JP7143712B2 - デバイス用積層体およびその製造方法、並びに、デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造し得るデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを提供することを目的とする。
なお、本発明において、基板と熱伝導シートとの接着強度は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造し得るデバイスの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを提供することができる。
ここで、本発明のデバイス用積層体の製造方法によれば、本発明のデバイス用積層体を効率良く製造することができる。また、本発明のデバイスの製造方法によれば、本発明のデバイスを効率良く製造することができる。さらに、本発明のデバイスは、本発明のデバイス用積層体を備えている。
本発明のデバイス用積層体は、基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着された熱伝導シートと、を有し、前記熱伝導シートは、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含み、前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内であることを特徴とする。そして、本発明のデバイス用積層体であれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。
デバイス用積層体が備える基板としては、特に限定されないが、例えば、半導体材料を含む基板を用いることができ、中でもシリコンを含む基板を用いることが好ましい。シリコンを含む基板を用いれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを更に良好に両立することができる。
デバイス用積層体が備える熱伝導シートは、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含み、任意で、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材以外のその他の成分を含んでいてもよい。
熱伝導シートが含む熱可塑性樹脂としては、特に限定されることなく、熱伝導シートに使用され得る既知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、デバイス用積層体の製造において、熱伝導シートと基板とを加熱して接着させる場合、熱伝導シートが熱可塑性樹脂を含むことにより、熱伝導シートと基板との界面における密着性が高まるため、基板と熱伝導シートとの接着強度を高めることもできる。
なお、本発明において、ゴムおよびエラストマーは、「熱可塑性樹脂」に含まれ得るものとする。
なお、本明細書において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-プロピレン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系フッ素樹脂等、フッ素含有モノマーを重合して得られるエラストマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロジオキソール共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエステル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエポキシ変性物およびポリテトラフルオロエチレンのシラン変性物等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロペンテン-テトラフルオロエチレン3元共重合体、パーフルオロプロペンオキサイド重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。
また、常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2-エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどを用いることができる。
なお、熱可塑性樹脂として、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂とを併用する場合、熱伝導シート中の両者の含有量の質量比は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で任意に設定することができる。
例えば、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂とを併用する場合、熱伝導シート中の両者の含有量の質量比(固体/液体)は、1/9以上であることが好ましく、1/4以上であることが更に好ましく、9/1以下であることが好ましく、4/1以下であることが更に好ましい。熱伝導シート中の両者の含有量の質量比(固体/液体)が上記下限以上であれば、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。一方、熱伝導シート中の両者の含有量の質量比(固体/液体)が上記上限以下であれば、熱伝導シートの接着性を高め得るため、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度を更に高めることができる。
熱伝導性充填材は、熱伝導性シート中において熱伝導性を発揮し、発熱体(基板)からの熱を放熱体へ伝導し得る材料である。
また、熱伝導性充填材は、通常、上述した熱可塑性樹脂よりも接着性が低い材料であることから、熱伝導シートが熱伝導性充填材を含むことにより、熱伝導シートの接着性が過度に高くなることを良好に抑制することができる。これにより、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度を適度に保ち、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を高めることもできる。
そして、熱伝導性充填材としては、炭素材料を用いることが好ましい。熱伝導性充填材として炭素材料を用いれば、熱伝導シートの強度および熱伝導性を高めることができる。
さらに、炭素材料としては、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料を用いることが好ましく、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料を併用することが更に好ましい。炭素材料として、粒子状炭素材料および繊維状炭素材料を用いれば、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを更に良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を更に高めることができる。
粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、粒子状炭素材料としては、膨張化黒鉛を用いることが好ましい。膨張化黒鉛を使用すれば、熱伝導シートの熱伝導性を更に高めると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を一層高めることができる。
熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、40質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることが更に好ましく、80質量部以上であることが特に好ましく、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることが更に好ましく、120質量部以下であることが特に好ましい。熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性を更に高めると共に、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を一層高めることができる。一方、熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、熱伝導シートの接着性を十分に確保し得るため、デバイス用積層体における基板と熱伝導シートとの接着強度を十分に確保することができる。
繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、繊維状炭素材料として好適に使用し得る、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)のみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
なお、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、熱伝導シートの熱伝導性および強度を一層向上させると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることをより一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性をより一層高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
そして、熱伝導シート中の繊維状炭素材料の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることが更に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。熱伝導シート中の繊維状炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性および強度を更に向上させると共に、熱伝導シートの接着性が過度に高まることを一層良好に抑制し、基板に対する熱伝導シートのリワーク性を一層高めることができる。一方、熱伝導シート中の繊維状炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、熱伝導シートの硬度が過度に上昇する(即ち、柔軟性が過度に低下する)のを抑制することができる。
熱伝導シートは、上述した熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材以外に、任意で、その他の成分を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、熱伝導シートの形成に使用し得る既知の添加剤、および熱硬化性樹脂などを使用することができる。
そして、熱伝導シートの形成に使用し得る既知の添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、赤りん系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤等の難燃剤;可塑剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の受酸剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物等の接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ性向上剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤;などが挙げられる。
熱伝導シートの形成方法は、得られる熱伝導シートが熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む限りにおいて、特に制限されない。そして、熱伝導シートは、例えば、プレ熱伝導シート成形工程、積層体形成工程、スライス工程などを経て形成することができる。
プレ熱伝導シート成形工程では、熱可塑性樹脂、および熱伝導性充填材を含み、任意に、添加剤等のその他の成分を更に含む組成物を加圧してシート状に成形し、プレ熱伝導シートを得る。
ここで、組成物は、上述した熱可塑性樹脂、熱伝導性充填材、およびその他の成分(添加剤および熱硬化性樹脂など)を混合して調製することができる。また、組成物中の各成分の含有量も上述した範囲内で適宜変更することができる。
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧(一次加圧)してシート状に成形することができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形によりシート状に形成することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃以下とすることができる。
そして、組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導シートでは、例えば粒子状炭素材料等の熱伝導性充填材が主として面内方向に配列し、特に面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
なお、プレ熱伝導シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
積層体形成工程では、プレ熱伝導シート成形工程で得られたプレ熱伝導シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレ熱伝導シートを折畳または捲回して、積層体を得る。
ここで、積層体形成工程で得られる積層体において、プレ熱伝導シートの表面同士の接着力をより高めて、積層体の層間剥離を十分に抑制する場合には、プレ熱伝導シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層体形成工程を行ってもよいし、プレ熱伝導シートの表面に接着剤を塗布した状態またはプレ熱伝導シートの表面に接着層を設けた状態で積層体形成工程を行ってもよいし、プレ熱伝導シートを積層させた積層体を積層方向に更にプレス(二次加圧)してもよい。
そして、プレ熱伝導シートを積層、折畳または捲回して得られる積層体では、例えば粒子状炭素材料等の熱伝導性充填材が積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。
スライス工程では、積層体形成工程で得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得る。
ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチワイヤソー法、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
本発明のデバイス用積層体の製造方法は、基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着され、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体を製造するデバイス用積層体の製造方法であって、前記基板の少なくとも一方の主面に前記熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する工程Aと、前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内となるように前記積層物を加圧して、前記基板と前記熱伝導シートとを接着させる工程Bとを含むことを特徴とする。本発明のデバイス用積層体の製造方法によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を製造することができる。
工程Aでは、基板の少なくとも一方の主面上に、熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する。
一方、基板と熱伝導シートとが「接着していない」とは、基板と熱伝導シートとが接触しているものの、基板と熱伝導シートとの接着強度が0N/cmであることを意味する。
工程Bでは、基板と熱伝導シートとの接着強度が所定範囲内となるように、上述した積層物を加圧して、基板と熱伝導シートとを接着させる。これにより、基板の少なくとも一方の主面に熱伝導シートが接着されてなるデバイス用積層体が得られる。
本発明のデバイス用積層体は、上述した工程Aおよび工程B以外にも、任意で、その他の工程を更に含んでいてもよい。その他の工程としては、特に限定されることはなく、例えば、工程Aで作製された積層物を搬送する工程などを実施してもよいが、特に、後述する工程Cを実施することが好ましい。
工程Cでは、前記工程Aと前記工程Bとの間において、上述した工程Aで得られた積層物における熱伝導シートの配置のずれの有無を検知し、熱伝導シートの配置のずれが有る場合は、熱伝導シートの配置を修正する。
本発明のデバイスは、上述したデバイス用積層体を備えることを特徴とする。したがって、本発明のデバイスは、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を備える。
以下、図1および2を参照して、本発明のデバイスの一例について説明する。なお、以下の説明において、上下方向とは、図1などの上図の紙面に垂直な方向を意味し、上方は同図における紙面手前方向、下方はその反対方向を意味するものとする。
以下、図3および4を参照して、本発明のデバイスの他の一例について説明する。
本発明のデバイスの製造方法は、デバイス用積層体を備えるデバイスを製造するデバイスの製造方法であって、上述したデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体を搬送する工程Dを含むことを特徴とする。
ここで、上述したデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体は、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立することができる。したがって、当該デバイス用積層体を搬送する工程Dを含む本発明のデバイスの製造方法によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造することができる。
工程Dでは、デバイス用積層体を搬送する。搬送されたデバイス用積層体は、デバイスを組み立てる工程などに供給される。
本発明のデバイスの製造方法は、上述した工程D以外にも、任意で、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、特に限定されないが、例えば、デバイス用積層体をリワークする工程E、および、デバイスを組み立てる工程Fなどを実施することができる。
工程Eでは、デバイス用積層体をリワークする。具体的に、工程Eでは、デバイス用積層体における熱伝導シートが接着された配置のずれの有無を検知し、当該配置のずれが有る場合は、配置の修正のため、基板上の熱伝導シートを貼り直し(リワーク)する。
工程Fでは、デバイスを組み立てる。具体的に、工程Fでは、デバイス用積層体とその他の部品とを組み合わせて、デバイスを完成させる。
実施例および比較例で作製したデバイス用積層体(幅10mm×長さ10mmの基板に、幅15mm×長さ30mmの熱伝導シートを接着させたもの)を、両面テープを用いて、熱伝導シート側の面が上になるように作業台に固定した。次いで、デジタルフォースゲージ(日本電産シンポ株式会社製)を用いて、熱伝導シートを長さ方向に90°の角度で500mm/minの速度にて剥離したときの最大試験力(N)を測定した。測定された最大試験力(N)を、熱伝導シートと基板との接着部分の幅(10mm=1cm)で除した試験値(N/cm)を得た。各実施例および比較例につき、デバイス用積層体2検体で上記測定および算出を行ない、得られた2検体の試験値の平均値を基板と熱伝導シートとの接着強度(N/cm)とした。
A:接着強度(N/cm)が0.15N/cm以上である。
B:接着強度(N/cm)が0.15N/cm未満である。
A:接着強度(N/cm)が0.40N/cm以下である。
B:接着強度(N/cm)が0.40N/cm超2.00N/cm以下である。
C:接着強度(N/cm)が2.00N/cm超である。
<繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製>
[分散液の調製]
繊維状炭素ナノ構造体(SGCNT、ゼオンナノテクノロジー社製「ZEONANO(登録商標)SG101」、BET比表面積:600m2/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN-20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、繊維状炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
[溶媒の除去]
その後、上述で得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、シート状の易分散性集合体を得た。
熱可塑性樹脂としての常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG-101」、粘度:3500cP))70部、および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」、ムーニー粘度:27ML1+4、100℃)30部と、熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)90部、および繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体0.01部とを、溶媒としての酢酸エチル100部の存在下において、70℃で、ホバートミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM-5LVT型」)を用いて5分攪拌混合して、混合液を得た。そして、得られた混合液を、30分真空脱泡すると共に、溶媒としての酢酸エチルの除去を行なって、混合物を得た。次いで、得られた混合物を解砕機(オリエント粉砕機社製、商品名「オリエント竪型粉砕機 VM-16k型」)に投入し、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.5mmのプレ熱伝導シートを得た。
続いて、得られたプレ熱伝導シートを縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断し、プレ熱伝導シートの厚み方向に120枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約60mmの積層体を得た。
その後、二次加圧された積層体の積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横60mm×厚み0.15mmの熱伝導シートを得た。
100℃に加温したホットプレート上に、幅15mm×長さ30mmにカットした熱伝導シートを置いた。当該熱伝導シートの上に、幅10mm×長さ10mmにカットした基板としてのシリコン(Si)ウェハーを、熱伝導シートと幅および長さの方向が揃うように乗せることで、基板の一方の主面に熱伝導シートを配置してなる積層物を得た。さらに、基板の上に1kgの重りを5秒間乗せて、積層物を(1kgf/cm2=9.8×10-2MPaの圧力で)加圧し、熱伝導シートと基板とを接着させた後、2時間以上室温にて静置することで、基板の一方の主面に熱伝導シートが接着されてなるデバイス用積層体を得た。得られたデバイス用積層体について、基板と熱伝導シートとの接着強度および基板に対する熱伝導シートのリワーク性を測定および評価した。結果を表1に示す。
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から120℃に変更し、重りを乗せる時間を5秒間から2秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から80℃に変更し、重りを乗せる時間を5秒間から10秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1の組成物の調製において、熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛の添加量を90部から50部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1の組成物の調製において、熱可塑性樹脂として、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂70部および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂30部に代えて、下記の方法により調製した熱可塑性アクリル樹脂100部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
反応器に、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのアクリル酸2-エチルヘキシル94部と、酸性基含有単量体としてのアクリル酸6部とからなる単量体組成物100部と、重合開始剤としての2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.03部と、溶媒としての酢酸エチル700部とを入れて、十分に攪拌し、窒素置換した後、80℃で6時間重合反応を行なった。重合転化率が97%になった時点で冷却して反応を停止し、重合体の分散液を得た。当該重合体の分散液を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させて、粘性を有する、常温常圧下で固体の熱可塑性アクリル樹脂を得た。
なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算値として求めた。
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から50℃に変更し、重りを乗せる時間を5秒間から60秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1のデバイス用積層体の作製において、重りを乗せる時間を5秒間から2秒間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1のデバイス用積層体の作製において、ホットプレートの温度を100℃から80℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、デバイス用積層体を作製し、測定および評価を行なった。結果を表1に示す。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを効率良く製造し得るデバイスの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、基板と熱伝導シートとの接着強度と、基板に対する熱伝導シートのリワーク性とを良好に両立し得るデバイス用積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該デバイス用積層体を備えるデバイスを提供することができる。
10,10’ デバイス用積層体
11,11’ 熱伝導シート
12,12’ ICチップ
20 放熱筐体
21 配線基板
22 放熱筐体側面
23 放熱筐体上蓋
30 熱伝導シート
40 放熱板
Claims (12)
- 基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着され、熱伝導性充填材および熱可塑性樹脂を含む熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体を製造するデバイス用積層体の製造方法であって、
前記基板の少なくとも一方の主面上に前記熱伝導シートを配置してなる積層物を作製する工程Aと、
前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.15N/cm以上2.00N/cm以下となるように、前記積層物を加圧して、前記基板と前記熱伝導シートとを接着させる工程Bと、
を含み、
前記熱可塑性樹脂が、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂とを含有し、
前記常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、前記常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂との質量比(固体/液体)が1/4以上9/1以下である、デバイス用積層体の製造方法。 - 前記積層物を加圧する際の圧力が、0.01MPa以上1.00MPa以下である、請求項1に記載のデバイス用積層体の製造方法。
- 前記積層物を加圧する際の温度が、25℃以上150℃以下である、請求項1または2に記載のデバイス用積層体の製造方法。
- 前記工程Aと前記工程Bとの間において、前記積層物における前記熱伝導シートの配置のずれの有無を検知し、前記熱伝導シートの配置のずれが有る場合は、前記熱伝導シートの配置を修正する工程Cを更に含む、請求項1~3のいずれかに記載のデバイス用積層体の製造方法。
- 前記基板がシリコンを含み、
前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.22N/cm以下である、請求項1~4のいずれかに記載のデバイス用積層体の製造方法。 - デバイス用積層体を備えるデバイスを製造するデバイスの製造方法であって、
請求項1~5のいずれかに記載のデバイス用積層体の製造方法により製造されたデバイス用積層体を搬送する工程Dを含む、デバイスの製造方法。 - 基板と、前記基板の少なくとも一方の主面に接着された熱伝導シートと、を備えるデバイス用積層体であって、
前記熱伝導シートは、熱可塑性樹脂および熱伝導性充填材を含み、
前記熱可塑性樹脂が、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂とを含有し、
前記常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂と、前記常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂との質量比(固体/液体)が1/4以上9/1以下であり、
前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.15N/cm以上2.00N/cm以下である、デバイス用積層体。 - 前記基板がシリコンを含み、
前記基板と前記熱伝導シートとの接着強度が0.22N/cm以下である、請求項7に記載のデバイス用積層体。 - 前記熱伝導性充填材が粒子状炭素材料を含む、請求項7または8に記載のデバイス用積層体。
- 前記熱伝導性充填材が繊維状炭素ナノ構造体を含む、請求項7~9のいずれかに記載のデバイス用積層体。
- 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性フッ素樹脂を含む、請求項7~10のいずれかに記載のデバイス用積層体。
- 請求項7~11のいずれかに記載のデバイス用積層体を備えるデバイス。
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