JP7078415B2 - 成形用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
このため、接着剤の塗装状況や、パイプの接合状態を目視で確認可能な透明継手が用いられている。
以下に本発明を詳述する。
上記塩素化塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂(塩素含有量56.8質量%程度)よりも熱変形温度が10℃以上高いものとなる。本願発明(請求項1)では、「塩素化塩化ビニル系樹脂」、「熱安定剤」及び「所定量のジエン系ゴム粒子」を組み合わせて用いることにより、塩素化塩化ビニル系樹脂が有する高い熱変形温度を維持しながら、優れた機械的性能、耐衝撃性及び透明性を実現することができる。
上記塩素含有量が63質量%以上であることで、成形品としての耐熱性が充分なものとすることができ、72質量%以下とすることで、成形性を向上させることが可能となる。上記塩素含有量は、66質量%以上であることがより好ましく、69質量%以下であることがより好ましい。
上記CPVC中の塩素含有量は、JIS K 7229に記載の方法により測定することができる。
また、紫外吸収スペクトルにおいて、216nmの波長は、CPVC中の異種構造である、-CH=CH-C(=O)-及び-CH=CH-CH=CH-が吸収を示す波長である。
上記CPVCのUV吸光度の値から、塩素化反応時の分子鎖中の異種構造を定量化し、熱安定性の指標とすることができる。CPVCの分子構造において、二重結合した炭素の隣の炭素に付いた塩素原子は不安定である。そのため、該塩素原子を起点として、脱HClが生じる。即ち、波長216nmにおけるUV吸光度の値が大きいほど脱HClが起こり易く、熱安定性が低いことになる。
また、上記CPVCの塩素含有量が69質量%以上、72質量%以下である場合は、UV吸光度の値が8.0以下であることが好ましい。上記UV吸光度の値が8.0を超えると、分子鎖中の異種構造の影響が大きくなり、熱安定性が低下する。
上記CPVCは高温で熱分解を起こし、その際にHClガスを発生する。一般に、CPVCはその塩素化度が高くなるにつれて、上述したVC単位が減少するため、脱HCl量が減少する傾向にある。しかし、塩素化度が高くなるにつれて、不均一な塩素化状態や異種構造が増加し、熱安定性が低下する。それ故、脱HCl量を測定することにより、不均一な塩素化状態や異種構造の増加を分析することができる。例えば、190℃における脱HCl量が7000ppmに到達するのに必要な時間を熱安定性の指標とすることができ、その時間が短いほど、熱安定性が低いと言える。
また、上記CPVCの塩素含有量が69質量%以上、72質量%以下である場合は、該時間は100秒以上であることが好ましい。該時間が100秒未満であると、熱安定性が大きく低下してしまうため、100秒以上であることが好ましく、120秒以上であることがより好ましく、140秒以上であることが更に好ましい。
上記190℃における脱HCl量が7000ppmに到達する時間は、以下のように測定することができる。まず、塩素化塩化ビニル樹脂1gを試験管に入れ、オイルバスを使用して190℃で加熱し、発生したHClガスを回収する。回収したHClガスを100mlのイオン交換水に溶解させてpHを測定する。pHの値に基づいて、HClの濃度(ppm)(即ち、塩素化塩化ビニル樹脂100万gあたり何gのHClが発生したか)を算出する。HClの濃度が7000ppmに到達する時間を計測する。
一方で、本発明では、上記CPVCの構成単位(a)、(b)及び(c)のモル比を上述の範囲内とすることで、CPVCの均一性が高くなり、良好な熱安定性を有する。
また、上記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(b)の割合が46.0モル%以上であるが、上記構成単位(b)の割合は、53.5モル%以上が好ましい。また、70モル%以下であることが好ましい。
更に、上記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(c)の割合が37.0モル%以下であるが、上記構成単位(c)の割合は、30.5モル%以下が好ましい。また、1.0モル%以上であることが好ましい。
本発明で用いるCPVCは、分子構造中に含まれる4連子以上のVC単位の含有量が30.0モル%以下であることが好ましい。ここで、4連子以上のVC単位とは、VC単位が4個以上連続して結合している部分を意味する。
上記分子構造中に含まれる4連子以上の塩化ビニル単位の含有率は、上記のNMRを用いた分子構造解析により測定することができる。
上記PVCとしては、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等を用いることができる。これら重合体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記α-オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。
上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル類としては、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられる。
上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
上記ハロゲン化ビニルビニル類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
上記N-置換マレイミド類としては、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
上記エチレン共重合体としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。
上記PVCの重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
また、このような熱安定剤を用いた場合、塩素化塩化ビニル系樹脂の熱分解で生成した塩酸が、直ちに亜鉛化合物と反応して塩化亜鉛となる。また、塩素化塩化ビニル系樹脂の脱塩酸により生成したポリエンの成長がアルキルカルボン酸カルシウムとの結合で停止されて発色が抑えられる。
一方で、生成した塩化亜鉛は、塩素化塩化ビニル系樹脂の熱分解を促進させる性質があるが、本発明では、塩化亜鉛がアルキルカルボン酸カルシウムと反応して塩化カルシウムとアルキルカルボン酸亜鉛が生成される。その結果、上記熱安定剤は、亜鉛化合物の迅速な塩酸捕捉作用を生かしながら、塩化亜鉛の熱分解促進作用が抑制されるため、顕著な相乗効果を有する。
なかでも、炭素数8~28のアルキルカルボン酸カルシウムを用いることが好ましい。
上記無機亜鉛化合物としては、例えば、亜鉛の炭酸塩、塩化物、硫酸塩、酸化物、水酸化物、塩基性酸化物及び混合酸化物からなる系統からの化合物等が挙げられる。
また、上記有機脂肪族カルボン酸としては、アゼライン酸、セバチン酸、アジピン酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、クロトン酸、リンゴ酸、酒石酸等のジカルボン酸のほか、そのモノエステルが挙げられる。
更に、上記有機脂肪族カルボン酸としては、クエン酸及びそのモノエステル又はジエステル、乳酸、グリコール酸、チオジプロピオン酸及びそのモノエステル等が挙げられる。
上記熱安定剤の形態としては、例えば、粉末、粒状物等が挙げられる。このような形態とすることで、ワンパックの熱安定剤として使用することができる。
上記熱安定剤が粉粒体である場合、その粒度は目的に応じて任意に調節することができ、一般に平均粒子径が50μm~5mmであることが好ましく、特に70μm~2mmであることが好ましい。
上記粒状物の熱安定剤を製造する方法としては、例えば、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法を用いることができる。
上記230℃における加熱減量率が5質量%以上であると、成形品内部に気泡が含まれることで強度不足になったり、表面近傍に筋状の模様が発生し外観不良が生じたりすることがある。
上記230℃における加熱減量率は、3質量%未満であることより好ましい。
下限については特に限定されないが0.1質量%が好ましい。
なお、上記230℃における加熱減量率は、熱重量測定(TG)装置によって測定することができる。
上記安定化助剤としては、重金属を含まないものを用いることができる。例として、有機酸塩、エポキシ化合物、リン酸化合物、金属水酸化物、アジピン酸ナトリウム、グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、オキセタニル化合物、ビニルエーテル化合物及びゼオライト化合物が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。
上記リン酸化合物としては、有機リン化合物、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。
上記金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
これらは単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。なお、上記安定化助剤は、アルキルカルボン酸カルシウム及び亜鉛化合物とは異なるものである。
また、上記安定化助剤は、200℃における加熱減量率が5質量%未満であることが好ましい。
上記ジエン系ゴム粒子は、得られる成形体の耐衝撃性を改質する目的で用いられるものであり、ジエン系ゴム成分を含有するものである。
上記ジエン系ゴム成分としては、不飽和ニトリル、α-オレフィンおよび芳香族ビニルからなる群から選ばれるモノマー成分を含む共重合体が挙げられる。その他、不飽和ニトリルとジエン系成分との共重合体、芳香族ビニルとジエン系成分との共重合体、オレフィンとジエン系成分との共重合体、(メタ)アクリレートモノマー成分とジエン系成分との共重合体等が挙げられる。
なお、上記ジエン系ゴム成分を構成する重合体中のジエン系成分の含有量は、55質量%以下であることが好ましい。
また、上記ジエン系ゴム成分としては、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム-スチレン共重合体が好ましく使用される。なかでも、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体が好ましい。
なお、上記ジエン系ゴム成分が、ジエン系成分を含有する共重合体である場合、上記ジエン系成分の含有量は30~90質量%であることが好ましく、40~85質量%であることがより好ましく、50~80質量%であることが更に好ましい。
また、上記ジエン系ゴム成分が、アクリル成分とジエン系成分との共重合体からなる場合、上記アクリル成分とジエン系成分との比率(アクリル成分/ジエン系成分)は0.05~3.0の範囲内であることが好ましく、0.1~2.5の範囲内であることがより好ましく、0.1~2.0の範囲内であることが更に好ましい。
上記非ジエン系成分としては、オレフィン、およびオルガノシロキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のモノマー成分を含む重合体が挙げられる。より具体的には、オレフィンゴム(たとえば、エチレン-プロピレンゴムなど)およびシリコーンアクリルゴムが挙げられる。
上記(メタ)アクリレートモノマー成分としては、炭素数1以上12以下のアルキル(メタ)アクリレート、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。これらモノマー成分は、単独で用いられてもよいし、2種以上(たとえば3種)が併用されてもよい。また、メチルメタクリレート-(アクリル・シリコーン複合体)共重合体が挙げられる。
なお、上記ジエン系ゴム粒子を構成する重合体中の(メタ)アクリレートモノマー成分の含有量は特に限定されないが、たとえば25質量%以上であることが好ましい。
上記ジエン系ゴム粒子の平均粒子径の好ましい下限は0.001μm、好ましい上限は1.0μmである。上記平均粒子径を上述した範囲内とすることで、透明性と衝撃性を両立させることができる。なお、上記平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒子径分布計によって測定することができる。
上記ジエン系ゴム粒子の含有量の好ましい下限は10.5質量部、好ましい上限は18.0質量部である。
なお、上記屈折率はJIS K 71142に従ってアッベ法による屈折計によって測定することができる。
また、上記ジエン系ゴム粒子の屈折率とCPVCの塩素含有量との比(ジエン系ゴム粒子の屈折率/CPVCの塩素含有量)が0.0225~0.0255であることが好ましい。上記範囲内であることで、ジエン系ゴムの成分とCPVCとの屈折率の比の相乗効果により、透明性と衝撃性の両方の性能を達成することができる。
上記塩化ビニル系樹脂を塩素化塩化ビニル系樹脂と併用することで、充分な熱安定性を付与することができ、成形性を向上させることができる。
本発明において、塩化ビニル系樹脂とは、上記式(d)に示す構成単位(d)を主に有する重合体である。具体的には、構成単位(d)の割合が51~100モル%であることが好ましい。
上記α-オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、上記ビニルエーテル類としては、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられ、上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
更に、上記ハロゲン化ビニルビニル類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられ、上記N-置換マレイミド類としては、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる
なかでも、エチレン、酢酸ビニルが好ましい。
上記PVCの重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
上記塩素含有量を上記範囲内とすることで、成形性が向上するとともに、成形品としての耐熱性が高くなる。好ましくは36.8~56.7質量%である。
また、塩素化塩化ビニル系樹脂と塩化ビニル系樹脂の平均塩素含有量は65~68質量%であることが好ましい。このような範囲とすることで、耐熱性と成形性を確保することができる。
なお、塩素化塩化ビニル系樹脂と塩化ビニル系樹脂の平均塩素含有量とは、塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有量と、塩化ビニル系樹脂の塩素含有量のそれぞれに、含有比率を掛けた後、合計したものである。
上記塩化ビニル系樹脂の含有量のより好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は20質量部である。
上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等を用いることができる。これらは、単独で使用しても良く、二種以上を併用しても良い。なかでも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
上記200℃における加熱減量率が5質量%以上であると、成形品内部に気泡が含まれて強度不足になったり、表面近傍に筋状の模様が発生し外観不良が生じたりすることがある。
なお、上記200℃における加熱減量率は3質量%未満であることがより好ましい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えばα-メチルスチレン系、N-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
上記滑剤は、200℃における加熱減量率が5質量%未満であることが好ましい。
上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、又は、これらを含む(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート等がある。ただし上記の(メタ)アクリル酸とはアクリル酸もしくはメタクリル酸を示す。本発明では、上記アクリル加工助剤として、メチル(メタ)アクリレート(MMA)の重合体を用いることが好ましい。
上記顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;二酸化チタン等の酸化物系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系などの無機顔料などが挙げられる。
上記ニトリル系熱可塑性エラストマーとしては、アクリルニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)等が挙げられる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体(EVACO)等のエチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
上記塩化ビニル系熱可塑性エラストマーとしては、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体や塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
これらの熱可塑性エラストマーは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記光エネルギーによる塩素化反応の場合、PVCが塩素化されるのに必要な光エネルギーの大きさは、PVCと光源との距離に大きく影響を受ける。そのため、PVC粒子の表面と内部とでは、受けるエネルギー量が相違し、塩素化が均一に生じない。その結果、均一性の低いCPVCが得られる。一方、紫外線照射を行わず、熱により塩素化する方法では、より均一な塩素化反応が可能となり、均一性の高いCPVCを得ることができる。
上記過酸化水素を添加する場合、塩素化速度が向上するため、加熱温度を比較的低くすることができる。例えば、65~110℃の範囲であってよい。
上記方法で塩素化を行うことにより、塩素化状態の不均一性が少なく、熱安定性の優れたCPVCを得ることができる。
上記酸化防止剤を混合する方法としては、特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。
上記成形の方法としては、従来公知の任意の成形方法が採用されてよく、例えば、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。
これらの中でも、パイプ、継手が好ましく、給水・給湯用、床下暖房用、温水暖房用、温泉配管用、薬剤散布用、排水用、散水用、洗濯機用、食洗機用、トイレ用、浴室用、ソーラーシステム用、ミスト発生装置用、農耕用などの液体輸送パイプおよびその継手に用いられる。
本発明の成形用樹脂組成物から成形された継手もまた本発明の1つである。
本発明の継手は、透明であることが好ましい。
上記継手の種類は、フランジ、ソケット、チーズ、エルボ、ベンド、キャップ、バルブ、レデューサー等が好適なものとして挙げられる。
(塩素化塩化ビニル系樹脂組成物の作製)
塩素化塩化ビニル樹脂(塩素含有量:64.8質量%、重合度:1000)100質量部に対して、熱安定剤としてブチルスズメルカプタン系化合物(日東化成社製、TVS#1360)2.4質量部を添加した。更に、ジエン系ゴム粒子としてMBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂からなる粒子(平均粒子径:0.105μm、屈折率:1.542、屈折率/CPVC塩素含有量:0.0238、比重:1.0)10.5質量部、塩化ビニル樹脂(塩素含有量:56.7質量%、重合度:700)5.3質量部を添加し混合した。
更に、酸化ポリエチレン滑剤(ハネウェル社製、A-C 316A)0.3質量部、グリセリンモノステアレート(理研ビタミン社製、リケマールS-100)1.1質量部、エステル系滑剤(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、LOXIOL G70S)0.5質量部を添加した。その後、スーパーミキサーで均一に混合して、塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
なお、MBS樹脂からなる粒子の比重は、165℃のプレスで3分間予熱した後、4分間加圧して、厚さ1mmのプレス板を得たのち、電子比重計(アルファミラージュ社製、ED-120T)を用いて測定した。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を、直径30mmの2軸異方向コニカル押出機(長田製作所社製、OSC-30)に供給し、樹脂温度190℃でペレットを作製した。
得られたペレットを射出成形機(JSW社製、J100E-C5)に供給し、ノズルからパージした際の樹脂温度230℃で、外径34mm、内径26.35mmのソケット形管継手を得た。
表1に示すような種類、添加量の塩素化塩化ビニル樹脂、熱安定剤、ジエン系ゴム粒子、滑剤を用いた以外は、実施例1と同様に塩素化塩化ビニル系樹脂組成物及びソケット形管継手を作製した。
実施例及び比較例で得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
<機械物性(アイゾット衝撃強度、引張強度、引張弾性率、熱変形温度)>
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を2本の8インチロールに供給し、205℃で3分間混練して、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートを重ね合わせて、205℃のプレスで3分間予熱した後、4分間加圧して、厚さ3mmのプレス板を得た。得られたプレス板から、機械加工により試験片を切り出した。この試験片を用いて、ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃強度を測定し、ASTM D638に準拠して引張強度及び引張弾性率を測定した。また、ASTM D648に準拠して負荷荷重186N/cm2で熱変形温度を測定した。尚、熱変形温度は、得られたプレス板を90℃のギヤオーブンで、24時間アニール処理した後測定した。
JIS K 7206:2016(プラスチック-熱可塑性プラスチック-ビカット軟化温度(VST)の求め方 B50法)に準拠した方法で、ビカット軟化温度を測定した。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を2本の8インチロールに供給し185℃で、3分間混練して、厚さ0.5mmのシートを作製した。得られたシートを重ね合わせて180℃のプレスで1分間予熱した後、1分加圧、さらに2分冷却して厚さ3mmのプレス板を得た。得られたプレス板をヘイズメーター(日本電色工業株式会社社製、Hazemeter NDH2000)を用いてヘイズ、全光線透過率を測定した。
<接合目視評価>
得られた継手の内面に色つきの接着剤(エスロン接着剤、NO83Sホワイト)を塗布した。同様に、面取りをしたパイプ20Aの外面にも色つきの接着剤を塗布し、パイプを継手に挿入した後、1日乾燥させ接合サンプルを作製した。
目視にて接合サンプルの接合部分において接着剤が正しく確認できた場合を○、接合部分において接着剤の不具合(ムラ、接着不良、製品のヤケ・フラッシュによる可視性悪化)が確認された場合を×として、合否判定を行なった。
Claims (11)
- 塩素化塩化ビニル系樹脂と、塩化ビニル系樹脂と、熱安定剤と、ジエン系ゴム粒子を含有する成形用樹脂組成物であって、前記塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、ジエン系ゴム粒子を9.1~20質量部含有し、前記塩素化塩化ビニル系樹脂と前記塩化ビニル系樹脂との重合度の差は500以下であり、前記ジエン系ゴム粒子の屈折率と、前記塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有量との比(ジエン系ゴム粒子の屈折率/塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有量)が0.0225~0.0240であることを特徴とする成形用樹脂組成物。
- 塩素化塩化ビニル系樹脂の重合度が400~3000、塩化ビニル系樹脂の重合度が400~1000であることを特徴とする請求項1記載の成形用樹脂組成物。
- 塩化ビニル系樹脂の含有量は、塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の成形用樹脂組成物。
- ジエン系ゴム粒子は、平均粒子径が0.001~1.0μmであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の成形用樹脂組成物。
- 塩素化塩化ビニル系樹脂中の塩素含有量は、63~72質量%であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の成形用樹脂組成物。
- 塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、熱安定剤を0.4~10質量部含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の成形用樹脂組成物。
- 更に、内部滑剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の成形用樹脂組成物。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の成形用樹脂組成物から成形されてなることを特徴とする成形体。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の成形用樹脂組成物から成形されてなることを特徴とする継手。
- 透明であることを特徴とする請求項10記載の継手。
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