JP6911620B2 - 硬化型組成物 - Google Patents

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本発明は、硬化型組成物に関し、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物に関する。本発明の組成物は、感光性平版印刷版やカラーレジスト等のパターン形成剤、ハードコート等のコーティング剤、印刷インキ及び接着剤等の種々の用途に使用可能であり、特に、パターン形成剤に好ましく使用でき、これら技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
従来、エッチングレジスト、ソルダーレジスト及びカラーフィルターの着色層を形成するカラーレジスト等で使用されるレジストとしては、(メタ)アクリレート系化合物を含有する組成物が多く用いられている。その際に、組成物の感度の向上や硬化物の硬度の向上等を目的として、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリレートが使用されている。
従来のレジスト等で用いられている多官能(メタ)アクリレートの多くはアルカリ不溶性であり、そのため現像時に未硬化部(未露光部)の膜残りが発生し、十分な解像度が得られないという問題点があった。
カラーフィルター用の活性エネルギー線硬化型パターン形成用組成物としては、カルボキシル基を有しない多官能(メタ)アクリレート、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤及び有機溶剤を含有する組成物が知られている(特許文献1)。
この発明は、硬化物の架橋密度及びアルカリ可溶性を向上させるために、アルカリ可溶性樹脂の光硬化性基と酸性官能基の導入割合を増加させたものであるが、導入できる光硬化性基と酸性官能基の量には限界があるうえ、組成物の粘度が上昇してしまい、塗工適性が損われてしまうという問題も発生するものであった。
そこで、水酸基と複数の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートをカルボン酸無水物等の酸無水物と反応させて得られる、アルカリに可溶な、カルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートを含有する感光性組成物が提案されている(特許文献2、同3及び同4)。
特開2000−105456号公報 特開2001−089416号公報 特開2001−091954号公報 特開2014−215515号公報
しかしながら、特許文献2〜同4に記載されたカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレート化合物を含有する前記従来の感光性組成物は、カルボキシル基を持たない多官能(メタ)アクリレートを含有する感光性組成物に比べて、アルカリ現像性は向上しているものの、アルカリ水溶液に対する溶解性が未だ十分ではなく、現像時に未硬化残渣が発生し、より一層のアルカリ現像性の向上が求められている。
又、特許文献2〜同4の組成物は、加えて有機溶剤を含まない無溶剤の硬化型組成物とした場合には、低粘度化が不充分であるため、ハンドリング性及び塗工性に問題があった。
加えて、従来の感光性組成物は、配合成分のカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートに起因して組成物中に金属イオンに含まれることがあり、硬化膜からのイオン溶出による電気特性の低下が問題となることがあった。特に、カルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートの原料(メタ)アクリレートが脱水エステル化反応で製造されたものである場合、中和工程で使用するアルカリ金属水酸化物に起因してアルカリ金属を含むことがあり、この場合、アルカリ金属を除去する精製工程を要する必要があったり、精製したとしてもアルカリ金属の低減が不十分な場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、無溶剤の硬化型組成物であっても、低粘度及びアルカリ現像性に優れ、金属イオン濃度が少ない硬化型組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するためには、特定の酸価及び特定の粘度を有する酸性基含有多官能(メタ)アクリレートを含む硬化型組成物が、低粘度及びアルカリ現像性に優れ、金属イオン濃度が少ないことを見出し、本発明を完成した。
本発明は、ヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物(a)〔以下「混合物(a)」という〕に酸無水物を付加した化合物を含む混合物(A)〔以下「(A)成分」という〕を含有し
前記した混合物(a)が、下記触媒X及びYの存在下に、3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールと1個の(メタ)アクロイル基を有する化合物をエステル交換反応させて得られたヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物であり、
当該(A)成分の酸価が20〜70mgKOH/gかつ25℃粘度が50〜9,500mPa・sである硬化型組成物に関する。
触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくはその錯体、並びにピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体からなる群から選ばれる一種以上の化合物。
触媒Y:亜鉛を含む化合物。
本発明の組成物は、無溶剤型の組成物とした場合においても低粘度であり、アルカリ現像性に優れ、金属イオン濃度が少ないものとなる。
本発明は、(A)成分を含有し、当該(A)成分の酸価が20〜70mgKOH/gかつ25℃粘度が50〜9,500mPa・sである硬化型組成物に関する。
以下、(A)成分、その他の成分、及び用途について説明する。
1.(A)成分
(A)成分は、混合物(a)〔ヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物〕に酸無水物を付加した化合物を含む混合物である。
(A)成分は、酸価が20〜70mgKOH/gかつ25℃粘度が50〜9,500mPa・sとする必要がある。
(A)成分は、酸価が20〜70mgKOH/gとする必要があり、好ましくは20〜65mgKOH/gである。
(A)成分の酸価が20mgKOH/gに満たない場合は、アルカリ現像性が不充分となってしまい、一方、70mgKOH/gを超えると組成物の粘度が高くなってしまう。
尚、本発明における酸価とは、試料1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数を意味する。
(A)成分は、25℃粘度が100〜9,500mPa・sとする必要があり、好ましくは500〜9,500mPa・sである。
(A)成分の粘度が50mPa・sに満たない場合は、厚膜での塗工適性が不充分となってしまい、一方、9,500mPa・sを超えると薄膜での塗工適性が不充分となってしまう。
尚、本発明における粘度とは、E型粘度計を使用して25℃で測定した値を意味する。
次に、(A)成分の原料化合物である混合物(a)及び酸無水物、並びに(A)成分の製造方法について説明する。
1−1.混合物(a)
混合物(a)は、ヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物であり、ヒドロキシル基と3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物が好ましい。
2個以上の(メタ)アクリロイル基とヒドロキシル基を有する化合物としては、具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート及びペンタ(メタ)アクリレート、並びにポリグリセリンのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート及びペンタ(メタ)アクリレート等のポリグリセリンのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明における混合物(a)としては、製造工程で副生するヒドロキシル基及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びヒドロキシル基を有しない3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含んでいても良い。
ヒドロキシル基及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、好ましい化合物に基づき例示すると、ジトリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有しない3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、好ましい化合物に基づき例示すると、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらヒドロキシル基及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びヒドロキシル基を有しない3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、混合物(a)中に、20〜80重量%の割合で含まれていても良い。
混合物(a)としては、高水酸基価を有する化合物の混合物が好ましく、水酸基価が10〜100mgKOH/gである混合物が好ましく、10〜90mgKOH/gであることがより好ましく、10〜80mgKOH/gであることが特に好ましい。
混合物(a)の水酸基価を10mgKOH/g以上とすることで、(A)成分の酸価を所望のものとすることができ、水酸基価が100mgKOH/g以下とすることで(A)成分の粘度を所望のものとすることができる。
尚、本発明において水酸基価とは、試料1g中の水酸基と当量の水酸化カリウムのmg数を意味する。
混合物(a)は、前記した通り種々の多官能(メタ)アクリレートの混合物であるが、副反応物である高分子量体の割合が少ないものを使用することが好ましい。
混合物(a)中の高分子量体としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)測定により得られた値であって、下記式(1)で定義される高分子量体の面積%として25%未満であることが好ましい。
高分子量体の面積%=〔(R−I−L)/R〕×100 ・・・(1)
式(1)における記号及び用語は、以下を意味する。
・R:混合物(a)中の検出ピークの総面積
・I:理想構造(メタ)アクリレートを含む検出ピークの面積
・L:理想構造(メタ)アクリレートを含む検出ピークよりも重量平均分子量(以下、「Mw」という)が小さい検出ピークの総面積
・理想構造(メタ)アクリレート:原料アルコール1分子あたりに含まれる水酸基の数と、同数の(メタ)アクリロイル基を1分子あたりに含み、かつマイケル付加型の構造を有しない多官能(メタ)アクリレートを意味する。
理想構造(メタ)アクリレートの具体例としては、好ましい多価アルコールを例に挙げると、ペンタエリスリトールの場合はペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートであり、ジペンタエリスリトールの場合はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
尚、本発明において、Mwとは、溶媒としてテトラヒドロフラン(以下、「THF」という)を使用し、GPCにより測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値を意味する。
高分子量体の面積%をこの範囲とすることで、組成物を低粘度にすることができる。
尚、本発明におけるGPCにより測定した分子量は、以下の条件で測定した値を意味する。
・検出器:示差屈折計(RI検出器)
・カラムの種類:架橋ポリスチレン系カラム
・カラムの温度:25〜50℃の範囲内
・溶離液:THF
混合物(a)は、3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコール(以下、単に「多価アルコール」という)と(メタ)アクリル酸の脱水エステル化反応により得られる化合物、及び多価アルコールと1個の(メタ)アクリロイル基をする化合物〔以下、単官能(メタ)アクリレート」という〕をエステル交換反応させて得られる化合物のいずれも使用できる。
混合物(a)としては、多価アルコールと単官能(メタ)アクリレートをエステル交換反応させて得られる化合物が、前記した特定水酸基価を有する混合物(a)を高収率で製造でき、しかも得られる混合物(a)中の高分子量体が少ないために低粘度で、組成物の塗工性やレベリング性に優れる点で好ましい。又、エステル交換反応させて得られる混合物(a)は、脱水エステル化反応と比較して最終的に得られる(A)成分中のアルカリ金属イオンを低濃度とすることができ、具体的には0.5ppm未満とすることができ、硬化膜からのイオン溶出による電気特性の低下が懸念ない点で好ましい。
1−1−1.脱水エステル化反応
混合物(a)は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸を脱水エステル化反応させて製造することができる。
多価アルコールは、3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールであり、種々の化合物を使用することができる。
多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール及びポリグリセリン等が挙げられる。
ポリグリセリンとしては、平均重合度を意味する水酸基価は700〜1,200mgKOH/gの化合物が好ましく、より好ましくは800〜1,150mgKOH/gであり、都kに好ましくは850〜1,100mgKOH/gである。
脱水エステル化反応に用いられる(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれかを使用してもよいし、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を使用してもよいが、アクリル酸のみを使用することが好ましい。
又、混合物(a)の製造には、(メタ)アクリル酸の代わりに、(メタ)アクリル酸等価体として、(メタ)アクリル酸ハライドや、(メタ)アクリル酸無水物等を使用してもよい。
混合物(a)を、多価アルコールと(メタ)アクリル酸の脱水エステル化反応により製造する場合において、(メタ)アクリル酸の使用割合は、得られる(メタ)アクリル酸エステル化物の水酸基価が10〜100mgKOH/gとなる量であれば、特に制限はない。
(メタ)アクリル酸の使用モル量は、使用する多価アルコールの水酸基のモル量より少ないことが好ましく、多価アルコールの水酸基の合計モル数に対して、0.75〜1.25モル当量が好ましく、より好ましくは0.85〜1.15モル当量である。
混合物(a)の製造方法としては、特に制限はなく、公知の脱水エステル化反応を用いることができるが、触媒や安定剤を使用することが好ましい。
触媒としては、酸触媒を好適に挙げることができる。
又、安定剤としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の公知の重合禁止剤を好適に挙げることができる。又、安定剤、特に重合禁止剤として、酸素を用いることも好ましい。例えば、酸素含有雰囲気中において、混合物(a)の製造を行うことにより、不必要な(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートの重合を防止することができる。又、雰囲気中の酸素の含有割合は、1〜20体積%であることが好ましく、1〜10体積%であることがより好ましい。
又、混合物(a)の製造方法は、液液抽出(分液)を少なくとも行い精製する方法を含むことが好ましい。上記態様であると、水酸基価が10〜100mgKOH/gである化合物を容易に製造することができる。
1−1−2.エステル交換反応
混合物(a)は、エステル交換触媒の存在下に、多価アルコールと単官能(メタ)アクリレートをエステル交換反応させて製造することもできる。
前記触媒X及びYを併用する多価アルコールと単官能(メタ)アクリレートのエステル交換反応によれば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸を脱水エステル化反応と比較して、混合物(a)中の高分子量体が少ないために低粘度で不純物が少なく、このため前記物性に優れる多官能(メタ)アクリレート混合物を製造することが可能となる。
以下、多価アルコール、単官能(メタ)アクリレート、触媒X、触媒Y及び混合物(a)の製造方法について説明する。
1−1−2−1.多価アルコール
多価アルコールは、前記と同様の化合物を使用することができ、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール及びポリグリセリンが好ましい。
1−1−2−2.単官能(メタ)アクリレート
混合物(a)の原料として使用する単官能(メタ)アクリレートは、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、下記式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0006911620
式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2は炭素数1〜50の有機基を表す。
上記一般式(1)におけるR2の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、オクチル基、及び2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基及び2−メトキシブチル基等のアルコキシアルキル基、並びにN,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジエチルアミノエチル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基及びN,N−ジエチルアミノプロピル基等のジアルキルアミノ基等が挙げられる。
上記一般式(1)におけるR2の具体例としては、前記以外にも特開2017−39916号公報、特開2017−39917号公報及び国際公開第2017/033732号に記載された化合物等が挙げられる。
本発明ではこれらの単官能(メタ)アクリレートを単独で又は二種以上を任意に組み合わせて使用できる。
これらの単官能(メタ)アクリレートの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート及びi−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、並びにN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられ、特に多価アルコールに対して良好な反応性を示し、入手が容易な炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、及び炭素数1〜2のアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく挙げられる。
さらに、多価アルコールの溶解を促進し、極めて良好な反応性を示す炭素数1〜2のアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが更に好ましく、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
さらに又、単官能(メタ)アクリレートとしては、単官能アクリレートが反応性に優れるため特に好ましい。
混合物(a)の製造方法における多価アルコールと単官能(メタ)アクリレートの使用割合は特に制限はないが、多価アルコール中の水酸基合計1モルに対して単官能(メタ)アクリレートを0.4〜10.0モルが好ましく、より好ましくは0.6〜5.0モルである。単官能(メタ)アクリレートを0.4モル以上にすることにより副反応を抑制することができる。又、10.0モル以下とすることで、混合物(a)の生成量を多くすることができ、生産性を向上させることができる。
1−1−2−3.触媒
混合物(a)の製造方法におけるエステル交換反応触媒としては、例えば、スズ系触媒、チタン系触媒及び硫酸等の従来公知のものを使用することができる。
本発明では、混合物(a)を効率的に高収率で製造できる点で、触媒として下記触媒X及びYを併用することが好ましい。
触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体(以下、「アザビシクロ系化合物」という)、アミジン又はその塩若しくは錯体(以下、「アミジン系化合物」という)、ピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体(以下、「ピリジン系化合物」という)、及びホスフィン又はその塩若しくは錯体(以下、「ホスフィン系化合物」という)からなる群から選ばれる一種以上の化合物
触媒Y:亜鉛を含む化合物。
以下、触媒X及び触媒Yについて説明する。
1−1−2−4.触媒X
触媒Xは、アザビシクロ系化合物、アミジン系化合物、ピリジン系化合物及びホスフィン系化合物よりなる群から選ばれる一種以上の化合物である。
触媒Xとしては、前記した化合物群の中でも、アザビシクロ系化合物、アミジン系化合物及びピリジン系化合物よりなる群から選ばれる一種以上の化合物が好ましい。これら化合物は、触媒活性に優れ混合物(a)を好ましく製造できる他、反応終了後に後記する触媒Yと錯体を形成し、当該錯体は吸着等による簡便な方法により反応終了後の反応液から容易に除去できる。特に、アザシクロ系化合物は、その触媒Yとの錯体が反応液に難溶解性となるため、ろ過及び吸着等によりさらに容易に除去することができる。
一方、ホスフィン系化合物は、触媒活性に優れるものの、触媒Yと錯体を形成し難いか、又は、錯体を形成した場合は反応液に易溶解性であり、反応終了後の反応液中にホスフィン系化合物の大部分が溶解したままとなるため、ろ過及び吸着等による簡便な方法により反応液から除去し難い。このため、最終製品中にもホスフィン系触媒が残存してしまい、これにより製品の保存中に、濁りや触媒の析出が発生したり、経時的に増粘又はゲル化してしまうという保存安定性の問題を生じることがある。
アザビシクロ系化合物の具体例としては、アザビシクロ構造を有する環状3級アミン、当該アミンの塩、又は当該アミンの錯体を満足する化合物であれば種々の化合物が挙げられ、好ましい化合物としては、キヌクリジン、3−ヒドロキシキヌクリジン、3−キヌクリジノン、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボン酸、及びトリエチレンジアミン(別名:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン。以下、「DABCO」という)等が挙げられる。
アザビシクロ系化合物の具体例としては、前記以外にも特開2017−39916号公報、特開2017−39917号公報及び国際公開第2017/033732号に記載された化合物等が挙げられる。
アミジン系化合物の具体例としては、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−アリルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(以下、「DBU」という)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(以下、「DBN」という)、N−メチルイミダゾール塩酸塩、DBU塩酸塩、DBN塩酸塩、N−メチルイミダゾール酢酸塩、DBU酢酸塩、DBN酢酸塩、N−メチルイミダゾールアクリル酸塩、DBUアクリル酸塩、DBNアクリル酸塩、及びフタルイミドDBU等が挙げられる。
ピリジン系化合物の主な具体例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(以下、「DMAP」という)等が挙げられる。
ピリジン系化合物の具体例としては、前記以外にも特開2017−39916号公報、特開2017−39917号公報及び国際公開第2017/033732号に記載された化合物等が挙げられる。
ホスフィン系化合物は、下記式(2)で示される構造を含む化合物等が挙げられる。
Figure 0006911620
〔式(2)において、R3、R4及びR5は、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルケニル基、炭素数6〜24のアリール基、若しくは、炭素数5〜20のシクロアルキル基を意味する。R3、R4及びR5としては、同一であっても異なっていても良い。〕
表す。)
ホスフィン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、及びトリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
ホスフィン系化合物の具体例としては、前記以外にも特開2017−39916号公報、特開2017−39917号公報及び国際公開第2017/033732号に記載された化合物等が挙げられる。
本発明ではこれらの触媒Xを単独で又は二種以上を任意に組み合わせて使用できる。これらの触媒Xの中では、キヌクリジン、3−キヌクリジノン、3−ヒドロキシキヌクリジン、DABCO、N−メチルイミダゾール、DBU、DBN及びDMAPが好ましく、特に多価アルコールに対して良好な反応性を示し、入手が容易な3−ヒドロキシキヌクリジン、DABCO、N−メチルイミダゾール、DBU及びDMAPよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物がより好ましい。
混合物(a)の製造方法における触媒Xの使用割合は特に制限はないが、多価アルコール中の水酸基合計1モルに対して、触媒Xを0.0001〜0.5モル使用することが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.2モルである。触媒Xを0.0001モル以上使用することで、目的の混合物(a)の生成量を多くすることができ、0.5モル以下とすることで、副生成物の生成や反応液の着色を抑制し、反応終了後の精製工程を簡便にすることができる。
1−1−2−5.触媒Y
触媒Yは、亜鉛を含む化合物である。
触媒Yとしては、亜鉛を含む化合物であれば種々の化合物を使用することができるが、反応性に優れることから有機酸亜鉛及び亜鉛ジケトンエノラートが好ましい。
有機酸亜鉛としては、蓚酸亜鉛等の二塩基酸亜鉛及び下記式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0006911620
〔式(3)において、R6及びR7は、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルケニル基、炭素数6〜24のアリール基、若しくは、炭素数5〜20のシクロアルキル基を意味する。R6及びR7としては、同一であっても異なっていても良い。〕
前記式(3)の化合物としては、R6及びR7が、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基である化合物が好ましい。R6及びR7において、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基は、フッ素及び塩素等のハロゲン原子を有しない官能基であり、当該官能基を有する触媒Yは、高収率で混合物(a)を製造できるため好ましい。
亜鉛ジケトンエノラートとしては、下記式(4)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0006911620
〔式(4)において、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルケニル基、炭素数6〜24のアリール基、若しくは炭素数5〜20のシクロアルキル基を意味する。R8、R9、R10、R11、R12及びR13としては、同一であっても異なっていても良い。〕
上記式(3)で表される亜鉛を含む化合物の具体例としては、酢酸亜鉛、酢酸亜鉛二水和物、プロピオン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シクロヘキサン酪酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、t−ブチル安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛等が挙げられる。
尚、これらの亜鉛を含む化合物について、その水和物又は溶媒和物又は触媒Xとの錯体が存在する場合には、該水和物及び溶媒和物及び触媒Xとの錯体も混合物(a)の製造方法における触媒Yとして使用できる。
上記式(4)で表される亜鉛を含む化合物の具体例としては、亜鉛アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート水和物、ビス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛、ビス(5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオナト)亜鉛等が挙げられる。尚、これらの亜鉛を含む化合物について、その水和物又は溶媒和物又は触媒Xとの錯体が存在する場合には、該水和物及び溶媒和物及び触媒Xとの錯体も混合物(a)の製造方法における触媒Yとして使用できる。
触媒Yにおける、有機酸亜鉛及び亜鉛ジケトンエノラートとしては、前記した化合物を直接使用することができるが、反応系内でこれら化合物を発生させ使用することもできる。
例えば、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩化亜鉛及び硝酸亜鉛等の亜鉛化合物(以下、「原料亜鉛化合物」という)を原料として使用し、有機酸亜鉛の場合は、原料亜鉛化合物と有機酸を反応させる方法、亜鉛ジケトンエノラートの場合は、原料亜鉛化合物と1,3−ジケトンを反応させる方法等が挙げられる。
本発明ではこれらの触媒Yを単独で又は二種以上を任意に組み合わせて使用できる。これらの触媒Yの中では、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、及び亜鉛アセチルアセトナートが好ましく、特に多価アルコールに対して良好な反応性を示し、入手が容易な酢酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、及び亜鉛アセチルアセトナートが好ましい。
混合物(a)の製造方法における触媒Yの使用割合は特に制限はないが、多価アルコール中の水酸基合計1モルに対して、触媒Yを0.0001〜0.5モル使用することが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.2モルである。触媒Yを0.0001モル以上使用することで、目的の混合物(a)の生成量を多くすることができ、0.5モル以下とすることで、副生成物の生成や反応液の着色を抑制し、反応終了後の精製工程を簡便にすることができる。
1−1−2−6.エステル交換反応
前記した通り、混合物(a)のエステル交換反応による製造方法としては、触媒として前記触媒X及びYを併用する製造方法が好ましく、以下、当該製造方法について説明する。
混合物(a)の製造方法における触媒Xと触媒Yの使用割合は特に制限はないが、触媒Yの1モルに対して、触媒Xを0.005〜10.0モル使用することが好ましく、より好ましくは0.05〜5.0モルである。0.005モル以上使用することで、目的の混合物(a)の生成量を多くすることができ、10.0モル以下とすることで、副生成物の生成や反応液の着色を抑制し、反応終了後の精製工程を簡便にすることができる。
本発明で併用する触媒Xと触媒Yの組合せとしては、触媒Xがアザビシクロ系化合物で、触媒Yが前記式(3)で表される化合物の組み合わせが好ましく、さらに、アザビシクロ系化合物がDABCOであり、前記式(3)で表される化合物が酢酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である組み合わせが最も好ましい。
この組合せが、混合物(a)を収率よく得られることに加え、反応終了後の色調に優れることから、色調が重要視される各種工業用途に好適に使用できる。さらには比較的安価に入手可能な触媒であることから、経済的に有利な製造方法となる。
本発明で使用する触媒X及び触媒Yは、上記反応の最初から添加してもよいし、途中から添加してもよい。又、所望の使用量を一括で添加してもよいし、分割して添加してもよい。
混合物(a)の製造方法における反応温度は40〜180℃であることが好ましく、より好ましくは60〜160℃である。反応温度を40℃以上にすることで、反応速度を速くすることができ、180℃以下とすることで、原料や生成物中の(メタ)アクリロイル基の熱重合を抑制し、反応液の着色を抑制でき、反応終了後の精製工程を簡便にすることができる。
混合物(a)の製造方法における反応圧力は、所定の反応温度を維持できれば特に制限はなく、減圧状態で実施してもよく、又加圧状態で実施してもよい。好ましくは0.000001〜10MPa(絶対圧力)である。
混合物(a)の製造方法においては、エステル交換反応の進行に伴い単官能(メタ)アクリレートに由来する1価アルコールが副生する。該1価アルコールを反応系内に共存させたままでもよいが、該1価アルコールを反応系外に排出することにより、エステル交換反応の進行をより促進することができる。
混合物(a)の製造方法では溶媒を使用せずに反応させることもできるが、必要に応じて溶媒を使用してもよい。
溶媒の具体例としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン、ドデシルベンゼン、ジドデシルベンゼン、アミルトルエン、イソプロピルトルエン、デカリン及びテトラリン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルアセタール、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテル、ジメチルセロソルブ、ジグライム、トリグライム及びテトラグライム等のエーテル類;18−クラウン−6等のクラウンエーテル類;安息香酸メチル及びγ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン及びベンゾフェノン等のケトン類;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等のカーボネート化合物;スルホラン等のスルホン類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;尿素類又はその誘導体;トリブチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、イミダゾリウム塩、ピペリジニウム塩及びピリジニウム塩等のイオン液体;シリコンオイル並びに;水等が挙げられる。
これらの溶媒の中では、炭化水素類、エーテル類、カーボネート化合物及びイオン液体が好ましい。
これらの溶媒は単独で使用してもよく、二種以上を任意に組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。
混合物(a)の製造方法においては、反応液の色調を良好に維持する目的で系内にアルゴン、ヘリウム、窒素及び炭酸ガス等の不活性ガスを導入してもよいが、(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で系内に含酸素ガスを導入してもよい。含酸素ガスの具体例としては、空気、酸素と窒素の混合ガス、酸素とヘリウムの混合ガス等が挙げられる。含酸素ガスの導入方法としては、反応液中に溶存させたり、又は反応液中に吹込む(いわゆるバブリング)方法がある。
混合物(a)の製造方法においては、(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で反応液中に重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、フェノチアジン、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等の有機系重合禁止剤、塩化銅、硫酸銅及び硫酸鉄等の無機系重合禁止剤、並びにジブチルジチオカルバミン酸銅、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等の有機塩系重合禁止剤が挙げられる。
重合禁止剤は、一種を単独で添加しても又は二種以上を任意に組み合わせて添加してもよく、本発明の最初から添加してもよいし、途中から添加してもよい。又、所望の使用量を一括で添加してもよいし、分割して添加してもよい。又、精留塔を経由して連続的に添加してもよい。
重合禁止剤の添加割合としては、反応液中に5〜30,000wtppmが好ましく、より好ましくは25〜10,000wtppmである。この割合を5wtppm以上とすることで、重合禁止効果を発揮することができ、30,000wtppm以下にすることで、反応液の着色を抑制でき、反応終了後の精製工程を簡便にすることができ、又、得られる混合物(a)の硬化速度の低下を防止することができる。
混合物(a)の製造方法における反応時間は、触媒の種類と使用量、反応温度、反応圧力等により異なるが、好ましくは0.1〜150時間、より好ましくは0.5〜80時間である。
混合物(a)の製造方法は、回分式、半回分式及び連続式のいずれの方法によっても実施できる。回分式の一例としては、反応器に多価アルコール、単官能(メタ)アクリレート、触媒及び重合禁止剤を仕込み、含酸素ガスを反応液中にバブリングさせながら所定の温度で撹拌する。その後、エステル交換反応の進行に伴い副生した1価アルコールを所定の圧力にて反応器から抜出すことで目的の混合物(a)を生成させる等の方法で実施できる。
混合物(a)の製造方法で得られた反応生成物に対しては、分離・精製操作を実施することが目的の混合物(a)を純度よく得ることができるため好ましい。
分離・精製操作としては、晶析操作、ろ過操作、蒸留操作及び抽出操作等が挙げられ、これらを組合わせることが好ましい。晶析操作としては、冷却晶析及び濃縮晶析等が挙げられ、ろ過操作としては、加圧ろ過、吸引ろ過及び遠心ろ過等が挙げられ、蒸留操作としては、単式蒸留、分別蒸留、分子蒸留及び水蒸気蒸留等が挙げられ、抽出操作としては、固液抽出、液液抽出等が挙げられる。
該分離精製操作においては溶媒を使用してもよい。
又、本発明で使用した触媒及び重合禁止剤のいずれか又はその両方を中和するための中和剤や、吸着除去するための吸着剤、副生成物を分解又は除去するための酸又はアルカリ、色調を改善するための活性炭、ろ過効率及びろ過速度を向上するためのケイソウ土等を使用してもよい。
1−2.酸無水物
(A)成分は、混合物(a)と酸無水物の反応によって合成される。
酸無水物としては、無水コハク酸、無水1−ドデセニルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラブロモフタル酸、無水トリメリット酸等の同一分子内に1個の酸無水物基を有する化合物、又は無水ピロメリット酸、無水フタル酸ニ量体、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、及び無水トリメリット酸・エチレングリコールエステル(市販品としては、例えば、新日本理化(株)製、商品名リカシッドTMEG−100がある)等が挙げられる。
酸無水物としては、これら化合物の中でも、無水コハク酸及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物が反応性に優れる点で好ましい。
1−3.(A)成分の製造方法
(A)成分の製造方法としては、常法に従えば良い。
例えば、混合物(a)と酸無水物とを、触媒の存在下、60〜110℃で1〜20時間反応させる方法等が挙げられる。
この場合の触媒としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリドデシルアミン、メチルジブチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリキシリルアミン、トリビフェニルアミン、トリナフチルアミン及びトリベンジルアミン等の3級アミン;並びにベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド及びセチルトリメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等、並びに酸化亜鉛等を挙げることができる。
これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
(A)成分の組成物中の割合は、目的及び用途に応じて適宜選択すれば良いが、好ましくは組成物中に10〜90重量%である。
2.硬化型組成物
本発明は、前記(A)成分を含む硬化型組成物に関する。
組成物の製造方法としては、前記触媒X及びYの存在下に、多価アルコールと単官能(メタ)アクリレートを、エステル交換反応させ混合物(a)を製造する工程と、
前記(a)成分に酸無水物を付加反応させ前記(A)成分を製造する工程を含む
を含む製造方法が好ましい。
当該製造方法によれば、特定の酸価及び粘度を有する(A)成分を高収率で製造でき、しかも得られる(A)成分中の高分子量体が少ないために低粘度となり、得られる組成物を塗工性やレベリング性に優れるものとすることができ、(A)成分に含まれるアルカリ金属イオンが微量となり、硬化膜からのイオン溶出による電気特性の低下が懸念ない点で好ましい。
当該工程としては、前記した(A)成分の製造方法に従えば良い。
組成物の粘度としては、目的に応じて適宜設定すれば良い。
組成物をコーティング剤、インキ及びパターン形成剤等の好ましい用途に使用する場合には、組成物の粘度は目的に応じて適宜設定すれば良く、1〜10,000mPa・sが好ましく、より好ましくは1〜8,000mPa・sである。当該粘度範囲とすることで、組成物の塗工時のレベリング性に優れ、硬化物の外観に優れるものとすることができる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物及び熱硬化型組成物のいずれにも使用することができるが、活性エネルギー線硬化型組成物が好ましい。
本発明の組成物は、前記(A)を必須成分とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
その他成分として、好ましい例としては、光重合開始剤〔以下、「(B)成分」という〕、熱重合開始剤〔以下、「(C)成分」という〕、前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(D)成分」という〕、アルカリ可溶性樹脂〔以下、「(E)成分」という〕及び有機溶剤〔以下、「(F)成分」という〕等が挙げられる。
前記以外の例としては、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、無機フィラー、有機フィラー及び光安定剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等を配合することもできる。又、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤及び重合禁止剤等を少量添加してもよい。
以下、好ましいその他成分である(B)〜(F)成分について説明する。
尚、後記するその他の成分は、例示した化合物の1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
2−1.(B)成分
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用し、さらに電子線硬化型組成物として使用する場合は、(B)成分(光重合開始剤)を含有させず、電子線により硬化させることも可能である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において、特に、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いたときには、硬化の容易性やコストの観点から、(B)成分を更に含有することが好ましい。
活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、必ずしも配合する必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
(B)成分としては、例えば、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物及びケタール系等を挙げることができる。
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール及び2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
(B)成分としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、更に感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。
水素供与体としては、メルカプタン系水素供与体及びアミン系水素供与体等が好ましい。
メルカプタン系水素供与体は、ベンゼン環又は複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物からなる。メルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。これらのメルカプタン系水素供与体のうち、2−メルカプトベンゾチアゾール及び2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に、2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
アミン系水素供与体は、ベンゼン環又は複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物からなる。アミン系水素供与体の具体例としては、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸及び4−ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、形成されたスペーサー又は画素が現像時に基板から脱落し難く、スペーサー又は画素の強度及び感度も高い点で好ましい。又、メルカプト基とアミノ基とを同時に有する水素供与体も好適に使用できる。
ベンゾイン系化合物の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインi−プロピルエーテル、ベンゾインi−ブチルエーテル及び2−ベンゾイル安息香酸メチル等を挙げることができる。
アセトフェノン系化合物の具体例としては、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチル−2−ヒドロキシプロパン−1−オン、1−(4−モルフォリノフェニル)−2−ベンジル−2−ジメチルアミノブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1− オン等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケトン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルベンゾフェノン)及び4,4’−ビス(ジエチルベンゾフェノン)等を挙げることができる。
α−ジケトン系化合物の具体例としては、ジアセチル、ジベンゾイル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
多核キノン系化合物の具体例としては、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン及び1,4−ナフトキノン等を挙げることができる。
キサントン系化合物の具体例としてが、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
トリアジン系化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン及び2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
これらのうちでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、少量でも活性エネルギー線の照射による重合反応を開始し促進するので、発明において好ましく用いられる。
(B)成分の含有割合としては、組成物中の(B)以外の固形分100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましい。0.5重量部未満では光硬化性が不十分となることがあり、一方20重量部を超えると、アルカリ現像の際に露光部分が壊れやすくなることがある。さらに、(B)成分の割合としては2〜10重量%が、精度の高いパターンを得ることができる点でより好ましい。
2−2.(C)成分
本発明の組成物を熱硬化型組成物として使用する場合には、熱重合開始剤を配合することができる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、及びアゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
これら熱重合開始剤の使用量としては、(A)成分の合計量100重量部、後記する(D)成分を配合する場合は、(A)及び(D)成分の合計量合計量100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては(B)成分(光重合開始剤)と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
以下、(A)成分、又は(A)及び(D)成分を「硬化性成分」という。
2−3.(D)成分
本発明の組成物には、必要に応じて、(D)成分である(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物を配合することができる。
(D)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及び(メタ)アリル基等を挙げることができる。
(D)成分の好ましい具体例としては、ビニルを1個有する化合物、単官能(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を挙げることができる。
ビニルを1個有する化合物の例としては、N−ビニルカプロラクトン等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物が挙げられ、好ましい例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)−プロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレート、各種ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(D)成分の好ましい配合割合は、組成物中に0〜50重量%の範囲である。
2−4.(E)成分
本発明における(E)成分であるアルカリ可溶性樹脂としては、(A)成分に対してバインダーとして作用し、現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
(E)成分としては、付加重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂及びポリエーテル等が挙げられ、エチレン性不飽和単量体を重合体して得られる付加重合体が好ましい。
(E)成分としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下「カルボキシル基含有不飽和単量体」という)とこれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下「共重合性不飽和単量体」という)との共重合体(以下「カルボキシル基含有共重合体」という)が好ましい。
カルボキシル基含有不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸及びけい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸及びメサコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸又はその無水物類;コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)及びフタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;並びにω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有不飽和単量体のうち、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)及びフタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)は、それぞれアロニックスM−5300及びM−5400〔東亞合成(株)〕の商品名で市販されている。
カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
又、共重合性不飽和単量体としては、カルボキシル基含有不飽和単量体と共重合するものであれば良く、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル類、不飽和イミド類及び末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類等が好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、2−ビニルベンジルメチルエーテル、3−ビニルベンジルメチルエーテル、4−ビニルベンジルメチルエーテル、2−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−ビニルベンジルグリシジルエーテル及び4−ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[ 5.2.1.02、6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及びグリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和イミド類としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類としては、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート及びポリシロキサン等の重合体分子鎖を有するもの等を挙げることができる。
共重合性不飽和単量体としては、前記以外にも、2−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(2,3−ジメチルマレイミド)エチル(メタ)アクリレート等のイミド(メタ)アクリレート類;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート及び3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;インデン及び1−メチルインデン等のインデン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及び安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル及びアリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル及びシアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド及びN−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;並びに1,3−ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン等の脂肪族共役ジエン類等が挙げられる。
これらの共重合性不飽和単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
カルボキシル基含有共重合体としては、(メタ)アクリル酸を必須成分とし、場合により、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含有するカルボキシル基含有不飽和単量体成分と、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体(以下「カルボキシル基含有共重合体(α)」という。)が好ましい。
カルボキシル基含有共重合体(α)の具体例としては、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカクロラクトンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体等を挙げることができる。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。この場合、前記共重合割合が5重量%以上とすることで、得られる組成物のアルカリ現像液に対する溶解性に優れるものとすることができ、一方50重量%以下とすることで、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となることを防止し、アルカリ現像液により現像する際に、スペーサー層や画素の基板からの脱落やスペーサー表面の膜荒れを防止することができる。
カルボキシル基含有共重合体の製造方法としては、通常の懸濁重合、乳化重合及び塊状重合及び溶液重合等の公知の方法を用いることができる。但し、得られるビニル重合体は、実質的に無溶剤であることが好ましいため、溶液重合の場合は、重合後、溶剤を揮発させる工程が、重合体の水分散体が得られる場合には、水を分離又は乾燥させる工程があることが好ましい。
これら重合方法としては、溶液重合法が好ましく、得られる(E)成分の分子量分布が小さくなることから、単量体混合物、重合溶媒及び熱重合開始剤からなる混合液の一部を加熱攪拌して反応を開始させた後、前記混合物の残部を反応液に順次滴下させる製造方法が好ましい。
さらに、得られる重合体が低粘度となる点で、溶液重合により、カルボキシル基を有する連鎖移動剤共存下でビニル単量体を重合する方法が好ましい。
(E)成分の製造方法としては単量体を高温連続重合する製造方法が特に好ましい。
この高温連続重合法によれば、低分子量で粘度の低い(E)成分を製造することができる。さらに当該重合方法は、熱重合開始剤を用いる必要がないか、又は熱重合開始剤を用いる場合でも少量の使用で目的の分子量の共重合体が得られるため、共重合体は熱や光によりラジカル種を発生するような不純物をほとんど含有しない純度の高いものとなり安定した物性が得られる。又、従来の溶液重合により得られるものより分子量分布の低い共重合体を得ることができる。
さらに、高温連続重合で得られた(E)成分は、溶液重合で得られた共重合体と比較して以下の点に優れる。即ち、高温連続重合で得られた(E)成分は、末端二重結合を有するため、組成物を活性エネルギー線照射して硬化する際に(A)成分と反応し、未反応の(E)成分がブリードアウトすることを抑制することができる。又、高温連続重合では、連鎖移動剤を使用することなく低分子量の共重合体が得られるため、硬化膜が耐候性に優
れるものとなる。
高温連続重合のより具体的な方法としては、特開2014−081487号公報に記載された方法に従えばよい。
本発明における(E)成分としては、エチレン性不飽和基を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂が、得られる硬化膜の架橋密度が向上し、塗膜強度、耐熱性及び耐薬品性が向上するという点で優れたものとなるため好ましい。
エチレン性不飽和基を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましい。当該樹脂としては、前記したカルボキシル基含有共重合体に、エポキシ基を有する不飽和化合物(以下「エポキシ系不飽和化合物」という)を付加したもの等が挙げられる。
エポキシ系不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート及びシクロヘキセンオキサイド含有(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
付加反応の方法としては、常法に従えば良く、有機溶媒中又は無溶剤で、カルボキシル基含有共重合体にエポキシ系不飽和化合物を付加することにより製造することができる。付加反応の条件としては、各反応に応じて反応温度、反応時間及び触媒を適宜選択すれば良い。
(E)成分の重量平均分子量(以下「Mw」という。)は、通常、3,000〜300,000、好ましくは5,000〜100,000である。又、数平均分子量(以下「Mn」という。)は、通常、3,000〜60,000、好ましくは5,000〜25,000である。
尚、本発明においてMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定した分子量をポリスチレン換算した値を意味する。
本発明においては、このような特定のMw及びMnを有する(E)成分を使用することによって、現像性に優れた感光性樹脂組成物が得られ、それにより、シャープなパターンエッジを有するパターンを形成することができるとともに、現像時に未露光部の基板上及び遮光層上に残渣、地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。又、(E)成分のMwとMnの比(Mw/Mn)は、通常、1〜5、好ましくは1〜4である。
(E)成分は、単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
(E)成分の含有割合としては、硬化性成分及び(E)成分の合計量を基準として、(E)成分10〜90重量%が好ましく、より好ましくは30〜80重量%である。(E)成分の割合をこの範囲とすることで、架橋密度の低下を防止し、塗膜強度、耐熱性及び耐薬品性に優れるものとすることができる。
硬化性成分及び(E)成分の合計量の組成物中の割合としては、組成物中に10〜50重量%が好ましい。この割合が10重量%以上とすることでプリベーク後の膜厚が薄くなり過ぎることを防止し、一方50重量%以下とすることで、組成物の粘度上昇を防止し、塗工性に優れるものとなり、又、プリベーク後の膜厚が厚くなり過ぎることを防止する。
2−5.(F)成分
本発明の組成物は、無溶剤であっても低粘度であるが、塗工性のさらなる改良等の目的のために、(F)成分である有機溶剤を配合することができる。
(F)成分は、組成物の各成分と反応しないものであればよい。塗工性に優れ、且つ、得られる塗膜の乾燥速度が適度なことから、80〜200℃の沸点を有する有機溶剤が好ましく、中でも、100〜170℃の沸点を有する有機溶剤がより好ましい。
具体的には、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;酢酸ブチル、酢酸ベンジル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びエトキシエチルプロピオネート等の脂肪酸エステル;エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等のセロソルブ;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールエーテル;エタノール、エチレングリコール及びジエチレングリコール等のアルコール;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン;N,N−ジメチルホルムアミド等のホルムアミド;γ−ブチロラクタム及びN−メチル−2−ピロリドン等のラクタム;並びにγ−ブチロラクトン等のラクトン等が挙げられる。
(F)成分の配合割合としては、組成物の固形分濃度が10〜50重量%となる割合が好ましい。
3.用途
本発明の硬化型組成物は、種々の用途に使用することができ、例えば、光性平版印刷版やカラーレジスト等のパターン形成用組成物、ハードコート等のコーティング剤、印刷インキ及び接着剤等の種々の用途に使用可能であり、特に、パターン形成用組成物に好ましく使用できる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物として好ましく使用することができ、さらに、アルカリ現像性に優れるため、上記した用途のうちでも、アルカリ現像性に優れることが要求されるパターン形成用組成物として好ましく使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、露光感度が高く現像性に非常に優れ、精密で正確なパターンを形成できるため、パターン形成用組成物として好ましく使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物をパターン形成用組成物として用いる場合は、該パターン形成用組成物は、光重合開始剤及び有機溶媒を含有していることが好ましい。光重合開始剤及び有機溶媒としては上記したものを用いればよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物よりなるパターン形成用組成物は、エッチングレジストやソルダーレジスト等のレジスト、液晶パネル製造における、柱状スペーサー、カラーフィルターにおける画素やブラックマトリックス等を形成のための着色組成物、カラーフィルター保護膜等として有効に用いることができる。
前記した用途のうちでも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物よりなるパターン形成用組成物は、液晶パネル製造における、柱状スペーサー、カラーフィルター用着色組成物、及びカラーフィルター保護膜の用途により好ましく使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を柱状スペーサー、カラーフィルター用着色組成物及びカラーフィルター保護膜の形成に使用する場合には、塗工性、現像性を改良するために、組成物にポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤を添加することもできる。又、必要に応じて接着助剤、保存安定剤、消泡剤等を適宜含有していてもよい。
以下に、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を柱状スペーサー(以下単に「スペーサー」ということがある)用及び着色組成物として用いる場合について説明する。
3−1.柱状スペーサー
スペーサーは、フォトリソグラフィー法により活性エネルギー線硬化型組成物を活性エネルギー線で硬化した硬化塗膜で形成される。スペーサーは、液晶パネル基板の任意の場所に任意の大きさで形成できるが、一般的にはカラーフィルターの遮光部であるブラックマトリックス領域や、TFT電極上に形成することが多い。
スペーサーを形成する方法としては、常法に従えば良く、例えば本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を、ガラス等の基板上に、セルギャップを構成するのに必要な膜厚に塗布した後、加熱(以下「プリベーク」という)して塗膜を乾燥させ、露光、現像、後加熱(以下「ポストベーク」という)工程を経て形成する方法等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型組成物を基板上に塗布する際は、現像、ポストベーク等による膜減りや変形を考慮して、セルギャップの設計値に対して若干厚めに塗布する。具体的には、プリベーク後の膜厚が好ましくは4〜7μm、特に3〜5μmとなるように塗布する。塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ダイコート法(スリットコート法)等が挙げられ、一般的にはスピンコート法やダイコート法が使用される。
基板上に活性エネルギー線硬化型組成物を塗布した後、プリベークを行う。この場合の温度・時間としては50〜150℃、特に80〜120℃で3〜15分程度が好ましい。
プリベーク後の塗膜面に、スペーサーを形成するための所定のパターン形状を有するマスクを介して活性エネルギー線を照射する。使用する活性エネルギー線は、紫外線及び/又は可視光線が好ましく、特に高圧水銀灯やメタルハライドランプ等から得られる波長240nm〜410nmの光がより好ましく使用される。
活性エネルギー線(特に光)の照射条件は、活性エネルギー線源(光源)の種類や、使用する光重合開始剤の吸収波長、塗膜の膜厚等によるが、一般的には光照射量が50〜600mJ/cm2となるようにするのが好ましい。光照射量が少なすぎると、硬化不良
で現像時に露光部分が脱落しやすくなり、一方、光照射量が多すぎると精細なスペーサーパターンが得られにくくなる。
前記した光照射後に、塗膜面に現像液を施して未露光部分(未硬化部分)を除去する。現像液としては一般にアルカリ性化合物の水溶液を使用する。アルカリ性化合物としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、そのうちでも水酸化カリウム、炭酸ナトリウムが好ましく用いられる。
現像液中には、現像速度促進のために、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール等の水溶性有機溶剤や、各種界面活性剤を適当量添加してもよい。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。現像後に、パターン部分を0.5〜1.5分間水で洗浄し、圧縮空気等で風乾させてスペーサーパターンを得る。
得られたスペーサーパターンをホットプレート、オーブン等の加熱装置で150〜350℃の温度範囲でポストベークして、液晶パネルスペーサーを形成させる。
ポストベークすることにより、残留溶剤や現像時に吸収した水分が揮発でき、かつスペーサーの耐熱性を向上させることができる。スペーサーの膜厚は、液晶パネルのセルギャップ設定値によって異なるが、概ねポストベーク後に3〜5μmとなるように設計するのがよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて上記のようにして形成されたスペーサーを有する液晶パネル用基板は、室温セル圧着法により貼合わせを行う場合に正確且つ均一なセルギャップを形成でき、特にODF法(液晶滴下法)において室温セル圧着を行う場合にも、好適に利用できる。
3−2.着色組成物
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を着色組成物として使用する場合には、さらに顔料及び顔料分散剤を配合する。
顔料の種類は特に限定されず、種々の有機顔料及び無機顔料の1種又は2種以上を用いることができる。
有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254等のレッド系ピグメント;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等のグリーン系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット23:19等。
又、従来分散困難であった臭素化率の高いフタロシアニン、例えば、モナストラルグリーン6YC、9YC(アビシア株式会社製)の高輝度G顔料、中心金属が銅以外の金属、例えば、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ge、Sn等の異種金属フタロシアン顔
料からなる高色純度G顔料を用いることができる。
又、無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら[赤色酸化鉄(III)]、カドミウム赤、群青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー等を挙げることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上記した顔料の1種又は2種以上を含有することができる。
又、顔料と共に顔料分散剤を用いることにより、顔料を活性エネルギー線硬化型組成物中に良好に分散させることができる。特に、顔料分散剤を用いることにより、液晶表示装置用カラーフィルターに汎用されている各種の顔料、具体的にはC.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメングリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138 C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントイエロー139、臭素化率の高い上記フタロシアニン顔料及び上記異種金属フタロシアニン顔料からなる群から選ばれる顔料の1種又は2種以上を活性エネルギー線硬化型組成物中に良好に分散させることができる。
顔料分散剤の種類は特に限定されず、上記したような顔料を活性エネルギー線硬化型組成物中に分散させ得るものであればいずれも使用できる。
使用可能な顔料分散剤の具体例としては、ノナノアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド、N,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等のアミ
ン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’,N’−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1,2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を挙げることができる。その他に、ニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物も使用できる。
上記した化合物以外に、顔料分散剤として、さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類、ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類、水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物、ポリウレタン類、飽和ポリアミド類、ポリシロキサン類、長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等の1種又は以上を使用することができる。
更に、顔料分散剤として、ハッコ−ルケミカル社製「シゲノックス−1055」、ビックケミー・ジャパン(株)製の「Disperbyk−101」、「同−130」、「同−140」、「同−170]、「同−171」、「同−182」、「同−2001」、EFKA CHEMICALS社製の「EFKA−49」、「同−4010」、「同−9009」、ゼネカ(株)製の「ソルスパース12000」、「同13240」、「同13940」、「同17000」、「同20000」、「同24000GR」、「同24000SC」、「同27000」、「同28000」、「同33500」、味の素(株)製の「PB821」、「PB822」等も使用できる。
顔料分散剤は、顔料100重量部に対して一般に10〜90重量部、特に20〜80重量部の割合で使用することが好ましい。
着色組成物には、さらに必要に応じて、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)及びその他の成分を配合しても良い。
着色組成物は、(A)成分、(E)成分、顔料、顔料分散剤及び必要に応じてその他の成分を、有機溶剤に直接混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって製造してもよいが、顔料の分散が不十分となることがあるため、予め顔料分散液を調製し、それを(A)成分及び(E)成分等と混合する方法が好ましく、この方法によれば、顔料が組成物中に良好に分散した、着色組成物用の活性エネルギー線硬化型組成物を容易に得ることができる。
好ましい製造方法としては、顔料及び顔料分散剤を有機溶剤と混合して顔料分散液を予め調製し、それとは別に(A)成分及び必要に応じて他の成分と有機溶剤と混合して(A)成分含有液を調製し、その際に、前記顔料分散液及び(A)成分含有液のいずれか一方又は両方に(E)成分を含有させておき、そのようにして調製した顔料分散液と(A)成分含有液を混合し、必要に応じて更に分散処理を行うことによって、顔料分散性に優れた着色組成物を得ることができる。この方法によれば、顔料分散液を調製するための有機溶剤と(A)成分含有液を調製するための有機溶剤を別々に選択できるので、溶剤選択の幅も広がる。
顔料分散液を予め調製しないで着色組成物を製造する場合には、有機溶剤に先ず、顔料、顔料分散剤及び必要に応じて(E)成分を投入して充分に混合、攪拌して顔料を分散させた後、(A)成分等残りの成分を混合することにより、顔料の分散工程でその他の配合成分によって顔料の分散性が阻害されずに済むだけでなく、安定性にも優れたものとなる。
上記のようにして得られた着色組成物を支持体に塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後、当該塗膜に光線等の活性エネルギー線を所定のパターン状に照射することにより塗膜の一部を選択的に硬化させる。次いで、アルカリ現像液で現像した後、ポストベークを行い、更に熱硬化することにより、所定パターンの着色塗膜が得られる。
着色組成物の硬化に用いる活性エネルギー線は、紫外線及び/又は可視光線が好ましく、高圧水銀灯やメタルハライドランプから発射される波長240nm〜410nmの光がより好ましく採用される。硬化に必要な照射エネルギーは、一般に10〜500mJ/cm2程度である。露光工程においては、塗膜の表面にレーザー光を照射するか、又は
、マスクを介して光線を照射することによって、塗膜の所定位置を選択的に露光、硬化させることができる。
得られた着色パターンをホットプレート、オーブン等の加熱装置で150〜350℃の温度範囲でポストベークして、着色層を形成させる。
ポストベークすることにより、残留溶剤や現像時に吸収した水分が揮発でき、かつ画素の耐熱性を向上させることができる。着色層の膜厚は、液晶パネルの設定値によって異なるが、概ねポストベーク後に1〜2μmとなるように設計するのが良い。
塗膜中の硬化した部分は、多官能(メタ)アクリレートである(A)成分が光硬化反応と熱硬化反応により形成された架橋結合のネットワークによって形成されたマトリックス中に、顔料が均一に分散された構造を有している。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物よりなる着色組成物は、硬化性に優れ、架橋密度が上がって内部まで均一によく固まるため、現像時に逆テーパーになり難く、順テーパー状でエッジがシャープで且つ表面平滑性が良好なパターンが形成される。
又、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物よりなる着色組成物は、硬化時に内部までよく固まった架橋密度の高いマトリックス内に不純物が閉じ込められて液晶層に溶出し難いため、電気信頼性が高い着色硬化膜が得られる。特に、この着色組成物を用いて液晶パネルの着色層を作製する場合には、表示部の電圧を安定して保持することが可能であり、電気信頼性が高い。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物よりなる着色組成物は、高濃度の顔料を微細且つ均一に分散させることができ、着色性が高いため、薄くても着色濃度の大きい着色パターンを形成することができ、色再現域が広い。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物よりなる着色組成物は、種々の着色塗膜を形成するのに利用でき、特にカラーフィルターの細部を構成する着色層、すなわち画素やブラックマトリックスを形成するのに適している。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において「部」とは重量部を意味する。
1.製造例
1)製造例1〔エステル交換法による混合物(a)の製造〕
撹拌機、温度計、ガス導入管、精留塔及び冷却管を取付けた1リットルのフラスコに、ジペンタエリスリトールを86.33部(0.34モル)、2−メトキシエチルアクリレートを690.05部(5.30モル)、触媒XとしてDABCOを4.08部(0.04モル)、触媒Yとして酢酸亜鉛を6.52部(0.04モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテルを1.63部(0.013モル)、フェノチアジンを0.05部(0.0003モル)仕込み、含酸素ガス(酸素を5容量%、窒素を95容量%)を液中にバブリングさせた。
反応液温度120〜145℃の範囲で加熱撹拌させながら、反応系内の圧力を250〜760mmHgの範囲で調整し、エステル交換反応の進行に伴い副生した2−メトキシエタノールと2−メトキシエチルアクリレートの混合液を精留塔及び冷却管を介して反応系から抜出した。又、該抜出液と同重量部の2−メトキシエチルアクリレートを反応系に随時追加した。加熱撹拌開始から24時間後に反応系内の圧力を常圧に戻して抜出を終了した。
反応液を室温まで冷却して析出物をろ過分離した後、ろ液に珪酸アルミニウム〔協和化学工業(株)製キョーワード700(商品名)〕を12.0部投入し、乾燥空気をバブリングさせながら、温度70〜95℃、圧力0.001〜100mmHgの範囲で8時間の減圧蒸留を行い、未反応の2−メトキシエチルアクリレートを含む留出液を分離した。釜液に珪藻土〔昭和化学工業(株)製ラヂオライト(商品名)〕を2.0部添加して加圧ろ過を行い、得られたろ液を精製処理物とした。
UV検出器を備えた高速液体クロマトグラフを用いて該精製処理物の組成分析を行った結果、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主要成分として含むことを確認した(以下、「(a1)」という)。精製処理物の収率は80%であった。
得られた精製処理物の酸価、水酸基価、高分子量体GPC面積%、粘度及びナトリウムイオン濃度を下記方法に従い測定した。
それらの結果は、酸価が0.02mgKOH/g、水酸基価が46mgKOH/g、高分子量体GPC面積%が13.5面積%、粘度が2,740mPa・s及びナトリウムイオン濃度24ppbであった。
(1)水酸基価の測定方法
試料にアセチル化試薬を加えて92℃の温浴槽中で1時間加熱処理する。放冷後、少量の水を添加して92℃の温浴槽中で10分間加熱処理する。放冷後、フェノールフタレイン溶液を指示薬として水酸化カリウムエタノール溶液で酸を滴定して水酸基価を求めた。
(2)酸価の測定方法
フェノールフタレイン溶液を指示薬として、試料を水酸化カリウムエタノール溶液で中和滴定して酸価を求めた。
(3)高分子量体GPC面積%
得られた精製処理物について、下記条件のGPC測定により、高分子量体の面積%を算出した。
◆GPC測定条件
・装置:Waters(株)製 GPC システム名 1515 2414 717P RI
・検出器:RI検出器
・カラム:ガードカラム 昭和電工(株)製 Shodex KFG(8μm 4.6×10mm)、本カラム2種類 Waters(株)製 styragel HR 4E THF(7.8×300mm)+styragel HR 1THF(7.8×300mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液組成:THF(内部標準として硫黄を0.03%含むもの)、流量0.75mL/分
・高分子量体の面積(%)の算出方法
GPC測定結果より、下記式(1)に基づき算出した。
高分子量体の面積%=〔(R−I−L)/R〕×100 ・・・(1)
式(1)における記号及び用語は、前記した通りである。
(4)粘度
得られた精製処理物の粘度をE型粘度計(25℃)で測定した。
(5)ナトリウムイオン濃度
得られた精製処理物について、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置〔アメテック(株)製SPECTRO CIROS−120〕及びICP質量分析装置〔アジレント・テクノロジー(株)製Agilent7500cs〕を使用して測定した。
2)製造例2〔(A)成分の製造〕
攪拌装置、温度計、水冷コンデンサーを備えた500ミリリットルガラス製フラスコに、製造例1で得られたアクリレート混合物(a1)(水酸基価46mgKOH/g)200gを入れ、無水コハク酸8.2g、メトキノン0.10gを入れ、85℃に昇温した。その中に触媒のトリエチルアミン1.0gを投入後、3時間反応を行なった。反応は空気/窒素の混合雰囲気下で行った。
その結果、酸価21.0mgKOH/g、粘度5,260mPa・s及びナトリウムイオン濃度26ppbの化合物(以下「(A−1)」という)を得た。
3)製造例3〔(A)成分の製造〕
原料の無水コハク酸の仕込み量を16.4gとしたこと以外はすべて製造例1に従い、合成を行い、酸価40.5mgKOH/g、粘度7,950mPa・s及びナトリウムイオン濃度27ppbの化合物(以下「(A−2)」という)を得た。
4)製造例4〔(A)成分以外の酸無水物付加物の製造〕
原料の(a1)に代え、下記DPHAに変更し、無水コハク酸9.7gに変更したこと以外はすべて製造例2に従い、合成を行い、酸価26.1mgKOH/g、粘度11,470mPa・s及びナトリウムイオン濃度4,100ppbの化合物(以下「(A−1)’」という)を得た。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物(比率:約30/70)(酸価0.02mgKOH/g、水酸基価27.0mgKOH/g、ナトリウムイオン濃度4,300ppb)
Figure 0006911620
2.実施例1及び2、比較例1〜同3
後記表2に示す割合となる様に(A)、(B)、(D)及び(E)成分を、常法に従い混合し、紫外線硬化型組成物を調整した。
得られた組成物を使用して、前記と同様の方法に従い粘度及びナトリウムイオン濃度を測定した。又、下記方法に従い、アルカリ現像性を評価した。それらの結果を表2に示す。
<現像性>
10cm画のクロムマスクガラス基板上に、表1に記載の組成物をスピンコーターにより塗布し乾燥膜厚10μmの塗布膜を形成した。
得られた塗膜を1.0重量%炭酸ナトリウム水溶液(23℃)に浸漬して、完全に溶解するまでの時間を測定し、下記基準で評価した。
・○:90秒未満で溶解する。
・△:90秒以上、180秒未満で溶解する。
・×:180秒以上で溶解する。
Figure 0006911620
表1における組成物の欄の数字は、部数を意味し、固形分の割合として示した。
尚、表1における略号は、以下を意味する。
(A)成分
・(A−1):製造例2で得られた混合物(a1)のコハク酸無水物付加物
・(A−2):製造例3で得られた混合物(a1)のコハク酸無水物付加物
(B)成分
・SB−PI:1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、双邦實業股分有限公司製、商品名SB−PI777
(D)成分
・(a1):製造例1で得られたアクリレート混合物
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物(比率:約30/70)
・(A−1)’:製造例4で得られたアクリレートのコハク酸無水物付加物
(E)成分
・ARUFON:無溶剤型カルボキシル基含有アクリルポリマー(Mw2,000、酸価70mgKOH/g、粘度5,030mPa・s(25℃))、東亞合成(株)製ARUFON UC−3510
実施例1及び同2の組成物は、無溶剤でも低粘度であり、アルカリ現像性に優れ、さらにナトリウムイオンも低濃度であった。
これに対して、酸価が本発明の下限に満たない比較例1及び同2の組成物は、粘度は低いもののアルカリ現像性が悪いものであり、さらに比較例2の組成物は、ナトリウムイオンが高濃度となってしまった。
粘度が本発明の上限を超える比較例3の組成物は、アルカリ現像性は優れているものの、粘度が高く、さらにナトリウムイオンが高濃度となってしまった。
本発明の硬化型組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物として使用することが好ましく、感光性平版印刷版やカラーレジスト等のパターン形成剤、ハードコート等のコーティング剤、印刷インキ及び接着剤等の種々の用途に使用可能であり、特に、パターン形成剤に好ましく使用できる。

Claims (16)

  1. ヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物(a)に酸無水物を付加した化合物を含む混合物(A)を含有し
    前記した混合物(a)が、下記触媒X及びYの存在下に、3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールと1個の(メタ)アクロイル基を有する化合物をエステル交換反応させて得られたヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物であり、
    当該(A)成分の酸価が20〜70mgKOH/gかつ25℃粘度が50〜9,500mPa・sである硬化型組成物。
    触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくはその錯体、並びにピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体からなる群から選ばれる一種以上の化合物。
    触媒Y:亜鉛を含む化合物。
  2. 前記した混合物(a)が、ヒドロキシル基と3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物である請求項1記載の硬化型組成物。
  3. 前記した混合物(a)が、水酸基価10〜100mgKOH/gを有する請求項1又は請求項2に記載の硬化型組成物。
  4. 前記した混合物(a)が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られた値であって、下記式(1)で定義される高分子量体の面積%として25%未満である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
    高分子量体の面積%=〔(R−I−L)/R〕×100 ・・・(1)
    式(1)における記号及び用語は、以下を意味する。
    ・R:(A)成分中の検出ピークの総面積
    ・I:理想構造(メタ)アクリレートを含む検出ピークの面積
    ・L:理想構造(メタ)アクリレートを含む検出ピークよりも重量平均分子量が小さい検出ピークの総面積
    ・理想構造(メタ)アクリレート:原料アルコール1分子あたりに含まれる水酸基の数と、同数の(メタ)アクリロイル基を1分子あたりに含み、かつマイケル付加型の構造を有しない2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
  5. 前記した混合物(a)が、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートを含む混合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  6. 1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がアルコキシアルキル(メタ)アクリレートである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  7. 前記触媒Xが、アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体であり、前記触媒Yが、有機酸亜鉛又は/及び亜鉛ジケトンエノラートである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  8. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型組成物。
  9. 光重合開始剤(B)をさらに含む請求項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  10. アルカリ可溶性樹脂(E)をさらに含む請求項又は請求項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  11. 請求項又は請求項10に記載の組成物を含むパターン形成用活性エネルギー線硬化型組成物。
  12. 下記触媒X及びYの存在下に、3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールと1個の(メタ)アクロイル基を有する化合物をエステル交換反応させてヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む混合物前記混合物(a)を製造する工程と、
    前記混合物(a)に酸無水物を付加反応させ、酸価が20〜70mgKOH/gかつ25℃粘度が50〜9,500mPa・sである混合物(A)を製造する工程を含む
    硬化型組成物の製造方法。
    触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくはその錯体、並びにピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体からなる群から選ばれる一種以上の化合物。
    触媒Y:亜鉛を含む化合物。
  13. 1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がアルコキシアルキル(メタ)アクリレートである請求項12に記載の硬化型組成物の製造方法。
  14. 前記触媒Xが、アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体であり、前記触媒Yが、有機酸亜鉛又は/及び亜鉛ジケトンエノラートである請求項12又は請求項13に記載の硬化型組成物の製造方法。
  15. (A)成分を製造した後、光重合開始剤(B)を混合する工程を含む請求項12〜請求項14のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
  16. アルカリ可溶性樹脂(E)をさらに混合する工程を含む請求項12〜請求項15のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
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