JP2016506354A - 精製過酸化水素水溶液の製造方法 - Google Patents

精製過酸化水素水溶液の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、精製過酸化水素水溶液を製造するための、改良された方法に関する。本発明は、さらに、過酸化水素を生成するプラントにも関し、そのプラントにおいて、本発明に従って精製過酸化水素水溶液を製造するための、改良されたプロセスが、採用される。【選択図】なし

Description

本出願は、2012年12月20日に提出された欧州出願第12198510.5号に対する優先権を主張する。尚、上記出願の全内容は、あらゆる目的のために参照として本明細書に組み込むものとする。
本発明は、精製過酸化水素水溶液を製造するための改良された方法に関する。
アルキルアントラキノン法に従って精製過酸化水素水溶液を得ることは、よく知られた実践(Interox Internationalの名での欧州特許出願第0,529,723号明細書)である。この公知のプロセスにおいて、粗過酸化水素水溶液は、有機溶媒が仕込まれた精製器に導入される。この公知のプロセスに従って得られた過酸化水素水溶液は、かなりの量の有機不純物を含有する。これらの有機不純物の性質を検査する際に、様々な有機不純物が存在することがわかる。これらの有機不純物の化学構造は、例えば、GC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析)によって、決定できる。
粗過酸化水素水溶液中に存在する大部分の有機不純物は、7〜19個の炭素原子および少なくとも1個の酸素原子を含んでなり、200℃〜450℃の沸点を有することが見出されている。これらの有機不純物により、過酸化水素水溶液は、特に電子用途において利用価値が少ないものになってしまう。従って、有機不純物の含有量を低減した過酸化水素水溶液を提供することが、望ましい。また、例えば最小量の出発物質および未使用の試薬を消費することによる、経済的および技術的に有利な手法で過酸化水素水溶液を得ることも望ましい。
米国特許第6,224,845号明細書に記載されるプロセスは、洗浄に先立って精製処理を施した有機溶媒を用いて、粗過酸化水素水溶液を洗浄することにより、これらの問題を少なくとも部分的に克服している。スチームストリッピングによって有機溶媒を精製することが示唆されている。しかしながら、この精製工程は、粗過酸化水素溶液の精製において、得られた有機溶媒が、その有機溶媒の使用前に除去しなければならない水を含有するという欠点を有する。さらに、スチームストリッピング法は、スチーム中に酸素が存在している可能性があり、その結果、酸素が過酸化水素との接触に加わる際に、危険な問題を引き起こす場合があるという欠点を有する。
本発明は、改良されかつ経済的に有利な、有機溶媒の精製プロセスを提供することによって、この問題を克服することを目的とする。
従って、本発明の一実施形態は、有機溶媒を精製するプロセスに関し、そのプロセスは、窒素でストリッピングすることにより、有機溶媒を処理する工程を含む。本発明は、さらに、精製過酸化水素水溶液を製造するプロセスに関し、そのプロセスは、窒素でストリッピングし、ストリッピング工程によって得られる有機溶媒を用いて、粗過酸化水素水溶液に洗浄操作を施すことにより、少なくとも1種の有機溶媒を精製する工程を含む。
スチームストリッピングにより有機溶媒を精製することで生じる上述の問題は、窒素で有機溶媒をストリッピングすることにより、克服されるが、それにしても、有機溶媒が、粗過酸化水素水溶液の洗浄用途に適する程まで精製されることが見出されたのは驚くべきことである。洗浄操作により、粗過酸化水素水溶液中に通常見つかる有機不純物の殆どが除去されて、その結果、精製過酸化水素水溶液が得られる。
先行技術(スチームストリッピングを用いる)に基づくプロセスの概略図である。 本発明(窒素ストリッピングを用いる)に基づくプロセスの概略図である。 図1に基づくプロセスのASPENシミュレーションである。 図2に基づくプロセスのASPENシミュレーションである。
用語「洗浄操作」は、過酸化水素水溶液中の不純物の含有量を低減することを目的とする、化学工業において公知である、有機溶媒を用いる粗過酸化水素水溶液の任意の処理を意味するよう意図されている。この洗浄は、例えば、遠心抽出器または例えば向流式で作動する液体/液体抽出カラム等の装置において有機溶媒を用いて、粗過酸化水素水溶液中に存在する不純物を抽出することからなり得る。液体/液体抽出カラムが、好ましい。
語句「粗過酸化水素水溶液」は、過酸化水素の合成工程からまたは過酸化水素の抽出工程から或いは貯蔵ユニットから直接に得られる溶液を意味するように意図されている。粗過酸化水素水溶液は、本発明のプロセスに基づく洗浄操作の前に、1回またはそれ以上処理されて、不純物を分離除去することができる。
粗過酸化水素水溶液に対して向流で有機溶媒を導くのが好ましい。洗浄操作の効率は、有機溶媒の流量によって異なる。洗浄操作の効率は、有機溶媒の流量が増大する際に、向上する。洗浄操作に使用される有機溶媒の量は、有機溶媒の流量と粗過酸化水素水溶液の流量の比として定義される。
従って、本発明は、有機溶媒を精製するプロセスに関し、そのプロセスは、窒素でストリッピングすることにより有機溶媒を処理する工程を含む。ストリッピングの技法は、例えば、“Handbook of separation techniques for chemical engineers”,McGraw−Hill,1996,part 1,pp.249−274において一般に知られている。ストリッピングに採用される窒素は、50C〜180C、さらに好ましくは70C〜160C、そして特に好ましくは90C〜140Cの温度を有するのが好ましい。
本発明のプロセスは、大気圧で実施されるのが好ましい。しかしながら、本発明のプロセスは、大気圧よりも高いまたは低い圧力(例えば、0.2bar abs〜2.0bar absの圧力)で実施されることも可能である。
本出願の本文中において、用語「窒素」は、少なくとも90体積%、好ましくは少なくとも95体積%、さらに好ましくは少なくとも98体積%、尚さらに好ましくは少なくとも99体積%、そして特に好ましくは少なくとも99.5体積%の窒素分子を含有する気体を指す。窒素が、酸素を殆ど含有しないのが好ましく、酸素を無含有なのがさらに好ましい。
本発明に基づくプロセスにおいて、極性有機溶媒、非極性有機溶媒およびそれらの混合物を有機溶媒として使用することができる。しかしながら、極性有機溶媒と非極性有機溶媒の混合物を使用するのが好ましい。極性有機溶媒は、不純物の良好な抽出を確実にする。非極性有機溶媒は、水と混和しないので、良好な相分離を確実にする。この混合物中の非極性有機溶媒と極性有機溶媒の重量比は、好ましくは8以下である。特に好ましい手法において、この比は、4以下である。
使用可能な非極性有機溶媒は、例えば、脂肪族および/または芳香族炭化水素、或いはそれらの混合物である。これらの炭化水素は、例えば、トルエン、キシレンまたは1〜5個のアルキル置換基を含んでなる芳香族炭化水素である。一般的に、アルキル置換基は、1〜5個の炭素原子を含有する。ハロゲン化脂肪族炭化水素および/またはハロゲン化芳香族炭化水素(例、塩化メチレン等)を任意に使用することもできる。
選択されうる極性有機溶媒は、例えば、アルコールもしくはアルコールの混合物、さらにアミド、カルボン酸エステルもしくはリン酸エステル、アルキルホスフェートまたはこれらの溶媒のうち少なくとも2種の混合物である。直鎖脂肪族アルコールまたは分岐状の2級脂肪族アルコールは、良好な結果をもたらすので、好ましい。極性有機溶媒が、2,6−ジメチル−4−ヘプタノールであるのが特に好ましい。
非極性有機溶媒と極性有機溶媒の混合物の場合において、窒素でのストリッピングによる精製は、それが不純物の除去に有利に働く極性をもたらす利点を有する。
本発明は、精製過酸化水素水溶液を製造するプロセスに関し、そのプロセスは、以下の工程を含む:
i)上述のように、窒素でのストリッピングにより、有機溶媒を精製する工程;
ii)工程i)において得られた有機溶媒を用いて、粗過酸化水素水溶液に洗浄操作を施し、それによって精製過酸化水素水溶液を得る工程。
本発明の好適な一実施形態に従って、洗浄操作に使用される有機溶媒の量は、一般的に、粗過酸化水素水溶液1m当たり少なくとも3Lである。その量が、粗過酸化水素水溶液1m当たり少なくとも25Lであるのが好ましい。その量は、一般的に、粗過酸化水素水溶液1m当たり100L以下である。その量が、粗過酸化水素水溶液1m当たり75L以下である好ましい。洗浄温度は、一般的に少なくとも10℃である。少なくとも20Cの温度で作業するのが好ましい。一般的に、その温度は、60C以下、好ましくは40C以下である。洗浄操作に必要な時間は、選択される装置のサイズおよび装置に導入される粗過酸化水素水溶液の流量によって変わる。
本発明に基づくプロセスにおいて、粗過酸化水素水溶液は、当業者に公知の任意の方法に従って得られることができる。過酸化水素を製造する方法は、例えば、Kirk−Othmer,“Encyclopedia of Chemical Technology”2001年8月,Chapter“Hydrogen Peroxide”または“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”(第5版、1989年、A13巻、449−454頁)等の標準教科書に開示されている。
粗過酸化水素溶液は、自動酸化法、具体的にはアルキルアントラキノン法に従って得られるのが好ましい。語句「アルキルアントラキノン法」は、過酸化水素水溶液を生成するプロセスで、そのプロセスが、少なくとも1種のアルキルアントラキノンおよび/または少なくとも1種のテトラヒドロアルキルアントラキノンの作動溶液に希釈剤中で水素化工程を施して、1種またはそれ以上のアルキルアントラヒドロキノン類および/またはアルキルテトラヒドロアントラヒドロキノン類を生成することからなるプロセスであることを意味するように意図される。使用され得る希釈剤は、上述の有機溶媒として使用できる液体である。水素化工程から出る作動溶液は、次に、酸素、空気または酸素に富んだ空気によって酸化されて、過酸化水素を付与し、またアルキルアントラキノン類および/またはアルキルテトラヒドロアントラキノン類を再形成する。次に、形成される過酸化水素は、例えば水を用いての抽出工程により、作動溶液から分離され、その過酸化水素は、粗過酸化水素水溶液の形態で回収される。抽出工程から出る作動溶液は、次に、過酸化水素の生産サイクルを再開するために、水素化工程に再利用される。
用語「アルキルアントラキノン類」は、少なくとも1個の炭素原子を含んでなる直鎖または分岐状の脂肪族型の少なくとも1個のアルキル側鎖で1、2または3位において置換された9,10−アントラキノン類を意味するように意図される。通常、これらのアルキル鎖は、9個未満の炭素原子、そして好ましくは6個未満の炭素原子を含んでなる。このようなアルキルアントラキノン類の例は、2−エチルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−sec−ブチルアントラキノンおよび2−tert−ブチルアントラキノン、1,3−ジメチルアトラキノン、2,3−ジメチルアトラキノン、1,4−ジメチルアトラキノンおよび2,7−ジメチルアトラキノン、2−sec−アミルアントラキノンおよび2−tert−アミルアントラキノン並びにこれらのキノン類の混合物である。
用語「アルキルアントラヒドロキノン類」は、上で特定した9,10−アルキルアントラキノン類に対応する9,10−ヒドロキノン類を意味するように意図される。
本発明のプロセスの一実施形態に従って、洗浄操作から得られた過酸化水素水溶液は、少なくとも1回の続いての精製工程を施される。この工程は、具体的には、洗浄操作から混入した有機溶媒の含有物を除去または低減する役目を果たす。続いての精製工程は、過酸化水素水溶液の不純物の含有量を低減する、当業者によく知られた任意の方法で構成され得る。蒸留工程は、続いての精製工程として特に適切である。本発明に基づくプロセスのこの変形形態は、150mg/L以下、好ましくは100mg/L以下の、ISO標準8245に準拠して規定されるTOC(全有機炭素濃度)を有する過酸化水素水溶液を付与する。12mg/L以下のTOC値でさえも達成可能である。
本発明に基づくプロセスの特定の一実施形態において、有機溶媒は、アルキルアントラキノン法で使用される一部の作動溶液である。本実施形態は、アルキルアントラキノン法(洗浄操作)に従って得られる粗過酸化水素水溶液を洗浄する操作において、有機溶媒の供給流量を修正可能にする。過酸化水素水溶液の洗浄操作に供給するのに十分な有機溶媒の流量を提供することは事実上望ましい。所望の洗浄効率に応じて、また洗浄操作を施す粗過酸化水素水溶液の量に応じて、有機溶媒の流量を調節できることは、特に望ましい。
アルキルアントラキノン法において、作動溶液は、有機溶媒の所望の供給流量を達成するのに必要な量の有機溶媒を採用できるくらい十分な量で利用できる。
本発明に基づくプロセスは、洗浄操作に供給する未使用有機溶媒の大量使用を回避するので、経済的および技術的利点を有する。未使用の有機溶媒は、精製した有機溶媒よりも高価である。洗浄操作用に未使用の有機溶媒を採用する過酸化水素の大規模生産は、未使用の有機溶媒の連続的な供給、および洗浄操作後の有機溶媒の廃棄を必要とするだろう。従って、このような大規模生産は、むしろコストがかかるだろう。
追加の続いての精製工程の前に、本発明は、例えば、有機不純物の含有量が低減された過酸化水素水溶液、つまり、150mg/L以下の、ISO標準8245に準拠して規定されたTOCを有する過酸化水素水溶液を提供する。TOCが100mg/L以下であるのが好ましい。
本発明のプロセスによって提供される特定の過酸化水素水溶液は、有機不純物(7〜19個の炭素原子および少なくとも1個の酸素原子を含んでなり、かつ200℃.〜450℃の沸点を有する)を100mg/L未満含有する。その溶液が、有機不純物7〜19個の炭素原子および少なくとも1個の酸素原子を含んでなり、かつ200℃〜〜450℃の沸点を有する)を75mg/L未満含有するのが好ましい。
過酸化水素水溶液の有機不純物含有量は、mg/Lで表され、一方でISO標準8245に準拠して規定されるTOCの測定から、他方で種々の有機の不純物のTOCへの寄与率のGC/MS分析から得られる。
本発明のプロセスにより提供される過酸化水素水溶液は、一般的に、少なくとも10重量%、通常少なくとも30重量%の過酸化水素濃度を有する。同様に、これらの溶液は、一般的に、80重量%未満、通常75重量%未満の過酸化水素を含有する。
本発明のさらに別の一態様は、自動酸化プロセスによって過酸化水素を生成するプラントに関し、このプラントは、以下を備える:
a)溶解したアルキルアントラキノン類を含有する有機作動溶液を水素化するユニット;
b)水素化ユニットで生成したヒドロキノン類を酸化するユニット
c)有機作動溶液から過酸化水素を抽出して、それにより粗過酸化水素水溶液を得るユニット;
d)抽出ユニットc)から得た粗過酸化水素水溶液を有機溶媒で洗浄するユニット;および
e)溶媒精製ユニットであって、窒素でストリッピングすることにより有機溶媒を処理する工程を含むプロセスにより、有機溶媒を精製するユニット;故に、前記ユニットは、窒素ストリッピング塔、つまり窒素供給手段を装備するストリッピング塔を備える。これらの手段は、例えばポンプおよび/またはヒーターを含んでもよい。
上述の本発明のプロセスを実施するのに有用なプラントは、例えば、米国特許第6,224,845号明細書(その内容は参照として本明細書に組み込むものとする)に詳細に記載されている(但し、窒素供給手段を除く)。このプラントは、その後に粗過酸化水素溶液を精製するのに使用される溶媒を精製するユニットを備える。
参照によって本明細書に組み込まれているいずれかの特許、特許出願、および刊行物の開示が、用語が不明確になるほどに本出願の記載と相反するならば、本明細書の記載が優先される。
本発明は、添付の図1〜4によって非限定な方法で例証される。図1および2は、先行技術(スチームストリッピングを用いる)に基づくプロセスの概略図と、本発明(窒素ストリッピングを用いる)に基づくプロセスの概略図とであり、図3および図4は、それぞれ図1と図2に基づくプロセスのASPENシミュレーションである。
比較する目的のため、先行技術で公知の溶媒精製ユニットを図1に示す。この溶媒精製ユニットは、窒素ストリッピングよりもむしろスチームストリッピングを採用し、それにより、ストリッピング塔1でストリッピングプロセスが行われる。この精製ユニットにおいて、粗有機溶媒3は、ストリッピング塔1の上部に入り、流れ4としてカラムの下部から出る。スチーム2は、ストリッピング塔1の下部に入り、溶媒含有のスチーム5は、ストリッピング塔の上部から出る。冷却する目的で循環冷却水7、8を使用することにより、溶媒含有のスチーム5をコンデンサー6中で所望の温度まで冷却する。コンデンサー6において、溶媒含有のスチーム5の凝縮が起こり、それによって生成した凝縮物をデカンテーションユニット9に移送し、溶媒10および水系廃液11を互いから分離する。水系廃液11は、スチーム2の生産に使用することができ、溶媒10は、粗過酸化水素水溶液の洗浄に使用できる。しかしながら、水系廃液11からのスチーム2の生産は、エネルギーを消費する。別の方法として、水系廃液11を廃棄物として処理する。
本発明に基づく溶媒精製ユニットを図2に示す。窒素流14をポンプ12によって循環し、ヒーター13によって所望の温度にする。ストリッピング塔15で粗有機溶媒16を精製するためのプロセスを実施する。ストリッピング塔15を向流式に動かす。従って、粗有機溶媒16は、ストリッピング塔15の頂部に入り、ストリッピング塔15の下部から流れ22として出る。よって、窒素流14は、ストリッピング塔15の下部に入り、溶媒含有窒素17は、ストリッピング塔15の上部から出る。
コンデンサー18によって、溶媒含有の窒素流17を2℃〜50℃、好ましくは5℃〜15℃の温度まで冷却する。冷却水流19および20を循環して、コンデンサー18を所望の温度まで冷却するのが好ましい。このように、溶媒含有の窒素流17からの溶媒の実質的な凝縮が起こり、精製した溶媒21を回収して、例えば、粗過酸化水素水溶液の精製用に使用できる。
このように、溶媒精製ユニットは、そのユニットで、窒素でのストリッピングによる有機溶媒の処理工程を含むプロセスが起こり、スチームストリッピングによる有機溶媒の処理工程を含むプロセスを超える多くの利点を提供する。溶媒の調製は、水から溶媒を分離するためのデカンテーションを必要としないので、より簡単である。さらに、溶媒の調製は、水系廃液を全く生じない。本発明のプロセスのさらなる利点は、先行技術のプロセスで必要とされるスチーム生成と比較すると、必要とされる温度まで窒素を加熱するのに必要なエネルギーが小さいことである。
図1に示すユニットで溶媒精製プロセスを実施する際に、酸素がスチーム中に存在し、過酸化水素との続いての接触の間に火災または有機溶媒蒸気の爆発が起こり得るので、安全性の問題が存在する。それとは反対に、本発明のプロセスは、窒素を採用するので、安全な方法で実施できる。
上で説明したように、添付の図3および図4は、それぞれ図1および図2に基づくプロセスのASPENシミュレーションである。
図3は、さらに明確に示す:
最初に直交流形熱交換器(E1641AおよびB)により、そして次に特定のヒーター(E1642)により、流量35850kg/hの作動溶液(WS2)を加熱して、140℃で往流WS4(図1の流れ3と対応する)が生じ、カラムT1640(図1のストリッピング塔1)に入る。
カラムT1640において、ヒーターE1646を介しての加熱により生じたスチーム(図1の流れ2と対応するSTM1)、淡水と水系廃液AQU1との混合物でこの流れWS4をストリップする。
高温(126℃)の洗浄した溶媒流(図1の流れ4と対応するWS5)は、カラムT1640の底部から出て、その後に上述の直交流形熱交換器E1641で使用される
カラムT1640の頂部で、冷却器E1643(図1において6)中で溶媒含有の蒸気流(図1の流れ5と対応するMIX1)を凝縮する;気相中に存在する酸素に関連する火炎および爆発の危険を抑えるために、窒素を添加する;全てがデカンターB5(図1の9)で終わり、ポンプB3によって真空下に置かれ、放出されて、そこから、水系廃液AQU1(図1で流れ11と対応する)は、溶媒相(図1で10,SV1)から分離された後に、底部から出る。
図4は、さらに明確に示す:
最初に直交流形熱交換器(E1641AおよびB)で、そして次に特定のヒーター(E1642)で流量35850kg/hの作動溶液(WS2)を加熱して、140℃で往流WS4(図2の流れ16と対応する)が生じ、カラムT1640(図2のカラム15と対応する)に入る
カラムT1640において、ヒーターE1646(図2で13)を介しての加熱により生じた高温窒素(図2の流れ14と対応するGAS2)、未使用の窒素と再利用の窒素(GAS5)の混合物で、この流れWS4をストリップする
高温(124℃)の洗浄した溶媒流は(図2の流れ22と対応するWS5)は、カラムT1640の底部から出て、その後上述の直交流形熱交換器E1641で使用される
カラムT1640の頂部で、冷却器E1643(図2において18)中で溶媒含有の窒素流(図2の流れ17と対応するMIX1)を凝縮し、分離タンクV1650に送り、そこで、溶媒は、流れSV1(図2の21)として底部に落ちて、頂部に存在するガス流GAS3を圧縮機B1644で圧縮して、再利用の窒素流GAS5を生じ、未凝縮のガス(酸素と窒素を含んでなる)を(OFF流として)放出する。
下の表1は、シミュレーションの結果を要約し、高温窒素ストリッピング(本発明)に必要な加熱熱量および冷却熱量が、スチームストリッピング(先行技術)に必要な加熱熱量および冷却熱量よりも小さいことをさらに明確に示す。
Figure 2016506354

Claims (15)

  1. 精製過酸化水素水溶液を製造する方法であって、前記方法が、
    i)少なくとも1種の有機溶媒を、窒素でのストリッピングにより前記有機溶媒を処理することによって精製する工程と、
    ii)工程i)で得られた前記有機溶媒を用いて、粗過酸化水素水溶液に洗浄操作を施し、それによって、精製過酸化水素水溶液が得られる工程と
    を含む方法。
  2. 前記ストリッピングに採用される前記窒素が、50°C〜180°Cの温度を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有機溶媒が、非極性有機溶媒と極性有機溶媒との重量比8以下での混合物である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程ii)での前記洗浄操作が、前記粗過酸化水素水溶液1m当たり3〜100Lの前記有機溶媒の量で実施される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記粗過酸化水素水溶液が、自動酸化プロセスに従って得られる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記有機溶媒が、前記自動酸化プロセスにおいて使用される作動溶液の一部である、請求項5に記載の方法。
  7. 工程ii)で得られた前記精製過酸化水素水溶液が、前記洗浄操作後に、続いての精製工程を施される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記続いての精製工程が、蒸留である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記自動酸化プロセスによって過酸化水素を生成するプラントであって、このプラントが、
    a)溶解したアルキルアントラキノン類を含有する有機作動溶液を水素化するユニットと、
    b)前記水素化ユニットで生成したヒドロキノン類を酸化するユニットと、
    c)前記有機作動溶液から前記過酸化水素を抽出するユニットであって、それにより粗過酸化水素水溶液が得られるユニットと、
    d)前記抽出ユニットc)から得た前記粗過酸化水素水溶液を有機溶媒で洗浄するユニットと、
    e)溶媒精製用のユニットであり、前記ユニットが、窒素ストリッピング塔を備えるユニットと
    を備えるプラント。
  10. 前記溶媒精製用ユニットe)が、前記洗浄ユニットd)を離れる前記有機溶媒を受け取る、請求項9に記載のプラント。
  11. 前記有機溶媒が、前記溶媒精製用のユニットに導入される前に、前記有機作動溶液から除去される、請求項9または10に記載のプラント。
  12. 前記溶媒精製用ユニットが、コンデンサーを備える、請求項9〜11のいずれか一項に記載のプラント。
  13. 前記コンデンサーが、冷却水の循環により冷却される、請求項12に記載のプラント。
  14. 前記溶媒精製用ユニットが、ポンプおよびヒーターを備える、請求項9〜13のいずれか一項に記載のプラント。
  15. 前記ストリッピング塔が、向流式で作動する、請求項9〜14のいずれか一項に記載のプラント。
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