JP6473774B2 - 組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、組成物、及びその使用に関する。
近年、有機無機金属ハロゲン化物が太陽電池などの様々な用途で注目されている。非特許文献1では、メチルアンモニウムカチオン、鉛カチオン(Pb2+)、ヨウ素アニオン、及びチオシアン酸アニオンからなる化合物が、バンドギャップが2.04eVであることが記載されている。
J. Phys. Chem. Lett. 2016, 7, 1213.
しかしながら、非特許文献1に記載の化合物は、例えば、太陽光に多く含まれる、より長波長の光を利用し、光吸収特性を向上させるために有利である観点から、よりバンドギャップの小さな材料の開発が求められている。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、より光吸収特性に優れる組成物、及びその利用方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、所定のカチオンと所定のアニオンを含む組成物とすることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は下記のとおりのものである。
[1]
カチオンとアニオンとを含む結晶性粒子を有する組成物であって、
前記カチオンの10モル%以上95モル%以下が第14族元素カチオンであり、
前記カチオンの5モル%以上90モル%以下が対カチオンであり、ここで、当該対カチオンが、2種類以上のカチオンを含み、
前記アニオンの5モル%以上95モル%以下が第17族元素アニオンであり、
前記アニオンの5モル%以上95モル%以下が分子アニオンであり、
前記結晶性粒子が、前記第17族元素アニオンに対して前記第14族元素カチオンが6配位した八面体構造を有し、かつ、当該八面体同士が頂点共有して少なくとも合計4つの八面体が連なっている構造を有する、組成物。
[2]
前記カチオンの10モル%以上80モル%以下が前記対カチオンである、[1]に記載の組成物。
[3]
前記対カチオンの1モル%以上99モル%以下が分子カチオンである、[1]又は[2]のいずれかに記載の組成物。
[4]
前記分子カチオンが有機アンモニウムカチオンを含む、[3]に記載の組成物。
[5]
前記分子カチオンがホルムアミジニウムカチオンを含む、[3]又は[4]に記載の組成物。
[6]
前記対カチオンの1モル%以上99モル%以下が第一族元素カチオンである、[1]又は[2]に記載の組成物。
[7]
前記第一族元素カチオンがセシウムカチオンである、[6]に記載の組成物。
[8]
前記対カチオンが、1モル%以上99モル%以下の分子カチオン及び1モル%以上99モル%以下の第一族元素カチオンを含む、[1]又は[2]に記載の組成物。
[9]
前記アニオンの10モル%以上80モル%以下が前記第17族元素アニオンである、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]
前記第17族元素アニオンが、塩素アニオン、臭素アニオン及びヨウ素アニオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]
前記アニオンの10モル%以上80モル%以下が、前記分子アニオンである、[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]
前記分子アニオンが有機分子アニオンである、[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]
前記分子アニオンが窒素を含む、[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]
前記分子アニオンがシアン酸アニオン、チオシアン酸アニオン及びセレノシアン酸アニオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]
前記カチオンの15モル%以上80モル%以下が前記第14族元素カチオンである、[1]〜[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]
前記第14族元素カチオンが、錫カチオン及び鉛カチオンの少なくとも一方を含む、[1]〜[15]のいずれかに記載の組成物。
[17]
形態が粒子である、[1]〜[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]
形態が薄膜である、[1]〜[16]のいずれかに記載の組成物。
[19]
[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、
非プロトン性極性溶剤と、前記対カチオンと、前記第14族元素カチオンと、前記第17族元素アニオンと、前記分子アニオンとを含む溶液であって、前記第17族元素アニオンと前記第14族元素カチオンのモル比(第17族元素アニオン/第14族元素カチオン)が0.1以上5以下であり、かつ、前記分子アニオンと前記第14族元素カチオンのモル比(分子アニオン/第14族元素カチオン)が0.1以上5以下である溶液を調製する工程と、
前記溶液から溶剤を除去する工程と、
を含む、組成物の製造方法。
[20]
前記溶液を0℃以上150℃以下で加熱する工程をさらに含む、[19]に記載の組成物の製造方法。
[21]
[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物の、半導体材料としての使用。
[22]
[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物の、太陽電池材料としての使用。
[23]
[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物の、太陽電池の光吸収層としての使用。
[24]
[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物の、光センサーとしての使用。
[25]
[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物の、発光材料としての使用。
本発明に係る組成物は、光吸収特性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態の組成物は、カチオンとアニオンとを含む結晶性粒子を有する組成物であって、前記カチオンの10モル%以上95モル%以下が第14族元素カチオンであり、前記カチオンの5モル%以上90モル%以下が対カチオンであり、ここで、当該対カチオンが、2種類以上のカチオンを含み、前記アニオンの5モル%以上95モル%以下が第17族元素のアニオンであり、前記アニオンの5モル%以上95モル%以下が分子アニオンであり、前記結晶性粒子が、前記第17族元素アニオンに対して前記第14族元素カチオンが6配位した八面体構造を有し、かつ、当該八面体同士が頂点共有して少なくとも合計4つの八面体が連なっている構造を有する。
このように構成されているため、本実施形態の組成物は、光吸収特性に優れる。なお、本明細書において、「光吸収特性に優れる」とは、少なくとも、バンドギャップがより小さく、より長波長の光を吸収できることを意味する。
なお、本実施形態の組成物は、分子アニオンを含む。分子アニオンは、その立体的及び/又は静電的な効果によって、分子アニオンを含まない組成物とは大きく異なる特性を示す傾向にあるが、本発明者らが鋭意研究し実験を重ねた結果、対カチオンを2種類以上含ませることで、光吸収特性を向上できることを見出した。
(組成物)
本実施形態の組成物は、上記のとおり、カチオンとアニオンとを含み、前記カチオンの10モル%以上95モル%以下が第14族元素カチオンである。光吸収特性に有利となる、及び/又は価電子帯や伝導帯を形成する状態密度がより大きくなる観点から、前記14族元素カチオンの含有量は15モル%以上が好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。吸光係数が大きくなることは、集合体が効率良く照射された光を吸収するために有利であり、状態密度が高くなると、吸光係数の増大などに有利となる。また、対カチオンを多く含むことができる観点から、第14族元素カチオンの含有量は80モル%以下が好ましく、75%以下がより好ましく、65モル%以下がさらに好ましい。
前記14族カチオンは、特に限定されないが、例えば、Si4+、Ge2+、Ge4+、Sn2+、Sn4+、Pb2+が挙げられ、前記対カチオンは、前記第14族カチオンと前記第17族元素アニオンとの八面体構造の形成に有利である観点、前記第14族カチオンとアニオンとの共有結合性を大きくすることで、それぞれの状態密度を広げることなどに有利である観点から、2価のカチオンであることが好ましく、具体的には、Ge2+、Sn2+、Pb2+などが好ましい。また、酸化に対して比較的安定である観点から、Sn2+、Pb2+がより好ましく、Pb2+がさらに好ましい。上記のとおり、本実施形態においては、第14族元素カチオンが、錫カチオン及び鉛カチオンの少なくとも一方を含むことが特に好ましい。
本実施形態における組成物には、含まれるカチオンうち、5モル%以上90モル%以下の、前記第14族元素かつ3周期以降のカチオン以外のカチオン(本明細書中、「対カチオン」とも表記する)が少なくとも2種類含まれる。対カチオンを含むことで、前記第14族元素カチオンの配列を制御できる。第14族元素カチオンの配列を制御することで、光励起キャリアの熱緩和がより抑制され、発光や光起電力の生成に有利となる傾向にある。前記第14族元素カチオンの配列に有利である観点から、組成物に含まれる対カチオンは、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましい。また、前記第14族元素カチオンを多く含むことができる観点から、80モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。
本実施形態において、対カチオンは2種類以上含まれる。2種類以上含むことで、光吸収特性を向上させることができる。2種類以上の対カチオンは、それぞれが、単一元素カチオン、分子カチオンなどのいずれかでよく、対カチオンは2種類以上の単一元素カチオンのみを含むものであってもよく、2種類以上の分子カチオンのみを含むものであってもよい。さらに、組成物に含まれる分子アニオンと共に、対カチオンが2種類以上含まれることで、動作安定性に優れる。前記「動作安定性に優れる」とは、比較的低温下で、前記第17族元素アニオンに対して前記第14族元素カチオンが6配位した八面体構造であって、当該八面体同士が頂点共有して少なくとも合計4つの八面体が連なっている構造を有すること、などを意味する。本実施形態において、前記「比較的低温」とは、0℃以上150℃以下を意味するものとし、好ましくは0℃以上130℃以下、より好ましくは0℃以上110℃以下を意味する。前記結晶構造が高温相であると、室温での使用時(電圧を印加された際、光励起キャリアを生成した際、など)に、相転移などを生じる可能性がある。そのため、低温で製造できる低温相であることによって、動作安定性に優れることとなる。特に、分子アニオンを含み、疎水性を有しつつ、動作安定性に優れるためには、本実施形態の対カチオンを2種類以上含むことが重要である。これに加えて、低温で製造できる低温相であることは、該組成物の基材に求められる耐熱性を緩和することができ、基材の自由度を改善できる長所も有する。
本実施形態においては、熱的安定性や原料の製造が容易である観点から、無機物カチオンが、組成物を構成する対カチオンに含まれることが好ましい。無機物元素には、金属クラスターカチオンや、単一元素カチオンが挙げられる。また、熱的安定性や原料の製造が容易である観点から、単一元素カチオンが、組成物を構成する対カチオンに含まれることが好ましい。前記対カチオンに含まれる単一元素カチオンは、前記観点から、化合物を構成するカチオンのうち、1モル%以上含むことが好ましく、5モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましく、10モル%以上がよりさらに好ましい。
電気陰性度が小さくカチオン性が強いこと、及び/又はイオン半径が結晶構造形成に有利である観点から、第1族元素〜第3族元素からなる群より選択される単一元素カチオンを対カチオンとして含むことが好ましい。第1族元素〜第3族元素からなる群より選択される単一元素カチオンは、第14族カチオンの配列に有利である観点から、組成物のカチオン中に1モル%以上含むことが好ましく、5モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましく、30モル%以上がよりさらに好ましく、第14族元素カチオンが多いほど、光吸収に有利である観点から、第1族元素〜第3族元素からなる群より選択される単一元素カチオンは、80モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。
対カチオンが単一元素カチオンの場合、s0の電子配置となることで、対カチオン元素の価電子帯や伝導帯への混成を少なくし、第14族元素カチオンの配列を制御できる観点から、第1族元素〜第3族元素からなる群より選択されるいずれかの元素が好ましく、s0の電子配置となったときのイオン半径が大きくなることで、配列する第14族元素カチオンの電子状態を非局在化できる観点から、第1族元素及び第2族元素からなる群より選択されるいずれかの元素がより好ましく、第1族元素からなる群より選択されるいずれかの元素がさらに好ましい。具体的には、リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、ランタン、セリウム、スカンジウムなどが挙げられ、1価のカチオンであることが、結晶形成に有利である観点から、リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウムなどが好ましく、イオン半径が大きいほど光吸収特性に有利である観点から、ルビジウム、セシウムがさらに好ましく、セシウムがよりさらに好ましい。上記のとおり、本実施形態において、対カチオンの1モル%以上100モル%以下が第一族元素カチオンであることが一層好ましく、当該第一族元素カチオンがセシウムカチオンであることがより一層好ましい。
対カチオンが分子カチオンのとき、分子カチオンは金属クラスターや、有機分子由来のカチオン(有機分子カチオン)であることが好ましい。分子を構成する元素が豊富である観点や、分子自体が安定である観点から、有機分子カチオンであることが好ましい。また、アンモニウムイオンやアミンカチオンが、構成する窒素元素が豊富である、比較的小さなカチオンである観点から好ましい。特に、アンモニウムカチオンを含む有機分子カチオン群に属するカチオン(有機アンモニウムカチオン)であることが好ましい。有機分子カチオンを対カチオンに含むことは、組成物をより柔軟とするとことができる観点、結晶化が容易となる観点から、好ましい。本明細書中、有機分子カチオンとは、構成元素に炭素を含む分子カチオンを指す。ここで、有機分子カチオンを構成する炭素数は、化合物の形成がより容易である観点から、1以上10以下が好ましい。また、有機分子カチオンを構成する窒素数は、多すぎると化合物中での有機分子カチオンの自由度が小さくなる観点から、1以上3以下が好ましい。対カチオンに含まれる有機分子カチオンは、バンドギャップを大きくするために有利である観点、耐熱性、耐酸化性に有利である観点から、一つの分子を構成する炭素と窒素の和が2以上であることがより好ましい。化合物内でのキャリアの移動や、第14族元素カチオンの電子状態をより非局在化させるために有利である観点から、一つの有機分子を構成する炭素と窒素の和が11以下であることが好ましく、8以下がより好ましい。化合物の結晶構造をひずませないために有利である観点から、対称性の高い有機分子が好ましい。本実施形態において、結晶内での移動に有利である、結晶に柔軟性を付与できる観点から、対カチオンの1モル%以上が分子カチオンであることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、26モル%以上であることがさらに好ましい。また、第一族元素カチオンを十分に含むことができる観点から、対カチオンの99モル%以下が分子カチオンであることが好ましく、85モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。
前記分子カチオンの具体例としては、以下に限定されないが、アンモニウムカチオン、メチルアンモニウムカチオン、エチルアンモニウムカチオン、プロピルアンモニウムカチオン、ブチルアンモニウムカチオン、ペンタアンモニウムカチオン、ヘキサアンモニウムカチオン、ジメチルアンモニウムカチオン、ジエチルアンモニウムカチオン、ジプロピルアンモニウムカチオン、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオン、アセトアミジニウムカチオン、グアニジウムカチオン、イミダゾールカチオン、アニリンカチオン、及びこれらの異性体などが挙げられ、イオン半径が小さいほど第14族元素カチオンを緻密に配列できる観点から、アンモニウムカチオン、メチルアンモニウムカチオン、エチルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオンがより好ましく、組成物が光吸収特性に有利である観点から、有機分子カチオンが特に好ましく、具体的には、メチルアンモニウムカチオン、エチルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオンが好ましく、ホルムアミジニウムカチオンがさらに好ましい。
対カチオンは、バンドギャップを小さくするために有利である観点から、第一族元素カチオンと、分子カチオンを共に含むことが好ましく、具体的には、ホルムアミジニウムカチオンとセシウムカチオンを共に含むことが好ましい。
組成物を構成するアニオンは、含まれるアニオンの総量(100モル%)に対して、第17族元素のアニオンを5モル%以上95モル%以下含む。第17族元素のアニオンをより多く含むことで、組成物に含まれるカチオンとアニオンのイオン結合性が増し、結晶の形成に有利になる観点から、5モル%以上含むことが重要である。結晶のイオン結合性が増す観点から、第17族元素を15モル%以上含むことが好ましく、35%以上含むことがより好ましい。分子アニオンを十分に含むことができる観点から、95モル%以下であり、80モル%以下がより好ましい。具体的な第17族元素としては、特に限定されないが、例えば、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等が挙げられ、光吸収特性に優れるために有利である観点から、ヨウ素、臭素、塩素が好ましく、結晶化に有利である観点からヨウ素がより好ましい。
組成物を構成するアニオンは、含まれるアニオンの総量(100モル%)に対して、分子アニオンを5モル%以上95モル%以下含む。分子アニオンをより多く含むことで、結晶生成エネルギーの増加、疎水性の向上、結晶中の欠陥の減少、薄膜の緻密性の向上など有利になる観点から、5モル%以上含むことが重要である。結晶のイオン結合性が増す観点から、分子アニオンを15モル%以上含むことがより好ましく、35%以上含むことがさらに好ましい。第17族元素アニオンを十分に含むことができる観点から、95モル%以下であり、80モル%以下がさらに好ましい。具体的な分子アニオンとしては、特に限定されないが、例えば、有機分子アニオンや、窒素を含む分子アニオンなどが挙げられる。本実施形態における前記「有機分子アニオン」とは、炭素を含むアニオンなどを意味する。具体的には、シアン化物アニオン、シアン酸アニオン、チオシアン酸アニオン、セレノシアン酸アニオン、CH3COO-アニオン、CF3COO-アニオンなどが挙げられる。本実施形態において、結晶生成エネルギーの増加、疎水性の向上、結晶中の欠陥の減少、薄膜の緻密性の向上など有利になる観点から、分子アニオンがシアン酸アニオン、チオシアン酸アニオン、セレノシアン酸アニオンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくは、チオシアン酸アニオンである。
構成アニオンに分子アニオンを含む組成物に、2種類以上の対カチオンを含むことで、結晶中の対カチオンのサイトが不均化される。この不均化によって、アニオンとして比較的嵩高い分子アニオンを含む結晶の歪みを緩和することができる。その結果、本実施形態の所定の構成を満たすことで、組成物に含まれる結晶性粒子の結晶性の向上、疎水性の向上、欠陥の減少、耐熱性の向上などの効果を得ることができる。
本実施形態において、組成物は結晶性粒子を含み、当該結晶性粒子が、前記第17族元素アニオンに対して前記第14族元素カチオンが6配位した八面体構造を有し、かつ、当該八面体構造の少なくとも4つ以上が頂点共有して共に連なっている構造を有する。バンドギャップを小さくできる観点から、連なる前記八面体構造の数は、9以上が好ましく、16以上がより好ましい。その際、観測される結晶子径としては、14Å以上であることが好ましく、20Å以上であることがより好ましく、30Å以上であることがさらに好ましい。前記前記第17族元素アニオンに対して前記第14族元素カチオンが6配位した八面体構造を有し、かつ、当該八面体構造の少なくとも4つ以上が頂点共有して共に連なっている構造として、具体的にはペロブスカイト構造などが好ましい。
この結晶構造ないし結晶子径は、X線結晶構造解析や透過型電子顕微鏡像の格子像などにより評価することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に基づいて評価することができる。また、上記結晶構造は、例えば、後述する好ましい組成物の製造方法に従う等により得ることができる。
組成物に含まれる化合物のバンドギャップは、長波長の光を利用できる観点から、小さいことが好ましい。特に、太陽光の利用のためには、長波長の光の利用が重要となる。具体的には、2.0eV以下が好ましく、1.9eV以下がより好ましい。組成物に複数種類の化合物が含まれる場合、含まれる材料のうち一番小さなバンドギャップを有する化合物のバンドギャップが小さいことが、長波長の光を利用するために重要である。
耐水性に有利である観点や、疎水性の基板上への塗布の有利性から、組成物は、疎水性であることが好ましい。疎水性であることの評価は、例えば、後述する実施例に記載の方法等により確認することができる。
本実施形態の組成物は、様々な形態をとりうるが、取り扱いが容易である観点や、積層構造に有利である観点から、粒子や薄膜の形態であることが好ましい。
(組成物の製造方法)
本実施形態の組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する原料を用い、所定の工程を経るものとすることができる。本実施形態の組成物の原料としては、該組成物を構成するカチオン元素を含む物質、及び構成するアニオン元素を含む物質が好ましい。特に、非プロトン性極性溶剤と、前記対カチオンと、第14族元素カチオンと、前記第17族元素アニオンと、前記分子アニオンとを含む溶液であって、前記第17族元素アニオンと前記第14族元素カチオンのモル比(第17族元素アニオン/第14族元素カチオン)が0.1以上5以下であり、かつ、前記分子アニオンと前記第14族元素カチオンのモル比(分子アニオン/第14族元素カチオン)が0.1以上5以下である溶液を調製する工程と、前記溶液から溶剤を除去する工程と、を含むことが好ましい。
上記組成物について、具体的には、ハロゲン化金属、擬ハロゲン化物、アンモニア化合物、塩基とハロゲン化水素との塩などを原料とすることが好ましく、製造が比較的容易である観点から、擬ハロゲン化物を用いることがより好ましい。前記ハロゲン化金属を構成するハロゲン種は、新IPACの周期表における第17族元素が好ましく、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが好ましい。イオン結合性が小さいほど、結合解離に有利である観点から、ヨウ素、臭素、塩素が好ましく、ヨウ素、臭素がより好ましく、ヨウ素が最も好ましい。前記擬ハロゲン化金属を構成するアニオンは、シアン化物アニオン、シアン酸アニオン、チオシアン酸アニオン、セレノシアン酸アニオン、CH3COO-アニオン、CF3COO-アニオンなどが挙げられ、チオシアン酸アニオンが好ましい。
上記塩基とハロゲン化水素との塩の具体例としては、以下に限定されないが、メチルアミン・ヨウ化水素塩、メチルアミン・臭化水素塩、メチルアミン・塩化水素塩、エチルアミン・ヨウ化水素塩、エチルアミン・臭化水素塩、エチルアミン・塩化水素塩、プロピルアミン・ヨウ化水素塩、プロピルアミン・臭化水素塩、プロピルアミン・塩化水素塩、ブチルアミン・ヨウ化水素塩、ブチルアミン・臭化水素塩、ブチルアミン・塩化水素塩、ペンタアミン・ヨウ化水素塩、ペンタアミン・臭化水素塩、ペンタアミン・塩化水素塩、ヘキサアミン・ヨウ化水素塩、ヘキサアミン・臭化水素塩、ヘキサアミン・塩化水素塩、アンモニア・ヨウ化水素塩、ジメチルアミン・ヨウ化水素塩、ジメチルアミン・臭化水素塩、ジメチルアミン・塩化水素塩、ジエチルアミン・ヨウ化水素塩、ジエチルアミン・臭化水素塩、ジエチルアミン・塩化水素塩、ジプロピルアミン・ヨウ化水素塩、ジプロピルアミン・臭化水素塩、ジプロピルアミン・塩化水素塩、トリメチルアミン・ヨウ化水素塩、トリメチルアミン・臭化水素塩、トリメチルアミン・塩化水素塩、トリエチルアミン・ヨウ化水素塩、トリエチルアミン・臭化水素塩、トリエチルアミン・塩化水素塩、ホルムアミジン・塩化水素塩、ホルムアミジン・ヨウ化水素塩、ホルムアミジン・臭化水素塩、アセトアミジン・塩化水素塩、アセトアミジン・ヨウ化水素塩、アセトアミジン・臭化水素塩、グアニジン・塩化水素塩、グアニジン・ヨウ化水素塩、グアニジン・臭化水素塩、イミダゾール・塩化水素塩、イミダゾール・ヨウ化水素塩、イミダゾール・臭化水素塩、アニリン・臭化水素塩、アニリン・塩化水素塩、などが挙げられ、より具体的には、ホルムアミジン・塩化水素塩、ホルムアミジン・ヨウ化水素塩、ホルムアミジン・臭化水素塩、アセトアミジン・塩化水素塩、アセトアミジン・ヨウ化水素塩、アセトアミジン・臭化水素塩、グアニジン・塩化水素塩、グアニジン・ヨウ化水素塩、グアニジン・臭化水素塩、イミダゾール・塩化水素塩、イミダゾール・ヨウ化水素塩、イミダゾール・臭化水素塩などが挙げられる。
本実施形態の組成物は、溶剤を用いない方法、又は溶剤を用いる方法により製造することもできる。溶剤を用いない方法として、以下に限定されないが、例えば、蒸着法、固相法などが挙げられる。組成が均一な化合物を製造する観点から、本実施形態の組成物は、溶剤を用いる方法、すなわち、前記原料を溶剤に溶解させた溶液から、溶剤を除去することで結晶化させる方法で製造することが好ましい。すなわち、本実施形態に係る組成物の製造方法は、上述した所定のカチオンとアニオンとを含む物質を、非プロトン性有機溶剤に溶解させて溶液を得る工程と、当該溶液から溶剤を除去する工程と、を含むことが好ましい。上記において、原料となる第14族元素ハロゲン化物の溶解に有利である観点から、溶剤として非プロトン性有機溶剤を用いる。具体的には、ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記す。)、ジメチルスルホキシド(以降、DMSOと記す。)、γブチロラクトンなどが好ましく、第14族元素ハロゲン化物の溶解に優れる観点から、DMF、DMSOがより好ましい。
前記溶液には、組成物に含まれる対カチオンと、第14族元素カチオンと、第17族元素アニオンと、分子アニオンが含まれることが好ましい。第17族元素アニオンと、第14族元素カチオンとのモル比(第17族元素カチオン/第14族元素カチオン)は、0.1以上5以下が好ましく、0.5以上4以下がより好ましく、1以上3以下がさらに好ましい。前記分子アニオンと、第14族元素カチオンとのモル比(分子アニオン/第14族元素カチオン)は、0.1以上5以下が好ましく、0.5以上4以下がより好ましく、1以上3以下がさらに好ましい。上記のように調製された溶液から溶剤を除く工程をさらに実施することで組成物を製造する方法がとりわけ好ましい。前記溶液から溶剤を除く工程としては、特に限定されないが、例えば、加熱により溶剤を蒸発除去する工程、貧溶媒と接触や混合することで、良溶媒である溶剤を除去する工程が挙げられる。
上記で調製された溶液の加熱温度は、0℃以上150℃以下が好ましく、0℃以上130℃以下がより好ましく、0℃以上110℃以下がさらに好ましい。このような加熱温度で組成物が得られる場合、当該組成物は動作安定性に優れるために有利であるといえる。
該組成物を製造するための原料の固定化、例えば薄膜形態の組成物の製造方法としては、以下に限定されないが、溶液を用いた、スピンコート法、スプレー法、液相反応法などが挙げられる。溶液の引火などの危険性が少ない、及び/又は調製方法の調整が容易である観点から、スピンコート法が好ましい。また、過剰な溶媒の除去や、核生成を促進する観点から、貧溶媒を用いて結晶生成をすることが好ましい。貧溶媒は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、クロロベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
該組成物を製造する雰囲気は、特に限定されず、例えば、大気中や不活性雰囲気中で調製できるが、より簡便に調製できる観点から、大気中で調製することが好ましい。
(用途)
本実施形態の組成物は、半導体材料として利用することができる。本実施形態における半導体材料とは、価電子帯上端と伝導帯下端とのエネルギー差を有する材料などが挙げられる。
該組成物は、他の用途に用いることもできる。具体的には、電子又は正孔又はイオンを伝導する材料や、光吸収による光励起キャリアの生成を利用する材料、及びその再結合による発光を利用する材料などであり、より具体的には、太陽電池材料用、太陽電池の光吸収層用、光センサー用、光触媒用、発光材料、イオン伝導材料、導電性材料、圧電素子、パワーデバイスなどである。本実施形態でのイオンとは、該材料を構成するカチオン又はアニオンのことを指す。太陽光に含まれる光子のエネルギーを利用できる観点から、太陽電池の光吸収層用の化合物であることが好ましい。また、希土類元素由来の蛍光を利用することができる観点から、発光材料としての利用が好ましい。さらに、特定波長の光を利用できる観点から、光センサーとして利用することが好ましい。
本実施形態の組成物は、優れた光吸収特性を有するため、該組成物を含む太陽電池セル、特光吸収層に該組成物を含む太陽電池セルとして適用することが好ましく、さらに、光電流密度、開放電圧、フィルファクターの少なくとも一つを向上させることができる。さらに、当該組成物が有する光吸収特性と前記太陽電池セルとしての各パラメーターの向上と相俟って太陽光変換効率を向上させることができる。
(構成)
本実施形態の組成物は、キャリア移動の異方性に優れる観点から、電子輸送材と接触していることが好ましい。ここでいう電子輸送材とは、電子の有効質量の方が、正孔のものよりも小さい半導体などであり、電子の輸送に有利な材料などである。該組成物が薄膜のとき、接触面積を大きくすることで電子の移動に有利となる観点から、接触している電子輸送材も薄膜であることが好ましい。電子輸送材には、有機物や無機物を含む態様が挙げられるが、強度が高いことで、該組成物と合わせた強度が高くなる観点から、電子輸送材は無機物を含むことが好ましく、物性の調整が比較的容易である観点から、金属化合物であることがより好ましい。大気中で比較的容易に製造、及び保存できる観点から、電子輸送材は金属酸化物であることが、さらに好ましい。金属酸化物の具体例としては、以下に限定されないが、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムなどを挙げることができ、電子の有効質量が小さい観点から、酸化チタン及び酸化ニオブが好ましく、材料が豊富で安価である観点から、酸化チタンがとりわけ好ましい。電子輸送材のピンホールなどの欠陥を少なくする観点から、電子輸送材に、前駆体材料を吸着、反応させる処理を施すことが好ましい。具体的には、塩化チタン種を電子輸送材に吸着後、加水分解させ酸化チタンを結着させる処理(以降、TiCl4処理と記す。)を施すことが好ましい。
本実施形態の組成物は、キャリア移動の異方性を有することができる観点から、正孔輸送材と接触していることが好ましい。ここでいう正孔輸送材とは、正孔の有効質量の方が電子のものよりも小さい半導体などであり、正孔の輸送に有利な材料などである。該組成物が薄膜のとき、接触面積を大きくすることで電子の移動に有利となる観点から、接触している正孔輸送材も薄膜であることが好ましい。正孔輸送材は、有機物や無機物を含むことが挙げられるが、材料が柔らかいことで、曲りによる膜の欠陥を形成しにくくなる観点から、正孔輸送材は有機物を含むことが好ましく、有機物の具体例としては、有機分子の集合体や、有機高分子が挙げられる。より具体的には、Spiro−OMeTAD、P3HT、PTAA、TPD、NPD、TCTAなどが挙げられ、HOMOの準位が比較的深く、p型材料とオーミックコンタクトを形成することに有利であることや、キャリア密度を高くでき、正孔の輸送に有利とできることや、起電圧を大きくできる観点から、Spiro−OMeTADが好ましい。Spiro−OMeTADはLiTFSIや酸化材を混合するなどして、ドープ処理を施したものが、導電性に優れる観点から好ましい。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、これらの実施例と比較例によって何ら限定されるものではない。後述する実施例及び比較例における物性、反応条件、及び生成物の同定は、以下に示す方法により、測定及び設定した。
(含カチオン量と含アニオン量)
薄膜に含まれる第14族カチオン量、対カチオン量、ハロゲンアニオン量、及び分子アニオン量は、調製した薄膜をSEM−EDX(SEM:SU−70,日立製作所社製、EDX:EMAX X−max,堀場製作所社製)により評価することによって求めた。
(結晶構造)
薄膜を構成する結晶性粒子の結晶構造、特に、結晶性粒子が第17族元素アニオンに対して第14族元素カチオンが6配位した八面体構造を有し、かつ、当該八面体構造の少なくとも4つ以上が頂点共有して共に連なっている構造を有することは、X線回折装置(D8・ブルカー社製)を用いて測定したX線回折(XRD)パターンから評価した。特に、Pb2+と、I-またはSCN-とによる八面体構造が頂点共有していることは、回折ピークの2θが13〜15°(d=5.9〜6.8Å)に存在することから評価し、当該八面体が頂点共有して少なくとも4つ以上が共に連なっている構造は、前記d値に対し、結晶子径が十分に大きい(結晶子径14Å以上)ことから判定した。前記八面体構造が頂点共有しており、かつ、当該八面体が頂点共有して少なくとも4つ以上が共に連なっている構造である場合は表1の「頂点共有八面体構造」に○を記し、前記いずれかを満たしていない場合は×と記した。
(バンドギャップ)
各例で調製された薄膜に対して下記のように測定された吸光度を縦軸とし、横軸を波長としたグラフのベースラインと減衰曲線の接線の交点をこの材料の吸収端とし、この吸収端の波長から、下記の式からバンドギャップエネルギーを算出した。
(バンドギャップエネルギー)=1240/(吸収端の波長)
なお、薄膜の吸光度は、スペクトロフォトメーター U4100(日立製作所社製)を用いて、スキャン速度300nm/分で測定を行った。
(加熱温度)
各例において、基板滴下後の溶液を加熱した際の温度を「加熱温度」とし、表1に示す。
(疎水性)
各例で調製された溶液1〜4を、それぞれ、UV−オゾン処理を施した親水性の石英基板に塗布し、100℃で加熱することで溶剤除去して組成物の薄膜を得た。目視にて、これらの薄膜が基板に濡れ性を示した場合は疎水性×とし、薄膜が基板にはじかれた場合は疎水性○、と評価した。
下記に示すとおり、実施例1及び比較例1〜3に係る薄膜を調製し、その物性の評価を行った。
(実施例1)
溶剤としてDMFを用い、これに1.0Mのホルムアミジン・ヨウ化水素塩と、1.0Mのヨウ化セシウムと、1.0Mのチオシアン酸鉛となるように溶解させた(溶液1)。基板を石英板とし、窒素雰囲気中で溶液1を基板に滴下した。その際、4000rpmで30秒間スピンコート(スロープ時間:5秒)することとし、回転開始から15秒後に0.5mLのトルエンを滴下することとした。その後、100℃で5分加熱して、黒色の薄膜サンプルを得た。サンプルの結晶構造、及びバンドギャップを評価した。評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の溶液1の代わりに、溶剤としてDMFを用い、これに2.0Mのメチルアミン・ヨウ化水素塩と、1.0Mのチオシアン酸鉛となるように溶解させた溶液(溶液2)を用いた以外は実施例1と同様にサンプルを調製、及び評価した。評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の溶液1の代わりに、溶剤としてDMFを用い、これに2.0Mのヨウ化セシウムと、1.0Mのチオシアン酸鉛となるように溶解させた溶液(溶液3)を用いた以外は実施例1と同様にサンプルを調製、及び評価した。
(比較例3)
実施例1の溶液1の代わりに、溶剤としてDMFを用い、これにホルムアミジン・ヨウ化水素塩と、1.0Mのチオシアン酸鉛となるように溶解させた溶液(溶液4)を用いた以外は実施例1と同様にサンプルを調製、及び評価した。八面体構造を頂点共有した結晶構造は確認できなかった。
実施例1と比較例1〜3の結果から、得られた組成物は、いずれも八面体構造、及びバンドギャップを有することがわかり、半導体材料、例えば太陽電池材料、光センサー、発光材料などとして好適に利用できることが示された。
実施例1と比較例1〜3の結果から、分子アニオンを含む得られた組成物は、いずれも疎水性であることが示された。
実施例1と比較例1〜3を比較すると、本実施形態の所定の要件を満たすことで、バンドギャップが小さくなり、光吸収特性に有利となることがわかった。特に、実施例1と、比較例2、3を比較すると、対カチオンを1種のみ含む比較例2及び3はバンドギャップが大きいのに対して、実施例1は、比較例2又は比較例3と同種類の対カチオン種を含むものであるにも関わらず、対カチオンを2種類含むことで、バンドギャップが小さくなり、光吸収特性に有利となることが示された。

Claims (16)

  1. カチオンとアニオンとを含む結晶性粒子を有する組成物であって、
    前記カチオンの10モル%以上95モル%以下が第14族元素カチオンであり、
    前記カチオンの5モル%以上90モル%以下が対カチオンであり、ここで、当該対カチオンが、2種類以上のカチオンを含み、
    前記アニオンの5モル%以上95モル%以下が第17族元素アニオンであり、
    前記アニオンの5モル%以上95モル%以下が分子アニオンであり、
    前記結晶性粒子が、前記第17族元素アニオンに対して前記第14族元素カチオンが6配位した八面体構造を有し、かつ、当該八面体同士が頂点共有して少なくとも合計4つの八面体が連なっている構造を有し、
    前記第14族元素カチオンが、鉛カチオンを含み、
    前記対カチオンが、セシウムカチオン及びホルムアミジニウムカチオンを含み、
    前記第17族元素アニオンが、ヨウ素アニオンを含み、
    前記分子アニオンが、チオシアン酸アニオンを含む、組成物。
  2. 前記カチオンの10モル%以上80モル%以下が前記対カチオンである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記対カチオンの1モル%以上99モル%以下がホルムアミジニウムカチオンである、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記対カチオンの1モル%以上99モル%以下がセシウムカチオンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記アニオンの10モル%以上80モル%以下が前記第17族元素アニオンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記アニオンの10モル%以上80モル%以下が、前記分子アニオンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記カチオンの15モル%以上80モル%以下が前記第14族元素カチオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 形態が粒子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 形態が薄膜である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物の製造方法であって、
    非プロトン性極性溶剤と、前記対カチオンと、前記第14族元素カチオンと、前記第17族元素アニオンと、前記分子アニオンとを含む溶液であって、前記第17族元素アニオンと前記第14族元素カチオンのモル比(第17族元素アニオン/第14族元素カチオン)が0.1以上5以下であり、かつ、前記分子アニオンと前記第14族元素カチオンのモル比(分子アニオン/第14族元素カチオン)が0.1以上5以下である溶液を調製する工程と、
    前記溶液から溶剤を除去する工程と、
    を含む、組成物の製造方法。
  11. 前記溶液を0℃以上150℃以下で加熱する工程をさらに含む、請求項10に記載の組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物の、半導体材料としての使用。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物の、太陽電池材料としての使用。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物の、太陽電池の光吸収層としての使用。
  15. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物の、光センサーとしての使用。
  16. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物の、発光材料としての使用。
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