JP6933829B2 - 物品搬送用容器の昇降搬送装置 - Google Patents

物品搬送用容器の昇降搬送装置 Download PDF

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Description

本発明は、物品搬送用容器を両側から支持して昇降させる少なくとも二組の容器支持手段を備えた物品搬送用容器の昇降搬送装置に関するものである。
この種の物品搬送用容器が、両手で持ち上げて運ぶことが出来る、上側解放のプラスチック製小型容器である場合に好適な物品搬送用容器の昇降搬送装置として、特許文献1に記載されるように、物品搬送用容器に対し水平方向に接近離間移動自在で且つ昇降自在な、少なくとも二組の容器支持手段を備え、これら容器支持手段は、前記容器のある側で水平方向に突出後退移動自在で且つ突出位置に付勢保持された多数の容器支持用ピンを配設したものであって、前記容器に対する接近移動により、当該容器の外側面から水平外向きに張り出す張出しリブの下側に入り込んだ前記容器支持用ピンにより、前記容器を支持するように構成されたものである。而して、このような昇降搬送装置で取り扱われる物品搬送用容器として、その外側面から水平外向きに張り出す張出しリブの位置や厚み、或いは張出リブが上下2段に設けられている場合の張出しリブ間の空間の位置や高さが一定しない、各種の容器が使用される場合がある。このような場合にも、所期通りの容器支持作用を発揮出来るように、水平方向と垂直方向に適当間隔おきに多数が剣山状に配設されている容器支持用ピンを、特許文献1にも記載されるように、先細りのテーパーピンとしていた。
特開2017−43417号公報
上記の先細りのテーパーピンから成る容器支持用ピンであれば、上記のように容器側の構造が多少異なっても、張出リブが存在しておれば、その張出リブの下側に容器支持用ピンを確実に入り込ませることが出来ると考えられていたが、現実には、容器支持用ピンが先細りのテーパーピンであるがために、側面視において1つの張出しリブ又は上下2つの張出しリブを上下2本の容器支持用ピンが上下から挟むような場合や、側面視において上下2つの張出しリブの内側に上下2本の容器支持用ピンの先端部が入り込んでゆくような場合、容器支持用ピンの小径の先端部が張出しリブの側面に隣接する状態から当該容器支持用ピンが張出しリブと重なる方向に進出移動するのに伴って当該ピンの張出しリブに隣接する箇所の外径が大きく変化してゆくので、これら容器支持用ピンの周面が張出しリブの側面に圧接し始め、その圧接力が容器支持用ピンの進出に伴って漸増し、最終的には、張出しリブとの間の摩擦抵抗によって物品搬送用容器に対する容器支持用ピンの進出移動が不能になり、その後は容器支持用ピンを突出方向に付勢するスプリングが圧縮されて、容器支持用ピンと張出しリブとの間の摩擦力が更に増大することになる。この結果、所定の場所に搬送した後に容器支持手段を容器から遠ざける方向に水平移動させたとき、上記のように容器側の張出しリブに大きな摩擦力で圧接している容器支持用ピンを張出しリブから水平に抜き取ることが困難になり、容器を引き摺って当該容器の位置や姿勢を変えてしまうことがあった。
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる物品搬送用容器の昇降搬送装置を提案するものであって、本発明に係る物品搬送用容器の昇降搬送装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、物品搬送用容器(1)に対し水平方向に接近離間移動自在で且つ昇降自在な、少なくとも二組の容器支持手段(11,12)を備え、これら容器支持手段(11,12)は、前記容器(1)のある側で水平方向に突出後退移動自在で且つ容器支持手段(11,12)の正面部材(22)から突出する位置に付勢保持された多数の容器支持用ピン(17a,17b)を配設した剣山状構造のものであって、前記容器(1)に対する接近移動により、当該容器(1)の外側に形成された下向き段面(張出しリブ1aの垂直壁部の下端面)の下側に入り込んだ前記容器支持用ピン(17a,17b)により、前記容器(1)を持ち上げ可能に支持するように構成された物品搬送用容器の昇降搬送装置において、
前記容器支持用ピン(17a,17b)の前記容器支持手段(11,12)の正面部材(22)から突出しているピン本体(18)が、軸心に対して直角の平坦先端面(18a)を備えると共に、当該平坦先端面(18a)に近いほど直径が大きくなる先太りテーパーピン状に構成されている。
上記の本発明の構成によれば、容器支持手段の移動に伴って容器支持用ピンが物品搬送用容器の張出しリブに隣接する位置で当該容器側へ進出移動出来るのは、容器支持用ピンのピン本体の最大径の平坦先端面が、当該ピン本体の軸心方向から見て前記張出しリブに対して重なっていないことが条件になる。若し重なっていれば、容器支持手段の移動に伴って容器支持用ピンが物品搬送用容器側に接近移動したとき、当該容器支持用ピンのピン本体の最大径の平坦先端面が張出しリブの正面に当接し、それ以上の容器支持用ピンの進出移動は行われない。仮に張出しリブの正面の水平角が面取りされている、或いは前記ピン本体の最大径の平坦先端面の周縁角が面取りされていることによって、前記ピン本体の最大径の先端が張出しリブの前記面取りされている角に沿って張出しリブの水平側面に乗り上げる場合でも、前記ピン本体の全体が最大径の平坦先端面と同一外径の円柱状体である場合のように、容器支持手段が物品搬送用容器側への移動限に達したとき、前記ピン本体と張出しリブとの重なり領域の全長にわたって両者が摺接することはなく、あくまでピン本体の最大径の先端だけが張出しリブの水平側面と摺接するだけである。
以上の理由により、上記の本発明の構成では、従来の先細りテーパーピン状の容器支持用ピンを使用したときのように、容器支持用ピンと物品搬送用容器側の張出しリブとの上下方向の位置関係により、両者が側面どうし甚大な摩擦力を伴って圧接し合うような状況になることは皆無となり、仮に両者が互いに摺接し合うような状況になったとしても、その容器支持用ピン側の張出しリブとの摺接箇所は、ピン本体の最大径の先端の周囲一箇所だけであり、そのときの両者間の摩擦力も極小さなものである。従って、容器支持手段が物品搬送用容器側への前進限に達したときには、張出しリブの正面に付勢力で平坦先端面が圧接する容器支持用ピンが存在するだけで、その他の容器支持用ピンは、実質的に張出しリブの水平側面に圧接することなく進出限位置に到達しているので、容器支持手段の上昇移動により、張出しリブの直下に位置する容器支持用ピンと当該張出しリブとを介して容器支持手段により物品搬送用容器を支持して吊り上げることが出来る。そしてこの物品搬送用容器を降下させて目的の場所に降ろした後、容器支持手段を物品搬送用容器から後退移動させて、容器支持用ピンを張出しリブと重なる領域から横方向に逃がす場合も、従来のように物品搬送用容器側の張出しリブの水平側面に対し甚大な摩擦力を伴って圧接している容器支持用ピンは存在しないので、特別な抵抗を受けることなく容器支持手段を所定位置まで後退移動させることが出来、従来のように物品搬送用容器を引き摺ってその位置や姿勢を変化させてしまう恐れも無くなる。
本発明を実施する場合、具体的には、前記容器支持用ピン(17a,17b)のピン本体(18)は、側面視において上下に隣り合うピン本体(18)の先端が互いに一部重なるように配列することが出来る。従来の先細りテーパーピン状容器支持用ピンを使用する構造において上記のように側面視において上下に隣り合うピン本体の先端が互いに一部重なるように配列しようとすると、同一縦列上で上下に隣り合う容器支持用ピン間の間隔を異常に縮小させなければならないが、本発明では、根元が細くなる先太りテーパーピン状のピン本体であるから、同一縦列上で上下に隣り合う容器支持用ピンの根元間に構造上必要な間隔を無理なく確保することが出来る。この容器支持用ピン(17a,17b)の縦列を2列、側面視において一方の縦列の上下に隣り合う2本の容器支持用ピン(17a,17b)間の丁度中央位置に他方の縦列の容器支持用ピン(17a,17b)が位置するように配列して、上記のように側面視において上下に隣り合うピン本体(18)(異なる縦列の容器支持用ピン(17a,17b)のピン本体(18))の先端が互いに一部重なる構成とし、厚さの薄い張出しリブであっても、側面視において上下に隣り合うピン本体間に張出しリブが無理やり入り込むような現象も皆無とすることが出来る。
更に、前記容器支持用ピン(17a,17b)は、前記ピン本体(18)と、このピン本体(18)の後端に同心状に連設されたフランジ部(19)、及びこのフランジ部(19)から後方に同心状に連設された軸部(20,21)から構成し、容器支持手段(11,12)には、正面部材(22)に前記ピン本体(18)が貫通する前側貫通孔(23a)を設けると共に、背面部材(24)に前記軸部(21)が貫通する後ろ側貫通孔(23b)を設け、前記フランジ部(19)と前記背面板材(24)との間の前記軸部(20,21)に、この容器支持用ピン(17a,17b)を突出方向に付勢して前記フランジ部(19)を正面部材(22)の裏面に圧接させる圧縮コイルバネ(25)を嵌合し、前記ピン本体(18)が貫通する前側貫通孔(23a)は、この先太りテーパーピン状のピン本体(18)の最大径先端部が貫通移動出来る直径のものとして、この前側貫通孔(23a)と前記ピン本体(18)との間の環状空間の範囲内で、前記容器支持用ピン(17a,17b)が首振り運動出来るように構成することが出来る。このような構造を採用しないで、例えば前記フランジ部又はこのフランジ部から後方に同心状に連設された大径軸部を、軸心方向摺動のみ可能に支持する軸受けを採用して、先太りテーパーピン状のピン本体の首振り運動が実質的に行われないように構成することも可能であるが、敢えて上記のように先太りテーパーピン状のピン本体の首振り運動を可能に構成することにより、側面視において、仮に前記ピン本体の最大径の先端部が張出しリブの水平側面に乗り上げて摺接するような状況が生じても、当該ピン本体が張出しリブの水平側面から離れる方向に傾動して、当該ピン本体の最大径の先端部と張出しリブの水平側面との間の摩擦を大巾に軽減することが出来る。
図1は、搬送対象容器に対して開いた状態にある把持装置を示す平面図である。 図2は、搬送対象容器に対して閉じた状態にある把持装置を示す平面図である。 図3は、上下二段の容器支持手段を備えた把持装置の要部を示す側面図である。 図4は、図3に示す把持装置の下段の容器支持手段が容器を支持する状態を示す側面図である。 図5Aは、容器支持手段を示す正面図、図5Bは、同側面図である。 図6Aは、容器支持手段の平面図、図6Bは、同容器支持手段の横断平面図である。 図7Aは、容器支持手段の1つの容器支持用ピンの非作用状態を示す縦断側面図、図7Bは、同容器支持用ピンが外力を受けて後退移動した状態を示す縦断側面図である。 図8Aは、従来の容器支持用ピンが上下の張出しリブ間に圧入された状態を示す縦断側面図、図8Bは、本発明の容器支持用ピンが、図8Aと同一条件下で上下の張出しリブに対して作用した状態を示す縦断側面図である。 図9Aは、従来の容器支持用ピンが1つの張出しリブを上下から挟む状態を示す縦断側面図、図9Bは、本発明の容器支持用ピンが、図9Aと同一条件下で張出しリブに対して作用した状態を示す縦断側面図である。 図10Aは、従来の容器支持用ピンが倒立L型の張出しリブを上下から挟む状態を示す縦断側面図、図10Bは、本発明の容器支持用ピンが、図10Aと同一条件下で倒立L型の張出しリブに対して作用した状態を示す縦断側面図である。
添付図に示す本実施例の物品搬送用容器の昇降搬送装置は、本願の出願人が先に出願して特許になった先願発明(特開2016−3069号公報)の明細書及び図面に示されたものと基本構造は同一のものであり、図1〜図3に示すように、両手で持ち上げて運ぶことが出来る程度に小型で、プラスチック製の段積み可能な物品搬送用容器(以下、容器と略称する)1を吊り上げて搬送するものであって、この昇降搬送装置の平面視における中心位置CPを通り且つ互いに直交する水平縦方向仮想線Xと水平横方向仮想線Yの内、前記中心位置CPに置かれた容器1の水平縦方向仮想線Xと平行な両側辺を支持する一対の容器支持装置2A,2Bと、この容器1の四隅に嵌合して位置決めする4つの位置決め部材3a〜4bを備えている。以下、水平縦方向仮想線Xと平行な方向を水平縦方向、水平横方向仮想線Yと平行な方向を水平横方向として説明する。
水平横方向一対の容器支持装置2A,2Bの上方には、水平縦方向に長い水平部材からなり且つ、水平縦方向仮想線Xに対し対称位置を保って水平横方向に互いに接近離間移動自在な横動台5A,5Bが設けられ、この横動台5A,5Bの水平横方向仮想線Yと交差する中央内側に、支柱部材6a,6bが昇降自在に取り付けられ、これら各支柱部材6a,6bの内側同一高さに容器支持装置2A,2Bが取り付けられている。又、各横動体5A,5Bの長さ方向の両端部には、水平横方向仮想線Yに対し対称位置を保って水平縦方向に互いに接近離間移動自在に可動台7a〜8bが支持され、これら各可動台7a〜8bに前記各位置決め部材3a〜4bが昇降自在に支持されている。各位置決め部材3a〜4bは、容器1の四隅に嵌合し得る向きの横断面L字形の、垂直上下方向に長い形材から構成されている。
上記構成によれば、両横動台5A,5Bを水平横方向に互いに接近移動させると同時に、各横動台5A,5Bに対して各可動台7a〜8bを水平縦方向に互いに接近移動させることにより、図2に示すように、水平横方向一対の容器支持装置2A,2Bで容器1の水平横方向両側辺中央部を支持させると同時に、各位置決め部材3a〜4bを、容器1の四隅に嵌合させることが出来る。両横動台5A,5Bは、容器保管エリアの床面上方一定高さで、水平縦方向と水平横方向とに走行可能な搬送台車上に支持されるものであり、各容器支持装置2A,2Bが取り付けられた支柱部材6a,6bは、当該支柱部材6a,6bの水平縦方向両側に張り出すように、当該支柱部材6a,6bの下端に取り付けられた水平部材9の両端部に下端が連結された、それぞれ2本の昇降駆動用平ベルト10a,10bを介して、各横動台5A,5Bに対し昇降駆動される。各容器支持装置2A,2Bと同一の横動台5A,5Bに可動台7a〜8bを介して支持されている位置決め部材3a,3b及び4a,4bは、その中間に位置する支柱部材6a,6bの昇降運動と連動して、各可動台7a,7b及び8a,8bに対し昇降運動するものである。
水平横方向一対の容器支持装置2A,2Bは、支柱部材6a,6bの下端部に取り付けられた下側容器支持手段11と、この下側容器支持手段11より適当距離だけ上方に離れた位置で支柱部材6a,6bに取り付けられた上側容器支持手段12を備えている。各容器支持手段11,12は同一構造のものであって、図5A〜図6Bに示すように、支柱部材6a,6bの前後方向両側に配置された縦長の並列ケーシング11a〜12bを備え、この並列ケーシング11a,11b間及び12a,12b間に、支柱部材6a,6bの内側に付設された昇降用ガイドレール13に昇降自在に嵌合する上下一対のガイドブロック14が取り付けられることにより、下側容器支持手段11と上側容器支持手段12が支柱部材6a,6bに対して昇降自在となっている。下側容器支持手段11は、支柱部材6a,6bの下端に取り付けられた水平部材9上に受け座15を介して支持され、上側容器支持手段12は、支柱部材6a,6bの中間高さに付設された受け座16によって所定高さに支持されている。
図5A及び図5Bに示すように、各ケーシング11a〜12bには、図1に示す平面視において水平横方向仮想線Yに対し前後対称位置でそれぞれ縦2列に容器支持用ピン17a,17bが支持されている。従って平面視において、内側縦列の2つの同一高さの容器支持用ピン17a間の水平方向の間隔は狭く、外側縦列の2つの同一高さの容器支持用ピン17bの水平方向の間隔は広い。内側縦列の容器支持用ピン17aと外側縦列の容器支持用ピン17bは、上下方向の間隔が全て同一であるが、外側縦列の容器支持用ピン17bが、内側縦列の上下に隣り合う2つの容器支持用ピン17a間の中央高さに位置するように千鳥状に配列されている。
全ての容器支持用ピン17a,17bは、図6B〜図7Bに示すように、ピン本体18、このピン本体18の後ろ側に同心状に連設されたフランジ部19、当該フランジ部19から後方に同心状に連設された太軸部20、及びこの太軸部20から後方に同心状に連設された細軸部21から構成されている。ピン本体18は、フランジ部19に隣接する基部が最小径であり、先端が最大径となる先太りテーパーピン状のものであって、最大径の先端は、この容器支持用ピン17a,17bの軸心に対し直角向きの先端平坦面18aとなっている。この容器支持用ピン17a,17bは、各ケーシング11a,11b及び12a,12bに共通の板状の正面部材22に設けられた前側貫通孔23aにピン本体18が貫通し、各ケーシング11a〜12bの板状の背面部材24に前記前側貫通孔23aと同心状に設けられた後ろ側貫通孔23bに細軸部21が貫通することにより、正面部材22と背面部材24によって各容器支持用ピン17a,17bが水平に出退移動自在に支持されている。前側貫通孔23aは、先太りテーパーピン状のピン本体18の先端最大径より少し大きな直径である。そしてフランジ部19と背面部材24との間で太軸部20及び細軸部21に圧縮コイルバネ25が遊嵌され、この圧縮コイルバネ25の付勢力により、フランジ部19が正面部材22の裏面に圧接される向きに容器支持用ピン17a,17bが付勢されている。26は、正面部材22の左右両外側辺と各背面部材24の外側辺とを連結する板状の側面部材である。
以上のように構成された昇降搬送装置で取り扱われる容器1は、図1〜図4に示すように、平面形状が四角形の、上側が解放された箱形のもので、開口部の周囲には、補強と把手形成のために外側へ張り出す断面倒立L形の張出しリブ1aが一体成形され、底部には、開口部の内側に嵌合し得るサイズの突出台部1cが一体成形されている。この構成では、前記断面倒立L形の張出しリブ1aの垂直壁部28aの下端面が、前記容器支持用ピン17a,17bによって支持される下向き段面となっている。勿論、容器1としては図示の構造のものに限定されない。例えば、張出しリブ構造に関しては、図8A及び図8Bの仮想線と図9A〜図10Bに示すように、水平板状に張り出す上側張出しリブ1bと、断面倒立L形の下側張出しリブ1aとを備えた上下二段構造の張出しリブ構造を備えた容器であっても良い。この場合の前記容器支持用ピン17a,17bによって支持される下向き段面は、断面倒立L形の下側張出しリブ1aの垂直壁部28aの下端面と、水平板状の上側張出しリブ1bの下側面の両方になる。
上記構成の昇降搬送装置が併設された容器1の保管エリア内には、上記容器1が、その四側辺が水平縦方向と水平横方向とに平行になる向きに置かれている。而して、その内の特定の容器1を、その位置から別の場所へ搬送する場合、図1に示すように、搬送対象の容器1が、平面視における昇降搬送装置の中心位置CPと当該容器1の中心位置とが一致するように、昇降搬送装置を走行させて、搬送対象の容器1の真上位置に停止させる。次に、平面視において、搬送対象の容器1の外側に容器支持装置2A,2Bと各位置決め部材3a〜4bが位置する状態で、昇降駆動用平ベルト10a,10bを駆動して、水平横方向一対の支柱部材6a,6bと4本の位置決め部材3a〜4bを下降させ、図3に示すように、搬送対象の容器1の張出しリブ1aの真横(図3のように、段積みされた上下複数の容器1が搬送対象であるときは、その最下段の容器1の張出しリブ1aの真横)に、容器支持装置2A,2Bの下側容器支持手段11と各位置決め部材3a〜4bを位置させる。このとき、搬送対象の容器1が、多数の段積み容器であって、容器支持装置2A,2Bの上側容器支持手段12の内側にも搬送対象の容器1が位置する場合もある。
上記のように容器支持装置2A,2Bと各位置決め部材3a〜4bを所定高さまで下降させたならば、次に、横動台5A,5Bを水平横方向に互いに接近移動させると共に、各横動台5A,5B上の可動台7a〜8bを、水平縦方向に互いに接近移動させて、図2及び図4に示すように、搬送対象の容器1の四隅に各位置決め部材3a〜4bを嵌合させると同時に、両容器支持装置2A,2Bにより、搬送対象の容器1を水平横方向両側から挟み付けるようにする。この結果、図4に示すように、両容器支持装置2A,2Bにおける上下両容器支持手段11,12の容器支持用ピン17a,17bの内、搬送対象の容器1の張出しリブ1aの垂直壁部28aの高さ範囲内にピン本体18の先端平坦面18aが一部でも重なる高さにある容器支持用ピン17a,17bは、その先端平坦面18aが張出しリブ1aの垂直壁部28aに当接して前進移動を阻止されるので、圧縮コイルバネ25eの付勢力に抗して相対的にケーシング11a〜12b内に退入することになり、その他の容器支持用ピン17a,17bのみが、圧縮コイルバネ25の付勢力で突出位置に保持されたまま、搬送対象の容器1の外側に所定位置まで接近移動することになる。
以上のようにして、図2及び図4に示すように、水平横方向に互いに接近移動させた両容器支持装置2A,2Bにより、搬送対象の容器1を水平横方向両側から挟み付けたならば、昇降駆動用平ベルト10a,10bを逆方向に駆動して、水平横方向一対の支柱部材6a,6bと4本の位置決め部材3a〜4bを上昇させることにより、両容器支持装置2A,2Bの容器支持用ピン17a,17bの内、搬送対象の容器1の張出しリブ1aの垂直壁部28aの直下に入り込んだ同一高さの2つの容器支持用ピン17a又は17bのピン本体18が、搬送対象の容器1を吊り上げることになる。搬送対象の容器1を所定高さまで吊り上げたならば、両横動台5A,5Bを備える搬送台車を水平縦方向と水平横方向とに走行させ、吊り上げている容器1を容器保管エリア内の容器降ろし位置の真上位置まで搬送させる。容器1を目的の容器降ろし位置の真上位置まで搬送させたならば、上記容器吊上げ手順とは逆の手順で昇降搬送装置を稼働させれば良い。
以上のように容器支持装置2A,2Bにより容器1を吊上げ搬送することが出来るのであるが、以下、容器支持用ピン17a,17bのピン本体が、図8A,図9A,図10Aに示すように、従来の先細りテーパーピン状のピン本体27である場合と、上記実施例で説明した本発明の先太りテーパーピン状のピン本体18である場合との動作時の相違点について説明する。勿論、両者何れの場合も、各縦列における容器支持用ピン17a,17bの側面視における上下間隔Dは同一であり、隣接する縦列間では、容器支持用ピン17a,17bの上下方向位置は、間隔 0.5Dだけずれている。
図8A及び図8Bに示すように、容器1側の断面倒立L形の張出しリブ1aの垂直壁部28aの上下高さが、同一縦列にある容器支持用ピン17a又は17bの側面視における上下間隔Dよりも大きいが、その2倍(2D)より小さい場合、側面視で上下間隔2Dを隔てた2本の容器支持用ピン17a又は17bが、前記断面倒立L形の張出しリブ1aを上下から挟む可能性がある。即ち、従来の先細りテーパーピン状のピン本体27の場合、最小径の先端周面間の上下間隔が張出しリブ1aの垂直壁部28aの高さより広くなって、図8Aに示すように、上側ピン本体27が張出しリブ1aの水平板部28bの上側に乗り上げると共に下側ピン本体27が張出しリブ1aの垂直壁部28aの下側に入り込み、両ピン本体27の周面が張出しリブ1aの上下両面(水平板部28bの上面と垂直壁部28aの下端面)に圧接して両者間の摩擦抵抗が大きくなって、並列ケーシング11a〜12bが前進限位置に到達する前にピン本体27が、圧縮コイルバネ25の付勢力に抗して停止することになる。この状態では、上下両ピン本体27と張出しリブ1aとの間の摩擦抵抗が非常に大きくなっている。
これに対し本発明の先太りテーパーピン状のピン本体18である場合は、図8Bに示すように、上下間隔2Dを隔てた2本の容器支持用ピン17a,17bの張出しリブ1aに対する上下方向の位置が同じであるとしても、上下両ピン本体18の内の一方、例えば下側のピン本体18が、最大径の先端平坦面18aが張出しリブ1aの垂直壁部28aの正面に当接してその位置で停止し、上側のピン本体18は、最大径の先端平坦面18aが張出しリブ1aの垂直壁部28aと水平板部28bとの間の面取りされた角28cに案内されて、上側に少し揺動しながら張出しリブ1aの水平板部28bの上面に移動することになる。このときのピン本体18の揺動は、当該ピン本体18を支持している正面部材22の前側貫通孔23aと、この前側貫通孔23a内に位置するピン本体18の最小径基部との間の広い環状空間の範囲内で、無理なく容易に行われる。この結果、上側のピン本体18は、その最大径の先端平坦面18aの周縁一箇所が張出しリブ1aの水平板部28bの上面に摺接する状態で前進移動を続けることになるが、このときの摩擦抵抗は、従来の先細りテーパーピン状のピン本体27の周面がくさび作用的に張出しリブ1aの上下両面に食い込んでゆく場合と比較して非常に小さく、従って、図示のように容器支持手段11,12と一体に前進限位置まで移動することになる。このように張出しリブ1aの水平板部28bの上面に重なる状態のピン本体18が存在したとしても、当該張出しリブ1aの水平板部28bの上面とピン本体18の最大径の先端平坦面18aの周縁一箇所とが圧接するだけで、その両者間の摩擦力は小さい。
図9A及び図9Bに示すように、断面倒立L形の張出しリブ1a(以下、下側張出しリブ1aという)の上側に、側面視において上下に隣接する2本の容器支持用ピン17a又は17b間の間隔Dより少し広い間隔を隔てて水平板状の張出しリブ1b(以下、上側張出しリブ1bという)が設けられている容器1においては、図9Aに示すように、側面視において間隔Dを隔てて上下に隣接する2本の容器支持用ピン17a,17bにおける従来の先細りテーパーピン状のピン本体27は、その両方の小径先端部が上下両張出しリブ1a,1b間に入り込み、各ピン本体27と張出しリブ1a,1bの上下両面との間の摩擦力が、容器支持用ピン17a,17bの前進移動に伴って増大し、各ピン本体27に作用している圧縮コイルバネ25の付勢力より前記摩擦力が勝った時点で容器支持用ピン17a,17bが停止し、並列ケーシング11a〜12bのみが圧縮コイルバネ25の付勢力に抗して前進限位置まで前進移動することになる。この状態では、上下両ピン本体27がくさび作用的に張出しリブ1a,1b間に圧入した状態であって、上下両ピン本体27と張出しリブ1a,1bとの間の摩擦抵抗が非常に大きくなっている。
これに対し本発明の先太りテーパーピン状のピン本体18である場合は、図8Bに基いて説明した状況と同じように、図9Bに示すように、上下両ピン本体18の最大径の先端平坦面18aの周辺一部分が張出しリブ1a,1bの垂直正面に当接してその位置で停止するか又は、上下両ピン本体18の内の一方、例えば上側のピン本体18は、最大径の先端平坦面18aが張出しリブ1bの先端の垂直端面に当接して停止するが、下側のピン本体18は、その最大径の先端平坦面18aの周縁一箇所が張出しリブ1aの垂直壁部28aと水平板部28bとの間の面取りされた角28cに案内されて、上方に少し揺動しながら張出しリブ1aの水平板部28bの上面に向かって移動し、その上方への揺動が、前側貫通孔23aとピン本体18との当接により制限されたところで停止することになる。勿論、このときの2本の容器支持用ピン17a又は17bの位置がもう少し高ければ、図8Bと同様に、下側のピン本体18は、その最大径の先端平坦面18aの周縁一箇所がリブ1aの水平板部28bの上面を摺動して、容器支持手段11,12と一体に前進限位置まで移動することになる。何れにしても、張出しリブ1a,1bの上下両面に重なる状態のピン本体18が存在したとしても、当該張出しリブ1a,1bの上下両面とピン本体18の最大径の先端平坦面18aの周縁一箇所とが圧接するだけで、その両者間の摩擦力は小さい。
又、図10Aに示すように、従来の先細りテーパーピン状のピン本体27では、前記水平板状の張出しリブ1bの板厚が薄い場合に、隣接する2つの縦列にあって側面視では間隔 0.5Dを隔てて上下に隣接することになる2本の容器支持用ピン17a,17bのピン本体27の最小径の先端部周面が前記水平板状の張出しリブ1bの端縁を挟み付けるような現象が生じる。このような現象が生じたときも、各ピン本体27は、圧縮コイルバネ25の付勢力より各ピン本体27と張出しリブ1bとの間の摩擦抵抗力が大きくなった位置で停止し、その後は並列ケーシング11a〜12bが容器支持用ピン17a,17bに対して圧縮コイルバネ25の付勢力に抗して前進限位置まで前進移動することになる。この結果、張出しリブ1bの端縁が2本の容器支持用ピン17a,17bのピン本体27の最小径の先端部周面間に食い込むことになり、その両者間には多大な摩擦力が生じる。
これに対し本発明の構成では、側面視で上下に隣り合う、属する縦列が異なる2本の先太りテーパーピン状のピン本体18は、側面視においてその最大径の先端どうしが互いに上下に一部重なるように構成しているので、図10Bに示すように、間隔 0.5Dを隔てて上下に隣接することになる2本の容器支持用ピン17a,17bのピン本体18間に張出しリブ1bの端縁が入り込む可能性は皆無である。
以上の図8B,図9B,及び図10Bに基づく説明から明らかなように、本発明の先太りテーパーピン状のピン本体18を備えた容器支持用ピン17a,17bの構成によれば、従来の先細りテーパーピン状のピン本体27を備えた容器支持用ピンを使用している場合のように、容器支持用ピン17a,17bが容器1側に前進移動したときに、ピン本体の周面が容器1側の張出しリブの上下側面に食い込むように圧接して、その両者間に生じる摩擦力が甚大になるような可能性は無くなるので、容器搬送後に容器支持用ピン17a,17bを容器1の張出しリブから水平方向に離脱させるとき、前記両者間に生じる摩擦力によって容器支持用ピン17a,17bが容器1を引き摺ってその位置や姿勢を変えてしまうような不都合が生じる恐れも無くなる。
尚、本発明を実施する場合、搬送する容器1の積み重ね個数や重量などにより、容器支持装置2A,2Bを構成している下側容器支持手段11のみによって、積み重ねられている容器1を問題なく吊上げ搬送することが出来るならば、上側容器支持手段12は省くことが出来る。又、容器支持装置2A,2Bを構成している容器支持手段11,12における容器支持用ピン17a,17bの配列は、図示の実施例の配列に構成することにより、間隔の広い狭いはあるが、常に容器1の平行両側部の巾方向の中央を通る上下方向中心線に対して左右対称の2か所を同一高さの容器支持用ピン17a,17bによって支持することが出来、しかも容器を支持出来る上下方向の間隔が、容器支持用ピン17a,17bの各縦列での上下間隔Dの半分の間隔 0.5Dに狭めることが出来る。
本発明の物品搬送用容器の昇降搬送装置は、両手で持ち上げることが出来る程度の小型の物品搬送用容器を、平面上に直置きするタイプの保管設備において、当該容器の両側辺を剣山構造の容器支持手段によって挟持して、吊上げ搬送することが出来る装置として活用することが出来る。
1 容器
1a,1b 張出しリブ
2A,2B 容器支持装置
3a〜4b 位置決め部材
5A,5B 横動台
6a,6b 支柱部材
7a〜8b 可動台
10a,10b 昇降駆動用平ベルト
11,12 容器支持手段
11a〜12b 並列ケーシング
13 昇降用ガイドレール
14 ガイドブロック
15,16 受け座
17a,17b 容器支持用ピン
18 ピン本体
19 フランジ部
20 太軸部
21 細軸部
22 正面部材
23a 前側貫通孔
23b 後ろ側貫通孔
24 背面部材
25 圧縮コイルバネ
26 側面部材
27 先細りテーパーピン状のピン本体

Claims (3)

  1. 物品搬送用容器に対し水平方向に接近離間移動自在で且つ昇降自在な、少なくとも二組の容器支持手段を備え、これら容器支持手段は、前記容器のある側で水平方向に突出後退移動自在で且つ突出位置に付勢保持された多数の容器支持用ピンを配設した剣山状構造のものであって、前記容器に対する接近移動により、当該容器の外側に形成された下向き段面の下側に入り込んだ前記容器支持用ピンにより、前記容器を持ち上げ可能に支持するように構成された物品搬送用容器の昇降搬送装置において、
    前記容器支持用ピンの前記容器支持手段から突出しているピン本体が、軸心に対して直角の平坦先端面を備えると共に、当該平坦先端面に近いほど直径が大きくなる先太りテーパーピン状に構成されている、物品搬送用容器の昇降搬送装置。
  2. 前記容器支持用ピンのピン本体は、側面視において上下に隣り合うピン本体の先端が互いに一部重なるように配列されている、請求項1に記載の物品搬送用容器の昇降搬送装置。
  3. 前記容器支持用ピンは、前記ピン本体と、このピン本体の後端に同心状に連設されたフランジ部、及びこのフランジ部から後方に同心状に連設された軸部から構成され、容器支持手段には、正面部材に前記ピン本体が貫通する前側貫通孔が設けられると共に、背面部材に前記軸部が貫通する後ろ側貫通孔が設けられ、前記フランジ部と前記背面板材との間の前記軸部に、この容器支持用ピンを突出方向に付勢して前記フランジ部を正面部材の裏面に圧接させる圧縮コイルバネが嵌合され、前記ピン本体が貫通する前側貫通孔は、この先太りテーパーピン本体の最大径先端が貫通移動出来る直径のもので、この前側貫通孔と前記ピン本体との間の環状空間の範囲内で、前記容器支持用ピンが首振り運動可能に構成されている、請求項1又は2に記載の物品搬送用容器の昇降搬送装置。

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