JP2015117253A - 導電性樹脂組成物マスターバッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明によれば、機械特性に極めて優れ、少量添加においても、高い導電特性を持つ導電性樹脂組成物を得ることができる。
【解決手段】
マスターバッチ用熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有させてなる導電性樹脂組成物マスターバッチであって、熱可塑性樹脂のメルトフローレートが50〜200g/10minであり、炭素繊維の含有量が6質量%以上50質量%以下である導電性樹脂組成物マスターバッチ。
【選択図】 なし
本発明によれば、機械特性に極めて優れ、少量添加においても、高い導電特性を持つ導電性樹脂組成物を得ることができる。
【解決手段】
マスターバッチ用熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有させてなる導電性樹脂組成物マスターバッチであって、熱可塑性樹脂のメルトフローレートが50〜200g/10minであり、炭素繊維の含有量が6質量%以上50質量%以下である導電性樹脂組成物マスターバッチ。
【選択図】 なし
Description
本発明は導電性樹脂組成物マスターバッチおよび導電性樹脂組成物に関する。
絶縁性の樹脂成形体に、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの炭素系フィラーや金属粉などの金属系フィラーなどを配合することによって、導電性または熱伝導性を有する樹脂複合材料が得られることが知られている。
特許文献1では、表面導電化の一つの方法として絶縁性の熱可塑性樹脂成形体に導電性のフィラーを練り込んだ後に成形することにより、成形体に表面導電性を付与することが提案されている。
特許文献2〜5では、導電性フィラーとして炭素繊維を用いることが開示されている。
特許文献6〜8では、導電性樹脂組成物および一般的な着色樹脂組成物を作製する際にマスターバッチを経由して作製することが開示されている。
特許文献1の方法によると、必要な表面導電性を付与するために導電性フィラー添加量が多く必要となる。添加量が多くなると生成する樹脂成形体の力学的特性が低下し、強度や伸び、衝撃特性などが低くなったり、表面外観が悪くなる。
特許文献2〜5に記載のように、炭素繊維を使用した場合はその高いアスペクト比の為に、上述のカーボンブラックなどの粒子状のフィラーを用いる場合と比較して、低添加量で導電性が発現する。一般に、フィラーの添加量が少ないと、マトリクス樹脂と比較した特性の低下は見られにくい。しかしながら、実際には炭素繊維をマトリクス樹脂中で均一に分散させることは困難であり、結果的には分散不良や成形不良の問題を生じやすい。
特許文献6に記載のように、マスターバッチを経由して導電性樹脂組成物を得る場合は、炭素繊維の飛散の問題が解消されるなどハンドリング性が向上する。
特許文献7〜8に記載のように、一般的にフィラーを含有してマスターバッチを製造する場合は、希釈する熱可塑性樹脂の強度などの物性値を低下させることを回避するために極めて流動性に富む樹脂をマスターバッチの原料樹脂として使用しない。
したがって、機械特性に優れ、高い導電特性を持つ導電性樹脂組成物を提供することが求められていた。
本発明は、以下の各態様を含む。
(1)マスターバッチ用熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有させてなる導電性樹脂組成物マスターバッチであって、熱可塑性樹脂のメルトフローレートが50〜200g/10minであり、炭素繊維の含有量が6質量%以上50質量%以下である導電性樹脂組成物マスターバッチ。
(2)炭素繊維がカーボンナノチューブである(1)に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチ。
(3)前記熱可塑性樹脂がABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、HIPS樹脂、MBS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチ。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチを希釈用熱可塑性樹脂で希釈してなる導電性樹脂組成物であって、導電性樹脂組成物中の炭素繊維含有量が0.5質量%以上6質量%未満である導電性樹脂組成物。
(5)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチを、2軸押出機を用いて希釈する導電性樹脂組成物の製造方法。
(6)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチと希釈用熱可塑性樹脂を、ドライブレンドし、射出成形する導電性樹脂成形体の製造方法。
(7)前記希釈用熱可塑性樹脂に対するアイゾッド衝撃強度の低下率が60%以下であり、表面抵抗値が15logΩ/cm2以下である(4)に記載の導電性樹脂組成物。
(8)メルトフローレートが50〜200g/10minの熱可塑性樹脂に6質量%以上50質量%以下になるように炭素繊維を含有させる導電性樹脂組成物マスターバッチの製造方法。
(9)炭素繊維がカーボンナノチューブである(8)に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチの製造方法。
(10)(4)に記載の導電性樹脂組成物を含有する樹脂成形体に、電荷を有する塗料を吹き付けて塗膜を形成してなる車両用部品。
(1)マスターバッチ用熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有させてなる導電性樹脂組成物マスターバッチであって、熱可塑性樹脂のメルトフローレートが50〜200g/10minであり、炭素繊維の含有量が6質量%以上50質量%以下である導電性樹脂組成物マスターバッチ。
(2)炭素繊維がカーボンナノチューブである(1)に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチ。
(3)前記熱可塑性樹脂がABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、HIPS樹脂、MBS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチ。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチを希釈用熱可塑性樹脂で希釈してなる導電性樹脂組成物であって、導電性樹脂組成物中の炭素繊維含有量が0.5質量%以上6質量%未満である導電性樹脂組成物。
(5)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチを、2軸押出機を用いて希釈する導電性樹脂組成物の製造方法。
(6)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチと希釈用熱可塑性樹脂を、ドライブレンドし、射出成形する導電性樹脂成形体の製造方法。
(7)前記希釈用熱可塑性樹脂に対するアイゾッド衝撃強度の低下率が60%以下であり、表面抵抗値が15logΩ/cm2以下である(4)に記載の導電性樹脂組成物。
(8)メルトフローレートが50〜200g/10minの熱可塑性樹脂に6質量%以上50質量%以下になるように炭素繊維を含有させる導電性樹脂組成物マスターバッチの製造方法。
(9)炭素繊維がカーボンナノチューブである(8)に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチの製造方法。
(10)(4)に記載の導電性樹脂組成物を含有する樹脂成形体に、電荷を有する塗料を吹き付けて塗膜を形成してなる車両用部品。
本発明によれば、機械特性に極めて優れ、高い導電特性を持つ導電性樹脂組成物を得ることができる。
以下本発明について詳細に説明する。
「熱可塑性樹脂」
一般的に、熱可塑性樹脂の粘度はメルトフローレートによって規定されている。本発明におけるマスターバッチ用熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、50〜200g/10minであることが好ましく、さらに好ましくは70〜190g/10minであり、特に好ましくは90〜180g/10minである。メルトフローレートが50g/10min未満ではマスターバッチ樹脂組成物と希釈樹脂との混練が不良となり、結果として希釈後の樹脂組成物中の炭素繊維の分散状態が不均一となり、最終的に製造される樹脂組成物の機械特性が低下する。一方、メルトフローレートが200g/10min以上では、マスターバッチ樹脂組成物自体の作製が困難である。
「熱可塑性樹脂」
一般的に、熱可塑性樹脂の粘度はメルトフローレートによって規定されている。本発明におけるマスターバッチ用熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、50〜200g/10minであることが好ましく、さらに好ましくは70〜190g/10minであり、特に好ましくは90〜180g/10minである。メルトフローレートが50g/10min未満ではマスターバッチ樹脂組成物と希釈樹脂との混練が不良となり、結果として希釈後の樹脂組成物中の炭素繊維の分散状態が不均一となり、最終的に製造される樹脂組成物の機械特性が低下する。一方、メルトフローレートが200g/10min以上では、マスターバッチ樹脂組成物自体の作製が困難である。
本発明で用いる熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない。マスターバッチに使用する熱可塑性樹脂と希釈用熱可塑性樹脂が、同一あるいは相溶性がある方が希釈混合時の分散性の観点でより好ましい。
具体的な熱可塑性樹脂の一例を挙げると、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体等のスチレン系(共)重合体;ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、HIPS樹脂等のゴム強化樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等の、炭素数2〜10のα−オレフィンの少なくとも1種からなるα―オレフィン(共)重合体並びにその変性重合体(塩素化ポリエチレン等)、環状オレフィン(たとえばノルボルネン)共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリアクリル酸等のアイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体のアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6、6ポリアミド612等のポリアミド系樹脂(PA):ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂:ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアリレート樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂:液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド樹脂:ポリエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド:ポリビニルアルコール:ポリビニルエーテル:ポリビニルブチラート;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等があげられる。
これらのうち、熱可塑性樹脂がABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、HIPS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド(PA)が好ましい。これらは、1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、耐衝撃性向上のために、本発明における熱可塑性樹脂組成物はその他のエラストマー成分を含有してもよい。衝撃性改良のために使用されるエラストマーとしては、EPRやEPDMのようなオレフィン系エラストマー、スチレンとブタジエンの共重合体から成るSBR等のスチレン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、エステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、天然ゴムおよびそれらのエラストマーに反応部位(二重結合、カルボン酸無水物基等)を導入した変性物のようなものが使用できる。
「炭素繊維」
導電性樹脂組成物に含有される炭素繊維は限定されないが、たとえば、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等が使用可能である。添加量を少なくするという観点からは、カーボンナノチューブを使用することが好ましい。好ましい態様のカーボンナノチューブは、繊維の中心部に空洞を有するチューブ状であり、グラフェン面が繊維軸に対して略平行に伸長している。なお、本発明において、略平行とは、繊維軸に対するグラフェン層の傾きが約±15度以内のことをいう。空洞部分は繊維長手方向に連続していてもよいし、不連続になっていてもよい。
導電性樹脂組成物に含有される炭素繊維は限定されないが、たとえば、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等が使用可能である。添加量を少なくするという観点からは、カーボンナノチューブを使用することが好ましい。好ましい態様のカーボンナノチューブは、繊維の中心部に空洞を有するチューブ状であり、グラフェン面が繊維軸に対して略平行に伸長している。なお、本発明において、略平行とは、繊維軸に対するグラフェン層の傾きが約±15度以内のことをいう。空洞部分は繊維長手方向に連続していてもよいし、不連続になっていてもよい。
炭素繊維の繊維径は、特に限定されないが、繊維径が細い方がより導電性付与効果が高いので、好ましくは1nm以上150nm以下、より好ましくは1nm以上50nm以下、特に好ましくは1nm以上20nm以下である。細すぎると分散性が悪くなるので2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましい。したがって、分散性と導電性付与効果を考慮した場合は2〜20nmが好ましく、4〜20nmが最も好ましい。
炭素繊維がカーボンナノチューブのように内部が空洞になっている場合は、繊維径dと空洞部内径d0との比(d0/d)は特に限定されないが、0.1〜0.9が好ましく、0.3〜0.9がさらに好ましい。
また、BET法による比表面積の下限は、好ましくは20m2/g、より好ましくは30m2/g、さらに好ましくは40m2/g、特に好ましくは50m2/gである。比表面積の上限は、特段無いが、好ましくは400m2/g、より好ましくは350m2/gである。さらに好ましくは300m2/gである。
炭素繊維の表面結晶構造を評価するためには、様々な手法が提案されているが、例えば、ラマン分光法を用いる方法がある。ラマン分光法で1580cm−1付近に観測されるGバンドと1350cm−1付近に観測されるDバンドとの比(R値)で評価する方法が知られている。
本発明の好ましい実施態様における炭素繊維は、上述のR値では0.1以上が好ましく、0.2〜2.0が好ましく、0.5〜1.5が最適である。
また、本発明の好ましい実施態様における炭素繊維の圧密比抵抗値は、密度1.0cm3において、1.0×10-2Ω・cm以下が好ましく、1.0×10-3Ω・cm〜9.9×10-3Ω・cmが好ましい。
炭素繊維の繊維長についても、特に限定されないが、繊維長が短すぎると、導電性の付与効果が小さくなる傾向があり、繊維長が長すぎるとマトリクス樹脂中への分散性が困難になる傾向がある。したがって、好ましい繊維の長さは、その繊維の太さにもよるが、通常は0.5μm〜100μm、好ましくは0.5μm〜10μm、更に好ましくは0.5μm〜5μmである。
炭素繊維自体は直線的であっても、くねくねと湾曲していても良い。ただし、くねくねと湾曲した繊維は樹脂との密着性に優れ、直線状の繊維と比較して界面強度が高くなるので樹脂複合材に添加した時の機械特性の低下が抑えられる点で、より好ましい。さらに、このくねくねした構造の為に、樹脂中に少量分散した場合でも、繊維同士のネットワークが途切れない一因となっており、従来技術のような直線に近い繊維では導電性が発現しないような低添加量領域においても導電性が発現される点で、より好ましい。
本発明において炭素繊維の嵩密度は0.03〜0.3g/cm3であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3g/cm3であり、特に好ましく0.07〜0.3g/cm3である。嵩密度が0.03g/cm3未満では実質的に凝集体を成しておらず、マスターバッチ作製の段階で容易に分散するものの、2次混練でのせん断時には繊維が破断してしまい、所望の特性を得るための条件調整をする余地がなくなってしまうことがある。一方、嵩密度が0.3g/cm3以上ではその凝集の程度が極めて強固であり、一般的な混練手法によって分散させることが困難になることがある。
嵩密度の測定方法は、たとえばJIS Z−2512(金属粉-タップ密度測定方法)を採用することが可能である。
2次凝集体のサイズは、長手方向の大きさが1μm〜5mmであることが好ましく、さらに好ましくは5μm〜3mm、特に好ましくは10μm〜1mmである。5mm以上ではハンドリング時の飛散が顕著であり生産性が低下することがある。また、1μm以下では凝集体中に占める炭素繊維の割合が極めて少なく、フィラーとしての所望の添加効果を得るのが難しくなることがある。
「炭素繊維の製造方法」
炭素繊維の製造方法は特に限定されないが、たとえば特開2008−174442号公報に開示されている方法が採用可能である。
炭素繊維の製造方法は特に限定されないが、たとえば特開2008−174442号公報に開示されている方法が採用可能である。
「導電性樹脂組成物マスターバッチ」
上記のような炭素繊維をマスターバッチ用熱可塑性樹脂に配合、混練してマスターバッチを調製することができる。本発明における、マスターバッチ中の炭素繊維の含有量は、樹脂組成物中6質量%以上50質量以下が好ましく、より好ましくは7質量%以上30質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以上25質量%以下である。ただし、一般的なマスターバッチ作製に基づいて、可能な限り炭素繊維を高濃度化すると、本発明における効果が乏しくなる。一方、添加量が50質量%を超えるとマスターバッチ作製自体が困難になる。
上記のような炭素繊維をマスターバッチ用熱可塑性樹脂に配合、混練してマスターバッチを調製することができる。本発明における、マスターバッチ中の炭素繊維の含有量は、樹脂組成物中6質量%以上50質量以下が好ましく、より好ましくは7質量%以上30質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以上25質量%以下である。ただし、一般的なマスターバッチ作製に基づいて、可能な限り炭素繊維を高濃度化すると、本発明における効果が乏しくなる。一方、添加量が50質量%を超えるとマスターバッチ作製自体が困難になる。
希釈用熱可塑性樹脂によるマスターバッチ希釈後の導電性樹脂組成物中の炭素繊維の含有量は、0.5質量%以上6質量%未満が好ましく、さらに好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。添加量が0.5質量%未満であると、樹脂成形体中に十分な導電性、熱伝導性の経路を作ることが難しい。
「混練方法」
炭素繊維を熱可塑性樹脂に混練分散させる際には、炭素繊維の破断を極力抑えるように行うことが好ましい。具体的には、炭素繊維の破断率を20%以下に抑えることが好ましく、15%以下に抑えることが更に好ましく、10%以下に抑えることが特に好ましい。破断率は、混合・混練の前後での炭素繊維のアスペクト比(例えば、電子顕微鏡SEM観察により測定)を比較することにより評価する。
炭素繊維を熱可塑性樹脂に混練分散させる際には、炭素繊維の破断を極力抑えるように行うことが好ましい。具体的には、炭素繊維の破断率を20%以下に抑えることが好ましく、15%以下に抑えることが更に好ましく、10%以下に抑えることが特に好ましい。破断率は、混合・混練の前後での炭素繊維のアスペクト比(例えば、電子顕微鏡SEM観察により測定)を比較することにより評価する。
一般に、熱可塑性樹脂に無機フィラーを溶融混練する場合、凝集したフィラーに高せん断を加え、フィラーを解砕し、微細化して、溶融樹脂中へフィラーを均一に分散させる。混練時のせん断が弱いと、フィラーが十分に溶融樹脂中に分散せず、期待する性能や機能を持つ樹脂複合材料が得られない。高せん断力を発生させる混練機としては、石臼機構を利用したものや、同方向2軸押出機でスクリューエレメント中に高せん断のかかるニーディングディスクを導入したものが数多く使用されている。しかしながら炭素繊維を樹脂に混練する場合、余りに過剰な高せん断を樹脂や炭素繊維に印加すると、炭素繊維の破断が過剰に進むため、期待する性能や機能を持つ樹脂複合材料が得られない。一方、せん断力の弱い単軸押出機の場合は、炭素繊維の破断は抑えられるが、炭素繊維の分散が均一にならない。
したがって、炭素繊維の破断を抑えながら、均一な分散をはかるためには、ニーディングディスクを使用しない2軸押出機でせん断を低減して、もしくは加圧ニーダーのような高せん断がかからない装置で、時間を掛けて混練するか、または単軸押出機において特殊なミキシングエレメントを使用して混練することが望ましい。
なお、マスターバッチを希釈用熱可塑性樹脂で希釈する際の混練条件においても、炭素繊維の破断を抑えながら、均一な分散をはかることが好ましい。このためには、ニーディングディスクを使用しない2軸押出機でせん断を低減して、もしくは加圧ニーダーのような高せん断がかからない装置で、時間を掛けて混練するか、または単軸押出機において特殊なミキシングエレメントを使用して混練する、あるいは射出成形機でドライブレンドすることが望ましい。
「成形方法」
これらの組成物から成形品を製造する際には、従来から知られている樹脂の成形法によることができる。成形法としては、例えば、射出成形法、中空成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、トランスファー成形法などが挙げられる。
これらの組成物から成形品を製造する際には、従来から知られている樹脂の成形法によることができる。成形法としては、例えば、射出成形法、中空成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、トランスファー成形法などが挙げられる。
「用途」
本発明の導電性樹脂組成物は、耐衝撃性と共に、導電性や帯電防止性が要求される製品、例えばOA機器、電子機器、導電性包装用部品、導電性摺動用部材、導電性熱伝導性部材、帯電防止性包装用部品、静電塗装が適用される車両用部品などの成形材料として好適に使用できる。特に、静電塗装の分野ではコスト面および材料の物性の観点で、導電性フィラーの添加量を低減する要求が高く、かつ高強度の導電性樹脂成形体が求められることから、本発明の樹脂組成物が好適である。
本発明の導電性樹脂組成物は、耐衝撃性と共に、導電性や帯電防止性が要求される製品、例えばOA機器、電子機器、導電性包装用部品、導電性摺動用部材、導電性熱伝導性部材、帯電防止性包装用部品、静電塗装が適用される車両用部品などの成形材料として好適に使用できる。特に、静電塗装の分野ではコスト面および材料の物性の観点で、導電性フィラーの添加量を低減する要求が高く、かつ高強度の導電性樹脂成形体が求められることから、本発明の樹脂組成物が好適である。
本発明における樹脂組成物の機械強度が極めて高い理由については、以下のように推定している。
従来技術においては、フィラー自体の分散性は比較的良好であるために、「(A)マスターバッチ樹脂組成物と希釈樹脂との溶融粘度差」および「(B)マスターバッチ原料樹脂の機械強度」のバランスによって希釈後の樹脂組成物の機械強度が決まる。図2に溶融粘度のひとつの指標であるマスターバッチ原料樹脂の流動性(MFR)と希釈後の組成物の衝撃強度の関係を模式図化したが、低流動の樹脂をマスターバッチの原料樹脂とした場合は、原料樹脂の機械強度は高いものの、フィラーの含有によりマスターバッチの溶融粘度が上昇するために、結果としてマスターバッチと希釈樹脂との粘度差が大きくなって樹脂同士の混合が不良となり機械強度は低くなる。一方、超高流動の樹脂をマスターバッチの原料樹脂とした場合は、フィラーを含有したマスターバッチと希釈樹脂との粘度差が小さくなるので、樹脂同士の混合は良好になるものの、マスターバッチ用原料樹脂として使用した超高流動樹脂の機械強度が低いために、最終的な樹脂組成物の機械強度は低くなる。したがって、一般的なフィラーを添加した従来技術においては、流動性と機械強度のバランスのとれた原料樹脂が最適となる。
しかしながら、炭素繊維をフィラーとする場合、一般的なフィラーとは異なる挙動が起こっていると推定される。炭素繊維をフィラーとする場合には、「(A)マスターバッチ樹脂組成物と希釈樹脂との溶融粘度差」による混合不良は、樹脂同士の混合不良と合わせて炭素繊維の希釈樹脂への分散を妨げることになり、未分散の炭素繊維が衝撃時の破壊起点となるなど機械強度を大きく損なう結果となる。すなわち、「(B)マスターバッチ原料樹脂の機械強度の高低」よりも「(A)マスターバッチ樹脂組成物と希釈樹脂との溶融粘度差」の方が大きく機械強度に寄与することが推定される。
ゆえに、超高流動樹脂をマスターバッチ用原料樹脂として用いる方が、最終的な導電性樹脂組成物の機械強度の向上に繋がり、従来とは違う結果をもたらすものと推定される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものではない。
「使用成分」
使用成分の内訳は以下の通りである。
(A)ABS樹脂−1(日本エーアンドエル株式会社製 クララスチック(登録商標)SXD-220、メルトフローレート90g/10min.(220℃、10kgf荷重))、アイゾッド衝撃強度90J/m(ASTM D256)
(B)ABS樹脂−2(東レ株式会社製 トヨラック(登録商標)100−MPM−B1、メルトフローレート15g/10min.(220℃、10kgf荷重)、アイゾッド衝撃強度210J/m(ASTM D256)
(C)ABS樹脂−3(東レ株式会社製 トヨラック(登録商標)300、メルトフローレート10g/10min.(220℃、10kgf荷重))、アイゾッド衝撃強度330J/m(ASTM D256)
(D)炭素繊維−1
使用成分の内訳は以下の通りである。
(A)ABS樹脂−1(日本エーアンドエル株式会社製 クララスチック(登録商標)SXD-220、メルトフローレート90g/10min.(220℃、10kgf荷重))、アイゾッド衝撃強度90J/m(ASTM D256)
(B)ABS樹脂−2(東レ株式会社製 トヨラック(登録商標)100−MPM−B1、メルトフローレート15g/10min.(220℃、10kgf荷重)、アイゾッド衝撃強度210J/m(ASTM D256)
(C)ABS樹脂−3(東レ株式会社製 トヨラック(登録商標)300、メルトフローレート10g/10min.(220℃、10kgf荷重))、アイゾッド衝撃強度330J/m(ASTM D256)
(D)炭素繊維−1
炭素繊維は、次のようにして作製した。硝酸鉄(III)九水和物1.81質量部をメタノール0.95質量部に添加し溶解させ、次いでチタン(IV)テトラブトキシド・テトラマー0.109質量部および七モリブデン酸六アンモニウム0.079質量部を添加し溶解させて、溶液Aを得た。該溶液Aを中間アルミナ(住友化学製;AKP−G015)1質量部に滴下、混合した。混合後、100℃で4時間真空乾燥した。乾燥後、乳鉢で粉砕して触媒を得た。該触媒は、Feに対してMo10モル%、Ti10モル%を含み、中間アルミナに対してFeが25質量%担持されていた。
当該触媒を石英ボートに載せ、石英製反応管に該石英ボートを入れ、密閉した。反応管内を窒素ガスで置換し、窒素ガスを流しながら、反応器を室温から690℃まで60分間かけて昇温させた。窒素を流しながら690℃で30分間保持した。
温度690℃を維持したまま、窒素ガスを、窒素ガス(100容量部)と水素ガス(4
00容量部)との混合ガスAに切り替えて反応器に流し、30分間、還元反応させた。還
元反応後、温度690℃を維持したまま、混合ガスAを、水素ガス(250容量部)とエ
チレンガス(250容量部)との混合ガスBに切り替え反応器に流し、60分間、気相成
長反応させた。混合ガスBを窒素ガスに切り替え、反応器内を窒素ガスで置換し、室温ま
で冷やした。反応器を開き石英ボートを取り出した。触媒を核として成長した炭素繊維が
得られた。当該炭素繊維の繊維径は15nm、BET法による比表面積は260m2/g、R値は1.1、密度1.0cm3における圧密比抵抗値は、1.2×10-3Ω・cm、嵩密度は0.08g/cm3であった。
00容量部)との混合ガスAに切り替えて反応器に流し、30分間、還元反応させた。還
元反応後、温度690℃を維持したまま、混合ガスAを、水素ガス(250容量部)とエ
チレンガス(250容量部)との混合ガスBに切り替え反応器に流し、60分間、気相成
長反応させた。混合ガスBを窒素ガスに切り替え、反応器内を窒素ガスで置換し、室温ま
で冷やした。反応器を開き石英ボートを取り出した。触媒を核として成長した炭素繊維が
得られた。当該炭素繊維の繊維径は15nm、BET法による比表面積は260m2/g、R値は1.1、密度1.0cm3における圧密比抵抗値は、1.2×10-3Ω・cm、嵩密度は0.08g/cm3であった。
「メルトフローレート測定方法」
メルトフローレートは、ISO1133に準拠して、試験温度220℃、試験荷重10kgfにて測定を実施した。
メルトフローレートは、ISO1133に準拠して、試験温度220℃、試験荷重10kgfにて測定を実施した。
「表面抵抗測定方法」
導電性樹脂組成物の表面抵抗は次のようにして測定した。JIS K6911に準拠して、成形平板(100mm×100mm×3mm厚)を用いて2重リング電極法にて測定した。測定方法としては、デジタル超高抵抗計(R8340A/12702A、株式会社エーディーシー製)にて加電圧100Vを電極間に印加し、1分後の抵抗値を測定した。
導電性樹脂組成物の表面抵抗は次のようにして測定した。JIS K6911に準拠して、成形平板(100mm×100mm×3mm厚)を用いて2重リング電極法にて測定した。測定方法としては、デジタル超高抵抗計(R8340A/12702A、株式会社エーディーシー製)にて加電圧100Vを電極間に印加し、1分後の抵抗値を測定した。
[体積固有抵抗測定法]
体積固有抵抗値は次のようにして測定した。成形品より試験片を短冊状(50mm×10mm×3mm厚)に切り出し、長手方向の断面に導電テープを張り切断面間の電気抵抗値を測定した。測定方法としては、デジタル式絶縁抵抗機(MY40、YOKOGAWA社製)にて加電圧500Vにて該両端面間の抵抗値を測定し、次式により体積抵抗値を算出した。
体積抵抗値[Ω・cm]=抵抗値[Ω]×断面積[cm2]/試験片長さ[cm]
具体的には実施例1、2および比較例1、2、3において実施した。
体積固有抵抗値は次のようにして測定した。成形品より試験片を短冊状(50mm×10mm×3mm厚)に切り出し、長手方向の断面に導電テープを張り切断面間の電気抵抗値を測定した。測定方法としては、デジタル式絶縁抵抗機(MY40、YOKOGAWA社製)にて加電圧500Vにて該両端面間の抵抗値を測定し、次式により体積抵抗値を算出した。
体積抵抗値[Ω・cm]=抵抗値[Ω]×断面積[cm2]/試験片長さ[cm]
具体的には実施例1、2および比較例1、2、3において実施した。
「IZOD衝撃値測定方法」
物性評価には、IZOD衝撃試験(ASTMD256、ノッチ付)片を作製し評価した。具体的には実施例1、2および比較例1、2、3において実施した。また、次式によりIzod衝撃強度低下率α(%)を算出した。
α(%)={希釈樹脂Izod衝撃強度(J/m)−希釈後の導電性樹脂組成物Izod衝撃強度(J/m)}/希釈樹脂Izod衝撃強度(J/m)×100
物性評価には、IZOD衝撃試験(ASTMD256、ノッチ付)片を作製し評価した。具体的には実施例1、2および比較例1、2、3において実施した。また、次式によりIzod衝撃強度低下率α(%)を算出した。
α(%)={希釈樹脂Izod衝撃強度(J/m)−希釈後の導電性樹脂組成物Izod衝撃強度(J/m)}/希釈樹脂Izod衝撃強度(J/m)×100
本実施例及び比較例において、希釈樹脂はABS樹脂(B)である。なお、比較例3において、希釈後の導電性樹脂組成物Izod衝撃強度(J/m)は混練後の導電性樹脂組成物Izod衝撃強度(J/m)に置き換えて算出した。
(実施例1)
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(A)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチは、同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂マスターバッチとABS樹脂(B)を投入し希釈混練を行い、ペレタイザで切断しペレット状に加工した。混練後の組成物の炭素繊維の含有率は1.5質量%となるように希釈用のABS樹脂(B)の組成比を調整した。得られたペレットから射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表1に示す。IZOD衝撃値は130J/mと高い値が得られた(実施例1)。
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(A)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチは、同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂マスターバッチとABS樹脂(B)を投入し希釈混練を行い、ペレタイザで切断しペレット状に加工した。混練後の組成物の炭素繊維の含有率は1.5質量%となるように希釈用のABS樹脂(B)の組成比を調整した。得られたペレットから射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表1に示す。IZOD衝撃値は130J/mと高い値が得られた(実施例1)。
(実施例2)
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(A)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチとABS樹脂(B)をブレンド後の炭素繊維の含有率が1.5質量%となるようにポリエチレンの袋の中でペレットブレンドし、射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し(ドライブレンド射出成形)、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表1に示す(実施例2)。IZOD衝撃値は90J/mが得られた。
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(A)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチとABS樹脂(B)をブレンド後の炭素繊維の含有率が1.5質量%となるようにポリエチレンの袋の中でペレットブレンドし、射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し(ドライブレンド射出成形)、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表1に示す(実施例2)。IZOD衝撃値は90J/mが得られた。
(比較例1)
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(B)、(C)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチは、同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂マスターバッチとABS樹脂(B)を投入し希釈混練を行い、ペレタイザで切断しペレット状に加工した。混練後の組成物の炭素繊維の含有率は1.5質量%となるように希釈用のABS樹脂(B)の組成比を調整した。得られたペレットから射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表2に示す。
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(B)、(C)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチは、同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂マスターバッチとABS樹脂(B)を投入し希釈混練を行い、ペレタイザで切断しペレット状に加工した。混練後の組成物の炭素繊維の含有率は1.5質量%となるように希釈用のABS樹脂(B)の組成比を調整した。得られたペレットから射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(B)、(C)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチとABS樹脂(B)をブレンド後の炭素繊維の含有率は1.5質量%となるようにポリエチレンの袋の中でペレットブレンドし、射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し(ドライブレンド射出成形)、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表2に示す。
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(B)、(C)88質量%と炭素繊維(D)12質量%を投入し、混練されたマスターバッチ樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたマスターバッチとABS樹脂(B)をブレンド後の炭素繊維の含有率は1.5質量%となるようにポリエチレンの袋の中でペレットブレンドし、射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し(ドライブレンド射出成形)、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(B)98.5質量%と炭素繊維(D)1.5質量%を投入し、混練された樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたペレットから射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表2に示す(比較例3)。IZOD衝撃値は70J/mと低く、表面および体積抵抗値は実施例1と同等レベルであった。
同方向2軸押出機(KZW15TW、株式会社テクノベル製)の主フィード口からABS樹脂(B)98.5質量%と炭素繊維(D)1.5質量%を投入し、混練された樹脂組成物はペレタイザで切断しペレット状に加工した。得られたペレットから射出成形機(FUNAC製S−2000i100B)を用いて、平板試験片およびIZOD試験片を作製し、表面抵抗値、体積抵抗値、IZOD衝撃値を測定した。評価結果を表2に示す(比較例3)。IZOD衝撃値は70J/mと低く、表面および体積抵抗値は実施例1と同等レベルであった。
以上より、従来技術とは異なり、極めて流動性に富む樹脂をマスターバッチの原料樹脂とすることで、従来技術では到達できなかった高い機械特性、高い導電特性を持つ導電性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (10)
- マスターバッチ用熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有させてなる導電性樹脂組成物マスターバッチであって、熱可塑性樹脂のメルトフローレートが50〜200g/10minであり、炭素繊維の含有量が6質量%以上50質量%以下である導電性樹脂組成物マスターバッチ。
- 炭素繊維がカーボンナノチューブである請求項1に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチ。
- 前記熱可塑性樹脂がABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、HIPS樹脂、MBS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチ。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチを希釈用熱可塑性樹脂で希釈してなる導電性樹脂組成物であって、導電性樹脂組成物中の炭素繊維含有量が0.5質量%以上6質量%未満である導電性樹脂組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチを、2軸押出機を用いて希釈する導電性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチと希釈用熱可塑性樹脂を、ドライブレンドし、射出成形する導電性樹脂成形体の製造方法。
- 前記希釈用熱可塑性樹脂に対するアイゾッド衝撃強度の低下率が60%以下であり、表面抵抗値が15logΩ/cm2以下である請求項4に記載の導電性樹脂組成物。
- メルトフローレートが50〜200g/10minの熱可塑性樹脂に6質量%以上50質量%以下になるように炭素繊維を含有させる導電性樹脂組成物マスターバッチの製造方法。
- 炭素繊維がカーボンナノチューブである請求項8に記載の導電性樹脂組成物マスターバッチの製造方法。
- 請求項4に記載の導電性樹脂組成物を含有する樹脂成形体に、電荷を有する塗料を吹き付けて塗膜を形成してなる車両用部品。
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