JP6977388B2 - 部材の係留の構造 - Google Patents

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Description

本発明は、第一の部材に対して第二の部材を両者を対向させた状態で係留する構造に関する。
複数枚の紙葉類を綴じておくことのできるファイルの一種として、下記特許文献に開示されているような、比較的薄型のファイルが公知である。このファイルにおける綴じ具(綴じ部材5)は、ベース部(取付板11)と、ベース部に対して相対的に回動可能であるようにヒンジを介して連結された押さえ部(押さえ板8)と、ベース部と押さえ部との間にあってそれら双方に連接する綴じ桿(綴じ体10)とを備える。綴じ桿は、ベース部から突出する棒状体(雌雄体10a)と、押さえ部から突出する筒状体(雌雄体10b)との組からなり、押さえ部をベース部に対向させる過程で棒状体の先端部が筒状体に挿入されて両者が嵌合する。
また、このファイルの表紙体(収納体1)の中央部位には、当該表紙体を貫通する窓(操作孔4)が開設されている。綴じ具の押さえ部は、この窓を通じて裏表紙の外表面側に回り込み、当該裏表紙の外表面に接合する。具体的には、押さえ部の周縁部に係止爪(11a)が形成され、裏表紙の内側縁部に貫通した係止孔(11b)が形成されており、前者の係止爪を後者の係止孔に挿入して係止することで、押さえ部を裏表紙に装着している。
上述のファイルにあって、その綴じ具を使用して紙葉類を綴じる際には、予め紙葉類に穿ってある綴じ孔にベース部の棒状体を挿通するようにして紙葉類を配置し、その後押さえ部を回動操作してベース部に対向する姿勢とし、かつ筒状体に棒状体の先端部を圧入する。結果、ベース部と押さえ部との間に紙葉類が綴じ止められる。
しかしながら、綴じ桿を構成する棒状体と筒状体とは、単に凹凸嵌合するのみである。従って、綴じ具に大きな外力が作用したときに、棒状体が筒状体から不意に脱離して押さえ部のベース部に対する係留が解除され、綴じていた紙葉類を脱落させてしまう懸念が残る。
実用新案登録第3150897号公報
本発明は、第一の部材に対して第二の部材を両者を対向させた状態で係留するものにおいて、第二の部材の第一の部材からの意図せざる脱離を抑止することを所期の目的とする。
本発明では、第一の部材に対して第二の部材を両者を対向させた状態で係留する構造であって、所定方向に沿って拡張する前記第二の部材の拡張方向に沿った外側部に、前記第一の部材に向けて突出するとともに前記拡張方向の外側に向けて張り出した突起を有している係合体が設けられ、同第二の部材の拡張方向に沿った中間部に、当該第二の部材を第一の部材に接近させまたは第一の部材から離反させる操作力を受ける被操作部が設けられている一方、前記第一の部材における、前記第二の部材に設けられた係合体と隣接する部位に、第二の部材に向けて突出するとともに前記拡張方向の内側に向けて張り出した、第二の部材の係合体の突起と係合する突起を有している被係合体が設けられており、一個の前記被係合体に係合する前記係合体が単一で、その一個の係合体について一つのみ、前記拡張方向の外側のみに向けて張り出した突起を有し、及び/または、一個の前記被係合体に係合する前記係合体が単一で、一個の被係合体について一つのみ、前記拡張方向の内側のみに向けて張り出した突起を有している、部材の係留の構造を構成した。
前記第二の部材が、前記第一の部材に対して相対的に、前記拡張方向に略平行な軸回りに回動可能であるように、ヒンジを介して第一の部材に連結されている場合には、前記係合体及び前記被係合体の各々の突起の張り出す方向が、前記拡張方向に対して非平行に傾いていることが好ましい。とりわけ、前記係合体の突起の張り出す方向が、前記拡張方向に対して非平行に、かつ同拡張方向の外側に向かうにつれて徐々に前記軸に近づくように傾いており、前記被係合体の突起の張り出す方向が、これに係合する前記係合体の突起の張り出す方向と略反対になっていることが好適である。
前記第二の部材が、前記第一の部材に対して相対的に、前記拡張方向に略平行な軸回りに回動可能であるように、ヒンジを介して第一の部材に連結されている場合には、前記係合体の突起の張り出す方向が、前記拡張方向に対して非平行に、かつ同拡張方向の外側に向かうにつれて徐々に前記軸に近づくように傾いており、前記被係合体の突起の張り出す方向が、これに係合する前記係合体の突起の張り出す方向と略反対になっているものとすることが好ましい。
本発明に係る部材の係留の構造は、紙葉類を綴じ止めるための綴じ具に適用することが可能である。その際には、前記第一の部材が前記綴じ具の要素であるベース部を構成し、前記第二の部材が前記綴じ具の要素であり前記ベース部との間に紙葉類を綴じる押さえ部を構成する。
本発明によれば、第一の部材に対して第二の部材を両者を対向させた状態で係留するものにおいて、第二の部材の第一の部材からの意図せざる脱離を抑止することができる。
本発明の一実施形態の綴じ具を具備するファイルを開いた状態を示す斜視図。 同実施形態のファイルを閉じた状態を示す斜視図。 同実施形態のファイルを開いた状態を示す平面図。 同実施形態のファイルの表紙体の平面図。 同実施形態のファイルの綴じ具の斜視図。 同実施形態のファイルの綴じ具の平面図。 同実施形態のファイルを閉じた状態を示す断面図。 同実施形態のファイルを開いた状態を示す断面図。 同実施形態のファイル及び綴じ具を開いた状態を示す断面図。 同実施形態のファイルの綴じ具を表紙幅方向に沿って見た断面図。 同実施形態のファイルの綴じ具を表紙幅方向に沿って見た断面図。 同実施形態のファイルの綴じ具を表紙幅方向に沿って見た断面図。 本発明の変形例の一に係るファイルの綴じ具の平面図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1ないし図3、図7ないし図9に示すように、本実施形態におけるファイルは、表表紙11、背表紙12及び裏表紙13を有する表紙体1に、書類その他の紙葉類を収納することのできる複数のポケット3、並びに紙葉類を綴じ止めることのできる綴じ具2を取り付けてなるものである。
図4に示すように、表紙体1は、例えば樹脂製の一体成形品であり、全体として略方形状をなす板状体である。表表紙11と背表紙12との間、背表紙12と裏表紙13との間には、それぞれヒンジ14を設けている。ヒンジ14は、表紙高さ方向、即ちファイルを立てたときの表表紙11、背表紙12及び裏表紙13の上下方向に沿って延伸する凹溝である。表紙体1における、ヒンジ14が存在する部分の厚みは、それ以外の部分(表表紙11、背表紙12及び裏表紙13)の厚みよりも薄肉となる。このヒンジ14により、表表紙11及び裏表紙13はそれぞれ、背表紙12に対して、表紙高さ方向に沿って伸びる軸回りに回動することが可能となる。表表紙11と背表紙12との間に介在するヒンジ14と、背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14とは、互いに略平行である。
表紙体1における、背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14に跨る箇所、または当該ヒンジ14に隣接する箇所には、綴じ具2を通過させるための貫通孔15を形成している。貫通孔15は、表紙体1の表紙高さ方向の中間部にあって、裏表紙13側のヒンジ14に対して略平行に伸びる、手指を挿入し得ない程度の(幅が4mmないし5mmの)幅狭なスリット状をなす。本実施形態では、このスリット15の大部分が背表紙12における裏表紙13に隣接する部位に所在し、極僅かながらヒンジ14を越えて裏表紙13まで拡張している。
加えて、表紙体1の裏表紙13の内側縁部には、綴じ具2のベース部21から突出する筒状部251を挿通するための挿通孔16を穿ってある。後述するように、筒状部251は、綴じ具2の押さえ部23から突出する軸部252とともに、紙葉類を綴じ止めるための綴じ桿25を構成する。
背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14の溝の形状及び深さは全体的に略均一であり、表紙体1における当該ヒンジ14が存在する部位の厚みは同ヒンジ14の溝の全長に亘って略均等である。
これに対し、表表紙11と背表紙12との間に介在するヒンジ14の溝の形状は全体的に略均一ではなく、表紙体1における当該ヒンジ14が存在する部位の厚みは同ヒンジ14の溝の全長に亘って略均等ではない。本実施形態では、表表紙11と背表紙12との間に介在するヒンジ14の一部に、表紙体1の厚みをより薄くする薄肉部141を設けている。言うまでもなく、表紙体1の厚みをより薄くすることは、表紙体1(のヒンジ14)の曲げ剛性をより低下させることを意味する。なお、同ヒンジ14における薄肉部141以外の部分の溝の形状及び深さは、背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14の溝の形状及び深さに略等しい。
薄肉部141は、例えば、表紙体1の表裏即ち外表面側及び内向面側の双方に凹溝を形成することにより実現する。ヒンジ14の薄肉部141以外の部分の凹溝は、表紙体1の内向面側にのみ、または外表面側にのみ形成する。あるいは、ヒンジ14の薄肉部141の溝の深さを、薄肉部141以外の部分の溝の深さよりも深くしても構わない。
本実施形態では、ちょうど上記の貫通孔15に相対するように、表表紙11側のヒンジ14の表紙高さ方向の中間部を薄肉部141としている。貫通孔15の一端(表紙高さ方向に沿った上端)と薄肉部141の一端(上端)とを結ぶ線分は、ヒンジ14の延伸方向である表紙高さ方向に対して略直交する。同様に、貫通孔15の他端(表紙高さ方向に沿った下端)と薄肉部141の他端(下端)とを結ぶ線分もまた、表紙高さ方向に対して略直交する。そして、薄肉部141の表紙高さ方向に沿った寸法は、貫通孔15の表紙高さ方向に沿った寸法に略合致している。
ポケット3は、例えば透明または透光性を有した薄い樹脂フィルムを袋状に成形した、いわゆるクリアポケットであり、その内に一枚または複数枚の紙葉類を挿入することができる。各ポケット3の内側端は、背表紙12における表表紙11寄りの領域に、溶着等により固着している。
図5ないし図9に示すように、綴じ具2は、例えば樹脂製の一体成形品であり、ベース部21と、ベース部21に対向する押さえ部23と、ベース部21の内側端と押さえ部23の内側端とを連結する背部22と、ベース部21と押さえ部23との間で両者が対向する方向に伸長する綴じ桿25とを備えている。なお、本実施形態では、ベース部21が第一の部材に該当し、押さえ部23が第二の部材に該当する。
ベース部21は、表紙高さ方向に拡張し、かつ表紙幅方向即ち裏表紙13の左右方向にも展伸した薄板状をなす。このベース部21は、表紙体1の裏表紙13の外表面(表表紙11と向かい合う内向面とは反対側の面)に接合する部位である。つまり、図2、図7ないし図9に示しているように、本実施形態のファイルにあっては、綴じ具2のベース部21が表紙体1の外側に表出する。ベース部21は、裏表紙13に対して、接着または溶着等により固着する。ベース部21における、裏表紙13に接合する側の面からは、綴じ桿25の要素となる筒状部251が突出している。筒状部251は、ベース部21が拡張する表紙高さ方向に沿った外側部(上端部及び下端部)に位置する。既に述べた通り、この筒状部251は、裏表紙13に形成した挿通孔16に挿通されて、表紙体1の内側に突き出す。
背部22は、表紙高さ方向に拡張しており、その外寸がベース部21及び押さえ部23よりも拡大している。この背部22とベース部21との間には、ヒンジ24を設けている。ヒンジ24は、表紙高さ方向に沿って延伸する凹溝である。綴じ具2における、ヒンジ24が存在する部分の厚みは、それ以外の部分(ベース部21、背部22及び押さえ部23)の厚みよりも薄肉となる。このヒンジ24により、背部22及び押さえ部23は、ベース部21に対して、表紙高さ方向に沿って伸びる軸回りに回動することが可能となる。
本実施形態の綴じ具2の背部22には、保持部221が付随している。保持部221は、背部22から表紙幅方向に沿って外側方に張り出したブロック状をなすとともに、表紙高さ方向に沿って、換言すれば表紙体1の裏表紙13の内側縁が伸びる方向に略平行に拡張している。なお、図6中、保持部221となる領域に網点(ハーフトーン)を付して表している。この保持部221は、背部22及び押さえ部23と一体となって、ヒンジ24の軸回りに回動する。
押さえ部23は、背部22から一旦背幅方向即ちベース部21及び裏表紙13から離れてゆく方向に迫り上がり、その後湾曲してベース部21及び裏表紙13と略平行となるように延出している。押さえ部23もまた、表紙高さ方向に拡張し、かつ表紙幅方向にも展伸した薄板状をなす。但し、ベース部21と比較して、表紙幅方向に沿った外寸がより小さい。押さえ部23における、ベース部21及び裏表紙13に対向する側の面からは、綴じ桿25の要素となる軸部252が突出している。軸部252は、押さえ部23が拡張する表紙高さ方向に沿った外側部(上端部及び下端部)に位置する。
綴じ具2を使用して紙葉類を綴じる際には、まず、押さえ部23及び背部22を回動操作して、図9に示すように、押さえ部23をベース部21及び裏表紙13から引き離す。このとき、押さえ部23から突出している軸部252が、ベース部21から突出している筒状部251から抜出される。その状態で、予め紙葉類に穿ってある綴じ孔に筒状部251を挿通するようにして、紙葉類の内側縁部をベース部21の上に重ねて配置する。しかる後、押さえ部23及び背部22を回動操作して、図7または図8に示すように、押さえ部23がベース部21に対向する姿勢とし、かつ軸部252を筒状部251の内に挿入する。結果、筒状部251及び軸部252が綴じ桿25となって、紙葉類がベース部21と押さえ部23との間に綴じ止められる。
また、図7及び図8に示しているように、綴じ具2が紙葉類を綴じている状態、即ち押さえ部23がベース部21に対向する姿勢をとる状態では、保持部221とベース部21とが裏表紙13、特に貫通孔15の周縁部を挟み付けて保持する。
表紙体1に取り付けた綴じ具2は、そのベース部21が裏表紙13の外表面に接合する一方で、その背部22及び押さえ部23が貫通孔15を通過して裏表紙13の内向面よりも内側に進入することとなる。貫通孔15の内部には、綴じ具2におけるヒンジ14及びその近傍の部位が入り込む。特に、図9に示すように表紙体1及び綴じ具2を開いている状態や、図7に示すように表紙体1及び綴じ具2を閉じている状態では、表紙体1の背表紙12と綴じ具2の背部22と略平行となるが、綴じ具2の背部22が貫通孔15に収容されることにより、表紙体1の背表紙12と綴じ具2の背部22とが干渉することが避けられる。
以降、軸部252と筒状部251との嵌合を通じて押さえ部23をベース部21に係留する構造に関して補記する。図5ないし図12に示すように、押さえ部23から突出する軸部252は、その先端部に突起252aを有しており、略L字形の外形をなす。この軸部252は、第二の部材たる押さえ部23に設けるべき係合体となる。本実施形態では、押さえ部23が二つの軸部252を備えており、各軸部252がそれぞれ押さえ部23の拡張方向即ち表紙高さ方向に沿った両外側部、かつ押さえ部23の(ヒンジ24及び背部22から遠い側の)側端縁に近い隅角部位に並立して存在している。そして、図10に示しているように、各軸部252の突起252aは、軸部252の外周面から、表紙高さ方向に沿って外側に向かって突き出している。厳密には、軸部252から突起252aが突き出す方向P2は、ヒンジ24の軸(背部22、保持部221、押さえ部23及び軸部252の回動の中心軸)の伸びる方向でもある表紙高さ方向に対して平行ではない。図6に示すように、突起252aが突き出す方向P2は、表紙高さ方向に沿って押さえ部23の外側に向かうにつれて徐々にヒンジ24の軸に近づくように傾いている。
しかして、押さえ部23の表紙高さ方向に沿った中間部に、被操作部231を設定している。被操作部231は、使用者が押さえ部23をベース部21に対して相対的に回動させる際に操作力F1、F2を加える部位である。押さえ部23における被操作部231の側端縁は、これ以外の部位の側端縁と比較して、僅かながら表紙幅方向に沿って内側方に凹むように湾曲している。
他方、ベース部21は、押さえ部23の二つの軸部252に各々対応する二つの筒状部251を備えている。即ち、ベース部251から突出する各筒状部251は、押さえ部23をベース部21に対向させたときに各軸部252が挿入されるよう、各軸部25の直下に位置している。
各筒状部251はそれぞれ、円筒体をその中心軸と略平行な分断面Dで二つに分断したような半割構造をなしている。筒状部251を構成する二つの部分251a、251bのうち、表紙高さ方向に沿った外側方に所在する部分251aは、その先端部に突起251cを有しており、この突起251cがちょうど筒状部251の当該部分251aの先端側の開口を閉塞するような外形をなす。筒状部251の外側部分251aは、第二の部材たる押さえ部23の軸部252と係合してこれを第一の部材たるベース部21に係留するための被係合体となる。各軸部252が各筒状部251に挿入されるとき、上記の外側部分251aは軸部252に対して表紙高さ方向に沿った外側から隣接する。図10に示しているように、突起251cは、筒状部251の外側部分251aの内周面から、表紙高さ方向に沿って内側に向かって突き出している。厳密には、外側部分251aから突起251cが突き出す方向P1は、表紙高さ方向に対して平行ではない。図6に示すように、突起251cが突き出す方向P1は、表紙高さ方向に沿って押さえ部23の内側に向かうにつれて徐々にヒンジ24の軸から遠ざかるように傾いている。この突起251cが突き出す方向P1は、筒状部251を二分する分断面Dに略直交し、筒状部251に挿入された軸部252から突起252aが突き出す方向P2とは略正反対となっている。
筒状部251における、表紙高さ方向に沿った内側方に所在する部分251bは、筒状体251に挿入される軸部252を外側部分251aに向けて押しやる案内体として機能する。この内側部分251bの先端部には、外側部分251aのように開口を閉塞する突起251cは形成されていない。押さえ部23が回動してベース部21に接近する過程で、押さえ部23側の軸部252の突起252aとベース部21側の筒状部251の突起251cとが互いに摺動する角の部位252b、251dには、Rを付けている。また、軸部252における、筒状部251の内側部分251bに対して摺動する角の部位252cは、面取りしてある。
図9に示すように綴じ具2を開いている状態から、図7及び図8に示すように綴じ具2を閉じる際には、使用者が、被操作部231を指で上から押すようにして押さえ部23をベース部21に向かって押圧し、その軸部252を筒状部251に挿入せしめる。このとき、図11に示すように、被操作部231に加えられた操作力F1によって押さえ部23が弾性変形し、軸部252の先端部及び突起252aが表紙高さ方向に沿って外側方に傾倒し、筒状部251をその外側部分251a及び内側部分251bを分断面Dにおいて互いに引き離すように押し開いて開裂させる。特に、軸部252の突起252aの角252bが筒状部251の外側部分251aの突起251cの角251dに対して摺動しながら、筒状部251の外側部分251aを表紙高さ方向に沿って外側方に押し倒す。
なお、操作力F1により押さえ部23が撓み変形することで、突起252の先端部は、押さえ部23及びベース部21が対向する方向から見て、図6中に矢印S1で表している方向に、即ち分断面Dに沿って(ヒンジ24及び背部22から遠ざかる)外方に向かうように傾く。図6に示しているように、分断面Dは、ヒンジ24の軸が伸びる表紙高さ方向に対して垂直ではなく、当該方向に対してやや傾斜している。これにより、綴じ具2を閉じる際に軸部252や筒状部251の局所に力が集中することが避けられ、軸部252及び筒状部251が損傷しにくくなる。
翻って、図7及び図8に示すように綴じ具2を閉じている状態から、図9に示すように綴じ具2を開く際には、使用者が、被操作部231の下方に指を引っ掛け、これを下から引き上げるようにして押さえ部23をベース部21から引き離し、その軸部252を筒状部251から抜出せしめる。このとき、図12に示すように、被操作部231に加えられた操作力F2によって押さえ部23が弾性変形し、軸部252の先端部及び突起252aが表紙高さ方向に沿って内側方に傾倒し、筒状部251をその外側部分251a及び内側部分251bを分断面Dから引き離すように開裂させる。特に、軸部252の角252cが筒状部251の内側部分251bに対して摺動しながら、この内側部分251bを表紙高さ方向に沿って内側方に押し倒す。
なお、操作力F2により押さえ部23が撓み変形することで、突起252の先端部は、押さえ部23及びベース部21が対向する方向から見て、図6中に矢印S2で表している方向に、即ち分断面Dに沿って(ヒンジ24及び背部22に近づく)内方に向かうように傾く。このため、綴じ具2を開く際に軸部252や筒状部251の局所に力が集中することが避けられ、軸部252及び筒状部251が損傷しにくくなる。
上述したように、綴じ具2の押さえ部23の被操作部231に、押さえ部23をベース部21から離反させる方向の操作力F2が加わる場合には、係合体である軸部252の突起252aと被係合体である筒状部251の外側部分251aの突起251cとの係合が弱まる(即ち、突起252aが突起251cから逃げる)方向に、軸部252が筒状体251に対して相対的に変位する。これにより、使用者が意図して押さえ部23をベース部251から離間させ綴じ具2を開く操作を簡便に行い得る。
一方で、このような操作力F2以外の、使用者の意図しない外力が、押さえ板23の被操作部231以外の部分に箇所に作用する場合には、軸部252の突起252aと筒状部251の外側部分251aの突起251cとの係合が弱まる方向に軸部252が変位することはなく、軸部252は筒状部251から容易には脱離しない。従って、使用者の意思に反して押さえ部23がベース部251から離間し、綴じ具2に綴じている紙葉類が不意に脱落することが防止される。
本実施形態では、表表紙11、裏表紙13並びにこれら表表紙11及び裏表紙13と接合する背表紙12を有する表紙体1に、紙葉類を綴じ止めるための綴じ具2が取り付けられたファイルであって、前記背表紙12と前記裏表紙13との境界部位に、前記綴じ具2の所定部位(綴じ具2におけるヒンジ24及び背部22)を収容するための収容部(貫通孔15)が形成されたファイルを構成した。
本実施形態によれば、綴じ具2をできる限り表紙体1の背表紙12側に寄せて配置することができる。従って、綴じ具2に綴じ止めた紙葉類もまた背表紙12に近づくことになり、表表紙11及び裏表紙13の表紙幅を徒に大きくとらずとも、綴じ具2に綴じた紙葉類の外側縁部が表表紙11または裏表紙13からはみ出すことが回避される。つまり、表表紙11及び裏表紙13の表紙幅をより縮小してファイル全体の寸法をコンパクト化できる。
また、綴じ具2のベース部21を裏表紙13の外表面側に露出させていることで、綴じ具2の押さえ部23から裏表紙13の内向面までの内寸をより大きく確保することができ、限られた背幅の内でより多くの枚数の紙葉類を綴じ具2に綴じることが可能となる。
並びに、本実施形態では、表紙体1における裏表紙13側のヒンジ14に跨って、またはこれに隣接して貫通する貫通孔15が形成される一方、表表紙11側のヒンジ14の少なくとも一部に裏表紙13側のヒンジ14と比較して表紙体1の厚みをより薄くする薄肉部141が設けられている。これにより、裏表紙13を背表紙12に対して回動させる際の表紙体1の曲げこわさ(換言すれば、回動させるために必要な操作力)と、表表紙11を背表紙12に対して回動させる際の表紙体1の曲げこわさとが略均等となる。従って、裏表紙13を開閉するときには柔らかいのに、表表紙11を開閉するときには堅いというような違和感を使用者に与えることが回避される。
加えて、本実施形態では、綴じ具2が、ベース部21と、ベース部21に対向する押さえ部23と、ベース部21と押さえ部23との間で両者が対向する方向に伸長する綴じ桿25と、押さえ部23に一体に成形されベース部21と押さえ部23とを対向させた状態でベース部21とともに表紙体1(の裏表紙13)を挟み付ける保持部221とを備えている。このため、綴じ具2が紙葉類を綴じている状態で、綴じ具2が表紙体1に対してがたつく、またはぐらつくことが抑制される。
さらに、前記保持部221が、前記表紙体1の側縁(裏表紙13における貫通孔15の開口縁部)が伸びる方向に略平行に拡張しているため、綴じ具2の保持部221及びベース部21が表紙体1を広範囲で挟み安定的に保持することが可能となっている。
その上で、本実施形態では、第一の部材(ベース部)21に対して第二の部材(押さえ部)23を両者を対向させた状態で係留する構造において、所定方向(表紙高さ方向)に沿って拡張する前記第二の部材23の拡張方向に沿った外側部に、前記第一の部材21に向けて突出するとともに前記拡張方向の外側に向けて張り出した突起252aを有している係合体(軸部)252が設けられ、同第二の部材23の拡張方向に沿った中間部に、当該第二の部材23を第一の部材21に接近させまたは第一の部材21から離反させる操作力F1、F2を受ける被操作部231が設けられている一方、前記第一の部材21おける、前記第二の部材23に設けられた係合体252と隣接する部位に、第二の部材23に向けて突出するとともに前記拡張方向の内側に向けて張り出した、第二の部材23の係合体252の突起252aと係合する突起251cを有している被係合体(筒状体251の外側部分)251aが設けられている。
このような構造を採用したことにより、第一の部材21に対向した状態で係留している第二の部材23が第一の部材21から意図せず脱離してしまうことを効果的に抑止できる。
そして、前記第二の部材23が、前記第一の部材21に対して相対的に、前記拡張方向に略平行な軸回りに回動可能であるように、ヒンジ24を介して第一の部材21に連結されており、前記係合体252及び前記被係合体251の各々の突起252a、251cの張り出す方向P2、P1が、前記拡張方向に対して非平行に傾いている。仮に、各突起252a、251cの張り出す方向が、前記拡張方向に対して平行であったとすると、第二の部材23を回動操作して第一の部材21に係留し、または第一の部材21から脱離させる際に、係合体252や被係合体251aの局所に負荷が集中する。これに対し、突起252a、251cの張り出す方向P2、P1が、前記拡張方向に対して非平行に傾いていいていれば、係合体252及び被係合体251aの局所に負荷が集中することが回避され、係合体252や被係合体251aの寿命を延命することができる。換言すれば、前記第一の部材がベース部21を構成し、前記第二の部材がベース部21との間に紙葉類を綴じる押さえ部23を構成している綴じ具2の耐久性が向上する。
とりわけ、本実施形態では、前記係合体252の突起252aの張り出す方向P2が、前記拡張方向に対して非平行に、かつ同拡張方向の外側に向かうにつれて徐々に前記ヒンジ24の軸に近づくように傾いており、前記被係合体251aの突起251cの張り出す方向P1が、これに係合する前記係合体252の突起252aの張り出す方向P2と略反対となっている。このため、第二の部材23を回動操作して第一の部材21に係留し、または第一の部材21から脱離させる際の応力集中がより一層軽減される。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、図13に示すように、前記係合体252の突起252aの張り出す方向P2が、前記拡張方向に対して非平行に、かつ同拡張方向の外側に向かうにつれて徐々に前記ヒンジ24の軸から離れるように傾いており、前記被係合体251aの突起251cの張り出す方向P1が、これに係合する前記係合体252の突起252aの張り出す方向P2と略反対となっているように構成しても、係合体252及び被係合体251aの局所への負荷の集中を緩和することができる。
また、上記実施形態では、第二の部材23が第一の部材21に対して相対的にヒンジ24の軸回りに回動するものであったが、第二の部材23が回動せず平行移動することで第一の部材21に対して接近または離間するものにおいても、本発明に係る部材21、23の係留の構造を適用することができる。
無論、本発明は、綴じ具2以外の器具や装置にも適用することが可能である。
その他、各部の具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…表紙体
11…表表紙
12…背表紙
13…裏表紙
14…ヒンジ
141…薄肉部
15…収容部(貫通孔)
2…綴じ具
21…第一の部材(ベース部)
22…背部
221…保持部
23…第二の部材(押さえ部)
231…被操作部
24…ヒンジ
25…綴じ桿
251…筒状体
251a…被係合部(筒状体の外側部分)
251c…突起
252…係合体(軸部)
252a…(突起)
3…ポケット

Claims (4)

  1. 第一の部材に対して第二の部材を両者を対向させた状態で係留する構造であって、
    所定方向に沿って拡張する前記第二の部材の拡張方向に沿った外側部に、前記第一の部材に向けて突出するとともに前記拡張方向の外側に向けて張り出した突起を有している係合体が設けられ、同第二の部材の拡張方向に沿った中間部に、当該第二の部材を第一の部材に接近させまたは第一の部材から離反させる操作力を受ける被操作部が設けられている一方、
    前記第一の部材における、前記第二の部材に設けられた係合体と隣接する部位に、第二の部材に向けて突出するとともに前記拡張方向の内側に向けて張り出した、第二の部材の係合体の突起と係合する突起を有している被係合体が設けられており、
    一個の前記被係合体に係合する前記係合体が単一で、その一個の係合体について一つのみ、前記拡張方向の外側のみに向けて張り出した突起を有し、
    及び/または、
    一個の前記被係合体に係合する前記係合体が単一で、一個の被係合体について一つのみ、前記拡張方向の内側のみに向けて張り出した突起を有している、部材の係留の構造。
  2. 前記第二の部材が、前記第一の部材に対して相対的に、前記拡張方向に略平行な軸回りに回動可能であるように、ヒンジを介して第一の部材に連結されており、
    前記係合体及び前記被係合体の各々の突起の張り出す方向が、前記拡張方向に対して非平行に傾いている請求項1記載の部材の係留の構造。
  3. 前記係合体の突起の張り出す方向が、前記拡張方向に対して非平行に、かつ同拡張方向の外側に向かうにつれて徐々に前記軸に近づくように傾いており、
    前記被係合体の突起の張り出す方向が、これに係合する前記係合体の突起の張り出す方向と略反対になっている請求項2記載の部材の係留の構造。
  4. 紙葉類を綴じ止めるための綴じ具の構造であって、
    前記第一の部材が前記綴じ具の要素であるベース部を構成し、前記第二の部材が前記綴じ具の要素であり前記ベース部との間に紙葉類を綴じる押さえ部を構成する請求項1、2または3記載の部材の係留の構造。
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