JP6812349B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばエンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックとして用いることが可能な樹脂組成物に関する。また、本願は、2015年9月1日付の日本出願 特願2015−171970号、2016年1月19日付の日本出願 特願2016−007949号、および2016年3月29日付の日本出願 特願2016−065891号に基づく優先権を主張し、これら出願に記載された全ての内容を援用するものである。
樹脂成形体の製造においては、原料である樹脂組成物を軟化・溶融して混練する工程や成形する工程などにて、原料樹脂組成物に対する加熱を伴う。加熱を伴う工程では、加熱に起因して樹脂組成物中にラジカルが発生し、そのラジカルが樹脂組成物中で分解反応や架橋反応を誘発することがある。これら分解反応や架橋反応は、一般に、樹脂組成物の化学構造の劣化や物性の劣化を招き得る。また、架橋反応は、樹脂組成物の増粘を招き、加工性を低下させる場合もある。そのような分解反応や架橋反応を防止する目的で、加熱を伴う工程を経ることとなる樹脂組成物には、ラジカルを捕捉ないし安定化させる機能を有するヒンダードフェノール系化合物がラジカル安定剤として予め添加される場合がある。そのようなヒンダードフェノール系化合物については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
特開2002−332306号公報 特開2006−160809号公報 特開2011−208157号公報
エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックなど、高い耐熱性を有する樹脂材料は、高い融点を有するので、その成形加工においては相応の高い加工温度が求められる。特にスーパーエンジニアリングプラスチックの成形加工においては、例えば280℃以上もの高温の加工温度が求められる場合がある。しかしながら、上述のヒンダードフェノール系化合物その他の有機化合物たるラジカル安定剤は、エンジニアリングプラスチック等の高耐熱性樹脂材料の成形加工に求められる高温に耐えられない場合が多く、例えば280℃以上の高温では分解してしまう。そのため、高い加工温度の求められる高耐熱性の樹脂材料ないし樹脂組成物について、加熱加工時の劣化および増粘を抑制しつつ成形加工することには、技術的困難を伴う。
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであり、加熱加工時の劣化および増粘を抑制しつつ高い耐熱性を実現するのに適した樹脂組成物を提供することを、目的とする。
本発明により提供される樹脂組成物は、融点が280℃以上またはガラス転移温度が220℃以上の熱可塑性樹脂と、ナノダイヤモンド粒子とを含有する。本発明において、ナノダイヤモンド粒子とは、ナノダイヤモンドの一次粒子であってもよいし、一次粒子が集成してなるナノダイヤモンドの二次粒子であってもよい。本発明において、ナノダイヤモンド一次粒子とは、粒径10nm以下のナノダイヤモンドをいうものとする。また、本発明において、ガラス転移温度とは、JIS規格(JIS K 7121:プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して示差走査熱量測定(DSC)によって測定される値とする。
本樹脂組成物は、融点が280℃以上またはガラス転移温度が220℃以上の熱可塑性樹脂を含有するところ、当該熱可塑性樹脂を軟化・溶融して混練するため或は成形するためには、当該熱可塑性樹脂のガラス転移温度を有意に上回る高温にまで加熱する必要がある。そのような加熱によって本樹脂組成物中にラジカルが発生するとしても、そのラジカルの作用による熱可塑性樹脂における分解反応および架橋反応は、樹脂組成物中のナノダイヤモンド粒子の存在に起因して抑制される。ナノダイヤモンドは450℃を超える高温環境下でも耐熱性を示し得るものであるところ、ナノダイヤモンド粒子をなすか或はこれに含まれるナノダイヤモンド一次粒子の表面の少なくとも一部、即ち少なくとも{111}面には、ダイヤモンド本体をなすsp3構造炭素からの自発転移によってグラファイト層が生じているものと想定される。このグラファイト層のsp2構造炭素の存在が、ラジカルの補足や安定化の一因として寄与し、従って、ラジカルの作用による熱可塑性樹脂の分解・架橋すなわち劣化が抑制されるものと考えられる。また、当該架橋反応の抑制により、加熱加工中の熱可塑性樹脂の増粘、従って樹脂組成物の増粘は、抑制される傾向にある。そして、加熱加工中の樹脂組成物における分解反応および架橋反応の抑制は、融点が280℃以上またはガラス転移温度が220℃以上の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物の高い耐熱性について、その低下を抑えて確保するのに資する。以上のように、本樹脂組成物は、加熱加工時の劣化および増粘を抑制しつつ高い耐熱性を実現するのに適するのである。
好ましくは、本樹脂組成物におけるナノダイヤモンド粒子の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部である。ナノダイヤモンド粒子の当該含有量が多いほど、ナノダイヤモンド粒子によるラジカル安定剤としての大きな効果を享受することができる。本樹脂組成物中の熱可塑性樹脂についてその機能を適切に発現させるという観点からは、ナノダイヤモンド粒子の当該含有量は5重量部以下であるのが好ましい場合がある。
好ましくは、ナノダイヤモンド粒子は、爆轟法ナノダイヤモンド粒子である。爆轟法によると、一次粒子の粒径が10nm以下のナノダイヤモンドを適切に生じさせることが可能である。
好ましくは、ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基を有する。好ましくは、ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基を有する。好ましくは、ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボニル基を有する。これら表面官能基は、ナノダイヤモンド表面に存在するsp2構造炭素と協働して共役系をなし、ラジカルの補足や安定化に寄与し、従って、ラジカルの作用による熱可塑性樹脂の分解・架橋すなわち劣化を抑制するのに資するものと考えられる。
ナノダイヤモンド粒子の粒径D50(メディアン径)は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、より好ましくは200nm以下である。本発明におけるナノダイヤモンド粒子は、上述のように、ナノダイヤモンドの一次粒子、または、一次粒子が集成してなる二次粒子である。ナノダイヤモンド粒子について、単位質量あたりの表面積を充分に確保してラジカル安定剤としての機能を効率よく発揮させるという観点からは、ナノダイヤモンド粒子の粒径D50は10μm以下が好ましいのである。
好ましくは、熱可塑性樹脂は、芳香族ポリエーテルケトンおよび/またはポリフェニレンサルファイドを含む。芳香族ポリエーテルケトンは、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリエーテルエーテルケトンケトンからなる群より選択される少なくとも一種を含む。このような構成は、本樹脂組成物について、高い耐熱性に加えて、例えば高い難燃性や、高い耐摩耗性、高い耐薬品性を実現するうえで好適である。
本発明の一の実施形態に係る樹脂組成物の拡大模式図である。 図1に示す樹脂組成物に含有されるナノダイヤモンド粒子として用いることが可能なナノダイヤモンドの製造方法の一例の工程図である。
図1は、本発明の一の実施形態に係る樹脂組成物10の拡大模式図である。樹脂組成物10は、熱可塑性樹脂11と、ND粒子12(ナノダイヤモンド粒子)とを含む。樹脂組成物10は、樹脂成形原料たる例えばペレットの形態、樹脂成形原料の形態から軟化または溶融した状態にある形態、および、軟化・溶融状態を経て形成された樹脂成形体の形態を、とり得る。
熱可塑性樹脂11は、樹脂組成物10において耐熱性等の機能を発現させるための主材であり、280℃以上の融点または220℃以上のガラス転移温度を有する。熱可塑性樹脂は、一般に、結晶性の熱可塑性樹脂と非晶性の熱可塑性樹脂を含むところ、本実施形態の熱可塑性樹脂11は、融点280℃以上またはガラス転移温度220℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、および、ガラス転移温度220℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を含む。そのような熱可塑性樹脂11としては、スーパーエンジニアリングプラスチックやエンジニアリングプラスチックと呼称されることもある、例えば、芳香族ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド(融点280℃,ガラス転移温度90℃)、ポリエーテルサルホン(ガラス転移温度225℃)、ポリアリレート(ガラス転移温度275℃)、ポリアミドイミド(ガラス転移温度275℃)、熱可塑性ポリイミド(ガラス転移温度250℃)、ポリベンゾイミダゾール(ガラス転移温度427℃)、ポリアミド9T(融点306℃,ガラス転移温度125℃)、および、融点280℃以上の液晶ポリマーが挙げられる。熱可塑性樹脂11を含有する樹脂組成物10において高い耐熱性や、高い難燃性、高い耐摩耗性、高い耐薬品性を実現するという観点からは、熱可塑性樹脂11は芳香族ポリエーテルケトンおよび/またはポリフェニレンサルファイドを含有するのが好ましい。芳香族ポリエーテルケトンは、例えば、ポリエーテルケトン(融点373℃,ガラス転移温度140℃)、ポリエーテルエーテルケトン(融点334℃,ガラス転移温度143℃)、ポリエーテルケトンケトン(融点396℃,ガラス転移温度165℃)、およびポリエーテルエーテルケトンケトン(融点360℃,ガラス転移温度149℃)からなる群より選択される。樹脂組成物10は、一種類の熱可塑性樹脂11を含有してもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂11を含有してもよい。
樹脂組成物10における熱可塑性樹脂11の含有量は、例えば60〜99.999質量%であり、好ましくは90〜95質量%である。
樹脂組成物10に含有されるND粒子12は、樹脂組成物10中でラジカル安定剤としての機能を発揮するための成分であり、ナノダイヤモンドの一次粒子、または、一次粒子が集成してなるナノダイヤモンドの二次粒子である。ナノダイヤモンド一次粒子とは、粒径10nm以下のナノダイヤモンドをいうものとする。一次粒子の粒径が10nm以下のナノダイヤモンドは、いわゆる爆轟法によって生成し得る。ナノダイヤモンド粒子は、450℃を超える高温環境下でも耐熱性を示し得る。また、樹脂組成物10中のND粒子12の粒径D50(メディアン径)は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、より好ましくは200nm以下である。ND粒子12について、単位質量あたりの表面積を充分に確保してラジカル安定剤としての機能を効率よく発揮させるという観点からは、ND粒子12の粒径D50は10μm以下が好ましいのである。ND粒子12の粒径D50は、例えば、小角光散乱法および動的光散乱法によって測定することが可能である。例えば粒径1μm以上の比較的に大きな粒子については小角光散乱法によって粒径測定を行うことが可能である。例えば粒径1μm未満の比較的に小さな粒子については動的光散乱法によって粒径測定を行うことが可能である。
樹脂組成物10中のND粒子12の含有量は、樹脂組成物10中の熱可塑性樹脂11の総量100重量部に対して例えば0.001〜5重量部である。ND粒子12の当該含有量が多いほど、ND粒子12によるラジカル安定剤としての大きな効果を享受することができるところ、ND粒子12の当該含有量の下限は、好ましくは0.002重量部、より好ましくは0.01重量部、より好ましくは0.1重量部である。樹脂組成物10中の熱可塑性樹脂11について高耐熱性等の機能を適切に発現させるという観点からは、ND粒子12の当該含有量は5重量部以下であるのが好ましい場合がある。また、樹脂組成物10中のND粒子12の存在に起因する効果をより少量のND粒子12で享受するという観点からは、ND粒子12の当該含有量の上限は、好ましくは3.0重量部、より好ましくは2.0重量部、より好ましくは1.0重量部である。
本実施形態では、ND粒子12は、水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を表面に有する。これら表面官能基は、後述のように、ラジカルの作用による熱可塑性樹脂11の分解・架橋すなわち劣化を抑制するのに資するものと考えられる。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素における水酸基結合炭素の割合は、総じて、例えば16.8%以上であり、好ましくは17.0%以上、より好ましくは18.0%以上、より好ましくは20.0%以上、より好ましくは25.0%以上である。当該水酸基結合炭素の割合の上限は例えば40.0%である。ナノダイヤモンドは、バルクダイヤモンドと同様に、sp3構造の炭素よりなる基本骨格を有するところ、本実施形態における水酸基結合炭素とは、ナノダイヤモンドがその基本骨格に付随させて表面に有する水酸基(−OH)の結合する炭素を意味する。本実施形態では、水酸基結合炭素の割合は、固体13C-NMR分析によって得られる値とする。ND粒子12は、樹脂組成物10ないし熱可塑性樹脂11中に分散しつつ、上記の水酸基結合炭素の割合が総じて例えば16.8%以上となる量で官能基たる水酸基を表面に有する。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素におけるカルボキシル炭素の割合は、総じて、例えば1.0%以上であり、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.7%以上、より好ましくは2.0%以上である。当該カルボキシル炭素の割合の上限は例えば5.0%である。本実施形態におけるカルボキシル炭素とは、ナノダイヤモンドがその基本骨格に付随させて表面に有するカルボキシル基(−COOHを含む−C(=O)O)に含まれる炭素を意味するものとする。本実施形態では、カルボキシル炭素の割合は、固体13C-NMR分析によって得られる値とする。ND粒子12は、樹脂組成物10ないし熱可塑性樹脂11中に分散しつつ、上記のカルボキシル炭素の割合が総じて例えば1.0%以上となる量で官能基たるカルボキシル基を表面に有する。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素におけるカルボニル炭素の割合は、総じて、例えば1.0%以上であり、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.7%以上、より好ましくは2.0%以上である。当該カルボニル炭素の割合の上限は例えば5.0%である。本実施形態におけるカルボニル炭素とは、ナノダイヤモンドがその基本骨格に付随させて表面に有するカルボニル基(−C=O)に含まれる炭素を意味する(−C(=O)Oに含まれる炭素はカルボニル炭素に含まれないものとする)。本実施形態では、カルボニル炭素の割合は、固体13C-NMR分析によって得られる値とする。ND粒子12は、樹脂組成物10ないし熱可塑性樹脂11中に分散しつつ、上記のカルボニル炭素の割合が総じて例えば1.0%以上となる量で官能基たるカルボニル基を表面に有する。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボキシル炭素の総割合は、例えば17.8%以上であり、好ましくは18.0%以上、より好ましくは18.3%、より好ましくは18.5%以上、より好ましくは18.8%以上である。当該割合の上限は例えば30.0%である。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボニル炭素の総割合は、例えば17.8%以上であり、好ましくは18.0%以上、より好ましくは18.3%、より好ましくは18.5%以上、より好ましくは18.8%以上である。当該割合の上限は例えば30.0%である。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、例えば2.0%以上であり、好ましくは2.2%以上、より好ましくは2.4%以上、より好ましくは2.7%以上、より好ましくは2.9%以上、より好ましくは3.2%以上である。当該割合の上限は例えば8.0%である。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、例えば18.8%以上であり、好ましくは19.0%以上、より好ましくは19.2%、より好ましくは19.5%以上、より好ましくは19.7%以上であり、より好ましくは20.0%であり、より好ましくは20.5%である。当該割合の上限は例えば32.0%である。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素におけるアルケニル炭素の割合は例えば0.1%以上である。本実施形態におけるアルケニル炭素とは、ナノダイヤモンドがその基本骨格に付随させて表面に有するアルケニル基に含まれる炭素を意味する。
樹脂組成物10中のND粒子12の含む炭素における水素結合炭素の割合は例えば20.0%以上である。本実施形態における水素結合炭素とは、ナノダイヤモンドがその基本骨格に付随させて表面に有する水素の結合する炭素を意味する。このような水素の結合は、ナノダイヤモンドの表面炭素の安定化に寄与する。
樹脂組成物10に含まれるND粒子12は、例えば爆轟法ナノダイヤモンド粒子(爆轟法によって生成したナノダイヤモンド粒子)である。ナノダイヤモンド製造技術たる爆轟法としては、空冷式爆轟法と水冷式爆轟法とが知られているところ、ND粒子12は、好ましくは空冷式爆轟法ナノダイヤモンド粒子である。空冷式爆轟法ナノダイヤモンド粒子は、水冷式爆轟法ナノダイヤモンド粒子よりも、一次粒子が小さい傾向にあるので、ND粒子12に含まれるナノダイヤモンド一次粒子の小さな樹脂組成物10を実現するうえで好適である。また、ND粒子12は、より好ましくは空冷式大気共存下爆轟法ナノダイヤモンド粒子、即ち、空冷式であって大気組成の気体(有意量の酸素を含む)が共存する条件下での爆轟法によって生成したナノダイヤモンド粒子である。空冷式であって大気組成の気体が共存する条件下で実施される爆轟法は、一次粒子表面の官能基量の多いナノダイヤモンド粒子を生じさせるうえで好適である。
樹脂組成物10は、熱可塑性樹脂11およびND粒子12に加えて他の成分を含有してもよい。そのような成分としては、例えば、難燃剤、ガラス繊維、炭素繊維、帯電防止剤、滑剤、着色剤などが挙げられる。
以上のような構成の樹脂組成物10は、例えば次のようにして製造することができる。まず、熱可塑性樹脂11の原料となるペレット等と、乾燥粉体たるND粒子12と、必要に応じて添加される他の成分とを、混合機を使用して混合する(混合工程)。混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー、および自公転ミルが挙げられる。次に、その混合工程を経て得られた混合物を、混練機を使用して加熱混練する。混練機としては、例えば、バッチ式ポリマーミキサー、二軸押出機、一軸押出機、バンバリーミキサー、およびロールミキサーが挙げられる。次に、混練物を所定形状に成形する。或は、混練物をペレット化する。得られたペレットを原料として射出成形してもよい。以上のようにして、樹脂組成物10を製造することができる。
樹脂組成物10は、融点が280℃以上またはガラス転移温度が220℃以上の熱可塑性樹脂11を含有するところ、熱可塑性樹脂11を軟化・溶融して混練するため或は成形するためには、熱可塑性樹脂11の例えばガラス転移温度を有意に上回る高温にまで加熱する必要がある。そのような加熱によって樹脂組成物10中にラジカルが発生するとしても、そのラジカルの作用による熱可塑性樹脂11における分解反応および架橋反応は、樹脂組成物10中のND粒子12の存在に起因して抑制される。ナノダイヤモンドたるND粒子12は450℃を超える高温環境下でも耐熱性を示し得るものであるところ、ND粒子12をなすか或はこれに含まれるナノダイヤモンド一次粒子の表面の少なくとも一部、即ち少なくとも{111}面には、ダイヤモンド本体をなすsp3構造炭素からの自発転移によってグラファイト層が生じているものと想定される。このグラファイト層のsp2構造炭素の存在が、ラジカルの補足や安定化の一因として寄与し、従って、ラジカルの作用による熱可塑性樹脂11の分解・架橋すなわち劣化が抑制されるものと考えられる。また、当該架橋反応の抑制により、加熱加工中の熱可塑性樹脂11の増粘、従って樹脂組成物10の増粘は、抑制される傾向にある。そして、加熱加工中の樹脂組成物10における分解反応および架橋反応の抑制は、融点が280℃以上またはガラス転移温度が220℃以上の熱可塑性樹脂11を含有する樹脂組成物10の高い耐熱性について、その低下を抑えて確保するのに資する。以上のように、樹脂組成物10は、加熱加工時の劣化および増粘を抑制しつつ高い耐熱性を実現するのに適するのである。
加えて、本実施形態では、ND粒子12は、水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を表面に有する。これら表面官能基は、ナノダイヤモンド表面に存在するsp2構造炭素と協働して共役系をなし、ラジカルの補足や安定化に寄与し、従って、ラジカルの作用による熱可塑性樹脂11の分解・架橋すなわち劣化を抑制するのに資するものと考えられる。
図2は、樹脂組成物10中のND粒子12として用いることの可能なナノダイヤモンドの製造方法の一例の工程図である。本方法は、生成工程S1と、精製工程S2と、化学的解砕工程S3と、pH調整工程S4と、遠心分離工程S5と、乾燥工程S6とを含む。
生成工程S1では、空冷式であって大気組成の気体(有意量の酸素を含む)が共存する条件下での爆轟法が行われてナノダイヤモンドが生成する。まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体と使用爆薬とが共存する状態で、容器を密閉する。容器は例えば鉄製で、容器の容積は、例えば0.5〜40m3であり、好ましくは2〜30m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物を使用することができる。TNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、例えば40/60〜60/40の範囲とされる。爆薬の使用量は、例えば0.05〜2.0kgであり、好ましくは0.3〜1.0kgである。
生成工程S1では、次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させる。爆轟とは、化学反応に伴う爆発のうち反応の生じる火炎面が音速を超えた高速で移動するものをいう。爆轟の際、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素を原料として、爆発で生じた衝撃波の圧力とエネルギーの作用によってナノダイヤモンドが生成する。ナノダイヤモンドは、爆轟法により得られる生成物にて先ずは、隣接する一次粒子ないし結晶子の間がファンデルワールス力の作用に加えて結晶面間クーロン相互作用が寄与して非常に強固に集成し、凝着体をなす。
生成工程S1では、次に、室温での例えば24時間の放置により、容器およびその内部を降温させる。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上述のようにして生成したナノダイヤモンドの凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ナノダイヤモンド粗生成物を回収する。以上のような空冷式大気共存下爆轟法によって、ナノダイヤモンド粒子の粗生成物を得ることができる。空冷式であって大気組成の気体(有意量の酸素を含む)が共存する条件下で実施される爆轟法は、一次粒子表面の官能基量の多いナノダイヤモンド粒子を生じさせるうえで好適である。これは、空冷式大気共存下爆轟法によると、ダイヤモンド結晶子が形成される過程において、原料炭素からのダイヤモンド核の成長が抑制されて、原料炭素の一部が(あるものは酸素等を伴って)表面官能基を形成するためであると考えられる。また、以上のような生成工程S1を必要回数行うことによって、所望量のナノダイヤモンド粗生成物を取得することが可能である。
精製工程S2は、本実施形態では、原料たるナノダイヤモンド粗生成物に例えば水溶媒中で強酸を作用させる酸処理を含む。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物には金属酸化物が含まれやすいところ、この金属酸化物は、爆轟法に使用される容器等に由来するFe,Co,Ni等の酸化物である。例えば水溶媒中で所定の強酸を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物から金属酸化物を溶解・除去することができる(酸処理)。この酸処理に用いられる強酸としては、鉱酸が好ましく、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、および王水が挙げられる。酸処理では、一種類の強酸を用いてもよいし、二種類以上の強酸を用いてもよい。酸処理で使用される強酸の濃度は例えば1〜50質量%である。酸処理温度は例えば70〜150℃である。酸処理時間は例えば0.1〜24時間である。また、酸処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような酸処理の後、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行う。沈殿液のpHが例えば2〜3に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行うのが好ましい。
精製工程S2は、本実施形態では、酸化剤を用いてナノダイヤモンド粗生成物(精製終了前のナノダイヤモンド凝着体)からグラファイトを除去するための酸化処理を含む。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物にはグラファイト(黒鉛)が含まれているところ、このグラファイトは、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素のうちナノダイヤモンド結晶を形成しなかった炭素に由来する。例えば上記の酸処理を経た後に、例えば水溶媒中で所定の酸化剤を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物からグラファイトを除去することができる(酸化処理)。この酸化処理に用いられる酸化剤としては、例えば、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸、及びこれらの塩が挙げられる。酸化処理では、一種類の酸化剤を用いてもよいし、二種類以上の酸化剤を用いてもよい。酸化処理で使用される酸化剤の濃度は例えば3〜50質量%である。酸化処理における酸化剤の使用量は、酸化処理に付されるナノダイヤモンド粗生成物100重量部に対して例えば300〜500重量部である。酸化処理温度は例えば100〜200℃である。酸化処理時間は例えば1〜24時間である。酸化処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。また、酸化処理は、グラファイトの除去効率向上の観点から、鉱酸の共存下で行うのが好ましい。鉱酸としては、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、および王水が挙げられる。酸化処理に鉱酸を用いる場合、鉱酸の濃度は例えば5〜80質量%である。このような酸化処理の後、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行う。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行うのが好ましい。
以上のような精製工程S2を経て精製された後であっても、爆轟法ナノダイヤモンドは、一次粒子間が非常に強く相互作用して集成している凝着体(二次粒子)の形態をとる。この凝着体から一次粒子を分離させるために、本方法では、次に化学的解砕工程S3が行われる。例えば水溶媒中で所定のアルカリおよび過酸化水素を作用させることにより、ナノダイヤモンド凝着体からナノダイヤモンド一次粒子を分離させて解砕を進行させることができる(化学的解砕処理)。この化学的解砕処理に用いられるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム等が挙げられる。化学的解砕処理におけるアルカリの濃度は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜8質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%である。化学的解砕処理における過酸化水素の濃度は、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%、更に好ましくは4〜8質量%である。化学的解砕処理において、処理温度は例えば40〜95℃であり、処理時間は例えば0.5〜5時間である。また、化学的解砕処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような化学的解砕処理の後、デカンテーションによって上澄みが除かれる。
本方法では、次に、pH調整工程S4が行われる。pH調整工程S4は、上述の化学的解砕処理を経たナノダイヤモンドを含む溶液のpHを後述の遠心分離処理より前に所定のpHに調整するための工程である。本工程では、デカンテーション後の沈殿液に酸やアルカリを加える。酸としては例えば塩酸を用いることができる。ナノダイヤモンドを含む溶液のpHを本工程で例えば2〜3に調整することによって、本方法によって作製されることとなるナノダイヤモンド分散液のpHを例えば4〜7の範囲に設定することが可能である。
本方法では、次に、遠心分離工程S5が行われる。遠心分離工程S5は、上述の化学的解砕処理を経たナノダイヤモンドを含む溶液を遠心分離処理に付すための工程である。具体的には、まず、上述の化学的解砕工程S3およびpH調整工程S4を経たナノダイヤモンド含有液について、遠心分離装置を使用して最初の遠心分離処理を行う。最初の遠心分離処理後の上清液は、淡い黄色透明である場合が多い。そして、遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して更なる遠心分離処理を行って固液分離を図る。加える超純水の量は、例えば、沈殿物の3〜5倍(体積比)である。遠心分離による固液分離後の沈殿物と上清液との分離、沈殿物に超純水を加えての懸濁、および更なる遠心分離処理という一連の過程を、遠心分離処理後に黒色透明の上清液が得られるまで反復して行う。3回目以降の遠心分離処理で黒色透明の上清液が得られる場合、最初の遠心分離処理と黒色透明の上清液が得られる遠心分離処理との間に行われる遠心分離処理で得られる上清液は、無色透明である場合が多い。以上のようにして得られる黒色透明の上清液が、ナノダイヤモンドの一次粒子がコロイド粒子として水に分散するナノダイヤモンド分散液である。本工程の各遠心分離処理における遠心力は例えば15000〜25000×gであり、遠心時間は例えば10〜120分である。このような遠心分離工程S5における例えば最初の遠心分離処理によって生じる沈殿物には、ナノダイヤモンドの二次粒子が一次粒子よりも多く含まれているところ、当該沈殿物と上清液とを分けた後に沈殿物に超純水を加えて懸濁することによってナノダイヤモンド含有溶液を得ることができる。また、黒色透明の上清液を分離取得した後に残る沈殿物など、遠心分離処理によって生じる沈殿物については、上述の精製工程S2を経た別の固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)と合せて、或は単独で、上述の化学的解砕工程S3、pH調整工程S4、および遠心分離工程S5の一連の過程に再び供してもよい。
爆轟法によって得られるナノダイヤモンドは、上述のように、得られる生成物にて先ずは一次粒子間が非常に強く相互作用して集成している凝着体(二次粒子)の形態をとる。上記の生成工程S1から遠心分離工程S5までの過程においては、ナノダイヤモンド凝着体に対し、精製工程S2において使用される化学種が加熱条件下で作用するのに加え、化学的解砕工程S3において使用される化学種が加熱条件下で作用する。これにより、化学的解砕工程S3において、ナノダイヤモンド凝着体にて少なくとも一部のナノダイヤモンド一次粒子間の凝着が化学的に解かれ、当該ナノダイヤモンド一次粒子がナノダイヤモンド凝着体から分離しやすくなる。遠心分離工程S5では、このようなナノダイヤモンドを含む溶液について遠心力の作用を利用した固液分離とその後の懸濁操作とが反復され、所定回数の遠心分離処理の後に、ナノダイヤモンド一次粒子の分散する黒色透明の上清液が採取される。このようにして、ナノダイヤモンドの一次粒子がコロイド粒子として分散するナノダイヤモンド分散液を作製することができる。また、得られたナノダイヤモンド分散液については、水分量を低減することによってナノダイヤモンド濃度を高めることができる。この水分量低減は、例えばエバポレーターを使用して行うことができる。
本方法においては、次に、乾燥工程S6が行われる。具体的には、以上のような遠心分離工程S5を経て得られたナノダイヤモンド分散液ないしナノダイヤモンド含有溶液を乾燥処理に付して、ナノダイヤモンドの乾燥粉体を得る。乾燥処理の手法としては、例えば、噴霧乾燥装置を使用して行う噴霧乾燥や、エバポレーターを使用して行う蒸発乾固が挙げられる。
以上のようにして、樹脂組成物10中のND粒子12として用いることの可能なナノダイヤモンドを製造することができる。
本方法では、ナノダイヤモンド凝着体(二次粒子)からナノダイヤモンドの一次粒子を分離させるうえで、上述のような化学的解砕処理と懸濁操作を含む遠心分離処理とが行われる。ナノダイヤモンドの一次粒子を分離させるための解砕手法として、上記の化学的解砕工程S3では、ジルコニアビーズを用いた従来のビーズミリングは行われない。そのため、以上の方法から得られるナノダイヤモンド分散液およびナノダイヤモンド粉体は、ジルコニアを実質的に含まない。これらナノダイヤモンド分散液やナノダイヤモンド粉体について、ジルコニアの検出を試みたとしても、採用される検出法の検出限界を上回る量のジルコニアは検出されないことが想定される。このようにジルコニアが含まれないことは、ナノダイヤモンドの高純度化において好適である。
本実施形態では、上述の精製工程S2を経たナノダイヤモンド凝着体についてナノダイヤモンド一次粒子へと解砕するために、上述の化学的解砕工程S3での化学的解砕手法に代えて、物理的解砕手法を採用してもよい。物理的解砕手法としては、例えば、高剪断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、またはコロイドミルを使用して行う手法が挙げられる。物理的解砕手法としては、効率性の観点からはビーズミルを使用して行うビーズミリングを採用するのが好ましい。物理的解砕手法によって解砕処理を行う場合、当該解砕処理を経たナノダイヤモンド含有スラリーから粗大粒子を除去する。例えば分級装置を使用して、遠心分離を利用した分級操作によって当該スラリーからナノダイヤモンド粗大粒子などの粗大粒子を除去することができる。これにより、ナノダイヤモンドの一次粒子がコロイド粒子として分散する黒色透明のナノダイヤモンド分散液が得られる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例2、3は参考例として記載するものである。
〔ナノダイヤモンド製造例1〕
以下のような生成工程、精製工程、化学的解砕工程、pH調整工程、遠心分離工程、および乾燥工程を経て、ナノダイヤモンドの乾燥粉体を製造した。
生成工程では、まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体と使用爆薬とが共存する状態で、容器を密閉した。容器は鉄製で、容器の容積は15m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物0.50kgを使用した。当該爆薬におけるTNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、50/50である。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた。次に、室温での24時間の放置により、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上記爆轟法で生成したナノダイヤモンド粒子の凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ナノダイヤモンド粗生成物を回収した。ナノダイヤモンド粗生成物の回収量は0.025kgであった。
次に、上述のような生成工程を複数回行うことによって取得されたナノダイヤモンド粗生成物(ナノダイヤモンド粗生成物P’)に対して精製工程の酸処理を行った。具体的には、当該ナノダイヤモンド粗生成物200gに6Lの10質量%塩酸を加えて得られたスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。この酸処理における加熱温度は85〜100℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体と煤を含む)の水洗を行った。沈殿液のpHが低pH側から2に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、精製工程の酸化処理を行った。具体的には、デカンテーション後の沈殿液に、5Lの60質量%硫酸水溶液と2Lの60質量%クロム酸水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で5時間の加熱処理を行った。この酸化処理における加熱温度は120〜140℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、化学的解砕工程を行った。具体的には、デカンテーション後の沈殿液に、1Lの10質量%水酸化ナトリウム水溶液と1Lの30質量%過酸化水素水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った(化学的解砕処理)。この化学的解砕処理における加熱温度は50〜105℃である。次に、冷却後、デカンテーションによって上澄みを除いた。
次に、pH調整工程を行った。具体的には、化学的解砕処理後のデカンテーションによって得られた沈殿液に塩酸を加え、沈殿液のpHを2.5に調整した。このようにして、pHの調整されたスラリーを得た。
次に、遠心分離工程を行った。具体的には、上述のpH調整を経たスラリー(ナノダイヤモンド含有液)について、まず、遠心分離装置を使用して最初の遠心分離処理を行った。この遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は10分とした。最初の遠心分離処理後の上清液は、淡い黄色透明であった。本工程では、次に、最初の遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して2回目の遠心分離処理を行って固液分離を図った。加えた超純水の量は、沈殿物の4倍(体積比)とした。2回目の遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は60分とした。2回目の遠心分離処理後の上清液は、無色透明であった。本工程では、次に、2回目の遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して3回目の遠心分離処理を行って固液分離を図った。加えた超純水の量は、沈殿物の4倍(体積比)とした。3回目の遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は60分とした。3回目の遠心分離処理後の上清液は、黒色透明であった。この後、遠心分離による固液分離後の沈殿物と上清液との分離、沈殿物に4倍量の超純水を加えての懸濁、および更なる遠心分離処理(遠心力20000×g,遠心時間60分)という一連の過程を、遠心分離処理後に黒色透明の上清液が得られる限り反復して行った。
以上のようにして、黒色透明のナノダイヤモンド分散液を得た。上記3回目の遠心分離処理後のナノダイヤモンド分散液のpHについてpH試験紙(商品名「スリーバンドpH試験紙」,アズワン株式会社製)を使用して確認したところ、6であった。本分散液のナノダイヤモンド固形分濃度は1.08質量%であった。本分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子の粒径を動的光散乱法によって測定した結果、粒径D50(メディアン径)は6.04nmであった。本分散液の一部についてナノダイヤモンド濃度0.2質量%への超純水による希釈を行った後に当該ナノダイヤモンド分散液中のナノダイヤモンド粒子のゼータ電位を測定したところ、−42mV(25℃,pH6)であった。
次に、乾燥工程を行った。具体的には、上述のようにして得られたナノダイヤモンド分散液を、スプレードライヤー(商品名「スプレードライヤー B−290」,日本ビュッヒ社製)を使用して噴霧乾燥に付し、粉体化した。以上のようにして、ナノダイヤモンドの乾燥粉体(ナノダイヤモンド粉体P1)を製造した。
ナノダイヤモンド粉体P1について、X線回析装置(商品名「SmartLab」,リガク社製)を使用して結晶構造解析を行った。その結果、ダイヤモンドの回析ピーク位置、即ち、ダイヤモンド結晶の(111)面からの回析ピーク位置に、強い回析ピークが認められ、上述のようにして得られた粉体がダイヤモンドであることを確認した。また、ナノダイヤモンド粉体P1について、X線回析装置(商品名「SmartLab」,リガク社製)を使用して小角X線散乱測定を行い、粒子径分布解析ソフト(商品名「NANO−Solver」,リガク社製)を使用して、散乱角度1°〜3°の領域についてナノダイヤモンドの一次粒子経を見積もった。この見積もりにおいては、ナノダイヤモンド一次粒子が球形であり且つ粒子密度が3.51g/cm3であるとの仮定をおいた。その結果、本測定で得られるナノダイヤモンド一次粒子の平均粒径は4.240nmであり、一次粒子分布に関する相対標準偏差(RSD:relative standard deviation)は41.4%であった。動的光散乱法によって得られた上記粒径D50の値(6.04nm)よりも小さく比較的に小径な一次粒子群が比較的にシャープな分布を示すことが確認された。
ナノダイヤモンド粉体P1について、後記のようにして固体13C-NMR分析を行った。その結果、分析対象の試料の13C DD/MAS NMRスペクトルにおいて、ナノダイヤモンドの主成分としてのsp3炭素のピーク、水酸基の結合する炭素(−COH)に由来するピーク、カルボキシル基(−COOHを含む−C(=O)O)に含まれる炭素に由来するピーク、カルボニル基(−C=O)に含まれる炭素に由来するピーク、アルケニル基(C=C)に含まれる炭素に由来するピーク、および、水素の結合する炭素(−CH)に由来するピークが観測された。ピークごとに波形分離を行ったうえで算出したこれら各種炭素の割合は、sp3炭素が54.5%、水酸基結合炭素が17.0%、カルボキシル炭素が1.7%、カルボニル炭素が1.5%、アルケニル炭素が0.2%、水素結合炭素が25.1%であった。また、ナノダイヤモンド粒子の分散する市販のナノダイヤモンド水分散液(商品名「Vox D」,ナノダイヤモンド濃度5質量%,粒径D50;5nm,pH9におけるゼータ電位;−55mV,Carbodeon社製)から得られたナノダイヤモンド乾燥粉体について、別途、固体13C-NMR分析を行ったところ、分析対象の試料の13C DD/MAS NMRスペクトルにおいて、ナノダイヤモンドの主成分としてのsp3炭素のピーク、水酸基の結合する炭素(−COH)に由来するピーク、カルボキシル基(−COOHを含む−C(=O)O)に含まれる炭素に由来するピーク、カルボニル基(−C=O)に含まれる炭素に由来するピーク、および、水素の結合する炭素(−CH)に由来するピークが観測された。アルケニル基(C=C)に含まれる炭素に由来するピークは観測されなかった。ピークごとに波形分離を行ったうえで算出したこれら各種炭素の割合は、sp3炭素が66.5%、水酸基結合炭素が16.1%、カルボキシル炭素が0.2%、カルボニル炭素が0.4%、水素結合炭素が16.8%であった。
ナノダイヤモンド粉体P1について、後記のようにしてICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法によってジルコニア含有量の測定を試みた。しかしながら、ジルコニアは検出されなかった。具体的には、検出限界(下限)50質量ppmを上回る測定結果は得られなかった。
〔ナノダイヤモンド製造例2〕
空冷式爆轟法によって得られた空冷式爆轟ナノダイヤモンド煤(ALIT社製)を上述のナノダイヤモンド粗生成物P’の代わりに用いたこと以外は製造例1におけるのと同様の精製工程の酸処理および酸化処理、化学的解砕工程、並びにpH調整工程を行った。その後、遠心分離工程を行った。具体的には、pH調整工程を経たスラリー(ナノダイヤモンド含有液)について、遠心分離装置を使用して遠心分離処理を行った。この遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は10分とした。次に、この遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁した。加えた超純水の量は、沈殿物の4倍(体積比)とした。このようにして、精製等を経たナノダイヤモンド粒子を含有する溶液を得た。次に、乾燥工程を行った。具体的には、当該ナノダイヤモンド含有溶液を、スプレードライヤー(商品名「スプレードライヤー B−290」,日本ビュッヒ社製)を使用して噴霧乾燥に付し、粉体化した。以上のようにして、ナノダイヤモンドの乾燥粉体(ナノダイヤモンド粉体P2)を製造した。
ナノダイヤモンド粉体P2について、ナノダイヤモンド粉体P1と同様に、X線回析装置(商品名「SmartLab」,リガク社製)を使用して結晶構造解析を行い、粉体がダイヤモンドであることを確認した。また、ナノダイヤモンド粉体P2について、ナノダイヤモンド粉体P1と同様に、X線回析装置(商品名「SmartLab」,リガク社製)を使用して小角X線散乱測定を行い、粒子径分布解析ソフト(商品名「NANO−Solver」,リガク社製)を使用して、散乱角度1°〜3°の領域についてナノダイヤモンドの一次粒子経を見積もった。その結果、本測定で得られるナノダイヤモンド一次粒子の平均粒径は5.945nmであり、一次粒子分布に関する相対標準偏差(RSD)は38.1%であった。
ナノダイヤモンド粉体P2について、後記のようにして固体13C-NMR分析を行った。その結果、分析対象の試料の13C DD/MAS NMRスペクトルにおいて、ナノダイヤモンドの主成分としてのsp3炭素のピーク、水酸基の結合する炭素(−COH)に由来するピーク、カルボキシル基(−COOHを含む−C(=O)O)に含まれる炭素に由来するピーク、カルボニル基(−C=O)に含まれる炭素に由来するピーク、および、水素の結合する炭素(−CH)に由来するピークが観測された。ピークごとに波形分離を行ったうえで算出したこれら各種炭素の割合は、sp3炭素が70.0%、水酸基結合炭素が14.7%、カルボキシル炭素が0.5%、カルボニル炭素が0.4%、水素結合炭素が14.4%であった。
ナノダイヤモンド粉体P2について、後記のようにしてICP発光分光分析法によってジルコニア含有量の測定を試みた。しかしながら、ジルコニアは検出されなかった。具体的には、検出限界(下限)50質量ppmを上回る測定結果は得られなかった。
〈固形分濃度〉
ナノダイヤモンド分散液に関する上記の固形分濃度は、秤量した分散液3〜5gの当該秤量値と、当該秤量分散液から加熱によって水分を蒸発させた後に残留する乾燥物(粉体)について精密天秤によって秤量した秤量値とに基づき、算出した。
〈メディアン径〉
ナノダイヤモンド分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子に関する上記の粒径D50(メディアン径)は、スペクトリス社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、動的光散乱法(非接触後方散乱法)によって測定した値である。測定に付されたナノダイヤモンド分散液は、ナノダイヤモンド濃度が0.5〜2.0質量%となるように超純水で希釈した後に、超音波洗浄機による超音波照射を経たものである。
〈ゼータ電位〉
ナノダイヤモンド分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子に関する上記のゼータ電位は、スペクトリス社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、レーザードップラー式電気泳動法によって測定した値である。測定に付されたナノダイヤモンド分散液は、ナノダイヤモンド濃度0.2質量%への超純水による希釈を行った後に超音波洗浄機による超音波照射を経たものである。また、測定に付されたナノダイヤモンド分散液のpHは、pH試験紙(商品名「スリーバンドpH試験紙」,アズワン株式会社製)を使用して確認した値である。
〈固体13C-NMR分析〉
固体13C-NMR分析は、固体NMR装置(商品名「CMX−300 Infinity」,Chemagnetics社製)を使用して行う固体NMR法によって行った。測定法その他、測定に係る条件は、以下のとおりである。
測定法:DD/MAS法
測定核周波数:75.188829 MHz(13C核)
スペクトル幅:30.003 kHz
パルス幅:4.2μsec(90°パルス)
パルス繰り返し時間:ACQTM 68.26msec,PD 15sec
観測ポイント:2048(データポイント:8192)
基準物質:ポリジメチルシロキサン(外部基準:1.56ppm)
温度:室温(約22℃)
試料回転数:8.0 kHz
〈ICP発光分光分析法〉
ナノダイヤモンド分散液またはナノダイヤモンド含有溶液から加熱によって水分を蒸発させた後に残留する乾燥物(粉体)100mgについて、磁製るつぼに入れた状態で電気炉内にて乾式分解を行った。この乾式分解は、450℃で1時間の条件、これに続く550℃で1時間の条件、及びこれに続く650℃で1時間の条件にて、3段階で行った。このような乾式分解の後、磁製るつぼ内の残留物について、磁製るつぼに濃硫酸0.5mlを加えて蒸発乾固させた。そして、得られた乾固物を最終的に20mlの超純水に溶解させた。このようにして分析サンプルを調製した。この分析サンプルを、ICP発光分光分析装置(商品名「CIROS120」,リガク社製)によるICP発光分光分析に供した。本分析の検出下限値が50質量ppmとなるように前記分析サンプルを調製した。また、本分析では、検量線用標準溶液として、SPEX社製の混合標準溶液XSTC−22、および、関東化学社製の原子吸光用標準溶液Zr1000を、分析サンプルの硫酸濃度と同濃度の硫酸水溶液にて適宜希釈調製して用いた。そして、本分析では、空のるつぼで同様に操作および分析して得られた測定値を、測定対象たるナノダイヤモンド分散液試料についての測定値から差し引き、試料中のジルコニア濃度を求めた。
〔実施例1〕
高耐熱性の熱可塑性樹脂としての100重量部のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(商品名「ベスタキープ L4000G」,ダイセル・エボニック社製)と、0.5重量部の上記ナノダイヤモンド粉体P1との混合物(総量30g)を、混練・押出成形評価試験装置(商品名「ラボプラストミルR−30」,混練チャンバーの容積30cc,東洋精機製作所製)を使用して混練し、実施例1の樹脂組成物を得た。この混練においては、混練温度を400℃とし、混練チャンバー内のローラーの回転数を60rpmとし、混練時間を15分とした。この実施例1の樹脂組成物について、回転式レオメーター(商品名「MCR302」,Anton Paar社製)を使用して動的粘弾性測定を行い、その測定によって得られる複素粘度η*(Pa・s)の値をモニターした。この測定においては、直径8mmのパラレルプレートを用い、測定温度を400℃とし、周波数を1Hzとし、試料に作用させる歪を3%とした。実施例1に関し、測定開始から1分後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値を1分後の複素粘度測定値で除した値(粘度上昇倍率)とを、表1に掲げる。
〔実施例2〕
ナノダイヤモンド粉体P1(0.5重量部)に代えて0.5重量部の上記ナノダイヤモンド粉体P2を用いた以外は実施例1と同様にして混合物の混練を行って、実施例2の樹脂組成物を得た。この実施例2の樹脂組成物について、実施例1の樹脂組成物と同様にして、動的粘弾性測定を行って複素粘度η*(Pa・s)の値をモニターした。実施例2に関し、測定開始から1分後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値を1分後の複素粘度測定値で除した値(粘度上昇倍率)とを、表1に掲げる。
〔比較例1〕
実施例1で用いたのとの同じPEEK(商品名「ベスタキープ L4000G」)30gを、混練・押出成形評価試験装置(商品名「ラボプラストミルR−30」,東洋精機製作所製」)を使用して混練し、比較例1の樹脂組成物を得た。この比較例1の樹脂組成物について、実施例1の樹脂組成物と同様にして、動的粘弾性測定を行って複素粘度η*(Pa・s)の値をモニターした。比較例1に関し、測定開始から1分後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値を1分後の複素粘度測定値で除した値(粘度上昇倍率)とを、表1に掲げる。
〔比較例2〕
ナノダイヤモンド粉体P1(0.5重量部)に代えて0.5重量部のヒンダードフェノール系化合物(商品名「IRGANOX 1010FF」,BASF社製)を用いた以外は実施例1と同様にして混合物の混練を行って、比較例2の樹脂組成物を得た。この比較例2の樹脂組成物について、実施例1の樹脂組成物と同様にして、動的粘弾性測定を行って複素粘度η*(Pa・s)の値をモニターした。比較例2に関し、測定開始から1分後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値を1分後の複素粘度測定値で除した値(粘度上昇倍率)とを、表1に掲げる。
〔実施例3〕
高耐熱性の熱可塑性樹脂としての100重量部のポリフェニレンサルファイド(PPS)(商品名「ジュラファイド 0220A9」,ポリプラスチックス株式会社製)と、0.5重量部の上記ナノダイヤモンド粉体P2との混合物(総量30g)を、混練・押出成形評価試験装置(商品名「ラボプラストミルR−30」,混練チャンバーの容積30cc,東洋精機製作所製)を使用して混練し、実施例3の樹脂組成物を得た。この混練においては、混練温度を330℃とし、混練チャンバー内のローラーの回転数を60rpmとし、混練時間を15分とした。この実施例3の樹脂組成物について、回転式レオメーター(商品名「MCR302」,Anton Paar社製)を使用して動的粘弾性測定を行い、その測定によって得られる複素粘度η*(Pa・s)の値をモニターした。この測定においては、直径8mmのパラレルプレートを用い、測定温度を330℃とし、周波数を1Hzとし、試料に作用させる歪を3%とした。実施例3に関し、測定開始から1分後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値を1分後の複素粘度測定値で除した値(粘度上昇倍率)とを、表2に掲げる。
〔比較例3〕
実施例3で用いたのとの同じPPS(商品名「ジュラファイド 0220A9」)30gを、混練・押出成形評価試験装置(商品名「ラボプラストミルR−30」,東洋精機製作所製」)を使用して混練し、比較例3の樹脂組成物を得た。この比較例3の樹脂組成物について、実施例3の樹脂組成物と同様にして、動的粘弾性測定を行って複素粘度η*(Pa・s)の値をモニターした。比較例3に関し、測定開始から1分後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値を1分後の複素粘度測定値で除した値(粘度上昇倍率)とを、表2に掲げる。
〔比較例4〕
ナノダイヤモンド粉体P2(0.5重量部)に代えて0.5重量部のヒンダードフェノール系化合物(商品名「IRGANOX 1010FF」,BASF社製)を用いた以外は実施例3と同様にして混合物の混練を行って、比較例4の樹脂組成物を得た。この比較例4の樹脂組成物について、実施例3の樹脂組成物と同様にして、動的粘弾性測定を行って複素粘度η*(Pa・s)の値をモニターした。比較例4に関し、測定開始から1分後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値と、1時間後の複素粘度測定値を1分後の複素粘度測定値で除した値(粘度上昇倍率)とを、表2に掲げる。
[評価]
表1に示される結果から、PEEKのみが混練されてなる比較例1の樹脂組成物(粘度上昇倍率1.83)や、PEEKとヒンダードフェノール系化合物とが混練されてなる比較例2の樹脂組成物(粘度上昇倍率1.81)よりも、PEEKと上記ナノダイヤモンド粉体P1とが混練されてなる実施例1の樹脂組成物(粘度上昇倍率1.25)およびPEEKと上記ナノダイヤモンド粉体P2とが混練されてなる実施例2の樹脂組成物(粘度上昇倍率1.29)は、高温環境下における増粘が抑制されていることが解る。また、比較例1と比較例2の比較から、比較例2の樹脂組成物においてヒンダードフェノール系化合物は増粘抑制作用を実質的に発揮していないと評価できる。これは、比較例2の樹脂組成物を得るための400℃での上記混練過程や、比較例2の樹脂組成物に関する400℃での上記動的粘弾性測定過程において、ヒンダードフェノール系化合物が高温環境に耐えられなかったことによるものと、想定される。実施例1の樹脂組成物における増粘抑制効果は、400℃の高温環境下での上記ナノダイヤモンド粉体P1ないしナノダイヤモンド粒子の高耐熱性を示唆するものである。実施例2の樹脂組成物における増粘抑制効果は、400℃の高温環境下での上記ナノダイヤモンド粉体P2ないしナノダイヤモンド粒子の高耐熱性を示唆するものである。
表2に示される結果から、PPSのみが混練されてなる比較例3の樹脂組成物(粘度上昇倍率1.43)や、PPSとヒンダードフェノール系化合物とが混練されてなる比較例4の樹脂組成物(粘度上昇倍率1.42)よりも、PPSと上記ナノダイヤモンド粉体P2とが混練されてなる実施例3の樹脂組成物(粘度上昇倍率1.27)は、高温環境下における増粘が抑制されていることが解る。また、比較例3と比較例4の比較から、比較例4の樹脂組成物においてヒンダードフェノール系化合物は増粘抑制作用を実質的に発揮していないと評価できる。これは、比較例4の樹脂組成物を得るための330℃での上記混練過程や、比較例4の樹脂組成物に関する330℃での上記動的粘弾性測定過程において、ヒンダードフェノール系化合物が高温環境に耐えられなかったことによるものと、想定される。実施例3の樹脂組成物における増粘抑制効果は、330℃の高温環境下での上記ナノダイヤモンド粉体P2ないしナノダイヤモンド粒子の高耐熱性を示唆するものである。
Figure 0006812349
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以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列記する。
〔付記1〕融点が280℃以上またはガラス転移温度が220℃以上の熱可塑性樹脂と、ナノダイヤモンド粒子とを含有する、樹脂組成物。
〔付記2〕前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部である、付記1に記載の樹脂組成物。
〔付記3〕前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.002重量部以上である、付記1または2に記載の樹脂組成物。
〔付記4〕前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01重量部以上である、付記1または2に記載の樹脂組成物。
〔付記5〕前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1重量部以上である、付記1または2に記載の樹脂組成物。
〔付記6〕前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して3.0重量部以下である、付記1から5のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記7〕前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して2.0重量部以下である、付記1から5のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記8〕前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して1.0重量部以下である、付記1から5のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記9〕前記ナノダイヤモンド粒子は、爆轟法ナノダイヤモンド粒子である、付記1から8のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記10〕前記ナノダイヤモンド粒子は、空冷式爆轟法ナノダイヤモンド粒子である、付記1から9のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記11〕前記ナノダイヤモンド粒子は、空冷式大気共存下爆轟法ナノダイヤモンド粒子である、付記1から10のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記12〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基を有する、付記1から11のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記13〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素の割合は、16.8%以上である、付記1から12のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記14〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素の割合は、17.0%以上である、付記1から12のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記15〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素の割合は、18.0%以上である、付記1から12のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記16〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素の割合は、20.0%以上である、付記1から12のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記17〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素の割合は、25.0%以上である、付記1から12のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記18〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素の割合は、40.0%以下である、付記1から17のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記19〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基を有する、付記1から18のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記20〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素の割合は、1.0%以上である、付記1から19のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記21〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素の割合は、1.2%以上である、付記1から19のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記22〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素の割合は、1.5%以上である、付記1から19のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記23〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素の割合は、1.7%以上である、付記1から19のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記24〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素の割合は、2.0%以上である、付記1から19のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記25〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素の割合は、5.0%以下である、付記1から24のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記26〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボニル基を有する、付記1から25のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記27〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素の割合は、1.0%以上である、付記1から26のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記28〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素の割合は、1.2%以上である、付記1から26のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記29〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素の割合は、1.5%以上である、付記1から26のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記30〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素の割合は、1.7%以上である、付記1から26のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記31〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素の割合は、2.0%以上である、付記1から26のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記32〕前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素の割合は、5.0%以下である、付記1から31のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記33〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボキシル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボキシル炭素の総割合は、17.8%以上である、付記1から32のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記34〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボキシル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボキシル炭素の総割合は、18.0%以上である、付記1から32のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記35〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボキシル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボキシル炭素の総割合は、18.3%以上である、付記1から32のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記36〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボキシル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボキシル炭素の総割合は、18.5%以上である、付記1から32のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記37〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボキシル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボキシル炭素の総割合は、18.8%以上である、付記1から32のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記38〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボキシル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボキシル炭素の総割合は、30.0%以下である、付記1から37のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記39〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボニル炭素の総割合は、17.8%以上である、付記1から38のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記40〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボニル炭素の総割合は、18.0%以上である、付記1から38のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記41〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボニル炭素の総割合は、18.3%以上である、付記1から38のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記42〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボニル炭素の総割合は、18.5%以上である、付記1から38のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記43〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボニル炭素の総割合は、18.8%以上である、付記1から38のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記44〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素およびカルボニル炭素の総割合は、30.0%以下である、付記1から43のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記45〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、2.0%以上である、付記1から44のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記46〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、2.2%以上である、付記1から44のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記47〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、2.4%以上である、付記1から44のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記48〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、2.7%以上である、付記1から44のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記49〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、2.9%以上である、付記1から44のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記50〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、3.2%以上である、付記1から44のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記51〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にカルボキシル基およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の総割合は、8.0%以下である、付記1から50のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記52〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、18.8%以上である、付記1から51のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記53〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、19.0%以上である、付記1から51のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記54〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、19.2%以上である、付記1から51のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記55〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、19.5%以上である、付記1から51のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記56〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、19.7%以上である、付記1から51のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記57〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、20.0%以上である、付記1から51のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記58〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、20.5%以上である、付記1から51のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記59〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素の総割合は、32.0%以下である、付記1から58のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記60〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面にアルケニル基を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素におけるアルケニル炭素の割合は、0.1%以上である、付記1から59のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記61〕前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水素を有し、当該ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水素結合炭素の割合は、20.0%以上である、付記1から60のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記62〕前記ナノダイヤモンド粒子のメディアン径は、10μm以下である、付記1から61のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記63〕前記ナノダイヤモンド粒子のメディアン径は、500nm以下である、付記1から61のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記64〕前記ナノダイヤモンド粒子のメディアン径は、200nm以下である、付記1から61のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記65〕前記熱可塑性樹脂は、芳香族ポリエーテルケトンおよび/またはポリフェニレンサルファイドを含む、付記1から64のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記66〕前記芳香族ポリエーテルケトンは、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリエーテルエーテルケトンケトンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、付記65に記載の樹脂組成物。
〔付記67〕前記熱可塑性樹脂の含有量は、60〜99.999質量%である、付記1から66のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
〔付記68〕前記熱可塑性樹脂の含有量は、90〜95質量%である、付記1から66のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
10 樹脂組成物
11 熱可塑性樹脂
12 ND粒子(ナノダイヤモンド粒子)
S1 生成工程
S2 精製工程
S3 化学的解砕工程
S4 pH調整工程
S5 遠心分離工程
S6 乾燥工程

Claims (6)

  1. 融点が280℃以上またはガラス転移温度が220℃以上の熱可塑性樹脂と、ナノダイヤモンド粒子とを含有する、樹脂組成物であって、
    前記ナノダイヤモンド粒子は、表面に水酸基、カルボキシル基、およびカルボニル基を有し、
    前記ナノダイヤモンド粒子の含む炭素における水酸基結合炭素、カルボキシル炭素、およびカルボニル炭素割合は、18.8%以上32.0%以下であり、
    前記ナノダイヤモンド粒子のメディアン径は、10μm以下である、樹脂組成物。
  2. 前記ナノダイヤモンド粒子の含有量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ナノダイヤモンド粒子は、爆轟法ナノダイヤモンド粒子である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂は、芳香族ポリエーテルケトンおよび/またはポリフェニレンサルファイドを含む、請求項1からのいずれか一つに記載の樹脂組成物。
  5. 前記芳香族ポリエーテルケトンは、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリエーテルエーテルケトンケトンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ナノダイヤモンド粒子は、ナノダイヤモンドの一次粒子、または、一次粒子が集成してなる二次粒子である、請求項1から5のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
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