[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による固体撮像装置及びその駆動方法について、図1乃至図12を用いて説明する。
はじめに、本実施形態による固体撮像装置の構造について、図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施形態による固体撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、第1実施形態による固体撮像装置の単位画素の構成例を示す回路図である。図3は、本実施形態による固体撮像装置における撮像光学系の概念図である。図4は、本実施形態による固体撮像装置の垂直走査回路の構成例を示す図である。
本実施形態による固体撮像装置100は、図1に示すように、画素領域10と、垂直走査回路20と、列読み出し回路30と、水平走査回路40と、出力回路50と、制御回路60とを有している。
画素領域10には、複数行及び複数列に渡ってマトリクス状に配された複数の単位画素12が設けられている。図1には、単位画素行V1から単位画素行Vnまでのn個の単位画素行を含む画素領域10を示している。それぞれの単位画素行は、行方向に1列に配された複数の単位画素12を含む。画素領域10に配される画素アレイの行数及び列数は、特に限定されるものではない。また、画素領域10には、撮像信号や焦点検出用信号を検出する単位画素12のほかに、遮光されたオプティカルブラック画素や信号を出力しないダミー画素等の他の画素(図示せず)が配置されていてもよい。
画素領域10の画素アレイの各単位画素行には、第1の方向(図1において横方向、一例では水平方向)に延在して、制御信号線14が配されている。制御信号線14は、第1の方向に並ぶ単位画素12にそれぞれ接続され、これら単位画素12に共通の信号線をなしている。本明細書では、制御信号線14の延在する第1の方向を、行方向と表記することがある。また、画素領域10の画素アレイの各列には、第1の方向と交差する第2の方向(図1において縦方向、一例では垂直方向)に延在して、垂直出力線16が配されている。垂直出力線16は、第2の方向に並ぶ単位画素12にそれぞれ接続され、これら単位画素12に共通の信号線をなしている。本明細書では、垂直出力線の延在する第2の方向を、列方向と表記することがある。
各単位画素行の制御信号線14は、垂直走査回路20に接続されている。垂直走査回路20は、単位画素12から画素信号を読み出す際に単位画素12内の読み出し回路を駆動するための制御信号を、制御信号線14を介して単位画素12に供給する回路部である。各列の垂直出力線16の一端は、列読み出し回路30に接続されている。単位画素12から読み出された画素信号は、垂直出力線16を介して列読み出し回路30に入力される。列読み出し回路30は、単位画素12から読み出された画素信号に対して所定の信号処理、例えば増幅処理やAD変換処理等の信号処理を実施する回路部である。列読み出し回路30は、差動増幅回路、サンプルホールド回路、AD変換回路等を含み得る。
水平走査回路40は、列読み出し回路30で処理された画素信号を列毎に順次、出力回路50に転送するための制御信号を、列読み出し回路30に供給する回路部である。出力回路50は、バッファアンプ、差動増幅器などから構成され、列読み出し回路30から読み出された画素信号を固体撮像装置100の外部の信号処理部に出力するための回路部である。制御回路60は、垂直走査回路20、列読み出し回路30、水平走査回路40及び出力回路50の動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給するための回路部である。制御回路60は、垂直走査回路20、列読み出し回路30、水平走査回路40及び出力回路50の動作やそのタイミングを制御する制御信号の少なくとも一部は、固体撮像装置100の外部から供給してもよい。
それぞれの単位画素12は、例えば図2に示す回路により構成され得る。図2に示す単位画素12は、光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2と、転送トランジスタMA1,MB1,MA2,MB2と、リセットトランジスタM3と、増幅トランジスタM4と、選択トランジスタM5とを含む。
光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2は、例えばフォトダイオードである。光電変換部DA1は、アノードが接地電圧線に接続され、カソードが転送トランジスタMA1のソースに接続されている。光電変換部DB1は、アノードが接地電圧線に接続され、カソードが転送トランジスタMB1のソースに接続されている。光電変換部DA2は、アノードが接地電圧線に接続され、カソードが転送トランジスタMA2のソースに接続されている。光電変換部DB2は、アノードが接地電圧線に接続され、カソードが転送トランジスタMB2のソースに接続されている。
転送トランジスタMA1,MB1,MA2,MB2のドレインは、リセットトランジスタM3のソース及び増幅トランジスタM4のゲートに接続されている。転送トランジスタMA1,MB1,MA2,MB2のドレイン、リセットトランジスタM3のソース及び増幅トランジスタM4のゲートの接続ノードは、いわゆるフローティングディフュージョン(FD)ノードである。FDノードが有する容量成分は、光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2から転送される電荷の保持部として機能するとともに、電荷電圧変換部としても機能する。
リセットトランジスタM3のドレイン及び増幅トランジスタM4のドレインは、電源電圧VDDを供給する電源電圧線に接続されている。増幅トランジスタM4のソースは、選択トランジスタM5のドレインに接続されている。選択トランジスタM5のソースは、垂直出力線16に接続されている。垂直出力線16の他端には、電流源18が接続されている。
図2に示す単位画素12の場合、制御信号線14は、転送ゲート信号線TXA1,TXB1,TXA2,TXB2、リセット信号線RES、選択信号線SELを含む。転送ゲート信号線TXA1は、転送トランジスタMA1のゲートに接続される。転送ゲート信号線TXB1は、転送トランジスタMB1のゲートに接続される。転送ゲート信号線TXA2は、転送トランジスタMA2のゲートに接続される。転送ゲート信号線TXB2は、転送トランジスタMB2のゲートに接続される。リセット信号線RESは、リセットトランジスタM3のゲートに接続される。選択信号線SELは、選択トランジスタM5のゲートに接続される。
光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2は、入射光をその光量に応じた量の電荷に変換(光電変換)するとともに、生じた電荷を蓄積する。転送トランジスタMA1は、オンすることにより光電変換部DA1の電荷をFDノードに転送する。転送トランジスタMB1は、オンすることにより光電変換部DB1の電荷をFDノードに転送する。転送トランジスタMA2は、オンすることにより光電変換部DA2の電荷をFDノードに転送する。転送トランジスタMB2は、オンすることにより光電変換部DB2の電荷をFDノードに転送する。転送トランジスタMA1,MB1,MA2,MB2は、光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2の電荷をFDノードに転送する電荷転送部を構成する。
FDノードは、その容量による電荷電圧変換によって、光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2から転送された電荷の量に応じた電圧となる。増幅トランジスタM4は、ドレインに電源電圧VDDが供給され、ソースに選択トランジスタM5を介して電流源18からバイアス電流が供給される構成となっており、ゲートを入力ノードとする増幅部(ソースフォロワ回路)を構成する。これにより増幅トランジスタM4は、FDノードの電圧に基づく信号を、選択トランジスタM5を介して垂直出力線16に出力する。リセットトランジスタM3は、オンすることによりFDノードを電源電圧VDDに応じた電圧にリセットする。この際、転送トランジスタMA1,MB1,MA2,MB2がオンすることにより、光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2のリセットも可能である。リセットトランジスタM3は、転送トランジスタMA1,MB1,MA2,MB2とともに、光電変換部DA1,DB1,DA2,DB2をリセットするリセット部を構成する。
光電変換部DA1,DB1の光入射方向には共通のマイクロレンズML1が配されており、瞳分割された光が光電変換部DA1と光電変換部DB1とにそれぞれ入射するようになっている。例えば、図3に示すように、光電変換部DA1,DB1の上にはカラーフィルタCF及びマイクロレンズML1が配されている。撮像レンズの瞳70を通過した光は、マイクロレンズML1及びカラーフィルタCFを通過して、光電変換部DA1,DB1へと入射する。このとき、光電変換部DA1には、撮像レンズの瞳70のうちの一部の瞳領域72aを通過した光束が入射するようになっている。また、光電変換部DB1には、撮像レンズの瞳70のうちの他の一部の瞳領域72bを通過した光束が入射するようになっている。光電変換部DA1により取得される被写体像をA像、光電変換部DB1により取得される被写体像をB像とすると、A像とB像との相対位置を検出することで、被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)を検出することができる。すなわち、位相差方式の焦点検出が可能になる。また、光電変換部DA1で生成された電荷に基づく信号と、光電変換部DB1で生成された電荷に基づく信号とを合算した信号は、撮像信号として利用可能である。
同様に、光電変換部DA2,DB2の光入射方向には共通のマイクロレンズML2が配されており、瞳分割された光が光電変換部DA2と光電変換部DB2とにそれぞれ入射するようになっている。このように構成することで、光電変換部DA2で生成された電荷に基づく信号と、光電変換部DB2で生成された電荷に基づく信号とを用いて、位相差方式の焦点検出が可能である。また、光電変換部DA2で生成された電荷に基づく信号と、光電変換部DB2で生成された電荷に基づく信号とを合算した信号は、撮像信号として利用可能である。
一例では、光電変換部DA1と光電変換部DB1とは、行方向に並べて配置される。また、光電変換部DA2と光電変換部DB2とは、行方向に並べて配置される。光電変換部DA1及び光電変換部DB1(マイクロレンズML1)と、光電変換部DA2及び光電変換部DB2(マイクロレンズML2)とは、列方向に並べて配置される。
なお、光電変換部DA1と光電変換部DB1、光電変換部DA2と光電変換部DB2は、列方向に並べて配置されていてもよい。また、光電変換部DA1及び光電変換部DB1(マイクロレンズML1)と、光電変換部DA2及び光電変換部DB2(マイクロレンズML2)とは、行方向に並べて配置されていてもよい。
光電変換部DA1,DB1と光電変換部DA2,DB2とは、互いに異なるマイクロレンズML1,ML2を通過した光に基づく信号を出力するものであり、互いに異なる画素の要素でもある。換言すると、それぞれの単位画素12は、光電変換部DA1,DB1を含む瞳分割画素と、光電変換部DA2,DB2を含む瞳分割画素とを有している。光電変換部DA1,DB1を含む画素と、光電変換部DA2,DB2を含む画素とは、FDノード、リセットトランジスタM3、増幅トランジスタM4及び選択トランジスタM5を共有している。また、それぞれの単位画素行は、光電変換部DA1,DB1を含む画素が複数配された画素行と、光電変換部DA2,DB2を含む画素が複数配された画素行との2つの画素行を有するといえる。この場合、画素領域10の画素アレイに含まれる画素行の数は、2n行となる。1つの単位画素行に属する画素のうち、同じ列に配された光電変換部DA1,DB1を含む画素と光電変換部DA2,DB2を含む画素とは、保持部(FDノード)を共有している。換言すると、複数の画素行は、保持部を単位とする複数の単位画素行を構成している。
以下の説明において、単位画素12の2つの画素を区別する必要のない場合には、光電変換部DA1,DB1又は光電変換部DA2,DB2を、光電変換部DA,DBと表記することがある。また、転送トランジスタMA1,MB1又は転送トランジスタMA2,MB2を、転送トランジスタMA,MBと、表記することがある。
図4は、垂直走査回路20の任意の第m行の駆動に関わる部分の構成を示す回路図である。なお、図4の説明における1行の単位は、単位画素行ではなく、画素行である。
垂直走査回路20は、図4に示すように、デコーダ部22と、画素領域10の画素行毎に設けられた走査回路部24とを有している。走査回路部24は、論理生成部26と、論理生成部26の出力信号や外部信号に応じて単位画素12の制御信号を生成する論理回路とを有している。
制御回路60は、デコーダ部22及び走査回路部24に、所定の制御信号を供給する。デコーダ部22は、制御回路60から供給された制御信号をもとに行アドレスを選択する。例えば、第m行目の走査回路部24には、デコーダ部22からデコーダ信号DEC[m]が供給される。制御回路60から総ての行の走査回路部24に供給される複数の制御信号のうち、一定の間隔で行の選択を行うための行選択ラッチパルスは、共通配線から各行の走査回路部24へと供給される。
論理生成部26は、デコーダ部22から供給されるデコーダ信号DEC[m]と制御回路60から供給される行選択ラッチパルスとに応じて、配線111に行選択信号を出力する。走査回路部24は、この行選択信号と外部PSEL信号との論理積をとり、選択信号線SELに供給される制御信号φSEL[m]を生成する。
また、論理生成部26は、デコーダ信号DEC[m]と行選択ラッチパルスとに応じて、配線112にリセット信号を出力する。走査回路部24は、このリセット信号と外部PRESB信号との否定論理積をとり、リセット信号線RESに供給される制御信号φRES[m]を生成する。ここで、配線112に出力されるリセット信号は、配線111に出力される選択信号のトリガとなる行選択ラッチパルスよりも1周期前の行選択ラッチパルスのタイミングでハイレベルとなる。つまり、制御信号φSEL[m]の生成よりも1行先立って制御信号φRES[m]が生成される。これは、FDノードを共有する複数の画素行を読み出す場合に、これら複数の画素行で読み出し直前のFDノードのリセット状態を揃えるためである。
これを実現するための動作として、FDノードを共有する画素の読み出し動作においては、総ての画素で読み出しの1水平期間前にリセット動作(以下、「予備選択動作」と呼ぶ)を行っている。なお、1水平期間は、リセット動作や読み出し動作が行われる単位期間であり、行選択ラッチパルスの間隔で規定される。
また、本構成では、外部から入力される外部PRESB信号として、反転パルスを例示している。この場合、外部PRESB信号がハイレベルとなる期間で、予備選択動作用の信号が配線112に入力されたとき及び行選択信号が配線111に入力されたときに、制御信号φRES[m]がローレベルになる。これにより、予備選択動作及び信号読み出し動作が可能となる。
また、論理生成部26は、デコーダ信号DEC[m]と行選択ラッチパルスとに応じて、配線113,114にそれぞれシャッタ動作用信号を出力する。走査回路部24は、配線113に出力されたシャッタ動作用信号と外部PTXA信号との論理積をとり、制御信号φTXA[m]を生成する。また、走査回路部24は、配線114に出力されたシャッタ動作用信号と外部PTXB信号との論理積をとり、制御信号φTXB[m]を生成する。
なお、外部PSEL信号、外部PRESB信号、外部PTXA信号及び外部PTXB信号は、制御回路60から供給してもよい。
次に、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法について、図5乃至図11を用いて説明する。図5及び図9は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法における各画素行の動作を示す模式図である。図6及び図7は、撮像走査及びAF走査のタイミングを示す模式図である。図8は、リセット動作、撮像行の読み出し動作及びAF行の読み出し動作を示すタイミングチャートである。図10は、参考例による固体撮像装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。図11は、第1実施形態による固体撮像装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
図5は、画素領域10を構成する単位画素行V1から単位画素行Vnのうち、単位画素行V1から単位画素行V9までの動作を模式的に示したものである。それぞれの単位画素行は、前述の通り、2つの画素行を含む。ここでは、それぞれの単位画素行の符号に枝番を付し、これらに属する2つの画素行を区別するものとする。例えば、単位画素行V1に含まれる2つの画素行については、「V1−1」、「V1−2」と表記している。単位画素行V2以降についても同様である。
本実施形態による固体撮像装置の駆動方法では、画素行を単位として3行周期で所定の動作を行うものとする。すなわち、画素行V1−1,V2−2,V4−1,V5−2,V7−1,V8−2は、撮像用の信号を取得する行(以下、「撮像行」と呼ぶ)である。画素行V1−2,V3−1,V4−2,V6−1,V7−2,V9−1は、信号を読み出さない行(以下、「非読み出し行」と呼ぶ)である。画素行V2−1,V3−2,V5−1,V6−2,V8−1,V9−2は、焦点検出用の信号を取得する焦点検出行(以下、「AF行」と呼ぶ)である。撮像走査及びAF走査における画素行の間引き率は、いずれも1/3である。なお、画素行の間引き率とは、総ての画素行に対する読み出し動作を実行する画素行の割合である。例えば、画素行の間引き率が1/3である場合、3つの画素行当たり1つの画素行の読み出し動作が行われることを意味する。
図6及び図7は、撮像走査及びAF走査のタイミングを示す模式図である。図6及び図7において、横軸は時間であり、縦軸は行走査方向を示している。
水平走査回路40は、列読み出し回路30で処理された画素信号を列毎に順次、出力回路50に転送するための制御信号を、列読み出し回路30に供給する回路部である。出力回路50は、バッファアンプ、差動増幅器などから構成され、列読み出し回路30から読み出された画素信号を固体撮像装置100の外部の信号処理部に出力するための回路部である。制御回路60は、垂直走査回路20、列読み出し回路30、水平走査回路40及び出力回路50の動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給するための回路部である。垂直走査回路20、列読み出し回路30、水平走査回路40及び出力回路50の動作やそのタイミングを制御する制御信号の少なくとも一部は、固体撮像装置100の外部から供給してもよい。
撮像行におけるリセット動作及び読み出し動作、AF行におけるリセット動作及び読み出し動作は、それぞれ行順次で行われる。各行のリセット動作と読み出し動作とのタイミングにより蓄積時間が決定される。このような駆動は、いわゆるローリングシャッター駆動である。
本明細書では、撮像行のリセット動作を行順次で行う一連の動作を、「撮像リセット走査」を呼ぶものとする。また、撮像行の読み出し動作を行順次で行う一連の動作を、「撮像リード走査」を呼ぶものとする。また、撮像リセット走査と撮像リード走査とを一括して「撮像走査」と呼ぶものとする。同様に、AF行のリセット動作を行順次で行う一連の動作を、「AFリセット走査」を呼ぶものとする。また、AF行の読み出し動作を行順次で行う一連の動作を、「AFリード走査」を呼ぶものとする。また、AFリセット走査とAFリード走査とを一括して「焦点検出走査(AF走査)」と呼ぶものとする。
図8は、1つの画素行における基本的な動作を示すタイミングチャートである。図8(a)は撮像行及びAF行におけるリセット動作を示し、図8(b)は撮像行における読み出し動作を示し、図8(c)はAF行における読み出し動作を示している。
リセット動作では、図8(a)に示すように、制御信号φSELがローレベル、制御信号φRESがハイレベルの状態で、垂直走査信号φVに応じた所定のタイミングで制御信号φTXA,φTXBをハイレベルにする。これにより、転送トランジスタMA,MBがオンになり、光電変換部DA,DBが電源電圧VDDに応じた所定の電位にリセットされる。
撮像行の読み出し動作では、図8(b)に示すように、垂直走査信号φVに応じた所定のタイミングで制御信号φSELをハイレベルにして、選択トランジスタM5をオンにする。その際、制御信号φRESはハイレベルであり、FDノードはリセットされている。制御信号φRESをローレベルにした後、制御信号φSHnをハイレベルにすることで、選択トランジスタM5を介して垂直出力線16に出力されたリセット信号を、N信号用のサンプルホールド容量に保持する。制御信号φSHnは、N信号用のサンプルホールド容量の接続と非接続とを制御するスイッチの制御信号である。次いで、制御信号φTXA,φTXBを同時にハイレベルにし、光電変換部DA,DBに蓄積された信号電荷をFDノードに転送する。その際、制御信号φSHsをハイレベルにすることで、選択トランジスタM5を介して垂直出力線16に出力された光信号を、S信号用のサンプルホールド容量に保持する。制御信号φSHsは、S信号用のサンプルホールド容量の接続と非接続とを制御するスイッチの制御信号である。次いで、水平転送信号φHを列毎に順次オンにして、サンプルホールド容量に保持されたS信号とN信号とを出力回路50へと転送する。出力回路50においてS信号とN信号との差分を算出して出力することで、S/N比の良好な画素信号を取得することができる。
AF行の読み出し動作では、図8(c)に示すように、撮像行の読み出し動作と同様の手順で、制御信号φTXAのみをハイレベルにする動作と、制御信号φTXBのみをハイレベルにする動作とを別々に行う。これにより、焦点検出用信号として、光電変換部DAに蓄積された信号電荷のみに基づくA像信号と、光電変換部DBに蓄積された信号電荷のみに基づくB像信号とを、別々に取得することができる。
前述のように、リセット動作では制御信号φSELがローレベルであり、画素信号は垂直出力線16に出力されない。したがって、リセット動作と読み出し動作とは、同じタイミングで行うことが可能である。
本実施形態の駆動方法において、撮像走査とAF走査とは独立して実行する。図6及び図7において、撮像行のリセット動作のタイミングから読み出し動作のタイミングまでの期間が、撮像行における電荷の蓄積時間である。同様に、AF行のリセット動作のタイミングから読み出し動作のタイミングまでの期間が、AF行における電荷の蓄積時間である。なお、図6及び図7には、撮像行の読み出しを行った後にAF行の読み出しを行う例を示しているが、AF行の読み出しを行った後に撮像行の読み出しを行ってもよい。
図8(b)及び図8(c)に示したように、AF行の読み出し動作に必要な時間は、撮像行の読み出し動作に必要な時間よりも長くなる。典型的には、撮像行の読み出し動作には1水平期間を要するのに対して、AF行の読み出し動作には2水平期間を要する。このため、例えば図5に示すように撮像走査とAF走査とを同じ画素行周期で行うような場合、AFリセット走査及びAFリード走査を示す直線の傾きは、図6及び図7に示すように、撮像リセット走査及び撮像リード走査を示す直線の傾きよりも緩やかになる。
したがって、例えば図6の場合よりも撮像行及びAF行の蓄積時間を短くしたような場合、図7に示すように、撮像リード走査を示す直線とAFリセット走査を示す直線とが交差する場合が生じうる。すなわち、近接する画素行において、撮像行の読み出し動作のタイミングとAF行のリセット動作のタイミングとが一致する場合が生じうる。なお、撮像行及びAF行の蓄積時間は、例えば、読み出し動作のタイミングを固定して、リセット動作のタイミングを調整することにより、制御される。
撮像リード走査を示す直線の傾き及びAFリセット走査を示す直線の傾きは、撮像行の間引き率及びAF行の間引き率等によっても変化するため、これら直線が交差する原因は、蓄積時間の設定条件だけではない。
図9は、撮像リード走査を示す直線とAFリセット走査を示す直線とが交差する状態を、より具体的に示した模式図である。図9において縦方向は、図5と同様の画素行V1−1〜V9−2を示している。撮像行、非読み出し行、AF行の繰り返し周期も、図5の場合と同様である。図9において横方向は時間軸であり、走査する行を選択するための制御信号、すなわち行選択ラッチパルスの間隔(1水平期間)を基準単位として、期間H1、期間H2、…、期間H10を定義している。
例えば、撮像行である画素行V1−1の画素は、期間H1,H2が信号電荷を蓄積する期間(蓄積状態)であり、期間H3が撮像信号の読み出し動作を行う期間であり、期間H4から期間H10が信号電荷となる電荷を蓄積しない期間(非蓄積状態)である。また、AF行である画素行V2−1の画素は、期間H1が光電変換部DA,DBをリセットするリセット動作を行う期間であり、期間H2から期間H10は蓄積状態である。本明細書では、リセット動作が実行される水平期間を「リセット期間」、読み出し動作が実行される水平期間を「読み出し期間」と表記することがある。なお、非読み出し行は、総ての期間が非蓄積状態である。
ここで、期間H5に着目すると、撮像行である画素行V4−1では読み出し動作が行われ、AF行である画素行5−1ではリセット動作が行われている。また、期間H6に着目すると、撮像行である画素行V5−2では読み出し動作が行われ、AF行である画素行6−2ではリセット動作が行われている。すなわち、同じ期間において、撮像行に対する読み出し動作と、AF行に対するリセット動作とが並行して行われている。
図10は、画素行V4−1,V4−2,V5−1,V5−2,V6−1,V6−2の期間H5及び期間H6における動作を示すタイミングチャートの一例である。
図10では、単位画素行V4,V5,V6の選択トランジスタM5を駆動する制御信号を、それぞれφSEL4,φSEL5,φSEL6で表している。また、単位画素行V4,V5,V6のリセットトランジスタM3を駆動する制御信号を、それぞれφRES4,φRES5,φRES6で表している。また、画素行V4−1,V5−1,V6−1の転送トランジスタMA1,MB1を駆動する制御信号を、それぞれφTX4−1,φTX5−1,φTX6−1で表している。また、画素行V4−2,V5−2,V6−2の転送トランジスタMA2,MB2を駆動する制御信号を、それぞれφTX4−2,φTX5−2,φTX6−2で表している。なお、各画素行の転送トランジスタMA,MBは、AF行の読み出し動作では図8(c)に示したように別々のタイミングで動作されるが、図10に示す範囲の動作では同じタイミングで動作されるため、図10には1つの信号として表している。
行選択ラッチパルスは、図4を用いて説明した通り、制御回路60から垂直走査回路20に供給される。そして、垂直走査回路20の内部において、行選択ラッチパルスとセンサの外部から供給される外部PSEL信号との論理をとり、各行の選択を行う。そのため、ここでは行選択ラッチパルスの立ち上がりを基準として、行選択ラッチパルスの間の期間をそれぞれ、期間H5、期間H6、期間H7と定義している。すなわち、図10において、時刻t0から時刻t7までの期間が期間H5であり、時刻t7から時刻t15までの期間が期間H6であり、時刻t15以降が期間H7である。
時刻t0において、制御信号φRES4,φRES5,φRES6はハイレベルになっており、単位画素行V4,V5,V6のFDノードは、リセット状態である。
時刻t1において、垂直走査回路20により制御信号φSEL4がハイレベルに制御されることで、単位画素行V4の選択トランジスタM5がオンとなり、単位画素行V4の単位画素12から垂直出力線16への信号の読み出しが可能な状態となる。すなわち、単位画素行V4が選択される。
時刻t3において、垂直走査回路20により制御信号φRES4がローレベルに制御されることで、単位画素行V4のFDノードのリセットが解除される。リセット解除後のFDノードの電圧に基づく画素信号は、リセット信号(N信号)として垂直出力線16を介して出力される。
時刻t4において、垂直走査回路20により制御信号φTX4−1がハイレベルに制御され、画素行V4−1の光電変換部DA1,DB1に蓄積されている信号電荷が単位画素行V4のFDノードへと転送される。信号電荷の転送後のFDノードの電圧に基づく画素信号は、光信号(S信号)として垂直出力線16を介して出力される。なお、画素行V4−2は非読み出し行のため、制御信号φTX4−2はローレベルのまま維持される。
同じく時刻t4において、垂直走査回路20により制御信号φTX5−1がハイレベルに制御され、画素行V5−1の光電変換部DA1,DB1がリセットされる。すなわち、画素行V5−1のリセット動作が行われる。
時刻t5において、垂直走査回路20により制御信号φRES4がハイレベルに制御されることで、単位画素行V4のFDノードの電位がリセットされる。
時刻t6において、垂直走査回路20により制御信号φSEL4がローレベルに制御されることで、単位画素行V4の選択トランジスタM5がオフとなり、単位画素行V4の単位画素12が垂直出力線16から切り離される。すなわち、単位画素行V4の選択が解除される。
時刻t7から開始する期間H6では、まず、時刻t8において、垂直走査回路20により制御信号φSEL5がハイレベルに制御される。これにより、単位画素行V5の選択トランジスタM5がオンとなり、単位画素行V5の単位画素12から垂直出力線16への信号の読み出しが可能な状態となる。すなわち、単位画素行V5が選択される。
時刻t10において、垂直走査回路20により制御信号φRES5がローレベルに制御されることで、単位画素行V5のFDノードのリセットが解除される。リセット解除後のFDノードの電圧に基づく画素信号は、リセット信号(N信号)として垂直出力線16を介して出力される。
時刻t11において、垂直走査回路20により制御信号φTX5−2がハイレベルに制御され、画素行V5−2の光電変換部DA2,DB2に蓄積されている信号電荷が単位画素行V5のFDノードへと転送される。信号電荷の転送後のFDノードの電圧に基づく画素信号は、光信号(S信号)として垂直出力線16を介して出力される。なお、画素行V5−1は非読み出し行のため、制御信号φTX5−1はローレベルのまま維持される。
同じく時刻t11において、垂直走査回路20により制御信号φTX6−2がハイレベルに制御され、画素行V6−2の光電変換部DA2,DB2がリセットされる。すなわち、画素行V6−2のリセット動作が行われる。
時刻t12において、垂直走査回路20により制御信号φRES5がハイレベルに制御されることで、画素行V5−2の読み出し動作が終了する。
時刻t13において、垂直走査回路20により制御信号φSEL5がローレベルに制御されることで、単位画素行V5の選択トランジスタM5がオフとなり、単位画素行V5の単位画素12が垂直出力線16から切り離される。すなわち、単位画素行V5の選択が解除される。
ここで、画素行V5−1のリセット動作について着目すると、リセット動作を実行する期間である期間H5の時刻t3から時刻t5の期間において、制御信号φRES5はローレベルになっている。これは、期間H6における画素行V5−2の読み出し動作に先立って行われる前述の予備選択動作によるものである。そのため、時刻t3から時刻t5の期間において、単位画素行V5に属する単位画素12のFDノードはフローティング状態になっている。この状態で光電変換部DA1,DB1をリセットするために制御信号φTX5−1により転送トランジスタMA1,MB1を動作すると、転送トランジスタMA1,MB1のゲートと容量カップリングしているFDノードの電位が大きく変動する。
FDノードの電位が変動すると、その変動が近接する単位画素12のFDノードに伝わり、その電位までもが変動することがある。特に、近接する単位画素行が読み出し動作中の場合、FDノードの電位の変動分がノイズとして画素信号に重畳し、画質を悪化する原因となる。図10の駆動例では、単位画素行V5の隣の単位画素行V4の画素行V4−1が読み出し動作中であり、画素行V4−1に属する画素から出力される画素信号にノイズが重畳する懸念がある。FDノードの電位の変動による影響は、読み出し行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングと、リセット行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとが重なっている場合に特に顕著である。
同様に、期間H6に着目すると、画素行V6−2はリセット動作を実行する期間であるところ、画素行V5−2は撮像行の読み出し動作を実行する期間である。このため、画素行V6−2のリセット動作に伴うFDノードの電位の変動が、画素行V5−2に属する画素から出力される画素信号に影響する懸念がある。
このような観点から、本実施形態では、撮像行における読み出し動作とAF行におけるリセット動作とが同じ水平期間に実行される場合に、例えば図11に示すタイミングチャートに従って、固体撮像装置を駆動する。
図11に示すタイミングチャートは、リセット動作時における転送トランジスタMA,MBの駆動タイミングが、図10のタイミングチャートとは異なっている。すなわち、図11では、AF行のリセット動作のタイミングと当該AF行の隣の撮像行に属する単位画素において光電変換部DA,DBからFDノードへ電荷を転送する電荷転送期間とが重ならないように、AF行のリセット動作のタイミングをずらしている。本実施形態では、AF行のリセット動作が行われるリセット期間の中で、リセット動作のタイミングをずらしている。
具体的には、画素行V5−1の転送トランジスタMA1,MB1の制御信号φTX5−1をハイレベルにするタイミングが、図10では時刻t4から時刻t5の間であるのに対し、図11では時刻t1から時刻t3の間である。時刻t3から時刻t5の期間は制御信号φRES5がローレベルでありFDノードはフローティング状態であるが、時刻t1から時刻t3の期間は制御信号φRES5がハイレベルでありFDノードは電源電圧VDDに応じた電位に固定されている。したがって、時刻t1から時刻t3の間の時刻t2に転送トランジスタMA1,MB1を駆動する場合、FDノードの電位の変動を抑制することができる。これにより、期間H5に読み出し動作中の画素行V4−1に属する画素から出力される画素信号に重畳するノイズを低減し、画質を向上することができる。
同様に、期間H6に画素行V6−2の転送トランジスタMA2,MB2を駆動するタイミングを時刻t8から時刻t10の間にすることで、画素行V5−2に属する画素から出力される画素信号に重畳するノイズを低減し、画質を向上することができる。
AF行のリセット動作のタイミングと、当該AF行の隣の撮像行に属する単位画素において光電変換部DA,DBからFDノードへ電荷を転送する電荷転送期間とが重ならないAF行においても同様に、AF行のリセット動作のタイミングをずらしてもよい。
なお、本実施形態では、予備選択動作の機能を備えた垂直走査回路20を有する固体撮像装置を例にして説明したが、同じ期間に近接する単位画素行で読み出し動作とリセット動作とを実施することによる課題は、予備選択動作を行わない場合にも起こりうる。この場合も、本実施形態と同様、読み出し行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとリセット行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとをずらすことにより、FDノードの電位の変動による影響を抑制することができる。
また、例えば図12に示すように、単位画素12が1つのマイクロレンズMLに対応する1対の光電変換部DA,DBのみを含む1つの画素で構成される場合、すなわち単位画素行が1つの画素行で構成される場合も、予備選択動作を行わない場合と同様である。本実施形態と同様、読み出し行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとリセット行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとをずらすことにより、FDノードの電位の変動による影響を抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、焦点検出行の動作に起因するノイズが撮像行から読み出した撮像信号に重畳するのを抑制し、画質を向上することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による固体撮像装置及びその駆動方法について、図13乃至図16を用いて説明する。第1実施形態による固体撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図13は、本実施形態による固体撮像装置におけるカラーフィルタの配置例を示す概略図である。図14及び図15は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法における各画素行の動作を示す模式図である。図16は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
行選択ラッチパルスは、図4を用いて説明した通り、制御回路60から垂直走査回路20に供給される。そして、垂直走査回路20の内部において、行選択ラッチパルスとセンサの外部から供給される外部PSEL信号との論理積をとり、各行の選択を行う。そのため、ここでは行選択ラッチパルスの立ち上がりを基準として、行選択ラッチパルスの間の期間をそれぞれ、期間H5、期間H6、期間H7と定義している。すなわち、図10において、時刻t0から時刻t7までの期間が期間H5であり、時刻t7から時刻t15までの期間が期間H6であり、時刻t15以降が期間H7である。
図13は、画素領域10の各画素に配されたカラーフィルタの配置例を示す図である。ここでは典型的なカラーフィルタの配列パターンであるベイヤー配列を用いた例を示すが、カラーフィルタの配列パターンは、特に限定されるものではない。
ベイヤー配列の繰り返し単位を構成する単位ブロック80は、図13に示すように、2行×2列の4つの画素からなる。単位ブロック内の4つの画素のうち、一方の対角方向には赤色(R)のカラーフィルタを備えた画素12rと青色(B)のカラーフィルタを備えた画素12bとが配され、他方の対角方向には緑色(G)のカラーフィルタを備えた画素12gがそれぞれ配される。
画素12r,12g,12bのそれぞれは、1つのマイクロレンズMLを共有する光電変換部DA,DBを含む瞳分割画素である。図13には、画素12r,12g,12bが瞳分割画素であることを表す意味で、画素12r,12g,12bのブロックに、カラーフィルタの色(R,G,B)にa,bの添え字を付した符号、Ra,Rb,Ga,Gb,Ba,Bbを記載している。
単位画素12が図2の回路で構成される場合、単位画素行は、画素12rと画素12gとを含む画素行と、画素12gと画素12bとを含む画素行とにより構成される。例えば、単位画素行V1は、画素12rと画素12gとを含む画素行V1−1と、画素12gと画素12bとを含む画素行V1−2とにより構成され得る。単位画素行V2以降も同様である。1つの単位ブロック80は、列方向に配された画素12rと画素12gとを含む単位画素12と、列方向に配された画素12gと画素12bとを含む単位画素12とを含むことになる。
図14は、画素領域10を構成する単位画素行V1から単位画素行Vnのうち、単位画素行V1から単位画素行V9までの動作を模式的に示したものである。それぞれの単位画素行は、前述の通り、2つの画素行を含む。
本実施形態による固体撮像装置の駆動方法では、画素行を単位として3行周期で所定の動作を行うものとする。すなわち、画素行V1−1,V2−2,V4−1,V5−2,V7−1,V8−2は、第1の撮像行である。画素行V1−2,V3−1,V4−2,V6−1,V7−2,V9−1は、AF行である。画素行V2−1,V3−2,V5−1,V6−2,V8−1,V9−2は、第1の撮像行と同じ色の組のカラーフィルタを備えた画素からの信号を読み出す第2の撮像行である。すなわち、撮像走査における画素行の間引き率は2/3であり、AF走査における画素行の間引き率は1/3である。
例えば、画素行V1−1と画素行V2−1では、それぞれの画素12rからの信号の読み出しと、それぞれの画素12gからの信号の読み出しとを行う。また、画素行V2−2と画素行V3−2では、それぞれの画素12gからの信号の読み出しと、それぞれの画素12bからの信号の読み出しとを行う。本実施形態では、1周期に含まれる第1の撮像行と第2の撮像行の読み出し動作は、同時に行う。すなわち、同色のカラーフィルタを持つ2つの画素行の画素の信号を、同じタイミングで同じ垂直出力線16に出力する。例えば、画素行V1−1の画素12rの信号と、画素行V2−1の画素12rの信号とを、同じタイミングで同じ垂直出力線に出力する。また、画素行V1−1の画素12gの信号と、画素行V2−1の画素12gの信号とを、同じタイミングで同じ垂直出力線に出力する。
図15は、図14に示す各画素行の動作をより具体的に示した模式図である。図15において縦方向は、図14と同様の画素行V1−1〜V9−2を示している。第1の撮像行、AF行、第2の撮像行の繰り返し周期も、図14の場合と同様である。図15において横方向は時間軸であり、行選択ラッチパルスの間隔(1水平期間)を基準単位として、期間H1、期間H2、…、期間H10を定義している。
ここで、期間H3に着目すると、撮像行である画素行V1−1及び画素行V2−1では読み出し動作が行われ、AF行である画素行V3−1ではリセット動作が行われる。したがって、第1実施形態で説明したように、画素行V3−1のリセット動作によるFDノードの電位変動の影響が、画素行V1−1及び画素行V2−1から読み出した画素信号にノイズとして重畳する虞がある。
同様に、期間H4に着目すると、撮像行である画素行V2−2及び画素行V3−2では読み出し動作が行われ、AF行である画素行V4−2ではリセット動作が行われる。したがって、画素行V4−2のリセット動作によるFDノードの電位変動の影響が、画素行V2−2及び画素行V3−2から読み出した画素信号にノイズとして重畳する虞がある。
図16は、画素行V1−1,V1−2,V2−1,V2−2,V3−1,V3−2,V4−1,V4−2の期間H2から期間H4までにおける動作を示すタイミングチャートの一例である。
図16では、単位画素行V1,V2,V3,V4の選択トランジスタM5を駆動する制御信号を、それぞれφSEL1,φSEL2,φSEL3,φSEL4で表している。また、単位画素行V1,V2,V3,V4のリセットトランジスタM3を駆動する制御信号を、それぞれφRES1,φRES2,φRES3,φRES4で表している。また、画素行V1−1,V2−1,V3−1,V4−1の転送トランジスタMA1,MB1を駆動する制御信号を、それぞれφTX1−1,φTX2−1,φTX3−1,φTX4−1で表している。また、画素行V1−2,V2−2,V3−2,V4−2の転送トランジスタMA2,MB2を駆動する制御信号を、それぞれφTX1−2,φTX2−2,φTX3−2,φTX4−2で表している。なお、各画素行の転送トランジスタMA,MBは、AF行の読み出し動作では図8(c)に示したように別々のタイミングで動作されるが、図16に示す範囲の動作では同じタイミングで動作されるため、図16には1つの信号として表している。
図16において、時刻t0から時刻t5までの期間が期間H2であり、時刻t5から時刻t14までの期間が期間H3であり、時刻t14から時刻t23までの期間が期間H4であり、時刻t23以降が期間H5である。
時刻t0において、制御信号φRES1,φRES2,φRES3,φRES4はハイレベルになっており、単位画素行V1,V2,V3,V4のFDノードは、リセット状態である。期間H2において、単位画素行V1,V2,V3,V4は非選択であり、制御信号φSEL1,φSEL2,φSEL3,φSEL4は、ローレベルのままである。
期間H2は、画素行V1−1,V2−1の読み出し動作が行われる期間H3よりも1水平期間前の期間であり、予備選択動作が行われる。すなわち、時刻t2から時刻t3の期間において制御信号φRES1,φRES2はローレベルとなり、この間、単位画素行V1,V2のFDノードのリセットが解除される。その後、時刻t3において制御信号φRES1,φRES2は再びハイレベルとなり、単位画素行V1,V2のFDノードのリセットが行われる。
また、期間H3は、画素行V2−2,V3−2の読み出し動作が行われる期間H4よりも1水平期間前の期間であり、予備選択動作が行われる。すなわち、時刻t9から時刻t12の期間において制御信号φRES2,φRES3はローレベルとなり、この間、単位画素行V2,V3のFDノードのリセットが解除される。その後、時刻t12において制御信号φRES2,φRES3は再びハイレベルとなり、単位画素行V2,V3のFDノードのリセットが行われる。
予備選択動作を行うことにより、FDノードを共有する画素において、読み出し直前のFDノードのリセット状態を揃えることができる。例えば、画素行V2−1の読み出し動作の前におけるFDノードのリセット時間(時刻t3から時刻t9)と、画素行V2−2の読み出し動作の前におけるFDノードのリセット時間(時刻t12から時刻t16)とを揃えることができる。したがって、画素行V2−1に属する画素の信号と、画素行V2−2に属する画素の信号とを、同じ電位のFDノードのもとで読み出すことができる。
期間H3では、画素行V1−1,V2−1の読み出し動作と、画素行V3−1のリセット動作とが行われる。この際、画素行V1−1,V2−1に属する画素からの読み出し動作を行うタイミングと、画素行V3−1のリセット動作における制御信号φTX3−1の駆動タイミングとは、第1実施形態の場合と同様、互いに異なるように設定されている。すなわち、制御信号φTX1−1,φTX2−1は、制御信号φRES1,φRES2がローレベルの期間である時刻t10から時刻t11の間に駆動する。これに対し、制御信号φTX3−1は、制御信号φRES3がハイレベルでありFDノードの電位がリセット電位に固定されている期間である時刻t7から時刻t8の間に駆動する。このようにすることで、リセット動作に伴うFDノードの電位の変動を抑制し、読み出し動作を行っている画素から出力される画素信号に重畳するノイズを低減することができ、ひいては画質を向上することができる。
期間H4では、画素行V2−2,V3−2の読み出し動作と、画素行V4−2のリセット動作とが行われる。この場合も、画素行V2−2,V3−2に属する画素からの読み出し動作を行うタイミングと、画素行V4−2のリセット動作における制御信号φTX4−2の駆動タイミングとは、第1実施形態の場合と同様、互いに異なるように設定されている。すなわち、制御信号φTX2−2,φTX3−2は、制御信号φRES2,φRES3がローレベルの期間である時刻t18から時刻t21の間に駆動する。これに対し、制御信号φTX4−2は、制御信号φRES4がハイレベルでありFDノードの電位がリセット電位に固定されている期間である時刻t16から時刻t17の間に駆動する。このようにすることで、リセット動作に伴うFDノードの電位の変動を抑制し、読み出し動作を行っている画素から出力される画素信号に重畳するノイズを低減することができ、ひいては画質を向上することができる。
なお、本実施形態では、予備選択動作の機能を備えた垂直走査回路20を有する固体撮像装置を例にして説明したが、同じ期間に近接する単位画素行で読み出し動作とリセット動作とを実施することによる課題は、予備選択動作を行わない場合でも起こりうる。この場合も、本実施形態と同様、読み出し行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとリセット行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとをずらすことにより、FDノードの電位の変動による影響を抑制することができる。
また、例えば図12に示すように、単位画素12が1つのマイクロレンズMLに対応する1対の光電変換部DA,DBのみを含む1つの画素で構成される場合、すなわち単位画素行が1つの画素行で構成される場合も、予備選択動作を行わない場合と同様である。本実施形態と同様、読み出し行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとリセット行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとをずらすことにより、FDノードの電位の変動による影響を抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、焦点検出行の動作に起因するノイズが撮像行から読み出した撮像信号に重畳するのを抑制し、画質を向上することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による固体撮像装置及びその駆動方法について、図17乃至図20を用いて説明する。第1実施形態による固体撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図17は、本実施形態による固体撮像装置の画素の構成例を示す回路図である。図18は、本実施形態による固体撮像装置の垂直走査回路の構成例を示す図である。図19は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法における各画素行の動作を示す模式図である。図20は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
本実施形態による固体撮像装置は、単位画素12の回路構成が、図2に示す第1実施形態による固体撮像装置の単位画素12とは異なっている。すなわち、本実施形態による固体撮像装置の単位画素12は、図17に示すように、増幅トランジスタM4のソースにドレインが接続された2つの選択トランジスタM51,M52を有している。選択トランジスタM51,M52のゲートは、それぞれ選択信号線SEL1,SEL2に接続されている。選択トランジスタM51,M52のソースは、それぞれ垂直出力線161,162に接続されている。このような構成とすることにより、異なる2つの単位画素行の信号を垂直出力線161,162にそれぞれ出力することが可能となり、2つの単位画素行を並列して読み出すことができる。
図18は、図17に示す単位画素12を駆動するための垂直走査回路20の一例を示す回路図である。図4に示す垂直走査回路20と共通する部分については説明を省略する。図18に示す垂直走査回路20では、論理生成部26から、選択トランジスタM51に対する行選択信号が配線111に出力され、選択トランジスタM52に対する行選択信号が配線115に出力される。走査回路部24は、配線111を介して出力される行選択信号と外部PSEL信号との論理積をとり、選択信号線SEL1に供給される制御信号φSEL1[m]を生成する。また、走査回路部24は、配線115を介して出力される行選択信号と外部PSEL信号との論理積をとり、選択信号線SEL2に供給される制御信号φSEL2[m]を生成する。
図19は、各画素行の動作を具体的に示した模式図である。図19において縦方向は、図14と同様の画素行V1−1〜V9−2を示している。第1の撮像行、AF行、第2の撮像行の繰り返し周期も、図14の場合と同様である。図19において横方向は時間軸であり、行選択ラッチパルスの間隔(1水平期間)を基準単位として、期間H1、期間H2、…、期間H10を定義している。
ここで、期間H3に着目すると、撮像行である画素行V1−1,V2−1,V4−1,V5−1において読み出し動作が行われ、AF行である画素行V3−1,V6−1ではリセット動作が行われる。読み出し動作では、画素行V1−1の画素からの信号と画素行V2−1の画素からの信号とを垂直出力線161に出力し、画素行V4−1の画素からの信号と画素行V5−1の画素からの信号とを垂直出力線162に出力する。このような場合も、画素行V3−1,V6−1のリセット動作によるFDノードの電位変動の影響が、画素行V1−1及び画素行V2−1から読み出した画素信号や画素行V4−1及び画素行V5−1から読み出した画素信号にノイズとして重畳する虞がある。
同様に、期間H4に着目すると、撮像行である画素行V2−2,V3−2,V5−2,V6−2において読み出し動作が行われ、AF行である画素行V4−2,V7−2ではリセット動作が行われる。読み出し動作では、画素行V2−2の画素からの信号と画素行V3−2の画素からの信号とを垂直出力線161に出力し、画素行V5−2の画素からの信号と画素行V6−2の画素からの信号とを垂直出力線162に出力する。したがって、画素行V4−2,V7−2のリセット動作によるFDノードの電位変動の影響が、画素行V2−2及び画素行V3−2から読み出した画素信号や画素行V5−2及び画素行V6−2から読み出した画素信号にノイズとして重畳する虞がある。
図20は、画素行V1−1,V1−2,V2−1,V2−2,V3−1,V3−2,V4−1,V4−2,V5−1,V5−2,V6−1,V6−2,V7−1,V7−2の期間H2から期間H4までにおける動作を示すタイミングチャートの一例である。
図20では、単位画素行V1,V2,V3の選択トランジスタM51を駆動する制御信号を、φSEL1−1,φSEL2−1,φSEL3−1で表している。単位画素行V4,V5,V6,V7の選択トランジスタM52を駆動する制御信号は、φSEL4−2,φSEL5−2,φSEL6−2,φSEL7−2で表している。単位画素行V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7のリセットトランジスタM3を駆動する制御信号は、φRES1,φRES2,φRES3,φRES4,φRES5,φRES6,φRES7で表している。画素行V1−1,V2−1,V3−1,V4−1,V5−1,V6−1,V7−1の転送トランジスタMA1,MB1を駆動する制御信号は、φTX1−1,φTX2−1,φTX3−1,φTX4−1,φTX5−1,φTX6−1,φTX7−1で表している。画素行V1−2,V2−2,V3−2,V4−2,V5−2,V6−2,V7−2の転送トランジスタMA2,MB2を駆動する制御信号は、φTX1−2,φTX2−2,φTX3−2,φTX4−2,φTX5−2,φTX6−2,φTX7−2で表している。なお、各画素行の転送トランジスタMA,MBは、AF行の読み出し動作では図8(c)に示したように別々のタイミングで動作されるが、図20に示す範囲の動作では同じタイミングで動作されるため、図20には1つの信号として表している。
図20において、時刻t0から時刻t5までの期間が期間H2であり、時刻t5から時刻t14までの期間が期間H3であり、時刻t14から時刻t23までの期間が期間H4であり、時刻t23以降が期間H5である。
本実施形態による駆動方法では、期間H3に読み出し動作が行われる画素行V1−1,V2−1,V4−1,V5−1に対して、期間H2の時刻t2から時刻t3の期間において予備選択動作が行われる。同様に、期間H4に読み出し動作が行われる画素行V2−2,V3−2,V5−2,V6−2に対して、期間H3の時刻t9から時刻t12の期間において予備選択動作が行われる。
期間H3では、画素行V1−1,V2−1,V4−1,V5−1に対する読み出し動作と、期間H4の読み出し動作に先立って行われる予備選択動作が行われる中、画素行V3−1,V6−1ではリセット動作が行われる。また、期間H4では、画素行V2−2,V3−2,V5−2,V6−2に対する読み出し動作が行われる中、画素行V4−2,V7−2ではリセット動作が行われる。
しかしながら、本実施形態においても、画素行V1−1,V2−1,V4−1,V5−1の読み出し動作を行うタイミングと、画素行V3−1,V6−1のリセット動作における制御信号φTX3−1,φTX6−1の駆動タイミングとは異なっている。また、画素行V2−2,V3−2,V5−2,V6−2の読み出し動作を行うタイミングと、画素行V4−2,V7−2のシャッタ動作における制御信号φTX4−2,φTX7−2の駆動タイミングとは異なっている。したがって、リセット動作に伴うFDノードの電位の変動を抑制し、読み出し動作を行っている画素から出力される画素信号に重畳するノイズを低減することができ、ひいては画質を向上することができる。
なお、上記実施形態では、画素領域10の画素アレイの各列に配置する垂直出力線16を2本にする例を示したが、各列に配置する垂直出力線16の数は2本に限定されるものではなく、必要に応じて3本以上にしてもよい。
また、本実施形態では、予備選択動作の機能を備えた垂直走査回路20を有する固体撮像装置を例にして説明したが、同じ期間に近接する単位画素行で読み出し動作とリセット動作とを実施することによる課題は、予備選択動作を行わない場合でも起こりうる。この場合も、本実施形態と同様、読み出し行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとリセット行の転送トランジスタMA,MBの駆動パルスのタイミングとをずらすことにより、FDノードの電位の変動による影響を抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、焦点検出行の動作に起因するノイズが撮像行から読み出した撮像信号に重畳するのを抑制し、画質を向上することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による固体撮像装置及びその駆動方法について、図21乃至図25を用いて説明する。第1乃至第3実施形態による固体撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図21は、本実施形態による固体撮像装置におけるカラーフィルタの配置例を示す概略図である。図22は、全画素読み出しモードにおける各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。図23は、参考例による固体撮像装置の駆動方法における各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。図24は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法における各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。図25は、本実施形態の変形例による固体撮像装置の駆動方法における各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。
本実施形態では、ベイヤー配列された3色のカラーフィルタを備え、図12に示す回路により単位画素12が構成された固体撮像装置の他の駆動例を示す。なお、ここでは典型的なカラーフィルタの配列パターンであるベイヤー配列を用いた例を示すが、カラーフィルタの配列パターンは、特に限定されるものではない。
図21は、画素領域10の各画素に配されたカラーフィルタの配置例を示す図である。図21では、図面の簡略化のため、単位画素12が24行×36列のアレイ状に配された画素領域10を示している。
ベイヤー配列の繰り返し単位を構成する単位ブロック80は、第2実施形態で説明したように、赤色(R)のカラーフィルタを備えた画素12rと、緑色(G)のカラーフィルタを備えた画素12gと、青色(B)のカラーフィルタを備えた画素12bとを含む。単位画素12を図12に示す回路により構成した場合、単位画素12は、画素12r、画素12g、画素12bのいずれかである。単位画素行は、画素行と一致する。画素行は、画素12rと画素12gとを含む行又は画素12gと画素12bとを含む行である。例えば、偶数行(画素行V0,V2,…,V22)は、画素12rと画素12gとを含む行であり、奇数行(画素行V1,V3,…,V23)は、画素12gと画素12bとを含む行である。
図22は、全画素読み出しモードにおける各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。図22において、横軸は時間であり、縦軸は垂直走査順序(行走査方向)である。全画素読み出しモードは、総ての画素行の総ての単位画素12から撮像信号を読み出す読み出しモードである。
図22中、斜めの実線は撮像リード走査を表し、各画素行における読み出し動作のタイミングの遷移を示している。斜めの点線は撮像リセット走査を表し、各画素行におけるリセット動作のタイミングの遷移を示している。1つの画素行において、読み出し動作から次の読み出し動作までの間が1フレーム時間であり、リセット動作からリード動作までの間が蓄積時間である。また、図中のR,Gは、ベイヤー配列におけるその行の先頭列の色であるレッドとグリーンを示している。蓄積時間を変更する場合には、撮像リセット走査のタイミングを時間軸方向にシフトすればよい。撮像リセット走査のタイミングを制御することで、同一フレームレートにおいて蓄積時間の制御を行うことができる。フレームレートを変更する場合には、1フレーム時間を制御すればよい。
図22に示すような全画素読出しモードによる駆動は、一般的に解像度は高いが1フレーム時間が長いため、静止画撮影に用いられることが多い。一眼レフカメラの場合、一般的に撮像装置とは別に焦点検出装置が配置されており、静止画撮影時に撮像素子を用いた焦点検出が必要とされない場合が多い。一方、動画撮影時には、一般的に、静止画よりも解像度を低くしてフレームレートを高くすることが望まれる。また、動画撮影では、撮影中に焦点検出素子が使えない場合が多いため、焦点検出機能を備えた撮像装置が好適である。そのため動画撮影では、例えば図23に示すような間引き読み出しモードが用いられる。
図23は、間引き読み出しモードにおける各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。図23において、横軸は時間であり、縦軸は垂直走査順序である。間引き読み出しモードは、総ての画素行のうち、一部の画素行を撮像行とし、他の一部の画素行をAF行として駆動するモードである。
図23の駆動例では、第2実施形態の場合と同様、撮像走査における画素行の間引き率を2/3、AF走査における画素行の間引き率を1/3としている。全画素行のうちの1/3をAF行として撮像行から間引くとともに、AF行を挟んで隣り合う同じ色配列の撮像行から同時に画素信号を出力して2画素加算を行う点も、第2実施形態と同様である。このようにすることで、図22の全画素読み出しモードに対して、撮像走査に要する時間を1/3に短縮することができ、フレームレートを高くすることが可能となる。また、2画素加算を行うことで、S/N比の向上とモアレの低減を図ることができる。撮像走査で間引かれた画素行に対しては、第1乃至第3実施形態の場合と同様、撮像走査に続いてAF走査を行う。
AFリード走査ではA像信号とB像信号とを読み出すため、図8を用いて説明したように、AF行の読み出し期間は撮像行の読み出し期間のおよそ2倍となる。このため、図7を用いて説明したように、近接配置された画素において撮像行の読み出し動作とAF行のリセット動作とが同じタイミングで行われる場合が生じうる。例えば、図23の駆動例では、撮像行である画素行V12及び画素行V14の読み出し動作を行う読み出し期間中に、AF行である画素行V13のリセット動作を行うリセット期間が行われることになる。
前述のように、撮像行の読み出し動作とAF行のリセット動作とが、FDノードが近接する画素において行われることによって、撮像信号にノイズが重畳する場合がある。しかもこの現象は行単位で発生するので、撮像画像に横線状のノイズとして現れ、画質に大きな悪影響を及ぼすことがある。
そこで、本実施形態による駆動方法では、近接配置された画素間で撮像行の読み出し期間とAF行のリセット期間とが一致する虞がある場合、そのAF行のリセット期間のタイミングを1行分(1水平期間)、選択的に遅らせる。例えば、図23の駆動例の場合には、図24に示すように、AF行のうち画素行V13のリセット期間を、1行分(1水平期間)遅らせて実行する。近接配置された画素間で撮像行の読み出し期間とAF行のリセット期間とが同時に行われないようにAF行のリセット期間のタイミングを制御することで、撮像信号にノイズが重畳するのを抑制することができる。
本実施形態の駆動方法を適用するためには、撮像行に近接するAF行であって、当該撮像行の読み出し期間の間にリセット期間が行われるAF行を検出する手段(以下、「検出手段」と表記する)が求められる。しかしながら、基本的に撮像リード走査の条件は一定なので、AFリセット走査の条件が決まれば単純計算によってノイズ発生の原因となりうるAF行を容易に特定することができる。
AFリセット走査の条件は、焦点を合わせる撮像素子上のアドレス情報と、露出制御情報とによって一意的に決まる。図24の駆動例の場合、AF行である画素行V13のリセット期間のタイミングを遅らせることで、画素行V13の蓄積時間は短くなる。これにより、画素行V13の蓄積時間が他の行に対して相対的に短くなり、特にAF走査の蓄積時間が短いときには、その影響が大きくなる。このような場合、画素行V13のリセット期間のタイミングのシフト量に応じて出力を補正するようにしてもよいし、画素行V13の出力を焦点検出に使用しないようにしてもよい。焦点検出画像は、鑑賞目的ではないので、このような融通が利く場合が多い。
なお、図24の駆動例では、画素行V13のリセット期間のタイミングを1行分遅らせるようにシフトしたが、1行分早めるようにシフトすることによっても同様の効果を得ることができる。また、リセット期間のタイミングをシフトする時間は、必ずしも1行分である必要はなく、例えば2行分や3行分など、任意の時間に設定することができる。リセット動作のタイミングをシフトする時間は、FDノードの電位の変動による影響が及ぶ範囲等に応じて適宜設定することが望ましい。
また、図24の駆動例では、撮像行の間引き率を2/3、AF行の間引き率を1/3としたが、撮像行及びAF行の間引き率の設定は、これに限定されるものではない。例えば、図25の駆動例のように、撮像行の間引き率を2/5、AF行の間引き率を1/5に設定してもよい。この場合、5行毎に2行が非読み出し行となる。
また、上記実施形態では、2画素加算を行ってS/N比の向上とモアレの低減を図っているが、必ずしも画素加算を行う必要はない。
このように、本実施形態によれば、焦点検出行の動作に起因するノイズが撮像行から読み出した撮像信号に重畳するのを抑制し、画質を向上することができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による固体撮像装置及びその駆動方法について、図26を用いて説明する。第1乃至第4実施形態による固体撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図26は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法における各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。
本実施形態では、第4実施形態による固体撮像装置の他の駆動方法を示す。本実施形態の駆動方法では、図26に示すように、隣り合うAF行においてAFリセット動作を実行する間隔が均一ではない。通常、AFリード動作ではA像信号とB像信号とを別々に読み出す観点から、例えば図23に示すように、2行分(2水平期間)に相当する間隔で隣り合うAF行のAFリセット動作が実行される。これに対し、本実施形態では、画素行V1のAFリセット動作と画素行V4のAFリセット動作とは1行分に相当する間隔で実行されるのに対して、画素行V4のAFリセット動作と画素行V7のAFリセット動作とは3行分に相当する間隔で実行される。画素行V7以降も同様に、1行分に相当する間隔と3行分に相当する間隔とを交互に開けて、各AF行のAFリセット動作が実行される。また、AFリセット走査は、隣り合う画素行で撮像リード動作のタイミングとAFリセット動作のタイミングとが重なるAFリセット走査に対して、奇数行分ずらしたタイミング(図26では1行分遅らせたタイミング)で実行する。以下、本実施形態においてこのように設定している理由について説明する。
撮像条件に応じて撮像行及びAF行の間引き率が決定されると、各行の撮像リード走査のタイミングとAFリード走査のタイミングとが決まる。各行の撮像リード走査のタイミングとAFリード走査のタイミングとが決まると、撮像リード走査のタイミングと重なるAFリセット走査のタイミングを推定することができる。例えば、図23に示すような、画素行V12,V14の撮像リード動作のタイミングと画素行V13のAFリセット動作のタイミングとが一致するAFリセット走査のタイミングを推定することができる。
また、隣り合うAF行のAFリセット動作のタイミングを、1行分(1水平期間)に相当する間隔又は3行分(3水平期間)に相当する間隔に設定する。このように設定した場合、上述の推定したAFリセット走査のタイミングに対して奇数行分ずらしたAFリセット走査においては、隣り合う画素行で撮像リード動作のタイミングとAFリセット動作のタイミングとが重なることはない。そこで、推定したAFリセット走査のタイミングに対して奇数行分ずらしたAFリセット走査のタイミングの中から、AF行の蓄積時間の設定に応じたAFリセット走査のタイミングを選択する。
すなわち、本実施形態では、隣り合う前記焦点検出行におけるリセット期間の間隔を、奇数行分に相当する間隔に設定している。そして、焦点検出走査を実行するタイミングを、焦点検出行に属する画素のリセット期間と焦点検出行の隣の撮像行に属する画素の読み出し期間とが一致する焦点検出走査のタイミングに対して、奇数行分ずらしたタイミングに設定している。これにより、焦点検出行に属する画素の蓄積時間を2水平期間に相当する間隔以上の間隔で設定することにより、焦点検出行に属する画素のリセット期間と焦点検出行の隣の撮像行に属する画素の読み出し期間とが一致しないようにできる。
このようにすることで、第4実施形態において説明した検出手段を用いることなく、撮像リード走査される画素とFDが隣り合う画素でAFリセット走査が行われないようにAFリセット走査のタイミングを設定することができる。これにより、撮像画像に横線状のノイズが生じるのを防止し、画質を向上することができる。
AFリセット走査のタイミングを図26のように設定した場合、AFリセット動作が1行分に相当する間隔で行われる隣り合うAF行では、AFリード走査におけるA像信号及びB像信号の読み出しを交互に行うことが望ましい。例えば、図26の画素行V1と画素行V4では、画素行V1の画素12gのA像信号、画素行V4の画素12rのA像信号、画素行V1の画素12gのB像信号、画素行V4の画素12rのB像信号、の順番でAFリードを実行する。このようにすることで、画素行V1と画素行V4との蓄積時間、ひいては総てのAF行の蓄積時間を揃えることができる。
なお、隣り合うAF行においてAFリセット動作を実行する間隔や、推定したAFリセット走査のタイミングと実際のAFリセット走査との間隔は、一例であり、撮影条件等に応じて適宜変更が可能である。
このように、本実施形態によれば、焦点検出行の動作に起因するノイズが撮像行から読み出した撮像信号に重畳するのを抑制し、画質を向上することができる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による固体撮像装置及びその駆動方法について、図27及び図28を用いて説明する。第1乃至第5実施形態による固体撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図27及び図28は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法における各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。
本実施形態では、第4実施形態による固体撮像装置の他の駆動方法を示す。本実施形態の駆動方法が第4実施形態と異なる点は、前述の検出手段によって検出された行だけでなく、総てのAF行のリセット動作のタイミングを一律にシフトしていることである。
例えば、図27に示すように、AFリセット走査において最初に走査されるAF行(画素行V1)のリセット動作がその一行前の撮像行(画素行V0)における読み出し動作が完了した後に開始するように、AFリセット走査の開始タイミングを設定する。このようにすることで、撮像リード走査が行われる画素とFDノードが隣り合う画素でAFリセット走査が行われないようにすることができ、横線状のノイズの発生を抑制することができる。
この駆動例では、AF行の蓄積時間が相対的に短くなるので、AF画像の出力低下が起こりうる。これを解決する手段としては、読み出しゲインを上げることが考えられる。例えば、AFリード走査の際に、FD容量を小さくするように制御したり、図示しない列アンプのゲインを上げたりすることが考えられる。これらの場合、読み出し回路のダイナミックレンジの範囲内で、前段で可能な限りゲインを上げることが好ましい。
或いは、図28に示すように、AFリセット走査において最後に走査されるAF行(画素行V22)のリセット動作がその一行後の撮像行(画素行V23)における読み出し動作が開始される前に完了するように、AFリセット走査の開始タイミングを設定する。このようにすることによっても、撮像リード走査が行われる画素とFDノードが隣り合う画素でAFリセット走査が行われないようにすることができ、横線状のノイズの発生を抑制することができる。
この駆動例では、図27の駆動例とは逆にAF行の蓄積時間が相対的に長くなるので、AF画像のダイナミックレンジ低下が起こりうる。これを解決する手段としては、読出しゲインを下げることが考えられる。この場合、読み出し回路のダイナミックレンジの範囲内で、後段で可能な限りゲインを下げることが好ましい。
S/N比の観点からは、画素と読み出し回路とを含む撮像素子の全体のダイナミックレンジの範囲内であれば、上記2つの駆動例のうちAF行の蓄積時間を長くする図28の駆動例の方が好ましい。蓄積時間を長くする駆動を選択する場合、ダイナミックレンジ低下が起こるかどうかを検出する検出手段を備えていることが好ましい。この検出手段が予め撮像素子のダイナミックレンジを把握しておくことで、露出制御情報から単純計算によって容易にダイナミックレンジ低下の有無を判断することができる。
本実施形態の駆動方法には、第4実施形態の駆動方法に対して、AF行の蓄積時間を揃えることができるという利点もある。
このように、本実施形態によれば、焦点検出行の動作に起因するノイズが撮像行から読み出した撮像信号に重畳するのを抑制し、画質を向上することができる。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による固体撮像装置及びその駆動方法について、図29を用いて説明する。第1乃至第6実施形態による固体撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図29は、本実施形態による固体撮像装置の駆動方法における各画素行のリセット動作及び読み出し動作のタイミングを示す模式図である。
本実施形態では、第4実施形態による固体撮像装置の他の駆動方法を示す。本実施形態の駆動方法が第4実施形態と異なる点は、AF行の間引き率が異なっていることである。すなわち、第4実施形態では、撮像走査における画素行の間引き率が2/3、AF走査における画素行の間引き率が1/3であったが、本実施形態では、撮像走査における画素行の間引き率が4/6、AF走査における画素行の間引き率が1/6である。撮像行では2つの画素行で同時に読み出し動作を実行するため、処理時間に観点から見ると、撮像走査における画素行の間引き率は2/6、AF走査における画素行の間引き率が1/6である。
前述のように、AFリード走査ではA像信号とB像信号とを読み出す必要があるので、AF走査時間は撮像走査時間の2倍必要となる。したがって、AF走査の間引き率を撮像走査の間引き率の半分(1/2倍)にすることによって、AF走査時間と撮像走査時間とを揃えることができる。その上で、撮像リード走査される画素とFDが隣り合う画素でAFリセット走査が行われないようにAFリセット走査のタイミングを制御することによって、横線状のノイズの発生を抑制することができる。
本実施形態の駆動方法では、AF走査によってベイヤー配列におけるブルー画素の信号を読み出すことができない。そこで、必要に応じてインターレース駆動などを行い、間欠的にブルー信号を読み出すようにしてもよい。
なお、本実施形態においても、第5実施形態の場合のように、AFリセット走査のタイミングを2行毎に設定する制限を更に設けてもよい。このように構成することには、第4実施形態の駆動方法に対して、検出手段が不要になるという利点がある。
また、本実施形態では、AF走査の間引き率を制御したが、一行当たりの読み出し時間を変えることによって同様の効果を実現することもできる。例えば、撮像走査の一行当たりの読み出し時間を、AF走査の一行当たりの読み出し時間の2倍に設定することができる。
このように、本実施形態によれば、焦点検出行の動作に起因するノイズが撮像行から読み出した撮像信号に重畳するのを抑制し、画質を向上することができる。
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態による撮像システムについて、図30を用いて説明する。第1乃至第7実施形態による固体撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。図30は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
上記第1乃至第7実施形態で述べた固体撮像装置100は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と固体撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。図30には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
図30に例示した撮像システム200は、撮像装置201、被写体の光学像を撮像装置201に結像させるレンズ202、レンズ202を通過する光量を可変にするための絞り204、レンズ202の保護のためのバリア206を有する。レンズ202及び絞り204は、撮像装置201に光を集光する光学系である。撮像装置201は、第1乃至第7実施形態で説明した固体撮像装置100であって、レンズ202により結像された光学像を画像データに変換する。
撮像システム200は、また、撮像装置201より出力される出力信号の処理を行う信号処理部208を有する。信号処理部208は、撮像装置201が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換を行う。また、信号処理部208はその他、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部208の一部であるAD変換部は、撮像装置201が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置201とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、撮像装置201と信号処理部208とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。
撮像システム200は、さらに、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部210、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)212を有する。さらに撮像システム200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体214、記録媒体214に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)216を有する。なお、記録媒体214は、撮像システム200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
さらに撮像システム200は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部218、撮像装置201と信号処理部208に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部220を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム200は少なくとも撮像装置201と、撮像装置201から出力された出力信号を処理する信号処理部208とを有すればよい。
撮像装置201は、撮像信号を信号処理部208に出力する。信号処理部208は、撮像装置201から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部208は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
第1乃至第7実施形態による固体撮像装置100を適用することにより、撮像画像に横線状のノイズのない良質な画像を取得しうる撮像システムを実現することができる。
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態による撮像システム及び移動体について、図31を用いて説明する。図31は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
図31(a)は、車戴カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記第1乃至第7実施形態のいずれかに記載の固体撮像装置100である。撮像システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、撮像システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部314を有する。また、撮像システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差算出部314や距離計測部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
撮像システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU330が接続されている。また、撮像システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム300で撮像する。図31(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置320が、撮像システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。さらに、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、何れかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した形態、或いは他の実施形態の一部の構成と置換した形態も本発明の実施形態である。
また、上記実施形態では、撮像行が属する単位画素行とAF行が属する単位画素行とが隣り合っている場合を例にして説明したが、FDノードの電位の変動の影響は、隣り合う単位画素行の範囲を超えて生じることもある。したがって、少なくともリセット動作に伴うFDノードの電位の変動による影響が及ぶ範囲にある単位画素行では、上記実施形態で説明した駆動方法を適用することが好ましい。
また、上記実施形態では、1つの画素の2つの光電変換部DA,DBで1つのマイクロレンズMLを共有する構成とすることで瞳分割を行ったが、遮光膜や配線層によって一部の瞳領域を遮光した光電変換部を有する2つの画素によって瞳分割を行ってもよい。
また、上記実施形態では、画素領域10に配された総ての画素を瞳分割画素としたが、必ずしも総ての画素を瞳分割画素にする必要はない。例えば、少なくともAF行に属する画素の少なくとも一部が瞳分割画素であればよい。
また、上記第1乃至第3実施形態では、光電変換部DA,DBが非蓄積状態のとき、これらに接続された転送トランジスタMA,MBの制御信号φTXA,TXBをローレベルに維持しているが、必ずしもローレベルに維持する必要はない。例えば、一部の期間において、制御信号φTXA,TXBをハイレベルにしてもよい。
また、撮像行及びAF行の行数やアドレス設定に関しても、上記実施形態に限定されるものではなく、任意に設定が可能である。
また、上記実施形態に示した撮像システムは、本発明の固体撮像装置を適用しうる撮像システム例を示したものであり、本発明の固体撮像装置を適用可能な撮像システムは図30及び図31に示した構成に限定されるものではない。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。