以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
<第1実施形態>
図1〜図2に示す本発明の第1実施形態のプリーツスクリーンは、ヘッドボックス1からスクリーン4が吊下支持され、スクリーン4の下端にボトムレール5が取着されている。スクリーン4は、生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。
ヘッドボックス1とボトムレール5の間には、スクリーン4の折り目のピッチを保持するためのピッチ保持コード33が設けられている。ピッチ保持コード33には、環状の保持部57が等間隔に多数設けられており、この保持部57をスクリーン4に挿通させた後、ボトムレール5を昇降させるための昇降コード7を保持部57に挿通させることによって、保持部57がスクリーン4から抜けることを防ぎ、これによってスクリーン4のピッチ保持を可能としている。ピッチ保持コード33と昇降コード7は、スクリーン4を挟んで互いに反対側に配置されている。
ボトムレール5には、ピッチ保持コード33を保持するピッチ保持コード保持部材56と、昇降コード7を保持する昇降コード保持部材55が取着される。ピッチ保持コード33及び昇降コード7は、これらの保持部材によって、ボトムレール5に取着される。
昇降コード7の上端は、巻取軸10に取着される。巻取軸10は、駆動軸12と共に回転する。昇降コードを巻取軸10に巻き取り或は巻き戻すことによりボトムレール5を上昇或は下降させることによりスクリーン4を畳み込み或は引き伸ばすことが可能となっている。ヘッドボックス1の一端には、ボールチェーン13、操作プーリー11及び伝達クラッチ21を備える操作部ユニット23が設けられている。ボールチェーン13は、操作プーリー11に掛装されており、ボールチェーン13によって操作プーリー11に加えられたボトムレール5の引き上げ方向(図1の矢印A方向)の回転力が伝達クラッチ21を介して駆動軸12に伝達される。伝達クラッチ21は、図1の矢印A方向の回転力は伝達するが、図1の矢印B方向の回転力は伝達しないように構成されている。
駆動軸12は、ヘッドボックス1の中間部においてストッパ装置24に挿通されている。このストッパ装置24は、ボトムレール5の引き上げ操作の後にボールチェーン13を手放したとき、駆動軸12の回転を停止させてボトムレール5の自重降下を防止する。
図1に示すように、ストッパ装置24の側方に速度調整部36が配置されている。速度調整部36は、駆動軸12の回転を停止させることなく駆動軸12の回転速度を所定値以下に抑制して、ボトムレール5の自重降下時の下降速度を抑制する。
ここで、速度調整部36について詳細に説明する。図3に示すように、速度調整部36は、ハウジング37と、ハウジング37内に挿入された中心軸38と、ハウジング37内に収容された移動部材39とを備える。中心軸38は、駆動軸12に対して回転不能に連結される。なお、駆動軸12自体を中心軸38に貫通させハウジング37内に挿入してもよい。中心軸38の断面を角形とし駆動軸12の貫通箇所を同じ断面角形とすれば回転不能に連結できる。また、ハウジング37は、ヘッドボックス1に直接又は間接的に回転不能に固定される。
ハウジング37の内面37aと移動部材39の間には隙間41が設けられている。ハウジング37内の収容空間40内にはオイルが充填されている。中心軸38は、ハウジング37内の少なくとも一部がネジ軸となっており、ネジ軸がオイルに浸漬されている。移動部材39は、中心軸38に螺合されており、且つハウジング37に対して相対スライド移動が可能に相対回転不能に係合されている。具体的には、図3(c)に示すように、内面37aの軸直交断面内周が円で、移動部材39の軸直交面断面の外周が内面37aより隙間41を隔てた円とした例では、移動部材39に設けられた凸部39v又は凹部が、ハウジング37の内面に、中心軸38の長手方向に沿って設けられた溝37c又は凸条に係合されている。この例では、移動部材39とハウジング37とが軸方向への相対移動可能且つ相対回転不能とすればよく、図3(d)〜(e)に示すように、移動部材39とハウジング37が角形・楕円であれば凸部又は凹部は不要であり、要するに中心点からの距離が異なる接点があればよい。このような構成によって、中心軸38の回転に伴って移動部材39がスライド移動する。具体的には、図3(a)の矢印B方向の回転によって移動部材39が矢印X方向に移動する。移動部材39が移動する際に、収容空間40内のオイルが、移動部材39の前方(進行方向)側から隙間41を通って後方側に移動する。この際にオイルが受ける抵抗がオイルの流通抵抗であり、隙間41が狭いほど、オイルの粘性が高いほど、オイルの流通抵抗が大きくなる。そして、オイルの流通抵抗が大きいほど、移動部材39がオイルから受ける抵抗力が大きくなり、従って、中心軸38に加わるブレーキ力が大きくなる。従って、内面37aがテーパ状である場合、図4(c)に示すように、隙間最小部からの中心軸回転数の増加に伴ってブレーキ力が低下する。また、隙間41の大きさやオイルの粘性を適宜変化させることによって、速度調整部36が中心軸38に与えるブレーキ力を容易に調整することができる。
ところで、スクリーン4が折り畳まれた状態では、スクリーン4及びボトムレール5のほぼ全重量が昇降コード7によって支持されているので、昇降コード7に加わる荷重が大きい。スクリーン4はヘッドボックス1によって吊下支持されているので、ボトムレール5が下降してスクリーン4が広げられるにつれて昇降コード7に加わる荷重が減少する。上限からシャフトの回転数の増大に比例してボトムレール5の高さ位置が下がる。つまり、ボトムレール5の高さ位置と、昇降コード7に加わる荷重の関係は、図4(a)に示す通りになる。昇降コード7に加わる荷重が大きい位置ほどボトムレール5が高速で降下しようとするので、ボトムレール5を高い位置から降下させるときにボトムレール5の降下速度が過度に大きくならないように、速度調整部36は、図4(b)に示すようにボトムレール5が高い位置にあるときほどブレーキ力が大きくなるように構成される。つまり、遮蔽装置において、ボトムレール5が上限位置にあるときにブレーキ力が最大になり、ボトムレール5が下限位置にあるときにブレーキ力が最低になるように、ブレーキ力が変化する。このような特性を実現すべく速度調整部36のハウジング37の内面37aは、図3(a)〜(b)に示すようにテーパ状になっていて、移動部材39が矢印X方向に移動するにつれて隙間41が徐々に大きくなることによってオイルの流通抵抗が徐々に小さくなるようになっている。このような構成により、ボトムレール5の高さ位置と速度調整部36によるブレーキ力が図4(b)に示す関係となり、ボトムレール5の降下速度が過度に大きくなることを防ぐことができる。また、ボトムレール5の降下完了直前には、速度調整部36によるブレーキ力を非常に小さくすることができるので、ボトムレール5が下限位置にまで下がらないという問題の発生を防ぎ、ボトムレール5の降下完了直前で停止することなく最下限まで昇降コードを巻き戻すことができるものである。これは、全ての回転部分の摺動抵抗を受けつつボトムレール5が最下限までボトムレールが停止せず昇降コードを巻き戻すことができる許容範囲の最低ブレーキ力を広い隙間41及び粘度で定め、その条件でブラインド高さの上限付近の高い位置でブラインドの下降速度が所定速度以下となるよう狭い隙間41を定めることのより実現できる。このようなブラインドの構成を採用することにより、あらゆる重量や比重の遮蔽材・あらゆる幅高さ比率の遮蔽材でも適切にオイル粘度と隙間41を定めることによりボトムレール5が降下完了直前で停止することなく最下限まで下降させることができる。なお、図4(b)のグラフの傾斜方向は図4(a)のグラフと同じとする必要があるが、図4(b)のグラフの傾き角は、自重降下をどの高さ位置から開始しても全ての回転部分の摺動抵抗を受けつつボトムレール5が下降開始位置から最下限までボトムレールを停止させることなく昇降コードを巻き戻すことができる許容範囲のブレーキ力であれば、図4(a)のグラフと同じであっても異なっていてもよい。また、ボトムレール5の高さ位置と速度調整部36によるブレーキ力の関係は図4(b)に示すような線形関係でなくてもよく、曲線又は折れ線で表される関係であってもよい。この高さ位置とブレーキ力の関係は、ハウジング37の内面形状を変更することによって容易に変化させることができる。
ここで、このプリーツスクリーンの動作を説明する。ボールチェーン13の部屋内側部分を図2の矢印Aの方向に引くと、その力によって生じた回転力が操作プーリー11を介して伝達クラッチ21に伝達される。伝達クラッチ21は、図1の矢印Aの方向の回転力のみを駆動軸12に伝達するように構成されているので、図2の矢印Aの方向にボールチェーン13を引くことによって生じた回転力が、駆動軸12に伝達され、駆動軸12が回転される。駆動軸12の回転によって、ヘッドボックス1内でサポート部材8に回転可能に支持された巻取軸10が図1の矢印A方向に回転し、昇降コード7が螺旋状に巻き取られて、昇降コード7の先端に取着されたボトムレール5が上昇する。
この状態でボールチェーン13から手を離すと、ストッパ装置24が作動してボトムレール5の自重降下が防止される。この状態で、ボールチェーン13を再度図2の矢印Aの方向に引いた後に手を離すと、ストッパ装置24の自重降下防止動作が解除されて、巻取軸10から昇降コード7が巻き戻されて、ボトムレール5が自重降下する。なお、本実施形態では、この自重降下が特許請求の範囲の「自動移動」に相当する。
ボトムレール5の降下開始時には移動部材39は図3(a)に示す位置にあって隙間41が狭いのでオイルの流通抵抗が大きい。このため、速度調整部36によるブレーキ力が大きく、ボトムレール5の降下速度が過度に大きくなることがない。
ボトムレール5が降下するにつれて、移動部材39が図3(a)中の矢印X方向に移動することによって隙間41が徐々に大きくなり、その結果、オイルの流通抵抗及び速度調整部36によるブレーキ力が徐々に小さくなる。そして、ボトムレール5の降下完了直前には、速度調整部36は、図3(b)に示す状態となる。
図3(b)に示す状態から、再度、図2の矢印A方向にボールチェーン13を引くことによって、ボトムレール5を上昇させると共に、移動部材39を図3(b)の矢印Y方向に移動させることができる。そして、ボトムレール5が上限位置にまで到達したときに、移動部材39が図3(a)で示す位置にまでに移動する。
なお、ここでは、移動部材39がハウジング37の収容空間40の略左端から略右端に渡って移動する例を挙げて説明を行ったが、移動部材39は、収容空間40の略左端又は略右端に到達しなくてもよい。また、昇降コード7の長さが異なる複数種類のプリーツスクリーンに対して共通の速度調整部36を使用する場合には、ボトムレール5が下限位置にあるときの移動部材39の位置を揃えるようにすることが好ましい。ボトムレール5の降下完了直前でのブレーキ力を適切に規定することが重要であるからである。
本発明は、以下の実施態様でも実施することができる。
・プリーツスクリーン以外にも、日射遮蔽材を自重降下させる逆特性の日射遮蔽装置(例:横型ブラインド、たくし上げカーテン)にも適用可能である。逆特性の日射遮蔽装置とは巻き戻すにつれて巻取軸に加わるトルクが減少するウィンドウカバリングである。また、遮蔽材の自重によって巻取軸に加えられるトルクが、巻取軸を回転駆動するための駆動トルクとなる。横型ブラインドの場合、ボトムレールに積層されたスラットが自重降下中に一枚づつラダーコードに乗る毎に巻取軸にかかるトルクが減少する。従って、巻取軸回転数と、遮蔽材の自重によって巻取軸に加わるトルクの関係は、図40(a)に示すグラフのようになる。最下段のスラットがラダーコードに乗りボトムレールが最下段のスラットとの間のラダーコードの縦糸が伸びるまで停止させず昇降コードが巻き戻すことができる許容範囲の最低ブレーキ力を広い隙間41及び粘度で定め、その条件でブラインド高さの上限付近の高い位置でブラインドの下降速度が所定速度以下となるよう狭い隙間41を定め、図40(b)に示すように、ブレーキ力−巻取軸回転数のグラフが、トルク−巻取軸回転数の傾斜に近似した傾斜となるようにハウジング37の内面をテーパ形状とすればよい。
・ローマンシェードの場合、コードキャッチに積層されたリング(ひだ部)が自重降下中に一つずつ離れる毎に巻取軸にかかるトルクが減少する。従って、巻取軸回転数と、遮蔽材の自重によって巻取軸に加わるトルクの関係は、図41(a)に示すグラフのようになる。そして、図41(b)に示すように、ブレーキ力−巻取軸回転数のグラフが、トルク−巻取軸回転数の傾斜に近似した傾斜となるようにハウジング37の内面をテーパ形状とすればよい点は、横型ブラインドの場合と同じである。
・最下限とは、横型ブラインドであれば昇降コードが巻き戻されて下降し昇降コードの張力が急減しラダーコードの縦糸がボトムレールを支持する(ボトムレールと最下段のスラットとの間のラダーコードの縦糸が伸びる)状態、ローマンシェードであれば昇降コードが巻き戻されて下降しスクリーンの全荷重をヘッドボックスが支持する状態、プリーツスクリーンであれば昇降コードが巻き戻されて下降しスクリーンの全荷重をヘッドボックスが直接又はピッチコードを介して直接支持分と分担して支持する状態、又は上記各状態に到達する前に昇降コードの巻き戻しが下限リミット装置などにより巻取部により機械的に停止されそれ以上下降できなくなる限界である。下限リミット装置は、障害物停止装置と兼ねた昇降コードの機械的な弛み検知によりロックする装置であれば、前記状態とほぼ同じタイミングで最下限となるが、ネジ送り機構などの下限リミット装置付きのブラインドではユーザーが自由に下限リミット位置を定められるため、ネジ送り機構などの下限リミット装置付きのブラインドの場合にはユーザーが自由に定められる下限を最下限とし最低ブレーキ力を定めればよい。
・スプリングなどの蓄勢力よる自動巻き取り機構を利用したブラインドに対し巻き取り速度が過大とならないよう制御する場合にも適用できる。この場合は、スプリングなどの付勢力とブラインド荷重との差(トルクギャップ)の位置毎に適したブレーキ力を発生するよう位置を合わせるようにする。トルクギャップが、巻取軸を回転駆動するための駆動トルクとなる。ロールスクリーンのような正特性の(巻き戻しに連れて、遮蔽材の自重による巻取軸へのトルクが増加する)日射遮蔽装置の場合、捻りコイルスプリングのスプリングモータにより動力を発生させる構造が一般的である。巻取軸の巻き戻し回転に伴うスプリングモータの捻り回転数が増大すると、スプリングモータの発生トルクは、図42(a)のTsで示すように増大する。一方、遮蔽材が下限に向かうに連れて、遮蔽材の自重によって巻取軸にかかるトルクは、図42(a)のTwで示すように増大する。従って、スプリングモータの発生トルクと遮蔽材の自重によって巻取軸にかかるトルクは、傾斜方向が近似する。スプリングモータの発生トルクを、巻取軸に作用するスクリーン荷重より大きくしてトルクギャップを発生させ自動巻き取りさせる構造が一般的で、過大な速度とならないようダンパを設けている。スプリングなどの蓄勢力よる自動巻き取り機構を利用した遮蔽装置に適用する場合にはそのトルクギャップの傾斜に合わせてブレーキ力を設定すればよい。つまり、遮蔽装置において自動動作中の開閉位置毎に変化するトルクギャップの増減傾向にブレーキ力の増減傾向を合わせればよい。ロールスクリーンの場合、図42(a)に示すようにスクリーンが下降するに連れてトルクギャップTGが大から小、小から大と変化するため、その変化に合わせ、図42(c)に示すように、ハウジング37の内面37aの断面積を小1から大2、大2から小3へと変化させることによって、図42(b)に示すように、ブレーキ力をトルクギャップTGに近似させればよい。つまり、遮蔽装置において自動動作中の開閉位置毎に変化するトルクギャップの増減傾向に比例してブレーキ力を増減させればよい。もちろんハウジング内面の断面積を非線形に変化させて近似させてもよい。
・横型ブラインド、プリーツスクリーン、ローマンシェードなどの逆特性の遮蔽装置で自動上昇させる構造は、例えば特開2000−130052のようなものがあるが、このような装置にも巻き取り速度が過大とならないように本発明を適用できる。例えば図43(a)のトルクギャップTG(スプリングモータの発生トルクTsと遮蔽材の自重によって巻取軸にかかるトルクTwの差)に合わせる場合には、図43(c)に示すように、トルクギャップ最小の位置TG小で上昇開始しても停止せず昇降コードを付勢手段で巻き取ることができる許容範囲の最低ブレーキ力を広い隙間41−1及び粘度で定め、その条件で遮蔽材高さの上限付近の高い位置(トルクギャップは中程度の位置で)で隙間41−2を中程度に設定し、トルクギャップが最大の位置(この荷重変換装置では下限付近)で隙間41−3を最小に設定し、図43(b)に示すように、トルクギャップの傾斜に近似したブレーキ力傾斜となるテーパ形状とすればよい。
・横引きの縦型ブライド、カーテンレール、パネルスクリーンのような日射遮蔽装置やプリーツ網戸やアコーデオンカーテンなどの仕切りにスプリングや錘などの蓄勢力により開閉方向のどちらか一方を自動化(自閉又は自開)させる遮蔽装置に適用する場合も、トルクギャップの傾斜に合わせてダンパトルクの傾斜を近似するようにすればよい。
・上記実施形態では、中心軸38を駆動軸12と一体回転させているが、中心軸38をヘッドボックス1に固定して、ハウジング37を駆動軸12と一体回転させてもよい。また、中心軸38とハウジング37が互いに逆方向に回転するように、駆動軸12の回転を伝達してもよい。
・上記実施形態では、移動部材39を中心軸38に螺合させ、且つハウジング37にスライド移動可能に係合させているが、移動部材39をハウジング37に螺合させ、且つ中心軸38にスライド移動可能に係合させてもよい。この場合、例えば、移動部材39の移動方向に沿って中心軸38の太さを変化させることによって移動部材39と中心軸38の間の隙間の大きさを変化させてオイルの流通抵抗を変化させることができる。
・上記実施形態では、粘性流体としてオイルを用いたが、オイル以外の粘性流体を用いることも可能である。
<第2実施形態>
図5を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、ワンウェイ機能(速度制御しない側への回転にはダンパトルクを発生させないか又は著しく減少させること)を備える点が異なる。具体的な部材としては、移動部材39が内部流通路43と弁部材44を備える点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
図5に示すように、移動部材39には、移動部材39を貫通する内部流通路43と、内部流通路43を開閉可能な弁部材44が設けられている。ボトムレール5の自重降下時には移動部材39が矢印X方向に移動し、その際に弁部材44がオイルによって押されて図5(a)に示すように内部流通路43を閉じる位置に移動する。この状態では、オイルは、隙間41を通じてのみ、移動部材39の前方から後方に移動可能であり、オイルの流通抵抗が大きく、従って速度調整部36のブレーキ力が大きい。
一方、ボトムレール5の上昇操作時には移動部材39が矢印Y方向に移動し、その際に弁部材44がオイルによって押されて図5(b)に示すように内部流通路43を開く位置に移動する。この状態では、オイルは、隙間41と内部流通路43の両方を通じて、移動部材39の前方から後方に移動可能であり、オイルの流通抵抗が小さく、従って速度調整部36のブレーキ力が大きい。
このように、本実施形態では、弁部材44を用いて、移動部材39の移動方向によってオイルが移動部材39を通過可能な流通路の断面積を実質的に変化させることによって、速度調整部36のブレーキ力を変化させることが可能になっている。また、このような構成により、簡易な構成でボトムレール5の自重降下時には適切にブレーキ力を働かせることによってボトムレール5の降下速度が過度に大きくなることを抑制し、且つ速度制御しない側(ボトムレール5の上昇操作時)にはブレーキ力を低減することによって、ボトムレール5を上昇させる際の操作力の増大を抑制している。スプリングなどの蓄勢力よる自動巻き取り機構を利用したブラインドに対し本発明を適用するには、速度制御しない側(下げ方向)への回転で開弁するようにする。横引きのウィンドウカバリングや仕切りにおける蓄勢力による自閉装置に適用する場合、速度制御しない側(開き方向)への回転で開弁するようにする。自開装置に適用する場合、速度制御しない側(閉じ方向)への回転で開弁するようにする。
<第3実施形態>
図6を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、ハウジング37の内面37aがテーパ状になっておらず、別の手段によって、移動部材39の移動に伴うオイルの流通抵抗の変化を可能にしている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態の構成例1では、図6(b)に示すように、ハウジング37の内面37aに、移動部材39の移動方向に沿って延びる多数の溝45が設けられている。収容空間40内のオイルは、溝45を通じて、移動部材39の前方から後方に移動する。図6(b)に示すように、移動部材39が矢印X方向に移動するにつれて移動部材39の周囲に配置される溝45の数が増大する。このため、オイルの流通路の断面積が段階的に増大し、オイルの流通抵抗が低減される。移動部材39の矢印X方向に移動によりブレーキ力は段階的に減少するものとなるが、ブラインドの高さ−荷重の傾きに移動部材の移動量−ブレーキ力の傾きを合わせるようにすればよい。各段の増大ピッチを遮蔽材の段階的な減少に合致させれば、遮蔽材の下降に伴うトルク変化にさらに近似させることができる。なお、ここでは、溝45の数を変化させたが、移動部材39の移動に伴って溝の幅又は深さが変化するようにしてもよい。つまり、移動部材39の移動に伴って、移動部材39の周囲の溝の断面積が増大するように構成すればよい。
本実施形態の構成例2では、図6(c)に示すように、ハウジング37の内面37aに多数の凹部46が設けられている。収容空間40内のオイルは、凹部46を通じて、移動部材39の前方から後方に移動する。図6(c)に示すように、移動部材39が矢印X方向に移動するにつれて移動部材39の周囲に配置される凹部46の数が増大する。このため、オイルの流通路の断面積が増大し、オイルの流通抵抗が低減される。なお、ここでは、凹部46の数を変化させたが、移動部材39の移動に伴って凹部の大きさ又は深さが変化するようにしてもよい。つまり、移動部材39の移動に伴って、移動部材39の周囲の凹部の断面積が増大するように構成すればよい。
本実施形態の構成例3では、図6(d)に示すように、移動部材39の移動方向に沿ってハウジング37の内面37aの弾性係数を変化させている。移動部材39が移動していないときは、ハウジング37と移動部材39の間には実質的に隙間がないか又はハウジング37と移動部材39の間の隙間の大きさが移動部材39の移動方向に沿って実質的に変化しないが、移動部材39が矢印X方向に移動すると、オイルがハウジング37の内面37aを弾性変形させて流通路を形成して、移動部材の前方から後方に移動する。そして、本構成例では、移動部材39が移動するにつれて内面37aの弾性係数が小さくなり、従って、オイルの流通路が形成されやすくなり、オイルの流通抵抗が小さくなる。
以上のように、ハウジング37の内面37aをテーパ状にしなくても、ハウジング37の内面37aを構成例1〜3に示すように簡易な構成で構成することによって、移動部材39の移動に伴ってオイルの流通抵抗を変化させ、自重が最小の位置やトルクギャップが最小の位置で途中停止することなく確実に開閉させることができる。
<第4実施形態>
図7を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、先細り形状の固定軸49を用いてオイルの流通抵抗を変化させる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、移動部材39とハウジング37の内周の差は軸方向に一定であり隙間がゼロか極僅かな隙間しかなく、移動部材39に貫通孔50が設けられており、貫通孔50に先細り形状の固定軸49が挿通されている。貫通孔50の断面積は、固定軸49の断面積よりも大きいので、移動部材39と固定軸49の間には隙間51が設けられる。移動部材39が移動する際には、この隙間51を通じて、オイルが移動部材39の前方から後方に移動する。移動部材39が矢印X方向に移動するにつれて隙間51が大きくなり、オイルの流通抵抗が減少する。
第1〜第3実施形態では、ハウジング37と移動部材39の間にオイルの流通路が設けられたが、本実施形態では、移動部材39と固定軸49の間の隙間51がオイルの主な流通路となる。移動部材39の移動に伴って隙間51の大きさを変化させることによってオイルの流通抵抗を変化させ、自重が最小の位置やトルクギャップが最小の位置で停止しないブレーキ力となり確実に開閉させることができる。
<第5実施形態>
図8を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、可動プレート39bを用いてオイルの流通抵抗を変化させる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図8に示すように、移動部材39は、貫通孔39dを有する本体部39aと、貫通孔39dを開閉可能な可動プレート39bを備える。可動プレート39bは、突起39cを有しており、突起39cは、ハウジング37の内面37aに設けられた溝53に係合する。この例では、図8(b)の展開図に示すように溝53はハウジング37の内面37aに軸方向に対し斜角を有して設けられる。本体部39aには雌ねじ部39fと溝39eが設けられている。雌ねじ部39fは、中心軸38に設けられた雄ねじ部38aに螺合される。また、ハウジング37の内面37aに設けられた凸条52が、溝39e内に係合され移動部材39はハウジング37に対し相対回転不能に収容される。このような構成によって、移動部材39は、ハウジング37と中心軸38の間の相対回転に伴って中心軸38の軸方向に沿ってスライド移動する。
本実施形態では、移動部材が移動するとき収容空間40内のオイルは、本体部39aの貫通孔39dを通じて、移動部材の進行方向から離脱方向に移動する。移動部材が位置Pにあるときは、図8(g)に示すように貫通孔39dが完全に閉じられているので、オイルの流通抵抗が大きく、従って、速度調整部36によるブレーキ力も大きい。一方、移動部材39が矢印X方向に移動するに連れて突起39cが溝53に沿って移動することによって可動プレート39bが回動する。可動プレート39bの回動に伴って、図8(e)〜(f)に示すように、貫通孔39dが徐々に開き、オイルの流通抵抗が低減され、ブレーキ力が図8(h)に示すように変化する。移動部材が貫通孔39dの最大のRか少し手前の位置で、自重が最小となるようにし開閉体が途中停止しないブレーキ力とすることにより遮蔽材を確実に開閉させることができる。また、P付近で自重降下に伴う降下速度を所定以下とすることにより、遮蔽材の確実な開閉と自重降下開始の速度制御を両立できる。
<第6実施形態>
図9を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に類似しており、可動突出部材39kを用いてオイルの流通抵抗を変化させる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図9に示すように、移動部材39は、貫通孔39hを有する本体部39aと、貫通孔39hを開閉可能な可動突出部材39kとを備える。可動突出部材39kは、貫通孔39jを有しており、付勢部材(例:コイルスプリング)39iで付勢されることによって、図9(d)に示すように、その先端39gが本体部39aから突出している。ハウジング37の内面37aには、移動部材39の移動方向に沿って深さが変化する溝54が設けられており、移動部材39を収容空間40内に収容した状態では、可動突出部材39kの先端39gが溝54内の上端に当接する。
本実施形態では、収容空間40内のオイルは、本体部39aの貫通孔39hを通じて、移動部材の移動に伴い進行方向の収容空間から離脱方向の収容空間へ移動する。移動部材が位置Pにあるときは、可動突出部材39kの先端39gがハウジング37の内面37aに押されることによって図9(e)に示す状態になる。この状態では、本体部39aの貫通孔39hと可動突出部材39kの貫通孔39jの位置が一致していないので、貫通孔39hが完全に閉じられる。このため、オイルの流通抵抗が大きく、従って、速度調整部36によるブレーキ力も大きい。一方、移動部材39が矢印X方向に移動するに連れて先端39gが溝54に沿って移動する。溝54が深くなるにつれて、位置Qに示すように先端39gが突出し、さらに位置Rでは、図9(d)に示すように、先端39gの突出量が増大し、これに伴って貫通孔39hと貫通孔39jの重なりが大きくなり、オイルの流通抵抗が低減されブレーキ力が低下する。このような構成により、位置R付近でブレーキ力を弱めて遮蔽材を確実に開閉させることと、位置P付近で自重降下に伴う降下速度を所定以下とすることを両立できる。
<第7実施形態>
図10を用いて、本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に類似しており、磁力を用いてオイルの流通抵抗を変化させる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図10に示すように、移動部材39の外周にマグネット57が設けられている。また、ハウジング37の外周には、ブレーキ力一段増領域Pに長手方向の一部に鉄板などの磁性体55が設けられている。このような構成によれば、移動部材39が領域Pに移動すると、マグネット57と磁性体55の間の引力によってハウジング37が収縮されることによって、移動部材39とハウジング37の間の隙間41が狭められる。また、マグネット57が導体55内を移動するとき導体55内に磁界の変化を妨げようとする渦電流が発生しマグネットにその移動を妨げる方向の制動力が作用する。本実施形態では、オイルは、隙間41を通じて移動部材39の前方から後方に移動するので、移動部材39の移動に伴って磁力によって簡易な構成で隙間41の大きさを変化させることによってオイルの流通抵抗を変化させることができる。また、マグネットの移動速度が上昇すると導体55内の渦電流により制動力が増大する。
なお、移動部材39に磁性体を設け、ハウジング37にマグネットを設けてもよい。さらに、移動部材39とハウジング37の両方にマグネットを設けてもよい。移動部材39のマグネットとハウジング37のマグネットの間には、引力を働かせてよく、斥力を働かせてもよい。これらの間に引力を働かせる場合には、ハウジング37のマグネットをハウジング37の外周に配置する。また、移動部材39のマグネットとハウジング37のマグネットの間に斥力を働かせる場合には、ハウジング37のマグネットをハウジング37の内面に配置する。この場合、ハウジング37が斥力によって膨張することによって、移動部材39とハウジング37の間の隙間41が広げられて、オイルの流通抵抗が減少する。
<第8実施形態>
図11を用いて、本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に類似しており、ハウジング37に設けたオイル流通路37dを用いて移動部材39がオイルから受ける抵抗力を変化させる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、移動部材39をハウジング37内に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に収容する。移動部材39の中心に中心軸38を螺合させ、中心軸38の回転に伴い移動部材39が軸方向に移動するようになっている。横型ブラインドなどの逆特性のウィンドウカバリングに適用する場合には、駆動軸12の下降方向の回転に基づき中心軸38が回転すると、移動部材39が図11(a)の矢印Xの方向に向かって移動するように構成される。ハウジング37の右端には、オイル流通路37dが設けられている。オイル流通路37dは、移動部材39の移動方向に離間して第1開口部37e及び第2開口部37fを備える。
ボトムレール5が下限位置から離れた位置にある場合は、図11(a)に示すように、移動部材39が第2開口部37fよりも左側にあるために、オイル流通路37dが機能せず、移動部材39がオイルから受ける抵抗力が大きい。
ボトムレール5が自重降下して下限位置近傍に到達すると移動部材39が図11(c)の位置Sを過ぎて位置Tに到達する。この状態では、移動部材39は、第1開口部37eと第2開口部37fの間に位置することとなる。移動部材39が位置Tから位置Uに向かって移動する際には、移動部材39の進行方向側にあるオイルが第1開口部37eを通じてオイル流通路37dに入って第2開口部37fを通じて移動部材の後方に移動するので、移動部材39がオイルから受ける抵抗力が小さい。また、上昇に転じると、移動部材の移動によりオイルは37f、37d、37eを経て進行方向から離脱方向に逆流する。
以上の原理により、本実施形態によれば、移動部材39が位置Sから位置Tに移動する間に移動部材39がオイルから受ける抵抗力が急激に低減され、その低い抵抗力は移動部材39が位置Uに到達するまで継続する。従って、ボトムレール5が下限位置近傍に到達したときに移動部材39が位置Sに到達するように設定することによって、ボトムレール5の下限位置近傍でのブレーキ力を低下させて、ボトムレール5を下限位置にまで確実に到達させることができる。
<第9実施形態>
図12を用いて、本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、移動部材39が中心軸38に固定されている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図12に示すように、移動部材39が中心軸38に固定されている。中心軸38は、遮蔽装置の駆動軸12に連動して回転し回転抵抗が反力として駆動軸12へブレーキ力を与える。例えば断面が四角形である角シャフトが、中心軸に設けられ且つ角シャフトの外形と略同じ形状を有する角孔に挿通されることによって、角シャフトと中心軸とが相対回転不能且つ相対移動可能に係合される。ハウジングはヘッドボックスに対し軸方向に相対移動不能且つ相対回転不能に固定される。中心軸38は、ヘッドボックス1に固定された台座59に螺合されており、中心軸38の回転に伴って中心軸38が台座59に対して回転しながら軸方向に移動する。その際、駆動軸12と中心軸38とは相対移動する。また、中心軸38が回転しながら軸方向に移動することに伴って、ハウジング37の収容空間40内で移動部材39が回転しながら軸方向に移動する。内面37aと移動部材39の外周面との間には僅かな隙間があり、移動部材の軸方向への移動に伴って移動部材の進行方向の収容空間から離脱方向の収容空間に向かって隙間からオイルが移動する。ハウジング37の内面37aは図12の通りテーパ状になっているので、図12の右端に向かうに連れて隙間が狭くなる。移動部材39の移動に伴って、オイルの流通抵抗が変化する。ブラインドは右端が上部、左端が下部になるよう組みつけられている。従って、ブラインドの荷重特性に近似するよう巻き戻し回転数が増大するにつれブレーキ力が低下して、ブラインドはブラインド下限付近で停止することなく巻き戻される。
本実施形態では、中心軸38はハウジング37を貫通していないが、ハウジング37を貫通するように構成してもよい。
<第10実施形態>
図13を用いて、本発明の第10実施形態について説明する。本実施形態は、第9実施形態に類似しており、ワンウェイ機能(速度制御しない側への回転にはダンパトルクを発生させないか又は著しく減少させること)を備える点が異なる。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図13に示すように、移動部材39は、本体部39aと、可動リング39lを備える。本体部39aは、固定ピン39tで中心軸38に固定される。中心軸38の先端は、可動リング39lの軸孔39rに挿通される。本体部39aに設けられ且つ軸方向に突出する係合凸部39nが、可動リング39lに設けられ且つ径方向に突出する係合凸部39o,39pの間に収容されるように、本体部39aと可動リング39lを重ねた状態で、その前後に固定リング39sを装着することによって、可動リング39lを本体部39aに対して回転可能に支持する。ボトムレール5の上昇操作時には中心軸38が矢印A方向に回転し、本体部39aの係合凸部39nが可動リング39lの係合凸部39oに当接した状態で本体部39aと可動リング39lが一体回転する。この状態では、本体部39aの貫通孔39mと、可動リング39lの貫通孔39qが重なり、これらの貫通孔を通じてオイルが流通可能となるので、オイルの流通抵抗が小さい。このため、ボトムレール5の上昇操作に必要な操作力が小さい。一方、ボトムレール5の自重降下時には、中心軸38が矢印B方向に回転し、本体部39aの係合凸部39nが可動リング39lの係合凸部39pに当接した状態で本体部39aと可動リング39lが一体回転する。この状態では、本体部39aの貫通孔39mと、可動リング39lの貫通孔39qが重ならないので、オイルの流通抵抗が大きい。このため、ボトムレール5の自重降下時には適切なブレーキ力が生じる。要は、速度制御しない側(上げ方向)への回転で開弁するようにする。付勢力による自動上昇を行うウィンドウカバリングでは速度制御しない側(下げ方向)への回転で開弁するようにする。横引きのウィンドウカバリングや仕切りにおける蓄勢力による自閉装置に適用する場合、速度制御しない側(開き方向)への回転で開弁するようにする。自開装置に適用する場合、速度制御しない側(閉じ方向)への回転で開弁するようにする。
<第11実施形態>
図14を用いて、本発明の第11実施形態について説明する。本実施形態では、第5実施形態に類似しており、溝53の形状が異なる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
第5実施形態では、図8(b)に示す展開図において溝53が直線状になっているために、移動部材39の移動に伴って本体部39aの貫通孔39dが徐々に閉じられてオイルの流通抵抗が徐々に変化するように構成されていたが、本実施形態では、溝53は、図14(a)に示すように、位置Sから位置Tの範囲では移動部材39の移動方向に平行になっているために、移動部材39が位置Sから位置Tに移動するまでの間は図8(g)に示すように貫通孔39dが閉じた状態で維持されるので、図14(b)に示すように速度調整部36によるブレーキ力が大きい。そして、位置Tから位置Uの範囲では溝53の傾斜角度が大きいので、移動部材39がこの範囲を移動する間に貫通孔39dが開かれて図8(e)に示す状態になり、速度調整部36によるブレーキ力が低減される。そして、移動部材39が位置Uから位置Vに移動する間は弱いブレーキ力が維持される。このため、位置Tから位置Vの間が弱ブレーキ領域Rとなる。このような構成により、ボトムレール5が下限位置近傍に到達したときに移動部材39が領域Rに到達するように設定することによって、ボトムレール5の下限位置近傍でのブレーキ力を低下させて、ボトムレール5を下限位置にまで確実に到達させることができる。このように、本実施形態では、自重降下型日射遮蔽装置において、下限から所定の多回転数分、ブレーキ力を減少させている。
<第12実施形態>
図15を用いて、本発明の第12実施形態について説明する。本実施形態は、第8実施形態に類似しており、移動部材39の移動に伴って移動部材39の移動速度を変化させることによって、移動部材39がオイルから受ける抵抗力を変化させる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、オイルを充填したハウジング37内に、ボトムレール5の昇降に伴って移動可能な移動部材39を設け、移動部材39の外周とハウジング37の内面37aとの隙間をオイルが移動する抵抗で制動力を得る。溝38bを有する中心軸38の送り角を移動部材39の移動範囲で変化させ、単位回転当たりの移動部材39の移動距離を変化させることでボトムレール5の自重降下中の移動部材39の移動速度を変化させ、ボトムレール5の位置に応じて制動力を変化させる。ボトムレール5が上限付近にある場合に制動力が大きくなり、下限付近にある場合に制動力が小さくなるようにする。また、ボトムレール5が下限付近にまで下降して、ボトムレール5及びスクリーン4の自重による下向きの力と、スクリーン4自体のバネ性による上向きの力との差が小さくなる領域でも、ボトムレール5が下限位置にまで到達するように、この領域での制動力を十分低下させる。
以下、本実施形態の構成をより具体的に説明する。移動部材39は、ハウジング37内に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に収容する。中心軸38は、螺旋状の溝38bを備え、溝38bの螺旋のピッチが図15(a)の右方向に向かうにつれて狭くなっている。移動部材39は、溝39bに係合される係合凸部39uを備える。
駆動軸12の下降方向の回転に基づき中心軸38が回転すると、螺旋状の溝38bも一緒に回転して、係合凸部39uが溝39uに沿って移動することによって、移動部材39が矢印X方向に移動する。駆動軸12の単位回転当たりの移動部材39の移動距離は、溝39uの螺旋のピッチに依存しており、ピッチが比較的大きい高速移動領域では移動部材39が速く移動し、移動部材39がオイルから受ける抵抗力が大きい。一方、移動部材39が移動するにつれて溝39uの螺旋のピッチが狭くなり、それに伴って駆動軸12(又は巻取軸10)の単位回転当たりの移動部材39の移動距離が小さくなり、その分だけ、移動部材39がオイルから受ける抵抗力が小さくなる。このため、移動部材39が降下回転数の増大に伴って高速移動領域→中速移動領域→低速移動領域に移動すると、移動部材39が受ける抵抗力も大→中→小と変化し、ボトムレール5の下限位置近傍でのブレーキ力が十分に小さくなり、ボトムレール5が下限位置にまで確実に到達する。なお、本実施形態では、溝39uの螺旋のピッチは3段階で変化しているが、より多くの段階で変化させてもよく、無段階に連続的に変化させてもよい。
<第13実施形態>
図16を用いて、本発明の第13実施形態について説明する。本実施形態は、第8実施形態に類似しており、駆動軸12の回転が切替部材62を介して中心軸38に伝達される点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、中心軸38は、図16(b)に示すように、断面円形の開口38dを有しており、駆動軸12は、開口38d内において空転可能になっている。中心軸38の一端に隣接して切替部材62が設けられている。切替部材62は、駆動軸12に対して相対回転不能であり、且つ駆動軸12の軸方向に相対移動可能に構成されている。中心軸38及び切替部材62のそれぞれの端部には、互いに対向するように、互いに係合可能な係合部38c,62aが設けられている。係合部62aは、図16(a)及び(f)に示すように、円周方向に凹部と凸部が交互に形成されて構成される。係合部38cは、係合部62と相補的な形状になっている。図17に示すように、切替部材62を中心軸38に近づける方向にスライド移動させて係合部38c,62aを係合させると、駆動軸12と中心軸38が一体回転可能な連結状態となる。一方、切替部材62を中心軸38から遠ざかる方向にスライド移動させて係合部38c,62aの係合を解除させると、中心軸38が駆動軸12に対して空転する非連結状態になる。
このような構成によれば、中心軸38内に駆動軸12を挿通させた後であっても、非連結状態で中心軸38を回転させることによって、駆動軸12を回転させることなく、移動部材39を所望の位置に移動させることができる。つまり、組み込み状態で、移動部材39のストロークエンド位置が調整可能になっている。このような構成によれば、速度調整部36をヘッドボックス1内に組み込んだ後に移動部材39の位置調整が可能になり、組立性が向上する。
また、ボトムレール5には、スクリーン4自体のバネ性による上向きの力が働いているが、この上向きの力は、時間の経過と伴に弱くなる場合があり、その結果、ボトムレール5の降下速度が使用開始時よりも速くなる場合がある。本実施形態では、非連結状態で中心軸38を回転させることによって、図17に示すように、ボトムレール5の下限位置及び上限位置での移動部材39の位置をL1及びU1からL2及びU2に変更することが可能である。このように変更すれば、ボトムレール5の降下時に移動部材39が第2開口部37に到達するタイミングが遅くなり、その分だけ、駆動軸12に加わる制動力が低減されるタイミングが遅くなり、ボトムレール5の降下速度を低減にすることができる。
また、別の表現では、本実施形態では、速度調整部36は、巻取軸10の回転と移動部材39の移動がリンクされているリンク状態と、巻取軸10の回転と移動部材39の移動がリンクされていない非リンク状態とが切り替え可能に構成されている。非リンク状態では、巻取軸10の回転とは独立して、移動部材39を移動させることが可能である。なお、他の実施形態においても、本実施形態の同様に、リンク状態と非リンク状態を切り替え可能にすることによって、同様の効果が得られる。第8実施形態で説明すれば、駆動軸12を中心軸38に対し抜き差し可能とすることが例示される。
<第14実施形態>
図18〜図19を用いて、本発明の第14実施形態について説明する。本実施形態の基本構成は、第13実施形態に類似しており、移動部材39の可動範囲の一部であるブレーキ力増大範囲において巻取軸10に加えられるブレーキ力を増大させるブレーキ力増大手段がハウジング37内に設けられている点が主な相違点である。本実施形態では、ブレーキ力増大手段は、移動部材39がブレーキ力増大範囲内にあるときに移動部材39との間にピストン構造を形成するように構成されている。
以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、中心軸38にフランジ72が設けられ、且つ移動部材39にはフランジ72に対向する側にフランジ72を収容してピストン構造を形成する凹部39wが設けられる。中心軸38の回転に伴い移動部材39がハウジング37に対し軸方向へ移動可能であるが、フランジ72は中心軸38に固定的に設けられており、フランジ72と移動部材39とは相対移動可能となっている。このような構成によれば移動部材39の左端が図18(a)に示すブレーキ力増大範囲内にある間は、巻取軸10に回転に伴って移動部材39が移動する際に、移動部材39の外周面とハウジング37の内面37aの間のオイル流通による抵抗力に加えて、フランジ72の外周面と移動部材39の凹部39wの内面の間のオイル流通による抵抗力が発生するので、巻取軸10に加えられるブレーキ力が増大される。このように、本実施形態では、フランジ72と凹部39wによって特許請求の範囲の「ブレーキ力増大手段」が構成される。一方、図19(a)に示すように、移動部材39がブレーキ力増大範囲から離脱すると、フランジ72と凹部39wの間のピストン構造が解消されて、その分だけ、巻取軸10に加えられるブレーキ力が低減される。従って、移動部材39が図18(a)に示すようにハウジング37内での可動範囲の左端側に位置する場合を原点とした巻取軸10の回転数と、これに加わるブレーキ力との関係は、図19(b)に示すようになる。
遮蔽材を自重降下させる遮蔽装置では、遮蔽材が上限付近にあるときに巻取軸10に加わる駆動トルクが大きく、遮蔽材の降下速度が過度に増加しやすい。一方、スプリングによって自動上昇させるロールスクリーン等の遮蔽装置では、遮蔽材が上限付近まで巻き上げられたときにその上昇速度が過度に増加しやすい。そこで、このような遮蔽装置に対しては、遮蔽材が上限付近にあるときに移動部材39がブレーキ力増大範囲に位置するように構成することによって、遮蔽材の降下速度が増大しやすい領域での制動トルク(ブレーキ力)を増大させることができる。
ところで、本実施形態の速度調整部36には調整ダイヤル71が設けられており、切替部材62と中心軸38が非連結状態になっているときに調整ダイヤル71を操作することによって駆動軸12を回転させることなく中心軸38を回転させて、移動部材39を任意の位置に移動させることができる。このような構成によれば、移動部材39の初期位置を容易に調整することが可能になる。そして、例えば自重降下型の遮蔽装置では、遮蔽材の降下時間(遮蔽材の上限から下限まで到達するまでの時間)が長い場合には、移動部材39の初期位置を図18(a)の右方向に移動させることによって、移動部材39がブレーキ力増大範囲から離脱するタイミングを早めて、遮蔽材の降下時間を短くすることが可能になる。逆に、遮蔽材の降下速度が速い場合には、移動部材39の初期位置を図18(a)の左方向に移動させることによって、移動部材39がブレーキ力増大範囲から離脱するタイミングを遅くして、遮蔽材の降下速度を低下させることが可能になる。このような構成によれば、容易に速度(降下時間)調整が可能になる。なお、本実施形態の速度調整部36をロールスクリーンに適用する場合は、上昇時間が容易に調整可能である。
本実施形態は、以下の態様でも実施形態である。
図20の変形例1に示すように、(1)ハウジング37の内周径を先端側に向かって大きくし、全長にわたり徐々にブレーキ力を低減又は増大させることができる。(2)移動部材39の凹部39wの内周径を基端側に向け広くするように形成し、ブレーキ力増大範囲において徐々にブレーキ力を低減又は増大させることができる。(1)と(2)を組み合わせれば、ブレーキ力増大範囲から全長にわたり徐々にブレーキ力を低減又は増大させることができる。
図21の変形例2に示すように、中心軸38にフランジ72を設ける代わりに、筒状部材77をハウジング37内に配置し、筒状部材77と凹部39wとでピストン構造を構成してもよい。この場合でも上記実施形態と同様の作用効果が奏される。筒状部材77は、中心軸38に固定されてもよく、ハウジング37に固定されてもよく、移動部材39に対し相対移動可能に設けられていれば何れの部材に設けてもよい。 また、図22の変形例3に示すように、移動部材39に凹部39wを設ける代わりに、凸部39abを設け、ブレーキ力増大範囲において凸部39abがハウジング37の小径部37jに挿入されてピストン構造を形成してもよい。この場合でも上記実施形態と同様の作用効果が奏される。凸部39abとハウジング37の間にピストン構造を形成する代わりに、別の部材をハウジング37内に配置して、この部材と凸部39abの間にピストン構造を形成してもよい。
移動部材39との間にピストン構造を形成する部材は、巻取軸10の回転に伴って移動部材39が移動する際に移動部材39に対して相対移動する部材(移動しない部材、移動部材39とは異なる速度で又は異なる方向に移動する部材)であれば限定されない。
<第15実施形態>
図23〜図24を用いて、本発明の第15実施形態について説明する。本実施形態の速度調整部36は、第14実施形態と同様に、ブレーキ力増大範囲において巻取軸10に加えられるブレーキ力を増大させるブレーキ力増大手段を備えるが、本実施形態では、ブレーキ力増大手段は、移動部材39がブレーキ力増大範囲内にあるときに巻取軸10の回転に伴って回転することによって巻取軸10に加えられるブレーキ力を増大させる回転抵抗体74で構成される。以下、詳細に説明する。
本実施形態では、ハウジング37に回転可能に支持された中心軸38に、巻取軸10と一体回転する駆動軸12が挿通されている。中心軸38は、駆動軸12と一体回転する。また、ハウジング37内の収容空間40は、隔壁37hによって第1及び第2収容空間40a,40bに分割されている。隔壁37hには孔37iが設けられていて、第1及び第2収容空間40a,40bの間でオイルの移動が可能になっている。また、孔37iには雌ねじ部37gが設けられている。
移動部材39は、フランジ39yとネジ軸39xを備える。ネジ軸39xは、雌ねじ部37gに螺合されている。移動部材39は、中心軸38の回転に伴って回転するように構成されている。このような構成によれば、中心軸38の回転に伴って移動部材39が回転しながら中心軸38の軸方向に移動する。
ハウジング37内には、駆動軸12を中心に回転可能に支持された回転抵抗体74が設けられている。駆動軸12及び中心軸38の回転は、回転抵抗体74には直接は伝達されない。回転抵抗体74は、基部74aと、基部74aから径方向に広がるように設けられたスクリュー74bと、基部74aから移動部材39の方向に突出する突起74cを備える。移動部材39は、回転抵抗体74の方向に突出する突起39zを備える。突起74c,39zは、突起39zの右端が図23(a)に示すブレーキ力増大範囲内にあるときにのみ係合して、移動部材39の回転が回転抵抗体74に伝達される。なお、突起74c,39zの先端には先端同士が互いにつき合わさったとき回転抵抗体が回転方向に逃げるためのテーパ面39z1(突起74cの先端のテーパ面は不図示)が設けられている。
本実施形態の速度調整部36の動作について以下説明する。
まず、図23に示す状態では、突起74c,39zが係合しているので、中心軸38の回転に伴って移動部材39と回転抵抗体74が一体回転しながら、移動部材39のみが図23(a)中の矢印X方向に移動する。この状態では、フランジ39yの外周面とハウジング37の内面37aの間のオイル流通による抵抗力に加えて、スクリュー74bの回転に伴う抵抗力が発生するので、巻取軸10に加えられるブレーキ力を増大される。
移動部材39の移動に伴って突起39zの右端が図23(a)に示すブレーキ力増大範囲から離れると回転抵抗体74の回転に伴う抵抗力が巻取軸10には加わらなくなるので、巻取軸10に加わるブレーキ力が低減される。
ハウジング37の内周径は、図24の位置Yに示す位置から矢印X方向に向かって大きくなっているので、移動部材39が位置Yに到達した後は、移動部材39が矢印X方向に進むに連れて巻取軸10に加わるブレーキ力が徐々に低下する。
本実施形態は、以下の態様でも実施形態である。
図25の変形例1に示すように、回転抵抗体74としては、スクリュー74bの代わりに、オイル中で回転して回転方向の抵抗を受ける羽74d(例:2枚)を備えるものを用いてもよい。
<第16実施形態>
図26〜図27を用いて、本発明の第16実施形態について説明する。本実施形態の基本構成は、第15実施形態に類似しており、巻取軸10の回転に伴って移動部材39と共に回転及び移動すると共に移動部材39に対して推力を付与する推力付与手段がハウジング37内に設けられる点が主な相違点である。本実施形態では、推力付与手段は、移動部材39に設けられたスクリュー39aaである。
以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図26に示すように移動部材39にスクリュー39aaが設けられており、中心軸38の回転に伴って移動部材39が回転及び移動する際に、スクリュー39aaが回転及び移動する。そして、スクリュー39aaの回転によって生じた推力によって移動部材39の移動がスムーズになり、巻取軸10に加わるブレーキ力が低減される。
遮蔽材を自重降下させる遮蔽装置では、遮蔽材が下限位置に近づくにつれて駆動トルクが小さくなる。このため、遮蔽材が下限位置近傍にあるときには、速度調整部36によるブレーキ力が駆動トルクよりも大きくなり、その結果、遮蔽材が下限位置にまで下降されずに途中で止まってしまうという不具合が生じる場合がある。このような不具合を解消させるには、遮蔽材が下限位置に近づくにつれて速度調整部36によるブレーキ力を低減させればよいが、本実施形態のようにオイル中で移動部材39を移動させるという形式の速度調整部36においては、オイルの粘性によってある程度のブレーキ力が必然的に発生してしまい、そのブレーキ力の低減には限界がある。ブレーキ力を低減させるには、移動部材39とハウジング37の間の隙間41を大きくすればよいが、隙間41がある程度大きくなると、隙間41をそれ以上大きくしても、ブレーキ力の低減に与える影響は小さい。本実施形態によれば、スクリュー39aaの回転による推力によって移動部材39の移動がスムーズになることにより、スクリュー39aaがない場合よりも速度調整部36によるブレーキ力が低減される。
本実施形態の速度調整部36の動作について以下説明する。
まず、図26に示す状態では、中心軸38の回転に伴って移動部材39とスクリュー39aaが一体となって回転しながら、図26中の矢印X方向に移動する。この状態では、フランジ39yの外周面とハウジング37の内面37aの間のオイル流通による抵抗力が発生するが、スクリュー39aaの回転に伴う推力によって移動部材39が比較的スムーズに移動するので、低減されたブレーキ力が巻取軸10に加えられる。
ハウジング37の内周径は、図27の位置Yに示す位置から矢印X方向に向かって大きくなっているので、移動部材39が位置Yに到達した後は、移動部材39が矢印X方向に進むに連れて巻取軸10に加わるブレーキ力が徐々にさらに低下する。
本実施形態は、以下の態様でも実施形態である。
図28の変形例1に示すように、移動部材39の可動範囲の一部である推力増大範囲において推力を増大させる推力増大手段として、ハウジング37に小径部37を設けてもよい。この場合、スクリュー39aaが推力増大範囲に到達するとスクリュー39aaの回転によって生じる推力が増大されるので、ブレーキ力がさらに低減される。
<第17実施形態>
図29を用いて、本発明の第17実施形態について説明する。本実施形態の基本構成は、第1及び第8実施形態に類似しており、巻取軸10に加わるトルクが所定の閾値を超えると作動して、ハウジング37の内圧を低減させる内圧リミッターを備える点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
図29(a)に示すように、巻取軸10の回転に伴って駆動軸12が矢印B方向に回転すると、移動部材39が矢印X方向に移動する。移動部材39の移動に伴って移動部材39の進行方向側の収容空間40aでの内圧(オイルによる圧力)が移動部材39の後方側の収容空間40bでの内圧よりも高くなり、この圧力差によりオイルが収容空間40aから収容空間40bに向かって隙間41を通じて流通する。収容空間40aでの内圧は、巻取軸10に加わるトルクの増大に伴って増大するので、巻取軸10に過剰なトルクが加わると収容空間40aでの内圧が過剰に高まってハウジング37の破損に繋がる。そこで、本実施形態では、巻取軸10に加わるトルクが所定の閾値を超えると作動して、ハウジング37の内圧を低減させる内圧リミッターを設けている。
以下、内圧リミッターを内蔵した移動部材39の構成について説明する。図29に示すように、本実施形態では、移動部材39は、第1及び第2移動部材39ba,39caと、ワンウェイバネ39daと、固定リング39eaを有する。第1移動部材39baは、基部39bjと、基部39bjから中心軸38の軸方向に延びる筒部39bcを有する。基部39bjと筒部39bcの少なくとも一部には、中心軸38の雄ねじ部38aに螺合される雌ねじ部39biが設けられている。基部39bjには、切欠部39bbと、貫通孔39bd1,39bd2と、第2移動部材39caの規制突起39ceを収容する突起収容部39beが設けられている。突起収容部39be内には、規制突起39ceを挟むように一対の板バネ(付勢部材)39bf1,39bf2が設けられている。筒部39bcには、固定リング39eaに係合される係合溝39bgが設けられている。従って、第1移動部材39baと第2移動部材39caとは相対回転可能且つ軸方向に移動不能な関係となっている。切欠部39bbは、ハウジング37の凸条52よりも幅広になっており、凸条52が切欠部39bb内に収容された状態で、第1移動部材39baは、ハウジング37に対して相対回転可能になっている。
第2移動部材39caは、基部39cjと、基部39cjから第1移動部材39baの方向に突出する規制突起39ceを有する。基部39cjには、溝39cbと、中央開口部39ccと、貫通孔39cdが設けられている。ワンウェイバネ39daの基部39djには、溝39dbと、中央開口部39dcと、貫通孔39ddが設けられている。第2移動部材39ca及びワンウェイバネ39daは、その溝39cb,39dbの幅がハウジング37の凸条52の幅とほぼ同じであるので、凸条52が溝39cb,39dbに係合している状態では、第2移動部材39ca及びワンウェイバネ39daは、ハウジング37に対して相対回転不能であり、中心軸38に沿った軸方向への移動のみが可能になっている。
第2移動部材39ca及びワンウェイバネ39daの中央開口部39cc,39dcに筒部39bcが挿通された状態で、固定リング39eaが係合溝39bgに係合されることによって、第2移動部材ca及びワンウェイバネ39daが第1移動部材39baに対して相対回転可能に保持される。但し、この状態では、一対の板バネ39bf1,39bf2によって規制突起39ceが挟持されることによって、第1及び第2移動部材39ba,39caの間の相対回転が規制されている。この状態では、貫通孔39cdと貫通孔39ddが互いに重なるが、貫通孔39bd1,39bd2は、貫通孔39cd,39ddと重ならないように配置(貫通孔39ddに対向するよう第1移動部材39baの基部39bjの閉鎖面が位置するため閉鎖状態と)されており、貫通孔を通じた軸方向へのオイルの移動が起こらないようになっている。
次に、本実施形態の速度調整部36の動作について説明する。
巻取軸10に図29(a)の矢印B方向(遮蔽材の降下方向)のトルクが加わると、そのトルクが駆動軸12及び中心軸38を通じて第1移動部材39baに伝達されて、第1移動部材39baに図29(d)の矢印B方向のトルクが加わる。第1移動部材39baは、加えられたトルクの大きさに応じて板バネ39bf1を弾性変形させた状態で、図29(a)の矢印X方向に移動する。第1移動部材39baは、板バネ39bf1が変形した分だけ、第2移動部材39caに対して相対回転し、その分だけ、貫通孔39bd1が貫通孔39cdに近づく。速度調整部36への許容トルク以内では貫通孔39ddが第1移動部材39baの基部39bjの閉鎖面により塞がれるので、軸方向へのオイルの移動がない。前述のように徐々に広がるテーパ状の内面37aによって徐々にブレーキ力が低下する。
巻取軸10に加わるトルクの増大に伴って、板バネ39bf1の変形量が増大して、第2移動部材39caに対する第1移動部材39baの相対回転量も増大する。そして、過大な外力などにより巻取軸10に加わるトルクが所定の閾値を超えると、貫通孔39bd1が貫通孔39cdに重なって開放状態となり、貫通孔39bd1,39cd,39ddを通じたオイルの移動が可能になり、収容空間40aの内圧が低減され過剰な圧力の発生が防止される。
その後、巻取軸10に加わるトルクが低減されると、板バネ39bf1の形状が弾性的に復元することによって板バネ39bf1の変形量が低減され、第2移動部材39caに対する第1移動部材39baの相対回転量も低減されて、自動的に貫通孔39bd1が貫通孔39cdに重ならなくなり(閉鎖状態となり)、貫通孔を通じたオイルの移動が遮断される。
一方、巻取軸10に図29(a)の矢印B方向の反対方向(遮蔽材の上昇方向)のトルクが加わると、そのトルクが駆動軸12及び中心軸38を通じて第1移動部材39baに伝達されて、第1移動部材39baに図29(d)の矢印B方向の反対方向のトルクが加わる。第1移動部材39baは、加えられたトルクの大きさに応じて板バネ39bf2を弾性変形させた状態で、図29(a)の矢印X方向の反対方向に移動する。第1移動部材39baは、板バネ39bf2が変形した分だけ、第2移動部材39caに対して相対回転し、その分だけ、貫通孔39bd2が貫通孔39cdに近づく。そして、巻取軸10に加わるトルクが所定の閾値を超えると、貫通孔39bd2が貫通孔39cdに重なって、貫通孔39bd2,39cd,39ddを通じたオイルの移動が可能になり、収容空間40bの内圧が低減される。このように、本実施形態では、巻取軸10に加えられるトルクの回転方向に関わらず、そのトルクが所定の閾値を超えると、ハウジング37の内圧が低減され過剰な圧力の発生が防止される。
ところで、ワンウェイバネ39daの外径は、第2移動部材39caの外径よりもわずかに大きくなっており、移動部材39が図29(a)の矢印X方向に移動する際には、隙間41の大きさはワンウェイバネ39daの外径とハウジング37の内径の差によって規定される。一方、移動部材39が矢印Xの反対方向に移動する際は、ワンウェイバネ39daが撓むことによって、隙間41が広がって、移動部材39がオイルから受ける抵抗力が低減される。
本実施形態は、以下の形態でも実施可能である。
・巻取軸10に過剰なトルクが加えられる事象としては、ユーザーが遮蔽材を無理に引き下げたり、ユーザーが遮蔽材に引っかかったりすることが挙げられる。これらの事象が生じた場合には、遮蔽材の降下方向の過剰なトルクが巻取軸10に加えられる。一方、遮蔽材の上昇方向に過剰なトルクが巻取軸10に加えられる事象は生じにくい。このため、板バネ39bf2及び貫通孔39bd2を省略して、所定の閾値を超える遮蔽材の降下方向のトルクが巻取軸10に加えられた場合に内圧リミッターが作動するように構成してもよい。この場合、規制突起39ceは、板バネ39bf1と、突起収容部39beの側壁によって挟持される。
・上述した形態以外であっても、ブレーキトルク発生方向への移動中に移動部材を開放可能な構成とし、過剰なトルクで開放状態とすれば、他の態様に置き換え可能である。
<第18実施形態>
図30を用いて、本発明の第18実施形態について説明する。本実施形態は、内圧リミッターを備える点では第17実施形態に類似しているが、第17実施形態の内圧リミッターは、巻取軸10に加わるトルクが所定の閾値を超えると作動するのに対し、本実施形態の内圧リミッターは、ハウジング37の内圧が所定の閾値を超えると作動する点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、ハウジング37には、ハウジング37内での移動部材39の移動方向に離間させて(好ましくは移動部材39の可動範囲の両端に)第1開口部37l及び第2開口部37nを有し、第1及び第2開口部37l,37nがオイル流通路37mで連結されている。第1開口部37lには弁37oが配置されており、弁37oは、付勢部材収容部39q内に収容されたコイルスプリング(付勢部材)37pによって第1開口部37lに向けて付勢されている。付勢部材収容部39qは、ビス37rで閉じられ、コイルスプリング37pの一端がビス37rで支持されている。
次に、本実施形態の速度調整部36の動作について説明する。
巻取軸10に図30(a)の矢印B方向(遮蔽材の降下方向)の許容トルクが加わると、そのトルクが駆動軸12及び中心軸38を通じて移動部材39に伝達されて、移動部材39が矢印X方向に移動し、移動部材外周とハウジング内周面間の隙間におけるオイルの流通抵抗によりブレーキ力を発生させ遮蔽装置を抑制された速度で動作させる。そのとき、移動部材39の進行方向側の収容空間40aでの内圧が上昇することになる。上昇した内圧によって弁37oに加えられる矢印X方向の力が、コイルスプリング37pによって弁37oに加えられる付勢力を上回ると、弁37oが矢印X方向に移動するが許容トルク以内では弁を開放させるまでには至らない。遮蔽材下降中、外力などにより許容トルク以上のトルクが速度調整部36の中心軸38に加わると、収容空間40aの内圧が所定の閾値を超え、第1開口部37lが開く位置にまで弁37oが移動し、第1開口部37l、オイル流通路37m及び第2開口部37nを通じたオイルの移動が可能になって、収容空間40a内の内圧が低減され過剰な圧力の発生が防止される。過剰な圧力が除去されればコイルスプリング37pの付勢力によって自動的に弁37oが閉鎖され許容トルク範囲内でのブレーキ力を発生し得る状態に復帰する。
なお、収容空間40aの内圧上昇に基いて作動する内圧リミッターは、移動部材39に設けてもよい。さらに、移動部材39が矢印Xの反対方向に移動する際の収容空間40bの内圧上昇に基いて作動する内圧リミッターを設けてもよい。
・上述した形態以外であっても、ブレーキへの過剰なトルクが発生したとき加圧側収容部から減圧側収容部にオイルの流入を可能な開閉構造を備えた構成とすれば、他の態様に置き換え可能である。
<第19実施形態>
図31〜図33を用いて、本発明の第19実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に類似しており、中心軸38に雄ねじ部38aがない部分(無ねじ部)38eが設けられている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図31に示すように、中心軸38には、収容空間40の左端に近い部位を除くほぼ全体に渡って雄ねじ部38aが設けられており、収容空間40の左端には無ねじ部38eが設けられている。ボトムレール5が高い位置にあるときは移動部材39は雄ねじ部38aに螺合されており、ボトムレール5の自重降下に伴って中心軸38が回転することにより、移動部材39が矢印X方向に移動する。ハウジング37の内面37aは、第1実施形態と同様にテーパ状になっており、ボトムレール5の自重降下に伴って移動部材38がオイルから受ける抵抗力が小さくなるようになっている。
移動部材39が無ねじ部38eに到達すると、移動部材39と雄ねじ部38aの間の螺合が解除される。この状態では、中心軸38がボトムレール5の降下方向にさらに回転されても移動部材39は移動しない。
移動部材39は、付勢部材(例:コイルスプリング)58によって雄ねじ部38aに向かって付勢されているので、ボトムレール5の上昇方向に中心軸38が回転されると、移動部材39が再度雄ねじ部38aに螺合されて、ボトムレール5の上昇に伴って収容空間40の右端に向かって移動する。
本実施形態の速度調整部36は、ヘッドボックス1への組み込みが容易である点を特徴としている。以下、図32〜図33を用いて、速度調整部36をヘッドボックス1へ組み込み方法について説明する。
まず、図32(a)に示すように、ボトムレール5を上限位置にまで上昇させた状態で、ヘッドボックス1内に速度調整部36を取り付ける。この際、移動部材39は、無ねじ部38eに配置されている。
次に、図32(b)に示すように、ボトムレール5を最下限にまで降下させる。この際、巻取軸10の回転に伴って駆動軸12及び中心軸38が降下方向に回転するが、移動部材39は、すでに無ねじ部38eに配置されているので、中心軸38が回転されても、移動部材39は移動しない。
図32(b)の状態からボトムレール5の上昇方向に駆動軸12を回転させると、中心軸38も同じ方向に回転される。移動部材39は、付勢部材58によって付勢されているので、ボトムレール5の上昇方向に中心軸38が回転されると、移動部材39が即座に雄ねじ部38aに螺合されて、ボトムレール5の上昇に伴って図33の矢印Y方向に向かって移動する。また、ボトムレール5が再度降下されると、移動部材39が図31の矢印X方向に移動して、ボトムレール5が最下限に到達したときに移動部材39が無ねじ部38eに到達する。
以上のように、無ねじ部38eを設けることによって、ボトムレール5の上限位置で速度調整部36をヘッドボックス1内に取り付ける場合でも、ボトムレール5が最下限にある場合の移動部材39の位置を正確に設定することができる。なお、速度調整部36は、ボトムレール5の上限位置以外の位置でヘッドボックス1内に取り付けてもよい。また、移動部材39は、ボトムレール5が最下限に到達するまでに無ねじ部38eに到達すればいいので、速度調整部36をヘッドボックス1内に取り付ける際には、必ずしも無ねじ部38eに配置されていなくてもよい。つまり、速度調整部36をヘッドボックス1内に取り付ける際には移動部材39が雄ねじ部38aに配置されていて、ボトムレール5の降下に伴って移動部材39が無ねじ部38eに向かって移動してボトムレール5が最下限に到達するまでに移動部材39が無ねじ部38eに到達するようにしてもよい。この場合でも、ボトムレール5が最下限にある場合の移動部材39の位置を正確に設定することができる。
また、別の表現では、本実施形態では、速度調整部36は、巻取軸10がボトムレール5の降下方向に回転しても移動部材39が移動しない無移動領域(無ねじ部)を備え、移動部材39が無移動領域にある状態で巻取軸10がボトムレール5の上昇方向に回転すると巻取軸10の回転に伴って移動部材39が移動するように構成されている。速度調整部36をこのように構成することによって、ボトムレール5が最下限にある場合の移動部材39の位置を正確に設定することができるという効果が得られる。
<第20実施形態>
図34〜図38を用いて、本発明の第20実施形態について説明する。本実施形態では、ロールスクリーンのスクリーンを自動上昇させる際の上昇速度を調整するために速度調整部36を用いている。以下、詳細に説明する。
図34に示すロールスクリーンは、窓の上枠等に取付金具を介して取着される取付フレーム61の両端に支持ブラケット62a,62bが取着され、その支持ブラケット62a,62b間に巻取軸63が回転可能に支持される。
巻取軸63からスクリーン64が垂下され、そのスクリーン64の下端にウェイトバー64aが取着され、そのウェイトバー64aから操作ひも64bが垂下される。そして、巻取軸63の回転に基づいてスクリーン64が昇降される。
巻取軸63内には該巻取軸63にスクリーン64の引上げ方向の回転力を付与する付勢装置80と、その回転力に基づく巻取軸の回転速度を所定速度に制御する速度調整部36と、付勢装置80により付与される回転力に抗してスクリーン64を所望の引き下げ位置に維持するクラッチ装置70とが内蔵される。
付勢装置80の具体的構成を説明すると、図35に示すように、巻取軸63内の一側には、支持ブラケット62aに対し回転不能に支持されたワインドプラグ65が配設され、そのワインドプラグ65に捩じりコイルスプリング66の一端が固定される。
ワインドプラグ65の中心部には、ガイドパイプ67の一端が固定され、そのガイドパイプ67は捩じりコイルスプリング66内に挿通されている。ガイドパイプ67の他端には、パイプストッパ68が嵌着固定され、そのパイプストッパ68には巻取軸63の内周面に嵌着されるドライブプラグ69が回転可能に支持され、そのドライブプラグ69に捩じりコイルスプリング66の他端が固定されている。
そして、巻取軸63がスクリーン64の下降方向に回転されると、ドライブプラグ69が巻取軸63と一体に回転されて捩じりコイルスプリング66が蓄勢され、その捩じりコイルスプリング66の付勢力により巻取軸63がスクリーン引上げ方向に回転されると、捩じりコイルスプリング66が去勢されるようになっている。
図36に示すように、巻取軸63内の他端部には、クラッチ装置70が配設される。このクラッチ装置70は、操作ひも64bを操作してスクリーン64を所望位置まで引き下げた状態で操作ひも64bを手放すことにより、捩じりコイルスプリング66の付勢力に抗して、スクリーン64を所望位置に維持する。また、その状態から操作ひも64bを操作してスクリーン64を僅かに引き下げれば、クラッチ装置70の作動が解除され、捩じりコイルスプリング66の付勢力に基づいてスクリーン64が引き上げられるようになっている。
巻取軸63内にはクラッチ装置70に隣接して速度調整部36が配設されている。速度調整部36は、ハウジング37と、ハウジング37内に挿入される中心軸38とを備える。ハウジング37は、巻き取りパイプに固定されている。ハウジング37は、巻取軸63と一体に回転される。中心軸38の端部は、固定軸に固定されている。例えば図36のようにクラッチ装置70のドラム76に嵌合してもよい。ドラム76は、支持ブラケット62bに対し回転不能に支持されているので固定軸であり、中心軸38は、支持ブラケット62bに対して回転不能に支持される。
ところで、巻取軸63の巻き戻し回転に伴うスプリングモータの捻り回転数が増大すると、付勢装置80の発生トルクは、図37(a)のTsで示すように増大する。一方、スクリーン64が下限に向かうに連れて、スクリーン64の自重によって巻取軸63にかかるトルクは、図37(a)のTwで示すように増大する。そして、スクリーン64が上限位置に近づくと、TsとTwの差であるトルクギャップTGが大きくなり、スクリーン64の下端に設けられたウェイトバー64aが勢い良く取付フレーム61に衝突して騒音を発生させやすい。そこで、本実施形態のロールスクリーンでは、速度調整部36は、図37(b)に示すように、ウェイトバー64aが上限近傍まで引き上げられて、ブレーキ力一段増領域Pに到達したときに、ブレーキ力が高められるように構成されている。このように、本実施形態では、遮蔽装置において自動動作中の開閉位置毎に変化するトルクギャップの増減傾向に合わせ多段にブレーキ力を増減させている。また、ロールスクリーンにおいて、上限から所定の多回転数分、ブレーキ力を増加させている。
ここで、図38を用いて、本実施形態の速度調整部36の構成を説明する。本実施形態の速度調整部36の構成は、第1実施形態の速度調整部36と類似しており、ハウジング37の内面37aの形状が異なっている。具体的には、本実施形態の速度調整部36は、内面37aがテーパ状になっておらず、ウェイトバー64aが上限近傍に到達した時点で移動部材39とハウジング37の間の隙間41が狭まるように構成されている。より詳細に説明すると、ウェイトバー64aが下限位置にあるときは、移動部材39は、図38(a)に示すように、収容空間40内の左端近傍に位置している。付勢装置80の付勢力によって巻取軸63が回転されると、スクリーン64が巻取軸63に巻き取られてウェイトバー64aが上昇を開始すると共にハウジング37が回転され、移動部材39が矢印X方向に移動する。この状態では、移動部材39とハウジング37の間の隙間41が大きいので、オイルの流通抵抗が小さく、従って、速度調整部36によるブレーキ力が小さい。巻取軸63がさらに回転してスクリーン64をさらに巻き取り、ウェイトバー64aの上昇完了直前の状態になった時点で、移動部材39は、収容空間40の右端近傍にある小径部37bからなるブレーキ力一段増領域Pに到達する。領域Pに到達すると、移動部材39とハウジング37の間の隙間41が狭くなるので、オイルの流通抵抗が上昇し、速度調整部36によるブレーキ力が増大する。
<第21実施形態>
図39を用いて、本発明の第21実施形態について説明する。本実施形態では、第20実施形態と同様のロールスクリーンにおいて、ウェイトバー64aが上限近傍まで引き上げられたときに速度調整部36のブレーキ力を増大させるための別の構成を開示する。以下、詳細に説明する。
本実施形態の速度調整部36は、溝53の形状が異なる点を除いて、第5実施形態と同様の構成を有している。第5実施形態では、図8(b)に示す展開図において溝53が直線状になっているために、移動部材39の移動に伴って本体部39aの貫通孔39dが徐々に閉じられてオイルの流通抵抗が徐々に変化するように構成されていたが、本実施形態では、溝53は、図39に示すように、位置Sから位置Tの範囲では移動部材39の移動方向に平行になっているために、移動部材39が位置Sから位置Tに移動するまでの間は図8(e)に示すように貫通孔39dが開いた状態で維持されるので、速度調整部36によるブレーキ力が小さい。そして、位置Tから位置Uの範囲では溝53の傾斜角度が大きいので、移動部材39がこの範囲を移動する間に貫通孔39dが閉じられて図8(g)に示す状態になり、速度調整部36によるブレーキ力が増大する。このため、位置Tから位置Vの間がブレーキ力一段増領域Pとなる。従って、ウェイトバー64aの上昇完了直前の状態になるときに移動部材39が位置Uに到達するように構成することにより、ウェイトバー64aの上昇完了直前に速度調整部36によるブレーキ力を急激に増大させることができる。
<その他実施形態>
第1〜第19実施形態で開示した構成は、その趣旨に反しない限り、ロールスクリーンにも適用可能である。