JP6940810B2 - 記録装置 - Google Patents
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Description
そして特許文献2の構成では、モータ55の主軸に固定された駆動歯車56が、リンク28に固定された被駆動歯車57に対して中間歯車58を介して駆動力を伝達し、これによりリンク機構26が伸縮し、ひいては4枚のトレイ板がスライド動作する構成となっている。
そしてリンク28、29の撓みは、基端側のトレイ板21よりも、先端側のトレイ板24のほうが影響を大きく受ける為、特に先端側のトレイ板24のスライド動作に円滑性が損なわれ、リンク28、29の撓みが解放される際の急激なスライド動作を招き、製品の品質上好ましくない。
尚、前記複数のトレイは必ずしも第1、第2の二つのトレイのみで構成されるとは限らず、三つ以上のトレイで構成される場合もあり、その場合の第1、第2トレイとは、前記展開状態において或るトレイと、その下流側に位置するトレイとの関係を指す。
本態様によれば、前記第2歯車の歯が前記第2ラック部の歯に当たった場合に、前記第2ラック部が設けられた前記側面側が前記第1スリットの開口幅が狭くなる方向に弾性変形して逃げる構成とすることができる。前記側面側が弾性変形すると、前記第2ラック部と、前記第2歯車の歯が噛み合い易くなり、前記第2歯車がロックしてしまう不具合を抑制できる。
まず、本発明の一例に係る記録装置の概略について説明する。本実施形態において、記録装置の一例としてインクジェットプリンター1(以下、単にプリンター1と称する)を例に挙げる。
図1は、本発明に係るプリンターの外観斜視図であり、排紙トレイの収納状態を示す図である。図2は、本発明に係るプリンターにおいて排紙トレイの第1の展開状態を示す図である。図3は、本発明に係るプリンターにおいて排紙トレイの第2の展開状態を示す図である。図4は、本発明に係るプリンターの用紙搬送経路を示す図である。図5は、排紙トレイの外観斜視図である。図6は、排紙トレイの分解斜視図である。図7は、収納状態にある排紙トレイを示す斜視図である。図8は、第1の展開状態にある排紙トレイを示す斜視図である。図9は、第1の展開状態と第2の展開状態との間にある排紙トレイを示す斜視図である。図10は、第2の展開状態にある排紙トレイを示す斜視図である。図11は、排紙トレイの駆動機構を示す斜視図である。図12は、排紙トレイの駆動機構を下側から見た図である。
また、以下において、プリンター1において用紙が搬送されていく搬送方向を「下流」といい、これと反対の方向を「上流」という。
以下、主として図1〜図4を参照して、本発明に係るプリンター1の全体構成について概説する。
図1に示すプリンター1は、装置本体2内に媒体の一例としての用紙にインクジェット記録を行う「記録部」としての記録ヘッド20(図4)を備えて構成されている。
また、装置前面には開閉可能な前面カバー5が設けられており、前面カバー5を開くことにより、後述する給紙トレイ7及び装置本体2から排出される記録後の用紙を受ける「媒体受け手段」としての排紙トレイ10が露呈する様に構成されている。
より具体的には、排紙トレイ10は、第1トレイ11と、前記展開状態において第1トレイ11より媒体排出方向の下流に位置する第2トレイ12とを備え、排紙トレイ10全体が装置本体2に収納された前記収納状態(図1)と、前記収納状態から、第1トレイ11が前記収納状態における位置に留まったまま第2トレイ12のみが媒体排出方向(+Y軸方向)に変位した第1の展開状態(図2)と、前記第1の展開状態から、第2トレイ12が前記媒体排出方向に変位した第2の展開状態(図3)とを取り得る様に設けられている。排紙トレイ10は、第1の展開状態(図2)或いは第2の展開状態(図3)となることで、記録後に排出される用紙を受けることができる。
尚、排紙トレイ10を前記収納状態と前記展開状態(前記第1の展開状態及び前記第2の展開状態を含む)と間で変位させる駆動機構30(図11)の構成については、後で詳述する。
また、図1において装置本体2の後方上部において符号6は開閉可能なカバーであり、このカバー6を開くことにより、リア給紙部8(図4)を利用した用紙の給紙が行える様になっている。
次に、主として図4を参照しつつプリンター1における用紙搬送経路について説明する。
初めに、リア給紙部8からの用紙の給送について説明し、その後、装置底部に設けられる給紙トレイ7からの用紙の給送について説明する。
尚、図4において、リア給紙部8からの用紙の搬送経路T1を二点鎖線で示している。また、給紙トレイ7から搬送ローラー対23の上流側までの用紙の搬送経路T2を点線で示している。
第1給送ローラー13の先には、図示しないモーターによって回転駆動される搬送ローラー対23が設けられており、用紙は記録ヘッド20の下へと送られる。
記録ヘッド20と対向する位置には、搬送される用紙を支持する媒体支持部材22が設けられている。
記録ヘッド20は、媒体支持部材22に支持される用紙に液体としてのインクを吐出して記録を行う。
第2給送ローラー14によって送り出された用紙Pは、搬送経路面を形成する斜面84に沿って上方に送られる
続いて、排紙トレイ10の駆動機構30(図11)の構成について説明する。
前述したように、排紙トレイ10は、第1トレイ11と第2トレイ12とを備え、排紙トレイ10全体が装置本体2に収納された前記収納状態(図1)と、前記収納状態から、第1トレイ11が前記収納状態における位置に留まったまま第2トレイ12のみが媒体排出方向(+Y軸方向)に変位した第1の展開状態(図2)と、前記第1の展開状態から、第1トレイ11及び第2トレイ12が前記媒体排出方向に変位した第2の展開状態(図3)とを取り得る。
第2の展開状態(図3)の排紙トレイ10は、第1の展開状態(図2)の排紙トレイ10よりも、媒体排出方向のサイズが大きい(長い)用紙を受ける際に用いられる。
以下において、まず、ピニオン部40を含む輪列32について説明した後、第1ラック部51及び第2ラック部52について説明する。
本発明の特徴部であるピニオン部40(図11及び図14)は、第1トレイ11に接触してモーター31の動力を第1トレイ11に伝える「第1回転体」としての第1歯車41と、第2トレイ12に接触してモーター31の動力を第2トレイ12に伝える「第2回転体」としての第2歯車42と、を備えている。
ピニオン部40において、第1歯車41と第2歯車42は同じ回転軸上に配設され、第1歯車41と第2歯車42とが一体に回転するように構成されている。尚、第1歯車41と第2歯車42は歯車径と歯の数が同じである。
ねじりバネ45を介して第1歯車41と第2歯車42とを組み合わせたピニオン部40において(図14)、第1歯車41の歯と第2歯車42の歯の移相が合うようになっている。例えば、図14において、第1歯車41と第2歯車42のいずれにも外力がかからない状態では、第1歯車41の歯53と、第2歯車42の歯54が重なった状態になる。
このことによって、第1歯車41と第2歯車42との間の位相ずれを抑制または回避することができる。
尚、第1歯車41と第2歯車42との間に設けられる「付勢手段」はねじりバネ45に限られず、例えば板バネや引っ張りバネ等の他の種類のバネ部材を用いることも可能である。
図11においてモーター31の回転軸31aが+A方向に回転すると、第1歯車41が+B方向に回転し、以ってピニオン部40全体が+B方向に回転する。モーター31の駆動を逆転させると(回転軸31aが−A方向に回転)、第1歯車41が−B方向に回転するとともにピニオン部40全体が−B方向に回転する。
図5及び図6に示すように、第1トレイ11の側面には、複数の歯を備えて構成される第1ラック部51が設けられている。また、第2トレイ12の側面には、複数の歯を備えて構成される第2ラック部52が設けられている。
第1ラック部51の歯と歯の間には、ピニオン部40のうち、第1歯車41の歯が係合可能であり、第2ラック部52の歯と歯の間には、ピニオン部40のうち、第2歯車42の歯が係合可能に構成されている。
尚、第1ラック部51と第2ラック部52は、それぞれ歯の間隔が同じである。
続いて、駆動機構30による排紙トレイ10の具体的な動作について説明する。まず、排紙トレイ10を前記収納状態(図1、図7)から第2の展開状態(図3、図10)に展開する展開動作について説明する。
図5は、前記収納状態の排紙トレイ10を示している。前記収納状態の排紙トレイ10(図5)において、第1トレイ11の第1ラック部51と、第2トレイ12の第2ラック部52とは−Y軸方向の端部が揃い、上下のラック部(第1ラック部51と第2ラック部52)の歯の位相が揃う様になっている。第2トレイ12の第2ラック部52は、第1トレイ11の第1ラック部51よりもY軸方向に長く、第2ラック部52の+Y軸方向の端部には前記収納状態の際に第1ラック部51が重ならない領域S(図5)がある。
装置本体2(図1)において駆動機構30は、図7に示すように、排紙トレイ10が収納状態をとる際に、ピニオン部40の第2歯車42が第2ラック部52の+Y軸方向の端部にある領域S(図5)に係合する様に配設されている。尚、図7において、第1歯車41は第1ラック部51に係合していない。
前述したように、前記収納状態(図7)において第1歯車41は第1ラック部51に係合していないので、第1トレイ11は前記収納状態のときと同じ位置に残ったまま、第2トレイ12のみが+Y軸方向に変位する。
また、第2トレイ12は上面に規制部59を備えている。尚、第1被接触部57、第2被接触部58、及び規制部59は、装置幅方向に一対で設けられている。
規制部59は、第1被接触部57に接触して第2トレイ12の第1トレイ11に対する展開方向(+Y軸方向)への所定以上の移動を規制し、第2被接触部58に接触して第2トレイ12の第1トレイ11に対する収納方向(−Y軸方向)への所定以上の移動を規制する。つまり、第2トレイ12が第1トレイ11に対して所定の範囲で進退するようになっている。
尚、排紙トレイ10が前記収納状態(図7)から第1の展開状態(図8)に至るまでは、ピニオン部40の第2歯車42のみが第2トレイ12の第2ラック部52に係合している。
排紙トレイ10が第1の展開状態(図8)になった後は、規制部59が第1被接触部57に接触しているので、第2トレイ12の第1トレイ11に対する相対的な位置関係は変わらない。また、排紙トレイ10が第1の展開状態となったとき、第1トレイ11の第1ラック部51の+Y軸方向側の端部と、第2トレイ12の第2ラック部52の−Y軸方向側の端部とが重なっている。この第1ラック部51と第2ラック部52とが重なった領域Dにおいては、ピニオン部40の第1歯車41と第2歯車42の双方が、それぞれ対応するラック部に係合する(図9)。
更に第1トレイ11が+Y軸方向に変位してピニオン部40が領域Dを抜けると、ピニオン部40は第1歯車41のみが第1トレイ11の第1ラック部51に係合するようになるが、第1トレイ11は前記第1の展開状態における第2トレイ12との相対位置関係を維持したまま、排紙トレイ10が第2の展開状態(図3、図10)となる所定の位置までY軸方向に変位される。
排紙トレイ10が収納状態(図7)にある際や、第1トレイ11が前記収納状態と同じ位置にある第1の展開状態(図8)の際には、レバー式検出センサー60が第1トレイ11によって押し上げられて第1トレイ11の媒体載置面に接触した状態になっている。例えばこの状態をON状態とする。
レバー式検出センサー60がOFF状態となった位置(図9)を基準として、排紙トレイ10が第2の展開状態(図10)となるための残りのモーター31の駆動量が決められる。
レバー式検出センサー60がOFF状態となる位置は、例えば、排紙トレイ10がよく使う用紙サイズに対応した長さになる位置に設定しておくと良い。このことによって、排紙トレイ10の長さを高精度に使用頻度の高い用紙に対応する長さにすることができる。
位置決めセンサーはレバー式に限られず、光学式センサー等を用いることができる。
したがって、ピニオン部40が、第2歯車42のみが第2ラック部52に係合する状態(図8)と、第1歯車41と第2歯車42が、上下に重なった第1ラック部51と第2ラック部52に同時に係合する状態(図9)との間をスムースに移行することができる。
これにより、排紙トレイ10が、前記第2の展開状態(図10)から前記第1の展開状態(図8)に移行する際に、第1歯車41が第1トレイ11に接触し、前記第1の展開状態(図8)から前記収納状態(図7)に移行する際に、第2歯車42が第2トレイ12に接触する。以って、排紙トレイ10を前記第2の展開状態から前記収納状態にすることができる。
平板状に構成される各トレイにおいて、側面は比較的剛性の高い部分である。第1歯車41及び第2歯車42が、それぞれ対応するトレイの側面に接触する構成とすることにより、第1歯車41が第1トレイ11に接触した際の第1トレイ11の変形、及び第2歯車42が第2トレイ12に接触した際の第2トレイ12の変形を抑制できる。
尚、排紙トレイ10を構成する各トレイの側面以外の部位、例えば、トレイの上面や下面にラック部設ける構成とすることも可能である。
摩擦クラッチ48のトルクは、モーター31による駆動時のトレイ摺動負荷よりも大きく、手動で動かされるトレイがモーター31を回そうとする力よりも小さく設定されている。これによりモーター31による駆動時にはその駆動力が各トレイに伝達され、手動時には、動かされるトレイがモーター31を回そうとする力がモーター31まで伝達されることなく、軽い力でトレイを動かすことができる。
以って、ユーザーが手動により排紙トレイ10の収納状態と展開状態の切り替えを行うことができる。
第2ラック部52が第1ラック部51に対して+Y軸方向に変位し、規制部59が第1被接触部57に当接した状態(図13の下図)において第1ラック部51と第2ラック部52とが重なる領域D(図11)を構成する第1ラック部51の先端側(+Y軸方向側)と第2ラック部52の後端側(−Y軸方向側)の少なくとも一方は、歯が端部側に向けて段階的に低くなるように形成することができる。図17及び図18は、第2ラック部52の後端側を示している。図17及び図18において、符号dで示す部分が領域Dに対応する。
この構成により、領域D(図11)における第1ラック部51と第2ラック部52の歯の位相を合わせ易くすることができる。
本実施形態に係る駆動機構30(図11)においては、ピニオン部40を構成する二つの歯車のうち、第1歯車41に第3歯車34が係合することにより、ピニオン部40に動力が伝達するように構成されている。すなわち、排紙トレイ10を収納状態から展開状態とする際(以下、オープン時と言う)も、その逆に展開状態から収納状態とする際(以下、クローズ時と言う)も、第1歯車41に動力が伝達される構成である。
このことに鑑み、排紙トレイ10のオープン時とクローズ時で、最終伝達歯車であるピニオン部40における駆動歯車を変更することができる。
排紙トレイ10のオープン時には、遊星歯車機構70は図19の上図の状態をとり、遊星歯車71aがピニオン部40の第2歯車42と係合し、第2歯車42に動力を伝えてピニオン部40が駆動される。
排紙トレイ10のクローズ時には、遊星歯車機構70は図19の下図の状態をとり、遊星歯車71bがピニオン部40の第1歯車41と係合し、第1歯車41に動力を伝えてピニオン部40が駆動される。
これにより、オープン時とクローズ時の双方において、駆動開始直後にトレイの駆動を担う歯車(オープン時に第2歯車42、クローズ時に第1歯車41)を駆動歯車としてピニオン部40を駆動することができ、以って、排紙トレイ10の展開及び収納をスムースに開始することができる。
図20及び図21を参照して、排紙トレイ10における他の構成について説明する。
装置本体2の内部には、図20に示すように、排紙トレイ10の左右の端部をガイドする一対のガイドレール(左側ガイドレール80a、右側ガイドレール80b)が設けられている。左側ガイドレール80aは、左側ガイドフレーム81aに設けられ、右側ガイドレール80bは、右側ガイドフレーム81bに設けられている。尚、図20は、装置本体2の外装が外された状態を示している。
左側ガイドレール80a及び右側ガイドレール80bは、排紙トレイ10のうち、下側に位置する第2トレイ12の幅方向(X軸方向)の端部を支持して第2トレイ12のY軸方向への移動をガイドする。
つまり、第2トレイ12が最も引き出された状態(第2の展開状態)のときに、第2トレイ12の後端が左側ガイドレール80a及び右側ガイドレール80bの先端によって支持されている。このことによって、第2の展開状態の排紙トレイ10の姿勢が安定する。
そのため、第1トレイ11の後端側(−Y軸方向側)は、ある程度の長さが装置本体2側に残されて、左側ガイドレール80a及び右側ガイドレール80bの先端にかかる前記荷重を低減するように構成されている。
このことにより、排紙トレイ10を第2の展開状態にする際に、装置本体2内に残す第1トレイ11の後端側の長さを長くとりつつ左側ガイドレール80a及び右側ガイドレール80bの先端にかかる前記荷重を低減することと、排紙トレイ10の第2の展開状態における長さの確保と、を両立することができる。
次に、図22〜図23を参照して、プリンター1における他の構成について説明する。
排紙トレイ10の駆動機構30のモーター31は、取り外して交換可能に構成されている。駆動機構30は、図7及び図21に示すように、装置前面側から見て排紙トレイ10の左側、すなわち装置本体2の左側に配置されている。
具体的には、図22に示すように、左側ベースフレーム85は、固定ネジ86、86に対応する位置に貫通孔87、87を備え、左側ベースフレーム85を外すことなく固定ネジ86、86にアクセス可能に構成されている。
固定ネジ86、86を外すと、モーター31を支持するモーター用フレーム88(図23)が左側ガイドフレーム81aから取り外され、モーター31がモーター用フレーム88ごと着脱可能な状態となる。
左側ガイドフレーム81aの底部(図示省略)は、モーター31に対応する位置が開口しており、左側ガイドフレーム81aから取り外されたモーター31(モーター用フレーム88を含む)を下方に取り出せるようになっている。以上の構成により、左側ベースフレーム85を外すことなくモーター31を装置本体2から取り外し、交換することができる。
図24〜図26を参照して、第1トレイ11における他の構成について説明する。図24は、排紙トレイの変更例を示す平面図である。図25は、図24のJ部の拡大斜視図である。図26は、図24に示す第2トレイの第2ラック部にピニオン部が係合した状態を示す斜視図である。
そして第1トレイ11において、第2ラック部52が設けられた側面側が、第1スリット90の開口幅92(図25)が狭くなる方向(−X軸方向)に弾性変形可能に構成されている。
より具体的には、第1スリット90は、第2ラック部52の近傍に設けられており、第1スリット90に対して+X軸方向側の部分93(図25)が、−X軸方向に弾性変形可能になっている。
尚、第1スリット90の長さ(Y軸方向の長さ)は、第1トレイ11を構成する材料(例えば、プラスチック等の樹脂材料)の剛性や、前記側面側の部分93の幅の長さに応じて設定される。
本実施形態において、図14〜図16を参照して説明したピニオン部40に替えて、図27に示すような歯車構成部材96を二つ組み合わせることにより形成されるピニオン部100(図28)を用いることができる。
図27は、歯車構成部材の斜視図である。図28は、図27に示す歯車構成部材を組み合わせて形成したピニオン部の斜視図である。
ピニオン部100は、歯車構成部材96Aと歯車構成部材96Bのそれぞれの凸部97A、97Bを内側にして向い合せ、一方側の歯車構成部材96Bの凸部97Bと、他方側の歯車構成部材96Aの凹部98Aとを組み合わせて一体に形成されている。ピニオン部100は、二つの歯車構成部材96A、96Bを組み合わせた状態で、二つの歯車構成部材96A、96Bの双方の歯99A、99Bの移相が合うようになっている。
凸部97が完全な半円に設計されていると、凸部97がプラス公差で形成された場合に、二つの歯車構成部材96を組み合わせることが出来なくなる場合がある。凸部97が製造公差分だけ半円よりも小さい円弧に形成されていることにより、二つの歯車構成部材96が組み合わせることが出来なくなる虞を抑制または回避できる。
尚、円周方向において、組み合わされた二つの歯車構成部材96の凸部97同士の間(図28において符号101で示す部分)には、前記公差分の隙間ができていてもよい。
本実施形態において、第1被接触部57と規制部59は、第1ラック部51と第2ラック部52との歯の位相が合う位置で互いに接触するように配置されているが、排紙トレイ10の移動時の慣性や振動により、第1被接触部57に規制部59が接触した後に、第1ラック部51と第2ラック部52との歯の位相がずれる場合がある。
例えば、収納状態の排紙トレイ10(図7)を展開して、第1の展開状態(図8)となった場合に、第1ラック部51と第2ラック部52との歯の位相がずれていると、第1ラック部51と第2ラック部52の双方にピニオン部40の第1歯車41と第2歯車42が噛み合う状態(図9)にスムースに移行できない。
この問題を回避するため、プリンター1は、図示を省略する制御手段により、以下に説明する位相合わせ動作を実行可能に構成されている。
以下において、主として図29を参照して、排紙トレイ10を収納状態(図7)から展開する場合の位相合わせ動作について説明する。
図7に示す収納状態から排紙トレイ10を展開する場合、モーター31を回転軸31a(図11)が+A方向に回転するように駆動する。モーター31の駆動によりピニオン部40は+B方向に回転して、第2トレイ12は+Y軸方向に変位し、排紙トレイ10は第1の展開状態(図8)となる。
このとき、ピニオン部40は、第1ラック部51と第2ラック部52とが重なった領域Dの手前(+Y軸方向側)に位置する。
ステップS1において、前記位相合わせ動作を実行した回数を確認する。ステップS1においては、位相合わせ動作の実行前であるので、リトライカウンターN=0(ゼロ)とする。続いて、規制部59を第1被接触部57に当てる方向、すなわち、+A方向にモーター31の回転軸31aを所定の回転量で回転させる(ステップS2)。
ステップS3においてNOと判断された場合には、ステップS4以降に続くスタッカー前後動作を行う。
ステップS5において、モーター31の回転軸31aを+A方向、すなわち、排紙トレイ10を展開する方向に回転させる。これに続き、ステップS6において、モーター31の回転軸31aを−A方向、すなわち、排紙トレイ10を収納する方向に回転させる。
ステップS4とステップS5を1セットとして、ステップS7においてスタッカー前後動作回数nを積算し、スタッカー前後動作回数nが2より大きいか否かを判断するステップS8においてYESと判断されるまで、すなわち、スタッカー前後動作回数n=3になるまでステップS4とステップS5を繰り返す。
ステップS4とステップS5を繰り返して排紙トレイ10(第1トレイ11及び第2トレイ12)を前後させることにより、ずれていた第1ラック部51と第2ラック部52の位相が揃えられる。
ステップS10において、リトライカウンターNの値が2以下であるかを判断し、ステップS10においてYES、すなわち前記位相合わせ動作の実行回数が2回以下である場合には、ステップS2に戻る。
ステップS10においてNO、すなわち、前記位相合わせ動作を3回実行した場合には、当該位相合わせ動作を行う制御を終了する。
尚、本実施形態のプリンター1においては、3回のスタッカー前後動作を1セットとした前記位相合わせ動作を3回行えば、第1ラック部51と第2ラック部52の位相は揃うと判断し、ステップS10において判断するリトライカウンターNの境界値を2としたが、ステップS8やステップS10において大小を判断するスタッカー前後動作回数nやリトライカウンターNの境界値は、変更することができる。
本実施形態において、図11及び図12を参照して説明した排紙トレイ10の駆動機構30に替えて、図30に示すような駆動機構110を用いることができる。図30は、排紙トレイの駆動機構における他の変更例について説明する図である。
図30に示す駆動機構110は、ピニオン部40が、図30において矢印で示す+K方向に変位可能に構成されている。より具体的には、ピニオン部40は、揺動軸111を軸として、第2ラック部52が設けられた第2トレイ12の側面に対して進退する方向に揺動可能に構成され、且つ、第2ラック部52が設けられた第2トレイ12の側面に対して近づく方向(−K方向)に付勢されている。
駆動機構110は、モーター31(図30においては図示省略)の回転軸31aに設けられたウォームギア33(図30においては図示省略)から第3歯車34までは、図12に示す輪列32と同じ構成を有している。符号112及び符号113で示す歯車は、第3歯車34からピニオン部40に動力を伝達する歯車である。
図30のように、ピニオン部40が、第2ラック部52が設けられた第2トレイ12の側面に対して進退する方向に揺動可能に構成され、−K方向に付勢されていることにより、図26のように第2歯車42の歯が第2ラック部52の歯に当たった場合に、ピニオン部40が+K方向に逃げる構成とすることができる。以って、第2歯車42が第2ラック部52の歯に当たった後に駆動され続けて、第2トレイ12の側面に負荷がかかることを抑制できる。
前述したように、本実施形態において、駆動機構30を構成する第7歯車38には摩擦クラッチ48が設けられており、手動により排紙トレイ10の収納状態と展開状態が切り替えられる様に構成されている。
一つの歯車(第2歯車42)のみがラック部(第2ラック部52)と係合した状態(図10)から、二つの歯車(第1歯車41と第2歯車42)がそれぞれラック部(第1ラック部51と第2ラック部52)に係合した状態(図9)になると、第2トレイ12を手で押す際の抵抗が増えるため、ユーザーが操作し難いと感じる場合がある。
操作パネル4のホーム画面に排紙トレイ10の状態切替ボタンが設けられることにより、自動による排紙トレイ10の展開或いは収納をユーザーが実行し易くなる。このことにより、ユーザーが手動で排紙トレイ10を動作する場面を減らすことができる。
尚、操作パネル4に表示される前記状態切替ボタンは、収納動作か展開動作のいずれか一方を行うボタン(例えば、収納ボタン)であってもよい。
図31を参照して、排紙トレイ10における他の構成について説明する。図31は、排紙トレイ10における他の構成について説明する図である。
図13を参照して説明したように、第2トレイ12に設けられる規制部59は、第1トレイ11に設けられる第1被接触部57に接触して第2トレイ12の第1トレイ11に対する展開方向(+Y軸方向)への所定以上の移動を規制し、第1トレイ11に設けられる第2被接触部58に接触して第2トレイ12の第1トレイ11に対する収納方向(−Y軸方向)への所定以上の移動を規制する。
第1ロック部114及び第2ロック部115は、例えばそれぞれ支点114a、115aを支点として揺動する板バネで構成されており、支点114a、115aと反対側の端部に設けられた山部114b、115bが第1トレイ11の下面から突出するように付勢されている。
排紙トレイ10の前記第1の展開状態(図31の下図)においては、規制部59は、第1被接触部57と第1ロック部114の山部114bとの間に位置し、山部114bによって第2トレイ12の第1トレイ11に対する−Y方向への移動が規制される。
第1ロック部114或いは第2ロック部115による第2トレイ12のロック状態を解除する場合、例えば、図31の上図の状態から第2トレイ12を+Y軸方向に移動させる場合には、第2トレイ12に対して+Y軸方向に所定の力を加えることにより、規制部59が前記板バネの付勢力に抗して山部115bを押し、山部115bを乗り越える。これにより前記ロック状態を解除して第2トレイ12を+Y軸方向に移動することができる。
図32を参照して、排紙トレイのガイドレールについて説明する。図32は、左側ガイドレールに支持される排紙トレイのX−Y平面の断面図である。
先に、図20及び図21を参照して、排紙トレイ10の左右の端部をガイドする一対のガイドレール(左側ガイドレール80a、右側ガイドレール80b)について説明した。
左側ガイドレール80a及び右側ガイドレール80bは、排紙トレイ10のうち、第2トレイ12を下方から支持するガイドレールである。左側ガイドレール80a及び右側ガイドレール80bのそれぞれの上方には、排紙トレイ10のうち、第1トレイ11をガイドする左側ガイドレール116a及び右側ガイドレール116b(それぞれ図20を参照)が設けられている。
また、左側ガイドレール80aと同様に、上側に位置する左側ガイドレール116aにも、左側ガイドレール116aの延設方向(Y軸方向)に沿うリブ118(図32)が設けられている。尚、図20においては、リブ118は見えていない。リブ118は、図32に示すように、第1トレイ11に設けられる凹部120に嵌合して、第1トレイ11の前記幅方向における位置決めが成される。以って、排紙トレイ10の前記幅方向における位置が決められる。
3…スキャナーユニット、4…操作パネル、5…前面カバー、
6…カバー、7…給紙トレイ、8…リア給紙部、
10…排紙トレイ、11…第1トレイ、12…第2トレイ、
13…第1給送ローラー、14…第2給送ローラー、15…ローラー支持部材、
16…中間ローラー、17…従動ローラー、18…従動ローラー、19…従動ローラー、
20…記録ヘッド(記録部)、21…キャリッジ、22…媒体支持部材、
23…搬送ローラー対、24…排出ローラー対、
30…駆動機構、31…モーター(駆動源)、31a…回転軸、
32…輪列、33…ウォームギア、34…第3歯車、35…第4歯車、
36…第5歯車、37…第6歯車、38…第7歯車、39…第8歯車、
40…ピニオン部、41…第1歯車(第1回転体)、42…第2歯車(第2回転体)、
43…第9歯車、44…第10歯車、45…ねじりバネ、46…コイル部、
47a、47b…腕部、48…摩擦クラッチ、
51…第1ラック部、52…第2ラック部、57…第1被接触部、58…第2被接触部、59…規制部、60…レバー式検出センサー、61…スリット、
70…遊星歯車機構、71a、71b…遊星歯車、
80…ガイドレール、80a…左側ガイドレール、80b…右側ガイドレール、
81a…左側ガイドフレーム、81b…右側ガイドフレーム、82…後端位置、
83…先端位置、84…斜面、85…左側ベースフレーム、86…固定ネジ、
87…貫通孔、88…モーター用フレーム、
90…第1スリット、92…開口幅、93…部分、94…レバー式検出センサー、
96…歯車構成部材、97…凸部、98…凹部、99…歯、100…ピニオン部、
110…駆動機構、111…揺動軸、112…歯車、113…歯車、
114…第1ロック部、115…第2ロック部、116a…左側ガイドレール、
116b…右側ガイドレール、117…リブ、118…リブ
Claims (10)
- 媒体に記録を行う記録部を備える装置本体と、
媒体排出方向に沿って変位可能な複数のトレイを備えて成るとともに、前記複数のトレイの少なくとも一部が前記装置本体に収納される収納状態と、前記複数のトレイのうち少なくとも一つが前記収納状態よりも媒体排出方向に変位して前記媒体を受ける展開状態と、をとる媒体受け手段と、
前記媒体受け手段を駆動する駆動源と、
前記駆動源の動力を前記媒体受け手段に伝達する伝達手段と、を備え、
前記媒体受け手段を構成する前記複数のトレイは、少なくとも第1トレイと、前記展開状態において前記第1トレイより媒体排出方向下流に位置する第2トレイと、を含み、
前記伝達手段は、
前記第1トレイに接触して前記駆動源の動力を前記第1トレイに伝える第1回転体と、
前記第2トレイに接触して前記駆動源の動力を前記第2トレイに伝える第2回転体と、を備え、
前記展開状態は、前記収納状態から、前記第1トレイが前記収納状態における位置に留まったまま前記第2トレイのみが前記媒体排出方向に変位した第1の展開状態と、
前記第1の展開状態から、前記第1トレイ及び前記第2トレイが前記媒体排出方向に変位した第2の展開状態と、を含み、
前記伝達手段は、前記媒体受け手段が、
前記収納状態から前記第1の展開状態に移行する際に、前記第2回転体が前記第2トレイに接触し、
前記第1の展開状態から前記第2の展開状態に移行する際に、前記第1回転体が前記第1トレイに接触する構成である、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、前記第1回転体は、前記第1トレイの側面に接触し、前記第2回転体は、前記第2トレイの側面に接触する構成である、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1または請求項2に記載の記録装置において、
前記伝達手段は、前記媒体受け手段が、
前記第2の展開状態から前記第1の展開状態に移行する際に、前記第1回転体が前記第1トレイに接触し、
前記第1の展開状態から前記収納状態に移行する際に、前記第2回転体が前記第2トレイに接触する構成である、
ことを特徴とする記録装置。 - 媒体に記録を行う記録部を備える装置本体と、
媒体排出方向に沿って変位可能な複数のトレイを備えて成るとともに、前記複数のトレイの少なくとも一部が前記装置本体に収納される収納状態と、前記複数のトレイのうち少なくとも一つが前記収納状態よりも媒体排出方向に変位して前記媒体を受ける展開状態と、をとる媒体受け手段と、
前記媒体受け手段を駆動する駆動源と、
前記駆動源の動力を前記媒体受け手段に伝達する伝達手段と、を備え、
前記媒体受け手段を構成する前記複数のトレイは、少なくとも第1トレイと、前記展開状態において前記第1トレイより媒体排出方向下流に位置する第2トレイと、を含み、
前記伝達手段は、
前記第1トレイに接触して前記駆動源の動力を前記第1トレイに伝える第1回転体と、
前記第2トレイに接触して前記駆動源の動力を前記第2トレイに伝える第2回転体と、を備え、
前記伝達手段は、
前記第1トレイの側面に複数の歯を備えて構成される第1ラック部と、
前記第2トレイの側面に複数の歯を備えて構成される第2ラック部と、
前記第1ラック部の前記歯に係合する、前記第1回転体を構成する第1歯車と、前記第2ラック部の前記歯に係合する、前記第2回転体としての第2歯車と、が同じ回転軸上に配設されたピニオン部を備えて構成される、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項4に記載の記録装置において、
前記ピニオン部は、前記第1歯車と前記第2歯車との間に、前記第1歯車に対する前記第2歯車の回転を一定範囲で許容する付勢手段を備える、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記第1トレイは、前記媒体排出方向に間隔を空けて設けられる第1被接触部と第2被接触部とを備え、
前記第2トレイは、前記第1被接触部に接触して前記第2トレイの前記第1トレイに対する展開方向への所定以上の移動を規制し、前記第2被接触部に接触して前記第2トレイの前記第1トレイに対する収納方向への所定以上の移動を規制する規制部を備える、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項4または請求項5に記載の記録装置において、
前記第1トレイは、前記媒体排出方向に間隔を空けて設けられる第1被接触部と第2被接触部とを備え、
前記第2トレイは、前記第1被接触部に接触して前記第2トレイの前記第1トレイに対する展開方向への所定以上の移動を規制し、前記第2被接触部に接触して前記第2トレイの前記第1トレイに対する収納方向への所定以上の移動を規制する規制部を備え、
前記第1被接触部と前記規制部、及び、前記第2被接触部と前記規制部は、前記第1ラック部と前記第2ラック部との位相が合う位置で互いに接触する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項7に記載の記録装置において、
前記規制部が前記第1被接触部に接触した際に、前記第1ラック部の前記媒体排出方向の先端側と前記第2ラック部の前記媒体排出方向の後端側が重なる構成であり、
前記第1ラック部の前記先端側と前記第2ラック部の前記後端側の少なくとも一方は、歯が端部側に向けて段階的に低くなるように形成されている、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記伝達手段は、前記駆動源と前記第1回転体の間、及び、前記駆動源と前記第2回転体の間に摩擦クラッチを備える、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項4に記載の記録装置において、
前記第2トレイは、前記媒体排出方向の上流側の端部側が開口して、前記第2ラック部に沿って延設される第1スリットを備え、前記第2ラック部が設けられた前記側面側が、前記第1スリットの開口幅が狭くなる方向に弾性変形可能に構成されている、
ことを特徴とする記録装置。
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