JP6806286B1 - 樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをカーボネート結合して得られる芳香族ポリカーボネート重合体と4,4−ジヒドロキシ−2,2,2−トリフェニルエタンをカーボネート結合して得られる芳香族ポリカーボネート重合体からなる相溶性に優れた樹脂組成物が開示されている。
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とを含む樹脂組成物であって、成形性に優れ、かつ、成形品にしたときの耐熱性および透明性に優れる樹脂組成物および成形品を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の解決手段を有する。
粘度平均分子量が25,000〜35,000であるビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂と
を含む樹脂組成物であって、
前記ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の質量(WAP)とビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の質量(WA)との比率(WAP/WA)が、20/80〜90/10であり、
前記ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の極限粘度(ηAP)とビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の極限粘度(ηA)との差(|ηAP−ηA|)が0.04〜0.18dL/gである、
樹脂組成物。
<2>前記ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の合計含有量が、前記樹脂組成物に含まれる樹脂成分の合計量の85質量%超である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量とビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の差が5,000〜15,000である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記樹脂組成物の、せん断速度122sec−1で測定した300℃における溶融粘度が1,000〜3,500Pa・sである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記樹脂組成物の、ISO75−1に従って測定した1.8MPaの荷重における荷重たわみ温度が140℃以上である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が172℃以上である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記樹脂組成物を4mm厚さの成形品に成形したときの全光線透過率が80%以上である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>前記樹脂組成物を4mm厚さの成形品に成形したときのヘイズが5.0%以下である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>さらに、酸化防止剤および離型剤の少なくとも1種を含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10><1>〜<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
<11>前記成形品がフィルムである、<10>に記載の成形品。
<12>前記成形品がタッチパネルのセンサー用である、<10>または<11>に記載の成形品。
なお、本明細書における「質量部」とは成分の相対量を示し、「質量%」とは成分の絶対量を示す。
「フィルム」および「シート」とは、それぞれ、長さと幅に対して、厚さが薄く、概ね、平らな成形体をいう。また、本明細書における「フィルム」は、単層であっても多層であってもよい。
ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂は、耐熱性に優れる。しかしながら、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が高く、加工性に劣るものであった。また、加工性を向上させるために、汎用品であるビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を配合すると、白濁してしまうことが分かった。本発明では、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂として、粘度平均分子量が高く、かつ、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂との極限粘度差が特定の範囲となるビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂をブレンドすることにより、成形性に優れ、耐熱性に優れ、透明性に優れた成形品を提供可能であることを見出した。
ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAPおよびその誘導体由来のカーボネート単位を有する樹脂をいい、下記式(A−1)で表される構成単位を有していることが好ましい。
ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAPおよびその誘導体由来のカーボネート単位とは異なる他の構成単位を有していてもよい。このような他の構成単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、例えば、特開2018−154819号公報の段落0014に記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物の粘度平均分子量の測定値をビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量として扱う。
粘度平均分子量は後述する実施例に記載の方法で測定される。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物の測定値をビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の極限粘度として扱う。
極限粘度は後述する実施例に記載の方法で測定される。
ガラス転移温度(Tg)は後述する実施例に記載の方法で測定される。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物のTgの測定値をビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂のTgとして扱う。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物の溶融粘度の測定値をビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の溶融粘度として扱う。
溶融粘度は後述する実施例に記載の方法で測定される。
ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂は1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合はその合計量が上記範囲となる。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAおよびその誘導体由来のカーボネート単位を有する樹脂をいい、下記式(B−1)で表される構成単位を有していることが好ましい。式中の*は末端基または他の構成単位との結合位置を表す。
式(B−1)は下記式(B−2)で表されることが好ましい。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAおよびその誘導体由来のカーボネート単位以外の他の構成単位を有していてもよい。このような他の構成単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、例えば、特開2018−154819号公報の段落0014に記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物の粘度平均分子量の測定値をビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量として扱う。
粘度平均分子量は後述する実施例に記載の方法で測定される。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物の極限粘度の測定値をビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の極限粘度として扱う。
極限粘度は後述する実施例に記載の方法で測定される。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物のTgの測定値をビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂のTgとして扱う。
ガラス転移温度(Tg)は後述する実施例に記載の方法で測定される。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物の溶融粘度の測定値をビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の溶融粘度として扱う。
溶融粘度は後述する実施例に記載の方法で測定される。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂は1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合はその合計量が上記範囲となる。
本発明の樹脂組成物においては、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の質量(WAP)とビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の質量(WA)との比率(WAP/WA)が、20/80〜90/10である。前記比率(WAP/WA)の下限値としては30/70以上であることが好ましく、40/60以上であることがより好ましく、45/55以上であることがさらに好ましく、51/49以上であってもよい。前記比率(WAP/WA)の上限値としては、80/20以下であることが好ましく、75/25以下であることがより好ましく、72/28以下であることがさらに好ましい。
前記比率(WAP/WA)の上限値を超えると、樹脂組成物の耐熱性が低下する。他方、上記下限値を下回ると、樹脂組成物の溶融粘度が増加し、成形性が低下する。
かかる観点から、上記極限粘度差(|ηAP−ηA|)の下限値は、0.06dL/g以上であることが好ましく、0.07dL/g以上であることがより好ましく、0.08dL/g以上であることがさらに好ましく、0.09dL/g以上であることが一層好ましい。上限値としては、0.16dL/g以下であることが好ましく、0.14dL/g以下であることがより好ましく、0.13dL/g以下であることがさらに好ましく、0.12dL/g以下であることが一層好ましい。
また、好ましくは、極限粘度(ηA)>極限粘度(ηAP)である。
なお、樹脂組成物中に、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂ないしビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を2種以上有する場合には、その混合物における測定値を粘度平均分子量として扱う。
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。中でも本発明においては、リン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤(より好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤)が好ましい。リン系酸化防止剤は、成形品の色相に優れることから特に好ましい。
酸化防止剤の含有量を上記の下限値以上とすることにより、色相、耐熱変色性がより良好な成形品を得ることができる。また、酸化防止剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、耐熱変色性を悪化させることなく、湿熱安定性が良好な成形品を得ることができる。
また、酸化防止剤として、リン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤(好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤)を組み合わせて使用する場合、樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、リン系酸化防止剤を0.001〜0.2質量部、フェノール系酸化防止剤を0.001〜0.2質量部の範囲で含有することが好ましい。
酸化防止剤は、1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、離型剤を含むことが好ましい。
離型剤を含むことにより、フィルム状またはシート状の成形品を巻き取る際の巻取性を向上させることができる。また、立体的な形状をもつ成形品については、金型を用いて成形する場合の離型をより容易にすることができる。
離型剤の種類は特に定めるものではないが、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、数平均分子量100〜5000のポリエーテル、ポリシロキサン系シリコーンオイル等が挙げられる。
離型剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記成分の他、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂およびビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、衝撃改良剤、摺動改良剤、色相改良剤、酸トラップ剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記成分の含有量は、含有する場合、合計で0.1〜5質量%であることが好ましい。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂およびビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂が例示される。また、本発明の樹脂組成物は、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂を実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、樹脂組成物に含まれる樹脂成分のうち、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂の含有量が1質量%未満であることをいう。
本発明の樹脂組成物は、溶融粘度が適切な範囲に調整され、良好な成形性が得られることが好ましい。具体的に、本発明の樹脂組成物は、せん断速度122sec−1で測定した300℃における溶融粘度は3,500Pa・s以下であることが好ましく、3,000Pa・s以下であることがより好ましく、2,500Pa・s以下であることがさらに好ましく、2,000Pa・s以下であってもよい。下限値は、1,000Pa・s以上であることが成形性の観点から好ましく、1,200Pa・s以上であることがより好ましく、1,500Pa・s以上であってもよい。
なお、前記溶融粘度は、後述する実施例に記載の方法に基づき測定した値を採用する。
本発明の樹脂組成物は、4mmの厚さの成形品に成形したときの全光線透過率が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。上限値としては、特に制限されないが、99%以下、さらには、95%以下であっても十分に性能要求を満たすものである。
なお、本明細書において全光線透過率は、後述する実施例に記載の方法に基づき測定した値を採用する。
なお、本明細書においてヘイズは、後述する実施例に記載の方法に基づき測定した値を採用する。
なお、本明細書において荷重たわみ温度は、後述する実施例に記載の方法に基づき測定した値を採用する。
本発明の樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知の樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、上記ポリカーボネート樹脂、および、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜360℃の範囲である。
上記溶融混練した樹脂組成物は、例えば、ストランドカットによりペレットを得る。こうして得られたペレットを、例えばフィルム押出機により押出成形することにより、フィルム状またはシート状の成形品を製造することができる。また、射出成形機により射出成形することにより、任意の形状の成形品を製造することができる。
本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物から成形される。本発明の成形品は、電気電子機器、OA機器、携帯情報末端、機械部品、家電製品、車輌部品、各種容器、照明機器等の部品等に好適に用いられる。これらの中でも、特に、電気電子機器、OA機器、情報端末機器および家電製品の筐体、照明機器および車輌部品(特に、車輌内装部品)、スマートフォンやタッチパネル等の表層フィルム、光学材料、光学ディスクに好適に用いられる。特に、本発明の成形品は、タッチパネルのセンサー用として適している。
本発明の樹脂組成物から形成されたフィルムの厚さは特に限定されないが、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、50μm以上であってもよく、さらには、80μm以上であってもよい。上限値としては、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがさらに好ましい。
・ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂(A)
(A1)ビスフェノールAPを出発原料とする界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製、FPC−0220、粘度平均分子量:20,200、極限粘度0.44dL/g、Tg:184℃、溶融粘度:6,400Pa・s)
(A2)ビスフェノールAPを出発原料とする界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製、FPC−0210、粘度平均分子量:11,500、極限粘度0.27dL/g、Tg:170℃、溶融粘度:1,300Pa・s)
(B1)ビスフェノールAを出発原料とする界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E−2000F、粘度平均分子量27,000、極限粘度0.54dL/g、Tg:151℃、溶融粘度:1,050Pa・s)
(B2)ビスフェノールAを出発原料とする界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、E−1000F、粘度平均分子量:32,500、極限粘度0.64dL/g、Tg:154℃、溶融粘度:1,800Pa・s)
(B3)ビスフェノールAを出発原料とする界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、S−3000F、粘度平均分子量:21,000、極限粘度0.43dL/g、Tg:148℃、溶融粘度:300Pa・s)
(C1)ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(リン系酸化防止剤、ADEKA社製、アデカスタブPEP−36)
(C2)トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤 ADEKA社製、アデカスタブ2112)
(C3)ペンタエリスリトールテトラキス[3−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(フェノール系酸化防止剤、BASF社製、イルガノックス1010)
(D1)グリセリンモノステアレート(理研ビタミン株式会社製、リケマールS−100A)
上記に記載した各成分を、それぞれ表1に記載の配合量となるように計量した。その後、タンブラーにて15分間混合した後、ベント付二軸押出機により、シリンダー温度320℃で溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。
二軸押出機としては、スクリュー径32mmの日本製鋼所社製「TEX30α」を用いた。
樹脂の極限粘度[η](単位dL/g)は、溶媒としてメチレンクロライドを使用して測定した。温度は25℃条件とした。ウベローデ粘度計にて、各溶液濃度[C](g/dL)での比粘度[ηsp]を測定した。得られた比粘度の値と濃度から下記式により極限粘度を算出した。
示差走査熱量計(EXSTAR DSC7020、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、試料約5〜10mgを20℃/分の昇温速度で40℃から280℃まで加熱した。5分間温度を保持した後、40℃まで40℃/分の速度で冷却した。40℃で10分保持し、再び280℃まで10℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られたDSCデータより、中間点ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
得られたペレットを120℃で5時間乾燥した。その後、キャピラリーレオメーターを用いて、300℃にて、長さ10mm×直径1.0mmのノズル穴(オリフィス)から樹脂を押し出した。このときの、せん断速度122sec−1におけるせん断粘度(単位:Pa・s)を測定し、溶融粘度とした。
キャピラリーレオメーターとしては、東洋精機製作所社製「キャピログラフ1B」(商品名)を用いた。
得られたペレットを、120℃で5時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。その後、射出成形機により、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件にて平板状試験片(60mm×60mm×4mm)を成形した。
射出成形機としては、日本製鋼所社製「J110AD」(商品名)を用いた。
ヘイズメーターを用いて、JIS−K−7361およびJIS−K−7136に準拠して、D65光源10°視野の条件にて、射出成形にて得られた板状試験片の全光線透過率(%)およびヘイズ(%)を測定した。
ヘイズメーターとしては、村上色彩技術研究所社製「HM−150」(商品名)を用いた。
得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。
その後、射出成形機により、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件にて、JIS−K7139に準拠したISO多目的試験片(タイプA1、4mm厚)を成形した。
射出成形機としては、日本製鋼所社製「J110AD」(商品名)を用いた。
上記ISO多目的試験片を用い、ISO75ー1に従い、HDT試験装置を用いて、荷重1.80MPaの条件(A法)にて荷重たわみ温度(単位:℃)を測定した。
HDT(荷重たわみ温度)試験装置としては、東洋精機製作所社製「3M−2」(商品名)を用いた。
得られたペレットをスクリュー径28mmのTダイリップの付いたベント付き二軸フィルム押出機(東芝機械社製「TEM26DS」)によりシリンダー温度300℃にて溶融させ、130℃の剛体鏡面ロールにて押し出すことにより、50μm厚のフィルムを作製した。
A:クラック発生なし
B:クラック発生あり
FPC屈曲試験機としては、安田精機製作所社製「No.306FPC屈曲試験機」(商品名)を用いた。
また、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂を配合しない場合、荷重たわみ温度が低く耐熱性に劣っていた(比較例2)。
一方、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を配合しない場合、樹脂組成物の溶融粘度が高く、成形できなかった(比較例3)。
また、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が小さく、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂との極限粘度の差が大きい場合、得られる樹脂組成物の耐熱性が劣っていた。(比較例4)。
さらに、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が大きく、ビスフェノールAP型ポリカーボネート樹脂との極限粘度の差が大きい場合、樹脂組成物の溶融粘度が高く、成形できなかった(比較例5)。
Claims (12)
- 前記樹脂(A)と樹脂(B)の合計含有量が、前記樹脂組成物に含まれる樹脂成分の合計量の85質量%超である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂(A)の粘度平均分子量と樹脂(B)の粘度平均分子量の差が5,000〜15,000である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物の、せん断速度122sec-1で測定した300℃における溶融粘度が1,000〜3,500Pa・sである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物の、ISO75−1に従って測定した1.8MPaの荷重における荷重たわみ温度が140℃以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂(A)のガラス転移温度が172℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物をシリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件にて4mm厚さの成形品に成形したときの全光線透過率が80%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物をシリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件にて4mm厚さの成形品に成形したときのヘイズが5.0%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- さらに、酸化防止剤および離型剤の少なくとも1種を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
- 前記成形品がフィルムである、請求項10に記載の成形品。
- 前記成形品がタッチパネルのセンサー用である、請求項10または11に記載の成形品。
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