JP6937959B2 - 酸化チタンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は酸化チタンの製造方法に関し、特に液相法による酸化チタンの製造方法に関する。
本願は、2019年2月19日に、日本に出願された特願2019−027728号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年では、二酸化チタン(TiO)は化学的に安定な材料であり白色顔料などとして広い分野で工業的に使用されている。また、これらの用途においてより高い機能を発現するため、比表面積の大きいアナターゼ型の微粒子酸化チタンが求められている。
アナターゼ型の微粒子酸化チタンを得る工業的な手法としては、主に気相法と液相法がある。このうち気相法として、特許文献1のようにハロゲン化チタンガスを酸性ガスと反応させる手法がある。
液相法としては、特許文献2では四塩化チタンを含む水溶液に酢酸、シュウ酸、ギ酸などのカルボン酸を添加し、酸化チタンの合成中に発生する塩酸をアンモニアで中和することが記載されている。
また、特許文献3では、硫酸チタニルから酸化チタンを液相で合成する際に金属元素やSi、Pを添加することが記載されている。特許文献4では、液相法により四塩化チタンから酸化チタンを合成する方法において、四塩化チタン水溶液にクエン酸を添加し、この溶液を温水中に滴下することが記載されている。
特許文献5の実施例1では、四塩化チタン水溶液に無水クエン酸を添加し、92℃に昇温し、30分保持した後に、70℃に冷却し、アンモニア水で中和する工程を含む酸化チタン粉末の製造方法が記載されている。また、特許文献5では、この方法によって得られた酸化チタンを500℃で2時間焼成したものが記載されており、焼成後の酸化チタンにおけるルチル含有量が8%であることが開示されている。
非特許文献1では、テストチューブ中でチタンn−ブトキシド(TNB)をトルエンに溶解し、オートクレーブにセットし、テストチューブとオートクレーブ壁面の間に水を入れて300℃で反応させ、蒸発した水がトルエンに溶けて、TNBを加水分解することが記載されている。
特開2015−27924号公報 特開2011−63496号公報 特開平7−267641号公報 特開2017−114700号公報 国際公開第2016/002755号
TiOが取りうる結晶構造として主に、アナターゼ結晶相(Anatase)、ブルッカイト結晶相(Brookite)、ルチル結晶相(Rutile)の3つが知られている。とりわけアナターゼ結晶相を多く含むアナターゼ型酸化チタンは、誘電体原料、太陽電池電極、あるいは光触媒原料として注目されている。一例として、誘電体原料であるチタン酸バリウムBaTiOを合成する際には、原料であるBa源との反応性が高いアナターゼ型酸化チタンが好ましいとされている。
BaTiOの合成方法として炭酸バリウムと酸化チタンとを反応させる固相法がある。この方法では600℃から700℃で反応させる必要があり、この温度域でルチル転化率が低く粒成長しにくいアナターゼ型酸化チタンが求められている。
しかし、特許文献1に記載の方法では、酸化チタンを得るために高温でハロゲン化チタンガスを反応させる必要があり、作製した酸化チタンがルチル相に転移する。また、高温で反応させるため粒子が焼結及び粒成長し、酸化チタンの粒子が大きくなる問題がある。
特許文献2に記載の方法では、加水分解により発生する塩酸成分を塩基で中和していることから、塩が生成し、これを除く洗浄工程のために大がかりな設備が必要になり、さらに大量の廃液が発生すると考えられる。これらのことから、特許文献2に記載の製造方法は高コストである。
特許文献3に記載の方法では、硫酸イオンの除去が困難であり、十分に除去するためには高いコストを要する。また、製造工程において金属元素やSi、Pなどを含有する化合物が添加されており、これらに由来する成分を除去するため、特許文献2と同様、高コストとなる。特に、誘電体原料の用途においては、酸化チタンから金属を十分に除かなくてはならず、さらなる製造コスト増大の要因となる。
特許文献4に記載の製造方法で得られる酸化チタンでは、後述する比較例18の通り、700℃の高温環境下においてアナターゼ結晶構造はほぼ全て失われている。
また、特許文献5に記載の上記製造方法で得られる酸化チタンも、後述する比較例19の通り、700℃の高温環境下においてアナターゼ結晶相はほぼ全て失われている。
非特許文献1に記載の製造方法では、気化した水の自己発生圧でオートクレーブ内の圧力は10MPaに達するため、量産する場合、高圧に耐え、かつ大きな反応容器が必要であり、設備は大掛かりなものとなる。そのため、この文献に記載の製造方法では、量産に際しての製造コストは非常に高くなる。
そこで、本発明は、低コストで、高温環境下においても結晶相中のアナターゼ結晶相の含有率を高く維持できる酸化チタンの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の構成は以下の通りである。
〔1〕四塩化チタンと、カルボキシ基を3個有するα−ヒドロキシカルボン酸とが溶解した水溶液を反応液として、該反応液を60℃以上かつ前記反応液の沸点以下の反応温度にして酸化チタンを合成する合成工程を含み、前記反応液において、Tiの物質量(mol)に対する前記α−ヒドロキシカルボン酸の物質量(mol)の比率が0.006以上0.017以下であり、前記反応液のTi濃度が0.07mol/L以上0.20mol/L未満である場合、前記反応温度は60〜75℃であり、前記反応液のTi濃度は、0.07mol/L以上0.70mol/L以下であり、前記反応液のTi濃度が0.20mol/L以上0.45mol/L未満である場合、前記反応温度は65℃以上かつ前記反応液の沸点以下であり、前記反応液のTi濃度が0.45mol/L以上0.70mol/L以下である場合、前記反応温度は60〜75℃である酸化チタンの製造方法。
〔2〕前記α−ヒドロキシカルボン酸がクエン酸である〔1〕に記載の酸化チタンの製造方法。
〔3〕四塩化チタンと、カルボキシ基を2個有するα−ヒドロキシカルボン酸とが溶解した水溶液を反応液として、該反応液を60℃以上かつ前記反応液の沸点以下の反応温度にして酸化チタンを合成する合成工程を含み、前記反応液において、Tiの物質量(mol)に対する前記α−ヒドロキシカルボン酸の物質量(mol)の比率が0.034以上0.065以下であり、前記反応液のTi濃度が0.07mol/L以上0.20mol/L未満である場合、前記反応温度は60〜75℃であり、前記反応液のTi濃度は、0.07mol/L以上0.70mol/L以下であり、前記反応液のTi濃度が0.20mol/L以上0.45mol/L未満である場合、前記反応温度は65℃以上かつ前記反応液の沸点以下であり、前記反応液のTi濃度が0.45mol/L以上0.70mol/L以下である場合、前記反応温度は60〜75℃である酸化チタンの製造方法。
〔4〕前記α−ヒドロキシカルボン酸は、酒石酸またはリンゴ酸である〔3〕に記載の酸化チタンの製造方法。
〔5〕前記合成工程の前に、Ti濃度10質量%以上の、四塩化チタン及び前記α−ヒドロキシカルボン酸が溶解した水溶液を前駆体水溶液として、該前駆体水溶液を水で希釈して前記反応液を得る希釈工程を含む〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
〔6〕前記希釈工程の前に、Ti濃度10質量%以上の四塩化チタン水溶液と、前記α−ヒドロキシカルボン酸とを混合し、四塩化チタン及び前記α−ヒドロキシカルボン酸の水溶液を、前記前駆体水溶液として調製する調製工程を含む〔5〕に記載の酸化チタンの製造方法。
〔7〕前記希釈工程は、前記前駆体水溶液に水を加えることにより行われる〔5〕または〔6〕に記載の酸化チタンの製造方法。
〔8〕前記前駆体水溶液を、前記希釈工程が始まるまで、35℃以下に保持する〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
〔9〕前記希釈工程において、希釈に用いられる水の温度は前記反応温度よりも低く、前記合成工程において前記反応液を前記反応温度まで加熱する〔5〕〜〔8〕のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
〔10〕前記合成工程における、前記加熱は昇温速度0.1〜1.5℃/minで行われる〔9〕に記載の酸化チタンの製造方法。
〔11〕前記反応液を前記反応温度で0.5時間以上保持する〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の酸化チタンの製造方法。
本発明によれば、低コストで、高温環境下においても結晶相中のアナターゼ結晶相の含有率を高く維持できる酸化チタンの製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる酸化チタンの製造方法の一例を示したフロー図である。 カルボキシ基を3個有するα−ヒドロキシカルボン酸としてクエン酸を用いた場合の、酸の物質量とTiの物質量との比率Rに対する、700℃での加熱試験後における酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率の変化を示すグラフである。 カルボキシ基を2個有するα−ヒドロキシカルボン酸として酒石酸を用いた場合の、酸の物質量とTiの物質量との比率Rに対する、700℃での加熱試験後における酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率の変化を示すグラフである。 カルボキシ基を2個有するα−ヒドロキシカルボン酸としてリンゴ酸を用いた場合の、Tiの物質量と酸の物質量との比率Rに対する、700℃での加熱試験後における酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率の変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態にかかる酸化チタン及びその製造方法について説明するが、本発明は以下の実施形態に限られない。
ここで、「酸化チタン」とは、特に断りがなければ酸化チタン(IV)(TiO)のことを指すものとする。「Ti」とは、特に断りがなければ、化合物、イオン、錯体等を構成するチタン原子全てを指す。「Ti濃度」とは、化合物、チタンを含むイオン、錯体等を構成する全てのチタン原子の濃度である。
<1.酸化チタン>
本発明にかかる製造方法により得られる酸化チタンは、全結晶相中のアナターゼ結晶相の含有率(以下、結晶相中のアナターゼ含有率とすることもある)が95質量%以上であり、98質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
<2.酸化チタンの製造方法>
図1は、本発明の一実施形態にかかる酸化チタンの製造方法の一例を示したフロー図である。この一例にかかる酸化チタンの製造方法は、四塩化チタン及びα−ヒドロキシカルボン酸の水溶液を、前駆体水溶液として調製する調製工程S1と、前駆体水溶液に水を加えて希釈し反応液とする希釈工程S2と、反応液から酸化チタンを合成する合成工程S3と、合成された酸化チタンを精製する精製工程S4とを含む。なお、本発明の製造方法はここで説明する一例に限られず、例えば、前駆体水溶液を入手できる場合は調製工程S1を含まなくてもよく、例えば、反応液を入手できる場合は、調製工程S1及び希釈工程S2を含まなくてもよい。以下、各工程について説明する。
<2−1.調製工程S1>
調製工程S1では、四塩化チタン水溶液と、分子内に3個または2個のカルボキシ基を有するα−ヒドロキシカルボン酸とを混合し、四塩化チタン及びα−ヒドロキシカルボン酸の水溶液を、前駆体水溶液として調製する。混合方法としては四塩化チタン水溶液を攪拌しながら、α−ヒドロキシカルボン酸を一回に加えることが添加開始時と終了時で反応条件に差が出ないため好ましい。十分に均一な水溶液を得るために、混合は3分以上撹拌しながら行うことが好ましく、5分以上行うことがより好ましく、8分以上行うことがさらに好ましい。
分子内に3個のカルボキシ基を有するα−ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、クエン酸、イソクエン酸、1,2−ジヒドロキシ−1,1,2−エタントリカルボン酸等が挙げられ、クエン酸を用いることが好ましい。入手が容易であること、及び取り扱いやすくコスト面で有利なためである。
分子内に2個のカルボキシ基を有するα−ヒドロキシカルボン酸としては、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、シトラマル酸等が挙げられ、酒石酸またはリンゴ酸を用いることが好ましい。入手が容易であること、及び取り扱いやすくコスト面で有利なためである。
調製工程S1により得られる前駆体水溶液を、後述する希釈工程が始まるまで35℃以下に保持することが好ましく、さらに、調製工程S1における四塩化チタン水溶液及び前駆体水溶液も35℃以下に保持することがより好ましい。Ti濃度が高い状態での四塩化チタンの加水分解の進行を抑制することで非晶質酸化チタンの生成を抑制するためである。この観点から、保持温度は30℃以下とすることが好ましく、25℃以下とすることがより好ましい。
四塩化チタン水溶液におけるTi濃度は10質量%以上であり、12質量%以上であることが好ましく、14質量%以上であることがより好ましい。保存期間中に四塩化チタンが水と反応し水酸化チタンゾルが生成することを抑制するためである。
四塩化チタン水溶液におけるTi濃度は20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましく、16質量%以下であることがさらに好ましい。四塩化チタン水溶液の保存中に加水分解反応が進行することを抑制するためである。
α−ヒドロキシカルボン酸の添加量は、前駆体水溶液における{α−ヒドロキシカルボン酸の物質量(mol)}/{Tiの物質量(mol)}の値が後述する反応液における比率Rの範囲となるようにすることが好ましい。
なお、本工程においてはα−ヒドロキシカルボン酸を水溶液として四塩化チタン水溶液に加えてもよい。ただし、この場合、上記の水酸化チタンゾルの生成を抑制するために、前駆体水溶液中のTi濃度が大きく低下しないようにする必要がある。具体的には、前駆体水溶液中のTi濃度を10質量%以上とすることが好ましく、12質量%以上とすることがより好ましく、14質量%以上とすることがさらに好ましい。
<2−2.希釈工程S2>
希釈工程S2では、前駆体水溶液を、Ti濃度C(以下、希釈前のTi濃度と希釈後のTi濃度とを区別するために、後者を「希釈後のTi濃度」または単に「Ti濃度C」とする)が0.07〜0.70mol/Lとなるように水で希釈する。上記前駆体水溶液は、Ti濃度10質量%以上の、四塩化チタン及びα−ヒドロキシカルボン酸が溶解した水溶液である。なお、図1に示される製造方法の一例では調製工程S1によって得られた水溶液を前駆体水溶液として用いる。Ti濃度及びα−ヒドロキシカルボン酸の濃度について前駆体水溶液としての条件を満たす水溶液が予め入手できる場合、調製工程S1を経なくてもよい。
希釈は、前駆体水溶液に水を加えてもよく、水に前駆体水溶液を加えてもよい。希釈後の水溶液を反応液とする。反応液のTi濃度C(すなわち、希釈後のTi濃度)は、この後の酸化チタンの合成工程S3における反応温度Tと関係があるため、Ti濃度Cと反応温度Tとの関係及び好ましいTi濃度Cの範囲については酸化チタンの合成工程S3を説明する項にて後述する。
希釈工程S2では、前駆体水溶液に水を加えることが好ましい。希釈中の水溶液のTi濃度が希釈後の水溶液のTi濃度Cを下回ることはなく、特別な装置を用いなくても四塩化チタンと水との反応を抑制できると考えられるためである。また、水溶液中のTiを含む化合物の急激な温度変化を抑制することもでき、精密な温度管理の必要性も避けられる。
希釈工程S2では、前駆体水溶液に加えられる水の温度は、特に限定されないが、70℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。また、前駆体水溶液に加えられる水の温度は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。
ここで用いられる水は、後述する酸化チタンの精製工程S4で除去しなければならない不純物を低減させるため、純水またはイオン交換水であることが好ましいが、精製工程S4で不純物を除去できるのであればこれに限られない。
<2−3.酸化チタンの合成工程S3>
酸化チタンの合成工程S3では、四塩化チタンとαヒドロキシカルボン酸とが溶解した水溶液である反応液を、60℃以上かつ反応液の沸点以下の反応温度T[℃]にして酸化チタンを合成し、酸化チタン粒子を析出させる。
反応開始前における反応液のTiの物質量に対するα−ヒドロキシカルボン酸の物質量の比率R(モル比率{α−ヒドロキシカルボン酸の物質量(mol)}/{Tiの物質量(mol)})の範囲は、用いられるα−ヒドロキシカルボン酸に含まれるカルボキシ基の数によって異なる。比率Rの値が以下に述べる範囲にあれば、生成される酸化チタンは、高温環境下においても結晶相中のアナターゼ含有率を高く維持できる。また、比率Rの値を大きくしすぎないことで、生成する酸化チタン粒子を良好に分散させることができ、大きいBET比表面積を有する微粒子酸化チタンを作製することができると考えられる。
α−ヒドロキシカルボン酸が、分子内にカルボキシ基を3個有する場合、比率Rの値は0.017以下であり、0.013以下であることが好ましく、0.012以下であることがより好ましい。α−ヒドロキシカルボン酸が、分子内にカルボキシ基を3個有する場合、比率Rの値は0.006以上であり、0.008以上であることが好ましく、0.009以上であることがより好ましい。
α−ヒドロキシカルボン酸が、分子内にカルボキシ基を2個有する場合、比率Rの値は0.065以下であり、0.056以下であることが好ましく、0.050以下であることがより好ましく、0.048以下であることがさらに好ましい。α−ヒドロキシカルボン酸が、分子内にカルボキシ基を2個有する場合、比率Rの値は0.034以上であり、0.039以上であることが好ましく、0.044以上であることがより好ましい。
なお、図1に示される製造方法の一例では希釈工程S2によって得られた水溶液を反応液として用いる。反応温度Tに対して後述する(a)〜(c)の範囲にあるTi濃度、及び比率Rが上記範囲にある反応液を入手できる場合は、調製工程S1及び希釈工程S2を経なくてもよい。反応液のTi濃度Cは、0.07mol/L以上0.70mol/L以下であり、Ti濃度Cに対する反応温度Tの条件は、以下の(a)〜(c)の通りである。
(a)Ti濃度Cが0.07mol/L以上0.20mol/L未満である場合、反応温度Tは60〜75℃である。
(b)Ti濃度Cが0.20mol/L以上0.45mol/L未満である場合、反応温度Tは75℃以上かつ反応液の沸点以下である。なお、反応が進むと酸化チタンが析出し、反応液の溶質の濃度が低下するため、反応液の沸点は低下する。また、反応温度Tを反応の沸点とする場合、本工程では還流等、反応液中の水の量を一定に保つことができる方法を用いることが好ましい。
(c)Ti濃度Cが0.45mol/L以上0.70mol/L以下である場合、反応温度Tは60〜75℃である。
上記条件(a)〜(c)の中でも、(b)または(c)が好ましく、(b)がより好ましい。(b)の中でも、反応液のTi濃度Cは0.20〜0.40mol/Lであることが好ましく、0.25〜0.40mol/Lであることがより好ましく、0.25〜0.35mol/Lであることがさらに好ましい。また、(b)の中でも、反応温度Tは80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。
希釈に用いられる水の温度が反応温度Tよりも低く、本工程の前の反応液の温度が反応温度Tよりも低い場合、反応液を加熱する。反応液の加熱は速く行うことが生産性の観点で好ましい。しかし、非晶質酸化チタンの析出を抑制し、結晶性を向上させるには、反応の急激な進行を抑制し、十分に結晶成長させるように昇温速度を抑えることが好ましい。そのため、目標温度、すなわち反応温度Tに至るまでの反応液の加熱は昇温速度0.1℃/min以上1.5℃/min以下で行うことが好ましく、0.3℃/min以上1.0℃/min以下で行うことがより好ましく0.6℃/min以上1.0℃/min以下で行うことがさらに好ましい。
なお、反応液から酸化チタンを生成する反応は吸熱反応であることが実験的にわかっている。そこで、加熱の際の昇温速度の低下、及び温度の低下を抑制して上記の温度を保持するために、反応容器周囲を断熱材等で覆ったうえでマントルヒーターやスチームジャケット等の与える熱量を調整できる加熱器で反応器を均一に加熱することが好ましい。
この工程においては、加熱を終えて、反応液の温度が反応温度Tに至った後、反応液を0.5時間以上、反応温度Tで保持して反応させることが好ましい。反応液中の成分を十分に反応させるためである。この観点から反応温度Tの保持時間は、1時間以上であることがより好ましく、1.5時間以上であることがさらに好ましい。ただし、生産性を考慮すると反応時間は短いほうが良い。そのため、反応温度の保持時間は5時間以下であることが好ましく、3時間以下であることがより好ましく、2時間以下であることがさらに好ましい。また、この工程において、反応液を撹拌することが好ましい。
<2−4.酸化チタンの精製工程S4>
合成工程S3により、反応液中で酸化チタンが析出し、スラリーが得られる。酸化チタンの精製工程S4では、酸化チタンの純度を向上させるためスラリー中のCl、S、Cなどの不純物を除去する。精製方法としては限外ろ過膜、逆浸透膜、イオン交換樹脂、電気透析膜のいずれか一つまたは二つ以上を使用してよい。
精製された酸化チタンは、必要に応じて粉砕してもよい。粉砕方法は特に限定されないが、乳鉢、ボールミル等を用いた方法が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1.実施例>
<1−1.実施例1〜5及び比較例1〜10>
(前駆体水溶液の調製工程S1)
20℃に保たれたTi濃度15質量%(四塩化チタン濃度59質量%)の四塩化チタン水溶液x[g]に、クエン酸一水和物を添加した。Tiの物質量に対するクエン酸の物質量の比率R{クエン酸の物質量(mol)}/{Tiの物質量(mol)}が0.010となる四塩化チタン及びクエン酸の水溶液(前駆体水溶液)を調製した。前駆体水溶液の調製工程S1において、Tiを含む水溶液の温度を常に20℃に保った。
(希釈工程S2)
調製された20℃の前駆体水溶液に、20℃のイオン交換水を400mL加え、10分撹拌し、Ti濃度C[mol/L]に希釈し、Ti濃度が異なる反応液を4種類調製した。用いた四塩化チタン水溶液の量x[g]と反応液のTi濃度C[mol/L]との関係は以下のとおりである。なお、水で希釈しても比率Rは変化しない。
x=90gの場合、C=0.60mol/L
x=45gの場合、C=0.32mol/L
x=13gの場合、C=0.10mol/L
x=5.2gの場合、C=0.04mol/L
(酸化チタンの合成工程S3)
反応液をガラス製の反応器に移した。反応器内の反応液を、マグネットスターラーを用いて300rpmで攪拌しながら、外部ヒーターを用いて0.6℃/minの昇温速度で目標温度、すなわち反応温度T[℃]まで昇温させ、反応温度T[℃]で2時間保持した。各実施例及び各比較例における反応温度T[℃]は表1に示したとおりである。
(精製工程S4)
その後、得られたスラリーを室温(25℃)まで放冷した。放冷後のスラリーをアンモニア水にて中和し、限外濾過膜(旭化成株式会社製「マイクローザUF(登録商標)」、以下の実施例及び比較例においても同じ)にてろ過回収を行い、得られた固形物を、イオン交換水を用いて洗浄した。洗浄された固形物をオーブンに入れて60℃で乾燥させ、酸化チタンの固形物を得た。この固形物を乳鉢で粉砕し、酸化チタン粉末を得た。
得られた酸化チタンの700℃での加熱試験の前後における結晶相中のアナターゼ含有率[質量%]を表1に示す。なお、加熱試験及び結晶相中のアナターゼ含有率の測定方法の詳細については後述する。
Figure 0006937959
<1−2.実施例6〜8>
希釈工程S2において、20℃の前駆体水溶液に表1に示された温度のイオン交換水を400mL加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、実施例6〜8の酸化チタン粉末を得た。得られた酸化チタンの700℃での加熱試験の前後における結晶相中のアナターゼ含有率[質量%]を表1に示す。
<1−3.実施例9〜13、比較例11〜13>
実施例9〜13及び比較例11〜13の各々においては、実施例3の製造方法に対して、Tiの物質量に対するクエン酸(カルボキシ基の数3)の物質量の比率Rを表2に示される値(すなわち、比較例11ではクエン酸を添加していない)として酸化チタン粉末を得た。なお、実施例9は、上記実施例3と同じである。
得られた酸化チタンの700℃での加熱試験の前後における結晶相中のアナターゼ含有率[質量%]を表2に示す。また、酸としてクエン酸を用い、反応液のTi濃度Cが0.32mol/Lの場合の、比率Rに対する700℃での加熱試験後における酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率の変化を示すグラフを図2に示す。なお、加熱試験及び結晶相中のアナターゼ含有率の測定方法の詳細については後述する。
Figure 0006937959
<1−4.比較例14>
比較例14では、上記特許文献4に記載されている実施例8と同様の方法により酸化チタンを合成した。具体的にはTi濃度18質量%(四塩化チタン濃度71質量%)の四塩化チタン水溶液を20℃に保ちながらクエン酸一水和物を加え、Tiの物質量に対するクエン酸の物質量の比率Rを0.01として、前駆体水溶液とした。20℃の前駆体水溶液20gを、75℃のイオン交換水850mLに、前駆体水溶液を加えられる側の温度を75℃に保ちながら滴下した(滴下後のTi濃度は0.088mol/L)。滴下後、直ちにこの水溶液を20℃に冷却した。冷却後、水溶液をアンモニア水で中和し、限外ろ過膜にて沈殿物を濾過回収し、イオン交換水にて洗浄を行った後、オーブンを用いて80℃で乾燥させて、酸化チタン粉末を得た。
得られた酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率は100質量%であった。この酸化チタンに対して、後述する700℃での加熱試験を行ったところ、加熱試験後における結晶相中のアナターゼ含有率[質量%]は0.0質量%となった(表2)。
<1−5.比較例15>
特許文献5の実施例1に記載の方法に基づいて酸化チタンを作製した。具体的には、TiO換算で100g/Lの四塩化チタン水溶液(Ti濃度1.25mol/L)を25℃で保持しながら、水溶液に含まれる四塩化チタンの酸化チタンに換算した質量に対して、無水クエン酸換算で3質量%のクエン酸一水和物を添加して(比率R:0.012)、30分攪拌した。得られた水溶液を前駆体水溶液とする。次に、外部ヒーターを用いて水溶液を昇温し、92℃で30分間攪拌した。その後、得られた液を70℃まで冷却し、アンモニア水(アンモニア濃度25質量%)でpH=6.5とした。その後、得られたスラリーを25℃に冷却し、限外濾過膜にてろ過し、回収した酸化チタンを、イオン交換水を用いて洗浄した。洗浄された酸化チタンをオーブンに入れて60℃で乾燥させた。
得られた酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率は100質量%であった。この酸化チタンに対して、後述する700℃での加熱試験を行ったところ、加熱試験後における結晶相中のアナターゼ含有率[質量%]は0.0質量%となった(表2)。
<1−6.実施例14〜17、比較例16〜17>
実施例9〜13及び比較例11〜13に対して、クエン酸を酒石酸(カルボキシ基の数2)に代えて、実施例14〜17及び比較例16〜17の各々について、比率Rを表2に示された値として酸化チタン粉末を得た。得られた酸化チタンの700℃での加熱試験の前後における結晶相中のアナターゼ含有率[質量%]を表2に示す。また、酸として酒石酸を用い、反応液のTi濃度Cが0.32mol/Lの場合の、比率Rに対する700℃での加熱試験後における酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率の変化を示すグラフを図3に示す。なお、ここで比率R=0における結晶相中のアナターゼ含有率は比較例11のデータを用いた。
<1−7.実施例18〜22、比較例18〜21>
実施例9〜13及び比較例11〜1に対して、クエン酸をリンゴ酸(カルボキシ基の数2)に代えて、実施例18〜22及び比較例18〜21について、比率Rを表2に示された値として酸化チタン粉末を得た。得られた酸化チタンの700℃での加熱試験の前後における結晶相中のアナターゼ含有率[質量%]を表2に示す。また、酸としてリンゴ酸を用い、反応液のTi濃度Cが0.32mol/Lの場合の、比率Rに対する700℃での加熱試験後における酸化チタンの結晶相中のアナターゼ含有率の変化を示すグラフを図4に示す。なお、ここで比率R=0における結晶相中のアナターゼ含有率は比較例11のデータを用いた。
<2.評価方法>
<2−1.加熱試験>
上記実施例及び比較例の各々で得られた酸化チタンについて次の通り加熱試験を行った。まず、得られた酸化チタン粉末2gをアルミナるつぼに入れ、大気雰囲気下、電気炉で25℃から700℃まで2時間かけて一定速度で昇温し、700℃環境下で2時間放置した。その後、酸化チタン粉末の入ったアルミナるつぼを電気炉から取り出し、室温(25℃)で放冷した。加熱試験の前、及び加熱試験の後の酸化チタンについて以下の評価を行った。
<2−2.各結晶相の含有率の測定>
加熱試験前後の各々の酸化チタンについて、以下の通りX線回折測定を行い、酸化チタンの結晶相中に含まれるアナターゼ、ルチル、ブルッカイトの各結晶相の割合を算出した。粉末X線解析測定はPANalytical社製X’pert PROを用いて行なった。、銅ターゲットのCu‐Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20〜35deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度0.0192deg/sの条件でX線回折測定を行った。
測定にあたっては、ガラスセルのみでのバックグラウンドを測定して、酸化チタン及びガラスセルを含むサンプルで測定される回折強度から、バックグラウンドの回折強度を差し引くことによりサンプルの回折パターンを補正した。バックグラウンド補正後(例えば、図3のパターン)の酸化チタンの回折強度は、I(2θ)=I(2θ)−I(2θ)で求められる。ここで、I(2θ)は、酸化チタン及びガラスセルを含むサンプルの2θにおける回折強度である。I(2θ)は、ガラスセルのみの2θにおける回折強度をI(2θ)である。
加熱試験前後での酸化チタンの各結晶相の割合については、以下の式で計算した。
結晶相中のアナターゼ含有率(質量%)=I/(I+I+I
ここで、Iは、アナターゼ結晶相に対応するピーク(2θ=25.3°)の強度である。Iは、ルチル結晶相に対応するピーク(2θ=27.4°)の強度である。Iは、ブルッカイト結晶相に対応するピーク(2θ=31.5°)の強度である。
<3.評価結果>
各実施例及び比較例の製造条件と生成した酸化チタンの評価結果は表1〜2及び図2〜4に示したとおりである。
<3−1.反応温度Tと反応液のTi濃度Cについて>
表1から、上記の調製工程S1、希釈工程S2、及び合成工程S3を経て酸化チタンを合成する場合において、高温環境下においてもアナターゼ型の結晶相が残存する酸化チタンを得るためには、合成工程S3における反応温度Tが60℃以上である必要がある。また、反応液のTi濃度C(希釈後のTi濃度C)は、0.07mol/L以上0.70mol/L以下であれば、生成した酸化チタンは、高温環境下においてもアナターゼ型の結晶相が残存することがわかる。
また、反応液のTi濃度Cと反応温度Tとの関係が以下(a)〜(c)のいずれかを満たすことで、高温環境下においてもアナターゼ型の結晶相の含有率を高く維持できる酸化チタンが得られる。
(a)反応液のTi濃度Cが0.07mol/L以上0.20mol/L未満である場合、適切な反応温度Tは60〜75℃である。
(b)反応液のTi濃度Cが0.20mol/L以上0.45mol/L未満である場合、適切な反応温度Tは75℃以上かつ反応液の沸点以下である。
(c)反応液のTi濃度Cが0.45mol/L以上0.70mol/L以下である場合、適切な反応温度Tは60〜75℃である。
<3−2.酸としてクエン酸を用いた場合の酸の添加量について>
表2及び図2より、酸として、カルボキシ基を3個有するクエン酸を用いた場合、酸の物質量とTiの物質量との比率Rが0.006以上0.017以下であれば高温環境下においてもアナターゼ型の結晶相の含有率を高く維持できる酸化チタンが得られることがわかる。
<3−3.酸として酒石酸またはリンゴ酸を用いた場合の酸の添加量について>
表2及び図3〜4より、酸として、カルボキシ基を2個有する酒石酸またはリンゴ酸を用いた場合、酸の物質量とTiの物質量との比率Rが0.034以上0.065以下であれば、高温環境下においてもアナターゼ型の結晶相の含有率を高く維持できる酸化チタンが得られる。
<3−4.実施例の製造方法に関して>
上記実施例の酸化チタンの製造方法では、いずれも、反応系に高い圧力をかける必要はなく、量産にあたって大掛かりな設備を必要としない。そのため、上記実施例の製造方法に基づいて酸化チタンを製造する場合、低コストで、高温環境下においても結晶相中のアナターゼ結晶相の含有率を高く維持できる酸化チタンを得ることができる。

Claims (11)

  1. 四塩化チタンと、カルボキシ基を3個有するα−ヒドロキシカルボン酸とが溶解した水溶液を反応液として、前記反応液を60℃以上かつ前記反応液の沸点以下の反応温度にして酸化チタンを合成する合成工程を含み、
    前記反応液において、Tiの物質量(mol)に対する前記α−ヒドロキシカルボン酸の物質量(mol)の比率が0.006以上0.017以下であり、
    前記反応液のTi濃度は、0.07mol/L以上0.70mol/L以下であり、
    前記反応液のTi濃度が0.07mol/L以上0.20mol/L未満である場合、前記反応温度は60〜75℃であり、
    前記反応液のTi濃度が0.20mol/L以上0.45mol/L未満である場合、前記反応温度は65℃以上かつ前記反応液の沸点以下であり、
    前記反応液のTi濃度が0.45mol/L以上0.70mol/L以下である場合、前記反応温度は60〜75℃であり、
    前記合成工程の前に、Ti濃度10質量%以上の、四塩化チタン及び前記α−ヒドロキシカルボン酸が溶解した水溶液を前駆体水溶液として、該前駆体水溶液を水で希釈して前記反応液を得る希釈工程を含む酸化チタンの製造方法。
  2. 前記α−ヒドロキシカルボン酸がクエン酸である請求項1に記載の酸化チタンの製造方法。
  3. 四塩化チタンと、カルボキシ基を2個有するα−ヒドロキシカルボン酸とが溶解した水溶液を反応液として、該反応液を60℃以上かつ前記反応液の沸点以下の反応温度にして酸化チタンを合成する合成工程を含み、
    前記反応液において、Tiの物質量(mol)に対する前記α−ヒドロキシカルボン酸の物質量(mol)の比率が0.034以上0.065以下であり、
    前記反応液のTi濃度は、0.07mol/L以上0.70mol/L以下であり、
    前記反応液のTi濃度が0.07mol/L以上0.20mol/L未満である場合、前記反応温度は60〜75℃であり、
    前記反応液のTi濃度が0.20mol/L以上0.45mol/L未満である場合、前記反応温度は65℃以上かつ前記反応液の沸点以下であり、
    前記反応液のTi濃度が0.45mol/L以上0.70mol/L以下である場合、前記反応温度は60〜75℃である酸化チタンの製造方法。
  4. 前記α−ヒドロキシカルボン酸は、酒石酸またはリンゴ酸である請求項3に記載の酸化チタンの製造方法。
  5. 前記合成工程の前に、Ti濃度10質量%以上の、四塩化チタン及び前記α−ヒドロキシカルボン酸が溶解した水溶液を前駆体水溶液として、該前駆体水溶液を水で希釈して前記反応液を得る希釈工程を含む請求項3又は4に記載の酸化チタンの製造方法。
  6. 前記希釈工程の前に、Ti濃度10質量%以上の四塩化チタン水溶液と、前記α−ヒドロキシカルボン酸とを混合し、四塩化チタン及び前記α−ヒドロキシカルボン酸の水溶液を、前記前駆体水溶液として調製する調製工程を含む請求項1、2、5のいずれか1項に記載の酸化チタンの製造方法。
  7. 前記希釈工程は、前記前駆体水溶液に水を加えることにより行われる請求項1、2、5、6のいずれか1項に記載の酸化チタンの製造方法。
  8. 前記前駆体水溶液を、前記希釈工程が始まるまで、35℃以下に保持する請求項1、2、5〜7のいずれか1項に記載の酸化チタンの製造方法。
  9. 前記希釈工程において、希釈に用いられる水の温度は前記反応温度よりも低く、前記合成工程において前記反応液を前記反応温度まで加熱する請求項1、2、5〜8のいずれか1項に記載の酸化チタンの製造方法。
  10. 前記合成工程における、前記加熱は昇温速度0.1〜1.5℃/minで行われる請求項9に記載の酸化チタンの製造方法。
  11. 前記反応液を前記反応温度で0.5時間以上保持する請求項1〜10のいずれか1項に記載の酸化チタンの製造方法。
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