JP6352210B2 - ペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法、ペロブスカイト型酸窒化物微粒子 - Google Patents

ペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法、ペロブスカイト型酸窒化物微粒子 Download PDF

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Description

本発明は、誘電材料や可視光応答型光触媒の母触媒として好適なペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法、及びその製造方法により製造することのできるペロブスカイト型酸窒化物微粒子に関する。
近年、一般式ABO3−x (0<x≦1)と表記されるペロブスカイト型酸窒化物(例えばBaNbONやBaTaON)は、光吸収量が多いことから光触媒用材料として有望視されている。かかるペロブスカイト型酸窒化物材料において、単相の酸窒化物結晶を得る方法の確立が課題となっている。
特許文献1には、可視光応答性を有する光触媒として、Aサイト元素としてCa、Sr、Ba又はLaからなる金属元素、及びBサイト元素としてTa、NbまたはTiからなる遷移金属元素を含むペロブスカイト型酸窒化物等の酸窒化物光触媒が開示されている。また、特許文献1には、中間酸化物としてBaとNbのモル比が1:1であるBaNbを合成した後、かかる組成の酸化物を850℃にて窒化処理することにより、X線回折(X−ray Diffraction、XRD)スペクトルにおいて、BaTaONのピークにすべてが帰属するBaTaONが得られたことが記載されている。
非特許文献1には、BaNb15を中間酸化物として用い、BaCOを追加添加して窒化処理を施した後、強酸(王水)処理にて表面の不純物相(異相)を取り除くことにより結晶性及び均一性の改良されたBaNbONが得られることが記載されている。
また、非特許文献2には、中間酸化物を経ずにBaNbONやBaTaONを得る方法として、酸化ニオブ(Nb)粉末や酸化タンタル(Ta)粉末と、炭酸バリウム(BaCO)粉末とを混合し、混合粉末をアンモニア気流下で1000℃に加熱する方法が記載されている。
特開2002−66333号公報
T. Hisatomi et al., Energy Environ. Sci., 2013, 6, 3595-3599. Young-I1 Kim et al., Chem. Mater. 2004, 16, 1267-1276.
非特許文献1では、中間酸化物として、BaとNbのモル比が1:1からずれたBaNb15を利用することから、これを窒化処理することで得られるペロブスカイト酸窒化物には異相を生じてしまう。このため、上記製法では、異相のない酸窒化物を得るために、窒化処理後に、強酸(王水)に浸漬して異相を除去する工程が必要となっている。
また、上記特許文献及び非特許文献に記載の方法で得られる酸窒化物微粒子は不定形であり、サイズや形状の均一性に優れた微粒子を得ることが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、異相がなく、サイズや形状の均一性に優れた一般式ABO3−x (0<x≦1)と表記されるペロブスカイト型酸窒化物微粒子を、簡易なプロセスで製造可能とすることを目的とするものである。
本発明者は、上記特許文献及び非特許文献に記載の方法では、サイズや形状の均一性に優れた微粒子を得ることが難しい要因について検討を行い、それが、ペロブスカイト構造とは異なる結晶構造を有する化合物に、アンモニア雰囲気中での熱処理を施して、ペロブスカイト構造への結晶構造変化と窒化とを同時に実施するためであると考えた。そこで本発明者は、まず、中間酸化物として、結晶構造が目的物の酸窒化物と同一であるペロブスカイト型酸化物(一般式ABO)を形成した後に、アンモニア雰囲気中での熱処理により窒化のみを行うことにより、アンモニア雰囲気中での熱処理においてペロブスカイト構造を維持したまま窒素が導入され、その結果、サイズや形状の均一性に優れた微粒子が得られることを見出した。
すなわち、本発明のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法は、
一般式ABO3−xで表されるペロブスカイト型酸窒化物微粒子を製造する方法であって、ペロブスカイト型中間酸化物ABOを合成する中間酸化物合成工程と、
ペロブスカイト型中間酸化物をアンモニア雰囲気下において900℃以下の温度で熱処理する窒化工程とを有する。
一般式ABO3−x,及びABOにおいて、AはCa,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種のAサイト元素であり、BはNbまたはTaであるBサイト元素であり、xは0超1以下である(0<x≦1)。
本明細書中において、用語「微粒子」とは、その平均粒子径が10μm未満のサイズのものを意味するものとし、光触媒材料用途として好ましいのは、平均粒子径が100nm以上1μm以下のサイズが好ましい。
平均粒子径の測定は当該分野で知られた方法によりそれを行うことができ、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)、吸着法、光散乱法、X線小角散乱(small angle X-ray scattering;SAXS)などにより測定できる。TEMでは電子顕微鏡で観察するが、粒子径分布が広い場合には、視野内に入った粒子が全粒子を代表しているか否かに注意を払う必要がある。吸着法は、N吸着などによりBET式(Brunauer,Emmet and Teller's equation)によって求められるBET表面積を評価するものである。
中間酸化物合成工程において、ペロブスカイト型中間酸化物を水熱合成により合成することが好ましい。
水熱合成時における反応液のpHは13以上であることが好ましく、14以上であることがより好ましい。かかるpHの反応液は、Aサイト元素源と、Bサイト元素源と、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムとを混合して調製されることが好ましい。
反応液に含まれるAサイト元素源、すなわちCa源,Sr源またはBa源としては、硝酸化物,水酸化物,または塩化物であることが好ましく、水酸化物がより好ましい。
また、Bサイト元素源、すなわちNb源またはTa源としては、酸化物、酸化物の水和物,またはイソポリ酸カリウム塩であることが好ましい。
Aサイト元素はBaであることが好ましい。その場合、Aサイト元素源は水酸化バリウムであることが好ましい。
Bサイト元素はNbであることが好ましい。その場合、Bサイト元素源は酸化物の水和物であることが好ましい。
窒化工程において、熱処理は500℃以上900℃以下で実施することが好ましい。
本発明のペロブスカイト型酸窒化物微粒子は、上記本発明のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法により製造されたものである。
本発明の一般式ABO3−xで(0<x≦1)で表されるペロブスカイト型酸窒化物微粒子(AはCa,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種のAサイト元素であり、BはNbまたはTaであるBサイト元素)の製造方法は、一般式ABOで表されるペロブスカイト型酸化物を合成する中間酸化物合成工程と、ぺロブスカイト型酸化物をアンモニア雰囲気存在下で、900℃以下の温度で熱処理する窒化工程とを有する。かかる構成によれば、基本骨格が目的生成物と同一の中間酸化物を経由してから、アンモニア雰囲気熱処理が施されるため、基本骨格を維持した状態で窒素が導入される。従って、異相がなく、サイズや形状の均一性に優れたペロブスカイト型酸窒化物微粒子を得ることができる。また、アンモニア雰囲気熱処理により、結晶構造を変化させる必要がないので、従来に比して低温条件でのアンモニア雰囲気熱処理を実施することができ、窒化後の異相除去処理も必要ない。従って、本発明によれば、異相がなく、サイズや形状の均一性に優れたペロブスカイト型酸窒化物微粒子を、簡易なプロセスで製造することができる。
本発明のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法のフロー図 実施例1〜7及び比較例1〜7で得られたペロブスカイト型酸窒化物の、アンモニア熱処理温度と、XRDパターンにおけるBaNb15(103)ピークとBaNbON(110)ピークの和に対するBaNbON(110)ピーク比との関係を示す図。 実施例1〜7及び比較例1〜7で得られたペロブスカイト型酸窒化物の、アンモニア熱処理温度と、窒素量xとの関係を示す図。 実施例4〜7及び比較例1〜3で得られたペロブスカイト型酸窒化物の、窒素量xと格子定数との関係を示す図。 実施例4において、窒化工程前後におけるXRDパターンの変化を示す図。 実施例4〜7ならびに比較例1〜4においてペロブスカイト型酸窒化物のXRDパターンを示す図。
以下本発明を実施するための最良の実施形態について説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
図面を参照して、本発明にかかる一実施形態のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法について説明する。図1は本実施形態のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法のフロー図を示したものである。
本発明のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法は、下記一般式Iで表されるペロブスカイト型酸窒化物微粒子を製造する方法であり、一般式IIで表されるペロブスカイト型酸化物を合成する中間酸化物合成工程と、
ペロブスカイト型中間酸化物をアンモニア雰囲気下において900℃以下の温度で熱処理する窒化工程とを有する。
一般式I ABO3−x
一般式II ABO
(一般式I,IIにおいて、AはCa,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種のAサイト元素であり、BはNbまたはTaであるBサイト元素であり、xは0超1以下である(0<x≦1)。)
「中間酸化物合成工程」
中間酸化物合成工程において、一般式IIで表されるペロブスカイト型酸化物を合成する方法は特に制限されないが、これまで、上記一般式IIで表されるペロブスカイト型酸化物は、価数バランスがとれていないことから不安定であり、その製造例は1200℃以上の温度で焼結する固相法の報告があるのみである(“M. T. Casais et al., Materials Research Bulletin, vol. 30, No. 2, 201-208, 1995.”)。
一般式IIで表されるペロブスカイト型酸化物を合成する方法は、上記固相法による高温焼結であってもよいが、形状やサイズの均一性を有する単結晶微粒子を得る観点では、液相法による合成が好ましい。液相法では、液相中で結晶核生成と結晶成長を単分散環境化で行うことが可能なため、粒子形状やサイズの揃った単結晶微粒子が得られる可能性がある。
本発明者は、一般式IIで表されるペロブスカイト型酸化物を液相法により合成する方法について鋭意検討を行った。本発明者は、水熱合成法において、反応液のpHに着目し、pH13より小さくなるとペロブスカイト型以外の異相(例えば、A15等)が生成しやすくなるが、pH13以上の高アルカリ性条件とすることにより、単相のペロブスカイト型酸化物微粒子が生成することを見出した。水熱合成法は、高温・高圧の条件で実施される微粒子の合成法であり、比較的コストが低く、均一性の高い結晶粒子を得ることができる。
また、かかる方法により得られたペロブスカイト型の中間酸化物は、比較的低温領域でのアンモニア気流熱処理により、ペロブスカイト単相の酸窒化物を得ることができる。さらに、窒化処理条件を変えることにより窒素量(窒素化率)を自在に制御したペロブスカイト型酸窒化物微粒子を得ることが可能である。
<水熱合成法による中間酸化物合成工程>
水熱合成法による中間酸化物合成工程は、Aサイト元素源(以下A源と略記する。)とBサイト元素源(以下、B源と略記する。)とを混合してなるアルカリ性水溶液を調製して反応液とし、反応液を水熱反応させて、一般式IIで表されるペロブスカイト型酸化物を合成する工程である。
水熱合成法に用いる反応液の調製方法としては特に制限されず、Aサイト元素源(以下A源と略記する。)及びBサイト元素源(以下、B源と略記する。)のいずれかまたは両方をアルカリ性水溶液として調製した後に混合して反応液としてもよいし、A源の水溶液とB源の水溶液と混合して混合液とした後に、水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより所望のpHとなるように調整してもよい。
反応液に含まれるA源、すなわち、Ca源またはSr源またはBa源としては、水酸化物、酸化物、塩化物,フッ化物,ヨウ化物等のハロゲン化物、硝酸塩,炭酸塩,硫酸塩等の無機酸塩、酢酸塩,シュウ酸塩,乳酸塩等の有機酸塩等を水またはアルカリ性水溶液に溶解させてなるものが挙げられるが、硝酸化物,水酸化物,または塩化物を水またはアルカリ性水溶液に溶解させてなるものが好ましく、中でも水酸化物水溶液がより好ましい。Aサイト元素がBaの場合には、水酸化物水溶液がより好ましい。
A源の調製方法は特に制限されず、物質に応じた公知の方法を適宜採用することができる。例えば、水またはアルカリ性水溶液に溶解させる溶質を、A源の溶液が所望の濃度となるように溶質を秤量し、溶媒中で攪拌、溶解させることが好ましい。攪拌を行う時間は溶質が十分に溶解されれば特に制限はない。また、A源の溶液の濃度は、得たい濃度に応じて任意に選択することが出来るが、水熱反応により得られる微粒子の均一性及び生産性の観点から、1mmol/L以上500mmol/L以下であることが好ましい。
B源、すなわち、Nb源またはTa源としては特に制限されないが、NbまたはTaの水酸化物、酸化物、塩化物,フッ化物,ヨウ化物等のハロゲン化物、硝酸塩,炭酸塩,硫酸塩,イソポリ酸カリウム塩等の無機酸塩、酢酸塩,シュウ酸塩,乳酸塩等の有機酸塩等を水またはアルカリ性水溶液に溶解させてなるものが挙げられ、NbまたはTaの酸化物、酸化物の水和物,イソポリ酸カリウム塩を水またはアルカリ性水溶液に溶解させてなるものであることが好ましい。Bサイト元素がNbである場合は、Nb源としては酸化ニオブの水和物が好ましい。B源の調製方法については、上記A源と同様の方法により調製することができる。また、B源の溶液の濃度もA源と同様の濃度範囲が好ましい。
反応液中におけるA成分とB成分のモル比A/Bは1となるように、A源とB源とを混合すればよい。反応液の調製工程中は、原料を均一に混合する観点で、よく攪拌を行うことが好ましい。
水熱合成工程において、反応温度は水熱反応で合成される範囲内であれば特に制限されないが、A源とB源との反応性を高める観点から、150℃以上が好ましく、240℃以上であることがより好ましい。
水熱合成とは、水を溶媒として100℃以上の高温・高圧下で微粒子等を合成する手法である。合成反応装置としてオートクレーブが好ましい。
昇温速度は、生産性の観点から1℃/min〜100℃/minであることが好ましい。撹拌速度は、溶質が均一に分散すれば良く、100rpm〜1000rpm程度が好ましい。合成反応にかかる時間は、十分に反応が進行するよう、2時間以上であることが好ましい。
水熱反応終了後、得られた反応物は、溶媒中のアルカリ成分等を除去するために脱塩工程を行うことが好ましく、溶媒と合成微粒子を分離するために、フィルター操作あるいは遠心分離操作を行うことが好ましい。遠心分離操作の場合の条件は5000〜20000rpm、5分〜15分、3℃〜30℃であることが好ましい。遠心分離操作は2回以上繰り返すことが好ましく、遠心分離操作の間には、上澄みを廃棄し、20ml〜100mlの純水で懸濁する工程を含むことが好ましい。
懸濁液の水分を完全に蒸発させるために、100℃〜120℃で1時間〜3時間乾燥させることが好ましい。加熱処理の方法は特に限定されず、真空オーブン、ホットプレート加熱、電気炉加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱等から選択することができる。又、乾燥における雰囲気に特に制限はないが、乾燥を促進させるために真空中で行うことが好ましい。
後記実施例に示されるように、上記の方法により水熱合成工程を実施することにより、異相がなくサイズや形状の均一性の保たれた、すなわち結晶性の良好なペロブスカイト型の中間酸化物ABOを得ることができる。かかる中間酸化物を用いることにより、次工程の窒化工程において、比較的低温領域でのアンモニア雰囲気熱処理により、異相がなくサイズや形状の均一性の保たれたペロブスカイト型の酸窒化物を得ることができる。
<窒化処理工程>
窒化処理工程は、上記のようにして得られた結晶性の良好なペロブスカイト型の中間酸化物ABOを、900℃以下のアンモニア雰囲気下で熱処理して酸窒化物とする工程である。
アンモニア雰囲気下における熱処理方法としては特に制限されないが、アンモニア気流熱処理炉中にて実施することが好ましい。かかる熱処理炉としては、アンモニアガスの分解が試料近傍で生じるよう、試料と加熱位置を近くに配置できる管状炉を用いることが好ましい。熱処理温度は、アンモニア分子が充分に分解するとともに、粒子の成長や粒子同士の固着が抑えられるよう、500℃〜900℃で行うことが好ましい。
また、後記実施例に示されるように、本発明のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法では、窒化処理条件を変化させることにより、窒素化率(窒素量)を自在に制御することができる。例えば、表1の実施例1〜3、及び、4〜7には、窒化温度が900℃に近いほど窒素量(窒化率)が高くなることが示されている。
以上説明したように、本発明の一般式ABO3−xで(0<x≦1)で表されるペロブスカイト型酸窒化物微粒子(AはCa,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種のAサイト元素であり、BはNbまたはTaであるBサイト元素)の製造方法は、
一般式ABOで表されるペロブスカイト型酸化物を合成する中間酸化物合成工程と、ぺロブスカイト型酸化物をアンモニア雰囲気存在下で、900℃以下の温度で熱処理する窒化工程とを有する。かかる構成によれば、基本骨格が目的生成物と同一の中間酸化物を経由してから、アンモニア雰囲気熱処理により基本骨格を維持した状態で窒素が導入されるので、異相がなく、サイズや形状の均一性に優れたペロブスカイト型酸窒化物微粒子を得ることができる。また、アンモニア雰囲気熱処理により、結晶構造を変化させる必要がないので、従来に比して低温条件でのアンモニア雰囲気熱処理を実施することができ、窒化後の異相除去処理も必要ない。従って、本発明によれば、異相がなく、サイズや形状の均一性に優れたペロブスカイト型酸窒化物微粒子を、簡易なプロセスで製造することができる。
さらに、窒化処理条件により窒素量を自在に制御した酸窒化物微粒子を得ることが可能である。
「設計変更」
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下には、主にA=Baである場合について実施例及び比較例を記載するが、A=Ca,Srである場合においても、窒化温度と窒素量との関係、単相のペロブスカイト型酸窒化物が得られる条件については同様の結果が得られることが確認されている。
(実施例1,2,3)
BaNbO酸化物を固相法にて合成した (以下文献に記載の方法。Materials Research Bulletin Vol.30, No.2, pp.201,1995) 。具体的には、金属Nb粉末と、酸化ニオブ(NbO)粉末および酸化バリウム(BaO)粉末を金属モル比で0.4:0.6:1となるように混合し、真空中で1200℃、20時間焼成することでBaNbOを得た。酸化物は強く固着していたので、乳鉢で粉砕後、粉末状になった酸化物を管状炉に入れ、アンモニア気流200sccm条件で、実施例1では900℃、実施例2では800℃で、実施例3では500℃で20時間反応させた。
(実施例4,5,6,7、比較例7)
市販の酸化ニオブのn水和物(ニオブ酸)2mmolを、ビーカーに貯留された2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液28mL中に添加して混合し、混合液を100℃に加熱された状態で攪拌して溶解させてニオブ溶液(Nb源)とした。また、水酸化バリウム4mmolを、別のビーカーに貯留された28mLの純水中に添加して、攪拌溶解させてバリウム溶液(Ba源)とした。
ニオブ溶液とバリウム溶液とを混合し、更に、水酸化カリウムを添加することにより、pHが14の反応液を調製し、オートクレーブ容器(Parr社製 PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)ライナー加熱分解容器)に密封した。200rpmの撹拌速度で撹拌し、設定温度を240℃とし5時間水熱反応させた。
反応終了後、10,000rpm、10分で遠心分離を行った後、上澄みを廃棄し、水20mLで懸濁、超音波分散させて1回目の洗浄工程とした。1回目の洗浄工程後の水分散物を、再度同様の洗浄工程を実施して2回目の洗浄工程とした。
次に、2回目の洗浄工程後に得られた水分散物を遠心分離した後上澄みを廃棄して沈殿物を得、沈殿物を100℃の真空オーブンにて6時間で乾燥し、ニオブ酸バリウム(BaNbO)乾燥粉末を得た。
次に、窒化処理を以下の工程で行った。ニオブ酸バリウム(BaNbO)乾燥粉末を、管状炉に入れ、アンモニア気流200sccm条件で、比較例7では1000℃、実施例4では900℃、実施例5では800℃で、実施例6では700℃で、実施例7では500℃で、20時間反応させた。
(実施例9,比較例8)
酸化ニオブのn水和物(ニオブ酸)2mmolを、ビーカーに貯留された純水28mL中に添加して混合し、攪拌して溶解させてニオブ溶液(Nb源)とし、反応液のpHを実施例9では13、比較例8では10となるように反応液を調製した以外は実施例4と同様にして窒化工程まで実施した。
(実施例8)
実施例8として水熱反応温度を150℃に変更した以外は実施例4と同様にして、窒化工程まで実施した。
(比較例1,2,3,4,5)
中間酸化物を経ずにBaNbONを得る従来法(非特許文献3に記載の方法)によりBaNbONの合成を行った。具体的には、酸化ニオブ(Nb)粉末と炭酸バリウム(BaCO)粉末を、Ba:Nb=1:1となるよう混合し、乳棒と乳鉢を用いて均一にし、混合粉末を、管状炉に入れ、アンモニア気流200sccm条件で、比較例1では1000℃、比較例2では900℃、比較例3では800℃、比較例4では700℃、比較例5では500℃で20時間反応させた。
(実施例10)
市販の酸化タンタルのn水和物(タンタル酸)2mmolを、ビーカーに貯留された2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液28mL中に添加して混合し、混合液を100℃に加熱された状態で攪拌して溶解させてタンタル溶液(Ta源)とした。Nb源に代えてこのTa源を用いた以外は実施例4と同様にして、窒化工程まで実施した。
(比較例6)
BaNbを中間酸化物として合成し(特許文献1に記載の方法)、窒化工程まで実施した。具体的には、塩化ニオブ(NbCl)2.5mmolとメタノール(CHOH)150gを混合し溶解させ、これにエチレングリコール(HOCHCHOH)150gとクエン酸(HOOCCHC(OH)(COOH)CHCOOH)80gを添加させ室温で完全に溶かしきった。炭酸バリウム(BaCO)2.5mmolを添加して130℃で攪拌しながら溶解させた。さらに、300℃で熱処理を行い炭化させた後、大気中650℃で2時間熱処理を行ない、中間酸化物BaNbを得た。その後、アンモニア熱処理温度を800℃として、窒化工程まで実施した。
表1に、各実施例および比較例の水熱合成工程時のpH条件、反応温度条件、窒化時の温度条件とともに、後記の各種評価法により同定された窒化工程前の酸化物相の種類、窒化工程後に得られた相の種類、格子定数、および、窒素量を列記した。
「評価」
(粉末X線回折測定)
結晶性の評価は、粉末X線回折測定(XRD)装置(リガク製RINT2000)にて評価した。粉末X線回折測定条件は、X線源としてはCu-Kα線を用い、出力電圧=40kV、出力電流 =40mAとし、ステップ幅=0.04°、サンプリングレート=4°/min、測定範囲としては、20°≦2θ≦90°の範囲で測定した。
(異相の評価)
ここで、「異相」とは、上記の粉末X線回折測定により得られたXRDパターンの示すピーク位置のうち、目的の酸窒化物のリファレンスパターンに帰属されない相のことをいう。異相「無し」とは、XRDパターンの示すピーク位置が、すべて目的のペロブスカイト型酸窒化物のリファレンスパターンに帰属されたことをいうものとする。
(格子定数の精密定量)
また、「格子定数」とは、粉末X線回折測定により定量された格子定数をいう。
具体的には、入射X線(波長=λ)と平面とのなす角をθとし、20°<2θ<90°の範囲における回折ピーク位置θと、面指数h,k,lから、各ピーク位置における格子定数aを下記式から算出する。
次いで、格子定数aを縦軸に、Nelson−Riley関数{(cosθ)/sinθ+(cosθ)/θ}/2を横軸としてプロットし、直線で最小二乗法フィッティングしたときのθから90°への外挿値を「格子定数」とする。
なお、本発明の微粒子の場合、20°<2θ<90°の範囲には、7本の回折ピークが現れ、それぞれのピークは面指数{1,1,0}{1,1,1}{2,0,0}{2,1,1}{2,2,0}{3,1,0}{2,2,2}に対応する。これら7点のプロットを、最小二乗法フィッティングした際のエラーバーは±0.002Å程度であった。
(窒素量)
窒素量の測定は、不活性ガス溶融法により酸素窒素分析装置(LECO社製TC-436AR )を用いて実施した。具体的には、試料約3mgを秤量し、黒鉛るつぼに入れ約2500℃で加熱し、試料中の窒素を熱伝導度検出器で定量した。「窒素量x」とは、上記手法により検出された窒素量を、一般式ABO3-xxと仮定した場合のxに換算した値のことをいう。
ペロブスカイト構造を有する中間酸化物BaNbOを合成し、500℃〜900℃の温度条件で窒化処理まで施した結果を表1に示す(実施例1〜3)。いずれの窒化処理温度条件においても、窒化処理後に異相は生じなかった。ペロブスカイト型酸化物を窒化することで、異相のないペロブスカイト型酸窒化物を合成できたことを示している。また、窒素量は、900℃において0.93、800℃において0.54、500℃において0.19となり、いずれの条件においても、窒素が導入されており、窒化処理温度によって窒素量が変化していた。以上の結果より、温度条件により、窒素量を自在に制御したペロブスカイト酸窒化物微粒子を得られることが示された。
比較として、中間酸化物を経由せずに、原料に直接窒化処理を施した結果を表1に示す(比較例1〜5)。具体的には、BaとNbのモル比が1:1となるよう炭酸バリウム(BaCO)粉末と酸化ニオブ(Nb)粉末を混合したのみで、500℃〜1000℃の温度条件で、窒化処理を施した。900℃および1000℃の高温条件では、異相のないペロブスカイト型酸窒化物が得られたが、得られた微粒子の形状は不定形で、微粒子同士が固着しているものが多かった。また、500℃〜800℃の低温条件では異相が生じた。したがって、中間酸化物を経由しない場合、800℃以下の低温条件では、異相のないペロブスカイト型酸窒化物を得られないことが確認された。窒素量に関しては、後記図3において詳細を記載する。
同様に比較例として、ペロブスカイト構造を有しない中間酸化物の窒化処理を行った結果を表1に示す(比較例6)。具体的には、BaNbを中間酸化物として合成し(特許文献1に記載の方法)、800℃にて窒化処理まで施した。この場合にも上記比較例4と同様、異相が生じた。したがって、ペロブスカイト型でない中間酸化物に窒化処理を施した場合には、800℃以下の低温条件では、異相のないペロブスカイト型酸窒化物を得られないことが確認された。窒素量に関しては、後記図3において詳細を記載する。
以上の結果から、異相のないペロブスカイト型中間酸化物を経由した場合のみ、800℃以下の低温において、異相のないペロブスカイト型酸窒化物を得られることが実証された。
上記、実施例1〜3においては、酸化物合成後に試料が固着しており、粉砕工程を経ないと酸化物粉末を得られなかった。このことは粒子同士が固着し、単分散な粒子を得られていないことを示している。一方で、実施例4〜10において、水熱合成にて合成した場合には、粒子同士が固着することなく、粉砕せずに単分散な酸化物試料を得ることができた。水熱合成にて酸化物微粒子を得た後に窒化処理を施した結果を表1に示す(実施例4〜7)。水熱合成にて異相のないペロブスカイト型酸化物を得て、500℃〜900℃の条件で窒化処理を行ったところ、いずれの条件においても異相のないペロブスカイト型酸窒化物粒子を得た。窒素量は、窒化処理温度の増加とともに大きくなる傾向を示した。以上の結果より、水熱合成においても固相法と同様に、ペロブスカイト型酸化物微粒子の窒化処理条件を変えることで、ペロブスカイト型酸窒化物微粒子の窒素量を制御可能であることが示された。
また、実施例1〜7において、窒化処理前後の試料の粒子サイズや形状に違いは認められなかった。900℃以下の窒化条件は、粒子の固着や形状変化しにくい温度であるため、中間酸化物の粒子サイズや形状、およびその均一性を保った異相のないペロブスカイト型酸窒化物微粒子を得られることが確認された。
一方、1000℃と高温のアンモニア熱処理を施した比較例7および、比較例1においては、単相のペロブスカイト型酸窒化物を得られたが、粒子が固着してしまい、微粒子状のものは得られなかった。また、実施例5において、中間酸化物を水熱合成で得ることで、実施例2よりも粒子サイズや形状の均一性がさらに良好な中間酸化物が得られることが確認された。したがって、900℃以下の低温で窒化することにより、水熱合成後の中間酸化物の良好な均一性を保った異相のないペロブスカイト型酸窒化物微粒子を得られることが確認された。
窒化処理温度と異相との関係を明示するため、図2に、各実施例及び比較例で得られたペロブスカイト型酸窒化物について、アンモニア熱処理温度とXRDパターンにおけるBaNb15(103)ピークとBaNbON(110)ピーク強度の和に対するBaNbON(110)ピーク強度の比(ピーク比)をプロットしたものを示す。ここで、ピーク強度とは、各ピークの最大ピーク強度値とする。固相法(実施例1〜3)および水熱法(実施例4〜7、比較例7)の場合、500℃〜1000℃いずれの温度条件においても、ピーク比はほぼ1であり、単相のペロブスカイト型酸窒化物が得られたことを示している。
一方で、原料を混合して直接窒化した比較例1〜5の場合には、900℃〜1000℃の高温条件においては、実施例と同程度に異相のないものが得られているが、500℃〜800℃の低温条件において、異相が顕著に生じるため、ピーク比が減少することが示された。また、ペロブスカイト構造でないBaNbを中間酸化物とし、800℃でアンモニア熱処理を施した比較例6の場合にも、ピーク比が実施例よりも小さいことが確認された。以上のことから、異相のないペロブスカイト型酸化物を経由することでのみ、800℃以下の従来法よりも低温条件において、異相のないペロブスカイトの酸窒化物が得られることが示された。また、800℃以下の低温条件で単相化可能であるため、異相除去も不要となり、低コスト化が可能と推定される。
窒素量xと窒化処理温度との関係を明示するため、図3に、窒化処理温度に対する窒素量xをプロットしたグラフを示す。固相法(実施例1〜3)および水熱法(実施例4〜7、比較例7)の両方において、900℃にピークを持つような同様の傾向を示し、500℃の比較的低温条件においても窒素が導入されていることが示された。固相法および水熱法いずれにおいても800℃以下で単相のまま窒化可能で、温度条件により、窒素量を自在に制御したペロブスカイト酸窒化物微粒子を得られることが示された。
一方比較例では、900℃〜1000℃の高温条件においては、実施例と同程度の窒素量のものが得られているが、700℃〜800℃の低温条件においては、窒素量が減少傾向であった。これは、図2に示したとおり、異相の生成のためと推定される。このため窒素量を自在に制御することは困難である。なお500℃では酸窒化物の相が得られなかったため、窒素量は測定しなかった。以上のことから、本発明により、ペロブスカイト単相構造を維持したまま、酸化物から酸窒化物への組成制御が、800℃以下の比較的低温条件において可能であり、温度条件により、窒素量を自在に制御したペロブスカイト酸窒化物微粒子を得られることが示された。
900℃以上の高温においては、実施例4〜7および比較例1〜5,7のいずれの場合においても窒素量が有意に減少していくことが示された。これは、アンモニア雰囲気中において、900℃以上の高温条件においてはアンモニア分子の分解が進行し過ぎてしまい、窒素分子となるために、窒素原子の状態で酸化物表面に吸着することができずに、窒化が進行しなくなったと推定される。
上記窒化処理により、結晶中に窒素が取り込まれていることを確かめるために、図4に、実施例で得られた、ペロブスカイト型酸窒化物の格子定数と窒素量との関係プロットした図を示す。窒素量が多いほど格子定数が大きくなる傾向が確認され、BaNbO3の格子定数(4.080Å(オングストローム))とBaNbO2Nの格子定数(4.132Å)の間で、ほぼ線形相関していた。これは、酸素のイオン半径(1.40Å)に対して、窒素のイオン半径(1.46Å)が大きいため、結晶中の酸素が窒素に置換されることにより格子が膨張したことを示すものであり、一般式ABO3−x(0<X≦1)で表される酸窒化物を得られたことを示している。以上のことから、窒化処理温度条件を変えることで、窒素量を自在に制御可能であり、800℃以下の比較的低温条件においても、窒素が確実に結晶中に導入できていることを示していることが確認された。
XRDパターンの代表例として、図5に実施例4の窒化工程前後におけるXRDパターンの変化を、BaNbON(JCPDS#40−0567)とBaNbO(JCPDS#24−0112)のリファレンスパターン(▼及び※印により各結晶相リファレンスピークを表示)と共に示す。実施例4において、水熱合成後すなわち窒化工程前におけるXRDパターンのピーク位置は全てBaNbOのリファレンスパターンと一致し、それ以外のピークは現れないことから、異相のないBaNbOペロブスカイト型酸化物が得られたことを示している。さらに、窒化工程後のXRDパターンのピーク位置は全てBaNbONのリファレンスパターンと一致し、それ以外のピークは現れなかった。以上のことから、単相のBaNbO構造から単相のBaNbON構造が得られたことが示されている。
水熱反応温度を240℃とし、反応液のpHを変えて水熱反応を行い、窒化処理まで施した結果を表1に示す(実施例4,9、比較例8)。pH14およびpH13では異相のないBaNbOが得られ、pH10では殆どがBaNb15の異相となった。pH13以上の高アルカリ条件において異相のないペロブスカイト型酸化物を得られることが確認されたが、これらの試料に窒化処理を施したところ、pH14およびpH13では、異相のないペロブスカイト型酸窒化物が得られた。pH10の比較例8では、異相の多い酸窒化物となった。これらの結果から、ペロブスカイト型酸化物を窒化することで、ペロブスカイト型酸窒化物を得ることが示された。また、Ba:Nb=1:1でない組成の酸化物からは、単相のペロブスカイト型酸窒化物は得られないことが確認された。
水熱反応時の反応液のpHを14とし、水熱反応温度を150℃として水熱反応を行い、窒化処理まで施した結果を表1に示す(実施例8)。150℃においても異相のないペロブスカイト型酸化物が得られた。窒化処理工程まで施したところ、異相のないペロブスカイト型酸窒化物が得られることが確認されたが、窒素量は0.83であり、実施例4に比べて小さくなった。150℃の水熱反応温度条件において異相のないペロブスカイト型酸窒化物を得られるが、窒素量は小さくなることが確認された。
B源を酸化タンタルの水和物とした以外は、実施例5と同様に水熱合成にて中間酸化物を得て、窒化処理工程まで施した結果を表1に示す(実施例10)。この場合にも、水熱合成後の中間酸化物は、XRDパターンにより単相のBaTaOであることが確かめられた。酸化物に窒化処理を施すことで、異相の無いペロブスカイト型酸窒化物を得て、格子定数は4.107Åであり、窒素量は0.85であった。Bサイト元素がTaの場合においても、異相のないペロブスカイト酸化物を経由することで異相のないペロブスカイト型酸窒化物が得られることが確認された。
図6に、各実施例4〜6及び比較例1〜4,7で得られたペロブスカイト型酸窒化物について、XRDパターンを示す。実施例4〜6及び比較例7においては全てのピークがペロブスカイト型酸窒化物のピークに帰属された(図3中、▼で帰属)。一方、中間酸化物を経ずにBaNbONを得る従来法により作製した比較例1〜4は、窒化処理温度900℃以上1000℃以下の範囲においては実施例と同様の単相ペロブスカイト型酸窒化物が得られたが、窒化処理温度が700℃以上800℃以下の低温領域においては、異相(BaNb15)が多く検出された(図3中、★で帰属)。
以上のように、本発明により、異相がなく、サイズや形状の整った、すなわち結晶性の良好なペロブスカイト型酸窒化物微粒子を提供できることが示された。また、窒化処理条件によりペロブスカイト型酸窒化物微粒子中の窒素量を制御できることが示された。
本発明は、可視光応答能を有する光触媒、例えば太陽光から直接水素と酸素を製造する人工光合成用薄膜、また、圧電体や誘電体などの電子部品用機能性材料として用いられるペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造に有用である。

Claims (12)

  1. 一般式ABO3−xで表されるペロブスカイト型酸窒化物微粒子を製造する方法であって、ペロブスカイト型中間酸化物ABO水熱合成により合成する中間酸化物合成工程と、
    前記ペロブスカイト型中間酸化物をアンモニア雰囲気下において、900℃以下の温度で熱処理する窒化工程と
    を有し、
    前記水熱合成時における反応液のpHが13以上であり、
    前記AはCa,Sr,及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種のAサイト元素であり、前記BはNbまたはTaであるBサイト元素であり、前記xは0超1以下である
    ペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  2. 前記Aサイト元素がBaである請求項1記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  3. 前記Bサイト元素がNbである請求項1または請求項2記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  4. 前記水熱合成時における反応液のpHが14以上である請求項1〜請求項3いずれか1項記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  5. 前記反応液を、前記Aサイト元素源と、前記Bサイト元素源と、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムとを混合して調製する請求項1〜請求項4いずれか1項記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  6. 前記反応液に含まれるAサイト元素源が、硝酸化物,水酸化物,またはハロゲン化物である請求項記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  7. 前記Aサイト元素源が水酸化物である請求項記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  8. 前記Bサイト元素源が、酸化物、酸化物の水和物,またはイソポリ酸カリウム塩である請求項5〜請求項7いずれか1項記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  9. 前記Bサイト元素源が、酸化物の水和物である請求項記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
  10. 前記水熱合成時の反応温度が、150℃以上である請求項1〜請求項9いずれか1項記載の酸窒化物微粒子の製造方法。
  11. 前記水熱合成時の反応温度が、240℃以上である請求項10記載の酸窒化物微粒子の製造方法。
  12. 前記窒化工程において、前記熱処理を500℃以上で実施する請求項1〜請求項11いずれか1項記載のペロブスカイト型酸窒化物微粒子の製造方法。
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