JP6922117B1 - クレープ用生地及びクレープ皮の製造方法並びにクレープ用ミックス - Google Patents
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Abstract
Description
焼き色が薄く白色又はそれに近い色味を呈する外観のクレープ皮を得るために、例えば、穀粉類として小麦粉のみを用いる代わりに澱粉を多く配合する、砂糖の配合量を少なくするなどの配合の工夫、あるいは通常よりも焼成温度を低くしたり焼成時間を短くしたりするなどの焼成方法の工夫が試みられている。
本発明者は、ドラム焼成機によるクレープ皮の製造において、焼き色が薄く白色又はそれに近い色味を呈するクレープ皮を得る方策について検討した。通常より焼成温度を低くしたり焼成時間を短くしたりすると、生地が生焼けとなるためにクレープ皮がドラムから剥がれにくくなる。また、澱粉を多く配合した生地をドラム焼成機で通常の配合の生地と同条件で焼成した場合でも、生地がドラムから剥がれにくい。一方で、焼成温度を高くしたり焼成時間を長くしたりすると、クレープ皮に焼き色がついてしまう。
さらに、ドラム焼成機で連続的な焼成を行い大量に製造したクレープ皮を互いに直接接触した状態で重ねて保存する場合があるが、特にこれを冷凍保存する場合、上記のような生焼けのクレープ皮、あるいは澱粉を多用したクレープ皮では解凍後に皮同士が付着して剥がれにくくなるため、作業性が悪化するばかりでなく商品価値を損ねる恐れがあるという問題もあった。
水分量が穀粉類100質量部に対し120〜360質量部であり、
穀粉類100質量部に対し、融点45℃以上のモノグリセリドを0.01〜2質量部含有するクレープ用生地を提供するものである。
穀粉類100質量部に対し、融点45℃以上のモノグリセリドを0.01〜2質量部含有するクレープ用ミックスを提供するものである。
以下、N及びMが数字である「N〜M」という記載は、N以上M以下であることを意味する。
本発明のクレープ用生地は、穀粉類100質量部に対し、融点45℃以上のモノグリセリドを0.01〜2質量部含有する。図1は、本発明のクレープ用生地をドラム焼成機等で焼成してなるクレープ皮10の特徴を模式的に描いた断面図の一例である。図1は本発明の生地の特徴を説明するために模式的に描いたものにすぎず、本発明を何ら限定するものではない。本発明者は、液状油及び特定量の水分量の存在下で上記特定の乳化剤を用いた場合、得られるクレープ皮10の焼成面10Aは、加熱ドラム等の加熱体Zから浮いている部分Xの面積が大きく、また形も不均一であるここと、別の言い方をすると、クレープ皮の焼成面10Aの焼き色の網目模様が粗くなることを知見した。更に、液状油及び特定量の水分量の存在下で上記特定の乳化剤を用いた場合、加熱体との非接触面(非焼成面)10Bも凹凸が大きな構造を作ることを知見した。これにより得られるクレープ皮は、加熱体Zから浮いている部分Xの面積が大きく、焼き色の網目模様が粗いことに起因して、焼成面の焼き色を抑えれば白く焼き上げることができる。更に、生地全体に凹凸を有することで、火通りは十分でありながら焼き色をつきにくくすることができる。さらに得られるクレープ皮10の両表面が凹凸を有し、焼成面10Aにおいて加熱体Zとの接触部分Yの面積が少ないため、焼成後に加熱体Zから剥がしやすく、また複数枚を互いに直接接触した状態で重ねて保存する際に皮同士がくっつくことを抑制でき、剥がしやすくなる。
以上の理由から、本発明では、クレープ皮をドラム焼成機により連続的に大量生産する場合においても、焼き色が薄く白色を呈する外観と、ドラムからの離型性が良く、焼成後に重ねて冷凍しても解凍後にクレープ皮同士が剥がしにくくなることがない、作業性の良さとが両立したクレープ皮を得ることができる。
本発明において、穀粉類としては、穀粉及び澱粉が挙げられる。穀粉としては、例えば、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、ワキシーコーン、馬鈴薯粉、タピオカ粉、甘藷粉等が挙げられる。澱粉としては、前記の穀粉を由来とする澱粉及びその加工澱粉が挙げられ、該加工澱粉としては、未加工澱粉にエーテル化、エステル化、α化、架橋処理、酸化処理、油脂加工等の処理の1つ以上を施したものが挙げられる。エーテル化にはヒドロキシプロピル化が含まれ、エステル化にはアセチル化が含まれる。ここでいう「澱粉」は、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を意味し、穀粉中に含有されている澱粉とは区別される。澱粉は食感の好ましさから、タピオカ澱粉、ワキシーコーン澱粉若しくは小麦澱粉又はこれらの加工澱粉が好ましく、タピオカ澱粉、ワキシーコーン澱粉若しくは小麦澱粉又はこれらにエーテル化、エステル化及び架橋処理の少なくとも一種を施した澱粉が好ましい。
また、穀粉類100質量部中の小麦粉の含有量は、穀粉類100質量部中10〜50質量部であってよく、15〜45質量部であってよく、20〜40質量部であってよい。
本発明において、糖類は、種々のものを用いることができ、例えば、砂糖、グラニュー糖、ショ糖、マルトース、乳糖、果糖、ブドウ糖、異性化糖、キシロース、ガラクトース、トレハロース、オリゴ糖、デキストリン等の単糖、二糖又は多糖類;ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール;ハチミツ、水あめ、メープルシロップ等の糖液;その他甘味料が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、マルトース、トレハロース、マルチトール等は着色しにくいため好ましく、ショ糖、砂糖は入手容易性、安定した生地粘度の確保の点で好ましい。糖類の量は、穀粉類100質量部に対して15〜75質量部であることが好ましい。穀粉類100質量部に対し、糖類の量が15質量部以上であることはドラムに安定的に生地を転写する点で好ましい。穀粉類100質量部に対し、糖類の量が75質量部以下であることは焼成面の焼き色の抑制の点で好ましい。これらの点から、穀粉類100質量部に対し、糖類の量はより好ましくは25〜60質量部である。また糖類中、ショ糖、マルトース、トレハロース、マルチトールの量は合計で30質量%以上であることが着色抑制や入手容易性、安定した生地粘度の確保の点で好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であってもよい。
本発明のクレープ用生地は、典型的には、前記成分に加えて更に、水性の液体を含有する。本発明のクレープ用生地に含有される水性の液体としては、例えば、水、牛乳等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明のクレープ用生地における水性の液体の含有量は、穀粉類100質量部に対するクレープ用生地中の水分量が、好ましくは120〜360質量部となる量であることが、生地を適度な粘度としてクレープ皮の表面の凹凸及び白さを得やすい点で好ましく、180〜300質量部であることは特に好ましい。ここでいう水分量には、水性の液体中の水分量のほかに、卵類等の水分を有する材料中の水分の量を含む。クレープ用生地の水分量は例えば、135℃で2時間、または105℃で5時間検体を乾燥させ、乾燥前後での重量変化から水分量を算出する加熱乾燥法にて測定できる。なお、135℃で2時間及び105℃で5時間の何れか一方の条件で乾燥させた場合に上記の数値範囲に含まれるが他方の条件で乾燥させた場合は含まれない場合であっても、当該数値範囲に該当するものとする。
なお、本発明では粉末セルロース等の水不溶性の食物繊維を用いてもよいが、敢えて用いる必要はなく、仮に用いた場合であっても小麦粉100重量部当たり0.05重量部未満であってよい。
更に、本発明のミックスは、本発明のクレープ用生地と同様、前述した特定の油脂含有粉末を非含有であることが好ましく、糖類粉末又は糖類を主体とする粉末と添加水とからなる粉末状の系を該糖類が結晶化する加熱温度で加熱処理して多孔質状の不定形粒となし、これに油脂を添加混合して得られた油脂含有粉末を非含有であることがより好ましく、糖類粉末又は糖類を主体として含み糖類の結晶化により形成された多孔質状の不定形粒子を非含有であることが特に好ましい。また本発明のミックスは、発酵生地乾燥粉砕品及び酸化剤の組み合わせを含まないことが好ましく、酵母の発酵物又はその加工物を含まないことがより好ましい。また至適温度が50〜80℃であるαアミラーゼ(A)及び至適温度が40〜70℃であるキシラナーゼ(X)を組み合わせて含有しないことが好ましい。
焼成条件は、片面焼成及び両面焼成のいずれの場合も、好ましくは150〜170℃、で10〜40秒間である。
フライパン式の連続焼成機は、一般に、複数のフライパンとそれに対し、吐出部により吐きだされたクレープ用生地が連続的に投入されて生地が焼成されるものである。フライパン式の連続焼成機の例としては株式会社山田製作所、「CR-20」、「CR-2」、「IH仕様」等が知られている。
表1〜表4に示す原料をこれらの表に示す配合にて混合し、ミキサーで撹拌して、生地温度25℃、生地粘度25〜50dPa・sの流動性のあるクレープ用生地を作成した。フロアタイムを10分間として、図2に示すドラム焼成機で、160℃、25秒間、片面のみ焼成してクレープ皮を得た。ドラム回転数は1〜6rpmとした。
表5に示す原料を表5に示す配合にて混合し、ミキサーで撹拌して、生地温度25℃にて表5に示す生地粘度の流動性のあるクレープ用生地を作成した。フロアタイムを10分間として、図2に示すドラム焼成機で、160℃、25秒間、片面のみ焼成してクレープ皮を得た。ドラム回転数は1〜6rpmとした。
<使用原料>
・実施例16−26以外の実施例・比較例において、加工澱粉としては、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を用いた。
・各実施例・比較例において、糖類としては、砂糖を用いた。卵類としては、L*値が76、a*値が11、b*値が16の市販の液卵を用いた。増粘多糖類としては、グアーガムを用いた。融点35℃のモノグリセリド、融点45℃のモノグリセリド、融点50℃のモノグリセリド及び融点60℃のモノグリセリドとしては、いずれも、脂肪酸として、炭素原子数が16又は18の脂肪酸を用いたモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを用いた。
(ドラムからの剥がれやすさ)
<評価基準>
5点:綺麗に剥がれる。
4点:剥がれやすい。
3点:やや付着するが剥がれる。
2点:剥がれにくい。
1点:剥がれない。
<評価基準>
5点:綺麗に剥がれる。
4点:剥がれやすい。
3点:やや付着するが剥がれる。
2点:剥がれにくい。
1点:剥がれない。
<評価基準>
5点:白い。
4点:加熱体との接触面にやや色が付く。
3点:加熱体との接触面に色が付く。
2点:全体的に薄く茶色くなる。
1点:茶色い。
<評価基準>
5点:粗い柄が出ている。
4点:やや粗い柄が出ている
3点:やや細かい柄が出ている。
2点:細かい柄が出ている。
1点:柄が出ていない。
<評価基準>
5点:凹凸感が著しい。
4点:凹凸感がある。
3点:やや凹凸感がある。
2点:フラットだが一部に凹凸感がある。
1点:フラットである。
Claims (10)
- 穀粉類、糖類、卵類、及び液状油脂を含有するクレープ用生地であって、
水分量が穀粉類100質量部に対し120〜360質量部であり、
穀粉類中におけるデュラム小麦セモリナの量が10質量%以下であり、
穀粉類100質量部に対し、融点45℃以上のモノグリセリドを0.01〜2質量部含有し、
穀粉類が、未加工澱粉及び加工澱粉から選ばれる少なくとも一種と、小麦粉とを組み合わせて含有しており、未加工澱粉、加工澱粉及び小麦粉の合計量100質量部のうち、小麦粉の割合が10〜50質量部であり、
液状油脂の含有量が穀粉類100質量部に対して5〜70質量部であり、
卵類の含有量が穀粉類100質量部に対して40〜160質量部であり、
下記の水中油型乳化油脂組成物を含有しないクレープ用生地。
水中油型乳化油脂組成物:食用油脂、モノグリセリン脂肪酸エステル(M)、至適温度が50〜80℃であるαアミラーゼ(A)、至適温度が40〜70℃であるキシラナーゼ(X)および水を含有する水中油型乳化油脂組成物であって、前記食用油脂の含有量が1〜60質量%、前記モノグリセリン脂肪酸エステル(M)の含有量が1〜15質量%、前記αアミラーゼ(A)の含有量が30〜5000unit/100g、前記キシラナーゼ(X)の含有量が10〜500unit/100gである水中油型乳化油脂組成物。 - 穀粉類100質量部に対し、レシチンを0.01〜2質量部含有する請求項1に記載のクレープ用生地。
- モノグリセリドとレシチンの質量比が9:1〜1:1である、請求項2に記載のクレープ用生地。
- 生地粘度が15〜60dPa・sである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクレープ用生地。
- クレープ連続焼成機用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクレープ用生地。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のクレープ用生地を焼成する工程を有する、クレープ皮の製造方法。
- 回転ドラムを有するクレープ連続焼成機によりクレープ用生地を焼成する、請求項6に記載のクレープ皮の製造方法。
- 穀粉類及び糖類を含有するクレープ用ミックスであって、
穀粉類中におけるデュラム小麦セモリナの量が10質量%以下であり、
穀粉類が、未加工澱粉及び加工澱粉から選ばれる少なくとも一種と、小麦粉とを組み合わせて含有しており、未加工澱粉、加工澱粉及び小麦粉の合計量100質量部のうち、小麦粉の割合が10〜50質量部であり、
穀粉類100質量部に対し、融点45℃以上のモノグリセリドを0.01〜2質量部含有し、下記の水中油型乳化油脂組成物を非含有であり、穀粉類100質量部に対して5〜70質量部の液状油脂及び40〜160質量部の卵類を含有し、水分量が穀粉類100質量部に対し120〜360質量部であるクレープ用生地の調製に用いられる、クレープ用ミックス。
水中油型乳化油脂組成物:食用油脂、モノグリセリン脂肪酸エステル(M)、至適温度が50〜80℃であるαアミラーゼ(A)、至適温度が40〜70℃であるキシラナーゼ(X)および水を含有する水中油型乳化油脂組成物であって、前記食用油脂の含有量が1〜60質量%、前記モノグリセリン脂肪酸エステル(M)の含有量が1〜15質量%、前記αアミラーゼ(A)の含有量が30〜5000unit/100g、前記キシラナーゼ(X)の含有量が10〜500unit/100gである水中油型乳化油脂組成物。 - 穀粉類100質量部に対し、レシチンを0.01〜2質量部含有する請求項8記載のクレープ用ミックス。
- モノグリセリドとレシチンの質量比が9:1〜1:1である、請求項9に記載のクレープ用ミックス。
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