積層する際に、プレ熱伝導シートを保持する位置をプレ熱伝導シートの外周から5cmの位置とした。その他の条件は実施例1と全て同じである。
(比較例3)
実施例1において、各プレ熱伝導シートを積層した後のプレスを0.5MPaにて行った。その他の条件は実施例1と全て同じである。
(比較例4)
実施例1において、各プレ熱伝導シートを積層する際の真空雰囲気の減圧度を−40kPaとした。その他の条件は実施例1と全て同じである。
<熱伝導シートの形成>
上述のように得られた実施例1〜3、比較例1〜4の積層体の各々について、積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(すなわち、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横150mm×厚み0.15mmの熱伝導シートを得た。そして、得られた熱伝導シートについて、上述の方法に従って、引張強度および熱抵抗値を測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006907636
<引張強度および熱抵抗値の評価>
表1から、実施例1〜3では、複数枚のプレ熱伝導シートを積層する際に真空雰囲気下で1枚ずつ積層してプレスしたため、プレ熱伝導シート間の密着性を向上させることができ、得られた積層体から作製された熱伝導シートは、高い引張強度と、比較的低い挟持圧力下での低い熱抵抗値とを有していることが分かる。一方、比較例1では、複数枚のプレ熱伝導シートを積層する際に、真空雰囲気下において行わず、常圧下で手積みで行ったため、プレ熱伝導シート間の空気を十分に抜くことができず、引張強度と、比較的低い挟持圧力下での熱伝導率の双方ともに実施例1〜3に劣ることが分かる。また、比較例2では、プレ熱伝導シートを積層する際の保持位置が、外周から5cmの位置としたため、プレ熱伝導シートの端部がたわんでしわが生じ、その結果、引張強度と、比較的低い挟持圧力下での熱伝導性の双方について実施例1〜3に劣ることが分かる。さらに、比較例3については、複数枚のプレ熱伝導シートを積層する際に、各プレ熱伝導シートをプレスする際の圧力が大きかったために、積層体が過度に圧縮されて積層体の形状が崩れ、得られた熱伝導シートの引張強度と、比較的低い挟持圧力下での熱伝導率の双方について実施例1〜3に劣ることが分かる。さらにまた、比較例4については、複数枚のプレ熱伝導シートを積層する際に、真空雰囲気の減圧度が低かったために、プレ熱伝導シート間の空気を十分に抜くことができず、引張強度と、比較的低い挟持圧力下での熱伝導率の双方について実施例1〜3に劣ることが分かる。
<積層体エッジでの損傷の有無>
表1から、実施例1および2、比較例1および4では、積層体のエッジに損傷がなかったことが分かる。これに対して、実施例3では、積層体を熱プレスする際の時間が長かったために、積層体の圧縮率が高くなり、積層体の形状が崩れてエッジが損傷した。また、比較例2では、プレ熱伝導シートを積層する際に、シートの保持位置がシート外周から5cmと離れているため、シートがたわみ、その結果、積層体の形状が崩れてエッジが損傷した。さらに、比較例3では、各プレ熱伝導シートをプレスする際の圧力が高かったため、積層体が過度に圧縮され、結果として積層体の形状が崩れてエッジが損傷した。
本発明によれば、高い引張強度を有するとともに、比較的低い圧力下で優れた熱伝導性を有する熱伝導シートを製造することができる。
1 カセット
2 複数枚のプレ熱伝導シート
3 搬送チャックA
3a 吸着パッド
4 位置決めステージ
5 位置決め爪
6 搬送チャックB
6a 積層吸着板
7 チャンバー
8 既に積層されたプレ熱伝導シート
9 台
10 昇降手段
S プレ熱伝導シート

Claims (6)

  1. 樹脂とフィラーとを含む組成物を加圧してシート状に成形し、フィラーをシート面内方向に配列させた複数枚のプレ熱伝導シートを真空雰囲気下において、厚み方向に一枚ずつ積層してプレスして積層体とする積層体形成工程と
    前記積層体を積層方向に対して所定の角度でスライスしてスライス面をシート表面として有する複数枚の熱伝導シートとするスライス工程とを備える熱伝導シートの製造方法
  2. 前記真空雰囲気の減圧度が−40kPa超えである、請求項1に記載の熱伝導シートの製造方法。
  3. 前記プレ熱伝導シートをプレスする際に印加する圧力は0.5MPa未満である、請求項1または2に記載の熱伝導シートの製造方法。
  4. 前記積層体形成工程と前記スライス工程との間に、前記積層体を積層方向に圧縮率10%以下で圧縮する圧縮工程をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  5. 前記プレ熱伝導シートを積層する際に前記プレ熱伝導シートを保持する位置が、前記プレ熱伝導シートの外周から5cm未満の位置である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  6. 記フィラーが炭素材料を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
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