JP3143126U - 亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品 - Google Patents

亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄、アルミニウム、ステンレスなどからなる鋼板や鋼材を対象とする金属基体の加工端面や溶接部の防錆性能を有すると共に優れた意匠性を発揮する塗装品を単一工場で処理することが可能となる外、該塗装品を簡易且つ迅速な工程で安価に仕上げることができるようにした亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品を得る。
【解決手段】主たる構成は、鉄、アルミニウム、ステンレスなどからなる鋼板や鋼材を対象とする金属基体に対して亜鉛末を含んだ粉体塗料を下塗りし、粉体塗料を上塗りして焼付硬化(2塗装・1焼付硬化)を施す。
【選択図】図1

Description

本考案は、鉄、アルミニウム、ステンレスなどからなる鋼板や鋼材を対象とする金属基体に対して加工端面や溶接部の防錆性能を有すると共に優れた意匠性を発揮する塗装品を簡易且つ迅速な工程で安価に仕上げることができるようにした亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品に関するものである。
従来、この種の金属基体の防錆及び意匠性を確保するには、溶融亜鉛めっき単体、又は溶融亜鉛めっき(電気亜鉛メッキ)の上に美化・着色を目的とした液状塗料又は粉体塗料を塗装していた。
しかし、前記従来の技法は下記のような幾多の問題点があった。即ち、
(A)溶融亜鉛めっきは本来防錆を目的とした処理のため、外観は表層液が垂れるタレ、めっき槽から引き上げる際にめっき液上面に浮遊する酸化膜を付着するカスビキ、特定の反応により白色に変色するヤケなどが発生しやすく、又、めっき処理後は表面が安定していないため、水分を含むと白錆と呼ばれる白い粉をふいた状態となる。そのような表面の好ましくない美的状態から外観不良と判断されることが多い。更に時間経過にしたがって銀色から灰色に変化する特性があり、一時的には斑になり外観が悪いと判断されやすい。
(B)溶融亜鉛めっきを施すには、被処理材を専門のJIS工場へ運ぶための輸送コストがかかる、さらにその工場でめっき処理を施した後にそれを引き取るための輸送コストが追加され多額の輸送コストが必要となる。又、納期も専門工場の都合で決定されることがあるために不安定でトータル的な工程管理がむずかしい。
(C)溶融亜鉛めっきの上に、表面の化学変化の防止及び意匠性や美観・色調を付加するために粉体塗装を施す場合があるが、表面の凹凸が大きく滑らかに仕上がらないことが多い。又、溶融亜鉛めっき層にガスを含んでいるために一度高温で焼き付けしてガス抜きをしないと発泡の原因となり美観が損なわれる。
(D)溶融亜鉛めっきと粉体塗装は、その界面の密着が悪く、専用の処理剤で化学的処理を行って密着性を十分に管理する必要があるが、めっき業者によって当該処理剤の化学成分が違っていたり、表面に白錆防止の処理を施してしまうと更に密着性が劣って剥離する現象が起こる。
(E)また、密着が悪いために粉体塗膜にクラックが入った場合は、その部分から雨水が入り込み、それが溶融亜鉛めっきと粉体塗膜とが接合する界面に回り込んで白錆の発生のみならず、赤錆も発生させて塗膜を爆裂させることもある。
上記の防錆性、耐食性、耐候性を有する塗膜を提供する従来の方法として特開2000−218226特許公開公報で開示のやり方が提案されているが、下塗り塗料に溶剤塗料の亜鉛錆止め塗料を使用し、上塗りに粉体塗料を組み合わせるものである。即ち、塗料の種類が一方は液状で他方は粉体であって両者はタイプの全く異なった性状を有する塗料であるために工法が複雑になる。
更に上記の特開2000−218226の公知事例と本考案との相違を多角的な塗装の特徴的な項目で比較検討し、それらの比較内容を一覧に纏めれば以下の表の通りになる。
比較表
Figure 0003143126
特開2000−218226特許公開公報
本考案の目的とするところは、めっき処理や溶剤を含んだ塗料を一切使用しないことによって、前述の如き多くの問題点を一挙に解決するのみならず、鉄、アルミニウム、ステンレスなどからなる鋼板や鋼材を対象とする金属基体の加工端面や溶接部の防錆性能を有すると共に優れた意匠性を発揮する塗装品を単一工場で処理することが可能となる外、該塗装品を簡易且つ迅速な工程で安価に仕上げることができるようにした亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品を得ようとするものである。
本考案は以上の如き観点に鑑みてなされたものであって、その主たる構成は、鉄、アルミニウム、ステンレスなどからなる鋼板や鋼材を対象とする金属基体に対して亜鉛末を含んだ粉体塗料を下塗りし、更に必要により粉体塗料を上塗りして焼付硬化(2塗装・1焼付硬化)を施す亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品を提供しようとするものである。
本考案の亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品は以下のような効果を有する。
(1)溶融亜鉛めっきと同等以上の防錆効果を確保しつつ外観は滑らかな仕上げが得られ美観に優れている。
(2)単一の工場内で、2塗装・1焼付硬化を一つのライン上で処理することが可能である。又、被塗物を工場外に移動する必要がないので輸送コストも不要になる。さらに、納期が不安定なめっき処理を要しないので、納期管理が容易になり、トータル的な工程管理が可能になる。
(3)下塗り上塗りの塗装は、同一性状の粉体塗料を使用して行うために、下塗りと上塗りの間に時間を置かずに連続塗装が可能であり、また、塗装後の焼成も、粉体塗料のために液状塗料と違い乾燥時間が要らないので塗装後直ぐに焼成工程に移行できる。従って、塗装後の塗装、塗装後の焼付硬化、焼付硬化後の塗装などの移行時間のロスタイムがないので、極めてスピーディに行うことができる。
以下、本考案の具体的な実施例を詳細に説明する。
[実施例A] 2塗装・1焼付硬化
1.コンベアーに、鉄、アルミニウム、ステンレスなどからなる金属基体の被塗装物を吊り下げ、1分間に3mで搬送する。被塗装物の表面についている油分等を取り除くために40℃に加温した脱脂液をスプレーにて被塗装物に噴射する。
2.さらに、表面を安定させる目的と、亜鉛末を含む粉体塗料との密着向上を目的としてリン酸亜鉛皮膜処理を施す。更に、被塗装物を水で洗浄し水分を蒸発する処理を施す。
3.次に、その被塗装物に亜鉛末を含む粉体塗料を静電塗装ガンで塗装し、時間を置かずに、更にその上に粉体塗料を静電塗装ガンで塗装する。
4.すかさず塗装された被塗装物を180℃×20分の付帯条件で焼付硬化させる。
5.熱を加える事によって上塗塗料に下塗塗料がブリードすることなく、しかも界面でなじみが良い塗膜を形成することができる。亜鉛末を含む粉体塗料とその上に塗られた粉体塗料の合計膜厚は120μ前後となる。
6.塗装生産ラインを仮に300mとすると、100分にて生産可能である。
7.上記の実施例により出来た塗膜性能を、次のような試験方法により確認した。
[方法1] 塩水噴霧試験
試験時間500時間、1000時間、1500時間、2000時間にて測定
結果は別紙試験データに示すように従来すなわち溶融亜鉛めっきと比べても差異はない。(図1の試験データ(A)参照)
[工法2] 促進耐候性試験
サンシャインウエザーオーメーター
試験時間500時間、1000時間にて測定
結果は別紙試験データにあるように意匠性を損なわず、とくに塗装表面が平滑できれいである。変色においても、問題はないデータとなっている。(図1の試験データ(B)参照)
8.上記の一実施例からもわかるように、従来の工法すなわち溶融亜鉛めっきを専門工場に出し、めっきを施した物を社内に取り込み粉体塗料を静電塗装ガンで塗装して焼付硬化させる製品完成までの時間は、少なくても1週間かかっていたものが、わずか100分で完成するという極めて優れた著効を有するメリットがある。
本考案一実施例の試験データである。

Claims (1)

  1. 鉄、アルミニウム、ステンレスなどからなる鋼板や鋼材を対象とする金属基体に対して亜鉛末を含んだ粉体塗料を下塗りし、粉体塗料を上塗りして焼付硬化を施してなることを特徴とする亜鉛末を含む粉体塗料を使用した粉体塗装品。
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