JP2022129990A - 熱伝導シート及びその製造方法 - Google Patents

熱伝導シート及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022129990A
JP2022129990A JP2021028905A JP2021028905A JP2022129990A JP 2022129990 A JP2022129990 A JP 2022129990A JP 2021028905 A JP2021028905 A JP 2021028905A JP 2021028905 A JP2021028905 A JP 2021028905A JP 2022129990 A JP2022129990 A JP 2022129990A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive sheet
laminate
mpa
thermally conductive
heat conductive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021028905A
Other languages
English (en)
Inventor
康之 村上
Yasuyuki Murakami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2021028905A priority Critical patent/JP2022129990A/ja
Publication of JP2022129990A publication Critical patent/JP2022129990A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】加圧しても千切れにくい熱伝導シートを提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂及び炭素材料を含む熱伝導シートである。熱伝導シートの熱伝導率の値は、9W/mK以上であり、熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる主面内方向を、X方向とし、主面内方向Xに対して垂直な主面内方向を、Y方向として、X方向の引張強度Sx(MPa)を、Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導シート及びその製造方法に関するものである。
近年、パワー半導体(IGBTモジュールなど)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
電子部品の温度上昇による機能障害対策としては、一般に、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、熱伝導性が高いシート状の部材(熱伝導シート)を介し、この熱伝導シートに対して所定の圧力をかけることで発熱体と放熱体とを密着させている。
熱伝導シートに対して圧力をかけた際には、熱伝導シートが千切れることがあった。そこで従来、熱伝導シートの強度を高めるための技術が検討されてきた。例えば特許文献1では、熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる主面内方向Xのシート強度、及び、主面内方向Xに対して垂直な主面内方向Yのシート強度がいずれも0.8MPa以上であり、主面内方向Yのシート強度に対する主面内方向Xのシート強度の比(主面内方向Xのシート強度/主面内方向Yのシート強度)が2.3以上である、熱伝導シートが開示されている。また、例えば特許文献2では、複数枚のプレ熱伝導シートを真空雰囲気下で積層してプレスすることにより積層体とする積層体形成工程と、積層体をスライスして複数枚の熱伝導シートとするスライス工程とを備える熱伝導シートの製造方法が開示されている。さらにまた、例えば特許文献3では、面内方向の熱伝導率が15W/m・K以上のシートを厚み方向に複数枚積層してなる積層体を、積層方向に直交する方向から加熱しつつ、積層方向に加圧することを含む、積層体の製造方法が開示されている。
特開2020-055893号公報 特開2018-165035号公報 特開2018-153959号公報
しかしながら、上記従来技術に従う熱伝導シートには、発熱体と放熱体との間に挟まれて両面から加圧された状態において、千切れにくくするという点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、加圧状態において千切れにくい熱伝導シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、熱可塑性樹脂と炭素材料を含み、熱伝導シートの熱伝導率の値が、9W/mK以上であり、熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる主面内方向を、X方向とし、かかるX方向に対して垂直な主面内方向を、Y方向として、X方向の引張強度Sx(MPa)を、Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下となるようにすることで、加圧状態において千切れにくい熱伝導シートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートは、熱可塑性樹脂及び炭素材料を含む熱伝導シートであって、前記熱伝導シートの熱伝導率の値が、9W/mK以上であり、前記熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる主面内方向を、X方向とし、前記X方向に対して垂直な主面内方向を、Y方向として、前記X方向の引張強度Sx(MPa)を、前記Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下であることを特徴とする。熱伝導率の値が9W/mK以上であるとともに、(Sx/Sy)の値が1.1以上2.2以下である、熱可塑性樹脂及び炭素材料を含む熱伝導シートは、加圧状態において千切れにくい。
ここで、「熱伝導シートの主面」とは、熱伝導シートの少なくとも一方の表面を意味する。
なお、「熱伝導率」、「X方向の引張強度Sx(MPa)」、及び「Y方向の引張強度Sy(MPa)」は、実施例に記載の方法により測定又は算出することができる。
また、本発明の熱伝導シートは、前記X方向の引張強度Sx(MPa)及び前記Y方向の引張強度Sy(MPa)が、双方とも0.7MPa以上であることが好ましい。熱伝導シートについて測定したSx(MPa)の値及びSy(MPa)の値が双方とも0.7MPa以上であれば、かかる熱伝導シートは加圧状態において一層千切れにくい。
また、本発明の熱伝導シートは、前記炭素材料が膨張化黒鉛であることが好ましい。熱伝導シートが炭素材料として膨張化黒鉛を含んでいれば、かかる熱伝導シートは熱伝導性に優れる。
さらに、本発明の熱伝導シートは、0.9MPaにて加圧した際のシート厚みの値をT0.9とし、0.1MPaにて加圧した際のシート厚みの値をT0.1として、下式に従って算出したシート厚み減少率の値が7%以下であることが好ましい。
シート厚み減少率(%)=(1-T0.9/T0.1)×100
熱伝導シートのシート厚み減少率の値が7%以下であれば、かかる熱伝導シートは加圧状態において一層千切れにくい。なお、シート厚み減少率の値は、実施例に記載の方法により算出することができる。
また、本発明の熱伝導シートは、前記熱可塑性樹脂及び前記炭素材料の合計体積を基準として、前記炭素材料の体積分率が20%以上50%以下であることが好ましい。熱伝導シートにおける炭素材料の体積分率が20%以上50%以下であれば、かかる熱伝導シートは熱伝導性に優れるとともに、加圧状態において千切れにくい。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートの製造方法は、熱可塑性樹脂と炭素材料とを含む組成物を加圧してシート状に成型し、プレ熱伝導シートを得る工程と、前記プレ熱伝導シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記プレ熱伝導シートを折畳又は捲回した状態として加圧前積層体を形成し、前記加圧前積層体を加熱条件下で加圧して、積層体を得る工程と、前記積層体を積層方向に45度以下の角度でスライスし、熱伝導シートを得る工程と、を含み、前記積層体を得る工程において、前記加圧前積層体を、80℃以上の温度条件下にて、流体を圧力媒体として全方位から0.8MPa以上の圧力で加圧することにより、前記積層体を得ることを特徴とする。かかる製造方法によれば、加圧状態において千切れにくい熱伝導シートを効率的に製造することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記積層体を得る工程において、150℃以上の温度条件下にて、前記加圧前積層体を、全方位から0.8MPa以上の圧力で加圧することを含むことが好ましい。かかる製造方法によれば、加圧状態においてより一層千切れにくい熱伝導シートを製造することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記積層体を得る工程において、オートクレーブ又は温水等方圧プレス装置を用いて前記加圧前積層体を加圧することを含むことが好ましい。かかる製造方法によれば、加圧状態において千切れにくい熱伝導シートをより一層効率的に製造することができる。
本発明によれば、加圧状態において千切れにくい熱伝導シート及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の熱伝導シートは、熱伝導性を有するため、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。即ち、本発明の熱伝導シートは、放熱部材として、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。
そして、本発明の熱伝導シートは、熱可塑性樹脂及び炭素材料を含み、熱伝導率の値が、9W/mK以上であり、X方向の引張強度Sx(MPa)を、Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下である限りにおいて、あらゆる方法で製造することができるが、後述する本発明の熱伝導シートの製造方法に従って効率的に製造することができる。
(熱伝導シート)
本発明の熱伝導シートは、熱可塑性樹脂及び炭素材料を含み、任意の他の成分をさらに含みうる。さらに、本発明の熱伝導シートは、熱伝導率の値が、9W/mK以上であり、熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる主面内方向を、X方向とし、かかる方向Xに対して垂直な主面内方向を、Y方向として、X方向の引張強度Sx(MPa)を、Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下である、ことを特徴とする。本発明の熱伝導シートは、熱伝導率が9W/mK以上と熱伝導性を有するとともに、X方向の引張強度Sx(MPa)を、前記Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下と、シートの主面内方向における引張強度の偏りが少ないため、発熱体と放熱体との間に挟まれて使用した際に、熱伝導性に優れるとともに、発熱体及び放熱体による加圧に起因する千切れが生じにくい。その理由は明らかではないが、シートの主面内方向における引張強度の偏りが少ないために、シートが加圧されても、比較的強度が弱い方向と比較的強度が強い方向との間で生じうる応力差が小さくなるため、かかる応力差に起因してシートに千切れが生じることが少ないためと推察される。
<熱可塑性樹脂>
本発明の熱伝導シートが熱可塑性樹脂を含有することにより、熱伝導シートを介して発熱体と放熱体とを良好に密着させることができる。本発明の熱伝導シートが含みうる熱可塑性樹脂は、マトリックス樹脂を構成し、また、炭素材料を結着する結着材としても機能する。このような熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂及びエラストマーを挙げることができる。加圧状態における千切れにくさの観点からは、熱可塑性樹脂として結晶性樹脂を採用することが好ましい。また、熱伝導シートには、静置した状態でカールが生じにくいことが必要とされるが、カールのしにくさという観点からは、熱可塑性樹脂としてエラストマーを採用することが好ましい。
<<結晶性樹脂>>
結晶性樹脂としては、特に限定されることなく、あらゆるものを用いることができる。なお、ある樹脂が「結晶性」であることは、JIS K7121に従う示差走査熱量測定(DSC)法に従う測定により、融点が検出されることを意味する。なお、ある樹脂の「結晶性」は、当該樹脂を構成する重合体の重合体鎖が立体規則性を有することに起因してもたらされうる、ある特定構造を有する重合体固有の性質である。また、結晶性樹脂としては樹脂全体が結晶化しているもののみではなく、部分的に結晶化しているものも含む。
結晶性樹脂としては、例えば、直鎖状、又は分岐鎖状の高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン系結晶性樹脂、直鎖状、又は分岐鎖状の高密度ポリプロピレン、低密度ポリプロピレンなどのポリプロピレン系結晶性樹脂、及び、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリメチルブテン、ポリメチルヘキセン、ポリビニルナフタレン、ポリキシレン等からなる群で示されるポリオレフィン系結晶性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、芳香族ポリエステル等からなる群で示されるポリエステル系結晶性樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66、ナイロン-12、ポリアミドイミド等からなる群で示されるポリアミド系結晶性樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等からなる群で示されるフッ素系結晶性樹脂や、その他として、ロジン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、シンジオタクチックポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、セルロース、アセタール樹脂、塩素化ポリエーテル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、液晶ポリマー(芳香族多環縮合系ポリマー)等の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、融点が低く加工が容易であるため、ポリエチレン系結晶性樹脂及び、ポリプロピレン系結晶性樹脂が好ましい。
エラストマーとしては、特に限定されることなく、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、シリコンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。中でもエラストマーそれ自体の耐久性及び柔軟性のバランスの観点からアクリロニトリルブタジエンゴムが好ましい。
<炭素材料>
本発明の熱伝導シートが炭素材料を含むことにより、熱伝導シートの熱伝導性を高めることができる。ここで、炭素材料としては、特に限定されることなく、繊維状炭素材料及び粒子状炭素材料を用いることができる。中でも、炭素材料が粒子状炭素材料であることが好ましい。なお、「繊維状炭素材料」とはアスペクト比が10超の炭素材料を意味し、「粒子炭素材料」とは、アスペクト比が10以下の炭素材料を意味する。
<<繊維状炭素材料>>
繊維状炭素材料としては、特に制限されることなく、例えば、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状の炭素ナノ構造体、及び気相成長炭素繊維などを用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
<<粒子状炭素材料>>
粒子状炭素材料としては、特に制限されることはなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;などを用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
これらの中でも、膨張化黒鉛が好ましい。熱伝導シートに膨張化黒鉛を用いれば、熱伝導シートの熱伝導性をより向上させることができる。
-膨張化黒鉛-
ここで、粒子状炭素材料として好適に使用し得る膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、市販の膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業株式会社製のEC-1500、EC-1000、EC-500、EC-300、EC-100、EC-50、EC-10(いずれも商品名)等が挙げられる。
-平均粒子径-
粒子状炭素材料の平均粒子径は、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、250μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。粒子状炭素材料の平均粒子径が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性等を一層向上させることができる。また、粒子状炭素材料の平均粒子径が上記上限値以下であれば、熱伝導シートの強度及び形状保持能を一層高めることができる。
なお、粒子状炭素材料の平均粒子径は、粒子状炭素材料の体積平均粒子径を意味する。粒子状炭素材料の体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
<<炭素材料の体積分率>>
そして、熱伝導シート中の炭素材料の体積分率は、樹脂及び炭素材料の合計体積を100体積%として、20体積%以上であることが好ましく、60体積%以下であることが好ましく、50体積%以下であることがより好ましく、40体積%以下であることがさらに好ましい。炭素材料の体積分率が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性を向上させることができる。また、炭素材料の含有割合が上記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂として結晶性樹脂を採用した場合にはつぶれにくい熱伝導シートを作製することができる。また、炭素材料の含有割合が上記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂としてエラストマーを採用した場合には柔軟性を付与させることできる。
<他の成分>
上記熱伝導シートには、必要に応じて、熱伝導シートの成形に使用され得る他の成分をさらに配合することができる。そして、熱伝導シートに配合し得る他の成分としては、特に制限されることなく、例えば、架橋剤;反応開始剤;繊維状炭素材料;赤りん系難燃剤、りん酸エステル系難燃剤等の難燃剤;脂肪酸エステル系可塑剤等の可塑剤;ウレタンアクリレート等の靭性改良剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物などの接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ性向上剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤;などが挙げられる。
<熱伝導シートの構造及び性状>
そして、本発明の熱伝導シートは、特に限定されることなく、以下の構造及び性状を有していてもよい。
<<熱伝導シートの構造>>
本発明の熱伝導シートは、上述したような炭素材料が熱伝導シートの厚み方向に配向してなる構造を有することが好ましい。ここで、「熱伝導シートの厚み方向に配向」とは、まず熱伝導シートの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、シート内における炭素材料がシートの厚み方向に配向している状態をいう。
<<X方向の引張強度Sx(MPa)をY方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)>>
熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる主面内方向を、X方向とし、かかるX方向に対して垂直な主面内方向を、Y方向とした場合に、X方向の引張強度Sx(MPa)を、Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下である必要がある。(Sx/Sy)の値がかかる範囲内である熱伝導シートは、加圧条件下において千切れにくい。さらに、(Sx/Sy)の値は、1.4以上であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。(Sx/Sy)の値がかかる範囲内であれば、加圧条件下における熱伝導シートの千切れにくさをより一層高めることができる。
<<X方向の引張強度Sx(MPa)及びY方向の引張強度Sy(MPa)>>
熱伝導シートのX方向の引張強度Sx(MPa)及びY方向の引張強度Sy(MPa)は、双方とも0.7MPa以上であることが好ましく、1.0MPa以上であることがより好ましく、3.0MPa以上であることがさらに好ましく、4.0MPa以上であることが特に好ましく、20.0MPa以下であることが好ましく、12.0MPa以下であることがより好ましい。Sx(MPa)及びSy(MPa)の値がともに上記下限値以上であれば、熱伝導シートの加圧条件下における千切れにくさを一層高めることができる。また、Sx(MPa)及びSy(MPa)の値がともに上記上限値以下であれば、発熱体及び放熱体と、熱伝導シートとの間の密着性を高めることにより、効率的に熱伝導することができる。
<<熱伝導シートの熱伝導率>>
熱伝導シートの熱伝導率の値は、9W/mK以上であることが好ましく、14W/mK以上であることがより好ましい。熱伝導シートの熱伝導率の値が上記下限値以上であれば、かかる熱伝導シートは熱伝導性に優れる。なお、熱伝導シートの熱伝導率の上限値は特に限定されないが、例えば、50W/m以下でありうる。
<<熱伝導シートの厚み減少率>>
熱伝導シートは、0.9MPaにて加圧した際のシート厚みをT0.9とし、0.1MPaにて加圧した際のシート厚の値をT0.1として、下式に従って算出したシート厚み減少率の値が7%以下であることが好ましい。
シート厚み減少率(%)=(1-T0.9/T0.1)×100
さらに、シート厚み減少率の値は、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましい。シート厚み減少率の値が上記上限値以下であれば、かかる熱伝導シートは加圧状態においてより一層千切れにくい。その理由は明らかではないが、熱伝導シートが、シート厚み減少率が低い、すなわち、加圧してもシート厚みがつぶれにくいという属性を有する場合には、加圧状態においてシート内の局所的な応力集中が起こりにくく、結果的に千切れにくさにつながると推察される。
(熱伝導シートの製造方法)
本発明の熱伝導シートは、例えば、以下に詳述する、(i)プレ熱伝導シート成形工程、(ii)積層体形成工程、(iii)スライス工程、などを含む熱伝導シート製造方法により効率的に製造することができる。
<(i)プレ熱伝導シート成形工程>
プレ熱伝導シート成形工程では、樹脂と、炭素材料と、任意の他の成分をさらに含んでもよい組成物を加圧してシート状に成形し、プレ熱伝導シートを得る。
〔組成物〕
ここで、組成物は、樹脂と、炭素材料と、任意の他の成分とを混合して調製することができる。そして、樹脂、炭素材料、及び任意の他の成分としては、本発明の熱伝導シートに含まれ得る、上述した樹脂、上述した炭素材料、及び上述した他の成分を用いることができる。
なお、上述した成分の混合は、特に制限されることなく、ニーダー;ヘンシェルミキサー、ホバートミキサー、ハイスピードミキサー等のミキサー;二軸混練機;ロール;などの既知の混合装置を用いて行うことができる。また、混合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒に予め樹脂を溶解又は分散させて樹脂溶液として、炭素材料、架橋剤、及び任意の他の成分と混合してもよい。そして、混合時間は、例えば、5分以上60分以下とすることができる。また、混合温度は、例えば、5℃以上160℃以下とすることができる。
[組成物の成形]
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡及び解砕した後に、加圧してシート状に成形することができる。このように組成物を加圧成形したシート状のものを、プレ熱伝導シートとすることができる。なお、混合時に溶媒を用いている場合には、溶媒を除去してからシート状に成形することが好ましく、例えば、真空脱泡を用いて脱泡を行えば、脱泡時に溶媒の除去も同時に行うことができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば、特に制限されることなく、プレス成形、圧延成形又は押し出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。
[プレ熱伝導シート]
そして、組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導シートでは、炭素材料が主として面内方向に配向し、特にプレ熱伝導シートの面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
<(ii)積層体形成工程>
積層体形成工程では、プレ熱伝導シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレ熱伝導シートを折畳又は捲回した状態として加圧前積層体を形成し、当該加圧前積層体を加熱条件下で加圧して、積層体を得る。ここで、プレ熱伝導シートの折畳による加圧前積層体の形成は、特に制限されることなく、折畳機を用いてプレ熱伝導シートを一定幅で折り畳むことにより行うことができる。また、プレ熱伝導シートの捲回による加圧前積層体の形成は、特に制限されることなく、プレ熱伝導シートの短手方向又は長手方向に平行な軸の回りにプレ熱伝導シートを捲き回すことにより行うことができる。また、プレ熱伝導シートの積層による加圧前積層体の形成は、特に制限されることなく、積層装置を用いて行うことができる。例えば、シート積層装置(日機装社製、製品名「ハイスタッカー」)を用いれば、層間に空気が入り込むことを抑えることができるため、良好な積層体を効率的に得ることができる。
そして、積層工程においては、加圧前積層体を、80℃以上の温度条件下にて、流体を圧力媒体として全方位から0.8MPa以上の圧力で加圧することにより、前記積層体を得る。ここで、流体とは、気体又は液体を意味する。また、圧力媒体とは、加圧前積層体に対して圧力を印加する媒体を意味する。さらに、「全方位から加圧する」とは、加圧前積層体の全表面から加圧前積層体の内部に向かう方向の圧力を印加することを意味する。
そして、加圧前積層体を加圧する際の温度条件は80℃以上である必要があり、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。加圧前積層体を加圧する際の温度が上記下限値以上であれば、隣接するプレ熱伝導シート同士の密着性を高めることができ、加圧状態にてより一層千切れにくい熱伝導シートを得ることができる。また、加圧前積層体を加圧する際の温度が上記上限値以下であれば、プレ熱伝導シートを形成する際に構築された炭素材料の配向性が熱伝導シートにて良好に保持されるため、熱伝導性に一層優れる熱伝導シートが得られる。
そして、加圧前積層体を加圧する際の圧力は、0.8MPa以上である必要があり、2.0MPa以下であることが好ましい。加圧前積層体を加圧する際の圧力が上記範囲内であれば、得られる熱伝導シートの熱伝導性及び加圧状態における千切れにくさを一層高めることができる。
加圧前積層体を加圧は、オートクレーブ又は温水等方圧プレス装置を用いて実施することが好ましい。中でも、得られる熱伝導シートの熱伝導性を一層高める観点から、オートクレーブを用いることが好ましい。なお、オートクレーブは流体としての水蒸気を圧力媒体として、加圧前積層体を全方位から加圧しうる装置である。また、温水等方圧プレス装置は、温水を圧力媒体として加圧前積層体を全方位から加圧しうる装置である。
<(iii)スライス工程>
スライス工程では、上記の工程にて得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得る。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
なお、熱伝導シートの熱伝導性を高める観点からは、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して30°以下であることが好ましく、積層方向に対して15°以下であることがより好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが好ましい。
そして、このようにして得られた熱伝導シートでは、厚み方向に炭素材料が良好に配向しており、厚み方向の熱伝導性に優れている。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
各実施例及び各比較例において、各種の属性及び評価は、それぞれ以下の方法に従って測定又は評価した。結果を表1に示す。
<熱伝導率>
熱伝導シートの主面内について、それぞれ、熱拡散率α(m/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)及び比重ρ(g/m)を以下の方法で測定した。
[熱拡散率α(m/s)]
熱物性測定装置(株式会社ベテル製、製品名「サーモウェーブアナライザTA35」)を使用して熱拡散率を測定した。
[定圧比熱Cp(J/g・K)]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下における比熱を測定した。
[比重ρ(g/m)]
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER-H」)を用いて比重(密度)(g/m)を測定した。
そして、得られた測定値を用いて下記式(I):
λ=α×Cp×ρ・・・(I)
に代入し、熱伝導シートの熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。
<X方向の引張強度Sx及びY方向の引張強度Sy>
熱伝導シートをX方向及びY方向に20mm×50mmのサイズで打ち抜いたものを試験片とした。得られた試験片について、小型卓上試験機(日本電産シンポ社製、「FGS-500TV」、デジタルフォースゲージとしてFGP-50を使用)を用いて、引張速度を20mm/分とした引張試験を行った。なお、チャック間距離は30mmとした。引張試験時における最大強度(N)を試験体の厚み(mm)で除して、熱伝導シートのシート強度(N/mm)を算出した。
なお、「X方向」とは、「熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる方向(積層体の積層方向に対して垂直な方向)」を意味し、「Y方向」とは、「X方向に対して垂直な方向(積層体の積層方向と一致する方向)」を意味する。
<シート厚み減少率>
0.9MPaで加圧した際のシート厚みを0.1MPaで加圧した際のシート厚みで除した値を、1から引いた値をシート厚み減少率とした。得られた結果を表1に示す。
実施例、比較例で得られた熱伝導シートを、0.9MPaにて加圧した際のシート厚みをT0.9とし、0.1MPaにて加圧した際のシート厚の値をT0.1として、下式に従ってシート厚み減少率の値を算出した。なお、熱伝導シートの加圧及びシート厚みの測定には、樹脂材料熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製)を用いた。
シート厚み減少率(%)=(1-T0.9/T0.1)×100
<カール指数>
実施例、比較例において、スライスして得られた50mm×50mmの熱伝導シートに対して重り(55mm×55mm、65g)を10秒間乗せた。重りを除去した後、デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製、商品名「ABSインサイドデジマチックキャリパ」)にてカール高さを測定し、得られた値(mm)を熱伝導シート一辺の長さである50mmで除した値をカール指数として算出した。カール高さが測定不能すなわちゼロの場合には、カール指数の値もゼロとなる。この場合、熱伝導シートもまったくカールが生じていないとした。
<加圧状態における千切れにくさ>
実施例、比較例で製造した熱伝導シートを10mm×10mm角にて切り出し、試験片とした。得られた試験片を120℃に熱した金属板の上に設置した。
試験片の上に12mm×12mm角の平滑な金属板を、試験片と中心が重なるように乗せ、上から250Nの圧力を10秒間印加してから10秒間除荷することを1サイクルとして、これを50サイクル繰り返した。
サイクル試験終了後の試験片を真上から見て、試験片が金属板からはみ出している程度を以下の基準に従って評価した。加圧された状態で温冷のサイクルが繰り返されると、耐久性の悪い熱伝導シートにおいては、特に強い圧力が加わっている部分から熱伝導シートが千切れ、電子デバイスの外側にはみ出すことが見られる。はみ出す熱伝導シートのサイズが小さいほど、加圧状態において熱伝導シートが千切れにくいことを意味する。
A:少なくとも1辺が0mm超1mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
B:少なくとも1辺が1mm以上3mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
C:少なくとも1辺が3mm以上6mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
(実施例1)
<組成物の調製>
熱可塑性樹脂として、結晶性樹脂である低密度ポリエチレン(融点:113℃、三菱化学社製、「ノバテック(登録商標)LD LF440HB」)100部(樹脂及び炭素材料の合計体積部数を基準として、70体積部)と、炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)100部(樹脂及び炭素材料の合計体積部数を基準として、30体積部)とを、6インチ二本ロール混錬機にて温度150℃にて20分間撹拌混合した。
<プレ熱伝導シート成形工程>
次いで、得られた組成物50gを、内型が縦100mm×横100mm×高さ0.5mmの金属の型枠に入れ、150℃にて熱プレスすることで縦100mm×横100mm×厚み0.5mmのプレ熱伝導シートを得た。
<積層体形成工程>
続いて、得られたプレ熱伝導シートを縦50mm×横50mm×厚み0.5mmに裁断し、プレ熱伝導シートの厚み方向に100枚積層し、積層物を離型PET(polyethylene terephthalate)でキャラメル包装しテープ止めを行い、PETレトルト包装で真空包装して、加圧前積層体を得た。
これをオートクレーブ(羽生田鉄工所社製、小型オートクレーブ「DANDELION」)にて150℃雰囲気下、0.8MPaの圧力条件下にて、30分間加熱加圧処理して、積層体を作製した。
<スライス工程>
上記に従って得られた積層体を、サーボプレス機(放電精密加工研究所社製)のプレス部分に、切断刃(両刃、刃角2θ:20°、刃部の最大厚み:3.5mm、材質:超鋼、ロックウェル硬度:91.5、刃面のシリコン加工:なし、全長:200mm)を取り付け、スライス速度200mm/秒、スライス幅100μmの条件で積層体の積層方向(換言すれば、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線に一致する方向に)にスライスして、縦150mm×横60mm×厚み0.10mmの熱伝導シートを得た。
そして、得られた熱伝導シートについて、上述の方法に従って、各種の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1における炭素材料としての膨張化黒鉛の部数を160部(樹脂及び炭素材料の合計体積部数を基準として、40体積部)に変更した。それ以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1における炭素材料としての膨張化黒鉛の部数を70部(樹脂及び炭素材料の合計体積部数を基準として、23体積部)に変更した。それ以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例4)
熱可塑性樹脂として、結晶性樹脂であるポリプロピレン(融点:165℃、三菱化学社製、「ノバテックPP MA3H」)を100部(樹脂及び炭素材料の合計体積部数を基準として、70体積部)配合し、炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)を100部(樹脂及び炭素材料の合計体積部数を基準として、30体積部)配合して、6インチ二本ロール混錬機にて温度150℃にて20分間撹拌混合した。それ以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例5)
熱可塑性樹脂として、エラストマーであるNBR(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol 3350」)を100部配合し、炭素材料としての膨張化黒鉛を170部(樹脂及び炭素材料の合計体積部数を基準として、42体積部)配合した。それ以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例6~7)
熱可塑性樹脂と炭素材料との配合比率を表1に示す通りに変更した以外は、実施例5と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例8)
<積層体形成工程>におけるオートクレーブによる加圧条件を1.2MPaに変更した。これ以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例9)
<積層体形成工程>におけるオートクレーブによる加熱条件を170℃に変更した。これ以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例10)
<積層体形成工程>においてオートクレーブを使う代わりに温水等方圧プレス装置(エヌピーエーシステム株式会社製、「NTラボWIP」)を用いて、加熱条件を80℃として、加圧条件を0.8MPaとして、30分間加圧して積層体を作製した。それ以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例5と同じ手順に従って作製した加圧前積層体を、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向に上下からプレスすることにより、高さ約50mmの積層体を得た以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同じ手順に従って作成した加圧前積層体を、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向に上下からプレスすることにより、高さ約50mmの積層体を得た以外は実施例1と同様の、操作、測定、及び評価を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2022129990000001
表1より、熱伝導率の値が、9W/mK以上であるとともに、(Sx/Sy)の値が、1.1以上2.2以下である、実施例1~10にかかる熱伝導シートは、加圧しても千切れにくかったことが分かる。一方、(Sx/Sy)の値が2.2超である比較例1にかかる熱伝導シートは、加圧状態において千切れやすかったことが分かる。さらに、実施例1と同じ手順に従って作成した加圧前積層を、所定の条件下にて加熱加圧しなかった比較例2では、所望の熱伝導シートが得られなかったことが分かる。
本発明によれば、加圧しても千切れにくい熱伝導シートを提供することができる。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂及び炭素材料を含む熱伝導シートであって、
    前記熱伝導シートの熱伝導率の値が、9W/mK以上であり、
    前記熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる主面内方向を、X方向とし、
    前記X方向に対して垂直な主面内方向を、Y方向として、
    前記X方向の引張強度Sx(MPa)を、前記Y方向の引張強度Sy(MPa)で除した値(Sx/Sy)が、1.1以上2.2以下である、
    熱伝導シート。
  2. 前記X方向の引張強度Sx(MPa)及び前記Y方向の引張強度Sy(MPa)が、双方とも0.7MPa以上である、請求項1に記載の熱伝導シート。
  3. 前記炭素材料が膨張化黒鉛である、請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
  4. 前記熱伝導シートについて、0.9MPaにて加圧した際のシート厚みの値をT0.9とし、0.1MPaにて加圧した際のシート厚みの値をT0.1として、下式に従って算出したシート厚み減少率の値が7%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の熱伝導シート。
    シート厚み減少率(%)=(1-T0.9/T0.1)×100
  5. 前記熱可塑性樹脂及び前記炭素材料の合計体積を基準として、前記炭素材料の体積分率が20%以上60%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の、熱伝導シート。
  6. 熱可塑性樹脂と炭素材料とを含む組成物を加圧してシート状に成型し、プレ熱伝導シートを得る工程と、
    前記プレ熱伝導シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記プレ熱伝導シートを折畳又は捲回した状態として加圧前積層体を形成し、前記加圧前積層体を加熱条件下で加圧して、積層体を得る工程と、
    前記積層体を積層方向に45度以下の角度でスライスし、熱伝導シートを得る工程と、を含み、
    前記積層体を得る工程において、前記加圧前積層体を、80℃以上の温度条件下にて、流体を圧力媒体として全方位から0.8MPa以上の圧力で加圧することにより、前記積層体を得る、
    熱伝導シートの製造方法。
  7. 前記積層体を得る工程において、150℃以上の温度条件下にて、前記加圧前積層体を、全方位から0.8MPa以上の圧力で加圧する、請求項6に記載の熱伝導シートの製造方法。
  8. 前記積層体を得る工程において、オートクレーブ又は温水等方圧プレス装置を用いて前記加圧前積層体を加圧する、請求項6に記載の熱伝導シートの製造方法。
JP2021028905A 2021-02-25 2021-02-25 熱伝導シート及びその製造方法 Pending JP2022129990A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021028905A JP2022129990A (ja) 2021-02-25 2021-02-25 熱伝導シート及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021028905A JP2022129990A (ja) 2021-02-25 2021-02-25 熱伝導シート及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022129990A true JP2022129990A (ja) 2022-09-06

Family

ID=83151154

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021028905A Pending JP2022129990A (ja) 2021-02-25 2021-02-25 熱伝導シート及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022129990A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7127710B2 (ja) 熱伝導シート
JP7136274B2 (ja) 熱伝導シート
JP2011162642A (ja) 熱伝導シート、その製造方法及び熱伝導シートを用いた放熱装置
JPWO2017081867A1 (ja) 複合材料シートおよび熱伝導シートの製造方法
JP2018016715A (ja) 複合シートおよび熱圧着方法
JP2021004284A (ja) 熱伝導シートおよびその製造方法
JP2017143212A (ja) 複合熱伝導シート及び放熱システム
JP2023171393A (ja) 熱伝導シート
JP2018153959A (ja) 積層体の製造方法
JP2022129990A (ja) 熱伝導シート及びその製造方法
JP7131142B2 (ja) 熱伝導シート
WO2018025587A1 (ja) 熱伝導シート
JP7143712B2 (ja) デバイス用積層体およびその製造方法、並びに、デバイスおよびその製造方法
JP7354554B2 (ja) 熱伝導シートおよび熱伝導シートの製造方法
JP7167527B2 (ja) 熱伝導シートの製造方法
JP2022157717A (ja) 熱伝導シート及びその製造方法
JP7163700B2 (ja) 熱伝導シート
JP7172031B2 (ja) 熱伝導シートの製造方法
JP7234560B2 (ja) 熱伝導シートおよびその製造方法
JP7218510B2 (ja) 熱伝導シート
JP2020076029A (ja) 熱伝導シート
JP2022151186A (ja) 熱伝導シート及びその製造方法
JP2018098349A (ja) 熱伝導シート、熱伝導シートの製造方法及び放熱装置
JP2023123278A (ja) 熱伝導シート、および熱伝導シートの製造方法
JP7214971B2 (ja) 複合シート及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240110