JP2019006626A - ナノダイヤモンド分散液製造方法およびナノダイヤモンド分散液 - Google Patents

ナノダイヤモンド分散液製造方法およびナノダイヤモンド分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子の分散液を高いナノダイヤモンド純度で製造するのに適したナノダイヤモンド分散液製造方法、および、これによって製造されるナノダイヤモンド分散液を提供する。【解決手段】本発明のナノダイヤモンド分散液製造方法は、ナノダイヤモンド含有溶液についての脱気処理と凍結処理と解凍処理とが実施される少なくとも1回の分散化工程S3を含む。脱気処理では、ナノダイヤモンド含有溶液について脱気が行われる。凍結処理では、脱気処理を経たナノダイヤモンド含有溶液が凍結されて凍結体が得られる。解凍処理では、凍結体が解凍される。【選択図】図1

Description

本発明は、ナノダイヤモンド分散液製造方法およびナノダイヤモンド分散液に関する。
近年、ナノダイヤモンドと呼称される微粒子状のダイヤモンド材料の開発が進められている。ナノダイヤモンドは、用途によっては、粒径が10nm以下のいわゆる一桁ナノダイヤモンドが求められる場合がある。そのようなナノダイヤモンドの分散する分散液に関する技術については、例えば下記の特許文献1および特許文献2に記載されている。
特開2005−001983号公報 特開2010−126669号公報
例えば爆轟法によると、一次粒子の粒径が数ナノメートルのナノダイヤモンドが生成される。ナノダイヤモンドは、バルクダイヤモンドがそうであるように高い機械的強度や、高い屈折率、高い熱伝導性などを示し得る。微粒子たるナノ粒子は、一般に、表面原子(配位的に不飽和である)の割合が大きいので、隣接粒子の表面原子間で作用し得るファンデルワールス力の総和が大きくて凝集(aggregation)を生じやすい。これに加えて、爆轟法ナノダイヤモンド(爆轟法によって生成したナノダイヤモンド)の場合、隣接結晶子の結晶面間クーロン相互作用が寄与して非常に強固に集成する凝着(agglutination)という現象が生じ得る。爆轟法ナノダイヤモンドは、このように結晶子ないし一次粒子の間が重畳的に相互作用し得る特異な性質を有するところ、ナノダイヤモンドの一次粒子間を解離させて当該一次粒子が例えば溶媒中で分散した状態を創り出すことには、技術的困難を伴う。ナノダイヤモンドは、爆轟法により得られる生成物にて先ずは、一次粒子間が非常に強く相互作用して集成している凝着体(二次粒子)の形態をとり、二次粒子から一次粒子への解砕や、一次粒子を所望の溶媒に安定して分散させることに、技術的困難を伴うのである。
爆轟法ナノダイヤモンドの二次粒子から一次粒子への解砕手法として、高硬度のジルコニアビーズを用いたビーズミリングが知られている。しかしながら、この方法においては、ミリングの過程でジルコニアビーズの表面がナノダイヤモンド粒子との接触によって欠け、そうして生じたジルコニアのナノ粒子がナノダイヤモンド粒子群に混入してしまう。ジルコニアビーズを用いたビーズミリングを経ると、ナノダイヤモンド粒子群に不可避的にジルコニアナノ粒子が混入してしまうのである。また、当該ビーズミリングにてミル容器として内壁がジルコニアコーティングされているものが使用される場合、ミリング過程でジルコニア壁面がナノダイヤモンド粒子との接触によって欠け、生じたジルコニアナノ粒子が、ナノダイヤモンド粒子群に混入してしまう。このようにしてナノダイヤモンド粒子群に混入するジルコニアナノ粒子は、ナノダイヤモンドの一次粒子と同程度の粒径を有する。加えて、ジルコニアは、強酸に対しても強アルカリに対しても難溶性である。そのため、ナノダイヤモンド粒子群に混入したジルコニアナノ粒子をナノダイヤモンド粒子群から除去することには、技術的困難を伴う。したがって、ジルコニアビーズを用いたビーズミリングを経たナノダイヤモンドやその分散液においては、求められるナノダイヤモンド純度を充足することができない場合がある。
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであり、粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子の分散液を高いナノダイヤモンド純度で製造するのに適したナノダイヤモンド分散液製造方法を提供すること、及び、これによって製造されるナノダイヤモンド分散液を提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面によるとナノダイヤモンド分散液製造方法が提供される。本方法は、ナノダイヤモンド含有溶液についての脱気処理と凍結処理と解凍処理とが実施される少なくとも1回の分散化工程を含む。脱気処理では、ナノダイヤモンド含有溶液について脱気が行われる。凍結処理では、脱気処理を経たナノダイヤモンド含有溶液が凍結されて凍結体が得られる。解凍処理では、凍結体が解凍される。
ナノダイヤモンド一次粒子が凝集した凝集体(ナノダイヤモンド二次粒子)においては、通常、ナノダイヤモンド一次粒子間に多くの隙間が存在し、ナノダイヤモンド含有溶液においては溶液が満たされない隙間が存在する。本方法においては、脱気処理をすることでナノダイヤモンド一次粒子間の隙間に存在する気体を除去し、気体が存在していた部分を溶液で満たすことができる。これにより、ナノダイヤモンド一次粒子と溶液の接触する面積を大きくすることができると考えられる。本方法においては、凍結処理をすることで、凍結時にナノダイヤモンド一次粒子と接触する部分の溶液が凍結して、凍結した部分の体積が変化する。このときナノダイヤモンド一次粒子どうしの接触部にずれが生じ、このずれによりナノダイヤモンド一次粒子の凝集力が低下すると考えられる。脱気処理を経ずに凍結処理が行われる場合よりも、本方法のように脱気処理を経たうえで凍結処理が行われる場合の方が、ナノダイヤモンド粒子をより分散することができる。そして、本方法においては、解凍処理をすることで、ナノダイヤモンド一次粒子の凝集力が低下したナノダイヤモンド一次粒子が分離して、溶液中においてナノダイヤモンド粒子を分散することができると考えられる。したがって、本方法は、粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子の分散液を製造するのに適する。
また、ナノダイヤモンドの一次粒子を分離させるための手法として、本方法では、ジルコニアビーズを用いた上述のビーズミリングは行われないため、本方法によって製造されるナノダイヤモンド分散液は、高純度化を阻むジルコニアを実質的に含まない。したがって、本方法は、高いナノダイヤモンド純度でナノダイヤモンド分散液を製造するのに適する。以上のように、本方法は、粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子の分散液を高いナノダイヤモンド純度で製造するのに適する。
本方法における脱気処理では、ナノダイヤモンド含有溶液に超音波を照射しつつ脱気を行うことが好ましい。このような構成は、溶液の脱気処理を効率的に行うのに適する。
本方法における凍結処理では、凍結用冷媒として液体窒素を用いることが好ましい。このような構成は、ナノダイヤモンド含有溶液の凍結を速やかに行い、ナノダイヤモンド粒子の分散を効率的に行うのに適する。
本方法は、2〜20回の前記分散化工程を含むことが好ましい。このような構成は、ナノダイヤモンド粒子がより分散されたナノダイヤモンド分散液を得るのに適する。
本方法は、少なくとも1回の前記分散化工程を経て得られるナノダイヤモンド含有溶液を分級するための分級工程を更に含むことが好ましい。このような構成は、ナノダイヤモンド粒子の粒径がより小さいナノダイヤモンド分散液を得るのに適する。
本発明の第2の側面によるとナノダイヤモンド分散液が提供される。本ナノダイヤモンド分散液は、分散媒と、分散媒中に分散している粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子とを含む。本ナノダイヤモンド分散液は、固体分におけるジルコニア含有量が200質量ppm以下、且つ、ナトリウム含有量が5000質量ppm以下である。そのため、本ナノダイヤモンド分散液は、各種の構造部材や、各種の光学部材、各種の放熱部材、各種の医療用部材の作製にあたり、母材に対する添加剤としての高純度ナノダイヤモンド一次粒子を供給する材料等として、好適に使用することができる。
本ナノダイヤモンド分散液において、分散媒は水であることが好ましい。このような構成は、ナノダイヤモンド粒子を分散媒中に安定して分散させるうえで好適である。
本ナノダイヤモンド分散液において、ナノダイヤモンド粒子は爆轟法ナノダイヤモンド粒子であることが好ましい。このような構成は、ナノダイヤモンド粒径の小さなナノダイヤモンド分散液を実現するうえで、好適である。
本方法の実施形態の一例を示す工程図である。
[ナノダイヤモンド分散液製造方法]
本方法は、ナノダイヤモンド含有溶液(ナノダイヤモンド粒子を含む溶液)について脱気を行う脱気処理と、脱気処理を経たナノダイヤモンド含有溶液を凍結して凍結体を得る凍結処理と、凍結体を解凍する解凍処理とを含む少なくとも1回の分散化工程を含むことを特徴とする。
以下、本方法の実施形態の一例として、爆轟法によりナノダイヤモンド粒子を得てから、当該ナノダイヤモンド粒子を精製し、分散化工程を経て、ナノダイヤモンド分散液を得る方法について述べる。図1は、本方法の実施形態の一例を示す工程図である。
生成工程S1では、爆轟法が行われてナノダイヤモンドが生成する。まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器を密閉する。容器は、例えば鉄製で、容器の容積は、例えば0.5〜40m3、好ましくは2〜30m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物を使用することができる。TNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、例えば40/60〜60/40の範囲とされる。爆薬の使用量は、例えば0.05〜2.0kg、好ましくは0.3〜1.0kgである。
生成工程S1では、次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させる。爆轟とは、化学反応に伴う爆発のうち反応の生じる火炎面が音速を超えた高速で移動するものをいう。爆轟の際、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素を原料として、爆発で生じた衝撃波の圧力とエネルギーの作用によってナノダイヤモンドが生成する。生成したナノダイヤモンドは、隣接する一次粒子ないし結晶子の間がファンデルワールス力の作用に加えて結晶面間クーロン相互作用が寄与して非常に強固に集成した凝着体となる。
生成工程S1では、次に、室温での例えば24時間の放置により、容器およびその内部を降温させる。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上述のようにして生成したナノダイヤモンドの凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ナノダイヤモンド粗生成物を回収する。以上のような爆轟法によって、ナノダイヤモンド粒子の粗生成物を得ることができる。
精製工程S2は、生成工程S1で得られたナノダイヤモンド粗生成物に、例えば水溶媒中で強酸を作用させる酸処理を含む。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物には金属酸化物が含まれやすいところ、この金属酸化物は、爆轟法に使用される容器等に由来するFe,Co,Ni等の酸化物である。例えば水溶媒中で所定の強酸を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物から金属酸化物を溶解・除去することができる(酸処理)。この酸処理に用いられる強酸としては、鉱酸が好ましく、例えば塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、および王水が挙げられる。酸処理では、一種類の強酸を用いてもよいし、二種類以上の強酸を用いてもよい。酸処理で使用される強酸の濃度は、例えば1〜50質量%である。酸処理温度は、例えば70〜150℃である。酸処理時間は、例えば0.1〜24時間である。また、酸処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような酸処理の後、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行う。沈殿液のpHが例えば2〜3に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行うのが好ましい。
精製工程S2は、本実施形態では、酸化剤を用いてナノダイヤモンド粗生成物(精製終了前のナノダイヤモンド凝着体)からグラファイトやアモルファス炭素等の非ダイヤモンド炭素を除去するための溶液酸化処理を含む。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物にはグラファイト(黒鉛)やアモルファス炭素等の非ダイヤモンド炭素が含まれているところ、この非ダイヤモンド炭素は、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素のうちナノダイヤモンド結晶を形成しなかった炭素に由来する。例えば上記の酸処理を経た後に、例えば水溶媒中で所定の酸化剤を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物から非ダイヤモンド炭素を除去することができる(溶液酸化処理)。この溶液酸化処理に用いられる酸化剤としては、例えば、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸、及びこれらの塩、硝酸、並びに混酸(硫酸と硝酸の混合物)が挙げられる。混酸を調製するための濃硫酸と濃硝酸の比率は、例えば1:1〜10:1(体積比)である。溶液酸化処理では、一種類の酸化剤を用いてもよいし、二種類以上の酸化剤を用いてもよい。溶液酸化処理で使用される酸化剤の濃度は例えば3〜50質量%である。溶液酸化処理における酸化剤の使用量は、溶液酸化処理に付されるナノダイヤモンド粗生成物100質量部に対して例えば300〜2000質量部である。溶液酸化処理温度は例えば50〜250℃である。溶液酸化処理時間は例えば1〜72時間である。溶液酸化処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような溶液酸化処理の後、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行う。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行うのが好ましい。
次に、熱酸化処理を行う。具体的に熱酸化処理は、溶液酸化処理後のナノダイヤモンド粉体についてガス雰囲気炉を使用して加熱し、酸素酸化を行う。熱酸化処理は、ナノダイヤモンド粉体をガス雰囲気炉の炉心管内に静置し、炉心管に窒素ガスを、例えば流速0.3〜3L/分で5〜60分間程度通流させ続けた後、通流ガスを窒素から酸素と窒素との混合ガスへと切り替えて当該混合ガスを、例えば流速0.3〜3L/分で炉心管に通流させ続けることにより行う。混合ガス中の酸素濃度は、例えば1〜10体積%である。混合ガスへの切り替えの後、炉内を、加熱設定温度300〜400℃程度まで昇温させる。昇温速度については、加熱設定温度より10〜30℃低い温度までは、例えば5〜30℃/分とし、その後、加熱設定温度より10〜30℃低い温度から加熱設定温度までは、例えば0.5〜3℃/分とする。そして、加熱設定温度となった後、炉内の温度条件を加熱設定温度に維持しつつ、炉内のナノダイヤモンド粉体について熱酸化処理(酸素酸化処理)を行う。処理時間は、例えば1〜5時間である。以上のようにして、熱酸化処理を経たナノダイヤモンド粉体が得られる。
本方法では、次に、熱酸化処理を経たナノダイヤモンド粉体を含むナノダイヤモンド含有溶液について、分散化工程S3を行う。分散化工程S3では、脱気処理、凍結処理、および解凍処理が実施される。脱気処理は、脱気によりナノダイヤモンド含有溶液中に含まれる気体を除くための工程である。脱気処理は、通常、ナノダイヤモンド含有溶液を入れた容器内の気圧を下げることにより行う。脱気処理は、ナノダイヤモンド含有溶液に超音波を照射しつつ脱気を行うことが好ましい。超音波の照射には、超音波照射機(超音波洗浄機、超音波ホモジナイザー)が用いられる。超音波を照射する時間は、例えば約3〜600秒である。脱気処理は、例えば真空ポンプが用いられる。真空ポンプとしては、例えば、ダイアフラムポンプ、ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、ソープションポンプが挙げられる。脱気処理時の真空度としては、例えば100〜10000Pa、好ましくは150〜5000Pa、より好ましくは200〜3000Paである。脱気処理に要する時間は、例えば約3〜600秒である。真空ポンプで脱気した後に超音波を照射してもよく、真空ポンプで脱気中に超音波を照射してもよい。また、脱気処理は常温(約23℃)で行ってもよく、適宜、加熱しながら行ってもよい。
次に、脱気処理を経たナノダイヤモンド含有溶液を凍結して凍結体を得る凍結処理が行われる。具体的には、凍結処理は、ナノダイヤモンド含有溶液を入れた容器を凍結用冷媒で冷やすことにより行われる。凍結用冷媒としては、急激に冷やすことができ、ナノダイヤモンド粒子を分散する効果が大きいことから液体窒素を用いることが好ましい。凍結処理に要する時間は、例えば約3〜600秒である。
次に、凍結体を解凍する解凍処理が行われる。具体的には、解凍処理は、ナノダイヤモンド含有溶液を入れた容器をドライヤーなどで加熱することにより行われる。解凍処理に要する時間は、例えば約3〜600秒である。
分散化工程S3は、脱気処理、凍結処理、および解凍処理を少なくとも1回を含む限り特に制限されないが、2〜20回の分散化工程を含むことが好ましい。1回のみでは十分に分散できない場合であっても、複数回繰り返すことで、ナノダイヤモンド粒子の粒径が小さく、粒径D50が10nm以下であるナノダイヤモンド分散液を得ることができる。なお、分散化工程S3に供するナノダイヤモンド含有溶液としては、市販の精製処理済みのナノダイヤモンド含有溶液を用いてもよい。
上記分散化工程S3を行う前に、熱酸化処理を経たナノダイヤモンド粉体について、水酸化ナトリウム水溶液およびアンモニア水等のアルカリ水溶液を用いてpH調整を行うことが好ましい。pH調整後のpHは、例えば9.0〜11.0、好ましくは9.5〜10.5である。pH調整は、分散後のナノダイヤモンド粒子を凝集させないため行うものである。pH調整後のナノダイヤモンド粒子におけるゼータ電位は、例えば−20mV〜−60mV(好ましくは−30mV〜−50mV)である。上記pHおよびゼータ電位は、後記の遠心分離処理(分級工程S4)後に得られたナノダイヤモンド分散液についての測定値である。また、上記分散化工程S3を行う前に、分散化工程S3での分散化に適したナノダイヤモンド濃度となるように適宜、純水を加えてナノダイヤモンド濃度を調整してもよい。
次に、分散工程S3を経たナノダイヤモンド含有溶液について分級工程S4を行う。分級工程S4は、ナノダイヤモンド含有溶液に含まれる粗大粒子を除去するための工程である。分級工程S4では、例えば遠心分離機などの分級装置を使用して、遠心分離を利用した分級操作(遠心分離処理)によってナノダイヤモンド含有溶液から粗大粒子を除去する。上記遠心分離処理における遠心力は例えば15000〜25000×gであり、遠心時間は例えば10〜120分である。これにより、ナノダイヤモンドの一次粒子がコロイド粒子として分散する黒色透明のナノダイヤモンド分散液が得られる。
例えば爆轟法によって得られるナノダイヤモンドは、上述のように、得られる生成物にて先ずは一次粒子間が非常に強く相互作用して集成している凝着体(二次粒子)の形態をとる。本実施形態の方法においては、ナノダイヤモンド凝着体に対し、精製工程S2において使用される化学種が加熱条件下で作用するのに加え、分散化工程S3においてナノダイヤモンド含有溶液を脱気処理、凍結処理、および解凍処理が実施されることにより、ナノダイヤモンド凝着体にてナノダイヤモンド一次粒子間の凝着が解かれ、当該ナノダイヤモンド一次粒子がナノダイヤモンド凝着体から分離し、ナノダイヤモンド粒子が溶液中で分散する。
本実施形態の方法における分散化工程S3では、脱気処理をすることでナノダイヤモンド一次粒子間の隙間に存在する気体を除去し、気体が存在していた部分を溶液で満たすことができ、ナノダイヤモンド一次粒子と溶液の接触する面積を大きくすることができると考えられる。分散化工程S3では、凍結処理をすることで、凍結時にナノダイヤモンド一次粒子と接触する部分の溶液が凍結して、凍結した部分の体積が変化する。このときナノダイヤモンド一次粒子どうしの接触部にずれが生じ、このずれによりナノダイヤモンド一次粒子の凝集力が低下すると考えられる。そして、解凍処理をすることで、ナノダイヤモンド一次粒子の凝集力の低下したナノダイヤモンド一次粒子が分離して、溶液中においてナノダイヤモンド粒子を分散することができると考えられる。したがって、本実施形態の本方法は、高いナノダイヤモンド純度を有するナノダイヤモンド分散液を得るのに適している。
また、本実施形態の方法では、ジルコニアビーズを用いた上述のビーズミリングは行われないため、製造されるナノダイヤモンド分散液は、高純度化を阻むジルコニアを実質的に含まない。したがって、本実施形態の方法は、高いナノダイヤモンド純度でナノダイヤモンド分散液を製造するのに適する。以上のように、本実施形態の方法は、粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子の分散液を高いナノダイヤモンド純度で製造するのに適する。さらに、本方法は、特殊な装置を必要とせず、簡易な装置で高分散したナノダイヤモンド粒子の分散液を得るのに適する。
本実施形態の方法で得られたナノダイヤモンド分散液は、例えば、各種の構造部材や、各種の光学部材、各種の放熱部材、各種の医療用部材の作製にあたり、母材に対する添加剤としての高純度ナノダイヤモンド一次粒子を供給する材料として、好適に使用することができる。
[ナノダイヤモンド分散液]
本ナノダイヤモンド分散液は、分散媒と、分散媒中に分散している粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子とを含む。
本ナノダイヤモンド分散液におけるナノダイヤモンド粒子としては、爆轟法にて生成したナノダイヤモンド粒子(爆轟法ナノダイヤモンド粒子)、高温高圧法にて生成したナノダイヤモンド粒子(高温高圧法ナノダイヤモンド粒子)等が挙げられる。なかでもナノダイヤモンド粒子は、より分散性に優れ、一次粒子の粒子径が一桁ナノメートルであるナノダイヤモンドが得やすい点で、爆轟法ナノダイヤモンド粒子が好ましい。
ナノダイヤモンド粒子は、ナノダイヤモンドの一次粒子であってもよく、一次粒子が集成したナノダイヤモンドの二次粒子であってもよい。本ナノダイヤモンド分散液におけるナノダイヤモンド粒子の粒径D50(メディアン径)は10nm以下、好ましくは9nm以下、より好ましくは8nm以下である。粒径D50は、ナノダイヤモンドの一次粒子または一次粒子が集成した二次粒子の粒径である。ナノダイヤモンド粒子の粒径D50が10nm以下であると、単位質量あたりの表面積を充分に確保することができ、例えばナノダイヤモンドとしての機能(例えば機械的強度、熱伝導性等)を効率よく発揮することができる。なお、ナノダイヤモンド粒子の粒径D50は、動的光散乱法によって測定することができる。
本ナノダイヤモンド分散液の固形分におけるジルコニア含有量は200質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下である。本ナノダイヤモンド分散液の固形分におけるナトリウム含有量は3000質量ppm以下、好ましくは500質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下である。本ナノダイヤモンド分散液の固形分における鉄含有量は例えば5000質量ppm以下、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下である。本ナノダイヤモンド分散液の固形分におけるクロム含有量は例えば200質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下である。上記ジルコニア含有量は、ジルコニウム元素換算の含有量である。また、上記ナトリウム、鉄、およびクロム含有量は、これらの化合物であっても元素換算の含有量である。ジルコニア、ナトリウム、鉄、およびクロムの含有量は、本ナノダイヤモンド分散液の固形分について、例えばICP発光分光分析装置を用いて、各金属元素の含有量を分析することにより測定することができる。
本ナノダイヤモンド分散液のpHは、ナノダイヤモンド粒子の安定分散化や安定分散状態の維持を図る点から、6〜11の範囲であることが好ましく、7〜10の範囲であることがより好ましい。
本ナノダイヤモンド分散液における固形分の割合は、例えば0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜8質量%、より好ましくは0.5〜6質量%、さらに好ましくは1〜4質量%である。ナノダイヤモンド分散液における固形分は、そのほとんどがナノダイヤモンド粒子であることが好ましい。前記固形分におけるナノダイヤモンド粒子の割合(ナノダイヤモンド純度)は、例えば95質量%以上、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは99.9質量%である。
本ナノダイヤモンド分散液におけるナノダイヤモンド粒子の割合は、例えば0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜8質量%、より好ましくは0.5〜6質量%、さらに好ましくは1〜4質量%である。また、本ナノダイヤモンド分散液における分散媒の割合は、例えば90〜99.9質量%、好ましくは92〜99.7質量%、より好ましくは94〜99.5質量%、さらに好ましくは96〜99質量%である。
本ナノダイヤモンド分散液における分散媒としては、ナノダイヤモンドが分散性を示し得る分散媒が好ましく、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、およびN−メチルピロリドンが挙げられる。分散媒としては、一種類の分散媒を用いてもよいし、二種類以上の分散媒を用いてもよい。ナノダイヤモンド粒子の分散性の観点からは、分散媒は、水、又は水を50質量%以上含む水系分散媒であることが好ましい。
ナノダイヤモンド粒子群に混入しているジルコニアを当該ナノダイヤモンド粒子群から除去することには、技術的困難を伴う。これに対し、本ナノダイヤモンド分散液では、ジルコニア含有量が200ppm以下に抑えられて実質的にジルコニアを含まない。したがって、本ナノダイヤモンド分散液は、粒径D50が10nm以下のナノダイヤモンド粒子が分散しており、且つ、ナノダイヤモンド粒子におけるナノダイヤモンド純度が高い。よって、本ナノダイヤモンド分散液は、例えば、各種の構造部材や、各種の光学部材、各種の放熱部材、各種の医療用部材の作製にあたり、母材に対する添加剤としての高純度ナノダイヤモンド一次粒子を供給する材料として、好適に使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ナノダイヤモンド粒子の粒径D50および金属含有量測定は、下記の方法で測定した値である。
(粒径D50およびゼータ電位)
ナノダイヤモンド粒子の粒径D50(メディアン径)およびゼータ電位は、ナノダイヤモンド分散液についてMalvern社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、動的光散乱法(非接触後方散乱法)によって測定した。測定に付したナノダイヤモンド水分散液については、固形分濃度を調整しなかった。
(金属含有量測定)
金属含有量は、ナノダイヤモンド分散液の乾燥品についてICP発光分光分析装置(商品名「CIROS120」、リガク株式会社)を使用して金属元素を分析することにより測定した。分析を行った金属元素は、Ag、Al、As、Au、B、Be、Bi、Ca、Ce、Cd、Co、Cr、Cu、Dy、Er、Eu、Fe、Ga、Gd、Ge、Hf、Hg、Ho、In、Ir、K、La、Li、Lu、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Nd、Ni、P、Pb、Pd、Pr、Pt、Re、Rh、Ru、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tl、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、およびZrの全63元素である。使用した装置における金属元素含有量の検出下限は50質量ppm(ただしAs、Ce、Ge、Se、およびTlについての検出下限は1000質量ppm)である。
[実施例1]
以下の生成工程、精製工程、分散化工程、および分級工程により、ナノダイヤモンド分散液を得た。
生成工程では、まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置して容器を密閉した。容器は鉄製で、容器の容積は15m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物0.50kgを使用した。当該爆薬におけるTNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、50/50である。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた。次に、室温での24時間の放置により、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上記爆轟法で生成したナノダイヤモンド粒子の凝着体と煤を含む)を回収した。上記生成工程を複数回行うことによって必要量のナノダイヤモンド粗生成物を得た。
次に、ナノダイヤモンド粗生成物に対して精製を行った(精製工程)。具体的には、当該ナノダイヤモンド粗生成物200gに6Lの10質量%塩酸を加えて得られたナノダイヤモンド含有溶液に対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱することにより酸処理を行った。この酸処理における加熱温度は85〜100℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体と煤を含む)の水洗を行った。沈殿液のpHが低pH側から2に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。次に、精製工程の溶液酸化処理としての混酸処理を行った。具体的には、酸処理後のデカンテーションを経て得た沈殿液(ナノダイヤモンド凝着体を含む)に、6Lの98質量%硫酸水溶液と1Lの69質量%硝酸水溶液とを加えた後、このナノダイヤモンド含有溶液に対し、常圧条件での還流下で48時間の加熱処理を行った。この酸化処理における加熱温度は140〜160℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行ってナノダイヤモンド含有溶液を得た。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、ガス雰囲気炉(商品名「ガス雰囲気チューブ炉 KTF045N1」、光洋サーモシステム株式会社製)を使用して熱酸化処理を行った。具体的には、上述の酸化処理で得られたナノダイヤモンド粉体4.5gをガス雰囲気炉の炉心管内に静置し、炉心管に窒素ガスを流速1L/分で30分間通流させ続けた後、通流ガスを窒素から酸素と窒素との混合ガスへと切り替えて当該混合ガスを流速1L/分で炉心管に通流させ続けた。混合ガス中の酸素濃度は4体積%である。混合ガスへの切り替えの後、炉内を加熱設定温度350℃まで昇温させた。昇温速度については、350℃(加熱設定温度)より20℃低い330℃までは10℃/分とし、その後、330℃からは350℃までは1℃/分とした。そして、炉内の温度条件を350℃に維持しつつ、炉内のナノダイヤモンド粉体について熱酸化処理(酸素酸化処理)を行った。処理時間は3時間とした。以上のようにして、熱酸化処理を経た実施例1のナノダイヤモンド粉体を得た。また、熱酸化処理に付される前のナノダイヤモンド粉体の量に対する熱酸化処理を経た後のナノダイヤモンド粉体の量の割合(収率)を求めたところ、97質量%であった。
次に、このナノダイヤモンド含有溶液に対して分散化処理を行った(分散化工程)。まず、熱酸化処理を経たナノダイヤモンド粉体1.8gをガラス容器に入れ、その後水28.2gを加え、ナノダイヤモンド粒子の割合が6質量%となるナノダイヤモンド含有液を調製した。その後、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHが9.9〜10.0になるように調整した。このナノダイヤモンド含有溶液を、ダイヤフラム真空ポンプ(商品名「LABOPORT N810.3 FT.18」、KNF社製)を用いて、ガラス容器内の真空度を800Paとし、超音波照射器(商品名「超音波洗浄機AS−3」、アズワン(AS ONE)社製)を使用して超音波を照射しつつ、60秒間脱気処理を行った。次に、当該ガラス容器を液体窒素に180秒間浸けることで、ナノダイヤモンド含有溶液を凍結させ、凍結体を得た(凍結処理)。次に、凍結体について、1200Wのドライヤーを用いて300秒間で加熱することで、ナノダイヤモンド含有溶液を解凍させた(解凍処理)。上記の脱気処理、凍結処理および解凍処理を含む分散化工程を1回として、この分散化工程を合計10回行った。
そして、10回の分散化工程を経て得られたナノダイヤモンド含有溶液について、遠心分離装置(商品名「CR22G」、日立工機株式会社社製)を使用して遠心分離を行うことにより、上清液としてナノダイヤモンド分散液を得た(分級工程)。この遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は10分とした。
得られたナノダイヤモンド分散液におけるナノダイヤモンド粒子の粒径D50(メディアン径)は7.13nm、ゼータ電位は−35mVであった。得られたナノダイヤモンド分散液を100℃のホットプレートにて水を蒸発させ、ナノダイヤモンド粒子の粉体(乾燥品)を得た。得られた粉体について、金属含有量測定を行ったところ、検出された金属元素の含有量は、以下の表1のとおりであった。なお、実施例1ではジルコニウム(Zr)は検出されず、ジルコニア含有量は50質量ppm未満(<50)であった。
[実施例2]
実施例1の分散化工程におけるpH調整で用いた1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を3mol/lのアンモニア水に変更したこと以外は実施例1と同様にして、上清液としてナノダイヤモンド分散液を得た。得られたナノダイヤモンド分散液におけるナノダイヤモンド粒子の粒径D50(メディアン径)は、6.37nm、ゼータ電位は−33mVであった。得られたナノダイヤモンド分散液を100℃のホットプレートにて水を蒸発させ、ナノダイヤモンド粒子の粉体(乾燥品)を得た。得られた粉体について、金属含有量測定を行ったところ、検出された金属元素の含有量は、以下の表1のとおりであった。なお、実施例2ではジルコニウム(Zr)およびナトリウム(Na)は検出されず、ジルコニアおよびナトリウム含有量は50質量ppm未満(<50)であった。
Figure 2019006626
[比較例1]
実施例1において脱気処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、ナノダイヤモンド分散液の上清液を得た。この上清液におけるナノダイヤモンド粒子の粒径D50(メディアン径)は、16.9nmであった。
[比較例2]
実施例1における生成工程および精製工程を経たナノダイヤモンド含有溶液について、以下のビーズミリングにて解砕分散を行い、ナノダイヤモンド分散液を得た。
ビーズミリングは、ビーズミリング装置(商品名「並列四筒式サンドグラインダー LSG−4U−2L型」,アイメックス株式会社製)を使用し、100mLのミル容器であるベッセル(アイメックス株式会社製)に対して超音波照射後のスラリー30mLと直径30μmのジルコニアビーズとを投入して封入し、装置を駆動させて行った。このビーズミリングにおいて、ジルコニアビーズの投入量はミル容器の容積に対して約33%であり、ミル容器の回転速度は2570rpmであり、ミリング時間は2時間である。得られたナノダイヤモンド分散液を100℃のホットプレートにて水を蒸発させ、乾燥品を得た。この乾燥品について金属含有量測定を行ったところ、ジルコニウム(Zr)を18000質量ppm検出した。
実施例1および2と比較例1を比較すると、実施例1におけるナノダイヤモンド粒子の粒径D50は7.13nm、実施例2におけるナノダイヤモンド粒子の粒径D50は6.37nmであるのに対し、比較例1におけるナノダイヤモンド粒子の粒径D50は16.9nmであった。これより、本方法では、粒径D50を10nm以下とすることができ、ナノダイヤモンド粒子を効率的に分散することができることが分かる。また、実施例1および2と比較例2を比較すると、実施例1および2のナノダイヤモンド粒子では金属含有量測定において、ジルコニア含有量は50質量ppm未満であったのに対し、比較例2のナノダイヤモンド粒子では金属含有量測定において、ジルコニア含有量は18000質量ppmであった。これより、本方法で得られたナノダイヤモンド分散液は、金属不純物であるジルコニアが実質的に含有せず、高いナノダイヤモンド純度であることが分かる。
S1 生成工程
S2 精製工程
S3 分散化工程
S4 分級工程

Claims (8)

  1. ナノダイヤモンド含有溶液について脱気を行う脱気処理と、
    前記脱気処理を経たナノダイヤモンド含有溶液を凍結して凍結体を得る凍結処理と、
    前記凍結体を解凍する解凍処理と、を含む少なくとも1回の分散化工程を含む、ナノダイヤモンド分散液製造方法。
  2. 前記脱気処理では、ナノダイヤモンド含有溶液に超音波を照射しつつ前記脱気を行う、請求項1に記載のナノダイヤモンド分散液製造方法。
  3. 前記凍結処理では、凍結用冷媒として液体窒素を用いる、請求項1または2に記載のナノダイヤモンド分散液製造方法。
  4. 2〜20回の前記分散化工程を含む、請求項1から3のいずれか一つに記載のナノダイヤモンド分散液製造方法。
  5. 少なくとも1回の前記分散化工程を経て得られるナノダイヤモンド含有溶液を分級するための分級工程を更に含む、請求項1から4のいずれか一つに記載のナノダイヤモンド分散液製造方法。
  6. 分散媒と、
    粒径D50が10nm以下であり、且つ前記分散媒中に分散している、ナノダイヤモンド粒子を含み、
    固形分におけるジルコニア含有量が200質量ppm以下であり且つナトリウム含有量が3000質量ppm以下である、ナノダイヤモンド分散液。
  7. 前記分散媒は水である、請求項6に記載のナノダイヤモンド分散液。
  8. 前記ナノダイヤモンド粒子は爆轟法ナノダイヤモンド粒子である、請求項6または7に記載のナノダイヤモンド分散液。
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