JP6859126B2 - 塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法 - Google Patents

塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6859126B2
JP6859126B2 JP2017030907A JP2017030907A JP6859126B2 JP 6859126 B2 JP6859126 B2 JP 6859126B2 JP 2017030907 A JP2017030907 A JP 2017030907A JP 2017030907 A JP2017030907 A JP 2017030907A JP 6859126 B2 JP6859126 B2 JP 6859126B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
steel material
primer layer
coated steel
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017030907A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018134800A (ja
JP2018134800A5 (ja
Inventor
浜原 京子
京子 浜原
哲 切通
哲 切通
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Metal Products and Engineering Inc
Original Assignee
JFE Metal Products and Engineering Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Metal Products and Engineering Inc filed Critical JFE Metal Products and Engineering Inc
Priority to JP2017030907A priority Critical patent/JP6859126B2/ja
Publication of JP2018134800A publication Critical patent/JP2018134800A/ja
Publication of JP2018134800A5 publication Critical patent/JP2018134800A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6859126B2 publication Critical patent/JP6859126B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

本発明は、塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法に関し、特に亜鉛めっき鋼材の表面にプライマー層を設けその上に塗装層を設けた塗装鋼材、及びその塗装鋼材の製造方法に関する。
従来、耐候性の鋼材として、亜鉛めっき鋼材に塗装を施した材料が広く使用されている。これらの塗装鋼材は、屋外で使用され耐候性が必要とされる防護柵や建築材料等に使用される。例えば、特許文献1においては、塗装鋼材は、溶融亜鉛めっき鋼板を下地とし、その上に化成処理被膜が形成され、その上に塗膜を備えている。また、従来の塗装鋼材の耐食性の評価としては、表面の塗膜が剥がれた時点を耐食年数として評価することが多い。
特許第4042913号公報
特許文献1に開示されているような塗装鋼材は、塗膜の下に化成処理被膜が形成されているが、市場に流通している亜鉛めっき鋼材は、耐食性向上のため、例えばクロメート処理、クロメートフリー処理、又はリン酸塩処理等の化成処理が施されている。また、市場には、化成処理被膜が施されていない亜鉛めっき鋼材も流通している。このような亜鉛めっき鋼材に塗装を施して塗装鋼材を製造した場合、下地となる亜鉛めっき鋼材の素性により塗料と下地との密着度が異なり、結果として塗装の耐食性の実力に差異が生じるという課題があった。
また、所定の耐食性を有する塗装鋼材を得るために、下地となる亜鉛めっき鋼板を選択した場合、所望の寸法の材料が入手できず製造コストが増大するという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、下地となる亜鉛めっき鋼板の表面の素性が異なっても、塗装の耐久性の高い塗装鋼材及びその塗装鋼材の製造方法を提供することを目的とする。
(i)本発明に係る塗装鋼材は、亜鉛めっき鋼材により構成される基材と、前記基材の表面に形成されたプライマー層と、前記プライマー層が加熱され前記基材に定着した後の表面に形成された塗膜と、を備え、前記基材は、前記亜鉛めっき鋼材の表面にさらに化成処理被膜を備え、前記プライマー層は、粉体塗装により塗装され、エポキシ系樹脂を含み、加熱され前記基材の表面に定着した後の厚さが20μm以上150μm以下であり、前記塗膜は、ポリエステル樹脂を含み、厚さが30μm以上150μm以下である。
(ii)本発明に係る塗装鋼材の製造方法は、亜鉛めっき鋼材により構成される基材に化成処理被膜が形成された表面に、加熱して前記基材の表面に定着させることにより厚さが20μm以上150μm以下のエポキシ系樹脂を含むプライマー層を形成するプライマー処理工程と、加熱して前記基材の表面に定着した後の前記プライマー層の表面にポリエステル樹脂を含む厚さが30μm以上150μm以下の塗膜を形成する外観塗装工程と、を備え、前記プライマー処理工程は、エポキシ系樹脂を含む粉体塗料を前記基材の表面に付着させ、加熱して前記基材の表面に定着させる粉体塗装工程を備える
上記(i)及び(ii)の構成により、塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法は、以下の効果を奏する。塗装鋼材は、エポキシ系樹脂を含むプライマー層とポリエステル系樹脂を含む塗膜とを有するため、耐食性が高く、またプライマー層の上に強固に塗膜が定着するため、屋外の使用においても塗装の剥がれが抑えられ美観的に良好な状態が長期間にわたって保たれる。さらに、亜鉛めっき鋼材の化成処理被膜の種類、化成処理被膜の有無に拘わらず、塗装の強度及び耐食性を高くすることができ、ひいては塗装鋼材の塗装工程に新たに化成処理工程を追加する必要がないため、製造コストを抑えつつ、耐久性が高い塗装鋼材を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る塗装鋼材の表面近傍の断面構成を示す模式図である。 比較例の塗装鋼材の表面近傍の断面構成を示す模式図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る塗装鋼材100の表面近傍の断面構成を示す模式図である。図1(a)においては、基材10は、亜鉛めっき鋼材の表面に化成処理被膜20が形成されている。そして、化成処理被膜20の上にプライマー層30が形成され、プライマー層30の表面に塗膜40が形成されている。図1(b)においては、亜鉛めっき鋼材の表面にプライマー層30が形成され、プライマー層30の表面に塗膜40が形成されている。塗装鋼材100は、例えば屋外で長期間使用される、ガードレール及びガードパイプなどの防護柵及びその他の建築用材料などに用いられる。
(基材10)
基材10は、亜鉛めっき鋼材から構成される。亜鉛めっき鋼材は、板状又は管状などの様々な形状に成形されており、表面に処理が施される場合がある。亜鉛めっき鋼材である基材10は、亜鉛めっき層11を備えることにより、通常の鋼材よりも大気中で高い耐食性を備える。亜鉛めっき層11は、例えば溶融亜鉛めっきにより形成されるものである。溶融亜鉛めっき層は、特に、Al:4.0〜10.0重量%,Mg:1.0〜4.0重量%,Ti:0.002〜0.1重量%,B:0.001〜0.045重量%,残部がZnおよび不可避的不純物からなり、めっきを施された鋼板の耐食性及び外観を良好にするものである。
(化成処理被膜20)
基材10が有する亜鉛めっき層11は、水分に対し錆びやすい性質があるため、表面に化成処理が施されることがある。基材10が有する化成処理被膜20は、化成処理工程において、例えば、クロメート処理、クロムフリー処理、又はリン酸塩処理などにより形成されるものである。これらの化成処理被膜20により、基材10の表面に不動態化した金属層が形成され、不動態化した金属層により防錆性が向上する。また、化成被膜の自己修復により基材10の腐蝕が抑制される効果が得られる。ただし、実施の形態1においては、化成処理被膜20は、形成されていなくても良い。化成処理被膜20は、基材10が有する亜鉛めっき層11の成分、表面の状態、又は化成処理工程の環境により被膜の形成が十分でない場合がある。実施の形態1に係る塗装鋼材100は、この化成処理被膜20が基材10の表面にどのように形成されているかに拘わらず、又は化成処理被膜が形成されているか否かに拘わらず、高い塗装密着性及び耐食性を得ることができる。
(プライマー層30)
プライマー層30は、基材10の表面に塗装される。又は、プライマー層30は亜鉛めっき層11又は化成処理被膜20の表面に直接塗装されてもよい。プライマー層30は、エポキシ系の樹脂を含むものであって、粉体塗料又は液体塗料の形態をとる。粉体塗料でプライマー層30を形成する場合は、亜鉛めっき層11の表面又は化成処理被膜20の表面に粉体塗料を静電気により付着させ、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。また、液体塗料の場合は、スプレー等で亜鉛めっき層11の表面又は化成処理被膜20の表面に塗布し、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。なお、加熱する温度及び時間については、塗料の仕様により適宜設定されるものである。また、本発明において、プライマー層30を形成する工程をプライマー処理工程と呼ぶ。
プライマー層30は、エポキシ系樹脂を含む塗料により構成される。市販されているエポキシ系樹脂を含む塗料としては、例えば、V−PET(商品名、大日本塗料株式会社製)#1340QD、FFプライマー(商品名、久保孝ペイント株式会社製)、CFプライマー(商品名、大日本塗料株式会社製)が挙げられる。エポキシ系樹脂を含む塗料は、耐水性及び耐薬品性に優れるという特徴がある。また、後述する塗膜40にはポリエステル系樹脂が含まれているが、実施の形態1に係るプライマー層30は、この塗膜40との組み合わせにより、高い塗装密着性及び耐食性を得るものである。
(塗膜40)
塗膜40は、プライマー層30の上に形成され、塗装鋼材の外観を形成する。塗膜40は、ポリエステル樹脂を含み、粉体塗料又は液体塗料の各形態をとりうる。粉体塗料で塗膜40を形成する場合は、プライマー層30の表面に粉体塗料を静電気により付着させ、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。また、液体塗料の場合は、スプレー等でプライマー層30の表面に塗布し、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。なお、加熱する温度及び時間については、塗料の仕様により適宜設定されるものである。また、本発明において、粉体塗料により塗膜40を形成する工程を粉体塗装工程と呼び、液体塗料により塗膜40を形成する工程を液体塗装工程と呼ぶ。
塗膜40は、ポリエステル樹脂を含む塗料により構成される。市販されているポリエステル系樹脂を含む塗料としては、例えば、V−PET#4500が挙げられる。実施の形態1において、塗膜40の下の層であるプライマー層30は、塗装鋼材100の耐水性及び耐薬品性を確保する観点からエポキシ系樹脂を含む塗料により構成されている。しかし、エポキシ系樹脂は紫外線に対し劣化するため、プライマー層30は、太陽光が当たると劣化する。よって、実施の形態1においては、プライマー層30の上に耐光性を有する塗膜40を形成することによりプライマー層30の劣化を抑制している。また、塗膜40は、プライマー層30の上に形成されることにより、塗膜40とプライマー層30との間が強く接着できるため、塗膜40の剥がれを抑制でき、塗装鋼材100の耐久性が向上する。
実施の形態1に係る塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性の評価結果を以下に説明する。
表1は、実施の形態1に係る塗装鋼材100の各評価サンプルの基材10の仕様及びプライマー層30の仕様を示すものである。また、表1は、実施の形態1に係る塗装鋼材100の評価サンプルの塩水噴霧、耐沸騰水性、耐水性、及び塩温水浸漬の各試験における評価結果を示している。
Figure 0006859126
図2は、比較例の塗装鋼材101の表面近傍の断面構成を示す模式図である。図2(a)及び(b)は、プライマー層31が設けられている場合の比較例の塗装鋼材101の模式図である。図2(c)及び(d)は、プライマー層が設けられていない場合の比較例の塗装鋼材101の模式図である。
表2は、比較例としての塗装鋼材101の評価サンプルの基材10の仕様及びプライマー層31の仕様を示している。また、表2は、比較例の評価サンプルの塩水噴霧、耐沸騰水性、耐水性、及び塩温水浸漬の各試験における評価結果を示している。
Figure 0006859126
表3は、実施の形態1に係る塗装鋼材100の評価サンプルの基材10の仕様、及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルの基材10の仕様を示している。基材10のうち、Z27−Mは、化成処理被膜20が形成されていない基材10である。なお、基材10がZ27−Mである塗装鋼材100、101の構造は、図1(b)、図2(b)、及び図2(d)に表されている。
Figure 0006859126
表4は、実施の形態1に係る塗装鋼材100の評価サンプルのプライマー層30の仕様、及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルのプライマー層31の仕様を示している。表4のA〜Cが実施の形態1に係る塗装鋼材100のプライマー層30の仕様である。Dは、比較例の塗装鋼材のプライマー層31の仕様である。比較例は、アクリル系樹脂を含む塗料によりプライマー層31を形成している。
Figure 0006859126
表5は、実施の形態1に係る塗装鋼材100の評価サンプルの塗膜40の仕様、及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルの塗膜40の仕様を示している。塗膜40は、実施の形態1に係る塗装鋼材100の評価サンプル及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルの両方に共通した条件で形成されている。塗膜40の膜厚は、30〜150μmに設定したもので試験を行っている。
Figure 0006859126
以下に、表1及び表2に示されている各試験の概要を説明する。
(塩水噴霧試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールして評価サンプルとした。試験片は、塗装部分にクロスカットを入れたものとクロスカット無しのものを用意した。試験方法は、JIS K 5600−7−1に従い、35℃の恒温槽内で、試験片の塗装されている面に5%NaCl水溶液をスプレーした。試験時間は、1000時間とした。
評価は、クロスカットを入れたものについてはクロスカット部をテープ剥離試験し、クロスカットからの片側最大剥離幅を測定した。測定された剥離幅により、各評価サンプルの塗装後耐食性を評価した。表1及び表2における評価結果は、最大剥離幅が3mm以下を◎、3mmを超えて5mm以下を○、5mmを超えて7mm以下を△、7mmを超えたものを×として表示している。また、クロスカット無しの試験片についての評価は、表面部の観察を行い、塗装面の膨れ箇所数により各評価サンプルを評価した。表1及び表2における評価結果は、膨れ箇所が0個は◎、1〜3個は○、4〜10個は△、10個を超えるものは×として表示した。
(耐沸騰水性試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールした。試験方法は、JIS K 5400−1990−8.20に準拠して、試験片を沸騰水中に1時間浸漬させた。評価は、試験終了後、JIS K 5600−5−6の規定に準拠して、碁盤目状クロスカット付着性試験を行ない、剥離状況を調査することによって行った。塗膜40の剥離状況は、JIS K 5400の試験結果の分類に準拠して、分類0〜5の段階で判定し、塗膜の二次密着性を評価した。表1及び表2においては、分類0または1を◎、分類2を○、分類3を△、分類4または5を×として表示している。
(耐水性試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールした。試験方法は、JIS K 5600−6−1に準拠して、試験片を水温23℃に240時間浸漬した。評価は、1試験終了後、JIS K 5600−5−6の規定に準拠して、碁盤目状クロスカット付着性試験を行ない、剥離状況を調査することによって行った。塗膜40の剥離状況は、JIS K 5400の試験結果の分類に準拠して、分類0〜5の段階で判定し、塗膜の二次密着性を評価した。表1及び表2においては、分類0または1を◎、分類2を○、分類3を△、分類4または5を×として表示している。
(塩温水浸漬試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールした。試験方法は、塗装表面にクロスカットを入れ、5%NaCl水溶液(液温55℃)に浸漬した。浸漬時間は240時間とした。評価は、クロスカット部をテープ剥離試験し、クロスカットからの片側最大剥離幅を測定した。測定された剥離幅により、各評価サンプルを評価した。表1及び表2における評価結果は、最大剥離幅が3mm以下を◎、3mmを超えて5mm以下を○、5mmを超えて7mm以下を△、7mmを超えたものを×として表示している。
(塗装仕様の相違による評価結果について)
表1及び表2の評価結果は、共通の基材10で実施している。しかし、プライマー層30の相違により、評価結果に差異が認められる。特に、塩温水浸漬試験の結果を見ると、表1に示されている実施の形態1に係るプライマー層30を備える各評価サンプルは◎又は○といった良好な成績であるのに対し、表2の比較例のプライマー層31を備える各評価サンプルは、△〜×といった成績になっている。この点において、実施の形態1に係るプライマー層30を備えることによって、耐食性及び塗装密着性が高くなるという効果が示されている。
表2によれば、基材10をZ27−Mとし、プライマー層31が仕様D(アクリル系樹脂のプライマー)である場合は、塩温水浸漬試験以外の試験項目において、表1と同等の評価結果となっている。しかし、表2において、プライマー層31が仕様Dであって基材10をZ27−M以外にした場合は、塩水噴霧試験において基材10をZ−27Mにしたものよりも評価結果が劣っている。つまり、亜鉛めっきに化成処理被膜20が形成されていないZ27−Mに対し仕様Dのプライマー層31(アクリル系樹脂のプライマー)を設けた場合と、化成処理被膜20が形成された基材10に仕様Dのプライマー層31(アクリル系樹脂のプライマー)を設けた場合とでは、耐食性及び塗装密着性に差異が生じている。
一方、表1によれば、実施の形態1のプライマー層30が設けられている塗装鋼材100は、基材10に化成処理被膜20が形成されているか否かによらず、各試験において良好な評価結果となっている。従って、実施の形態1に係るプライマー層30を設けることによって、化成処理被膜20の仕様に拘わらず耐食性及び塗装密着性が高い塗装鋼材100を得られる。
特に、表1においてプライマー層30が仕様Aである場合(エポキシ系樹脂のプライマーであって、膜厚が50μmである場合)は、化成処理被膜20がクロメート処理、クロムフリー処理、又はリン酸塩処理のいずれであっても耐食性及び塗装密着性が高い塗装鋼材100が得られている。
また、表1においてプライマー層30が仕様Aである場合は、化成処理被膜20が無くても化成処理被膜20が設けられている場合と同等の結果が得られている。さらに、表1において、プライマー層30が仕様Bである場合(エポキシ系樹脂のプライマーであって、膜厚が20μmである場合)は、基材10がK27−Cである場合に限って塩水噴霧試験のカット無しの結果が○になっており、仕様Aのプライマー層30よりも若干劣った評価結果になっている。また、プライマー層30が仕様Cである場合(エポキシ系樹脂のプライマーであって、膜厚が15μmである場合)は、基材10がK27−Cである場合の塩水噴霧試験カット無しの条件及び塩温水浸漬試験の結果が○になっており、仕様A及びBのプライマー層30よりも若干劣った評価結果になっている。
つまり、同じK27−Cである基材10において比較した場合、仕様Aのプライマー層30が最も耐食性及び塗装密着性が高く、仕様B(膜厚20μm)、仕様C(膜厚15μm)の順に性能が下がっている。仕様A〜Cのプライマー層30は、主に膜厚が異なっているだけであり、屋外の使用に耐えうる塗装鋼材100としては、少なくとも温塩水浸漬試験にて◎の評価が得られている仕様Bのプライマー層30の膜厚を確保することが求められる。評価結果からは、基材10に形成される、化成処理被膜20の有無又は化成処理被膜20の種類に拘わらず、エポキシ系樹脂のプライマー層30を少なくとも20μm以上に設定することにより、耐食性及び塗装密着性の高い塗装鋼材100が得られる。
なお、評価サンプルにおいて、仕様Aのプライマー層30は、B〜D仕様と比較して膜厚が厚くなっている。仕様Aのプライマー層30を形成する際に粉体塗料により塗装を行っており、静電気で基材10の表面に粉体塗料を付着させることにより、1回の塗装作業で膜厚を厚くすることができる。評価においては、プライマー層30の膜厚が20μm以上150μm以下の範囲になる様に設定し、表1に示される仕様Aのプライマー層30と同等の良好な結果を得られる。しかし、実際の塗装鋼材100の製造においては、膜厚の下限側でプライマー層30の膜厚が20μmを下回らないようにして、塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性を安定させる必要がある。よって、実際の製造においては、プライマー層30の下限側の膜厚は40μm以上に設定することが好ましい。また、プライマー層30の膜厚は150μmであっても、表1に示される仕様Aのプライマー層30と同等の結果を得られる。プライマー層30の膜厚は、150μmを超えると塗装鋼材100の表面の強度が低くなり傷つきやすくなる。実際の塗装鋼材100の製造において、プライマー層30の上限側の膜厚は、プライマー層30を形成する粉体塗料の消費量及び製品の寸法のばらつきを考慮して100μm以下に設定することが好ましい。
表1において、仕様B及び仕様Cのプライマー層30は、仕様Aに対し膜厚が薄い。これは、仕様B及び仕様Cのプライマー層30を形成する際に液体塗料を使用しているためである。液体塗料を使用した場合、プライマー層30は、1回の塗装で最大30μm程度の膜厚にしかならない。しかし、1回液体塗料を塗布し、加熱後に再度液体塗料を重ね塗りすることにより膜厚を厚くすることが可能である。ただし、粉体塗料を使用した仕様Aのように1回の塗装により膜厚を厚くできる方が、工程数が少なく製造時の塗装にかかる時間も抑えつつ、耐食性及び塗装密着性の高い塗装鋼材100が得られる。
表1において、仕様A〜Cのプライマー層30を有する塗装鋼材100は、塩水噴霧、耐沸騰水性、耐水性、及び塩温水浸漬の各試験において良好な耐食性及び塗装密着性が得られている。仕様A〜Cのプライマー層30の上に表5に示されている塗膜40を形成することにより、塗装鋼材100は太陽光に長期間さらされても塗装が劣化することなく高い耐久性を維持できる。実施の形態1において、塗膜40は膜厚が30μm以上となるように形成されている。塗膜40の膜厚が30μm未満の場合は、プライマー層30が劣化し易いため、塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性が低下する。よって、実施の形態1に係る塗装鋼材100は、塗膜40の膜厚を30μm以上確保することが好ましい。
塗膜40は、膜厚を30μm以上確保するために粉体塗料により塗装される。粉体塗装工程においては、静電気でプライマー層30の表面に粉体塗料を付着させることにより、1回の塗装作業で膜厚を厚くすることができるという利点がある。液体塗料により塗膜40を形成する場合は、プライマー層30の表面に1回液体塗料を塗布し、加熱後に再度液体塗料を重ね塗りすることにより塗膜40を厚くすることが可能である。ただし、塗膜40が複数の層になるため、塗装密着性の観点から好ましくは粉体塗料により1回の粉体塗装工程により塗膜40を形成することが好ましい。
塗膜40は、実際の塗装鋼材100の製造において膜厚の下限側で塗膜40の膜厚が30μmを下回らないようにして、紫外線によるプライマー層30の劣化を抑制し塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性を安定させる必要がある。そのため、塗膜40は、下限側の膜厚は40μm以上に設定することが好ましい。また、塗膜40の膜厚は150μmであっても表1に示されるように良好な結果を得られる。塗膜40の膜厚は、150μmを超えると塗装鋼材100の表面の強度が低くなり、傷つきやすくなる。実際の塗装鋼材100の製造において、塗膜40の上限側の膜厚は、塗膜40の強度、塗膜40形成する粉体塗料の消費量、及び製品の寸法のばらつきを考慮して100μm以下に設定することが好ましい。
(実施の形態1の効果)
(1)実施の形態1に係る塗装鋼材100は、亜鉛めっき鋼材により構成される基材10と、基材10の表面に形成されたプライマー層30と、プライマー層30の表面に形成された塗膜40と、を備える。プライマー層30は、エポキシ系樹脂を含み、厚さが20μm以上150μm以下であり、塗膜40は、ポリエステル樹脂を含み、厚さが30μm以上150μm以下である。
このように構成されることにより、塗装鋼材100は、基材10の表面に化成処理被膜20が形成されているか否かに拘わらず、高い塗装密着性と高い耐食性を得ることができる。また、塗装鋼材100は、基材10に施されている化成処理被膜20の種類に拘わらず、高い塗装密着性と高い耐食性とを得ることができる。これにより、基材10の素性のばらつきがあっても高い塗装密着性と高い耐食性とを備える塗装鋼材100が得られるため、塗装鋼材100は、亜鉛めっき鋼材である基材10の選択が制限されず、コストを抑えつつ高い品質を確保できる。
(2)実施の形態1に係る塗装鋼材100によれば、基材10は、表面に化成処理被膜を備える。
(3)実施の形態1に係る塗装鋼材100によれば、化成処理被膜20は、クロメート処理被膜、クロメートフリー処理被膜、又はリン酸塩被膜である。
このように構成されていても、塗装鋼材100は、基材10に施されている化成処理被膜20の種類に拘わらず、高い塗装密着性と高い耐食性とを得ることができる。また、クロメート処理被膜又はクロメートフリー処理被膜が施された基材10のように塗膜40が密着しにくい構成の材料であっても、プライマー層30を施すことにより塗膜40を密着し易くすることができる。
(4)実施の形態1に係る塗装鋼材100の製造方法によれば、亜鉛めっき鋼材により構成される基材10の表面に、厚さが20μm以上150μm以下のエポキシ系樹脂を含むプライマー層30を形成するプライマー処理工程と、プライマー層30の表面にポリエステル樹脂を含む厚さが30μm以上150μm以下の塗膜40を形成する外観塗装工程と、を備える。
このように構成されることにより、塗装前に基材10の表面に化成処理被膜20が形成する化成処理工程を特に必要とせず、塗装鋼材100は高い塗装密着性と高い耐食性を得ることができる。また、プライマー処理工程の前に基材10に特に前処理をしなくても、高い塗装密着性と高い耐食性とを有する塗装鋼材100が得られる。
(5)実施の形態1に係る塗装鋼材100の製造方法によれば、プライマー処理工程の前に基材10表面に化成処理被膜20を形成する化成処理工程を備える。
このように構成されることにより、クロメート処理被膜又はクロメートフリー処理被膜が施された基材10のように塗膜40が密着しにくい構成の材料であっても、プライマー層30を施すことにより塗膜40を密着し易くすることができ、高い塗装密着性と高い耐食性とを有する塗装鋼材100が得られる。
(6)実施の形態1に係る塗装鋼材100の製造方法によれば、プライマー処理工程は、エポキシ系樹脂を含む粉体塗料を基材10の表面に付着させ、加熱して前記基材の表面に定着させる粉体塗装工程を備える。
このように構成されることにより、一回の塗装工程により十分な厚さのプライマー層30を形成することができるため、製造コストを抑えつつプライマー層30の厚みを所定の範囲に形成することができる。
(7)実施の形態1に係る塗装鋼材100の製造方法によれば、前記プライマー処理工程は、エポキシ系樹脂を含む液体塗料を前記基材の表面に塗布し、加熱して前記基材の表面に定着させる液体塗装工程を備える。
(8)また、プライマー処理工程は、液体塗装工程の後に、さらに液体塗料を塗布し、加熱して表面に定着させることによりプライマー層30を積層させる。
このように構成されることにより、液体塗料によりプライマー層30を形成した場合であっても、所定の厚さの膜厚に形成できる。
(9)実施の形態1に係る塗装鋼材100の製造方法によれば、外観塗装工程は、粉体塗料をプライマー層30の表面に付着させ、加熱してプライマー層30の表面に定着させる。
このように構成されることにより、一回の塗装工程により十分な厚さの塗膜40を形成することができるため、製造コストを抑えつつ塗膜40の厚みを所定の範囲に形成することができる。
10 基材、11 亜鉛めっき層、20 化成処理被膜、30 プライマー層、31 プライマー層、40 塗膜、100 塗装鋼材、101 塗装鋼材、A 仕様、B 仕様、C 仕様、D 仕様。

Claims (5)

  1. 亜鉛めっき鋼材により構成される基材と、
    前記基材の表面に形成されたプライマー層と、
    前記プライマー層が加熱され前記基材に定着した後の表面に形成された塗膜と、を備え、
    前記基材は、
    前記亜鉛めっき鋼材の表面にさらに化成処理被膜を備え、
    前記プライマー層は、
    粉体塗装により塗装され、エポキシ系樹脂を含み、加熱され前記基材の表面に定着した後の厚さが20μm以上150μm以下であり、
    前記塗膜は、
    ポリエステル樹脂を含み、厚さが30μm以上150μm以下である、塗装鋼材。
  2. 前記化成処理被膜は、
    クロメート処理被膜、クロメートフリー処理被膜、又はリン酸塩被膜である、請求項に記載の塗装鋼材。
  3. 亜鉛めっき鋼材により構成される基材に化成処理被膜が形成された表面に、加熱して前記基材の表面に定着させることにより厚さが20μm以上150μm以下のエポキシ系樹脂を含むプライマー層を形成するプライマー処理工程と、
    加熱して前記基材の表面に定着した後の前記プライマー層の表面にポリエステル樹脂を含む厚さが30μm以上150μm以下の塗膜を形成する外観塗装工程と、を備え、
    前記プライマー処理工程は、
    エポキシ系樹脂を含む粉体塗料を前記基材の表面に付着させ、加熱して前記基材の表面に定着させる粉体塗装工程を備える、塗装鋼材の製造方法。
  4. 前記プライマー処理工程の前に前記亜鉛めっき鋼材の表面に化成処理被膜を形成する化成処理工程を備える、請求項に記載の塗装鋼材の製造方法。
  5. 前記外観塗装工程は、
    前記粉体塗料を前記プライマー層の表面に付着させ、加熱して前記プライマー層の表面に定着させる、請求項3又は4に記載の塗装鋼材の製造方法。
JP2017030907A 2017-02-22 2017-02-22 塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法 Active JP6859126B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017030907A JP6859126B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017030907A JP6859126B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018134800A JP2018134800A (ja) 2018-08-30
JP2018134800A5 JP2018134800A5 (ja) 2019-12-12
JP6859126B2 true JP6859126B2 (ja) 2021-04-14

Family

ID=63365139

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017030907A Active JP6859126B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6859126B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112742682A (zh) * 2019-10-29 2021-05-04 西藏中驰集团股份有限公司 一种新型防腐涂装工艺
JP2023012098A (ja) * 2021-07-13 2023-01-25 ダイセル・オルネクス株式会社 活性エネルギー線硬化性組成物

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06304519A (ja) * 1993-04-26 1994-11-01 Kansai Paint Co Ltd 塗膜形成方法
JPH0987820A (ja) * 1995-09-29 1997-03-31 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶融亜鉛めっき鋼板及びそれを用いた塗装鋼板
JP4162769B2 (ja) * 1997-08-27 2008-10-08 日本ペイント株式会社 塗膜形成方法及び塗膜
JP3606077B2 (ja) * 1998-12-22 2005-01-05 住友金属工業株式会社 耐傷付き性に優れた高加工性塗装鋼板とその製造方法
TW200424273A (en) * 2002-11-14 2004-11-16 Kansai Paint Co Ltd Powder coating, method for production thereof, method for using the powder coating and coated article

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018134800A (ja) 2018-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101454474B (zh) 制备覆有防腐蚀体系的扁钢产品的方法
JP2004524957A (ja) 艶出し効果を付与する腐食耐性コーティング
JP4344222B2 (ja) 化成処理金属板
JP6859126B2 (ja) 塗装鋼材及び塗装鋼材の製造方法
JP4312583B2 (ja) 耐食性に優れた塗装Zn−Al系合金めっき鋼板
JP5103111B2 (ja) 塗装鋼板
JP3376949B2 (ja) 太陽熱反射性表面処理金属板
CN109513597A (zh) 一种护栏用锌合金型材的表面防腐处理工艺
CN212555317U (zh) 一种有手感的涂层拉丝彩涂板
JP2010090444A (ja) 耐食性と塗料密着性に優れた塗装金属材
JP4312635B2 (ja) 耐食性に優れた塗装アルミニウムめっき鋼板
JP2010208067A (ja) 塗装鋼板および外装部材
JP6957262B2 (ja) 支柱構造物
JP4598703B2 (ja) クロムフリープレコート鋼板
WO2005053949A1 (ja) 耐食性に優れ、環境負荷の小さい塗装金属板
CN102950833B (zh) 感光变色彩色涂层钢板及其制造方法
JP6343505B2 (ja) 建築用外装材
JP2015108173A (ja) 塩害環境下での耐食性に優れた塗装鋼材の製造方法
JP3144433B2 (ja) 対候性塗膜及びそれを形成したアルミニウムホイール
JP5309648B2 (ja) 塗装済み金属部材
JP4280658B2 (ja) 塗膜密着性に優れたクリア塗装ステンレス鋼板
JP2008279071A (ja) パイプ組立式収納棚
JP3143126U (ja) 亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品
JP2014162957A (ja) 耐食性に優れた塗装鋼材の製造方法
JP2677473B2 (ja) 耐候性塗膜及びそれを形成したアルミニウム部材

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191101

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201006

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210316

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6859126

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250