JP2010208067A - 塗装鋼板および外装部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融Zn−Al系めっき鋼板または溶融Al系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板において、切断端面や曲げ加工部の屋外暴露環境での耐食性を改善する。
【解決手段】質量%で、Al:5〜95%を含有し、残部元素としてZn:95%以下、Mg:10%以下:Si:12%以下の1種以上を含有し、Al、Zn、Mg、Si以外の元素の合計含有量が3%以下(0%を含む)である溶融めっき浴を用いてAl含有めっき層2を形成しためっき鋼板の、当該めっき層の上に、化成処理皮膜3、下塗り塗膜4、上塗り塗膜5を有する塗装鋼板において、前記下塗り塗膜中に顔料としてリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの1種以上が合計10〜35質量%含有されていることを特徴とする塗装鋼板。下塗り塗膜の平均厚さ(乾燥後、鋼板片面あたり)は2〜25μmの範囲とすることが望ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融Zn−Al系めっき鋼板または溶融Al系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板であって、切断端面や曲げ加工部などの金属露出部における耐食性、特に屋外暴露特性を改善した塗装鋼板、およびそれを用いた建築物の外装部材に関する。
塗装鋼板の原板としては従来から耐食性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板が多用されている。最近では建築物の外装用途を中心に、更に耐食性が良好な溶融Zn−Al系めっき鋼板や溶融Al系めっき鋼板を塗装原板に用いることが多くなってきた。しかし、これらの高耐食性めっき鋼板を用いた場合でも、塗装鋼板の切断端面には金属(めっき層および鋼素地)が露出し、その部分での腐食が問題となることがある。また曲げ加工部では塗膜およびめっき層に不可避的にクラックが発生することがあり、その部分でも金属が露出して腐食が問題となることがある。このような腐食は、クロメート系の化成処理層を形成させたり、クロム酸系の防錆顔料を使用したりすることにより効果的に防止することができる。しかし、環境問題から最近ではクロムイオンの溶出が生じない材料が求められている。
特許文献1、2には、溶融Zn−Al系めっき鋼板または溶融Al系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板について、曲げ加工部の金属露出部における耐食性を改善する技術として、塗膜の中にマグネシウム塩およびリン酸塩を配合させる手法が開示されている。この場合、化成処理皮膜や塗膜にクロム成分を含まないので、環境には優しい。
特開2005−169765号公報 特開2005−262526号公報
特許文献1、2の技術によれば、屋外で雨水に曝された曲げ加工部のクラック発生箇所において、塗膜に配合されたマグネシウム成分およびリン酸成分が溶出し、これらの溶出成分とめっき層から溶出したAlイオン、Znイオンなどが難溶性腐食生成物を形成する。この腐食生成物はめっき層および鋼素地が露出している部分に保護皮膜を形成し、耐食性が確保される。
ところが発明者らの詳細な調査によれば、特許文献1、2に開示の塗装鋼板では、屋外暴露のような比較的マイルドな環境で保持すると、比較的短期から切断端面や曲げ加工部においてめっき層あるいは鋼素地の腐食が観測される場合があることがわかった。特に切断端面では、めっき層の腐食が進行することにより塗膜に膨れが生じる「エッジクリープ」と呼ばれる現象が目立ちやすい。種々検討の結果、特許文献1、2の手法では腐食生成物による安定な保護皮膜が形成されるまでに長時間を要する場合があり、腐食環境によってはそれまでの期間に金属の腐食が進行してしまうものと考えられた。既に発生したエッジクリープは、その後、保護皮膜が形成された後も修復不可能であることから、できるだけ早期に腐食の進行を食い止めることが望まれる。
本発明はこのような現状に鑑み、本来耐食性に優れる溶融Zn−Al系めっき鋼板または溶融Al系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板において、切断端面や曲げ加工部の耐食性に関し、クロムイオンの溶出による環境問題を生じること無く、従来一般的な促進試験条件下での耐食性を確保するとともに、特に屋外暴露環境での耐食性を改善することを目的とする。
上記目的は、質量%で、Al:5〜95%を含有し、残部元素としてZn:95%以下、Mg:10%以下:Si:12%以下の1種以上を含有し、Al、Zn、Mg、Si以外の元素の合計含有量が3%以下(0%を含む)である溶融めっき浴を用いてAl含有めっき層を形成しためっき鋼板の、当該めっき層の上に、化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜を有する塗装鋼板において、前記下塗り塗膜中に顔料としてリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの1種以上が合計10〜35質量%含有されていることを特徴とする塗装鋼板によって達成される。下塗り塗膜の平均厚さ(乾燥後、鋼板片面あたり)は2〜25μmの範囲とすることが望ましい。また本発明では上記塗装鋼板を素材として成形され、切断端面の金属露出部および曲げ加工部の金属露出部の少なくとも一方を持つ建築物の外装部材が提供される。ここで外装部材は、屋根材料、外壁材料など、屋外の大気環境に曝される建築部材である。
本発明によれば、溶融Zn−Al系めっき鋼板または溶融Al系めっき鋼板を原板とする塗装鋼板において、切断端面などの金属露出部で問題となっていた屋外暴露環境での耐食性が改善された。すなわち、暴露開始後の比較的早期の段階で塗膜中の成分が迅速にめっき金属の溶出成分と結びついて保護性の高い皮膜を形成し、特にエッジクリープの発生量を顕著に抑制することが可能となる。
本発明の塗装鋼板における切断端面近傍の腐食形態を模式的に示した断面図。 本発明の塗装鋼板における曲げ加工部の腐食形態を模式的に示した断面図。
図1に、本発明の塗装鋼板の切断端面近傍における断面の腐食形態を模式的に示す。めっき原板である鋼素地1の上に溶融Zn−Al系めっきまたは溶融Al系めっきによって形成されためっき層2があり、その上に化成処理層3を介して下塗り塗膜4および上塗り塗膜5が形成されている。切断端面6においては鋼素地1とめっき層2が金属露出部を構成している。このような切断端面を持つ塗装鋼板が腐食環境に曝されると、めっき層は切断端面から腐食していき、腐食箇所10が形成される。Zn−Al系めっきの場合は特にZnリッチ相が優先的に腐食する。腐食箇所10の体積膨張に起因する膨れが上塗り塗膜5の表面にまで伝わり、エッジクリープ20が発生する。切断端面6からエッジクリープ20の最前線までの距離xを「エッジクリープ長さ」と呼ぶ。めっき層の腐食の進行に伴ってエッジクリープ長さは増大する。
従来、下塗り塗膜4の中にリン酸マグネシウムやリン酸亜鉛等のリン酸塩を防錆顔料として含有させる手法が知られている(例えば特許文献1、2)。この場合、下塗り塗膜4から溶出したリン酸成分(PO4 3-、PO3 2-)や金属成分(Mg2+など)が、めっき層2の腐食によって生じた金属成分(Al3+、Zn2+など)とともに難溶性の腐食生成物を形成し、これがやがて保護皮膜11となって切断端面6に付着する。保護皮膜11によって端面が保護されるまでの期間にエッジクリープ20が成長し、エッジクリープ長さxが1mm以上となる場合がある。そうなると外装材の外観を損ね、好ましくない。
本発明では、下塗り塗膜4の中に所定量のリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの1種以上を防錆顔料として存在させている。発明者らの検討によれば、この場合、屋外暴露環境のような比較的マイルドな腐食環境でも保護皮膜11が従来よりも迅速に形成されるものと考えられ、結果的にエッジクリープ20は1mm未満の成長量で止まり、目立ちにくい。その理由については現時点で必ずしも明らかではないが、1つには、下塗り塗膜4中に存在させたリン酸マンガンや亜リン酸マンガンは、従来の防錆顔料成分であるリン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、変性シリカなどと比べ、雨水が当たりにくいマイルドな屋外環境においても溶出しやすいのではないかと考えられる。また、リン酸マンガンや亜リン酸マンガンから溶出したマンガンイオンは、めっき層2の溶出成分であるアルミニウムイオン等と結びついて形成される難溶性腐食生成物(リン酸アルミニウムや、Al、Zn等の水酸化物を主体とする物質)の付着性を向上させる作用があることも考えられる。いずれにしても、防錆顔料として配合させたリン酸マンガン、亜リン酸マンガンは、促進試験環境とは異なりマイルドな環境である屋外暴露環境において、迅速に保護皮膜11を形成する上で極めて有効に作用し、エッジクリープの成長抑制効果に優れることがわかった。
図2に、本発明の塗装鋼板の曲げ加工部における断面の腐食形態を模式的に示す。屋根材等の施工に際し、溶融Zn−Al系めっき塗装鋼板や、溶融Al系めっき塗装鋼板に曲げ加工を施すと、曲げの外側表面ではめっき層2およびその上の化成処理層3、下塗り塗膜4、上塗り塗膜5に不可避的にクラックが生じ、めっき層2および鋼素地1が外部に露出する。従来は特に屋外暴露環境などで、この部分での金属腐食が目立つことが問題となっていた。本発明によれば、これが顕著に抑制される。そのメカニズムについては前述の切断端面の場合と同様に、下塗り塗膜4中に配合させたリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの溶出成分が、めっき層2から溶出するアルミニウムイオン等とともに迅速に難溶性の腐食生成物を形成し、金属露出部に保護皮膜11を形成するものと考えられる。
以下、本発明を特定する事項について説明する。
〔めっき鋼板〕
塗装原板となるめっき鋼板としては、溶融Zn−Al系めっき鋼板または溶融Al系めっき鋼板が採用される。これらは亜鉛めっき鋼板よりもめっき表面の耐食性に優れる。特に溶融Zn−Al系めっき鋼板は亜鉛による犠牲防食作用を併せ持つ。めっき基材の鋼板は用途に応じて従来一般的なものが使用できる。
本発明で対象とする溶融めっきは、質量%で、Al:5〜95%を含有し、残部元素としてZn:95%以下、Mg:10%以下:Si:12%以下の1種以上を含有し、Al、Zn、Mg、Si以外の元素の合計含有量が3%以下(0%を含む)である溶融めっき浴に鋼板を浸漬することにより施されるめっきである。このうち、Znをめっき成分として含有するものを溶融Zn−Al系めっきと呼び、それ以外を溶融Al系めっきと呼んでいる。Alはめっき層自体の耐食性を向上させる上で有効な成分である。Al含有量が5%未満の場合またはZn含有量が95%を超える場合は、亜鉛めっき鋼板に対して耐食性の向上効果が小さく、コストメリットに乏しい。Al含有量が95%を超えるとめっき浴の融点が高くなり好ましくない。Mgはめっき層表面に均一な腐食生成物を生成させて当該めっき鋼板の耐食性を著しく高める作用を呈する。Mg含有量が10質量%を超えると平滑なめっき表面を実現することが難しくなる。Siは、Alを含有する溶融めっきにおいて脆いFe−Al系合金層の成長を抑制する作用がある。また、Al含有量が高い場合にはSi添加によりめっき浴の融点を低下させることができる。Si含有量が12%を超えるとこれらの効果が十分に発揮されない。
溶融Zn−Al系めっき鋼板の代表例としては、Zn−50〜60%Al合金めっき鋼板、Zn−3〜22%Al−2〜10%Mg合金めっき鋼板が挙げられる。溶融Al系めっき鋼板としてはAl−5〜12%Si合金めっき鋼板が挙げられる。本発明ではこれら公知の溶融めっき鋼板が広く使用でき、上記組成範囲を持つめっき鋼板である限り、その種類に特にこだわる必要はない。なお、めっき付着量は鋼板片面あたり30〜200g/m2程度の範囲とすればよい。
〔化成処理層〕
溶融めっき鋼板を塗装原板として使用する場合には、多くの場合、下地処理として化成処理が施される。以前はクロメート処理が多用されていたが、最近では環境に配慮してクロムフリー処理が主流となっている。ただし、クロムフリー処理によりクロメート処理と同等以上の耐食性を安定して確保することは必ずしも容易ではなく、その意味でも後述の防錆顔料の配合が重要となる。クロムフリー処理としては、例えばエッチング作用のあるチタン化合物、フッ化物を有機樹脂に溶解した水溶液を用いて有機−無機複合皮膜を形成する処理等、種々のものが知られている。本発明では、これら公知の手法で形成した化成処理層を有するものが利用できる。特にチタン化合物、フッ化物を含有する無機−有機複合皮膜型のクロムフリー化成処理層を有するものが好適である。
〔下塗り塗膜〕
本発明では、下塗り塗膜(プライマー)中に顔料としてリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの1種以上を配合させる。具体的には例えばリン酸第一マンガン;Mn(H2PO4)2、リン酸第二マンガン;MnH3(PO4)2、亜リン酸マンガン;MnHPO3の1種以上を合計10〜35質量%配合させることができる。この含有量は乾燥塗膜中の質量%であり、塗料調合時には揮発成分の含有量を考慮して顔料の添加量を設定する。上記顔料の合計含有量が10質量%未満では金属露出部へ保護皮膜を迅速に形成させる作用が小さく、結果的に従来の防錆顔料を添加した場合に対するメリットが十分に発揮されないことがある。下塗り塗膜の厚さが2〜5μm程度と比較的薄い場合は上記顔料の合計含有量を20質量%以上とすることがより効果的である。一方、35質量%を超えて多量に含有させても効果は飽和し不経済となり、また、塗布性や塗膜密着性を損なう要因となる。リン酸マンガン、亜リン酸マンガンの合計含有量は30質量%以下とすることがより好ましく、25質量%以下とすることが一層好ましい。配合させる顔料粉末は例えばレーザー回折式粒度分布測定装置を用いた体積平均粒子径D50において2〜10μm程度とすればよい。なお、他の顔料を複合して配合させても良いが、その場合は全ての顔料の合計量を35質量%以下とすることがより好ましい。
下塗り塗膜用の塗料としては、従来のプライマーと同様の有機溶媒および樹脂成分を主体とするものを調合すれば良く、特にこだわる必要はない。塗装方法も従来一般的な手法が採用できる。下塗り塗膜の乾燥後の平均厚さは2〜25μmとすることが望ましい。薄すぎるとリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの1種以上からなる防錆顔料成分の絶対量が不足し、迅速な保護皮膜の形成が十分に行われないおそれがある。ただし、25μmを超えるような厚い下塗り塗膜を形成させても効果は飽和し不経済となる。
〔上塗り塗膜〕
上塗り塗膜は、従来から塗装鋼板に使用されている種々のものが適用対象となる。上塗り塗膜の乾燥後の平均厚さは10〜40μm程度である。塗装方法も従来一般的な手法が採用できる。
板厚0.5mmの溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板を用意した。鋼板片面あたりのめっき付着量は73g/m2である。めっき浴組成は、質量%でAl:55%、Si:1.6%、残部Znおよび不可避的不純物である。この溶融めっき鋼板をアルカリ脱脂した後、以下の方法で両面に化成処理、下塗り塗装、上塗り塗装を施した。ここで、商品として外観に供する方の面を「上面」、その反対側の面を「裏面」と呼ぶ。
〔化成処理〕
以下の3種類の公知の方法で化成処理層を形成させた。
(化成処理A);ヘキサフルオロチタン酸:55g/L、ヘキサフルオロジルコニウム酸:10g/L、アミノメチル置換ポリビニルフェノール:72g/Lを含有する塗布型クロムフリー化成処理液をめっき層表面に常温で塗布し、水洗することなく100℃で乾燥させた。上面、裏面とも下記の付着量とした。
Ti換算付着量:10mg/m2、Zr換算付着量:2.5mg/m2、F換算付着量:20mg/m2、ポリビニルフェノール換算付着量:40mg/m2
(化成処理B);塗布型クロメート処理液(日本ペイント株式会社製;サーフコートNR−C300NS)をロールコーターで塗布し、水洗することなく100℃で乾燥させた。上面、裏面とも付着量は、Cr換算付着量:40mg/m2とした。
〔下塗り〕
リン酸第一マンガン(平均粒子径D50;約6μm)、リン酸第二マンガン(平均粒子径D50;約6μm)、亜リン酸マンガン(平均粒子径D50;約6μm)の各粉末を顔料として用意した。その他の顔料として表1に示す各種公知の顔料を用意した。エポキシ樹脂をベースとし、表1に示す顔料を配合した下塗り塗料を調合し、バーコーター法により化成処理層の上に塗布し、215℃で乾燥・焼付けを行って下塗り塗膜を形成させた。上面、裏面とも乾燥塗膜の平均厚さが5μmとなるようにした。表1中の組成は乾燥後の下塗り塗膜中における値である。
〔上塗り〕
ポリエステル樹脂をベースとする上塗り塗料を調合し、バーコーター法により下塗り塗膜の上に塗布し、215℃で乾燥・焼付けを行って上塗り塗膜を形成させた。乾燥後の上塗り塗膜の平均厚さは、上面が11μm、裏面が5μmとなるようにした。
このようにして作製した塗装鋼板を用いて、下記の方法で塗膜密着性、促進耐食性、屋外暴露特性を調べた。
〔塗膜密着性〕
上面の上塗り塗膜が曲げの外側となるように常温で2t密着曲げ加工を行い、曲げ加工部(曲げの外側表面)についてJIS Z1522に規定されるセロハン粘着テープを貼付した後、剥がす方法で塗膜剥離試験を行い、曲げ加工部の外側表面の面積に占める塗膜剥離が生じた面積の割合を測定し、以下の基準で塗膜密着性を評価した。○評価以上を合格と判定した。
(塗膜密着性評価)
◎:塗膜剥離が認められない
○:塗膜剥離面積率:5%未満
△: 〃 :5%以上20%未満
×: 〃 :20%以上
〔促進耐食性〕
各塗装鋼板からせん断加工により切り出した板材を用いて、上記と同様の2t密着曲げ加工を施した試験片を用意した。この試験片には曲げ加工部と切断端面があり、それらの箇所でめっき金属および鋼素地が露出している。酸性雨を模擬した試験液として、0.1%食塩水を硫酸でpH=4に調整した液を調製した。各試験片について、「上記試験液による塩水噴霧(35℃×1h)→乾燥(50℃×4h)→湿潤(相対湿度98%、50℃×3h)」を1サイクルとする促進試験を300サイクル実施した。
試験後の試験片の曲げ加工部の外側表面について、白錆評価および塗膜下腐食評価を行った。
白錆評価は、曲げ加工部の外側表面に占める白錆発生部分の面積率を測定することにより行った。
塗膜下腐食評価は、光学顕微鏡を用いて断面から曲げ加工部の下塗り塗膜下に生じている腐食箇所の面積を測定し、測定面積に占める腐食箇所(めっき金属の溶解が生じた部分)の面積率を求めることにより行った。
また、切断端面の上面塗膜部についてエッジクリープ長さ(図1のxに相当する長さ)を測定した。切断端面の全域を調べて、最もエッジクリープ長さの長い部分の値を当該試験片のエッジクリープ長さの成績値として採用し、評価した。
各評価基準は以下のとおりとし、それぞれ○評価以上を合格と判定した。
(白錆評価)
◎:白錆発生面積率:10%未満
○: 〃 :10%以上20%未満
△: 〃 :20%以上50%未満
×: 〃 :50%以上
(塗膜下腐食評価)
◎:腐食面積率:3%未満
○: 〃 :3%以上5%未満
△: 〃 :5%以上10%未満
×: 〃 :10%以上
(エッジクリープ評価)
◎:エッジクリープ長さ:1.0mm未満
○: 〃 :1.0mm以上2.0mm未満
△: 〃 :2.0mm以上3.0mm未満
×: 〃 :3.0mm以上
〔屋外暴露特性〕
促進試験の場合と同様の2t密着曲げ加工を施した試験片を用いて、1年間の大気暴露試験を行った。暴露地は千葉県市川市の海岸から5mの地点である。暴露角度は南向き35°であり、傾斜の下部に曲げ加工部が位置するように試験片を設置した。
1年間の大気暴露後に、曲げ加工部について上記促進試験の場合と同様の方法で白錆評価および塗膜下腐食評価を行い、○評価以上を合格と判定した。
また、切断端面の上面塗膜部について上記促進試験の場合と同様の方法でエッジクリープ長さを求め、下記の基準で評価して、○評価以上を合格と判定した。
(大気暴露でのエッジクリープ評価)
◎:エッジクリープ長さ:0.5mm未満
○: 〃 :0.5mm以上1.0mm未満
△: 〃 :1.0mm以上1.5mm未満
×: 〃 :1.5mm以上
これらの結果を表2に示す。
Figure 2010208067
Figure 2010208067
表1、表2から判るように、顔料としてリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの1種以上が合計10質量%以上含有されている下塗り塗膜を有する本発明例のものはいずれも、促進耐食性、屋外暴露特性とも良好であった。また、塗膜密着性も良好であった。
これに対し、比較例No.9は特許文献1の技術に相当する従来例であり、促進耐食性は良好であるものの、1年間という長期の大気暴露を行うと本発明例のものより耐食性に劣った。このことから、本発明で採用したリン酸マンガン系の顔料は、比較例No.9のリン酸マグネシウム系の顔料と比べ、大気暴露等の比較的マイルドな環境でも迅速に溶出することができ、Alを含有するめっき層の溶出成分と早期に結びついて強固な保護皮膜を形成するものと推察される。なお、ここではZn−50〜60%Al合金めっき鋼板を原板に使用したが、Zn−3〜22%Al−2〜10%Mg合金めっき鋼板や、Al−5〜12%Si合金めっき鋼板を原板とした場合でも、本発明を適用すれば上記のような耐食性改善効果が認められることを別途確認している。No.10〜12は促進耐食性、屋外暴露特性がともに良好ではなかった。No.13はクロメート処理層と、クロム系の顔料を配合する下塗り塗膜を有するものであり、各特性は良好であるが、環境問題に適合できない。
1 鋼素地
2 めっき層
3 化成処理層
4 下塗り塗膜
5 上塗り塗膜
6 切断端面
10 腐食箇所
11 保護皮膜
20 エッジクリープ

Claims (3)

  1. 質量%で、Al:5〜95%を含有し、残部元素としてZn:95%以下、Mg:10%以下:Si:12%以下の1種以上を含有し、Al、Zn、Mg、Si以外の元素の合計含有量が3%以下(0%を含む)である溶融めっき浴を用いてAl含有めっき層を形成しためっき鋼板の、当該めっき層の上に、化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜を有する塗装鋼板において、前記下塗り塗膜中に顔料としてリン酸マンガン、亜リン酸マンガンの1種以上が合計10〜35質量%含有されていることを特徴とする塗装鋼板。
  2. 下塗り塗膜の平均厚さが2〜25μmである請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 請求項1に記載の塗装鋼板を素材として成形され、切断端面の金属露出部および曲げ加工部の金属露出部の少なくとも一方を持つ建築物の外装部材。
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