JP2022130068A - 複合シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加圧状態において千切れにくく、且つ、圧縮性に優れる、複合シート及びその製造方法を提供する。【解決手段】炭素材料を含む複合シートである。かかる複合シートは、樹脂を非含有又は含有しても含有割合が15体積%以下あり、炭素材料の長軸方向の複合シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、さらに、複合シートの熱伝導率が10W/mK以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、複合シート及びその製造方法に関するものである。
近年、パワー半導体(IGBTモジュールなど)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
電子部品の温度上昇による機能障害対策としては、一般に、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、熱伝導性が高いシート状の部材を介し、このシート状の部材に対して所定の圧力をかけることで発熱体と放熱体とを密着させている。
かかるシート状の部材として、熱伝導シートが従来から研究されてきた。ここで、熱伝導シートに対して圧力をかけた際には、熱伝導シートが千切れることがあった。そこで従来、熱伝導シートの強度を高めるための技術が検討されてきた。例えば特許文献1では、熱伝導性充填剤及び熱可塑性樹脂からなる熱伝導層を、金属箔の両面上に備える熱伝導シートが提案されている。そして、特許文献1にかかる熱伝導シートによれば、加圧時にシートが千切れることを抑制することができた。
特開第2020-6581号公報
ここで、熱伝導の目的で用いられる複合シートには、加圧時に千切れにくいことに加えて、加圧した際につぶれやすいこと、すなわち、圧縮性に優れることも必要とされている。
しかしながら、上記従来の複合シートは、発熱体と放熱体との間に挟まれて両面から加圧された状態において千切れにくくすることと、圧縮性に優れることとを、高いレベルで両立するという点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、加圧状態において千切れにくく、且つ、圧縮性に優れる、複合シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、炭素材料を含む複合シートを製造する際に、得られる複合シートが樹脂を非含有であるか又は含有しても15体積%以下の含有割合であるようにするとともに、複合シート中において炭素材料を特定の方向に配向させ、さらに、複合シートの熱伝導率が10W/mK以上となるように設計することで、複合シートの加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を高いレベルで両立できることを新たに見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の複合シートは、炭素材料を含む複合シートであって、前記複合シートが樹脂を非含有又は含有しても含有割合が15体積%以下あり、前記炭素材料の長軸方向の前記複合シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、さらに、前記複合シートの熱伝導率が10W/mK以上である、ことを特徴とする。複合シートが樹脂を非含有であるか、又は、含有しても15体積%以下の含有割合であり、複合シートに含有される炭素材料が特定の方向に配向されてなり、さらに、複合シートの熱伝導率が10W/mK以上であれば、かかる複合シートは、加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を高いレベルで両立できる。
なお、「炭素材料の長軸方向の複合シート表面に対する角度」及び「複合シートの熱伝導率」は本明細書の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
ここで、本発明の複合シートにおいて、前記炭素材料が粒子状炭素材料であることが好ましい。複合シートに含有される炭素材料が粒子状炭素材料であれば、粒子状炭素材料同士が適度に重点することで、加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を一層高いレベルで両立できる。
ここで、本発明の複合シートにおいて、前記粒子状炭素材料が鱗片状黒鉛であることが好ましい。複合シートに含まれる粒子状炭素材料が鱗片状黒鉛であれば、鱗片形状の黒鉛同士が適度に充填することで、加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を一層高いレベルで両立できる。
また、本発明の複合シートにおいて、鱗片状黒鉛が膨張化黒鉛であることが好ましい。複合シートに含まれる鱗片状黒鉛が膨張化黒鉛であれば、熱伝導率を一層高いレベルで得ることが出来る。
また、本発明の複合シートの密度が1.2g/cm以下であることが好ましい。複合シートの密度が1.2g/cm以下であれば、加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を一層高いレベルで両立できる。
なお、複合シートの密度は、本明細書の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の複合シートの製造方法は、前記樹脂及び前記炭素材料を含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る一次シート成形工程と、前記一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記一次シートを折畳又は捲回して、積層体を得る積層体形成工程と、前記積層体を積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、二次シートを得るスライス工程と、前記二次シートを焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする。本発明の複合シートの製造方法によれば、加圧状態において千切れにくく、且つ、圧縮性に優れる、複合シートを効率的に製造することができる。
ここで、本発明の複合シートの製造方法において、前記二次シートにおける前記炭素材料の体積分率が31体積%以上であることが好ましい。二次シートにおける炭素材料の体積分率が31体積%以上であれば、得られる複合シートの強度及び熱伝導性を向上させることができる。
また、本発明の複合シートの製造方法において、前記樹脂が液状樹脂を含むことが好ましい。樹脂が液状樹脂を含んでいれば、一次シート内における炭素材料の充填率が高めやすくなるため、得られる複合シートの熱抵抗を低減して熱伝導性を高めることが可能となる。
さらに、本発明の複合シートの製造方法において、下式(1)~(3)に従って算出される焼成状態インデックス(%)の値が、0%以上15%以下であることが好ましい。
理論焼成残留率=(組成物中の炭素材料の配合量)÷(組成物中の全固形分量)・・・(1)
実測焼成残留率=(複合シートの質量)÷(二次シートの質量)・・・(2)
焼成状態インデックス(%)={1-(理論焼成残留率)÷(実測焼成残留率)}×100・・・(3)
焼成状態インデックスが上記の範囲を満たすように種々の条件を調節することにより、得られる複合シートの加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を一層高いレベルで両立することができる。
本発明によれば、加圧状態において千切れにくく、且つ、圧縮性に優れる、複合シート及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の複合シートは、熱伝導性を有するため、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。即ち、本発明の複合シートは、放熱部材としての熱伝導シートとして機能しうるものであり、ヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体と共に放熱装置を構成することができる。また、本発明の複合シートは、本発明の複合シートの製造方法を用いて効率的に製造することができる。
(複合シート)
本発明の複合シートは、炭素材料を含み、樹脂を非含有又は含有しても含有割合が15体積%以下あるとともに、炭素材料の長軸方向の複合シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、さらに、熱伝導率が10W/mK以上である。本発明の複合シートは、所定の方向に配向した炭素材料を含むとともに樹脂を非含有又は低含有であるため熱抵抗が低く熱伝導性に優れており、発熱体及び放熱体の間隙に熱伝導シートとして設置して加圧した際に、加圧により樹脂が押し出されてシートの設置領域からはみ出すことが抑制されうる。さらに、本発明の複合シートは、樹脂により炭素材料間の間隙が充填されていないため、加圧した際に炭素材料が、当該炭素材料間の間隙に挿入されることができ、これにより優れた圧縮性を呈することができると考えらえる。
<炭素材料>
ここで、炭素材料としては、特に限定されることなく、繊維状炭素材料及び粒子状炭素材料を用いることができる。中でも、複合シートの加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を高める観点から、炭素材料が粒子状炭素材料であることが好ましい。なお、「繊維状炭素材料」とはアスペクト比が20超の炭素材料を意味し、「粒子炭素材料」とは、アスペクト比が20以下の炭素材料を意味する。
<<繊維状炭素材料>>
繊維状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、及び、それらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<粒子状炭素材料>>
粒子状炭素材料としては、特に限定されることなく、例えば、人造黒鉛及び天然黒鉛などが挙げられる。人造黒鉛には、カーボンブラック及び熱分解グラファイト等が含まれる。そして、天然黒鉛には、膨張化黒鉛及び球状黒鉛などの鱗片状黒鉛、並びに、鱗状黒鉛が含まれる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した中でも、粒子状炭素材料としては、鱗片状黒鉛を用いることが好ましく、鱗片状黒鉛の中でも、膨張化黒鉛を用いることがより好ましい。粒子状炭素材料として鱗片状黒鉛を用いれば、粒子状炭素材料同士が適度に重点することで、加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を一層高いレベルで両立できる。さらに、鱗片状黒鉛の中でも膨張化黒鉛を用いれば、複合シートの熱伝導率を一層高めることができる。
<<炭素材料の配向>>
複合シート中の炭素材料の配向は、炭素材料の長軸方向の複合シート表面に対する角度(以下、「炭素材料の配向角度」と称することがある。)が60°以上90°以下であることを満たす必要がある。さらに、炭素材料の配向角度が、65°以上であることがより好ましく、70°以上であることが更に好ましく、90°以下であることが好ましい。炭素材料の配向角度が上記所定の範囲内であれば、複合シートの熱抵抗を低減させて熱伝導性を高めることができる。
<<炭素材料の性状>>
炭素材料の体積平均粒子径は、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることが更に好ましく、12μm以上であることが一層好ましく、16μm以上であることがより一層好ましく、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。炭素材料の体積平均粒子径が上記下限値以上であれば、複合シートの密度が適度に向上することにより、圧縮性が一層高まる。一方、炭素材料の体積平均粒子径が上記上限値以下であれば、適度に充填することが可能となり複合シートの熱伝導性を一層高めることができる。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠して測定することができ、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を表す。
また、炭素材料としての粒子状炭素材料は、アスペクト比(長径/短径)が、1.2超であることが好ましく、2超であることがより好ましく、4超であることが更に好ましく、6超であることが一層好ましく、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。粒子状炭素材料のアスペクト比が上記所定の範囲内であれば、複合シートの表面に対する粒子状炭素材料の配向角度が後述する所望の範囲に容易に収まることから、熱伝導性を更に向上させることができる。
<<炭素材料の含有割合>>
複合シート中の炭素材料の含有割合は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%以下とすることができる。複合シート中の炭素材料の含有割合が上記下限以上であれば、複合シートの加圧状態における千切れにくさを一層高めることができる。
<その他の成分>
本発明の複合シートは、上述した炭素材料以外の成分を更に含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、樹脂などを用いることができる。
<<樹脂>>
本発明の複合シートに任意で含まれる樹脂は、特に限定されないが、例えば、後述する複合シートの製造方法において、複合シートの前駆体である一次シート及び二次シートを成形するために用いられた樹脂のうちの一部が、焼成工程で燃焼せずに残存したものである。
複合シートに含まれ得る樹脂の具体例としては、「複合シートの製造方法」の項で後述されている樹脂などが挙げられる。
複合シートは、樹脂を非含有であるか、含有しても含有割合が15体積%以下であることが必要である。複合シートにおける樹脂の含有上限は、10体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがより好ましく、2体積%以下であることがさらに好ましい。複合シートに含有される樹脂の割合が少ないほど、複合シートの圧縮性を高めることができる。
<複合シートの熱伝導率>
複合シートは、熱伝導率が10W/mK以上である必要があり、12W/mK以上であることが好ましい。熱伝導率が10W/mK以上であれば、かかる複合シートは熱伝導性に優れるため、熱伝導シートとしての用途に好適に利用することが可能となる。なお、複合シートの熱伝導率の上限は特に限定されないが、30W/mK以下でありうる。
<複合シートの密度>
複合シートは、密度が1.2g/cm以下であることが好ましく、1.0g/cm以下であることがより好ましい。複合シートの密度が上記所定値以下であれば、複合シート中の空隙が増えることから、圧縮性を一層高めることができる。なお、複合シートの密度は、特に限定されないが、シート強度及び熱伝導性を高める観点から、0.5g/cm以上であることが好ましい。
なお、複合シートの密度は、例えば、後述する複合シートの製造方法において実施する工程、使用する樹脂及び炭素材料の種類、性状及び量比、並びに、焼成の条件(例えば、温度及び時間)などによって調整することができる。
<厚み>
複合シートの厚みは、80μm以上であることが好ましく、90μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが更に好ましく、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。複合シートの厚みが上記下限以上であれば、複合シートの強度及び熱伝導性を高めることができる。一方、複合シートの厚みが上記上限以下であれば、熱抵抗の値を適度に下げることが出来る。
(複合シートの製造方法)
本発明の複合シートの製造方法は、(A)樹脂と炭素材料とを含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る一次シート成形工程と、(B)一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記一次シートを折畳又は捲回して、積層体を得る積層体形成工程と、(C)積層体を積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、二次シートを得るスライス工程と、(D)二次シートを焼成して複合シートを得る焼成工程と、を含む。
なお、本発明の複合シートの製造方法は、任意で、上記(A)~(D)以外の工程を更に含んでいてもよい。
本発明の複合シートの製造方法によれば、加圧状態において千切れにくく、且つ、圧縮性に優れる複合シートを効率的に製造することができる。
<(A)一次シート成形工程>
一次シート成形工程では、樹脂と炭素材料とを含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る。
<<組成物>>
上記組成物は、樹脂と炭素材料とを含む。なお、上記組成物は、樹脂及び炭素材料以外のその他の成分を更に含んでいてもよい。
-樹脂-
樹脂としては、特に限定されず、任意の樹脂を用いることができる。例えば、樹脂としては、液状樹脂及び固体樹脂のいずれも用いることができる。なお、樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、樹脂としては、液状樹脂と固体樹脂との双方を用いることができる。なお、樹脂として液状樹脂と固体樹脂とを併用する場合、液状樹脂と固体樹脂との質量比は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で調整することができる。ここで、樹脂が液状樹脂を含むことが好ましい。さらに、樹脂全体に占める液状樹脂の含有割合が高いほど、一次シート内における炭素材料の充填率を容易に上げることができる。
=液状樹脂=
そして、液状樹脂としては、常温常圧下で液体である限り、特に限定されることなく、例えば、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂を用いることができる。
なお、本発明において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
液状樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(ニトリルゴム)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
=固体樹脂=
固体樹脂としては、常温常圧下で液体でない限り、特に限定されることなく、例えば、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂等を用いることができる。
常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2-エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸又はそのエステル、ポリアクリル酸又はそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン-プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン-アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(ニトリルゴム);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン-ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物;スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において、ゴムは、「樹脂」に含まれるものとする。
常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-炭素材料-
炭素材料としては、「複合シート」の項で上述した炭素材料を用いることができる。
そして、組成物中の炭素材料の含有量は、樹脂100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、120質量部以上であることが更に好ましく、500質量部以下であることが好ましく、450質量部以下であることがより好ましく、400質量部以下であることが更に好ましい。組成物中の炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、製造される複合シートの密度を適度に高めて、得られる複合シートの加圧状態における千切れにくさを一層高めることができる。また、組成物中の炭素材料の含有量が上記下限以上であれば、複合シートの強度及び熱伝導性を向上させることができる。一方、組成物中の炭素材料の含有量が上記上限以下であれば、得られる複合シートの圧縮性を一層高めることができる。
また、組成物中の炭素材料の体積は、樹脂及び炭素材料の合計体積に対して、31体積%以上であることが好ましく、40体積%以上であることが好ましく、75体積%以下であることが好ましく、70体積%以下であることがより好ましい。組成物中の樹脂及び炭素材料の合計体積に占める炭素材料の体積分率が上記下限値以上であれば、得られる複合シートの加圧状態における千切れにくさを一層高めることができる。また、炭素材料の体積分率が上記下限値以上であれば、複合シートの強度及び熱伝導性を向上させることができる。炭素材料の体積分率が上記上限値以下であれば、得られる複合シートの圧縮性を一層高めることができる。
-その他の成分-
上記組成物は、上述した樹脂及び炭素材料以外のその他の成分を更に含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、分散剤を用いることができる。分散剤としては、特に限定されることはなく、既知のものを用いることができる。なお、組成物中の分散剤の含有量は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で調整することができる。
-組成物の調製-
組成物は、特に限定されることはなく、上述した成分を混合することにより調製することができる。
なお、上述した成分の混合は、特に制限されることなく、ニーダー;ヘンシェルミキサー、ホバートミキサー、ハイスピードミキサー等のミキサー;二軸混練機;ロール;などの既知の混合装置を用いて行うことができる。また、混合は、酢酸エチル等の溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒に予め樹脂を溶解又は分散させて樹脂溶液として、炭素材料、及び任意で添加されるその他の成分と混合してもよい。そして、混合時間は、例えば、5分以上60分以下とすることができる。また、混合温度は、例えば、5℃以上160℃以下とすることができる。
<<組成物の成形>>
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡及び解砕した後に、加圧してシート状に成形することができる。このように組成物を加圧成形したシート状のものを、一次シートとすることができる。なお、混合時に溶媒を用いている場合には、溶媒を除去してからシート状に成形することが好ましく、例えば、真空脱泡を用いて脱泡を行えば、脱泡時に溶媒の除去も同時に行うことができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば、特に制限されることなく、プレス成形、圧延成形又は押し出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形(一次加工)によりシート状に成形することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に制限されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃以下、ロール間隙は50μm以上2500μm以下、ロール線圧は1kg/cm以上3000kg/cm以下、ロール速度は0.1m/分以上20m/分以下とすることができる。
<(B)積層体形成工程>
積層体形成工程では、一次シート成形工程で得られた一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、一次シートを折畳又は捲回して、樹脂及び炭素材料を含む一次シートが厚み方向に複数形成された積層体を得る。ここで、一次シートの折畳による積層体の形成は、特に制限されることなく、折畳機を用いて一次シートを一定幅で折り畳むことにより行うことができる。また、一次シートの捲回による積層体の形成は、特に制限されることなく、一次シートの短手方向又は長手方向に平行な軸の回りに一次シートを捲き回すことにより行うことができる。また、一次シートの積層による積層体の形成は、特に制限されることなく、積層装置を用いて行うことができる。例えば、シート積層装置(日機装社製、製品名「ハイスタッカー」)を用いれば、層間に空気が入り込むことを抑えることができるため、良好な積層体を効率的に得ることができる。
なお、積層工程では、得られた積層体を、加熱しながら、積層方向に加圧(二次加圧)することが好ましい。積層体を加熱しながら積層方向に加圧する二次加圧を行うことにより、積層された一次シート相互間の融着を促進することができる。
ここで、積層体を積層方向に加圧する際の圧力は、0.05MPa以上0.50MPa以下とすることができる。
また、積層体の加熱温度は、特に限定されないが、50℃以上170℃以下であることが好ましい。
さらに、積層体の加熱時間は、例えば、10秒間以上30分間以下とすることができる。
なお、一次シートを積層、折畳又は捲回して得られる積層体では、炭素材料が積層方向に略直交する方向に配向していると推察される。例えば、炭素材料が粒子状炭素材料であり、その形状が鱗片形状である場合、当該鱗片形状が有する主面の長軸の方向は、積層方向に略直交していると推察される。
<(C)スライス工程>
スライス工程では、積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、積層体のスライス片よりなる二次シートを得る。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、二次シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
なお、積層体をスライスする角度は、積層方向に対して30°以下であることが好ましく、積層方向に対して15°以下であることがより好ましく、積層方向に対して略0°である(即ち、積層方向に沿う方向である)ことが好ましい。
そして、このようにして得られた二次シートでは、厚み方向に炭素材料が良好に配向しており、炭素材料の長軸方向のシート表面に対する角度は、60°以上90°以下である。より具体的には、炭素材料が鱗片形状である場合、当該鱗片形状が有する主面の長軸の方向の、シート表面に対して60°以上90°以下である。
ここで、二次シートにおける炭素材料の体積分率は、一次シートの形成に用いた組成物中の炭素材料の体積分率と同じであることが好ましい。すなわち、二次シートにおける炭素材料の体積分率は、二次シートを構成する樹脂及び炭素材料の合計体積に対して、31体積%以上であることが好ましく、40体積%以上であることが好ましく、75体積%以下であることが好ましく、70体積%以下であることがより好ましい。二次シート中の炭素材料の体積分率が上記下限値以上であれば、得られる複合シートの加圧状態における千切れにくさを一層高めることができる。また、炭素材料の体積分率が上記下限値以上であれば、複合シートの強度及び熱伝導性を向上させることができる。炭素材料の体積分率が上記上限値以下であれば、得られる複合シートの圧縮性を一層高めることができる。
<(D)焼成工程>
焼成工程では、二次シートを焼成して、二次シートに含まれる樹脂を燃焼させて除去することにより、複合シートを得る。
得られた複合シートは、上述した二次シートから樹脂が除去されて得られるシートである。したがって、複合シートでは、厚み方向に炭素材料が良好に配向している。例えば、炭素材料が粒子状炭素材料であり、その形状が鱗片形状である場合、当該鱗片形状が有する主面の長軸の方向は、二次シートの厚み方向と略一致している。
焼成工程における焼成は、下式(1)~(3)に従って算出することができる焼成状態インデックスが、0%以上15%以下となるような条件で実施することが好ましい。
理論焼成残留率=(組成物中の炭素材料の配合量)÷(組成物中の全固形分量)・・・(1)
実測焼成残留率=(複合シートの質量)÷(二次シートの質量)・・・(2)
焼成状態インデックス(%)={1-(理論焼成残留率)÷(実測焼成残留率)}×100・・・(3)
ここで、焼成状態インデックスの値が、1%以上14%以下であることが好ましい。焼成状態インデックスの値が上記下限値以上となるようにすることで、得られる複合シートの圧縮性を一層高めることができる。また、焼成状態インデックスの値が上記上限値以下となるようにすることで、複合シートの加圧状態における千切れにくさを一層高めることができる。なお、焼成状態インデックスの値は、焼成工程における焼成条件(焼成温度及び焼成時間)、一次シートの形成に用いる組成物の配合などに基づいて、制御することができる。
ここで、二次シートを焼成する際の加熱温度は、二次シートに含まれていた樹脂の分解開始温度をT℃とした場合、T-50℃以上であることが好ましく、T-40℃以上であることがより好ましく、T-20℃以上であることが更に好ましく、T+2000℃以下であることが好ましく、T+1500℃以下であることがより好ましく、T+1000℃以下であることが更に好ましい。二次シートを焼成する際の加熱温度が上記下限値以上であれば、製造される複合シート中の樹脂の含有割合を低減して、複合シートの圧縮性を一層高めることができる。一方、二次シートを焼成する際の加熱温度が上記上限値以下であれば、過度な加熱によって製造される複合シートが有する構造等が損なわれることを抑制し、複合シートの強度を十分に高く確保することができる。なお、樹脂が複数種の樹脂を含む場合には、より分解温度が高いほうの樹脂を基準として、上記の温度範囲を満たすことが好ましい。
また、二次シートを焼成する際の加熱温度は、300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、2000℃以下であることが好ましく、1500℃以下であることがより好ましく、1200℃以下であることが更に好ましい。二次シートを焼成する際の加熱温度が上記下限値以上であれば、製造される複合シート中の樹脂の含有割合を低減して、複合シートの圧縮性を一層高めることができる。一方、二次シートを焼成する際の加熱温度が上記上限値以下であれば、過度な加熱によって製造される複合シートが有する構造等が損なわれることを抑制し、複合シートの強度を十分に高く確保することができる。
なお、二次シートを焼成する際の加熱時間は、加熱温度に応じて調整可能であるが、例えば、30分間以上72時間以下とすることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。また、体積分率などの算出に際して、各配合成分の体積として、各配合成分の質量をそれらの理論比重で除した値を採用した。
なお、実施例における各種の測定及び評価は以下の方法に従って行った。
<樹脂の分解開始温度>
実施例及び比較例で用いている各々の樹脂について、空気雰囲気下、30~1000℃の温度範囲において、10℃/分の昇温速度により熱重量測定(TGA測定)を行った。このとき、重量が5%減少した時点での温度を樹脂の分解開始温度とした。
<炭素材料の配向角度>
複合シート(又は塗布電極の負極合材層)中の炭素材料の配向角度は、複合シートを正八角形に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ製「SU-3500」)にて当該シートの上端から下端までが収まる倍率で観察した。なお、このときの倍率は700倍であった。この断面における炭素材料の長軸に50本線を引き、複合シートの表面に対する長軸の角度の平均を算出した。なお、角度が90°以上であった場合には補角を採用した。これを8面に対して実施し、8面の中で最も値の大きなものを複合シート中の炭素材料の配向角度とした。
<樹脂の含有割合>
実施例、比較例で作製した複合シートを、窒素雰囲気下、30~1000℃の温度範囲において、10℃/分の昇温速度により熱重量測定(TGA測定)を行った。このとき、30℃~1000℃の間に減少した重量の割合を、複合シート中の樹脂の含有割合とした。
<焼成状態インデックスの算出>
下式(1)~(3)に従って、焼成工程を経た複合シートについての焼成状態インデックスを算出した。
理論焼成残留率=(組成物中の炭素材料の配合量)÷(組成物中の全固形分量)・・・(1)
実測焼成残留率=(複合シートの質量)÷(二次シートの質量)・・・(2)
焼成状態インデックス(%)={1-(理論焼成残留率)÷(実測焼成残留率)}×100・・・(3)
<厚み>
膜厚計(ミツトヨ製、製品名「デジマチックインジケーター ID-C112XBS」)を用いて、実施例、比較例で作製した複合シート(又は塗布電極の負極合材層)の略中心点及び四隅(四角)の計五点における厚みを測定し、測定した厚みの平均値(μm)を複合シートの厚みとした。
<密度>
実施例、比較例で作製した複合シートの質量、面積及び厚みを測定し、質量を体積(=面積×厚み)で割ることにより、複合シート(又は負極合材層)の密度を算出した。
<厚み方向の熱伝導率>
実施例、比較例で作製した複合シートについて、厚み方向の熱拡散率α(m/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)、及び比重ρ(g/m)を、ぞれぞれ、以下の方法で測定した。
[厚み方向の熱拡散率α]
熱拡散・熱伝導率測定装置(株式会社アイフェイズ製、製品名「アイフェイズ・モバイル 1u」)を使用して、ISO 22007-3の規定に基づき測定した。
[定圧比熱Cp]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下、25℃における比熱を測定した。
[比重ρ(密度)]
<密度>の項目に説明した方法に従って複合シートの密度を算出した。
そして、各測定値を、下記式(I):
λ=α×Cp×ρ・・・(I)
に代入し、25℃における複合シートの厚み方向の熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。
<加圧状態における千切れにくさ>
10×10mmにサイジングした複合シートを120℃に熱した金属板の上に設置した。
複合シートの上に12×12mmにサイジングした平滑な金属板を、複合シートと中心が重なるように乗せ、上から250Nの圧力を10秒かけて10秒除荷することを1サイクルとし、これを50サイクル繰り返した。サイクル試験終了後の複合シートを真上から見て、複合シートのはみ出し具合の評価を以下の基準で行なった。なお、加圧された状態で温冷のサイクルが繰り返されると、耐久性の悪い複合シートにおいては、特に強い圧力が加わっている部分から複合シートが千切れ、電子デバイスの外側にはみ出すことが見られる。はみ出す複合シートのサイズが小さいほど、加圧状態において複合シートが千切れにくいことを意味する。
A:少なくとも1辺が0mm超1mm未満の辺をもつ複合シートがはみ出している。
B:少なくとも1辺が1mm以上2mm未満の辺をもつ複合シートがはみ出している。
C:少なくとも1辺が2mm以上3mm未満の辺をもつ複合シートがはみ出している。
D:少なくとも1辺が3mm以上6mm未満の辺をもつ複合シートがはみ出している。
<熱抵抗値>
複合シートの熱抵抗値は、熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて測定した。ここで、1cm角の略正方形に切り出した複合シートを試料とし、試料温度50℃において、0.1MPa、及び0.9MPaの圧力を加えた時の熱抵抗値(℃/W)及びシート厚み(単位:mm)を測定した。熱抵抗値が小さいほど複合シートが熱伝導性に優れ、例えば、発熱体と放熱体との間に介在させた際の放熱特性に優れていることを示す。
<圧縮性>
実施例、比較例で作製した複合シートを0.9MPaで加圧した際のシート厚みを0.1MPaで加圧した際のシート厚みで除した値を、1から引いた値をシート厚み減少率とした。この値が大きいほど、より潰れやすく被着体の凹凸に追従した優れたシートといえる。なお、各圧力におけるシート厚みの測定は、<熱抵抗値>の測定に用いた装置と同じ装置を用いて実施した。
<強度>
実施例、比較例で作製した複合シートを1cm×5cmのサイズに切断した試験片を作製した。また、6cm×6cm×2cmの台座を準備した。そして、試験片の中心から右半分を台座上に載せ、左半分を台座から外にはみ出すよう設置した。さらに、試験片の右半分に6×6×2mmのアルミ板を載せた。そして、試験片の台座からはみ出した部分に対して、試験片が折れるまで、100mg、200mg、及び300mgの重りを順番に交代で乗せていき、試験片が折れたときに乗せていた重りの重量から、下記の基準に従って、複合シートの強度を評価した。なお、実施例1~6にかかる複合シートのように、樹脂の含有割合が低い場合には、必然的に強度が低くなる傾向がある。
A:300mgの重りで試験片が折れた。
B:200mgの重りで試験片が折れた。
C:100mgの重りで試験片が折れた。
D:100mgの重りで試験片が折れた。
(実施例1)
<組成物の調製>
樹脂として、常温常圧下で液体のニトリルゴム(NBR)(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol(登録商標) 1312」、分解開始温度:336℃)70部と、常温常圧下で固体のニトリルゴム(NBR)(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol(登録商標) 3350」、分解開始温度:375℃)30部と、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、商品名「EC-300」、体積平均粒子径:50μm、アスペクト比=1.5)160部とを加圧ニーダー(日本スピンドル社製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機(大阪ケミカル社製、商品名「ワンダークラッシュミルD3V-10」)に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
<一次シート成形工程>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙1000μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.8mmの一次シートを得た。
<積層体形成工程>
続いて、得られた一次シートを縦150mm×横150mm×厚み0.8mmに裁断し、一次シートの厚み方向に188枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約150mmの積層体を得た。
<スライス工程>
その後、二次加圧された積層体の積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層された一次シートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横150mm×厚み0.10mmの二次シートを得た。
<焼成工程>
その後、得られた二次シートを窒素雰囲気下にて380℃で8時間焼成し、樹脂成分を燃焼させて除去することにより、複合シートを得た。
得られた複合シートを用いて、各種の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
組成物の調製において、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛を220部配合したこと以外は、実施例1と同様にして、各種の操作、測定、及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
組成物の調製において、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛を250部配合したこと以外は、実施例1と同様にして、各種の操作、測定、及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
焼成工程における焼成条件を320℃×4時間に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、各種の操作、測定、及び評価を行った。結果を表1に示す。なお、複合シートを観察したところ、樹脂の残留が目視で確認された。
(実施例5)
組成物の調製において、樹脂として、常温常圧下で固体のニトリルゴムに変えて、常温常圧下で固体のフッ素ゴム(旭硝子社製、「AFLAS(登録商標)-100S」、ムーニー粘度(ML1+10, 100℃):160)110部を配合し、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛の配合量を215部に変更して、二次シートにおける炭素材料の体積分率が実施例1と同様になるように調整した。これらの点以外は、実施例1と同様にして、各種の操作、測定、及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
組成物の調製において、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛を100部配合したこと以外は、実施例1と同様にして、各種の操作、測定、及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において焼成工程を実施せず、二次シートについて、各種の属性の測定、及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例5において焼成工程を実施せず、二次シートについて、各種の属性の測定、及び評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022130068000001
表1より、炭素材料を含み、樹脂の含有割合が低く、炭素材料の配向角度が60°以上90°以下であり、熱伝導率が10W/mK以上である、実施例1~6にかかる複合シートは、加圧状態にて千切れにくく且つ圧縮性に優れていたことが分かる。一方、焼成工程を実施しなかった比較例1~2では、二次シートの含有する樹脂の体積分率が15%超となっており、かかるシートでは、加圧状態における千切れにくさ及び圧縮性を両立できなかったことが分かる。
本発明によれば、加圧状態において千切れにくく、且つ、圧縮性に優れる、複合シート及びその製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 炭素材料を含む複合シートであって、
    前記複合シートが樹脂を非含有又は含有しても含有割合が15体積%以下あり、
    前記炭素材料の長軸方向の前記複合シート表面に対する角度が60°以上90°以下であり、さらに、
    前記複合シートの熱伝導率が10W/mK以上である、
    複合シート。
  2. 前記炭素材料が粒子状炭素材料である、請求項1に記載の複合シート。
  3. 前記粒子状炭素材料が鱗片状黒鉛である、請求項2に記載の複合シート。
  4. 前記鱗片状黒鉛が膨張化黒鉛である、請求項3に記載の複合シート。
  5. 密度が1.2g/cm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の複合シート。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の複合シートの製造方法であって、
    前記樹脂及び前記炭素材料を含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る一次シート成形工程と、
    前記一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、前記一次シートを折畳又は捲回して、積層体を得る積層体形成工程と、
    前記積層体を積層方向に対して45°以下の角度でスライスして、二次シートを得るスライス工程と、
    前記二次シートを焼成して前記複合シートを得る焼成工程と、を含む
    複合シートの製造方法。
  7. 前記二次シートにおける前記炭素材料の体積分率が31体積%以上である、請求項6に記載の複合シートの製造方法。
  8. 前記樹脂が液状樹脂を含む、請求項6又は7に記載の複合シートの製造方法。
  9. 下式(1)~(3)に従って算出される焼成状態インデックス(%)の値が、0%以上15%以下である、請求項6~8のいずれかに記載の複合シートの製造方法。
    理論焼成残留率=(前記組成物中の前記炭素材料の配合量)÷(前記組成物中の全固形分量)・・・(1)
    実測焼成残留率=(前記複合シートの質量)÷(前記二次シートの質量)・・・(2)
    焼成状態インデックス(%)={1-(前記理論焼成残留率)÷(前記実測焼成残留率)}×100・・・(3)
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