JP6846528B2 - 光電変換素子の製造方法及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

光電変換素子の製造方法及び太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子の製造方法及び太陽電池の製造方法に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。太陽電池は、非枯渇性の太陽エネルギーを利用するものとして、その実用化が進められている。この中でも、増感剤として有機色素又はRuビピリジル錯体等を用いた色素増感太陽電池は、研究開発が盛んに進められ、光電変換効率が11%程度に到達している。
その一方で、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」とも称す。)として金属ハロゲン化物を用いた太陽電池が、比較的高い光電変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている。このペロブスカイト型結晶構造を有する化合物は、溶液塗布による成膜が可能であり、塗布後、高温の熱処理に付してペロブスカイト型結晶構造を形成させる。しかし、この熱処理は形成される結晶層にピンホール、亀裂、ボイド等を生じさせる場合がある。これを回避する技術として特許文献1には、ペロブスカイト化合物の前駆体溶液を塗布後、塗膜に低温のガスを吹き付けることにより、自発的なペロブスカイト型結晶構造の形成を促進することが記載されている。
特開2017−59643号公報
ペロブスカイト化合物を感光層に用いた光電変換素子の構成として、導電性支持体上に感光層を設けて第一電極とし、この第一電極の感光層に接して正孔輸送層を設け、さらにその上に第二電極を設けた形態が知られている。この形態の光電変換素子の実用化を踏まえ、その性能について本発明者がさらに検討を重ねたところ、同一の方法で作製した素子であっても、素子間の光電変換効率のばらつきが比較的大きく、性能のばらつきの少ない素子を安定的に供給することが難しいことがわかってきた。
そこで本発明は、上記の層構成の光電変換素子の、素子間の光電変換効率のばらつきを効果的に低減することができる光電変換素子の製造方法、及びこの製造方法を介した太陽電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、導電性支持体上にペロブスカイト化合物を含む感光層を設けた第一電極と、この第一電極の感光層に接して設けた正孔輸送層と、さらにその上の第二電極とを有する層構成の光電変換素子を作製するに当たり、感光層と正孔輸送層の形成工程を独立して行うのではなく、一体的に行うことにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、ペロブスカイト型結晶構造の形成に必要な化合物(前駆体)を含む塗布液を塗布して形成した塗膜aを熱処理に付さずに(すなわちペロブスカイト型結晶構造の形成を促進せずに)、塗膜a上に正孔輸送材料を含む塗布液を塗布して塗膜bを形成し、この段階ではじめて、塗膜aと塗膜bとの積層構造を熱処理に付して塗膜a中にペロブスカイト型結晶構造を形成させることにより、得られる素子の、素子間における光電変換効率のばらつきを効果的に抑えることができ、作製した光電変換素子の性能の安定性を高めることができることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記の課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
導電性支持体と感光層とを有する第一電極と、この感光層上に接して設けられた正孔輸送層と、この正孔輸送層上に設けられた第二電極とを有する光電変換素子の製造方法であって、
導電性支持体上にペロブスカイト型結晶構造を形成可能な前駆体化合物を含む塗布液aを塗布して塗膜aを形成することと、
塗膜aを熱処理に付さずに、塗膜a上に正孔輸送材料を含む塗布液bを塗布して塗膜bを形成することと、
形成された塗膜aと塗膜bの積層構造を熱処理に付して塗膜aにペロブスカイト型結晶構造を形成することと、
前記の熱処理に付した塗膜b上に、該塗膜bに接して第二電極を形成すること、又は、前記の熱処理に付した塗膜b上に、該塗膜bに接して正孔注入層を形成し、該正孔注入層上に第二電極を形成することと、
を含
前記正孔輸送材料が下記式(H1)、(H2−1)、(H2−2)、1−1及び1−2から選ばれる化合物を含む、光電変換素子の製造方法。
−(L nb −(D na −(L nc −A 式(H1)
−(L nd −C(R )=A 式(H2−1)
=(L nd −C(R )=A 式(H2−2)
Figure 0006846528

式(H1)、(H2−1)、(H2−2)、1−1及び1−2中、
及びA は複素環基、炭化水素環基又はアクセプター性基を示す。
及びL は連結基を示し、nb及びncは0〜5の整数である。
は縮合環構造を示し、naは1〜4の整数である。
はドナー性基を示す。
は連結基を示し、ndは0〜5の整数を示す。
は水素原子又は置換基を示す。
はアクセプター性基を示す。
〜X は、酸素原子、硫黄原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
〜Y は、OR、SR、O 、S 、ハロゲン原子、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基を示す。Rは水素原子又は置換基を示す。
Figure 0006846528

式1−a〜式1−d中、
は炭化水素環又はヘテロ環を示し、B はヘテロ環又はNR N1 N2 を示す。R N1 及びR N2 は置換基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
〜L は連結基を示す。na及びndは0〜2の整数であり、nb及びncは1又は2である。
*は前記式1−1又は式1−2との連結部位を示す。
ただし、前記式1−1で表される化合物および前記式1−2で表される化合物は、前記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を少なくとも1つ有し、−COOH及び−NH を有することはない。
〔2
上記Dが下記式(D−1)又は(D−2)で表される、〔〕記載の光電変換素子の製造方法。
Figure 0006846528
〜Xは硫黄原子、酸素原子又はセレン原子を示す。
〜Zは窒素原子又はCRを示し、Rは水素原子又は置換基を示す。
A及びBは環構造を示す。
*は連結部位を示す
〔3
上記Dが3環以上からなる縮合環構造を含む、〔1〕または〕記載の光電変換素子の製造方法。

上記式(H2−1)で表される化合物が、下記式(H2−1−1)、(H2−1−2)
又は(H2−1−3)で表される、〔のいずれか記載の光電変換素子の製造方法。
Figure 0006846528
式中、Eは環構造を示す。
G は環構成原子として窒素原子を含む複素環構造を示す。
〜Rは置換基を示し、neは0〜4の整数、nfは0〜3の整数、nhは0〜5の整数、ngは0又は1である。
及びAはそれぞれ、式(H2−1)中のL及びAと同義である
〔5
上記式1−1又は1−2で表される正孔輸送材料が下記式2−1〜式2−5のいずれかで表される、〔のいずれか記載の光電変換素子の製造方法。
Figure 0006846528
式中、Aはヘテロ環を示す。Aは2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示す。A、A、B及びBはヘテロ環を示す。
〜L13は連結基を示す。ne〜ng、ni及びnjは0〜2の整数であり、nh及びnk〜nmは1又は2である。
〜X11は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
〜Yは、OR、SR、O−、S−又はハロゲン原子を示す。
〜Rは置換基を示す。

上記正孔輸送材料を含む塗布液bがドーパントを含まない、〔1〕〜〔〕のいずれか記載の光電変換素子の製造方法。

〔1〕〜〔〕のいずれか記載の光電変換素子の製造方法により光電変換素子を得、得られた光電変換素子を用いて太陽電池を製造する、太陽電池の製造方法。
本明細書において、各式の表記は、化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各式において、部分構造を、(置換)基、イオン又は原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオン又は原子等のほかに、上記式で表される(置換)基もしくはイオンを構成する元素団、又は、元素を意味することがある。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、置換又は無置換を明記していない化合物については、目的とする効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有する化合物を含む意味である。このことは、置換基及び連結基等(以下、置換基等という)についても同様である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂肪族環、芳香族環、ヘテロ環はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本明細書において、ある基の炭素数を規定する場合、この炭素数は、基全体の炭素数を意味する。つまり、この基がさらに置換基を有する形態である場合、この置換基を含めた全体の炭素数を意味する。
本明細書において、一般式の置換基等を示す符号として、異なる一般式の間で同一の符号を用いている場合があるが、特段の断りが無い限り、異なる一般式の間において、同一符号で示された基は、互いに独立した基である。すなわち、一般式中の符号は、各一般式ごとに定義されるものである。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明において「〜層上に設ける」という場合、「〜層」表面に直に設ける形態の他、「〜層」表面に他の層を設け、この「他の層」を介して設ける形態を含む意味である。また、光電変換素子の層構成における上下の表現は、導電性支持体側が下、第二電極側を上とする。
本発明の光電変換素子の製造方法によれば、導電性支持体上にペロブスカイト化合物を含む感光層を有し、この感光層に接して正孔輸送層を有し、さらにその上に第二電極を有する層構成の光電変換素子における素子間の光電変換効率のばらつきを効果的に低減することができる。また、本発明の太陽電池の製造方法によれば、太陽電池を構成する光電変換素子の、素子間の光電変換効率のばらつきが少なくでき、結果、太陽電池間の光電変換効率のばらつきを効果的に低減することができる。
図1は本発明の光電変換素子の好ましい態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 図2は本発明の光電変換素子の厚い感光層を有する好ましい態様について模式的に示す断面図である。 図3は本発明の光電変換素子の別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 図4は本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[光電変換素子の構成]
本発明の光電変換素子の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも称す。」により得られる光電変換素子(以下、「本発明の光電変換素子)とも称す。)の構成について説明する。本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に感光層が設けられた形態の第一電極と、感光層上に設けられた正孔輸送層と、正孔輸送層上に設けられた第二電極とを有している。
上記感光層は、特定の有機カチオンと、金属カチオンと、アニオンとを有する光吸収剤を含み、この光吸収剤の少なくとも一部はペロブスカイト型結晶構造を有する。光吸収剤中にペロブスカイト型結晶構造でない部分が存在する場合、このペロブスカイト型結晶構造でない部分において、上記カチオンとアニオンはイオン結合で結合した状態をとることもできる。
本発明において、導電性支持体上に感光層を有する、又は導電性支持体上に感光層を形成するとは、導電性支持体の表面に接して感光層を設ける(直接設ける)態様、及び、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を設ける態様を含む意味である。
導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様において、導電性支持体と感光層との間に設けられる他の層としては、太陽電池の電池性能を低下させないものであれば特に限定されない。例えば、多孔質層、ブロッキング層、電子輸送層及び正孔輸送層等が挙げられる。
本発明において、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状(図1参照)又は厚い膜状(図2参照)に設けられる態様、ブロッキング層の表面に薄い膜状又は厚い膜状に設けられる態様(図3参照)、及び電子輸送層の表面に薄い膜状又は厚い膜状(図4参照)に設けられる態様が挙げられる。感光層は、線状又は分散状に設けられてもよいが、好ましくは膜状に設けられる。
本発明の光電変換素子において、感光層は特定の有機カチオンと、金属カチオンと、アニオンとを有する光吸収剤を含有し、この光吸収剤の少なくとも一部がペロブスカイト化合物で構成される。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子及び太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。
以下、本発明の製造方法で得られる光電変換素子の好ましい態様について説明する。
図1〜図4において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1及び図2は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向及び垂直方向に詰まり(堆積又は密着して)、多孔質構造を形成している。
本明細書において、単に光電変換素子10という場合は、特に断らない限り、光電変換素子10A〜10Dを意味する。このことは、システム100、第一電極1についても同様である。また、単に感光層13という場合は、特に断らない限り、感光層13A〜13Cを意味する。同様に、正孔輸送層3という場合は、特に断らない限り、正孔輸送層3A及び3Bを意味する。
本発明の製造方法で得られる光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1に示す光電変換素子10Aが挙げられる。図1に示されるシステム100Aは、光電変換素子10Aを外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aと第二電極2の間に正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11a及び透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、図1において断面領域aを拡大した拡大断面領域aに模式的に示されるように多孔質層12の表面に、ペロブスカイト化合物を含む光吸収剤で設けられた感光層13Aとを有している。また透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成される。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離及び電荷移動効率が向上すると推定される。
図2に示す光電変換素子10Bは、図1に示す光電変換素子10Aの感光層13Aを厚く設けた態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Bにおいて、正孔輸送層3Bは薄く設けられている。光電変換素子10Bは、図1で示した光電変換素子10Aに対して感光層13B及び正孔輸送層3Bの膜厚の点で異なるが、これらの点以外は光電変換素子10Aと同様に構成されている。
図3に示す光電変換素子10Cは、本発明の製造方法で得られる光電変換素子の別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Cは、図2に示す光電変換素子10Bに対して多孔質層12を設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。すなわち、光電変換素子10Cにおいて、感光層13Cはブロッキング層14の表面に厚い膜状に形成されている。光電変換素子10Cにおいて、正孔輸送層3Bは正孔輸送層3Aと同様に厚く設けることもできる。
図4に示す光電変換素子10Dは、本発明の製造方法で得られる光電変換素子のまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Dは、図3に示す光電変換素子10Cに対してブロッキング層14に代えて電子輸送層15を設けた点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Cと同様に構成されている。第一電極1Dは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、電子輸送層15及び感光層13Cとを有している。この光電変換素子10Dは、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。これにより、光電変換素子の生産性が向上し、また薄型化又はフレキシブル化が可能になる。
本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として機能する。
すなわち、光電変換素子10において、導電性支持体11を透過して、又は第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体(カチオン)となる。
光電変換素子10A〜10Dにおいては、光吸収剤から放出された電子は、光吸収剤間を移動して導電性支持体11に到達する。導電性支持体11に到達した電子が外部回路6で仕事をした後、第二電極2及び正孔輸送層3を経由して、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
光電変換素子10においては、このような、上記光吸収剤の励起及び電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
光電変換素子10A〜10Dにおいて、感光層13から導電性支持体11への電子の流れ方は、多孔質層12の有無及びその種類等により異なる。本発明の光電変換素子10においては、光吸収剤間を電子が移動する電子伝導が起こる。したがって、本発明において、多孔質層12を設ける場合、多孔質層12は従来の半導体以外に絶縁体で形成することができる。多孔質層12が半導体で形成される場合、多孔質層12の半導体微粒子内部や半導体微粒子間を電子が移動する電子伝導も起こる。一方、多孔質層12が絶縁体で形成される場合、多孔質層12での電子伝導は起こらない。多孔質層12が絶縁体で形成される場合、絶縁体微粒子に酸化アルミニウム(Al)の微粒子を用いると、比較的高い起電力(Voc)が得られる。
上記他の層としてのブロッキング層14が導体又は半導体により形成された場合もブロッキング層14での電子伝導が起こる。
また、電子輸送層15でも電子伝導が起こる。
本発明において、光電変換素子に用いられる材料及び各部材は、光吸収剤を除いて、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子又は太陽電池については、例えば、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051及びScience,338,p.643(2012)を参照することができる。
また、色素増感太陽電池に用いられる材料及び各部材についても参考にすることができる。色素増感太陽電池について、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,0843,65号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、本発明の光電変換素子が備える部材及び化合物の好ましい態様について、説明する。
<第一電極1>
第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜図4に示されるように、多孔質層12、ブロッキング層14、及び電子輸送層15の少なくとも1つの層をさらに有することが好ましい。
第一電極1は、短絡防止の点で少なくともブロッキング層14を有することが好ましく、光吸収効率の点及び短絡防止の点で多孔質層12及びブロッキング層14を有していることがさらに好ましい。
また、第一電極1は、光電変換素子の生産性の向上、薄型化又はフレキシブル化の点で、有機材料で形成された、電子輸送層15を有することが好ましい。
− 導電性支持体11 −
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、又は、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aと、この支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
なかでも、図1〜図4に示されるように、ガラス又はプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11がさらに好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラス及びプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
支持体11a及び導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.02〜25μmであることがさらに好ましく、0.025〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体11又は支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11又は支持体11aの表面に、特開2003−123859号公報に記載の、高屈折膜及び低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
− ブロッキング層14 −
本発明においては、光電変換素子10A〜10Cのように、好ましくは、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12、感光層13又は正孔輸送層3等との間に、ブロッキング層14を有している。
光電変換素子において、例えば感光層13又は正孔輸送層3と、透明電極11b等とが電気的に接続すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
ブロッキング層14を、光吸収剤を担持する足場として機能させることもできる。
このブロッキング層14は、光電変換素子が電子輸送層を有する場合にも設けられてもよい。例えば、光電変換素子10Dの場合、導電性支持体11と電子輸送層15との間に設けられてもよい。
ブロッキング層14を形成する材料は、上記機能を果たすことのできる材料であれば特に限定されず、可視光を透過する物質であって、導電性支持体11(透明電極11b)等に対する絶縁性物質であることが好ましい。「導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質」とは、具体的には、伝導帯のエネルギー準位が、導電性支持体11を形成する材料(透明電極11bを形成する金属酸化物)の伝導帯のエネルギー準位以上であり、かつ、多孔質層12を構成する材料の伝導帯や光吸収剤の基底状態のエネルギー準位より低い化合物(n型半導体化合物)をいう。
ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン等も挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が好ましい。
ブロッキング層14の膜厚は、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmがさらに好ましく、0.01〜0.1μmが特に好ましい。
本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
− 多孔質層12 −
本発明においては、光電変換素子10A及び10Bのように、好ましくは、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合、多孔質層12はブロッキング層14上に形成されることが好ましい。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12は、多孔質層12を形成する材料の微粒子が堆積又は密着してなる、細孔を有する微粒子層であることが好ましい。多孔質層12は、2種以上の微粒子が堆積してなる微粒子層であってもよい。多孔質層12が細孔を有する微粒子層であると、光吸収剤の担持量(吸着量)を増量できる。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はなく、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質層12を形成する材料は、導電性に関しては特に限定されず、絶縁体(絶縁性の材料)であっても、導電性の材料又は半導体(半導電性の材料)であってもよい。
多孔質層12を形成する材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(光吸収剤として用いるペロブスカイト化合物を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、又はカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤ及びカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、特に限定されず、好ましくは、チタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム又はタンタルの各酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。金属のカルコゲニドの結晶構造として、アナターゼ型、ブルッカイト型又はルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、特に限定されず、遷移金属酸化物等が挙げられる。例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、スズ酸バリウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ストロンチウム、タンタル酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、鉄酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウムランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸ビスマスが挙げられる。なかでも、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が好ましい。
カーボンナノチューブは、炭素膜(グラフェンシート)を筒状に丸めた形状を有する。カーボンナノチューブは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に分類される。多孔質層12としては、いずれのカーボンナノチューブも特に限定されず、用いることができる。
多孔質層12を形成する材料は、なかでも、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウムもしくはケイ素の酸化物、又はカーボンナノチューブが好ましく、酸化チタン又は酸化アルミニウムがさらに好ましい。
多孔質層12は、上述の、金属のカルコゲニド、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、ケイ素の酸化物及びカーボンナノチューブのうち少なくとも1種で形成されていればよく、複数種で形成されていてもよい。
多孔質層12の膜厚は、特に限定されず、通常0.05〜100μmの範囲であり、好ましくは0.1〜100μmの範囲である。太陽電池として用いる場合は、0.1〜50μmが好ましく、0.2〜30μmがより好ましい。
− 電子輸送層15−
本発明においては、光電変換素子10Dのように、透明電極11bの表面に電子輸送層15を有していることも好ましい。
電子輸送層15は、感光層13で発生した電子を導電性支持体11へと輸送する機能を有する。電子輸送層15は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、特に限定されず、有機材料(有機電子輸送材料)が好ましい。有機電子輸送材料としては、[6,6]−Phenyl−C61−Butyric Acid Methyl Ester(PC61BM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド(PTCDI)等のペリレン化合物、その他、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の低分子化合物、又は、高分子化合物等が挙げられる。
電子輸送層15の膜厚は、特に限定されず、0.001〜10μmが好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
− 感光層(光吸収層)13 −
感光層13は、好ましくは、多孔質層12(光電変換素子10A及び10B)、ブロッキング層14(光電変換素子10C)、又は、電子輸送層15(光電変換素子10D)の各層の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の凹部内表面を含む。)に設けられる。
本発明において、感光層13中には光吸収剤が含まれる。この光吸収剤は、有機カチオンと、金属原子のカチオンと、アニオンとを含有する。この光吸収剤は、その少なくとも一部がペロブスカイト型結晶構造をとる。
また、感光層は上記光吸収剤以外に、例えば金属錯体色素、有機色素等の光吸収成分を有してもよい。
感光層13を導電性支持体11上に有する態様は、上述した通りである。感光層13は、好ましくは、励起した電子が導電性支持体11又は第二電極2に流れるように、上記各層の表面に設けられる。このとき、感光層13は、上記各層の表面全体に設けられていてもよく、その表面の一部に設けられていてもよい。
感光層13の膜厚は、導電性支持体11上に感光層13を有する態様に応じて適宜に設定され、特に限定されない。通常、膜厚は、例えば、0.001〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜5μmが特に好ましい。
多孔質層12を有する場合、多孔質層12の膜厚との合計膜厚は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、合計膜厚は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。ここで、図1のように、感光層13が薄い膜状である場合に、感光層13の膜厚は、多孔質層12の表面に垂直な方向に沿う、多孔質層12との界面から、正孔輸送層3との界面までの距離をいう。
光電変換素子10において、多孔質層12を有する場合、多孔質層12と感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、この合計膜厚は、200μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。
本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13B及び13C)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
〔光吸収剤〕
本発明の光電変換素子において、感光層を構成する光吸収剤は、有機カチオンと、金属原子のカチオンと、アニオン性原子もしくはアニオン性原子団のアニオンとを有し、光吸収剤の少なくとも一部がペロブスカイト型結晶構造を有している。
光吸収剤を構成する上記有機カチオンとして、下記式(I)で表される1種又は2種以上の有機カチオンを用いることができる。
式(I) R−NR1a
式(I)中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、脂肪族ヘテロ環基又は下記式(Ia)で表される基がより好ましく、アルキル基又は下記式(Ia)で表される基がさらに好ましく、メチル、エチル又は下記式(Ia)で表される基が特に好ましい。
Figure 0006846528
式(Ia)で表される基において、XはNR2c、酸素原子又は硫黄原子を示し、NR2cが好ましい。ここで、R2cは、水素原子又は置換基を表す。R2cとして採り得る置換基としては、特に限定されず、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基又は脂肪族へテロ環基が好ましい。R2cは水素原子であることが好ましい。
2bは、水素原子又は置換基を表し、水素原子が好ましい。R2bとして採り得る置換基としては、特に限定されず、アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基又は脂肪族へテロ環基が挙げられる。
2b及びR2cとして採り得るアルキル基は、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基を含む。このアルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい。このアルキル基の好ましい具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、オクタデシルが挙げられる。
2b及びR2cとして採り得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜8が好ましい。このシクロアルキル基の好ましい具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
2b及びR2cとして採り得るアルケニル基は、直鎖アルケニル基及び分岐アルケニル基を含む。このアルケニル基の炭素数は好ましくは2〜18、より好ましくは2〜7、さらに好ましくは2〜5である。このアルケニル基の好ましい具体例として、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル及びヘキセニルが挙げられる。
2b及びR2cとして採り得るアルキニル基は、直鎖アルキニル基及び分岐アルキニル基を含む。このアルキニル基の炭素数は好ましくは2〜18、より好ましくは2〜7、さらに好ましくは2〜5である。このアルキニル基の好ましい具体例としては、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル及びオクチニルが挙げられる。
2b及びR2cとして採り得るアリール基は、炭素数が6〜14であることが好ましい。このアリール基の好ましい具体例としては、例えば、フェニル及びナフチルが挙げられ、フェニルがさらに好ましい。
2b及びR2cとして採り得るヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる単環の基と、芳香族ヘテロ環に他の環(例えば、芳香族環、脂肪族環又はヘテロ環)が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、及びチオフェン環が挙げられる。また、5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環及びインダゾール環が挙げられる。
また、6員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、及びトリアジン環が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、キノリン環及びキナゾリン環が挙げられる。
2b及びR2cとして採り得る脂肪族へテロ環基は、脂肪族ヘテロ環のみからなる単環の基と、脂肪族ヘテロ環に他の環(例えば、脂肪族環)が縮合した脂肪族縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。脂肪族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、脂肪族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましい。脂肪族ヘテロ環の炭素数は0〜24であることが好ましく、1〜18であることがより好ましく、さらに好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜5である。
脂肪族ヘテロ環の好ましい具体例としては、ピロリジン環、オキソラン環、チオラン環、ピペリジン環、テトラヒドロフラン環、オキサン環(テトラヒドロピラン環)、チアン環、ピペラジン環、モルホリン環、キヌクリジン環、ピロリジン環、アゼチジン環、オキセタン環、アジリジン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
として採り得るアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及び脂肪族ヘテロ環基の好ましい形態は、それぞれ、上記R2bとして採り得るアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及び脂肪族へテロ環基の好ましい形態と同じである。
式(Ia)で表される基としては、例えば、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基又はアミジノ基が挙げられる。
(チオ)アシル基は、アシル基及びチオアシル基を包含する。アシル基は、総炭素数が1〜7のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル、アセチル(CHC(=O)−)、プロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。チオアシル基は、総炭素数が1〜7のチオアシル基が好ましく、例えば、チオホルミル、チオアセチル(CHC(=S)−)、チオプロピオニル等が挙げられる。
(チオ)カルバモイル基は、カルバモイル基(HNC(=O)−)及びチオカルバモイル基(HNC(=S)−)を包含する。
イミドイル基は、R2b−C(=NR2c)−で表される基であり、R2b及びR2cはそれぞれ水素原子又はアルキル基が好ましく、このアルキル基は上述のR1aとして採り得るアルキル基と同義である。このイミドイル基として例えば、ホルムイミドイル(HC(=NH)−)、アセトイミドイル(CHC(=NH)−)、プロピオンイミドイル(CHCHC(=NH)−)等が挙げられる。なかでも、ホルムイミドイルが好ましい。
式(Ia)で表される基としてのアミジノ基は、上記イミドイル基のR2bがアミノ基でR2cが水素原子である構造(−C(=NH)NH)を有する。
***は式(I)中の窒素原子との結合部位を表す。
式(I)中、R1aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基又は脂肪族ヘテロ環基を表す。
1aとして採り得るアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及び脂肪族ヘテロ環基の好ましい形態は、それぞれ、上記R2bとして採り得るアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及び脂肪族ヘテロ環基の好ましい形態と同じである。窒素原子に連結し、隣接して存在する2つのR1aは互いに連結して環を形成してもよい。この場合、形成される環は、環構成原子としてヘテロ原子を有してもよい。
1aは、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(I)において、3個のR1aがいずれも水素原子である場合、式(I)で表される化合物は、上記式(I)中のRとNHとが結合して有機アンモニウムカチオンを有する構造となる。この有機アンモニウムカチオンが共鳴構造を採り得る場合、この有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含む。例えば、上記式(Ia)で表わされる基においてXがNH(R2cが水素原子)である場合、式(I)のR−NR1a で表される部分の構造は、有機アンモニウムカチオン構造に加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンの構造も採り得る。この有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(Aam)で表されるカチオンが挙げられる。本明細書において、下記式(Aam)で表されるカチオンのような共鳴構造の形態も、上記式(Ia)で表される基に包含される。
Figure 0006846528
上記光吸収剤を構成するペロブスカイト化合物において、金属原子のカチオンは、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンであることが好ましい。金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タリウム(Tl)等の金属原子が挙げられる。なかでも、Pb原子、Cu原子、Ge原子またはSn原子が特に好ましい。
金属原子のカチオンは、1種のカチオンでもよく、2種以上のカチオンでもよい。2種以上のカチオンである場合、これらの割合(含有量の比率)は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、アニオンは、アニオン性原子または原子団のアニオンを表す。このアニオンとして、好ましくはハロゲン原子のアニオン、または、NCS、NCO、OH、NO 、CHCOOもしくはHCOOの、各原子団のアニオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子のアニオンであることがさらに好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アニオンは、1種のアニオン性原子または原子団のアニオンであってもよく、2種以上のアニオン性原子または原子団のアニオンであってもよい。1種のアニオン性原子または原子団のアニオンである場合には、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。一方、2種以上のアニオン性原子または原子団のアニオンである場合には、2種のハロゲン原子のアニオン、特に塩素原子のアニオン及びヨウ素原子のアニオンが好ましい。2種以上のアニオンの割合(含有量の比率)は特に限定されない。
本発明の光電変換素子において、光吸収剤の少なくとも一部を構成するペロブスカイト化合物は、例えば下記式(i)で表される。
式(i) A
式中、Aはカチオン性有機基を示す。Mは金属原子を示す。Xはアニオン性原子又はアニオン性原子団を示す。
aは1又は2を表し、mは1を表し、a、m及びxはa+2m=xを満たす。
式(i)において、カチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造中において上記有機カチオンとして存在する。
金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上記の金属原子のカチオンとして存在する金属原子である。
アニオン性原子又はアニオン性原子団Xは、ペロブスカイト型結晶構造中において上述したアニオンとして存在する。
式(i)で表されるペロブスカイト化合物は、aが1である場合、下記式(i−1)で表されるペロブスカイト化合物であり、aが2である場合、下記式(i−2)で表されるペロブスカイト化合物である。
式(i−1) AMX
式(i−2) AMX
上記ペロブスカイト化合物の結晶構造中にはさらに、周期表第一族元素のカチオンが含まれていてもよい。
上記周期表第一族元素のカチオンとしては、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)又はセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
詳細は後述するが、ペロブスカイト化合物は一般に、下記式(ii)で表される化合物と下記式(iii)で表される化合物とから合成することができる。
式(ii) AX
式(iii) MX
式(ii)及び(iii)中、A、M及びXは、それぞれ式(i)のA、M及びXと同義である。
ペロブスカイト化合物の合成方法については、例えば、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051が挙げられる。なお、本明細書において「ペロブスカイト化合物」とは、上記式(ii)のAXと式(iii)のMXとを用いて形成されうる結晶構造すべてを包含する意味に用いている。
光吸収剤の使用量は、第一電極1の表面の少なくとも一部を覆う量であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
感光層13中、光吸収剤の含有量は、通常は1〜100質量%である。
<正孔輸送層3>
本発明の光電変換素子は、光電変換素子10A〜10Dのように、第一電極1と第二電極2との間に正孔輸送層3を有する。この態様において、正孔輸送層3は感光層3Cと接触(積層)していることが好ましい。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられる。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層(固体正孔輸送層)である。
正孔輸送層3を形成する正孔輸送材料は、液体材料でも固体材料でもよく、特に限定されない。例えば、CuI、CuNCS等の無機材料、及び、例えば特開2001−291534号公報の段落番号0209〜0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。有機正孔輸送材料としては、好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール及びポリシラン等の導電性高分子、2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心原子を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン化合物、トリフェニレン化合物、含窒素複素環化合物又は液晶性シアノ化合物が挙げられる。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン(spiro−MeOTADともいう。後述する化合物S1である。)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
正孔輸送層3は、正孔輸送材料として下記式(H1)で表される化合物を含むことも好ましい。
−(Lnb−(Dna−(Lnc−A 式(H1)
式(H1)中、A及びAは複素環基、炭化水素環基又はアクセプター性基を示す。
及びAとして採り得る複素環基としては、ヘテロアリール基及び脂肪族へテロ環基が挙げられる。
及びAとして採り得るヘテロアリール基としては、芳香族ヘテロ環からなる基、及び、芳香族ヘテロ環に他の環(例えば、芳香族環、脂肪族環又はヘテロ環)が縮合した縮合ヘテロ環からなる基が挙げられる。
上記芳香族ヘテロ環の環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましい。また、上記芳香族ヘテロ環の環員数は3〜8が好ましく、5又は6がより好ましい。芳香族ヘテロ環の炭素数は0〜24が好ましく、1〜18がより好ましく、2〜12がさらに好ましい。
上記の5員環の芳香族ヘテロ環又はこの5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、セレナゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環又はインダゾール環が挙げられる。
また、上記の6員環の芳香族ヘテロ環又はこの6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環又はキナゾリン環が挙げられる。
及びAとして採り得る脂肪族ヘテロ環基としては、脂肪族ヘテロ環からなる基、及び、脂肪族ヘテロ環に他の環(例えば、脂肪族環)が縮合した脂肪族縮合ヘテロ環からなる基が挙げられる。
上記脂肪族ヘテロ環の環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましい。また、上記脂肪族ヘテロ環の環員数は3〜8が好ましく、5又は6がより好ましい。脂肪族ヘテロ環の炭素数は1〜24が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましい。
上記脂肪族ヘテロ環の好ましい具体例としては、ピロリジン環、オキソラン環、チオラン環、ピペリジン環、テトラヒドロフラン環、オキサン環、チアン環、ピペラジン環、モルホリン環、キヌクリジン環、ピロリジン環、アゼチジン環、オキセタン環、アジリジン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
及びAとして採り得る炭化水素環基としては、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及びアリール基が挙げられる。
及びAとして採り得るシクロアルキル基は、その炭素数が3〜8が好ましい。このシクロアルキル基の好ましい具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。
及びAとして採り得るシクロアルケニル基は、その炭素数が3〜8が好ましい。このシクロアルケニル基の好ましい具体例としては、例えば、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘキサジエニル基が挙げられる。
及びAとして採り得るアリール基は、その炭素数が6〜14であることが好ましい。このアリール基の好ましい具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル基が挙げられ、なかでもフェニルが好ましい。
及びAとして採り得る複素環基及び炭化水素環基は、環を構成する少なくとも1つの−CH−が、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=NR)−及び−C(=CR)−から選択されるいずれかにより置き換わっていてもよい。
ここで、Rは、水素原子又は置換基を示す。R及びRは、水素原子又は置換基を示すか、又は、互いに結合して環を形成している。
、R及びRとして採り得る置換基に特に限定はなく、後述する、A及びAとしての炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。R、R及びRとして採り得る置換基の好ましい例として、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及びシアノ基を挙げることができる。
及びAとして採り得る複素環及び炭化水素環は、置換基を有する形態であってもい。
この置換基は特に限定されず、例えばアルキル基(好ましく炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜18、さらに好ましくは炭素数4〜18のアルキル基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びデシルが挙げられる。)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基である。例えば、シクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基である。例えば、ビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニルが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜4のアルキニル基である。例えば、エチニル、ブチニル及びヘキシニルが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜18、さらに好ましくは炭素数4〜18のアルコキシ基である。例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、t−ブチルオキシ、オクチルオキシ、及びベンジルオキシが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、フェノキシがさらに好ましい。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数4〜18のアルキルチオ基である。例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、t−ブチルチオ、及びオクチルチオが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が挙げられる。より具体的には、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノ及びトリアジニルアミノが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20のアシル基である。例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニル及びベンゾイルが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルオキシ基である。例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ及びベンゾイルオキシが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基である。例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル及び2−エチルヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシカルボニル基である。例えば、フェニルオキシカルボニル及びナフチルオキシカルボニルが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20のカルバモイル基である。例えば、アルキルカルバモイル基、シクロアルキルカルバモイル基もしくはアリールカルバモイル基が挙げられる、より具体的には、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイルまたはN−フェニルカルバモイルが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基である。例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ及びベンゾイルアミノが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20のスルホニル基である。例えば、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基が挙げられる。より具体的には、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル及びベンゼンスルホニルが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基である。例えば、フェニル及びナフチルが挙げられる。)、ヘテロアリール基(芳香族ヘテロ環からなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環(例えば、芳香環、脂肪族環やヘテロ環)が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。好ましい形態は、A及びAとして採り得るヘテロアリール基の好ましい形態と同じである。)、シリル基(好ましくは炭素数1〜20のシリル基である。アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましい。例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリル及びジメチルフェニルシリルが挙げられる。)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。)、ハロゲン原子を有する基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。なかでも、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子又はシアノ基が好ましい。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。
及びAとして採り得る複素環基及び炭化水素環基は、置換基として電子求引性基を有することも好ましい。
この電子求引性基としては、Hammet則におけるσp値が正の値である基が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシカルボニル基(カルボン酸)、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有する基、及びシアノ基が挙げられる。なかでも、アルコキシカルボニル基又はシアノ基が好ましい。
及びAにより表される炭化水素環及び複素環の具体例としては、例えば、下記構造が挙げられる。式中、波線は式(H1)中のL、L、又はDとの連結部位を示す。
Figure 0006846528
続いて、A及びAとして採り得るアクセプター性基について説明する。本明細書において「アクセプター性」との用語は、化合物の1分子中に存在する少なくとも2種類の基において、相対的な電子的関係を示すものである。具体的には、電子受容性が相対的に高いものがアクセプター性である。これに対し、電子供与性が相対的に高いものをドナー性と称す。
及びAとして採り得るアクセプター基は、Hammet則におけるσp値が正の値である基を有する基、及び/又は、メソメリー効果における−M効果を有する、−C(=O)−、−C(=S)−及び−C(=NR)−のうち少なくとも一つを含む基である。ここで、Rは、水素原子または置換基を表す。この置換基としては、特に限定されず、上述した、A及びAとして採り得る複素環及び芳香族炭化水素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。この置換基は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はシアノ基である。
なお、A及びAとして採り得るアクセプター性基には、上述したA及びAとして採り得る複素環基及び炭化水素環基は含まれないものとする。
及びAとして採り得るアクセプター性基は、下記式(A−1)、(A−2)及び(A−3)のいずれかで表される基が好ましい。また、式(H1)で表される化合物は、A及びAの少なくとも一方が、下記式(A−1)、(A−2)及び(A−3)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 0006846528
式(A−1)中、YA1は酸素原子、硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又は置換基を示す。Rが置換基の場合、例えば、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができ、好ましい形態も同じである。なかでもRとして採り得る置換基はアルキル基であることが好ましい。YA1は酸素原子が好ましい。
A1は、水素原子または置換基を示す。RA1が置換基の場合、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環又は複素環が有していてもよい置換基を挙げることができ、好ましい形態も同じである。なかでもRA1として採り得る置換基は、アルキル基又はアルコキシ基が好ましい。
*は、L、L、又はDとの連結部位を示す。
式(A−2)中、RA2及びRA3は水素原子または置換基を示す。但し、RA2及びRA3の少なくとも一方は、電子求引性基である。
A2及びRA3が置換基の場合、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環又は複素環が有していてもよい置換基を挙げることができ、好ましい形態も同じである。但し、RA2及びRA3の少なくとも一方は、電子求引性基であり、RA2及びRA3が電子求引性基であることが好ましい。
A2及びRA3として採り得る電子求引性基はHammet則におけるσp値が正の値である基が挙げられる。この電子求引性基の好ましい例としては、ヒドロキシカルボニル基(カルボン酸)、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有する基、及びシアノ基が挙げられ、なかでもアルコキシカルボニル基又はシアノ基が好ましい。
A4は、水素原子または置換基を表す。RA4が置換基の場合、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環又は複素環が有していてもよい置換基を挙げることができ、好ましい形態も同じである。RA4は、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
*は、L、L、又はDとの連結部位を表す。
式(A−3)中、Xは、炭化水素環又は複素環である。但し、環を構成する少なくとも1つの−CH−は、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=NR)−、及び−C(=CR)−から選択されるいずれかの基により置き換わっていてもよい。ここで、Rは水素原子又は置換基を示す。また、R及びRは水素原子又は置換基を示すか、又は互いに結合して環を形成している。R、R及びRとして採り得る置換基としては、A及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができ、なかでもアルキル基が好ましい。
Xとして採り得る炭化水素環としては、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基等が挙げられる。これらシクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基の好ましい形態は、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環が、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基である場合の好ましい形態と同じである。
Xとして採り得る複素環としては、例えば、ヘテロアリール基及び脂肪族へテロ環基等が挙げられる。これらヘテロアリール基及び脂肪族へテロ環基の例としては、上述したA及びAとして採り得るヘテロアリール基及び脂肪族へテロ環基で挙げた例を挙げることができる。本発明の一形態において、Xにより表される複素環は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を1〜6個含むことが好ましく、1〜5個含むことがより好ましく、1〜2個含むことがさらに好ましい。
Xとして採り得る炭化水素環又は複素環は、環を構成する1〜4個の−CH−が、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=NR)−、−C(=CR)−から選択されるいずれかにより置き換わっていることがより好ましく、−C(=O)−、−C(=S)−から選択されるいずれかにより置き換わっていることがさらに好ましい。R、R及びRはそれぞれ、上述したR、R及びRと同義である。
Xとして採り得る炭化水素環又は複素環は置換基を有してもよく、この置換基としては、例えば、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。Xとしての炭化水素環又は複素環が置換基を有する場合、その数は、例えば、1〜7個であることが好ましく、1〜5個であることがより好ましく、1〜3個であることがさらに好ましい。
A5は、水素原子又は置換基を表す。RA5が置換基の場合、A及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。RA5は水素原子又はアルキル基が好ましい。
*は、L、L、又はDとの連結部位を表す。
本発明の一形態において、上記式(A−2)で表される基は、下記式(A−4)で表される基が好ましい。また式(A−3)で表される基は、下記式(A−5)で表される基が好ましい。A及びAの少なくとも一方は、下記式(A−4)又は(A−5)で表される基であることが好ましく、より好ましくはA及びAの少なくとも一方が下記式(A−5)で表されることが好ましい。さらに好ましくは、A及びAが下記式(A−5)で表される基である。
Figure 0006846528
式(A−4)中、EWGは電子求引性基を示す。この電子求引性基は、式(A−2)で説明した電子求引性基と同じである。*はL、L又はDとの連結部位を示す。
式(A−5)中、Xは硫黄原子、酸素原子又はNRを含む複素環であって、環を構成する少なくとも1つの−CH−が、−C(=O)−、−C(=S)−、−(=NR)−、及び−C(=CR)−のいずれかで置き換わっている複素環である。Rは、水素原子又は置換基を示す。この置換基に特に制限はなく、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。R、R及びRはそれぞれ、上述したR、R及びRと同義である。
本発明の一形態において、Xとしての複素環は、環を構成する少なくとも1〜4個の−CH−が、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=NR)−、及び−C(=CR)−のいずれかにより置き換わっていることがより好ましく、−C(=O)−、−C(=S)−から選択されるいずれかにより置き換わっていることがさらに好ましい。
は3〜8員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがより好ましい。Xとしての複素環は、硫黄原子、酸素原子及びNRから選択されるヘテロ原子を1〜6個含む複素環であることが好ましく、1〜5個含む複素環であることがより好ましく、1〜2個含む複素環であることがさらに好ましい。
は置換基を有する複素環であることも好ましく、この置換基としては、例えば、上述したA及びAとしての炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。Xが置換基を有する複素環の場合、置換基の数は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
上記式(A−5)で表される基は、より好ましくは下記式で表される。
Figure 0006846528
上記式中、YA2はCR2627、NR28、硫黄原子又は酸素原子を示す。R26、R27及びR28は、水素原子または置換基を示す。この置換基に特に制限はなく、例えば、上述したA及びAが採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基が挙げられる。一形態において、YA2は硫黄原子または酸素原子が好ましい。
A1は硫黄原子、酸素原子、NR29又はCR3031を示す。ここで、R29、R30及びR31は、水素原子または置換基を示す。この置換基は、特に限定されず、例えば上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。
また、隣接する2つのXA1により−N=N−、−N=CR32−、又は−CR33=CR34−を構成してもよい。R32、R33及びR34は、水素原子または置換基を示す。この置換基は特に限定されず、例えば上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。
式(A−1)〜(A−5)の各式で表される基の具体例としては、例えば、下記構造が挙げられる。下記具体例において、「*」は、本発明の化合物の残部との連結位置を表し、「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表し、「Bu」はブチル基を表し、「Ph」はフェニル基を表す。
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
は縮合環構造を示し、naは1〜4の整数である。Dは下記式(D−1)又は(D−2)で表される縮合環構造が好ましい。Dはドナー性基であることが好ましい。
Figure 0006846528
上記各式中、X〜Xは硫黄原子、酸素原子又はセレン原子を示す。式(D−1)において、X及びXの少なくとも一方は硫黄原子であることが好ましく、X及びXが硫黄原子であることがより好ましい。また、式(D−2)において、X及びXの少なくとも一方は硫黄原子であることが好ましく、X及びXが硫黄原子であることがより好ましい。
〜Zは窒素原子又はCRを示し、Rは水素原子又は置換基を示す。Rが置換基の場合、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環または複素環が有していてもよい置換基を挙げることができ、なかでもアルキル基が好ましい。式(D−1)において、Z及びZの少なくとも一方は窒素原子であることが好ましく、Z及びZが窒素原子であることがより好ましい。また、式(D−2)において、Z及びZの少なくとも一方は窒素原子であることが好ましく、Z及びZが窒素原子であることがより好ましい。
A及びBは環構造を示す。この環構造は、単環でもよく縮合環でもよい。単環の場合、5員環又は6員環が好ましい。また縮合環の場合、5員環及び/又は6員環が縮合した環が好ましい。本発明の一形態において好ましくは、環A及びBは5つ以下の環が縮合した縮合環であるか、又は単環である。より好ましくは、環A及びBは3つ以下の環が縮合した縮合環であるか、又は単環である。さらに好ましくは、環A及びBは2つの環が縮合した縮合環であるか、又は単環であり、単環であることが特に好ましい。
環A及びBの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例において、「*」は、式(D−1)中のX、X、Z及びZ、又は、式(D−2)中のX、X、Z及びZとの連結位置を表し、「Me」はメチル基を表す。下記具体例は、更に置換基を有していてもよい。
Figure 0006846528
本発明の一形態において、式(H1)中のDは、下記式(D−3)、(D−4)、(D−5)及び(D−6)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 0006846528
各式中、XD1及びXD2は酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を示す。
D1及びZD2は窒素原子又はCRを示す。Rは水素原子又は置換基を示す。
D1は水素原子又は置換基を示す。
nd1は0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
*はL、L、A、A又はDとの連結部位を示す。
D3は酸素原子、硫黄原子、セレン原子、CR、NRまたはSiRを示し、R、R、R、R及びRは、水素原子又は置換基を示す。XD3は硫黄原子、CR又はNRであることが好ましい。
、RD1、R、R、R、R及びRがとして採り得る置換基としては、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。
及びLは連結基を示す。この連結基としては、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基が好ましく、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基がより好ましい。
及びLとして採り得るアルケニレン基は、炭素数2〜30であることが好ましい。例えば、エテニレン、1−プロペニレン、2−ブテニレン、1−ブテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、ヘキセニレン、デセニレン等が挙げられる。なお、アルケニレンにおいて、シス−トランス異性は特に限定されない。
及びLとして採り得るシクロアルケニレン基は、炭素数5〜25であることが好ましい。例えば、シクロペンテニレン、シクロへキセニレン、シクロヘキサジエニレン、シクロオクテニレン、シクロオクタジエニレン等が挙げられる。
及びLとして採り得るアルキニレンは、炭素原子数2〜6であることが好ましい。例えば、エチニレンが挙げられる。
及びLとして採り得るアリーレン基は、例えば、炭素数6〜14のアリーレン基であることが好ましい。具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等が挙げられる。
及びLとして採り得るヘテロアリーレン基としては、上述したA及びAとして採り得るヘテロアリール基において説明した環構造の基を挙げることができる。
式(H1)において、nb及びncは0〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
本発明の一形態において、式(H1)中のnbが1〜5の整数であり、nb個のLから選択される少なくとも1つの連結基が下記式(X)で表される連結基であるか、又は、ncが1〜5の整数であり、nc個のLから選択される少なくとも1つの連結基が下記式(X)で表される連結基であることが好ましい。
Figure 0006846528
式(X)中、ZX1は、窒素原子またはCRX1を示す。RX1は、水素原子又は置換基を示す。RX1が置換基の場合、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができ、なかでもアルキル基が好ましい。
*はL、L、A、A、又はDとの連結部位を表す。
本発明の一形態において、nb個のL及びnc個のLから選択される少なくとも1つの連結基は、式(X)で表される連結基、オキサゾール環基、又は、セレナゾール環基であることが好ましい。より好ましくは、nb個のL及びnc個のLから選択される少なくとも1つの連結基が式(X)で表される連結基であり、且つ、式(X)中のZX1が窒素原子である連結基(すなわち、チアゾール環)であることがより好ましい。
本発明の一形態において、式(H1)で表される化合物は、下記式(H1−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006846528
式(H1−1)中、ZH1、ZH2及びZH3は、窒素原子又はCRを示す。Rは水素原子又は置換基を示す。
H1、RH2及びRH3は水素原子又は置換基を示す。
、RH1、RH2及びRH3として採り得る置換基は、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。
nh1及びnh2は0〜4の整数である。
及びAはそれぞれ、式(H1)中のA及びAと同義であり好ましい形態も同じである。A及びAはなかでも上記式(A−4)又は(A−5)で表されることが好ましく、A及びAが上記式(A−5)で表されることが特に好ましい。
但し、式(H1−1)において、2つのZH3の少なくとも一方が窒素原子であるか、又は、nh1が1〜4の整数であり、少なくとも1つのZH1が窒素原子であるか、又は、nh2が1〜4の整数であり、少なくとも1つのZH2が窒素原子である。
式(H1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらの化合物に限定されない。
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
正孔輸送層3は、正孔輸送材料として下記式(H2−1)又は(H2−2)で表される化合物を含むことも好ましい。
−(Lnd−C(R)=A 式(H2−1)
=(Lnd−C(R)=A 式(H2−2)
上記式(H2−1)及び(H2−2)中、Aはアクセプター性基を示し、Dはドナー性基を示す。
は環構造を有することが好ましく、5員環、6員環、又は、5員環及び6員環の少なくともいずれかを含む縮合環を表す。Aは、通常メロシアニン色素で酸性核として用いられる環構造を有することが好ましく、この環構造の具体例としては下記(a)〜(q)が挙げられる。なお、下記に例示する環構造の具体例は置換基を有している形態を含む意味であり、この置換基の例として、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。また、「核」は「骨格」と同義である。
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、又は1,3−ジオキサン−4,6−ジオン。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、又は1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、又は3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツール酸もしくは2−チオバルビツール酸、又はそれらの誘導体。この誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体;1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体;1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体;1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体;及び1,3−ジ(2―ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニン及びその誘導体。この誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン;3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン;及び3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニンが挙げられる。
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン)核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド。
(i)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン。
(j)2,4−チアゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、又は3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン。
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、又は2−エチル−4−チアゾリノン。
(l)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、又は3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン。
(m)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、又は3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等。
(n)2−イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オン。
(o)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、又は1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオン。
(p)ベンゾチオフェン−3−オン核:例えばベンゾチオフェン−3−オン、オキソベンゾチオフェン−3−オン、又はジオキソベンゾチオフェン−3−オン。
(q)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニル−1−インダノン、3−メチル−1−インダノン、3,3−ジフェニル−1−インダノン、又は3,3−ジメチル−1−インダノン。
は好ましくは、1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツール酸、2−チオバルビツール酸、以下同様。)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、又はインダノン核の構造を有し、より好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、又はインダノン核の構造を有し、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、又は2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核の構造を有し、特に好ましくは1,3−インダンジオン構造、又は、バルビツール酸もしくは2−チオバルビツール酸もしくはそれらの誘導体の構造を有する。
が1,3−インダンジオンの場合、Aは下記一般式(IV)で表されることが好ましい。
Figure 0006846528
一般式(IV)中、R41〜R44は水素原子又は置換基を示す。*は連結部位を示す。R41〜R44として採用しうる置換基としては、例えば、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。なかでもこの置換基は、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
また、R41〜R44のうち隣接する基が結合して環を形成してもよい。なかでもR42とR43が結合して環(好ましくはベンゼン環、ピリジン環又はピラジン環)を形成することが好ましい。R42とR43が結合して環を形成する場合、R41及びR44は水素原子であることが好ましい。
また、一般式(IV)中のR41〜R44のすべてが水素原子であることも好ましい。
一般式(IV)のR42とR43が結合して環を形成した形態は、下記一般式(V)で表されることが好ましい。
Figure 0006846528
一般式(V)中、R41及びR44は、それぞれ上記一般式(IV)におけるR41及びR44と同義である。R41及びR44は水素原子が好ましい。*は連結部位を示す。
一般式(V)中、R45〜R48は水素原子又は置換基を表す。この置換基としては、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。なかでもこの置換基は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
45〜R48は、すべて水素原子であることが好ましい。すなわち、一般式(V)で表される化合物は、R41、R44、R45〜R48のすべてが水素原子であることが好ましい。
はアミノ基(−NR(R))を有する基であることが好ましい。より好ましくは、Dは置換基として−NR(R)を1つ有するアリール基(好ましくは、置換基として−NR(R)を1つ有するフェニル基又はナフチル基)である。
及びRは水素原子又は置換基を示す。R又はRとして採り得る置換基としては例えば、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。なかでもこの置換基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、又は芳香族ヘテロ環基(好ましくは5員環、具体例としてはフラン、チオフェン、ピロール、オキサジアゾール)であることが好ましい。
は3環以上からなる縮合環構造を含むことが好ましい。
は連結基を示し、ndは0〜5の整数である。Lはアルキレン、アルケニレン基、アルキニレン、アリーレン、又はヘテロアリーレンが好ましく、特にアルケニレン、アリーレン、又はヘテロアリーレンが好ましい。Lを構成する原子数は1〜100が好ましく、2〜25が特に好ましいい。
ndは0〜3が好ましく、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
は水素原子又は置換基を示す。Rとして採り得る置換基としては、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。Rは好ましくは水素原子である。
式(H2−1)で表される化合物は、より好ましくは下記式(H2−1−1)、(H2−1−2)又は(H2−1−3)で表される。
Figure 0006846528
式(H2−1−1)、(H2−1−2)及び(H2−1−3)中、Eは環構造を示す。環Eは単環が好ましい。環Eはより好ましくは5員環又は6員環である。
Gは環構成原子として窒素原子を含む複素環構造を示す。環Gは単環が好ましい。環Gはより好ましくは5員環又は6員環である。
〜Rは置換基を示し、neは0〜4の整数、nfは0〜3の整数、nhは0〜5の整数、ngは0又は1である。R〜Rとして採り得る置換基としては、例えば、上述したA及びAとして採り得る炭化水素環及び複素環が有していてもよい置換基を挙げることができる。
、nd及びAはそれぞれ、式(H2−1)中のL、nd及びAと同義である。
上記式(H2−1)又は(H2−2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらの形態に限定されない。
Figure 0006846528
正孔輸送層3は、正孔輸送材料として下記式1−1又は下記式1−2で表される化合物を含むことも好ましい。この正孔輸送材料は全体として電荷が釣り合っていれば、分子内にカチオン部位又はアニオン部位をそれぞれ1つ又は複数有していてもよい。
この正孔輸送材料は、任意の置換基を有していてもよいが、−COOH及び−NHを有することはない。正孔輸送材料が−COOH又は−NHを有すると、高いフィルファクターを付与することができない。
下記式1−1又は下記式1−2で表される化合物において、化学式中の二重結合がE型及びZ型のいずれも採りうる場合、特段の断りがない限り、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
また、下記式1−1又は下記式1−2で表される化合物において各種異性体が存在する場合、又は複数の共鳴構造を採りうる場合、これらのうち1つを下記式1−1又は下記式1−2で表すことができるときは、他の異性体又は共鳴構造にかかわらず、下記式1−1又は下記式1−2で表される化合物とされる。ただし、ベンゼン環又はチオフェン環で表すことができる部分構造については、その部分構造を崩して形成される共鳴構造を考慮しない。
Figure 0006846528
式中、X〜Xは、酸素原子、硫黄原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G)(G)を示す。X〜Xは、それぞれ、酸素原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G)(G)が好ましい。X及びXの一方、及び、X及びXの一方は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)が好ましく、酸素原子がより好ましい。X及びXの他方、及び、X及びXの他方は、それぞれ、下記式1−aで表される基又は下記式1−bで表される基が好ましい。
〜Yは、OR、SR、O、S、ハロゲン原子、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基を示す。Y〜Yは、それぞれ、OR、SR、O、S、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基が好ましい。Y及びYの一方、及び、Y及びYの一方は、それぞれ、OR、SR、O、S又はハロゲン原子が好ましく、OR、SR、O又はSがより好ましく、OR又はOが更に好ましい。Y及びYの他方、及び、Y及びYの他方は、それぞれ、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基が好ましい。
式1−1で表される正孔輸送材料及び式1−2で表される正孔輸送材料は、それぞれ、下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を少なくとも1つ有する。すなわち、式1−1中の、X、X、Y及びYの少なくとも1つが、下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基となる。また、式1−2中の、X、X、Y及びYの少なくとも1つが下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基となる。各式で表される正孔輸送材料が下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を有する数は、2つ以上であることが好ましく、2つであることがより好ましい。
下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を2つ有する場合、特に限定されず、式1−1中のX及びYが上記基を採ることが好ましく、式1−2中のY及びYが上記基を採ることが好ましい。
式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を2つ有する場合、式1−a〜式1−dのいずれかで表される基の組み合わせは、特に限定されず、式1−a及び式1−bのいずれか一方と式1−c及び式1−dのいずれか一方との組み合わせ、式1−c及び式1−dから選択される2種の組み合わせ等が挙げられる。好ましくは後述する式2−1〜2−5で示される組み合わせである。
〜Xとして採りうる上記=C(G)(G)において、G及びGは、それぞれ、電子求引性基を示す。本発明において、電子求引性基とは、誘起効果及び/又はメソメリー効果により、=C又はこれとの結合部位の電子密度を減少させる特性を持つ基をいう。電子求引性基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、ホスホリル基、アジド基(−N)、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基等が挙げられ、ハロゲン原子が好ましい。アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基及びヘテロ環オキシカルボニル基としては、それぞれ、後述する置換基群Tにおける各基が挙げられる。また、スルホニル基は、後述する置換基群Tにおける、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールスルホニル基を参照できる。
ただし、G及びGとして採りうる電子求引性基は、それぞれ、カルボキシ基を含むことはなく、好ましくは酸性基を含むことはない。ここで、酸性基とは、解離性のプロトンを有する基であり、pKaが11以下の基である。酸性基のpKaは、J.Phys.Chem.A2011,115,p.6641−6645に記載の「SMD/M05−2X/6−31G」方法に従って求めることができる。酸性基としては、例えば、カルボキシ基の他に、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基等が挙げられる。
及びGは、互いに連結して環を形成することはない。G及びGが互いに連結して環を形成する場合、形成される基は、後述する式1−aで表される基に包含される。
及びGの組み合わせは、特に限定されず、適宜に決定される。好ましい組み合わせとしては、例えば、シアノ基同士、アルコキシカルボニル基とシアノ基等が挙げられる。
〜Yとして採りうるOR及びSRのRとしては、水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。置換基としては、特に限定されず、好ましくは、後述する置換基群Tから選択される。より好ましい置換基としては後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
〜Yとして採りうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
〜X及びY〜Yとして採りうる下記式で表される基について説明する。
下記式中、*は式1−1又は式1−2中の炭素四員環構造との連結部位を示す。
Figure 0006846528
式1−aにおいて、Aは炭化水素環又はヘテロ環を示し、ヘテロ環が好ましい。
における炭化水素環は、L又は上記炭素四員環構造に結合する単環が炭化水素環であるものをいい、ヘテロ環を含んでいても(縮合していても)よい。また、Aにおけるヘテロ環は、L又は上記炭素四員環構造に結合する単環がヘテロ環であるものをいい、炭化水素環含んでいてもよい。
炭化水素環又はヘテロ環は、所望により、電荷を打ち消すためのカチオンとなっていてもよい。
炭化水素環及びヘテロ環Aは、2つの水素原子を除去した1つの環構成原子でL又は上記炭素四員環構造に結合可能な環である。このような炭化水素環又はヘテロ環は、それぞれ、脂肪族環でも芳香族環でもよく、また単環でも縮環(縮合環)でもよい。炭化水素環が縮環である場合、炭化水素環同士が縮環した縮合炭化水素環が挙げられる。ヘテロ環が縮環である場合、少なくとも1つのヘテロ環を含む2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましく、例えば、ヘテロ環同士が縮環した縮合ヘテロ環、脂肪族ヘテロ環又は芳香族ヘテロ環と芳香族炭化水素環とが縮環したヘテロ環が挙げられる。
単環の炭化水素環及びヘテロ環(縮環を形成する環を含む)は5員環又は6員環が好ましい。
炭化水素環の中でも芳香族炭化水素環としては、例えば、後述する置換基群Tにおけるアリール基を形成する環が挙げられる。また、炭化水素環の中でも脂肪族炭化水素環としては、後述する置換基群Tにおけるシクロアルキル基、シクロアルケニル基等の各基を形成する環等が挙げられる。
ヘテロ環は、環構成原子として少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を有し、好ましくは炭素数2〜20の環が挙げられる。
におけるヘテロ環の中でも芳香族ヘテロ環は、環全体として芳香族性を示すものであればよく、例えば、後述する置換基群Tにおける芳香族ヘテロ環基を形成する環、これらの2つ以上が縮環した(縮合)ヘテロ環、又は、芳香族ヘテロ環基を形成する環の1つ以上と上記炭化水素環とが縮環した(縮合)ヘテロ環が挙げられる。ここで、芳香族性とはヒュッケル則を満たすことをいう。芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環等の単環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、フルオレン環、カルバゾール環、キノリン環等の縮環が挙げられる。
におけるヘテロ環の中でも脂肪族ヘテロ環は、環全体として芳香族性を示さないものであればよく、例えば、後述する置換基群Tにおける脂肪族ヘテロ環基を形成する環、又は、縮環としてこの脂肪族ヘテロ環基を形成する環を含む環が挙げられる。脂肪族ヘテロ環としては、例えば、ピロリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、オキサゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、テトラチオフェン環、ピロリン環、チアゾリン環、イミダゾリン環、ピラゾリン環等の単環が挙げられる。縮環(2つ以上の環が縮環したヘテロ環)としては、例えば、上記単環とベンゼン環との縮合環(インドリン環、ベンゾオキサゾリン、ベンゾチアゾリン、クロマン環等)等、更には、後述する例示化合物が有する脂肪族ヘテロ縮環が挙げられる。
としては、中でも、脂肪族ヘテロ環が好ましく、縮環の脂肪族ヘテロ環がより好ましく、インドリン環、ベンゾオキサゾリン、ベンゾチアゾリン等が更に好ましい。
は、置換基を有していてもよい。Aが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」、上記電子求引性基、オキソ基若しくはチオキソ基等が挙げられる。Aが有していてもよい置換基は、更に置換基で置換されていてもよい。このような基としては、置換基群Tから選択される基を複数(好ましくは2〜5個)組み合わせてなる基が挙げられる。例えば、アルキル基で置換された芳香族ヘテロ環、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、更には、後述する式6−1で表されるZ及びVを含む特定の置換基等が挙げられる。
式1−aにおいて、Lは連結基を示す。このLは、Aと式1−1中の炭素四員環構造とを連結する基であればよく、2つの原子それぞれから2つずつ、合計で4つの水素原子を取り除いた連結基である。式1−a中に2つのLを有する場合(naが2である場合)、2つのLが結合した基がAと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(=L−L=)と、二重結合で結合している態様(=L=L=)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素からなる基としては、メタン系炭化水素(アルカン)からなる基、エチレン系炭化水素(アルケン)からなる基、又は、アセチレン系炭化水素(アルキン)からなる基が好ましく挙げられる。これらの基は、それぞれ、直鎖状、分岐状及び環状いずれであってもよい。直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素からなる基の炭素数は、特に限定されず、それぞれ、1〜36が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12が更に好ましく、1〜6が特に好ましい。環状の脂肪族炭化水素基は、単環でも多環でもよく、その炭素数は、特に限定されず、3〜36が好ましく、3〜18がより好ましく、5〜10が更に好ましい。
上記芳香族炭化水素からなる基の炭素数は、特に限定されず、6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜10が更に好ましい。芳香族炭化水素からなる基としては、ベンゼン環からなる基、ナフタレン環からなる基等が挙げられる。
上記芳香族ヘテロ環からなる基を形成する芳香族ヘテロ環は、特に限定されず、Aとして採りうる上記芳香族ヘテロ環を適用できる。
上記脂肪族ヘテロ環からなる基を形成する脂肪族ヘテロ環は、特に限定されず、Aとして採りうる上記脂肪族ヘテロ環を適用できる。
は、上記の中でも、脂肪族炭化水素からなる基が好ましく、メタン系炭化水素からなる基がより好ましい。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−aにおいて、naは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式1−aにおいて、AとLとの組み合わせは、特に限定されず、Aの好ましいものと、Lの好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
Figure 0006846528

式1−bにおいて、Bはヘテロ環又はNRN1N2を示す。
として採りうるヘテロ環は、1つの水素原子を除去した1つの環構成原子でLに結合可能なヘテロ環であり、Lに単結合で結合すること以外は、Aとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。
として採りうるNRN1N2は、置換アミノ基であり、RN1及びRN2が互いに連結して(含窒素ヘテロ)環を形成することはない。RN1及びRN2が互いに連結して環を形成する場合、形成される基は、Bとして採りうる(含窒素)ヘテロ環に包含される。RN1及びRN2は、それぞれ、置換基を示し、好ましくは後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられ、より好ましくはアリール基であり、更に好ましくはフェニル基である。RN1及びRN2は同一でも異なっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい。Bが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、Aが有していてもよい置換基と同義である。
式1−1及び式1−2で表される正孔輸送材料において、X〜X及びY〜Y中に非環状の置換アミノ基が存在する場合、この置換アミノ基のうち上記炭素四員環構造に最も近い置換アミノ基を、Bが有していてもよい置換基ではなく、Bとして採りうるNRN1N2とする。
式1−bにおいて、Lは連結基を示す。このLは、Bと単結合で、かつ式1−1中の炭素四員環構造と二重結合で連結する基であればよく、1つの原子から2つ、更に別の1つの原子から1つ、合計で3つの水素原子を取り除いた連結基である。式1−b中に2つのLを有する場合(nbが2である場合)、2つのLが結合した基がBと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(−L−L=)と、二重結合で結合している態様(−L=L=)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。これらの基は、それぞれ、取り除かれる水素原子の数が異なること以外は、Lとして採りうる上記対応する各基と同義であり、好ましいものも同じである。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−bにおいて、nbは、1又は2であり、1が好ましい。
式1−bにおいて、BとLとの組み合わせは、特に限定されず、Bの好ましいものと、L(L)の好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
式1−cにおいて、Aは炭化水素環又はヘテロ環を示す。式1−c中のAは上記式1−a中のAと同義であり、好ましいものも同じである。
式1−cにおいて、Lは連結基を示す。このLは、Aと二重結合で、かつ式1−2中の炭素四員環構造と単結合で連結する基であればよく、1つの原子から2つ、更に別の1つの原子から1つ、合計で3つの水素原子を取り除いた連結基である。式1−c中に2つのLを有する場合(ncが2である場合)、2つのLが結合した基がAと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(=L−L−)と、二重結合で結合している態様(=L=L−)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。これらの基は、それぞれ、取り除かれる水素原子の数が異なること以外は、Lとして採りうる上記対応する各基と同義であり、好ましいものも同じである。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−cにおいて、ncは、1又は2であり、1が好ましい。
式1−cにおいて、AとLとの組み合わせは、特に限定されず、Aの好ましいものと、L(L)の好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
式1−dにおいて、Bは炭化水素環又はNRN1N2を示す。式1−d中のBは上記式1−b中のBと同義であり、好ましいものも同じである。
式1−dにおいて、Lは連結基を示す。このLは、Bと単結合で、かつ式1−2中の炭素四員環構造とも単結合で連結する基であればよく、2つの原子それぞれから1つずつ、合計で2つの水素原子を取り除いた連結基である。ただし、式1−d中に2つのLを有する場合(ndが2である場合)、2つのLが結合した基がBと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(−L−L−)と、二重結合で結合している態様(−L=L−)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。これらの基は、それぞれ、取り除かれる水素原子の数が異なること以外は、Lとして採りうる上記対応する各基と同義であり、好ましいものも同じである。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−dにおいて、ndは、0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式1−dにおいて、BとLとの組み合わせは、特に限定されず、Bの好ましいものと、L(L)の好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式2−1〜下記式2−5のいずれかで表されるものが好ましい。
Figure 0006846528
上記式2−1で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有する好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、このヘテロ環は上記式1−a中のAとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。Lは、連結基を示し、上記式1−a中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。nfは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
また、Lは、連結基を示し、上記式1−d中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。R及びRは、それぞれ、置換基を示し、後述するように互いに連結してもよいこと以外は、上記式1−d中のBとして採りうるNRN1N2のRN1及びRN2と同義であり、好ましいものも同じである。neは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。Xは、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、Xが酸素原子であることが好ましい。
上記式2−2で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有する好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、このヘテロ環は上記式1−b中のBとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。Lは、連結基を示し、上記式1−b中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。nhは1又は2であり、1が好ましい。
また、Lは、連結基を示し、上記式1−d中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。R及びRは、それぞれ、置換基を示し、互いに連結してもよいこと以外は、上記式1−d中のBとして採りうるNRN1N2のRN1及びRN2と同義であり、好ましいものも同じである。ngは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。Xは、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、Xが酸素原子であることが好ましい。
上記式2−3で表される正孔輸送材料は、上記式1−2においてY及びYとしていずれも式1−dで表される基を有する好ましい一態様である。
及びL10は、それぞれ、連結基を示し、上記式1−d中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。LとL10とは同一でも異なっていてもよい。
〜Rは、それぞれ、置換基を示し、互いに連結してもよいこと以外は、上記式1−d中のBとして採りうるNRN1N2のRN1及びRN2と同義であり、好ましいものも同じである。ni及びnjは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
及びXは、いずれも、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。X及びXは、いずれも、OR又はOであることが好ましく、同一でも異なっていてもよい。
上記式2−4で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基又は酸素原子を有し、Yとして式1−cで表される基を有する好ましい一態様である。
は2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示し、2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましい。Aとして採りうるヘテロ環は、上記式1−a中のAとして採りうる、2つ以上の環が縮環したヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。
また、L11は、連結基を示し、上記式1−c中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。Aは、ヘテロ環を示し、上記式1−c中のAとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。nkは1又は2であり、1が好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。X10は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、X10が酸素原子であることが好ましい。
上記式2−5で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−cで表される基を有する好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、このヘテロ環は上記式1−b中のBとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。L13は、連結基を示し、上記式1−b中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。nmは1又は2であり、1が好ましい。
また、L12は、連結基を示し、上記式1−c中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。Aは、ヘテロ環を示し、上記式1−c中のAとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。nlは1又は2であり、1が好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。X11は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、X11が酸素原子であることが好ましい。
上記各式において、R〜Rのうちの2つ、すなわち、R及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びRの各置換基は、それぞれ、互いにが結合して環を形成してもよく(Bとして採りうるヘテロ環に相当)、形成しなくてもよい(Bとして採りうるNRN1N2に相当)。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式3−1〜下記式3−3のいずれかで表されるものがより好ましい。
Figure 0006846528
上記式3−1で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有するより好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、上記式2−2中のBと同義であり、好ましいものも同じである。R11は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R11として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは後述する置換基群Tから選択される。
14は、連結基を示し、上記式2−2中のLと同義であり、好ましいものも同じである。R及びR10は、それぞれ、置換基を示し、上記式2−2中のR及びRと同義であり、好ましいものも同じである。nnは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
は、OR、SR、O又はSを示し、Yとして採りうるOR、SR、O又はSと同義であり、好ましいものも同じである。X12は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じである。YとX12とは、YがOR又はOであり、X12が酸素原子である組み合わせが好ましい。
上記式3−2で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基又は酸素原子を有し、Yとして式1−cで表される基を有するより好ましい一態様である。
は2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示し、2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましい。Aは上記式2−4中のAと同義であり、好ましいものも同じである。
はヘテロ環を示し、上記式2−4中のAと同義であり、好ましいものも同じである。R12は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R12として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは後述する置換基群Tから選択される。
10は、OR、SR、O又はSを示し、Yとして採りうるOR、SR、O又はSと同義であり、好ましいものも同じである。X13は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X10として採りうるものとそれぞれと同義であり、好ましいものも同じである。Y10がOR又はOであり、X13が酸素原子である組み合わせが好ましい。
上記式3−3で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−cで表される基を有するより好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、上記式2−5中のBと同義であり、好ましいものも同じである。R14は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R14として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは後述する置換基群Tから選択される。
はヘテロ環を示し、上記式2−5中のAと同義であり、好ましいものも同じである。R13は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R13として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは、後述する置換基群Tから選択される。
11は、OR、SR、O又はSを示し、Yとして採りうるOR、SR、O又はSと同義であり、好ましいものも同じである。X14は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X11として採りうるものとそれぞれと同義であり、好ましいものも同じである。Y11がOR又はOであり、X14が酸素原子である組み合わせが好ましい。
上記式3−1中のB、上記式3−2中のA、及び上記式3−3中のA及びBが採りうるヘテロ環は、いずれも、2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましい。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式5−1〜下記式5−3のいずれかで表されるものが更に好ましい。
Figure 0006846528
上記式5−1で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有する更に好ましい一態様である。
17は、連結基を示し、上記式2−2中のLと同義であり、好ましいものも同じである。R18及びR19は、それぞれ、置換基を示し、上記式2−2中のR及びRと同義であり、好ましいものも同じである。nqは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
はNN3又は窒素原子を示す。RN3は水素原子又は置換基を示す。RN3として採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択され、好ましくはアルキル基である。
はCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、酸素原子又は硫黄原子が好ましい。RC1、RC2及びRN5は、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。
21〜R24は、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。好ましくは、R21〜R24の少なくとも一つが電子求引性基であり、より好ましくは1〜2個が電子求引性基である。
20は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R20はR11と同義であり、好ましいものも同じである。
13はOR又はOを示し、ORはYとして採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。X16は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
上記式5−2で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基又は酸素原子を有し、Yとして式1−cで表される基を有する更に好ましい一態様である。
は、2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示し、Aとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。
はNRN4を示す。RN4は水素原子又は置換基を示し、水素原子であること(VがNHであること)が好ましい。RN4として採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択され、好ましくはアルキル基である。
はCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義であり、好ましいものも同じである。
25〜R28は、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。好ましくは、R25〜R28の少なくとも一つが電子求引性基であり、より好ましくは1〜2個が電子求引性基である。
29は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R29はR12と同義であり、好ましいものも同じである。
14はOR又はOを示し、ORはYとして採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。X17は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X10として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
上記式5−3で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−cで表される基を有する更に好ましい一態様である。
はNRN4を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。
はNN3又は窒素原子を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。
及びZは、それぞれ、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義であり、好ましいものも同じである。Z及びZの一方が酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、Z及びZが異なっていることがより好ましい。
30〜R39は、それぞれ、水素原子又は置換基を示し、R37及びR38以外、とりわけR34及びR35はそれぞれ水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択され、好ましくは酸性基以外の基である。より好ましくは、R30〜R33の少なくとも一つ、又はR36〜R39の少なくとも一つが電子求引性基であり、更に好ましくはR30〜R33の少なくとも一つと、R36〜R39の少なくとも一つとが電子求引性基である。R30〜R33の組、及びR36〜R39の組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
37及びR38は、置換基を採る場合、互いに結合して環を形成している態様と、互いに結合せず環を形成していない態様とを含む。R37及びR38が環を形成している態様において、形成される環は、特に限定されず、炭化水素環でもヘテロ環でもよく、更に置換基(例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基)を複数有していてもよい。このような環としては、例えば、後述する式6−1で表される正孔輸送材料を形成可能な環が挙げられ、より具体的には、式6−1の部分構造(Z及びVを含むヘテロ環からZ及びVを結合部とする基)からなる環が挙げられる。
15はOR又はOを示し、ORはYとして採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。X18は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X11として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式6−1で表されるものも更に好ましい態様の1つである。
Figure 0006846528
式6−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料の好ましい態様の1つである。
すなわち、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、R37及びR38として採る置換基が互いに環を形成している態様であり、R37及びR38として採る置換基が上記式6−1で表されるZ及びVを含む特定の環を形成する形態である。この態様において、式6−1で表される正孔輸送材料のうち左側部分(Z及びVを含むヘテロ環からR46及びR47を有するベンゼン環までの部分構造)が上記式5−3に相当する。
また、この正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料が、V及びZを含むヘテロ環中のベンゼン環を共有してなる二量体ということもできる。
式中、V及びVはそれぞれNRN4を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。V及びVはいずれもNHであることが好ましい。V及びVはそれぞれNN3又は窒素原子を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。
〜ZはそれぞれCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義であり、好ましいものも同じである。Z〜Zの少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、2つが酸素原子又は硫黄原子であることがより好ましい。酸素原子又は硫黄原子を採るZは特に限定されず、例えばZ又はZが挙げられる。
19及びX20はそれぞれ酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X18として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
16及びY17はそれぞれOR又はOを示し、ORはY15として採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。
40〜R53はそれぞれ水素原子又は置換基を示す。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。好ましくは、R40〜R43の少なくとも一つ又はR50〜R53の少なくとも一つが電子求引性基であり、より好ましくはR40〜R43の少なくとも一つと、R50〜R53の少なくとも一つとが電子求引性基である。R40〜R43の組、及びR50〜R53の組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。R44、R4548及びR49はそれぞれ水素原子が好ましい。R46及びR47はそれぞれ水素原子又は芳香族ヘテロ環がより好ましい。
上記式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式11−1又は式11−2で表されるものも好ましい態様の1つである。
Figure 0006846528
式11−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−2で表される正孔輸送材料の好ましい態様の1つである。式11−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−2で表される正孔輸送材料において、Zが酸素原子又は硫黄原子であり、かつVがNHであること等以外は、上記式5−2で表される正孔輸送材料と同義である。
すなわち、式11−1において、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。YはOR又はOを示し、上記Y14と同義であり、好ましいものも同じである。Xは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、上記X17として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。Xは2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示し、上記Aと同義であり、好ましいものも同じである。
〜Rは、それぞれ、水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、上記酸性基以外の基であればよく、例えば、後述する置換基群Tから選択される。R〜Rの少なくとも一つは電子求引性基であることが好ましく、1〜2個が電子求引性基であることがより好ましい。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
式11−2で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料の好ましい態様の1つである。式11−2で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、VがNHであること等以外は、上記式5−2で表される正孔輸送材料と同義である。
a1は、NNv又は窒素原子を示し、Vと同義である。RNvは水素原子又は置換基を示す。RNvとして採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択され、好ましくはアルキル基である。
及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Z及びZとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じである。Z及びZの少なくとも一つは酸素原子又は硫黄原子であり、酸素原子であることがより好ましい。また、Z及びZは互いに異なる原子又は基であることも好ましい。この場合、ZとZとの組み合わせは、特に限定されず、例えば、Z及びZの一方が酸素原子又は硫黄原子であり、他方がCRC1C2である組み合わせが好ましい。
はOR又はOを示し、上記Y15と同義であり、好ましいものも同じである。Xは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、上記X18として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
〜Rは、それぞれ、水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、R及びR以外はそれぞれ水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、上記酸性基以外の基であればよく、例えば、後述する置換基群Tから選択される。R〜Rの少なくとも一つ又はR〜Rのうち少なくとも一つが電子求引性基であることが好ましく、より好ましくはR〜Rの少なくとも一つと、R〜Rの少なくとも一つとが電子求引性基である。R〜Rの組、及びR〜Rの組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
及びRは、置換基を採る場合、互いに結合して環を形成している態様と、互いに結合せず環を形成していない態様とを含む。R及びRが環を形成している態様において、形成される環は、特に限定されず、炭化水素環でもヘテロ環でもよく、更に置換基(例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基)を複数有していてもよい。このような環としては、例えば、後述する式11−3で表される正孔輸送層を形成可能な環が挙げられ、例えば、式11−3の部分構造(Z及びVを含むヘテロ環からZ及びVを結合部とする基)からなる環が挙げられる。
式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式11−3で表されるものも好ましい態様の1つである。
Figure 0006846528
この正孔輸送材料は、V及びVがそれぞれNRN4を採りうる点、及び、R及びRが、上記式11−3で表されるZ及びVを含む特定の置換基を採る点以外は、上記式11−2で表される正孔輸送材料と同義である。この場合、式11−3で表される正孔輸送材料のうち左側部分(Z及びVを含むヘテロ環からR及びRを有するベンゼン環までの部分構造)が、Vの点を除いて、上記式11−2に相当する。
また、この正孔輸送材料は、上記式11−2で表される正孔輸送材料が、V及びZを含むヘテロ環中のベンゼン環を共有してなる二量体ということもできる。
式中、V及びVはそれぞれNRN4を示し、Vと同義であり、好ましいものも同じである。V及びVはそれぞれNHが好ましい。V及びVはそれぞれNN3又は窒素原子を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。Z〜Zは、それぞれ、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義であり、好ましいものも同じである。
式11−3において、V及びVの少なくとも一方がNHであるか、Z〜Zのうち少なくとも一つが酸素原子又は硫黄原子である。
〜Zの好ましい形態は、Z及びZの両方、又は、Z及びZの両方が、酸素原子又は硫黄原子である。更に、ZとZ、又は、ZとZが、互いに異なる原子又は基であることが好ましい。この場合、ZとZとの組み合わせは、特に限定されず、例えば、ZとZの一方が酸素原子又は硫黄原子であり、他方又はがCRC1C2であることが好ましい。ZとZとの組み合わせについても、ZとZとの組み合わせと同義であり、好ましいものも同じである。
及びYは、それぞれ、OR又はOを示し、上記Yと同義であり、好ましいものも同じである。X及びXは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、上記Xと同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
〜R及びRaa〜Racは、それぞれ、水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、上記酸性基以外の基であればよく、例えば、後述する置換基群Tから選択される。R〜Rの少なくとも一つ又はR〜Racうち少なくとも一つが電子求引性基であることが好ましく、より好ましくはR〜Rの少なくとも一つと、R〜Racの少なくとも一つとが電子求引性基である。R〜Rの組、及びR〜Racの組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。R、R、R及びRはそれぞれ水素原子が好ましい。R及びRはそれぞれ水素原子又は芳香族ヘテロ環がより好ましい。
以下に、上記式1−1又は式1−2で表される正孔輸送材料の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例において、Meはメチルを表す。
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
上記各式で表される化合物以外の正孔輸送材料についても、その具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
<置換基群T>
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、更に好ましくは1〜6)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、更に好ましくは1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは3〜6)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20)、アリール基(芳香族炭化水素環基、好ましくは炭素数6〜26、更に好ましくは6〜10)、ヘテロ環基(環構成原子として少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有し、好ましくは炭素数2〜20である。5員環又は6員環がより好ましい。ヘテロ環基には芳香族ヘテロ環基(ヘテロアリール基)及び脂肪族ヘテロ環基を含む。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは3〜6)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜20)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20)、ヘテロ環オキシカルボニル基(好ましくは炭素数3〜20)、アミノ基(無置換アミノ基を除く、好ましくは炭素数1〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルファモイル基が好ましい)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル又はN−フェニルカルバモイル)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルホンアミド基が好ましい)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは31〜6)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26、更に好ましくは6〜10)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜20)、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリル基が好ましい)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましい)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基(=O)、又は、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)が挙げられる。
置換基群Tから選ばれるより好ましい基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基若しくはハロゲン原子、又は、これらの基を複数組み合わせてなる基が挙げられる。
本発明において正孔輸送層3は、正孔輸送層に通常含まれるドーパントを含まないことが好ましい。ドーパントは、正孔輸送材料から電荷を受け取り、正孔輸送材料中に自由電荷を発生させ、誘電率を向上させる作用を有するとされる。このドーパントとしては、例えば、金属錯体、金属塩、有機化合物が挙げられ、例えば(p−BrCNSbCl、三価のコバルト錯体(FK209他)、LiTFSI(lithiumbis(trifluoromethanesulfonyl)imide)、FeCl、WO、MoO3、Molybdenum tris(1−(trifluoroacetyl)−2−(trifluoromethyl)ethane−1,2−dithiolene)、SnCl、SbCl、F4−TCNQ、t−ブチルピリジン等が知られている。
しかし、後述する本発明の製造方法を適用した場合には、正孔輸送層にドーパントが存在しない方が、素子間の性能のばらつきをより抑えることが可能になる。この理由は定かではないが、本発明の製造方法で正孔輸送層液を塗布した際に、ドーパントが存在すると、ペロブスカイト前駆体膜中の成分と反応するなどして、ペロブスカイト結晶の成長に何らかの影響を与えているものと推定される。
ここで、「正孔輸送層がドーパントを含まない」とは、ドーパントを低減した効果を奏する範囲で、ドーパントを微量含む形態までも排除する意味ではない。すなわち、本発明において「正孔輸送層がドーパントを含まない」とは、正孔輸送層中のドーパントの含有量が1質量%以下であることを意味する。
正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されないが、50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、5nm〜5μmがさらに好ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。なお、正孔輸送層3の膜厚は、第二電極2と感光層13の表面との平均距離に相当し、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子の断面を観察することにより、測定できる。
<第二電極2>
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光等を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2を形成する材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)、アルミニウム(Al)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料及び伝導性高分子等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、又は、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、又は、白金を蒸着したガラスが好ましい。
第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜1μmが特に好ましい。
<その他の構成>
本発明においては、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14に代えて、又は、ブロッキング層14等とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
[太陽電池]
本発明の光電変換素子を用いて太陽電池を製造することができる。例えば図1〜図4に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)及び第二電極2に接続される外部回路6は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051及びScience,338,p.643(2012)に記載の各太陽電池に適用することができる。
本発明の太陽電池は、構成物の劣化及び蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
[光電変換素子の製造方法]
本発明の製造方法では、感光層表面に接して、直に正孔輸送層を配する。本発明の製造方法では、感光層と正孔輸送層の形成において従来とは異なる特有の工程を採用する。これらの層以外の層(基板を含む)の形成は公知の製造方法、例えば、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051、Science,338,p.643(2012)等に記載の方法を適用することができる。
以下に、本発明の光電変換素子の製造方法を説明する。
本発明の光電変換素子の製造においては、まず、導電性支持体11の表面に、所望によりブロッキング層14、多孔質層12、電子輸送層15の少なくとも一つを形成する。
ブロッキング層14は、例えば、上記絶縁性物質又はその前駆体化合物等を含有する分散物を導電性支持体11の表面に塗布し、焼成する方法又はスプレー熱分解法等によって、形成できる。
多孔質層12を形成する材料は、好ましくは微粒子として用いられ、さらに好ましくは微粒子を含有する分散物として用いられる。
多孔質層12を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)が挙げられる。これらの方法において、導電性支持体11の表面又はブロッキング層14の表面に分散物(ペースト)を塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間、例えば空気中で焼成することが好ましい。これにより、微粒子同士を密着させることができる。
焼成を複数回行う場合、最後の焼成以外の焼成の温度(最後以外の焼成温度)を、最後の焼成の温度(最後の焼成温度)よりも低い温度で行うのがよい。例えば、酸化チタンペーストを用いる場合、最後以外の焼成温度を50〜300℃の範囲内に設定することができる。また、最後の焼成温度を、100〜600℃の範囲内において、最後以外の焼成温度よりも高くなるように、設定することができる。支持体11aとしてガラス支持体を用いる場合、焼成温度は60〜500℃が好ましい。
多孔質層12を形成するときの、多孔質材料の塗布量は、多孔質層12の膜厚及び塗布回数等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。導電性支持体11の表面積1m当たりの、多孔質材料の塗布量は、例えば、0.5〜500gが好ましく、さらには5〜100gが好ましい。
電子輸送層15を設ける場合、それぞれ、後述する正孔輸送層3又は電子輸送層4と同様にして、形成することができる。
次いで、感光層13と正孔輸送層3を設ける。
感光層13の形成には、ペロブスカイト型結晶構造を形成可能な前駆体化合物(ペロブスカイト化合物を合成可能な化合物。以下、「ペロブスカイト前駆体」とも称す。)を含む塗布液を用いる。本発明において「塗布液」の形態に特に制限はなく、溶液、懸濁液、ペースト状等のいずれの形態でもよく、溶液であることが好ましい。
例えば、ペロブスカイト前駆体として、上記式(ii)で表される化合物AX、及び、上記式(iii)で表される化合物MXが挙げられる。
本発明の製造方法の好ましい一実施形態は、上記化合物AXとMXの両化合物を含有する塗布液a1を用いて塗膜aを形成する。また、別の好ましい実施形態では、化合物AXを含む塗布液a2と、化合物MXを含む塗布液a3とを用いて、これらの塗布液を順次塗布することにより塗膜aを形成する。塗布液a1〜a3をまとめて、単に塗布液aとも称す。
本発明においては、化合物AXとして、化合物R−N(R1aXを用いることが好ましい。ここで、R及びR1aは、それぞれ、上記式(I)におけるR及びR1aと同義であり、好ましい形態も同じである。上記化合物において、Xは、ハロゲン原子が好ましい。
塗膜aは塗布液aを塗布して形成される。例えば、表面に感光層13を形成する層(光電変換素子10においては、多孔質層12、ブロッキング層14、又は電子輸送層15のいずれかの層)の表面に、塗布液aを接触させる方法を採用することができる。
上記塗布液aの塗布方法としては、例えば、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷、浸漬法等が好ましい。
塗膜aを形成後、塗膜aは一定程度乾燥させてもよいが、塗膜aを熱処理に付すことはしない。すなわち、塗膜aは、その表面に後述する正孔輸送材料を含む塗布液bが塗布されるまで、熱処理には付されない。塗膜aを熱処理に付さずに、その上に正孔輸送材料を含む塗布液を塗布することにより、塗膜aにペロブスカイト型結晶構造が広く形成される前に、塗膜aに正孔輸送材料を接触させることができる。結果、感光層と正孔輸送層との界面のパッキングが改善して電荷移動がスムーズになり、これが、素子間の性能のばらつきを抑制できる一因と推定される。
本発明において「塗膜aを熱処理に付さない」とは、塗膜aを50℃以上の温度に曝さないことを意味する。
また、塗膜aは、後述する正孔輸送材料を含む塗布液bを塗布する際に、乾燥していない状態であることが好ましい。未乾燥状態の塗膜aに塗布液bを塗布することにより、感光層と正孔輸送層との界面がよりなじみやすくなるなどして、素子間の性能のばらつきをより一層抑えることが可能になる。塗布液bの塗布前において、塗膜aの乾燥を抑える目的で、例えば、塗布液aの塗布中又は塗布後に溶媒を吹きかけることができる。
塗布液a中のペロブスカイト前駆体の含有量は、1〜95質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。また、ペロブスカイト前駆体としてAXとMXを用いる場合、塗膜a中のAXとMXのモル比は、AX:MX=10:1〜1:2とすることが好ましい。
また、塗布液aに用いる媒体としては、有機溶媒が好ましく、アルコール溶媒、アミド溶媒、スルホキシド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、ハロゲン溶媒又はこれらを混合した溶媒が特に好ましい。
また、塗布液a中には、ぺロブスイカイト前駆体及び媒体の他、本発明の効果を損なわない範囲で、金属錯体色素、有機色素等の光吸収成分を有してもよい。
本発明の製造方法において、塗膜a上には、正孔輸送材料を含む塗布液bが塗布され、塗膜bを形成する。塗膜bの形成方法としては、例えば、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷法が好ましい。
正孔輸送材料として、上述した式(H1)、(H2−1)、(H2−2)、1−1及び1−2の各式で表される化合物の1種又は2種以上を用いると、素子間の性能のばらつきをより効果的に抑えることができる。その理由は定かではないが、ペロブスカイト前駆体またはペロブスカイト化合物との親和性が高く、パッキング効果が向上することが一因と考えられる。
塗布液b中の正孔輸送材料の含有量は、0.01〜90質量%が好ましく、0.1〜50質量%がより好ましい。
また、塗布液bに用いる媒体としては、有機溶媒が好ましく、アルコール溶媒、アミド溶媒、スルホキシド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、ハロゲン溶媒又はこれらを混合した溶媒等を用いることができ、ハロゲン溶媒が特に好ましい。
本発明の製造方法では、上記のようにして塗膜aと塗膜bとの積層構造を形成させた後、この積層構造を熱処理に付す。この熱処理により各層を乾燥させながら、塗膜a中のペロブスカイト型結晶構造の形成を促進することができる。この熱処理の温度は、60〜300℃が好ましく、70〜170℃がより好ましく、90〜150℃がさらに好ましい。
上記の方法により、ペロブスカイト化合物が多孔質層12、ブロッキング層14、又は電子輸送層15の表面に、感光層13が形成され、この感光層13の表面に正孔輸送層3が形成される。
正孔輸送層3を形成した後に、第二電極2を形成して、光電変換素子を得ることができる。
各層の膜厚は、各分散液又は溶液の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調整できる。例えば、膜厚が厚い感光層13B及び13Cを設ける場合には、塗布液aを複数回塗布することができる。
上述の各層を形成するための塗布液等は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
光電変換素子の製造方法に使用する媒体としては、上記で特に言及しなかったものについては、例えば、特開2001−291534号公報に記載の溶媒を用いることができる。なかでも有機溶媒が好ましく、アルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、スルホキシド溶媒、ラクトン溶媒、もしくはハロゲン溶媒、又はこれらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、スルホキシド溶媒、ニトリル溶媒又は炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、又は、これらの混合溶媒が好ましい。
各層を形成するための塗布方法は、上記で特に言及しなかったものについては、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート法、スクリーン印刷法等が好ましい。
本発明の光電変換素子は、必要に応じて、アニール、ライトソーキング、酸素雰囲気下での放置等の効率安定化処理を行ってもよい。
上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1及び第二電極2に外部回路6を接続して、太陽電池として用いることができる。
以下に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるのではない。
以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aを製造した。感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示される光電変換素子10Bに対応することになる。
[実施例1、比較例1] 光電変換素子の製造−1
<導電性支持体11の作製>
ガラス基板(支持体11a、厚さ2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を形成し、導電性支持体11を作製した。
<ブロッキング層用溶液の調製>
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−ブタノールで希釈して、0.02Mのブロッキング層用溶液を調製した。
<ブロッキング層14の形成>
調製した0.02Mのブロッキング層用溶液を用いてスプレー熱分解法により、450℃にて、導電性支持体11のSnO導電膜上に酸化チタンからなるブロッキング層14(膜厚50nm)を形成した。
<酸化チタンペーストの調製>
酸化チタン(アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸およびテルピネオールを加えて、酸化チタンペーストを調製した。
<多孔質層12の形成>
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスピンコート法で塗布し、空気中、500℃で3時間焼成した。その後、得られた酸化チタンの焼成体を、40mMのTiCl水溶液に浸した後、60℃で1時間加熱し、続けて500℃で30分間加熱して、TiOからなる多孔質層12(膜厚250nm)を形成した。
<塗布液aの調製>
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)をフラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHNHIの粗体を得た。得られたCHNHIの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、60℃で5時間減圧乾燥して、精製CHNHIを得た。
次いで、精製CHNHIとPbIとをモル比3:1でDMF中、60℃で12時間攪拌混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、ペロブスカイト前駆体を40質量%含有する塗布液aを調製した。
<塗布液bの調製>
下表に示す正孔輸送材料(20mg、S1(spiro−OMeTAD)についてのみ180mg)それぞれをクロロホルム(1mL)に溶解させた後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して正孔輸送層形成用溶液である塗布液bを調製した。
なお、下表中の正孔輸送材料のカラムに記載した符号は、上述した例示化合物に付した符号に対応する。
<従来プロセスによる感光層及び正孔輸送層の形成(比較例)>
導電性支持体11上に成膜した多孔質層12上に、塗布液aをスピンコート法(5000rpmで60秒)で製膜した。このスピンコートの際、回転中に500μLのトルエンをピペッターで塗布層表面に吹きかけた。ホットプレートにより100℃で60分間乾燥し、CHNHPbIのペロブスカイト型結晶構造を有する感光層13A(膜厚250nm)を設けた。こうして第一電極1Aを作製した。
次いで、感光層13A上に、塗布液bをスピンコート法(5000rpmで30秒)により塗布し、乾燥して、固体状の正孔輸送層3Aを成膜した。
<本発明規定のプロセスによる感光層及び正孔輸送層の形成(実施例)>
導電性支持体11上に成膜した多孔質層12上に、塗布液aをスピンコート法(5000rpmで60秒)で製膜し、塗膜aを形成した。このスピンコートの際、回転中に500μLのトルエンをピペッターで塗布層表面に吹きかけた。
次いで未乾燥状態の塗膜aに、塗布液bをスピンコート法(5000rpmで30秒)により塗布し、塗膜bを形成した。こうして形成した塗膜aと塗膜bとを含む積層体を、ホットプレートを用いて100℃で60分間の熱処理に付して乾燥し、塗膜aにCHNHPbIのペロブスカイト型結晶構造を形成させた。こうして、ペロブスカイト型結晶構造を有する感光層13A(膜厚250nm)および正孔輸送層3A(膜厚50nm)を形成し、第一電極1A上に正孔輸送層3Aを有する積層体を得た。
<正孔注入層の形成>
正孔輸送層3A上に蒸着法によりMoOを蒸着して、正孔注入層(膜厚10nm)を形成した。
<第二電極2の作製>
正孔注入層上に蒸着法により金を蒸着して、第二電極2(膜厚100nm)を形成した。
こうして、光電変換素子10Aを製造した。
なお、各層の膜厚は、上記方法に従って、SEMにより観察して、測定した。
[実施例2、比較例2] 光電変換素子の製造−2
塗布液bを次のように調製したこと以外は、上述した「光電変換素子の製造−1」と同様にして、下表に示す光電変換素子を作製した。
<塗布液bの調製>
下表に示す正孔輸送材料(20mg、S1(spiro−OMeTAD)についてのみ180mg)、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液37.5μLと、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とをクロロホルム(1mL)に溶解させさせた後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して塗布液b(含ドーパント)を調製した。
[実施例3、比較例3] 光電変換素子の製造−3
塗布液aを次のように調製し、また、感光層及び正孔輸送層の形成(比較例、実施例)を次のように行ったこと以外は、上述した「光電変換素子の製造−1」と同様にして、下表に示す光電変換素子を作製した。
<塗布液aの調製>
ヨウ化セシウム(39mg)、ホルムアミジンヨウ化水素酸塩(Formamidine Hydroiodide、516mg)、CHNHBr(67mg)及びヨウ化鉛(1.73g)を、DMFとDMSO(ジメチルスルホキシド)との混合溶媒(DMF/DMSO=4/1(体積比))に溶解して、塗布液aを調製した。
<従来プロセスによる感光層及び正孔輸送層の形成(比較例)>
導電性支持体11上に成膜した多孔質層12上に、塗布液aをスピンコート法(5000rpmで50秒)により塗布した。このスピンコートの際、回転中に500μLのクロロベンゼンをピペッターで塗布層表面に吹きかけた。ホットプレートにより100℃で60分間乾燥し、Cs0.04FA0.8(CHNH0.16PbI2.84Br0.16のペロブスカイト型結晶構造を有する感光層13A(膜厚300nm(多孔質層12の膜厚250nmを含む))を形成した。こうして第一電極1Aを作製した。
なお、「FA」はホルムアミジニウム(HC(=NH)NH)を示す。
次いで、感光層13A上に、塗布液bをスピンコート法(5000rpmで30秒)により塗布し、乾燥して、固体状の正孔輸送層3Aを形成した。
<本発明規定のプロセスによる感光層及び正孔輸送層の形成(実施例)>
導電性支持体11上に成膜した多孔質層12上に、塗布液aをスピンコート法(5000rpmで50秒)で塗布し、塗膜aを形成した。このスピンコートの際、回転中に500μLのクロロベンゼンをピペッターで塗布層表面に吹きかけた。
次いで未乾燥状態の塗膜aに、塗布液bをスピンコート法(5000rpmで30秒)により塗布し、塗膜bを形成した。こうして形成した塗膜aと塗膜bとを含む積層体を、ホットプレートを用いて100℃で60分間の熱処理に付して乾燥し、塗膜aにCs0.04FA0.8(CHNH0.16PbI2.84Br0.16のペロブスカイト型結晶構造を形成させた。こうして、ペロブスカイト型結晶構造を有する感光層13A(膜厚250nm)および正孔輸送層3A(膜厚50nm)を形成し、第一電極1A上に正孔輸送層3Aを有する積層体を得た。
[実施例4、比較例4] 光電変換素子の製造−4
正孔注入層を設けなかった以外は、上述した「光電変換素子の製造−1」と同様にして下表に示す光電変換素子を作製した。
なお、正孔輸送材料としてS1を用いた例については、上述した「光電変換素子の製造−2」と同様にしてドーパントを併用した。
[試験例] 光電変換効率のばらつきの評価
上記各実施例及び比較例において、同一の製造方法で光電変換素子を9検体ずつ製造した。同一の製造方法で得た9検体の光電変換素子について電池特性試験を行い、9検体各々の光電変換効率(η/%)を求めた。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「PEC−L15」(ペクセル・テクノロジーズ社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を、各検体に照射することにより行った。光電変換効率は、ソースメーター「Keithley2401」(テクトロニクス社製)を用いて、擬似太陽光を照射した各光電変換素子の電流−電圧特性を測定することにより求めた。
同一の製造方法で得た光電変換素子9検体のうち、光電変換効率が最も高かった1検体および最も低かった1検体を除外した7検体について、それらの光電変換効率の平均値(ηav)を求めた。この光電変換効率の平均値(ηav)を1(基準)として、この平均値(ηav)に対する、上記7検体それぞれの光電変換効率(ηin)の相対値(ηin/ηav=ηre)を算出し、基準値1との差の絶対値(|1−ηre|)が最も大きくなる相対値を「mηre」とした。
使用した塗布液aと塗布液bが同じものについて、本発明プロセスにより得た素子(実施例)と、従来プロセスにより得た素子(比較例)の各mηreを比較し(本発明規定のプロセスにより得たものを「n−mηre」、従来プロセスにより得たものを「o−mηre」とする。)、下記評価基準に基づき素子間の光電変換効率のばらつきを評価した。
<評価基準>
A :(o−mηre)−(n−mηre)≧0.1
B :0.1>(o−mηre)−(n−mηre)≧0.08
C :0.08>(o−mηre)−(n−mηre)≧0.07
D+:0.07>(o−mηre)−(n−mηre)≧0.06
D :0.06>(o−mηre)−(n−mηre)≧0.04
E :0.04>(o−mηre)−(n−mηre)≧0.02
F :0.02>(o−mηre)−(n−mηre)>0.00
G :0.00≧(o−mηre)−(n−mηre
結果を下表に示す。
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
Figure 0006846528
上記各表に示される通り、本発明で規定する方法で感光層と正孔輸送層を形成した光電変換素子はいずれも、従来の方法で感光層と正孔輸送層を形成した光電変換素子(ペロブスイカイト型結晶構造を形成させた感光層を設けた後、正孔輸送層を設ける方法を適用)に比べて、得られる素子間の光電変換効率のばらつきが抑えられることがわかる。
1A〜1D 第一電極
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A〜13C 感光層
14 ブロッキング層
2 第二電極
3A、3B 正孔輸送層
15 電子輸送層
6 外部回路(リード)
10A〜10D 光電変換素子
100A〜100F 太陽電池を利用したシステム
M 電動モーター

Claims (7)

  1. 導電性支持体と感光層とを有する第一電極と、該感光層上に接して設けられた正孔輸送層と、該正孔輸送層上に設けられた第二電極とを有する光電変換素子の製造方法であって、
    前記導電性支持体上にペロブスカイト型結晶構造を形成可能な前駆体化合物を含む塗布液aを塗布して塗膜aを形成することと、
    前記塗膜aを熱処理に付さずに、該塗膜a上に正孔輸送材料を含む塗布液bを塗布して塗膜bを形成することと、
    形成された前記塗膜aと前記塗膜bの積層構造を熱処理に付して前記塗膜aにペロブスカイト型結晶構造を形成させることと、
    前記の熱処理に付した塗膜b上に、該塗膜bに接して第二電極を形成すること、又は、前記の熱処理に付した塗膜b上に、該塗膜bに接して正孔注入層を形成し、該正孔注入層上に第二電極を形成することと、
    を含み、
    前記正孔輸送材料が下記式(H1)、(H2−1)、(H2−2)、1−1及び1−2から選ばれる化合物を含む、光電変換素子の製造方法。
    −(Lnb−(Dna−(Lnc−A 式(H1)
    −(Lnd−C(R)=A 式(H2−1)
    =(Lnd−C(R)=A 式(H2−2)
    Figure 0006846528

    (H1)、(H2−1)、(H2−2)、1−1及び1−2中、
    及びAは複素環基、炭化水素環基又はアクセプター性基を示す。
    及びLは連結基を示し、nb及びncは0〜5の整数である。
    は縮合環構造を示し、naは1〜4の整数である。
    はドナー性基を示す。
    は連結基を示し、ndは0〜5の整数を示す。
    は水素原子又は置換基を示す。
    はアクセプター性基を示す。
    〜Xは、酸素原子、硫黄原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    〜Yは、OR、SR、O、S、ハロゲン原子、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基を示す。Rは水素原子又は置換基を示す。
    Figure 0006846528

    1−a〜式1−d中、
    は炭化水素環又はヘテロ環を示し、Bはヘテロ環又はNRN1N2を示す。RN1及びRN2は置換基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    〜Lは連結基を示す。na及びndは0〜2の整数であり、nb及びncは1又は2である。
    *は前記式1−1又は式1−2との連結部位を示す。
    ただし、前記式1−1で表される化合物および前記式1−2で表される化合物は、前記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を少なくとも1つ有し、−COOH及び−NHを有することはない。
  2. 前記Dが下記式(D−1)又は(D−2)で表される、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
    Figure 0006846528
    〜Xは硫黄原子、酸素原子又はセレン原子を示す。
    〜Zは窒素原子又はCRを示し、Rは水素原子又は置換基を示す。
    A及びBは環構造を示す。
    *は連結部位を示す。
  3. 前記Dが3環以上からなる縮合環構造を含む、請求項1または2に記載の光電変換素子の製造方法。
  4. 前記式(H2−1)で表される化合物が、下記式(H2−1−1)、(H2−1−2)又は(H2−1−3)で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
    Figure 0006846528
    式中、Eは環構造を示す。
    Gは環構成原子として窒素原子を含む複素環構造を示す。
    〜Rは置換基を示し、neは0〜4の整数、nfは0〜3の整数、nhは0〜5の整数、ngは0又は1である。
    及びAはそれぞれ、式(H2−1)中のL及びAと同義である。
  5. 前記式1−1又は1−2で表される正孔輸送材料が下記式2−1〜式2−5のいずれかで表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
    Figure 0006846528

    式中、Aはヘテロ環を示す。Aは2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示す。A、A、B及びBはヘテロ環を示す。
    〜L13は連結基を示す。ne〜ng、ni及びnjは0〜2の整数であり、nh及びnk〜nmは1又は2である。
    〜X11は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    〜Yは、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示す。
    〜Rは置換基を示す。
  6. 前記の正孔輸送材料を含む塗布液bがドーパントを含まない、請求項1〜5のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法により光電変換素子を得、得られた光電変換素子を用いて太陽電池を製造する、太陽電池の製造方法。
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