以下では、本発明の複数の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るチップコンデンサ1の一部切欠き斜視図である。図2は、図1に示されるII-II線に沿う縦断面図である。図3および図4は、それぞれ図2に示されるIII-III線およびIV-IV線に沿う横断面図である。
図1および図2に示されるように、チップコンデンサ1は、いわゆる0603(0.6mm×0.3mm)チップ、0402(0.4mm×0.2mm)チップ、03015(0.3mm×0.15mm)チップ等と称される微小なチップ部品であり、チップ本体を構成する基板2を含む。基板2は、平面視長方形状の上面3と、上面3の反対側に位置し、上面3と略同一形状の下面4と、上面3および下面4を接続する4つの側面5とを含む。以下では、4つの側面5のうち、長手方向に沿う側面5を長手側面5aといい、短手方向に沿う側面5を短手側面5bという。
基板2の長手側面5aの長さLは、たとえば0.3mm以上0.6mm以下である。基板2の短手側面5bの長さDは、たとえば0.15mm以上0.3mm以下である。基板2の厚さTは、たとえば0.1mm以上0.2mm以下である。基板2の各コーナー部6は、平面視で面取りされたラウンド形状であってもよい。ラウンド形状であれば、その周方向に沿って外力を分散させることができるから、コーナー部6のクラックの発生を抑制できる。
基板2の一端部2a側における上面3上には、第1外部電極7が配置されており、基板2の他端部2b側における上面3上には、第2外部電極8が配置されている。第1外部電極7および第2外部電極8は、いずれも、基板2の短手側面5bに沿って、平面視長方形状に形成されている。
図2に示されるように、基板2の上面3には、当該基板2の上面3全域を被覆するように絶縁膜9が配置されている。絶縁膜9は、SiO2膜やSiN膜であってもよい。絶縁膜9上には、第1導電体膜10と第1パッド膜11とが配置されている。
図2および図3に示されるように、第1導電体膜10は、絶縁膜9の予め定められた領域に配置されている。第1導電体膜10は、基板2の一端部2a側から他端部2b側に向けて延びる平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されており、基板2の一端部2a側に配置された第1接続領域10aと、基板2の内方領域側に配置された第1コンデンサ形成領域10bとを一体的に含む。
第1導電体膜10の第1接続領域10aは、第1外部電極7の直下の領域に配置されており、基板2の短手方向に沿う平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第1導電体膜10の第1コンデンサ形成領域10bは、第1導電体膜10の第1接続領域10aから第2外部電極8側に向かって引き出されており、第1外部電極7と第2外部電極8との間の領域を被覆している。第1コンデンサ形成領域10bの第2外部電極8側の端部は、平面視において第2外部電極8外の領域に配置されていてもよいし、平面視において第2外部電極8の一部と重なっていてもよい。
第1パッド膜11は、第1導電体膜10から電気的に絶縁されるように当該第1導電体膜10から間隔を空けて絶縁膜9上に配置されている。以下では、第1導電体膜10と第1パッド膜11との間に形成された隙間をスリット19という。第1パッド膜11は、第2外部電極8の直下の領域に配置されており、基板2の短手側面5bに沿って平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第1パッド膜11の厚さは、第1導電体膜10の厚さと略同一である。絶縁膜9上には、誘電体膜12が配置されている。
図2に示されるように、誘電体膜12は、第1導電体膜10および第1パッド膜11を一括して被覆するように絶縁膜9上に配置されている。誘電体膜12は、SiO2膜やSiN膜であってもよい。誘電体膜12は、基板2側からこの順に形成された酸化膜(SiO2膜)/窒化膜(SiN膜)/酸化膜(SiO2膜)を含むONO膜であってもよい。誘電体膜12上には、第2導電体膜13と第2パッド膜14とが配置されている。
図2および図4に示されるように、第2導電体膜13は、基板2の他端部2b側から一端部2a側に向けて延びる平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されており、基板2の他端部2b側に配置された第2接続領域13aと、基板2の内方領域側に配置された第2コンデンサ形成領域13bとを一体的に含む。
第2導電体膜13の第2接続領域13aは、第2外部電極8の直下の領域に配置されており、基板2の短手方向に沿う平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第2接続領域13aは、第1パッド膜11を選択的に露出させるように誘電体膜12に形成されたビアホール15を介して当該第1パッド膜11に電気的に接続されている。なお、他の形態として、第2導電体膜13の第2接続領域13aがビアホール15を介して第1パッド膜11に電気的に接続されていない構成が採用されてもよい。この場合、第2導電体膜13の第2接続領域13aは、誘電体膜12を挟んで第1パッド膜11に対向する構成となる。
第2導電体膜13の第2コンデンサ形成領域13bは、第2導電体膜13の第2接続領域13aから第1外部電極7側に向かって引き出されており、第1外部電極7と第2外部電極8との間の領域を被覆している。第2コンデンサ形成領域13bは、誘電体膜12を挟んで第1コンデンサ形成領域10bに対向している。第2コンデンサ形成領域13bの第1外部電極7側の端部は、平面視において第1外部電極7外の領域に配置されていてもよいし、平面視において第1外部電極7の一部と重なっていてもよい。
第2パッド膜14は、第2導電体膜13から電気的に絶縁されるように当該第2導電体膜13から間隔を空けて誘電体膜12上に配置されている。第2パッド膜14は、第1外部電極7の直下の領域に配置されており、基板2の短手側面5bに沿って平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第2パッド膜14の厚さは、第2導電体膜13の厚さと略同一である。第2パッド膜14は、第1導電体膜10の第1接続領域10aを選択的に露出させるように誘電体膜12に形成されたビアホール16を介して、第1導電体膜10の第1接続領域10aに電気的に接続されている。
図2に示されるように、第1外部電極7と第2外部電極8との間の領域に配置された、第1導電体膜10、誘電体膜12および第2導電体膜13の積層膜により、所定容量のコンデンサ領域Cが形成されている。
第1導電体膜10、第1パッド膜11、第2導電体膜13および第2パッド膜14の材料について補足する。第1導電体膜10、第1パッド膜11、第2導電体膜13および第2パッド膜14は、CuやAlを含む導電材料、たとえばCu,Al,AlSiまたはAlCuからなっていてもよい。
本実施形態に係るチップコンデンサ1の特徴は、第1導電体膜10と第1パッド膜11との間に形成されたスリット19の幅Sが、誘電体膜12の膜厚W以上、当該誘電体膜12の膜厚Wの2倍以下(W≦S≦2×W)に設定されていることである。スリット19の幅Sとは、第1導電体膜10と第1パッド膜11とが面方向(基板2の上面3に平行な横方向)に対向する対向幅である。
たとえば、スリット19の幅Sが、誘電体膜12の膜厚Wの2倍よりも大きい(S>2×W)場合、スリット19の上方に配置される誘電体膜12が基板2の上面3側に窪むことにより、当該誘電体膜12に段差部が形成される虞がある。誘電体膜12に段差部が形成されると、当該段差部(特に段差部の角部)に誘電体膜12が薄くされた薄膜部が形成され、当該薄膜部に電界が集中する虞がある。この電界集中は、チップコンデンサ1の耐圧を表すブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を低下させる原因となる。
そこで、本実施形態に係るチップコンデンサ1では、スリット19の幅Sを誘電体膜12の膜厚W以上、当該誘電体膜12の膜厚Wの2倍以下(W≦S≦2×W)に設定している。スリット19の幅Sが係る大きさであれば、第1導電体膜10の第1パッド膜11に対向する側面に沿って形成される誘電体膜12と、第1パッド膜11の第1導電体膜10に対向する側面に沿って形成される誘電体膜12とを、スリット19内で基板2の上面3に平行な横方向に接するように形成できる。
したがって、第1導電体膜10の第1パッド膜11に対向する側面に沿って形成される誘電体膜12と、第1パッド膜11の第1導電体膜10に対向する側面に沿って形成される誘電体膜12との間に段差部が形成されるのを抑制でき、誘電体膜12の上面におけるスリット19上に位置する部分を平坦に形成することが可能となる。
このように、チップコンデンサ1では、誘電体膜12の上面におけるスリット19の上方に位置する部分に段差が形成されるのを抑制でき、しかも平坦な誘電体膜12上に第2導電体膜13を一様な厚さでかつ平坦に形成できるから、誘電体膜12に電界が集中するのを効果的に抑制できる。これにより、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を効果的に向上させることができる。
図2を再度参照して、誘電体膜12上には、第2導電体膜13と第2パッド膜14とを被覆するように、第1パッシベーション膜20が配置されている。第1パッシベーション膜20は、SiO2膜またはSiN膜であってもよい。第1パッシベーション膜20上には、樹脂膜21が配置されている。樹脂膜21は、ポリイミドであってもよい。第1パッシベーション膜20および樹脂膜21には、第2パッド膜14の縁部を除く領域を第1パッド領域22として露出させる第1パッド開口23と、第2導電体膜13の第2接続領域13aの縁部を除く領域を第2パッド領域24として選択的に露出させる第2パッド開口25とが形成されている。
第1パッド開口23内には、第1外部電極7が配置されている。第1外部電極7は、第1パッド開口23内において第1パッド領域22に電気的に接続されている。これにより、第1外部電極7は、第2パッド膜14を介して第1導電体膜10に電気的に接続されている。第2パッド開口25内には、第2外部電極8が配置されている。第2外部電極8は、第2パッド開口25内において第2パッド領域24に電気的に接続されている。これにより、第2外部電極8は、第2導電体膜13に電気的に接続されている。
第1外部電極7は、樹脂膜21から突出するように形成されており、当該樹脂膜21を被覆する被覆部7aを有している。同様に、第2外部電極8は、樹脂膜21から突出するように形成されており、当該樹脂膜21を被覆する被覆部8aを有している。第1外部電極7および第2外部電極8は、いずれも基板2側から順に積層されたNi膜と、Pd膜と、Au膜とを含むNi/Pd/Au積層膜であってもよい。
図1〜図4に示されるように、基板2の側面5には、当該側面5全域を被覆するように第2パッシベーション膜26が配置されている。第2パッシベーション膜26は、SiO2膜またはSiN膜であってもよい。
以上、本実施形態に係るチップコンデンサ1では、第1導電体膜10と第1パッド膜11との間に設けられたスリット19の幅Sが、誘電体膜12の膜厚W以上、当該誘電体膜12の膜厚Wの2倍以下(W≦S≦2×W)に設定されている。これにより、誘電体膜12の上面におけるスリット19上に位置する部分が平坦となるように、誘電体膜12をスリット19に埋め込むことができる。
これにより、誘電体膜12におけるスリット19の上方に位置する部分に段差が形成されるのを抑制でき、しかも平坦な誘電体膜12上に第2導電体膜13を一様な厚さでかつ平坦に形成できる。その結果、誘電体膜12における第1導電体膜10と第1パッド膜11との間に位置する誘電体膜12に電界が集中するのを抑制でき、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を向上させることができる。よって、耐圧を向上でき、優れた信頼性を有するチップコンデンサ1を提供できる。
<第1実施形態の第1変形例>
図5は、第1実施形態の第1変形例に係るチップコンデンサ31の縦断面図である。チップコンデンサ31が前述の第1実施形態に係るチップコンデンサ1と異なる点は、第1導電体膜10と誘電体膜12との間にバリアメタル膜32が介在されている点である。チップコンデンサ31におけるその他の構成は、前述の第1実施形態に係るチップコンデンサ1の構成と同様であるので、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
バリアメタル膜32は、第1導電体膜10の平面形状に整合する平面形状を有しており、第1導電体膜10の全域を被覆している。バリアメタル膜32の厚さは、第1導電体膜10の厚さよりも小さい。バリアメタル膜32の厚さは、たとえば第1導電体膜10の厚さの0.01倍〜0.1倍程度である。第1導電体膜10の厚さは、たとえば1000Å以上30000Å以下であり、バリアメタル膜32の厚さは、たとえば100Å以上3000Å以下である。バリアメタル膜32の材料としては、Ti,TiN,W,TiW等を例示できる。
なお、図5では、バリアメタル膜32が、第1パッド膜11の平面形状に整合する平面形状で第1パッド膜11の全域を被覆している例を示しているが、バリアメタル膜32が第1パッド膜11を被覆していない構成が採用されてもよい。
第1導電体膜10の上面には、しばしばヒロック(hillock)と称される微細な凹凸が形成されることがある。たとえば、ヒロックに入り込んだ誘電体膜12を挟んで第1導電体膜10と第2導電体膜13とが対向する部分では、電界が局所的に集中する虞がある。この不所望かつ局所的な電界集中は、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を低下させる一つの原因となる。
そこで、本変形例では、第1導電体膜10の上面を被覆するようにバリアメタル膜32を形成し、第1導電体膜10に形成されるヒロックを埋めている。これにより、第1導電体膜10の上面に形成されるヒロックに誘電体膜12が入り込むのを抑制できるから、ヒロックに起因する不所望かつ局所的な電界集中を抑制できる。また、これと同時に、第1導電体膜10上においてバリアメタル膜32の平坦面を形成できるので、その上に積層される第2導電体膜13等の平坦性をより一層向上させることができる。その結果、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を向上させて高耐圧化を図ることが可能となるチップコンデンサ41を提供できる。
<第1実施形態の第2変形例>
図6は、第1実施形態の第2変形例に係るチップコンデンサ41の一部切欠き斜視図である。図7は、図6に示されるVII-VII線に沿う縦断面図である。図8は、図7に示されるVIII-VIII線に沿う横断面図である。図9(a)は、図7に示される破線IXで囲まれた領域の拡大図である。図9(b)は、図9(a)に示される領域の他の形態を示す図である。
チップコンデンサ41が前述の第1実施形態に係るチップコンデンサ1と異なる点は、第1外部電極7が、アンカー構造を有するように第2パッド膜14に接合され、第2外部電極8が、アンカー構造を有するように第2導電体膜13の第2接続領域13aに接合されていることである。チップコンデンサ41におけるその他の構成は、前述の第1実施形態に係るチップコンデンサ1の構成と同様であるので、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
本変形例では、第2パッド膜14との間でアンカー構造を有する第1外部電極7の一態様として、第1外部電極7の下面に第1突起42を含む凹凸が形成され、第2接続領域13aとの間でアンカー構造を有する第2外部電極8の一態様として、第2外部電極8の下面に第2突起43を含む凹凸が形成された例について説明する。
本変形例は、係る構成を具備することにより、第2パッド膜14に対する第1外部電極7の接続強度および第2接続領域13aに対する第2外部電極8の接続強度を高めて、接続不良の発生を抑制しようとするものである。以下、第1突起42および第2突起43ならびにその周辺の構成について具体的に説明する。
図7および図8に示されるように、誘電体膜12における第1外部電極7の下方に位置する領域には、第1導電体膜10の第1接続領域10aを選択的に露出させる複数の第1ビアホール44が形成されている。複数の第1ビアホール44は、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されており、いずれも平面視矩形状(本変形例では平面視正方形状)に形成されている。
一方、誘電体膜12における第2外部電極8の下方に位置する領域には、第1パッド膜11を選択的に露出させる複数の第2ビアホール45が形成されている。複数の第2ビアホール45は、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されており、いずれも平面視矩形状(本変形例では、平面視正方形状)に形成されている。
なお、第1ビアホール44および第2ビアホール45は、平面視円形状に形成されていてもよい。第1ビアホール44および第2ビアホール45は、図9(a)に示されるように、誘電体膜12の厚さと略同一の深さに形成されていてもよい。また、第1ビアホール44および第2ビアホール45は、図9(b)に示されるように、それらの底部が、誘電体膜12を貫通して第1導電体膜10内および第1パッド膜11内に位置するように形成されていてもよい。
図9(a)に示されるように、第2パッド膜14は、その上面および下面が誘電体膜12の上面および複数の第1ビアホール44の内壁面に沿って形成されている。第2パッド膜14における各第1ビアホール44の直上に位置する部分には、第1ビアホール44側に向かって窪んだ第1凹部46が形成されている。一方、第2導電体膜13の第2接続領域13aは、その上面および下面が誘電体膜12の上面および複数の第2ビアホール45の内壁面に沿って形成されている。第2導電体膜13の第2接続領域13aにおける各第2ビアホール45の直上に位置する部分には、第2ビアホール45側に向かって窪んだ第2凹部47が形成されている。
第1外部電極7の第1突起42は、当該第1外部電極7の電極材料が第2パッド膜14に形成された第1凹部46に入り込むことにより形成されている。これにより、第1外部電極7の下面に第2パッド膜14に食い込む複数の第1突起42が形成されている。複数の第1突起42は、誘電体膜12に形成された複数の第1ビアホール44の上方に位置しており、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
同様に、第2外部電極8の第2突起43は、当該第2外部電極8の電極材料が第2導電体膜13の第2接続領域13aに形成された第2凹部47に入り込むことにより形成されている。これにより、第2外部電極8の下面に第2接続領域13aに食い込む複数の第2突起43が形成されている。複数の第2突起43は、誘電体膜12に形成された複数の第2ビアホール45の上方に位置しており、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
さらに、図6および図7に示されるように、第1外部電極7の上面には、基板2の上面3側に向かって窪んだ複数の第1上面凹部48が形成されている。複数の第1上面凹部48は、第2パッド膜14の第1凹部46に、第1外部電極7の電極材料が入り込むことにより形成されており、第1外部電極7の下面に形成された複数の第1突起42の上方に位置している。これにより、複数の第1上面凹部48が、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
同様に、第2外部電極8の上面には、基板2の上面3側に向かって窪んだ複数の第2上面凹部49が形成されている。複数の第2上面凹部49は、第2導電体膜13の第2凹部47に、第2外部電極8の電極材料が入り込むことにより形成されており、第2外部電極8の下面に形成された複数の第2突起43の上方に位置している。これにより、複数の第2上面凹部49が、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
複数の第1上面凹部48がその上面に形成された第1外部電極7、および、複数の第2上面凹部49がその上面に形成された第2外部電極8によれば、複数の第1上面凹部48により、第1外部電極7の表面積を増加させることができ、複数の第2上面凹部49により、第2外部電極8の表面積を増加させることができる。これにより、チップコンデンサ41を実装基板に実装する際に、第1外部電極7および第2外部電極8に対する導電性接合材(たとえば半田)の接続面積を増加させることができる。よって、チップコンデンサ41を実装基板に良好に実装できる。
以上、チップコンデンサ41では、内部電極である第2パッド膜14に食い込むように第1外部電極7の下面に形成された第1突起42によって、第1外部電極7が、アンカー構造を有するように第2パッド膜14に接合されている。これにより、第2パッド膜14に対する第1外部電極7の接続強度を高めることができる。
特に、第2パッド膜14は、誘電体膜12に形成された第1ビアホール44に埋め込まれているから、接続面積の増加およびアンカー効果により、誘電体膜12に対する第2パッド膜14の接続強度が高められている。したがって、この第2パッド膜14を介することによって、第1導電体膜10に対する第1外部電極7の接続強度を高めることができる。その結果、第1外部電極7と第1導電体膜10とを良好に電気的に接続させることが可能となる。
また、チップコンデンサ41では、内部電極である第2導電体膜13の第2接続領域13aに食い込むように第2外部電極8の下面に形成された第2突起43によって、第2外部電極8が、アンカー構造を有するように第2接続領域13aに接合されている。これにより、第2導電体膜13に対する第2外部電極8の接続強度を高めることができる。
特に、第2導電体膜13の第2接続領域13aは、誘電体膜12に形成された第2ビアホール45に埋め込まれているから、接続面積の増加およびアンカー効果により、誘電体膜12に対する第2接続領域13aの接続強度が高められている。したがって、この第2接続領域13aを介することによって、第2導電体膜13に対する第2外部電極8の接続強度を高めることができる。その結果、第1外部電極7と第2導電体膜13とを良好に電気的に接続させることが可能となる。
なお、本変形例では、第1突起42、第1ビアホール44、第1凹部46および第1上面凹部48が平面視において行列状に配列された例について説明した。しかし、チップコンデンサ41は、第1突起42、第1ビアホール44、第1凹部46および第1上面凹部48が平面視においてランダムなドッド状、千鳥状、基板2の長手方向に沿うストライプ状、基板2の短手方向に沿うストライプ状または格子状に配列される構成とされてもよい。
また、本変形例では、第2突起43、第2ビアホール45、第2凹部47および第2上面凹部49が平面視において行列状に配列された例について説明した。しかし、チップコンデンサ41は、第2突起43、第2ビアホール45、第2凹部47および第2上面凹部49が平面視においてランダムなドッド状、千鳥状、基板2の長手方向に沿うストライプ状、基板2の短手方向に沿うストライプ状または格子状に配列される構成とされてもよい。
<チップコンデンサ41の製造方法>
次に、図10A〜図10Cを参照して、チップコンデンサ41の製造方法の一例について説明する。図10A〜図10Cは、図11(a)に対応する部分の拡大断面図であり、図6に示されるチップコンデンサ41の製造方法の一工程を示す断面図である。以下では、必要に応じて図7も参照する。
図10Aに示されるように、まず、複数のチップコンデンサ41に個片化される前の基板2が用意される。次に、基板2の表面に絶縁膜9が形成される。絶縁膜9は、熱酸化処理により基板2の表面を酸化させることにより形成されてもよいし、CVD法により基板2の表面に絶縁材料を堆積させることにより形成されてもよい。
次に、絶縁膜9上に導電体膜が形成されて、所定形状にパターニングされる。これにより、第1導電体膜10および第1パッド膜11が形成される(図7も併せて参照)。次に、第1導電体膜10および第1パッド膜11を被覆するように、誘電体膜12が第1導電体膜10上に形成される。
次に、図10Bに示されるように、誘電体膜12上に複数の第1ビアホール44および複数の第2ビアホール45を形成すべき領域に選択的に開口50aを有するレジストマスク50が形成される。次に、たとえばレジストマスク50を介するドライエッチングにより誘電体膜12の不要な部分が除去される。これにより、誘電体膜12に第1ビアホール44および第2ビアホール45が形成される。その後、レジストマスク50は除去される。
次に、誘電体膜12上に導電体膜が形成されて、所定形状にパターニングされる。これにより、第2導電体膜13および第2パッド膜14が形成される(図7も併せて参照)。この工程では、第2パッド膜14における各第1ビアホール44の直上に位置する部分に、第1ビアホール44側に向かって窪んだ第1凹部46が形成される。また、この工程では、第2導電体膜13の第2接続領域13aにおける各第2ビアホール45の直上に位置する部分に、第2ビアホール45側に向かって窪んだ第2凹部47が形成される。
次に、第2導電体膜13および第2パッド膜14を被覆するように第1パッシベーション膜20と樹脂膜21とが誘電体膜12上に形成される(図7も併せて参照)。次に、第1パッシベーション膜20と樹脂膜21とがパターニングされて、第2パッド膜14を第1パッド領域22として選択的に露出させる第1パッド開口23と、第2導電体膜13の第2接続領域13aを第2パッド領域24として選択的に露出させる第2パッド開口25とが形成される。
次に、図10Cを再度参照して、めっき処理によって、第1パッド開口23から露出する第2パッド膜14上および第2パッド開口25から露出する第2導電体膜13の第2接続領域13a上に、基板2側からNi膜と、Pd膜と、Au膜とが順に形成される。これにより、Ni/Pd/Au積層膜からなる第1外部電極7および第2外部電極8が形成される。
この工程では、第1外部電極7の電極材料が第2パッド膜14の第1凹部46に入り込む。これにより、第1外部電極7の下面に複数の第1突起42が形成されると共に、第1外部電極7の上面における第1突起42に対応する位置に第1上面凹部48が形成される。また、この工程では、第2外部電極8の電極材料が第2導電体膜13の第2接続領域13aの第1凹部46に入り込む。これにより、第2外部電極8の下面に複数の第2突起43が形成されると共に、第2外部電極8の上面における第2突起43に対応する位置に第2上面凹部49が形成される。
その後、基板2が選択的に切断されて、複数のチップコンデンサ41に個片化される。このようにして、チップコンデンサ41が製造される。
<第1実施形態の第3変形例>
図11は、第1実施形態の第3変形例に係るチップコンデンサ51の一部切欠き斜視図である。図12は、図11に示されるXII-XII線に沿う縦断面図である。図13は、図11に示されるXIII-XIII線に沿う縦断面図である。図11〜図13において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図11〜図13に示されるように、前述の基板2の一端部2a側における上面3には、第1外部電極52が配置されており、基板2の他端部2b側における上面3には、第2外部電極53が配置されている。第1外部電極52および第2外部電極53は、いずれも、基板2の短手側面5bに沿って、平面視長方形状に形成されている。第1外部電極52は、基板2の上面3上から長手側面5aおよび短手側面5bに回り込み、基板2の三方の側面5を被覆する被覆部52aを有している。同様に、第2外部電極53は、基板2の上面3上から長手側面5aおよび短手側面5bに回り込み、基板2の三方の側面5を被覆する被覆部53aを有している。
誘電体膜12上には、前述の第1パッシベーション膜20と樹脂膜21とが形成されている。第1パッシベーション膜20および樹脂膜21には、第1切欠部55と、第2切欠部57とが形成されている。第1切欠部55は、第2パッド膜14の第1外部電極52側の縁部を除く領域を第1パッド領域54として選択的に露出させている。第2切欠部57は、第2導電体膜13の第2接続領域13aの第2外部電極53側の縁部を除く領域を第2パッド領域56として選択的に露出させている。これら第1切欠部55および第2切欠部57により、基板2の内方側の領域のみが第1パッシベーション膜20および樹脂膜21により被覆された構成とされている。
第1切欠部55から露出する第1パッド領域54上には、当該第1パッド領域54に電気的に接続されるように第1外部電極52が配置されている。これにより、第1外部電極52は、第2パッド膜14を介して第1導電体膜10に電気的に接続されている。第2切欠部57から露出する第2パッド領域56上には、当該第2パッド領域56に電気的に接続されるように第2外部電極53が配置されている。これにより、第2外部電極53は、第2導電体膜13に電気的に接続されている。
第1外部電極52は、樹脂膜21から突出するように形成されており、当該樹脂膜21を被覆する被覆部52bを有している。同様に、第2外部電極53は、樹脂膜21から突出するように形成されており、当該樹脂膜21を被覆する被覆部53bを有している。第1外部電極52および第2外部電極53は、基板2側から順に積層されたNi膜と、Pd膜と、Au膜とを含むNi/Pd/Au積層膜であってもよい。
以上、チップコンデンサ51は、基板2の側面5に回り込むように形成された第1外部電極52と、基板2の側面5に回り込むように形成された第2外部電極53とを含む。これにより、第1外部電極52および第2外部電極53に対する導電性接合材(たとえば半田)の接着面積を増加させることができるから、実装状態におけるチップコンデンサ51の接続強度を高めることができる。さらに、実装状態では、基板2の3つの側面5を被覆する第1外部電極52および第2外部電極53によって、三方向からチップコンデンサ51を保持することが可能となるから、チップコンデンサ51の実装形状を一層安定化させることができる。
<第2実施形態>
図14は、本発明の第2実施形態に係るチップコンデンサ61の一部切欠き斜視図である。図15は、図14に示されるXV-XV線に沿う縦断面図である。図16〜図18は、それぞれ図15に示されるXVI-XVI線、XVII-XVII線およびXVIII-XVIII線に沿う横断面図である。図14〜図18において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図14〜図18に示されるように、チップコンデンサ61は、いわゆる0603チップ、0402チップ、03015チップ等と称される微小なチップ部品であり、前述の基板2を含む。基板2の一端部2a側における上面3には、前述の第1外部電極7が配置されており、基板2の他端部2b側における上面3には、前述の第2外部電極8が配置されている。
図15に示されるように、本実施形態に係るチップコンデンサ61は、導電体膜と誘電体膜とが、基板2の上面3に垂直な縦方向に交互に複数積層された多層積層構造を有している。本実施形態では、係る構成を具備することにより、基板2の上面3という限られた面積内において容量値の増大が図られている。
図15に示されるように、基板2の上面3上には、当該基板2の上面3全域を被覆するように前述の絶縁膜9が配置されている。絶縁膜9上には、第1導電体膜62と第1パッド膜63とが配置されている。
図15および図16に示されるように、第1導電体膜62は、絶縁膜9の予め定められた領域に配置されている。第1導電体膜62は、基板2の一端部2a側から他端部2b側に向けて延びる平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されており、基板2の一端部2a側に配置された第1接続領域62aと、基板2の内方領域側に配置された第1コンデンサ形成領域62bとを一体的に含む。
第1導電体膜62の第1接続領域62aは、第1外部電極7の直下の領域に配置されており、基板2の短手方向に沿う平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第1導電体膜62の第1コンデンサ形成領域62bは、第1導電体膜62の第1接続領域62aから第2外部電極8側に向かって引き出されており、第1外部電極7と第2外部電極8との間の領域を被覆している。第1コンデンサ形成領域62bの第2外部電極8側の端部は、平面視において第2外部電極8外の領域に配置されていてもよいし、平面視において第2外部電極8の一部と重なっていてもよい。
第1パッド膜63は、第1導電体膜62から電気的に絶縁されるように当該第1導電体膜62から間隔を空けて絶縁膜9上に配置されている。以下では、第1導電体膜62と第1パッド膜63との間に形成された隙間を第1スリット76という。第1パッド膜63は、第2外部電極8の直下の領域に配置されており、基板2の短手側面5bに沿って平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第1パッド膜63の厚さは、第1導電体膜62の厚さと略同一である。絶縁膜9上には、第1誘電体膜64が配置されている。
図15に示されるように、第1誘電体膜64は、第1導電体膜62および第1パッド膜63を一括して被覆するように絶縁膜9上に配置されている。第1誘電体膜64は、SiO2膜やSiN膜であってもよい。第1誘電体膜64は、基板2側からこの順に形成された酸化膜(SiO2膜)/窒化膜(SiN膜)/酸化膜(SiO2膜)を含むONO膜であってもよい。第1誘電体膜64上には、第2導電体膜65と第2パッド膜66とが配置されている。
図5および図17に示されるように、第2導電体膜65は、基板2の他端部2b側から一端部2a側に向けて延びる平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されており、基板2の他端部2b側に配置された第2接続領域65aと、基板2の内方領域側に配置された第2コンデンサ形成領域65bとを一体的に含む。
第2導電体膜65の第2接続領域65aは、第2外部電極8の直下の領域に配置されており、基板2の短手方向に沿う平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第2接続領域65aは、第1パッド膜63を選択的に露出させるように第1誘電体膜64に形成されたビアホール67を介して当該第1パッド膜63に電気的に接続されている。なお、他の形態として、第2導電体膜65の第2接続領域65aがビアホール67を介して第1パッド膜63に電気的に接続されていない構成が採用されてもよい。この場合、第2導電体膜65の第2接続領域65aは、第1誘電体膜64を挟んで第1パッド膜63に対向する構成となる。
第2導電体膜65の第2コンデンサ形成領域65bは、第2導電体膜65の第2接続領域65aから第1外部電極7側に向かって引き出されており、第1外部電極7と第2外部電極8との間の領域を被覆している。第2コンデンサ形成領域65bは、第1誘電体膜64を挟んで第1コンデンサ形成領域62bに対向している。第2コンデンサ形成領域65bの第1外部電極7側の端部は、平面視において第1外部電極7外の領域に配置されていてもよいし、平面視において第1外部電極7の一部と重なっていてもよい。
第2パッド膜66は、第2導電体膜65から電気的に絶縁されるように当該第2導電体膜65から間隔を空けて第1誘電体膜64上に配置されている。以下では、第2導電体膜65と第2パッド膜66との間に形成された隙間を第2スリット77という。第2パッド膜66は、基板2の一端部2a側において第1外部電極7の直下の領域に配置されており、基板2の短手側面5bに沿って平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第2パッド膜66の厚さは、第2導電体膜65の厚さと略同一である。第2パッド膜66は、第1導電体膜62の第1接続領域62aを選択的に露出させるように第1誘電体膜64に形成されたビアホール68を介して、第1導電体膜62の第1接続領域62aに電気的に接続されている。第1誘電体膜64上には、第2誘電体膜69が配置されている。
図15に示されるように、第2誘電体膜69は、第2導電体膜65および第2パッド膜66を一括して被覆するように第1誘電体膜64上に配置されている。第2誘電体膜69は、SiO2膜やSiN膜であってもよい。第2誘電体膜69は、基板2側からこの順に形成された酸化膜(SiO2膜)/窒化膜(SiN膜)/酸化膜(SiO2膜)を含むONO膜であってもよい。第2誘電体膜69上には、第3導電体膜70と第3パッド膜71とが配置されている。
図15および図18に示されるように、第3導電体膜70は、第2誘電体膜69の上面の予め定められた領域を被覆するように第2誘電体膜69上に配置されている。第3導電体膜70は、基板2の一端部2a側から他端部2b側に向けて延びる平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されており、基板2の一端部2a側に配置された第3接続領域70aと、基板2の内方領域側に配置された第3コンデンサ形成領域70bとを一体的に含む。
第3導電体膜70の第3接続領域70aは、第1外部電極7の直下の領域に配置されており、基板2の短手方向に沿う平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第3接続領域70aは、第2パッド膜66を選択的に露出させるように第2誘電体膜69に形成されたビアホール72を介して、第2パッド膜66に電気的に接続されている。
第3導電体膜70の第3コンデンサ形成領域70bは、第3導電体膜70の第3接続領域70aから第2外部電極8側に向かって引き出されており、第1外部電極7と第2外部電極8との間の領域を被覆している。第3コンデンサ形成領域70bの第2外部電極8側の端部は、平面視において第2外部電極8外の領域に配置されていてもよいし、平面視において第2外部電極8の一部と重なっていてもよい。
第3パッド膜71は、第3導電体膜70から電気的に絶縁されるように当該第3導電体膜70から間隔を空けて第2誘電体膜69上に配置されている。第3パッド膜71は、第2外部電極8の直下の領域に配置されており、基板2の短手側面5bに沿って平面視矩形状(本実施形態では長方形状)に形成されている。第3パッド膜71の厚さは、第3導電体膜70の厚さと略同一である。第3パッド膜71は、第2導電体膜65の第2接続領域65aを選択的に露出させるように第2誘電体膜69に形成されたビアホール73を介して、第2導電体膜65の第2接続領域65aに電気的に接続されている。
図15に示されるように、第1導電体膜62、第1誘電体膜64および第2導電体膜65の積層膜により、所定容量の第1コンデンサ領域C1が形成され、第2導電体膜65、第2誘電体膜69および第3導電体膜70の積層膜により、所定容量の第2コンデンサ領域C2が形成されている。したがって、本実施形態では、第1コンデンサ領域C1および第2コンデンサ領域C2が、基板2の上面3に垂直な縦方向に積層されることによって、基板2を大型化せずに容量値の増加が図られている。
第1導電体膜62、第1パッド膜63、第2導電体膜65、第2パッド膜66、第3導電体膜70および第3パッド膜71の材料について補足する。第1導電体膜62、第1パッド膜63、第2導電体膜65、第2パッド膜66、第3導電体膜70および第3パッド膜71は、CuやAlを含む導電材料、たとえばCu,Al,AlSiまたはAlCuからなっていてもよい。
本実施形態に係るチップコンデンサ61の特徴は、第1導電体膜62と第1パッド膜63との間に形成された第1スリット76の幅S1が、第1誘電体膜64の膜厚W1以上、当該第1誘電体膜64の膜厚W1の2倍以下(W1≦S1≦2×W1)に設定されていることである。これに加えて、本実施形態では、第2導電体膜65と第2パッド膜66との間に形成された第2スリット77の幅S2が、第2誘電体膜69の膜厚W2以上、当該第2誘電体膜69の膜厚W2の2倍以下(W2≦S2≦2×W2)に設定されている。
第1スリット76の幅S1とは、第1導電体膜62と第1パッド膜63とが面方向(基板2の上面3に平行な横方向)に対向する対向幅である。第2スリット77の幅S2とは、第2導電体膜65と第2パッド膜66とが面方向(基板2の上面3に平行な横方向)に対向する対向幅である。
第1スリット76の幅S1が係る大きさであれば、第1導電体膜62の第1パッド膜63に対向する側面に沿って形成される第1誘電体膜64と、第1パッド膜63の第1導電体膜62に対向する側面に沿って形成される第1誘電体膜64とを、第1スリット76内で基板2の上面3に平行な横方向に接するように形成できる。したがって、第1導電体膜62の第1パッド膜63に対向する側面に沿って形成される第1誘電体膜64と、第1パッド膜63の第1導電体膜62に対向する側面に沿って形成される第1誘電体膜64との間に段差部が形成されるのを抑制でき、第1誘電体膜64の上面における第1スリット76上に位置する部分を平坦に形成することが可能となる。
同様に、第2スリット77の幅S2が係る大きさであれば、第2導電体膜65の第2パッド膜66に対向する側面に沿って形成される第2誘電体膜69と、第2パッド膜66の第1導電体膜62に対向する側面に沿って形成される第2導電体膜65とを、第2スリット77内で基板2の上面3に平行な横方向に接するように形成できる。したがって、第2導電体膜65の第2パッド膜66に対向する側面に沿って形成される第2誘電体膜69と、第2パッド膜66の第2導電体膜65に対向する側面に沿って形成される第2誘電体膜69との間に段差部が形成されるのを抑制でき、第2導電体膜65の上面における第2スリット77上に位置する部分を平坦に形成することが可能となる。
このように、チップコンデンサ61では、第1誘電体膜64の上面における第1スリット76上に位置する部分に段差が形成されるのを抑制でき、しかも平坦な第1誘電体膜64上に第2導電体膜65を一様な厚さでかつ平坦に形成できるから、第1誘電体膜64に電界が集中するのを効果的に抑制できる。同様に、チップコンデンサ61では、第2誘電体膜69の上面における第2スリット77上に位置する部分に段差が形成されるのを抑制でき、しかも平坦な第2誘電体膜69上に第3導電体膜70を一様な厚さでかつ平坦に形成できるから、第2誘電体膜69に電界が集中するのを効果的に抑制できる。これにより、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を効果的に向上させることができる。
図15を再度参照して、第2誘電体膜69上には、第3導電体膜70と第3パッド膜71とを被覆するように、前述の第1パッシベーション膜20と樹脂膜21とが配置されている。また、基板2の側面5には、前述の第2パッシベーション膜26が配置されている。第1パッシベーション膜20および樹脂膜21には、第3導電体膜70の第3接続領域70aを第1パッド領域78として選択的に露出させる第1パッド開口79と、第3パッド膜71の縁部を除く領域を第2パッド領域80として露出させる第2パッド開口81とが形成されている。
第1パッド開口79内には、第1外部電極7が配置されている。第1外部電極7は、第1パッド開口79内において第1パッド領域78に電気的に接続されている。これにより、第1外部電極7は、第2パッド膜66を介して第1導電体膜62および第3導電体膜70に電気的に接続されている。第2パッド開口81内には、第2外部電極8が配置されている。第2外部電極8は、第2パッド開口81内において第2パッド領域80に電気的に接続されている。これにより、第2外部電極8は、第3パッド膜71を介して第2導電体膜65に電気的に接続されている。
以上、本実施形態に係るチップコンデンサ61では、第1導電体膜62と第1パッド膜63との間に形成された第1スリット76の幅S1が、第1誘電体膜64の膜厚W1以上、当該第1誘電体膜64の膜厚W1の2倍以下(W1≦S1≦2×W1)に設定されている。これにより、第1誘電体膜64の上面における第1スリット76上に位置する部分が平坦となるように、第1誘電体膜64を第1スリット76に埋め込むことができる。その結果、第1誘電体膜64における第1スリット76上に位置する部分に段差が形成されるのを抑制でき、しかも平坦な第1誘電体膜64上に第2導電体膜65を一様な厚さでかつ平坦に形成できる。
同様に、第2導電体膜65と第2パッド膜66との間に形成された第2スリット77の幅S2が、第2誘電体膜69の膜厚W2以上、当該第2誘電体膜69の膜厚W2の2倍以下(W2≦S2≦2×W2)に設定されている。これにより、第2誘電体膜69の上面における第2スリット77上に位置する部分が平坦となるように、第2誘電体膜69を第2スリット77に埋め込むことができる。その結果、第2誘電体膜69における第2スリット77上に位置する部分に段差が形成されるのを抑制でき、しかも平坦な第2誘電体膜69上に第3導電体膜70を一様な厚さでかつ平坦に形成できる。
よって、本実施形態に係るチップコンデンサ61によれば、第1誘電体膜64に電界が集中するのを効果的に抑制でき、第2誘電体膜69に電界が集中するのを効果的に抑制できるから、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態の構成によれば、第1導電体膜62、第1誘電体膜64、第2導電体膜65、第2誘電体膜69および第3導電体膜70が、基板2の上面3に垂直な縦方向にこの順に積層された多層積層構造を有している。係る多層積層構造とすることにより、基板2の上面3に対して垂直な縦方向に第1コンデンサ領域C1および第2コンデンサ領域C2を作り込むことができるから、基板2を大型化せずとも容量値を増加させることができる。
また、チップコンデンサ61は、基板2と第2導電体膜65の第2接続領域65aとの間に配置された第1パッド膜63と、第1導電体膜62の第1接続領域62aと第3導電体膜70の第3接続領域70aとの間に配置された第2パッド膜66と、第2導電体膜65の第2接続領域65aと第2外部電極8との間に配置された第3パッド膜71とを含む。これにより、良好な平坦性を確保しつつ、第1導電体膜62、第1誘電体膜64、第2導電体膜65、第2誘電体膜69および第3導電体膜70を形成できる。また、これにより、第1外部電極7および第2外部電極8の高さバラツキを抑制できる。その結果、設計値に対するズレを抑制しつつ容量値を良好に増加させることができる。
なお、本実施形態では、導電体膜(第1導電体膜62、第2導電体膜65および第3導電体膜60)について見ると、第1導電体膜62が第1層目に配置され、第2導電体膜65が第2層目に配置され、第3導電体膜70が第3層目に配置された構成を有している。しかし、導電体膜がN層(Nは3以上の自然数)積層された構成が採用されてもよい。
この場合、3層目以降は、第2導電体膜65(および第2パッド膜66)と第3導電体膜70(および第3パッド膜71)とが誘電体膜を挟んで交互に積層された構成となる。つまり、2n層目(nは自然数)に第2導電体膜65(および第2パッド膜66)が配置され、2n+1層目(nは自然数)に第3導電体膜70および第3パッド膜71が配置された構成となる。
<第2実施形態の第1変形例>
図19は、第2実施形態の第1変形例に係るチップコンデンサ91の縦断面図である。チップコンデンサ91が前述の第2実施形態に係るチップコンデンサ61と異なる点は、第1導電体膜62と第1誘電体膜64との間に第1バリアメタル膜92が介在されている点、および、第2導電体膜65と第2誘電体膜69との間に第2バリアメタル膜93が介在されている点である。チップコンデンサ91におけるその他の構成は、前述の第2実施形態に係るチップコンデンサ61の構成と同様であるので、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
第1バリアメタル膜92は、第1導電体膜62の平面形状に整合する平面形状を有しており、第1導電体膜62の全域を被覆している。第1バリアメタル膜92の厚さは、第1導電体膜62の厚さよりも小さい。第1バリアメタル膜92の厚さは、たとえば第1導電体膜62の厚さの0.01倍〜0.1倍程度である。
第1導電体膜62の厚さは、たとえば1000Å以上30000Å以下であり、第1バリアメタル膜92の厚さは、たとえば100Å以上3000Å以下である。第1バリアメタル膜92の材料としては、Ti,TiN,W,TiW等を例示できる。なお、図19では、第1バリアメタル膜92が、第1パッド膜63の平面形状に整合する平面形状で第1パッド膜63の全域を被覆している例を示しているが、第1バリアメタル膜92は、第1パッド膜63を被覆していなくてもよい。
第2バリアメタル膜93は、第2導電体膜65の平面形状に整合する平面形状を有しており、第2導電体膜65の全域を被覆している。第2バリアメタル膜93の厚さは、第2導電体膜65の厚さよりも小さい。第2バリアメタル膜93の厚さは、たとえば第2導電体膜65の厚さの0.01倍〜0.1倍程度である。
第2導電体膜65の厚さは、たとえば1000Å以上30000Å以下であり、第2バリアメタル膜93の厚さは、たとえば100Å以上3000Å以下である。第2バリアメタル膜93の材料としては、Ti,TiN,W,TiW等を例示できる。なお、図19では、第2バリアメタル膜93が、第2パッド膜66の平面形状に整合する平面形状で第2パッド膜66の全域を被覆している例を示しているが、第2バリアメタル膜93は、第2パッド膜66を被覆していなくてもよい。
第1導電体膜62の上面や第2導電体膜65の上面には、しばしばヒロック(hillock)と称される微細な凹凸が形成されることがある。たとえば、ヒロックに入り込んだ第1誘電体膜64を挟んで第1導電体膜62と第2導電体膜65とが対向する部分や、ヒロックに入り込んだ第2誘電体膜69を挟んで第2導電体膜65と第3導電体膜70とが対向する部分では、電界が局所的に集中する虞がある。この不所望かつ局所的な電界集中は、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を低下させる原因となる。
そこで、本変形例では、第1導電体膜62の上面を被覆するように第1バリアメタル膜92を形成し、第1導電体膜62に形成されるヒロックを埋めている。これにより、第1導電体膜62の上面に形成されるヒロックに第1誘電体膜64が入り込むのを抑制できるから、ヒロックに起因する不所望かつ局所的な電界集中を抑制できる。また、第2導電体膜65の上面を被覆するように第2バリアメタル膜93を形成し、第2導電体膜65に形成されるヒロックを埋めている。これにより、第2導電体膜65の上面に形成されるヒロックに第2誘電体膜69が入り込むのを抑制できるから、ヒロックに起因する不所望かつ局所的な電界集中を抑制できる。
また、これと同時に、第1導電体膜62上において第1バリアメタル膜92の平坦面を形成できるので、その上に積層される第2導電体膜65の平坦性をより一層向上させることができる。また、第2導電体膜65上において第2バリアメタル膜93の平坦面を形成できるので、その上に積層される第3導電体膜70の平坦性をより一層向上させることができる。その結果、ブレイクダウン電圧および静電破壊耐量を向上させて高耐圧化を図ることが可能となるチップコンデンサ91を提供できる。
<第2実施形態の第2変形例>
図20は、第2実施形態の第2変形例に係るチップコンデンサ101の一部切欠き斜視図である。図21は、図20に示されるXXI-XXI線に沿う縦断面図である。図22は、図20に示されるXXII-XXII線に沿う横断面図である。図23(a)は、図21に示される破線XXIIIで囲まれた領域の拡大図である。図23(b)は、図23(a)に示される領域の他の形態を示す図である。
チップコンデンサ101が前述の第1実施形態に係るチップコンデンサ61と異なる点は、第1外部電極7が、アンカー構造を有するように第3導電体膜70の第3接続領域70aに接合され、第2外部電極8が、アンカー構造を有するように第3パッド膜71に接合されていることである。チップコンデンサ101におけるその他の構成は、前述の第2実施形態に係るチップコンデンサ61の構成と同様であるので、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
本変形例では、第3接続領域70aとの間でアンカー構造を有する第1外部電極7の一態様として、第1外部電極7の下面に第1突起102を含む凹凸が形成され、第3パッド膜71との間でアンカー構造を有する第2外部電極8の一態様として、第2外部電極8の下面に第2突起103を含む凹凸が形成された例について説明する。本変形例は、係る構成を具備することにより、第3接続領域70aに対する第1外部電極7の接続強度および第3パッド膜71に対する第2外部電極8の接続強度の向上を図っている。以下、第1突起102および第2突起103ならびにその周辺の構成について具体的に説明する。
図21および図22に示されるように、第2誘電体膜69における第1外部電極7の下方に位置する領域には、第2パッド膜66を選択的に露出させる複数の第1ビアホール104が形成されている。複数の第1ビアホール104は、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されており、いずれも平面視矩形状(本変形例では平面視正方形状)に形成されている。
一方、第2誘電体膜69における第2外部電極8の下方に位置する領域には、第2導電体膜65の第2接続領域65aを選択的に露出させる複数の第2ビアホール105が形成されている。複数の第2ビアホール105は、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されており、いずれも平面視矩形状(本変形例では平面視正方形状)に形成されている。
なお、第1ビアホール104および第2ビアホール105は、平面視円形状に形成されていてもよい。第1ビアホール104および第2ビアホール105は、図23(a)に示されるように、第2誘電体膜69の厚さと略同一の深さに形成されていてもよい。また、第1ビアホール104は、図23(b)に示されるように、それらの底部が、第2誘電体膜69を貫通して第2パッド膜66内および第2導電体膜65の第2接続領域65a内に位置するように形成されていてもよい。
図23(a)に示されるように、第3導電体膜70は、その上面および下面が第2誘電体膜69の上面および複数の第1ビアホール104の内壁面に沿って形成されている。第3導電体膜70は、第1ビアホール104内において、第2パッド膜66に電気的に接続されている。第3導電体膜70の第3接続領域70aにおける各第1ビアホール104の直上に位置する部分には、第1ビアホール104側に向かって窪んだ第1凹部106が形成されている。
一方、第3パッド膜71は、その上面および下面が第2誘電体膜69の上面および複数の第2ビアホール105の内壁面に沿って形成されている。第3パッド膜71は、第2ビアホール105内において、第2導電体膜65の第2接続領域65aに電気的に接続されている。第3パッド膜71における各第2ビアホール105の直上に位置する部分には、第2ビアホール105側に向かって窪んだ第2凹部107が形成されている。
第1外部電極7の第1突起102は、当該第1外部電極7の電極材料が第3導電体膜70の第3接続領域70aに形成された第1凹部106に入り込むことにより形成されている。これにより、第1外部電極7の下面に第3接続領域70aに食い込む複数の第1突起102が形成されている。複数の第1突起102は、第2誘電体膜69に形成された複数の第1ビアホール104の上方に位置しており、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
同様に、第2外部電極8の第2突起103は、当該第2外部電極8の電極材料が第3パッド膜71に形成された第2凹部107に入り込むことにより形成されている。これにより、第2外部電極8の下面に第3パッド膜71に食い込む複数の第2突起103が形成されている。複数の第2突起103は、第2誘電体膜69に形成された複数の第2ビアホール105の上方に位置しており、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
さらに、図20および図21に示されるように、第1外部電極7の上面には、基板2の上面3側に向かって窪んだ複数の第1上面凹部108が形成されている。複数の第1上面凹部108は、第1外部電極7の電極材料が、第3導電体膜70の第1凹部106に入り込むことにより形成されており、第1外部電極7の下面に形成された複数の第1突起102の上方に位置している。これにより、複数の第1上面凹部108が、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
同様に、第2外部電極8の上面には、基板2の上面3側に向かって窪んだ複数の第2上面凹部109が形成されている。複数の第2上面凹部109は、第2外部電極8の電極材料が、第3パッド膜71の第2凹部107に入り込むことにより形成されており、第2外部電極8の下面に形成された複数の第2突起103の上方に位置している。これにより、複数の第2上面凹部109が、基板2の長手方向および短手方向に沿って行列状に配列されている。
以上、チップコンデンサ101では、内部電極である第3導電体膜70の第3接続領域70aに食い込むように第1外部電極7の下面に形成された第1突起102によって、第1外部電極7が、アンカー構造を有するように第3接続領域70aに接合されている。これにより、第3接続領域70aに対する第1外部電極7の接続強度を高めることができる。
特に、第3接続領域70aは、第2誘電体膜69に形成された第1ビアホール104に埋め込まれているから、接続面積の増加およびアンカー効果により、第2誘電体膜69に対する第3接続領域70aの接続強度が高められている。したがって、この第3接続領域70aを介することによって、第2パッド膜66および第1導電体膜62に対する第1外部電極7の接続強度を高めることができる。その結果、第1外部電極7、第2パッド膜66および第1導電体膜62を良好に電気的に接続させることが可能となる。
また、チップコンデンサ101では、内部電極である第3パッド膜71に食い込むように第2外部電極8の下面に形成された第2突起103によって、第2外部電極8が、アンカー構造を有するように第3パッド膜71に接合されている。これにより、第3パッド膜71に対する第2外部電極8の接続強度を高めることができる。
特に、第3パッド膜71は、第2誘電体膜69に形成された第2ビアホール105に埋め込まれているから、接続面積の増加およびアンカー効果により、第2誘電体膜69に対する第3パッド膜71の接続強度が高められている。したがって、この第3パッド膜71を介することによって、第2導電体膜65の第2接続領域65aおよび第1パッド膜63に対する第3パッド膜71の接続強度を高めることができる。その結果、第2外部電極8、第2接続領域65aおよび第1パッド膜63を良好に電気的に接続させることが可能となる。
なお、本変形例では、第1突起102、第1ビアホール104、第1凹部106および第1上面凹部108が平面視において行列状に配列された例について説明した。しかし、チップコンデンサ101は、第1突起102、第1ビアホール104、第1凹部106および第1上面凹部108が平面視においてランダムなドッド状、千鳥状、基板2の長手方向に沿うストライプ状、基板2の短手方向に沿うストライプ状または格子状に配列される構成とされてもよい。
また、本変形例では、第2突起103、第2ビアホール105、第2凹部107および第2上面凹部109が平面視において行列状に配列された例について説明した。しかし、チップコンデンサ101は、第2突起103、第2ビアホール105、第2凹部107および第2上面凹部109が平面視においてランダムなドッド状、千鳥状、基板2の長手方向に沿うストライプ状、基板2の短手方向に沿うストライプ状または格子状に配列される構成とされてもよい。
<第2実施形態の第3変形例>
図24は、第2実施形態の第3変形例に係るチップコンデンサ111の一部切欠き斜視図である。図25および図26は、それぞれ図24に示されるXXV-XXV線およびXXVI-XXVI線に沿う縦断面図である。図24〜図26において、前述の第2実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図24〜図26に示されるように、前述の基板2の一端部2a側における上面3には、第1外部電極112が配置されており、基板2の他端部2b側における上面3には、第2外部電極113が配置されている。第1外部電極112および第2外部電極113は、いずれも、基板2の短手側面5bに沿って、平面視長方形状に形成されている。第1外部電極112は、基板2の上面3上から長手側面5aおよび短手側面5bに回り込み、基板2の三方の側面5を被覆する被覆部112aを有している。同様に、第2外部電極113は、基板2の上面3上から長手側面5aおよび短手側面5bに回り込み、基板2の三方の側面5を被覆する被覆部113aを有している。
第2誘電体膜69上には、前述の第1パッシベーション膜20と樹脂膜21とが形成されている。第1パッシベーション膜20および樹脂膜21には、第1切欠部115と、第2切欠部117とが形成されている。第1切欠部115は、第3導電体膜70の第3接続領域70aの第2外部電極8側の縁部を除く領域を第1パッド領域114として選択的に露出させている。第2切欠部117は、第3パッド膜71の第1外部電極7側の縁部を除く領域を第2パッド領域116として露出させている。これら第1切欠部115および第2切欠部117により、基板2の内方側の領域のみが第1パッシベーション膜20および樹脂膜21により被覆された構成とされている。
第1切欠部115から露出する第1パッド領域114上には、当該第1パッド領域114に電気的に接続されるように第1外部電極112が配置されている。これにより、第1外部電極112は、第2パッド膜66を介して第1導電体膜62に電気的に接続されている。第2切欠部117から露出する第2パッド領域116上には、当該第2パッド領域116に電気的に接続されるように第2外部電極113が配置されている。これにより、第2外部電極113は、第2導電体膜65に電気的に接続されている。
第1外部電極112は、樹脂膜21から突出するように形成されており、当該樹脂膜21を被覆する被覆部112bを有している。同様に、第2外部電極113は、樹脂膜21から突出するように形成されており、当該樹脂膜21を被覆する被覆部113bを有している。第1外部電極112および第2外部電極113は、基板2側から順に積層されたNi膜と、Pd膜と、Au膜とを含むNi/Pd/Au積層膜であってもよい。
以上、チップコンデンサ111は、基板2の側面5に回り込むように形成された第1外部電極112と、基板2の側面5に回り込むように形成された第2外部電極113とを含む。これにより、第1外部電極112および第2外部電極113に対する導電性接合材(たとえば半田)の接着面積を増加させることができるから、実装状態におけるチップコンデンサ111の接続強度を高めることができる。さらに、実装状態では、基板2の3つの側面5を被覆する第1外部電極112および第2外部電極113によって、三方向からチップコンデンサ111を保持することが可能となるから、チップコンデンサ111の実装形状を一層安定化させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の各実施形態および各変形例において、基板2は、半導体基板(シリコン基板)であってもよいし、ガラス(SiO2)や樹脂(たとえばエポキシ樹脂)からなる絶縁性基板であってもよい。基板2が絶縁性基板からなる場合、前述の第1実施形態に係るチップコンデンサ1の変形例を示す図27のように、第1導電体膜10が、基板2の上面3に接するように当該基板2上に配置されていてもよい。むろん、第1実施形態以外の各実施形態および各変形例においても、第1導電体膜10,62が基板2の上面3に接するように当該基板2上に配置された構成が採用されてもよい。
また、前述の第1実施形態に係る構成と、当該第1実施形態の第1〜第3変形例に係る各構成とは、それらの間で適宜組み合わされてもよい。また、前述の第2実施形態に係る構成と、当該第2実施形態の第1〜第3変形例に係る各構成とは、それらの間で適宜組み合わされてもよい。
前述のチップコンデンサ1,31,41,51,61,91,101,111は、たとえば、電源回路用、高周波回路用、デジタル回路用等の回路素子として、電子機器、携帯電子機器等のモバイル端末に組み込むことができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。