JP6956279B2 - 塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、熱安定性、熱成形性等を付与するため、塩素化塩化ビニル系樹脂に対して、塩素化ポリエチレン、有機錫系熱安定剤及び無機系安定剤を所定量添加した塩素化塩化ビニル系樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、アルキルスズ化合物の性能を向上させることを目的として、アルキルスズ安定化剤に加えて、更にポリマー系ポリ酸の塩を所定量添加したハロゲン含有ポリマー組成物が開示されている。
特に、成形時に発生する塩化水素によって、成形機内部(シリンダ、スクリュー)、金型等の金属部品が腐食するため、より高価な耐腐食性材料を用いたり、研磨等のメンテナンスに多大な時間と工数を要したりする不具合が生じている。
これらの不具合を防止する方法として、スズ等を含有する熱安定剤を多量に添加する方法が行なわれているが、成形されたパイプに飲料水を流した場合、溶出されるスズ金属の量は、添加量に比例して増加するため、上述の不具合とのバランスをとることは困難である。
以下に本発明を詳述する。
また、成形時に成形機内部や金型の腐食を抑制できること(耐腐食性)、及び、熱安定剤を過剰に添加する必要がなく、金属の溶出量が抑制され環境汚染を招きにくい成形体を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記塩素化塩化ビニル系樹脂は、下記式(a)〜(c)に示す構成単位(a)〜(c)を有し、下記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(a)の割合が5〜90モル%、構成単位(b)の割合が5〜40モル%、構成単位(c)の割合が5〜55モル%であることが好ましい。このような塩素化塩化ビニル系樹脂は、優れた耐変色性、耐腐食性を有し、金属の溶出量が少なく環境汚染を招きにくい成形体を得ることができる。
一方で、本発明では、構成単位(a)、(b)及び(c)のモル比を上述の範囲内とすることで、優れた耐変色性、耐腐食性を有し、金属の溶出量が少なく環境汚染を招きにくい成形体を得ることができる。
上記付加塩素化量を6.3質量%以上とすることで、成形体としての耐熱変形性が充分なものとなり、15.2質量%以下とすることで、成形性が向上する。
上記付加塩素化量は、9.3質量%以上であることがより好ましく、12.3質量%以下であることがより好ましい。
上記塩素化塩化ビニル系樹脂中の付加塩素化量は、まず、当該樹脂をJIS K 7229に記載の方法により塩素含有量を測定する。次に、その塩素含有量を塩化ビニル樹脂の塩素含有量(56.8質量%)から差し引くことで求めることができる。
上記重合度を上述の範囲内とすることで、成形時の流動性と成型品の強度を両立することができる。
上記光エネルギーによる塩素化反応の場合、PVCが塩素化されるのに必要な光エネルギーの大きさは、PVCと光源との距離に大きく影響を受ける。そのため、PVC粒子の表面と内部とでは、受けるエネルギー量が相違し、塩素化が均一に生じない。その結果、均一性の低いCPVCが得られる。一方、紫外線照射を行わず、熱により塩素化する方法では、より均一な塩素化反応が可能となり、均一性の高いCPVCを得ることができる。
上記安定化助剤としては、重金属を含まないものを用いることができる。例として、有機酸塩、エポキシ化合物、リン酸化合物、金属水酸化物、アジピン酸ナトリウム、グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、オキセタニル化合物、ビニルエーテル化合物及びゼオライト化合物が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。
上記リン酸化合物としては、有機リン化合物、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。
上記金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
これらは単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。なお、上記安定化助剤は、熱安定剤とは異なるものである。
また、上記安定化助剤は、200℃における加熱減量率が5質量%未満であることが好ましい。
これにより、成形時に発生する塩化水素を低減して、成形機内部や金型の腐食を抑制できる。また、得られる成形体は、経時での変色が少なく、機械的強度に優れるものとなる。
上記チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸メチルアミン、チオグリコール酸エチルアミン、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸ジエタノールアミン、チオグリコール酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、チオグリコール酸メトキシブチル等のアルコキシ基を有する炭化水素とのエステルを用いてもよい。
なお、上記チオグリコール酸のエステルが、チオグリコール酸のアルキルエステル、チオグリコール酸のアルコキシ基を有する炭化水素とのエステルである場合、エステル残基の炭素数は1〜8であることが好ましい。
上記アルカンジオールジチオグリコレートとしては、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ネオペンチルグリコールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート等が挙げられる。
上記アルカンポリオールポリチオグリコレートとしては、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールトリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート等が挙げられる。
上記ポリアルキレングリコールジチオグリコレートとしては、ジエチレングリコールジチオグリコレート等が挙げられる。
また、上記チオグリコール酸系化合物は、HSCH2COOR(RはH又はアルキル基を示す)で表される化合物であることが好ましい。更に、上記アルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂組成物において、上記チオグリコール酸系化合物の含有量は、塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましい下限が0.0001質量部、好ましい上限が2.2質量部である。この範囲でチオグリコール酸系化合物を含むことにより、耐変色性、耐腐食性をより向上させることができる。より好ましい上限が1.2質量部、より好ましい上限が0.8質量部である。
なお、塩素化塩化ビニル系樹脂の構成単位(b)の質量相当分とは、塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対する構成単位(b)に相当する質量(質量部)を意味し、構成単位(b)の含有量(モル%)に塩素化塩化ビニル系樹脂のモル質量を乗じることで算出することができる。
上記塩化ビニル系樹脂を塩素化塩化ビニル系樹脂と併用することで、充分な熱安定性を付与することができ、幅広い成形方法に好適に使用することができる。
本発明において、塩化ビニル系樹脂とは、上記式(1)に示す構成単位(a)を主に有する重合体である。具体的には、構成単位(a)の割合が51〜100モル%であることが好ましい。
上記α−オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、上記ビニルエーテル類としては、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられ、上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
更に、上記ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられ、上記N−置換マレイミド類としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なかでも、エチレン、酢酸ビニルが好ましい。
上記PVCの重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
上記塩素含有量を上記範囲内とすることで、成形性が向上するとともに、成形体としての耐熱変形性が高くなる。好ましくは36.8〜56.7質量%である。
上記塩化ビニル系樹脂の含有量のより好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は20質量部である。
また、本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂組成物全体に対する上記塩化ビニル系樹脂の含有量は、2〜18質量%であることが好ましい。
上記耐衝撃性改質剤は、得られる成形体の耐衝撃性を改質する目的で用いられるものであり、ジエン系ゴム成分を含有するものが好ましい。
上記ジエン系ゴム成分としては、不飽和ニトリル、α−オレフィンおよび芳香族ビニルからなる群から選ばれるモノマー成分を含む共重合体が挙げられる。その他、不飽和ニトリルとジエン系成分との共重合体、芳香族ビニルとジエン系成分との共重合体、オレフィンとジエン系成分との共重合体、(メタ)アクリレートモノマー成分とジエン系成分との共重合体等が挙げられる。
また、上記ジエン系ゴム成分としては、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体が好ましく使用される。なかでも、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましい。
なお、上記ジエン系ゴム成分が、ジエン系成分を含有する共重合体である場合、上記ジエン系成分の含有量は30〜90質量%であることが好ましく、40〜85質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることが更に好ましい。
また、上記ジエン系ゴム成分が、アクリル成分とジエン系成分との共重合体からなる場合、上記アクリル成分とジエン系成分との比率(アクリル成分/ジエン系成分)は0.05〜3.0の範囲内であることが好ましく、0.1〜2.5の範囲内であることがより好ましく、0.1〜2.0の範囲内であることが更に好ましい。
上記非ジエン系成分としては、オレフィン、およびオルガノシロキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のモノマー成分を含む重合体が挙げられる。より具体的には、オレフィンゴム(たとえば、エチレン−プロピレンゴムなど)およびシリコーンアクリルゴムが挙げられる。
上記(メタ)アクリレートモノマー成分としては、炭素数1以上12以下のアルキル(メタ)アクリレート、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。これらモノマー成分は、単独で用いられてもよいし、2種以上(たとえば3種)が併用されてもよい。また、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーン複合体)共重合体が挙げられる。
なお、上記ジエン系ゴム粒子を構成する重合体中の(メタ)アクリレートモノマー成分の含有量は特に限定されないが、たとえば25質量%以上であることが好ましい。
上記耐衝撃性改質剤の平均粒子径の好ましい下限は0.001μm、好ましい上限は1.0μmである。上記平均粒子径を上述した範囲内とすることで、透明性と衝撃性を両立させることができる。なお、上記平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒子径分布計によって測定することができる。
上記耐衝撃性改質剤の含有量のより好ましい下限は質量部3.0、より好ましい上限は18.0質量部である。
上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等を用いることができる。これらは、単独で使用しても良く、二種以上を併用しても良い。なかでも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
上記200℃における加熱減量率が5質量%以上であると、成形体内部に気泡が含まれて強度不足になったり、表面近傍に筋状の模様が発生し外観不良が生じたりすることがある。
なお、上記200℃における加熱減量率は3質量%未満であることがより好ましい。
上記滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。また、上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。
上記ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
上記高級脂肪族系アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
上記高級脂肪酸系滑剤としては、炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、例えば、ステアリン酸、モンタン酸等が挙げられる。また、やし油、大豆油、なたね油等の植物油からの精製物等が挙げられる。更に、ステアリン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸の部分ケン化エステルも好適に用いることができる。
上記脂肪酸エステル系滑剤としては、2,3−ジヒドロキシプロピルオクタデカノエート、ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えばα−メチルスチレン系、N−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、又は、これらを含む(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等がある。ただし上記の(メタ)アクリル酸とはアクリル酸もしくはメタクリル酸を示す。本発明では、上記アクリル加工助剤として、メチル(メタ)アクリレート(MMA)の重合体を用いることが好ましい。
上記顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;二酸化チタン等の酸化物系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系などの無機顔料などが挙げられる。
上記ニトリル系熱可塑性エラストマーとしては、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)等が挙げられる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EVACO)等のエチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
上記塩化ビニル系熱可塑性エラストマーとしては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
これらの熱可塑性エラストマーは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤、ジエン系ゴム粒子、滑剤等を混合する方法としては、特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。
なお、塩素化塩化ビニル系樹脂、熱安定剤、チオグリコール酸系化合物及びその他の成分の構成については、上述した塩素化塩化ビニル系樹脂組成物と同様である。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を製造する際の成形の方法としては、従来公知の任意の成形方法が採用されてよく、例えば、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。
これらの中でも、パイプ、継手が好ましく、給水・給湯用、床下暖房用、温水暖房用、温泉配管用、薬剤散布用、排水用、散水用、洗濯機用、食洗機用、トイレ用、浴室用、ソーラーシステム用、ミスト発生装置用、農耕用などの液体輸送パイプおよびその継手に用いられる。
(塩素化塩化ビニル系樹脂組成物の作製)
塩素化塩化ビニル樹脂[塩素化量:67.2質量%、付加塩素化量:10.4質量%、重合度:1000]100質量部に対して、熱安定剤としてブチルスズメルカプタン系化合物(日東化成社製、TVS#1380、ジブチルスズメルカプタイド)0.6質量部を添加した。更に、チオグリコール酸2−エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬社製)0.5質量部、滑剤としてモンタン酸部分ケン化エステル(クラリアントジャパン社製、リコワックスOP)0.5質量部を添加した後、スーパーミキサーで均一に混合して、塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
なお、得られた塩素化塩化ビニル樹脂について、FT−NMRJEOLJNM−AL−300を用いて、構成単位(b)の含有量(モル%)及び構成単位(b)の質量相当分(質量部)を測定した。NMR分析は、R.A.Komoroski,R.G.Parker,J.P.Shocker,Macromolecules,1985,18,1257−1265に記載の方法に準拠して行うことができる。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を直径50mmの2軸異方向コニカル押出機(長田製作所社製、SLM−50)に供給し、樹脂温度210℃、押出量30kg/hrで厚さ2mm、幅80mmの金型を用いてシート状の塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
チオグリコール酸2−エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬社製)の添加量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
表1に示す重合度、付加塩素化量、構成成分(b)含有量を有する塩素化塩化ビニル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
ブチルスズメルカプタン系化合物(日東化成社製、TVS#1380)の添加量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
ブチルスズメルカプタン系化合物(日東化成社製、TVS#1380)に代えて、表2に示す種類、量の熱安定剤を用いた以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
なお、ジブチルスズマレート系化合物としては、「日東化成社製、STANN RC−709」、アルキルカルボン酸カルシウムと亜鉛化合物としては、「堺化学工業社製、NT−231」を用いた。
チオグリコール酸2−エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬社製)の添加量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
チオグリコール酸2−エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬社製)に代えて、表2に示す種類、量のチオグリコール酸系化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
なお、チオグリコール酸としては、「富士フイルム和光純薬社製」、チオグリコール酸メトキシブチルとしては、「東京化成工業社製」を用いた。
モンタン酸部分ケン化エステル(クラリアントジャパン社製、リコワックスOP、滴点96〜102℃、酸価9〜14mgKOH/g)の添加量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
ブチルスズメルカプタン系化合物(日東化成社製、TVS#1380)及びチオグリコール酸2−エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬社製)の添加量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
チオグリコール酸2−エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬社製)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
ブチルスズメルカプタン系化合物(日東化成社製、TVS#1380)の添加量を表2に示す量に変更した以外は、比較例1と同様にして塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及び塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
実施例及び比較例で得られた塩素化塩化ビニル系樹脂成形体について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を205℃のオーブンに入れて、90分間静置した。取出した成形体について、変色を確認した。なお、確認は10分毎に行い、変色が確認された時点の時間を記載した。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を試験水(pH5、82℃)に浸し、30日後に採取したサンプル液について、スズ溶出量をICP質量分析計(バリアント社製、Varian710−ES)で定量した。なお、表中の「ND」は検出限界以下であることを示す。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物について、測定サンプルを約0.5gを計量し、二本のガラス管付の栓を有するガラス試験管に入れる。一方のガラス管から窒素ガスを試験管内に導入(50ml/分)し、攪拌機付きオイルバス(油温195℃)にて加熱する。試験管内で発生した塩酸は、もう一方のガラス管を通してビーカー内の蒸留水(100ml)に吹き込まれる。20分後のビーカー内溶液のpH値を測定し、pH値から脱塩酸量を算出した。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂成形体について、作製20分後の成形体サンプルを約0.5gにカットして、専用のガラス試験管に入れた。炭素鋼S45Cにて作製した金属片(縦1cm×横1cm×厚み0.3cm)を上記試験管に同封し、空気を試験管内に導入し、オイルバス(油温195℃)にて加熱する。金属片の腐食状態(錆等)を観察した。
腐食が認められないものは○、わずかに認められたものは△、はっきりと確認できたものは×として評価した。
Claims (6)
- チオグリコール酸系化合物の含有量が0.001質量%以上である、請求項1に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
- チオグリコール酸系化合物の含有量と、熱安定剤の含有量との質量比(チオグリコール酸系化合物の含有量/熱安定剤の含有量)は、0.001〜10.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
- チオグリコール酸系化合物は、HSCH2COOR(RはH又はアルキル基を示す)で表される群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
- 熱安定剤はスズを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の塩素化塩化ビニル系樹脂組成物。
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