JP7143712B2 - デバイス用積層体およびその製造方法、並びに、デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

デバイス用積層体およびその製造方法、並びに、デバイスおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、デバイス用積層体およびその製造方法、並びに、デバイスおよびその製造方法に関する。
近年、パワー半導体(IGBTモジュールなど)および集積回路(IC)チップ等を備える電子部品(デバイス)は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、デバイスを用いた電子機器では、デバイスの温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
デバイスの温度上昇による機能障害対策としては、一般に、発熱体になり得るICチップ等に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。また、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、良好な熱伝導性を発揮するシート状の部材(熱伝導シート)を介して発熱体と放熱体とを密着させている。
ICチップ等からなる基板に加えて、上述した放熱体および熱伝導シートを更に備えるデバイスの製造プロセスでは、例えば、ICチップ等からなる基板の表面に、熱伝導シートを接着させてなる積層体(以下、「デバイス用積層体」と称することがある)が作製される。
ここで、近年では、デバイスの製造は、通常、自動化された製造ラインにおいて行なわれる。したがって、上述したデバイス用積層体の作製においても、例えば、ロボット等の機械装置により、基板上における熱伝導シートの配置を決定し、熱伝導シートを基板上の当該配置に置いた後に、加圧等の手段により接着を行なう(例えば、特許文献1および2)。そして、作製されたデバイス用積層体は、製造ライン上で搬送されて、後の工程(デバイスの組み立て等)に供される。
特開2002-222904号公報 特開2004-247758号公報
ここで、上述したデバイス用積層体において、基板と熱伝導シートとの接着強度が不十分であると、製造ライン上での搬送中に熱伝導シートが基板から剥がれ落ちたり、熱伝導シートが基板上の適切な配置からずれたりして、デバイスの製造効率が低下する問題等が生じ得る。したがって、デバイス用積層体には、熱伝導シートと基板との十分な接着強度が求められる。
一方、熱伝導シートと基板との接着強度が十分であっても、熱伝導シートが基板上の適切な配置からずれた状態で接着されることがある。このように、熱伝導シートが基板上の適切な配置からずれた状態で接着された場合には、基板上の熱伝導シートを貼り直し(リワーク)する必要がある。
したがって、デバイス用積層体においては、基板と熱伝導シートとの接着強度を良好に維持しつつ、基板上の熱伝導シートを貼り直すことの容易性(以下、「基板に対する熱伝導シートのリワーク性」と称することがある)を良好に確保することが求められている。
しかしながら、上述した従来技術を用いて熱伝導シートを基板上に接着させた場合、作製されたデバイス用積層体において、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立する点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とが良好に両立したデバイス用積層体を効率良く製造し得るデバイス用積層体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造し得るデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、基板の少なくとも一方の主面に、所定の熱伝導シートを配置してなる積層物を作製し、基板と熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内となるように積層物を加圧して、基板と熱伝導シートとを接着させる工程とを実施すれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とが良好に両立したデバイス用積層体を製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のデバイス用積層体の製造方法は、基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着され、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体を製造するデバイス用積層体の製造方法であって、前記基板の少なくとも一方の主面上に前記熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する工程Aと、前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.15N/cm以上2.00N/cm以下となるように、前記積層物を加圧して、前記基板と前記熱伝導シートとを接着させる工程Bと、を含むことを特徴とする。このように、基板の少なくとも一方の主面に、所定の熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する工程と、基板と熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内となるように積層物を加圧して、基板と熱伝導シートとを接着させる工程とを含むデバイス用積層体の製造方法によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とが良好に両立したデバイス用積層体を効率良く製造することができる。
なお、本発明において、基板と熱伝導シートとの接着強度は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、本発明のデバイス用積層体の製造方法は、前記積層物を加圧する際の圧力が、0.01MPa以上1.00MPa以下であることが好ましい。積層物を加圧する際の圧力が上記所定範囲内であれば、製造されるデバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。
また、本発明のデバイス用積層体の製造方法は、前記積層物を加圧する際の温度が、25℃以上150℃以下であることが好ましい。積層物を加圧する際の温度が上記所定範囲内であれば、製造されるデバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。
さらに、本発明のデバイス用積層体の製造方法は、前記工程Aと前記工程Bとの間において、前記積層物における前記熱伝導シートの配置のずれの有無を検知し、前記熱伝導シートの配置のずれが有る場合は、前記熱伝導シートの配置を修正する工程Cを更に含むことが好ましい。工程Aと工程Bとの間において、積層物における熱伝導シートの配置のずれの有無を検知し、熱伝導シートの配置のずれが有る場合は、熱伝導シートの配置を修正すれば、熱伝導シートが基板の主面上の適切な配置に接着されてなるデバイス用積層体を製造することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のデバイスの製造方法は、上述したいずれかのデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体を搬送する工程Dを含むことを特徴とする。このように、上述したいずれかデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体を搬送する工程を含むデバイスの製造方法によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造することができる。
さらに、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のデバイス用積層体は、基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着された熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体であって、前記熱伝導シートは、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含み、前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.15N/cm以上2.00N/cm以下であることを特徴とする。このように、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートを、基板の少なくとも一方の主面に接着させてなり、基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内であるデバイス用積層体であれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。
ここで、本発明のデバイス用積層体は、前記基板がシリコンを含むことが好ましい。基板がシリコンを含めば、デバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。
また、本発明のデバイス用積層体は、前記熱伝導性充填材が粒子状炭素材料を含むことが好ましい。熱伝導性充填材が粒子状炭素材料を含めば、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。
さらに、本発明のデバイス用積層体は、前記熱伝導性充填材が繊維状炭素ナノ構造体を含むことが好ましい。熱伝導性充填材が繊維状炭素ナノ構造体を含めば、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。
また、本発明のデバイス用積層体は、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性フッ素樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂が熱可塑性フッ素樹脂を含めば、デバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立すると共に、難燃性、耐熱性、耐油性および耐薬品性を高めることができる。
さらに、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のデバイスは、上述したいずれかのデバイス用積層体を備えることを特徴とする。このようなデバイスは、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とが良好に両立したデバイス用積層体を備える。
本発明によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とが良好に両立したデバイス用積層体を効率良く製造し得るデバイス用積層体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造し得るデバイスの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを提供することができる。
本発明に従うデバイスの一例の上面図である。 図1に示すデバイスの断面図である。 本発明に従うデバイスの他の一例の上面図である。 図3に示すデバイスの断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のデバイス用積層体の製造方法によれば、本発明のデバイス用積層体を効率良く製造することができる。また、本発明のデバイスの製造方法によれば、本発明のデバイスを効率良く製造することができる。さらに、本発明のデバイスは、本発明のデバイス用積層体を備えている。
(デバイス用積層体)
本発明のデバイス用積層体は、基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着された熱伝導シートと、を有し、前記熱伝導シートは、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含み、前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内であることを特徴とする。そして、本発明のデバイス用積層体であれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。
そして、本発明のデバイス用積層体において、基板と熱伝導シートとの接着強度は、0.15N/cm以上であることが必要であり、0.17N/cm以上であることが好ましく、0.19N/cm以上であることが更に好ましく、0.20N/cm以上であることが特に好ましく、2.00N/cm以下であることが必要であり、1.50N/cm以下であることが好ましく、1.00N/cm以下であること更に好ましく、0.50N/cm以下であることが特に好ましい。基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内であると、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。
ここで、本発明のデバイス用積層体において、熱伝導シートは、基板の一方の主面のみに接着されていてもよいし、基板の両方の主面に接着されていてもよい。
また、本発明のデバイス用積層体において、基板の少なくとも一方の主面に対して1枚の熱伝導シートが接着されていてもよいし、基板の少なくとも一方の主面に対して複数枚の熱伝導シートが接着されていてもよいものとする。
そして、本発明のデバイス用積層体が、基板の少なくとも一方の主面に接着された複数枚の熱伝導シートを備えている場合、複数枚の熱伝導シートのうち、少なくとも1枚の熱伝導シートと基板との接着強度が上記所定範囲内であればよいが、複数枚の熱伝導シートの各々と基板との接着強度がいずれも上記所定範囲内であることが好ましい。
<基板>
デバイス用積層体が備える基板としては、特に限定されないが、例えば、半導体材料を含む基板を用いることができ、中でもシリコンを含む基板を用いることが好ましい。シリコンを含む基板を用いれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。
ここで、シリコン等の半導体材料を含む基板の具体例としては、シリコンウェーハ、ICチップ、パワーモジュール(IGBTなど)、ダイオード、トランジスタ、コイルや抵抗器を搭載した基板等が挙げられる。
なお、基板の厚み、並びに主面の形状および大きさ等は、デバイスの目的等に応じて適宜選択することができる。
<熱伝導シート>
デバイス用積層体が備える熱伝導シートは、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含み、任意で、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材以外のその他の成分を含んでいてもよい。
熱伝導シートとして、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートを用いることにより、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。
なお、熱伝導シートの厚み、並びに主面の形状および大きさ等は特に限定されることはなく、本発明の所望の効果が得られる範囲内で適宜調整することができる。
そして、熱伝導シートの厚みは、50μm以上であることが好ましく、80μm以上であることが更に好ましく、100μm以上であることが更に好ましく、200μm以下であることが好ましい。熱伝導シートの厚みが上記下限以上であれば、熱伝導シートを過度に薄膜化させず、熱伝導シートの難燃性、強度、およびハンドリング性を十分に確保できる。また、熱伝導シートの厚みが上記上限以下であれば、熱伝導シートの熱伝導性を十分に高めることができる。
<<熱可塑性樹脂>>
熱伝導シートが含む熱可塑性樹脂としては、特に限定されることなく、熱伝導シートに使用され得る既知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
ここで、熱伝導シートが熱可塑性樹脂を含むことにより、デバイスの使用時(放熱時)の高温環境下では、熱伝導シートと被着物(発熱体(基板)および放熱体など)との界面における密着性を高めて界面熱抵抗を低下させ、熱伝導シートの熱伝導性を高めることができる。これにより、温度上昇によるデバイスの機能障害を良好に抑制することができる。
また、デバイス用積層体の製造において、熱伝導シートと基板とを加熱して接着させる場合、熱伝導シートが熱可塑性樹脂を含むことにより、熱伝導シートと基板との界面における密着性が高まるため、基板と熱伝導シートとの接着強度を高めることもできる。
そして、熱可塑性樹脂の種類としては、以下に一部詳述する通り、例えば、熱可塑性フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂などを挙げることができる。中でも、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性フッ素樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂として熱可塑性フッ素樹脂を用いれば、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立すると共に、熱伝導シートおよびデバイス用積層体の難燃性、耐熱性、耐油性、および耐薬品性をより向上させることができる。
なお、本発明において、ゴムおよびエラストマーは、「熱可塑性樹脂」に含まれ得るものとする。
ここで、熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂などが挙げられる。ここで、熱可塑性樹脂として、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂とを併用して用いてもよい。
なお、本明細書において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
ここで、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、フッ素樹脂;アクリル樹脂;シリコーン樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン-プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン-アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(ニトリルゴム);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン-ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン-イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、上述した常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂に該当する樹脂以外の、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、熱可塑性樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂、常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂などを用いることが好ましく、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂、および常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂を併用することが更に好ましい。熱可塑性樹脂として、上記所定の熱可塑性樹脂を用いれば、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを一層良好に両立することができる。
[常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂]
常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-プロピレン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系フッ素樹脂等、フッ素含有モノマーを重合して得られるエラストマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロジオキソール共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエステル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエポキシ変性物およびポリテトラフルオロエチレンのシラン変性物等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、市販されている、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のダイエル(登録商標)G-300シリーズ/G-700シリーズ/G-7000シリーズ(ポリオール加硫・ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン2元系共重合体)、ダイエルG-550シリーズ/G-600シリーズ(ポリオール加硫・ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン3元系共重合体)、ダイエルG-800シリーズ(パーオキサイド加硫・ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン2元系共重合体)、ダイエルG-900シリーズ(パーオキサイド加硫・ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン3元系共重合体);ALKEMA社製のKYNAR(登録商標)シリーズ(フッ化ビニリデン系フッ素樹脂)、KYNAR FLEX(登録商標)シリーズ(ビニリデンフロライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン3元系共重合体);ケマーズ社製のA-100(ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン2元系共重合体);スリーエム株式会社製のダイニオン(登録商標)FC2211(フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などが挙げられる。
ここで、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、10以上であることが好ましく、20以上であることが更に好ましく、40以下であることが好ましく、30以下であることが更に好ましい。常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂のムーニー粘度(ML1+4、100℃)が上記下限以上であれば、熱伝導シートの接着性を高め得るため、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度を更に高めることができる。一方、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂のムーニー粘度(ML1+4、100℃)が上記上限以下であれば、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを抑制し得るため、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。
[常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂]
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロペンテン-テトラフルオロエチレン3元共重合体、パーフルオロプロペンオキサイド重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。
また、市販されている、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、デュポン株式会社製のバイトン(登録商標)LM、ダイキン工業株式会社製のダイエル(登録商標)G-101、スリーエム株式会社製のダイニオン(登録商標)FC2210、信越化学工業株式会社製のSIFELシリーズなどが挙げられる。
ここで、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂の粘度は、特に制限されないが、流動性、混練性、成形性の観点からは、温度105℃において、500cP以上30000cP以下であることが好ましく、550cP以上25000cP以下であることがより好ましい。
[常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂]
また、常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2-エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどを用いることができる。
なお、これらの常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂は、アクリル酸;アクリル酸2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタアクリル酸;メタアクリル酸エステル;などの既知の単量体を含む単量体組成物を重合することにより得られる。
さらに、常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂としては、例えば、市販されている、広野化学工業社製のユーロックシリーズなどを用いることができる。
[含有量比]
なお、熱可塑性樹脂として、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂とを併用する場合、熱伝導シート中の両者の含有量の質量比は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で任意に設定することができる。
例えば、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂とを併用する場合、熱伝導シート中の両者の含有量の質量比(固体/液体)は、1/9以上であることが好ましく、1/4以上であることが更に好ましく、9/1以下であることが好ましく、4/1以下であることが更に好ましい。熱伝導シート中の両者の含有量の質量比(固体/液体)が上記下限以上であれば、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。一方、熱伝導シート中の両者の含有量の質量比(固体/液体)が上記上限以下であれば、熱伝導シートの接着性を高め得るため、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度を更に高めることができる。
<<熱伝導性充填材>>
熱伝導性充填材は、熱伝導性シート中において熱伝導性を発揮し、発熱体(基板)からの熱を放熱体へ伝導し得る材料である。
また、熱伝導性充填材は、通常、上述した熱可塑性樹脂よりも接着性が低い材料であることから、熱伝導シートが熱伝導性充填材を含むことにより、熱伝導シートの接着性が過度に高くなることを良好に抑制することができる。これにより、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度を適度に保ち、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を高めることもできる。
ここで、熱可塑性充填材としては、特に限定されることはなく、例えば、粒子状炭素材料、繊維状炭素材料などの炭素材料;水酸化アルミニウム、水酸化ガリウム、水酸化インジウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどの金属水酸化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸アルミニウムなどの金属炭酸塩;窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物;ホウ酸亜鉛水和物;カオリンクレー;アルミン酸カルシウム水和物;ドーソナイト;シリカ;等を用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[炭素材料]
そして、熱伝導性充填材としては、炭素材料を用いることが好ましい。熱伝導性充填材として炭素材料を用いれば、熱伝導シートの強度および熱伝導性を高めることができる。
さらに、炭素材料としては、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料を用いることが好ましく、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料を併用することが更に好ましい。炭素材料として、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料を用いれば、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを更に良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。
-粒子状炭素材料-
粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、粒子状炭素材料としては、膨張化黒鉛を用いることが好ましい。膨張化黒鉛を使用すれば、熱伝導シートの熱伝導性を更に高めると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を一層高めることができる。
ここで、粒子状炭素材料として好適に使用し得る膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業株式会社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。
ここで、粒子状炭素材料の体積平均粒子径は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で任意に設定できるが、通常は、50μm以上500μm以下である。
なお、本明細書中において、「体積平均粒子径」とは、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径(D50)を指す。
--粒子状炭素材料の含有割合--
熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、40質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることが更に好ましく、80質量部以上であることが特に好ましく、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることが更に好ましく、120質量部以下であることが特に好ましい。熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性を更に高めると共に、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を一層高めることができる。一方、熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、熱伝導シートの接着性を十分に確保し得るため、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度を十分に確保することができる。
-繊維状炭素材料-
繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、繊維状炭素材料としては、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、熱伝導シートの熱伝導性および強度を更に向上させると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を一層高めることができる。
--カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体--
ここで、繊維状炭素材料として好適に使用し得る、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)のみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
なお、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、熱伝導シートの熱伝導性および強度を一層向上させると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることをより一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性をより一層高めることができる。
CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積は、400m2/g以上であることが好ましく、500m2/g以上であることが更に好ましく、2500m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることが更に好ましい。CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が400m2/g以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性および強度を一層向上させると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることをより一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性をより一層高めることができる。また、CNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体のBET比表面積が2500m2/g以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の凝集を抑制して、熱伝導シート中のCNTの分散性を高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
なお、上述したCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径、平均長さ、等の性状は、本発明の所望の効果が得られる限り、特に限定されず、例えば、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の製造方法および製造条件等を変更することにより調整することができる。
そして、上述した性状を有するCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
ここで、スーパーグロース法により製造したCNTを含む繊維状の炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体が含まれていてもよい。
--繊維状炭素材料の含有割合--
そして、熱伝導シート中の繊維状炭素材料の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることが更に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。熱伝導シート中の繊維状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性および強度を更に向上させると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を一層高めることができる。一方、熱伝導シート中の繊維状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、熱伝導シートの硬度が過度に上昇する(即ち、柔軟性が過度に低下する)のを抑制することができる。
<<その他の成分>>
熱伝導シートは、上述した熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材以外に、任意で、その他の成分を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、熱伝導シートの形成に使用し得る既知の添加剤、および熱硬化性樹脂などを使用することができる。
そして、熱伝導シートの形成に使用し得る既知の添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、赤りん系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤等の難燃剤;可塑剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の受酸剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物等の接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ性向上剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤;などが挙げられる。
なお、熱伝導シート中の上記その他の成分の含有割合は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で任意に設定することができる。
<<熱伝導シートの製造方法>>
熱伝導シートの形成方法は、得られる熱伝導シートが熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む限りにおいて、特に制限されない。そして、熱伝導シートは、例えば、プレ熱伝導シート成形工程、積層体形成工程、スライス工程などを経て形成することができる。
[プレ熱伝導シート成形工程]
プレ熱伝導シート成形工程では、熱可塑性樹脂、および熱伝導性充填材を含み、任意に、添加剤等のその他の成分を更に含む組成物を加圧してシート状に成形し、プレ熱伝導シートを得る。
-組成物-
ここで、組成物は、上述した熱可塑性樹脂、熱伝導性充填材、およびその他の成分(添加剤および熱硬化性樹脂など)を混合して調製することができる。また、組成物中の各成分の含有量も上述した範囲内で適宜変更することができる。
また、上述した成分の混合は、特に限定されることなく、プラネタリーミキサー(ホバートミキサー)、ニーダー、ロール、ミキサー等の既知の混合装置を用いて行うことができる。また、混合は、有機溶剤等の溶媒の存在下で行ってもよい。そして、混合時間は、例えば5分間以上60分間以下とすることができる。また、混合温度は、例えば5℃以上150℃以下とすることができる。
なお、上述した成分を混合して組成物を調製するに際して、熱伝導性充填材として繊維状炭素材料を混合する場合、繊維状炭素材料は、溶媒(分散媒)に繊維状炭素材料を分散させて得た分散液から溶媒を除去して得た繊維状炭素材料の集合体(易分散性集合体)の状態で混合することが好ましい。繊維状炭素材料を易分散性集合体の状態で混合して組成物を調製すれば、組成物中に繊維状炭素材料を効率良く分散させることができる。
ここで、繊維状炭素材料の分散液は、例えば、溶媒に対して繊維状炭素材料を添加してなる粗分散液を、キャビテーション効果が得られる分散処理または解砕効果が得られる分散処理に供して得ることができる。なお、キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じる衝撃波を利用した分散方法である。そして、キャビテーション効果が得られる分散処理の具体例としては、超音波ホモジナイザーによる分散処理、ジェットミルによる分散処理および高剪断撹拌装置による分散処理が挙げられる。また、解砕効果が得られる分散処理は、粗分散液にせん断力を与えて繊維状炭素材料の凝集体を解砕・分散させ、さらに粗分散液に背圧を負荷することで、気泡の発生を抑制しつつ、繊維状炭素材料を溶媒中に均一に分散させる分散方法である。そして、解砕効果が得られる分散処理は、市販の分散システム(例えば、商品名「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)など)を用いて行うことができる。
また、分散液からの溶媒の除去は、乾燥やろ過などの既知の溶媒除去方法を用いて行うことができるが、迅速かつ効率的に溶媒を除去する観点からは、減圧ろ過などのろ過を用いて行うことが好ましい。
-組成物の成形-
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧(一次加圧)してシート状に成形することができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形によりシート状に形成することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃以下とすることができる。
-プレ熱伝導シート-
そして、組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導シートでは、例えば粒子状炭素材料等の熱伝導性充填材が主として面内方向に配列し、特に面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
なお、プレ熱伝導シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
[積層体形成工程]
積層体形成工程では、プレ熱伝導シート成形工程で得られたプレ熱伝導シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレ熱伝導シートを折畳または捲回して、積層体を得る。
ここで、積層体形成工程で得られる積層体において、プレ熱伝導シートの表面同士の接着力をより高めて、積層体の層間剥離を十分に抑制する場合には、プレ熱伝導シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層体形成工程を行ってもよいし、プレ熱伝導シートの表面に接着剤を塗布した状態またはプレ熱伝導シートの表面に接着層を設けた状態で積層体形成工程を行ってもよいし、プレ熱伝導シートを積層させた積層体を積層方向に更にプレス(二次加圧)してもよい。
なお、層間剥離を効率的に抑制する観点からは、得られた積層体を積層方向に二次加圧することが好ましい。そして、二次加圧の条件は、特に限定されず、積層方向への圧力0.05MPa以上0.5MPa以下、温度80℃以上170℃以下で、加圧時間10秒以上30分間以下とすることができる。
そして、プレ熱伝導シートを積層、折畳または捲回して得られる積層体では、例えば粒子状炭素材料等の熱伝導性充填材が積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。
[スライス工程]
スライス工程では、積層体形成工程で得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得る。
ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチワイヤソー法、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
なお、熱伝導シートの熱伝導性を更に高める観点からは、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが好ましい。
また、積層体を容易にスライスする観点からは、スライスする際の積層体の温度は-20℃以上30℃以下とすることが好ましい。更に、同様の理由により、スライスする積層体は、積層方向に圧力を負荷しながらスライスすることが好ましく、積層方向に0.05MPa以上0.5MPa以下の圧力を負荷しながらスライスすることがより好ましい。
なお、積層体をスライスして得られた熱伝導シートでは、例えば粒子状炭素材料等の熱伝導性充填材が面内方向に略直交する方向(即ち、熱伝導シートの厚み方向)に配列することで、特に熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性が向上すると推察される。
(デバイス用積層体の製造方法)
本発明のデバイス用積層体の製造方法は、基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着され、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体を製造するデバイス用積層体の製造方法であって、前記基板の少なくとも一方の主面に前記熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する工程Aと、前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内となるように前記積層物を加圧して、前記基板と前記熱伝導シートとを接着させる工程Bとを含むことを特徴とする。本発明のデバイス用積層体の製造方法によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を製造することができる。
なお、本発明のデバイス用積層体の製造方法は、上述した工程Aおよび工程B以外にも、任意でその他の工程を更に含んでいてもよい。
<工程A>
工程Aでは、基板の少なくとも一方の主面上に、熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する。
ここで、基板としては、「デバイス用積層体」の項で上述した基板を用いることができる。
また、熱伝導シートとしても、「デバイス用積層体」の項で上述した熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートを用いることができる。
そして、基板の少なくとも一方の主面上に、熱伝導シートを配置する方法としては、特に限定されることはなく、例えば、手作業で行なう方法を採用してもよいし、ロボット等の機械装置により行なう方法を採用してもよい。
ここで、ロボット等の機械装置を用いる場合、例えば、CPU等により、基板の主面上における熱伝導シートの配置を決定した上で、熱伝導シートを基板の主面上の当該配置に置いてもよい。
工程Aで作製される積層物においては、基板と熱伝導シートとは接着していてもよいし、接着していなくてもよいが、基板と熱伝導シートとが接着していることが好ましい。
ここで、基板と熱伝導シートとが「接着している」とは、基板と熱伝導シートとが接触し、基板と熱伝導シートとの接着強度が、0N/cm超であることを意味する。
一方、基板と熱伝導シートとが「接着していない」とは、基板と熱伝導シートとが接触しているものの、基板と熱伝導シートとの接着強度が0N/cmであることを意味する。
そして、積層物における基板と熱伝導シートとの接着強度は微弱であることが好ましい。具体的には、積層物における基板と熱伝導シートとの接着強度は、製造されるデバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度よりも低いことが好ましい。
より具体的に、積層物における基板と熱伝導シートとの接着強度は、0N/cm超であることが好ましく、0.01N/cm以上であることが更に好ましく、0.05N/cm以上であることが特に好ましく、0.15N/cm未満であることが好ましく、0.12N/cm以下であることが更に好ましく、0.10N/cm以下であることが特に好ましい。積層物における基板と熱伝導シートとの接着強度が上記下限以上であれば、後述する工程Bで基板と熱伝導シートをより強固に接着させる前に、熱伝導シートが基板から剥がれ落ちたり、基板上の適切な配置からずれたりすることを良好に抑制することができる。一方、積層物における基板と熱伝導シートとの接着強度が上記上限以下であれば、積層物における熱伝導シートの配置のずれが有った場合に、後述する工程Cで、基板上の熱伝導シートを貼り直したり、ずらしたりして、熱伝導シートの配置を容易に修正することができる。したがって、積層物における基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内であれば、デバイス用積層体を効率良く製造することができる。
そして、基板の少なくとも一方の主面に熱伝導シートを配置する際、基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内になるように、適宜条件を調整して、基板と熱伝導シートとを加圧および/または加熱することができる。
また、熱伝導シートの接着性が強すぎると、作製した積層物における基板と熱伝導シートとの接着強度が上記上限を容易に超過し得る。一方、熱伝導シートの接着性が弱すぎると、作製した積層物において基板と熱伝導シートとを微弱に接着させることが困難である。そこで、工程Aに用いる熱伝導シートは、熱可塑性樹脂と、当該熱可塑性樹脂よりも接着性の低い熱伝導性充填材とを含むことにより、適度な接着性を発揮し得るため、基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内である積層物を容易に作製することができる。
なお、作製される積層体において、熱伝導シートは、基板の一方の主面のみに配置されていてもよいし、基板の両方の主面に配置されていてもよい。
また、作製される積層物において、基板の少なくとも一方の主面に対して、1枚の熱伝導シートが配置されていてもよいし、複数枚の熱伝導シートが配置されていてもよいものとする。
そして、作製される積層物が、基板の少なくとも一方の主面上に配置された複数枚の熱伝導シートを備えている場合、複数枚の熱伝導シートのうち、少なくとも1枚の熱伝導シートと基板との接着強度が上記所定範囲内であればよいが、複数枚の熱伝導シートの各々と基板との接着強度がいずれも上記所定範囲内であることが好ましい。
なお、作製された積層物において、熱伝導シートと基板とが接着する場合、熱伝導シートの基板と接着する側の主面の面積全体のうち、基板と接着している部分の面積の割合は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることが更に好ましく、30%以上であることが特に好ましく、100%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましい。熱伝導シートの当該部分の面積の割合が上記下限以上であれば、後述する工程Bで基板と熱伝導シートをより強固に接着させる前に、熱伝導シートが基板から剥がれ落ちたり、基板上の適切な配置からずれたりすることを良好に抑制することができる。一方、熱伝導シートの当該部分の面積の割合が上記上限以下であれば、積層物における熱伝導シートの配置のずれが有った場合に、後述する工程Cで、基板上の熱伝導シートを貼り直したり、ずらしたりして、熱伝導シートの配置を容易に修正することができる。したがって、熱伝導シートの当該部分の面積の割合が上記所定範囲内であれば、デバイス用積層体を効率良く製造することができる。
ここで、作製された積層物において、熱伝導シートが基板と接着する場合、熱伝導シートは、基板と接着する部分を少なくとも1箇所有していればよい。即ち、熱伝導シートは、基板と接着する部分を1箇所のみ有していてもよいし、基板と接着する部分を複数箇所有していてもよい。
<工程B>
工程Bでは、基板と熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内となるように、上述した積層物を加圧して、基板と熱伝導シートとを接着させる。これにより、基板の少なくとも一方の主面に熱伝導シートが接着されてなるデバイス用積層体が得られる。
ここで、基板と熱伝導シートとの接着強度は、0.15N/cm以上であることが必要であり、0.17N/cm以上であることが好ましく、0.19N/cm以上であることが更に好ましく、0.20N/cm以上であることが特に好ましく、2.00N/cm以下であることが必要であり、1.50N/cm以下であることが好ましく、1.00N/cm以下であること更に好ましく、0.50N/cm以下であることが特に好ましい。基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内であると、製造されたデバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。
また、積層物を加圧する際の圧力は、基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内になるように適宜設定可能であるが、0.01MPa以上であることが好ましく、0.05MPa以上であることが更に好ましく、1.00MPa以下であることが好ましく、0.50MPa以下であることが更に好ましい。積層物を加圧する際の圧力を上記所定範囲内とすれば、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。また、積層物を加圧する際の圧力を上記下限以上とすれば、基板と熱伝導シートとを迅速に接着させることができるため、デバイス用積層体を効率良く製造することができる。
さらに、積層物を加圧する際の温度は、基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内になるように適宜設定可能であるが、25℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、75℃以上であることが特に好ましく、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることが更に好ましく、130℃以下であることが特に好ましい。また、積層物を加圧する際の温度を上記所定範囲内とすれば、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。また、積層物を加圧する際の温度を上記下限以上とすれば、基板と熱伝導シートとを迅速に接着させることができるため、デバイス用積層体を効率良く製造することができる。
また、積層物を加圧する時間は、加圧する際の圧力および温度に応じて、基板と熱伝導シートとの接着強度が上記所定範囲内になるように、適宜調整することができる。積層物を加圧する時間は、デバイス用積層体の製造効率を高める観点から、10分間以下であることが好ましく、5分間以下であることが更に好ましく、2分間以下であることが特に好ましく、通常は30秒間以上である。
なお、製造されたデバイス用積層体において、熱伝導シートの基板と接着する側の主面の面積全体のうち、基板と接着する部分の面積の割合は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることが更に好ましく、30%以上であることが特に好ましく、100%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましい。熱伝導シートの当該部分の面積の割合が上記下限以上であれば、デバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度を更に高めることができる。一方、熱伝導シートの当該部分の面積の割合が上記上限以下であれば、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。したがって、熱伝導シートの当該部分の面積の割合が上記所定範囲内であれば、デバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。
ここで、製造されたデバイス用積層体において、熱伝導シートは、基板と接着する部分を少なくとも1箇所有していればよい。即ち、熱伝導シートは、基板と接着する部分を1箇所のみ有していてもよいし、基板と接着する部分を複数箇所有していてもよい。
<その他の工程>
本発明のデバイス用積層体は、上述した工程Aおよび工程B以外にも、任意で、その他の工程を更に含んでいてもよい。その他の工程としては、特に限定されることはなく、例えば、工程Aで作製された積層物を搬送する工程などを実施してもよいが、特に、後述する工程Cを実施することが好ましい。
<<工程C>>
工程Cでは、前記工程Aと前記工程Bとの間において、上述した工程Aで得られた積層物における熱伝導シートの配置のずれの有無を検知し、熱伝導シートの配置のずれが有る場合は、熱伝導シートの配置を修正する。
上述した工程Aでは、基板の少なくとも一方の主面上に熱伝導シートを配置してなる積層物を作製するが、当該積層物において、基板上の熱伝導シートの配置にずれが生じる場合がある。そこで、工程Aで作製された積層物が、工程Bで加圧接着されてデバイス用積層体が製造される前に、上記工程Cを実施することで、積層物における熱伝導シートの配置のずれの有無を検知し、熱伝導シートの配置のずれが有る場合は、熱伝導シートの配置を修正(以下、「リワーク」の1種として、「プレリワーク」と称することがある。)することができる。このような工程Cを実施すれば、熱伝導シートが基板の主面上に適切に配置されてなる積層物を工程Bに供給し得るため、結果として、熱伝導シートが基板の主面上の適切な配置で接着されてなるデバイス用積層体を製造することができる。
したがって、上記デバイス用積層体を用いてデバイスを製造する段階(即ち、本発明のデバイス用積層体の製造方法を使用するデバイスの製造方法)において、デバイス用積層体をリワークする回数を減らすことができるため、デバイスを更に効率良く製造することができる。
工程Cにおいて、積層物における熱伝導シートの配置のずれの有無を検知する方法としては、特に限定されることはなく、目視観察によって行なってもよいし、センサー等の装置により行なってもよい。
また、積層物における熱伝導シートの配置のずれが有る場合に、熱伝導シートの配置を修正(プレリワーク)する方法としては、例えば、基板上の熱伝導シートを貼り直したり、ずらしたりする方法が挙げられる。
なお、積層物における基板と熱伝導シートとが接着している場合であっても、「工程A」の項で上述したように、両者間の接着強度が微弱であれば、工程Cで上記プレリワークを容易に実施することができる。
(デバイス)
本発明のデバイスは、上述したデバイス用積層体を備えることを特徴とする。したがって、本発明のデバイスは、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を備える。
<第1の実施形態>
以下、図1および2を参照して、本発明のデバイスの一例について説明する。なお、以下の説明において、上下方向とは、図1などの上図の紙面に垂直な方向を意味し、上方は同図における紙面手前方向、下方はその反対方向を意味するものとする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデバイス1の概略構成を示す上面図である。なお、図1では、後述する放熱筐体上蓋23を除いた状態でデバイス1を観察した場合の上面図である。また、図2は、図1に示したデバイス1をX1-X1線で切断した場合の断面図である。
デバイス1は、直法形状の放熱筐体20の内部に、デバイス用積層体10が格納された構造を有している。図1の上面図および図2の断面図に示すように、デバイス用積層体10は放熱筐体20の中央部に配置されている。
ここで、放熱筐体20は、底面を構成する配線基板21と、側面を構成する放熱筐体側面22と、上面を構成する放熱筐体上蓋23とを備える。
なお、放熱筐体20は、例えば、銅およびアルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料で形成されている。
デバイス用積層体10は、上面から見て、長方形状である。そして、デバイス用積層体10は、ICチップ12と、ICチップ12の一方(図示例では上方)の主面に接着された熱伝導シート11とを備える。
なお、デバイス用積層体10としては、基板としてICチップを用いて作製した、上述した本発明のデバイス用積層体を用いることができる。
図2の断面図に示すように、デバイス用積層体10は、放熱筐体上蓋23と、配線基板21と密着している。具体的には、デバイス用積層体10の一方の面(図示例では上方の面)を構成する熱伝導シート11が放熱筐体上蓋23と密着し、他方の面(図示例では下方の面)を構成するICチップ12が配線基板21と密着している。
このように、デバイス1は、ICチップ12と、放熱筐体20(特に、放熱筐体上蓋23)とが、熱伝導シート11を介して密着した構造を有しているため、デバイス1の使用時において、ICチップ12からの熱を、熱伝導シート11を介して放熱筐体20に伝導し、効率良く放熱することができる。したがって、デバイス1は温度上昇による機能障害を良好に抑制することができる。
<第2の実施形態>
以下、図3および4を参照して、本発明のデバイスの他の一例について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係るデバイス1’の概略構成を示す上面図である。なお、図3では、放熱筐体上蓋23、後述する熱伝導シート30、および放熱板40を除いた状態でデバイス1’を観察した場合の上面図である。また、図4は、図3に示したデバイス1’をX2-X2線で切断した場合の断面図である。
なお、図1に示したデバイス1と同じ構成については説明を割愛する。
本発明の第2の実施形態に係るデバイス1’は、図1に示したデバイス1の構成に加えて、デバイス用積層体10’を更に4つ備えている。具体的には、図1の上面図に示すように、デバイス用積層体10’が放熱筐体20の底面を構成する配線基板21上の四隅に1つずつ配置されている。
ここで、デバイス用積層体10’は、上面から見て、デバイス用積層体10よりも小型の長方形状である。そして、デバイス用積層体10’は、ICチップ12’と、ICチップ12’の一方(図示例では上方)の主面に接着された熱伝導シート11’とを備える。
図4の断面図に示すように、デバイス用積層体10’は、放熱筐体上蓋23と、配線基板21と密着している。具体的には、デバイス用積層体10’の一方の面(図示例では上方の面)を構成する熱伝導シート11’が放熱筐体上蓋23と密着し、他方の面(図示例では下方の面)を構成するICチップ12’が配線基板21と密着している。
デバイス用積層体10’としては、デバイス用積層体10と同様、基板としてICチップを用いて作製した、上述した本発明のデバイス用積層体を用いることができる。
なお、デバイス用積層体10’を構成するICチップ12’および熱伝導シート11’は、デバイス用積層体10を構成するICチップ12および熱伝導シート11と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
例えば、図4に示すように、デバイス用積層体10’を構成するICチップ12’および熱伝導シート11’の厚みは、デバイス用積層体10を構成するICチップ12および熱伝導シート11の厚みと異なるものである。
また、デバイス1’は、上述した図1に示したデバイス1に加えて、熱伝導シート30と、放熱板40とを更に備えている。
具体的には、放熱筐体上蓋23の外側(図示例では、上方)に向かって、熱伝導シート30と放熱板40とが順番に配置されている。そして、放熱板40は、熱伝導シート30を介して、放熱筐体上蓋と密着している。
ここで、デバイス1’は、デバイス1と同様に、ICチップ12(12’)と、放熱筐体20(特に、放熱筐体上蓋23)とが、熱伝導シート11(11’)を介して密着した構造を有しているため、ICチップ12(12’)からの熱を、熱伝導シート11(11’)を介して放熱筐体20に伝導することができる。そして、デバイス1’では、放熱筐体上蓋23に伝導した熱は、熱伝導シート30を介して、さらに放熱板40に伝導して、放熱される。したがって、デバイス1’は、熱伝導シート30を介して放熱筐体上蓋23と密着した放熱板40を更に備えることにより、更に効率良く放熱を行なえるため、温度上昇による機能障害を更に良好に抑制することができる。
なお、熱伝導シート30としては、一般的な熱伝導シートを用いることができ、上述した本発明のデバイス用積層体に使用し得る熱伝導シートを用いることもできる。
また、放熱板40は、放熱筐体20と同様、例えば、銅およびアルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料で形成することができる。
(デバイスの製造方法)
本発明のデバイスの製造方法は、デバイス用積層体を備えるデバイスを製造するデバイスの製造方法であって、上述したデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体を搬送する工程Dを含むことを特徴とする。
ここで、上述したデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。したがって、当該デバイス用積層体を搬送する工程Dを含む本発明のデバイスの製造方法によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造することができる。
なお、本発明のデバイスの製造方法は、デバイス用積層体を搬送する工程D以外にも、任意で、その他の工程を更に含んでいてもよい。
<工程D>
工程Dでは、デバイス用積層体を搬送する。搬送されたデバイス用積層体は、デバイスを組み立てる工程などに供給される。
デバイスを搬送する方法としては、特に限定されることはなく、例えば、手作業による方法;ロボットおよびベルトコンベア等の機械装置による方法;などを採用することができる。
ここで、工程Dで搬送されるデバイス用積層体は、上述したデバイス用積層体の製造方法により製造されているため、基板と熱伝導シートとの接着強度が良好である。したがって、工程Dでの搬送中に、熱伝導シートが基板から剥がれ落ちたり、熱伝導シートが基板上の適切な配置からずれたりすることを良好に抑制することができる。よって、本発明のデバイスの製造方法によれば、デバイスを効率良く製造することができる。
<その他の工程>
本発明のデバイスの製造方法は、上述した工程D以外にも、任意で、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、特に限定されないが、例えば、デバイス用積層体をリワークする工程E、および、デバイスを組み立てる工程Fなどを実施することができる。
<<工程E>>
工程Eでは、デバイス用積層体をリワークする。具体的に、工程Eでは、デバイス用積層体における熱伝導シートが接着された配置のずれの有無を検知し、当該配置のずれが有る場合は、配置の修正のため、基板上の熱伝導シートを貼り直し(リワーク)する。
ここで、工程Eでリワークされるデバイス用積層体は、上述したデバイス用積層体の製造方法により製造されているため、基板に対する熱伝導シートのリワーク性が良好である。したがって、工程Eでは、デバイス用積層体を容易にリワークすることができる。よって、本発明のデバイスの製造方法によれば、デバイスを効率良く製造することができる。
なお、工程Eにおいて、デバイス用積層体における熱伝導シートが接着された配置のずれの有無を検知する方法としては、特に限定されず、目視確認による方法を採用してもよいし、センサー等の装置による方法を採用してもよい。
また、工程Eにおいて、配置の修正のため、基板上の熱伝導シートを貼り直し(リワーク)する方法としては、特に限定されず、手作業による方法を採用してもよいし、ロボット等の機械装置による方法を採用してもよい。
<<工程F>>
工程Fでは、デバイスを組み立てる。具体的に、工程Fでは、デバイス用積層体とその他の部品とを組み合わせて、デバイスを完成させる。
デバイス用積層体以外のその他の部品としては、特に限定されることはなく、例えば、「デバイス」の項で上述した放熱筐体、および放熱板などが挙げられる。
そして、デバイス用積層体とその他の部品とを組み合わせて、デバイスを完成させる方法としては、特に限定されず、手作業による方法を採用してもよいし、ロボット等の機械装置による方法を採用してもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度および基板に対する熱伝導シートのリワーク性は、以下の方法により測定および評価した。
(基板と熱伝導シートとの接着強度および基板に対する熱伝導シートのリワーク性)
実施例および比較例で作製したデバイス用積層体(幅10mm×長さ10mmの基板に、幅15mm×長さ30mmの熱伝導シートを接着させたもの)を、両面テープを用いて、熱伝導シート側の面が上になるように作業台に固定した。次いで、デジタルフォースゲージ(日本電産シンポ株式会社製)を用いて、熱伝導シートを長さ方向に90°の角度で500mm/minの速度にて剥離したときの最大試験力(N)を測定した。測定された最大試験力(N)を、熱伝導シートと基板との接着部分の幅(10mm=1cm)で除した試験値(N/cm)を得た。各実施例および比較例につき、デバイス用積層体2検体で上記測定および算出を行ない、得られた2検体の試験値の平均値を基板と熱伝導シートとの接着強度(N/cm)とした。
そして、基板と熱伝導シートとの接着強度を以下の基準により評価した。
A:接着強度(N/cm)が0.15N/cm以上である。
B:接着強度(N/cm)が0.15N/cm未満である。
また、基板と熱伝導シートとの接着強度の値から、以下の基準により、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を評価した。なお、接着強度の値が低いほど、デバイス用積層体は基板に対する熱伝導シートのリワーク性に優れる。
A:接着強度(N/cm)が0.40N/cm以下である。
B:接着強度(N/cm)が0.40N/cm超2.00N/cm以下である。
C:接着強度(N/cm)が2.00N/cm超である。
(実施例1)
<繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製>
[分散液の調製]
繊維状炭素ナノ構造体(SGCNT、ゼオンナノテクノロジー社製「ZEONANO(登録商標)SG101」、BET比表面積:600m/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN-20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、繊維状炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
[溶媒の除去]
その後、上述で得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、シート状の易分散性集合体を得た。
<組成物の調製>
熱可塑性樹脂としての常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG-101」、粘度:3500cP))70部、および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」、ムーニー粘度:27ML1+4、100℃)30部と、熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)90部、および繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体0.01部とを、溶媒としての酢酸エチル100部の存在下において、70℃で、ホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM-5LVT型」)を用いて5分攪拌混合して、混合液を得た。そして、得られた混合液を、30分真空脱泡すると共に、溶媒としての酢酸エチルの除去を行なって、混合物を得た。次いで、得られた混合物を解砕機(オリエント粉砕機社製、商品名「オリエント竪型粉砕機 VM-16k型」)に投入し、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
<プレ熱伝導シートの形成>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.5mmのプレ熱伝導シートを得た。
<積層体の形成>
続いて、得られたプレ熱伝導シートを縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断し、プレ熱伝導シートの厚み方向に120枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約60mmの積層体を得た。
<熱伝導シートの形成>
その後、二次加圧された積層体の積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横60mm×厚み0.15mmの熱伝導シートを得た。
<デバイス用積層体の作製>
100℃に加温したホットプレート上に、幅15mm×長さ30mmにカットした熱伝導シートを置いた。当該熱伝導シートの上に、幅10mm×長さ10mmにカットした基板としてのシリコン(Si)ウェハーを、熱伝導シートと幅および長さの方向が揃うように乗せることで、基板の一方の主面に熱伝導シートを配置してなる積層物を得た。さらに、基板の上に1kgの重りを5秒間乗せて、積層物を(1kgf/cm=9.8×10-2MPaの圧力で)加圧し、熱伝導シートと基板とを接着させた後、2時間以上室温にて静置することで、基板の一方の主面に熱伝導シートが接着されてなるデバイス用積層体を得た。得られたデバイス用積層体について、基板と熱伝導シートとの接着強度および基板に対する熱伝導シートのリワーク性を測定および評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から120℃に変更し、重りを乗せる時間を5秒間から2秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から80℃に変更し、重りを乗せる時間を5秒間から10秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の組成物の調製において、熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛の添加量を90部から50部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の組成物の調製において、熱可塑性樹脂として、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂70部および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂30部に代えて、下記の方法により調製した熱可塑性アクリル樹脂100部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
<アクリル樹脂の調製>
反応器に、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのアクリル酸2-エチルヘキシル94部と、酸性基含有単量体としてのアクリル酸6部とからなる単量体組成物100部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.03部と、溶媒としての酢酸エチル700部とを入れて、十分に攪拌し、窒素置換した後、80℃で6時間重合反応を行なった。重合転化率が97%になった時点で冷却して反応を停止し、重合体の分散液を得た。当該重合体の分散液を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させて、粘性を有する、常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂を得た。
ここで、熱可塑性アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は270000であり、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は3.1であった。
なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算値として求めた。
(実施例6)
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から50℃に変更し、重りを乗せる時間を5秒間から60秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1のデバイス用積層体の作製において、重りを乗せる時間を5秒間から2秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0007143712000001
表1より、基板の少なくとも一方の主面に、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する工程と、基板と熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内となるように積層物を加圧して、基板と熱伝導シートとを接着させる工程とを含む実施例1~6のデバイス用積層体の製造方法によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とが良好に両立したデバイス用積層体を製造できることがわかる。
一方、積層物の加圧時間が短いため、基板と熱伝導シートとの接着強度が所定範囲から外れた比較例1のデバイス用積層体の製造方法では、製造されるデバイス用積層体は、基板に対する熱伝導シートのリワーク性は良好であるものの、基板と熱伝導シートとの接着強度に劣ることがわかる。
また、積層物を加圧する際の温度が低いため、基板と熱伝導シートとの接着強度が所定範囲から外れた比較例2のデバイス用積層体の製造方法においても、製造されるデバイス用積層体は、基板に対する熱伝導シートのリワーク性は良好であるものの、基板と熱伝導シートとの接着強度に劣ることがわかる。
本発明によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とが良好に両立したデバイス用積層体を効率良く製造し得るデバイス用積層体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造し得るデバイスの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを提供することができる。
1,1’ デバイス
10,10’ デバイス用積層体
11,11’ 熱伝導シート
12,12’ ICチップ
20 放熱筐体
21 配線基板
22 放熱筐体側面
23 放熱筐体上蓋
30 熱伝導シート
40 放熱板

Claims (12)

  1. 基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着され、熱伝導性充填材および熱可塑性樹脂を含む熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体を製造するデバイス用積層体の製造方法であって、
    前記基板の少なくとも一方の主面上に前記熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する工程Aと、
    前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.15N/cm以上2.00N/cm以下となるように、前記積層物を加圧して、前記基板と前記熱伝導シートとを接着させる工程Bと、
    を含み、
    前記熱可塑性樹脂が、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂とを含有し、
    前記常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、前記常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂との質量比(固体/液体)が1/4以上9/1以下である、デバイス用積層体の製造方法。
  2. 前記積層物を加圧する際の圧力が、0.01MPa以上1.00MPa以下である、請求項1に記載のデバイス用積層体の製造方法。
  3. 前記積層物を加圧する際の温度が、25℃以上150℃以下である、請求項1または2に記載のデバイス用積層体の製造方法。
  4. 前記工程Aと前記工程Bとの間において、前記積層物における前記熱伝導シートの配置のずれの有無を検知し、前記熱伝導シートの配置のずれが有る場合は、前記熱伝導シートの配置を修正する工程Cを更に含む、請求項1~3のいずれかに記載のデバイス用積層体の製造方法。
  5. 前記基板がシリコンを含み、
    前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.22N/cm以下である、請求項1~4のいずれかに記載のデバイス用積層体の製造方法。
  6. デバイス用積層体を備えるデバイスを製造するデバイスの製造方法であって、
    請求項1~のいずれかに記載のデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体を搬送する工程Dを含む、デバイスの製造方法。
  7. 基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着された熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体であって、
    前記熱伝導シートは、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含み、
    前記熱可塑性樹脂が、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂とを含有し、
    前記常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、前記常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂との質量比(固体/液体)が1/4以上9/1以下であり、
    前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.15N/cm以上2.00N/cm以下である、デバイス用積層体。
  8. 前記基板がシリコンを含
    前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.22N/cm以下である、請求項に記載のデバイス用積層体。
  9. 前記熱伝導性充填材が粒子状炭素材料を含む、請求項またはに記載のデバイス用積層体。
  10. 前記熱伝導性充填材が繊維状炭素ナノ構造体を含む、請求項のいずれかに記載のデバイス用積層体。
  11. 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性フッ素樹脂を含む、請求項10のいずれかに記載のデバイス用積層体。
  12. 請求項11のいずれかに記載のデバイス用積層体を備えるデバイス。
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