次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。以下、本発明に係る一実施形態を、図1を用いて説明する。
図1Aは、本発明の実施形態の群管理エレベータ制御システムの全体構成を示すブロック図である。
分析サーバSA、クライアント端末CL、外部情報近隣建屋情報EXN、外部情報データベースEXD、外部情報カメラEXC、制御盤CA、カゴ1CA1、カゴ2CA2、及びカゴ8CA8は、open又はcloseのネットワークNWに接続されている。
分析サーバSAは、群管理エレベータの制御に関する分析を行うエレベータ分析システムを構成する。分析サーバSAは、データベースSA0、表示部SA1、要求部SA2及び実行部SA3から構成されている。
データベースSA0は、分析サーバSA内で使用される入力/出力データを扱っている。具体的には、データベースSA0は、予め分析サーバSAに設定されている情報、ネットワークNWを介して取得された情報、及び、実行部SA3の処理によって生成された情報等を含む。図1Aでは省略されているが、データベースSA0は、例えば、ビル基本情報SA00、ランダムシードSA01、乗降人数SA02、エレベータ運行ログSA03、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05、外部情報(建屋情報)SA06、発生人数推定入力SA07、発生人数推定モデルSA08、発生人数推定結果SA09、発生人数予測結果SA10、発生人数予測結果SA11、時間帯別行き先階推定SA12、時間帯別行き先階予測結果SA13、ルール/制御テンプレートSA14、KPIリストSA15、シミュレーションの入力と結果SA16、有効ルール/パラメータSA17及びルール/パラメータリストSA19を含む(図2、図12〜図31参照)。
実行部SA3は実際に分析を実行する部分であり、計測処理部SA31、発生人数推定モデル生成部SA32、発生人数推定部SA33、発生人数予測部SA34、行き先階推定部SA35、行き先階予測部SA36、制御セレクター部SA37及びルール/パラメータ評価部SA38から構成されている。
クライアント端末CLは、管理者が分析の状況を閲覧するための端末である。外部情報近隣建屋情報EXN、外部情報データベースEXD、外部情報カメラEXC及び制御盤CAは、エレベータの運行に関する情報ではない情報を提供する。これらを外部情報と記載する。外部情報は、上記のもの以外に、鉄道交通データ及び道路状況データなど公開されている情報を含んでもよい。カゴ1CA1、カゴ2CA2及びカゴ8CA8はエレベータのカゴであり、制御盤CAはカゴ1CA1〜カゴ8CA8を制御する制御装置である。
一部の図示が省略されているが、図1Aの例では、カゴ1CA1〜カゴ8CA8までの8台のカゴが制御盤CAによって制御される。カゴ1CA1〜カゴ8CA8は、例えば、同じ建物の、同じエレベータ乗り場(エレベータホール)に面して設置された、8基からなる群管理の対象となるエレベータ群のカゴである。ただし8基は一例であり、2基以上からなるエレベータ群に本発明を適用することができる。
また、本実施形態において発生人数とは、エレベータに乗るためにエレベータホールに現れた人物の数である。
図1Bは、本発明の実施形態の分析サーバSAのハードウェア構成を示すブロック図である。
分析サーバSAは、例えば、相互に接続されたインターフェース(I/F)101、入力装置102、出力装置103、プロセッサ104、主記憶装置105及び補助記憶装置106を有する計算機である。
インターフェース101は、ネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介してクライアント端末CL、外部情報データベースEXD、外部情報カメラEXC及び制御盤CAとの通信、並びに、外部情報近隣建屋情報EXNの取得等を行う。入力装置102は、分析サーバSAのユーザが分析サーバSAに情報を入力するために使用する装置であり、例えばキーボード、マウス及びタッチセンサ等の少なくともいずれかを含んでもよい。出力装置103は、分析サーバSAのユーザに情報を出力する装置であり、例えば文字及び画像等を表示する表示装置を含んでもよい。
プロセッサ104は、主記憶装置105に格納されたプログラムに従って種々の処理を実行する。主記憶装置105は、例えばDRAMのような半導体記憶装置であり、プロセッサ104によって実行されるプログラム及びプロセッサの処理に必要なデータ等を格納する。補助記憶装置106は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの比較的大容量の記憶装置であり、プロセッサによって実行する処理において参照されるデータ等を格納する。
本実施形態の主記憶装置105には、実行部SA3に含まれる計測処理部SA31、発生人数推定モデル生成部SA32、発生人数推定部SA33、発生人数予測部SA34、行き先階推定部SA35、行き先階予測部SA36、制御セレクター部SA37及びルール/パラメータ評価部SA38を実現するためのプログラムが格納される。したがって、以下の説明において実行部SA3に含まれる各部が実行する処理は、実際には、プロセッサ104が、主記憶装置105に格納された各部に対応するプログラムに従って実行する。
また、要求部SA2の処理は、プロセッサ104が主記憶装置105に格納された要求部SA2に対応するプログラムに従ってインターフェース101又は入力装置102を制御することによって実現されてもよい。表示部SA1の処理は、プロセッサ104が主記憶装置105に格納された表示部SA1に対応するプログラムに従って出力装置103を制御することによって実現されてもよい。
本実施形態の補助記憶装置106は、データベースSA0を格納する。さらに、実行部SA3に含まれる各部に対応するプログラムが補助記憶装置106に格納され、必要に応じて主記憶装置105にコピーされてもよい。また、データベースSA0の少なくとも一部が必要に応じて主記憶装置105にコピーされてもよい。
図2は、本発明の実施形態の群管理エレベータ制御システムの処理、及び、データの関連を示した説明図である。
この図を参照することによって、それぞれの処理に関する入力データおよび出力データが明らかになる。また、処理、及び、データの全体俯瞰が可能となる。太線の枠のブロックが処理、細線の枠のブロックがデータを示す。また、実線で囲まれている範囲がリアルタイム処理であり、破線で囲まれている範囲はオフラインで実行されることが望ましい。
具体的には、発生人数推定モデル生成部SA32は、ビル基本情報SA00(図12)及びランダムシードSA01(図13)に基づいて、発生人数モデル処理SP01(図5)を実行して、発生人数推定モデルSA08(図20)を出力する。図2の例では、この発生人数モデル処理SP01は、オフライン処理SZ1として実行される。
発生人数推定部SA33は、乗降人数SA02(図14)、エレベータ運行ログSA03(図15)、外部情報(天候)SA04(図16)、外部情報(カメラ)SA05(図17)、外部情報(建屋情報)SA06(図18)、ビル基本情報SA00及び発生人数推定モデルSA08に基づいて、発生人数推定処理SP02(図6)を実行し、その結果を発生人数予測部SA34に入力する。発生人数推定部SA33は、上記以外に利用できる外部情報があればそれを利用してもよい。
発生人数予測部SA34は、発生人数推定処理SP02の結果に基づいて、発生人数予測処理SP03(図7)を実行し、その結果を行き先階予測部SA36及び制御セレクター部SA37に入力する。また、その結果は保存処理SP07(図9)によって保存される。
行き先階推定部SA35は、乗り降り人数SA02に基づいて、行き先階推定処理SP04(図8)を実行し、その結果を行き先階予測部SA36に入力する。
行き先階予測部SA36は、発生人数予測処理SP03及び行き先階推定処理SP04の結果に基づいて、行き先階予測処理SP05(図9)を実行する。その結果は保存処理SP07によって保存される。
制御セレクター部SA37は、行き先階予測処理SP05の結果、発生人数予測処理SP03の結果、及び、後述する表示/制御データ生成処理SP15によって生成されたルール/パラメータリストSA19に基づいて、制御セレクターSP06(図10)を実行し、その結果を制御盤CAに出力する。
図2の例では、上記の発生人数推定処理SP02〜保存処理SP07は、リアルタイム処理SZ0として実行される。
ルール/パラメータ評価部SA38は、保存処理SP07によって保存されたデータ、ルール/制御テンプレートSA14(図26)、及びKPIリストSA15(図27)に基づいて、KPIシミュレーション処理SP11、有効ルール/パラメータ選択SP12、終了判定処理SP13、有効ルール/パラメータの細分化処理SP14及び表示/制御データ生成処理SP15を実行する(図11)。その過程でシミュレーションの入力と結果SA16(図28)及び有効ルール/パラメータSA17(図29)が生成され、最終的にルール/パラメータリストSA19(図31)及びビル個別化レポートSA20(図32)が出力される。
図2の例では、上記のKPIシミュレーション処理SP11〜表示/制御データ生成処理SP15は、オフライン処理SZ2として実行される。
図3は、本発明の実施形態の群管理エレベータ制御システムの処理の発生人数予測及び行き先階予測の概要を示すシーケンス図である。
図3のシーケンス図は、データ関連(乗降人数SA02、エレベータ運行ログSA03、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05など)、分析サーバSA、制御盤CA及びクライアント端末CLのそれぞれに対応する4つの軸を用いて表現されている。
データ収集S01は、外部情報データベースEXD等の外部のシステムが周期的にデータを分析サーバSAに送信する処理である。分析サーバSAの実行部SA3の計測処理部SA31がそれらのデータを受信し、データベース登録S02を行って、データベースSA0のそれぞれのテーブルに受信したデータを格納する。定期的に、実行部SA3の発生人数推定モデル生成部SA32、発生人数推定部SA33、発生人数予測部SA34、行き先階推定部SA35、行き先階予測部SA36及び制御セレクター部SA37の処理が実行され、その結果のデータがデータベース登録S03によって、データベースSA0のそれぞれのテーブルに格納される。最後に、分析サーバSAは、制御セレクター部SA37によって選択された制御パラメータを制御盤CAに対して入力コマンドCA0として送信する。
図4は、本発明の実施形態の群管理エレベータ制御システムの処理の有効ルール/パラメータ選択の概要を示すシーケンス図である。
図4のシーケンス図は、図3と同様の4つの軸を用いて表現される。
クライアント端末CLでは、管理者が経営者情報として例えばKPI及び期間などを入力する経営者情報入力S04が実行される。クライアント端末CLは、入力された情報を含む要求コマンドを分析サーバSAに送信する。
分析サーバSAは、データ取得S05を実行して、クライアント端末CLから送信されたデータを取得する。そして、分析サーバSAは、ルール/パラメータ評価部SA38を実行し、データベースSA0から該当するデータを取得しながら、有益なルール及び制御パラメータを選択し、その結果を用いてコンテンツを生成する。分析サーバSAは、生成したコンテンツを含む表示データをクライアント端末CLに送信する。
クライアント端末CLは、表示処理S06を実行して、コンテンツを表示する。表示されるコンテンツの一例については図30を参照して後述する。また、KPI及び期間などは分析時に用いるため、事前に登録した方が望ましい。
図5は、本発明の実施形態の発生人数推定モデル生成部SA32の処理を示すフローチャートである。
発生人数モデル処理SP01は、発生人数データ生成SP010と発生人数推定モデル生成SP011で構成される。発生人数データ生成SP010では、発生人数推定モデル生成部SA32が、ビル基本情報SA00及びランダムシードSA01から、シミュレーション(第2のシミュレーション)によって、各カゴの乗降人数(すなわち乗り人数及び降り人数)及びカゴ状態を求める。
例えば、発生人数推定モデル生成部SA32は、シミュレーション上で、各階のエレベータホールに、これからエレベータに乗ろうとする複数の人物をランダムに発生させる。具体的には、発生人数推定モデル生成部SA32は、ランダムシードSA01を用いて、各人物が現れるエレベータホールの階、及び、現れる時刻をランダムに決定する。さらに、発生人数推定モデル生成部SA32は、各人物の行き先階を、ビル基本情報SA00に基づいて選択し得る階の中からランダムに決定する。
そして、発生人数推定モデル生成部SA32は、決定された各人物が現れる時刻、現れる階及び行き先階に応じて、各カゴを運行するシミュレーションを行って、時刻ごとの各カゴの乗降人数及びカゴ状態を求め、それらを発生人数推定入力SA07として生成する。カゴ状態とは、例えば、各カゴが位置する階床、各カゴの進行方向(上方向又は下方向)、及び、各カゴの搭乗人数等であり、詳細には、後述するエレベータ運行ログSA03に登録されている値と同様のものであってもよい。ただし、エレベータ運行ログSA03には実際に計測された値が登録されるが、発生人数推定モデル生成部SA32はシミュレーションによって値を生成する。
このとき、発生人数推定モデル生成部SA32は、例えば後述するルール/制御テンプレートSA14(図26)に登録されたいずれかの運行ルール/制御パラメータに従ってシミュレーションを実行してもよい。
発生人数推定モデル生成SP011では、発生人数推定モデル生成部SA32は、ステップ1及びステップ2からなる2段階の処理を実施することで、発生人数推定モデルSA08を生成する。ステップ1において、発生人数推定モデル生成部SA32は、シミュレーションの結果から、時刻ごとの発生人数と、それぞれに対応して求められた乗降人数及びカゴ状態とを特定する。そして、発生人数推定モデル生成部SA32は、ステップ2において、各カゴの状態、各階における各カゴの乗り人数及び降り人数から、発生人数を推定するモデル、すなわち、発生人数=f(乗降人数、カゴ状態)が成立する関数fを求める。例えば、図20を参照して後述するように、乗降人数及びカゴ状態を説明指標とし、発生人数を目的変数として重回帰分析を行ってもよい。
このとき、エレベータ運行ログSA03、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05及び外部情報(建屋情報)SA06の少なくともいずれか(又はその他の外部情報)を利用できる場合は、それらの値を外部変数として、発生人数=f(乗降人数、カゴ状態、外部変数)が成立する関数fを求めてもよい。関数fを求める際には、ステップ1において特定された発生人数から乗降人数等への変換の逆変換を求めればよい。また、関数fが求まるならば、他の手法を用いてもよい。
図6は、本発明の実施形態の発生人数推定部SA33の処理を示すフローチャートである。
発生人数推定処理SP02では、発生人数推定部SA33は、図5で求めた発生人数推定モデルSA08に、現在の乗降人数SA02及びエレベータ運行ログSA03から取得した実際の乗り人数、降り人数及びカゴ状態を代入することで、現在における発生人数推定結果SA09を求め、主記憶装置105又は補助記憶装置106に保持する。これによって、各カゴへ人物の乗り降りの状況、及び、各カゴの位置、進行方向といった状態から、これからエレベータに乗ろうとしている人物の発生の状況を推定することが可能になる。
各カゴの乗降人数は、例えば、制御盤CAが計測している各カゴの重量の変化から推定することができる。また、各カゴの位置、進行方向等は、制御盤CAによる制御に依存している。したがって、上記の発生人数モデル処理SP01及び発生人数推定処理SP02によれば、外部情報が一切得られない場合であっても、エレベータそのものから取得される情報に基づいて、これからエレベータに乗ろうとしている人物の発生の状況を推定することが可能になる。
なお、現在の乗降人数SA02及びエレベータ運行ログSA03は、それらに含まれるデータが取得されたときにエレベータに適用されていた運行ルール/制御パラメータ(すなわちそれに基づいて制御盤CAが各カゴの制御を行っていた運行ルール/制御パラメータ、例えば図26参照)を識別する情報を含んでいてもよい。その場合、発生人数推定部SA33は、その運行ルール/制御パラメータに従うシミュレーションに基づいて発生人数推定モデル生成部SA32が生成した発生人数推定モデルSA08に、現在の乗降人数SA02及びエレベータ運行ログSA03から取得した実際の乗り人数、降り人数及びカゴ状態を代入することで、現在における発生人数推定結果SA09を求める。これによって、精度の高い推定を行うことができる。
また、このとき、エレベータ運行ログSA03、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05及び外部情報(建屋情報)SA06の少なくともいずれか(又はその他の外部情報)を利用できる場合は、それらを代入してもよい。
図7は、本発明の実施形態の発生人数予測部SA34の処理を示すフローチャートである。
発生人数予測処理SP03は、発生人数予測SP030と形式変換SP031で構成される。
発生人数予測SP030では、発生人数予測部SA34は、図6の処理で求めた各時点の(例えば所定の時間幅を持った時間帯ごとの)発生人数推定結果SA09を用いて、発生人数推定結果SA09に格納されている時刻より未来の時刻の発生人数を予測し、その結果を発生人数予測結果SA10として出力する。このとき、エレベータ運行ログSA03、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05及び外部情報(建屋情報)SA06の少なくともいずれか(又はその他の外部情報)を利用できる場合は、それらを利用してもよい。例えば、外部情報(カメラ)SA05が利用できる場合は、発生人数推定結果SA09から取得される発生人数の代わりに、外部情報(カメラ)SA05に含まれる人数(SA057)等を利用してもよいし、その他の外部情報から特定された発生人数を利用できる場合はそれらを利用してもよい。
形式変換SP031では、発生人数予測SP030で求めた発生人数予測結果SA10を用いて、ポアソン分布を用いて単位時間当たりの人数別の発生確率に変換し、その結果を発生人数予測結果2_SA11として出力する。この発生確率を用いて後述するKPIシミュレーションを実行することができる。
図8は、本発明の実施形態の行き先階推定部SA35の処理を示すフローチャートである。
行き先階推定部SA35は、乗降人数SA02に基づいて、時間帯毎にカゴから降りる人の傾向を求めることで、行き先階を推定し、その結果を時間帯別行き先階推定SA12として出力する。
図9は、本発明の実施形態の行き先階予測部SA36の処理を示すフローチャートである。
行き先階予測部SA36は、行き先階予測処理SP05及び保存処理SP07を実行する。
行き先階予測処理SP05では、行き先階予測部SA36は、発生した人々の行き先階、すなわち、発生した人々がどの階に行こうとしているのかを予測する。具体的には、行き先階予測部SA36は、図7の発生人数予測部SA34の処理結果である発生人数予測結果2_SA11と図8の行き先階推定部SA35の処理結果である時間帯別行き先階推定SA12とを掛け合わせることで行き先階を予測し、その結果を時間帯別行き先階予測結果SA13として出力する。
保存処理SP07は、今まで求めてきた発生人数予測結果SA10及び時間帯別行き先階予測結果SA13などを例えばデータベースSA0に保存する処理である。これを実行する理由はオフライン処理を行う時に、過去の大量のデータが必要になるためである。
図10は、本発明の実施形態の制御セレクター部SA37の処理を示すフローチャートである。
制御セレクター部SA37が実行する制御セレクターSP06は、発生人数予測結果SA10及び時間帯別行き先階予測結果SA13が満たすルール/パラメータリストを選択する処理である。選択したパラメータは入力コマンドCA0として、制御盤CAに送られる。
図11は、本発明の実施形態のルール/パラメータ評価部SA38の処理を示すフローチャートである。
ルール/パラメータ評価部SA38は、KPIシミュレーション処理SP11、有効ルール/パラメータ選択SP12、終了判定処理 SP13、有効ルール/パラメータの細分化処理SP14、及び表示/制御データ生成処理SP15で構成されている。
KPIシミュレーション処理SP11では、ルール/パラメータ評価部SA38は、ルール/制御テンプレートSA14とKPIリストSA15と時間帯別行き先階予測結果SA13と発生人数予測結果2_SA11とを用いて、運行ルール/制御パラメータを変更しながら複数回のシミュレーション(第1のシミュレーション)を行い、KPI値を出力する。
具体的には、ルール/パラメータ評価部SA38は、時間帯別行き先階推定SA12に記入されている行き先階確率と、発生人数予測結果2_SA11に記入されている人数ごとの発生確率とに従って、各階のエレベータホールに人物を発生させて、それに応じて、ルール/制御テンプレートSA14から選択された運行ルール/制御パラメータに従って各カゴを制御するシミュレーションを実行する。後述するように、このシミュレーションは、適用される運行ルール/制御パラメータを変更しながら複数回実行される。
有効ルール/パラメータ選択SP12では、ルール/パラメータ評価部SA38は、KPIシミュレーション処理SP11に代入した値とその結果から、有効ルール/パラメータを選択する。
終了判定処理SP13では、ルール/パラメータ評価部SA38は、有効ルール/パラメータ選択SP12の結果として改善効果が見られるか否かを判定し、改善効果が見られたらYes、見られない場合にはNoに進む。
有効ルール/パラメータの細分化処理SP14では、ルール/パラメータ評価部SA38は、有効ルール/パラメータ選択SP12の結果から、より効果がある特徴量に関して、細分化するための範囲を決める。
ルール/パラメータ評価部SA38は、その結果をKPIシミュレーション処理SP11に代入することで、終了判定処理SP13による結果の改善効果が見られるまでループを繰り返す。
表示/制御データ生成処理SP15では、ルール/パラメータ評価部SA38は、有効ルール/パラメータSA17をもとに、ルール/パラメータリストSA19及びビル個別化レポートSA20を生成する。
図12は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持するビル基本情報SA00の説明図である。
ビル基本情報SA00は、ビルの基本情報を記載したテーブルである。ビル毎に、エレベータは複数のカゴから構成されており、それをエレベータバンクという。エレベータバンク毎に制御を行うため、それを管理するテーブルがビル基本情報テーブル(図12)である。例えば図1Aのカゴ1CA1〜カゴ8CA8が一つのエレベータバンクに属する。一つのエレベータバンクが、制御盤CAによる群管理の対象となるエレベータ群に相当する。一つのビルに複数のエレベータバンクが存在する場合には、制御盤と複数のカゴとの組合せが複数存在することとなる。
ビルID(SA000)はエレベータが設置されたビルの識別情報(ID)である。ビル毎に異なるIDで識別される。エレベータバンクID(SA001)はビルにおけるエレベータバンクを区別するためのIDである。バンク名称(SA002)はエレベータバンクの名称である。カゴ数(SA003)はエレベータバンクを構成しているカゴ数である。対象階床(SA004)はエレベータバンクを構成するカゴが停止する階床を示している。緯度(SA005)及び経度(SA006)は、それぞれ、エレベータバンクがある位置を示す緯度及び経度である。エレベータバンクの面積が大きい場合には、その重心の緯度及び経度であってもよい。また、地球を全体とする絶対座標におけるエレベータバンクの位置を示せる情報があればよく、緯度及び経度以外の値であってもよい。ビル名称(SA007)はエレベータがあるビルの正式名称である。
図12に示されたのは一例であり、分析する際に、ビルの基本情報として必要なデータがあれば、そのデータを追加するようにビル基本情報SA00を変更することができる。
図13は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持するランダムシードSA01の説明図である。
ランダムシードSA01は、乱数を発生する時に用いるシードを記載したテーブルである。ランダムシードNo(SA010)はランダムシードのIDである。ランダムシード毎に異なるIDで識別される。
ランダムシード(SA011)はランダムシード値である。本テーブルを用いることで、ランダムシードNoを指定するとそれに該当する値を参照することができる。
図13に示されたのは一例であり、乱数を発生する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するようにランダムシードSA01を変更することができる。
図14は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する乗降人数SA02の説明図である。
乗降人数SA02は、実際のエレベータによる階床ごとの各カゴの乗り人数及び降り人数を示したテーブルである。
ビルID(SA020)はビルを識別するIDである。エレベータバンクID(SA021)はビル内にある複数のエレベータバンクの各々を識別するIDである。日付(SA022)は本エレベータの運行状況を示した日付である。時刻(SA023)は本エレベータの運行状況を示した時刻である。
曜日(SA024)は本エレベータの運行状況を示した曜日である。時間幅(SA025)は、本エレベータの運行状況を集計した時間の幅である。カゴ1(SA026)はエレベータバンクID(SA021)によって識別されるエレベータバンクに所属する1つのカゴが識別されていることを示している。階床(SA027)は、カゴ1(SA026)が、日付(SA022)、時刻(SA023)、曜日(SA024)及び時間幅(SA025)によって特定される時間帯に存在する階床である。カゴ内人数(SA028)は、日付(SA022)、時刻(SA023)、曜日(SA024)及び時間幅(SA025)によって特定される時間帯に当該カゴ内に乗っていた人物の数(すなわちカゴ内人数)である。
上方向(SA029)の乗り人数(SA02A)は、日付(SA022)、時刻(SA023)、曜日(SA024)及び時間幅(SA025)によって特定される時間帯のうち、カゴ1(SA026)が上方向に向いているときに当該カゴに乗り込んだ人物の数(すなわち乗り人数)を示している。上方向(SA029)の降り人数(SA02B)は、日付(SA022)、時刻(SA023)、曜日(SA024)及び時間幅(SA025)によって特定される時間帯のうち、カゴ1(SA026)が上方向に向いているときに当該カゴから降りた人物の数(すなわち降り人数)を示している。
下方向(SA02C)の乗り人数(SA02D)は、日付(SA022)、時刻(SA023)、曜日(SA024)及び時間幅(SA025)によって特定される時間帯のうち、カゴが下方向に向いているときの乗り人数を示している。下方向(SA02C)の降り人数(SA02E)は、日付(SA022)、時刻(SA023)、曜日(SA024)及び時間幅(SA025)によって特定される時間帯のうち、カゴが下方向に向いているときの降り人数を示している。
乗降人数SA02には、エレベータバンクを構成する全てのカゴに関する情報が含まれる。図14に示すカゴ1(SA026)に関する情報はそれらの1つである。図14では省略されているが、他のカゴに関するデータも同様に乗降人数SA02として格納される。
乗降人数SA02にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)、又は所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時を日付(SA022)、時刻(SA023)及び曜日(SA024)で示しておけばよい。所定の周期ごとに記入される場合はその周期を時間幅(SA025)として記入してもよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
例えば、図14のテーブルの最初の行は、2017年6月27日火曜日の午前10時0分1秒から始まる5分間に、ビルID「B001」で識別されるビルのエレベータバンクID「01」で識別されるエレベータバンクに属するカゴ1(SA026)が3階に1回以上停止し、その時のカゴ内人数(SA028)が10人であり、上方向に移動中に停止した時の乗り人数(SA02A)及び降り人数(SA02B)がそれぞれ15人及び1人であり、下方向に移動中に停止した時の乗り人数(SA02D)及び降り人数(SA02E)がそれぞれ0人及び10人であったことを示している。カゴ内人数(SA028)は、停止した階での乗り降りが終了した後の人数である。これらの人数は、上記の5分間にカゴ1(SA026)が3階に複数回停止した場合にはそれらの複数回の人数の合計であってもよいし、3階で停止した1回ごとの人数が記入されてもよい。また、同じ5分間に当該カゴ1(SA026)が別の階にも1回以上停止した場合には、その階についても上記と同様の情報がテーブルに記入される。
図14に示されたのは一例であり、階床別の乗降人数を表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように乗降人数SA02を変更することができる。
図15は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持するエレベータ運行ログSA03の説明図である。
エレベータ運行ログSA03は、実際のエレベータによる運行ログを示したテーブルである。このテーブルにはエレベータバンク毎に集計されたデータとエレベータバンクに所属するカゴのデータの両方を格納することができる。
ビルID(SA030)はビルを識別するIDである。エレベータバンクID(SA031)はビル内にある複数のエレベータバンクを識別するIDである。日付(SA032)は本エレベータの運行状況を示した日付である。時刻(SA033)は本エレベータの運行状況を示した時刻である。
曜日(SA034)は本エレベータの運行状況を示した曜日である。時間幅(SA035)は本エレベータの運行状況を集計した時間の幅である。長待ち率(SA036)は、日付(SA032)、時刻(SA033)、曜日(SA034)及び時間幅(SA035)によって特定される時間帯に、エレベータバンクで発生した待ち時間(すなわちカゴを呼びだした人物がカゴの到着まで待っていた時間)のうち、所定の長さ(例えば60秒)以上の待ち時間の割合を示している。所定の長さは事前に指定することによって変更することができる。
カゴ呼び数(SA037)は、日付(SA032)、時刻(SA033)、曜日(SA034)及び時間幅(SA035)によって特定される時間帯に、エレベータバンク内でカゴ呼びボタンが押された回数である。交通流モード(SA038)はエレベータバンクの運行モードである。
長待ち率(SA036)、カゴ呼び数(SA037)および交通流モード(SA038)はエレベータバンク毎に集計される値であるが、必要なデータがあれば上記の情報の変更および上記以外の情報の追加をすることができる。
カゴ1(SA039)はエレベータバンクID(SA031)に所属する1つのカゴが識別されていることを示している。階床(SA0A)は、カゴ1(SA039)が、日付(SA032)、時刻(SA033)及び曜日(SA034)によって特定される時点に存在していた位置(階床)である。方向(SA03B)は、カゴ1(SA039)が、日付(SA032)、時刻(SA033)及び曜日(SA034)によって特定される時点に進んでいた方向である。例えば、上は上方向に進んでいたことを示し、下は下方向に進んでいたことを示している。
状態(SA03C)は、日付(SA032)、時刻(SA033)及び曜日(SA034)によって特定される時点のカゴ1(SA039)の状態を示している。例えば、「動作」はカゴ1(SA039)が実際に動いていたことを示し、「停止」は停止していたことを示している。搭乗人数(SA03D)は、日付(SA032)、時刻(SA033)、曜日(SA034)によって特定される時点にカゴ1(SA039)に搭乗していた人数を示している。
エレベータ運行ログSA03には、エレベータバンクを構成する全てのカゴに関する情報が含まれる。図15に示すカゴ1(SA039)はその1つである。図15では省略されているが、他のカゴに関するデータも同様にエレベータ運行ログSA03として格納される。
エレベータ運行ログSA03にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)、又は所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時を日付(SA032)、時刻(SA033)及び曜日(SA034)で示しておけばよい。所定の周期ごとに記入される場合はその周期を時間幅(SA035)として記入してもよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図15に示されたのは一例であり、エレベータによる運行ログを表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するようにエレベータ運行ログSA03を変更することができる。
図16は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する外部情報(天候)SA04の説明図である。
外部情報(天候)SA04は、外部情報の1つである天候に関するデータをまとめたテーブルである。
外部情報ID(SA040)は外部情報の識別IDである。日付(SA041)は当該外部情報を取得した日付である。時刻(SA042)は当該外部情報を取得した時刻である。曜日(SA043)は当該外部情報を取得した曜日である。場所(SA044)は当該外部情報を取得した場所である。緯度(SA045)は当該外部情報を取得した緯度である。経度(SA046)は当該外部情報を取得した経度である。天気(SA047)、気温(SA048)及び雨量(SA049)は、それぞれ、日付(SA041)及び時刻(SA042)によって特定される時点の、場所(SA044)によって特定される場所における天気、気温及び雨量である。
外部情報(天候)SA04にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)又は所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時及びデータが取得された場所を日時(SA041)、時刻(SA042)及び場所(SA044)で示しておけばよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図16に示されたのは一例であり、外部情報の1つである天候に関するデータを表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように外部情報(天候)SA04を変更することができる。
図17は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する外部情報(カメラ)SA05の説明図である。
外部情報(カメラ)SA05は、外部情報の1つである、カメラによる計測によって認識されたものに関するデータをまとめたテーブルである。
外部情報ID(SA050)は、外部情報の識別IDである。日付(SA051)は、本情報を取得した日付である。時刻(SA052)は、本情報を取得した時刻である。曜日(SA053)は、本情報を取得した曜日である。ビルID(SA054)は、本情報を取得したビルを識別するIDである。階床(SA055)は、本情報を取得した階床である。設置場所(SA056)は、本情報を取得するためにカメラを設置した場所である。
人数(SA057)は、日付(SA051)及び時刻(SA052)によって特定される時点に、設置場所(SA056)によって特定される場所に設置されたカメラによって検知された人の数である。子供(SA058)、大人(SA059)、男性(SA05A)、女性(SA05B)、車いす(SA05C)及び台車(SA05D)は、それぞれ、日付(SA051)及び時刻(SA052)によって特定される時点に、設置場所(SA056)によって特定される場所に設置されたカメラによって検知された子供、大人、男性、女性、車いす及び台車の数である。このように、人物の総数だけでなく、人物の属性(例えば年齢層及び性別)ごとの内訳、及び、人物以外の物体も検知することができる。
怒り(SA05E)は、日付(SA051)及び時刻(SA052)によって特定される時点に、設置場所(SA056)によって特定される場所に設置されたカメラによって検知された結果に基づいて、当該カメラによって検知された人物のうち、怒っていると判定された人の人数である。このように人物の数だけでなく、カメラで顔及び行動から人物の感情を検知して、特定の感情が検知された人物の数を計数することができる。
外部情報(カメラ)SA05にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)でもよいし、所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時及びそのデータを取得したカメラの設置場所を日付(SA051)、時刻(SA052)、設置場所(SA056)で示しておけばよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図17に示されたのは一例であり、外部情報の1つであるカメラによる計測によって認識されたものに関するデータを表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように外部情報(カメラ)SA05を変更することができる。
図18は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する外部情報(建屋情報)SA06の説明図である。
外部情報(建屋情報)SA06は、外部情報の1つである建屋に関するデータをまとめたテーブルである。
外部情報ID(SA060)は、外部情報の識別IDである。ビルID(SA061)は、本情報を取得したビルを識別するIDである。日付(SA062)は、本情報を取得した日付である。時刻(SA063)は、本情報を取得した時刻である。曜日(SA064)は、本情報を取得した曜日である。3階東側(SA065)は、本情報を取得した階床(3階)、および、当該階床を分割したエリアのうち本情報を取得したエリア(東側)を示している。階床およびエリアごとに集計した値が格納される。階床およびエリアは任意に追加することができ、追加した場合には3階東側(SA065)と同じように当該階床及び当該エリアで集計したデータを格納することができる。
電気使用量(SA066)及び水使用量(SA067)は、それぞれ、日付(SA062)及び時刻(SA063)によって特定される時点に、3階東側(SA065)で使用された電気量及び水量である。温度(SA068)及び湿度(SA069)は、それぞれ、日付(SA062)及び時刻(SA063)によって特定される時点における3階東側(SA065)の温度及び湿度である。滞在人数(SA06A)は、日付(SA062)及び時刻(SA063)によって特定される時点の3階東側(SA065)の滞在人数である。
外部情報(建屋情報)SA06にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)でもよいし、所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時及びそのデータが取得された場所を日付(SA062)、時刻(SA062)、3階東側(SA065)で示しておけばよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図18に示されたのは一例であり、外部情報の1つである建屋に関するデータを表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように外部情報(建屋情報)SA06を変更することができる。
図19は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する発生人数推定入力SA07の説明図である。
発生人数推定入力SA07は、発生人数モデル処理SP01内の発生人数データ生成SP010によって生成されるデータを格納したテーブルである。生成されるデータは、階床毎の発生人数、カゴ別乗降人数及びカゴ状態である。
発生人数推定入力ID(SA070)は、発生人数推定入力値を識別するためのIDである。時刻(SA071)、曜日(SA072)及び時間幅(SA073)は、それぞれ、発生人数データ生成SP010によって生成された時刻、曜日及び時間幅である。発生人数(SA074)は、発生人数データ生成SP010によって生成された発生人数である。発生人数は階床別に求められる。図19では3階の発生人数を3階(SA075)で示している。図19では省略されているが、他の階の発生人数も同様に記入される。発生人数は、階床毎、エリア毎、エレベータホール毎に生成することができ、その場合には生成された発生人数が発生人数(SA074)に格納される。
カゴ別乗降人数(SA076)は、時刻(SA071)、曜日(SA072)及び時間幅(SA073)によって特定される時間帯における、発生人数データ生成SP010によって生成されたカゴ別乗降人数である。カゴ別乗降人数(SA076)はカゴ別に求められる。図19ではカゴ1のカゴ別乗降人数をカゴ1(SA077)で示している。カゴ1(SA077)にはカゴ1の乗降人数に関する情報が格納されており、階床(SA078)はカゴが存在する階床、上方向(SA079)は上方向に移動するカゴが階床に停止した時の乗り人数と降り人数、下方向(SA07A)は下方向に移動するカゴが階床に停止した時の乗り人数と降り人数である。カゴ1(SA077)には、上記以外にカゴ1に関する情報も格納することができる。カゴ別乗降人数(SA076)は、カゴ1以外のカゴについても、該当するカゴに関する情報を格納することができる。
カゴ状態(SA07B)は、カゴの状態に関するデータが格納されており、カゴ1に関するデータがカゴ1(SA07C)に格納されている。階床は、カゴ1(SA07C)が時刻(SA071)、曜日(SA072)及び時間幅(SA073)によって特定される時間帯に存在する階床である。方向は、カゴ1(SA07C)が時刻(SA071)、曜日(SA072)及び時間幅(SA073)によって特定される時間帯に進んでいる方向である。例えば、「上」は上方向に進むことを示し、「下」は下方向に進むことを示している。
状態は、時刻(SA071)、曜日(SA072)及び時間幅(SA073)によって特定される時間帯のカゴ1(SA07C)の状態を示している。例えば、「動作」は実際に動いていることを示し、「停止」は停止していることを示している。搭乗人数は、時刻(SA071)、曜日(SA072)及び時間幅(SA073)によって特定される時間帯にカゴ1(SA07C)に搭乗している人数を示している。カゴ1(SA07C)には、上記以外にカゴ1の状態に関する情報も格納することができる。カゴ状態(SA07B)は、カゴ1以外のカゴについても、該当するカゴの状態に関する情報を格納することができる。
発生人数推定入力SA07にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)でもよいし、所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時を時刻(SA071)及び曜日(SA072)で示しておけばよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図19に示されたのは一例であり、発生人数データ生成SP010にて生成されるデータを表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように発生人数推定入力SA07を変更することができる。
図20は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する発生人数推定モデルSA08の説明図である。
発生人数推定モデルSA08は、発生人数モデル処理SP01内の発生人数推定モデル生成SP011にて生成されるデータを格納するテーブルである。生成されるデータは、「発生人数=f(乗降人数、カゴ状態、外部情報)」とした時の関数fである。発生人数、乗降人数、及びカゴ状態は、発生人数推定入力SA07として取得され、外部情報は、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05、及び外部情報(建屋情報)SA06から取得される。
発生人数推定ID(SA080)は、発生人数推定モデルを識別するためのIDである。階床(SA081)は、生成した推定モデルの対象とした階床である。方向(SA082)は、生成した推定モデルの対象とした方向である。時刻(SA083)は、生成した推定モデルの対象とした時刻である。曜日(SA084)は、生成した推定モデルの対象とした曜日である。時間幅(SA082)は、生成した推定モデルの対象とした時間幅である。
以降のカラムには関数fの係数が格納される。発生人数推定入力SA07のカゴ別乗降人数(SA076)、カゴ状態(SA07B)、または、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05及び外部情報(建屋情報)SA06の中から選択された一つ以上の項目のデータを特徴量とする。そして、それらの特徴量を説明指標とし、発生人数(SA074)を目的指標として、重回帰分析をすることによって、特徴量の係数を求めることができる。乗降人数係数1(SA085)、カゴ状態係数1(SA087)、外部変数係数1(SA088)は、分析によって求めた特徴量の係数である。特徴量毎に係数が求まるため、特徴量毎の係数を格納することが望ましい。
発生人数を推定するモデルを生成する手法として、重回帰分析以外の分析手法を用いてもかまわない。
発生人数推定モデルSA08にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)でもよいし、所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時を時刻(SA083)及び曜日(SA084)で示しておけばよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図20に示されたのは一例であり、発生人数推定モデル生成SP011にて生成されるモデルを表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように発生人数推定モデルSA08を変更することができる。
図21は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する発生人数推定結果SA09の説明図である。
発生人数推定結果SA09は、発生人数推定処理SP02内の発生人数推定SP020にて生成されるデータを格納したテーブルである。発生人数推定SP020では、格納した発生人数推定モデル(関数f)と現時刻の乗降人数とカゴ状態と外部変数を入力とし、階床別に発生する人数を推定する。図21の発生人数推定結果SA09にはその結果が格納される。
発生人数推定ID(SA090)は、発生人数推定を識別するためのIDである。日付(SA092)は発生人数を推定した日付である。時刻(SA093)は、発生人数を推定した時刻である。曜日(SA094)は、発生人数を推定した曜日である。時間幅(SA092)は、発生人数を推定した時間幅である。階床(SA093)は発生人数を推定した階床である。場所(SA094)は、発生人数推定した場所である。発生人数(SA095)は推定した発生人数である。
発生人数推定結果SA09にデータが記入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)でもよいし、所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時を日付(SA092)、時刻(SA093)及び曜日(SA094)で示しておけばよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図21に示されたのは一例であり、発生人数推定SP020にて生成される発生人数を表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように発生人数推定結果SA09を変更することができる。
図22は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する発生人数予測結果SA10の説明図である。
発生人数予測結果SA10は、発生人数予測処理SP03内の発生人数推定SP020にて生成されるデータを格納したテーブルである。発生人数予測SP030では、発生人数予測部SA34は、発生人数推定処理SP02で求めた発生人数推定結果SA09及び外部情報を使って、未来の発生人数を推定する処理を行う。図22の発生人数予測結果SA10にはその結果が格納される。
図7を参照して説明したように、発生人数予測SP030の入力は、分析に使用する時間幅(例えば、過去10分間)、発生人数推定結果SA09、外部情報(天候)SA04、外部情報(カメラ)SA05、及び外部情報(建屋情報)SA06であり、出力は未来の発生人数である。
発生人数を予測する手法としては例えばARモデル(自己回帰モデル)などがあるが、ARモデル以外の分析手法を用いてもかまわない。
発生人数予測ID(SA100)は、行われた発生人数予測を識別するためのIDである。日付(SA101)、時刻(SA102)及び曜日(SA103)は、それぞれ、分析対象の(すなわち分析を行った時点の)日付、時刻及び曜日である。予測時刻(SA104)は、分析対象を予測した時刻である(すなわちその時刻における発生人数が予測される)。時間幅(SA105)は、分析対象の時間幅である。階床(SA106)は、分析対象の階床である。場所(SA107)は、分析対象の場所である。発生人数(SA108)は、分析対象を予測した時刻の発生人数である。
例えば、図22の発生人数予測結果SA10の先頭の行は、2017年6月27日火曜日10時6分1秒からの5分間に3階のエレベータフロアの発生人数を予測する処理が、同日の午前10時1分1秒に実行され、その結果、発生人数が12人であると予測されたことを示している。
発生人数予測結果SA10に代入されるタイミングは、イベント毎(例えば、実際に変動があった時など)でもよいし、所定の周期毎(例えば、1ミリ秒毎、1秒毎、1分毎ごとなど)でもよい。実際に記入した日時を日付(SA101)、時刻(SA102)及び曜日(SA103)で示しておけばよい。また、本テーブルに指定した全てのデータが格納されている必要はない。
図22に示されたのは一例であり、発生人数予測SP030にて発生人数予測を表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように発生人数予測結果SA10を変更することができる。
図23は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する発生人数予測結果2_SA11の説明図である。
発生人数予測結果2_SA11は、発生人数予測処理SP03内の形式変換SP031にて生成される発生人数予測を形式変換したものを格納するテーブルである。
形式変換SP031では、発生人数予測部SA34は、発生人数予測結果SA10を使って、ポアソン分布を用いて単位時間当たりの人数別の発生確率を求める。図23の発生人数予測結果2_SA11にはその結果が格納される。
ポアソン分布の公式は、下記の式(1)のとおりである。k人以上が発生する確率P(k)は、式(1)のλに階床別の発生人数を代入することで求めることができる。
上記の例は、発生人数の確率分布がポアソン分布に従うとの仮定に基づいて発生人数ごとの発生確率を求める手法である。しかし、発生人数の確率を求めるために、ポアソン分布を用いる手法以外の分析手法を用いてもかまわない。
発生人数予測ID(SA110)は、行われた発生人数予測を識別するためのIDである。日付(SA111)、時刻(SA112)及び曜日(SA113)は、それぞれ、分析対象の(すなわち分析を行った時点の)日付、時刻及び曜日である。予測時刻(SA114)は、分析対象を予測した時刻である(すなわちその時刻における発生確率が予測される)。時間幅(SA115)は、分析対象の時間幅である。階床(SA116)は、分析対象の階床である。場所(SA117)は、分析対象の場所である。1以上発生する確率(SA118)は、単位時間に1以上の人物が発生する確率である。2以上発生する確率(SA119)は、単位時間に2以上の人物が発生する確率である。単位時間としては時間幅(SA115)を用いてもかまわない。
例えば、図23の発生人数予測結果2_SA11の先頭の行は、図22の発生人数予測結果SA10の先頭の行に記入された予測結果に対応する例を示している。すなわち、図23の発生人数予測結果2_SA11の先頭の行は、3階のエレベータフロアに発生すると予測された人数「12人」から、単位時間に当該3階のエレベータフロアに1以上の人物が発生する確率が90%であり、2以上の人物が発生する確率が75%であると予測されたことを示している。図23では省略されているが、同様に、3以上の人物が発生する確率、4以上の人物が発生する確率等も計算され、発生人数予測結果2_SA11に記入される。
図23に示されたのは一例であり、形式変換SP031にて発生人数予測を表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように発生人数予測結果2_SA11を変更することができる。
図24は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する時間帯別行き先階推定SA12の説明図である。
時間帯別行き先階推定SA12は、行き先階推定処理SP04によって生成されるデータを格納するテーブルである。行き先階推定処理SP04では、行き先階推定部SA35は、階床別乗降人数(SA02)を使って時間帯別に行き先を推定するモデルの生成を行う。具体的には、行き先階推定部SA35は、時間帯ごとに階床別に降車人数をカウントし、階床別の降車人数の傾向を求める。そして、全体を100%とした推定値に変換する。図24の時間帯別行き先階推定SA12にはその結果が格納される。
行き先階推定ID(SA120)は、行われた行き先階推定を識別するためのIDである。日付(SA121)、時刻(SA122)、曜日(SA123)及び時間幅(SA124)は、それぞれ、分析対象の日付、時刻、曜日及び時間幅である。乗り階床(SA125)は、乗車した階床である。方向(SA126)は、カゴが進む方向である。行き先階(SA127)は、降車した階床である。エレベータが停止するフロアに対して、全体が100%とした推定値が記入される。
例えば、図24の先頭の行は、2017年6月27日火曜日午前10時1分1秒からの60分間に、上方向に進むカゴに3階から乗った人物の10%が26階で降り、別の10%が27階で降りたことが、乗降人数SA02から推定されたことを示している。図24では他の階で降りた人物の割合は省略されているが、3階から乗った人物行き先になり得る全ての階について計算された割合を合計すると100%となる。他の階からの行き先階についても同様に割合が計算される。本実施形態では、これらの割合が、各階の乗り場に現れた人物の行き先階がその階になる確率である行き先階確率として使用される。
なお、例えば外部情報(カメラ)SA05等に基づいて、各階でカゴに乗った人物と、各階でカゴから降りた人物とが同一人物であるかを判定できる場合には、その判定結果に基づいて、各階から乗った人物がそれぞれどの階で降りたかを特定し、それに基づいて、例えば3階から乗った人物のうち26階で降りた人物の割合が10%であるなど、各階から乗った人物の行き先階の割合を計算することができる。しかし、上記のような外部情報が利用できない場合、例えば、カゴの重さから各階で乗り降りした人数を推定するなど、乗り降りした個々の人物を識別できない場合には、何らかの仮定に基づいて近似的に行き先階の割合が計算されてもよい。
例えば、日付(SA121)、時刻(SA122)、曜日(SA123)及び時間幅(SA124)によって特定される時間帯に各階で降りた人物の数を集計し、3階以外の階で降りた人物の数の合計に対する、26階で降りた人物の数の割合を、3階で乗った人物のうち26階で降りた人物の割合(すなわち3階で乗った人物の行き先階が26階である確率)として計算してもよい。その場合、他の階で降りた人物の割合、及び、他の階から乗って各階で降りた人物の割合も同様の方法で計算される。
図24に示されたのは一例であり、行き先階推定処理SP04にて行き先階推定を表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように時間帯別行き先階推定SA12を変更することができる。
図25は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する時間帯別行き先階予測結果SA13の説明図である。
時間帯別行き先階予測結果SA13は、行き先階予測処理SP05内の時間帯別行き先階予測SP051にて生成されるデータを格納するテーブルである。時間帯別行き先階予測SP051では、行き先階予測部SA36は、入力データとして、時間帯別行き先階推定SA12及び発生人数予測結果2_SA11を用いて、これらを組み合わせることで、発生した人々がどのフロアに訪れるかを予測することができる。具体的には、階床別に発生予測時刻の発生確率に、同じ時刻の行き先階推定を掛け合わせればよい。
上記に示した時間帯別行き先階予測手法は1例であり、他の手法を用いてもかまわない。図25の時間帯別行き先階予測結果SA13にはその結果が格納される。
行き先階予測ID(SA130)は、行われた行き先階予測を識別するためのIDである。日付(SA131)、時刻(SA132)及び曜日(SA133)は、それぞれ、分析対象の(すなわち分析を行った時点の)日付、時刻及び曜日である。予測時刻(SA134)は、分析対象を予測した時刻である(すなわちその時刻における発生確率が予測される)。時間幅(SA135)は、分析対象の時間幅である。乗り階床(SA136)は、分析対象の乗り階床である。行き先階床(SA137)は、分析対象の行き先階床である。方向(SA138)は、分析対象のカゴが進む方向である。1人以上が発生する確率(SA139)は、単位時間に1以上の人物が発生する確率である。2人以上が発生する確率(SA13A)は、単位時間に2以上の人物が発生する確率である。単位時間としては時間幅(SA135)を用いてもかまわない。
例えば、図25の時間帯別行き先階予測結果SA13の先頭の行は、図23の発生人数予測結果2_SA11の先頭の行に記入された予測結果と、図24の時間帯別行き先階推定SA12の先頭の行に記入された推定結果とに対応する例を示している。すなわち、図25の時間帯別行き先階予測結果SA13の先頭の行は、単位時間に、3階のエレベータフロアに、上方向のカゴにのって26階で降りようとする1以上の人物が発生する確率が9%であり、2以上の人物が発生する確率が7.5%であると予測されたことを示している。
この例において、「9%」は、図23の先頭の行の1以上発生する確率(SA118)である「90%」に、図24の先頭の行の行き先階(SA127)の26階に対応する値「10%」を掛けることによって得られる。「7.5%」は、図23の先頭の行の2以上発生する確率(SA119)である「75%」に、図24の先頭の行の行き先階(SA127)の26階に対応する値「10%」を掛けることによって得られる。
図25に示されたのは一例であり、時間帯別行き先階予測SP051にて時間帯別行き先階予測を表現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように時間帯別行き先階予測結果SA13を変更することができる。
図26は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持するルール/制御テンプレートSA14の説明図である。
ルール/制御テンプレートSA14は、エレベータの運行ルール/制御パラメータのテンプレートを格納するテーブルである。ここで、運行ルールとは、制御盤CAが群管理の対象となるエレベータの複数のカゴの運行を制御するために適用されるルールであり、制御パラメータは、各運行ルールにおいて変更可能なパラメータである。本実施形態において、運行ルールと、それに含まれる制御パラメータとを併せて運行ルール/制御パラメータと記載する。また、運行ルールを単にルール、制御パラメータを単にパラメータと記載する場合がある。
ルール/制御テンプレートSA14を用いることで、最適な運行ルール/制御パラメータを探索することができる。探索する方法は2ステップからなる。第1のステップはルール/制御No(SA140)の探索である。これは数多くある運行ルール/制御パラメータの中からKPIを向上させるのにふさわしい制御パラメータを選択するステップである。第2のステップはパラメータ値(初期値)(SA144)の探索である。探索の対象は、制御パラメータ内でコントロール可能なパラメータ値である。これを探索することで、より最適な制御パラメータを求めることが可能である。
ルール/制御No(SA140)は、運行ルール/制御パラメータを識別するためのIDである。ルール名称(SA141)は、運行ルール/制御パラメータの名称である。条件(SA142)は、運行ルール/制御パラメータの動作条件である。パラメータ値(初期値)(SA143)は、運行ルール/制御パラメータ内のコントロール可能なパラメータである。例えばルール/制御No「Ru01」に対応するルールである「5分後、○階からの直行便」では、○の部分(この例では階床の番号)がコントロール可能なパラメータとなっている。係数(初期係数)(SA145)は回帰式などを求める際の係数である。パラメータ値(初期値)(SA143)及び係数(初期係数)(SA145)は最適化処理を繰り返して行うことによって格納されている値を変化させることができる。
図26に示されたのは一例であり、エレベータの運行ルール/制御パラメータを実現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するようにルール/制御テンプレートSA14を変更することができる。
図27は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持するKPIリストSA15の説明図である。
KPIリストSA15は、最適な運行ルール/制御パラメータを探索する際の評価指標であるKPI(key performance indicator)を格納するテーブルである。KPIはビル毎に異なる場合があるため、ビルごとのKPIを利用フラグ(SA155)によって事前に設定しておく。その際に、KPIの目標値(SA154)も設定しておく。
KPIID(SA150)は、KPIを識別するためのIDである。分類(SA151)は、KPIを分類したものである。具体的には、分類(SA151)は、このKPIを改善することによって、誰に恩恵があるかを示したものである。
名称(SA152)は、KPIの名称である。条件(SA153)は、KPIの内容を示している。目標値(SA154)は、条件(SA153)における変更可能なパラメータ値の部分(図27の例では○の部分)の目標値を示している。ここはビル毎に異なるために、利用する前に設定される。利用フラグ(SA155)は、複数あるKPIから今回の最適化を実施する際に用いるKPIを指定する。利用フラグ(SA155)は1の場合には指定するという意味である。また、複数のKPIを指定してもよい。
図27の例では、KPIとして、乗り場に現れた人物がカゴに乗るまでの待ち時間、乗り場の混雑率、及び、フロアの電気使用量(すなわちカゴを動かすための消費電力量を含む量)を示している。これらの例では、例えば、最大待ち時間が短くなる運行ルール/制御パラメータ、乗り場の混雑率が低くなる運行ルール/制御パラメータ、及び、電気使用量が小さくなる運行ルール/制御パラメータが、適切な運行ルール/制御パラメータと評価される。
しかし上記は一例であり、上記以外のKPIが指定されてもよい。例えば、異なる階から乗る複数の人物が同じカゴに乗り合わせる率が小さいほど評価が高くなるようなKPIが使用されてもよい。これによって、エレベータの関係者(例えば利用者又は管理者等)の望みに応じて、当該関係者が不満を感じにくいカゴの制御を実現することができる。
図27に示されたのは一例であり、エレベータの運行ルール/制御パラメータを実現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するようにKPIリストSA15を変更することができる。
図28は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持するシミュレーションの入力と結果SA16の説明図である。
シミュレーションの入力と結果SA16は、KPIシミュレーション処理SP11によって処理した結果を格納するテーブルである。KPIシミュレーション処理SP11では入力として、発生した状況を示す発生人数予測結果2_SA11、時間帯別行き先階予測結果SA13、制御パラメータを示すルール/制御テンプレートSA14、及び、最適化の目標となるKPIが格納されているKPIリストSA15を用いる。これらのデータを使うことで、人々が発生した状態でのKPIが高まるような運行ルール/制御パラメータを求めることができる。
KPIシミュレーション処理SP11では、人々が発生した状態で、ある運行ルール/制御パラメータを用いたときのKPIを出力する処理を、運行ルール/制御パラメータを変更しながら複数回実施する。その結果がシミュレーションの入力と結果SA16である。
KPIシミュレーションID(SA160)は、KPIシミュレーションを識別するIDである。回数(SA161)は、KPIシミュレーションを複数実施した時の回数である。ルール制御リスト1(SA162)は、各回のシミュレーションで使用した運行ルール/制御パラメータの1組を示したものである。ルール/制御No(SA163)は、運行ルール/制御パラメータを識別するためのIDである。パラメータ値(SA164)は、今回の制御に用いたコントロールパラメータである。係数(SA165)は、回帰式などを求める際の係数である。ルール制御リストは1回のシミュレーションについて複数個格納することができる。KPIID(SA166)は、KPIを識別するためのIDである。KPIシミュレーション結果(SA167)は、ルール制御リストを用いてKPIシミュレーションしたときの結果として得られるKPIの値である。
図28に示されたのは一例であり、エレベータの運行ルール/制御パラメータを実現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するようにシミュレーションの入力と結果SA16を変更することができる。
図29は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する有効ルール/パラメータSA17の説明図である。
有効ルール/パラメータSA17は、図28で示したシミュレーションの入力と結果SA16から、最適化に寄与している(すなわち有効な)運行ルール/制御パラメータを求めた結果を格納するテーブルである。ルール/パラメータ評価部SA38は、図28で示したシミュレーションの入力と結果SA16を入力とし、目的変数をKPIシミュレーション結果とし、説明変数をルール制御リストとして複数回分の結果を用いて、重回帰分析をすることができる。ただし、最適化に寄与しているルール制御パラメータを特定できればよく、そのために重回帰分析以外の手法を用いてもかまわない。
有効ルール/パラメータID(SA170)は、有効な運行ルール/制御パラメータを識別するためのIDである。有効ルール制御リスト1(SA171)は、重回帰分析をした際に一番寄与しているルール制御パラメータである。ルール/制御No(SA172)は、運行ルール/制御パラメータを識別するIDである。パラメータ値(SA173)は、今回の処理によって用いたコントロールパラメータ値である。係数(SA174)は、重回帰分析によって求めた係数であり、最適化に寄与している程度を示した値である。これを参照することによって、有効な(すなわちKPIの向上に寄与する)運行ルール/制御パラメータが特定される。有効ルール制御リストは複数個格納することができる。KPIID(SA175)は、KPIを識別するためのIDである。予測値(SA176)は、重回帰分析によって求めた回帰式を用いて予測したKPIの値である。
図29に示されたのは一例であり、エレベータの運行ルール/制御パラメータを実現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように有効ルール/パラメータSA17を変更することができる。
図30は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持する有効ルール/パラメータの細分化リストSA18の説明図である。
図29で示した有効ルール/パラメータSA17の中から特定された、最適化に寄与が高い運行ルール/制御パラメータに対して、コントロールパラメータ値を細分化することで、さらなる最適化を実現することができる。有効ルール/パラメータSA17の有効ルール制御リスト内で、係数(SA174)が大きい運行ルール/制御パラメータが選択される。そして、ルール/パラメータ評価部SA38は、選択された運行ルール/制御パラメータについて、有効ルール/パラメータの細分化処理SP14を実行する。具体的には、ルール/パラメータ評価部SA38は、選択された運行ルール/制御パラメータに含まれる制御パラメータ値を増減させることで、より最適化された運行ルール/制御パラメータを探索することができる。
有効ルール/パラメータ詳細化ID(SA180)は、有効ルール/パラメータ詳細化を識別するためのIDである。有効ルール/パラメータID(SA181)は、有効な運行ルール/制御パラメータを識別するためのIDである。有効ルール制御リスト1(SA182)は、重回帰分析によって一番寄与していると推定されるルール制御パラメータである。ルール/制御No(SA183)は、運行ルール/制御パラメータを識別するIDである。パラメータ値(SA184)は、今回の処理によって用いたコントロールパラメータ値である。係数(SA185)は、重回帰分析によって求めた係数であり、最適化に寄与している値である。パラメータ値の細分化範囲(SA186)は、有効ルール/パラメータの細分化処理SP14によって求めた値である。有効ルール制御リストは、複数個格納することができる。KPIID(SA187)は、KPIを識別するためのIDである。予測値(SA188)は、重回帰分析によって求めた回帰式を用いて予測したKPIの値である。また、ルール/パラメータ評価部SA38は、ルール/制御テンプレートSA14の中から数個の運行ルール/制御パラメータをランダムに選択してもよい。
図30に示されたのは一例であり、エレベータの運行ルール/制御パラメータを実現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するように有効ルール/パラメータの細分化リストSA18を変更することができる。
図31は、本発明の実施形態の分析サーバSAが保持するルール/パラメータリストSA19の説明図である。
ルール/パラメータリストSA19は、図29の有効ルール/パラメータSA17から、実運用上で使用する運行ルール/制御パラメータを選択したものを格納したテーブルである。有効ルール制御リストの運行ルール/制御パラメータの中で係数(SA174)の値が大きいものを寄与率が高い運行ルール/制御パラメータであると判断している。
ルール/パラメータID(SA190)は、運行ルール/制御パラメータを識別するIDである。有効ルール制御1位(SA191)は、重回帰分析の結果、寄与の度合いが最も大きいと推定されるルール制御パラメータである。ルール/制御No(SA192)は、運行ルール/制御パラメータを識別するIDである。パラメータ値(SA193)は、今回の処理によって用いたコントロールパラメータ値である。係数(SA194)は、重回帰分析によって求めた係数であり、最適化に寄与している値である。
有効ルール制御2位(SA195)は、重回帰分析の結果、寄与の度合いが2番目に大きいと推定される運行ルール/制御パラメータである。ルール/制御No(SA196)は、今回の処理によって用いたコントロールパラメータ値である。パラメータ値(SA197)は、今回の処理によって用いたコントロールパラメータ値である。係数(SA198)は、重回帰分析によって求めた係数であり、最適化に寄与している値である。
KPIID(SA199)は、KPIを識別するためのIDである。予測値(SA19A)は、重回帰分析によって求めた回帰式を用いて予測した値である。
ルール/パラメータリストSA19は、制御セレクターSP06に送られる。制御セレクターSP06は、ルール/パラメータリストSA19に基づいて、KPIを改善するための運行ルール/制御パラメータを指示する入力コマンドCA0を生成して、制御盤CAに送信する。制御盤CAは、入力コマンドCA0に基づいて、既に設定されている運行ルール/制御パラメータを指示されたものに変更して、変更後の運行ルール/制御パラメータに基づいてカゴを制御する。これによって、KPIを改善するエレベータの制御が実現される。
図31に示されたのは一例であり、エレベータの運行ルール/制御パラメータを実現する際に、必要なデータがあれば、そのデータを追加するようにルール/制御パラメータリストSA19を変更することができる。
本実施形態で説明した処理は、分析サーバSAの実行部SA3の中で実行されているが、その一部又は全部が、制御盤CAによって実行されてもよい。例えば、制御盤CAが図1Bに示した分析サーバSAと同様のハードウェアを有し、これらのハードウェアによって分析サーバSAの機能の少なくとも一部が実現されてもよい。
図32は、本発明の実施形態の分析サーバSAによって出力されるビル個別化レポートSA20の説明図である。
ビル個別化レポートSA20は、ルール/パラメータ評価部SA38が表示/制御データ生成処理SP15において生成し、表示部SA1に送信する。表示部SA1(例えば出力装置103として実装された表示装置)は、受信したビル個別化レポートSA20を表示する。
ビル個別化レポートSA20は、例えば、図32に示すように、ビル名称3201、エレベータバンク名称3202、期間3203、KPI3204及び結果3205を含む。
エレベータバンク名称3202及びビル名称3201は、図2に示した各処理の実行の対象となったエレベータバンク及びそれが設置されている建物の名称であり、図12に示したバンク名称(SA002)及びビル名称(SA007)に対応する。期間3203は、シミュレーションの対象となる期間である。KPI3204は、ルール/パラメータ評価部SA38の処理において評価の対象として選択された評価指標であり、図27に示した利用フラグ(SA155)が有効になっているKPIに対応する。結果3205は、ルール/パラメータ評価部SA38の処理の結果、選択された有効な運行ルール/制御パラメータであり、ルール/パラメータリストSA19に登録された運行ルール/制御パラメータに対応する。
エレベータの管理者は、ビル個別化レポートSA20を参照することによって、KPI3204として表示された評価指標を改善するために必要な運行ルール/制御パラメータの変更内容を把握することができる。管理者は、把握した運行ルール/制御パラメータの変更を手動で制御盤CAに設定してもよい。これによって、KPIを改善するエレベータの制御が実現される。
以上、本実施形態によれば、階床乗降人数からエレベータホールの発生人数を予測し、その予測結果に適した制御方法を生成し、その制御方法を利用者からの不満に関連する指標を用いて評価することで、最適なエレベータ制御を実現できる。例えば、将来の混雑が予測される時刻の付近で円滑に乗り場にカゴを配車することによって、乗り場にいる利用者に長い待ち時間が発生することが抑制され、利用者の輸送能力の向上及びそれによる利用者の満足度の向上を図ることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。