JP6621374B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、非特許文献1には、CH3NH3PbI2Clで表される金属ハロゲン化物を光吸収剤として用いた太陽電池が記載されている。
また、非特許文献2には、(PEA)2(MA)2[Pb3I10]で表される層状ペロブスカイト(layered perovskite)を用いた太陽電池が記載されている。ここで、PEAはC6H5(CH2)2NH3 +を表し、MAはCH3NH3 +を表す。
さらに、非特許文献3には、TiO2層と、ZrO2層と、(5−AVA)x(MA)1−xPbI3からなる層との3層構造を有するペロブスカイト太陽電池が記載されている。ここで、5−AVAは5−アミノバレリル酸カチオンを表し、MAはメチルアンモニウムカチオンを表す。
〔1〕
感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、上記第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子の製造方法であって、
上記感光層の形成工程が、下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを含有する層Lyを、相対湿度2.0%以下の雰囲気中で形成することを含む、光電変換素子の製造方法。
式(1) R1−NR1a 3X1
式(2) R2−NR2a 3X2
式(3) MX3 2
式中、R1は下記式(1a)で表される基又はアリール基を示す。
但し、R1bがメチル基でn1が0の場合、n2は2又は3であり、R1bがメチル基でn2が1の場合、n1は1又は2である。
*は式(1)中のN(R1a)3X1との連結部位を示す。
R2はメチル基、エチル基又は下記式(2a)で表すことができる基を示す。
Mは金属原子を示す。
R1a及びR2aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基又は脂肪族ヘテロ環基を示す。
X1〜X3はアニオン性原子又はアニオン性原子団を示す。
〔2〕
上記式(1)で表される化合物が下記式(1b)で表される化合物である、〔1〕記載の光電変換素子の製造方法。
R1dはメチル基又はエチル基を示し、R1eは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。
n1aは0〜2の整数である。但し、R1bがメチル基の場合、n1aは0又は1である。
〔3〕
上記R1eがメチル基又はエチル基である、〔2〕記載の光電変換素子の製造方法。
〔4〕
上記R1bがメチル基又はシリル基である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
〔5〕
上記層Lyを相対湿度0.5%以下の雰囲気中で形成する、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
〔6〕
上記層Lyを、上記式(1)で表される化合物と、上記式(2)で表される化合物と、上記式(3)で表される化合物とを含有する組成物を用いて形成する、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
〔7〕
上記層Lyの形成に用いる上記組成物の含水率が0.1質量%以下である、〔6〕記載の光電変換素子の製造方法。
〔8〕
上記感光層の形成工程が、上記層Lyの乾燥処理を含む、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
〔9〕
上記層Lyを相対湿度0.02%以上の雰囲気中で形成する、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
〔10〕
上記感光層の形成工程のすべてを、相対湿度2.0%以下の雰囲気中で行う、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
本発明の製造方法で得られる光電変換素子は、導電性支持体上に感光層が設けられた形態の第一電極と、この第一電極に対向する第二電極とを有する。ここで、第一電極と第二電極が対向するとは、第一電極と第二電極が互いに接した状態で積層された形態、第一電極と第二電極とが他の層を介して積層された形態(すなわち第一電極と第二電極が他の層を挟んで互いに対向して設けられた形態)の両形態を含む意味である。また、第一電極において、上記感光層は、導電性支持体よりも第二電極側に配される。
上記感光層は、特定の2種の有機カチオンと、金属カチオンと、アニオンとを有する光吸収剤を含み、この光吸収剤の一部はペロブスカイト型結晶構造を有する。光吸収剤中にペロブスカイト型結晶構造でない部分が存在する場合、このペロブスカイト型結晶構造でない部分において、上記カチオンとアニオンはイオン結合で結合した状態をとることもできる。
本発明において、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状(図1参照)又は厚い膜状(図2及び図6参照)に設けられる態様、ブロッキング層の表面に薄い膜状又は厚い膜状に設けられる態様(図3参照)、電子輸送層の表面に薄い膜状又は厚い膜状(図4参照)に設けられる態様、及び、正孔輸送層の表面に薄い膜状又は厚い膜状(図5参照)に設けられる態様が挙げられる。感光層は、線状又は分散状に設けられてもよいが、好ましくは膜状に設けられる。
図1〜図6において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1、図2及び図6は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向及び垂直方向に詰まり(堆積又は密着して)、多孔質構造を形成している。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aと第二電極2の間に正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11a及び透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、図1において断面領域aを拡大した拡大断面領域aに模式的に示されるように多孔質層12の表面に、ペロブスカイト型光吸収剤で設けられた感光層13Aとを有している。また透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成される。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離及び電荷移動効率が向上すると推定される。
光電変換素子10Eは、第一電極1Eと、第二電極2と、第一電極1E及び第二電極2の間に電子輸送層4とを有している。第一電極1Eは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、正孔輸送層16及び感光層13Cとを有している。この光電変換素子10Eは、光電変換素子10Dと同様に、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。
すなわち、光電変換素子10において、導電性支持体11を透過して、又は第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体(カチオン)となる。
一方、光電変換素子10Eにおいては、光吸収剤から放出された電子は、感光層13Cから電子輸送層4を経て第二電極2に到達し、外部回路6で仕事をした後に導電性支持体11を経て、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
光電変換素子10においては、このような、上記光吸収剤の励起及び電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
上記他の層としてのブロッキング層14が導体又は半導体により形成された場合もブロッキング層14での電子伝導が起こる。
また、電子輸送層15でも電子伝導が起こる。
また、色素増感太陽電池に用いられる材料及び各部材についても参考にすることができる。色素増感太陽電池について、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,0843,65号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜図6に示されるように、多孔質層12、ブロッキング層14、電子輸送層15及び正孔輸送層16の少なくとも1つの層を有することが好ましい。
第一電極1は、短絡防止の点で少なくともブロッキング層14を有することが好ましく、光吸収効率の点及び短絡防止の点で多孔質層12及びブロッキング層14を有していることがさらに好ましい。
また、第一電極1は、光電変換素子の生産性の向上、薄型化又はフレキシブル化の点で、有機材料で形成された、電子輸送層15又は正孔輸送層16を有することが好ましい。
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、又は、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aと、この支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
支持体11a及び導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
本発明においては、光電変換素子10A〜10C及び10Fのように、好ましくは、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12、感光層13又は正孔輸送層3等との間に、ブロッキング層14を有している。
光電変換素子において、例えば感光層13又は正孔輸送層3と、透明電極11b等とが電気的に接続すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
ブロッキング層14を、光吸収剤を担持する足場として機能させることもできる。
このブロッキング層14は、光電変換素子が電子輸送層を有する場合にも設けられてもよい。例えば、光電変換素子10Dの場合、導電性支持体11と電子輸送層15との間に設けられてもよく、光電変換素子10Eの場合、第二電極2と電子輸送層4との間に設けられてもよい。
ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン等も挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が好ましい。
ブロッキング層14の膜厚は、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmがさらに好ましく、0.01〜0.1μmが特に好ましい。
本発明においては、光電変換素子10A、10B及び10Fのように、好ましくは、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合、多孔質層12はブロッキング層14上に形成されることが好ましい。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質層12を形成する材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(光吸収剤として用いるペロブスカイト化合物を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、又はカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤ及びカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
本発明においては、光電変換素子10Dのように、好ましくは、透明電極11bの表面に電子輸送層15を有している。
電子輸送層15は、感光層13で発生した電子を導電性支持体11へと輸送する機能を有する。電子輸送層15は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、特に限定されないが、有機材料(有機電子輸送材料)が好ましい。有機電子輸送材料としては、[6,6]−Phenyl−C61−Butyric Acid Methyl Ester(PC61BM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド(PTCDI)等のペリレン化合物、その他、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の低分子化合物、又は、高分子化合物等が挙げられる。
電子輸送層15の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜10μmが好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
本発明においては、光電変換素子10Eのように、好ましくは、透明電極11bの表面に正孔輸送層16を有している。
正孔輸送層16は、形成される位置が異なること以外は、後述する正孔輸送層3と同じである。
感光層13は、好ましくは、多孔質層12(光電変換素子10A、10B及び10F)、ブロッキング層14(光電変換素子10C)、電子輸送層15(光電変換素子10D)、又は、正孔輸送層16(光電変換素子10E)の各層の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の凹部内表面を含む。)に設けられる。
本発明において、感光層13中には光吸収剤が含まれる。この光吸収剤は、後述する式(I)で表される有機カチオン(以下、有機カチオン(A1)ということがある。)と式(II)で表される有機カチオン(以下、有機カチオン(A2)ということがある。)とをそれぞれ少なくとも1種含有し、さらに金属原子のカチオンとアニオンとを含有する。この光吸収剤は、その少なくとも一部がペロブスカイト型結晶構造とる。
また、感光層は上記光吸収剤以外に、例えば金属錯体色素、有機色素等の光吸収成分を有してもよい。
多孔質層12を有する場合、多孔質層12の膜厚との合計膜厚は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、合計膜厚は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。ここで、図1のように、感光層13が薄い膜状である場合に、感光層13の膜厚は、多孔質層12の表面に垂直な方向に沿う、多孔質層12との界面と後述する正孔輸送層3との界面との距離をいう。
光電変換素子10において、多孔質層12及び正孔輸送層3を有する場合、多孔質層12と感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、この合計膜厚は、200μm以下が好ましく、50μm以下が好ましく、30μm以下が好ましく、5μm以下が好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。
本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13B及び13C)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
本発明の製造方法で得られる光電変換素子において、感光層を構成する光吸収剤は、互いに構造の異なる特定の2種の有機カチオン(A1)及び(A2)と、金属原子のカチオンと、アニオン性原子もしくはアニオン性原子団のアニオンとを有し、光吸収剤の少なくとも一部がペロブスカイト型結晶構造を有している。
従来のペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子においては、光吸収剤が外部又は予め内部に存在する水分によって分解されやすく、特に高湿環境下において、光電変換効率が大きく低下する。これは、感光層と感光層に隣接する層(例えば、正孔輸送層3、電子輸送層4又は第二電極2、以下、単に「隣接層」ともいう。)との界面に欠陥が生じ、この界面欠陥から水が感光層に入り込むこと等によって、ペロブスカイト化合物等の分解が進行することによるものと考えられる。
しかし、本発明においては感光層を構成する光吸収剤中に、親疎水性及び立体的嵩高さが異なる2種の有機カチオン(A1)及び(A2)が併存する。これにより、隣接層の表面状態に適した有機カチオンが隣接層に接することができ、感光層と隣接層との親和性が向上すると推定される。そして、この親和性向上により界面欠陥が生じにくくなり、また生じた欠陥の度合も一定の範囲内に収まるようになり、結果、本発明の光電変換素子は、高湿環境下の使用においても耐湿性のばらつきが低減されて、素子間の品質のばらつきが抑えられるものと推定される。
さらに、本発明の製造方法により、得られる光電変換素子のJscを効果的に高めることができる。その理由は定かではないが次のように推定される。すなわち、本発明の製造方法によれば、感光層中の光吸収剤を構成する2つの有機カチオンが特定の構造を有し、且つ、その分子サイズの差が適度な範囲に収まっており、これと、後述するように、感光層を特定の低湿条件下で形成することによる凝集体形成抑制作用とが相俟って電荷輸送が効率化されるなどして、得られる光電変換素子のJscが効果的に高められるものと考えられる。
本発明において、「高湿」とは、例えば、相対湿度50%以上の環境をいう。
式(I) R1−NR1a 3 +
式(II) R2−NR2a 3 +
式中、Aはカチオン性有機基を示す。Mは金属原子を示す。Xはアニオン性原子又はアニオン性原子団を示す。
aは1又は2を表し、mは1を表し、a、m及びxはa+2m=xを満たす。
式(i)において、カチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造中において有機カチオンとして存在する。すなわちカチオン性有機基Aは、上記有機カチオン(A1)となるカチオン性有機基1種以上と、上記有機カチオン(A2)となるカチオン性有機基1種以上とを含む。
式(i−1) AMX3
式(i−2) A2MX4
上記周期表第一族元素のカチオンとしては、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)又はセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li+、Na+、K+、Cs+)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs+)が好ましい。
有機カチオン(A1)及び有機カチオン(A2)以外の有機カチオンは、ペロブスカイト結晶構造中においてカチオンとして存在できれば特に制限されない。
また、本発明の製造方法で得られる光電変換素子において、感光層を構成する光吸収剤中のアニオンの総モル量に占める、ハロゲン原子のアニオンの合計モル量の割合が、90〜100モル%であることが好ましく、95〜100モル%であることがより好ましく、98〜100モル%であることがさらに好ましい。
式(ii) AX
式(iii) MX2
式(ii)及び(iii)中、A、M及びXは、それぞれ式(i)のA、M及びXと同義である。
ペロブスカイト化合物の合成方法については、例えば上記非特許文献1〜3が挙げられる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051も挙げられる。
感光層13中、光吸収剤の含有量は、通常は1〜100質量%である。
本発明の光電変換素子は、光電変換素子10A〜10Dのように、第一電極1と第二電極2との間に正孔輸送層3を有することが好ましい態様の1つである。この態様において、正孔輸送層3は感光層3Cと接触(積層)していることが好ましい。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられる。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層(固体正孔輸送層)である。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン(spiro−MeOTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、光電変換素子10Eのように、第一電極1と第二電極2との間に電子輸送層4を有することも好ましい態様の1つである。この態様において、電子輸送層4は感光層3Cと接触(積層)していることが好ましい。
電子輸送層4は、電子の輸送先が第二電極である点、及び、形成される位置が異なること以外は、上記電子輸送層15と同じである。
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光等を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、又は、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、又は、白金を蒸着したガラスが好ましい。
本発明においては、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14に代えて、又は、ブロッキング層14等とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
本発明の光電変換素子は、感光層の形成以外は、公知の製造方法、例えば非特許文献1〜3、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051、Science,338,p.643(2012)等に記載の方法によって製造できる。
以下に、本発明の光電変換素子及び太陽電池の製造方法を説明する。
ブロッキング層14は、例えば、上記絶縁性物質又はその前駆体化合物等を含有する分散物を導電性支持体11の表面に塗布し、焼成する方法又はスプレー熱分解法等によって、形成できる。
多孔質層12を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)が挙げられる。これらの方法において、導電性支持体11の表面又はブロッキング層14の表面に分散物(ペースト)を塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間、例えば空気中で焼成することが好ましい。これにより、微粒子同士を密着させることができる。
焼成を複数回行う場合、最後の焼成以外の焼成の温度(最後以外の焼成温度)を、最後の焼成の温度(最後の焼成温度)よりも低い温度で行うのがよい。例えば、酸化チタンペーストを用いる場合、最後以外の焼成温度を50〜300℃の範囲内に設定することができる。また、最後の焼成温度を、100〜600℃の範囲内において、最後以外の焼成温度よりも高くなるように、設定することができる。支持体11aとしてガラス支持体を用いる場合、焼成温度は60〜500℃が好ましい。
式(2) R2−NR2a 3X2
式(3) MX3 2
但し、R1bがメチル基でn1が0の場合、n2は2又は3である。つまり、R1bがメチル基でn1が0の場合、n2は必ず2又は3となるが、R1bがメチル基でn2が2又は3である場合において、n1は必ずしも0である必要はなく、n1が1又は2であってもよい。
また、R1bがメチル基でn2が1の場合、n1は1又は2である。つまり、R1bがメチル基でn2が1の場合、n1は必ず1又は2となるが、R1bがメチル基でn1が1又は2である場合において、n2は必ずしも1である必要はなく、n2が2又は3であってもよい。
R1aとして採り得るアルキル基は、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基を含む。このアルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましく、2〜6が特に好ましい。このアルキル基の好ましい具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、オクタデシルが挙げられる。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環及び5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環又はインダゾール環が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環及び6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環又はキナゾリン環が挙げられる。
脂肪族ヘテロ環の好ましい具体例としては、ピロリジン環、オキソラン環、チオラン環、ピペリジン環、テトラヒドロフラン環、オキサン環、チアン環、ピペラジン環、モルホリン環、キヌクリジン環、ピロリジン環、アゼチジン環、オキセタン環、アジリジン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
R1aは、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
R1dはメチル基又はエチル基を示す。
R1eは水素原子、メチル基又はエチル基を示し、メチル基又はエチル基が好ましい。
n1aは0〜2の整数である。但し、R1bがメチル基の場合、n1aは0又は1である。
(チオ)アシル基は、アシル基及びチオアシル基を包含する。アシル基は、総炭素数が1〜7のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル、アセチル(CH3C(=O)−)、プロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。チオアシル基は、総炭素数が1〜7のチオアシル基が好ましく、例えば、チオホルミル、チオアセチル(CH3C(=S)−)、チオプロピオニル等が挙げられる。
(チオ)カルバモイル基は、カルバモイル基(H2NC(=O)−)及びチオカルバモイル基(H2NC(=S)−)を包含する。
イミドイル基は、R2b−C(=NR2c)−で表される基であり、R2b及びR2cはそれぞれ水素原子又はアルキル基が好ましく、アルキル基は上記R1のアルキル基と同義であるのがより好ましい。このイミドイル基として例えば、ホルムイミドイル(HC(=NH)−)、アセトイミドイル(CH3C(=NH)−)、プロピオンイミドイル(CH3CH2C(=NH)−)等が挙げられる。なかでも、ホルムイミドイルが好ましい。
式(2a)で表すことができる基としてのアミジノ基は、上記イミドイル基のR2bがアミノ基でR2cが水素原子である構造(−C(=NH)NH2)を有する。
R2aとして採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及び脂肪族ヘテロ環基は、それぞれ、上記R1aとして採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及び脂肪族ヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。窒素原子に連結し、隣接して存在する2つのR2aは互いに連結して環を形成してもよい。この場合、形成される環は、環構成原子としてヘテロ原子を有してもよい。
R2aは、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
含水率は、カールフィッシャーッシャー法により測定することができる。
式(r1−1) 0.001≦a2/a1≦999
式(r1−2) 4≦a2/a1≦499
式(r1−3) 19≦a2/a1≦199
式(r2−1) 1≦(a1+a2)/c≦10
式(r2−2) 1≦(a1+a2)/c≦5
相対湿度2.0%以下という低湿度条件下で層Lyを形成することにより、上述したように、得られる光電変換素子のJscを効果的に高めることができ、優れた光電変換効率を実現することができる。上記光吸収剤前駆組成物による層Lyの形成は、相対湿度1.5%以下の雰囲気中で行うことが好ましく、より好ましくは相対湿度1.0%以下、さらに好ましくは相対湿度0.5%以下の雰囲気中で行う。一方、層Ly形成時の相対湿度が低すぎるとJscは逆に低下する傾向がある。つまり、層Ly形成時の雰囲気中の湿度とJscとの関係は、単純な反比例の関係にはない。この観点から、上記光吸収剤前駆組成物による層Lyの形成は、相対湿度0.02%以上の雰囲気中で行うことが好ましく、より好ましくは相対湿度0.05%以上、さらに好ましくは相対湿度0.08%以上の雰囲気中で行う。
かかる低湿度条件下における感光層の形成は、例えば、乾燥した窒素等の不活性ガスで満たされたグローブボックスの中で成膜することにより実現することができる。
また、上記ペロブスカイト化合物の合成方法に準じてペロブスカイト化合物を形成させ、感光層を形成することもできる。
本発明において、感光層の形成工程のすべてを、相対湿度2.0%以下の雰囲気中で行うことが好ましい。
正孔輸送層3は、正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点、及び多孔質層12を有する場合は多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.1〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
電子輸送層4は、電子輸送材料を含有する電子輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。
以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aを製造した。感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示される光電変換素子10Bに対応することになる。
<導電性支持体11の作製>
ガラス基板(支持体11a、厚さ2.2mm)上にフッ素ドープされたSnO2導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を形成し、導電性支持体11を作製した。
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−ブタノールで希釈して、0.02Mのブロッキング層用溶液を調製した。
調製した0.02Mのブロッキング層用溶液を用いてスプレー熱分解法により、450℃にて、導電性支持体11のSnO2導電膜上に酸化チタンからなるブロッキング層14(膜厚100nm)を形成した。
酸化チタン(アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸及びテルピネオールを加えて、酸化チタンペーストを調製した。
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成した。この酸化チタンペーストの塗布及び焼成をそれぞれ2回行った。焼成温度は、1回目の焼成を130℃で行い、2回目の焼成を500℃で1時間行った。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMのTiCl4水溶液に浸した後、60℃で1時間加熱し、続けて500℃で30分間加熱して、TiO2からなる多孔質層12(膜厚250nm)を形成した。
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と、57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CH3NH3Iの粗体を得た。得られたCH3NH3Iの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で24時間減圧乾燥して、精製CH3NH3I(式(2)で表される化合物であって、有機カチオン(A2)を生じる化合物。)を得た。
下記化合物(1a)の10%エタノール溶液(100g)と57質量%のヨウ化水素の水溶液(38g)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮により溶媒を除去し、さらに60℃で24時間減圧乾燥して、下記化合物(h1a)(式(1)で表される化合物であって、有機カチオン(A1)を生じる化合物。)を得た。
次いで、精製CH3NH3Iと化合物(h1a)とPbI2(ハロゲン化金属)を、混合モル比を下記の通りとして、DMF中、60℃で12時間攪拌して混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、固形分40質量%の光吸収剤前駆組成物(溶液−1、含水率0.1質量%)を調製した。
精製CH3NH3I/化合物(h1a)=99
[精製CH3NH3I+化合物(h1a)]/PbI2=1.01
精製CH3NH3I:化合物(h1a):PbI2=99:1:99.5
このようにして、第一電極1を作製した。
正孔輸送材料としてのspiro−MeOTAD(180mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解した。このクロロベンゼン溶液に、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液(37.5μL)と、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とを加えて混合し、正孔輸送材料溶液を調製した。
次いで、正孔輸送材料溶液を、スピンコート法により、第一電極1の感光層13上に塗布し、塗布した正孔輸送材料溶液を乾燥して、正孔輸送層3(膜厚0.1μm)を形成した。
蒸着法により金(膜厚0.1μm)を正孔輸送層3上に蒸着して、第二電極2を作製した。
このようにして、試料番号101の光電変換素子10を製造した。
各膜厚は、上記方法に従って、SEMにより観察して、測定した。
上述した試料番号101の光電変換素子の製造において、感光層の形成に用いる有機アンモニウム塩の種類を下記表1に示す組合せとし、また、光吸収剤前駆組成物をスピンコートにより塗布して層Lyを形成する雰囲気中の相対湿度を下記表1に示す通りとした以外は、試料番号101の光電変換素子の製造と同様にして、試料番号102〜116、c201〜c205の光電変換素子10を製造した。なお、試料番号c203以外は、精製CH3NH3I(表1の「有機アンモニウム塩の組合せ」における右側のカラム)と、他の有機基アンモニウム塩((表1の「有機アンモニウム塩の組合せ」における左側のカラム)と、PbI2の各使用量のモル比は、試料番号101の光電変換素子の製造におけるモル比と同じとした。また、試料番号c203については、精製CH3NH3IとPbI2の使用量のモル比を、精製CH3NH3I:PbI2=1:1とした。
<初期光電変換効率の測定>
初期光電変換効率を以下のようにして評価した。
各試料番号の光電変換素子を7検体ずつ製造した。7検体それぞれについて、電池特性試験を行って、初期(製造後)の光電変換効率(ηI/%)を測定した。
電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「WXS−85H」(WACOM社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/m2の擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)を求めた。
試料番号101〜116(実施例)の光電変換素子における初期光電変換効率(ηI/%)は、光電変換素子ないし太陽電池として十分に機能するレベルにあった。
光電変換素子を下記の高湿下に静置したときの光電変換効率(高湿下光電変換効率という)を以下のようにして評価した。
初期光電変換効率を測定した上記7検体の光電変換素子それぞれを、温度45℃、湿度55%RHの高湿環境にある恒温恒湿槽内に24時間保持してから、上記<初期光電変換効率の測定>と同様にして電池特性試験を行い、高湿下光電変換効率(ηR/%)を測定した。
試料番号101〜116(実施例)の光電変換素子における高湿下光電変換効率(ηR/%)は、24時間保持後でも初期光電変換効率(ηI)に対する低下量が小さく、上記高湿環境下で光電変換素子ないし太陽電池として十分に機能するレベルにあった。
各試料番号の光電変換素子において、測定した初期光電変換効率及び高湿下光電変換効率から、光電変換素子の高湿下での耐湿性ばらつきを、以下のようにして評価した。
7検体の光電変換素子それぞれにおいて、光電変換効率の低下率を下記式から算出し、その平均値を平均低下率とした。この光電変換効率の平均低下率を1.0(基準)としたとき、この平均低下率に対する、7検体それぞれの光電変換効率の低下率を、相対値(相対低下率)として算出した。算出した相対低下率と、基準とした平均低下率1.0との差分(相対低下率−1.0)をそれぞれ求め、得られた差分のうち、その絶対値が最も大きな差分が含まれる範囲を、下記評価基準で分級して、高湿下での耐湿性ばらつきを評価した。結果を「耐湿性ばらつき」として下記表1に示す。
低下率(%)=100−{100×[(高湿下光電変換効率ηR)/(初期光電変換効率ηI)]}
− 高湿下での耐湿性ばらつきの評価基準 −
相対低下率と基準との差分(相対低下率−1.0)の絶対値のうち最大値が、
A: ±0.18以内の範囲にあったもの
B: ±0.18を超え、±0.21以内の範囲にあったもの
C: ±0.21を超え、±0.24以内の範囲にあったもの
D: ±0.24を超え、±0.28以内の範囲にあったもの
E: ±0.28を超え、±0.32以内の範囲にあったもの
F :±0.32を超える範囲にあったもの
Jscを以下のようにして評価した。
各試料番号の光電変換素子を7検体ずつ製造した。7検体それぞれについて、電池特性試験を行って、初期(製造後)のJscを測定した。試料番号c203のJscを1として、各試料番号の光電変換素子のJscを、試料番号c203のJscに対する相対値として算出し(Jsc相対値)、下記基準にて評価した。
− Jscの評価基準 −
AA:Jsc相対値が0.95以上
A :Jsc相対値が0.90以上0.95未満
B :Jsc相対値が0.85以上0.90未満
C :Jsc相対値が0.81以上0.85未満
D :Jsc相対値が0.77以上0.81未満
E :Jsc相対値が0.77未満
また、感光層の形成に用いる有機アンモニウム塩として2種類の有機アンモニウム塩を用いた場合であっても、式(1)で表される構造の有機アンモニウム塩を有しない場合には、やはり素子間の耐湿性のばらつきが大きかった。またこの場合、得られる光電変換素子のJscは低く、このJscは、感光層形成時の相対湿度を低下させても向上しなかった(試料番号c201、c202、c204)。
また、感光層の形成に用いる有機アンモニウム塩として、本発明で規定する2種類の有機アンモニウム塩を用いた場合でも、感光層形成時の相対湿度が本発明で規定するよりも高い場合には、Jscが低く光電変換効率に劣るものとなった(試料番号c205)。
これに対し、本発明の製造方法で製造した光電変換素子は、素子間の耐湿性のばらつきが抑えられており、さらに、Jscも効果的に高められることから、光電変換効率にも優れた素子が得られることがわかる(試料番号101〜116)。
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A〜13C 感光層
14 ブロッキング層
2 第二電極
3A、3B、16 正孔輸送層
4、15 電子輸送層
6 外部回路(リード)
10A〜10F 光電変換素子
100A〜100F 太陽電池を利用したシステム
M 電動モーター
Claims (10)
- 感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、前記第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子の製造方法であって、
前記感光層の形成工程が、下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを含有する層Lyを、相対湿度2.0%以下の雰囲気中で形成することを含む、光電変換素子の製造方法。
式(1) R1−NR1a 3X1
式(2) R2−NR2a 3X2
式(3) MX3 2
式中、R1は下記式(1a)で表される基又はアリール基を示す。
但し、R1bがメチル基でn1が0の場合、n2は2又は3であり、R1bがメチル基でn2が1の場合、n1は1又は2である。
*は式(1)中のN(R1a)3X1との連結部位を示す。
R2はメチル基、エチル基又は下記式(2a)で表すことができる基を示す。
Mは金属原子を示す。
R1a及びR2aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基又は脂肪族ヘテロ環基を示す。
X1〜X3はアニオン性原子又はアニオン性原子団を示す。 - 前記R1eがメチル基又はエチル基である、請求項2記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記R1bがメチル基又はシリル基である、請求項1〜3のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記層Lyを相対湿度0.5%以下の雰囲気中で形成する、請求項1〜4のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記層Lyを、前記式(1)で表される化合物と、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とを含有する組成物を用いて形成する、請求項1〜5のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記層Lyの形成に用いる前記組成物の含水率が0.1質量%以下である、請求項6記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記感光層の形成工程が、前記層Lyの乾燥処理を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記層Lyを相対湿度0.02%以上の雰囲気中で形成する、請求項1〜8のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記感光層の形成工程のすべてを、相対湿度2.0%以下の雰囲気中で行う、請求項1〜9のいずれか1項記載の光電変換素子の製造方法。
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