JP6972801B2 - 過酸化水素製造用作動溶液の調製方法 - Google Patents
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Description
リン酸トリス(2−エチルヘキシル)(CAS番号:78−42−2、以下、トリオクチルホスフェートまたはTOPと表記することがある)の場合、メリットとしては、水への溶解度が低い等の理由から、低TOC(Total Organic Carbon、全有機体炭素)の過酸化水素を取得し易い点が挙げられ、デメリットとしては、分解によって生じる酸不純物が触媒毒となる点、作動溶液の抽出工程における液液分離性が悪い傾向にある点、これらの結果として安定運転が困難になり得る点、リン含有廃液が生じる点、作動溶液の分配係数が低くなり、抽出し得る過酸化水素の濃度が低い点などが挙げられる。
このため、作動溶液の組成の一部であるトリオクチルホスフェートを効率的に除く技術の提供は有用と考えられる。
本発明の1つの目的は、過酸化水素製造用作動溶液中のトリオクチルホスフェートを効率よく除去する方法を提供することである。
〔1〕 アントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液を調製する方法であって、
芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒と、回収したアントラキノン類と、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒とを混合し、トリオクチルホスフェートを実質的に含まないトリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程と
を含む、方法。
〔2〕 芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程が、
(i) 前記過酸化水素製造用作動溶液から芳香族溶媒を回収し、芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類を回収する工程、
(ii) 前記過酸化水素製造用作動溶液においてトリオクチルホスフェートを加水分解し、トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒およびアントラキノン類を回収する工程、
または、
(iii) 前記過酸化水素製造用作動溶液から、アントラキノン類を再結晶により回収し、アントラキノン類回収後の作動溶液から、芳香族溶媒を回収する工程
を含む、〔1〕に記載の方法。
前記作動溶液の少なくとも一部を過酸化水素製造プロセスから回収する工程と、
回収した作動溶液から芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェートを実質的に含まないトリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程と、
得られたトリオクチルホスフェート不含作動溶液を過酸化水素製造プロセスに加える工程と、
を含む、方法。
〔4〕 回収した作動溶液から芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程が、
(i)前記作動溶液から芳香族溶媒を回収し、芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類を回収する工程、
(ii)前記作動溶液においてトリオクチルホスフェートを加水分解し、トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒およびアントラキノン類を回収する工程、または
(iii)前記作動溶液からアントラキノン類を再結晶により回収し、アントラキノン類回収後の作動溶液から芳香族溶媒を回収する工程
を含む、〔3〕に記載の方法。
〔6〕 トリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程が、回収した芳香族溶媒と、回収したアントラキノン類と、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒との混合物を、水および/またはアルカリで洗浄する工程を含む、〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕 トリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程において、前記トリオクチルホスフェート不含作動溶液が、飽和水分量の20%〜160%の水を含むように調整される、〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
芳香族溶媒回収後の作動溶液をアルカリ、酸または酵素により処理し、トリオクチルホスフェートを加水分解する工程と、
トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、アントラキノン類を有機相に抽出する工程と、
蒸留によりアントラキノン類を回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェート不含作動溶液を得る工程と、
を含む、〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕 前記無機塩基水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である、〔9〕に記載の方法。
〔11〕 前記芳香族溶媒の回収が、大気圧またはそれ以下の圧力下での第1の蒸留により行われる、〔1〕から〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔12〕 前記蒸留によりアントラキノン類を回収する工程が、第1の蒸留より低い圧力下での、160℃以上の蒸留により行われる、〔11〕に記載の方法。
〔13〕 トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去する工程におけるトリオクチルホスフェートの除去率が、1%〜100%である、〔1〕から〔12〕のいずれか一項に記載の方法。
〔15〕 トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ラインと、トリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ラインとにより過酸化水素製造装置と連通している、〔14〕に記載のシステム。
〔16〕 洗浄剤供給ラインと廃液ラインと洗浄済作動溶液輸送ラインとを備えた洗浄槽をさらに備え、調製槽と洗浄槽とはトリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ラインにより連通している、〔14〕または〔15〕に記載のシステム。
(1)トリオクチルホスフェートを含む作動溶液から、簡易な方法でトリオクチルホスフェートを除去することができる。
(2)トリオクチルホスフェートを含む作動溶液から、効率よくトリオクチルホスフェートを除去することができる。
(3)過酸化水素製造プロセスを稼働させたまま、作動溶液中のトリオクチルホスフェートを他の極性溶媒に置換することができるため、過酸化水素プロセスの中断による悪影響が生じることがない。
(4)使用中の作動溶液のトリオクチルホスフェート以外の成分を再利用することができるため、作動溶液のロスを最小限に抑えることができる。
(5)作動溶液中の不活性物質も同時に除去することができる。
芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒と、回収したアントラキノン類と、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒とを混合し、トリオクチルホスフェートを実質的に含まないトリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程と
を含む、アントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液を調製する方法に関する(以下、本発明の作動溶液調製方法と称することがある)。
作動溶液に含まれるアントラキノン類は、アントラキノン法により過酸化水素を産生し得るものであれば特に限定されず、アントラキノン(9,10−アントラセンジオン)、テトラヒドロアントラキノンおよびその誘導体が挙げられる。アントラキノンの誘導体としては、限定されずに、例えば、アルキルアントラキノンが挙げられる。アルキルアントラキノンは、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアントラキノンを意味する。特定の態様において、アルキルアントラキノンは、少なくとも1個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の脂肪族置換基により、1、2または3位が少なくとも一置換されたアントラキノンを含む。アルキルアントラキノンにおけるアルキル置換基は、好ましくは1〜9個、より好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。アルキルアントラキノンの具体例としては、限定されずに、例えば、メチルアントラキノン(2−メチルアントラキノン等)、ジメチルアントラキノン(1,3−、2,3−、1,4−、2,7−ジメチルアントラキノン等)、エチルアントラキノン(2−エチルアントラキノン等)、プロピルアントラキノン(2−ノルマルプロピルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン等)、ブチルアントラキノン(2−sec−、2−tert−ブチルアントラキノン等)、アミルアントラキノン(2−sec−、2−tert−アミルアントラキノン等)などが挙げられる。作動溶液は、1種または2種以上のアントラキノン類を含んでもよい。
(i)前記過酸化水素製造用作動溶液から芳香族溶媒を回収し、芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類を回収する工程、
(ii)前記過酸化水素製造用作動溶液においてトリオクチルホスフェートを加水分解し、トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒およびアントラキノン類を回収する工程、
または、
(iii)前記過酸化水素製造用作動溶液から、アントラキノン類を再結晶により回収し、アントラキノン類回収後の作動溶液から、芳香族溶媒を回収する工程
を含んでもよい。
また、トリオクチルホスフェートを加水分解した後の反応系は、必要に応じて上記の抽出工程および/または洗浄工程を経た後、アントラキノン類(反応系に芳香族溶媒が含まれる場合は、アントラキノン類と芳香族溶媒)を回収する前に乾燥(脱水)工程に供して水を除去してもよい。乾燥は、既知の任意の方法、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウムなどの脱水剤による脱水などによって行うことができる。脱水剤を使用した場合は、脱水反応後の脱水剤を除去することが好ましい。脱水剤の除去には、例えば、ろ過、沈殿、遠心分離などの手法を用いることができる。
(i)作動溶液調製方法A
作動溶液から芳香族溶媒を回収してから、トリオクチルホスフェートを加水分解により除去し、アントラキノン類を回収する。
(ii)作動溶液調製方法B
作動溶液から芳香族溶媒を回収してから、アントラキノン類を再結晶させることにより回収し、トリオクチルホスフェートを除去する。
(iii)作動溶液調製方法C
作動溶液中のトリオクチルホスフェートを加水分解により除去してから、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する。
(iv)作動溶液調製方法D
作動溶液中のアントラキノン類を再結晶させることにより回収してから、芳香族溶媒を回収し、トリオクチルホスフェートを除去する。
作動溶液調製方法Bの一態様は、作動溶液から蒸留により芳香族溶媒を回収する工程と、芳香族溶媒回収後の作動溶液に再結晶溶媒を加え、アントラキノン類を再結晶させて回収する工程と、回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェート不含作動溶液を得る工程とを含む。
作動溶液調製方法Dの一態様は、作動溶液に再結晶溶媒を加え、アントラキノン類を再結晶させて回収する工程と、アントラキノン類回収後の作動溶液から蒸留により芳香族溶媒を回収する工程と、回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェート不含作動溶液を得る工程とを含む。
上記各態様における各工程の詳細は、上記で説明したとおりである。
除去率(%)=100−(残存量÷初期量×100)
上式中、残存量は、本発明の作動溶液調製方法で得られるトリオクチルホスフェート不含作動溶液に残存するトリオクチルホスフェートの量を、初期量は、本発明の作動溶液調製方法に供する前の作動溶液に含まれるトリオクチルホスフェートの量をそれぞれ表す。トリオクチルホスフェートの量は、例えば、重量、モル数、クロマトグラムのピーク面積などであってよい。
アルカリによる洗浄は、前記混合物をアルカリ水溶液などで洗浄することにより行うことができる。アルカリ水溶液に含まれるアルカリとしてはアルカリ金属が好ましい。洗浄で使用されるアルカリ金属は、周期表第Ia族のアルカリ金属であればよいが、リチウム、ナトリウムあるいはカリウムが好ましい。これらを含む試薬に特に限定はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、二酸化ホウ素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、三酸化ホウ酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、三ケイ酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ホウ素カリウム、炭酸カリウム、シアン化カリウム、亜硝酸カリウム、カリウムフェノキシド、リン酸水素カリウム、二リン酸カリウム、スズ酸カリウムなどが例示される。好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウムであり、さらに好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウムであり、特に好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。アルカリ金属を含有するアルカリ水溶液のpHは8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、特に好ましくは12以上である。
混合物とアルカリ水溶液との接触時間は、例えば、1分以上、より好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上である。ここで好ましい重要な上限はなく、接触させる装置や作業の都合で適宜選択することができる。混合物とアルカリ水溶液との接触温度は、例えば、0℃〜70℃、好ましくは10℃〜60℃に、特に好ましくは20℃〜50℃の範囲である。混合物とアルカリ水溶液との接触処理中の圧力は特に限定はないが、通常常圧に保たれることが好都合である。接触を終えたアルカリ水溶液は混合物から分離され排出される。アルカリ洗浄は1回以上、例えば、1回、2回または3回以上行うことができる。
洗浄は水のみ、または、アルカリのみで行っても、水による洗浄とアルカリによる洗浄を両方行ってもよい。水による洗浄とアルカリによる洗浄を両方行う場合、水による洗浄はアルカリ洗浄の前に行っても後に行っても、前と後の両方で行ってもよい。
前記作動溶液の少なくとも一部を過酸化水素製造プロセスから回収する工程と、
回収した作動溶液から芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェートを実質的に含まないトリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程と、
得られたトリオクチルホスフェート不含作動溶液を過酸化水素製造プロセスに加える工程と、
を含む、方法に関する(以下、本発明の極性溶媒置換方法と称することがある)。
(i)前記作動溶液から芳香族溶媒を回収し、芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類を回収する工程、
(ii)前記作動溶液においてトリオクチルホスフェートを加水分解し、トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒およびアントラキノン類を回収する工程、または
(iii)前記作動溶液からアントラキノン類を再結晶により回収し、アントラキノン類回収後の作動溶液から芳香族溶媒を回収する工程
を含んでもよい。
アントラキノン法による過酸化水素製造プロセスは、当該技術分野において周知であり、典型的には、作動溶液を水素化する工程、水素化後の作動溶液を酸化する工程、酸化により生じた過酸化水素を水相に抽出する工程を含む。作動溶液の水素化は、例えば、作動溶液を、水素化触媒の存在下、水素ガスや不活性ガス(窒素ガス等)と水素ガスとの混合物などの水素を含む気体でバブリングすることなどにより行うことができる。水素化後の作動溶液の酸化は、例えば、作動溶液を空気や酸素ガスなどの酸素を含む気体でバブリングすることなどにより行うことができる。過酸化水素の水相への抽出は、例えば、酸化後の作動溶液を水と混合し、水相を分離することなどにより行うことができる。抽出した過酸化水素には、その後、精製、濃縮などの処理を行ってもよい。
芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収し、トリオクチルホスフェートの少なくとも一部を除去する工程と、
残存するトリオクチルホスフェートを回収する工程と、
回収したトリオクチルホスフェートと、回収した芳香族溶媒と、回収したアントラキノン類と、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒とを混合し、トリオクチルホスフェートが低減された低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製する工程と
を含む、アントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液を調製する方法に関する(以下、本発明の低TOP作動溶液調製方法と称することがある)。
(i) 芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、芳香族溶媒を回収する工程と、
芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートの一部を加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類および残存するトリオクチルホスフェートを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、回収したトリオクチルホスフェート、およびトリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製する工程と、
を含むか、または、
(ii) 芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液において、トリオクチルホスフェートの一部を加水分解する工程と、
トリオクチルホスフェートの一部が加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒、アントラキノン類および残存するトリオクチルホスフェートを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、回収したトリオクチルホスフェート、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製する工程と、
を含むか、または、
(iii) 芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、アントラキノン類を再結晶により回収する工程と、
アントラキノン類回収後の作動溶液から、芳香族溶媒およびトリオクチルホスフェートを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、回収したトリオクチルホスフェート、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製する工程と、
を含んでもよい。
(i)低TOP作動溶液調製方法A
作動溶液から芳香族溶媒を回収してから、トリオクチルホスフェートの一部を加水分解により除去し、アントラキノン類を回収する。
(ii)低TOP作動溶液調製方法B
作動溶液から芳香族溶媒を回収してから、アントラキノン類を再結晶させることにより回収し、トリオクチルホスフェートの一部を除去する。
(iii)低TOP作動溶液調製方法C
作動溶液中のトリオクチルホスフェートの一部を加水分解により除去してから、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する。
(iv)低TOP作動溶液調製方法D
作動溶液中のアントラキノン類を再結晶させることにより回収してから、芳香族溶媒を回収し、トリオクチルホスフェートの一部を除去する。
低TOP作動溶液調製方法Dにおいては、例えば、アントラキノン類を再結晶により回収した後の反応液から、トリオクチルホスフェートを蒸留などにより回収することができる。この反応液は芳香族溶媒を含むが、トリオクチルホスフェートの留出条件と芳香族溶媒の留出条件は異なるため、両者を別々に回収することができる。
低TOP作動溶液調製方法BおよびDにおいては、回収したトリオクチルホスフェートの混合量を調節することにより、所望のトリオクチルホスフェート含量を有する低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製することができる。
前記作動溶液の少なくとも一部を過酸化水素製造プロセスから回収する工程と、
回収した作動溶液から芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収し、トリオクチルホスフェートの少なくとも一部を除去する工程と、
残存するトリオクチルホスフェートを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、回収したトリオクチルホスフェート、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェートが低減された低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製する工程と、
得られた低トリオクチルホスフェート作動溶液を過酸化水素製造プロセスに加える工程と、
を含む、方法に関する(以下、本発明の作動溶液置換方法と称することがある)。
(i)回収した作動溶液から芳香族溶媒を回収し、芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートの一部を加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類および残存するトリオクチルホスフェートを回収する工程、
(ii)回収した作動溶液においてトリオクチルホスフェートの一部を加水分解し、トリオクチルホスフェートの一部が加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒、アントラキノン類および残存するトリオクチルホスフェートを回収する工程、または
(iii)回収した作動溶液からアントラキノン類を再結晶により回収し、アントラキノン類回収後の作動溶液から芳香族溶媒およびトリオクチルホスフェートを回収する工程
を含んでいてもよい。
図1には、蒸留塔101、反応槽102および調製槽103を備えた作動溶液製造システムの一態様(作動溶液製造システムA1)が記載されている。蒸留塔101は蒸留用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104aと、留出物輸送ライン105と、釜残排出ライン118とを備え、反応槽102は反応用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104bと、加水分解剤供給ライン106と、再結晶溶媒供給ライン107と、廃液ライン108とを備え、調製槽103は極性溶媒供給ライン109とトリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ライン110とを備え、蒸留塔101と反応槽102とは、蒸留原料供給ライン111と釜残輸送ライン112とにより連通し、留出物輸送ライン105と調製槽103とは、留出芳香族溶媒供給ライン113と留出アントラキノン類供給ライン114とにより連通し、反応槽102と調製槽103とは、再結晶アントラキノン類輸送ライン115により連通している。蒸留用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104aと反応用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104bは、トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104から分岐している。また、各ラインには、バルブVが備えられている。なお、簡潔のため、図1〜5において、バルブの符号「V」は、蒸留用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104aに備えられたものにのみ付してある。蒸留塔101は、様々な温度(例えば、120℃〜260℃)での減圧蒸留(例えば、0.1〜15kPa)が可能である。反応槽102は、温度調節装置を備えており、アントラキノン類の再結晶溶媒への加熱溶解と、その後の冷却によるアントラキノン類の再結晶が可能となっている。反応槽102はまた、フィルターを備えており、再結晶したアントラキノン類をろ別することが可能となっている。
図2には、作動溶液製造システムAにおいて、洗浄槽201、留出芳香族溶媒タンク202および留出アントラキノン類タンク203をさらに備えた、作動溶液製造システムB2が記載されている。なお、作動溶液製造システムB2において、図1に示した作動溶液製造システムAと同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明は省略する。以下の作動溶液製造システムC〜Eについても同様である。
洗浄槽201は、洗浄剤供給ライン204と、水供給ライン205と、洗浄済作動溶液輸送ライン206と、廃液ライン207とを備えている。作動溶液製造システムAと作動溶液製造システムB2とのさらなる構造的な違いは、作動溶液製造システムBにおいて、調製槽103と洗浄槽201とが、トリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ライン110によって連通している点、留出物輸送ライン105と留出芳香族溶媒タンク202とが、留出芳香族溶媒輸送ライン208によって連通している点、留出物輸送ライン105と留出アントラキノン類タンク203とが、留出アントラキノン類輸送ライン209によって連通している点、調製槽103と留出芳香族溶媒タンク202とが、留出芳香族溶媒供給ライン113によって連通している点、および、調製槽103と留出アントラキノン類タンク203とが、留出アントラキノン類供給ライン114によって連通している点にある。
また、作動溶液製造システムB2においても、作動溶液製造システムAと同様にして、低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製することができる。
図3には、作動溶液製造システムBにおいて、トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104と洗浄済作動溶液輸送ライン206とが過酸化水素製造装置301と連通している作動溶液製造システムC3が記載されている。過酸化水素製造装置301は、水素化塔302と、酸化塔303と、抽出塔304とを備え、洗浄槽201と水素化塔302とは洗浄済作動溶液供給ライン206により連通し、水素化塔302は水素化剤供給ライン305と水素化剤循環ライン306とを備え、水素化塔302と酸化塔303とは水素化作動溶液供給ライン307により連通し、酸化塔303は酸化剤供給ライン308と排気ライン309とを備え、酸化塔303と抽出塔304とは酸化作動溶液供給ライン310により連通し、抽出塔304は水供給ライン311と過酸化水素輸送ライン312とを備え、蒸留塔101に接続している蒸留用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104aと抽出塔304とはトリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104により連通している。トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104と洗浄済作動溶液供給ライン206とは、過酸化水素抽出後作動溶液循環ライン313により連通している。
また、作動溶液製造システムCにおいても、作動溶液製造システムAと同様にして、低トリオクチルホスフェート作動溶液を調製することができる。
図4には、加水分解によるトリオクチルホスフェートの除去に特に適した作動溶液製造システムD4が記載されている。作動溶液製造システムD4は、蒸留塔101、反応槽102、調製槽103、洗浄槽201、留出芳香族溶媒タンク202、留出アントラキノン類タンク203、留出添加剤タンク401、留出有機溶媒タンク402および留出2−エチルヘキサノールタンク403を備えている。蒸留塔101は蒸留用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104aと留出物輸送ライン105と釜残排出ライン118とを備え、反応槽102は反応用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104bと、加水分解剤供給ライン106と、水供給ライン405と、有機溶媒供給ライン406と、添加剤供給ライン407と、洗浄剤供給ライン408と、廃液ライン108とを備え、調製槽103は極性溶媒供給ライン109を備え、洗浄槽201は、洗浄剤供給ライン204と、水供給ライン205と、洗浄済作動溶液輸送ライン206と、廃液ライン207とを備え、蒸留塔101と反応槽102とは、蒸留原料供給ライン111と釜残輸送ライン112とにより連通し、調製槽103と洗浄槽201とは、トリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ライン110によって連通し、留出物輸送ライン105と留出芳香族溶媒タンク202とは留出芳香族溶媒輸送ライン208により連通し、留出物輸送ライン105と留出アントラキノン類タンク203とは留出アントラキノン類輸送ライン209により連通し、留出物輸送ライン105と留出添加剤タンク401とは留出添加剤輸送ライン409により連通し、留出物輸送ライン105と留出有機溶媒タンク402とは留出有機溶媒輸送ライン410により連通し、留出物輸送ライン105と留出2−エチルヘキサノールタンク403とは留出2−エチルヘキサノール輸送ライン411により連通し、留出添加剤タンク401と添加剤供給ライン407とは、留出添加剤供給ライン412により連通し、留出有機溶媒タンク402と有機溶媒供給ライン406とは、留出有機溶媒供給ライン413により連通し、調製槽103と留出芳香族溶媒タンク202とは、留出芳香族溶媒供給ライン113により連通し、調製槽103と留出アントラキノン類タンク203とは、留出アントラキノン類供給ライン114により連通している。蒸留用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104aと反応用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104bは、トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン104から分岐している。
図5には、再結晶によるトリオクチルホスフェートの除去に特に適した作動溶液製造システムE5が記載されている。作動溶液製造システムE5は、作動溶液製造システムBと類似の構造を有しており、留出再結晶溶媒タンク501、留出再結晶溶媒輸送ライン502および留出再結晶溶媒供給ライン503を備えているが、留出アントラキノン類タンク、留出アントラキノン類供給ライン、留出アントラキノン類輸送ラインおよび加水分解剤供給ラインは備えていない。留出再結晶溶媒タンク501と留出物輸送ライン105とは、留出再結晶溶媒輸送ライン502により連通しており、留出再結晶溶媒タンク501と再結晶溶媒供給ライン107とは、留出再結晶溶媒供給ライン503により連通している。
<加水分解によるトリオクチルホスフェートの除去>
アントラキノン類とトリオクチルホスフェートとを含む作動溶液から、トリオクチルホスフェートを加水分解により除去できるかを検討した。
ガスクロマトグラフィーを用いて、作動溶液および各操作で得たサンプル中の(A)2−エチルアントラキノン、(B)トリオクチルホスフェート、(C)2−エチルヘキサノールを定量した。分析条件を以下に示す。
・分析装置:島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−2014
・カラム:Agilent社製キャピラリカラムDB−5MS(液相膜厚1.00μm、0.25mmID×30m)
・キャリアガス:He
・検出器:FID
なお、以下に示す結果において、上記(A)〜(C)以外のすべての物質を「不明分」として表記した。
500mL四つ口フラスコに、プソイドクメン57.1g、2−エチルアントラキノン12.8gおよびトリオクチルホスフェート25.1gからなる作動溶液と、30wt%水酸化ナトリウム水溶液46.6gと、エタノール100.3gとを仕込んだ。フラスコに還流管を取り付け、釜温度78℃で撹拌しながら加水分解反応を行った。反応中は、反応液をガスクロマトグラフィーによって適宜分析した。ガスクロマトグラフィー分析で、トリオクチルホスフェートの残存量が1面積%以下になっていることを確認し、反応を終了した。なお、トリオクチルホスフェートの残存量が1面積%以下であるとは、クロマトグラムにおけるトリオクチルホスフェートのピーク面積が、全ピーク面積に対して1%以下になることを意味する。
500mL四つ口フラスコに、2−エチルアントラキノン12.8gおよびトリオクチルホスフェート25.1gからなる作動溶液と、30wt%水酸化ナトリウム水溶液46.6gと、エタノール100.3gとを仕込んだ。フラスコに還流管を取り付け、釜温度78℃で撹拌しながら加水分解反応を行った。反応中は、反応液をガスクロマトグラフィーによって適宜分析した。ガスクロマトグラフィー分析で、トリオクチルホスフェートの残存量が1面積%以下になっていることを確認し、反応を終了した。
上記(2)で得た反応終了後の反応液を、常圧、80℃の蒸留に供し、エタノールと水を留去した。残渣にトルエンと水を加えてこれを溶解させ、分液した後、有機相を10wt%水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。有機相に無水硫酸マグネシウムを加え、脱水した。脱水後、ろ過によって硫酸マグネシウムを除去した。
上記(3)で得たろ液をエバポレーターに加え、減圧蒸留(最終条件1kPa、45℃)を行い、トルエンを留去した。残渣の組成は、2−エチルアントラキノン12.4g、トリオクチルホスフェート0.1g、2−エチルヘキサノール4.1g、不明分10.1gであった。次いで、蒸留装置にてさらに低い圧力・高い温度で減圧蒸留(最終条件0.67kPa・200℃)を行い、2−エチルヘキサノール3.5gを留去した。残渣に対し、引き続き減圧蒸留(最終条件80Pa・220℃)を行った。留出物の組成は、2−エチルアントラキノン10.0g、トリオクチルホスフェート0.1g、2−エチルヘキサノール0.2g、不明分0.1gであった。2−エチルアントラキノンの回収率(回収量(10.0g)÷初期量(12.8g)×100)は78%であった。また、トリオクチルホスフェートの除去率(100−(残存量(0.1g)÷初期量(25.1g)×100))は、99.6%であった。
以上の結果から、アントラキノン類とトリオクチルホスフェートとを含む作動溶液中から効率的にトリオクチルホスフェートを除去できることが明らかとなった。
<再結晶によるトリオクチルホスフェートの除去>
500mLフラスコに、芳香族炭化水素200g、トリオクチルホスフェート89g、2−エチルアントラキノン28g、2−エチルテトラヒドロアントラキノン24gおよび不明分(稼働中の作動溶液再生装置より得られた蒸留釜残(副生成物))59gからなる作動溶液を400g仕込んだ。真空度は、終始13kPaにコントロールした。フラスコ内の温度が室温から182℃になるまで温度を上げた。最終的に13kPa、182℃で留出がなくなるまで蒸留を続けた(第1の蒸留)。
第1の蒸留で得た残渣を、第1の蒸留より低い圧力で蒸留した。真空度は、蒸留開始からしばらくは30Pa〜150Paの間で変動したが、最終的に80Paで安定した。フラスコ内の温度が室温から202℃になるまで温度を上げた。最終的に80Pa、202℃で留出がなくなるまで蒸留を続けた(第2の蒸留)。
101 :蒸留塔
102 :反応槽
103 :調製槽
104 :トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン
104a:蒸留用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン
104b:反応用トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ライン
105 :留出物輸送ライン
106 :加水分解剤供給ライン
107 :再結晶溶媒供給ライン
108 :廃液ライン
109 :極性溶媒供給ライン
110 :トリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ライン
111 :蒸留原料供給ライン
112 :釜残輸送ライン
113 :留出芳香族溶媒供給ライン
114 :留出アントラキノン類供給ライン
115 :再結晶アントラキノン類輸送ライン
116 :トリオクチルホスフェート含有作動溶液
117 :加水分解剤
118 :釜残排出ライン
119 :極性溶媒
120 :トリオクチルホスフェート不含作動溶液
121 :再結晶溶媒
122 :廃液
123 :留出物
124 :釜残
2 :作動溶液製造システムB
201 :洗浄槽
202 :留出芳香族溶媒タンク
203 :留出アントラキノン類タンク
204 :洗浄剤供給ライン
205 :水供給ライン
206 :洗浄済作動溶液輸送ライン
207 :廃液ライン
208 :留出芳香族溶媒輸送ライン
209 :留出アントラキノン類輸送ライン
210 :洗浄剤
211 :水
212 :洗浄済作動溶液
213 :廃液
3 :作動溶液製造システムC
301 :過酸化水素製造装置
302 :水素化塔
303 :酸化塔
304 :抽出塔
305 :水素化剤供給ライン
306 :水素化剤循環ライン
307 :水素化作動溶液供給ライン
308 :酸化剤供給ライン
309 :排気ライン
310 :酸化作動溶液供給ライン
311 :水供給ライン
312 :過酸化水素輸送ライン
313 :過酸化水素抽出後作動溶液循環ライン
314 :水素化剤
315 :酸化剤
316 :未反応酸化剤
317 :水
318 :過酸化水素水
4 :作動溶液製造システムD
401 :留出添加剤タンク
402 :留出有機溶媒タンク
403 :留出2−エチルヘキサノールタンク
404 :洗浄剤
405 :水供給ライン
406 :有機溶媒供給ライン
407 :添加剤供給ライン
408 :洗浄剤供給ライン
409 :留出添加剤輸送ライン
410 :留出有機溶媒輸送ライン
411 :留出2−エチルヘキサノール輸送ライン
412 :留出添加剤供給ライン
413 :留出有機溶媒供給ライン
414 :添加剤
415 :有機溶媒
416 :水
5 :作動溶液製造システムE
501 :留出再結晶溶媒タンク
502 :留出再結晶溶媒輸送ライン
503 :留出再結晶溶媒供給ライン
V :バルブ
Claims (16)
- アントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液を調製する方法であって、
芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒と、回収したアントラキノン類と、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒とを混合し、トリオクチルホスフェートを実質的に含まないトリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程と
を含む、方法。 - 芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程が、
(i) 前記過酸化水素製造用作動溶液から芳香族溶媒を回収し、芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類を回収する工程、
(ii) 前記過酸化水素製造用作動溶液においてトリオクチルホスフェートを加水分解し、トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒およびアントラキノン類を回収する工程、
または、
(iii) 前記過酸化水素製造用作動溶液から、アントラキノン類を再結晶により回収し、アントラキノン類回収後の作動溶液から、芳香族溶媒を回収する工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - アントラキノン法による過酸化水素製造プロセスにおいて、芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含む作動溶液におけるトリオクチルホスフェートを、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒に置換する方法であって、
前記作動溶液の少なくとも一部を過酸化水素製造プロセスから回収する工程と、
回収した作動溶液から芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェートを実質的に含まないトリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程と、
得られたトリオクチルホスフェート不含作動溶液を過酸化水素製造プロセスに加える工程と
を含む、方法。 - 回収した作動溶液から芳香族溶媒とアントラキノン類とを回収する工程が、
(i)前記作動溶液から芳香族溶媒を回収し、芳香族溶媒回収後の作動溶液から、トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去し、アントラキノン類を回収する工程、
(ii)前記作動溶液においてトリオクチルホスフェートを加水分解し、トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、芳香族溶媒およびアントラキノン類を回収する工程、または
(iii)前記作動溶液からアントラキノン類を再結晶により回収し、アントラキノン類回収後の作動溶液から芳香族溶媒を回収する工程
を含む、請求項3に記載の方法。 - 前記トリオクチルホスフェートの、前記トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒への置換が、過酸化水素製造プロセスの継続中に行われる、請求項3または4に記載の方法。
- トリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程が、回収した芳香族溶媒と、回収したアントラキノン類と、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒との混合物を、水および/またはアルカリで洗浄する工程を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- トリオクチルホスフェート不含作動溶液を調製する工程において、前記トリオクチルホスフェート不含作動溶液が、飽和水分量の20%〜160%の水を含むように調整される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 芳香族溶媒とトリオクチルホスフェートとアントラキノン類とを含むアントラキノン法による過酸化水素製造用作動溶液から、蒸留により芳香族溶媒を回収する工程と、
芳香族溶媒回収後の作動溶液をアルカリ、酸または酵素により処理し、トリオクチルホスフェートを加水分解する工程と、
トリオクチルホスフェートが加水分解された作動溶液から、アントラキノン類を有機相に抽出する工程と、
蒸留によりアントラキノン類を回収する工程と、
回収した芳香族溶媒、回収したアントラキノン類、および、トリオクチルホスフェート以外の、アントラヒドロキノン類を溶解し得る極性溶媒を混合し、トリオクチルホスフェート不含作動溶液を得る工程と、
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。 - 前記加水分解が、無機塩基水溶液により行われる、請求項2および4から8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記無機塩基水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である、請求項9に記載の方法。
- 前記芳香族溶媒の回収が、大気圧またはそれ以下の圧力下での第1の蒸留により行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アントラキノン類の回収が、第1の蒸留より低い圧力下での、160℃以上の蒸留により行われる、請求項11に記載の方法。
- トリオクチルホスフェートを加水分解または再結晶により除去する工程におけるトリオクチルホスフェートの除去率が、1%〜100%である、請求項2および4から12のいずれか一項に記載の方法。
- 蒸留塔、反応槽および調製槽を備えた作動溶液製造システムであって、蒸留塔は留出物輸送ラインを備え、調製槽は極性溶媒供給ラインとトリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ラインとを備え、蒸留塔と反応槽とは、蒸留原料供給ラインにより連通し、蒸留塔と調製槽とは、留出芳香族溶媒供給ラインにより連通し、(i)蒸留塔はトリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ラインをさらに備え、反応槽は加水分解剤供給ラインを備え、蒸留塔と反応槽とは、釜残輸送ラインによりさらに連通し、留出物輸送ラインと調製槽とは留出アントラキノン類供給ラインにより連通しているか、または(ii)反応槽はトリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ラインと、加水分解剤供給ラインとを備え、留出物輸送ラインと調製槽とは留出アントラキノン類供給ラインによりさらに連通しているか、または(iii)蒸留塔はトリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ラインをさらに備え、反応槽は再結晶溶媒供給ラインと廃液ラインとを備え、蒸留塔と反応槽とは、釜残輸送ラインによりさらに連通し、反応槽と調製槽とは再結晶アントラキノン類供給ラインにより連通しているか、または(iv)反応槽はトリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ラインと、再結晶溶媒供給ラインと、廃液ラインとを備え、反応槽と調製槽とは再結晶アントラキノン類供給ラインにより連通している、作動溶液製造システム。
- トリオクチルホスフェート含有作動溶液供給ラインと、トリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ラインとにより過酸化水素製造装置と連通している、請求項14に記載のシステム。
- 洗浄剤供給ラインと廃液ラインと洗浄済作動溶液輸送ラインとを備えた洗浄槽をさらに備え、調製槽と洗浄槽とはトリオクチルホスフェート不含作動溶液輸送ラインにより連通している、請求項14または15に記載のシステム。
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