JP6957262B2 - 支柱構造物 - Google Patents

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本発明は、塗装鋼材を地面に立設して構成された支柱構造物に関する。
従来、支柱構造物の一例として、例えば特許文献1に開示されているように、道路の側端に沿って設置された防護柵が知られている。この防護柵は、道路に沿って間隔をあけて設置された複数の支柱と、支柱の間に横断して配置されたビーム材とを備えている。このような防護柵は、雨水や凍結防止剤に含まれた水分等により、支柱の地際部分で錆び等の劣化が問題となっていた。そのため、支柱の地際部分の表面に金属系の箔を巻いたり、或いは樹脂系のテープを巻いたりすることで、錆び等による劣化を防いでいる。
特開2013−113009号公報
防護柵は、支柱の地際部分の表面に金属系の箔を巻いたり、或いは樹脂系のテープを巻いたりすることで、錆び等による劣化を防ぐことができる。しかし、金属系の箔は、メッキのような光沢がある。また、樹脂系のテープの色は、主に黒又はグレーが多い。そのため、支柱の表面の塗装色と合わない場合が多く、外観の意匠性が低下する問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、外観の意匠性が損なわれることなく、雨水や凍結防止剤に含まれた水分等に起因する錆び等の劣化を確実に抑制することができる支柱構造物を提供することを目的とする。
本発明に係る支柱構造物は、塗装鋼材を地面に立設させた構成であり、前記塗装鋼材は、亜鉛めっき鋼材により構成される基材と、前記基材の表面に形成されたプライマー層と、前記プライマー層が加熱され前記基材に定着した後の表面に形成された塗膜と、を備え、前記基材は、前記亜鉛めっき鋼材の表面にさらに化成処理被膜を備え、前記プライマー層は、粉体塗料により塗装され、エポキシ系樹脂を含み、加熱され前記基材の表面に定着した後の厚さが20μm以上150μm以下であり、前記塗膜は、ポリエステル樹脂を含み、厚さが30μm以上150μm以下であることを特徴する。
本発明に係る支柱構造物は、エポキシ系樹脂を含み、厚さが20μm以上150μm以下のプライマー層と、ポリエステル系樹脂を含み、厚さが30μm以上150μm以下の塗膜と、を有する塗装鋼材を地面に立設して構成されているので、耐食性が高く、雨水や凍結防止剤に含まれた水分等に起因する錆び等の劣化を確実に抑制することができる。その上、表面の塗装色に合わせた色に上塗りすることができるので、塗装鋼材の全面を同色に統一することができ、外観の意匠性が損なわれることもなく、良好な美観を呈することができる。
本発明の実施の形態に係る支柱構造物を構成する塗装鋼材の表面近傍の断面構成を示した模式図である。 比較例の塗装鋼材の表面近傍の断面構成を示した模式図である。 本発明の実施の形態に係る支柱構造物を示した説明図である。 本発明の実施の形態に係る支柱構造物の地際部となる部分を示した拡大図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
実施の形態.
本実施の形態に係る支柱構造物200は、塗装鋼材100を地面に立設させた構成である。そのため、先ずは、図1に基づいて塗装鋼材100の構成を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る支柱構造物を構成する塗装鋼材の表面近傍の断面構成を示す模式図である。塗装鋼材100は、亜鉛めっき鋼材により構成される基材10と、基材10の表面に形成されたプライマー層30と、プライマー層30の表面に形成された塗膜40と、を備えている。図1(a)においては、基材10である亜鉛めっき鋼材の表面に化成処理被膜20が形成されている。そして、化成処理被膜20の上にプライマー層30が形成され、プライマー層30の表面に塗膜40が形成されている。図1(b)においては、基材10である亜鉛めっき鋼材の表面にプライマー層30が形成され、プライマー層30の表面に塗膜40が形成されている。
(基材10)
基材10は、亜鉛めっき鋼材から構成される。亜鉛めっき鋼材は、板状又は管状などの様々な形状に成形されており、表面に処理が施される場合がある。亜鉛めっき鋼材である基材10は、亜鉛めっき層11を備えることにより、通常の鋼材よりも大気中で高い耐食性を備える。亜鉛めっき層11は、例えば溶融亜鉛めっきにより形成されるものである。溶融亜鉛めっき層は、特に、Al:4.0〜10.0重量%,Mg:1.0〜4.0重量%,Ti:0.002〜0.1重量%,B:0.001〜0.045重量%,残部がZnおよび不可避的不純物からなり、めっきを施された鋼板の耐食性及び外観を良好にするものである。
(化成処理被膜20)
基材10が有する亜鉛めっき層11は、水分に対し錆びやすい性質があるため、表面に化成処理が施されることがある。基材10が有する化成処理被膜20は、化成処理工程において、例えば、クロメート処理、クロムフリー処理、又はリン酸塩処理などにより形成されるものである。これらの化成処理被膜20により、基材10の表面に不動態化した金属層が形成され、不動態化した金属層により防錆性が向上する。また、化成被膜の自己修復により基材10の腐蝕が抑制される効果が得られる。ただし、本実施の形態においては、化成処理被膜20は、形成されていなくても良い。化成処理被膜20は、基材10が有する亜鉛めっき層11の成分、表面の状態、又は化成処理工程の環境により被膜の形成が十分でない場合がある。本実施の形態に係る塗装鋼材100は、この化成処理被膜20が基材10の表面にどのように形成されているかに拘わらず、又は化成処理被膜が形成されているか否かに拘わらず、高い塗装密着性及び耐食性を得ることができる。
(プライマー層30)
プライマー層30は、基材10の表面に塗装される。又は、プライマー層30は亜鉛めっき層11又は化成処理被膜20の表面に直接塗装されてもよい。プライマー層30は、エポキシ系の樹脂を含むものであって、粉体塗料又は液体塗料の形態をとる。粉体塗料でプライマー層30を形成する場合は、亜鉛めっき層11の表面又は化成処理被膜20の表面に粉体塗料を静電気により付着させ、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。また、液体塗料の場合は、スプレー等で亜鉛めっき層11の表面又は化成処理被膜20の表面に塗布し、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。なお、加熱する温度及び時間については、塗料の仕様により適宜設定されるものである。また、本発明において、プライマー層30を形成する工程をプライマー処理工程と呼ぶ。
プライマー層30は、エポキシ系樹脂を含む塗料により構成される。市販されているエポキシ系樹脂を含む塗料としては、例えば、V−PET(商品名、大日本塗料株式会社製)#1340QD、FFプライマー(商品名、久保孝ペイント株式会社製)、CFプライマー(商品名、大日本塗料株式会社製)が挙げられる。エポキシ系樹脂を含む塗料は、耐水性及び耐薬品性に優れるという特徴がある。また、後述する塗膜40にはポリエステル系樹脂が含まれているが、本実施の形態に係るプライマー層30は、この塗膜40との組み合わせにより、高い塗装密着性及び耐食性を得るものである。
(塗膜40)
塗膜40は、プライマー層30の上に形成され、塗装鋼材の外観を形成する。塗膜40は、ポリエステル樹脂を含み、粉体塗料又は液体塗料の各形態をとりうる。粉体塗料で塗膜40を形成する場合は、プライマー層30の表面に粉体塗料を静電気により付着させ、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。また、液体塗料の場合は、スプレー等でプライマー層30の表面に塗布し、所定の温度で所定の時間加熱し、表面に定着させる。なお、加熱する温度及び時間については、塗料の仕様により適宜設定されるものである。また、本発明において、粉体塗料により塗膜40を形成する工程を粉体塗装工程と呼び、液体塗料により塗膜40を形成する工程を液体塗装工程と呼ぶ。
塗膜40は、ポリエステル樹脂を含む塗料により構成される。市販されているポリエステル系樹脂を含む塗料としては、例えば、V−PET#4500が挙げられる。本実施の形態において、塗膜40の下の層であるプライマー層30は、塗装鋼材100の耐水性及び耐薬品性を確保する観点からエポキシ系樹脂を含む塗料により構成されている。しかし、エポキシ系樹脂は紫外線に対し劣化するため、プライマー層30は、太陽光が当たると劣化する。よって、本実施の形態においては、プライマー層30の上に耐候性を有する塗膜40を形成することによりプライマー層30の劣化を抑制している。また、塗膜40は、プライマー層30の上に形成されることにより、塗膜40とプライマー層30との間が強く接着できるため、塗膜40の剥がれを抑制でき、塗装鋼材100の耐久性が向上する。
本実施の形態に係る塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性の評価結果を以下に説明する。
表1は、本実施の形態に係る塗装鋼材100の各評価サンプルの基材10の仕様及びプライマー層30の仕様を示すものである。また、表1は、本実施の形態に係る塗装鋼材100の評価サンプルの塩水噴霧、耐沸騰水性、耐水性、及び塩温水浸漬の各試験における評価結果を示している。
Figure 0006957262
図2は、比較例の塗装鋼材101の表面近傍の断面構成を示す模式図である。図2(a)及び(b)は、プライマー層31が設けられている場合の比較例の塗装鋼材101の模式図である。図2(c)及び(d)は、プライマー層が設けられていない場合の比較例の塗装鋼材101の模式図である。
表2は、比較例としての塗装鋼材101の評価サンプルの基材10の仕様及びプライマー層31の仕様を示している。また、表2は、比較例の評価サンプルの塩水噴霧、耐沸騰水性、耐水性、及び塩温水浸漬の各試験における評価結果を示している。
Figure 0006957262
表3は、本実施の形態に係る塗装鋼材100の評価サンプルの基材10の仕様、及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルの基材10の仕様を示している。基材10のうち、Z27−Mは、化成処理被膜20が形成されていない基材10である。なお、基材10がZ27−Mである塗装鋼材100、101の構造は、図1(b)、図2(b)、及び図2(d)に表されている。
Figure 0006957262
表4は、本実施の形態に係る塗装鋼材100の評価サンプルのプライマー層30の仕様、及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルのプライマー層31の仕様を示している。表4のA〜Cが本実施の形態に係る塗装鋼材100のプライマー層30の仕様である。Dは、比較例の塗装鋼材のプライマー層31の仕様である。比較例は、アクリル系樹脂を含む塗料によりプライマー層31を形成している。
Figure 0006957262
表5は、本実施の形態に係る塗装鋼材100の評価サンプルの塗膜40の仕様、及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルの塗膜40の仕様を示している。塗膜40は、本実施の形態に係る塗装鋼材100の評価サンプル及び比較例の塗装鋼材101の評価サンプルの両方に共通した条件で形成されている。塗膜40の膜厚は、30〜150μmに設定したもので試験を行っている。
Figure 0006957262
以下に、表1及び表2に示されている各試験の概要を説明する。
(塩水噴霧試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールして評価サンプルとした。試験片は、塗装部分にクロスカットを入れたものとクロスカット無しのものを用意した。試験方法は、JIS K 5600−7−1に従い、35℃の恒温槽内で、試験片の塗装されている面に5%NaCl水溶液をスプレーした。試験時間は、1000時間とした。
評価は、クロスカットを入れたものについてはクロスカット部をテープ剥離試験し、クロスカットからの片側最大剥離幅を測定した。測定された剥離幅により、各評価サンプルの塗装後耐食性を評価した。表1及び表2における評価結果は、最大剥離幅が3mm以下を◎、3mmを超えて5mm以下を○、5mmを超えて7mm以下を△、7mmを超えたものを×として表示している。また、クロスカット無しの試験片についての評価は、表面部の観察を行い、塗装面の膨れ箇所数により各評価サンプルを評価した。表1及び表2における評価結果は、膨れ箇所が0個は◎、1〜3個は○、4〜10個は△、10個を超えるものは×として表示した。
(耐沸騰水性試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールした。試験方法は、JIS K 5400−1990−8.20に準拠して、試験片を沸騰水中に1時間浸漬させた。評価は、試験終了後、JIS K 5600−5−6の規定に準拠して、碁盤目状クロスカット付着性試験を行ない、剥離状況を調査することによって行った。塗膜40の剥離状況は、JIS K 5400の試験結果の分類に準拠して、分類0〜5の段階で判定し、塗膜の二次密着性を評価した。表1及び表2においては、分類0または1を◎、分類2を○、分類3を△、分類4または5を×として表示している。
(耐水性試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールした。試験方法は、JIS K 5600−6−1に準拠して、試験片を水温23℃に240時間浸漬した。評価は、1試験終了後、JIS K 5600−5−6の規定に準拠して、碁盤目状クロスカット付着性試験を行ない、剥離状況を調査することによって行った。塗膜40の剥離状況は、JIS K 5400の試験結果の分類に準拠して、分類0〜5の段階で判定し、塗膜の二次密着性を評価した。表1及び表2においては、分類0または1を◎、分類2を○、分類3を△、分類4または5を×として表示している。
(塩温水浸漬試験)
塗装鋼材100から試験片を採取して、未塗装部である端面をシールした。試験方法は、塗装表面にクロスカットを入れ、5%NaCl水溶液(液温55℃)に浸漬した。浸漬時間は240時間とした。評価は、クロスカット部をテープ剥離試験し、クロスカットからの片側最大剥離幅を測定した。測定された剥離幅により、各評価サンプルを評価した。表1及び表2における評価結果は、最大剥離幅が3mm以下を◎、3mmを超えて5mm以下を○、5mmを超えて7mm以下を△、7mmを超えたものを×として表示している。
(塗装仕様の相違による評価結果について)
表1及び表2の評価結果は、共通の基材10で実施している。しかし、プライマー層30の相違により、評価結果に差異が認められる。特に、塩温水浸漬試験の結果を見ると、表1に示されている本実施の形態に係るプライマー層30を備える各評価サンプルは◎又は○といった良好な成績であるのに対し、表2の比較例のプライマー層31を備える各評価サンプルは、△〜×といった成績になっている。この点において、本実施の形態に係るプライマー層30を備えることによって、耐食性及び塗装密着性が高くなるという効果が示されている。
表2によれば、基材10をZ27−Mとし、プライマー層31が仕様D(アクリル系樹脂のプライマー)である場合は、塩温水浸漬試験以外の試験項目において、表1と同等の評価結果となっている。しかし、表2において、プライマー層31が仕様Dであって基材10をZ27−M以外にした場合は、塩水噴霧試験において基材10をZ−27Mにしたものよりも評価結果が劣っている。つまり、亜鉛めっきに化成処理被膜20が形成されていないZ27−Mに対し仕様Dのプライマー層31(アクリル系樹脂のプライマー)を設けた場合と、化成処理被膜20が形成された基材10に仕様Dのプライマー層31(アクリル系樹脂のプライマー)を設けた場合とでは、耐食性及び塗装密着性に差異が生じている。
一方、表1によれば、本実施の形態のプライマー層30が設けられている塗装鋼材100は、基材10に化成処理被膜20が形成されているか否かによらず、各試験において良好な評価結果となっている。従って、本実施の形態に係るプライマー層30を設けることによって、化成処理被膜20の仕様に拘わらず耐食性及び塗装密着性が高い塗装鋼材100を得られる。
特に、表1においてプライマー層30が仕様Aである場合(エポキシ系樹脂のプライマーであって、膜厚が50μmである場合)は、化成処理被膜20がクロメート処理、クロムフリー処理、又はリン酸塩処理のいずれであっても耐食性及び塗装密着性が高い塗装鋼材100が得られている。
また、表1においてプライマー層30が仕様Aである場合は、化成処理被膜20が無くても化成処理被膜20が設けられている場合と同等の結果が得られている。さらに、表1において、プライマー層30が仕様Bである場合(エポキシ系樹脂のプライマーであって、膜厚が20μmである場合)は、基材10がK27−Cである場合に限って塩水噴霧試験のカット無しの結果が○になっており、仕様Aのプライマー層30よりも若干劣った評価結果になっている。また、プライマー層30が仕様Cである場合(エポキシ系樹脂のプライマーであって、膜厚が15μmである場合)は、基材10がK27−Cである場合の塩水噴霧試験カット無しの条件及び塩温水浸漬試験の結果が○になっており、仕様A及びBのプライマー層30よりも若干劣った評価結果になっている。
つまり、同じK27−Cである基材10において比較した場合、仕様Aのプライマー層30が最も耐食性及び塗装密着性が高く、仕様B(膜厚20μm)、仕様C(膜厚15μm)の順に性能が下がっている。仕様A〜Cのプライマー層30は、主に膜厚が異なっているだけであり、屋外の使用に耐えうる塗装鋼材100としては、少なくとも温塩水浸漬試験にて◎の評価が得られている仕様Bのプライマー層30の膜厚を確保することが求められる。評価結果からは、基材10に形成される、化成処理被膜20の有無又は化成処理被膜20の種類に拘わらず、エポキシ系樹脂のプライマー層30を少なくとも20μm以上に設定することにより、耐食性及び塗装密着性の高い塗装鋼材100が得られる。
なお、評価サンプルにおいて、仕様Aのプライマー層30は、B〜D仕様と比較して膜厚が厚くなっている。仕様Aのプライマー層30を形成する際に粉体塗料により塗装を行っており、静電気で基材10の表面に粉体塗料を付着させることにより、1回の塗装作業で膜厚を厚くすることができる。評価においては、プライマー層30の膜厚が20μm以上150μm以下の範囲になる様に設定し、表1に示される仕様Aのプライマー層30と同等の良好な結果を得られる。しかし、実際の塗装鋼材100の製造においては、膜厚の下限側でプライマー層30の膜厚が20μmを下回らないようにして、塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性を安定させる必要がある。よって、実際の製造においては、プライマー層30の下限側の膜厚は40μm以上に設定することが好ましい。また、プライマー層30の膜厚は150μmであっても、表1に示される仕様Aのプライマー層30と同等の結果を得られる。プライマー層30の膜厚は、150μmを超えると塗装鋼材100の表面の強度が低くなり傷つきやすくなる。実際の塗装鋼材100の製造において、プライマー層30の上限側の膜厚は、プライマー層30を形成する粉体塗料の消費量及び製品の寸法のばらつきを考慮して100μm以下に設定することが好ましい。
表1において、仕様B及び仕様Cのプライマー層30は、仕様Aに対し膜厚が薄い。これは、仕様B及び仕様Cのプライマー層30を形成する際に液体塗料を使用しているためである。液体塗料を使用した場合、プライマー層30は、1回の塗装で最大30μm程度の膜厚にしかならない。しかし、1回液体塗料を塗布し、加熱後に再度液体塗料を重ね塗りすることにより膜厚を厚くすることが可能である。ただし、粉体塗料を使用した仕様Aのように1回の塗装により膜厚を厚くできる方が、工程数が少なく製造時の塗装にかかる時間も抑えつつ、耐食性及び塗装密着性の高い塗装鋼材100が得られる。
表1において、仕様A〜Cのプライマー層30を有する塗装鋼材100は、塩水噴霧、耐沸騰水性、耐水性、及び塩温水浸漬の各試験において良好な耐食性及び塗装密着性が得られている。仕様A〜Cのプライマー層30の上に表5に示されている塗膜40を形成することにより、塗装鋼材100は太陽光に長期間さらされても塗装が劣化することなく高い耐久性を維持できる。本実施の形態において、塗膜40は膜厚が30μm以上となるように形成されている。塗膜40の膜厚が30μm未満の場合は、プライマー層30が劣化し易いため、塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性が低下する。よって、本実施の形態に係る塗装鋼材100は、塗膜40の膜厚を30μm以上確保することが好ましい。
塗膜40は、膜厚を30μm以上確保するために粉体塗料により塗装される。粉体塗装工程においては、静電気でプライマー層30の表面に粉体塗料を付着させることにより、1回の塗装作業で膜厚を厚くすることができるという利点がある。液体塗料により塗膜40を形成する場合は、プライマー層30の表面に1回液体塗料を塗布し、加熱後に再度液体塗料を重ね塗りすることにより塗膜40を厚くすることが可能である。ただし、塗膜40が複数の層になるため、塗装密着性の観点から好ましくは粉体塗料により1回の粉体塗装工程により塗膜40を形成することが好ましい。
塗膜40は、実際の塗装鋼材100の製造において膜厚の下限側で塗膜40の膜厚が30μmを下回らないようにして、紫外線によるプライマー層30の劣化を抑制し塗装鋼材100の耐食性及び塗装密着性を安定させる必要がある。そのため、塗膜40は、下限側の膜厚は40μm以上に設定することが好ましい。また、塗膜40の膜厚は150μmであっても表1に示されるように良好な結果を得られる。塗膜40の膜厚は、150μmを超えると塗装鋼材100の表面の強度が低くなり、傷つきやすくなる。実際の塗装鋼材100の製造において、塗膜40の上限側の膜厚は、塗膜40の強度、塗膜40形成する粉体塗料の消費量、及び製品の寸法のばらつきを考慮して100μm以下に設定することが好ましい。
次に、本実施の形態に係る支柱構造物200を、図1を参照しつつ図3及び図4に基づいて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る支柱構造物を示した説明図である。図4は、本発明の実施の形態に係る支柱構造物の地際部となる部分を示した拡大図である。
図3に示した支柱構造物200は、一例として道路に沿って設置されたガードレール等の防護柵である。この支柱構造物200は、上記構成の塗装鋼材100を道路方向に沿って間隔をあけて地面300に立設して構成される。塗装鋼材100は、一例として基材10を丸型鋼管で構成している。塗装鋼材100には、上下方向に山部と谷部が交互に形成された波形状のビーム材210が道路方向に沿って取り付けられている。なお、ビーム材210は、道路方向に沿って配置され、上下方向に並列させた鋼管等でもよい。
従来、道路に沿って間隔をあけて支柱を設置した構成の防護柵は、雨水や凍結防止剤に含まれた水分等により、支柱の地際部分で錆び等の劣化が問題となっていた。そのため、支柱の地際部分の表面に金属系の箔を巻いたり、或いは樹脂系のテープを巻いたりすることで、錆び等による劣化を防いでいる。しかし、金属系の箔は、メッキのような光沢がある。また、樹脂系のテープの色は、主に黒又はグレーが多い。そのため、支柱の表面の塗装色と合わない場合が多く、外観の意匠性が低下する問題があった。更に、金属系の箔及び樹脂系のテープは、防護柵を地面300に設置する際における現場施工で支柱の表面に取り付けられる。そのため、従来の防護柵では、設置作業に手間がかかって工期が延び、施工コストが嵩む問題があった。また、作業者にとって負担の大きい現場施工であることに加え、作業者の技能によっても、金属系の箔及び樹脂系のテープを十分に巻き付けていない箇所が存在する虞があり、品質の安定性に問題があった。
一方、支柱構造物200では、図1に示すように、亜鉛めっき鋼材により構成される基材10と、基材10の表面に形成されたプライマー層30と、プライマー層30の表面に形成された塗膜40と、を備えた塗装鋼材100を使用している。プライマー層30は、エポキシ系樹脂を含み、厚さが20μm以上150μm以下である。また、塗膜40は、ポリエステル樹脂を含み、厚さが30μm以上150μm以下である。つまり、支柱構造物200は、上記の作用効果を有する塗装鋼材100を使用した構成であるから、高い塗装密着性と高い耐食性を得ることができ、雨水や凍結防止剤に含まれた水分等に起因する錆び等の劣化を確実に抑制することができる。
支柱構造物200では、図4に示すように、プライマー層30及び塗膜40を塗装鋼材100の地際部50に設けている。地際部50とは、塗装鋼材100の下部を地中に埋め込む場合、地中に埋設させる地中埋設部51と、地中埋設部51に連続する地面近傍部52とで構成される。具体的には、地中埋設部51は、地面300からの深さL1が150mm〜200mmである。地面近傍部52は、地面300からの高さL2が50mm〜100mmである。この範囲を地際部50とした理由は、経験則に基づくものであり、もっとも水分の影響を受けやすく、塗装鋼材100が劣化しやすい部分だからである。但し、プライマー層30及び塗膜40は、塗装鋼材100の全面に設けてもよい。例えば支柱構造物200を海岸沿い等の塩害地域に設置する場合には、地際部50だけでなく、その他の部分も錆び等による劣化の虞があるからである。
また、プライマー層30の表面に形成された塗膜40は、支柱構造物200の表面の塗装色に合わせた色に上塗りすることができるので、塗装鋼材100の全面を同色に統一することができる。よって、支柱構造物200は、塗装鋼材100の表面の色によって、外観の意匠性が損なわれることがなく、良好な美観を呈することができる。また、上記したようにプライマー層30及び塗膜40は、非常に薄厚なので、地際部50となる部分にのみ設けた場合であっても塗装鋼材100の他の部分よりも出っ張ることがなく、外観の意匠性が損なわれることはないし、施工の弊害にもならない。
また、塗装鋼材100は、予め工場でプライマー層30及び塗膜40を塗装してから、施工現場に搬送して地面300に立設することができるので、品質が安定するし、設置作業に掛かる手間を軽減できるため工期を短縮でき、施工コストを削減することもできる。
なお、詳細に図示することは省略したが、支柱構造物200は、図示した防護柵の他に、例えば信号機、道路標識、カーブミラー等の支柱を有する構造物にも適用することができる。
また、図示した支柱構造物200は、塗装鋼材100の下部が地中に埋設されて地面300に立設された構成を例に説明したが、これに限定されない。塗装鋼材100は、下端部を地中に埋めることなく地面上に設置してよい。この場合、地際部50は、地面300からの高さが50mm〜100mmである。
また、塗装鋼材100を構成する基材10として、亜鉛めっき鋼材の表面に、クロメート処理被膜、クロメートフリー処理被膜、又はリン酸塩被膜の化成処理被膜20を備えた構成としてもよい。
10 基材、11 亜鉛めっき層、20 化成処理被膜、30 プライマー層、31 プライマー層、40 塗膜、50 地際部、51 地中埋設部、52 地面近傍部、100 塗装鋼材、101 塗装鋼材、200 支柱構造物、210 ビーム材、300 地面、A 仕様、B 仕様、C 仕様、D 仕様。

Claims (6)

  1. 塗装鋼材を地面に立設させた構成であり、
    前記塗装鋼材は、亜鉛めっき鋼材により構成される基材と、前記基材の表面に形成されたプライマー層と、前記プライマー層が加熱され前記基材に定着した後の表面に形成された塗膜と、を備え、
    前記基材は、
    前記亜鉛めっき鋼材の表面にさらに化成処理被膜を備え、
    前記プライマー層は、
    粉体塗料により塗装され、エポキシ系樹脂を含み、加熱され前記基材の表面に定着した後の厚さが20μm以上150μm以下であり、
    前記塗膜は、
    ポリエステル樹脂を含み、厚さが30μm以上150μm以下であることを特徴する、支柱構造物。
  2. 前記化成処理被膜は、
    クロメート処理被膜、クロメートフリー処理被膜、又はリン酸塩被膜であることを特徴とする、請求項に記載の支柱構造物。
  3. 前記プライマー層及び前記塗膜は、地面に立設した前記塗装鋼材の地際部となる部分に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の支柱構造物。
  4. 前記塗装鋼材は、下部が地中に埋設されて地面に立設されていることを特徴とする、請求項に記載の支柱構造物。
  5. 前記地際部は、下部を地中に埋設させた地中埋設部と、前記地中埋設部に連続する地面近傍部と、で構成されていることを特徴とする、請求項に記載の支柱構造物。
  6. 前記地中埋設部は、地面からの深さが150mm〜200mmであり、
    前記地面近傍部は、地面からの高さが50mm〜100mmであることを特徴とする、請求項に記載の支柱構造物。
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