JP6385001B2 - 光電変換素子用電極の製造方法、光電変換素子の製造方法、太陽電池の製造方法及び光吸収剤塗布膜の製造方法 - Google Patents

光電変換素子用電極の製造方法、光電変換素子の製造方法、太陽電池の製造方法及び光吸収剤塗布膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、光電変換素子用電極、光電変換素子及び太陽電池の製造方法に関する。
また、本発明は、光電変換素子用電極に用いる光吸収剤塗布膜の製造方法に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。中でも、色素増感太陽電池は、その製造に真空プロセスを使用せず、塗布プロセスによって製造コストを大幅に低下できる可能性があることから、次世代太陽電池として期待され、精力的に検討されている。色素増感太陽電池の増感剤として、有機色素やRuビピリジル錯体等が用いられ、光電変換効率が11%程度に到達しているものもある。
一方、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物として金属ハロゲン化物を用いた太陽電池が、比較的高い変換効率を達成できるとの研究成果が報告され(非特許文献1および2参照)、また特許出願され(特許文献1参照)、注目を集めている。
特許文献1には、CHNHMX(MはPbまたはSnを表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるペロブスカイト型結晶構造を有する化合物および半導体微粒子層を含む光吸収層と電解液からなる電解質層とを備えた太陽電池が、記載されている。また、非特許文献1には、CHNHPbX(Xは臭素原子またはヨウ素原子を表す。)のペロブスカイト型結晶構造を有する化合物をナノサイズ微粒子として吸着させたTiO膜と電解質溶液とを有する太陽電池が、記載されている。上記非特許文献2には、CHNHPbIClのペロブスカイト型結晶構造を有する化合物と正孔輸送材料とを用いた太陽電池が記載されている。
韓国登録特許第10−1172374号公報
J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),6050−6051 Science,338,643(2012)
本発明者らの検討によれば、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物を光吸収剤として感光層に用いた光電変換素子や太陽電池は、製造時の感光層塗布工程において、調製した光吸収材料液の安定性が悪く経時で析出物を生じること、また、これらの材料の塗布により形成された感光層は安定性や膜性に劣ることがわかった。そして、これが光電変換素子や太陽電池の電流欠陥を招いていると考えられた。
そこで本発明は、光電変換素子の感光層として用いることができる、安定性と膜性に優れた光吸収剤塗布膜の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、この方法で形成された感光層を備えた、光電変換素子用電極、光電変換素子及び太陽電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物を光吸収剤として感光層に用いた光電変換素子や太陽電池の製造に当たり、感光層形成に用いる光吸収材料の成分組成に着目し、検討を行った。その結果、光吸収材料中の、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の原料である2種の化合物の組成比を特定の範囲とすることで、光吸収材料の経時安定性が向上すること、これにより形成された感光層は湿度に対する安定性が向上し、さらには凝集物の低減等により膜性も向上することを見出した。さらに、この光吸収材料を用いて形成された感光層を備える光電変換素子や太陽電池は、電流欠陥の発生も少なかった。本発明はこれらの知見により成されたものである。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
<1> 導電性支持体上に感光層を形成する光電変換素子用電極の製造方法であって、感光層が、下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とをモル比0.1:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を塗布して、光吸収材料成膜後に該式(II)で表される化合物の溶液に浸すことで前記感光層とする、光電変換素子用電極の製造方法。
式(II):AX
式(III):MX
式(II)中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、Xはアニオン性原子を表す。
式(III)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、Xはアニオン性原子を表す。
<2> 光吸収材料中の式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とのモル比が0.1:1〜0.4:1である、<1>に記載の製造方法。
<3> Aが下記一般式(1)で表される基である、<1>又は<2>に記載の製造方法。
式(1):R1a−NH
式(1)中、R1aは置換基を表す。
<4> R1aが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(2)で表される基である、<3>に記載の製造方法。
Figure 0006385001
式(2)中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1)のN原子との結合位置を表す。
<5> Xがハロゲン原子である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6> MがPb原子またはSn原子である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の製造方法。
<7> 導電性支持体と感光層との間に多孔質層を形成する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の製造方法。
> <1>〜<>のいずれか1つに記載の方法により得られた電極を第一電極とし、第一電極の上に第二電極を形成する、光電変換素子の製造方法。
> <>に記載の光電変換素子を用いる、太陽電池の製造方法。
10> 下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とをモル比0.1:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を支持体上に塗布して、光吸収材料成膜後に該式(II)で表される化合物の溶液に浸す、光吸収剤塗布膜の製造方法。
式(II):AX
式(III):MX
式(II)中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、Xはアニオン性原子を表す。
式(III)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、Xはアニオン性原子を表す。
本明細書において、各式の表記は、化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各式において、部分構造を、(置換)基、イオンまたは原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオンまたは原子等のほかに、上記式で表される(置換)基もしくはイオンを構成する元素団、または、元素を意味することがある。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。さらに、置換または無置換を明記していない化合物については、所望の効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有する化合物を含む意味である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の製造方法によれば、電流欠陥の少ない光電変換素子及び太陽電池、並びにそれに用いる光電変換素子用電極を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、光電変換素子の感光層として用いることができる、安定性と膜性に優れた光吸収剤塗布膜の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により得られる光電変換素子の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の製造方法により得られる光電変換素子の厚い感光層を有する好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の製造方法により得られる光電変換素子の別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の製造方法により得られる光電変換素子のまた別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の製造方法により得られる光電変換素子のさらに別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
<<光電変換素子>>
本発明の製造方法により得られる光電変換素子は、導電性支持体、および、光吸収材料により形成される光吸収剤を含む感光層を有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する。感光層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。
光吸収剤は、後述するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物(以下、ペロブスカイト化合物ということがある)を少なくとも1種含んでいる。光吸収剤は、ペロブスカイト化合物と併せて、ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤を含んでいてもよい。ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素および有機色素が挙げられる。
本発明において、「感光層を導電性支持体上に有する」とは、導電性支持体の表面に接して感光層を有する態様、および、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様を含む意味である。
導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様において、導電性支持体と感光層との間に設けられる他の層としては、太陽電池の電池性能を低下させないものであれば特に限定されない。例えば、多孔質層、ブロッキング層、電子輸送層および正孔輸送層等が挙げられる。
本発明において、感光層が他の層を介して導電性支持体の表面上方に有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状等に設けられる態様(図1参照)、多孔質層の表面に厚く設けられる態様(図2参照)、ブロッキング層の表面に薄く設けられる態様、ブロッキング層の表面に厚い膜状に設けられる態様(図3参照)、電子輸送層の表面に薄い膜状または厚い膜状(図4参照)に設けられる態様、および、正孔輸送層の表面に薄い膜状または厚い膜状(図5参照)に設けられる態様が挙げられる。
感光層は、線状または分散状に設けられてもよいが、好ましくは膜状に設けられる。
本発明の製造方法により得られる光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子および太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の製造方法により得られる光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。
以下、本発明の製造方法により得られる光電変換素子の好ましい態様について説明する。
図1〜図5において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1および図2は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。これら微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向および垂直方向に詰まり(堆積または密着して)、多孔質構造を形成している。
本明細書において、単に「光電変換素子10」という場合は、特に断らない限り、光電変換素子10A、10B、10C、10Dおよび10Eを意味する。このことは、システム100および第一電極1についても同様である。また、単に、「感光層13」という場合は、特に断らない限り、感光層13A、13Bおよび13Cを意味する。同様に、正孔輸送層3という場合は、特に断らない限り、正孔輸送層3Aおよび3Bを意味する。
本発明の製造方法により得られる光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1に示す光電変換素子10Aが挙げられる。図1に示されるシステム100Aは、光電変換素子10Aを外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aと第二電極2の間に、後述する正孔輸送材料を含む正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11aおよび透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、多孔質層12上に感光層13Aとを有している。また、透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成されている。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離及び電荷移動効率が向上すると推測される。
図2に示す光電変換素子10Bは、図1に示す光電変換素子10Aの感光層13Aを厚く設けた好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Bにおいて、正孔輸送層3Bは薄く設けられている。光電変換素子10Bは、図1で示した光電変換素子10Aに対して感光層13Bおよび正孔輸送層3Bの膜厚の点で異なるが、これらの点以外は光電変換素子10Aと同様に構成されている。
図3に示す光電変換素子10Cは、本発明の製造方法により得られる光電変換素子の別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Cは、図2に示す光電変換素子10Bに対して多孔質層12を設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。すなわち、光電変換素子10Cにおいて、感光層13Cはブロッキング層14の表面に厚い膜状に形成されている。
図4に示す光電変換素子10Dは、本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Dは、図3に示す光電変換素子10Cに対してブロッキング層14に代えて電子輸送層15を設けた点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Cと同様に構成されている。第一電極1Dは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、電子輸送層15および感光層13Cとを有している。この光電変換素子10Dは、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。これにより、光電変換素子の生産性が向上し、しかも薄型化またはフレキシブル化が可能になる。
図5に示す光電変換素子10Eは、本発明の光電変換素子のさらにまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Eを含むシステム100Eは、システム100Aと同様に電池用途に応用したシステムである。
光電変換素子10Eは、第一電極1Eと、第二電極2と、第一電極1Eおよび第二電極2の間に電子輸送層4とを有している。第一電極1Eは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、正孔輸送層16および感光層13Cとを有している。この光電変換素子10Eは、光電変換素子10Dと同様に、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。
本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として、機能する。
すなわち、光電変換素子10Aにおいて、導電性支持体11を透過して、または第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤は、エネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となる。
光電変換素子10A〜10Dにおいては、光吸収剤から放出された電子は、光吸収剤間を移動して感光層13から導電性支持体11に到達する。導電性支持体11に到達した電子は外部回路6で仕事をした後に、第二電極2を経て(正孔輸送層3がある場合にはさらに正孔輸送層3を経由して)、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
一方、光電変換素子10Eにおいては、光吸収剤から放出された電子は、感光層13Cから電子輸送層4を経て第二電極2に到達し、外部回路6で仕事をした後に導電性支持体11を経て、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
光電変換素子10において、このような、上記光吸収剤の励起および電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
光電変換素子10A〜10Dにおいて、感光層13から導電性支持体11への電子の流れ方は、多孔質層12の有無およびその種類等により、異なる。本発明の光電変換素子10においては、光吸収剤間を電子が移動する電子伝導が起こる。したがって、多孔質層12を設ける場合、多孔質層12は従来の半導体以外に絶縁体で形成することができる。多孔質層12が半導体で形成される場合、多孔質層12の半導体微粒子内部や半導体微粒子間を電子が移動する電子伝導も起こる。一方、多孔質層12が絶縁体で形成される場合、多孔質層12での電子伝導は起こらない。多孔質層12が絶縁体で形成される場合、絶縁体微粒子に酸化アルミニウム(Al)の微粒子を用いると、比較的高い起電力(Voc)が得られる。
上記他の層としてのブロッキング層14が導体または半導体により形成された場合もブロッキング層14での電子伝導が起こる。
また、電子輸送層15でも、電子伝導が起こる。
本発明の製造方法により得られる光電変換素子および太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子または太陽電池に用いられる材料および各部材は、光吸収剤を除いて、通常のものを用い、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子または太陽電池について、例えば、特許文献1、非特許文献1〜2を参照することができる。また、色素増感太陽電池について、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、本発明の製造方法により得られる光電変換素子および太陽電池の主たる部材および化合物の好ましい態様について、説明する。
<第一電極1>
第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜5に示されるように、多孔質層12、ブロッキング層14、電子輸送層15および正孔輸送層16の少なくとも1つの層を有することが好ましい。
第一電極1は、短絡防止の点で少なくともブロッキング層14を有することが好ましく、光吸収効率の点および短絡防止の点で多孔質層12およびブロッキング層14を有していることがさらに好ましい。
また、第一電極1は、有機材料で形成できる点で、電子輸送層15または正孔輸送層16を有することが好ましい。
− 導電性支持体11 −
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、または、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aとこの支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
なかでも、図1〜図5に示されるように、ガラスまたはプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11がさらに好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
支持体11aおよび導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体11または支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11または支持体11aの表面に、特開2003−123859号公報に記載の、高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
− ブロッキング層14 −
本発明においては、光電変換素子10A〜10Cのように、好ましくは、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12、感光層13または正孔輸送層3等との間に、ブロッキング層14を有している。
光電変換素子および太陽電池において、例えば感光層13または正孔輸送層3と、透明電極11bとが電気的に接触すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
このブロッキング層は、光電変換素子が電子輸送層を有する場合にも設けられてもよい。例えば、光電変換素子10Dの場合、導電性支持体11と電子輸送層15との間に設けられてもよく、光電変換素子10Eの場合、第二電極2と電子輸送層4との間に設けられてもよい。
ブロッキング層14を形成する材料は、上記機能を果たすことのできる材料であれば特に限定されないが、可視光を透過する物質であって、導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質であることが好ましい。「導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質」とは、具体的には、伝導帯のエネルギー準位が、導電性支持体11を形成する材料(透明電極11bを形成する金属酸化物)の伝導帯のエネルギー準位以上であり、かつ、多孔質層12を構成する材料の伝導帯や光吸収剤の基底状態のエネルギー準位より低い化合物(n型半導体化合物)をいう。
ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タングステン等も挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が好ましい。
ブロッキング層14の膜厚は、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmがさらに好ましく、0.01〜0.1μmが特に好ましい。
本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
− 多孔質層12 −
本発明において、光電変換素子10Aおよび10Bのように、好ましくは、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合、多孔質層12はブロッキング層14上に形成されることが好ましい。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12は、多孔質層12を形成する材料の微粒子が堆積または密着してなる、細孔を有する微粒子層であることが好ましい。多孔質層12は、2種以上の多微粒子が堆積してなる微粒子層であってもよい。多孔質層12が細孔を有する微粒子層であると、光吸収剤の担持量(吸着量)を増量できる。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質層12を形成する材料は、導電性に関しては特に限定されず、絶縁体(絶縁性の材料)であっても、導電性の材料または半導体(半導電性の材料)であってもよい。
多孔質層12を形成する材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(後述する光吸収剤を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、またはカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤおよびカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、特に限定されないが、好ましくは、チタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、アルミニウムまたはタンタルの各酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。金属のカルコゲニドの結晶構造として、アナターゼ型、ブルッカイト型またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、特に限定されないが、遷移金属酸化物等が挙げられる。例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、スズ酸バリウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ストロンチウム、タンタル酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、鉄酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウムランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸ビスマスが挙げられる。なかでも、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が好ましい。
カーボンナノチューブは、炭素膜(グラフェンシート)を筒状に丸めた形状を有する。カーボンナノチューブは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に分類される。多孔質層12としては、いずれのカーボンナノチューブも特に限定されず、用いることができる。
多孔質層12を形成する材料は、なかでも、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウムもしくはケイ素の酸化物、またはカーボンナノチューブが好ましく、酸化チタンまたは酸化アルミニウムがさらに好ましい。
多孔質層12は、上述の、金属のカルコゲニド、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、ケイ素の酸化物およびカーボンナノチューブのうち少なくとも1種で形成されていればよく、複数種で形成されていてもよい。
多孔質層12の膜厚は、特に限定されないが、通常0.1〜100μmの範囲であり、太陽電池として用いる場合は、0.1〜50μmが好ましく、0.3〜30μmがより好ましい。
− 電子輸送層15−
本発明においては、光電変換素子10Dのように、好ましくは、透明電極11bの表面に電子輸送層15を有している。
電子輸送層15は、感光層13で発生した電子を導電性支持体11に輸送する機能を有する。電子輸送層15は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、特に限定されないが、有機材料(有機電子輸送材料)が好ましい。有機電子輸送材料としては、[6,6]−Phenyl−C61−Butyric Acid Methyl Ester(PCBM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド(PTCDI)等のペリレン化合物、その他、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の低分子化合物、または、高分子化合物等が挙げられる。
電子輸送層15の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜10μmが好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
− 正孔輸送層16−
本発明においては、光電変換素子10Eのように、好ましくは、透明電極11bの表面に正孔輸送層16を有している。
正孔輸送層16は、形成される位置が異なる点以外は、後述する正孔輸送層3と同じである。
− 感光層(光吸収層)13 −
感光層13は、好ましくは、多孔質層12(光電変換素子10Aおよび10B)、ブロッキング層14(光電変換素子10C)、電子輸送層15(光電変換素子10D)、または、正孔輸送層16(光電変換素子10E)の各層の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の凹部内表面を含む。)に設けられる。
本発明において、光吸収剤は、後述する特定のペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、2種以上のペロブスカイト化合物を含有してもよい。
本発明において、感光層13は、この光吸収剤とは別異の光吸収剤を含有してもよい。別異の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素または有機色素が挙げられる。
感光層13は、単層であっても2層以上の積層であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、互いに異なった光吸収剤からなる層を積層してなる積層構造でもよく、また、感光層と感光層の間に、正孔輸送材料を含む中間層を有する積層構造でもよい。
感光層13を導電性支持体11上に有する形態は、上述した通りである。感光層13は、好ましくは、励起した電子が導電性支持体11に流れるように、上記各層の表面に設けられる。このとき、感光層13は、上記各層の表面全体に設けられていてもよく、その表面の一部に設けられていてもよい。
感光層13の膜厚は、導電性支持体11上に感光層13を有する態様に応じて適宜に設定され、特に限定されない。例えば、感光層13の膜厚(多孔質層12を有する場合、多孔質層12の膜厚との合計膜厚)は、0.1〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがさらに好ましく、0.3〜30μmが特に好ましい。
本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13Bおよび13C)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
〔感光層の光吸収剤〕
感光層13は、光吸収剤として、「周期表第一族元素またはカチオン性有機基A」と、「周期表第一族元素以外の金属原子M」と、「アニオン性原子X」と、を有するペロブスカイト化合物を含有する。
ペロブスカイト化合物の周期表第一族元素またはカチオン性有機基A、金属原子Mおよびアニオン性原子Xは、それぞれ、ペロブスカイト型結晶構造において、カチオン(便宜上、カチオンAということがある)、金属カチオン(便宜上、カチオンMということがある)およびアニオン(便宜上、アニオンXということがある)の各構成イオンとして存在する。
本発明において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンになる性質を有する有機基をいい、アニオン性原子とはペロブスカイト型結晶構造においてアニオンになる性質を有する原子をいう。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、カチオンAは、周期表第一族元素のカチオンまたはカチオン性有機基Aからなる有機カチオンである。カチオンAは有機カチオンが好ましい。
周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)またはセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
有機カチオンは、下記式(1)で表されるカチオン性有機基の有機カチオンであることがさらに好ましい。
式(1):R1a−NH
式中、R1aは置換基を表す。R1aは、有機基であれば特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(2)で表すことができる基が好ましい。なかでも、アルキル基、下記式(2)で表すことができる基がより好ましい。
Figure 0006385001
式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1)のN原子との結合位置を表す。
本発明において、カチオン性有機基Aの有機カチオンは、上記式(1)中のR1aとNHとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基Aからなる有機アンモニウムカチオンが好ましい。この有機アンモニウムカチオンが共鳴構造をとり得る場合、有機カチオンは有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含む。例えば、上記式(2)で表すことができる基においてXがNH(R1cが水素原子)である場合、有機カチオンは、上記式(2)で表すことができる基とNHとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基の有機アンモニウムカチオンに加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンをも包含する。アミジニウムカチオン性有機基からなる有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(Aam)で表されるカチオンが挙げられる。なお、本明細書において、下記式(Aam)で表されるカチオンを便宜上、「R1bC(=NH)−NH」と表記することがある。
Figure 0006385001
アルキル基は、炭素数が1〜18のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシル等が挙げられる。
シクロアルキル基は、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
アルケニル基は、炭素数が2〜18のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはヘキセニル等が挙げられる。
アルキニル基は、炭素数が2〜18のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
アリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニルが挙げられる。
ヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香環、脂肪族環やヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、5員環または6員環が好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環および5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
式(2)で表すことができる基において、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表し、NR1cが好ましい。ここで、R1cは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
1bは、水素原子または置換基を表し、水素原子が好ましい。R1bが取りうる置換基は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が挙げられる。
1bおよびR1cがそれぞれとり得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、上記R1aの各基と同義であり、好ましいものも同じである。
式(2)で表すことができる基としては、例えば、ホルムイミドイル(HC(=NH)−)、アセトイミドイル(CHC(=NH)−)、プロピオンイミドイル(CHCHC(=NH)−)等が挙げられる。中でも、ホルムイミドイルが好ましい。
1aがとり得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基および上記式(2)で表すことができる基は、いずれも、置換基を有していてもよい。R1aが有していてもよい置換基としては、特に限定されない
が、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基が挙げられる。R1aが有していてもよい各置換基は、さらに置換基で置換されていてもよい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、金属カチオンMは、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンであって、ペロブスカイト型結晶構造を取りうる金属原子のカチオンであれば、特に限定されない。このような金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)等の金属原子が挙げられる。なかでも、金属原子MはPb原子またはSn原子が特に好ましい。Mは1種の金属原子であってもよく、2種以上の金属原子であってもよい。2種以上の金属原子である場合には、Pb原子およびSn原子の2種が好ましい。なお、このときの金属原子の割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、アニオンXは、アニオン性原子(原子団)Xのアニオンを表す。このアニオンは、好ましくはハロゲン原子のアニオン、または、NCS、NCOもしくはCOOの各アニオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子のアニオンであることがさらに好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。
アニオンXは、1種のアニオン性原子のアニオンであってもよく、2種以上のアニオン性原子のアニオンであってもよい。1種のアニオンである場合には、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。一方、2種以上のアニオン性原子のアニオンである場合には、2種のハロゲン原子のアニオン、特に臭素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンが好ましい。なお、2種以上のアニオンの割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記の各構成イオンを有するペロブスカイト型結晶構造を有し、下記式(I)で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
式(I):A
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
式(I)において、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造の上記カチオンAを形成する。したがって、周期表第一族元素およびカチオン性有機基Aは、上記カチオンAとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる元素または基であれば、特に限定されない。周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、上記カチオンAで説明した上記周期表第一族元素またはカチオン性有機基と同義であり、好ましいものも同じである。
金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造の上記金属カチオンMを形成する金属原子である。したがって、金属原子Mは、周期表第一族元素以外の原子であって、上記金属カチオンMとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子であれば、特に限定されない。金属原子Mは、上記金属カチオンMで説明した上記金属原子と同義であり、好ましいものも同じである。
アニオン性原子Xは、ペロブスカイト型結晶構造の上記アニオンXを形成する。したがって、アニオン性原子Xは、上記アニオンXとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子であれば、特に限定されない。アニオン性原子Xは、上記アニオンXで説明したアニオン性原子と同義であり、好ましいものも同じである。
式(I)で表されるペロブスカイト化合物は、aが1である場合、下記式(I−1)で表されるペロブスカイト化合物であり、aが2である場合、下記式(I−2)で表されるペロブスカイト化合物である。
式(I−1):AMX
式(I−2):AMX
式(I−1)および式(I−2)において、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、上記式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。
Mは、周期表第一族元素以外の金属原子を表し、上記式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。
Xは、アニオン性原子を表し、上記式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、式(I−1)で表される化合物および式(I−2)で表される化合物のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。したがって、本発明において、ペロブスカイト化合物は、光吸収剤として少なくとも1種が存在していればよく、組成式、分子式および結晶構造等により、厳密にいかなる化合物であるかを明確に区別する必要はない。
以下に、本発明に用いうるペロブスカイト化合物の具体例を例示するが、これによって本発明が制限されるものではない。下記においては、式(I−1)で表される化合物と、式(I−2)で表される化合物とを分けて記載する。ただし、式(I−1)で表される化合物として例示した化合物であっても、合成条件等によっては、式(I−2)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物との混合物となる場合もある。同様に、式(I−2)で表される化合物として例示した化合物であっても、式(I−1)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物との混合物となる場合もある。
式(I−1)で表される化合物の具体例として、例えば、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHPbI、CHNHPbBrI、CHNHPbBrI、CHNHSnBr、CHNHSnI、CH(=NH)NHPbIが挙げられる。
式(I−2)で表される化合物の具体例として、例えば、(CNHPbI、(CH=CHNHPbI、(CH≡CNHPbI、(n−CNHPbI、(n−CNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CSNHPbIが挙げられる。
ここで、(CSNHPbIにおけるCSNHはアミノチオフェンである。
ペロブスカイト化合物は、下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とから合成することができる。
式(II):AX
式(III):MX
式(II)中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、前記式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。式(II)中、Xはアニオン性原子を表し、上記式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
式(III)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、前記式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。式(III)中、Xはアニオン性原子を表し、上記式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
ペロブスカイト化合物の合成には、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とをモル比0.01:1〜0.9:1で用いる。式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とのモル比は、0.1:1〜0.4:1であることが好ましい。式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とを上記のモル比で含有する光吸収材料は、析出が少なく経時安定性に優れる。
ペロブスカイト化合物の合成方法については、例えば、上記非特許文献1が挙げられる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),6050−6051も挙げられる。
光吸収剤の使用量は、多孔質層12またはブロッキング層14の表面のうち光が入射する表面の少なくとも一部であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
<正孔輸送層3>
光電変換素子の第一電極と第二電極との間に正孔輸送層3を有することが好ましい。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層である。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられる。
正孔輸送層3を形成する正孔輸送材料は、特に限定されないが、CuI、CuNCS、グラフェンオキシド(GO)等の無機材料、および、特開2001−291534号公報の段落番号0209〜0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。有機正孔輸送材料としては、好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子、2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心原子を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン化合物、トリフェニレン化合物、含窒素複素環化合物または液晶性シアノ化合物が挙げられる。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンゾアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されないが、50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、5nm〜5μmがさらに好ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。
本発明において、多孔質層12を有する場合、多孔質層12と感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されないが、例えば、0.1〜200μmが好ましく、0.5〜50μmがより好ましく、0.5〜5μmがさらに好ましい。
<電子輸送層4>
光電変換素子10Eにおいては、感光層13Cと第二電極2との間に電子輸送層4を有している。
電子輸送層4は、電子の輸送先が第二電極である点、および、形成される位置が異なる点以外は、上記電子輸送層15と同じである。
<第二電極2>
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の製造方法により得られる太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2を形成する材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、または、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。
第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜1μmが特に好ましい。
<その他の構成>
本発明では、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14等に代えて、または、ブロッキング層14等とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
<<太陽電池>>
本発明の製造方法により得られる太陽電池は、例えば図1〜図5に示されるように、光電変換素子10を外部回路6に対して仕事させるように構成したものである。第一電極1(導電性支持体11)および第二電極2に接続される外部回路は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明の製造方法により得られる太陽電池は、構成物の劣化および蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明の製造方法により得られる光電変換素子が適用される太陽電池は、特に限定されず、例えば特許文献1、非特許文献1〜2に記載の太陽電池が挙げられる。
<<光電変換素子用電極、光電変換素子および太陽電池の製造方法>>
本発明の製造方法はいずれも、前記式(II)で表される化合物と前記式(III)で表される化合物とをモル比0.01:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を用いる。
光吸収剤塗布膜の製造方法では、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とをモル比0.01:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を支持体上に塗布する。得られる光吸収剤塗布膜(ペロブスカイト化合物含有膜)は、湿度に対する安定性が向上するとともに、凝集物等の発生も少なく良好な膜性を実現できる。これらの性質は、上記塗布膜を光電変換素子や太陽電池の感光層として利用する場合に、特に有用である。
本発明の光電変換素子用電極の製造方法は、導電性支持体上に感光層を形成する。感光層は上記光吸収剤塗布膜、すなわち、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とをモル比0.01:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を塗布して形成される。好ましくは、導電性支持体と感光層との間に多孔質層を形成する。
本発明の光電変換素子又は太陽電池の製造方法は、上記製造方法により得られた光電変換素子用電極を第一電極とし、該第一電極の上に第二電極を形成する。第一電極の上に第二電極の間には、正孔輸送層が形成されることが好ましい。上記光吸収剤塗布膜を感光層に用いて光電変換素子や太陽電池を製造すると、電流欠陥の少ない光電変換素子や太陽電池を実現できる。
上記の各製造方法において、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とのモル比は、0.1:1〜0.4:1であることが好ましい。
以下に、本発明の光電変換素子用電極、光電変換素子および太陽電池の製造方法の実施形態を説明する。
第一電極1は、導電性支持体上に感光層を形成してなる。導電性支持体11と感光層13との間には、ブロッキング層14、多孔質層12、電子輸送層15および正孔輸送層16の少なくとも一つを形成することが好ましい。
ブロッキング層14は、例えば、上記絶縁性物質またはその前駆体化合物等を含有する分散物を導電性支持体11の表面に塗布し、焼成する方法またはスプレー熱分解法等によって、形成できる。
多孔質層12を形成する材料は、好ましくは微粒子として用いられ、さらに好ましくは微粒子を含有する分散物として用いられる。
多孔質層12を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)が挙げられる。これらの方法において、導電性支持体11の表面またはブロッキング層14の表面に分散物(ペースト)を塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成することが好ましい。これにより、微粒子同士を密着させることができる。
焼成を複数回行う場合、最後の焼成以外の焼成の温度(最後以外の焼成温度)を、最後の焼成の温度(最後の焼成温度)よりも低い温度で行うのがよい。例えば、酸化チタンペーストを用いる場合、最後以外の焼成温度を50〜300℃の範囲内に設定することができる。また、最後の焼成温度を、100〜600℃の範囲内において、最後以外の焼成温度よりも高くなるように、設定することができる。支持体11aとしてガラス支持体を用いる場合、焼成温度は60〜500℃が好ましい。
多孔質層12を形成するときの、多孔質材料の塗布量は、多孔質層12の膜厚および塗布回数等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。導電性支持体11の表面積1m当たりの多孔質材料の塗布量は、例えば、0.5〜500gが好ましく、さらには5〜100gが好ましい。
電子輸送層15または正孔輸送層16を設ける場合、それぞれ、後述する正孔輸送層3または正孔輸送層4と同様にして、形成することができる。
次いで、感光層13を設ける。
まず、感光層13を形成するための、ペロブスカイト化合物の原料である式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とをモル比0.01:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を調製する。光吸収材料の調製には適宜溶媒を用いる。
調製した光吸収材料を支持体、又は、多孔質層12、ブロッキング層14、電子輸送層15、若しくは正孔輸送層16の表面に塗布し、感光層13(光吸収剤塗布膜)を形成する。塗布後、適宜乾燥や焼成を行ってもよい。乾燥や焼成は、好ましくは0〜300℃、より好ましくは50〜160℃で行う。
感光層13は、光吸収材料を成膜した後、この膜をさらに式(II)で表される化合物の溶液に浸し、その後乾燥や焼成して、形成することが好ましい。本発明の製造方法で用いる光吸収材料は、式(II)で表される化合物に対し式(III)で表される化合物が等モル以上配合される。光吸収材料の塗布により形成された感光層中には、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物を原料としたペロブスカイト化合物が生成すると考えられるが、この時、感光層中にペロブスカイト化合物に変換されなかった式(III)で表される化合物が存在している可能性がある。この残存する式(III)で表される化合物をペロブスカイト化合物とするために、光吸収材料成膜後に当該膜を式(II)で表される化合物の溶液に浸すことが好ましい。この浸漬処理は、特に、光吸収材料中に含有される式(II)で表される化合物の量が少ない場合に好ましく用いられる。
式(II)で表される化合物の溶液に用いる溶媒は、適宜選択できる。例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、エチレングリコール等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸イソペンチル等)、ケトン類(γ−ブチルラクトン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール等)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)、アミド系溶媒(アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボネート系溶媒(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロメタン等、クロロベンゼン)、炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。好ましくは、アルコール類が挙げられる。
また、この溶液中の式(II)で表される化合物の濃度は、0.001〜99質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることがより好ましい。浸漬時間は、0.1秒〜1時間であることが好ましく、1秒〜15分であることがより好ましい。光吸収材料塗布膜を式(II)で表される化合物の溶液に浸した後の乾燥や焼成は、上述した光吸収材料塗布直後の乾燥や焼成と同様に行うことができる。
上記工程により、光吸収剤(ペロブスカイト化合物)が形成され、感光層13となる。
このようにして設けられた感光層13上に、好ましくは、正孔輸送層3または電子輸送層4を形成する。
正孔輸送層3は、正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して形成することができる。正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点、および多孔質層12を有する場合は多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.1〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
電子輸送層4は、電子輸送材料を含有する電子輸送材料溶液を塗布し、乾燥して形成することができる。
正孔輸送層3または電子輸送層4を形成した後に、第二電極2を形成して、光電変換素子および太陽電池が製造される。
各層の膜厚は、各分散液または溶液(塗布液)の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調整できる。例えば、膜厚が厚い感光層13Bおよび13Cを設ける場合には、光吸収材料を複数回塗布、乾燥すればよい。
上述の各塗布液は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
光電変換素子および太陽電池の製造方法に使用する溶媒または分散媒としては、上述したものの他、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特にこれに限定されない。本発明においては、有機溶媒が好ましく、さらにアルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはジメチルアセトアミド、または、これらの混合溶媒が好ましい。
各層を形成する溶液または分散剤の塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷、浸漬法等が好ましい。
上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1および第二電極2に外部回路を接続して、太陽電池として用いることができる。
以下に実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例1
1.光吸収材料液の調製
(1)光吸収材料液101〜104の調製
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHNHIの粗体を得た。得られたCHNHIの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で24時間減圧乾燥して、精製CHNHIを得た。
次いで、精製CHNHIとPbIを、モル比で0.1:1とし、ジメチルホルムアミド(DMF)中、70℃で12時間攪拌して混合した後室温に戻し、30質量%の光吸収材料液101を調製した。
CHNHIとPbIのモル比を表1に示すように変更した以外は光吸収材料液101と同様にして、光吸収材料液102〜104を調製した。
(2)光吸収材料液105の調製
ホルムアミジン酢酸塩と、ホルムアミジン酢酸塩に対して2当量のヨウ化水素を含む57質量%のヨウ化水素の水溶液とを、フラスコ中、0℃で1時間攪拌した。次いで、得られた溶液を50℃に昇温し、さらに1時間攪拌し、混合した。得られた溶液を濃縮して、ホルムアミジン・ヨウ化水素塩(HC(=NH)NHI)の粗体を得た。得られた粗体をジエチルエーテルで再結晶し、析出した結晶をろ取し、50℃で10時間減圧乾燥して、精製ホルムアミジン・ヨウ化水素塩を得た。
次いで、精製ホルムアミジン・ヨウ化水素塩とPbIをモル比で0.5:1とし、ジメチルホルムアミド(DMF)中、70℃で12時間攪拌して混合した後室温に戻し、30質量%の光吸収材料液105を調製した。
2.比較用光吸収材料液c01〜c03の調製
CHNHIとPbIのモル比を表1に示すように変更した以外は光吸収材料液101と同様にして、比較用光吸収材料液c01〜c03を調製した。
[光吸収材料液の経時安定性評価]
光吸収材料液を調製後25℃で静置し、析出物が生じるまでの時間を測定し、下記の評価基準で経時安定性を評価した。光吸収材料液を光電変換素子等に用いる場合、光吸収材料液の経時安定性は、AおよびBであることが好ましい。
A:72時間以上析出物が観察されない
B:48時間以上、72時間未満析出物が観察されない
C:48時間未満で析出物が観察された
実施例2−1
実施例1で調製した光吸収材料液101〜105及びc01〜c03を用いて、下記の方法により光吸収剤塗布膜を形成した。
<下地層用溶液の調製>
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−ブタノールで希釈して、0.02Mの下地層用溶液を調製した。
<下地層の形成>
調製した0.02Mの下地層用溶液を用いて、スプレー熱分解法によりガラス基板上に450℃で成膜し、下地層とした。
<光吸収剤塗布膜101a〜105a、c01a〜c03aの形成>
光吸収材料液101を50℃に加温したものを用いて、スピンコート法(2000rpmで60秒、続けて3000rpmで60秒)により下地層に塗布し、ホットプレートにより100℃で40分間乾燥し、光吸収剤前駆体膜101aを成膜した。
これを、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液に20秒浸漬した後、100℃で30分乾燥させ、光吸収剤塗布膜101aを得た。
光吸収材料液101を光吸収材料液102〜105、c01〜c03のいずれかに変更した以外は光吸収剤塗布膜101aと同様の方法で、光吸収剤塗布膜102a〜105a及びc01a〜c03aを作成した。なお、光吸収剤塗布膜105aは、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液にかえて、HC(=NH)NHIの1質量%イソプロパノール溶液を用いた。また、光吸収剤塗布膜c03aは、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液に浸漬する工程を行わず形成した。
[光吸収剤塗布膜の安定性評価]
得られた光吸収剤塗布膜を25℃、湿度50RH%で静置し、光吸収剤(ペロブスカイト化合物)の茶褐色が分解し、白〜黄色に退色するまでの時間を測定し、下記の評価基準で塗布膜の安定性を評価した。塗布膜は各3サンプルを用意し、その平均値で評価した。塗布膜の安定性は、AおよびBであることが好ましい。
A:光吸収剤の茶褐色が20時間以上保持された
B:光吸収剤の茶褐色が16時間以上、20時間未満保持された
C:光吸収剤の茶褐色が16時間未満で退色した
実施例2−2
実施例2−1と同様の方法で基板上に下地層を形成した。20℃に管理した25mm角の基板に対して、光吸収材料液101を60℃に加温したものを70μLずつ滴下し、スピンコート法(3000rpmで60秒)により下地層に塗布し、ホットプレートにより100℃で40分間乾燥し、光吸収剤塗布膜101bを成膜した。
光吸収材料液101を光吸収材料液102〜105、c01〜c03のいずれかに変更した以外は光吸収剤塗布膜101bと同様の方法で、光吸収剤塗布膜102b〜105b及びc01b〜c03bを作成した。なお、各光吸収材料液について、同様の塗布膜を15枚ずつ作製した。
[光吸収剤塗布膜の膜面欠陥の評価]
光吸収剤塗布膜を観察し、はじき・塗布ぬけ、凝集物の発生していた欠陥サンプルの枚数を測定し、下記の評価基準で膜面欠陥を評価した。膜面欠陥の評価は、AおよびBであることが好ましい。
A:膜面欠陥サンプルが2枚未満
B:膜面欠陥サンプルが2枚以上4枚未満
C:膜面欠陥サンプルが4枚以上
(1)はじき・塗布ぬけ
25mm角基板の中心部20mm×20mmの範囲の塗布面を、マイクロスコープ(倍率:×100)で観察し、少なくとも一辺が0.5mm以上の範囲で塗布膜が形成されていない箇所があるものを欠陥サンプルとした。
(2)凝集物
表面形状測定装置デックタックで、塗布膜上の9箇所(基盤表面上に縦横それぞれ等間隔の3本ずつの直線を引き、均等に16分割したときにできる9箇所の交点)を中心として、縦1mm、横1mmを測定した時に、Rpが10μm以上となるサンプルを欠陥サンプルとした。なお、Rpとは基準長さ(本測定では1mm)において、輪郭曲線の山高さの最大値を表す。
実施例3
実施例1で調製した光吸収材料液101〜105及びc01〜c03を用いて、以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aを製造した。
<ブロッキング層用溶液の調製>
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−ブタノールで希釈して、0.02Mのブロッキング層用溶液を調製した。
<ブロッキング層の形成>
ガラス基板(支持体11a、厚さ2.2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を形成し、導電性支持体11を作製した。調製した0.02Mのブロッキング層用溶液を用いてスプレー熱分解法により、450℃にて、上記SnO導電膜上にブロッキング層14(膜厚100nm)を形成した。
<酸化チタンペーストの調製>
酸化チタン(アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸およびテルピネオールを加えて、酸化チタンペーストを調製した。
<多孔質層12の形成>
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成した。この酸化チタンペーストの塗布および焼成をそれぞれ2回行った。焼成温度は、1回目の焼成を130℃で行い、2回目の焼成を500℃で1時間行った。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMのTiCl水溶液に浸した後、60℃で1時間加熱し、続けて500℃で30分間加熱して、TiOからなる多孔質層12(膜厚500nm)を形成した。
<感光層13の形成>
上記のようにして形成した多孔質層12の上に、感光層を以下のようにして形成し、第一電極1を作製した。
実施例1で調製した光吸収材料液101を50℃に加温したものを用いて、スピンコート法(2000rpmで60秒、続けて3000rpmで60秒)により多孔質層12の上に塗布し、ホットプレートにより100℃で40分間乾燥し、感光層前駆体膜101を成膜した。これを、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液に20秒浸漬した後、100℃で30分乾燥させ、感光層101を形成した。得られたペロブスカイト化合物はCHNHPbIであった。多孔質層12と感光層101の合計膜厚は600nmであった。
<正孔輸送材料溶液の調製>
正孔輸送材料Spiro−OMeTAD(180mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解した。このクロロベンゼン溶液に、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液(37.5μL)と、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とを加えて混合し、正孔輸送材料溶液を調製した。
<正孔輸送層3の形成>
次いで調製した正孔輸送材料溶液を、スピンコート法により、第一電極1の感光層13上に塗布し、塗布した正孔輸送材料溶液を乾燥して、正孔輸送層3(膜厚0.2μm)を形成した。
<第二電極2の作製>
蒸着法により金を正孔輸送層3上に蒸着して、第二電極2(膜厚0.2μm)を作製した。これを光電変換素子101とした。
感光層の光吸収材料液101を光吸収材料液102〜105、c01〜c03のいずれかに変更した以外は光電変換素子101と同様にして、光電変換素子102〜105及びc01〜c03を製造した。なお、光電変換素子105は、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液にかえて、HC(=NH)NHIの1質量%イソプロパノール溶液を用いた。また、光電変換素子c03は、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液に浸漬する工程を行わず形成した。
[光電変換素子の電流欠陥率の評価]
光電変換素子101〜105及びc01〜c03を各25サンプルずつ評価した。評価は、電流値の高いもの7サンプル及び低いもの7サンプルを除外し、残った11サンプルについて電流値の平均を求めた。電流値は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射し、I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定することにより測定した。この平均値に対し、電流値が70%以下のものを電流欠陥のある素子とした。電流欠陥のある素子の数に基づき、下記の評価基準で電流欠陥を評価した。電流欠陥は、AおよびBであることが好ましい。
A:電流欠陥が1サンプル以下
B:電流欠陥が2〜3サンプル
C:電流欠陥が4〜5サンプル
D:電流欠陥が6サンプル以上
実施例1〜3の結果を表1に示す。
Figure 0006385001
表1から明らかなように、本発明の製造方法により作製された光電変換素子及び光吸収剤塗布膜は、各評価項目の全てがB以上と優れていた。特に、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とのモル比が0.1:1〜0.4:1である光電変換素子及び光吸収剤塗布膜は、各項目の評価が一段と優れていた。一方、比較用の光電変換素子及び光吸収剤塗布膜は、評価CやDの項目が多く、性能が劣った。
実施例4
PbIをSnIに変え、CHNHIとSnIのモル比を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、光吸収材料液201を調製した。また、CHNHIとSnIのモル比を表2に示すように変更した以外は光吸収材料液201と同様にして、比較用光吸収材料液c04を調製した。
これらの光吸収材料液の経時安定性を実施例1と同様に評価した。
実施例5−1
実施例4で調製した光吸収材料液201及びc04を用いて、下記の方法により光吸収光吸収剤塗布膜を形成した。
<光吸収剤塗布膜201a、c04aの形成>
下地層は実施例2−1で調製したものを使用した。
光吸収材料液201を50℃に加温したものを用いて、スピンコート法(2000rpmで60秒、続けて3000rpmで60秒)により下地層に塗布し、ホットプレートにより90℃で30分間乾燥し、光吸収剤前駆体膜201aを成膜した。
これを、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液に5秒浸漬した後に、90℃で30分乾燥させ光吸収剤塗布膜201aを得た。
光吸収材料液201を光吸収材料液c04に変更した以外は光吸収剤塗布膜201aと同様の方法で、光吸収剤塗布膜c04aを作成した。光吸収剤塗布膜c04aは、CHNHIの1質量%イソプロパノール溶液に浸漬する工程を行わず形成した。
[光吸収剤塗布膜の安定性評価]
得られた光吸収剤塗布膜を25℃、湿度20RH%で静置し、光吸収剤(ペロブスカイト化合物)の黒色が分解し、白〜黄色に退色するまでの時間を測定し、下記の評価基準で塗布膜の安定性を評価した。塗布膜は各3サンプルを用意し、その平均値で評価した。塗布膜の安定性は、AおよびBであることが好ましい。
A:光吸収剤の黒色が20時間以上保持された
B:光吸収剤の黒色が16時間以上、20時間未満保持された
C:光吸収剤の黒色が16時間未満で退色した
実施例5−2
光吸収材料液101を実施例4で調製した光吸収材料液201又はc04に変更した以外は実施例2−2の光吸収剤塗布膜101bと同様の方法で、光吸収剤塗布膜201b及びc04bを作成し、実施例2−2と同様に膜面欠陥を評価した。
実施例6
感光層の光吸収材料液101を実施例4で調製した光吸収材料液201又はc04に変更した以外は実施例3の光電変換素子101と同様の方法で、光電変換素子201及びc04を製造し、実施例3と同様に電流欠陥を評価した。
実施例4〜6の結果を表2に示す。
Figure 0006385001
表2から明らかなように、本願発明の製造方法により作製された光電変換素子及び光吸収剤塗布膜は、各評価項目の全てがB以上と優れていた。一方、比較用の光電変換素子及び光吸収剤塗布膜は、評価CやDの項目が多く、性能が劣っていた。
1A、1B、1C、1D、1E 第一電極
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A、13B、13C 感光層
14 ブロッキング層
15 電子輸送層
16 正孔輸送層
2 第二電極
3A、3B 正孔輸送層
4 電子輸送層
6 外部回路(リード)
10A、10B、10C、10D、10E 光電変換素子
100A、100B、100C、100D、100E 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 電動モーター

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に感光層を形成する光電変換素子用電極の製造方法であって、
    下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とをモル比0.1:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を塗布して、光吸収材料成膜後に該式(II)で表される化合物の溶液に浸すことで前記感光層とする、光電変換素子用電極の製造方法。
    式(II):AX
    式(III):MX
    式(II)中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、Xはアニオン性原子を表す。
    式(III)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、Xはアニオン性原子を表す。
  2. 前記光吸収材料中の前記式(II)で表される化合物と前記式(III)で表される化合物とのモル比が0.1:1〜0.4:1である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記Aが下記一般式(1)で表される基である、請求項1又は2に記載の製造方法。
    式(1):R1a−NH
    式(1)中、R1aは置換基を表す。
  4. 前記R1aが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(2)で表される基である、請求項3に記載の製造方法。
    Figure 0006385001
    式(2)中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は前記式(1)のN原子との結合位置を表す。
  5. 前記Xがハロゲン原子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記MがPb原子またはSn原子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記導電性支持体と感光層との間に多孔質層を形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により得られた電極を第一電極とし、該第一電極の上に第二電極を形成する、光電変換素子の製造方法。
  9. 請求項に記載の光電変換素子を用いる、太陽電池の製造方法。
  10. 下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とをモル比0.1:1〜0.9:1で含有する光吸収材料を支持体上に塗布して、光吸収材料成膜後に該式(II)で表される化合物の溶液に浸す、光吸収剤塗布膜の製造方法。
    式(II):AX
    式(III):MX
    式(II)中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、Xはアニオン性原子を表す。
    式(III)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、Xはアニオン性原子を表す。
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