次に、図面を参照して、本発明の第1〜第6の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。特に、図2,3,15,16,21,23,24等では、断面の切り口にハッチングを施す都合上、紙葉類71a,71b,71c,71d,71eの厚さを、現実に市販されている紙の厚さ0.06〜0.11mm,0.13mm,0.14mm,0.17mm,0.23mm等に対し、誇張して模式的に示している。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明、現実の規格で定まる値、或いは、当業者の技術常識を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。又、以下に示す第1〜第6の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図1〜図5に示すように、表紙と裏表紙とを背表紙を介して接続したファイル帳31(図4及び図5参照。)と、裏表紙の背表紙側の端部の中央に固着されたベース11と、ベース11の垂直方向を長手方向とし、先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第1の綴り棒12aと、第1の綴り棒12aから離間し、第1の綴り棒12aと同一形状、同一寸法を有し、先端部に第2の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第2の綴り棒12bと、第1の凸刃及び第2の凸刃の配列方向と平行方向に、第1の凸刃及び第2の凸刃から等距離となるように、線状に設定された基準位置決定部を基準とし、この基準位置決定部からそれぞれ等距離に設けられ、第1の凸刃及び第2の凸刃にそれぞれ陥合する第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bを開孔し、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部の一部を収納可能とし、且つ第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bに連続した紙屑収納空間25を内部に設け、ベース11に対し相対的に移動可能な紙押さえ部21aとを備える。ファイル帳31としては、バインダ、ファイル、フォルダ,ルーズリーフ形式のノートブック及びルーズリーフ形式の手帳等が対象になるが、以下の説明ではA4の紙が収納できるバインダファイルを例に説明する。
図1に示すように、紙押さえ部21aの側壁には、紙屑取出蓋27aが設けられ、随時、紙屑取出蓋27aを解放することにより、紙屑収納空間25にたまった紙屑(パンチ滓)を排出可能にしている。第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの基準位置決定部には、ヒンジ部35を更に備える。そして、図2と図3を比較すれば分かるように、このヒンジ部35を支点として、紙押さえ部21aが、ベース11に対して回転移動することにより、第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bが、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃に同時に陥合する。図1〜図3に示すように、ヒンジ部35にはヒンジ部設置板23が設けられている。
一方、ベース11は、図1〜図3に示すように、取付穴18b,18cが設けられた底面部に対して垂直に立ち上がる紙押さえ部接続壁15を有して、ほぼL字型の形状である。紙押さえ部接続壁15には、ヒンジ部設置板収納溝13が設けられ、ヒンジ部設置板収納溝13にヒンジ部設置板23が挿入されて、ベース11にヒンジ部設置板23が固定される。図4に示したように、取付穴18b,18cには、それぞれ鋲(リベット)19b,19cが挿入され、鋲(リベット)19b,19cにより、ベース11がファイル帳31に固着される。図2及び図3では、ヒンジ部設置板収納溝13とヒンジ部設置板23の間には隙間が設けられているが、この隙間には接着剤が挿入されて、ヒンジ部設置板収納溝13とヒンジ部設置板23とは、互いに固定される。或いは、ヒンジ部設置板収納溝13とヒンジ部設置板23との間には、隙間がないように互いに密着することにより、摩擦力や弾性応力で、互いに固定してもよい。なお、図示を省略しているが、ヒンジ部35を介してヒンジ部設置板23と紙押さえ部21aとに両端(両アーム)をそれぞれ固定したねじりバネ(トーションバネ)を内蔵してもよい。
このとき、紙押さえ部21aのロック時(閉じた状態のとき)に、両アームの自由時開放角度よりも両アーム間の角度が閉じた状態となる圧縮バネとしてねじりバネを使用すれば、紙押さえ部21aがねじりバネの弾性力で跳ね上がるので、次の穿孔作業時の紙押さえ部21aを開放するのが容易になる。一方、ねじりモーメント(トルク)を逆にして、紙押さえ部21aの解放時が、ねじりバネの自由時開放角度よりも両アーム間の角度が開いた状態となる引張バネとして使用すれば、ねじりバネが自由時開放角度に戻ることにより紙押さえ部21aを弾性力で押し下げ、更に、穿孔後、紙押さえ部21aを、ねじりバネがロックして固定することができる。 ねじりバネの代わりに板バネ等他のバネを用いても、圧縮バネとして使用すれば、紙押さえ部21aが弾性力で跳ね上がり、引張バネとして使用すれば、紙押さえ部21aを弾性力で押し下げ、穿孔後、紙押さえ部21aを弾性力がロックして固定することができる。
紙押さえ部21aのヒンジ部35側の下面にはクランプ凸部24a,24bがベース11に向かって設けられている。一方、ベース11の紙押さえ部接続壁15に沿って、クランプ凹部14a,14bを構成するための箱状の段差部が設けられている。クランプ凹部14a,14bにクランプ凸部24a,24bが導入されて、ベース11と紙押さえ部21aとが固定されて、バインダとして、図3に示すように穿孔された、紙葉類71a,71b,71c,71d,71dが保持されてストックされる。本発明の「紙葉類71a,71b,71c,71d,71d」としては、上質紙、中質紙、アート紙等の紙類、或いはポリエステル(PET)フィルム等のプラスチックフィルム類、更には、アルミ博等の金属薄膜類等の種々の一様な厚さを有し、所定の寸法を備えた薄膜を対象とすることが可能である。図2及び図3では、クランプ凹部14a,14bとクランプ凸部24a,24bの間には隙間が設けられているが、この隙間にはバネやゴム板等の弾性体が挿入される。このため、クランプ凹部14a,14bとクランプ凸部24a,24bとは、穿孔時には所定の弾性力で互いに摺動若しくは滑動し、収納保持(ストック)時には、ベース11と紙押さえ部21aとが固定されるように機能する。或いは、クランプ凹部14a,14bとクランプ凸部24a,24bとの間には、隙間がないように設定され、穿孔時には互いに密着状態で摺動若しくは滑動し、穿孔終了後のストック時には、摩擦力や弾性応力で、クランプ凹部14a,14bとクランプ凸部24a,24bとが、それぞれ互いに固定され、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……が、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bによって保持される。
図1〜図3に示すように、紙押さえ部21aの紙屑収納空間25の下のヒンジ部35側には、断面形状がL字型のガイド用フック26が設けられている。ガイド用フック26は、被処理対象である、例えば、上質紙、中質紙、アート紙等の紙葉類71eの端部を凹部の一番奥の紙葉類端部整合面に衝突する(接する)ように挿入して、紙葉類71eの端部を水平に撓み等がないように保持し、この状態で紙葉類71eの端部の位置を決定し、端部における穿孔位置及び穿孔間隔を制御する「端部制御機構」として機能している。2穴パンチの場合であれば、JIS規格に沿って、奥行12mm±1.0mmの穿孔位置に、穿孔間隔(ピッチ)が80mm±0.5mmとなるように、が6mm±0.5mmのパンチ穴が穿孔できるように端部制御機構が制御する。ISO838の規格では、2穴パンチの場合直径は5.5mm−6.5mmの範囲と定められおり、穿孔位置は紙の一番近い端部から約12mm(11mm−13mm)で、2つの穴は紙の軸に対して対称の位置になければならない。又穴同士の穿孔間隔はパンチ穴の中心から計って79.5mm−80.5mmの範囲とされている(日本工業規格においてはJISS6041「事務用あなあけ器」が規定されており、穴の規格はISO838と同じになっている。)。図2に示すように、被処理対象である紙葉類71eを作業者の指1で保持して、紙葉類71eの端部をL字型のガイド用フック26によって構成された凹部に挿入し、紙葉類71eの端部の位置を保持長Δd1の庇部によってガイドして、端部制御機構が紙葉類71eの端部の位置を決定している。則ち、紙葉類71a,71b,71c,……が、例えば厚さ0.08mm以下の薄口の上質紙や、厚さ0.07mm以下の特薄口の上質紙等の場合であっても、端部制御機構としてのガイド用フック26が紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部を水平に撓み等がないように揃えることにより、紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれに対する第1の凸刃及び第2の凸刃による穿孔位置を、パンチ孔間隔のずれがないように制御し、統一できる。ガイド用フック26がない従来技術の場合は、穿孔時に紙葉類の端部が水平に保持されず、紙葉類の穿孔位置となる端部が曲がったり、反ったり、或いは撓んだりした状態で穿孔されるので、穿孔後のパンチ孔間隔(ピッチ)が規格値よりも大きくなることは、前述したとおりである。端部制御機構として機能するガイド用フック26に紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部を水平に撓み等がないように揃えて収納することにより、パンチ孔間隔のずれがないように統一できるので、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bにガイドされた自由落下もスムーズになり、50枚、100枚、200枚等の多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……を、整然とそれぞれの端部が揃うように整合させ、効率良く収納保持(ストック)することができる。穿孔後のパンチ孔間隔が規格値よりも大きくなった場合は、穿孔が完了した紙葉類の第1及び第2の綴り棒のガイドによるスムーズな自由落下による移動ができず、途中で止まってしまう不都合が発生する。
図1〜図3に示したように、第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃及び第2の凸刃を設けているので、穿孔されたパンチ孔の内径と、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在する。これにより、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……が、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bに、一定の遊びを有してガイドされるので、紙葉類71a,71b,71c,……が第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bに対して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿って、自在に移動できる。このため、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……のストック時の位置調整や、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易に可能になる。比較例として、先端部の径が他の部分の径と等しいストレートシャンクの構造を図9及び図13に示す。図9に示した比較例に係る綴り棒12fや図13に示した比較例に係る綴り棒12jの場合は、穿孔後のパンチ孔間隔を、パンチ穴の中心から計って79.5mm−80.5mmの範囲の規格値に統一しても、第1及び第2の綴り棒に対してパンチ孔の遊びが形成されないので、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1及び第2の綴り棒のガイドによるスムーズな自由落下による移動が困難であり、又、紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しも困難で、取り出し時に紙葉類71a,71b,71c,……が破れる等の不都合が発生する虞がある。
特に、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれの先端が、ガイド用フック26に向かって嘴状に突出するように、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部の形状が、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿った中心軸に関して非対称に構成されているので、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれが、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔後、紙葉類71a,71b,71c,……がガイド用フック26から自動的に落下する水平方向の運動成分が発生し、且つ、自動的に落下した後は、それぞれ第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bにガイドされてスムーズに移動して、収納保持(ストック)される。又、第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、パンチ孔間隔が規格値に適合するように制御して穿孔されるので、従来の穿孔機能を備えないバインダとの整合性も確保できる。
図2及び図3では、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bが、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿った貫通孔を有し、ガイド用フック26に向かって突出長Δd0で嘴状に突出するトポロジーで表現されているが、例示にすぎない。第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bは、それぞれ図6に示すように、上部のみに中空部を有して、上部の先端が突出長Δd0で嘴状に突出して、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃を形成した非対称の形状でもよい。図6(a)の側面図に示すように、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの上端部は、外周側が水平面に対しシャー角(shear angle)θを有したシャー面を構成している。更に、図6(a)の側面図に示すように、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの上端部には凹部が構成され、内周側が外周側のシャー面に対し、すくい角φを有して鋭利なナイフエッジ型の刃先構造を実現して、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃を構成しているので、片刃のナイフエッジによる外周抜きを行うことができる。
第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bが、それぞれ図6(a)に示すように、突出長Δd0で嘴状に突出して、突出部の下に逃げを構成しているので、図6(b)に示す上面図では、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部の外形が、長径がガイド用フック26に向かう方向に沿った楕円形状をなしている。突出長Δd0で突出している側の嘴の厚さはt1であり、凹部を介して、この厚さt1の部分に対向する側の部分の厚さは、t1より小さいt2である(t1>t2)。第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの上端部が非対称形状をなしているので、上端部の外形側は楕円であるが、上面図としては、凹部を構成している内径側は真円に近いトポロジーである。第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの突出長Δd0を保持長Δd1と等しいか、突出長Δd0が保持長Δd1のよりも0.1mm〜0.2mm程度長くなるように設定しておくことが好ましい。例えば、保持長Δd1=1.5mm〜4mm程度の値が採用可能であり、より好ましくは、保持長Δd1=2mm〜3.5mm程度の値が採用可能である。
第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、紙押さえ部21aの一端部がヒンジ部35によって固定されているので、第1の凸刃が第1の凹刃(ダイ)22aの内部に垂直方向に挿入されるギロチン式の運動軌跡による穿孔ではなく、第1の凸刃が第1の凹刃(ダイ)22aの内部に円弧状に挿入されるスイング式の運動軌跡で、紙葉類71a,71b,71c,……が外周抜きがされる。スイング式の運動軌跡では、第1の凸刃と第1の凹刃(ダイ)22aのクリアランスが穿孔時に変化する。このため、第1の凸刃が第1の凹刃(ダイ)22aの内部に挿入され、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔するときの、第1の凸刃と第1の凹刃(ダイ)22aとの噛み合わせの自由度とクリアランスを担保するために、図6(a)の側面図に示すように、第1の凸刃の左上に突出した嘴の先端部は面取りがされている。同様に、第2の凸刃が第2の凹刃(ダイ)22bの内部に挿入されるときの、噛み合わせの自由度とクリアランスを担保するために、第2の凸刃の嘴の先端部は面取りがされている。
図6(a)の側面図に示すように、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの上端部は、上端部の外周側が水平面に対しシャー角θを有した傾斜となるシャー面をそれぞれ構成しているので、穿孔時に紙押さえ部21aから紙葉類71a,71b,71c,……に対して、垂直方向に加えられる加工応力が、紙葉類71a,71b,71c,……を垂直方向に外周抜きを行う打ち抜き剪断力成分と、紙葉類71a,71b,71c,……を水平方向(図6(a)において右方向)に移動させる水平駆動力成分とに分解できる。このため、図26に示すように、L字型のガイド用フック26によって構成された凹部に挿入された紙葉類71eの左側の端部が、図26に示すように剪断加工の開始に伴い右方向に駆動され、更に、図27に示すように剪断加工が進行して、紙屑(パンチ滓)71e-cが形成された段階では、紙葉類71eはガイド用フック26の保持長Δd1の庇部の幅に相当する距離の平行移動がなされる。図27に示した段階では、紙葉類71eに穿孔された開口部の左側は、突出長Δd0で嘴状に突出した凸刃の下の逃げの部分にガイドされるので、紙葉類71eの左方向の平行移動が担保できる。突出長Δd0を保持長Δd1と等しいか、突出長Δd0が保持長Δd1のよりも0.05mm〜0.2mm程度長くなるように設定しておけば、図29に示すように、剪断加工が進行して穿孔が完了した紙葉類71eは、L字型のガイド用フック26から自動的に落下する。
ガイド用フック26から自動的に落下した紙葉類71eは、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿って自由落下して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bによってストックされる。剪断加工時の水平駆動力成分の発生を考慮すると、シャー角θの大きさは例えば、4〜40°程度に選ぶことができる。シャー角θの大きさが4°より小さいと、水平駆動力成分が相対的に小さくなり、紙葉類71eの端部のガイド用フック26からの自動的な落下の確実性が減少するので好ましくない。一方、シャー角θの大きさが40°より大きいと、第1の凸刃及び第2の凸刃の端部が鋭利になりすぎて、手を傷つける虞があるので、第1の凸刃及び第2の凸刃の端部を丸める等の工夫が必要になる。より好ましくは、シャー角θの大きさは、8〜30°程度、更に好ましくは、シャー角θの大きさは、10〜20°程度に選ぶことができる。このように、第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙押さえ部21aに設けられたガイド用フック26に紙葉類71eの端部を挿入した後、紙押さえ部21aを、ヒンジ部35を介してスイング駆動して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bと噛み合わせた後固定するという、操作者のワンタッチの作業で、瞬時に、端部制御機構による撓み等のない端部の保持状態の実現(第1ステップ)と、紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔間隔(ピッチ)が、パンチ穴の中心から計って79.5mm−80.5mmの範囲の規格値に正確且つ精密に統一された穿孔(第2ステップ)と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の端部の端部制御機構からの自動的取り出し(第3ステップ)と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔のそれぞれの第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bへの自動的導入(第4ステップ)と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのガイドによるスムーズな自由落下による下方への移動(第5ステップ)、及び第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bによる穿孔が完了した複数の紙葉類71a,71b,71c,……の端部を揃えた整列(第6ステップ)という、一連の連続した複数のステップ(工程)が、途中で紙葉類に手を触れることなく、1秒に満たない短時間で自動的に実行される。そして、この一連の連続した6ステップ(6工程)を瞬時(枚数や操作者の腕力等にもよるが、通常、1秒以内)に実行するワンタッチの作業を随時、必要に応じて、日常的に繰り返すことにより、最終的に多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……を、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bを用いて、端部を揃えた整然とした状態で収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。
一方、図7、図8、図10及び図12に示した長手方向の中心軸に対して対称的な構造を有する綴り棒12d,12e,12g,12iを第1及び第2の綴り棒として採用した場合は、綴り棒12d,12e,12g,12iの上端部の外周側が水平面に対しシャー角θを有した傾斜となるシャー面をそれぞれ構成していれば、図6に示した第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bと同様に、穿孔時に紙押さえ部21aから紙葉類71a,71b,71c,……に対して、垂直方向に加えられる加工応力が、紙葉類71a,71b,71c,……を垂直方向に外周抜きを行う打ち抜き剪断力成分と、紙葉類71a,71b,71c,……を水平方向に移動させる水平駆動力成分とに分解できる。しかしながら、図27に示した段階における紙葉類71eに穿孔された開口部の左側の遊びは、突出長Δd2,Δd3等で嘴状に突出した凸刃の下の逃げの部分にガイドされるとしても、対象構造による戻りがあるので、紙葉類71eは左方向に確実に平行移動できない場合が発生する。
この結果、長手方向の中心軸に対して対称的な構造の場合は、図29に示すように、剪断加工が進行して穿孔が完了した紙葉類71eは、L字型のガイド用フック26から端部が自動的に落下しない場合が発生する。このため、中心軸に対して対称的な構造の綴り棒の場合は、綴り棒の長手方向に沿って紙葉類71a,71b,71c,……を自由落下させる工程(ステップ)に不具合が発生する懸念がある。上述した第3ステップ以降の工程に不都合が発生した場合は、第1ステップから第6ステップまでの一連の連続した複数のステップ(工程)が、操作者が途中で紙葉類に手を触れることなく、ワンタッチの作業で、瞬時に、簡単且つ迅速に達成できるという第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの有利な効果の達成という観点から、中心軸に対して対称的な綴り棒12d,12e,12g,12iの構造は好ましい態様とはいえない。
なお、綴り棒の上端部の外周側は、一定のシャー角θを有した一様な傾斜となる単一の面からなるシャー面を構成する必要はなく、図11に示した綴り棒12hの上端部のように、外周側が曲面を構成していても構わない。要は、 穿孔時に紙押さえ部21aから紙葉類71a,71b,71c,……に対して、垂直方向に加えられる加工応力が、紙葉類71a,71b,71c,……を垂直方向に外周抜きを行う打ち抜き剪断力成分と、紙葉類71a,71b,71c,……を水平方向に移動させる水平駆動力成分とに分解できるシャー角θが綴り棒の上端部の外周側に設けられており、上部の先端が突出長Δd0で嘴状に突出していればよい。図11では、曲面を構成している外周のエッジの包絡線がシャー角θをなす場合を例示しているが、水平駆動力成分とに分解できるシャー角θであれば、他の上端部の外周側に定義されるシャー角θであっても構わない。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図14〜図16に示すように、表紙と裏表紙とを背表紙を介して接続したファイル帳(図示省略。図4及び図5参照。)と、裏表紙の背表紙側の端部の中央に固着されたベース11と、ベース11の垂直方向を長手方向とし、先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第1の綴り棒12aと、第1の綴り棒12aから離間し、第1の綴り棒12aと同一形状、同一寸法を有し、先端部に第2の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第2の綴り棒12bと、第1の凸刃及び第2の凸刃の配列方向と平行方向に、第1の凸刃及び第2の凸刃から等距離となるように、線状に設定された基準位置決定部を基準とし、この基準位置決定部からそれぞれ等距離に設けられ、第1の凸刃及び第2の凸刃にそれぞれ陥合する第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bを開孔し、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部の一部を収納可能とし、且つ第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bに連続した紙屑収納空間25(図15及び図16参照。)を内部に設け、ベース11に対し相対的に移動可能な紙押さえ部21bとを備える点では、第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様である。
又、図示を省略しているが、紙押さえ部21bの一部には、紙屑取出蓋が設けられ、随時、紙屑収納空間にたまった紙屑(パンチ滓)を排出可能にしている。ベース11には、図14(b)に示すように、取付穴18b,18cが設けられ、裏表紙にベース11を固着する鋲(リベット)等を挿入可能に構成している。ベース11の背表紙側の端部には、ヒンジ部設置板23の下端が接続されている。ヒンジ部設置板23は、側壁として機能するように、ベース11に対してL字型に接続され、固定されている。このヒンジ部設置板23の上端にヒンジ部35が設けられ、ヒンジ部35が、第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの基準位置決定部として機能している。そして、図15と図16を比較すれば分かるように、このヒンジ部35を支点として、紙押さえ部21bが、ベース11に対して回転移動することにより、スイング式の運動軌跡に沿って、第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bが、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃に同時に陥合する。
第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図14(a)に示すように、紙押さえ部21bのベース11に対向する側の面には、長手方向に垂直な断面形状がL字型の用紙ガイド29が左右方向(長手方向)に延在して設けられている。被処理対象である紙葉類が、例えば薄口の上質紙等であっても、用紙ガイド29は、紙葉類の端部を挿入して、紙葉類の端部を水平に撓み等がないように保持した状態で、紙葉類の端部の位置を決定し、端部における穿孔位置及び穿孔間隔を制御する「端部制御機構」として機能する。図15に示すように、被処理対象である紙葉類71eを作業者の指1で保持して、紙葉類71eの端部をL字型の用紙ガイド29によって構成された段差部に挿入し、紙葉類71eの端部の下面を保持長Δd1の庇部によって支持し、紙葉類71eの端部の位置をガイドして揃えることにより、紙葉類71a,71b,71c,71d,71dのそれぞれに対する第1の凸刃及び第2の凸刃による穿孔位置及び穿孔間隔を精密に制御し、統一することができる。用紙ガイド29に紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部を水平に撓み等がないように揃えて収納することにより、パンチ孔間隔のずれ(拡大)がないように統一できるので、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bにガイドされた自由落下もスムーズになり、50枚、100枚、200枚等の多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……を、整然とそれぞれの端部が揃うように整合させ、効率良く収納保持(ストック)することができる。用紙ガイド29は図14に示すように、A4,B5,A5等の種々のサイズの紙葉類71a,71b,71c,……の両側端部の位置を表示するとともに、紙押さえ部21bの中央に設けられた窓部から、用紙ガイド29の中央に配置されたセンター位置が視認できるように構成されている。
図14(b)において、紙押さえ部21bの中央に設けられた窓部から、紙押さえ部21bをロックするロックレバー51の頂部の一部が見えている。一方、 図14(a)に示すように、紙押さえ部21bのベース11に対向する面の中央付近には、ロックレバー51の位置に対向してL字型に折り曲げられた帯状の鈎部61が設けられている。第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図15及び図16に示すように、カンガルー型の側面形状をなすロックレバー51の顎の下が鈎部61の突出部の上面に掛けられる。ロックレバー51の顎の下が鈎部61に掛け、鈎部61の位置を固定して、紙押さえ部21bのベース11に対する相対的位置を固定(ロック)することにより、 穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bによって収納保持(ストック)され、離脱しないようにファイル帳に収納できる。
図17に示すように、カンガルー型のロックレバー51は、カンガルーの頭の下の首の位置に、鈎部61の突出部が挿入可能な凹部を備え、ロック機構(51,52,53,54,54,55a,55b)の主要な部品を構成している。ロックレバー51は、カンガルーの首の下に貫通孔52を有し、この貫通孔52の内部にねじりバネ53の一方のアームの端部(案内棒)が挿入され、鈎部61に対するロックレバー51の移動を弾性的に制御している。ロックレバー51は底部に回転軸54を備え、この回転軸54が2枚の軸支持板55a,55bによって、回転可能に支持されている。2枚の軸支持板55a,55bはロックレバー51の底部を両側から挟むように平行に対向し、ベース11にそれぞれ固定されている。紙押さえ部21bをヒンジ部35を支点として、ベース11に対して回転移動(スイング)することにより、鈎部61の位置が下がり、ロックレバー51の顎の下に鈎部61の突出部の上面が挿入される。
このロック機構(51,52,53,54,54,55a,55b)のロック動作により、 穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bによって収納保持(ストック)され、離脱しないようにファイル帳に収納できる。一方、 図14(b)に示した紙押さえ部21bの中央の窓部を用いて、ロックレバー51の頂部の位置を駆動すると、図17(b)に二点鎖線で示したように、ロックレバー51の鈎部61に対する固定が解除され、鈎部61は上方に移動可能になる。ロックレバー51の鈎部61に対する固定が解除されると、紙押さえ部21bはヒンジ部35を支点として、上方に回転移動(スイング)して、図14(a)に示すような開放状態となる。なお、図示を省略しているが、ヒンジ部35を介してヒンジ部設置板23と紙押さえ部21bとに両端(両アーム)をそれぞれ固定したねじりバネ等の弾性体を設けて圧縮バネとして用いれば、ロックレバー51の鈎部61に対する固定を解除すれば、紙押さえ部21bがねじりバネの弾性力で上方にスイングして跳ね上がるので、紙押さえ部21bを開放する作業が容易になる。
図15及び図16に示したように、第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃及び第2の凸刃を設けているので、穿孔されたパンチ孔の内径と、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在する。これにより、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……が、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bに、一定の遊びを有してガイドされるので、紙葉類71a,71b,71c,……が第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bに対して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿って、自在に移動できる。このため、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……のストック時の位置調整や、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易に可能になる。
第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルで説明したとおり、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれの先端が、用紙ガイド29に向かって嘴状に突出するように、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部の形状が、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿った中心軸に関して非対称に構成され、更に、第1の凸刃及び第2の凸刃の上端部の外周側が水平面に対しシャー角θを有したシャー面を構成しているので、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれが、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔後、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29から自動的に落下し、且つそれぞれ第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bにガイドされてスムーズに移動して、収納保持(ストック)される。
このように、第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙押さえ部21bに設けられた用紙ガイド29に紙葉類71eの端部を挿入して撓み等のない状態を実現した後、紙押さえ部21bを、ヒンジ部35を介してスイング駆動して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bと噛み合わせた後固定するというワンタッチの作業で、瞬時に、紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔間隔を規格値に正確且つ精密に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのガイドによるスムーズな自由落下による移動及び整列という、一連の連続した6工程(第1の実施の形態で説明した第1ステップから第6ステップまでの一連の工程参照。)が、途中で操作者が紙葉類に手を触れることなく、自動的に実行される。そして、このワンタッチで6工程を瞬時に実行する作業を、随時必要に応じて繰り返すことにより、最終的に多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……の端部を揃えた整然とした収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。更に、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくして、先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在するので収納された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易で、取り出し時に紙葉類71a,71b,71c,……が破れる問題もない。なお、図18及び図19に示すように、第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bが開孔された紙押さえ部21cが角形の形状をなしていても構わない。
又、図20に示すように、紙押さえ部21dの一部を透明材料で構成された覗き窓41a,41bを設けて、紙屑収納空間にたまった紙屑(パンチ滓)が視認できるようにしてもよい。図20では、4に示したように、ベース11の3隅に設けた取付穴には、それぞれ鋲(リベット)19a,19b,19cが挿入され、鋲(リベット)19a,19b,19cにより、ベース11がファイル帳31(図19参照。)に固着された状態を示しているが、実際にはベース11の4隅にそれぞれ取付穴が設けられているので、ベース11の4隅の取付穴にそれぞれ鋲(リベット)が挿入され、4本の鋲(リベット)により、ベース11がファイル帳に固着される。ベース11の4隅の取付穴にそれぞれ雄ねじを挿入して、ベース11をファイル帳に固着してもよい。
図18〜図20に例示したような 第2の実施の形態の変形例に係る穿孔機能付きファイルの構造によっても、紙押さえ部21c,21dに設けられた用紙ガイド29に紙葉類71eの端部を挿入した後、紙押さえ部21c,21dを、ヒンジ部35を介してスイング駆動して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bと噛み合わせた後固定するというワンタッチの作業で、瞬時に、紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔間隔を規格値に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのガイドによるスムーズな自由落下による移動及び整列等を含む、一連の連続した6工程が、途中で紙葉類に手を触れることなく、1秒に満たない短時間で自動的に実行される。そして、このワンタッチで6工程を瞬時に実行する作業を、随時必要に応じて繰り返すことにより、最終的に多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……の端部を揃えた整然とした収納保持による収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。又、第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、パンチ孔間隔が規格値に適合するように制御して穿孔されるので、従来の穿孔機能を備えないバインダとの整合性も確保できる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図30〜図32に示すように、表紙と裏表紙とを背表紙を介して接続したファイル帳(図示省略。図4,図5及び図19参照。)と、裏表紙の背表紙側の端部の中央に固着されたベース11と、ベース11の垂直方向を長手方向とし、先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第1の綴り棒12aと、第1の綴り棒12aから離間し、第1の綴り棒12aと同一形状、同一寸法を有し、先端部に第2の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第2の綴り棒12bと、第1の凸刃及び第2の凸刃の配列方向と平行方向に、第1の凸刃及び第2の凸刃から等距離となるように、線状に設定された基準位置決定部を基準とし、この基準位置決定部からそれぞれ等距離に設けられ、第1の凸刃及び第2の凸刃にそれぞれ陥合する第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bを開孔し、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部の一部を収納可能とし、且つ第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bに連続した紙屑収納空間25(図31及び図32参照。)を内部に設け、ベース11に対し相対的に移動可能な紙押さえ部21dとを備える点では、第1及び第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様である。
紙押さえ部21dの上部の右側端部には、紙屑取出蓋27cが設けられ、随時、紙屑収納空間にたまった紙屑(パンチ滓)を排出可能にしている。なお、紙屑取出蓋27cの形状、構造や大きさは、図30(b)に示す形状、構造や大きさに限定されるものでない。特に、紙屑(パンチ滓)を取り出しやすくするためには、図30(b)に示した構造よりも大きな構造が好ましく、紙屑収納空間25の上部の全体が開閉できるような構造でもよい。ベース11には、図30(b)に示すように、取付穴18b,18cが設けられ、裏表紙にベース11を固着する鋲(リベット)等を挿入可能に構成している。ベース11の背表紙側の端部には、ヒンジ部設置板23の下端が接続されている。ヒンジ部設置板23は、側壁として機能するように、ベース11に対してL字型に接続され、固定されている。このヒンジ部設置板23の上端にヒンジ部35が設けられ、ヒンジ部35が、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの基準位置決定部として機能している。そして、図31と図32を比較すれば分かるように、このヒンジ部35を支点として、紙押さえ部21dが、ベース11に対して回転移動することにより、スイング式の運動軌跡に沿って、第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)22bが、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃に同時に陥合する。
第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図30(a)に示すように、紙押さえ部21dのベース11に対向する側の面には、長手方向に垂直な断面形状がL字型の用紙ガイド29cが左右方向(長手方向)に延在して設けられている。被処理対象である紙葉類が、例えば薄口の上質紙等であっても、用紙ガイド29cは、紙葉類の端部を挿入して、紙葉類の端部を水平に撓み等がないように保持した状態で、紙葉類の端部の位置を決定し、端部における穿孔位置及び穿孔間隔を制御する「端部制御機構」として機能するが、紙葉類71eの端部の下面を保持する庇部の幅が一様でないことが、第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルとは異なる。則ち、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの用紙ガイド29cの庇部の幅は長手方向の両端部の幅に比し、中央部の幅が狭く構成されている。図31に示すように、被処理対象である紙葉類71eの端部をL字型の用紙ガイド29cによって紙屑収納空間25の下に構成された凹部に挿入すれば、紙葉類71a,71b,71c,71d,71d,71eの端部の位置を揃えることができるが、用紙ガイド29cの庇部の幅が両端部の幅に比し、中央部の幅Δdcが狭く構成されているので、紙葉類71a,71b,71c,71d,71d,71eの庇部からの落下が容易になる。
則ち、紙葉類71a,71b,71c,71d,71d,71eのそれぞれの端部の下面を保持長Δdcの庇部によってそれぞれ支持し、紙葉類71a,71b,71c,71d,71d,71eの端部の位置をガイドして揃えることにより、紙葉類71a,71b,71c,71d,71d,71eのそれぞれに対する第1の凸刃及び第2の凸刃による穿孔位置及び穿孔間隔を精密に制御し、統一することができる。用紙ガイド29cに紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部を水平に撓み等がないように揃えて収納することにより、パンチ孔の間隔のずれ(拡大)がないように、間隔を規格値に正確且つ精密に統一できるので、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bにガイドされた自由落下もスムーズになり、50枚、100枚、200枚等の多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……を、整然とそれぞれの端部が揃うように整合させ、効率良く収納保持(ストック)することができる。用紙ガイド29cは図30に示すように、A4,B5,A5等の種々のサイズの紙葉類71a,71b,71c,……の両側端部の位置を表示するとともに、紙押さえ部21dの中央に設けられた窓部から、用紙ガイド29cの中央に配置されたセンター位置が視認できるように構成されている。
図30(b)において、紙押さえ部21dの中央に設けられた窓部から、紙押さえ部21dをロックし、同時に紙葉類71a,71b,71c,……を用紙ガイド29cの庇部の上から強制的に送り出すロックレバー72の頂部の一部が見えている。一方、 図30(a)に示すように、用紙ガイド29cの中央付近には、ロックレバー72の位置に対向して矩形板状のロックプレート26mが設けられている。ロックプレート26mの上には用紙押出ピン73が摺動可能に設けられている。第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルのロック機構を構成するロックレバー72は断面形状がほぼ逆V字型の板バネであり、ロックレバー72の下側の端部(固定端部)は固定ネジ74a,74bによってベース11に固定されている。図31に示すような紙押さえ部21dが開放状態の場合は、図33(b)に示すように、固定端部に対向する、逆V字型のロックレバー72の可動端部の側面がロックプレート26mの突出部の左端面を、弾性力で押圧している。
第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図32に示すように、紙押さえ部21dがヒンジ部35を支点としてベース11に対して回転移動して紙葉類1eを穿孔すると、逆V字型のロックレバー72の可動端部の先端がロックプレート26mの突出部の上面に移動する。逆V字型のロックレバー72の可動端部の先端がロックプレート26mの突出部の上面に掛けられると、図33(a)に示すように、ロックレバー72の弾性力により、可動端部の先端はロックプレート26m上を摺動し、ロックプレート26m上に設けられた用紙押出ピン73を右方向に保持長Δdcの距離駆動する。可動端部の先端の横面が用紙押出ピン73を紙葉類1eを右方向に保持長Δdcの距離分移動させることにより、図32に示すように、紙葉類1eの端部を用紙ガイド29cの庇部からの落下させることができる。ロックレバー72の可動端部がロックプレート26mの位置を固定して、紙押さえ部21dのベース11に対する相対的位置を固定(ロック)することにより、 図32に示すように、穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bによって収納保持(ストック)され、離脱しないようにファイル帳に収納できる。第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルとは異なり、用紙押出ピン73を備えているので、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの突出長Δd0は保持長Δdcよりも短くても、確実に、紙葉類1eの端部を用紙ガイド29cの庇部からの落下させることができる。又、用紙ガイド29cの庇部の幅は、両端部の幅を長くしておけばよいので、中央部の幅で決まる保持長Δdcの値そのものも、第1の実施の形態の保持長Δdc=よりも短くできる。よって、例えば、用紙ガイド29cの長手方向の中央部における保持長Δdc=1.3mm〜3mm程度の値が採用可能であり、より好ましくは、保持長Δdc=1.5mm〜3.0mm程度の値が採用可能である。この場合、第1の凸刃及び第2の凸刃の突出長Δd0は0.8mm〜1.5mm程度の値が採用可能である。
図30(b)に示した紙押さえ部21dの中央の窓部を用いて、ロックレバー72の頂部の位置を駆動すると、ロックレバー72の可動端部の先端がロックプレート26m上を左方向に摺動し、図33(b)に示すように、ロックレバー72の可動端部の先端がロックプレート26m上から落下し、ロックレバー72のロックプレート26mに対する固定が解除される。ロックレバー72のロックプレート26mに対する固定が解除されると、ロックプレート26mは上方に移動可能になる。則ち、ロックレバー72のロックプレート26mに対する固定が解除されると、紙押さえ部21dはヒンジ部35を支点として、上方に回転移動(スイング)して、図30(a)及び図31に示すような開放状態となる。なお、図示を省略しているが、ヒンジ部35を介してヒンジ部設置板23と紙押さえ部21dとに両端(両アーム)をそれぞれ固定したねじりバネ等の弾性体を設けておけば、ロックレバー72による固定を解除すれば、紙押さえ部21dがねじりバネの弾性力で上方にスイングして跳ね上がるので、紙押さえ部21dを開放する作業が容易になる。
図31及び図32に示したように、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃及び第2の凸刃を設けているので、穿孔されたパンチ孔の内径と、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在する。これにより、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……が、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bに、一定の遊びを有してガイドされるので、紙葉類71a,71b,71c,……が第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bに対して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿って、自在に移動できる。このため、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……のストック時の位置調整や、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易に可能になる。
第1及び第2の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルで説明したとおり、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれの先端が、用紙ガイド29cに向かって嘴状に突出するように、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの先端部の形状が、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bの長手方向に沿った中心軸に関して非対称に構成され、更に、第1の凸刃及び第2の凸刃の上端部の外周側が水平面に対しシャー角θを有したシャー面を構成しているので、本来的に、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれが、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔後、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29cから自動的に落下可能な構成であるが、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルでは、更に、ロックレバー72の弾性力により、ロックレバー72の可動端部の先端の横面が用紙押出ピン73を移動させることにより、紙葉類71a,71b,71c,……を用紙ガイド29cの庇部からの落下させることができる構造となっているので、より確実に、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29cから強制的に落下させることができる。
このように、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙押さえ部21dに設けられた用紙ガイド29cに紙葉類71eの端部を挿入した後、紙押さえ部21dを、ヒンジ部35を介してスイング駆動して、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bと噛み合わせた後固定するというワンタッチの作業で、瞬時に、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29cから強制的に落下させることができる。この結果、ワンタッチの作業で、紙葉類71eのパンチ孔間隔を規格値に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71eの第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bによる収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。なお、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29cから強制的に落下させることができるので、図7、図8、図10及び図12に示した長手方向の中心軸に対して対称的な構造を有する綴り棒12d,12e,12g,12iを第1及び第2の綴り棒として採用しても、ワンタッチの作業で、瞬時に、撓み等のない状態の実現と、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29cから強制的に落下させることができる。この結果、ワンタッチの作業で、紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔間隔を規格値に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1及び第2の綴り棒のガイドによるスムーズな自由落下による移動及び整列等を含む、一連の連続した6工程が、途中で作業者が紙葉類に手を触れることなく、自動的に実行される。そして、このワンタッチで6工程が瞬時に実行される作業を、随時必要に応じて繰り返すことにより、最終的に多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……の端部を揃えた整然とした収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。更に、第1の綴り棒12a及び第2の綴り棒12bのそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくして、先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在するので収納された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易で、取り出し時に紙葉類71a,71b,71c,……が破れる問題もない。又、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、パンチ孔間隔が規格値に適合するように制御して穿孔されるので、従来の穿孔機能を備えないバインダとの整合性も確保できる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図34〜図36に示すように、表紙と裏表紙とを背表紙を介して接続したファイル帳(図示省略。図4,図5及び図19参照。)と、裏表紙の背表紙側の端部の中央に固着されたベース11と、先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃を設けた第1の綴り棒12rと、第1の綴り棒12rから離間し、第1の綴り棒12rと同一形状、同一寸法を有し、先端部に第2の凸刃を設けた第2の綴り棒(図示省略。)と、第1の凸刃及び第2の凸刃の配列方向と平行方向に、第1の凸刃及び第2の凸刃から等距離となるように、線状に設定された基準位置決定部を基準とし、この基準位置決定部からそれぞれ等距離に設けられ、第1の凸刃及び第2の凸刃にそれぞれ陥合する第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)(図示省略。)を開孔し、第1及び第2の綴り棒の先端部の一部を収納可能とし、且つ第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)に連続した紙屑収納空間25(図35及び図36参照。)を内部に設け、ベース11に対し相対的に移動可能な紙押さえ部21bとを備える点では、第1〜第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様である。
しかしながら、図34〜図36に示すように、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒がベース11の垂直方向に対し傾斜角ηの方向を長手方向として定義している。そして、図34〜図36に示すように、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒が、ベース11の垂直方向に対し傾斜角ηで、傾斜して固定されている点で、第1〜第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの構造とは異なる。傾斜角ηとしては、8〜20°程度が好ましく、更に10〜15°程度が、より好ましい傾斜角ηの範囲である。
又、図示を省略しているが、紙押さえ部21bの一部には、紙屑取出蓋が設けられ、随時、紙屑収納空間にたまった紙屑(パンチ滓)を排出可能にしている。ベース11の背表紙側の端部には、ヒンジ部設置板23の下端が接続されている。ヒンジ部設置板23は、側壁として機能するように、ベース11に対してL字型に接続され、固定されている。このヒンジ部設置板23の上端にヒンジ部35が設けられ、ヒンジ部35が、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの基準位置決定部として機能している。そして、図34.図35及び図36を比較すれば分かるように、このヒンジ部35を支点として、紙押さえ部21bが、ベース11に対して回転移動することにより、スイング式の運動軌跡に沿って、第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)が、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃に同時に陥合する。
第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図34〜図36に示すように、紙押さえ部21bのベース11に対向する面側には、傾斜フック26INCが、鈍角の開放角の凹部を構成するように、紙葉類端部整合面に対し傾斜して設けられている。傾斜フック26INCは、被処理対象である紙葉類の端部をV字型の凹部の一番奥の紙葉類端部整合面に衝突するように挿入して、紙葉類の端部を水平に撓み等がないように保持した状態で、紙葉類の端部の位置を決定し、端部における穿孔位置及び穿孔間隔を制御する「端部制御機構」として機能する。図34に示すように、被処理対象である紙葉類71eを作業者の指1で保持して、紙葉類71eの端部を傾斜フック26INCによって構成された凹部に挿入し、紙葉類71eの端部の下面を保持長Δd1の庇部によって支持し、紙葉類71eの端部の位置を紙葉類端部整合面で揃えることにより、紙葉類71a,71b,71c,71d,71d,71eのそれぞれに対する第1の凸刃及び第2の凸刃による穿孔位置及び穿孔間隔を精密に制御し、統一することができる。傾斜フック26INCに紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部を水平に撓み等がないように揃えて収納することにより、パンチ孔の間隔のずれ(拡大)がないように、間隔を規格値に正確且つ精密に統一できるので、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒にガイドされた自由落下もスムーズになり、50枚、100枚、200枚等の多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……を、整然とそれぞれの端部が揃うように整合させ、効率良く収納保持(ストック)することができる。
第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、更に、図36(b)に示すように断面形状がS字型の板バネからなるロックレバー75を備えロック機構を構成している。ロック機構をなすロックレバー75の下側の端部(固定端)は、ベース11に固定されている。そして、 第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様であるが、 図34〜図36(a)に示すように、紙押さえ部21bのベース11に対向する面の中央付近には、ロックレバー75の位置に対向してL字型に折り曲げられた帯状の鈎部61が設けられている。この結果、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、紙押さえ部21bをスイング運動させて、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔すると、図36(b)に示すように、S字の側面形状をなすロックレバー75の上側の端部(開放端)が鈎部61の突出部の上面に掛けられる位置にまで、鈎部61が下降する。鈎部61の位置が移動した結果、ロックレバー75の開放端の先端が鈎部61に掛かることにより、ロックレバー75が鈎部61の位置を固定して、紙押さえ部21bのベース11に対する相対的位置を固定(ロック)する。則ち、ロックレバー75を用いて、紙押さえ部21bのスイング運動を固定して、 穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒によって収納保持(ストック)され、離脱しないようにファイル帳に収納できる。
紙押さえ部21bの下方へのスイング運動に伴うロックレバー75のロック動作により、 穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒によって収納保持(ストック)され、離脱しないように収納できる。一方、図示を省略した紙押さえ部21bの中央の窓部を用いて、ロックレバー75の頂部の位置を駆動すると、図35に示したように、ロックレバー75の鈎部61に対する固定が解除され、鈎部61は上方に移動可能になる。ロックレバー75の鈎部61に対する固定が解除されると、紙押さえ部21bはヒンジ部35を支点として、上方に回転移動(スイング)して、図34に示すような開放状態となる。なお、図示を省略しているが、ヒンジ部35を介してヒンジ部設置板23と紙押さえ部21bとに両端(両アーム)をそれぞれ固定したねじりバネ等の弾性体を設けておけば、ロックレバー75の鈎部61に対する固定を解除すれば、紙押さえ部21bがねじりバネの弾性力で上方にスイングして跳ね上がるので、紙押さえ部21bを開放する作業が容易になる。
図34〜図36に示したように、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒のそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃及び第2の凸刃を設けているので、穿孔されたパンチ孔の内径と、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒の先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在する。これにより、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……が、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒に、一定の遊びを有してガイドされるので、紙葉類71a,71b,71c,……が第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒に対して、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒の長手方向に沿って、自在に移動できる。このため、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……のストック時の位置調整や、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易に可能になる。
第1〜第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルで説明したとおり、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれの先端が、傾斜フック26INCに向かって嘴状に突出するように、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒の先端部の形状が、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒の長手方向に沿った中心軸に関して非対称に構成され、更に、第1の凸刃及び第2の凸刃の上端部の外周側が水平面に対しシャー角θを有したシャー面を構成しているので、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれが、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔後は、本来的に、紙葉類71a,71b,71c,……が傾斜フック26INCから自動的に落下する。しかしながら、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、更に、 第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒が、ベース11の垂直方向に対し傾斜角ηで、傾斜して固定されているので、より確実に、穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……の傾斜フック26INCからの落下が促進される。
このように、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙押さえ部21bに設けられた傾斜フック26INCに紙葉類71eの端部を挿入した後、紙押さえ部21bを、ヒンジ部35を介してスイング駆動して、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒と噛み合わせた後固定するというワンタッチの作業で、瞬時に、紙葉類71eのパンチ孔間隔を規格値に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71eの第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒による収納保持(ストック)が、より確実な穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……の傾斜フック26INCからの落下を伴って、簡単且つ迅速に達成できる。なお、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29cを効率良く落下させることができるので、図7、図8、図10及び図12に示した長手方向の中心軸に対して対称的な構造を有する綴り棒12d,12e,12g,12iを、それぞれ、ベース11の垂直方向に対し傾斜角ηで傾斜した構造に変形して、第1及び第2の綴り棒として採用しても、 傾斜した構造の効果により、ワンタッチの作業で、瞬時に、撓み等のない状態の実現と、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイド29cから強制的に落下させることができる。この結果、ワンタッチの作業で、紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔間隔を規格値に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1及び第2の綴り棒のガイドによるスムーズな自由落下による移動及び整列等を含む、一連の連続した6工程が、途中で作業者が紙葉類に手を触れることなく、自動的に実行される。そして、このワンタッチで6工程が瞬時に実行される作業を、随時必要に応じて繰り返すことにより、最終的に多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……の端部を揃えた整然とした収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。更に、第1の綴り棒12r及び第2の綴り棒のそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくして、先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在するので収納された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易で、取り出し時に紙葉類71a,71b,71c,……が破れる問題もない。又、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、パンチ孔間隔が規格値に適合するように制御して穿孔されるので、従来の穿孔機能を備えないバインダとの整合性も確保できる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図22〜図24に示すように、表紙と裏表紙とを背表紙を介して接続したファイル帳31と、裏表紙の背表紙側の端部の中央に固着されたベース11と、ベース11の垂直方向を長手方向とし、先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第1の綴り棒12pと、第1の綴り棒12pから離間し、第1の綴り棒12pと同一形状、同一寸法を有し、先端部に第2の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第2の綴り棒12qと、第1の凸刃及び第2の凸刃の配列方向に沿って、第1の凸刃から第1の作用距離離間し、且つ配列方向に沿って、第2の凸刃から第2の作用距離離間した位置に設定された基準位置決定部を基準とし、この基準位置決定部から第1の作用距離離間して設けられ、第1の凸刃に陥合する第1の凹刃22p、この基準位置決定部から第2の作用距離離間して設けられ、第2の凸刃に陥合する第2の凹刃22qをそれぞれ開孔し、第1及び第2の綴り棒12qの先端部の一部を収納可能とし、ベース11に対し相対的に移動可能な紙押さえ部21fとを備える。
図22〜図24に示すように、第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、基準位置決定部にヒンジ部36を更に備え、このヒンジ部36を支点として、紙押さえ部21fが、ベース11に対して回転移動することにより、第1の凹刃22p及び第2の凹刃22qが、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃に逐次、陥合する。ベース11の一方の端部の近傍のファイル帳31の裏表紙には、図22に示すように、ヒンジ部設置ブロック84の下端が接続されている。このヒンジ部設置ブロック84の上端にヒンジ部36が設けられ、ヒンジ部36が、第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの基準位置決定部として機能している。そして、図23と図24を比較すれば分かるように、このヒンジ部36を支点として、紙押さえ部21fが、ベース11に対して回転移動することにより、スイング式の運動軌跡に沿って、第1の凹刃(ダイ)22p及び第2の凹刃(ダイ)22qが、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃に同時に陥合する。
図示を省略しているが、第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいても、例えば、図14に示したようなL字型の用紙ガイドを備えるようにすることが好ましい。L字型の用紙ガイドは、紙押さえ部21fの背表紙側の端部に、紙押さえ部21fと平行方向に延在するように設けらればよい。用紙ガイドは、被処理対象である紙葉類の端部を挿入して、紙葉類の端部を水平に撓み等がないように保持した状態で、紙葉類の端部の位置を決定し、端部における穿孔位置及び穿孔間隔を制御する「端部制御機構」として機能する。被処理対象である紙葉類71eを作業者の指1で保持して、紙葉類71eの端部を図23の紙面の奥の方で、L字型の用紙ガイドによって構成された段差部に挿入し、紙葉類71eの端部の下面を所定の保持長の庇部によって支持し、紙葉類71eの端部の位置をガイドして揃えることにより、紙葉類71a,71b,71c,71d,71dのそれぞれに対する第1の凸刃及び第2の凸刃による穿孔位置及び穿孔間隔を精密に制御し、統一することができることは、第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様である。用紙ガイドに紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部を水平に撓み等がないように揃えて収納することにより、パンチ孔の間隔のずれ(拡大)がないように、間隔を規格値に正確且つ精密に統一できるので、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qにガイドされた自由落下もスムーズになり、50枚、100枚、200枚等の多数の紙葉類71a,71b,71c,……を、整然とそれぞれの端部が揃うように整合させ、効率良く収納保持(ストック)することができる。用紙ガイドには、図14に示したのと同様な、A4,B5,A5等の種々のサイズの紙葉類71a,71b,71c,……の両側端部の位置を表示しておけばよい。
図22において、紙押さえ部21fの上端に紙押さえ部21fをロックするロック機構を構成するロックレバー85の頂部の一部が見えている。第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図23及び図24に示すように、鈎型の側面形状をなすロックレバー85の顎の下が紙押さえ部21fの端部の上面に掛けられる。ロックレバー85の頭を図23の紙面の奥から前方向にスイングし、ロックレバー85の顎の下が紙押さえ部21fの端部に掛け、紙押さえ部21fの端部の位置を固定して、紙押さえ部21fのベース11に対する相対的位置を固定(ロック)することにより、 穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qによって収納保持(ストック)され、離脱しないように収納できる。なお、図示を省略しているが、第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様に、紙押さえ部21fを屋根付きの膨らんだ構造とし、紙押さえ部21fの内部(屋根の下)に、紙屑収納空間を配置し、穿孔後の紙屑(パンチ滓)を紙屑収納空間に収納できるようにしてもよい。特に、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの先端に設けられた鋭利な凸刃により、指等を傷つけない安全性のためには、紙押さえ部21fに屋根を設けて、屋根の下に構成される紙屑収納空間の内部に凸刃が収納される構造が好ましい。紙押さえ部21fの内部に紙屑収納空間を設けた場合には、紙押さえ部21fの側壁や上部の一部又は全部に紙屑取出蓋を設け、随時、紙屑取出蓋を解放して、紙屑収納空間にたまった紙屑(パンチ滓)を排出可能にすることが好ましいことも、第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様である。
図24に示したロックレバー85のロック動作により、
穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qによって収納保持(ストック)され、離脱しないように収納できる。一方、 図24に示した状態で、ロックレバー85の頂部の位置を紙面の奥方向にスイングするように駆動すると、ロックレバー85の紙押さえ部21fの端部に対する固定が解除され、紙押さえ部21fの端部は上方に移動可能になる。ロックレバー85の紙押さえ部21fの端部に対する固定が解除されると、紙押さえ部21fはヒンジ部36を支点として、上方に回転移動(スイング)して、図23に示すような開放状態に戻る。なお、図示を省略しているが、ヒンジ部36を介してヒンジ部設置ブロック84と紙押さえ部21fとに両端(両アーム)をそれぞれ固定したねじりバネ等の弾性体を設けておけば、ロックレバー85の固定を解除すれば、紙押さえ部21fがねじりバネの弾性力で上方にスイングして跳ね上がるので、紙押さえ部21fを開放する作業が容易になる。
図23及び図24に示した断面図では第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qはあたかもストレートな円柱状であるかのように示されているが、第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、図23及び図24の紙面の奥の方に向かって、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qのそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃及び第2の凸刃を設けているので、穿孔されたパンチ孔の内径と、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在することは、第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様である。
則ち、第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様に、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……が、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qに、一定の遊びを有してガイドされるので、紙葉類71a,71b,71c,……が第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qに対して、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの長手方向に沿って、自在に移動できる。このため、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……のストック時の位置調整や、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易に可能になる。
特に、第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルで説明したとおり、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれの先端が、紙面の奥に位置する用紙ガイドに向かって嘴状に突出するように、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの先端部の形状が、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの長手方向に沿った中心軸に関して非対称に構成されている。則ち、図23及び図24において第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの上端部の外周側は、右下がりのシャー角θを示しているが、右下がりの第1のシャー角θに加えて、図23及び図24の紙面の奥に向かって昇る第2のシャー角θがあるので、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの上端部の外周側が構成するシャー面は紙面の手前側の右側に向かう傾斜を有する。
第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの上端部の外周側が構成するシャー面は紙面の手前側の右側に向かう傾斜を有するので、穿孔時に紙押さえ部21fから紙葉類71a,71b,71c,……に対して、垂直方向に加えられる加工応力が、紙葉類71a,71b,71c,……を垂直方向に外周抜きを行う打ち抜き剪断力成分と、紙葉類71a,71b,71c,……を水平方向(図23において右方向且つ紙面の手前方向)に移動させる水平駆動力成分とに分解できる。このため、用紙ガイドによって構成された凹部に挿入された紙葉類71eの紙面の奥の端部が、剪断加工の開始に伴い右方向且つ紙面の手前方向に駆動され、更に、剪断加工が進行して、紙屑(パンチ滓)が形成された段階では、紙葉類71eは用紙ガイドの庇部の幅に相当する距離分紙面の手前方向の平行移動がなされる。
このように、第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれが、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔後、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qの先端部の非対称の形状の効果によって、紙葉類71a,71b,71c,……が用紙ガイドから自動的に落下し、それぞれ第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qによって収納保持(ストック)される。したがって、第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙押さえ部21fに設けられた用紙ガイドに紙葉類71eの端部を挿入した後、紙押さえ部21fを、ヒンジ部36を介してスイング駆動して、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qと噛み合わせた後、ロックレバー85で紙押さえ部21fの端部を固定する、というワンタッチの作業で、瞬時に、紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔間隔を規格値に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qのガイドによるスムーズな自由落下による移動及び整列等を含む、一連の連続した6工程が、途中で作業者が紙葉類に手を触れることなく、自動的に実行される。そして、このワンタッチで6工程が瞬時に実行される作業を、随時必要に応じて繰り返すことにより、最終的に多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……の端部を揃えた整然とした収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。更に、第1の綴り棒12p及び第2の綴り棒12qのそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくして、先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在するので収納された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易で、取り出し時に紙葉類71a,71b,71c,……が破れる問題もない。又、第5の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、パンチ孔間隔が規格値に適合するように制御して穿孔されるので、従来の穿孔機能を備えないバインダとの整合性も確保できる。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図21に示すように、表紙と裏表紙とを背表紙を介して接続したファイル帳(図示省略。図4,図5及び図19等参照。)と、裏表紙の背表紙側の端部の中央に固着されたベース11と、ベース11の垂直方向を長手方向とし、先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第1の綴り棒12kと、第1の綴り棒12kから離間し、第1の綴り棒12kと同一形状、同一寸法を有し、先端部に第2の凸刃を設け、ベース11に垂直方向に固定された第2の綴り棒(紙面の奥のため図示を省略。)と、第1の凸刃及び第2の凸刃の配列方向と平行方向に、第1の凸刃及び第2の凸刃から等距離となるように、線状に設定された基準位置決定部を基準とし、この基準位置決定部からそれぞれ等距離に設けられ、第1の凸刃及び第2の凸刃にそれぞれ陥合する第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)(紙面の奥のため図示を省略。)を開孔し、第1及び第2の綴り棒の先端部の一部を収納可能とし、ベース11に対し相対的に移動可能な紙押さえ部21eとを備える点では、第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルと同様である。
ベース11の背表紙側には、円筒状のシリンダ部65の下端が接続されている。シリンダ部65の内部の下部には、コイルバネ又は円錐バネ等の押しバネ(圧縮バネ)66が収納されている。紙押さえ部21eの背表紙側の端部近傍には円柱状のピストン部67が設けられている。このため、紙押さえ部21eを垂直に押し下げると、ピストン部67がシリンダ部65の内壁にガイドされ、シリンダ部65の内部を摺動できる。そして、図21(a)と図21(b)を比較すれば分かるように、シリンダ部65の内壁にガイドされて、ピストン部67がシリンダ部65の内部を摺動することにより、紙押さえ部21eが、ベース11に対して並進運動することにより、ギロチン式の運動軌跡に沿って、第1の凹刃(ダイ)22a及び第2の凹刃(ダイ)が、それぞれ第1の凸刃及び第2の凸刃に同時に陥合する。
第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図21に示すように、紙押さえ部21eのベース11に対向する面には、L字型のガイド用フック26が設けられている。ガイド用フック26は、被処理対象である紙葉類の端部を挿入して、紙葉類の端部を水平に撓み等がないように保持した状態で、紙葉類の端部の位置を決定し、端部における穿孔位置及び穿孔間隔を制御する「端部制御機構」として機能する。図21(a)に示すように、被処理対象である紙葉類71eの端部をL字型のガイド用フック26によって構成された段差部に挿入し、紙葉類71eの端部の下面を所定の保持長の庇部によって支持し、紙葉類71eの端部の位置をガイドして揃えることにより、紙葉類71a,71b,71c,71d,71dのそれぞれに対する第1の凸刃及び第2の凸刃による穿孔位置及び穿孔間隔を精密に制御し、統一することができる。ガイド用フック26に紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部を水平に撓み等がないように揃えて収納することにより、パンチ孔の間隔のずれ(拡大)がないように、間隔を規格値に正確且つ精密に統一できるので、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒にガイドされた自由落下もスムーズになり、50枚、100枚、200枚等の多数の紙葉類71a,71b,71c,……を、整然とそれぞれの端部が揃うように整合させ、効率良く収納保持(ストック)することができる。ガイド用フック26の代わりに、図14に示すように、A4,B5,A5等の種々のサイズの紙葉類71a,71b,71c,……の両側端部の位置を表示した用紙ガイドを用いても構わない。
図21に示すように、ベース11の背表紙側の端部近傍には、ロック機構を構成するロックレバー81が回転軸82を用いて回転運動可能に設けられている。第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルは、図21(b)に示すように、鈎型の側面形状をなすロックレバー81の顎の下が紙押さえ部21eの側面側端部の上面に掛けられる。ロックレバー81の顎の下が紙押さえ部21eの側面側端部の上面を押圧し、紙押さえ部21eの側面側端部の位置を固定して、紙押さえ部21eのベース11に対する相対的位置を固定(ロック)することにより、 穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒によって収納保持(ストック)され、離脱しないように収納できる。紙押さえ部21eを垂直に押し下げるという動作によって、シリンダ部65の内壁にガイドされて、ピストン部67がシリンダ部65の内部を摺動し、紙押さえ部21eがベース11に対して垂直方向に並進運動することにより、紙押さえ部21eの側面側端部の位置が下がるので、ロックレバー81の頭を回転運動することにより、ロックレバー81の顎の下に紙押さえ部21eの側面側端部の上面が挿入される。
このロックレバー81のロック動作により、 穿孔後の紙葉類71a,71b,71c,……が、それぞれ第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒によって収納保持(ストック)され、離脱しないように収納できる。一方、 図21(b)に示した状態で、ロックレバー81の頂部の位置を左方向に回転駆動すると、ロックレバー81の紙押さえ部21eの側面側端部に対する固定が解除され、押しバネ(圧縮バネ)66の弾性力により、紙押さえ部21eの側面側端部は上方に移動して、図21(a)に示すような開放状態に戻る。
図21に示したように、第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいては、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒のそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくし、この先端部に第1の凸刃及び第2の凸刃を設けているので、穿孔されたパンチ孔の内径と、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒の先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在する。これにより、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……が、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒に、一定の遊びを有してガイドされるので、紙葉類71a,71b,71c,……が第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒に対して、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒の長手方向に沿って、自在に移動できる。このため、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……のストック時の位置調整や、穿孔された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易に可能になる。
図21に示すように、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒の上端部は、上端部の外周側が水平面に対しシャー角θを有した傾斜となるシャー面をそれぞれ構成しているので、穿孔時に紙押さえ部21eから紙葉類71a,71b,71c,……に対して、垂直方向に加えられる加工応力が、紙葉類71a,71b,71c,……を垂直方向に外周抜きを行う打ち抜き剪断力成分と、紙葉類71a,71b,71c,……を水平方向(図21において右方向)に移動させる水平駆動力成分とに分解できる。このため、図21(a)に示すように、L字型のガイド用フック26によって構成された凹部に挿入された紙葉類71eの左側の端部が、剪断加工の開始に伴い右方向に駆動され、剪断加工が進行して、紙屑(パンチ滓)が形成された段階では、紙葉類71eはガイド用フック26の庇部の幅に相当する距離の平行移動がなさ、紙葉類71eの端部はガイド用フック26から自動的に落下する。
第1〜第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルで説明したとおり、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれの先端が、ガイド用フック26に向かって嘴状に突出するように、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒の先端部の形状が、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒の長手方向に沿った中心軸に関して非対称に構成され、且つ上端部の外周側がシャー角θを有して傾斜しているので、第1の凸刃及び第2の凸刃のそれぞれが、紙葉類71a,71b,71c,……を穿孔後、紙葉類71a,71b,71c,……のそれぞれの端部がガイド用フック26から自動的に落下し、それぞれ第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒によって収納保持(ストック)される。
このように、第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、紙押さえ部21eに設けられたガイド用フック26に紙葉類71eの端部を挿入した後、紙押さえ部21eを垂直に押し下げ、ピストン部67をシリンダ部65の内部を垂直方向に摺動させ、紙押さえ部21eを並進駆動させ、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒と噛み合わせた後、ロックレバー81で固定するというワンタッチの作業で、瞬時に、紙葉類71a,71b,71c,……のパンチ孔間隔を規格値に統一した穿孔と、穿孔が完了した紙葉類71a,71b,71c,……の第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒のガイドによるスムーズな自由落下による移動及び整列等を含む、一連の連続した6工程が、途中で作業者が紙葉類に手を触れることなく、自動的に実行される。そして、このワンタッチで6工程が瞬時に実行される作業を、随時必要に応じて繰り返すことにより、最終的に多数の枚数の紙葉類71a,71b,71c,……の端部を揃えた整然とした収納保持(ストック)が、簡単且つ迅速に達成できる。更に、第1の綴り棒12k及び第2の綴り棒のそれぞれの先端部の径を他の部分の径よりも大きくして、先端部以外の箇所の外径には一定の遊び(空隙)が存在するので収納された紙葉類71a,71b,71c,……の取り出しが容易で、取り出し時に紙葉類71a,71b,71c,……が破れる問題もない。又、第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルによれば、パンチ孔間隔が規格値に適合するように制御して穿孔されるので、従来の穿孔機能を備えないバインダとの整合性も確保できる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第6の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、既に述べた第1の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいて、ファイル帳31の裏表紙の背表紙側の両隅に、用紙角部ガイド37a,37bを設けて、紙葉類71a,71b,71c,……に対する穿孔位置の制御が容易になるように構成してもよい。又、第1〜第6の実施の形態では2穴のパンチについて説明したが、例示であり、綴り棒を3本にして、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコの一部及びフィリピン等で用いられているレターサイズ(216×279mm)用の3穴のパンチにするような変形も、上記の第1〜第6の実施の形態の開示内容から、当業者であれば、容易に実施可能であろう。3穴のパンチの場合、パンチ孔の間隔(ピッチ)は、正規の規格というものがないが、108mmが典型的な値であり、本発明の「端部制御機構」を採用することにより、レターサイズの紙の端部を水平に撓み等がないように保持した状態で、紙葉類の端部の位置を決定し、穿孔位置(端部から12mmが典型)及び穿孔間隔(108mm)を制御することができる。更に、4穴、6穴、22穴、26穴、30穴等の4穴以上のパンチに本発明が適用可能であることは勿論である。
又、第1〜第6の実施の形態のいずれかにおいて例示した穿孔機能付きファイルの構造の一部を、第1〜第6の実施の形態の他のいずれかの構造として採用することも可能である。例えば、第3の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいて、説明した庇部の幅が、長手方向の両端部の幅に比し、中央部の幅が狭く構成された構造の用紙ガイド29cを、第1、第2、又は第4〜第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルの構造として採用することや、第4の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルにおいて、説明したロックレバー75を適宜変更して、第1〜第3、第5又は第6の実施の形態に係る穿孔機能付きファイルのロック機構の構造として採用することが許容される。
又、第1の実施の形態で説明したとおり、便宜上、ファイル帳31としてA4の紙が収納できるバインダファイルを例示したが、穿孔機能付きファイルのサイズはA4に限定されるものではなく、穿孔機能付きファイルとしては、バインダファイルの他、種々のフォルダ,ルーズリーフ形式のノートブック或いは、ルーズリーフ形式の手帳等に適用可能なことは勿論である。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。