JP6566738B2 - 光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 - Google Patents

光電変換素子、太陽電池、および、光電変換素子の多孔質層の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子および太陽電池に関する。また、本発明は光電変換素子の多孔質層の形成方法に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。太陽電池は、非枯渇性の太陽エネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が期待されている。この中でも、増感剤として有機色素またはRuビピリジル錯体等を用いた色素増感太陽電池は、研究開発が盛んに進められ、光電変換効率が11%程度に到達している。
その一方で、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属ハロゲン化物を光吸収剤として用いた太陽電池が、比較的高い光電変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている(例えば非特許文献1)。この非特許文献1には、感光層中の光吸収剤が多孔質層表面に担持された素子構造が記載されている。かかる素子構造により、感光層中に存在する光吸収剤の量を高めることができ、光吸収効率が向上するとされる。
Science,2012年,vol.338,p.643−647
ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」ともいう)を光吸収剤として用いた光電変換素子は、光電変換効率の向上に一定の成果が得られている。しかし、ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子は、近年、注目されたものであり、光電変換効率以外の電池性能についてはほとんど知られていない。
光電変換素子の実用化に際しては、高い光電変換効率に加え、製造した素子間の性能のばらつきを高度に低減することが求められる。しかし、ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子は、その構造と性能のばらつきとの関係に不明な点が多く、素子間における光電変換効率のばらつきを十分に低減するには至っていない。
本発明は、ペロブスカイト化合物を含む光吸収剤を多孔質層表面に有する光電変換素子であって、光電変換効率に優れ、且つ、素子間の光電変換効率のばらつきを高度に低減することができる光電変換素子を提供することを課題とする。また本発明は、上記光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを課題とする。さらに本発明は、上記光電変換素子の製造に好適な多孔質層の形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ペロブスカイト化合物を多孔質層表面に有する光電変換素子を製造するに際し、多孔質層の形成に用いるペーストに特定の溶媒を用いることにより、あるいは多孔質層の形成に用いるペーストに特定の溶媒を用いた上で、さらにこのペーストを特定の加温プロセスにより焼成することにより、形成される多孔質層の最大山高さRpを特定のレベルまで低減し、且つ、最大谷深さRvを特定のレベルまで高めることができ、かかる多孔質層表面に、ペロブスカイト化合物を含む感光層を設けることにより、上記課題を解決できることを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記の課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
上記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
上記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
上記多孔質層表面の最大山高さRpが0.20μm以下であり、且つ、上記多孔質層表面の最大谷深さRvが−0.20μm以上である、光電変換素子。
〔2〕
上記多孔質層に含有する上記多孔質材料が酸化チタンである、〔1〕に記載の光電変換素子。
〔3〕
上記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、〔1〕または〔2〕に記載の光電変換素子。
〔4〕
上記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
〔5〕
上記Rpが0.15μm以下であり、且つ、上記Rvが−0.15μm以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔6〕
上記Rpが0.15μm以下であり、且つ、上記Rvが−0.09μm以上である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
〔8〕
光電変換素子における多孔質層の形成方法であって、
上記光電変換素子が、導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有し、
上記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
上記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
上記多孔質層の形成方法が、前記導電性支持体上に多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程と、塗布したペーストを、該ペーストに用いた溶媒のうち沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成し、最大山高さRpが0.20μm以下且つ最大谷深さRvが−0.20μm以上の表面を有する多孔質層を形成する工程とを含み、
上記ペーストの溶媒中に、沸点200℃以上の溶媒が1質量%以上含まれる、形成方法。
〔9〕
上記多孔質層に含有する前記多孔質材料が酸化チタンである、〔8〕に記載の形成方法。
〔10〕
上記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、〔8〕または〔9〕に記載の形成方法。
〔11〕
上記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、〔8〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の形成方法。
式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
〔12〕
上記ペースト中の溶媒が、沸点200℃以上の溶媒を10〜50質量%含有する、〔8〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔13〕
上記沸点200℃以上の溶媒が、沸点230℃以上の溶媒である、〔8〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔14〕
上記沸点200℃以上の溶媒が、沸点260℃以上の溶媒である、〔8〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔15〕
上記沸点200℃以上の溶媒がオリゴアルキレングリコール及びグリコールエーテルから選ばれる、〔8〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔16〕
上記導電性支持体上に上記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、40℃以上で、且つ、上記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以下の温度で、10分間以上熱し、次いで、上記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、〔8〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の形成方法。
〔17〕
上記導電性支持体上に上記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置し、次いで、上記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、〔8〕〜〔16〕のいずれか1つに記載の形成方法。
本明細書において、各式の表記は、化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各式において、部分構造を(置換)基、イオンまたは原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオンまたは原子等のほかに、上記式で表される(置換)基もしくはイオンを構成する元素団、または、元素を意味することがある。
本明細書において、化合物の表記については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。さらに、置換または無置換を明記していない基ないし化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有する基ないし化合物を含む意味である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子は、光電変換効率に優れ、且つ、素子間における光電変換効率のばらつきが高度に抑えられる。また、本発明の太陽電池は、光電変換効率に優れ、且つ、電池間の光電変換効率のばらつきが高度に抑えられる。さらに本発明の多孔質層の形成方法は、これをペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子の製造に適用することにより、素子間における光電変換効率のばらつきの少ない光電変換素子の製造が可能となる。
本発明の光電変換素子の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子の厚い感光層を有する好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子のさらに別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 実施例における多孔質層のRpとRvを測定する測定エリアの、多孔質層表面全体に対する位置関係を示す図面である。 多孔質層のRpとRvを測定する測定エリア内において、RpとRvを測定した測定ラインを示す図面である。
<<光電変換素子>>
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とを有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有し、好ましくは、第一電極と第二電極の間に設けられた正孔輸送層を有する。多孔質層、感光層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。また、光電変換素子が正孔輸送層を有する場合には、多孔質層、感光層、正孔輸送層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。
光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含んでいる。光吸収剤は、ペロブスカイト化合物と併せて、ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤を含んでいてもよい。ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素および有機色素が挙げられる。
本発明において、「多孔質層を導電性支持体上に有する」とは、導電性支持体の表面に接して多孔質層を有する態様、および、導電性支持体の表面上方に他の層を介して多孔質層を有する態様を含む意味である。
導電性支持体の表面上方に他の層を介して多孔質層を有する態様において、導電性支持体と多孔質層との間に設けられる他の層としては、例えば、ブロッキング層、電子輸送層および正孔輸送層等が挙げられる。
本発明において、多孔質層上に感光層を有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状等に設けられる態様(図1参照)、多孔質層の表面に厚く設けられる態様(図2および3参照)が挙げられる。感光層は、線状または分散状に設けられてもよいが、好ましくは膜状に設けられる。
また、導電性支持体の表面上方に他の層を介して多孔質層を有する態様としては、例えば、ブロッキング層の表面に多孔質層が設けられる態様(図1〜3参照)が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子および太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。
以下、本発明の光電変換素子の好ましい態様について説明する。
図1〜図3において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1〜図3は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。実際には、多孔質層12は微粒子が密にパックされた状態にある。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向および垂直方向に詰まり(堆積または密着して)、多孔質構造を形成している。
本明細書において、単に「光電変換素子10」という場合は、特に断らない限り、光電変換素子10A、10B、及び10Fを意味する。このことは、システム100、第一電極1についても同様である。また、単に、「感光層13」という場合は、特に断らない限り、感光層13Aおよび13Bを意味する。同様に、「正孔輸送層3」という場合は、特に断らない限り、正孔輸送層3Aおよび3Bを意味する。
本発明の光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1に示す光電変換素子10Aが挙げられる。図1に示されるシステム100Aは、光電変換素子10Aを外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aと第二電極2の間に、後述する正孔輸送材料を含む正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11aおよび透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、多孔質層12上に感光層13Aとを有している。また透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成される。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離および電荷移動効率が向上すると推測される。
図2に示す光電変換素子10Bは、図1に示す光電変換素子10Aの感光層13Aを厚く設けた好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Bにおいて、正孔輸送層3Bは薄く設けられている。光電変換素子10Bは、図1で示した光電変換素子10Aに対して感光層13Bおよび正孔輸送層3Bの膜厚(層厚)の点で異なるが、これらの点以外は光電変換素子10Aと同様に構成されている。
図3に示す光電変換素子10Fは、本発明の光電変換素子のさらにまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Fは、図2に示す光電変換素子10Bに対して正孔輸送層3Bを設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。
本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として、機能する。
すなわち、光電変換素子10Aにおいて、導電性支持体11を透過して、または第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となる。
光電変換素子10A、10B、および10Fにおいては、光吸収剤から放出された電子は、光吸収剤間を移動して導電性支持体11に到達する。このとき、エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となっている。導電性支持体11に到達した電子が外部回路6で仕事をした後、第二電極2を経て(正孔輸送層3がある場合にはさらに正孔輸送層3を経由して)、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
本発明の光電変換素子10においては、光吸収剤間を電子が移動する電子伝導が起こる。したがって、多孔質層12を設ける本発明の光電変換素子10では、多孔質層12は従来の半導体以外に絶縁体で形成することができる。多孔質層12が半導体で形成される場合、多孔質層12の半導体微粒子内部や半導体微粒子間を電子が移動する電子伝導も起こる。一方、多孔質層12が絶縁体で形成される場合、多孔質層12での電子伝導は起こらない。多孔質層12が絶縁体で形成される場合、絶縁体微粒子に酸化アルミニウム(Al)の微粒子を用いると、比較的高い起電力(Voc)が得られる。
なお、上記他の層としてのブロッキング層14が導体または半導体により形成された場合もブロッキング層14での電子伝導が起こる。
また、電子輸送層15でも、電子伝導が起こる。
本発明の光電変換素子および太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子または太陽電池に用いられる材料および各部材は、光吸収剤および多孔質層を除いて、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子または太陽電池について、例えば、非特許文献1を参照することができる。また、色素増感太陽電池について、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、本発明の光電変換素子および太陽電池の主たる部材および化合物の好ましい態様について、説明する。
<第一電極1>
第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜3に示されるように、感光層13および多孔質層12に加え、短絡防止の点でブロッキング層14を有することが好ましい。
− 導電性支持体11 −
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、または、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aとこの支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
なかでも、図1〜図3に示されるように、ガラスまたはプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11がさらに好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
支持体11aおよび導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体11または支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11または支持体11aの表面に、特開2003−123859号公報に記載の、高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
− ブロッキング層14 −
本発明においては、光電変換素子10A、10B、および10Fのように、好ましくは、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12との間に、ブロッキング層14を有している。
光電変換素子および太陽電池において、例えば感光層13または正孔輸送層3と、透明電極11bとが電気的に接続すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
ブロッキング層14を形成する材料は、上記機能を果たすことのできる材料であれば特に限定されないが、可視光を透過する物質であって、導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質であることが好ましい。「導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質」とは、具体的には、伝導帯のエネルギー準位が、導電性支持体11を形成する材料(透明電極11bを形成する金属酸化物)の伝導帯のエネルギー準位以上であり、かつ、多孔質層12を構成する材料の伝導帯や光吸収剤の基底状態のエネルギー準位より低い化合物(n型半導体化合物)をいう。
ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化亜鉛等も挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が好ましい。
本発明において、「ブロッキング層」は、その膜厚が150nm以下である。したがって、本発明において「ブロッキング層」は、膜厚が150nmを超える、後述する「多孔質層」とは、膜厚の点において明確に異なる。
ブロッキング層14の膜厚は、0.001〜150nmが好ましく、0.005〜130nmがさらに好ましく、0.01〜100nmが特に好ましい。
本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
− 多孔質層12 −
本発明において、光電変換素子10は、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合、多孔質層12はブロッキング層14上に形成されることが好ましい。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12は、多孔質層12を形成する材料の微粒子が堆積または密着してなる、細孔を有する微粒子層であることが好ましい。多孔質層12は、2種以上の多微粒子が堆積してなる微粒子層であってもよい。多孔質層12が細孔を有する微粒子層であると、光吸収剤の担持量(吸着量)を増量できる。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質層12を形成する材料(多孔質材料)は、導電性に関しては特に限定されず、絶縁体(絶縁性の材料)であっても、導電性の材料または半導体(半導電性の材料)であってもよい。
多孔質材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(後述する光吸収剤を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、またはカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤおよびカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、特に限定されないが、好ましくは、チタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、アルミニウムまたはタンタルの各酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。金属のカルコゲニドの結晶構造として、アナターゼ型、ブルッカイト型またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、特に限定されないが、遷移金属酸化物等が挙げられる。例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、スズ酸バリウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ストロンチウム、タンタル酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、鉄酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウムランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸ビスマスが挙げられる。なかでも、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が好ましい。
カーボンナノチューブは、炭素膜(グラフェンシート)を筒状に丸めた形状を有する。カーボンナノチューブは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に分類される。多孔質層12としては、いずれのカーボンナノチューブも特に限定されず、用いることができる。
多孔質材料は、なかでも、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウムもしくはケイ素の酸化物、またはカーボンナノチューブが好ましく、酸化チタンまたは酸化アルミニウムがさらに好ましい。
多孔質層12は、上述の、金属のカルコゲニド、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、ケイ素の酸化物およびカーボンナノチューブのうち少なくとも1種で形成されていればよく、複数種で形成されていてもよい。
本発明において「多孔質層」は、その膜厚が150nmを超えるものである。多孔質層12の膜厚は、160nm〜100μmであることが好ましく、200nm〜50μmであることがより好ましい。また、太陽電池として用いる場合は、多孔質層の膜厚は200nm〜30μmがより好ましい。
多孔質層12の膜厚は、光電変換素子10の断面において、導電性支持体11の表面に対して90°の角度で交わる直線方向に沿う、多孔質層12が形成されている下層表面から多孔質層12の表面までの平均距離で規定される。ここで、「多孔質層12が形成されている下層表面」は、導電性支持体11と多孔質層12との界面を意味する。導電性支持体11と多孔質層12との間にブロッキング層14等の他の層が成膜されている場合には、この他の層と多孔質層12との界面を意味する。また、「多孔質層12の表面」は、導電性支持体11の表面に対して90°の角度で交わる仮想直線上における、最も第二電極2側に位置する多孔質層12の点(仮想直線と多孔質層12の輪郭線との交点)をいう。上記「平均距離」は次のように求める。
光電変換素子10を、基板平面に対し垂直に切断し、その断面の、導電性支持体11の表面に対して水平(平行)な方向(図1〜図3において左右方向)における端から端までの距離を「L」とした時、一方の端からL×1/12の位置、L×2/12の位置、L×3/12の位置、・・・L×11/12の位置をそれぞれ測定中心1)〜11)とする。各測定中心から左右に1μmずつ、計2μmの範囲において、計11箇所の測定範囲それぞれで、下層表面から多孔質層12の表面までの最小距離を求める。得られた11個の最小距離値について、値の大きなものから(最小距離の長いものから)順に1番から11番まで序列をつけ、序列が4、5および6番目となる3か所の測定範囲における、3つの最小距離値の平均値を算出し、上記平均距離とする。多孔質層12の膜厚は、光電変換素子10の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、測定される。
なお、特に言及しない限り、ブロッキング層等の他の層の膜厚についても同様にして測定される。
本発明において、多孔質層12の表面(感光層側表面)の最大山高さRpは0.20μm以下であり、0.15μm以下であることが好ましい。また、多孔質層12の表面(感光層側表面)の最大谷深さRvは−0.20μm以上であり、−0.15μm以上であることが好ましく、−0.09μm以上であることがより好ましい。多孔質層12のRpを0.20μm以下とし、且つ、Rvを−0.20μm以上とすることにより、素子間の光電変換効率のばらつきを効果的に低減することができる。その理由は定かではないが、かかる多孔質層の構造によって第二電極2あるいは正孔輸送層3等と光吸収剤との接触を、より確実に抑制でき、逆電子移動等により性能の低下が低減されることが一因と推定される。
多孔質層12のRpの下限値に制限はなく、小さい程好ましいのであるが、通常はRpが0.01μm以上となる。また、多孔質層12のRvの上限値に制限はなく、大きい程好ましいのであるが、通常はRvが0.01μm以下となる。
RpおよびRvは、JIS B0601 2001記載された表面粗さの指標であり、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。すなわち、Rpについては、多孔質層12表面において、0.9mm×1.2mmの矩形のエリアを無作為に5箇所選択し、各エリア内において、図5に示す6つの測定ラインのRpを測定する。得られた、測定ライン30本(6本×5エリア)のRpの平均値を算出し、この平均値を本発明で規定する、多孔質層12表面のRpとする。
また、Rvについては、多孔質層12表面において、0.9mm×1.2mmの矩形のエリアを無作為に5箇所選択し、各エリア内において、図5に示す6つの測定ラインのRvを測定する。得られた、測定ライン30本(6本×5エリア)のRvの平均値を算出し、この平均値を本発明で規定する、多孔質層12表面のRvとする。
なお、Rpの理論上の最小値は0であり、Rvの理論上の最大値も0である。
Rpが0.20μm以下、且つ、Rvが−0.20以上の多孔質層の形成方法については後述する。
− 感光層(光吸収層)13 −
感光層13は、好ましくは、後述するペロブスカイト化合物が、光吸収剤として多孔質層12の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の内表面を含む。)に設けられる。
本発明において、光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、2種以上のペロブスカイト化合物を含有してもよい。
感光層13は、単層であっても2層以上の積層であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、各感光層には、互いに異なった光吸収剤を用いてもよく、また感光層と感光層の間に正孔輸送材料を含む中間層を設けてもよい。
感光層13の膜厚は特に限定されず、目的に応じて適宜に調節される。例えば、感光層13の膜厚は、多孔質層12の膜厚との合計膜厚として170nm〜100μmが好ましく、200nm〜50μmがさらに好ましく、200nm〜30μmが特に好ましい。
本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13B)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
〔感光層の光吸収剤〕
感光層13は、光吸収剤として、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト化合物を含む。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)またはセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
上記有機カチオンは、下記式(1)で表される有機カチオンであることが好ましい。
式(1):R1a−NH
式中、R1aは置換基を表す。R1aは、有機基であれば特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(2)で表すことができる基が好ましい。なかでも、アルキル基、下記式(2)で表すことができる基がより好ましい。
Figure 0006566738
式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1)の窒素原子との結合を表す。
本発明において、上記有機カチオンは、上記式(1)の有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含んでもよい。例えば、上記式(2)で表すことができる基においてXがNH(R1cが水素原子)である有機カチオンは、上記式(2)で表すことができる基とNH とが結合してなる有機アンモニウムカチオンに加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンをも包含する。アミジニウムカチオン性有機基からなる有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(Aam)で表されるカチオンが挙げられる。本明細書において、下記式(Aam)で表されるカチオンを便宜上、「R1bC(=NH)−NH 」と表記することがある。
Figure 0006566738
1aとして採り得るアルキル基は、炭素数が1〜18のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましく、1〜3のアルキル基がさらに好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはデシル等が挙げられる。
1aとして採り得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
1aとして採り得るアルケニル基は、炭素数が2〜18のアルケニル基が好ましく、2〜6のアルケニル基がより好ましい。例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはヘキセニル等が挙げられる。
1aとして採り得るアルキニル基は、炭素数が2〜18のアルキニル基が好ましく、2〜4のアルキニル基がより好ましい。例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
1aとして採り得るアリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、例えば、フェニルが挙げられる。
1aとして採り得るヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香環、脂肪族環やヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環および5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
式(2)で表すことができる基において、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表し、NR1cが好ましい。ここで、R1cは、水素原子または置換基を表し、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
1bは、水素原子または置換基を表し、水素原子が好ましい。R1bが採り得る置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基が挙げられる。
1bおよびR1cがそれぞれ採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、それぞれ上記R1aが採り得るアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。
1aが採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基および上記式(2)で表すことができる基は、いずれも、置換基を有していてもよい。R1aが有していてもよい置換基Wとしては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはカルボキシ基が挙げられる。R1aが有していてもよい各置換基は、さらに置換基を有していてもよい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、その結晶構造中に、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを有する。周期表第一族元素以外の金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)等の金属原子が挙げられ、なかでも、Pb原子またはSn原子が特に好ましい。本発明に用いるペロブスカイト化合物は、その結晶構造中に周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを1種有してもよく、2種以上の有してもよい。周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを2種以上有する場合には、Pb原子およびSn原子の2種を有することが好ましい。ペロブスカイト化合物が周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを2種以上有する場合、これら2種以上のカチオンの存在比率は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物を構成するアニオンは、単原子アニオンであってもよく、多原子アニオンでもよい。単原子アニオンとしてはハロゲン原子のアニオンが挙げられる。また、多原子アニオンの好ましい例としては、NCS、NCOおよびCOOが挙げられる。なかでも、ペロブスカイト化合物を構成するアニオンはハロゲン原子のアニオンであることが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、臭素原子またはヨウ素原子が好ましい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物を構成するアニオンは、1種のアニオンであってもよく、2種以上のアニオンであってもよい。ペロブスカイト化合物を構成するアニオンが1種の場合、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。また、ペロブスカイト化合物を構成するアニオンが2種以上の場合、2種以上のハロゲン原子のアニオンを有する形態が好ましく、なかでも塩素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンの2種を有する形態がより好ましい。ペロブスカイト化合物が2種以上のアニオンを有する場合、その割合に特に制限はない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記の各構成イオンを有するペロブスカイト型結晶構造を有する。本発明に用いるペロブスカイト化合物は下記式(I)で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
本明細書において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンとして存在する有機基を意味し、アニオン性原子とは、ペロブスカイト型結晶構造において単原子アニオンとして存在する原子を意味し、アニオン性原子群とは、ペロブスカイト型結晶構造において多原子アニオンとして存在する原子群を意味する。
式(I)において、周期表第一族元素Aは、ペロブスカイト型結晶構造中においてカチオンとして存在する。
式(I)において、カチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造中において上述した有機カチオンとして存在する。
式(I)において、金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンとして存在している。
式(I)において、アニオン性原子Xは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した単原子アニオンとして存在する。
式(I)において、アニオン性原子群Xは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した多原子アニオンとして存在する。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記式(I)中のaが1のペロブスカイト化合物と、aが2のペロブスカイト化合物の混合物であってもよい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物の具体例として、例えば、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHPbI、CHNHPbBrI、CHNHPbBrI、CHNHSnBr、CHNHSnI、CH(=NH)NHPbI
(CNHPbI、(CH=CHNHPbI、(CH≡CNHPbI、(n−CNHPbI、(n−CNHPbI、(C1021NHPbI、(CNHPbI、(CCHCHNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CSNHPbI、(CNHGeI4、(CHNHCuCl、(CHCHNHFeBrが挙げられる。ここで、(CSNHPbIにおけるCSNHはアミノチオフェンである。
ペロブスカイト化合物は、MXとAXとから合成することができる。例えば、上記非特許文献1を参照してペロブスカイト化合物を合成することができる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),6050−6051も適宜に参照し、ペロブスカイト化合物を合成することができる。
光吸収剤の使用量は、多孔質層12の表面のうち光が入射する表面の少なくとも一部であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
感光層13中、ペロブスカイト化合物の含有量は、通常は1〜100質量%である。
<正孔輸送層3>
本発明の光電変換素子は、第一電極と第二電極との間に正孔輸送層3を有することが好ましい。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層である。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられる。
正孔輸送層3を形成する正孔輸送材料は、特に限定されないが、CuI、CuNCS等の無機材料、および、特開2001−291534号公報の段落番号0209〜0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。有機正孔輸送材料としては、好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子、2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心原子を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン化合物、トリフェニレン化合物、含窒素複素環化合物または液晶性シアノ化合物が挙げられる。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンゾアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されないが、50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、5nm〜5μmがさらに好ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。
本発明において、多孔質層12と感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されないが、例えば、180nm〜200μmが好ましく、200nm〜50μmがより好ましく、250nm〜5μmがさらに好ましい。
<第二電極2>
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2を形成する材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック等が挙げられる。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、または、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが好ましい。
第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜1μmが特に好ましい。
<その他の構成>
本発明では、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14等に代えて、または、ブロッキング層14等とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
<<太陽電池>>
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて構成される。例えば図1〜図5に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)および第二電極2に接続される外部回路は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明は、例えば、非特許文献1、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051およびScience,338,p.643(2012)に記載の各太陽電池に適用することができる。
本発明の太陽電池は、構成物の劣化および蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
<<光電変換素子および太陽電池の製造方法>>
本発明の光電変換素子および太陽電池は、多孔質層12の形成以外は、公知の製造方法、例えば非特許文献1等に記載の方法に準拠して、製造できる。
以下に、本発明の光電変換素子および太陽電池の製造方法を簡単に説明する。
導電性支持体11の表面に、所望により、ブロッキング層14を形成する。
ブロッキング層14は、例えば、上記絶縁性物質またはその前駆体化合物等を含有する分散物を導電性支持体11の表面に塗布し、焼成する方法またはスプレー熱分解法等によって、形成できる。
多孔質層12を形成する多孔質材料は、好ましくは微粒子である。
多孔質層12の形成には、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)を参照することができるが、形成した多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内とするために、沸点200℃以上の溶媒を含む媒体中に、多孔質材料を分散させてペーストを得、このペーストを導電性支持体11、あるいは導電性支持体11上に設けられたブロッキング層14、電子輸送層15または正孔輸送層16上に塗布し、焼成することにより得ることが好ましい。
なお、本発明において、「ペーストを導電性支持体11上に塗布する」とは、ペーストを導電性支持体11上に直接塗布する態様の他、導電性支持体11上に設けられたブロッキング層14上にペーストを塗布する態様を包含する意味に用いる。
多孔質材料を分散してなるペースト中、多孔質材料の含有量は、1〜99質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましい。
多孔質材料を分散してなるペーストの溶媒中、上記の沸点200℃以上の溶媒の割合は1質量%以上が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。多孔質材料を分散してなるペーストの溶媒中、上記の沸点200℃以上の溶媒を除いた残部は、沸点150℃未満の溶媒であることが好ましく、沸点120℃未満の溶媒であることがより好ましく、沸点100℃未満の溶媒であることがさらに好ましい。沸点200℃以上の溶媒を除いた残部を構成する溶媒の沸点は、通常は30℃以上であり、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。
また、多孔質材料を分散してなるペーストの溶媒はすべて有機溶媒が好ましい。
多孔質材料を分散してなるペーストを上記の構成とすることにより、多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内へと調節することができる。その理由は定かではないが、沸点200℃以上の溶媒を含むことにより、焼成した際にも溶媒が完全に揮発するまでに一定の時間を要し、その間に多孔質材料の分散ムラや、ペーストの塗布ムラがある程度是正されることが一因と推定される。一方、沸点200℃以上の溶媒の割合が多すぎると、溶媒中において多孔質材料が長時間高温に曝され、溶媒中において多孔質材料同士の凝集反応等が生じ、RpおよびRvを本発明の規定内とすることが難しくなる傾向がある。
多孔質材料を分散してなるペーストの溶媒中に存在する沸点200℃未満の溶媒としては、アルコール(好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノールおよびペンタノールから選ばれる1種または2種以上)、エステル(好ましくは酢酸メチルおよび酢酸エチルから選ばれる1種または2種)、ケトン(好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびシクロペンタノンから選ばれる1種または2種以上)、エーテル(好ましくはジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランから選ばれる1種または2種)、炭化水素(置換炭化水素を含む。好ましくはヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼンおよびトルエンから選ばれる1種または2種以上)、およびニトリル(好ましくはアセトニトリル)から選ばれる1種または2種以上が挙げられ、なかでもエタノール、プロパノール、およびアセトニトリルから選ばれる1種または2種以上が好ましい。
上記沸点200℃以上の溶媒は、沸点が230℃以上であることが好ましく、260℃以上であることが好ましい。また、上記沸点200℃以上の溶媒は、沸点が400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下がより好ましい。
また、沸点200℃以上の溶媒は1種でもよいし2種以上を用いてもよい。上記の沸点200℃以上の溶媒は、沸点が200℃以上であれば特に制限はなく、例えば、オリゴアルキレングリコール(好ましくは炭素数2〜10のオリゴアルキレングリコール、具体例としては、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラエチレングリコールから選ばれる1種または2種以上)、グリコールエーテル(好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルおよびテトラエチレングリコールジブチルエーテルから選ばれる1種または2種以上)、アルコール(好ましくはαテルピネオールおよびデカノールから選ばれる1種または2種)、アミド(好ましくはN−メチルピロリドン)、およびラクトン(好ましくはγ−ブチロラクトン)から選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。なかでもRpをより小さくし、Rvをより高める観点から、オリゴアルキレングリコールおよびグリコールエーテルから選ばれる1種または2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
また、多孔質材料のペーストは、塗布後、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成することにより多孔質層12を形成することができる。形成される多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内へとより確実に調整するために、多孔質材料を含むペーストを塗布後、40℃以上で、且つ、ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点(H℃)以下の温度(H℃)で、上記ペーストを10分間以上熱し、次いで、沸点H℃以上の温度(H℃)で焼成することが好ましい。上記H℃は、上記H℃よりも10〜200℃低い温度が好ましく、上記H℃よりも20〜150℃低い温度がより好ましく、上記H℃よりも40〜120℃低い温度がさらに好ましい。H℃で10分間以上静置することにより、塗膜が平滑となり、形成される多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内へと調節できると考えられる。
また、H℃で熱する時間は、10〜60分間が好ましく、15〜30分間がより好ましい。
また、上記Hは上記H℃よりも50〜600℃高い温度が好ましく、上記H℃よりも100〜300℃高い温度がより好ましい。また、H℃において焼成する時間は、10分〜10時間が好ましく、30分〜5時間がより好ましい。
また、形成される多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内へとより確実に調整するために、ペーストを塗布後、有機溶媒雰囲気下で10分以上静置し、次いで、上記H℃で焼成することも好ましい。上記「有機溶媒雰囲気下」は、アルコール(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノールから選ばれる1種または2種以上)、エステル(好ましくは酢酸メチルおよび酢酸エチルから選ばれる1種または2種)、ケトン(好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびシクロペンタノンから選ばれる1種または2種以上)、エーテル(好ましくはジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランから選ばれる1種または2種)、炭化水素(好ましくはヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼンおよびトルエンから選ばれる1種または2種以上)、およびニトリル(好ましくはアセトニトリル)から選ばれる1種または2種以上の有機溶媒の雰囲気下であることが好ましく、ペーストに用いた溶媒のうち、沸点が200℃未満の低沸点溶媒の雰囲気下であることがより好ましい。
上記の有機溶媒雰囲気下における10分間以上の静置は、温度20〜200℃で実施することが好ましい。また、有機溶媒雰囲気下において静置する時間は、10〜120分間が好ましく、15〜30分間がより好ましい。
ペーストを塗布後、焼成前に有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置することにより、塗膜をより平滑にすることができ、形成される多孔質層12のRpおよびRvを本発明の規定内へと調節できると考えられる。
有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置は、例えば、有機溶媒を浸み込ませた脱脂綿等を敷いた容器内にペーストを塗布した基板を静置することで行うことができる。
また、上記焼成時間は10分〜10時間が好ましく、15分〜5時間がより好ましい。
上記H℃における焼成により、多孔質層12が形成される。また、この多孔質層12は、さらに透明導電膜表面、または透明導電膜表面に形成したブロッキング層の隙間を埋め、逆電流を防止する効果を高める目的のために、例えば金属アルコキシド(好ましくはチタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、アルミニウムトリイソプロポキシドおよびジエトキシ亜鉛から選ばれる1種または2種以上)、金属水酸化物(好ましく亜テトラヒドロキシチタンおよびヒドロキシ亜鉛から選ばれる1種または2種)、金属ハロゲン化物(好ましくは四塩化チタンおよび塩化亜鉛から選ばれる1種または2種)等の溶液に浸し、再度焼成してもよい(再焼成工程)。つまり、本発明において、多孔質層が「ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成することにより形成された」とは、この焼成の後に、上記再焼成工程を実施する形態を含む意味である。
多孔質層12を形成するときの、多孔質材料の塗布量は、多孔質層12の膜厚(150nm超)および塗布回数等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。導電性支持体11の表面積1m当たりの、多孔質材料の塗布量は、例えば、0.5〜500gが好ましく、さらには5〜100gが好ましい。
電子輸送層15または正孔輸送層16を設ける場合、それぞれ、後述する正孔輸送層3または電子輸送層4と同様にして、形成することができる。
次いで、感光層13を設ける。
まず、感光層13を形成するための光吸収剤溶液を調製する。光吸収剤溶液は、上記ペロブスカイト化合物の原料であるMXとAXとを含有する。ここで、A、MおよびXは上記式(I)のA、MおよびXと同義である。この光吸収剤溶液において、MXとAXとのモル比は目的に応じて適宜に調整される。光吸収剤としてペロブスカイト化合物を形成する場合、AXとMXとのモル比は、1:1〜10:1であることが好ましい。
次いで、調製した光吸収剤溶液を、多孔質層12の表面に塗布し、乾燥する。これにより、ペロブスカイト化合物が多孔質層12の表面に形成される。上記乾燥は熱による乾燥が好ましく、通常は、20〜300℃、好ましくは50〜170℃に加熱することで乾燥させる。
このようにして設けられた感光層13上に、好ましくは、正孔輸送層3または電子輸送層4を形成する。
正孔輸送層3は、正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点、および多孔質層12を有しかつ空隙がある場合は多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.01〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
電子輸送層4は、電子輸送材料を含有する電子輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。
正孔輸送層3または電子輸送層4を形成した後に、第二電極2を形成して、光電変換素子および太陽電池が製造される。
各層の膜厚は、各分散液または溶液の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調整できる。例えば、膜厚が厚い感光層13Bを設ける場合には、光吸収剤溶液を複数回塗布、乾燥すればよい。
上述の各分散液および溶液は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
光電変換素子および太陽電池の製造方法に使用する溶媒または分散媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特にこれに限定されない。本発明においては、有機溶媒が好ましく、さらに、アルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、ハロゲン溶媒および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはジメチルアセトアミド、または、これらの混合溶媒が好ましい。
各層を形成する溶液または分散剤の塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷、浸漬法等が好ましい。
上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1および第二電極2に外部回路6を接続して、太陽電池として用いることができる。
以下に実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例、比較例
[光電変換素子の製造]
以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aを製造した。なお、感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示される光電変換素子10Bに対応することになる。
<導電性支持体11の作製>
ガラス基板(支持体11a、縦×横×厚さ=25mm×25mm×2.2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を形成し、導電性支持体11を作製した。
<ブロッキング層用溶液の調製>
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−ブタノールで希釈して、0.02Mのブロッキング層用溶液を調製した。
<ブロッキング層14の形成>
調製した0.02Mのブロッキング層用溶液を用いてスプレー熱分解法により、450℃にて、導電性支持体11のSnO導電膜上に酸化チタンからなるブロッキング層14(膜厚50nm)を形成した。
<酸化チタンペーストの調製>
酸化チタン(アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール(溶媒(a))分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸および下表に示す溶媒(b)を、溶媒(a)と溶媒(b)の質量比が下表に示す比となるように加え、酸化チタンペーストを調製した。
<多孔質層12の形成>
下表に示す比較例1及び2並びに実施例1〜11における多孔質層12の形成方法を以下に示す。
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスピンコート法で塗布し、空気中、室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で加温した後、500℃で1時間焼成した。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMの四塩化チタン(TiCl)水溶液に浸し、次いで60℃で1時間加熱し、さらに500℃で30分間加熱して、酸化チタン(TiO)からなる多孔質層(膜厚300nm)を形成した。
下表に示す実施例12における多孔質層12の形成方法を以下に示す。
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスピンコート法で塗布し、空気中、室温から10℃/分の昇温速度で加温し、150℃に到達した時点で、150℃のまま10分間維持した。その後、10℃/分の昇温速度で500℃まで加温し、500℃で1時間焼成した。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMの四塩化チタン(TiCl)水溶液に浸し、次いで60℃で1時間加熱し、さらに500℃で30分間加熱して、酸化チタン(TiO)からなる多孔質層(膜厚300nm)を形成した。
下表に示す実施例13における多孔質層12の形成方法を以下に示す。
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスピンコート法で塗布し、底面にエタノールを浸み込ませた脱脂綿を敷いたプラスチック容器に入れ、60℃に加温したホットプレート上で15分間静置した。その後、空気中、室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で加温した後、500℃で1時間焼成した。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMの四塩化チタン(TiCl)水溶液に浸し、次いで60℃で1時間加熱し、さらに500℃で30分間加熱して、酸化チタン(TiO)からなる多孔質層(膜厚300nm)を形成した。
<感光層13Aの形成>
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と、57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHNHIの粗体を得た。得られたCHNHIの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で24時間減圧乾燥して、精製CHNHIを得た。
次いで、精製CHNHIとPbIを、モル比で2:1とし、γ−ブチロラクトン中、60℃で12時間攪拌して混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Aを調製した。
調製した光吸収剤溶液Aをスピンコート法(2000rpmで60秒、続けて3000rpmで60秒)により多孔質層12の上に塗布し、塗布した光吸収剤溶液Aをホットプレートにより100℃で40分間乾燥して、ペロブスカイト化合物を有する感光層13Aとしての感光層A(膜厚350nm(多孔質層12の膜厚300nmを含む))を形成した。得られたペロブスカイト化合物はCHNHPbIであった。
このようにして、第一電極1を作製した。
<正孔輸送材料溶液の調製>
正孔輸送材料としてのSpiro−OMeTAD(180mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させた。このクロロベンゼン溶液に、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液(37.5μL)と、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とを加えて混合し、正孔輸送材料溶液を調製した。
<正孔輸送層3の形成>
次いで、正孔輸送材料溶液を、スピンコート法により、第一電極1の感光層13上に塗布し、塗布した正孔輸送材料溶液を乾燥して、正孔輸送層3(膜厚0.5μm)を形成した。
<第二電極2の作製>
蒸着法により金を正孔輸送層3上に蒸着して、第二電極2(膜厚0.3μm)を作製した。
このようにして、比較例1及び2並びに実施例1〜13の光電変換素子10を製造した。
[多孔質層12表面の最大山高さRp及び最大谷深さRvの測定]
ブロッキング層上に、上述の通り多孔質層12を形成した後(感光層形成前)の試料を用いて、多孔質層12表面(感光層が形成される側の表面)のRpおよびRvを以下のように測定した。
<RpおよびRvの測定方法>
図4に示すように5箇所の測定エリア(1.2mm×0.9mm)内において、図5に示すように、ガラス基板の縦軸及び横軸に沿って6つの直線上(破線a1−a2、破線b1−b2、破線c1−c2、破線d1−d2、破線e1−e2、破線f1−f2で示される直線上)のRpおよびRvを、白色光干渉計(Wyko、日本ビーコ株式会社製)を用いて測定した。得られたRpの測定値30個(6ライン×5箇所)の平均値を多孔質層12のRpとした。同様に、得られたRvの測定値30個の平均値を多孔質層12のRvとした。
なお、図4中の数値の単位は「mm」である。例えば、図4記載の左上の測定エリアは、その中心が、基板の図6における左端から8mm、基板の図6における上端から8mmの位置にあることを意味する。また図6記載の中央の測定エリアの中心は、基板の中心と同じである。
また、図5中の数値の単位も「mm」である。
図4に示す5箇所の測定エリアは、無作為に選んだ5箇所の測定エリアと等価である。無作為に選んだ5箇所の測定エリアにより決定されるRpおよびRvは、多孔質層12の表面全体のRpおよびRvと同視できる。
[光電変換効率のばらつきの評価]
<初期の光電変換効率の測定>
光電変換効率を以下のようにして評価した。
上記各比較例及び実施例の光電変換素子をそれぞれ10検体作製し、電池特性試験を行って、光電変換効率(η/%)を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「WXS−85H」(WACOM社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)を求めた。
各比較例、実施例毎に、10検体の光電変換効率のばらつきを、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
ここで、下表に記載された各比較例および実施例における多孔質層のRpは、10検体のうち最も高かったRp値であり、Rv値は、10検体のうち最も低かったRv値である。つまり、各比較例および実施例において、10検体の多孔質層のRp値はすべて、表中のRp値以下であり、また、10検体の多孔質層のRv値はすべて、表中のRv値以上であった。
また、各実施例および比較例において、光電変換効率の平均値は7%以上であり、高い光電変換効率を示した。
(ばらつきの評価基準)
A:10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.5](%)以上[Av+0.5](%)以下を満たす。
B:上記Aを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.6](%)以上[Av+0.6](%)以下を満たす。
C:上記Bを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.8](%)以上[Av+0.8](%)以下を満たす。
D:上記Cを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−1.1](%)以上[Av+1.1](%)以下を満たす。
E:10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体の光電変換効率(%)のうち少なくとも1つが、[Av−1.1](%)未満であるか、または[Av+1.1](%)超である。
Figure 0006566738
表1に示されるように、多孔質層のRpおよびRvの両指標を本発明の規定内とした光電変換素子は、光電変換効率に優れ、且つ、素子間(10検体間)における光電変換効率のばらつきを高度に低減できることがわかった。
1A、1B、1F 第一電極
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A、13B 感光層
14 ブロッキング層
2 第二電極
3A、3B 正孔輸送層
4 電子輸送層
6 外部回路(リード)
10A、10B、10F 光電変換素子
100A、100B、100F 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 電動モーター

Claims (17)

  1. 導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
    前記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
    前記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、該多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
    前記多孔質層表面の最大山高さRpが0.20μm以下であり、且つ、前記多孔質層表面の最大谷深さRvが−0.20μm以上である、光電変換素子。
  2. 前記多孔質層に含有する前記多孔質材料が酸化チタンである、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    式(I)
    式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
    aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
  5. 前記Rpが0.15μm以下であり、且つ、前記Rvが−0.15μm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記Rpが0.15μm以下であり、且つ、前記Rvが−0.09μm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
  8. 光電変換素子における多孔質層の形成方法であって、
    前記光電変換素子が、導電性支持体上に、多孔質層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有し、
    前記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
    前記多孔質層が、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群より選択される多孔質材料であって、該多孔質層の膜厚が160nm〜100μmであり、
    前記多孔質層の形成方法が、前記導電性支持体上に多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程と、塗布したペーストを、該ペーストに用いた溶媒のうち沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成し、最大山高さRpが0.20μm以下且つ最大谷深さRvが−0.20μm以上の表面を有する多孔質層を形成する工程とを含み、
    前記ペーストの溶媒中に、沸点200℃以上の溶媒が1質量%以上含まれる、形成方法。
  9. 前記多孔質層に含有する前記多孔質材料が酸化チタンである、請求項8に記載の形成方法。
  10. 前記多孔質材料の、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径における、1次粒径が0.001μm〜1μmである、請求項8または9に記載の形成方法。
  11. 前記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の形成方法。
    式(I)
    式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
    aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
  12. 前記ペースト中の溶媒が、沸点200℃以上の溶媒を10〜50質量%含有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の形成方法。
  13. 前記沸点200℃以上の溶媒が、沸点230℃以上の溶媒である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の形成方法。
  14. 前記沸点200℃以上の溶媒が、沸点260℃以上の溶媒である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の形成方法。
  15. 前記沸点200℃以上の溶媒がオリゴアルキレングリコール及びグリコールエーテルから選ばれる、請求項8〜14のいずれか1項に記載の形成方法。
  16. 前記導電性支持体上に前記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、40℃以上で、且つ、前記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以下の温度で、10分間以上熱し、次いで、前記ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、請求項8〜15のいずれか1項に記載の形成方法。
  17. 前記導電性支持体上に前記多孔質材料を分散してなるペーストを塗布する工程の後、塗布したペーストを、有機溶媒雰囲気下で10分間以上静置し、次いで、該ペーストに用いた溶媒中で沸点が最も高い溶媒の沸点以上の温度で焼成する、請求項8〜16のいずれか1項に記載の形成方法。
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