JP2022151186A - 熱伝導シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポンプアウトを抑制しつつ優れた熱伝導性を発揮し得る熱伝導シートを提供する。【解決手段】液状樹脂及び粒子状炭素材料を含む熱伝導シートである。かかる熱伝導シートにおいて、粒子状炭素材料の長軸方向の熱伝導シート表面に対する角度は60°以上90°以下である。また、熱伝導シートの分子量分布を測定した際に、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導シート及びその製造方法に関するものである。
近年、パワー半導体(IGBTモジュールなど)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
電子部品の温度上昇による機能障害対策としては、一般に、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、熱伝導性が高いシート状の部材を介し、このシート状の部材に対して所定の圧力をかけることで発熱体と放熱体(以下、併せて「被着体」とも称することがある。)とを密着させている。
ここで、熱伝導シートによる熱伝導効率を高める観点から、比較的低い圧力をかけられた状態で優れた熱伝導性を発揮し得ることが好ましい。そこで、特許文献1では、常温液体の熱可塑性樹脂と粒子状炭素材料とを含み、0.05MPa加圧下での熱抵抗の値が0.20℃/W以下である熱伝導シートが提案されている。
特許文献1のように、常温液体の熱可塑性樹脂を配合することで、熱伝導シートの柔軟性は高まるが、被着体の間に挟み込んで使用した際に、挟持圧力および発熱体からの熱に起因して、熱伝導シートの成分が被着体の外に液垂れ(ポンプアウト)してしまう問題が生じることがあった。そこで従来、かかる不具合に対する対処方法も検討されてきた。例えば特許文献2では、常温常圧下で液体の樹脂と、常温常圧下で固体の樹脂と、粒子状炭素材料とを含み、0.05MPa加圧下での熱抵抗値が0.30℃/W以下である熱伝導シートであって、常温常圧下で液体の樹脂の含有割合が、常温常圧下で液体の樹脂及び常温常圧下で固体の樹脂の合計含有量の60質量%以上75質量%以下である熱伝導シートが提案されている。特許文献2では、常温常圧下で液体の樹脂の含有割合を所定の範囲内に制御することで、ポンプアウトの抑制と熱伝導性との両立を試みている。
国際公開第2017/145957号公報 特開2018-129377号公報
上記従来の複合シートは、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立するという点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立することができる、熱伝導シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、液状樹脂と粒子状炭素材料とを含有する熱伝導シートであって、粒子状炭素材料の長軸方向のシート表面に対する角度が60°以上90°以下であるとともに、熱伝導シートの分子量分布を測定した際に、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下である、熱伝導シートが、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立することができることを新たに見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートは、樹脂及び粒子状炭素材料を含む熱伝導シートであって、前記樹脂が液状樹脂を含み、前記粒子状炭素材料の長軸方向の前記熱伝導シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、前記熱伝導シートの分子量分布を測定した際に、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下である、ことを特徴とする。液状樹脂及び粒子状炭素材料を含み、粒子状炭素材料の長軸方向の熱伝導シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、熱伝導シートの分子量分布を測定した際に、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下である熱伝導シートは、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立することができる。
なお、「粒子状炭素材料の長軸方向の熱伝導シート表面に対する角度」及び「熱伝導シートの分子量分布」は本明細書の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートにおいて、前記樹脂における前記液状樹脂の割合が50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。粒子状炭素材料が含有する樹脂成分のうちの液状樹脂の割合が50質量%以上100質量%以下であれば、熱伝導シートの熱伝導性を一層高めることができる。
ここで、本発明の熱伝導シートにおいて、前記熱伝導シートの中の前記粒子状炭素材料の体積分率が25体積%以上55体積%以下であることが好ましい。熱伝導シートの中の粒子状炭素材料の体積分率が25体積%以上55体積%以下であれば、熱伝導シートの熱伝導性及び引張強度を高めることができる。
なお、熱伝導シート中の粒子状炭素材料の体積分率は、樹脂及び粒子状炭素材料の合計体積を100体積%とした場合の分率である。
また、本発明の熱伝導シートにおいて、前記液状樹脂の分子量分布において、分子量100,000以上の成分の割合が、7.0%以下であることが好ましい。液状樹脂の分子量分布において、分子量100,000以上の成分の割合が、7.0%以下であればシート全体が柔らかく構成されることから、圧力に対して変形しやすく被着体との馴染みが良くなり、熱抵抗を下げることができる。なお、液状樹脂の分子量分布は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートの製造方法は、前記樹脂及び前記粒子状炭素材料を含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る一次シート成形工程と、前記一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記一次シートを折畳または捲回して、積層体を得る積層体形成工程と、前記積層体を積層方向に45°以下の角度でスライスし、二次シートを得るスライス工程と、前記二次シートを120℃以上の減圧条件下にて3時間以上乾燥する、乾燥工程とを含むことを特徴とする。本発明の熱伝導シートの製造方法によれば、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立することができる熱伝導シートを効率的に製造することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートの製造方法において、前記乾燥工程における乾燥時間を12時間以下とすることが好ましい。二次シートの乾燥時間を12時間以下とすることで、得られる熱伝導シートの熱伝導性を一層高めることができる。
本発明によれば、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立することができる、熱伝導シート及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の熱伝導シートは、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。即ち、本発明の熱伝導シートは、放熱部材として機能しうるものであり、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。また、本発明の熱伝導シートは、本発明の熱伝導シートの製造方法を用いて効率的に製造することができる。
(熱伝導シート)
本発明の熱伝導シートは、樹脂及び粒子状炭素材料を含む熱伝導シートである。熱伝導シートを構成する樹脂は、液状樹脂を含む。さらに、熱伝導シートを構成する粒子状炭素材料の長軸方向の熱伝導シート表面に対する角度が60°以上90°以下である。さらに、熱伝導シートの分子量分布を測定した際に、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下である。本発明の熱伝導シートは、液状樹脂を含むとともに所定の方向に配向した粒子状炭素材料を含むために、被着体との密着性が高く熱伝導性を効率的に発揮することができる。さらに、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下であるために、ポンプアウトの発生を抑制することができると考えられる。
<熱伝導シートの分子量分布>
熱伝導シートの分子量分布において、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下であることが必要であり、分子量1,000以下の成分の割合が0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましく、熱伝導シートが分子量1,000以下の成分を含有しないことが特に好ましい。熱伝導シートの分子量分布において分子量1,000以下の成分の割合が上記上限値以下であれば、ポンプアウトの発生を良好に抑制することができる。熱伝導シートに含有される分子量1,000以下の成分を含有量の制御方法としては、例えば、後述するように、熱伝導シートの製造工程における所定のタイミングに、所定の条件に従う減圧乾燥を実施することが挙げられる。
<樹脂>
熱伝導シートを構成する樹脂は、液状樹脂を含むことを必要とする。熱伝導シートが樹脂として液状樹脂を含有していれば、熱伝導シートにおける粒子状炭素材料の充填率が高まる、及び、被着体との密着性が高まるなどの理由により、熱伝導性が高まる。
<<液状樹脂>>
液状樹脂としては、常温常圧下で液体である限り、特に限定されることなく、例えば、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂を用いることができる。
なお、本発明において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
液状樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(ニトリルゴム)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
液状樹脂は、分子量分布を測定した場合に、分子量100,000以上の成分の割合が、7.0%以下であることが好ましい。熱伝導シートに配合する液状樹脂における分子量100,000以上の成分の割合が7.0%以下であれば、シート全体が柔らかく構成されることから、圧力に対して変形しやすく被着体との馴染みが良くなり、熱抵抗を下げることができる。なお、液状樹脂における分子量100,000以上の成分の割合の下限値は特に限定されず、例えば、0.0%であってもよい。
さらに、熱伝導シートを構成する樹脂は、液状樹脂に加えて、その他の樹脂を含有していてもよい。その他の樹脂としては、例えば、固体樹脂を挙げることができる。
<<固体樹脂>>
固体樹脂としては、常温常圧下で液体でない限り、特に限定されることなく、例えば、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂等を用いることができる。
常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2-エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸又はそのエステル、ポリアクリル酸又はそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン-プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン-アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(ニトリルゴム);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン-ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物;スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において、ゴムは、「樹脂」に含まれるものとする。
常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<樹脂における液体樹脂の含有割合>>
なお、熱伝導シートを構成する樹脂は液状樹脂のみを含むものであってもよいし、液状樹脂に加えて上記した固体樹脂などのその他の樹脂を含んでいてもよい。樹脂が液状樹脂以外の樹脂を含む場合、樹脂における液状樹脂の割合が50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。液状樹脂の含有割合が上記下限値以上であれば、得られる熱伝導シートの圧縮性を高めることができる。熱伝導シートの圧縮性が高ければ、加圧した際につぶれやすく、被着体と良好に密着するとともに、つぶれた際にシート内における粒子状炭素材料の密度が高まり、熱伝導性も高まりうる。
<樹脂の含有割合>
熱伝導シート中の樹脂の含有割合は、45体積%以上であることが好ましく、50体積%以上であることがより好ましく、75体積%以下であることが好ましく、70体積%以下であることがより好ましく、60体積%以下であることがさらに好ましい。熱伝導シート中の樹脂の含有割合が上記下限以上であれば、熱伝導シートの引張強度及び圧縮性を高めることができる。熱伝導シート中の樹脂の含有割合が上記上限以下であれば、熱伝導シートの熱伝導性を一層高めることができる。
<粒子状炭素材料>
ここで、粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛及び天然黒鉛などが挙げられる。人造黒鉛には、カーボンブラック及び熱分解グラファイト等が含まれる。そして、天然黒鉛には、膨張化黒鉛及び球状黒鉛などの鱗片状黒鉛、並びに、鱗状黒鉛が含まれる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、「粒子炭素材料」とは、アスペクト比が20以下の炭素材料を意味する。
上述した中でも、粒子状炭素材料としては、鱗片状黒鉛を用いることが好ましく、鱗片状黒鉛の中でも、膨張化黒鉛を用いることがより好ましい。粒子状炭素材料として鱗片状黒鉛を用いれば、粒子状炭素材料同士が適度に重点することで、加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を一層高いレベルで両立できる。さらに、鱗片状黒鉛の中でも膨張化黒鉛を用いれば、熱伝導シートの熱伝導率を一層高めることができる。
<粒子状炭素材料の配向>
熱伝導シート中の粒子状炭素材料の配向は、粒子状炭素材料の長軸方向の熱伝導シート表面に対する角度(以下、「粒子状炭素材料の配向角度」と称することがある。)が60°以上90°以下であることを満たす必要がある。さらに、粒子状炭素材料の配向角度が、65°以上であることがより好ましく、70°以上であることが更に好ましく、90°以下であることが好ましい。粒子状炭素材料の配向角度が上記所定の範囲内であれば、熱伝導シートの熱抵抗を低減させて熱伝導性を高めることができる。
<粒子状炭素材料の性状>
粒子状炭素材料の体積平均粒子径は、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることが更に好ましく、12μm以上であることが一層好ましく、16μm以上であることがより一層好ましく、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがさらに好ましい。粒子状炭素材料の体積平均粒子径が上記下限値以上であれば、粒子状炭素材料間の接触抵抗を低減することが可能となり、結果的に熱伝導シートの熱伝導率が向上する。一方、粒子状炭素材料の体積平均粒子径が上記上限値以下であれば、熱伝導シート中にて粒子状炭素材料を適度に充填することが可能となり、熱伝導シートの熱伝導性を一層高めることができる。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠して測定することができ、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を表す。
また、粒子状炭素材料は、アスペクト比(長径/短径)が、1.2超であることが好ましく、2超であることがより好ましく、4超であることが更に好ましく、6超であることが一層好ましく、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。粒子状炭素材料のアスペクト比が上記所定の範囲内であれば、熱伝導シートの表面に対する粒子状炭素材料の配向角度が後述する所望の範囲に容易に収まることから、熱伝導性を更に向上させることができる。
<粒子状炭素材料の含有割合>
熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有割合は、樹脂及び粒子状炭素材料の合計体積を100体積%として、25体積%以上であることが好ましく、30体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることがさらに好ましく、55体積%以下であることが好ましく、50体積%以下であることがより好ましい。熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有割合が上記下限以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性を一層高めることができる。熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有割合が上記上限以下であれば、熱伝導シートの引張強度及び圧縮性を高めることができる。
<その他の成分>
本発明の熱伝導シートは、上述した成分以外の成分を更に含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、繊維状炭素材料などを用いることができる。繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、アスペクト比が20以上の炭素材料を用いることができる。より具体的には、繊維状炭素材料としては、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、及び、それらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<熱伝導シートの熱抵抗>>
熱伝導シートは、熱抵抗が0.100℃/W以下であることが好ましく、0.080℃/W以下であることがより好ましく、0.060℃/W以下であることがさらに好ましく、0.050以下であることが特に好ましい。熱抵抗が上記上限値以下であれば、熱伝導シートは熱伝導性に優れる。なお、熱伝導シートの熱抵抗の値は、例えば、0.9MPaの圧力を加えた時の熱抵抗値であり、本明細書の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
<厚み>
熱伝導シートの厚みは、50μm以上であることが好ましく、80μm以上であることが好ましく、90μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが更に好ましく、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。熱伝導シートの厚みが上記下限以上であれば、熱伝導シートの強度及び熱伝導性を高めることができる。一方、熱伝導シートの厚みが上記上限以下であれば、熱抵抗の値を適度に下げることが出来る。
(熱伝導シートの製造方法)
本発明の熱伝導シートの製造方法は、(A)樹脂と粒子状炭素材料とを含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る一次シート成形工程と、(B)一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記一次シートを折畳又は捲回して、積層体を得る積層体形成工程と、(C)積層体を積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、二次シートを得るスライス工程と、(D)二次シートを120℃以上の減圧条件下にて3時間以上乾燥する乾燥工程と、を含む。
なお、本発明の熱伝導シートの製造方法は、任意で、上記(A)~(D)以外の工程を更に含んでいてもよい。
本発明の熱伝導シートの製造方法によれば、ポンプアウトを抑制しつつ優れた熱伝導性を発揮し得る熱伝導シートを効率的に製造することができる。
<(A)一次シート成形工程>
一次シート成形工程では、樹脂と炭素材料とを含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る。
<<組成物>>
上記組成物は、樹脂と粒子状炭素材料とを含む。なお、上記組成物は、樹脂及び粒子状炭素材料以外のその他の成分を更に含んでいてもよい。
粒子状炭素材料としては、「熱伝導シート」の項で上述した粒子状炭素材料を、上述した比率で用いることができる。
-その他の成分-
上記組成物は、上述した樹脂及び粒子状炭素材料以外のその他の成分を更に含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、「熱伝導シート」の項で上述した繊維状炭素材料、及び分散剤を用いることができる。分散剤としては、特に限定されることはなく、既知のものを用いることができる。なお、組成物中の分散剤の含有量は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で調整することができる。
-組成物の調製-
組成物は、特に限定されることはなく、上述した成分を混合することにより調製することができる。
なお、上述した成分の混合は、特に制限されることなく、ニーダー;ヘンシェルミキサー、ホバートミキサー、ハイスピードミキサー等のミキサー;二軸混練機;ロール;などの既知の混合装置を用いて行うことができる。また、混合は、酢酸エチル等の溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒に予め樹脂を溶解又は分散させて樹脂溶液として、粒子状炭素材料、及び任意で添加されるその他の成分と混合してもよい。そして、混合時間は、例えば、5分以上60分以下とすることができる。また、混合温度は、例えば、5℃以上160℃以下とすることができる。
<<組成物の成形>>
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡及び解砕した後に、加圧してシート状に成形することができる。このように組成物を加圧成形したシート状のものを、一次シートとすることができる。なお、混合時に溶媒を用いている場合には、溶媒を除去してからシート状に成形することが好ましく、例えば、真空脱泡を用いて脱泡を行えば、脱泡時に溶媒の除去も同時に行うことができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば、特に制限されることなく、プレス成形、圧延成形又は押し出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形(一次加工)によりシート状に成形することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に制限されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃以下、ロール間隙は50μm以上2500μm以下、ロール線圧は1kg/cm以上3000kg/cm以下、ロール速度は0.1m/分以上20m/分以下とすることができる。
<(B)積層体形成工程>
積層体形成工程では、一次シート成形工程で得られた一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、一次シートを折畳又は捲回して、樹脂及び粒子状炭素材料を含む一次シートが厚み方向に複数形成された積層体を得る。ここで、一次シートの折畳による積層体の形成は、特に制限されることなく、折畳機を用いて一次シートを一定幅で折り畳むことにより行うことができる。また、一次シートの捲回による積層体の形成は、特に制限されることなく、一次シートの短手方向又は長手方向に平行な軸の回りに一次シートを捲き回すことにより行うことができる。また、一次シートの積層による積層体の形成は、特に制限されることなく、積層装置を用いて行うことができる。例えば、シート積層装置(日機装社製、製品名「ハイスタッカー」)を用いれば、層間に空気が入り込むことを抑えることができるため、良好な積層体を効率的に得ることができる。
なお、積層工程では、得られた積層体を、加熱しながら、積層方向に加圧(二次加圧)することが好ましい。積層体を加熱しながら積層方向に加圧する二次加圧を行うことにより、積層された一次シート相互間の融着を促進することができる。
ここで、積層体を積層方向に加圧する際の圧力は、0.05MPa以上0.50MPa以下とすることができる。
また、積層体の加熱温度は、特に限定されないが、50℃以上170℃以下であることが好ましい。
さらに、積層体の加熱時間は、例えば、10秒間以上30分間以下とすることができる。
なお、一次シートを積層、折畳又は捲回して得られる積層体では、粒子状炭素材料が積層方向に略直交する方向に配向していると推察される。例えば、粒子状炭素材料の形状が鱗片形状である場合、当該鱗片形状が有する主面の長軸の方向は、積層方向に略直交していると推察される。
<(C)スライス工程>
スライス工程では、積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、積層体のスライス片よりなる二次シートを得る。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、二次シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
なお、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して30°以下であることが好ましく、積層方向に対して15°以下であることがより好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが好ましい。
そして、このようにして得られた二次シートでは、厚み方向に粒子状炭素材料が良好に配向しており、粒子状炭素材料の長軸方向のシート表面に対する角度は、60°以上90°以下である。より具体的には、粒子状炭素材料が鱗片形状である場合、当該鱗片形状が有する主面の長軸の方向の、シート表面に対して60°以上90°以下である。
<(D)乾燥工程>
乾燥工程では、二次シートを120℃以上の減圧条件下にて3時間以上乾燥することにより、熱伝導シートを得る。乾燥工程では、上記工程を上記条件下にて乾燥することにより、得られる熱伝導シートにおける分子量1,000以下の成分の割合を、効率的に1.0%以下とすることができる。乾燥工程は、特に限定されることなく、例えば、真空オーブンなどを用いて好適に実施することができる。
乾燥工程における乾燥温度は、120℃以上である必要があり、130℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。乾燥工程における乾燥温度が上記下限値以上であれば、得られる熱伝導シートにおける分子量1,000以下の成分の割合を効率的に低減することができる。また、乾燥工程における乾燥温度が上記上限値以下であれば、分子量が1,000超の成分まで熱伝導シートから除去されることを良好に予防することができる。
乾燥工程における乾燥時間は、3時間以上である必要があり、5時間以上であることが好ましく、12時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましい。乾燥工程における乾燥時間が上記下限値以上であれば、得られる熱伝導シートにおける分子量1,000以下の成分の割合を良好に低減することができる。乾燥工程における乾燥時間が上記上限値以下であれば、必要以上に低分子量成分を除去することがなく、得られる熱伝導シートに適度な柔軟性を付与することができ、これにより、熱伝導シートの熱伝導性を一層高めることができる。
乾燥工程における雰囲気は、減圧条件であれば、特に限定されない。ここで、減圧条件は、大気圧(1atm)を基準とした減圧度が-0.1MPaであることが好ましい。
乾燥工程の前後における二次シートの質量減少率は、0.5%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましく、1.5%以上であることがより好ましく、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましい。質量減少率が上記範囲内となるような条件(減圧度、乾燥温度、及び乾燥時間の組み合わせ)を選択して乾燥条件を実施することで、得られる熱伝導シートにおける分子量1,000以下の成分の割合を効率的に低減しつつ、分子量1,000超の成分が揮発することを効果的に抑制することができる。
そして、上記条件に従う乾燥工程に続いて、冷却工程を実施することができる。冷却工程の条件は特に限定されないが、例えば、常温常圧条件下にて、3時間以上熱伝導シートを冷却することが挙げられる。
以上説明した各種の工程を経て得られた熱伝導シートでは、厚み方向に粒子状炭素材料が良好に配向している。例えば、粒子状炭素材料の形状が鱗片形状である場合、当該鱗片形状が有する主面の長軸の方向は、二次シートの厚み方向と略一致している。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。また、体積分率などの算出に際して、各配合成分の体積として、各配合成分の質量をそれらの理論比重で除した値を採用した。
なお、実施例における各種の測定及び評価は以下の方法に従って行った。
<粒子状炭素材料の配向角度>
熱伝導シート中の粒子状炭素材料の配向角度は、熱伝導シートを正八角形に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ製「SU-3500」)にて当該シートの上端から下端までが収まる倍率で観察した。なお、このときの倍率は700倍であった。この断面における粒子状炭素材料の長軸に50本線を引き、熱伝導シートの表面に対する長軸の角度の平均を算出した。なお、角度が90°以上であった場合には補角を採用した。これを8面に対して実施し、8面の中で最も値の大きなものを熱伝導シート中の粒子状炭素材料の配向角度とした。
<質量減少率>
スライス工程直後の二次シートの質量α1と、乾燥工程及び冷却工程を経て得られた熱伝導シートの質量α2を各々秤量し、下記の式に従って質量減少率を算出した。
(質量減少率)=1-(熱伝導シートの質量α2)÷(二次シートの質量α1)
<分子量分布>
原材料としての液状樹脂については、下記条件に従うゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により分子量分布を測定した。GPCによる測定は、GPCシステム(東ソー社製、HLC-8220)により、Hタイプカラム(東ソー社製、HZ-M)2本を直列に連結して用い、テトラヒドロフランを溶媒として、カラム温度40℃で行った。また、検出器には、示差屈折計(東ソー社製、RI-8320)を用いた。
また、熱伝導シートの分子量分布を測定する際には、熱伝導シートを有機溶媒等に溶解させ、固形成分を濾過により取り除き抽出した樹脂成分の分子量を、上記に従って測定した。
実施例、比較例で得られた熱伝導シートの耐ポンプアウト性は、以下の通り測定した。
即ち、50mm角の銅板および片面が粗面になっている銅箔(粗銅箔)を2枚ずつ準備した。一方の銅板の上に粗銅箔を粗面が上になるように配置し、さらに、粗銅箔の粗面側の略中心部分に、10mm×10mm角のサイズに裁断した熱伝導シートを配置した。続けて、配置された熱伝導シートの上に他方の粗銅箔を粗面が下になるように配置し、さらに、粗銅箔の上から他方の銅板を配置することにより、熱伝導シートが粗銅箔の粗面側、更には銅板で挟まれた、銅板/粗銅箔/熱伝導シート/粗銅箔/銅板からなる積層体を、試験片として得た。次に、得られた試験片の上に1500gの重りを乗せ、温度150℃の恒温槽内に置き72時間保管した。このとき、銅板および粗銅箔に挟まれた熱伝導シートにかかる圧力は0.15MPaであった。そして、72時間保管後に、試験片の銅板および粗銅箔を熱伝導シートから剥がし、2枚の粗銅箔の粗面上に広がった「しみ」を目視で観察し、「しみ」の輪郭の最大径の平均値(mm)を測定した。なお、「しみ」は略同心円状に広がって形成されており、円形又は楕円形に近似することが可能であった。そして、以下の基準に従って評価した。
最大径の平均値が小さいほど、熱伝導シートが耐ポンプアウト性に優れることを示す。以下の熱伝導シートの評価がA又はBならば、耐ポンプアウト性が比較的良好であると言える。
A:最大径の平均値が15mm未満
B:最大径の平均値が15mm以上20mm未満
C:最大径の平均値が20mm以上
<引張強度>
実施例、比較例で製造した熱伝導シートを、下記に従って定義したX方向およびY方向に20mm×50mmのサイズで打ち抜いたものを試験片とした。得られた試験片について、小型卓上試験機(日本電産シンポ社製、「FGS-500TV」、デジタルフォースゲージとしてFGP-50を使用)を用いて、引張速度を20mm/分とした引張試験を行った。なお、チャック間距離は30mmとした。引張試験時における最大強度(N)を試験体の厚み(mm)で除して、熱伝導シートのシート強度(N/mm)を算出した。
なお、「X方向」とは、「熱伝導シートの主面について熱伝導率を測定した場合に熱伝導率が最も高くなる方向(積層体の積層方向に対して垂直な方向)」を意味し、「Y方向」とは、「X方向に対して垂直な方向(積層体の積層方向と一致する方向)」を意味する。
ここで、熱伝導率は、以下の方法により、測定することができる。
<<熱伝導率>>
熱伝導シートの主面内について、それぞれ、熱拡散率α(m/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)および比重ρ(g/m)を以下の方法で測定した。
[熱拡散率α(m/s)]
熱物性測定装置(株式会社ベテル製、製品名「サーモウェーブアナライザTA35」)を使用して熱拡散率を測定した。
[定圧比熱Cp(J/g・K)]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下における比熱を測定した。
[比重ρ(g/m)]
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER-H」)を用いて比重(密度)(g/m)を測定した。
そして、得られた測定値を用いて下記式(I):
λ=α×Cp×ρ・・・(I)
に代入し、熱伝導シートの熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。
<熱抵抗値および圧縮率>
熱伝導シートの熱抵抗値は、熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて測定した。ここで、1cm角の略正方形に切り出した熱伝導シートを試料とし初期の膜厚を測定した。その後、試料温度50℃において、0.9MPaの圧力を加えた時の熱抵抗値(℃/W)およびシート厚み(単位:mm)を測定した。熱抵抗値が小さいほど熱伝導シートが熱伝導性に優れ、例えば、発熱体と放熱体との間に介在させた際の放熱特性に優れていることを示す。
また、0.9MPaで加圧した際のシート厚みを初期のシート厚みで除した値を、1から引いた値を圧縮率とした。得られた結果を表1に示す。圧縮率の値が大きいほど、加圧された場合に圧縮しやすいことを意味する。
(実施例1)
<組成物の調製>
液状樹脂としての熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG-101」)70部と、固体樹脂としての熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」)30部と、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)90部(樹脂及び粒子状炭素材料の全体積に対して41体積%)とを、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機(大阪ケミカル社製、商品名「ワンダークラッシュミルD3V-10」)に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
<(A)一次シート成形工程>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.5mmの一次シートを得た。
<(B)積層体形成工程>
続いて、得られた一次シートを縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断し、一次シートの厚み方向に120枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約60mmの積層体を得た。
<(C)スライス工程>
その後、スライスに必要な長さを残して、得られた積層体の上面の全体を金属板で押え、積層方向に(即ち、上から)0.1MPaの圧力をかけて、積層体を固定した。なお、積層体の側面、背面の固定は行わなかった。このとき、積層体の温度は25℃であった。
次いで、サーボプレス機(放電精密加工研究所製)のプレス部分に、切断刃(両刃、刃角:20°、刃部の最大厚み:3.5mm、材質:超鋼、ロックウェル硬度:91.5、刃面のシリコン加工:なし、全長:200mm)を取り付け、スライス速度200mm/秒、スライス幅100μmの条件で積層体の積層方向(換言すれば、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線に一致する方向に)にスライスして、縦150mm×横60mm×厚み0.10mmの二次シートを得た。
<(D)乾燥工程~冷却工程>
そして、得られた二次シートについて、真空オーブンを用いて減圧度-0.1MPa、150℃の雰囲気下にて5時間乾燥作業を行った。そして、得られた乾燥物を常温常圧下に3時間載置して冷却し、熱伝導シートを得た。
得られた熱伝導シートについて、上記に従って各種評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2)
組成物の調製に際して、液状樹脂を熱可塑性NBR(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol 1312」)、固体樹脂をNBR(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol 3350」)に変更し、粒子状炭素材料の部数を150部(体積換算では実施例1と同等の40体積%)とした。これら以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例3)
乾燥工程における乾燥温度130℃に、乾燥時間を3時間にそれぞれ変更した。これら以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例4)
乾燥工程における乾燥時間を12時間に変更した。かかる点以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例5)
組成物の調製に際して、液状樹脂の使用量を100部に変更し、固体樹脂を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例6)
組成物の調製に際して、粒子状炭素材料の配合量を130部(体積換算で51体積%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例7)
組成物の調製に際して、粒子状炭素材料の配合量を50部(体積換算で28体積%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例1)
(D)乾燥工程~冷却工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)
組成物の調製に際して、液体樹脂を配合せず、固体樹脂の配合量を100部に変更した。かかる点以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例3)
組成物の調製に際して、粒子状炭素材料を体積平均粒子径が250μmのもの(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC50」、体積平均粒子径:250μm)とし、配合量を50部(体積換算で28体積%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、各種操作、測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2022151186000001
表1より、液状樹脂及び粒子状炭素材料を含み、粒子状炭素材料の長軸方向の熱伝導シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、熱伝導シートの分子量分布を測定した際に、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下である、実施例1~7にかかる熱伝導シートでは、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立することができたことが分かる。
一方、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%超である比較例1及び3、及び、液状樹脂を配合しなかった比較例2では、ポンプアウト抑制効果と熱伝導性とを高いレベルで両立することができなかったことが分かる。
本発明によれば、ポンプアウトを抑制することと、熱伝導性に優れることとを、高いレベルで両立することができる、熱伝導シート及びその製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 樹脂及び粒子状炭素材料を含む熱伝導シートであって、
    前記樹脂が液状樹脂を含み、
    前記粒子状炭素材料の長軸方向の前記熱伝導シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、
    前記熱伝導シートの分子量分布を測定した際に、分子量1,000以下の成分の割合が1.0%以下である、熱伝導シート。
  2. 前記樹脂における前記液状樹脂の割合が50質量%以上100質量%以下である、請求項1に記載の熱伝導シート。
  3. 前記熱伝導シートの中の前記粒子状炭素材料の体積分率が25体積%以上55体積%以下である請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
  4. 前記液状樹脂の分子量分布において、分子量100,000以上の成分の割合が、7.0%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の熱伝導シート。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法であって、
    前記樹脂及び前記粒子状炭素材料を含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る一次シート成形工程と、
    前記一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記一次シートを折畳または捲回して、積層体を得る積層体形成工程と、
    前記積層体を積層方向に45°以下の角度でスライスし、二次シートを得るスライス工程と、
    前記二次シートを120℃以上の減圧条件下にて3時間以上乾燥する、乾燥工程と、
    を含む、熱伝導シートの製造方法。
  6. 前記乾燥工程における乾燥時間を12時間以下とする、請求項5に記載の熱伝導シートの製造方法。
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