JP6175463B2 - 光電変換素子、これを用いた太陽電池ならびに光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換素子、これを用いた太陽電池ならびに光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子、これを用いた太陽電池ならびに光電変換素子の製造方法に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。太陽電池は、非枯渇性の太陽エネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が期待されている。このなかでも、増感剤として有機色素またはRuビピリジル錯体等を用いた色素増感太陽電池は、研究開発が盛んに進められ、光電変換効率が11%程度に到達している。
その一方で、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(ペロブスカイト化合物)として金属ハロゲン化物を用いた太陽電池が、比較的高い変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている。
例えば、特許文献1には、CHNHMX(MはPbまたはSnを表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるペロブスカイトおよび半導体微粒子層を含む光吸収層と電解液からなる電解質層とを備えた太陽電池が、記載されている。
また、特許文献2には、混合アニオンのペロブスカイト構造を有する光吸収剤および固体正孔輸送層を有する光電変換素子が記載されている。
韓国特許第10−1172374号公報 国際公開第2013/171517号
上述のように、金属ハロゲン化物のペロブスカイト化合物(光吸収剤としてのペロブスカイト化合物をペロブスカイト型光吸収剤ともいう)を用いた太陽電池は、光電変換効率の向上に一定の成果が得られている。しかし、この太陽電池は、開発されて間もないため、電池性能についてはまだ十分な研究、検討がされていない。
このような状況において、金属ハロゲン化物のペロブスカイト化合物を用いて同一の製造方法で繰り返して太陽電池を製造したところ、得られた太陽電池間の光電変換効率の変動(バラツキ)が大きく、電池性能の安定性の実現の点で問題があることが分かった。
したがって、本発明は、光電変換効率の変動が小さく、安定した電池性能を発揮する光電変換素子およびこれを備えた太陽電池を提供することを課題とする。また、安定した電池性能を発揮する光電変換素子を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、光吸収剤としてペロブスカイト化合物を用いた太陽電池(ペロブスカイト増感太陽電池ともいう)について種々検討したところ、金属酸化物層の表面状態が光吸収剤の担持または吸着の安定性(密着性)に影響していることを見出し、さらに検討を進めた結果、金属酸化物層の表面と光吸収剤との間に特定の化合物を介在させると、金属酸化物層への光吸収剤の密着性が増強し、さらには逆電子移動をも防止しうることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>導電性支持体上に設けられた金属酸化物層、および、光吸収剤を金属酸化物層上に設けてなる感光層を有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
光吸収剤が、周期表第一族元素もしくはカチオン性有機基Aのカチオン、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンおよびアニオン性原子もしくは原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
金属酸化物層の表面に下記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を有する光電変換素子。
Figure 0006175463
式(2)において、Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは単結合または連結基を表す。Lはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または脂肪族ヘテロ環基を表す。p1は1以上の整数を表す。
式(3)において、GおよびGは各々独立に下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。p2は1以上の整数を表す。
式(4)において、Tは下記I群から選択される基を表す。Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。ただし、p3およびp4が1であり、かつTがカルボン酸基である場合、Jは無置換アルキレン基となることはない。p3およびp4は各々独立に1以上の整数を表す。
式(5)において、環Cは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。Zはヘテロ原子またはNR12を表す。mは0以上の整数を表し、mが2以上のとき、Zは互いに異なっていてもよい。R11は置換基を表す。R12は水素原子または置換基を表す。Gは下記II群から選択される基を表す。Tは下記I群から選択される基を表す。JおよびJは各々独立に単結合または連結基を表す。n12は0以上の整数を表す。n14およびn15は各々独立に0以上の整数を表す。n11およびn13は各々独立に1以上の整数を表す。ただし、環Cの構成原子に窒素原子が一つもない場合、n14およびn15の少なくとも一方は1以上の整数を表す。qは1以上の整数を表す。
I群:カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、およびトリシラノール基
II群:−OR、−OYa、−SR、−SYa、−NR、および−(NRYa、この内、R、R、およびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。
<2>ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される化合物である<1>に記載の光電変換素子。
式(I):A
式中、Aは周期表第一族元素、または、下記式(1A)で表されるカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子もしくは原子団を表す。aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
式(1A):R1a−NH
式中、R1aは、置換基を表す。
<3>R1aが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(1B)で表すことができる基である<2>に記載の光電変換素子。
Figure 0006175463
式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1A)の窒素原子との結合部を表す。
<4>式(2)〜(5)で表される化合物が、それぞれ、下記式(6)〜(9)で表される<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 0006175463
式(6)において、Q11はI群から選択される基を表す。Jは単結合または連結基を表す。Lは分岐アルキル基またはハロゲン原子を有するアルキル基を表す。
式(7)および(8)において、G11、G12、およびQ12は各々独立に下記IIa群から選択される基を表す。JおよびJは各々独立に連結基を表す。Tは式(4)のTと同義である。p2、p3、およびp4はそれぞれ式(3)または(4)のp2、p3、およびp4と同義である。
式(9)において、G13は下記IIa群から選択される基を表す。n14およびn15の少なくとも一方は1以上の整数を表す。環C、Z、m、R11、T、J、J、n11、n12、n13、およびqはそれぞれ式(5)の環C、Z、m、R11、T、J、J、n11、n12、n13、およびqと同義である。
IIa群:−NRおよび−(NRYa、ここでR、R、R、およびYaはII群のR、R、R、およびYaと同義である。
<5>式(2)〜(5)および(9)のJ〜Jで表される連結基および式(6)〜(8)のJ〜Jで表される連結基が、下記式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 0006175463
式中、*はQ、L、G、G、T、Q、T、Gもしくは環Cとの連結部、または、式J−1〜式J−8のいずれかの式で表される他の連結基との連結部を表す。Dは窒素原子、N19またはCR20を表す。Dは酸素原子、硫黄原子またはNR21を表す。Mは酸素原子、硫黄原子またはNR22を表す。Zはヘテロ原子またはNR13を表す。環Pは脂肪族炭素環または脂肪族ヘテロ環を表す。R13〜R17、R19〜R22は各々独立に水素原子または置換基を表す。R18は置換基を表す。m1は0以上の整数を表す。m2は0以上の整数を表す。m3は2以上の整数を表す。
<6>式(6)のJが単結合である<4>または<5>に記載の光電変換素子。
<7>式(7)のJおよび式(8)のJが各々独立に式J−1で表される連結基または式J−1で表される連結基を2〜4個組み合わせてなる連結基であって、式J−1中のR14およびR15のうち少なくとも一つがハロゲン原子、アルキル基、またはハロゲン原子を有するアルキル基を表す<5>に記載の光電変換素子。
<8>式(8)において、p3およびp4のいずれか1つが2以上の整数を表す<4>または<5>に記載の光電変換素子。
<9>式(5)または式(9)において、n14およびn15が各々独立に1以上の整数を表す<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<10>式(5)または式(9)において、R11が分岐アルキル基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する基である<1>〜<5>および<9>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<11>I群が硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、およびトリシラノール基である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<12>式(I)のMが鉛およびスズからなる群より選択される少なくとも1種の金属カチオンである<2>〜<11>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<13>式(I)のXがハロゲン原子である<2>〜<12>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<14>式(1A)においてR1aが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基またはアミジノ基である<2>〜<13>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<15>金属酸化物層として、導電性支持体と感光層との間に多孔質層を有する<1>〜<14>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<16>第一電極と第二電極の間に正孔輸送層を有することを特徴とする<1>〜<15>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<17>上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
<18>導電性支持体上に設けた金属酸化物層を、下記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を含有する液に接触させた後に、周期表第一族元素もしくはカチオン性有機基Aのカチオン、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンおよびアニオン性原子もしくは原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を光吸収剤として含有する感光層を形成する光電変換素子の製造方法。
Figure 0006175463
式(2)において、Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは単結合または連結基を表す。Lはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または脂肪族ヘテロ環基を表す。p1は1以上の整数を表す。
式(3)において、GおよびGは各々独立に下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。p2は1以上の整数を表す。
式(4)において、Tは下記I群から選択される基を表す。Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。ただし、p3およびp4が1であり、かつTがカルボン酸基である場合、Jは無置換アルキレン基となることはない。p3およびp4は各々独立に1以上の整数を表す。
式(5)において、環Cは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。Zはヘテロ原子またはNR12を表す。mは0以上の整数を表し、mが2以上のとき、Zは互いに異なっていてもよい。R11は置換基を表す。R12は水素原子または置換基を表す。Gは下記II群から選択される基を表す。Tは下記I群から選択される基を表す。JおよびJは各々独立に単結合または連結基を表す。n12は0以上の整数を表す。n14およびn15は各々独立に0以上の整数を表す。n11およびn13は各々独立に1以上の整数を表す。ただし、環Cの構成原子に窒素原子が一つもない場合、n14およびn15の少なくとも一方は1以上の整数を表す。qは1以上の整数を表す。
I群:カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、およびトリシラノール基
II群:−OR、−OYa、−SR、−SYa、−NR、および−(NRYa、この内、R、R、およびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。
本明細書において、各式の表記は、化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各式において、部分構造を、(置換)基、イオンまたは原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオンまたは原子等のほかに、上記式で表される(置換)基もしくはイオンを構成する元素団、または、元素を意味することがある。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。さらに、置換または無置換を明記していない化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは置換基および連結基等(以下、置換基等という)についても同様である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明により、製品間の光電変換効率の変動が小さく、安定した電池性能を発揮する光電変換素子およびこれを備えた太陽電池を提供することが可能となった。
また、上記のような安定した電池性能を発揮する光電変換素子を製造する方法を提供することが可能となった。
本発明の光電変換素子の好ましい態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子の厚い感光層を有する好ましい形態について模式的に示す断面図である。 本発明の光電変換素子の別の好ましい態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
<<光電変換素子>>
本発明の光電変換素子は、導電性支持体、金属酸化物層およびペロブスカイト型光吸収剤を含有してなる感光層を有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する。金属酸化物層は、その表面に、上記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を有している。
本発明において、金属酸化物層は、上記化合物および光吸収剤が設けられる、金属酸化物からなる層であれば、その形態等は特に限定されない。金属酸化物で形成された層が複数存在する場合は、第二電極にもっとも近接するものを本発明の金属酸化物層という。光電変換素子が有する層のうち金属酸化物で形成された層であっても、また新たに設けられた層でもよい。好ましくは、光電変換素子が有する層のうち金属酸化物で形成された層である。このような層としては、例えば、多孔質層またはブロッキング層が挙げられる。
また、本発明において「金属酸化物層表面に少なくとも1種の上記化合物を有する」とは、金属酸化物層の、第二電極側表面またはその近傍に上記化合物が存在していることを意味する。上記化合物が存在する態様は、化学的結合、物理的相互作用により、上記化合物が金属酸化物層表面に、結合、密着、定着、担持または吸着等している場合を含む。例えば、金属酸化物層の表面に、上記化合物が共有結合、イオン結合、配位結合している態様、物理的に吸着している態様のすべての態様が含まれる。上記化合物が実際にどのように存在しているかについては問題ではなく、金属酸化物の表面またはその近傍に上記化合物が存在していればよい。このような態様は上記化合物を含む液を金属酸化物表面に接触させることにより、達成される。
本発明においては、上記化合物が金属酸化物層の表面に有する状態にかかわらず、金属酸化物層の表面に有する上記化合物の集合を、便宜上、化合物の層(化合物層)という。
上記化合物または化合物層は、金属酸化物層の表面に存在していればよく、感光層と同様に、膜状、線状および分散状のいずれの状態でもよく、またこれらが混在した状態でもよい。単分子膜状に設けられることが好ましい。したがって、化合物層は、必ずしも、金属酸化物層の表面を一様に覆うような層または膜を形成していなくてもよい。
化合物層は、多孔質層の孔内に設けられてもよく、また化合物層を形成する化合物の構造の一部が感光層に取り込まれた状態でもよい。
本発明の光電変換素子において、化合物層および感光層は、金属酸化物層の形状、設ける上記化合物または光吸収剤の量等によって、金属酸化物層上に種々の形態で設けられる。したがって、本発明において、感光層および化合物層の形態はいずれも問わない。
感光層について、例えば、図1のように多孔質層12の表面に薄い膜状等に設けられる態様、図2および図4のように多孔質層12の表面に厚く設けられる態様、図3のようにブロッキング層14の表面に厚く設けられる態様が挙げられる。また感光層13は、線状または分散状に設けられる態様等も挙げられる。好ましくは、膜状に設けられる。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子および太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。例えば、多孔質層を導電性支持体と感光層との間に設けることもできる(図1、図2および図4参照)。
以下、本発明の光電変換素子の好ましい態様について説明する。
図1〜図4において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1、図2および図4は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向および垂直方向に詰まり(堆積または密着して)、多孔質構造を形成している。
本明細書において、単に光電変換素子10という場合は、特に断らない限り、光電変換素子10A〜10Dを意味する。このことは、システム100、第一電極1についても同様である。また、単に感光層13という場合は、特に断らない限り、感光層13A〜13Cを意味する。同様に、金属酸化物層5、化合物層15または正孔輸送層3という場合は、特に断らない限り、金属酸化物層5Aおよび5B、化合物層15Aおよび15B、または、正孔輸送層3Aおよび3Bを意味する。
本発明の光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1に示す光電変換素子10Aが挙げられる。図1に示されるシステム100Aは、光電変換素子10Aを外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aおよび第二電極2の間に正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11aおよび透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、多孔質層12の表面に存在する上記化合物(拡大部に示す化合物層15A)と、上記化合物層15を介在して多孔質層12上にペロブスカイト化合物で設けられた感光層13Aとを有している。また、透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成される。この光電変換素子10において、金属酸化物層5Aは多孔質層12が兼ねている。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離および電荷移動効率が向上すると推定される。
図2に示す光電変換素子10Bは、図1に示す光電変換素子10Aの感光層13Aを厚く設けた好ましい態様を模式的に示したものである。図2において、光電変換素子10Bの化合物層は、図1に示す光電変換素子10Aの化合物層15Aと同じであるので、化合物層の拡大図を省略する。この光電変換素子10Bにおいて、正孔輸送層3Bは薄く設けられている。光電変換素子10Bは、図1で示した光電変換素子10Aに対して感光層13Bおよび正孔輸送層3Bの膜厚の点で異なるが、これらの点以外は光電変換素子10Aと同様に構成されている。
図3に示す光電変換素子10Cは、本発明の光電変換素子の別の好ましい態様を模式的に示したものである(化合物層15Bを図3の拡大部Aに示す)。光電変換素子10Cは、図2に示す光電変換素子10Bに対して多孔質層12を設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。この光電変換素子10Cにおいて金属酸化物層5Bはブロッキング層14が兼ねている。光電変換素子10Cにおいて、感光層13Cは金属酸化物層5Bの表面に厚い膜状に形成され、金属酸化物層5Bはブロッキング層14の表面に形成されている。光電変換素子10Cにおいて、正孔輸送層3Bは正孔輸送層3Aと同様に厚く設けることもできる。
図4に示す光電変換素子10Dは、本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。図4において、光電変換素子10Dの化合物層15Aは、図1に示す光電変換素子10Aの化合物層15Aと同じであるので、化合物層の拡大図を省略する。光電変換素子10Dは、図2に示す光電変換素子10Bに対して正孔輸送層3Bを設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。
本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として、機能する。
すなわち、光電変換素子10において、導電性支持体11を透過して、または第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となる。
光電変換素子10においては、光吸収剤から放出された電子は、光吸収剤間を移動して導電性支持体11に到達する。導電性支持体11に到達した電子が外部回路6で仕事をした後、第二電極2を経て(正孔輸送層3がある場合にはさらに正孔輸送層3を経由して)、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
光電変換素子10においては、このような、上記光吸収剤の励起および電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
光電変換素子10において、感光層13から導電性支持体11への電子の流れ方は、多孔質層12の有無およびその種類等により、異なる。本発明の光電変換素子10においては、光吸収剤間を電子が移動する電子伝導が起こる。したがって、多孔質層12を設ける場合、多孔質層12は従来の半導体以外に絶縁体で形成することができる。多孔質層12が半導体で形成される場合、多孔質層12の半導体微粒子内部や半導体微粒子間を電子が移動する電子伝導も起こる。一方、多孔質層12が絶縁体で形成される場合、多孔質層12での電子伝導は起こらない。多孔質層12が絶縁体で形成される場合、絶縁体微粒子に酸化アルミニウム(Al)の微粒子を用いると、比較的高い起電力(Voc)が得られる。
金属酸化物が導電性である場合には、金属酸化物層(多孔質層12またはブロッキング層14)の微粒子内部や微粒子間を横切る電子伝導経路にも従う。
本発明において、光電変換素子または太陽電池に用いられる材料および各部材は、本発明で規定する材料および部材を除いて、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子または太陽電池については、例えば、特許文献1および2、ならびに、J. Am. Chem. Soc., 2009,131(17),p.6050−6051およびScience,338,p.643(2012)を参照して行うことができる。また、色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材についても参考にすることができる。色素増感太陽電池型としては、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,0843,65号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照して行うことができる。
以下、この太陽電池を構成する主たる部材とその機能について概略を説明する。
<第一電極1>
第一電極1は、導電性支持体11と金属酸化物層5と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜図4に示されるように、多孔質層12およびブロッキング層14の少なくとも1つの層を有することが好ましい。
第一電極1は、短絡防止の点で少なくともブロッキング層14を有することが好ましく、光吸収効率の点および短絡防止の点で多孔質層12およびブロッキング層14を有していることがさらに好ましい。
− 導電性支持体11 −
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、または、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aとこの支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
なかでも、図1〜図4に示されるように、ガラスまたはプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11がさらに好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
支持体11aおよび導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体11または支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11または支持体11aの表面に、特開2003−123859号公報に記載の、高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
− 金属酸化物層 −
金属酸化物層5は、上記の通りであり、上記化合物を介して光吸収剤を担持または吸着等する。本発明において、好ましくはブロッキング層または多孔質層が兼ねる。すなわち、多孔質層が金属酸化物で形成されている場合には、多孔質層を金属酸化物層とする。一方、多孔質層が金属酸化物以外の材料で形成されている場合または多孔質層を設けない場合には、ブロッキング層を金属酸化物で形成して金属酸化物層とする。このような場合であっても、多孔質層の奥に染み込んだ上記化合物を介して光吸収剤を担持または吸着等するものと考えられる。本発明において、多孔質層の有無は、用途、機能等に応じて、適宜に選択できる。
(ブロッキング層14)
本発明においては、光電変換素子10のように、好ましくは、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12、感光層13または正孔輸送層3等との間に、ブロッキング層14を有している。
光電変換素子および太陽電池において、例えば感光層13または正孔輸送層3と、透明電極11bとが電気的に接続すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
ブロッキング層14を金属酸化物層として機能させる場合、その表面に上記化合物を介して光吸収剤を担持する。
ブロッキング層14を、光吸収剤を担持する足場として機能させることもできる。
ブロッキング層14を形成する材料は、上記機能を果たすことのできる材料であれば特に限定されないが、可視光を透過する物質であって、導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質であることが好ましい。「導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質」とは、具体的には、伝導帯のエネルギー準位が、導電性支持体11を形成する材料(透明電極11bを形成する金属酸化物)の伝導帯のエネルギー準位以上であり、かつ、多孔質層12を構成する材料の伝導帯や光吸収剤の基底状態のエネルギー準位より低い化合物(n型半導体化合物)をいう。
ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン等も挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が好ましい。
ブロッキング層14が、金属酸化物層5として用いられる場合は、上記材料のうち金属酸化物で形成される。
ブロッキング層14の膜厚は、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmがさらに好ましく、0.01〜0.1μmが特に好ましい。
本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
(多孔質層12)
本発明においては、光電変換素子10A、10Bおよび10Dのように、好ましくは、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合はブロッキング層14上に形成されることが好ましい。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12は、多孔質層12を形成する材料の微粒子が堆積または密着してなる、細孔を有する微粒子層であることが好ましい。多孔質層12は、2種以上の微粒子が堆積してなる微粒子層であってもよい。多孔質層12が細孔を有する微粒子層であると、光吸収剤の担持量(吸着量)を増量できる。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質層12を形成する材料は、導電性に関しては特に限定されず、絶縁体(絶縁性の材料)であっても、導電性の材料または半導体(半導電性の材料)であってもよい。
多孔質層12を形成する材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(光吸収剤として用いるペロブスカイト化合物を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、または、カーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤおよびカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、特に限定されないが、好ましくは、チタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、アルミニウムまたはタンタルの各酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。金属のカルコゲニドの結晶構造として、アナターゼ型、ブルッカイト型またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、特に限定されないが、遷移金属酸化物等が挙げられる。例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、スズ酸バリウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ストロンチウム、タンタル酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、鉄酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウムランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸ビスマスが挙げられる。なかでも、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が好ましい。
カーボンナノチューブは、炭素膜(グラフェンシート)を筒状に丸めた形状を有する。カーボンナノチューブは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に分類される。多孔質層12としては、いずれのカーボンナノチューブも特に限定されず、用いることができる。
多孔質層12を形成する材料は、なかでも、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウムもしくはケイ素の酸化物、またはカーボンナノチューブが好ましく、酸化チタンまたは酸化アルミニウムがさらに好ましい。
多孔質層12は、上述の、金属のカルコゲニド、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、ケイ素の酸化物およびカーボンナノチューブのうち少なくとも1種で形成されていればよく、複数種で形成されていてもよい。
多孔質層12が、金属酸化物層として用いられる場合は、上記材料のうち金属酸化物で形成される。
多孔質層12の膜厚は、特に限定されないが、通常0.05〜100μmの範囲であり、好ましくは0.1〜100μmの範囲である。太陽電池として用いる場合は、0.1〜50μmが好ましく、0.2〜30μmがより好ましく、0.3〜30μmがさらに好ましい。
− 上記化合物層15 −
本発明においては、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物は金属酸化物の表面に存在し、後述する光吸収剤の密着性を増強させる。好ましい態様では、金属酸化物の表面を被覆する膜状(化合物層)に形成され、特に好ましい態様では単分子膜状に形成される。これにより光電変換特性および電池性能の安定性が向上する。
化合物は、金属酸化物層の表面に存在していればよい。化合物が金属酸化物層の表面に存在しているか否かは次のようにして確認できる。すなわち、十分な面積の金属酸化物層の表面を、上記化合物を溶解可能な有機溶剤または必要に応じてpHを調整した水で洗う。得られた洗浄液をろ過したろ液を、必要に応じて濃縮および精製して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または各磁気共鳴分光法(NMR)で、分析する。これにより、金属酸化物層の表面上における、化合物の有無を確認し、またその存在量を定量できる。
表面に存在する上記化合物の存在量は、本発明の効果を奏する限りにおいて、特に限定されない。例えば、上記化合物の存在量は、化合物を含む液の濃度、接触させる表面積等によって、変動させることができる。化合物の存在量としては、一義的ではないが、その一例を挙げると、例えば、0.01mg/m〜100g/mである。さらには0.1mg/m〜10g/mを挙げることができる。
本発明においては、上記化合物が、金属酸化物層の表面を一様に覆い、かつ化合物分子が重なり合わない(単分子膜状)ことが、光電変換特性の向上および電池性能の安定性の実現の点等から好ましい。
上記化合物が存在する態様およびその存在量は、上記化合物を含む液を第一電極の表面に接触させることにより、好ましくは第一電極の表面全面に接触させることにより、達成される。
金属酸化物層に式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を用いると、光電変換効率の変動を低減できる理由は、まだ定かではないが、次のように推定される。金属酸化物層とペロブスカイト型光吸収剤の界面(金属酸化物層の表面)は、ペロブスカイト型光吸収剤と金属酸化物の親和性またはペロブスカイト型光吸収剤の結晶成長時のばらつきによる欠陥等を有している。この界面の状態が電子移動の阻害や、逆電子移動の原因となっているものと考えられる。式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物は、(i)金属酸化物層に対し吸着する構造または基、(ii)ペロブスカイト型光吸収剤と親和性の高い構造もしくは基、またはペロブスカイト型光吸収剤に対し吸着する基もしくは構造の一部となり得る基を有しており、金属酸化物とペロブスカイト型光吸収剤の全体的な密着性を高めていると考えられる。この効果はペロブスカイト型光吸収剤に対し吸着する基または構造の一部となり得る基を有している方が高い。また、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物が、かさ高い分岐した基やハロゲン原子などの疎水的な基や原子を有している場合には、これらの基が金属酸化物層からの逆電子移動抑制の観点で有利に働いているものと考えられ、好ましい。また、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物がヘテロ環や芳香環を構造として有する場合には、これらの環により、逆電子移動を抑制しつつも、界面での本来必要な電荷輸送を妨げない効果を奏するものと考えられ、好ましい。
化合物層15は、下記化合物を少なくとも1種含有していればよく、複数種を含有していてもよい。
以下に、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物について詳細に説明する。
Figure 0006175463
上記化合物は、下記I群またはII群から選択される少なくとも1種の基を有している。もしくは、窒素原子を1つ以上有する芳香族ヘテロ環を有することにより、金属酸化物の表面に何らかの形で吸着等する構造を有している。
I群は、カルボン酸基(−COOH)、硫酸基(−O−SOH)、スルホン酸基(−SOH)、リン酸基(−O−P=O(OH))、ホスホン酸基(−P(=O)(OH))、ホウ酸基(−O−B(OH))、ボロン酸基(−B(OH))、ケイ酸基(−O−Si(OH))、シラノール基(−Si(R(OH))、ジシラノール基(−Si(R)(OH))、およびトリシラノール基(−Si(OH))からなる群より選択される酸基である。ここで、Rは、1価の有機基を表し、例えば、アルキル基(好ましくは後述するLのアルキル基と同義である)、アルコキシ基(好ましくは後述するR11のアルコキシ基と同義である)、アリール基(好ましくは後述するR11のアリール基と同義である)等が挙げられる。
II群は、−OR、−OYa、−SR、−SYa、−NR、および−(NRYaからなる群より選択される基または塩である。ここで、R、R、およびRはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。
上記I群に含まれる酸基は、いずれも、金属酸化物層の表面に吸着(相互作用、結合)する。一方、II群に含まれる基または塩は、金属酸化物層の表面に吸着するが、このうちの一部は、光吸収剤のペロブスカイト結晶構造のカチオンと置き換わって光吸収剤の密着性を強固にする。ペロブスカイト結晶構造におけるカチオンとの置換容易性の観点からは、カチオンを形成可能な基または塩のカチオンであることが好ましい。
上記I群に含まれる、カルボン酸基(−COOH)、硫酸基(−O−SOH)、スルホン酸基(−SOH)、リン酸基(−O−P=O(OH))、ホスホン酸基(−P(=O)(OH))、ホウ酸基(−O−B(OH))、ボロン酸基(−B(OH))、ケイ酸基(−O−Si(OH))、シラノール基(−Si(R(OH))、ジシラノール基(−Si(R)(OH))、およびトリシラノール基(−Si(OH))はいずれも塩であってもよい。また、これらの酸基は、少なくとも1つのOH基を有していればよく、OH基の水素原子が置換されていてもよい。
I群の酸基は、金属酸化物層への吸着性の点で、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、およびトリシラノール基であることがより好ましい。
II群において、R、RおよびRが置換基を表す場合、置換基としては、特に限定されず、後述する置換基Wが挙げられる。好ましくは後述する式(1A)のRと同じ基であり、より好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基であり、特に好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基である。
、R、およびRはいずれも水素原子を表すことがより好ましい。
Yaとしては、特に限定されず、各種のカチオンまたはアニオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン(Li)、セシウムイオン(Cs)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、銀イオン(Ag)、銅イオン(Cu)、アンモニウムイオン(NR )、ホスホニウムイオン(PR )等が挙げられる。Rは水素原子または置換基を表す。置換基の例としては後述する置換基Wが挙げられる。アニオンとしては、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン(F)、ヨウ化物イオン(I)、臭化物イオン(Br)、塩化物イオン(Cl)等)、O2−等が挙げられる。なかでも、ハロゲン化物イオンが好ましく、ヨウ化物イオン(I)がより好ましい。
ペロブスカイトの結晶構造への置換容易性の観点から、II群に含まれる基または塩は、より好ましくは、下記IIa群である。
IIa群:−NRおよび−(NRYa
ここでR、R、R、およびYaはII群のものと同義であり、好ましいものも同じである。
II群に含まれる基または塩は、より好ましくは−(NRYaであり、さらに好ましくは−NH である。
式(2)で表される化合物について説明する。
はI群またはII群から選択される基を表す。
はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または脂肪族ヘテロ環基を表す。
アルキル基は、炭素原子数1〜30であるのが好ましく、1〜10であるのがさらに好ましい。また、直鎖でも分岐鎖でもよいが、逆電子移動の抑制の点で、分岐鎖が好ましい。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、およびオクダデシルなどが挙げられる。
分岐アルキル基としては、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、および3−エチルペンチルなどが挙げられる。
アルキル基は置換基を有してもよい。置換基としては後述する置換基Wの内I群またはII群に属さない置換基が挙げられる。好ましくは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、およびシアノ基が挙げられ、逆電子移動の抑制の点で、フッ素原子がより好ましい。フッ素原子で置換されるアルキル基の水素原子数は特に限定されず、すべての水素原子が置換されてもよい。フッ素原子が置換したアルキル基(フッ化アルキル基という)としては、上記で例示したアルキル基の水素原子をすべて置換したパーフルオロアルキル基、水素原子の一部が置換されたフルオロアルキル基(例えば、モノフルオロメチル(−CHF)、ジフルオロメチル(−CHF)、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル(−(CH(CFCF)等が挙げられる。
シクロアルキル基は、炭素原子数3〜8であることが好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
アルケニル基は、炭素原子数2〜30の直鎖アルケニル基または分岐アルケニル基であることが好ましく、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、ブタジエン、3−メチル−2−ペンテニル、ヘキセニル、およびデセニルであることが好ましい。なお、アルケニル基において、シス−トランス異性は特に限定されない。
アルキニル基は、炭素原子数2〜30の直鎖アルキニル基または分岐アルキニル基であることが好ましく、例えば、エチニル、ブチニル、およびオクチニルが挙げられる。
脂肪族ヘテロ環基は、環構成原子数が3〜30の脂肪族ヘテロ環基であることが好ましく、環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。脂肪族へテロ環基は、芳香族性を満たさないことを条件に不飽和結合を有していてもよい。脂肪族へテロ環基となる脂肪族へテロ環としては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、オキサン、チアン、モルホリン、ピペラジン、ジオキサン、およびアゼパンが挙げられる。
は、アルキル基、シクロアルキル基、および脂肪族ヘテロ環基が好ましく、アルキル基がより好ましく、分岐のアルキル基、ハロゲン原子を有するアルキル基がさらに好ましい。
は、かさ高い基である方が、金属酸化物層からの逆電子移動抑制の効果が期待できる点で好ましい。
は単結合または連結基であり、連結基である場合には、下記式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基であることが好ましい。ここで、式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基は、式J−1〜式J−8のいずれか1つの式で表される連結基である場合と、下記式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも2つの連結基を組み合わせてなる連結基である場合とを含む。
のより好ましい範囲については後述する。
p1は1以上の整数を表す。好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1である。
上記式(2)〜式(9)で表される化合物の連結基について以下に説明し、各式における連結基の好ましいものは各式で表される化合物の説明とともに述べる。
Figure 0006175463
式中、*はQ、L、G、G、T、Q、T、Gもしくは環Cとの連結部、または式J−1〜式J−8のいずれかの式で表される他の基との連結部を表す。
は窒素原子、N19またはCR20を表し、CR20が好ましい。
は酸素原子、硫黄原子またはNR21を表し、NR21が好ましい。
は酸素原子、硫黄原子またはNR22を表す。
はヘテロ原子またはNR13を表す。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が挙げられ、硫黄原子であることが好ましい。
環Pは、環を構成するのに必要な炭素原子群からなる脂肪族炭素環、または、環を構成するのに必要な炭素原子群とZとからなる脂肪族ヘテロ環を表す。脂肪族炭化水素環としては、3〜8員環が好ましく、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロオクタンが挙げられ、シクロヘキサンが好ましい。脂肪族ヘテロ環としては、5〜8員環が好ましく、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、オキサン、チアン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、ピロリジン、アゼチジン、オキセタン、アジリジン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド等が挙げられる。
14〜R17、R19〜R20は各々独立に水素原子または置換基を表す。R18は置換基を表す。R14〜R17、R19〜R20が置換基を表す場合の、およびR18の、置換基としては後述の置換基Wが挙げられる。なかでも、アルキル基、ハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子がより好ましい。アルキル基としては、好ましくは炭素原子数1〜30の置換または無置換の直鎖または分岐アルキル基である。アルキル基が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)が好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、オクタデシルが挙げられる。R14〜R20は、各々独立に、ハロゲン原子、水素原子であることがさらに好ましい。
13、R21〜R22は各々独立に水素原子または置換基を表す。R13、R21〜R22が置換基を表す場合、置換基としては後述の置換基Wが挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、好ましくは炭素原子数1〜30の置換または無置換の直鎖または分岐アルキル基である。アルキル基が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)が好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、オクタデシルが挙げられる。R13、R21〜R22は各々独立に、アルキル基、水素原子であることがさらに好ましい。
m1は0以上の整数を表し、0〜5であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
m2は0以上の整数を表し、0〜3であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
m3は2以上の整数を表し、好ましくは2である。
なお、式J−4はトランス体として表されているが、シス体であってもよい。
本発明において、上記式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される2以上の連結基を組み合わせてなる連結基は、上記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を形成するのに必要な結合箇所を有していれば、上記式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される2以上の連結基が連結して環構造を形成するものも包含する。
式(2)〜(5)において、Q、L、G、G、T、Q、T、およびGで表される基と理解できる基については連結基には含めないものとする。例えば、後述する化合物2a−2の場合、Lがペンチル基で、Jが式J−1で表されるメチレン基と考えることもできるが、本発明においては、L等が最大の基となるように解釈し、この場合、Lがヘキシル基で、Jが単結合とする。
式(2)におけるJとLそれぞれの鎖長、式(3)におけるJの鎖長、式(4)におけるJの鎖長、式(5)におけるJおよびJそれぞれの鎖長は、その長さを形成する原子数で1〜30であるのが好ましく、1〜15であるのがより好ましい。ここで、鎖の長さは対象とする鎖を形成する原子の最大数とし、該当する鎖が2以上ある場合は最大の原子数とする。
式J−1〜式J−8で表される連結基を組み合わせる場合、次の組み合わせが好ましい。
複数個の、好ましくは2〜30個、より好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜4個の式J−1で表される連結基同士の組み合わせ;
1個以上(上限は特に限定されないが、30個、好ましくは10個)の式J−1で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されないが、5個、好ましくは3個)の式J−2で表される連結基の組み合わせ;
1個以上(上限は特に限定されないが、30個、好ましくは10個)の式J−1で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されないが、15個、好ましくは5個)の式J−5で表される連結基の組み合わせ;
1個以上(上限は特に限定されないが、30個、好ましくは10個)の式J−1で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されないが、30個、好ましくは10個)の式J−6で表される連結基の組み合わせ;
複数個の、好ましくは2〜15個、より好ましくは2個の式J−4で表される連結基の組み合わせ;
1個以上(上限は同様に例えば15個、好ましくは5個)の式J−4で表される連結基と1個以上(上限は同様に例えば30個、好ましくは10個)の式J−7で表される連結基の組み合わせ;
1個以上(上限は同様に例えば30個)の式J−6で表される連結基と1個以上(上限は同様に例えば30個)の式J−7で表される連結基の組み合わせ。
上記式J−1〜式J−8で表される各連結基を組み合わせてなる連結基として、例えば以下のような構造のものが好適に挙げられる。下記の各連結基は置換基Wを有していてもよい。
Figure 0006175463
式中、*はQ、L、G、G、T、Q、T、G、または環Cとの連結部を示す。
式(2)で表される化合物において、Jが連結基である場合、好ましくは、2個の式J−1で表される連結基(エチレン基)と1個の式J−6で表される連結基を組み合わせてなる連結基、式J−7で表される連結基である。より好ましくは、Jは単結合である。
式(2)で表される化合物は、下記式(6)で表されるのが好ましい。
Figure 0006175463
11は上記I群から選択される基を表す。
は単結合または連結基である。Jの好ましいものは、上記Jの好ましいものと同じである。
は分岐アルキル基またはハロゲン原子を有するアルキル基を表す。分岐アルキル基およびハロゲン原子を有するアルキル基は、それぞれ、上記Lで説明した分岐アルキル基およびハロゲン原子を有するアルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。
以下に、式(2)で表される化合物の具体例を示すが、これによって本発明がこれらに限定されるものではない。
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
式(3)で表される化合物について説明する。
Figure 0006175463
およびGは各々独立にII群から選択される基を表す。GとGとの組み合わせは特に限定されないが、同種の基または塩であるのが好ましく、−NR、および−(NRYaがより好ましい。
式(3)において、Jは、好ましくは、式J−1で表される連結基、式J−1で表される連結基同士を2〜30個(好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜5個)組み合わせてなる連結基、式J−1で表される連結基1〜30個(好ましくは1〜10個)と式J−6で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基、式J−8で表される連結基である。より好ましくは、式J−1で表される連結基を4個組み合わせてなる連結基である。
p2は1以上の整数を表す。好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1である。
式(3)で表される化合物は、下記式(7)で表されるのが好ましい。
Figure 0006175463
式(7)において、G11およびG12は各々独立に上記IIa群から選択される基を表す。G11とG12との組み合わせは特に限定されないが、同種の基または塩であるのが好ましい。
は連結基を表し、上記Jと同義であるが、好ましくは式J−1で表される連結基または式J−1で表される連結基同士を2〜4個組み合わせてなる連結基であり、より好ましいものはJと同じである。
また、Jが式J−1のみで表される連結基である場合(複数の式J−1で表される連結基を組み合わせてなる連結基の場合を含む)、式J−1で表される連結基が有するR14およびR15のうち少なくとも一つがハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルキル基、またはハロゲン原子を置換基として有するアルキル基(ハロゲン化アルキル基)を表すことが好ましい。より好ましくは、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数1〜30のハロゲン化アルキル基(特にフッ化アルキル基)、ハロゲン原子であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜15のアルキル基であり、特に好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であり、最も好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基である。
p2は式(3)のp2と同義であり、好ましいものも同じである。
以下に、本発明の式(3)で表される化合物の具体例を示すが、これによって本発明がこれらに限定されるものではない。
Figure 0006175463
Figure 0006175463
式(4)で表される化合物について説明する。
Figure 0006175463
はI群から選択される基を表す。
はI群またはII群から選択される基を表す。
とQとの組み合わせは、特に限定されないが、I群から選択される少なくとも1つの酸基と、II群から選択される少なくとも1つの基または塩との組み合わせが好ましく、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、トリシラノール基またはそれらの塩の少なくとも1つと−NRおよび−(NRYaの少なくとも1つとの組み合わせがより好ましい。
式(4)において、Jは、好ましくは、式J−1で表される連結基、式J−1で表される連結基同士を2〜30個(好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜5個)組み合わせてなる連結基、式J−1で表される連結基1〜30個(好ましくは2〜9個)と式J−2で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基、式J−1で表される連結基1〜30個(好ましくは1〜9個)と式J−5で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基、式J−4で表される連結基同士2〜15個(好ましくは2〜5個)を組み合わせてなる連結基、式J−4で表される連結基1〜14個(好ましくは1〜5個)と1個の式J−7の連結基を組み合わせてなる連結基、式J−8で表される連結基である。さらに好ましくは、式J−1で表される連結基1個と式J−5で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基、1〜2個の式J−1で表される連結基を組み合わせてなる連結基、1個の式J−1で表される連結基と1個の式J−2で表される連結基を組み合わせてなる連結基である。
式(4)において、p3およびp4が1で、かつ、Tがカルボン酸基を表すとき、Jは二価の無置換アルキレン基以外の基である。二価の無置換アルキレン基以外の基としては、特に限定されず、式J−1〜式J−8で表される連結基を組み合わせてなる種々の連結基が挙げられる。
p3およびp4は各々独立に1以上の整数を表す。好ましくは1以上5以下の整数である。
なお、式(4)においてTおよびQを連結基Jの式の左右の位置に記載しているが、連結基に結合していれば結合部の左右は問題としない。
式(4)で表される化合物は、下記式(8)で表されるのが好ましい。
Figure 0006175463
式(8)において、Tは式(4)と同義であり、好ましいものも同じである。
12は上記IIa群より選択される基を表す。
は連結基を表し、式J−1で表される連結基、式J−1で表される連結基2〜30個(好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜5個)を組み合わせてなる連結基、式J−1で表される連結基1個と式J−2で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基であることが好ましく、より好ましくは式J−1で表される連結基または式J−1で表される連結基2個を組合せてなる連結基である。また、Jが式J−1のみで表される場合の好ましい例は、Jが式J−1のみで表される場合で説明したものと同様である。
p3およびp4は、各々独立に、1以上の整数を表し、1以上5以下の整数が好ましい。Jが、ハロゲン原子、アルキル基またはハロゲン原子を有するアルキル基を有する場合、p3およびp4は、各々独立に、1以上5以下の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1が好ましい。一方、Jが、上記の場合以外の場合は、p3およびp4のいずれか1つが2以上の整数であることがより好ましく、2以上5以下の整数であることがさらに好ましく、2であることが特に好ましい。
以下に、式(4)で表される化合物の具体例を示すが、これによって本発明がこれらに限定されるものではない。
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
式(5)で表される化合物について説明する。
Figure 0006175463
環Cは環を構成するのに必要な炭素原子群からなる芳香族炭化水素環または上記炭素原子群とZとからなる芳香族ヘテロ環を表し、Zはヘテロ原子またはNR12を表す。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、多ベンゼン縮環(例えば、ナフタレン環、フェナントレン環)が挙げられる。これらの環に芳香環でない炭素環、例えば、3〜7員のシクロアルカン、5〜7員のシクロアルケンが縮環していてもよい。環Cが表す芳香族炭化水素環としてはベンゼン環が好ましい。
芳香族ヘテロ環としては、5〜7員環が好ましく、5または6員環がより好ましい。また、これらの環に、芳香族炭化水素環、芳香族以外の脂肪族炭化水素環(例えば、シクロアルカン、シクロアルケン)、または芳香族ヘテロ環を含むヘテロ環が縮環していてもよい。Zが表すヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子であることが好ましい。R12は水素原子または置換基を表す。R12が置換基を表す場合、置換基としては後述する置換基Wが挙げられる。なかでも、炭素原子数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜15のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がさらに好ましい。R12は炭素原子数1〜6のアルキル基であることが好ましい。また、mは0以上の整数を表し、mが2以上のとき、Zは互いに異なっていてもよい。mは好ましくは、1または2である。
このような芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環およびピラゾール環が挙げられる。また縮環構造のものとしては、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドリン環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。より好ましくは、ピリジン環、ベンゾイミダゾール環、フラン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、チアゾール環、チオフェン環である。
11は置換基を表す。R11が表す置換基としては後述する置換基Wの内、前述のI群やII群に属さない置換基、およびニトロ基が挙げられる。具体的には、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アシル基が挙げられる。また、これらの置換基がさらにハロゲン原子で置換され、ハロゲン原子を有する基となっている場合(「ハロゲン原子を有する基」という)も好ましく挙げられる。
11で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。好ましくはフッ素原子である。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基は上記Lで説明したものと同義であり、好ましいものも同じである。
アルコキシ基、アルキルチオ基およびアシル基のアルキル部分は、上記Lで説明したアルキル基と同義であるのが好ましい。このアルコキシ基は置換されていてもよい。置換基としては置換基Wが挙げられ、2−メトキシエチルオキシ基が好ましい。
アリール基、ヘテロアリール基としては、環Cで説明した芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環と同義であり、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環である。
11として、好ましくは分岐アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有する基であり、より好ましくは、ハロゲン原子である。
はII群から選択される基を表す。TはI群から選択される基を表す。GとTとを有する場合、これらの組み合わせは特に限定されない。
およびJは各々独立に単結合または連結基であり、連結基である場合には、前述の式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基であることが好ましい。
が連結基である場合、より好ましくは、式J−1で表される連結基または式J−1で表される連結基2〜30個(好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜5個)を組み合わせてなる連結基である。さらに好ましくは、単結合または式J−1で表される連結基2個を組み合わせてなる連結基である。
が連結基である場合には、より好ましくは、式J−1で表される連結基、式J−1で表される連結基2〜30個(好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜5個)を組み合わせてなる連結基、式J−6で表される連結基1個と式J−7の連結基1個を組み合わせてなる連結基である。さらに好ましくは、単結合、式J−1で表される連結基、または式J−6で表される連結基1個と式J−7の連結基1個を組み合わせてなる連結基である。
n12は0以上の整数を表す。n12は好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは1である。
n14およびn15は各々独立に0以上の整数を表す。環Cに窒素原子が一つもない場合、n14およびn15の少なくともいずれか一方は1以上の整数を表す。n14およびn15は好ましくは0〜3である。
n11およびn13は各々独立に1以上の整数を表す。好ましくは1〜3であり、1または2がより好ましい。
qは1以上の整数を表す。qは1〜3であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(5)において、「−J−G」基を有する場合、環Cの結合部は、特に限定されない。環Cが芳香族ヘテロ環である場合、少なくとも1つの「−J−G」基の結合部は(ヘテロ原子を1位とした場合)環Cの2位であるのが好ましい。
式(5)で表される化合物は、下記式(9)で表されるのが好ましい。
Figure 0006175463
式(9)において、G13は上記IIa群から選択される基を表す。
n14およびn15の少なくとも一方は1以上の整数を表す。
環C、Z、m、R11、T、J、J、n11、n12、n13およびqは上記式(5)の環C、Z、m、R11、T、J、J、n11、n12、n13およびqと同義である。
式(9)において、好ましくは、JおよびJは各々独立に単結合、式J−1で表される連結基、式J−1で表される連結基2個を組み合わせてなる連結基、式J−6で表される連結基1個と式J−7で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基を表す。より好ましくは単結合、式J−1で表される連結基、式J−6で表される連結基1個と式J−7で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基である。
以下に、本発明の式(5)で表される化合物の具体例を示すが、これによって本発明がこれらに限定されるものではない。
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
上記各式で表される化合物のなかでも、式(3)〜(5)のいずれかの式で表される化合物が好ましく、式(5)で表される化合物がより好ましく、式(5)で表される化合物のなかでもG13およびTを有するものがさらに好ましく、式(5)で表される化合物のなかでも環Cが芳香族ヘテロ環であるのが特に好ましい。
本発明に用いる式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物は、常法により合成することができる。例えば、後述する、化合物9b−2、9c−1および9b−5の各合成方法に準拠して、合成することができる。
− 感光層(光吸収層)13 −
感光層13は、図1〜図4に示されるように、後述の式(I)で表されるペロブスカイト化合物を光吸収剤として、好ましくは、多孔質層12(光電変換素子10A、10Bおよび10D)またはブロッキング層14(光電変換素子10C)の各層の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の凹部内表面を含む。)に、設けられる。
本発明において、光吸収剤は、後述する特定のペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、2種以上のペロブスカイト化合物を含有してもよい。また、光吸収剤は、ペロブスカイト化合物と併せて、ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤を含んでいてもよい。ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素および有機色素が挙げられる。このとき、ペロブスカイト化合物と、それ以外の光吸収剤との割合は特に限定されない。
感光層13は、単層であっても2層以上の積層であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、互いに異なった光吸収剤からなる層を積層してなる積層構造でもよく、また、感光層と感光層の間に正孔輸送材料を含む中間層を有する積層構造でもよい。
感光層13がとり得る形態は、上述した通りであり、感光層13は、好ましくは導電性支持体11に励起した電子が流れるように化合物層15の表面に設けられる。このとき、感光層13は、表面全体に設けられていてもよく、表面の一部に設けられていてもよく、多孔質層12を用いる場合には多孔質層12の孔内部に形成された化合物層15に設けられていてもよい。
感光層13の膜厚は、感光層がとり得る形態に応じて適宜に設定され、特に限定されない。感光層13の膜厚は、例えば、0.001〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜5μmが特に好ましい。
多孔質層12を有する場合、多孔質層12および化合物層15の膜厚との合計膜厚は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.2μm以上が特に好ましい。また、合計膜厚は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、3μm以下が特に好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。例えば、多孔質層12の膜厚との合計膜厚で、0.1〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがさらに好ましく、0.2〜3μmが特に好ましい。ここで、図1のように、感光層13が薄い膜状である場合に、感光層13の膜厚は、多孔質層12の表面に垂直な方向に沿う、多孔質層12との界面と後述する正孔輸送層3との界面との距離をいう。
光電変換素子10において、多孔質層12と化合物層15と感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.5μm以上が特に好ましい。また、この合計膜厚は、200μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。
なお、図2では、図1に示した感光層よりも感光層の厚みが増大したものであるが、本発明で使用する式(I)で表されるペロブスカイト型光吸収剤は、他のペロブスカイト化合物と同様に、正孔輸送材料となりうるものである。
ペロブスカイト型光吸収剤の使用量は、少なくとも化合物層15の表面のうち光が入射する表面の少なくとも一部を覆う量であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
感光層13中、ペロブスカイト化合物の含有量は、通常1〜100質量%である。
〔感光層の光吸収剤〕
感光層13は、光吸収剤として、「周期表第一族元素またはカチオン性有機基A」と、「周期表第一族元素以外の金属原子M」と、「アニオン性原子または原子団X」と、を有するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有する。
ペロブスカイト化合物の周期表第一族元素またはカチオン性有機基A、金属原子Mおよびアニオン性原子または原子団Xは、それぞれ、ペロブスカイト型結晶構造において、カチオン(便宜上、カチオンAということがある)、金属カチオン(便宜上、カチオンMということがある)およびアニオン(便宜上、アニオンXということがある)の各構成イオンとして存在する。
本発明において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンになる性質を有する有機基をいい、アニオン性原子または原子団とはペロブスカイト型結晶構造においてアニオンになる性質を有する原子または原子団をいう。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、カチオンAは、周期表第一族元素のカチオンまたはカチオン性有機基Aからなる有機カチオンである。カチオンAは有機カチオンが好ましい。
周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)またはセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
有機カチオンは、上記性質を有する有機基のカチオンであれば特に限定されないが、下記式(1A)で表されるカチオン性有機基の有機カチオンであることがさらに好ましい。
式(1A):R1a−NH
式中、R1aは置換基を表す。R1aは、有機基であれば特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(1B)で表すことができる基(特に、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基またはアミジノ基)が好ましい。なかでも、光電変換効率の変動を低減できる点で、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基等が好ましく、アルキル基、下記式(1B)で表すことができる基がより好ましい。
Figure 0006175463
式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1A)の窒素原子との結合部を表す。
本発明において、カチオン性有機基Aの有機カチオンは、上記式(1A)中のR1aとNHとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基Aからなる有機アンモニウムカチオン(R1a−NH )が好ましい。この有機アンモニウムカチオンが共鳴構造を採り得る場合、有機カチオンは有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含む。例えば、上記式(1B)で表すことができる基においてXがNH(R1cが水素原子)である場合、有機カチオンは、上記式(1B)で表すことができる基とNHとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基の有機アンモニウムカチオンに加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンをも包含する。アミジニウムカチオン性有機基からなる有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(Aam)で表されるカチオンが挙げられる。本明細書において、下記式(Aam)で表されるカチオンを便宜上、「R1bC(=NH)−NH」と表記することがある。
Figure 0006175463
アルキル基は、炭素数が1〜18のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましく、1〜3のアルキル基がさらに好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはデシル等が挙げられる。
シクロアルキル基は、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
アルケニル基は、炭素数が2〜18のアルケニル基が好ましく、2〜6のアルケニル基がより好ましい。例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはヘキセニル等が挙げられる。
アルキニル基は、炭素数が2〜18のアルキニル基が好ましく、2〜4のアルキニル基がより好ましい。例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
アリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、例えば、フェニルが挙げられる。
ヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香環、脂肪族環やヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環および5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
式(1B)で表すことができる基において、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表し、NR1cが好ましい。ここで、R1cは、水素原子または置換基を表し、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
1bは、水素原子または置換基を表し、水素原子が好ましい。R1bが採り得る置換基は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基が挙げられる。
1bおよびR1cがそれぞれ採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、上記R1aの各基と同義であり、好ましいものも同じである。
式(1B)で表すことができる基としては、例えば、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基またはアミジノ基が挙げられる。
(チオ)アシル基は、アシル基およびチオアシル基を包含する。アシル基は、総炭素数が1〜7のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル、アセチル(r−34)、プロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。チオアシル基は、総炭素数が1〜7のチオアシル基が好ましく、例えば、チオホルミル、チオアセチル(r−36)、チオプロピオニル等が挙げられる。
(チオ)カルバモイル基は、カルバモイル基(r−35)およびチオカルバモイル基(HNC(=S)−)を包含する。
イミドイル基は、R1b−C(=NR1c)−で表される基であり、R1bおよびR1cはそれぞれ水素原子またはアルキル基が好ましく、アルキル基は上記R1aのアルキル基と同義であるのがより好ましい。例えば、ホルムイミドイル(r−37)、アセトイミドイル(r−39)、プロピオンイミドイル(CHCHC(=NH)−)等が挙げられる。なかでも、ホルムイミドイルが好ましい。
式(1B)で表すことができる基としてのアミジノ基は、上記イミドイル基のR1bがアミノ基でR1cが水素原子である構造(r−38)を有する。
1aが採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基および上記式(1B)で表すことができる基は、いずれも、置換基を有していてもよい。R1aが有していてもよい置換基Wとしては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはカルボキシ基が挙げられる。R1aが有していてもよい各置換基は、さらに置換基で置換されていてもよい。
下記に、式(1A)のR1aの具体例として下記r−1〜r−39を示すが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例において、「*」は式(1A)の窒素原子との結合部を示し、「Me」はメチル基を示し、「Et」はエチル基を示す。
Figure 0006175463
Figure 0006175463
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、金属カチオンMは、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンであって、ペロブスカイト型結晶構造を採り得る金属原子のカチオンであれば、特に限定されない。このような金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)等の金属原子が挙げられる。なかでも、金属原子MはPb原子またはSn原子が特に好ましい。Mは1種の金属原子であってもよく、2種以上の金属原子であってもよい。2種以上の金属原子である場合には、Pb原子およびSn原子の2種が好ましい。このときの金属原子の割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、アニオンXは、アニオン性原子または原子団Xのアニオンを表す。このアニオンは、好ましくはハロゲン原子のアニオン、または、NCS、NCO、CHCOOもしくはHCOOの、各原子団のアニオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子のアニオンであることがさらに好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。
アニオンXは、1種のアニオン性原子または原子団のアニオンであってもよく、2種以上のアニオン性原子または原子団のアニオンであってもよい。1種のアニオン性原子または原子団のアニオンである場合には、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。一方、2種以上のアニオン性原子または原子団のアニオンである場合には、2種のハロゲン原子のアニオン、特に塩素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンが好ましい。2種以上のアニオンの割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記の各構成イオンを有するペロブスカイト型結晶構造を有し、下記式(I)で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
式(I):A
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子または原子団を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
式(I)において、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造の上記カチオンAを形成する。したがって、周期表第一族元素およびカチオン性有機基Aは、上記カチオンAとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる元素または基であれば、特に限定されない。周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、上記カチオンAで説明した上記周期表第一族元素またはカチオン性有機基と同義であり、好ましいものも同じである。
金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造の上記金属カチオンMを形成する金属原子である。したがって、金属原子Mは、周期表第一族元素以外の原子であって、上記金属カチオンMとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子であれば、特に限定されない。金属原子Mは、上記金属カチオンMで説明した上記金属原子と同義であり、好ましいものも同じである。
アニオン性原子または原子団Xは、ペロブスカイト型結晶構造の上記アニオンXを形成する。したがって、アニオン性原子または原子団Xは、上記アニオンXとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子または原子団であれば、特に限定されない。アニオン性原子または原子団Xは、上記アニオンXで説明したアニオン性原子または原子団と同義であり、好ましいものも同じである。
式(I)で表されるペロブスカイト化合物は、aが1である場合、下記式(I−1)で表されるペロブスカイト化合物であり、aが2である場合、下記式(I−2)で表されるペロブスカイト化合物である。
式(I−1):AMX
式(I−2):AMX
式(I−1)および式(I−2)において、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、上記式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。
Mは、周期表第一族元素以外の金属原子を表し、上記式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。
Xは、アニオン性原子または原子団を表し、上記式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、式(I−1)で表される化合物および式(I−2)で表される化合物のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。したがって、本発明において、ペロブスカイト化合物は、光吸収剤として少なくとも1種が存在していればよく、組成式、分子式および結晶構造等により、厳密にいかなる化合物であるかを明確に区別する必要はない。
以下に、本発明に用いうるペロブスカイト化合物の具体例を例示するが、これによって本発明が制限されるものではない。下記においては、式(I−1)で表される化合物と、式(I−2)で表される化合物とを分けて記載する。ただし、式(I−1)で表される化合物として例示した化合物であっても、合成条件等によっては、式(I−2)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物との混合物となる場合もある。同様に、式(I−2)で表される化合物として例示した化合物であっても、式(I−1)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物との混合物となる場合もある。
式(I−1)で表される化合物の具体例として、例えば、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHPbI、CHNHPbBrI、CHNHPbBrI、CHNHSnBr、CHNHSnI、CH(=NH)NHPbIが挙げられる。
式(I−2)で表される化合物の具体例として、例えば、(CNHPbI、(CH=CHNHPbI、(CH≡CNHPbI、(n−CNHPbI、(n−CNHPbI、(C1021NHPbI、(CNHPbI、(CCHCHNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CSNHPbIが挙げられる。ここで、(CSNHPbIにおけるCSNHはアミノチオフェンである。
ペロブスカイト化合物は、下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とから合成することができる。
式(II):AX
式(III):MX
式(II)中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。式(II)中、Xはアニオン性原子または原子団を表し、式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
式(III)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。式(III)中、Xはアニオン性原子または原子団を表し、式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
ペロブスカイト化合物の合成方法については、例えば、特許文献1および2に記載の方法が挙げられる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051に記載の方法も挙げられる。
<正孔輸送層3>
本発明の光電変換素子は、光電変換素子10A〜10Cのように、第一電極1と第二電極2との間に正孔輸送層3を有することが好ましい態様の1つである。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられ、化合物層5と接触(積層)している。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層(固体正孔輸送層)である。
正孔輸送層3を形成する正孔輸送材料は、液体材料でも固体材料でもよく、特に限定されない。例えば、CuI、CuNCS等の無機材料、および、例えば特開2001−291534号公報の段落番号0209〜段落番号0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。有機正孔輸送材料としては、好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子、2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心原子を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン化合物、トリフェニレン化合物、含窒素複素環化合物または液晶性シアノ化合物が挙げられる。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン(spiro−OMeTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されないが、50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、5nm〜5μmがさらに好ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。
正孔輸送層3の膜厚は、第二電極2と化合物層15の表面または第一電極1の表面との平均距離に相当し、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
<第二電極2>
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2を形成する材料として、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)、アルミニウム(Al)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料および伝導性高分子等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、または、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが好ましい。
第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜1μmが特に好ましい。
<その他の構成>
本発明においては、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14に代えて、または、ブロッキング層14とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
<<太陽電池>>
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて構成される。例えば図1〜図4に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)および第二電極2に接続される外部回路6は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明は、例えば、特許文献1、2、J. Am. Chem. Soc., 2009,131(17),p.6050−6051およびScience,338,p.643(2012)に記載の各太陽電池に適用することができる。
本発明の太陽電池は、構成物の劣化および蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
上述したように、本発明の光電変換素子およびペロブスカイト増感太陽電池は、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物からなる層を表面に有する金属酸化物層を備えており、光電変換効率の個体間差が小さく、安定した電池性能を発揮する。
<<光電変換素子および太陽電池の製造方法>>
本発明の光電変換素子および太陽電池は、公知の製造方法、例えば特許文献1、2、J. Am. Chem. Soc., 2009,131(17),p.6050−6051、および、Science,338,p.643(2012)等に記載の方法によって製造できる。
以下に、本発明の光電変換素子および太陽電池の製造方法を簡単に説明する。
本発明の光電変換素子および太陽電池の製造方法(以下、本発明の製造方法という)は、導電性支持体上に設けた金属酸化物層を、上記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を含有する液に接触させた後に、上記各カチオンおよびアニオンを持つペロブスカイト型光吸収剤を光吸収剤として含有する感光層を形成する工程を有する。本発明の製造方法は、この工程を有していれば、その他の工程等は特に限定されない。
本発明の製造方法においては、まず、導電性支持体11に、金属酸化物層(好ましくは、ブロッキング層14および多孔質層12の少なくともいずれか)を成膜する。
ブロッキング層14は、例えば、上述の絶縁性物質またはその前駆体化合物等を含有する分散物を塗布し、焼成する方法またはスプレー熱分解法等によって、成膜できる。
多孔質層12を形成する材料は、好ましくは微粒子として用いられ、さらに好ましくは微粒子を含有する分散物として用いられる。
多孔質層12を成膜する方法としては、特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻、6595頁(2010年)に記載の方法)が挙げられる。これらの方法において、導電性支持体11の表面またはブロッキング層14の表面多孔質材料を分散させた分散物を塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間、例えば空気中で焼成することが好ましい。これにより、微粒子同士を密着させることができる。
焼成を複数回行う場合、最後の焼成以外の焼成の温度(最後以外の焼成温度)を、最後の焼成の温度(最後の焼成温度)よりも低い温度で行うのがよい。例えば、酸化チタンペーストを用いる場合、最後以外の焼成温度を50〜300℃の範囲内に設定することができる。また、最後の焼成温度を、100〜600℃の範囲内において、最後以外の焼成温度よりも高くなるように、設定することができる。支持体11aとしてガラス支持体を用いる場合、焼成温度は60〜500℃が好ましい。
多孔質層12を形成するときの、多孔質材料の塗布量は、多孔質層12の膜厚および塗布回数等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。導電性支持体11の表面積1m当たりの、多孔質材料の塗布量は、例えば、0.5〜500gが好ましく、さらには5〜100gが好ましい。
次いで、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物からなる層を金属酸化物層の表面に設ける(含有させる)。
式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を含有させる方法については、特に限定されず、例えば、少なくとも1種の化合物を含有する液を接触させる方法が挙げられる。具体的には、塗布または浸漬する湿式法が挙げられる。塗布方法は、後述する各種方法が挙げられる。また、他の方法として、上記形成液の溶剤を除去した混合物を用いた、真空蒸着などの乾式法が挙げられる。好ましくは湿式法が挙げられる。
好ましくは、例えば、金属酸化物層を、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を含有する液に浸漬し、乾燥することにより達成できる。この液は、液状の上記化合物そのものでもよく、また溶液でも懸濁液(分散液)でもよい。上記化合物の液中の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.001〜100質量%が好ましく、0.01〜100質量%がより好ましい。この場合に使用できる溶媒としては、後述する通りであり、アセトニトリルが好ましい。
塗布または浸漬時の温度は、5〜100℃であることが好ましい。
浸漬時間は、0.1秒〜24時間が好ましく、5秒〜24時間がより好ましく、20秒〜1時間がさらに好ましい。
塗布または浸漬後は、液を乾燥することが好ましい。乾燥条件は、特に限定されない。乾燥温度は、例えば、5〜300℃が好ましく、20〜150℃がより好ましい。乾燥時間は、例えば、例えば、1秒〜48時間が好ましく、1分〜5時間がより好ましい。
この工程における、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物の塗布量としては、式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物の種類等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。本発明においては、金属酸化物層の表面が式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物である程度覆われていればよく、金属酸化物層の表面が一様に覆われ、かつ式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物分子が重なり合わないことが、逆電子移動防止の観点から好ましい。
次いで、このようにして形成した化合物層上に、感光層13を設ける。
感光層13を設ける方法は、湿式法および乾式法が挙げられ、特に限定されない。本発明においては、湿式法が好ましく、例えば、ペロブスカイト型光吸収剤を光吸収剤として含有する溶液(下記光吸収剤溶液)を式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を有する金属酸化物層上に塗布(浸漬法を含む)し、必要により乾燥する方法が挙げられる。光吸収剤溶液は、ペロブスカイト型光吸収剤を含有し、場合によってはAX(式中、AおよびXは上述した通りである。)とMX(式中、MおよびXは上述した通りである。)とを含有する。この光吸収剤溶液は、AXおよびMXを混合した後に必要により加熱して調製することもできる。加熱する条件は、特に限定されないが、加熱温度は30〜200℃が好ましく、70〜150℃がさらに好ましい。加熱時間は0.5〜100時間が好ましく、1〜3時間がさらに好ましくい。この光吸収剤溶液において、MXとAXとのモル比は目的に応じて適宜に調整される。光吸収剤としてペロブスカイト化合物を形成する場合、AXとMXとのモル比は、1:1〜10:1であることが好ましい。
光吸収剤溶液の塗布条件は、特に限定されないが、例えば、5〜150℃の光吸収剤溶液を塗布、または、5〜150℃の光吸収剤に浸漬する条件が挙げられる。浸漬時間は5秒〜24時間であるのが好ましく、20秒〜1時間がより好ましい。上記乾燥は熱による乾燥が好ましく、通常は、20〜300℃、好ましくは50〜170℃に加熱することで乾燥させる。
また、上記AXを含有するAX溶液と、上記MXを含有するMX溶液とを別々に金属酸化物層上に塗布(浸漬法を含む)し、必要により乾燥する方法が挙げられる。この方法では、いずれの溶液を先に塗布してもよいが、好ましくはMX溶液を先に塗布する。この方法におけるMXとAXとのモル比、塗布条件および乾燥条件は、上記方法と同じである。この方法では、上記AX溶液および上記MX溶液の塗布に代えて、AXまたはMXを、蒸着させることもできる。
また、他の方法として、上記光吸収剤溶液の溶剤を除去した化合物または混合物を用いた、真空蒸着等の乾式法が挙げられる。例えば、上記AXおよび上記MXを、同時または順次、蒸着させる方法も挙げられる。
上記方法等により、式(I)で表されるペロブスカイト化合物がブロッキング層14または多孔質層12の表面に感光層13として設けられる。
このようにして設けられた感光層13上に、好ましくは、正孔輸送材料を含有する溶液を塗布し、乾燥して正孔輸送層3を成膜する。
正孔輸送材料を溶解した溶液は、塗布性に優れ、所望により設けた多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.1〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
正孔輸送層3を成膜した後に第二電極2を形成して、光電変換素子が製造される。
各層の膜厚は、各分散液または溶液の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調製できる。例えば、図2〜図4に示す厚い感光層13を設ける場合には、上述の分散液を複数回塗布、乾燥すればよい。
上述の各分散液および溶液は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
太陽電池の製造方法に使用する溶媒または分散媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特にこれに限定されない。本発明においては、有機溶媒が好ましく、さらに、アルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、ハロゲン溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、アセトニトリル、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、または、これらの混合溶媒が好ましい。
各層を形成する溶液または分散剤の塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷等が好ましい。
本発明の光電変換素子は、必要に応じて、アニール、ライトソーキング、酸素雰囲気下での放置等の効率安定化処理を行ってもよい。
上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1および第二電極2に外部回路6を接続して、太陽電池として用いることができる。
以下に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
合成例
下記合成例1〜3に準拠して下記実施例に用いる化合物を合成した。
(合成例1:化合物9b−2の合成)
下記スキームに従って化合物9b−2を合成した。
Figure 0006175463
化合物9b−2cの合成
DIPA(ジイソプロピルアミン)(9g)とTHF(テトラヒドロフラン)(50mL)を混合し、−50℃に冷却した後、1.6M n−BuLi(ヘキサン溶液、13.1mL)を滴下し、30分間攪拌した。続けて9b−2a(3.0g)を添加し、1時間攪拌した後、化合物9b−2b(3.5g)を滴下し、2時間攪拌した。室温まで放冷し、さらに1時間攪拌した。攪拌後、水と酢酸エチルを加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9b−2c(3.1g)を得た。
化合物9b−2dの合成
化合物9b−2c(2.0g)、CuO(60mg)、28%アンモニア水(6mL)、炭酸カリウム(220mg)およびジメチルエチレンジアミン(2mL)をエチレングリコール(20mL)中で混合し、60℃で10時間攪拌した。冷却後、酢酸エチルと水を加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9b−2d(1.1g)を得た。
化合物9b−2の合成
化合物9b−2dと57質量%のヨウ化水素の水溶液をメタノールで希釈し、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して化合物9b−2の粗体を得た。得られた化合物9b−2の粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、60℃で5時間減圧乾燥して、精製9b−2を得た。
化合物9b−2の同定
化合物9b−2の構造は質量分析法(MS)により確認した。
MS−ESI m/z= 179.2 (M+H)
(合成例2:化合物9c−1の合成)
下記のスキームに従って化合物9c−1を合成した。
Figure 0006175463
化合物9c−1cの合成
DIPA(ジイソプロピルアミン)(9g)とTHF(テトラヒドロフラン)(50mL)を混合し、−50℃に冷却した後、1.6M n−BuLi(ヘキサン溶液、12.0mL)を滴下して30分間攪拌した。続けて化合物9c−1a(4.4g)を添加し、1時間攪拌した後、化合物9c−1b(3.5g)を滴下し、2時間攪拌した。室温まで放冷し、さらに1時間攪拌した。攪拌後、水と酢酸エチルを加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9c−1c(3.6g)を得た。
化合物9c−1dの合成
化合物9c−1c(3.5g)をTHF(テトラヒドロフラン)(50mL)に溶解して−78℃に冷却した。続けて、攪拌しながら1.6M n−BuLi(ヘキサン溶液、6.8mL)を滴下し2時間攪拌した。その後、DMF(ジメチルホルムアミド)(5mL)を滴下し1時間攪拌した後、水を加え室温までゆっくりと放冷した後、酢酸エチルを加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9c−1d(2.0g)を得た。
化合物9c−1fの合成
化合物9c−1d(1.9g)、炭酸カリウム(9.7g)、化合物9c−1e(1.9g)をTHF(テトラヒドロフラン)(200mL)中、加熱還流させながら3時間攪拌した。放冷後、水と酢酸エチルを加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9c−1f(2.1g)を得た。
化合物9c−1gの合成
化合物9c−1f(2.0g)、CuCl(0.64g)をメタノール中で攪拌し0℃に冷却した。続けて、NaBH(0.46g)を添加し、2時間攪拌した。水と酢酸エチルを加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9c−1g(1.5g)を得た。
化合物9c−1hの合成
化合物9c−1g(1.4g)、CuO(50mg)、28%アンモニア水(6mL)、炭酸カリウム(200mg)およびジメチルエチレンジアミン(1.5mL)をエチレングリコール(20mL)中で混合し、60℃で10時間攪拌した。冷却後、酢酸エチルと水を加え、分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9c−1h(0.8g)を得た。
化合物9c−1の合成
化合物9c−1hと57質量%のヨウ化水素の水溶液をメタノールで希釈し、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して化合物9c−1の粗体を得た。得られた化合物9c−1の粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、60℃で5時間減圧乾燥して、精製9c−1を得た。
化合物9c−1の同定
化合物9c−1の構造は質量分析法(MS)により確認した。
MS−ESI m/z= 251.2 (M+H)
(合成例3:化合物9b−5の合成)
下記スキームに従って化合物9b−5を合成した。
Figure 0006175463
化合物9b−5cの合成
EtOH(エタノール)中の9b−5aに対し、化合物9b−5b(KNCO)を1当量加えて室温で0.5時間攪拌後、80℃に加温し、2時間攪拌した。室温まで放冷し、水と酢酸エチルを加え分液し、有機相を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9b−5cを得た。
化合物9b−5の合成
化合物9b−5cと57質量%のヨウ化水素の水溶液をエタノールで希釈し、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して化合物9b−5の粗体を得た。得られた9b−5の粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、60℃で5時間減圧乾燥して、精製9b−5を得た。
化合物9b−5の同定
化合物9b−5の構造は質量分析法(MS)により確認した。
MS−ESI m/z= 206.1 (M+H)
実施例1
(光電変換素子および太陽電池(試料No.101)の製造)
以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aおよび太陽電池を製造した。感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示される光電変換素子10Bおよび太陽電池に対応することになる。
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−エタノールで希釈して、0.02Mブロッキング層用溶液を調製した。
ガラス支持体11a(厚さ2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を成膜した導電性支持体11を準備した。
上記の0.02Mブロッキング層用溶液を用いて、スプレー熱分解法により、450℃にて、SnO導電膜上にブロッキング層14(膜厚50nm)を成膜した。
酸化チタン(TiO、アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸およびテルピネオールを加えて、酸化チタンペーストを調製した。
ブロッキング層14の上に、調製した酸化チタンペーストをスクリーン印刷法で塗布し、空気中、500℃で3時間焼成した。その後、得られた酸化チタンの焼成体を、40mMのTiCl水溶液に浸し、60℃で1時間、続けて500℃で30分間加熱し、TiOからなる多孔質層12(膜厚300nm)を成膜した。
作製した多孔質層12を有する導電性支持体を化合物2a−2の0.1Mアセトニトリル溶液に3時間浸漬させた後、50℃で、1時間乾燥して、化合物層15Aを形成した。化合物層15Aは、感光層13Aの表面に膜状に形成されていた。化合物2a−2を含有するイソプロパノール溶液を塗布した多孔質層12の表面を上記のようにしてGPC法にて確認したところ、化合物2a−2の存在量は0.5mg/mであった。
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)をフラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHNHIの粗体を得た。得られたCHNHIの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、50℃で5時間減圧乾燥して、精製CHNHIを得た。
次いで、精製CHNHIとPbIとをモル比1:1でDMF中、60℃で12時間攪拌混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Aを調製した。
ブロッキング層14上に成膜した多孔質層12および化合物層15上に調製した光吸収剤溶液Aを、スピンコート法(2000rpmで60秒)により塗布した後、ホットプレートにより100℃で60分間乾燥し、CHNHPbIのペロブスカイト化合物からなる感光層13A(膜厚310nm(多孔質層12の膜厚300nmを含む))を設けて、第一電極1Aを作製した。
正孔輸送材料としてのspiro−OMeTAD(180mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させた。このクロロベンゼン溶液に、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液37.5μLと、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とを加えて混合し、正孔輸送層用溶液を調製した。
次いで、第一電極1の感光層13A上に調製した正孔輸送層用溶液をスピンコート法により塗布、乾燥して、正孔輸送層3A(膜厚100nm)を成膜した。
正孔輸送層3A上に蒸着法により金を蒸着し、第二電極2(膜厚100nm)を作製した。
こうして、光電変換素子および太陽電池(試料No.101)を製造した。
各膜厚は、上記方法に従って、SEMにより観察して、測定した。
(光電変換素子および太陽電池(試料No.102〜112、115、201〜203、301〜318、401〜405、501〜502およびc101〜c102)の製造)
上述の多孔質層12を処理する化合物2a−2を表1〜5それぞれに記載の化合物に変更し、または化合物2a−2を使用しなかった(試料No.c101)こと以外は、光電変換素子および太陽電池(試料No.101)の製造と全く同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(102〜112、115、201〜203、301〜318、401〜405および501〜502)、ならびに、比較のための光電変換素子および太陽電池(試料No.c101、c102)をそれぞれ製造した。
得られたペロブスカイト化合物の組成を表1〜表5に示す(以下、同じ)。
また、各化合物層15Aにおける化合物の存在量は1〜50mg/mであった。
なお、表中、試料No.c102に用いた化合物S−1を以下に示す。
Figure 0006175463
(光電変換素子および太陽電池(試料No.113)の製造)
光電変換素子および太陽電池(試料No.109)の製造において、光吸収剤溶液Aに代えて下記光吸収剤溶液Bを用いたこと以外は光電変換素子および太陽電池(試料No.109)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(試料No.113)を製造した。
<光吸収剤溶液Bの調製>
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と57質量%の臭化水素の水溶液(臭化水素酸、30mL)をフラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHNHBrの粗体を得た。得られたCHNHBrの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、50℃で5時間減圧乾燥して、精製CHNHBrを得た。次いで、精製CHNHBrとPbBrとをモル比1:1でDMF中、60℃で12時間攪拌混合した後、PTFEシリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Bを調製した。
(光電変換素子および太陽電池(試料No.114)の製造)
光電変換素子および太陽電池(試料No.109)の製造において、光吸収剤溶液Aに代えて下記光吸収剤溶液Cを用いたこと以外は光電変換素子および太陽電池(試料No.109)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(試料No.114)を製造した。
<光吸収剤溶液Cの調製>
光吸収剤溶液Aの調製と同様にして得た精製CHNHIとPbClとPbIをモル比1:0.50:0.50でDMF中、60℃で12時間攪拌混合した後、PTFEシリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Cを調製した。
(光電変換素子および太陽電池(試料No.116および117)の製造)
光電変換素子および太陽電池(試料No.101)の製造において、光吸収剤溶液Aに代えて下記光吸収剤溶液Dまたは下記光吸収剤溶液Eを用いたこと以外は光電変換素子および太陽電池(試料No.101)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(試料No.116および117)をそれぞれ製造した。
<光吸収剤溶液Dの調製>
エチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と57質量%のヨウ化水素酸(30mL)をフラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHCHNHIの粗体を得た。得られた粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、60℃で12時間減圧乾燥して、精製CHCHNHIを得た。次いで、精製CHCHNHIとPbIとをモル比3:1でDMF中、60℃で5時間攪拌混合した後、PTFEシリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Dを調製した。
<光吸収剤溶液Eの調製>
ホルムアミジン酢酸塩の40%メタノール溶液(27.86mL)と57質量%のヨウ化水素酸(30mL)をフラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、HC(=NH)NHIの粗体を得た。得られた粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶し、得られた結晶をろ取し、50℃で5時間減圧乾燥して、精製HC(=NH)NHIを得た。
次いで、精製HC(=NH)NHIとPbIをモル比3:1でDMF中、60℃で12時間攪拌混合した後、PTFEシリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Eを調製した。
(光電変換素子および太陽電池(試料No.204)の製造)
光電変換素子および太陽電池(試料No.201)の製造において、光吸収剤溶液Aに代えて、光電変換素子および太陽電池(試料No.116)の製造において調製した上記光吸収剤溶液Dを用いたこと以外は、光電変換素子および太陽電池(試料No.201)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(試料No.204)を製造した。
(光電変換素子および太陽電池(試料No.319)の製造)
光電変換素子および太陽電池(試料No.308)の製造において、光吸収剤溶液Aに代えて上記光吸収剤溶液Dを用いたこと以外は光電変換素子および太陽電池(試料No.308)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(試料No.319)を製造した。
(光電変換素子および太陽電池(試料No.406)の製造)
光電変換素子および太陽電池(試料No.401)の製造において、光吸収剤溶液Aに代えて上記光吸収剤溶液Dを用いたこと以外は光電変換素子および太陽電池(試料No.401)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(試料No.406)を製造した。
(光電変換素子および太陽電池(試料No.503)の製造)
光電変換素子および太陽電池(試料No.501)の製造において、光吸収剤溶液Aに代えて上記光吸収剤溶液Dを用いたこと以外は光電変換素子および太陽電池(試料No.501)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子および太陽電池(試料No.503)を製造した。
(光電変換効率のばらつき評価)
太陽電池の試料No.ごとに光電変換効率のばらつきを以下のようにして評価した。
すなわち、各試料No.の太陽電池を同様にして10検体製造し、電池特性試験を行い、光電変換効率(η/%)を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「WXS−85H」(WACOM社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)を求めた。
試料No.ごとに、10検体の光電変換効率の平均値を算出して、平均値を「1」に設定した。この基準「1」に対する太陽電池10検体それぞれの光電変換効率(相対値)を求め、この光電変換効率(相対値)と基準との差分(絶対値)の最大値が含まれる範囲を下記基準により分級して、光電変換効率の「ばらつき」を評価した。この際、差分(絶対値)の最大値が平均値よりも高いか低いかは区別しない。
光電変換効率のばらつきは、評価がD以上である場合が本試験の合格レベルであり、好ましくはD+以上である。
A :0以上0.17以下
B :0.17を越え0.19以下
C+:0.19を越え0.21以下
C :0.21を越え0.23以下
D+:0.23を越え0.25以下
D :0.25を越え0.27以下
E :0.27を越え0.30以下
F :0.30を超える
上記光電変換効率のばらつき評価において、試料No.101の太陽電池の光電変換効率は太陽電池として十分に機能するものであった。
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
Figure 0006175463
表1〜5に示されるように、多孔質層に式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を有する本発明の太陽電池はいずれも光電変換効率のばらつきが低減されていた。光電変換効率のばらつき低減効果は、式(9)で表される化合物の場合に高まることがわかった。
太陽電池の光電変換効率のばらつきは、I群に属する基を少なくとも1つ(表1および表2)有する上記式(2)で表される化合物、芳香族炭化水素環(表1)もしくは芳香族ヘテロ環(表3)を有する上記式(5)で表される化合物、II群に属する基を2つ(表4および表5)有する上記式(3)および式(5)で表される化合物、ならびに、I群またはII群に属する基を2つ(表1)有する上記式(4)で表される化合物のいずれかの化合物を金属酸化物層の表面に有していると、改善されることが分かる。
上記ばらつきの改善効果は、I群に属する基とII群に属する基との両者を有していると、高くなることが、表1の結果から分かる。
また、連結基がフッ素原子で置換されたアルキル基または分岐アルキル基であると、上記ばらつきの改善効果が高くなることが、表1、2および5の結果から分かる。
表3の結果から、式(5)で表される化合物において、II群に属する基を有すると、またI群に属する基を有すると、さらに環Cが芳香族ヘテロ環基であると、上記ばらつきの改善効果が大きくなることが分かる。
I群に属する基に着目すると、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基およびトリシラノール基が上記ばらつきの改善効果に優れることが分かる(表1および表3)。
表4の結果から、II群に属する基はアミノ基が上記ばらつきの改善効果に優れることが分かる。
また、ペロブスカイト化合物が、上記式(I−1)で表される化合物であっても、上記式(I−2)で表される化合物であっても、同様に、ばらつきの改善効果に優れることも分かった。
これに対して、上記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を金属酸化物層の表面に有していない太陽電池(試料No.c101、c102)は光電変換効率のばらつきが大きかった。
実施例2
本例では、図3に示される光電変換素子10Cを製造して、その特性を評価した。
実施例1の光電変換素子および太陽電池の製造において、多孔質層12を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示される光電変換素子10Cおよび太陽電池をそれぞれ製造した。
製造した太陽電池の光電変換効率のばらつきを実施例1と同様にして評価したところ、いずれも、光電変換効率のばらつきが低減されていた。
実施例3
本例では、正孔輸送層を備えていない光電変換素子(図4に示す光電変換素子10D参照)および太陽電池を製造して、その特性を評価した。
実施例1の光電変換素子および太陽電池の製造において、正孔輸送層3Aを設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、光電変換素子および太陽電池を製造した。
製造した太陽電池の光電変換効率のばらつきを実施例1と同様にして評価したところ、いずれも、光電変換効率のばらつきが低減されていた。
1A、1B、1C、1D 第一電極
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A〜13C 感光層(光吸収層)
14 ブロッキング層
15A、15B 化合物層
2 第二電極
3A、3B 正孔輸送層
5 金属酸化物層
6 外部回路(リード)
10A、10B、10C、10D 光電変換素子
100A、100B、100C、100D 太陽電池を利用したシステム
M 電動モーター

Claims (18)

  1. 導電性支持体上に設けられた金属酸化物層、および、光吸収剤を前記金属酸化物層上に設けてなる感光層を有する第一電極と、該第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
    前記光吸収剤が、周期表第一族元素もしくはカチオン性有機基Aのカチオン、前記周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンおよびアニオン性原子もしくは原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
    前記金属酸化物層の表面に下記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を有する光電変換素子。
    Figure 0006175463
    式(2)において、Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは単結合または連結基を表す。Lはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または脂肪族ヘテロ環基を表す。p1は1以上の整数を表す。
    式(3)において、GおよびGは各々独立に下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。p2は1以上の整数を表す。
    式(4)において、Tは下記I群から選択される基を表す。Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。ただし、p3およびp4が1であり、かつTがカルボン酸基である場合、Jは無置換アルキレン基となることはない。p3およびp4は各々独立に1以上の整数を表す。
    式(5)において、環Cは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。Zはヘテロ原子またはNR12を表す。mは0以上の整数を表し、mが2以上のとき、Zは互いに異なっていてもよい。R11は置換基を表す。R12は水素原子または置換基を表す。Gは下記II群から選択される基を表す。Tは下記I群から選択される基を表す。JおよびJは各々独立に単結合または連結基を表す。n12は0以上の整数を表す。n14およびn15は各々独立に0以上の整数を表す。n11およびn13は各々独立に1以上の整数を表す。ただし、前記環Cの構成原子に窒素原子が一つもない場合、n14およびn15の少なくとも一方は1以上の整数を表す。qは1以上の整数を表す。
    I群:カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、およびトリシラノール基
    II群:−OR、−OYa、−SR、−SYa、−NR、および−(NRYa、この内、R、R、およびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。
  2. 前記ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が、下記式(I)で表される化合物である請求項1に記載の光電変換素子。
    式(I):A
    式中、Aは周期表第一族元素または下記式(1A)で表されるカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子もしくは原子団を表す。aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
    式(1A):R1a−NH
    式中、R1aは、置換基を表す。
  3. 前記R1aが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(1B)で表すことができる基である請求項2に記載の光電変換素子。
    Figure 0006175463
    式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1A)の窒素原子との結合部を表す。
  4. 前記式(2)〜(5)で表される化合物が、それぞれ、下記式(6)〜(9)で表される請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006175463
    式(6)において、Q11は前記I群から選択される基を表す。Jは単結合または連結基を表す。Lは分岐アルキル基またはハロゲン原子を有するアルキル基を表す。
    式(7)および(8)において、G11、G12、およびQ12は各々独立に下記IIa群から選択される基を表す。JおよびJは各々独立に連結基を表す。Tは前記式(4)のTと同義である。p2、p3、およびp4はそれぞれ前記式(3)または(4)のp2、p3、およびp4と同義である。
    式(9)において、G13は下記IIa群から選択される基を表す。n14およびn15の少なくとも一方は1以上の整数を表す。環C、Z、m、R11、T、J、J、n11、n12、n13、およびqはそれぞれ前記式(5)の環C、Z、m、R11、T、J、J、n11、n12、n13、およびqと同義である。
    IIa群:−NRおよび−(NRYa、ここでR、R、R、およびYaは前記II群のR、R、R、およびYaと同義である。
  5. 前記式(2)〜(5)および(9)のJ〜Jで表される連結基および前記式(6)〜(8)のJ〜Jで表される連結基が、下記式J−1〜式J−8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006175463
    式中、*はQ、L、G、G、T、Q、T、Gもしくは環Cとの連結部、または、前記式J−1〜式J−8のいずれかの式で表される他の連結基との連結部を表す。Dは窒素原子、N19またはCR20を表す。Dは酸素原子、硫黄原子またはNR21を表す。Mは酸素原子、硫黄原子またはNR22を表す。Zはヘテロ原子またはNR13を表す。環Pは脂肪族炭素環または脂肪族ヘテロ環を表す。R13〜R17、R19〜R22は各々独立に水素原子または置換基を表す。R18は置換基を表す。m1は0以上の整数を表す。m2は0以上の整数を表す。m3は2以上の整数を表す。
  6. 前記式(6)のJが単結合である請求項4または5に記載の光電変換素子。
  7. 前記式(7)のJおよび前記式(8)のJが各々独立に前記式J−1で表される連結基または式J−1で表される連結基を2〜4個組み合わせてなる連結基であって、前記式J−1中のR14およびR15のうち少なくとも一つがハロゲン原子、アルキル基またはハロゲン原子を有するアルキル基を表す請求項5に記載の光電変換素子。
  8. 前記式(8)において、p3およびp4のいずれか1つが2以上の整数を表す請求項4または5に記載の光電変換素子。
  9. 前記式(5)または式(9)において、n14およびn15が各々独立に1以上の整数を表す請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 前記式(5)または式(9)において、R11が分岐アルキル基、ハロゲン原子またはハロゲン原子を有する基である請求項1〜5および9のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  11. 前記I群が硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、およびトリシラノール基である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  12. 前記式(I)のMが鉛およびスズからなる群より選択される少なくとも1種の金属カチオンである請求項2〜11のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  13. 前記式(I)のXがハロゲン原子である請求項2〜12のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  14. 前記式(1A)においてR1aが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基またはアミジノ基である請求項2〜13のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  15. 前記金属酸化物層として、前記導電性支持体と前記感光層との間に多孔質層を有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  16. 前記第一電極と前記第二電極の間に正孔輸送層を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
  18. 導電性支持体上に設けた金属酸化物層を、下記式(2)〜(5)のいずれかの式で表される化合物を含有する液に接触させた後に、周期表第一族元素もしくはカチオン性有機基Aのカチオン、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンおよびアニオン性原子もしくは原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を光吸収剤として含有する感光層を形成する光電変換素子の製造方法。
    Figure 0006175463
    式(2)において、Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは単結合または連結基を表す。Lはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または脂肪族ヘテロ環基を表す。p1は1以上の整数を表す。
    式(3)において、GおよびGは各々独立に下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。p2は1以上の整数を表す。
    式(4)において、Tは下記I群から選択される基を表す。Qは下記I群または下記II群から選択される基を表す。Jは連結基を表す。ただし、p3およびp4が1であり、かつTがカルボン酸基である場合、Jは無置換アルキレン基となることはない。p3およびp4は各々独立に1以上の整数を表す。
    式(5)において、環Cは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。Zはヘテロ原子またはNR12を表す。mは0以上の整数を表し、mが2以上のとき、Zは互いに異なっていてもよい。R11は置換基を表す。R12は水素原子または置換基を表す。Gは下記II群から選択される基を表す。Tは下記I群から選択される基を表す。JおよびJは各々独立に単結合または連結基を表す。n12は0以上の整数を表す。n14およびn15は各々独立に0以上の整数を表す。n11およびn13は各々独立に1以上の整数を表す。ただし、前記環Cの構成原子に窒素原子が一つもない場合、n14およびn15の少なくとも一方は1以上の整数を表す。qは1以上の整数を表す。
    I群:カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ボロン酸基、ケイ酸基、シラノール基、ジシラノール基、およびトリシラノール基
    II群:−OR、−OYa、−SR、−SYa、−NR、および−(NRYa、この内、R、R、およびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。
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