JP2021005595A - 熱伝導シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シートを提供する。【解決手段】樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートであって、厚み方向の熱伝導率が15W/m・K以上であり、前記熱伝導性充填材の含有割合が30体積%以上であり、そして、平均厚みが30μm以上100μm以下である、熱伝導シート。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導シートおよび熱伝導シートの製造方法に関するものである。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
電子部品の温度上昇による機能障害対策としては、一般に、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、熱伝導率が高いシート状の部材(熱伝導シート)を介在させた状態で発熱体と放熱体とを密着させている。
従って、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用される熱伝導シートには、優れた熱伝導性を発揮することが求められている。
そして、優れた熱伝導性を発揮し得る熱伝導シートの製造方法としては、樹脂および粒子状炭素材料を含むプレ熱伝導シートの積層体よりなる樹脂ブロックをカンナなどの切断具を用いてスライスして熱伝導シートを得る方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2018−67695号公報 国際公開第2017/145957号
ここで、上記従来の製造方法で得られた熱伝導シートには、熱伝導性を更に向上させるという点において改善の余地があった。
そこで、本発明者は、上記従来の製造方法において、熱伝導性充填材の含有割合を高めることで、熱伝導シートの熱伝導性向上を試みた。しかし、本発明者の検討によれば、上記従来の熱伝導シートの製造方法では、熱伝導性充填材の含有割合が多い樹脂ブロックを薄くスライスすることができないことが分かった。より具体的には、熱伝導性充填材の含有割合を高めた樹脂ブロックを、カンナを用いた従来の手法でスライスすると、熱伝導シートが脆いためスライス時の負荷により破損してしまい、所望のサイズの熱伝導シートを製造することができなかった。
そこで、本発明は、熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シート、および当該熱伝導シートを製造し得る新規の熱伝導シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった。そして、本発明者は、熱伝導性充填材の含有割合の高い樹脂ブロックを薄くスライスするに際して、熱伝導シートを支持基材で補強することで当該シートの破損を防止し、熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シートを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートは、樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートであって、厚み方向の熱伝導率が15W/m・K以上であり、前記熱伝導性充填材の含有割合が30体積%以上であり、そして、平均厚みが30μm以上100μm以下であることを特徴とする。このような性状を有する熱伝導シートは、熱伝導性に優れており、また、薄厚である。
なお、本発明において、「熱伝導率」および「平均厚み」は、それぞれ、実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートは、厚みの標準偏差が7.0μm以下であることが好ましい。厚みの標準偏差が7.0μm以下であれば、厚み精度に優れ、また熱伝導性を更に向上させることができる。
なお、本発明において、「厚みの標準偏差」は、実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
また、本発明の熱伝導シートは、カール指数が0以上0.30以下であることが好ましい。カール指数が上記範囲内であれば、カールの度合いが抑制されている。
なお、本発明において、「カール指数」は、水平な試験台の上に載置された熱伝導シートの上に155mm×155mm、200gの重りを10秒間載せ、当該重りを除去した後の熱伝導シートのカール高さ(水平な試験台と熱伝導シートの間の最大垂直距離、単位:mm)を、熱伝導シートの平面視における面積(単位:mm)の平方根(即ち、(平面視における面積)1/2、単位:mm)で除することによって得られる値であり、より具体的には実施例に記載の方法を用いて得ることができる。
そして、本発明の熱伝導シートは、表面粗さSaが両面共に1.0μm以上7.0μm以下であることが好ましい。表面粗さSaが両面共に上記範囲内であれば、熱伝導性を更に向上させることができる。
なお、本発明において、「表面粗さSa」は、実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の熱伝導シートの製造方法は、樹脂と熱伝導性充填材とを含有する樹脂ブロックを、切断具でスライスして熱伝導シートを得る工程を含む熱伝導シートの製造方法であって、前記切断具は、スライド面を有する支持台と、前記スライド面から刃先が突出するように配置された切断刃とを備え、前記スライスを、前記樹脂ブロックを支持基材上に配置し且つ前記支持基材が前記スライド面に接した状態で、前記樹脂ブロックおよび前記支持基材を前記スライド面に押圧しながらスライドさせて、前記樹脂ブロックを前記切断刃と接触させることにより行うことを特徴とする。このように、支持台のスライド面上で樹脂ブロックをスライドさせてスライスするに際し、樹脂ブロックを支持基材上に配置した状態で切断刃と接触させれば、得られる熱伝導シートが擬似的に補強することができ、熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シートを効率良く製造することができる。
ここで、本発明の熱伝導シートの製造方法において、前記樹脂ブロックは、前記熱伝導性充填材の含有割合が30体積%以上であることが好ましい。熱伝導性充填材の含有割合が上記値以上である樹脂ブロックを用いれば、熱伝導シートの熱伝導性を十分に向上させることができる。
そして、本発明の熱伝導シートの製造方法において、前記支持基材は、剛性指数が1,300MPa・μm以上10,000MPa・μm以下であることが好ましい。剛性指数が上記範囲内である支持基材は、柔軟性および剛性を良好なバランスで保持する。そのため、支持基材を備える樹脂ブロックを切断刃により良好にスライスすることができ、また得られる熱伝導シートのカールを抑制することができる。
なお、本発明において、剛性指数は、支持基材の引張弾性率(MPa)に平均厚み(μm)を乗じて得られる値であり、より具体的には実施例に記載の方法を用いて得ることができる。
更に、本発明の熱伝導シートの製造方法において、前記支持基材は、前記樹脂ブロックとの当接面のタックが0.30N以上6.00N以下であることが好ましい。樹脂ブロックとの当接面のタックが上記範囲内である支持基材を用いれば、得られる熱伝導シートの厚み精度および表面平滑性を向上させることができ、また支持基材と熱伝導シートを容易に剥離することができる。
なお、本発明において、タックは、プローブタック試験で測定される値であり、より具体的には実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
本発明によれば、熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シート、および当該熱伝導シートを製造し得る新規の熱伝導シートの製造方法を提供することができる。
(a)〜(c)は、本発明に従う熱伝導シートの製造方法の一例を用いて熱伝導シートを製造する過程を示す説明図(側面図)である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の熱伝導シートは、電子部品等の発熱体と、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体との間に挟み込んで使用されるものであり、例えば本発明の熱伝導シートの製造方法を用いて製造することができる。
(熱伝導シート)
本発明の熱伝導シートは、樹脂と、熱伝導性充填材とを含み、任意に添加剤を更に含み得る。また、本発明の熱伝導シートは、厚み方向の熱伝導率が15W/m・K以上であり、熱伝導性充填材の含有割合が30体積%以上であり、平均厚みが30μm以上100μm以下であることを必要とする。このような性状を有する熱伝導シートは、熱伝導性に優れており、また、薄厚である。
<樹脂>
ここで、樹脂としては、常温常圧下で液体の樹脂と、常温常圧下で固体の樹脂との少なくとも一方を用いることができる。なお、本明細書において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂が挙げられる。
そして、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
また、常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
また、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂が挙げられる。
そして、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン−プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン−イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。
また、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
中でも、樹脂としては、常温常圧下で液体のフッ素樹脂と、常温常圧下で固体のフッ素樹脂とを用いることが好ましい。
なお、上述した樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<熱伝導性充填材>
熱伝導性充填材としては、特に限定されることなく、例えば、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子および粒子状炭素材料(例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛、カーボンブラック等)などの粒子状材料、並びに、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などの繊維状材料が挙げられる。中でも、熱伝導性充填材としては、窒化ホウ素粒子、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、膨張性黒鉛および膨張化黒鉛等の鱗片状粒子材料;並びに、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状炭素ナノ材料;からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、鱗片状粒子材料を用いることがより好ましく、鱗片状黒鉛および膨張化黒鉛等の異方性黒鉛を用いることが更に好ましく、膨張化黒鉛を用いることが特に好ましい。これらの熱伝導性充填材を用いれば、熱伝導シートの熱伝導性を更に高めることができる。
なお、熱伝導性充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、熱伝導性充填材として使用し得る粒子状炭素材料などの粒子状材料の体積平均粒子径は、10μm以上250μm以下であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましい。体積平均粒子径が上記範囲内であれば、熱伝導シートの熱伝導性を更に高めることができる。
ここで、熱伝導シート中の熱伝導性充填材の割合は、熱伝導シート全体を100体積%として、30体積%以上であることが必要であり、40体積%以上であることが好ましく、60体積%以下であることが好ましく、50体積%以下であることがより好ましい。熱伝導性充填材の含有割合が上記下限値未満であると、熱伝導シートの熱伝導性が低下する。また、熱伝導性充填材の含有割合が上記上限値以下であれば、熱伝導シートの表面平滑性を確保しつつ、カールを抑制することができる。
<添加剤>
熱伝導シートに任意に含有させ得る添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、難燃剤、可塑剤、靭性改良剤、吸湿剤、接着力向上剤、濡れ性向上剤、イオントラップ剤などが挙げられる。
<熱伝導シートの性状>
そして、本発明の熱伝導シートは、厚み方向の熱伝導率が15W/m・K以上であり、且つ、平均厚みが30μm以上100μm以下であることを必要とし、更に以下の性状を有することが好ましい。
[厚み方向の熱伝導率]
熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率は、20W/m・K以上であることが好ましく、25W/m・K以上であることがより好ましく、30W/m・K以上であることが更に好ましい。厚み方向の熱伝導率が上記下限値以上であれば、熱伝導性を更に向上させることができる。
[平均厚み]
熱伝導シートの平均厚みは、40μm以上であることが好ましく、90μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましい。平均厚みが上記下限値以上であれば、熱伝導シートの強度を確保してカールを抑制することができる。また、平均厚みが上記上限値以下であれば、熱伝導シートの熱抵抗を低くすることが出来る。
[厚みの標準偏差]
熱伝導シートの厚みの標準偏差は、7.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、4.0μm以下であることが更に好ましい。厚みの標準偏差が上記上限値以下であれば、熱伝導シートの厚み精度が十分に確保される。そのため、熱伝導シートを介して発熱体と放熱体を良好に密着させることができ、また発熱体から放熱体への伝熱を均一に行うことができる。なお、熱伝導シートの厚みの標準偏差の値の下限は、特に限定されないが、例えば、1.0μm以上である。
[カール指数]
熱伝導シートは、カール指数が0以上0.30以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましく、0.15以下であることが更に好ましい。カール指数が上記範囲内であれば、カールを抑制することができる。
[表面粗さSa]
熱伝導シートは、両方の主面(表面および裏面)の表面粗さSaが、1.0μm以上であることが好ましく、7.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましく、2.0μm以下であることが特に好ましい。表面粗さSaが上記上限値以下であれば、表面平滑性を更に向上させることができる。また、表面粗さSaが上記下限値以上であれば、適度な粗さによって生じる摩擦のためロボットアーム等で掴む際にハンドリングが向上する。
[面積]
熱伝導シートは、平面視における面積(主面の面積)が3600mm以上であることが好ましく、10000mm以上であることがより好ましい。平面視面積が上記下限値以上であれば、生産性を高めることができる。
なお、本発明の熱伝導シートは、例えば本発明の熱伝導シートの製造方法を用いて製造することができ、特に限定されることなく、樹脂と熱伝導性充填材とを含む条片が条片の幅方向に並列接合された構成を有し得る。
(熱伝導シートの製造方法)
本発明の熱伝導シートの製造方法は、樹脂と、熱伝導性充填材とを含み、任意に添加剤を更に含有し得る熱伝導シートを製造する際に用いられる。中でも、本発明の熱伝導シートの製造方法は、上述した本発明の熱伝導シートを製造する際に好適に用いることができる。
そして、本発明の熱伝導シートの製造方法は、樹脂と熱伝導性充填材とを含有する樹脂ブロックを、スライド面を有する支持台と、スライド面から刃先が突出するように配置された切断刃とを備える切断具でスライスする工程を含む。ここで、本発明の熱伝導シートの製造方法では、支持基材の一方の面上に配置された樹脂ブロックを、支持基材の他方の面がスライド面に接した状態で支持基材と共にスライド面に押圧しながらスライドさせ、樹脂ブロックを切断刃と接触させて上記スライスを行うことを必要とする。
このように、樹脂ブロックを、スライド面によって支持しつつスライド面に対して押圧しながらスライドさせて切断刃と接触させスライスする熱伝導シートの製造において、樹脂ブロックを支持基材上に配置した状態でスライスを行えば、スライスによる負荷に起因して熱伝導シートが破損することを抑制し、熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シートを効率良く製造することができる。
<樹脂ブロック>
ここで、熱伝導シートの材料となる樹脂ブロックは、樹脂と、熱伝導性充填材とを含有し、任意に添加剤を更に含有する。
なお、樹脂、熱伝導性充填材および添加剤としては、上述した本発明の熱伝導シートと同様のものを用いることができ、その好適な態様についても上述した本発明の熱伝導シートと同様である。
また、樹脂ブロック中の熱伝導性充填材の割合は樹脂ブロック全体を100体積%として、30体積%以上であることが好ましく、40体積%以上であることがより好ましく、60体積%以下であることが好ましく、50体積%以下であることがより好ましい。熱伝導性充填材の含有割合が上記下限値以上であれば、熱伝導性に十分に優れる熱伝導シートを得ることができる。また、熱伝導性充填材の含有割合が上記上限値以下であれば、得られる熱伝導シートの表面平滑性を確保しつつ、カールを抑制することができる。
[樹脂ブロックの形状および構造]
樹脂ブロックの形状は、特に限定されることなく、スライスした際に所望の形状の熱伝導シートが得られる形状とすることができる。具体的には、例えば、矩形状の熱伝導シートを製造する場合には、樹脂ブロックの形状は、直方体であることが好ましい。
また、樹脂ブロックの構造は、特に限定されることなく、樹脂と、熱伝導性充填材とを含有し、任意に添加剤を更に含有する樹脂組成物を金型などの既知の成形装置を用いて所望の形状に成形してなる構造であってもよいし、樹脂と、熱伝導性充填材とを含有し、任意に添加剤を更に含有する樹脂組成物をシート状に成形して得たシート(プレ熱伝導シート)を積層、折畳または捲回してなる構造であってもよい。
なお、プレ熱伝導シートを積層してなる積層体では、通常、プレ熱伝導シートの表面同士の接着力は、プレ熱伝導シートを積層する際の圧力により充分に得られる。しかし、接着力が不足する場合や、積層体の層間剥離を十分に抑制する必要がある場合には、プレ熱伝導シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層を行ってもよいし、プレ熱伝導シートの表面に接着剤を塗布した状態またはプレ熱伝導シートの表面に接着層を設けた状態で積層を行ってもよいし、プレ熱伝導シートを積層させた積層体を積層方向に更にプレスしてもよい。
中でも、樹脂ブロックの構造は、例えば図1(a)〜(c)に示す樹脂ブロック10のような、樹脂と、熱伝導性充填材とを含有し、任意に添加剤を更に含有する樹脂組成物を加圧してシート状に成形し、樹脂と、熱伝導性充填材と、任意の添加剤とを含有するプレ熱伝導シート11を得た後、得られたプレ熱伝導シート11を厚み方向に複数枚積層してなる構造、或いは、得られたプレ熱伝導シート11を折畳または捲回してなる構造であることが好ましい。樹脂組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導シートでは、熱伝導性充填材がシートの面内方向に配向するため、得られたプレ熱伝導シートを積層、折畳または捲回してなる積層体をスライスすれば、熱伝導性に異方性を有する熱伝導シートを得ることができるからである。具体的には、熱伝導性充填材を含む樹脂組成物を加圧してシート状に成形してなるプレ熱伝導シートでは、熱伝導性充填材が面内方向に配向し、面内方向の熱伝導性が向上する。従って、当該プレ熱伝導シートの積層体を積層体の積層方向、或いは、積層体の積層方向および積層体を構成するシートの双方に直交する方向にスライスすれば、厚さ方向の熱伝導性に優れる熱伝導シートを得ることができる。
なお、プレ熱伝導シートの積層体を、積層体の積層方向、或いは、積層体の積層方向および積層体を構成するプレ熱伝導シートの双方に直交する方向にスライスして得た熱伝導シートは、積層体を構成していたプレ熱伝導シートのスライス片(樹脂と、熱伝導性充填材とを含む条片)が並列接合されてなる構成を有している。換言すれば、当該熱伝導シートは、樹脂および熱伝導性充填材を含み、積層体を構成していたプレ熱伝導シートの厚みと略等しい寸法の幅を有する条片が、条片の幅方向が熱伝導シートの厚み方向と直交する姿勢で、条片の幅方向に並列接合されてなる構成を有している。
<切断具>
切断具は、少なくとも、支持台と、支持台のスライド面から刃先が突出した切断刃とを備える。具体的には、切断具の一例は、図1(a)〜(c)に示すように、スライド面21を有する支持台20と、支持台に固定され且つ刃先がスライド面から突出した切断刃30とを備えるカンナである。ここで、図示例においては、切断刃の刃先はすくい面31と逃げ面32の交差角部よりなる。そして、図示例では、支持基材21の上に配置された樹脂ブロック11を、スライド面21に押圧しながらスライド面21と平行方向(図の矢印方向)にスライドさせ切断刃30と接触させて、樹脂ブロック10をスライスする。スライスにより切り出された部分60は、支持基材50と共に支持台20に設けられた間隙40を通過して、回収される。図示例では、間隙40は切断刃30の逃げ面31に沿って形成されている。
なお、本発明において、切断刃の「逃げ面」とは、その一部をスライスにより切り出された樹脂ブロックが進行する側の面を意味し、切断刃の「すくい面」とは、スライスにより樹脂ブロックから切り出された部分が進行する側の面を意味する。
<支持基材>
ここで、支持基材は、樹脂ブロックとの当接面のタックが、0.30N以上であることが好ましく、0.40N以上であることがより好ましく、6.00N以下であることが好ましく、4.00N以下であることがより好ましく、3.00N以下であることが更に好ましく、1.50N以下であることが特に好ましい。樹脂ブロックとの当接面のタックが0.30N以上であれば、樹脂ブロックをスライドさせるに際し支持基材を容易に追従させることができる。また、樹脂ブロックとの当接面のタックが6.00N以下であれば、樹脂ブロックとの間にエアが噛み込むことを抑制して、厚み精度および表面平滑性に優れる熱伝導シートを得ることができる。更には、熱伝導シートと支持基材の剥離が容易となる。
なお、支持基材のタックは、支持基材を構成する材料を変更することによって、調整することができる。
また、支持基材は、剛性指数が、1,300以上であることが好ましく、1,500以上であることがより好ましく、3,000以上であることが更に好ましく、4,000以上であることが特に好ましく、10,000以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましく、7,000以下であることが更に好ましい。剛性指数が上記下限値以上であれば、熱伝導シートのカールを抑制することができる。また、剛性指数が上記上限値以下であれば、樹脂ブロックが切断刃と接触する際に生じる変形に支持基材が容易に追従可能となり、支持基材がスライド面に設けられた間隙に詰まることもない。よって、支持基材を備える樹脂ブロックを切断刃により良好にスライスすることができる。
なお、支持基材の剛性指数は、支持基材を構成する材料や、支持基材の平均厚みを変更することによって調整することができる。
そして、支持基材は、平均厚みが5μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることが更に好ましく、2000μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更に好ましい。平均厚みが上記範囲内であれば、支持基材を備える樹脂ブロックを切断刃により良好にスライスして、カールが抑制された熱伝導シートを容易に得ることができる。
なお、支持基材の平均厚みは、支持基材の任意の五点の厚みを測定し、これらの測定値の平均値として算出することができる。
そして、支持基材を構成する材料は、特に限定されない。支持基材の材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、アルミニウム、銅が挙げられる。
そして、支持基材としては、市販の基材を用いることもできる。このような市販の基材としては、帝人フィルムソリューション株式会社製の「テイジンテトロンフィルムG2」、東レ株式会社製の「ルミラーS10」、株式会社きもと製「マットルミラー」、株式会社きもと製「ProsaveSQ」、日栄化工株式会社製「NeoFix10」などが挙げられる。
なお、支持基材の形状は、その上に樹脂ブロックを支持可能であれば特に限定されず、フィルム状、シート状など任意の形状をとることができる。また支持基材における樹脂ブロックとの当接面(支持基材側の当接面)は、樹脂ブロックにおける支持基材との当接面(樹脂ブロック側の当接面)に比して同等もしくは小面積であることが好ましい。支持基材側の当接面が、樹脂ブロック側の当接面に比して同等もしくは小面積であれば、樹脂ブロックのスライドに際し、樹脂ブロックに対し支持基材が容易に追従可能となり、また支持基材がスライド面に設けられた間隙に詰まることもない。
なお、長尺状の支持基材上に複数の樹脂ブロックを配置して、支持基材と複数の樹脂ブロックをスライドさせることで、複数の樹脂ブロックを連続的にスライスすることもできる。
<スライス>
ここで、上述したスライス機構を用いて樹脂ブロックをスライスするに際し、支持基材上の樹脂ブロックをスライド面の方向に押圧する際の圧力は、0.05MPa以上であることが好ましく、0.10MPa以上であることがより好ましく、0.20MPa以上であることが特に好ましく、0.50MPa以下であることが好ましく、0.40MPa以下であることがより好ましい。圧力が上記下限値以上であれば、樹脂ブロックをスライスして得られる熱伝導シートの厚み精度を確保することができ、一方、圧力が上記上限値以下であれば、樹脂ブロックが潰れるのを抑制することができる。
なお、樹脂ブロックが上述した積層体である場合は、積層体である樹脂ブロックを、積層方向とは垂直な方向に圧力を負荷しながらスライスすることが好ましい。
更に、樹脂ブロックのスライス速度は、樹脂ブロックをスライスする速度(換言すれば、樹脂ブロックと切断刃とを接触させる際の相対速度であり、「スライス速度」ともいう。)が100mm/秒以上であることが好ましく、300mm/秒以上であることがより好ましく、700mm/秒以上であることが更に好ましく、2,000mm/秒以下であることが好ましく、1,500mm/秒以下であることがより好ましい。スライス速度が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの生産性を高めることができると共に、得られる熱伝導シートの厚み精度および表面平滑性を向上させることができる。また、スライス速度が上記上限値以下であれば、得られる支持基材上の樹脂ブロックの移動を容易に制御することができると共に、スライス時の衝撃によって樹脂ブロックを押してしまうのを防止することができる。
上記スライスの後、支持基材から切り出された部分を剥離することで、熱伝導シートとして回収することができる。剥離する方法は、特に限定されず、既知の剥離方法を用いることができる。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、実施例および比較例において、熱伝導シートの熱伝導率、平均厚み、厚みの標準偏差、熱抵抗値、表面粗さSa、およびカール指数、並びに、支持基材の剛性指数およびタックは、それぞれ以下の方法を使用して測定した。
<熱伝導率>
熱伝導シートについて、厚み方向の熱拡散率α(m/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)および比重ρ(g/m)を、それぞれ、以下の方法で測定した。
[厚み方向の熱拡散率α]
熱拡散率・熱伝導率測定装置(株式会社アイフェイズ製、製品名「アイフェイズ・モバイル 1u」)を使用して、ISO 22007−3の規定に基づき測定した。
[定圧比熱Cp]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下、25℃における比熱を測定した。
[比重ρ(密度)]
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER−H」)を用いて測定した。
そして、各測定値を、下記式(I):
λ=α×Cp×ρ・・・(I)
に代入し、25℃における熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。
<平均厚み>
膜厚計(ミツトヨ製、製品名「デジマチックインジケーター ID−C112XBS」)を用いて、熱伝導シートの略中心点および四隅(四角)の計五点における厚みを測定し、測定した厚みの平均値(μm)を求めた。
<厚みの標準偏差>
膜厚計(ミツトヨ製、製品名「デジマチックインジケーター ID−C112XBS」)を用いて、熱伝導シートの略中心点および四隅(四角)の計五点における厚みを測定し、測定した厚みの標準偏差(μm)を求めた。
<熱抵抗値>
熱伝導シートの熱抵抗値は、熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて測定した。
具体的には、熱伝導シートから1cm角の大きさの略正方形状の試料を切り出し、試料温度50℃において、0.9MPaの圧力を加えた時の熱抵抗値(℃/W)を測定した。熱抵抗値が小さいほど熱伝導シートが熱伝導性に優れ、例えば、発熱体と放熱体との間に介在させた際の放熱特性に優れていることを示す。
<表面粗さSa>
熱伝導シートの表面粗さSaは、三次元形状測定機(株式会社キーエンス製、製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ」)を用いて測定した。
具体的には、熱伝導シートから、1cm角以上の大きさの略正方形状の試料を5枚切り出した。そして、各試料について、解析範囲を1cm×1cmとし、A面(スライスにより新たに生成した面)およびB面(スライス前から存在していた、A面とは反対側に位置する面)の三次元形状を測定した。更に、三次元形状の測定結果に対してソフトウェアでフィルター処理(2.5mm)を行い、うねり成分を取り除くことにより、表面粗さSa(μm)を自動計算し、A面、B面それぞれについて5枚の試料の平均値を熱伝導シートの表面粗さSaとした。
<カール指数>
熱伝導シートを水平な試験台の上に載置し、当該熱伝導シートの上に155mm×155mm、200gの重りを10秒間載せた。重りを除去した後、熱伝導シートのカール高さ(水平な試験台と熱伝導シートの間の最大垂直距離)を、デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製、商品名「ABSインサイドデジマチックキャリパ」)を用いて測定した。得られたカール高さ(mm)を、熱伝導シートの平面視における面積の平方根(mm)で除した値を、カール指数として評価した。尚、1周以上カールしている熱伝導シートは「評価不能」とした。
なお、熱伝導シートの主面が正方形である場合、「熱伝導シートの平面視における面積の平方根(mm)」は、「熱伝導シートの主面の一辺の長さ」として、カール指数を算出することができる。
<剛性指数>
支持基材から、矩形の試験片(幅10mm×長さ200mm)を切り出した。得られた試験片をその長辺方向に引っ張って歪ませる際の応力を、JISK7113に基づき、恒温恒湿槽付き引張試験機(インストロンジャパン社製の5564型デジタル材料試験機)を用いて、温度:23℃、湿度:60±5%RH、チャック間距離:115mm、引張速度:100mm/分の条件で測定した。このような測定を、合計3回行った。そして、測定された応力とその応力に対応した歪みの測定データから、試験片の歪が0.6%〜1.2%の範囲で0.2%毎に測定データ(即ち、歪みが0.6%、0.8%、1.0%および1.2%の時の測定データ)を選択し、この選択された3回分の測定データから試験片の引張弾性率(MPa)を計算した。得られた引張弾性率に、支持基材の平均厚み(μm)を乗じて、剛性指数(MPa・μm)を算出した。
<タック(プローブタック試験)>
支持基材のタックは、プローブタック試験機(レスカ社製、製品名「TAC1000」)を使用して測定した。
まず、基材の略中心箇所に対して、温度:23℃、圧力:0.1MPaの条件で、直径10mmの平らなプローブを10秒間押し付けた。そして、支持基材に押しつけたプローブを引き離す際に要する力(剥離強度、単位は「N」)を測定した。引き離す際に要する力が大きいほど、支持基材の粘着性が大きいことを示す。
(実施例1)
<組成物の調製>
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)70部と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」)30部と、熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)90部とを、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機(大阪ケミカル社製、商品名「ワンダークラッシュミルD3V−10」)に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
<プレ熱伝導シートの形成>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み100μmの保護フィルム(PETフィルム)で挟み、ロール間隙:550μm、ロール温度:90℃、ロール速度:1m/分の条件にて圧延成形し、厚み0.8mmのプレ熱伝導シートを得た。
<積層体の形成>
続いて、得られたプレ熱伝導シートを縦150mm×横150mm×厚み0.8mmに裁断し、プレ熱伝導シートの厚み方向に190枚積層した。そして、温度25℃、圧力0.7MPaで1分間、積層方向にプレスすることにより、高さ約150mmの積層体(樹脂ブロック)を得た。
<熱伝導シートの形成>
上記のようにして得られた積層体と支持基材としてのルミラーS10(東レ株式会社製、PETフィルム、平均厚み:50μm、引張弾性率:90MPa、剛性指数:4,500MPa・μm、タック:0.51N)とを、積層体の側面(積層方向に沿う面)が支持基材と接するように密着させた。
次いで、支持基材が密着した積層体の支持基材側をスライド面に押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層体の積層方向(換言すれば、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線に一致する方向に)にスライスした。スライス後に、積層体から切り出された部分を支持基材から剥離して、縦150mm×横150mm×平均厚み50μmの熱伝導シートを得た。なお、上記スライスは、積層体および支持基材がスライド面を1,000mm/秒の速度でスライドすることにより行われた。また、平均厚み50μmのシートを得るために、切断刃の突出高さ(刃先からスライド面に降ろした垂線の長さ)を90μm(40μm+基材厚み分(50μm))とした。得られた熱伝導シートは、プレ熱伝導シートのスライス片(条片)が並列接合した構成を有していた。
そして、得られた熱伝導シートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
支持基材としてルミラーS10(東レ株式会社製、PETフィルム、平均厚み:16μm、引張弾性率:90MPa、剛性指数:1,440MPa・μm、タック:0.51N)を用いた以外は実施例1と同様にして熱伝導シートを製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
支持基材としてルミラーS10(東レ株式会社製、PETフィルム、平均厚み:25μm、引張弾性率:90MPa、剛性指数:2,250MPa・μm、タック:0.51N)を用いた以外は実施例1と同様にして熱伝導シートを製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
支持基材としてProsaveSQ(株式会社きもと製、PETフィルム、平均厚み:60μm、引張弾性率:87.5MPa、剛性指数:5,250MPa・μm、タック:3.14N)を用いた以外は実施例1と同様にして熱伝導シートを製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
支持基材としてNeoFix10(日栄化工株式会社製、PETフィルム、平均厚み:85μm、引張弾性率:72.5MPa、剛性指数:6,163MPa・μm、タック:5.78N)を用いた以外は実施例1と同様にして熱伝導シートを製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして、積層体を形成した。そして、支持基材を使用せず、且つ切断刃の突出高さを40μmに変更した以外は実施例1と同様にして積層体のスライスを試みた。しかしながら、スライス時の負荷によりシートが破けてしまい、所望のサイズの熱伝導シートを製造することができなかった。
(比較例2)
熱伝導性充填材として膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC100」、体積平均粒子径:190μm)50部を使用した以外は実施例1と同様にして、積層体を形成した。次いで、支持基材を使用せず、且つ切断刃の突出高さを40μmに変更した以外は実施例1と同様にして熱伝導シートを製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
樹脂として常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)100部を使用し、熱伝導性充填材として、膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC100」、体積平均粒子径:190μm)50部を使用した以外は実施例1と同様にして、積層体を形成した。次いで、支持基材を使用せず、且つ切断刃の突出高さを65μmに変更した以外は実施例1と同様にして熱伝導シートを製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
<組成物の調製>
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG−101」)45部と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」)40部と、熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC100」、体積平均粒子径:190μm)85部と、可塑剤としてのセバシン酸エステル(大八化学工業株式会社製、商品名「DOS」)5部を、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機(大阪ケミカル社製、商品名「ワンダークラッシュミルD3V−10」)に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
<プレ熱伝導シートの形成>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み100μmの保護フィルム(PETフィルム)で挟み、ロール間隙350μm、ロール温度90℃、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形し、厚み0.5mmのプレ熱伝導シートを得た。
<熱伝導シートの形成>
続いて、得られたプレ熱伝導シートを縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断した。裁断後のプレ熱伝導シートに対して、精密ホットプレス機(新東工業株式会社製、製品名「CYPT−20」)を用いて、プレス板を50℃に加熱し、2.6MPaの圧力で60秒間加圧(後プレス)を行って、縦150mm×横150mm×平均厚み50μmの熱伝導シートを得た。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021005595
表1より、実施例1〜5では、熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シートが得られていることが分かる。
一方、比較例1では、上述の通り薄膜の熱伝導シートを得ることができなかった。また、比較例2〜4で得られた熱伝導シートは、実施例1〜5に比して熱伝導性に劣ることが分かる。
本発明によれば、熱伝導性に優れる薄膜の熱伝導シート、および当該熱伝導シートを製造し得る新規の熱伝導シートの製造方法を提供することができる。
10 樹脂ブロック
11 プレ熱伝導シート
20 支持台
21 スライド面
30 切断刃
31 すくい面
32 逃げ面
40 間隙
50 支持基材
60 部分(熱伝導シート)

Claims (8)

  1. 樹脂および熱伝導性充填材を含む熱伝導シートであって、
    厚み方向の熱伝導率が15W/m・K以上であり、
    前記熱伝導性充填材の含有割合が30体積%以上であり、そして、
    平均厚みが30μm以上100μm以下である、熱伝導シート。
  2. 厚みの標準偏差が7.0μm以下である、請求項1に記載の熱伝導シート。
  3. 水平な試験台の上に載置された熱伝導シートの上に155mm×155mm、200gの重りを10秒間載せ、当該重りを除去した後の熱伝導シートのカール高さ(mm)を、熱伝導シートの平面視における面積の平方根(mm)で除することによって得られるカール指数が0以上0.30以下である、請求項1または2に記載の熱伝導シート。
  4. 表面粗さSaが両面共に1.0μm以上7.0μm以下である、請求項1〜3の何れかに記載の熱伝導シート。
  5. 樹脂と熱伝導性充填材とを含有する樹脂ブロックを、切断具でスライスして熱伝導シートを得る工程を含む熱伝導シートの製造方法であって、
    前記切断具は、スライド面を有する支持台と、前記スライド面から刃先が突出するように配置された切断刃とを備え、
    前記スライスを、前記樹脂ブロックを支持基材上に配置し且つ前記支持基材が前記スライド面に接した状態で、前記樹脂ブロックおよび前記支持基材を前記スライド面に押圧しながらスライドさせて、前記樹脂ブロックを前記切断刃と接触させることにより行う、熱伝導シートの製造方法。
  6. 前記樹脂ブロックは、前記熱伝導性充填材の含有割合が30体積%以上である、請求項5に記載の熱伝導シートの製造方法。
  7. 前記支持基材は、引張弾性率(MPa)に平均厚み(μm)を乗じて得られる剛性指数が1,300MPa・μm以上10,000MPa・μm以下である、請求項5または6に記載の熱伝導シートの製造方法。
  8. 前記支持基材は、プローブタック試験で測定される前記樹脂ブロックとの当接面のタックが0.30N以上6.00N以下である、請求項5〜7の何れかに記載の熱伝導シートの製造方法。
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