JP6864754B2 - 光電変換素子、太陽電池及び正孔輸送材料 - Google Patents

光電変換素子、太陽電池及び正孔輸送材料 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子、太陽電池及び正孔輸送材料に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。太陽電池は、非枯渇性の太陽エネルギーを利用するものとして、その実用化が進められている。この中でも、増感剤として有機色素又はRuビピリジル錯体等を用いた色素増感太陽電池は、研究開発が盛んに進められ、光電変換効率が11%程度に到達している。
その一方で、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」ともいう。)として金属ハロゲン化物を用いた太陽電池が、比較的高い光電変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている。例えば、非特許文献1には、CHNHPbIClで表されるペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた太陽電池が記載されている。また、非特許文献2には、ペロブスカイト化合物を含む感光層と、特定の非対称型スクアレイン(squaraine)系正孔輸送材料を含む正孔輸送層とを備えた太陽電池が記載されている。更に、特許文献1には、光吸収剤として、ペロブスカイト化合物とシアニン色素等との2種以上を含む感光層と、正孔輸送層とを備えた光電変換素子が記載されている。
特開2015−46585号公報
Science, 2012, vol.338, p.643-647 nanoscale, 2016, 8, p.6335-6340
上述のように、ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子は、試験的には光電変換効率の向上において一定の成果が得られている。しかし、実用に際して光電変換効率の更なる向上を達成するため、光電変換素子から外部に取り出せる電気エネルギー量の増大が求められている。
本発明は、感光層にペロブスカイト化合物を含有しながらも高いフィルファクターを示す光電変換素子、及びこの光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記光電変換素子に好ましく用いることのできる正孔輸送材料を提供することを課題とする。
本発明者は、ペロブスカイト化合物を光吸収剤として含有する感光層を有する光電変換素子において、後述する式1−1又は式1−2で表される特定の化合物からなる正孔輸送材料で正孔輸送層を形成し、かつこの正孔輸送層と感光層とを積層して設けることにより、高いフィルファクターを示すことを見出した。本発明はこれらの知見に基づき更に検討を重ね、完成されるに至ったものである。
本発明において、各式で表される化合物からなる正孔輸送材料を、単に、各式で表される正孔輸送材料という。
すなわち、本発明の上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>第一電極を形成する導電性支持体と、第一電極に対向する第二電極との間に、光吸収剤を含む感光層と、この感光層に積層された正孔輸送層とを有する光電変換素子であって、
光吸収剤が、周期表第1族元素若しくはカチオン性有機基Aのカチオンと、周期表第1族元素以外の金属原子Mのカチオンと、アニオン性原子若しくは原子団Xのアニオンとを含むペロブスカイト型結晶構造を有する化合物を少なくとも含み、
正孔輸送層が、下記式1−1又は下記式1−2で表される正孔輸送材料を含有し、
上記式1−1で表される正孔輸送材料が下記式2−1、式2−2、式2−4若しくは式5−3で表される正孔輸送材料である、光電変換素子。
Figure 0006864754
1−1及び式1−2中、X〜Xは、酸素原子、硫黄原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
〜Yは、OR、SR、O、S、ハロゲン原子、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基を示す。Rは水素原子又は置換基を示す。
Figure 0006864754
1−a〜式1−d中、Aは炭化水素環又はヘテロ環を示し、Bはヘテロ環又はNRN1N2を示す。RN1及びRN2は置換基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
〜L脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示す。na及びndは0〜2の整数であり、nb及びncは1又は2である。
*は式1−1又は式1−2との連結部位を示す。
ただし、式1−1又は式1−2で表される正孔輸送材料は、式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を少なくとも1つ有し、−COOH及び−NHを有することはない。
Figure 0006864754
式2−1、式2−2及び式2−4中、A はヘテロ環を示す。A は2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示す。A 及びB はヘテロ環を示す。
〜L 及びL 11 は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示す。ne〜ngは0〜2の整数であり、nh及びnkは1又は2である。
、X 及びX 10 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
〜Y は、OR、SR、O 、S 又はハロゲン原子を示す。
Rは水素原子又は置換基を示す。R 〜R は置換基を示す。
式5−3中、V はNHを示し、V はN N3 又は窒素原子を示す。Z 及びZ はCR C1 C2 、酸素原子、硫黄原子又はNR N5 を示す。
18 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
15 はOR又はO を示す。
R、R C1 、R C2 、R N3 、R N5 、R 30 〜R 39 は水素原子又は置換基を示す。
<2>上記式1−2で表される正孔輸送材料が下記式2−3で表される正孔輸送材料である、<1>に記載の光電変換素子。
Figure 0006864754
2−3中、 及びL 10 は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示すni及びnjは0〜2の整数である。
及びX は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
は置換基を示す。
<3>上記式2−2で表される正孔輸送材料が下記式3−1で表される正孔輸送材料であり、又は上記式2−4で表される正孔輸送材料が下記式3−2で表される正孔輸送材料である、<1>に記載の光電変換素子。
Figure 0006864754
3−1及び式3−2中、 ヘテロ環を示し、Aは2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示す。 ヘテロ環を示す。
14脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示し、nnは0〜2の整数である。
及びY 10 は、OR、SR、O又はSを示す。
12 及びX 13 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
及びR10は置換基を示す。R、R11 及びR 12 は水素原子又は置換基を示す。
<4>上記式3−1及び上記式3−2中、 及びB が採りうるヘテロ環が、いずれも、2つ以上の環が縮環したヘテロ環である<3>に記載の光電変換素子。
<5>上記式2−2で表される正孔輸送材料が下記式5−1で表される正孔輸送材料であり、又は上記式2−4で表される正孔輸送材料が下記式5−2で表される正孔輸送材料である、<1>又は<3>に記載の光電変換素子。
Figure 0006864754
5−1及び式5−2中、 N3又は窒素原子を示し、 NRN4を示す。Z 及びZ はCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示す。
16 及びX 17 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
13 及びY 14 はOR又はOを示す。
17脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示し、nqは0〜2の整数である。
は2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示す。
18及びR19は置換基を示す。R、RC1、RC2、RN3〜RN5、R20 29 は水素原子又は置換基を示す。
<6>上記式5−3で表される正孔輸送材料下記式6−1で表される<1>に記載の光電変換素子。
Figure 0006864754
6−1中、V及びVはNN3又は窒素原子を示し、V及びVはNRN4を示す。Z〜ZはCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示す。
19及びX20は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
16及びY17はOR又はOを示す。
R、RC1、RC2、RN3〜RN5、R40〜R53は水素原子又は置換基を示す。
<7>上記式5−2中の NHを示す<5>に記載の光電変換素子。
<8>上記式6−1中のV及びVが、いずれも、NHを示す<6>に記載の光電変換素子。
<9>上記式5−1中のZ 又は上記式5−2中のZ 酸素原子又は硫黄原子を示す<5>又は<7>に記載の光電変換素子。
<10>上記式5−3中のZ 及びZ の少なくとも一方が酸素原子又は硫黄原子を示す<1>に記載の光電変換素子。
11上記式6−1中のZ〜Zの少なくとも1つ酸素原子又は硫黄原子を示す<6>又は<8>に記載の光電変換素子。
12上記式5−1中のR21〜R24の少なくとも1つ、又は上記式5−2中のR25〜R28の少なくとも1つ電子求引性基を示す<5>、<7>又は<9>に記載の光電変換素子。
<13>上記式5−3中の、R 30 〜R 33 のうち少なくとも1つ又はR 36 〜R 39 のうち少なくとも1つが電子求引性基を示す<1>又は<10>に記載の光電変換素子。
14上記式6−1中の、R40〜R43のうち少なくとも1つ又はR50〜R53のうち少なくとも1つ電子求引性基を示す<6>、<8>又は<11>に記載の光電変換素子。
15>電子求引性基ハロゲン原子である<12>〜<14>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
16>上記<1>〜<15>のいずれか1つに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
17>下記式11−1又は式11−2で表される正孔輸送材料。
Figure 0006864754
11−1及び式11−2中、Va1はNNv又は窒素原子を示す。
は酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子である。
及びXは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
は2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示す。
及びYはOR又はOを示す。
R、RNv、RC1、RC2、RN5及びR〜Rは水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、式11−1中のR〜Rのうち少なくとも1つ、並びに、式11−2中のR〜Rの少なくとも1つ若しくはR〜Rの少なくとも1つがハロゲン原子を示す。
18>下記式16−1又は式16−2で表される正孔輸送材料。
Figure 0006864754
16−1及び式16−2中、Zは酸素原子又は硫黄原子を示す。
及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、少なくとも1つは酸素原子である。Ra1〜Ro1は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
a1はNNv又は窒素原子を示す。
及びXは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
は2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示す。
及びYはOR又はOを示す。
R、RNv、RC1、RC2及びRN5は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
19>下記式17−1で表される正孔輸送材料。
Figure 0006864754
17−1中、Z及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子である。ただし、Z及びZは互いに異なる。
a1はNNv又は窒素原子を示す。
は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
はOR又はOを示す。
R、RNv、RC1、RC2、RN5及びRf1〜Ro1は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
20>下記式18−1で表される正孔輸送材料。
Figure 0006864754
18−1中、Va2はNNv1を示す。RNv1は酸性基を含まない置換基を示す。
及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子である。
は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
はOR又はOを示す。
R、RC1、RC2、RN5及びRf1〜Ro1は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
21下記式19−1で表される正孔輸送材料。
Figure 0006864754
19−1中、Va3はNNv2又は窒素原子を示す。
及びZはCRC3C4を示す。
C3及びRC4は無置換のアルキル基を示し、RNv2は酸性基を含まない置換基を示す。
は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
はOR又はOを示す。
R及びRf1〜Ro1は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
本明細書において、各式の表記は、化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各式において、部分構造を、(置換)基、イオン又は原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオン又は原子等の他に、上記式で表される(置換)基若しくはイオンを構成する元素団、又は、元素を意味することがある。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのものの他、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、置換又は無置換を明記していない化合物については、目的とする効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有する化合物を含む意味である。このことは、置換基及び連結基等(以下、置換基等という)についても同様である。
本発明において、化学式中の二重結合がE型及びZ型のいずれも採りうる場合、特段の断りがない限り、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
また、本発明において、正孔輸送材料に各種異性体が存在する場合、又は正孔輸送材料が複数の共鳴構造を採りうる場合、これらのうち1つを本発明で規定する後述の各式で表すことができるときは、この正孔輸送材料は、他の異性体又は共鳴構造にかかわらず、本発明で規定する正孔輸送材料とされる。ただし、ベンゼン環又はチオフェン環で表すことができる部分構造については、その部分構造を崩して形成される共鳴構造を考慮しない。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらは互いに連結していなくてもよく(環を形成していない)、また、それらが互いに連結して環を形成してもよい。更に、環、例えば脂肪族環、芳香族環、ヘテロ環は更に縮環して縮環を形成していてもよい。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子及び太陽電池は、高いフィルファクターを示し、光電変換効率の向上が見込まれる。また、本発明の正孔輸送材料は、ペロブスカイト化合物を含む感光層上に隣接する正孔輸送層の形成に用いられることにより、上述の優れた特性を有する本発明の光電変換素子及び太陽電池を製造することができる。
図1は本発明の光電変換素子の好ましい態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 図2は本発明の光電変換素子の厚い感光層を有する好ましい態様について模式的に示す断面図である。 図3は本発明の光電変換素子の別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 図4は本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 図5は本発明の光電変換素子の更に別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[光電変換素子]
本発明の光電変換素子は、第一電極を形成する導電性支持体と、第一電極に対向する第二電極との間に、感光層とこの感光層に積層された正孔輸送層とを有する。
本発明において、第一電極と第二電極が対向するとは、第一電極と第二電極が互いに接した状態で積層された形態と、第一電極と第二電極とが他の層(例えば正孔輸送層)を介して積層された形態(すなわち第一電極と第二電極が他の層を挟んで互いに対向して設けられた形態)を意味する。
また、第一電極において、上記感光層は、導電性支持体よりも第二電極側に配される。
本発明において、第一電極は、導電性支持体上に感光層が設けられた形態を有している。導電性支持体上に感光層を有するとは、導電性支持体の表面に接して感光層を設ける(直接設ける)態様、及び、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を設ける態様を含む意味である。
導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様において、導電性支持体と感光層との間に設けられる他の層としては、太陽電池の電池性能を低下させないものであれば特に限定されない。例えば、多孔質層、ブロッキング層、電子輸送層及び正孔輸送層等が挙げられる。
本発明において、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状(図1参照)又は厚い膜状(図2参照)に設けられる態様、ブロッキング層の表面に薄い膜状又は厚い膜状(図3参照)に設けられる態様、電子輸送層の表面に薄い膜状又は厚い膜状(図4参照)に設けられる態様、及び、正孔輸送層の表面に薄い膜状又は厚い膜状(図5参照)に設けられる態様が挙げられる。感光層は、線状又は分散状に設けられてもよいが、好ましくは膜状に設けられる。
本発明の光電変換素子は、第一電極を形成する導電性支持体と、この第一電極に対向する第二電極との間に、感光層と、感光層に積層された正孔輸送層とを有している。本発明において、感光層と正孔輸送層との積層とは、感光層と正孔輸送層とを隣接して積み重ねることに加えて、他の層を介して感光層と正孔輸送層とを積み重ねることを包含する。感光層と正孔輸送層との間に積み重ねられる層としては、本発明の作用効果を損なわない限り(例えば、後述する電荷移動等を妨げない限り)、材質や層厚等は特に限定されない。本発明においては、感光層及び正孔輸送層は互いに隣接していることが好ましい。
本発明の光電変換素子において、導電性支持体と第二電極との間に、感光層と正孔輸送層とを有する層構造は、下記の2つの態様を包含する。すなわち、導電性支持体から第二電極に向かって、感光層及び正孔輸送層がこの順で積層されてなる態様と、正孔輸送層と感光層とこの順で積層されてなる態様とである。
これらの態様において、感光層及び正孔輸送層は互いに隣接していることが好ましいが、両層の間に、電荷移動等を妨げない程度の薄層が設けられてもよい。
上述のように、本発明の光電変換素子は、ペロブスカイト化合物を含む感光層と、この感光層に積層された、特定の正孔輸送材料を含む正孔輸送層とを備えていることにより、高いフィルファクターを示す。その理由の詳細は、まだ定かではないが、次のように考えられる。すなわち、後述する式で表される正孔輸送材料は、ペロブスカイト化合物との親和性が高い構造を有していると考えられる。そのため、この正孔輸送材料が感光層の表面上に塗布されると、その下地層となる感光層の表面(ペロブスカイト化合物の表面プロファイル)に追従するように配列ないし配向する。また、特定の正孔輸送材料で形成された正孔輸送層の表面にペロブスカイト化合物が塗布されると、感光層と正孔輸送層との界面欠陥(例えば、空隙、凝集、製膜時のはじき、膜厚ムラ等)の発生が抑制される。
これらにより、感光層との界面状態を電荷移動ないし電荷分離により適した状態に改質できると考えられる。こうして、電荷移動ないし電荷分離を促進して素子の内部損失(内部抵抗)を低減できる。このように、ペロブスカイト化合物に対して特定の正孔輸送材料を用いることにより、感光層と正孔輸送層との界面状態を良化できる。その結果、高いフィルファクターを実現できると考えられる。光電変換素子が高いフィルファクターを実現できると、光電変換効率の向上が期待できる。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子及び太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。例えば、多孔質層を導電性支持体と感光層との間に設けることもできる(図1及び図2参照)。
以下、本発明の光電変換素子の好ましい態様について説明する。
図1〜図5において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1及び図2は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向及び垂直方向に詰まり(堆積又は密着して)、多孔質構造を形成している。
本明細書において、単に光電変換素子10という場合は、特に断らない限り、光電変換素子10A〜10Eを意味する。このことは、システム100、第一電極1についても同様である。また、単に感光層13という場合は、特に断らない限り、感光層13A〜13Cを意味する。同様に、正孔輸送層3という場合は、特に断らない限り、正孔輸送層3A及び3Bを意味する。
本発明の光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1に示す光電変換素子10Aが挙げられる。図1に示されるシステム100Aは、光電変換素子10Aを外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aと第二電極2の間に、第一電極1Aを形成する感光層13Aに隣接する正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11a及び透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、図1において断面領域aを拡大した拡大断面領域aに模式的に示されるように多孔質層12の表面に、ペロブスカイト化合物を含む感光層13Aとを有している。また透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成される。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離及び電荷移動効率が向上すると推定される。
図2に示す光電変換素子10Bは、図1に示す光電変換素子10Aの感光層13Aを厚く設けた好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Bにおいて、正孔輸送層3Bは感光層13Bに隣接して薄く設けられている。光電変換素子10Bは、図1で示した光電変換素子10Aに対して感光層13B及び正孔輸送層3Bの膜厚の点で異なるが、これらの点以外は光電変換素子10Aと同様に構成されている。
図3に示す光電変換素子10Cは、本発明の光電変換素子の別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Cは、図2に示す光電変換素子10Bに対して多孔質層12を設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。すなわち、光電変換素子10Cにおいて、感光層13Cはブロッキング層14の表面に厚い膜状に形成され、正孔輸送層3Bは感光層13Cの表面に接して形成されている。光電変換素子10Cにおいて、正孔輸送層3Bは正孔輸送層3Aと同様に厚く設けることもできる。
図4に示す光電変換素子10Dは、本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Dは、図3に示す光電変換素子10Cに対してブロッキング層14に代えて電子輸送層15を設けた点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Cと同様に構成されている。第一電極1Dは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、電子輸送層15及び感光層13Cとを有している。正孔輸送層3Bは感光層13Cの表面に接して形成されている。この光電変換素子10Dは、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。これにより、光電変換素子の生産性が向上し、しかも薄型化又はフレキシブル化が可能になる。
図5に示す光電変換素子10Eは、本発明の光電変換素子の更に別の好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Eを含むシステム100Eは、システム100Aと同様に電池用途に応用したシステムである。
光電変換素子10Eは、第一電極1Eと、第二電極2と、第一電極1E及び第二電極2の間に電子輸送層4とを有している。第一電極1Eは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、正孔輸送層16及び感光層13Cとを有している。感光層13Cは正孔輸送層16の表面に接して形成されている。この光電変換素子10Eは、光電変換素子10Dと同様に、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。
本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として機能する。
すなわち、光電変換素子10において、導電性支持体11を透過して、又は第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体(カチオン)となる。
光電変換素子10A〜10Dにおいては、光吸収剤から放出された電子は、光吸収剤間を移動して導電性支持体11に到達する。導電性支持体11に到達した電子が外部回路6で仕事をした後、第二電極2及び正孔輸送層3を経由して、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。一方、光電変換素子10Eにおいては、光吸収剤から放出された電子は、感光層13Cから電子輸送層4を経て第二電極2に到達し、外部回路6で仕事をした後に導電性支持体11及び正孔輸送層16を経て、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
光電変換素子10においては、このような、上記光吸収剤の励起及び電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
光電変換素子10A〜10Dにおいて、感光層13から導電性支持体11への電子の流れ方は、多孔質層12の有無及びその種類等により、異なる。本発明の光電変換素子10においては、光吸収剤間を電子が移動する電子伝導が起こる。したがって、本発明において、多孔質層12を設ける場合、多孔質層12は従来の半導体以外に絶縁体で形成することができる。多孔質層12が半導体で形成される場合、多孔質層12の半導体微粒子内部及び半導体微粒子間を電子が移動する電子伝導も起こる。一方、多孔質層12が絶縁体で形成される場合、多孔質層12での電子伝導は起こらない。多孔質層12が絶縁体で形成される場合、絶縁体微粒子に酸化アルミニウム(Al)の微粒子を用いると、比較的高い起電力(Voc)が得られる。
上記他の層としてのブロッキング層14が導体又は半導体により形成された場合もブロッキング層14での電子伝導が起こる。また、電子輸送層15でも電子伝導が起こる。
本発明の光電変換素子は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子に用いられる材料及び各部材は、本発明で規定する材料及び部材を除いて、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子又は太陽電池については、例えば、特許文献1、非特許文献1及び2、並びに、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051を参照することができる。
また、感光層(ペロブスカイト化合物)及び正孔輸送層(正孔輸送材料)以外の材料及び部材については、色素増感太陽電池に用いられる材料及び各部材を参考にすることができる。色素増感太陽電池について、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、本発明の光電変換素子が備える部材及び化合物の好ましい態様について、説明する。
<第一電極1>
第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜図5に示されるように、多孔質層12、ブロッキング層14及び電子輸送層15及び正孔輸送層16の少なくとも1つの層を有することが好ましい。
第一電極1は、短絡防止の点で少なくともブロッキング層14を有することが好ましく、光吸収効率の点及び短絡防止の点で多孔質層12及びブロッキング層14を有していることが更に好ましい。
また、第一電極1は、光電変換素子の生産性の向上、薄型化又はフレキシブル化の点で、有機材料で形成された、電子輸送層15又は正孔輸送層16を有することが好ましい。
− 導電性支持体11 −
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、又は、ガラス若しくはプラスチックの支持体11aと、この支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
中でも、図1〜図5に示されるように、ガラス又はプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11が更に好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラス及びプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
支持体11a及び導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることが更に好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.02〜25μmであることが更に好ましく、0.025〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体11又は支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11又は支持体11aの表面に、特開2003−123859号公報に記載の、高屈折膜及び低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
− ブロッキング層14 −
本発明においては、光電変換素子10A〜10Cのように、好ましくは、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12、感光層13又は正孔輸送層3等との間に、ブロッキング層14を有している。
光電変換素子において、例えば感光層13又は正孔輸送層3と、透明電極11b等とが電気的に接続すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
ブロッキング層14を、光吸収剤を担持する足場として機能させることもできる。
このブロッキング層14は、光電変換素子が電子輸送層を有する場合にも設けられてもよい。例えば、光電変換素子10Dの場合、導電性支持体11と電子輸送層15との間に設けられてもよく、光電変換素子10Eの場合、第二電極2と電子輸送層4との間に設けられてもよい。
ブロッキング層14を形成する材料は、上記機能を果たすことのできる材料であれば特に限定されず、可視光を透過する物質であって、導電性支持体11(透明電極11b)又は第二電極等に対する絶縁性物質であることが好ましい。「導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質」とは、具体的には、伝導帯のエネルギー準位が、導電性支持体11を形成する材料(透明電極11bを形成する金属酸化物)の伝導帯のエネルギー準位以上であり、かつ、多孔質層12を構成する材料の伝導帯や光吸収剤の基底状態のエネルギー準位より低い化合物(n型半導体化合物)をいう。
ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン等も挙げられる。中でも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が好ましい。
ブロッキング層14の膜厚は、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmが更に好ましく、0.01〜0.1μmが特に好ましい。
本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
− 多孔質層12 −
本発明においては、光電変換素子10A及び10Bのように、好ましくは、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合、多孔質層12はブロッキング層14上に形成されることが好ましい。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12は、多孔質層12を形成する材料の微粒子が堆積又は密着してなる、細孔を有する微粒子層であることが好ましい。多孔質層12は、2種以上の微粒子が堆積してなる微粒子層であってもよい。多孔質層12が細孔を有する微粒子層であると、光吸収剤の担持量(吸着量)を増量できる。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はなく、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質層12を形成する材料は、導電性に関しては特に限定されず、絶縁体(絶縁性の材料)であっても、導電性の材料又は半導体(半導電性の材料)であってもよい。
多孔質層12を形成する材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(光吸収剤として用いるペロブスカイト化合物を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、又はカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤ及びカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、特に限定されず、好ましくは、チタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム又はタンタルの各酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。金属のカルコゲニドの結晶構造として、アナターゼ型、ブルッカイト型又はルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、特に限定されず、遷移金属酸化物等が挙げられる。例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、スズ酸バリウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ストロンチウム、タンタル酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、鉄酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウムランタン、チタン酸ナトリウム、チタン酸ビスマスが挙げられる。中でも、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が好ましい。
カーボンナノチューブは、炭素膜(グラフェンシート)を筒状に丸めた形状を有する。カーボンナノチューブは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に分類される。多孔質層12としては、いずれのカーボンナノチューブも特に限定されず、用いることができる。
多孔質層12を形成する材料は、中でも、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム若しくはケイ素の酸化物、又はカーボンナノチューブが好ましく、酸化チタン又は酸化アルミニウムが更に好ましい。
多孔質層12は、上述の、金属のカルコゲニド、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、ケイ素の酸化物及びカーボンナノチューブのうち少なくとも1種で形成されていればよく、複数種で形成されていてもよい。
多孔質層12の膜厚は、特に限定されず、通常0.05〜100μmの範囲であり、好ましくは0.1〜100μmの範囲である。太陽電池として用いる場合は、0.1〜50μmが好ましく、0.2〜30μmがより好ましい。
− 電子輸送層15 −
本発明においては、光電変換素子10Dのように、好ましくは、透明電極11bの表面に電子輸送層15を有している。
電子輸送層15は、感光層13で発生した電子を導電性支持体11へと輸送する機能を有する。電子輸送層15は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、特に限定されず、有機材料(有機電子輸送材料)が好ましい。有機電子輸送材料としては、[6,6]−Phenyl−C61−Butyric Acid Methyl Ester(PC61BM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド(PTCDI)等のペリレン化合物、その他、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の低分子化合物、又は、高分子化合物等が挙げられる。
電子輸送層15の膜厚は、特に限定されず、0.001〜10μmが好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
− 正孔輸送層16 −
本発明においては、光電変換素子10Eのように、好ましくは、透明電極11bの表面に正孔輸送層16を有している。正孔輸送層16は、形成される位置が異なること以外は、後述する正孔輸送層3と同じである。
− 感光層(光吸収層)13 −
感光層13は、好ましくは、多孔質層12(光電変換素子10A及び10B)、ブロッキング層14(光電変換素子10C)、電子輸送層15(光電変換素子10D)又は正孔輸送層16(光電変換素子10E)の各層の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の凹部内表面を含む。)に設けられる。
本発明において、感光層13中には光吸収剤が含まれる。この光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有している。
また、感光層は上記ペロブスカイト化合物以外に、例えば金属錯体色素、有機色素等の光吸収成分を有してもよい。
感光層13中に含まれる光吸収剤は、すべて上記ペロブスカイト化合物であることが好ましい。
感光層13は、単層であっても2層以上の積層構造であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、互いに異なった光吸収剤からなる層を積層してなる積層構造でもよく、また、感光層と感光層の間に後述する正孔輸送材料を含む中間層を有する積層構造でもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、本発明で規定する正孔輸送材料を含む正孔輸送層と積層される少なくとも1層の感光層がペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、すべての感光層がペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していてもよい。
感光層13を導電性支持体11上に有する態様は、上述した通りである。感光層13は、好ましくは、励起した電子が導電性支持体11又は第二電極2に流れるように、上記各層の表面に設けられる。このとき、感光層13は、上記各層の表面全体に設けられていてもよく、その表面の一部に設けられていてもよい。
感光層13の膜厚は、導電性支持体11上に感光層13を有する態様に応じて適宜に設定され、特に限定されない。通常、膜厚は、例えば、0.001〜100μmが好ましく、0.01〜10μmが更に好ましく、0.01〜5μmが特に好ましい。
多孔質層12を有する場合、多孔質層12の膜厚との合計膜厚は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、合計膜厚は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。
光電変換素子10において、多孔質層12及び正孔輸送層3を有する場合、多孔質層12と感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、この合計膜厚は、200μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、5μm以下が特に好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。
本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13B及び13C)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
〔光吸収剤〕
− ペロブスカイト化合物 −
感光層13中の光吸収剤は、周期表第一族元素又はカチオン性有機基Aと、周期表第一族元素以外の金属原子Mと、アニオン性原子又は原子団Xとを有するペロブスカイト化合物を含有する。ペロブスカイト化合物の周期表第一族元素又はカチオン性有機基A、金属原子M及びアニオン性原子又は原子団Xは、それぞれ、ペロブスカイト型結晶構造において、カチオン(便宜上、カチオンAということがある)、金属カチオン(便宜上、カチオンMということがある)及びアニオン(便宜上、アニオンXということがある)の各構成イオンとして存在する。本発明において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンになる性質を有する有機基をいい、アニオン性原子又は原子団とはペロブスカイト型結晶構造においてアニオンになる性質を有する原子又は原子団をいう。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、カチオンAは、周期表第一族元素のカチオン又はカチオン性有機基Aからなる有機カチオンである。このカチオンAは、1種のカチオンであってもよく、2種以上のカチオンであってもよい。2種以上のカチオンである場合、2種以上の周期表第一族元素のカチオンでもよく、2種以上の有機カチオンでもよく、また、少なくとも1種の周期表第一族元素のカチオンと少なくとも1種の有機カチオンとを含むものでもよい。カチオンAは、有機カチオンを含むことが好ましく、有機カチオンであることがより好ましい。2種以上のカチオンである場合の各カチオンの存在比は特に限定されない。
周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)又はセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
有機カチオンは、上記性質を有する有機基のカチオンであれば特に限定されず、下記式(1)で表されるカチオン性有機基の有機カチオンであることが更に好ましい。
式(1): 1A−N(R1a
式中、R1Aは置換基を表す。R1Aは、有機基であれば特に限定されず、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族ヘテロ環、脂肪族へテロ環基又は下記式(2)で表すことができる基が好ましい。中でも、アルキル基、下記式(2)で表すことができる基がより好ましい。
また、R1aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族ヘテロ環又は脂肪族へテロ環基を示す。中でも、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
Figure 0006864754
式中、XはNR1c、酸素原子又は硫黄原子を表す。R2b及びR1cは各々独立に水素原子又は置換基を表す。***は式(1)の窒素原子との結合部位を示す。
本発明において、カチオン性有機基Aの有機カチオンは、R1aが水素原子であり、上記式(1)中のR1AとN(R1aとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基Aからなる有機アンモニウムカチオン(R1A−NH )が好ましい。この有機アンモニウムカチオンが共鳴構造を採り得る場合、有機カチオンは有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含む。例えば、上記式(2)で表すことができる基においてXがNH(R1cが水素原子)である場合、有機カチオンは、上記式(2)で表すことができる基とNHとが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基の有機アンモニウムカチオンに加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンをも包含する。アミジニウムカチオン性有機基からなる有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(Aam)で表されるカチオンが挙げられる。本明細書において、下記式(Aam)で表されるカチオンを便宜上、「R2bC(=NH)−NH 」と表記することがある。
Figure 0006864754
1A及びR1aとして採りうるアルキル基は、炭素数が1〜36のアルキル基が好ましく、1〜18のアルキル基がより好ましく、1〜6のアルキル基が更に好ましく、1〜3のアルキル基が特に好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシル等が挙げられる。
1A及びR1aとして採りうるシクロアルキル基は、炭素数が3〜10のシクロアルキル基が好ましく、3〜8のシクロアルキル基がより好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等が挙げられる。
1A及びR1aとして採りうるアルケニル基は、炭素数が2〜36のアルケニル基が好ましく、2〜18のアルケニル基がより好ましく、2〜6のアルケニル基が更に好ましい。例えば、ビニル、アリル、ブテニル又はヘキセニル等が挙げられる。
1A及びR1aとして採りうるアルキニル基は、炭素数が2〜36のアルキニル基が好ましく、2〜18のアルキニル基がより好ましく、2〜4のアルキニル基が更に好ましい。例えば、エチニル、ブチニル又はヘキシニル等が挙げられる。
1A及びR1aとして採りうるアリール基は、炭素数6〜24のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、例えば、フェニルが挙げられる。
1A及びR1aとして採りうる芳香族ヘテロ環は、縮合環である場合、単環の芳香族ヘテロ環のみからなる基に加えて、単環の芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環又はヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましい。5員環の芳香族ヘテロ環及び5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環及び6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
1A及びR1aとして採りうる脂肪族ヘテロ環基は、脂肪族ヘテロ環のみからなる単環の基と、脂肪族ヘテロ環に他の環(例えば、脂肪族環)が縮合した脂肪族縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。脂肪族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、脂肪族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましい。脂肪族ヘテロ環の炭素数は0〜24であることが好ましく、1〜18であることがより好ましく、更に好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜5である。脂肪族ヘテロ環の好ましい具体例としては、ピロリジン環、オキソラン環、チオラン環、ピペリジン環、テトラヒドロフラン環、オキサン環(テトラヒドロピラン環)、チアン環、ピペラジン環、モルホリン環、キヌクリジン環、ピロリジン環、アゼチジン環、オキセタン環、アジリジン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
1Aとして採りうる、式(2)で表すことができる基において、XはNR1c、酸素原子又は硫黄原子を表し、NR1cが好ましい。ここで、R1cは、水素原子又は置換基を表し、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族ヘテロ環又は脂肪族ヘテロ環基が好ましく、水素原子が更に好ましい。
2bは、水素原子又は置換基を表し、水素原子が好ましい。R2bとして採り得る置換基は、アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族ヘテロ環又は脂肪族ヘテロ環基が挙げられる。
2b及びR1cがそれぞれ採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族ヘテロ環又は脂肪族ヘテロ環基は、上記R1aの各基と同義であり、好ましいものも同じである。
2bとして採り得るアミノ基は、無置換でも置換アミノ基でもよく、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む。アミノ基の炭素数は0〜20が好ましい。
式(2)で表すことができる基としては、例えば、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基又はアミジノ基が挙げられる。
(チオ)アシル基は、アシル基及びチオアシル基を包含する。アシル基は、総炭素数が1〜7のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル、アセチル(CHC(=O)−)、プロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。チオアシル基は、総炭素数が1〜7のチオアシル基が好ましく、例えば、チオホルミル、チオアセチル(CHC(=S)−)、チオプロピオニル等が挙げられる。
(チオ)カルバモイル基は、カルバモイル基(HNC(=O)−)及びチオカルバモイル基(HNC(=S)−)を包含する。
イミドイル基は、R2b−C(=NR1c)−で表される基であり、R2b及びR1cはそれぞれ水素原子又はアルキル基が好ましく、アルキル基は上記R1aのアルキル基と同義であるのがより好ましい。例えば、ホルムイミドイル(HC(=NH)−)、アセトイミドイル(CHC(=NH)−)、プロピオンイミドイル(CHCHC(=NH)−)等が挙げられる。中でも、ホルムイミドイルが好ましい。
式(2)で表すことができる基としてのアミジノ基は、上記イミドイル基のR2bがアミノ基でR1cが水素原子である構造(−C(=NH)NH)を有する。
1A及びR1aとして採りうる、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族ヘテロ環、脂肪族ヘテロ環基及び上記式(2)で表すことができる基は、いずれも、置換基を有していてもよい。R1A及びR1aが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環、脂肪族ヘテロ環基)、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基等)、アシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が挙げられる。R1A及びR1aが有していてもよい各置換基は、更に置換基で置換されていてもよい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、金属カチオンMは、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンであって、ペロブスカイト型結晶構造を採り得る金属原子のカチオンであれば、特に限定されない。このような金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)等の金属原子が挙げられる。
Mは1種の金属カチオンであってもよく、2種以上の金属カチオンであってもよい。中でも、金属カチオンMは、2価のカチオンであることが好ましく、2価の鉛カチオン(Pb2+)、2価の銅カチオン(Cu2+)、2価のゲルマニウムカチオン(Ge2+)及び2価のスズカチオン(Sn2+)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、Pb2+又はSn2+であることが更に好ましく、Pb2+であることが特に好ましい。2種以上の金属カチオンである場合、金属カチオンの割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、アニオンXは、アニオン性原子又は原子団Xのアニオンを表す。このアニオンは、好ましくはハロゲン原子のアニオン、又は、NCS、NCO、HO、NO 、CHCOO若しくはHCOOの、各原子団のアニオンが挙げられる。中でも、ハロゲン原子のアニオンであることが更に好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アニオンXは、1種のアニオン性原子又は原子団のアニオンであってもよく、2種以上のアニオン性原子又は原子団のアニオンであってもよい。1種のアニオン性原子又は原子団のアニオンである場合には、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。一方、2種以上のアニオン性原子又は原子団のアニオンである場合には、2種のハロゲン原子のアニオン、特に塩素原子のアニオン及びヨウ素原子のアニオンが好ましい。2種以上のアニオンの割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記の各構成イオンを有するペロブスカイト型結晶構造を有し、下記式(I)で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
式(I):A
式中、Aは周期表第一族元素又はカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子又は原子団を表す。
aは1又は2を表し、mは1を表し、a、m及びxはa+2m=xを満たす。
式(I)において、周期表第一族元素又はカチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造の上記カチオンAを形成する。したがって、周期表第一族元素及びカチオン性有機基Aは、上記カチオンAとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる元素又は基であれば、特に限定されない。周期表第一族元素又はカチオン性有機基Aは、上記カチオンAで説明した上記周期表第一族元素又はカチオン性有機基と同義であり、好ましいものも同じである。Aは周期表第一族元素とカチオン性有機基とを含むものであってもよい。
金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造の上記金属カチオンMを形成する金属原子である。したがって、金属原子Mは、周期表第一族元素以外の原子であって、上記金属カチオンMとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子であれば、特に限定されない。金属原子Mは、上記金属カチオンMで説明した上記金属原子と同義であり、好ましいものも同じである。
アニオン性原子又は原子団Xは、ペロブスカイト型結晶構造の上記アニオンXを形成する。したがって、アニオン性原子又は原子団Xは、上記アニオンXとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子又は原子団であれば、特に限定されない。アニオン性原子又は原子団Xは、上記アニオンXで説明したアニオン性原子又は原子団と同義であり、好ましいものも同じである。
式(I)で表されるペロブスカイト化合物は、aが1である場合、下記式(I−1)で表されるペロブスカイト化合物であり、aが2である場合、下記式(I−2)で表されるペロブスカイト化合物である。
式(I−1):AMX
式(I−2):AMX
式(I−1)及び式(I−2)において、Aは周期表第一族元素又はカチオン性有機基を表し、上記式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。Mは、周期表第一族元素以外の金属原子を表し、上記式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。Xは、アニオン性原子又は原子団を表し、上記式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、式(I−1)で表される化合物及び式(I−2)で表される化合物のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。したがって、本発明において、ペロブスカイト化合物は、光吸収剤として少なくとも1種が存在していればよく、組成式、分子式及び結晶構造等により、厳密にいかなる化合物であるかを明確に区別する必要はない。
以下に、本発明に用いうるペロブスカイト化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。下記においては、式(I−1)で表される化合物と、式(I−2)で表される化合物とを分けて記載する。ただし、式(I−1)で表される化合物として例示した化合物であっても、合成条件等によっては、式(I−2)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物との混合物となる場合もある。同様に、式(I−2)で表される化合物として例示した化合物であっても、式(I−1)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物との混合物となる場合もある。
式(I−1)で表される化合物の具体例として、例えば、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHPbI、CHNHPbBrI、CHNHPbBrI、CHNHSnBr、CHNHSnI、CHNHGeCl、CH(=NH)NHPbI、CsSnI、CsGeIが挙げられる。
式(I−2)で表される化合物の具体例として、例えば、(CNHPbI、(C1021NHPbI、(CH=CHNHPbI、(CH≡CNHPbI、(n−CNHPbI、(n−CNHPbI、(CNHPbI、(CCHCHNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CSNHPbI、(CHNHCuCl、(CNHGeI、(CNHFeBrが挙げられる。ここで、(CSNHPbIにおけるCSNHはアミノチオフェンである。
ペロブスカイト化合物は、下記式(A−3)で表される化合物と下記式(A−2)で表される化合物とから合成することができる。
式(A−2):MX
式(A−3):AX
式(A−2)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。式(A−2)中、Xはアニオン性原子又は原子団を表し、式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。式(A−2)で表される化合物は、通常、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンMと、アニオン性原子又は原子団のXとがイオン結合してなる化合物である。
式(A−3)中、Aは周期表第一族元素又はカチオン性有機基を表し、式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。式(A−3)中、Xはアニオン性原子又は原子団を表し、式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。式(A−3)で表される化合物は、通常、周期表第一族元素又はカチオン性有機基のカチオンAと、アニオン性原子又は原子団のXとがイオン結合してなる化合物である。
ペロブスカイト化合物の合成方法については、例えば、特許文献1、並びに、非特許文献1及び2に記載の方法が挙げられる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051に記載の方法も挙げられる。
ペロブスカイト光吸収剤の使用量は、第一電極1の表面の少なくとも一部を覆う量であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
感光層13中、ペロブスカイト化合物の含有量は、通常1〜100質量%である。
<正孔輸送層3>
本発明の光電変換素子は、上述のように、第一電極1と第二電極2との間に感光層3に積層された正孔輸送層3を有する。この正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層(固体正孔輸送層)である。
正孔輸送層3は、下記式1−1又は下記式1−2で表される正孔輸送材料を1種又は2種以上含有する。
この正孔輸送材料は全体として電荷が釣り合っていれば、分子内にカチオン部位又はアニオン部位をそれぞれ1つ又は複数有していてもよい。
この正孔輸送材料は、任意の置換基を有していてもよいが、−COOH及び−NHを有することはない。正孔輸送材料が−COOH又は−NHを有すると、高いフィルファクターを付与することができない。
Figure 0006864754
式中、X〜Xは、酸素原子、硫黄原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G)(G)を示す。X〜Xは、それぞれ、酸素原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G)(G)が好ましい。X及びXの一方、及び、X及びXの一方は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)が好ましく、酸素原子がより好ましい。X及びXの他方、及び、X及びXの他方は、それぞれ、下記式1−aで表される基又は下記式1−bで表される基が好ましい。
〜Yは、OR、SR、O、S、ハロゲン原子、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基を示す。Y〜Yは、それぞれ、OR、SR、O、S、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基が好ましい。Y及びYの一方、及び、Y及びYの一方は、それぞれ、OR、SR、O、S又はハロゲン原子が好ましく、OR、SR、O又はSがより好ましく、OR又はOが更に好ましい。Y及びYの他方、及び、Y及びYの他方は、それぞれ、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基が好ましい。
式1−1で表される正孔輸送材料及び式1−2で表される正孔輸送材料は、それぞれ、下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を少なくとも1つ有する。すなわち、式1−1中の、X、X、Y及びYの少なくとも1つが、下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基となる。また、式1−2中の、X、X、Y及びYの少なくとも1つが下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基となる。各式で表される正孔輸送材料が下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を有する数は、2つ以上であることが好ましく、2つであることがより好ましい。
下記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を2つ有する場合、特に限定されず、式1−1中のX及びYが上記基を採ることが好ましく、式1−2中のY及びYが上記基を採ることが好ましい。
式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を2つ有する場合、式1−a〜式1−dのいずれかで表される基の組み合わせは、特に限定されず、式1−a及び式1−bのいずれか一方と式1−c及び式1−dのいずれか一方との組み合わせ、式1−c及び式1−dから選択される2種の組み合わせ等が挙げられる。好ましくは後述する式2−1〜2−5で示される組み合わせである。
〜Xとして採りうる上記=C(G)(G)において、G及びGは、それぞれ、電子求引性基を示す。本発明において、電子求引性基とは、誘起効果及び/又はメソメリー効果により、=C又はこれとの結合部位の電子密度を減少させる特性を持つ基をいう。
電子求引性基としては、例えばChem.Rev.1991,91,165においてσp値が正の値であるものが挙げられる。具体的には、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、ホスホリル基、アジド基(−N)、カルボニル基(R−CO−基であり、Rはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。)、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基等が挙げられ、ハロゲン原子が好ましい。アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基及びヘテロ環オキシカルボニル基としては、それぞれ、後述する置換基群Tにおける各基が挙げられる。また、スルホニル基は、後述する置換基群Tにおける、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールスルホニル基を参照できる。
ただし、G及びGとして採りうる電子求引性基は、それぞれ、カルボキシ基を含むことはなく、好ましくは酸性基を含むことはない。ここで、酸性基とは、解離性のプロトンを有する基であり、pKaが11以下の基である。酸性基のpKaは、J.Phys.Chem.A2011,115,p.6641−6645に記載の「SMD/M05−2X/6−31G」方法に従って求めることができる。酸性基としては、例えば、カルボキシ基の他に、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基等が挙げられる。この酸性基は、各式で表される正孔輸送材料中、又は、正孔輸送層中において、塩を形成する態様、及び、水素原子が乖離してイオンとなる態様を包含する。
及びGは、互いに連結して環を形成することはない。G及びGが互いに連結して環を形成する場合、形成される基は、後述する式1−aで表される基に包含される。
及びGの組み合わせは、特に限定されず、適宜に決定される。好ましい組み合わせとしては、例えば、シアノ基同士、アルコキシカルボニル基とシアノ基等が挙げられる。
〜Yとして採りうるOR及びSRのRとしては、水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。置換基としては、特に限定されず、好ましくは、後述する置換基群Tから選択される。より好ましい置換基としては後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
〜Yとして採りうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
〜X及びY〜Yとして採りうる下記式で表される基について説明する。
下記式中、*は式1−1又は式1−2中の炭素四員環構造との連結部位を示す。
Figure 0006864754
式1−aにおいて、Aは炭化水素環又はヘテロ環を示し、ヘテロ環が好ましい。
における炭化水素環は、L又は上記炭素四員環構造に結合する単環が炭化水素環であるものをいい、ヘテロ環を含んでいても(縮合していても)よい。また、Aにおけるヘテロ環は、L又は上記炭素四員環構造に結合する単環がヘテロ環であるものをいい、炭化水素環含んでいてもよい。
炭化水素環又はヘテロ環は、所望により、電荷を打ち消すためのカチオンとなっていてもよい。
炭化水素環及びヘテロ環Aは、2つの水素原子を除去した1つの環構成原子でL又は上記炭素四員環構造に結合可能な環である。このような炭化水素環又はヘテロ環は、それぞれ、脂肪族環でも芳香族環でもよく、また単環でも縮環(縮合環)でもよい。炭化水素環が縮環である場合、炭化水素環同士が縮環した縮合炭化水素環が挙げられる。ヘテロ環が縮環である場合、少なくとも1つのヘテロ環を含む2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましく、例えば、ヘテロ環同士が縮環した縮合ヘテロ環、脂肪族ヘテロ環又は芳香族ヘテロ環と芳香族炭化水素環とが縮環したヘテロ環が挙げられる。縮環を形成する環の数は、2つ以上であればよく、例えば2〜5が好ましい。
単環の炭化水素環及びヘテロ環(縮環を形成する環を含む)は5員環又は6員環が好ましい。
炭化水素環の中でも芳香族炭化水素環としては、例えば、後述する置換基群Tにおけるアリール基を形成する環が挙げられる。また、炭化水素環の中でも脂肪族炭化水素環としては、後述する置換基群Tにおけるシクロアルキル基、シクロアルケニル基等の各基を形成する環等が挙げられる。
ヘテロ環は、環構成原子として少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を有し、好ましくは炭素数2〜20の環が挙げられる。
におけるヘテロ環の中でも芳香族ヘテロ環は、環全体として芳香族性を示すものであればよく、例えば、後述する置換基群Tにおける芳香族ヘテロ環基を形成する環、これらの2つ以上が縮環した(縮合)ヘテロ環、又は、芳香族ヘテロ環基を形成する環の1つ以上と上記炭化水素環とが縮環した(縮合)ヘテロ環が挙げられる。ここで、芳香族性とはヒュッケル則を満たすことをいう。(縮合)ヘテロ環を形成する環の数は、2つ以上であればよく、例えば2〜5が好ましい。芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環等の単環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、フルオレン環、カルバゾール環、キノリン環等の縮環が挙げられる。
におけるヘテロ環の中でも脂肪族ヘテロ環は、環全体として芳香族性を示さないものであればよく、例えば、後述する置換基群Tにおける脂肪族ヘテロ環基を形成する環、又は、縮環としてこの脂肪族ヘテロ環基を形成する環を含む環が挙げられる。縮環を形成する環の数は、2つ以上であればよく、例えば2〜5が好ましい。脂肪族ヘテロ環としては、例えば、ピロリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、オキサゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、テトラチオフェン環、ピロリン環、チアゾリン環、イミダゾリン環、ピラゾリン環等の単環が挙げられる。縮環(2つ以上の環が縮環したヘテロ環)としては、例えば、上記単環とベンゼン環との縮合環(インドリン環、ベンゾオキサゾリン、ベンゾチアゾリン、クロマン環等)等、更には、後述する例示化合物が有する脂肪族ヘテロ縮環が挙げられる。
としては、中でも、脂肪族ヘテロ環が好ましく、縮環の脂肪族ヘテロ環がより好ましく、インドリン環、ベンゾオキサゾリン、ベンゾチアゾリン等が更に好ましい。
は、置換基を有していてもよい。Aが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。より具体的には、後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」、上記電子求引性基、オキソ基若しくはチオキソ基等が挙げられる。Aが有していてもよい置換基は、更に置換基で置換されていてもよい。このような基としては、置換基群Tから選択される基を複数(好ましくは2〜5個)組み合わせてなる基が挙げられる。例えば、アルキル基で置換された芳香族ヘテロ環、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、更には、後述する式6−1で表されるZ及びVを含む特定の置換基等が挙げられる。
式1−aにおいて、Lは連結基を示す。このLは、=(Lna=として、Aと式1−1中の炭素四員環構造とを連結する基であればよく、2つの原子それぞれから2つずつ、合計で4つの水素原子を取り除いた連結基等が挙げられる。式1−a中に2つのLを有する場合(naが2である場合)、2つのLが結合した基(=(Lna=で表される部分構造からなる基)がAと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(=L−L=)と、二重結合で結合している態様(=L=L=)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素からなる基としては、メタン系炭化水素(アルカン)からなる基、エチレン系炭化水素(アルケン)からなる基、又は、アセチレン系炭化水素(アルキン)からなる基が好ましく挙げられる。これらの基は、それぞれ、直鎖状、分岐状及び環状いずれであってもよい。直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素からなる基の炭素数は、特に限定されず、それぞれ、1〜36が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12が更に好ましく、1〜6が特に好ましく、1〜3が最も好ましい。環状の脂肪族炭化水素基は、単環でも多環でもよく、その炭素数は、特に限定されず、3〜36が好ましく、3〜18がより好ましく、5〜10が更に好ましい。
上記芳香族炭化水素からなる基の炭素数は、特に限定されず、6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜10が更に好ましい。芳香族炭化水素からなる基としては、ベンゼン環からなる基、ナフタレン環からなる基等が挙げられる。
上記芳香族ヘテロ環からなる基を形成する芳香族ヘテロ環は、特に限定されず、Aとして採りうる上記芳香族ヘテロ環を適用できる。
上記脂肪族ヘテロ環からなる基を形成する脂肪族ヘテロ環は、特に限定されず、Aとして採りうる上記脂肪族ヘテロ環を適用できる。
は、上記の中でも、脂肪族炭化水素からなる基が好ましく、メタン系炭化水素からなる基がより好ましい。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられ、より具体的には後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−aにおいて、naは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式1−aにおいて、AとLとの組み合わせは、特に限定されず、結合する上記炭素四員環構造と共役する組み合わせが好ましく、例えば、Aの好ましいものと、Lの好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
Figure 0006864754

式1−bにおいて、Bはヘテロ環又はNRN1N2を示す。
として採りうるヘテロ環は、1つの水素原子を除去した1つの環構成原子でLに結合可能なヘテロ環であり、Lに単結合で結合すること以外は、Aとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。
として採りうるNRN1N2は、置換アミノ基であり、RN1及びRN2が互いに連結して(含窒素ヘテロ)環を形成することはない。RN1及びRN2が互いに連結して環を形成する場合、形成される基は、Bとして採りうる(含窒素)ヘテロ環に包含される。RN1及びRN2は、それぞれ、置換基を示し、後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられる。好ましくは後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられ、より好ましくはアリール基であり、更に好ましくはフェニル基である。RN1及びRN2は同一でも異なっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい。Bが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、Aが有していてもよい置換基と同義であ。
式1−1及び式1−2で表される正孔輸送材料において、X〜X及びY〜Y中に非環状の置換アミノ基が存在する場合、この置換アミノ基のうち上記炭素四員環構造に最も近い置換アミノ基を、Bが有していてもよい置換基ではなく、Bとして採りうるNRN1N2とする。
式1−bにおいて、Lは連結基を示す。このLは、−(Lnb=として、Bと単結合で、かつ式1−1中の炭素四員環構造と二重結合で連結する基であればよく、1つの原子から2つ、更に別の1つの原子から1つ、合計で3つの水素原子を取り除いた連結基等が挙げられる。式1−b中に2つのLを有する場合(nbが2である場合)、2つのLが結合した基(−(Lnb=で表される部分構造からなる基)がBと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(−L−L=)と、二重結合で結合している態様(−L=L=)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。これらの基は、それぞれ、取り除かれる水素原子の数が異なること以外は、Lとして採りうる上記対応する各基と同義であり、好ましいものも同じである。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられ、より具体的には後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−bにおいて、nbは、1又は2であり、1が好ましい。
式1−bにおいて、BとLとの組み合わせは、特に限定されず、結合する上記炭素四員環構造と共役する(上記式で表される正孔輸送材料のカチオン及びアニオンの少なくとも一方が非局在化可能な)組み合わせが好ましく、例えば、Bの好ましいものと、L(L)の好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
式1−cにおいて、Aは炭化水素環又はヘテロ環を示す。式1−c中のAは上記式1−a中のAと同義であり、好ましいものも同じである。
式1−cにおいて、Lは連結基を示す。このLは、=(Lnc−として、Aと二重結合で、かつ式1−2中の炭素四員環構造と単結合で連結する基であればよく、1つの原子から2つ、更に別の1つの原子から1つ、合計で3つの水素原子を取り除いた連結基等が挙げられる。式1−c中に2つのLを有する場合(ncが2である場合)、2つのLが結合した基(=(Lnc−で表される部分構造からなる基)がAと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(=L−L−)と、二重結合で結合している態様(=L=L−)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。これらの基は、それぞれ、取り除かれる水素原子の数が異なること以外は、Lとして採りうる上記対応する各基と同義であり、好ましいものも同じである。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられ、より具体的には後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−cにおいて、ncは、1又は2であり、1が好ましい。
式1−cにおいて、AとLとの組み合わせは、特に限定されず、結合する上記炭素四員環構造と共役する組み合わせが好ましく、例えば、Aの好ましいものと、L(L)の好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
式1−dにおいて、Bは炭化水素環又はNRN1N2を示す。式1−d中のBは上記式1−b中のBと同義であり、好ましいものも同じである。
式1−dにおいて、Lは連結基を示す。このLは、−(Lnd−として、Bと単結合で、かつ式1−2中の炭素四員環構造とも単結合で連結する基であればよく、2つの原子それぞれから1つずつ、合計で2つの水素原子を取り除いた連結基等が挙げられる。ただし、式1−d中に2つのLを有する場合(ndが2である場合)、2つのLが結合した基(−(Lnd−で表される部分構造からなる基)がBと上記炭素四員環構造とを連結していれば、2つのL同士の結合様式は特に限定されない。この結合様式は、2つのLが単結合で結合している態様(−L−L−)と、二重結合で結合している態様(−L=L−)の両態様を包含する。
として採りうる連結基としては、脂肪族炭化水素からなる基、芳香族炭化水素からなる基、芳香族ヘテロ環からなる基、脂肪族ヘテロ環からなる基等が挙げられる。これらの基は、それぞれ、取り除かれる水素原子の数が異なること以外は、Lとして採りうる上記対応する各基と同義であり、好ましいものも同じである。
は、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基が挙げられ、より具体的には後述する「置換基群Tから選ばれるより好ましい基」が挙げられる。
式1−dにおいて、ndは、0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式1−dにおいて、BとLとの組み合わせは、特に限定されず、結合する上記炭素四員環構造と共役する組み合わせが好ましく、例えば、Bの好ましいものと、L(L)の好ましいものとの組み合わせが挙げられる。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式2−1〜下記式2−5のいずれかで表されるものが好ましい。
Figure 0006864754
上記式2−1で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有する好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、このヘテロ環は上記式1−a中のAとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。Lは、連結基を示し、上記式1−a中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。nfは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
また、Lは、連結基を示し、上記式1−d中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。R及びRは、それぞれ、置換基を示し、後述するように互いに連結してもよいこと以外は、上記式1−d中のBとして採りうるNRN1N2のRN1及びRN2と同義であり、好ましいものも同じである。neは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。Xは、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、Xが酸素原子であることが好ましい。
上記式2−2で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有する好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、このヘテロ環は上記式1−b中のBとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。Lは、連結基を示し、上記式1−b中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。nhは1又は2であり、1が好ましい。
また、Lは、連結基を示し、上記式1−d中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。R及びRは、それぞれ、置換基を示し、互いに連結してもよいこと以外は、上記式1−d中のBとして採りうるNRN1N2のRN1及びRN2と同義であり、好ましいものも同じである。ngは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。Xは、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、Xが酸素原子であることが好ましい。
上記式2−3で表される正孔輸送材料は、上記式1−2においてY及びYとしていずれも式1−dで表される基を有する好ましい一態様である。
及びL10は、それぞれ、連結基を示し、上記式1−d中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。LとL10とは同一でも異なっていてもよい。
〜Rは、それぞれ、置換基を示し、互いに連結してもよいこと以外は、上記式1−d中のBとして採りうるNRN1N2のRN1及びRN2と同義であり、好ましいものも同じである。ni及びnjは、0〜2の整数であり、0又は1が好ましい。
及びXは、いずれも、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。X及びXは、いずれも、OR又はOであることが好ましく、同一でも異なっていてもよい。
上記式2−4で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基又は酸素原子を有し、Yとして式1−cで表される基を有する好ましい一態様である。
は2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示し、2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましい。Aとして採りうるヘテロ環は、上記式1−a中のAとして採りうるヘテロ環のうち2つ以上の環が縮環したヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。
また、L11は、連結基を示し、上記式1−c中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。Aは、ヘテロ環を示し、上記式1−c中のAとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。nkは1又は2であり、1が好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。X10は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、X10が酸素原子であることが好ましい。
上記式2−5で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−cで表される基を有する好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、このヘテロ環は上記式1−b中のBとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。L13は、連結基を示し、上記式1−b中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。nmは1又は2であり、1が好ましい。
また、L12は、連結基を示し、上記式1−c中のLとして採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。Aは、ヘテロ環を示し、上記式1−c中のAとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。nlは1又は2であり、1が好ましい。
は、OR、SR、O、S又はハロゲン原子を示し、Yとして採りうるOR、SR、O、S又はハロゲン原子と同義であり、好ましいものも同じである。X11は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうる酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)と同義であり、好ましいものも同じである。YがOR又はOであり、X11が酸素原子であることが好ましい。
上記各式において、R〜Rのうちの2つ、すなわち、R及びR、R及びR、R及びR、並びに、R及びRの各置換基は、それぞれ、互いにが結合して環を形成してもよく(Bとして採りうるヘテロ環に相当)、形成しなくてもよい(Bとして採りうるNRN1N2に相当)。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式3−1〜下記式3−3のいずれかで表されるものがより好ましい。
Figure 0006864754
上記式3−1で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有するより好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、上記式2−2中のBと同義であり、好ましいものも同じである。R11は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R11として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは後述する置換基群Tから選択される。
14は、連結基を示し、上記式2−2中のLと同義であり、好ましいものも同じである。R及びR10は、それぞれ、置換基を示し、上記式2−2中のR及びRと同義であり、好ましいものも同じである。nnは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
は、OR、SR、O又はSを示し、Yとして採りうるOR、SR、O又はSと同義であり、好ましいものも同じである。X12は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じである。YとX12とは、YがOR又はOであり、X12が酸素原子である組み合わせが好ましい。
上記式3−2で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基又は酸素原子を有し、Yとして式1−cで表される基を有するより好ましい一態様である。
は2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示し、2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましい。Aは上記式2−4中のAと同義であり、好ましいものも同じである。
はヘテロ環を示し、上記式2−4中のAと同義であり、好ましいものも同じである。R12は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R12として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは後述する置換基群Tから選択される。
10は、OR、SR、O又はSを示し、Yとして採りうるOR、SR、O又はSと同義であり、好ましいものも同じである。X13は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X10として採りうるものとそれぞれと同義であり、好ましいものも同じである。Y10がOR又はOであり、X13が酸素原子である組み合わせが好ましい。
上記式3−3で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−cで表される基を有するより好ましい一態様である。
はヘテロ環を示し、上記式2−5中のBと同義であり、好ましいものも同じである。R14は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R14として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは後述する置換基群Tから選択される。
はヘテロ環を示し、上記式2−5中のAと同義であり、好ましいものも同じである。R13は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R13として採りうる置換基としては、特に限定されず、好ましくは後述する置換基群Tから選択される。
11は、OR、SR、O又はSを示し、Yとして採りうるOR、SR、O又はSと同義であり、好ましいものも同じである。X14は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X11として採りうるものとそれぞれと同義であり、好ましいものも同じである。Y11がOR又はOであり、X14が酸素原子である組み合わせが好ましい。
上記式3−1中のB、上記式3−2中のA、及び上記式3−3中のA及びBが採りうるヘテロ環は、いずれも、2つ以上の環が縮環したヘテロ環が好ましい。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式5−1〜下記式5−3のいずれかで表されるものが更に好ましい。
Figure 0006864754
上記式5−1で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−dで表される基を有する更に好ましい一態様である。
17は、連結基を示し、上記式2−2中のLと同義であり、好ましいものも同じである。R18及びR19は、それぞれ、置換基を示し、上記式2−2中のR及びRと同義であり、好ましいものも同じである。nqは0〜2の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
はNN3又は窒素原子を示す。RN3は水素原子又は置換基を示す。RN3として採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。RN3として採りうる置換基としてはアルキル基が好ましい態様である。
はCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、酸素原子又は硫黄原子が好ましい態様である。
C1、RC2及びRN5は、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。
21〜R24は、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。好ましくは、R21〜R24の少なくとも1つが電子求引性基であり、より好ましくは1〜2個が電子求引性基である。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
20は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R20はR11と同義であり、好ましいものも同じである。
13はOR又はOを示し、ORはYとして採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。X16は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、Xとして採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
上記式5−2で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−aで表される基を有し、Yとして式1−cで表される基を有する更に好ましい一態様である。
は、2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示し、Aとして採りうるヘテロ環と同義であり、好ましいものも同じである。
はNRN4を示す。RN4は水素原子又は置換基を示し、水素原子であること(VがNHであること)が好ましい。RN4として採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択され、好ましくはアルキル基である。
はCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義であり、好ましいものも同じである。
25〜R28は、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。好ましくは、R25〜R28の少なくとも1つが電子求引性基であり、より好ましくは1〜2個が電子求引性基である。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
29は水素原子又は置換基を示し、水素原子が好ましい。R29はR12と同義であり、好ましいものも同じである。
14はOR又はOを示し、ORはYとして採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。X17は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X10として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
上記式5−3で表される正孔輸送材料は、上記式1−1においてXとして式1−bで表される基を有し、Yとして式1−cで表される基を有する更に好ましい一態様である。
はNRN4を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。
はNN3又は窒素原子を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。ただし、VのRN3として採りうる置換基としては、Vとして好ましい態様であるアルキル基の他に、酸性基を含まない置換基である態様も挙げられる。酸性基を含まない置換基には、酸性基単独からなる基に加えて、更に置換基として酸性基を有する置換基を包含する。ここで、酸性基は、上述の通り、pKaが11以下の基をいう。更に酸性基で置換される置換基としては、特に制限されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される基、例えばアルキル基が挙げられる。更に置換基として酸性基を有する置換基の例として、2−カルボキシエチル基等が挙げられる。
及びZは、それぞれ、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義である。ただし、Z及びZは、一方が酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、少なくとも1つが酸素原子であることがより好ましい。また、Z及びZが互いに異なっていることも好ましい。更に、Z及びZは、互いに同一である態様も採ることができ、例えば、いずれも、硫黄原子、又は、CRC1C2を採ることができる。この態様においてCRC1及びRC2はいずれも無置換のアルキル基を示す。
30〜R39は、それぞれ、水素原子又は置換基を示し、R37及びR38以外、とりわけR34及びR35はそれぞれ水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択され、好ましくは酸性基以外の基である。より好ましくは、R30〜R33及びR36〜R39の少なくとも1つが電子求引性基であり、この場合、R30〜R33及びR36〜R39のうち電子求引性基を採る数は2〜4個が好ましい。更に好ましくは、R30〜R33の少なくとも1つ、又はR36〜R39の少なくとも1つが電子求引性基であり、特に好ましくはR30〜R33の少なくとも1つと、R36〜R39の少なくとも1つとが電子求引性基である。R30〜R33の組、及びR36〜R39の組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。R30〜R33及びR36〜R39として採りうる電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
37及びR38は、置換基を採る場合、互いに結合して環を形成している態様と、互いに結合せず環を形成していない態様とを含む。R37及びR38が環を形成している態様において、形成される環は、特に限定されず、炭化水素環でもヘテロ環でもよく、更に置換基(例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基)を複数有していてもよい。このような環としては、例えば、後述する式6−1で表される正孔輸送材料を形成可能な環が挙げられ、より具体的には、式6−1の部分構造(Z及びVを含むヘテロ環からZ及びVを結合部とする基)からなる環が挙げられる。
15はOR又はOを示し、ORはYとして採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。X18は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X11として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
正孔輸送層3が含有する正孔輸送材料は、下記式6−1で表されるものも更に好ましい態様の1つである。
Figure 0006864754
式6−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料の好ましい態様の1つである。
すなわち、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、R37及びR38として採る置換基が互いに環を形成している態様であり、R37及びR38として採る置換基が上記式6−1で表されるZ及びVを含む特定の環を形成する形態である。この態様において、式6−1で表される正孔輸送材料のうち左側部分(Z及びVを含むヘテロ環からR46及びR47を有するベンゼン環までの部分構造)が上記式5−3に相当する。
また、この正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料が、V及びZを含むヘテロ環中のベンゼン環を共有してなる二量体ということもできる。
式中、V及びVはそれぞれNRN4を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。V及びVはいずれもNHであることが好ましい。V及びVはそれぞれNN3又は窒素原子を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。
〜ZはそれぞれCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義であり、好ましいものも同じである。Z〜Zの少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、2つが酸素原子又は硫黄原子であることがより好ましい。酸素原子又は硫黄原子を採るZは特に限定されないが、例えばZ又はZが挙げられる。
19及びX20はそれぞれ酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、X18として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
16及びY17はそれぞれOR又はOを示し、ORはY15として採りうるORと同義であり、好ましいものも同じである。
40〜R53はそれぞれ水素原子又は置換基を示す。採りうる置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される。好ましくは、R40〜R43の少なくとも1つ又はR50〜R53の少なくとも1つが電子求引性基であり、より好ましくはR40〜R43の少なくとも1つと、R50〜R53の少なくとも1つとが電子求引性基である。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。R40〜R43の組、及びR50〜R53の組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。R44、R45、R48及びR49はそれぞれ水素原子が好ましい。R46及びR47はそれぞれ水素原子又は芳香族ヘテロ環がより好ましい。
上記式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式11−1又は式11−2で表されるものも好ましい態様の1つである。
Figure 0006864754
式11−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−2で表される正孔輸送材料の好ましい態様の1つである。式11−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−2で表される正孔輸送材料において、Zが酸素原子又は硫黄原子であり、かつVがNHであること等以外は、上記式5−2で表される正孔輸送材料と同義である。
すなわち、式11−1において、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。YはOR又はOを示し、上記Y14と同義であり、好ましいものも同じである。Xは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、上記X17として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。Xは2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示し、上記Aと同義であり、好ましいものも同じである。
〜Rは、それぞれ、水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、上記酸性基以外の基であればよく、例えば、後述する置換基群Tから選択される。R〜Rの少なくとも1つは電子求引性基であることが好ましく、1〜2個が電子求引性基であることがより好ましい。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
式11−2で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料の好ましい態様の1つである。式11−2で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、VがNHであること等以外は、上記式5−2で表される正孔輸送材料と同義である。
a1は、NNv又は窒素原子を示し、Vと同義である。RNvは水素原子又は置換基を示す。RNvとして採りうる置換基としては、酸性基以外の置換基が挙げられ、このような置換基としては、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Tから選択される、酸性基以外の基であり、好ましくはアルキル基である。
及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Z及びZとそれぞれ同義であるが、Z及びZの少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子であり、酸素原子であることがより好ましい。また、Z及びZは互いに異なる原子又は基であることも好ましい。この場合、ZとZとの組み合わせは、特に限定されず、例えば、Z及びZの一方が酸素原子又は硫黄原子であり、他方がCRC1C2である組み合わせが好ましい。
はOR又はOを示し、上記Y15と同義であり、好ましいものも同じである。Xは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、上記X18として採りうるものとそれぞれ同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
〜Rは、それぞれ、水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、R及びR以外はそれぞれ水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、上記酸性基以外の基であればよく、例えば、後述する置換基群Tから選択される。好ましくは、R〜Rの少なくとも1つ又はR〜Rのうち少なくとも1つが電子求引性基であり、より好ましくはR〜Rの少なくとも1つと、R〜Rの少なくとも1つとが電子求引性基である。R〜Rの組、及びR〜Rの組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。R〜Rとして採りうる電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。
及びRは、置換基を採る場合、互いに結合して環を形成している態様と、互いに結合せず環を形成していない態様とを含む。R及びRが環を形成している態様において、形成される環は、特に限定されず、炭化水素環でもヘテロ環でもよく、更に置換基(例えば、後述する置換基群Tから選ばれる基)を複数有していてもよい。このような環としては、例えば、後述する式11−3で表される正孔輸送層を形成可能な環が挙げられ、例えば、式11−3の部分構造(Z及びVを含むヘテロ環からZ及びVを結合部とする基)からなる環が挙げられる。
上記式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式16−1又は式16−2で表される態様も挙げられる。
Figure 0006864754
式16−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−2で表される正孔輸送材料が採りうる態様の1つである。式16−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−2で表される正孔輸送材料において、Zが酸素原子又は硫黄原子であり、VがNHであり、かつR25〜R29はそれぞれ水素原子又は酸性基以外の置換基を示すこと等以外は、上記式5−2で表される正孔輸送材料と同義である。
すなわち、Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。Ra1〜Re1は水素原子又は酸性基以外の置換基を示し、水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、上記酸性基以外の基であればよく、例えば、後述する置換基群Tから選択される。Ra1〜Rd1は、いずれも、電子求引性基以外の置換基を採る態様、更にはハロゲン原子以外の置換基を採る態様が挙げられる。
は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、式11−1中のXと同義であり、好ましいものも同じである。Xは2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示し、式11−1中のXと同義であり、好ましいものも同じである。YはOR又はOを示し、式11−1中のYと同義であり、好ましいものも同じである。
式16−2で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料が採りうる態様の1つである。式16−2で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、VがNHであり、Z及びZの少なくとも1つが酸素原子であり、かつR30〜R39がそれぞれ水素原子又は酸性基以外の置換基を示すこと等以外は、上記式5−3で表される正孔輸送材料と同義である。
すなわち、Z及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、少なくとも1つは酸素原子である。RC1、RC2及びRN5は、それぞれ、式11−2中のRC1、RC2及びRN5と同義であり、好ましいものも同じである。Rf1〜Ro1はそれぞれ水素原子又は酸性基以外の置換基を示し、式16−1のRa1〜Re1と同義である。Rf1〜Ro1として採りうる好ましい置換基としては、直鎖のアルキル基が挙げられる。
a1はNNv又は窒素原子を示し、式11−2中のVa1と同義であり、好ましいものも同じである。Xは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、式11−2中のXと同義であり、好ましいものも同じである。YはOR又はOを示し、式11−2中のYと同義であり、好ましいものも同じである。
上記式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式17−1で表される態様も挙げられる。
Figure 0006864754
式17−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料が採りうる態様の1つである。式17−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、VがNHであり、Z及びZが互いに異なる原子若しくは基を採り、そのうちの少なくとも1つが酸素原子若しくは硫黄原子であり、かつR30〜R39がそれぞれ水素原子又は酸性基以外の置換基を示すこと等以外は、上記式5−3で表される正孔輸送材料と同義である。
すなわち、Z及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子であるが、Z及びZは互いに異なる原子若しくは基を示す。RC1、RC2及びRN5は、それぞれ、式11−2中のRC1、RC2及びRN5と同義であり、好ましいものも同じである。Rf1〜Ro1はそれぞれ式16−2中のRf1〜Ro1と同義であり、水素原子又は酸性基以外の置換基を示す。Rf1〜Ro1として採りうる好ましい置換基として分岐のアルキル基が挙げられる。
a1はNNv又は窒素原子を示し、式11−2中のVa1と同義であり、好ましいものも同じである。Xは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、式11−2中のXと同義であり、好ましいものも同じである。YはOR又はOを示し、式11−2中のYと同義であり、好ましいものも同じである。
上記式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式18−1で表される態様も挙げられる。
Figure 0006864754
式18−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料が採りうる態様の1つである。式18−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、VがNHであり、VがNNv1を示し、かつ、R30〜R39がそれぞれ水素原子又は酸性基以外の置換基を示すこと等以外は、上記式5−3で表される正孔輸送材料と同義である。
すなわち、Va2はNNv1を示し、RNv1が酸性基を含まない置換基である。RNv1として採りうる酸性基を含まない置換基は、VのRN3として採りうる酸性基を含まない置換基と同義である。Rf1〜Ro1はそれぞれ式16−2中のRf1〜Ro1と同義であり、水素原子又は酸性基以外の置換基を示す。
及びZは、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子である。Z及びZは、式11−2中のZ及びZと同義であるが、どちらも硫黄原子であることが好ましい。Xは酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、式11−2中のXと同義であり、好ましいものも同じである。YはOR又はOを示し、式11−2中のYと同義であり、好ましいものも同じである。
上記式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式19−1で表される態様も挙げられる。
Figure 0006864754
式19−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料が採りうる態様の1つである。式19−1で表される正孔輸送材料は、上記式5−3で表される正孔輸送材料において、VがNHであり、Z及びZがいずれもCRC1C2を示し、VのRN3が酸性基を含まない置換基を示し、R30〜R39がそれぞれ水素原子又は酸性基以外の置換基を示すこと等以外は、上記式5−3で表される正孔輸送材料と同義である。
すなわち、Va3はNNv2又は窒素原子を示し、RNv2が酸性基を含まない置換基である。RNv2として採りうる酸性基を含まない置換基は、VのRN3として採りうる酸性基を含まない置換基と同義である。Z及びZはいずれもCRC3C4を示す。ここで、RC3及びRC4は無置換のアルキル基である。Rf1〜Ro1はそれぞれ式16−2中のRf1〜Ro1と同義であり、水素原子又は酸性基以外の置換基を示す。
は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、式11−2中のXと同義であり、好ましいものも同じである。YはOR又はOを示し、式11−2中のYと同義であり、好ましいものも同じである。
式1−1で表される正孔輸送材料は、下記式11−3で表されるものも好ましい態様の1つである。
Figure 0006864754
この正孔輸送材料は、V及びVがそれぞれNRN4を採りうる点、及び、R及びRが、上記式11−3で表されるZ及びVを含む特定の置換基を採る点以外は、上記式11−2で表される正孔輸送材料と同義である。この場合、式11−3で表される正孔輸送材料のうち左側部分(Z及びVを含むヘテロ環からR及びR有するベンゼン環までの部分構造)が、Vの点を除いて、上記式11−2に相当する。
また、この正孔輸送材料は、上記式11−2で表される正孔輸送材料が、Va1及びZを含むヘテロ環中のベンゼン環を共有してなる二量体ということもできる。
式中、V及びVはそれぞれNRN4を示し、Vと同義であり、好ましいものも同じである。V及びVはそれぞれNHが好ましい。V及びVはそれぞれNN3又は窒素原子を示し、上記Vと同義であり、好ましいものも同じである。Z〜Zは、それぞれ、CRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示し、上記Zと同義であり、好ましいものも同じである。
式11−3において、V及びVの少なくとも一方がNHであるか、Z〜Zのうち少なくとも1つが酸素原子又は硫黄原子である。
〜Zの好ましい形態は、Z及びZの両方、又は、Z及びZの両方が、酸素原子又は硫黄原子である。更に、ZとZ、又は、ZとZが、互いに異なる原子又は基であることが好ましい。この場合、ZとZとの組み合わせは、特に限定されず、例えば、ZとZの一方が酸素原子又は硫黄原子であり、他方又はがCRC1C2であることが好ましい。ZとZとの組み合わせについても、ZとZとの組み合わせと同義であり、好ましいものも同じである。
及びYは、それぞれ、OR又はOを示し、上記Yと同義であり、好ましいものも同じである。X及びXは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示し、上記Xと同義であり、好ましいものも同じであり、とりわけ酸素原子が好ましい。
〜R及びRaa〜Racは、それぞれ、水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、水素原子が好ましい。採りうる置換基としては、上記酸性基以外の基であればよく、例えば、後述する置換基群Tから選択される。R〜Rの少なくとも1つ又はR〜Racうち少なくとも1つが電子求引性基であることが好ましく、より好ましくはR〜Rの少なくとも1つと、R〜Racの少なくとも1つとが電子求引性基である。R〜Rの組、及びR〜Racの組の各組において、電子求引性基を採る数は、それぞれ、1つ以上であればよく、好ましくは1〜2個である。電子求引性基はハロゲン原子が好ましい。R、R、R及びRはそれぞれ水素原子が好ましい。R及びRはそれぞれ水素原子又は芳香族ヘテロ環がより好ましい。
以下に、上記式1−1又は式1−2で表される正孔輸送材料の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例において、化学式下方の数字は例示化合物番号を示し、Meはメチルを表す。
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
Figure 0006864754
<置換基群T>
本発明において、正孔輸送材料が有してもよい置換基は、カルボキシ基及び無置換アミノ基(NH)以外の基であれば、特に限定されない。置換基としては、酸性基及び無置換アミノ基(NH)以外の基が好ましく、下記の基、及び、下記の基を複数組み合わせてなる基が挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、更に好ましくは1〜6)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、更に好ましくは1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは3〜6)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20)、アリール基(芳香族炭化水素環基、好ましくは炭素数6〜26、更に好ましくは6〜10)、ヘテロ環基(環構成原子として少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有し、好ましくは炭素数2〜20である。5員環又は6員環がより好ましい。ヘテロ環基には芳香族ヘテロ環基(ヘテロアリール基)及び脂肪族ヘテロ環基を含む。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは3〜6)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜20)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20)、ヘテロ環オキシカルボニル基(好ましくは炭素数3〜20)、アミノ基(無置換アミノ基を除く、好ましくは炭素数1〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルファモイル基が好ましい)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル又はN−フェニルカルバモイル)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルホンアミド基が好ましい)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20、更に好ましくは31〜6)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26、更に好ましくは6〜10)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜20)、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリル基が好ましい)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましい)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基(=O)、又は、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)が挙げられる。
置換基群Tから選ばれるより好ましい基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基若しくはハロゲン原子、又は、これらの基を複数組み合わせてなる基が挙げられる。
上記式1−1又は式1−2で表される正孔輸送材料の分子量は、特に限定されず、例えば、3,000以下であることが好ましく、200〜2,500であることがより好ましく、250〜2000であることが更に好ましい。
上記式1−1又は式1−2で表される正孔輸送材料は、非特許文献2に記載の合成方法等の公知の方法、及び、後述する実施例で説明する合成方法等に準じて、合成することができる。
本発明において、正孔輸送層は、式1−1又は下記式1−2で表される正孔輸送材料を含有するものであれば、光電変換層に通常用いられる正孔輸送材料を含有することができる。通常用いられる正孔輸送材料としては、上述の、光吸収剤の酸化体に電子を補充するを奏するものであれば、液体材料でも固体材料でもよく、例えば、CuI、CuNCS等の無機材料、及び、例えば特開2001−291534号公報の段落番号0209〜0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン(spiro−MeOTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
光電変換素子ないし太陽電池の正孔輸送層は、通常、正孔輸送材料とともにドーパントを含有している(非特許文献2参照)。正孔輸送材料と併用されるドーパントは、正孔輸送材料から電荷を受け取ることで正孔輸送材料中に自由電荷を発生させ、正孔輸送層の導電率を向上させる材料をいう。例えば、導電率を1.01〜1010倍に向上させる材料が好ましく、10〜10倍に向上する材料が更に好ましい。このようなドーパントしては、具体的には、金属錯体、金属塩又は有機化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、(p−BrCNSbCl、三価のコバルト錯体(FK209他)、LiTFSI(lithiumbis(trifluoromethanesulfonyl)imide)、FeCl、WO、MoO、Molybdenum tris(1−(trifluoroacetyl)−2−(trifluoromethyl)ethane−1,2−dithiolene)、SnCl、SbCl、F4−TCNQ等が挙げられる。
しかし、本発明の光電変換素子ないし太陽電池は、上記構成により、正孔輸送層中にドーパントを含有していなくても、高いフィルファクターを示す。正孔輸送層中にドーパントを含有していないと、ペロブスカイト化合物上に配置される正孔輸送材料の配列ないし配向を損なうことなく、感光層と正孔輸送層との良好な界面状態を維持できる。
正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されず、50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、5nm〜5μmが更に好ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。なお、正孔輸送層3の膜厚は、第二電極2と感光層13の表面との平均距離に相当し、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子の断面を観察することにより、測定できる。
正孔輸送層中の、上記式1−1又は式1−2で表される正孔輸送材料の含有量は、特に限定されず、例えば、1〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが更に好ましい。
正孔輸送層が上述の通常用いられる正孔輸送材料を含有する場合、この正孔輸送材料の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、例えば、0.01質量%以下に設定される。
本発明の光電変換素子において、正孔輸送層は、上述の各式で表される正孔輸送材料を含有する層を備えており、上述の、通常用いられる正孔輸送材料からなる正孔輸送層を備えていてもいなくてもよい。
<正孔注入層>
本発明の光電変換素子は、正孔注入層(図1〜図5において図示しない。)を備えていてもよい。正孔注入層は、正孔輸送層(正孔輸送材料)から電荷を受け取ることで正孔輸送材層中に自由電荷を発生させ、正孔輸送層の導電率を向上させる層をいう。導電率を向上させる程度は、上述のドーパントと同程度であることが好ましい。
正孔注入層は、通常、正孔輸送層の近傍に設けられ、正孔輸送層に対して感光層と反対側に、好ましくは正孔輸送層に隣接して設けられる。
正孔注入層を形成する材料は、上記ドーパントとして挙げた各種材料を特に限定されることなく用いることができる。
正孔注入層の膜厚は、特に限定されず、0.1nm〜10μmが好ましく、1nm〜1μmがより好ましく、10nm〜0.5μmが更に好ましい。
<電子輸送層4>
本発明の光電変換素子は、光電変換素子10Eのように、第一電極1と第二電極2との間に電子輸送層4を有することも好ましい態様の1つである。この態様において、電子輸送層4は感光層3Cと接触(積層)していることが好ましい。
電子輸送層4は、電子の輸送先が第二電極である点、及び、形成される位置が異なること以外は、上記電子輸送層15と同じである。
<第二電極2>
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光等を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することが更に好ましい。
第二電極2を形成する材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)、アルミニウム(Al)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料及び伝導性高分子等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。
第二電極2としては、金属若しくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、又は、この薄膜を有するガラス基板若しくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板若しくはプラスチック基板としては、金若しくは白金の薄膜を有するガラス、又は、白金を蒸着したガラスが好ましい。
第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましく、0.01〜1μmが更に好ましい。
<その他の構成>
本発明においては、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14に代えて、又は、ブロッキング層14等とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
[太陽電池]
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて構成される。例えば図1〜図5に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)及び第二電極2に接続される外部回路6は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明は、例えば、特許文献1、非特許文献1及び2、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051に記載の各太陽電池に適用することができる。
本発明の太陽電池は、構成物の劣化及び蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
[光電変換素子及び太陽電池の製造方法]
本発明の光電変換素子及び太陽電池は、公知の製造方法、例えば、特許文献1、非特許文献1及び2、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051、並びに、Science,338,p.643(2012)等に記載の方法によって製造できる。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に、感光層を設ける工程と、この工程の前又は後に正孔輸送層を設ける工程とを有する製造方法により、製造することが好ましい。
この製造方法において、導電性支持体上に感光層を設けるとは、導電性支持体の表面に接して感光層を設ける(直接設ける)態様、及び、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を設ける態様を含む意味である。
導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様において、導電性支持体と感光層との間に設けられる他の層としては、太陽電池の電池性能を低下させないものであれば特に限定されない。例えば、多孔質層、ブロッキング層、電子輸送層、正孔輸送層等が挙げられる。
以下に、本発明の光電変換素子及び太陽電池の製造方法を簡単に説明する。
まず、導電性支持体11の表面に、所望によりブロッキング層14、多孔質層12、電子輸送層15及び正孔輸送層16の少なくとも1つを形成する。
ブロッキング層14は、例えば、上記絶縁性物質又はその前駆体化合物等を含有する分散物を導電性支持体11の表面に塗布し、焼成する方法又はスプレー熱分解法等によって、形成できる。
多孔質層12を形成する材料は、好ましくは微粒子として用いられ、更に好ましくは微粒子を含有する分散物として用いられる。
多孔質層12を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)が挙げられる。これらの方法において、導電性支持体11の表面又はブロッキング層14の表面に分散物(ペースト)を塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間、例えば空気中で焼成することが好ましい。これにより、微粒子同士を密着させることができる。
焼成を複数回行う場合、最後の焼成以外の焼成の温度(最後以外の焼成温度)を、最後の焼成の温度(最後の焼成温度)よりも低い温度で行うのがよい。例えば、酸化チタンペーストを用いる場合、最後以外の焼成温度を50〜300℃の範囲内に設定することができる。また、最後の焼成温度を、100〜600℃の範囲内において、最後以外の焼成温度よりも高くなるように、設定することができる。支持体11aとしてガラス支持体を用いる場合、焼成温度は60〜500℃が好ましい。
多孔質層12を形成するときの、多孔質材料の塗布量は、多孔質層12の膜厚及び塗布回数等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。導電性支持体11の表面積1m当たりの、多孔質材料の塗布量は、例えば、0.5〜500gが好ましく、更には5〜100gが好ましい。
電子輸送層15又は正孔輸送層16を設ける場合、それぞれ、後述する正孔輸送層3又は電子輸送層4と同様にして、形成することができる。
透明電極11上に正孔輸送層16を設ける場合、所望により、正孔輸送層16の形成に先立ち、正孔注入層を形成することができる。正孔注入層の形成方法は後述する。
次いで、感光層13を設ける。
感光層13を設ける方法は、湿式法及び乾式法が挙げられ、特に限定されない。本発明においては、湿式法が好ましく、例えば、ペロブスカイト型光吸収剤を含有する光吸収剤組成物(溶液)に接触させる方法が好ましい。この方法においては、まず、感光層を形成するための光吸収剤組成物を調製する。光吸収剤組成物は、上記ペロブスカイト化合物の原料であるMXとAXとを含有する。ここで、A、M及びXは上記式(I)のA、M及びXと同義である。この光吸収剤組成物において、MXとAXとのモル比は目的に応じて適宜に調整される。光吸収剤としてペロブスカイト化合物を形成する場合、AXとMXとのモル比は、1:1〜10:1であることが好ましい。この光吸収剤組成物は、MXとAXとを所定のモル比で混合した後に加熱することにより、調製できる。この形成液は通常溶液であるが、懸濁液でもよい。加熱する条件は、特に限定されず、加熱温度は30〜200℃が好ましく、70〜150℃が更に好ましい。加熱時間は0.5〜100時間が好ましく、1〜3時間が更に好ましい。溶媒又は分散媒は後述するものを用いることができる。
次いで、調製した光吸収剤組成物を、その表面に感光層13を形成する層(多孔質層12、ブロッキング層14又は電子輸送層15のいずれかの層)の表面に接触させる。具体的には、光吸収剤組成物を塗布又は浸漬することが好ましい。接触させる温度は5〜100℃であることが好ましく、浸漬時間は5秒〜24時間であるのが好ましく、20秒〜1時間がより好ましい。塗布した光吸収剤組成物を乾燥させる場合、乾燥は熱による乾燥が好ましく、通常は、20〜300℃、好ましくは50〜170℃に加熱することで乾燥させる。
また、上記ペロブスカイト化合物の合成方法に準じて感光層を形成することもできる。
更に、上記AXを含有するAX組成物(アンモニウム塩組成物)と、上記MXを含有するMX組成物(金属塩組成物)とを、別々に塗布(浸漬法を含む)し、必要により乾燥する方法も挙げられる。この方法では、いずれの溶液を先に塗布してもよいが、好ましくはMX組成物を先に塗布する。この方法におけるAXとMXとのモル比、塗布条件及び乾燥条件は、上記方法と同じである。この方法では、上記AX組成物及び上記MX組成物の塗布に代えて、AX又はMXを、蒸着させることもできる。
更に他の方法として、上記光吸収剤組成物の溶剤を除去した化合物又は混合物を用いた、真空蒸着等の乾式法が挙げられる。例えば、上記AX及び上記MXを、同時又は順次、蒸着させる方法も挙げられる。
これらの方法等により、ペロブスカイト化合物が多孔質層12、ブロッキング層14、電子輸送層15又は正孔輸送層16の表面に感光層として形成される。
このようにして設けられた感光層13上に、正孔輸送層3又は電子輸送層4を形成する。
正孔輸送層3は、上述の正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点、及び多孔質層12を有する場合は多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.1〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。塗布する温度及び塗布時間は、特に限定されず、適宜に設定される。正孔輸送材料溶液の乾燥条件は、加熱条件が好ましく、通常、30〜200℃、好ましくは40〜110℃の加熱条件を適用できる。
電子輸送層4は、電子輸送材料を含有する電子輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。
正孔輸送層3を形成した後に、所望により正孔注入層を形成する。
正孔注入層は、上述の材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、又は、上述の材料を用いて乾式法(蒸着等)により、形成することができる。
正孔輸送層3若しくは正孔注入層又は電子輸送層4を形成した後に、第二電極2を形成する。このようにして、感光層を設ける工程と、正孔輸送層を設ける工程とが行われ、導電性支持体と第二電極との間に感光層と正孔輸送層とが積層された光電変換素子及び太陽電池が製造される。
各層の膜厚は、各分散液又は組成物(溶液)の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調整できる。例えば、膜厚が厚い感光層13B及び13Cを設ける場合には、感光層形成用組成物、又は、アンモニウム塩組成物若しくは金属塩組成物を複数回塗布、乾燥すればよい。
上述の各分散液及び組成物は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
光電変換素子の製造方法に使用する溶媒又は分散媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特にこれに限定されない。本発明においては、有機溶媒が好ましく、更に、アルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、ハロゲン溶媒及び、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒又は炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、γ−ブチロラクトン、クロ正孔輸送層の形成方法ロベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、又は、これらの混合溶媒が好ましい。
各層を形成する組成物又は分散剤の塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。中でも、スピンコート法、スクリーン印刷法等が好ましい。
本発明の光電変換素子は、必要に応じて、アニール、ライトソーキング、酸素雰囲気下での放置等の効率安定化処理を行ってもよい。
上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1及び第二電極2に外部回路6を接続して、太陽電池として用いることができる。
以下に実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
合成例
以下に、実施例で用いる正孔輸送剤材料の合成方法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体及び合成ルートはこれらに限定されない。
本発明において、室温とは25℃を意味する。
合成例1:化合物18の合成
下記スキームに基づき、化合物18を合成した。
Figure 0006864754
<化合物a18−3の合成>
2.3gの2−ブロモ−4−(tert−ブチル)アニリン(a18−1)と1.5モル当量の無水酢酸(a18−2)とを、0℃に冷却した30mLのジクロロメタン中で混合し、1時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、水を加え、分液し、有機層を濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a18−3を1.7g得た。
化合物a18−3の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=270.1(M+H)
<化合物a18−4の合成>
1.6gの化合物a18−3と、炭酸セシウム(1.5モル当量)、酸化銅(化合物a18−3に対して10モル%)を20mLのDMSO(ジメチルスルホキシド)中で混合した後、110℃に加温し、48時間攪拌した。反応液を室温に放冷した後、酢酸エチルを加え、分液し、有機層を濃縮した。続けて濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a18−4を0.5g得た。
化合物a1−4の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=190.1(M+H)
<化合物18の合成>
0.4gの化合物a18−4と化合物a18−4に対して0.5モル当量の化合物a18−5を10mLのn−BuOH(ブタノール)/トルエン混合溶液(体積比1/1)中で混合した後、100℃に加温し、20時間攪拌した。反応液を濃縮した後にカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物18を0.1g得た。
化合物18の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=457.2(M+H)
合成例2:化合物19の合成
Figure 0006864754
上記化合物18の合成において、化合物a18−4の代わりに、5−クロロ−2−メチルベンゾオキサゾールを用いる以外は、化合物18の合成に準じて、化合物19を得た。
化合物19の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=413.0(M+H)
合成例3:化合物48の合成
Figure 0006864754
上記化合物18の合成において、化合物a18−4の代わりに、5−クロロ−2−メチルベンゾチアゾールを用いる以外は、化合物18の合成に準じて、化合物48を得た。
化合物48の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=445.0(M+H)
合成例4:化合物41の合成
下記スキームに基づき、化合物41を合成した。下記スキーム中、Meはメチル基を示す。
Figure 0006864754
<化合物a41−4の合成>
3.2gの2,3,3−トリメチルインドレニン(a41−1)と2モル当量のp−トルエンスルホン酸メチル(a41−2)を混合した後、90℃に加温し、7時間攪拌した。室温まで放冷し、アセトンを加え、1時間撹拌した後、ろ過を行い、化合物a41−3の粗体3.5gを得た。
この化合物a41−3の粗体3.5gと1モル当量の化合物a18−5をエタノール中で混合した後、2モル当量のトリエチルアミンを加え、75℃に加温し、4時間撹拌した。室温まで放冷した後、水を加え、ろ過した後に、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a41−4を1.4g得た。
化合物a41−4の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=298.1(M+H)
<化合物a41−5の合成>
1.5gの化合物a41−4を30mLのアセトニトリル/酢酸混合溶媒(体積比5/1)に溶解させ、2mLの濃塩酸を加え、室温で7時間攪拌した。反応液に水を加え、ろ過した後に、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a41−5を0.9g得た。
化合物a41−5の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=270.1(M+H)
<化合物41の合成>
0.9gの化合物a41−5と1モル当量の2,3,3−トリメチルインドレニン(a41−6)を10mLのn−BuOH/トルエン混合溶液(体積比1/1)中で混合した後、100℃に加温し、20時間攪拌した。反応液を濃縮した後にカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物41を0.3g得た。
化合物41の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=411.2(M+H)
合成例5:化合物42の合成
上記化合物41の合成において、化合物a41−6の代わりに2−メチルベンゾオキサゾールを用いる以外は、化合物41の合成に準じて、化合物42を得た。
化合物42の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=358.2(M+H)
合成例6:化合物43の合成
上記化合物41の合成において、化合物a41−1の代わりに2−メチルベンゾオキサゾール、化合物a41−6の代わりに2,3,3−トリメチルインドレニンを用いる以外は、化合物41の合成に準じて、化合物43を得た。
化合物43の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=358.2(M+H)
合成例7:化合物21の合成
下記スキームに基づき、化合物21を合成した。
Figure 0006864754
<化合物a21−2の合成>
3gのLiAlHを0℃に冷却した80mLのTHF中で撹拌して溶解させ、そこに3.9gの4,5,6,7−テトラヒドロイソインドール−1−カルボン酸エチル(a21−1)のTHF溶液(40mL)を滴下し、3時間撹拌した。続けて、50℃に加温して更に12時間撹拌した後、0℃に冷却し、10%水酸化ナトリウム溶液を加えた。反応液をセライトでろ過し、ろ液に酢酸エチルを加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a21−2を2.5g得た。
化合物a21−2の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=136.1(M+H)
<化合物a21−3の合成>
2.5gの化合物a21−2を50mLのDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解させ、0℃に冷却した後、1.2モル当量のNaHを加えて20分撹拌した。続けて、1.2モル当量のヨウ化メチルを加え8時間撹拌した後、水を加えた。反応液を室温に放冷却した後、酢酸エチルを加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a21−3を2.0g得た。
化合物a21−3の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=150.2(M+H)
<化合物a21−6の合成>
1.9gの化合物a21−3を30mLのジエチルエーテルに溶解させ、1モル当量の化合物a21−4を加え、1時間撹拌した。反応液を10mLまで濃縮した後、ろ過し化合物a21−5の粗体を得た。続けて、化合物a21−5の粗体を50mLのアセトンの溶解させ、5mLのトリエチルアミンを加えて5時間撹拌した。反応液を20mLまで濃縮した後、ジクロロメタンと水を加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a21−6を0.6g得た。
化合物a21−6の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=246.1(M+H)
<化合物21の合成>
0.6gの化合物a21−6と1モル当量の化合物a21−7を10mLのn−BuOH/トルエン混合溶液(体積比1/1)中で混合した後、100℃に加温し、20時間攪拌した。反応液を濃縮した後にカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物21を0.2g得た。
化合物21の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=395.1(M+H)
合成例8:化合物49の合成
下記スキームに基づき、化合物49を合成した。
Figure 0006864754
<化合物a49−4の合成>
3gの4−tert−ブチルアニリン(a49−1)を20mLの濃塩酸に溶解させ、0℃に冷却した後、1.2モル当量の亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下し、1時間撹拌した。続けて、3モル当量の塩化スズ・2水和物を濃塩酸に溶解した液を滴下し、更に3時間攪拌した。反応液をろ過し、得られた固体を冷水とヘキサンで洗浄し、化合物a49−2の粗体を2.5g得た。
2.5gの化合物a49−2の粗体と、1.5モル当量の化合物a49−3を30mLのエタノール中で混合し、0.3mLの硫酸を加え、90℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチルを加え分液し、有機層を濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物a49−4を1.7g得た。
化合物a49−4の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=216.2(M+H)
<化合物49の合成>
1.6gの化合物a49−4と、1モル当量の化合物a49−5及び1モル当量の化合物a49−6を20mLのn−BuOH/トルエン混合溶液(体積比1/1)中で混合した後、100℃に加温し、20時間攪拌した。反応液を濃縮した後にカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物49を0.3g得た。
化合物49の構造は質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。
MS−ESI m/z=477.1(M+H)
上記合成例に準拠して、上記合成例に示す正孔輸送材料以外の正孔輸送材料についても、上記合成例及び公知の方法を適宜に組み合わせることにより、合成した。
合成した化合物の構造を質量分析法(Mass Spectrometry:MS)により確認した。以下に化合物54及び56の結果を示す。
化合物54:MS−ESI m/z=405.1(M+H)
化合物56:MS−ESI m/z=499.6(M+H)
実施例1
以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aを製造した。感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示される光電変換素子10Bに対応することになる。
[光電変換素子(試料No.101)の製造]
<導電性支持体11の作製>
ガラス基板(支持体11a、厚さ2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を形成し、導電性支持体11を作製した。
<ブロッキング層用溶液の調製>
チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)の15質量%イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1−ブタノールで希釈して、0.02Mのブロッキング層用溶液を調製した。
<ブロッキング層14の形成>
調製した0.02Mのブロッキング層用溶液を用いてスプレー熱分解法により、450℃にて、導電性支持体11のSnO導電膜上に酸化チタンからなるブロッキング層14(膜厚50nm)を形成した。
<酸化チタンペーストの調製>
酸化チタン(アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸及びテルピネオールを加えて、酸化チタンペーストを調製した。
<多孔質層12の形成>
調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスクリーン印刷法で塗布し、空気中、500℃で3時間焼成した。その後、得られた酸化チタンの焼成体を、40mMのTiCl水溶液に浸した後、60℃で1時間加熱し、続けて500℃で30分間加熱して、TiOからなる多孔質層12(膜厚250nm)を形成した。
<光吸収剤溶液Aの調製>
メチルアミンの40質量%メタノール溶液(27.86mL)と、57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHNHIの粗体を得た。得られたCHNHIの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で5時間減圧乾燥して、精製CHNHIを得た。
次いで、精製CHNHIとPbIとをモル比3:1でDMF中、60℃で12時間攪拌混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Aを調製した。
<感光層13Aの形成>
調製した光吸収剤溶液Aを導電性支持体11上に成膜した多孔質層12上に、スピンコート法(2000rpmで60秒)により塗布(塗布温度:25℃)した後、塗布した光吸収剤溶液Aをホットプレートにより100℃で60分間乾燥して、CHNHPbIのペロブスカイト化合物からなる感光層13A(膜厚300nm(多孔質層12の膜厚250nmを含む))を設けた。
こうして第一電極1Aを作製した。
<正孔輸送材料溶液1の調製>
正孔輸送材料として上記例示化合物1(20mg)をクロロホルム(1mL)に溶解して、正孔輸送材料溶液1を調製した。
<正孔輸送層3の形成>
次いで、正孔輸送材料溶液1を、スピンコート法により、第一電極1の感光層13表面上に塗布し、塗布した正孔輸送材料溶液1を乾燥(70℃、30分)して、固体状の正孔輸送層3A(膜厚50nm)を形成した。この正孔輸送層3A中の、例示化合物1の含有量は100質量%であった。
<正孔注入層の形成>
正孔輸送層3Aの表面上に、蒸着法により、MoOを蒸着して、正孔注入層(膜厚10nm)を作製した。
<第二電極2の作製>
正孔注入層上に蒸着法により金を蒸着して、第二電極2(膜厚100nm)を作製した。
このようにして、光電変換素子10A(試料No.101)を製造した。
各膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して、決定した。
[光電変換素子(試料No.102〜138)の製造]
上述した試料No.101の光電変換素子の製造において、正孔輸送材料1に代えて、表1に示す符号で示される上記例示化合物を用いたこと以外は、試料No.101の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.102〜138の光電変換素子10Aをそれぞれ製造した。
[光電変換素子(試料No.c101)の製造]
上述した試料No.101の光電変換素子10Aの製造において、下記正孔輸送材料溶液C1を用いたこと以外は、試料No.101の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.c101の光電変換素子を製造した。
<正孔輸送材料溶液C1の調製>
光電変換層に通常用いられる正孔輸送材料としてspiro−MeOTAD(180mg)S1をクロロベンゼン(1mL)に溶解して、正孔輸送材料溶液C1を調製した。
[光電変換素子(試料No.c102〜c104)の製造]
上述した試料No.101の光電変換素子10Aの製造において、正孔輸送材料1に代えて、表1に示す下記化合物S2〜S4をそれぞれ用いたこと以外は、試料No.101の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.c102〜c104の光電変換素子をそれぞれ製造した。
Figure 0006864754
正孔輸送材料S2は、非特許文献2に記載の「JK−217D」であり、Rはヘキシルオキシ基である。
正孔輸送材料S3及びS4は、特許文献1の段落<0136>に記載の正孔輸送材料である。
[光電変換素子の評価]
<フィルファクターの評価>
各試料番号の光電変換素子について、電池特性試験を行い、フィルファクター(FF)を求めた。その結果を表1の「FF」欄に示す。
電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「PEC−L15」(ペクセル・テクノロジーズ社製)を用いて、AM1.5Gフィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を、各光電変換素子に照射することにより行った。
フィルファクター(FF)は、ソースメーター「Keithley2401」(テクトロニクス社製)を用いて、擬似太陽光を照射した各光電変換素子の電流−電圧特性を測定することにより求めた。得られた電流−電圧特性から、開放電圧VOC、短絡電流値JSC、最大出力点(Imax及びVmax)を求め、式:FF=(Imax×Vmax)/(VOC×JSC)より、算出した。
次いで、試料番号c101の光電変換素子のフィルファクター(FFc101)に対する相対値(各試料番号XXXの光電変換素子のフィルファクター(FFXXX)/(FFc101))を求めた。
相対値が下記の評価基準のいずれに含まれるかを判定した。
本評価において、評価ランク「J」以上が実用上求められ、評価ランク「G」以上が好ましい。
− 評価基準 −
A:1.44以上
B:1.40以上、1.44未満
C:1.36以上、1.40未満
D:1.33以上、1.36未満
E:1.29以上、1.33未満
F:1.25以上、1.29未満
G:1.21以上、1.25未満
H:1.17以上、1.21未満
I:1.11以上、1.17未満
J:1.07以上、1.11未満
K:1.07未満
Figure 0006864754
表1の結果から、以下のことが分かる。
ペロブスカイト化合物を含有する感光層を備えていても、本発明で規定する正孔輸送材料を含有する正孔輸送層を備えていない、試料No.c102〜c104の光電変換素子は、いずれも、フィルファクターが十分ではなかった。
試料No.c103及びc104の光電変換素子が十分なフィルファクターを示さない理由は、定かではないが、NH基及びCOOH基はいずれもペロブスカイトとの親和性が高すぎ、しかも局所的なため、本来得られるはずの電荷輸送に適した、感光層上での正孔輸送材料の配列ないし配向を乱すことによるものと考えられる。
これに対して、試料No.101〜138の光電変換素子は、いずれも、高いフィルファクターを示す。それゆえ、光電変換効率の向上が期待できる。これらの光電変換素子は、いずれも、ペロブスカイト化合物を含有する感光層と、この感光層に接して設けられた、本発明で規定する正孔輸送材料を含有する正孔輸送層とを備えている。この正孔輸送層はドーパントを含有していない。
特に、正孔輸送材料の化学構造に着目すると、式2−1〜式2−5のいずれかで表される正孔輸送材料、更に式3−1〜式3−3のいずれかで表される正孔輸送材料、特に式5−1〜式5−3のいずれかで表される正孔輸送材料の順に、フィルファクターの向上効果が高くなることが分かる。また、正孔輸送材料が、環構成原子として−NH−を含むヘテロ環を有していると(例えば、式5−1〜式5−3におけるV又はV)、高いフィルファクターを示すことが分かる。更には、正孔輸送材料が、ヘテロ環の水素原子が電子求引性基(特にハロゲン原子)で置換されていると、光電変換素子に優れたフィルファクターを付与できる。
実施例2
本例は、ペロブスカイト化合物を変更して、フィルファクターを評価した。
[光電変換素子(試料No.201)の製造]
実施例1における試料No.101の光電変換素子10Aの製造において、感光層を下記のようにして形成したこと以外は、試料No.101の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.201の光電変換素子10Aを製造した。
<光吸収剤溶液Bの調製>
ヨウ化セシウム39mgと、ホルムアミジンヨウ化水素酸塩(Formamidine
Hydroiodide)516mgと、CHNHBr67mgと、ヨウ化鉛1.73gとを、DMFとDMSO(ジメチルスルホキシド)との混合溶媒(DMF/DMSO=4/1(体積比))に溶解した。得られた液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Bを調製した。
<感光層13Aの形成>
調製した光吸収剤溶液Bを導電性支持体11上に成膜した多孔質層12上に、スピンコート法(5000rpmで50秒)により塗布(塗布温度:25℃)した。また、塗布中にクロロベンゼン(500μL)をピペッターで塗布層表面に吹きかけた。その後、塗布した光吸収剤溶液Bをホットプレートにより100℃で60分間乾燥して、Cs0.04FA0.8(CHNH0.16PbI2.84Br0.16のペロブスカイト化合物(表2においてはモル比の記載を省略する。)からなる感光層13A(膜厚200nm(多孔質層12の膜厚250nmを含まない))を設けた。
ペロブスカイト化合物の化学式及び表2の「感光層」欄の「FA」はホルムアミジニウム(H−C(=NH)NH)を示す(以下、同じ。)。
[光電変換素子(試料No.202及び203)の製造]
上述した試料No.201の光電変換素子の製造において、正孔輸送材料2に代えて、上記例示化合物19又は37を用いたこと以外は、試料No.201の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.202及び203の光電変換素子10Aをそれぞれ製造した。
[光電変換素子(試料No.c201〜c204)の製造]
試料No.201の光電変換素子の製造において、正孔輸送材料2に代えて、上記化合物S1〜S4をそれぞれ用いたこと以外は、試料No.201の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.c201〜c204の光電変換素子をそれぞれ製造した。
[光電変換素子の評価]
製造した各光電変換素子について、実施例1と同様にして、フィルファクター(FF)を求めた。評価は、試料番号c201の光電変換素子のフィルファクター(FFc201)に対する相対値(各試料番号XXXの光電変換素子のフィルファクター(FFXXX)/(FFc201))を求めて、行った。その結果を表2の「FF」欄に示す。
評価基準及び評価判定は、実施例1と同じである。
Figure 0006864754
表2の結果から、本発明で規定する正孔輸送材料を含有する正孔輸送層を感光層に接して設けた光電変換素子(試料No.201〜203)は、感光層が含有するペロブスカイト化合物が異なっても、実施例1と同様の結果を示す。
実施例3
本例は、正孔注入層を備えていない光電変換素子を製造して、フィルファクターを評価した。
[光電変換素子(試料No.301〜303)の製造]
実施例1における試料No.102、115及び129の光電変換素子10Aの製造それぞれにおいて、正孔注入層を設けなかったこと以外は、試料No.102、115及び129の光電変換素子10Aの製造とそれぞれ同様にして、試料No.301〜303の光電変換素子10Aをそれぞれ製造した。
[光電変換素子(試料No.c301〜c304)の製造]
実施例1における試料No.c101〜c104の光電変換素子の製造それぞれにおいて、正孔注入層を設けなかったこと以外は、試料No.c101〜c104の光電変換素子10Aの製造とそれぞれ同様にして、試料No.c301〜c304の光電変換素子をそれぞれ製造した。
[光電変換素子の評価]
製造した各光電変換素子について、実施例1と同様にして、フィルファクター(FF)を求めた。評価は、試料番号c301の光電変換素子のフィルファクター(FFc301)に対する相対値(各試料番号XXXの光電変換素子のフィルファクター(FFXXX)/(FFc301))を求めて、行った。その結果を表3の「FF」欄に示す。
評価基準及び評価判定は、実施例1と同じである。
Figure 0006864754
表3の結果から、正孔注入層備えていなくても、本発明で規定する正孔輸送材料を含有する正孔輸送層を感光層に接して設けた光電変換素子(試料No.301〜303)は、実施例1と同様の結果を示す。
実施例4
本例は、図5に示す層構成を有する光電変換素子10Eを製造して、フィルファクターを評価した。
[光電変換素子(試料No.401)の製造]
<正孔輸送層の形成>
ITO基板(導電性基板11、透明電極11bの膜厚300nm)上に、実施例1における試料No.102で調製した正孔輸送材料溶液2をスピンコート法により塗布した。塗布した正孔輸送材料溶液2を乾燥(100℃で10分間)して、固体状の正孔輸送層16を形成した。
<感光層13Cの形成>
実施例2における試料No.201で調製した光吸収剤溶液Bを正孔輸送層16上にスピンコート法(5000rpmで50秒)により塗布した。塗布した光吸収剤溶液Bをホットプレートにより100℃で60分間乾燥して、Cs0.04FA0.8(CHNH0.16PbI2.84Br0.16のペロブスカイト化合物(表4においてはモル比の記載を省略する。)からなる感光層13C(膜厚200nm)を設けた。
<電子輸送材料溶液の調製>
[6,6]−phenyl−C61−butyric acid methyl ester(PC61BM、20mg/mL)をクロロベンゼン(1mL)に溶解して、電子輸送材料溶液を調整した。
<電子輸送層4の形成>
次いで、感光層13C上に、調製した電子輸送材料溶液をスピンコート法により塗布した。塗布した電子輸送材料溶液を乾燥(120℃で30分間)して、固体状の電子輸送層4(膜厚100nm)を成膜した。
<第二電極2の作製>
電子輸送層4上に蒸着法によりアルミニウムを蒸着して、第二電極2(膜厚100nm)を作製した。
こうして、光電変換素子10E(試料No.401)を製造した。
[光電変換素子(試料No.402及び403)の製造]
上述した試料No.401の光電変換素子の製造において、正孔輸送材料2に代えて、上記例示化合物19又は37を用いたこと以外は、試料No.401の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.402及び403の光電変換素子10Aをそれぞれ製造した。
[光電変換素子(試料No.c401〜c404)の製造]
試料No.401の光電変換素子の製造において、正孔輸送材料2に代えて、上記化合物S1〜S4をそれぞれ用いたこと以外は、試料No.401の光電変換素子10Aの製造と同様にして、試料No.c401〜c404の光電変換素子をそれぞれ製造した。
[光電変換素子の評価]
製造した各光電変換素子について、実施例1と同様にして、フィルファクター(FF)を求めた。評価は、試料番号c401の光電変換素子のフィルファクター(FFc401)に対する相対値(各試料番号XXXの光電変換素子のフィルファクター(FFXXX)/(FFc401))を求めて、行った。その結果を表4の「FF」欄に示す。
評価基準及び評価判定は、実施例1と同じである。
Figure 0006864754
表4の結果から、本発明で規定する正孔輸送材料を含有する正孔輸送層と感光層とが接して設けられていると、正孔輸送層上に感光層を設けた光電変換素子(試料No.401〜403)であっても、実施例1と同様に、高いフィルファクターを示すことが分かる。
1A〜1E 第一電極
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A〜13C 感光層
14 ブロッキング層
2 第二電極
3A、3B、16 正孔輸送層
4、15 電子輸送層
6 外部回路(リード)
10A〜10E 光電変換素子
100A〜100E 太陽電池を利用したシステム
M 電動モーター

Claims (21)

  1. 第一電極を形成する導電性支持体と、前記第一電極に対向する第二電極との間に、光吸収剤を含む感光層と、前記感光層に積層された正孔輸送層とを有する光電変換素子であって、
    前記光吸収剤が、周期表第1族元素若しくはカチオン性有機基Aのカチオンと、周期表第1族元素以外の金属原子Mのカチオンと、アニオン性原子若しくは原子団Xのアニオンとを含むペロブスカイト型結晶構造を有する化合物を少なくとも含み、
    前記正孔輸送層が、下記式1−1又は下記式1−2で表される正孔輸送材料を含有し、
    前記式1−1で表される正孔輸送材料が下記式2−1、式2−2、式2−4若しくは式5−3で表される正孔輸送材料である、光電変換素子。
    Figure 0006864754
    1−1及び式1−2中、X〜Xは、酸素原子、硫黄原子、下記式1−aで表される基、下記式1−bで表される基又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    〜Yは、OR、SR、O、S、ハロゲン原子、下記式1−cで表される基又は下記1−dで表される基を示す。Rは水素原子又は置換基を示す。
    Figure 0006864754
    1−a〜式1−d中、Aは炭化水素環又はヘテロ環を示し、Bはヘテロ環又はNRN1N2を示す。RN1及びRN2は置換基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    〜L脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示す。na及びndは0〜2の整数であり、nb及びncは1又は2である。
    *は前記式1−1又は式1−2との連結部位を示す。
    ただし、前記式1−1又は前記式1−2で表される正孔輸送材料は、前記式1−a〜式1−dのいずれかで表される基を少なくとも1つ有し、−COOH及び−NHを有することはない。
    Figure 0006864754
    式2−1、式2−2及び式2−4中、A はヘテロ環を示す。A は2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示す。A 及びB はヘテロ環を示す。
    〜L 及びL 11 は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示す。ne〜ngは0〜2の整数であり、nh及びnkは1又は2である。
    、X 及びX 10 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    〜Y は、OR、SR、O 、S 又はハロゲン原子を示す。
    Rは水素原子又は置換基を示す。R 〜R は置換基を示す。
    式5−3中、V はNHを示し、V はN N3 又は窒素原子を示す。Z 及びZ はCR C1 C2 、酸素原子、硫黄原子又はNR N5 を示す。
    18 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    15 はOR又はO を示す。
    R、R C1 、R C2 、R N3 、R N5 、R 30 〜R 39 は水素原子又は置換基を示す。
  2. 前記式1−2で表される正孔輸送材料が下記式2−3で表される正孔輸送材料である、請求項1に記載の光電変換素子。
    Figure 0006864754
    2−3中、 及びL 10 は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示すni及びnjは0〜2の整数である。
    及びX は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    は置換基を示す。
  3. 前記式2−2で表される正孔輸送材料が下記式3−1で表される正孔輸送材料であり、又は前記式2−4で表される正孔輸送材料が下記式3−2で表される正孔輸送材料である、請求項1に記載の光電変換素子。
    Figure 0006864754
    3−1及び式3−2中、 ヘテロ環を示し、Aは2つ以上の環が縮環したヘテロ環又は酸素原子を示す。 ヘテロ環を示す。
    14脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示し、nnは0〜2の整数である。
    及びY 10 は、OR、SR、O又はSを示す。
    12 及びX 13 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    及びR10は置換基を示す。R、R11 及びR 12 は水素原子又は置換基を示す。
  4. 前記式3−1及び式3−2中、 及びB が採りうるヘテロ環が、いずれも、2つ以上の環が縮環したヘテロ環である請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記式2−2で表される正孔輸送材料が下記式5−1で表される正孔輸送材料であり、又は前記式2−4で表される正孔輸送材料が下記式5−2で表される正孔輸送材料である、請求項1又は3に記載の光電変換素子。
    Figure 0006864754
    5−1及び式5−2中、 N3又は窒素原子を示し、 NRN4を示す。Z 及びZ はCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示す。
    16 及びX 17 は、酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    13 及びY 14 はOR又はOを示す。
    17脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基を示し、nqは0〜2の整数である。
    は2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示す。
    18及びR19は置換基を示す。R、RC1、RC2、RN3〜RN5、R20 29 は水素原子又は置換基を示す。
  6. 前記式5−3で表される正孔輸送材料下記式6−1で表される請求項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006864754
    6−1中、V及びVはNN3又は窒素原子を示し、V及びVはNRN4を示す。Z〜ZはCRC1C2、酸素原子、硫黄原子又はNRN5を示す。
    19及びX20は酸素原子、硫黄原子又は=C(G)(G)を示す。G及びGは、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    16及びY17はOR又はOを示す。
    R、RC1、RC2、RN3〜RN5、R40〜R53は水素原子又は置換基を示す。
  7. 前記式5−2中の NHを示す請求項5に記載の光電変換素子。
  8. 前記式6−1中のV及びVが、いずれも、NHを示す請求項6に記載の光電変換素子。
  9. 前記式5−1中のZ 又は前記式5−2中のZ 酸素原子又は硫黄原子を示す請求項5又は7に記載の光電変換素子。
  10. 前記式5−3中のZ 及びZ の少なくとも一方が酸素原子又は硫黄原子を示す請求項1に記載の光電変換素子。
  11. 前記式6−1中のZ 〜Z の少なくとも1つが酸素原子又は硫黄原子を示す請求項6又は8に記載の光電変換素子。
  12. 前記式5−1中のR 21 〜R 24 の少なくとも1つ、又は前記式5−2中のR 25 〜R 28 の少なくとも1つが電子求引性基を示す請求項5、7又は9に記載の光電変換素子。
  13. 前記式5−3中の、R 30 〜R 33 のうち少なくとも1つ又はR 36 〜R 39 のうち少なくとも1つが電子求引性基を示す請求項1又は10に記載の光電変換素子。
  14. 前記式6−1中の、R 40 〜R 43 のうち少なくとも1つ又はR 50 〜R 53 のうち少なくとも1つが電子求引性基を示す請求項6、8又は11に記載の光電変換素子。
  15. 前記電子求引性基がハロゲン原子である請求項12〜14のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
  17. 下記式11−1又は式11−2で表される正孔輸送材料。
    Figure 0006864754
    式11−1及び式11−2中、V a1 はN Nv 又は窒素原子を示す。
    は酸素原子又は硫黄原子を示す。
    及びZ は、CR C1 C2 、酸素原子、硫黄原子又はNR N5 を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子である。
    及びX は酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    は2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示す。
    及びY はOR又はO を示す。
    R、R Nv 、R C1 、R C2 、R N5 及びR 〜R は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示し、前記式11−1中のR 〜R のうち少なくとも1つ、並びに、前記式11−2中のR 〜R の少なくとも1つ若しくはR 〜R の少なくとも1つがハロゲン原子を示す。
  18. 下記式16−1又は式16−2で表される正孔輸送材料。
    Figure 0006864754
    式16−1及び式16−2中、Z は酸素原子又は硫黄原子を示す。
    及びZ は、CR C1 C2 、酸素原子、硫黄原子又はNR N5 を示し、少なくとも1つは酸素原子である。R a1 〜R o1 は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
    a1 はN Nv 又は窒素原子を示す。
    及びX は酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    は2つ以上の環が縮環したヘテロ環を示す。
    及びY はOR又はO を示す。
    R、R Nv 、R C1 、R C2 及びR N5 は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
  19. 下記式17−1で表される正孔輸送材料。
    Figure 0006864754
    式17−1中、Z 及びZ は、CR C1 C2 、酸素原子、硫黄原子又はNR N5 を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子である。ただし、Z 及びZ は互いに異なる。
    a1 はN Nv 又は窒素原子を示す。
    は酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    はOR又はO を示す。
    R、R Nv 、R C1 、R C2 、R N5 及びR f1 〜R o1 は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
  20. 下記式18−1で表される正孔輸送材料。
    Figure 0006864754
    式18−1中、V a2 はN Nv1 を示す。R Nv1 は酸性基を含まない置換基を示す。
    及びZ は、CR C1 C2 、酸素原子、硫黄原子又はNR N5 を示し、少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子である。
    は酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    はOR又はO を示す。
    R、R C1 、R C2 、R N5 及びR f1 〜R o1 は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
  21. 下記式19−1で表される正孔輸送材料。
    Figure 0006864754
    式19−1中、V a3 はN Nv2 又は窒素原子を示す。
    及びZ はCR C3 C4 を示す。
    C3 及びR C4 は無置換のアルキル基を示し、R Nv2 は酸性基を含まない置換基を示す。
    は酸素原子、硫黄原子又は=C(G )(G )を示す。G 及びG は、電子求引性基を示し、互いに連結して環を形成することはない。
    はOR又はO を示す。
    R及びR f1 〜R o1 は水素原子、又は酸性基以外の置換基を示す。
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