JP6031938B2 - 活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物 - Google Patents
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Description
一般的に、フォトレジストの形態としては、主として、ドライフィルムレジスト及び液状レジストがある。
ドライフィルムレジストの一般的な製造方法としては、PETフィルム等の支持フィルム上に、溶剤を含む感光性樹脂溶液を塗布し、加熱乾燥させた後、保護フィルムをラミネートして製造する。ドライフィルムレジストを使用する場合には、保護フィルムを剥離し、基材に熱圧着させ、露光した後に、支持フィルムを剥離し、現像してパターンを得る。一連の作業において、工程数が多く煩雑である、又、保護フィルム、支持フィルム等の廃棄物が多く発生する等の問題があった。又、基材に凹凸がある場合、レジストが基材に十分密着せず、設計通りのパターンが形成できず、適応できない場合があった。
一方、液状レジストは、支持フィルム等の廃棄物は発生せず、基材に凹凸がある場合でも、比較的容易に使用することができるが、一般的には、レジストに溶剤を含んでいるため、乾燥工程が必要であり、乾燥のエネルギーが必要である、作業環境、自然環境への影響がある等の問題点があった。
これに対して、特許文献1及び2には、無溶剤の液状レジストが提案されているが、現像を溶剤で行っているため、環境への負荷の問題が依然としてあった。
特許文献3にはアルカリ現像型の組成物が提案されているが、液状レジストの酸価が低いため現像性が十分ではなく、無溶剤液状レジストと塗布後、ドライフィルムレジストをさらにラミネートしてパターン形成を行っており、作業工程は煩雑であった。
又、カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤及び熱重合触媒を含む感光性組成物が知られている(特許文献4)が、当該組成物はアルカリ可溶性が不十分なうえ、溶剤系の組成物であり前記した問題があった。
当該用途で使用されるパターン形成用組成物としては、バインダー樹脂と酸性基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む感光性組成物が知られている(特許文献5)。
当該組成物はアルカリ可溶性に優れるものであるが、溶剤系の組成物であり前記した問題があった。
本発明は、下記(A)成分及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物に関する。
(A)成分:カルボキシル基を有するビニル単量体(a1)〔以下、「単量体(a1)」という〕と単量体(a1)と共重合可能な単量体(a2)〔以下、「単量体(a2)」という〕を構成単量体単位とし、
前記単量体(a1)が(メタ)アクリル酸を含み、前記単量体(a2)が、アルキル(メタ)アクリレートを含み、
カルボキシル基を有し、酸価が20mgKOH/g以上で、かつ、25℃における粘度が30,000mPa・s以下である液状ビニル重合体
(B)成分:1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物(B−2)を含むエチレン性不飽和基を有する化合物
本発明の組成物は、前記した効果を奏することに加え、さらに、得られた硬化物が、耐熱性、耐候性及び耐薬品性が優れたものとなる。
又、(A)成分は、重量平均分子量が500以上5,000以下の共重合体が好ましい。
さらに、組成物としては、有機溶剤を含まない組成物が好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
又、有機溶剤を含まなくとも低粘度であるため無溶剤型組成物として使用することができ、溶剤乾燥等の工程も必要としないものであり、製造及び使用における工程数が比較的少なくて済む。しかも、本発明の組成物は、無溶剤型の組成物であるにもかかわらず、塗工性に優れる。
さらに、本発明の組成物は、活性エネルギー線照射による硬化性に優れ、アルカリ水溶液による溶解性に優れていて、現像時に未硬化(未露光)残渣が生じず、高い解像度で像を形成できる。
以下、(A)成分及び(B)成分について説明する。
(A)成分は、カルボキシル基を有し、酸価が20mgKOH/g以上で、かつ、25℃における粘度が30,000mPa・s以下である液状ビニル重合体である。
尚、本発明において粘度とは、25℃において、E型粘度計で測定した値をいう。
(A)成分としては、単量体(a1)〔カルボキシル基を有するビニル単量体〕と単量体(a2)〔単量体(a1)と共重合可能なビニル単量体〕を重合して得られた共重合体、又は、カルボキシル基を有する連鎖移動剤共存下でビニル単量体を重合して得られた共重合体等が挙げられる。
単量体(a1)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、ポリカプロラクトン変性(メタ)アクリル酸、フタル酸変性ヒドロキシエチルアクリレート、コハク酸変性ヒドロキシエチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸及びβ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、(メタ)アクリル酸が好ましく、さらに、得られる共重合体が比較的低粘度で、組成物の現像性が良くなるという観点から、アクリル酸が特に好ましい。
単量体(a2)としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル及びトリシクロデカニルビニルエーテル等のビニルエーテル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル及びピバリン酸ビニル等のビニルエステル;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;並びに
;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン及びN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
これらの化合物の中でも、組成物が現像性に優れるものになる点から、(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリレートとしては、さらに、アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、低粘度のポリマーが得られやすいという観点から、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び2−メトキシエチル(メタ)アクリレートが、特に好ましい。
溶液重合法としては、例えば、重合溶媒及び熱重合開始剤存在下に、単量体(a1)と単量体(a2)とを加熱攪拌する方法等が挙げられる。
熱重合開始剤の使用割合は、単量体(a1)と単量体(a2)の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましい。
例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、セルソルブアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテート及びエチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル、並びにアセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられる。
重合溶媒の使用量は、得られる共重合体の固形分濃度として10〜90重量%となる割合であることが好ましい。
この場合のビニル単量体としては、前記単量体(a2)と同様の化合物が挙げられる。
カルボキシル基を有する連鎖移動剤の例としては、メルカプト酢酸及びメルカプトプロピオン酸等のカルボキシル基を有するチオール化合物が挙げられる。
重合方法としては、単量体(a2)とカルボキシル基を有する連鎖移動剤を仕込む以外は、前記と同様の方法に従えば良い。
この高温連続重合法によれば、低分子量で粘度の低い(A)成分を製造することができる。さらに当該重合方法は、熱重合開始剤を用いる必要がないか、又は熱重合開始剤を用いる場合でも少量の使用で目的の分子量の共重合体が得られるため、共重合体は熱や光によりラジカル種を発生するような不純物をほとんど含有しない純度の高いものとなり安定した物性が得られる。又、従来の溶液重合により得られるものより分子量分布の低い共重合体を得ることができる。
さらに、高温連続重合で得られた(A)成分は、溶液重合で得られた共重合体と比較して以下の点に優れる。即ち、高温連続重合で得られた(A)成分は、末端二重結合を有するため、組成物を活性エネルギー線照射して硬化する際に(B)成分と反応し、未反応の(B)成分がブリードアウトすることを抑制することができる。又、高温連続重合では、連鎖移動剤を使用することなく低分子量の共重合体が得られるため、硬化膜が耐候性に優れるものとなる。
例えば、加圧可能な反応器を所定温度に設定した後、各単量体及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出し、重合液から、未反応の単量体及び重合溶媒を蒸留により除去し、無溶剤の重合体を得る方法が挙げられる。
重合溶媒の量としては、単量体混合物100重量部に対して、0〜30重量部添加することが好ましい。重合溶媒の割合が30重量部を超えると、重合溶媒の除去のためにかかる負担が大きくなるため好ましくない。
熱重合開始剤としては、前記溶液重合で挙げたものと同様の化合物を使用することができる。
熱重合開始剤を配合する場合の配合割合としては、単量体混合物100重量部に対して0.001〜2重量部であることが好ましい。
又、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下である。当該分子量分布を有する共重合体は、低粘度となり現像性に優れるため好ましい。
尚、Mnは、数平均分子量であり、GPCにより測定した結果を、ポリスチレン換算した値を意味する。
(B)成分は、エチレン性不飽和基を有する化合物である。
(B)成分としては、エチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することできる。
(B)成分としては、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(B)成分としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕や2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕等が挙げられる。
(B−2)成分の具体例としては、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロリル基及び1個以上の水酸基を有する化合物〔以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という〕に酸無水物を付加させて得られた化合物が挙げられる。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロリル基を2〜5個有し、水酸基を1〜4個有する化合物が好ましい。水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート、及びビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
酸無水物としては、無水コハク酸、無水フタル酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。
(B−2)成分のさらなる具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸反応物、無水フタル酸反応物、無水マレイン酸反応物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの無水コハク酸反応物、無水フタル酸反応物、無水マレイン酸反応物、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートの無水コハク酸反応物、無水フタル酸反応物、無水マレイン酸反応物等が挙げられる。
(A)成分の割合を5重量%以上とすることにより、現像性が優れたものとなり、30重量%以下とすることにより、組成物が硬化性に優れたものとなる。加えて、(A)成分の割合を30重量%以下とすることにより、硬化物の耐水性及び耐熱性が良好となる。
本発明は、前記(A)及び(B)成分を必須とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
光重合開始剤(C)〔以下、「(C)成分」という〕、有機溶媒(D)〔以下、「(D)成分」という〕重合禁止剤又は/及び酸化防止剤、並びに耐光性向上剤等を挙げることができる。
以下、これらその他の成分について説明する。
本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化するものである。
活性エネルギー線として、紫外線、可視光等を使用する場合には、(C)成分である光重合開始剤を配合する。活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、(C)成分を配合する必要はない。
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
本発明の組成物は、無溶剤型の組成物として使用するものであるが、必要に応じて(D)成分の有機溶剤を、本発明の目的を損なわない程度に添加することができる。
(D)成分の具体例としては、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル及びビス(2−ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
本発明の組成物には、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤を添加することが、本発明の組成物の保存安定性を向上させことができ、好ましい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、並びに種々のフェノール系酸化防止剤が好ましいが、イオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤等を添加することもできる。
本発明の組成物には、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐光性向上剤を添加しても良い。
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2、2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
本発明の組成物には、前記以外した成分にも、レベリング剤、消泡剤、表面調整剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤、ワックス、無機フィラー及び有機フィラー等を目的に応じて添加することができる。
本発明の組成物は、必須成分である(A)及び(B)成分、並びに必要に応じてその他の成分を、常温又は加熱下で、従来公知の方法により混合することにより得られる。
組成物の粘度には、特に制限はないが、25℃において、200〜5,000mPa・sとなることが好ましい。組成物の粘度をこの範囲とすることにより、平滑な塗工が可能になる。
ここで、パターン形成用途としては、フォトレジスト及びソルダーレジストや、液晶表示装置製造における、保護膜形成、画素形成、スペーサー及びブラックマトリックス形成等を挙げることができる。これらは本発明の組成物の用途の一部を挙げただけであり、パターンを形成する用途であれば、これらに限らない。
工程1:金属基材又は金属酸化物基材に組成物を塗工する工程
工程2:工程1で得られた組成物の塗工面上に、所定パターン形状を有するマスクを配置する工程
工程3:前記マスク上から活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線が露光する部分の組成物を硬化させる工程
工程4:前記マスクを取り外した後、アルカリを使用して、工程3においてマスクにより活性エネルギー線が遮光する部分における組成物の未硬化膜を除去する工程
金属基材は、パターン形成の用途に応じたものを使用すれば良い。金属の種類としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、モリブデン、クロム等が挙げられ、複数種の金属の合金でも良い。
又、金属酸化物としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)及び酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)等が挙げられる。
膜厚は、特に制限はないが、3〜40μmの膜厚で塗工することが好ましい。より好ましくは、8〜20μmである。
マスクの形状は、目的とする製品の形状に応じたものを使用すれば良い。マスクの形状は、活性エネルギー線が遮光する部分と活性エネルギー線が露光する部分とを有する。
工程3により、マスクの活性エネルギー線が遮光する部分は、組成物は未硬化のままであり、活性エネルギー線が露光する部分は、組成物の硬化膜が得られる。
使用する活性エネルギー線は、紫外線及び/又は可視光線が好ましく、特に、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDなどから得られる波長240〜410nmの光がより好ましく使用される。活性エネルギー線の照射条件は、活性エネルギー線源(光源)の種類や、使用する光重合開始剤の吸収波長、塗膜の膜厚などによるが、一般的には光照射量が50〜600mJ/cm2となるようにするのが好ましい。
光照射量がこの範囲になることにより、遮光部は硬化物が発生せず、露光部は硬化するようにできる。
工程3の後、マスクを取り外し、活性エネルギー線を照射した後の硬化膜及び未硬化膜を含む面に、アルカリ水溶液を接触させ、未硬化膜を除去する。アルカリ水溶液の接触方法としては、硬化膜及び未硬化膜を含む面にアルカリ水溶液をスプレーする方法、又は、基材をアルカリ水溶液に浸漬する方法等が挙げられる。
アルカリ水溶液の温度は、常温又は30℃程度に加温した現像液を用いて行う。
アルカリ水溶液におけるアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を挙げることができる。
アルカリ水溶液中のアルカリ性化合物の割合としては、0.01〜3重量%が好ましい。
アルカリ水溶液には、現像性をさらに改善するため、界面活性剤を添加することができる。ポリエチレングリコールのアルキルエーテル、ポリエチレングリコールのアルキルフェニルエーテル等のノニオン系界面活性剤、ナトリウムドデシルスルフェート等のアニオン系界面活性剤を使用することができる。
さらにその後、必要に応じて、再度、活性エネルギー線の照射、又は、加熱することにより、硬化部を完全に硬化させることもできる。
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を274℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、n−ブチルアクリレート(以下、「BA」という)(88部)、アクリル酸(以下、「AA」という)(12部)、重合溶媒として、n−ブタノール(25部)、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド(0.3部)からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。
反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を264〜266℃に保持した。反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去して重合体を得た。得られた重合体を、「重合体A1」という。
得られた重合体A1について、酸価、E型粘度計により25℃における粘度(以下、単に「粘度」という)、GPCによりMw及びMnを測定した。それらの結果を表1に示す。
製造例1において、BA(75部)及びAA(25部)に変更した以外は、製造例1と同様な方法により製造を行い、重合体を得た。得られた重合体を、「重合体A2」という。
得られた重合体A2について、酸価、粘度、Mw及びMn、を測定した。それらの結果を表1に示す。
攪拌機、温度計及び冷却器を備えた2L反応容器に、BA(9.8部)、AA(0.2部)、メルカプトプロピオン酸(0.5部)、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)(60部)を仕込み、室温で均一に溶解させた。
フラスコの内容物を撹拌しながら、窒素雰囲気下で内温を80℃まで昇温し、内温が一定になった後、BA(88.2部)、AA(1.8部)、メルカプトプロピオン酸(4.5部)の混合液を5時間かけて添加し、他方で2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル〔和光純薬工業(株)製V−65。以下、「V−65」という〕(0.8部)とMEK(10部)からなる重合開始剤溶液を5.5時間かけて、それぞれ連続的に添加した。さらにその後、2時間加熱撹拌した。
次いで、反応液の入ったフラスコを、80℃の温水浴に漬けながら、エバポレーターで、減圧蒸留を行い、溶媒でありMEKを留去し、重合体を得た。得られた重合体を、「重合体A3」という。
得られた重合体A3について、酸価、粘度、Mw及びMn、を測定した。それらの結果を表1に示す。
製造例1において、BA(98.5部)、AA(1.5部)に変更した以外は、製造例1と同様の方法により製造を行い、重合体を得た。得られた重合体を、「重合体A’1」という。
得られた重合体A’1について、酸価、粘度、Mw及びMn、を測定した。それらの結果を表1に示す。
攪拌機、温度計、冷却器を備えた2L反応容器に、BA(8.7部)、AA(1.3部)、メルカプトプロピオン酸(0.4部)、MEK(60部)を仕込み、室温で均一に溶解させた。
フラスコの内容物を撹拌しながら、窒素雰囲気下で内温を80℃まで昇温し、内温が一定になった後、BA(78.3部)、AA(11.7部)、メルカプトプロピオン酸(3.6部)の混合液を5時間かけて添加し、他方でV−65(0.8部)とMEK(10部)からなる重合開始剤溶液を5.5時間かけて、それぞれ連続的に添加した。さらにその後、2時間加熱撹拌した。
次いで、反応液の入ったフラスコを、80℃の温水浴に漬けながら、エバポレーターで、減圧蒸留を行い、溶媒でありMEKを留去し、重合体を得た。得られた重合体を、「重合体A’2」という。
得られた重合体A’2について、酸価、粘度、Mw及びMn、を測定した。それらの結果を表1に示す。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた500mL反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートをほぼ65:35の重量比で含むアクリレート混合物[水酸基価120mgKOH/g]250g、無水コハク酸53.5g及びハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、MQという)0.15gを入れて85℃に昇温した。その中に触媒のトリエチルアミン(以下、TEAという)1.5gを投入した後、酸素/窒素の混合雰囲気下(酸素:窒素=5:95の容量比)で、80℃で4時間反応を行って反応液を得た。
得られた液体は、(B−2)成分を70重量%含み、酸価は、96mgKOH/gであった。これを化合物B2とした。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた500mL反応容器にフラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートをほぼ30:70の重量比で含むアクリレート混合物[水酸基価36mgKOH/g]250g、無水コハク酸16g及びMQ0.13gを入れて85℃に昇温した。その中にTEA1.3gを投入した後、酸素/窒素の混合雰囲気下(酸素:窒素=5:95の容量比)で、80℃で4時間反応を行って反応液を得た。
得られた液体は、(B−2)成分を34重量%含み、酸価は、34mgKOH/gであった。これを化合物B3とした。
表2〜表4に示す各原料を、表2〜表4に示す割合で、ステンレス製容器に投入し、加温しながらマグネチックスターラーで均一になるまで撹拌し、組成物を得た。
次いで、クロムマスクガラス基板上に、バーコータを用いて、未硬化の膜厚が約15μmになるように、各サンプルを塗布した。
得られた組成物について、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表2〜表4に示す。
塗布後、硬化前に、塗膜表面の外観を目視により評価した。
○:表面が平滑である。
△:僅かに、バーコータの筋が残る部分がある。
×:表面が荒れている。
塗布後、未硬化の基板を、常温、0.15MPaの圧力で、スプレー現像し、目視により、溶け残りを判断した。尚、現像液は、1重量%の炭酸ナトリウム及び、界面活性剤として、0.5重量%のニューコール723(日本乳化剤社製)を含む水溶液を用いた。
○:30秒以内に溶け残りなし。
△:30〜60秒の間に、溶け残りがなくなる。
×:60秒を過ぎても溶け残りがある。
塗布後、平行光の高圧水銀ランプ(照度:10mW/cm2)を所定時間照射し、その後、上述の現像方法により現像した。次いで、80℃、10分乾燥してから、塗膜の膜厚を測定し、12μm以上の膜厚になるのに必要な照射時間を硬化時間とした。
○:15秒以内。
△:30秒以内。
×:30秒照射しても、12μmにならない。
硬化時間の評価に用いたサンプルについて、現像後の外観を目視により評価した。
○:透明である。
△:僅かに曇りあり。
×:曇っている。
又、表2〜表4における略号は、下記を意味する。
・M−305:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、東亞合成(株)製アロニックスM−305
・M−240:ポリエチレングリコール(平均繰り返し数4)のジアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−240
・M−5300:アクリル酸のポリカプロラクトン変性物、東亞合成(株)製アロニックスM−5300
・Irg907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビーエーエスエフジャパン社製Irgacure907
・AO80:酸化防止剤、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(株)ADEKA製アデカスタブAO−80
・TIN405:耐光性向上剤、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール、ビーエーエスエフジャパン社製TINUVIN405
・BYK3510:レベリング剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物、ビッグケミー・ジャパン社製BYKUV3510
一方、酸価が本発明の下限に満たない重合体A’1を含む比較例1及び4の組成物は、60秒では、現像が完了していないものであった。又、粘度が本発明の上限に超える重合体A’2を含む比較例2、3及び5の組成物は、塗工外観が不良なうえ、60秒では、現像が完了していないものであった。さらに、比較例3の組成物は、硬化性も不良であった。
Claims (10)
- 下記(A)成分及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物。
(A)成分:カルボキシル基を有するビニル単量体(a1)〔以下、「単量体(a1)」という〕と単量体(a1)と共重合可能な単量体(a2)〔以下、「単量体(a2)」という〕を構成単量体単位とし、
前記単量体(a1)が(メタ)アクリル酸を含み、前記単量体(a2)が、アルキル(メタ)アクリレートを含み、
カルボキシル基を有し、酸価が20mgKOH/g以上で、かつ、25℃における粘度が30,000mPa・s以下である液状ビニル重合体
(B)成分:1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物(B−2)を含むエチレン性不飽和基を有する化合物 - 前記(A)成分が、重量平均分子量が500以上5,000以下の共重合体である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物。
- 前記(B−2)成分が、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上の水酸基を有する化合物と酸無水物の反応物である請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物。
- 分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上の水酸基を有する化合物が、ペンタエリスリトールのジ若しくはトリ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ若しくはペンタ(メタ)アクリレートである請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物。
- (A)及び(B)成分の合計量を基準として、(A)成分を5〜30重量%、(B)成分を70〜95重量%含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物。
- 有機溶剤を含まない請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物。
- (メタ)アクリル酸を含むカルボキシル基を有するビニル単量体(a1)とアルキル(メタ)アクリレートを含む単量体(a1)と共重合可能な単量体(a2)を150〜300℃の温度において連続重合して、
カルボキシル基を有し、酸価が20mgKOH/g以上で、かつ、25℃における粘度が30,000mPa・s以下である液状ビニル重合体(A)を製造する工程
得られた(A)成分と1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物(B−2)を含むエチレン性不飽和基を有する化合物(B)を混合する工程を含む
活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物の製造方法。 - 前記(B−2)成分が、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上の水酸基を有する化合物と酸無水物の反応物である請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物の製造方法。
- (A)及び(B)成分の合計量を基準として、(A)成分を5〜30重量%、(B)成分を70〜95重量%含む様に混合する請求項7又は請求項8に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物の製造方法。
- 下記工程1〜工程4を含み、これらを順次実施するパターン形成方法。
工程1:金属基材又は金属酸化物基材に請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型液状パターン形成用組成物を塗工する工程
工程2:工程1で得られた組成物の塗工面上に、所定パターン形状を有するマスクを配置する工程
工程3:前記マスク上から活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線が露光する部分の組成物を硬化させる工程
工程4:前記マスクを取り外した後、アルカリを使用して、工程3においてマスクにより活性エネルギー線が遮光する部分における組成物の未硬化膜を除去する工程
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