JP6782642B2 - 気体センサ及び水素濃度判定方法 - Google Patents

気体センサ及び水素濃度判定方法 Download PDF

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Description

本開示は、気体センサ及び気体センサを用いた水素濃度判定方法に関する。
特許文献1には、水素ガスの存在を抵抗値の変化として検知する気体センサが開示されている。この気体センサは、五酸化タンタル(Ta)にパラジウム(Pd)とガラスが添加された材料と、この材料を挟むプラチナ(Pt)電極とを備える。
非特許文献1には、水素センシングのためのPt/Taショットキーダイオードが開示されている。このショットキーダイオードにおいて、水素分子は触媒Ptの表面で水素原子に解離する。
特開昭59−58348号公報
Sensors and Actuators A 172 (2011) 9−14
本開示は、省電力性に優れ、かつ、水素濃度の判定が可能な気体センサを提供する。
本開示の一態様に係る気体センサは、絶縁層に覆われた複数の検出セルを備える。前記複数の検出セルのそれぞれは、第1の電極と、前記絶縁層から露出した露出面を有する第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に配置され、バルク領域と、前記バルク領域に囲まれ、かつ、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する局所領域とを含む金属酸化物層とを備える。前記金属酸化物層の抵抗値は、水素原子を含有する気体が前記第2の電極に接したときに、所定の応答時間で低下し、前記所定の応答時間は、前記複数の検出セル毎に異なる。
本開示の一態様に係る気体センサは、省電力性に優れ、かつ、水素濃度を判定できる。
図1Aは、参考形態に係る気体検出素子の一例を示す断面図である。 図1Bは、参考形態に係る気体検出素子の一例を示す上面図である。 図2Aは、参考形態に係る気体検出素子の製造方法の一例を示す断面図である。 図2Bは、参考形態に係る気体検出素子の製造方法の一例を示す断面図である。 図2Cは、参考形態に係る気体検出素子の製造方法の一例を示す断面図である。 図2Dは、参考形態に係る気体検出素子の製造方法の一例を示す断面図である。 図2Eは、参考形態に係る気体検出素子の製造方法の一例を示す断面図である。 図2Fは、参考形態に係る気体検出素子の製造方法の一例を示す断面図である。 図2Gは、参考形態に係る気体検出素子の製造方法の一例を示す断面図である。 図3は、参考形態に係る気体検出素子の状態遷移の一例を示す図である。 図4は、参考形態の変形例に係る気体検出素子を示す断面図である。 図5Aは、参考形態の変形例に係る気体検出素子の評価システムを示す図である。 図5Bは、参考形態の変形例に係る気体検出素子の評価結果を示す図である。 図6は、第1の実施形態に係る気体センサの一例を示す断面図である。 図7Aは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Bは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Cは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Dは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Eは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Fは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Gは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Hは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Iは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Jは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Kは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図7Lは、第1の実施形態に係る気体センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図8Aは、第1の実施形態に係る気体検出素子の抵抗状態と酸素欠陥の状態の一例を表す模式図である。 図8Bは、第1の実施形態に係る気体検出素子の抵抗値と欠陥数の関係の一例を表す図である。 図9Aは、第1の実施形態に係る気体検出素子における、素子を水素含有ガスへ暴露する時間と、局所領域に到達する水素原子の数との関係の一例を示す図である。 図9Bは、第1の実施形態に係る気体検出素子において、水素含有ガスの水素濃度と、水素含有ガスを導入し始めてから1秒後に水素含有ガスを検知できる第2の電極の膜厚との関係の一例を示す図である。 図10Aは、第1の実施形態に係る気体センサの一例を示す断面図である。 図10Bは、図10Aに示される気体検出素子A〜Eを用いて水素濃度を判定した結果の一例を示す図である。 図11Aは、第1の実施形態に係る水素濃度判定回路の一例を示す回路図である。 図11Bは、第1の実施形態に係る水素濃度判定回路の別の一例を示す回路図である。 図12は、第2の実施形態に係る気体センサの一例を示す断面図である。 図13は、第2の実施形態に係る初期ブレイク電圧と気体検出素子に形成される局所領域の径との関係の一例を示す図である。 図14Aは、第2の実施形態に係る気体検出素子の酸素欠陥の状態の一例を示す模式図である。 図14Bは、第2の実施形態に係る気体検出素子の酸素欠陥の状態の別の例を示す模式図である。
以下、本開示の参考形態及び種々の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図面において、同一又は類似の構成に対して同一の符号が付される場合があり、明細書において、それらの構成についての説明が省略される場合がある。また、以下において記述される数値、材料、形状、構成要素の配置及び接続関係、製造方法などは、種々の実施形態を具体的に説明するために例示するものであり、本開示はこれらに限定されない。以下に例示される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(参考形態)
[1.気体検出素子の構成]
図1Aは、参考形態に係る気体検出素子100の一構成例を示す断面図である。
図1Bは、参考形態に係る気体検出素子100の一構成例を示す上面図である。図1Aの断面は、図1Bの1A−1Aの切断線において矢印方向に見た断面に対応する。
気体検出素子100は、基板101と、基板101上に配置された絶縁膜102と、絶縁膜102上に配置された第1の電極103と、第1の電極103上に配置された抵抗膜104と、抵抗膜104の上に配置された第2の電極106と、第1の電極103、抵抗膜104及び第2の電極106を覆う絶縁膜107と、絶縁膜107を通って第2の電極106に接続されるビア108と、ビア108に接続される配線109とを備える。
なお、本開示において、「絶縁膜」は「絶縁層」の一例であり、「抵抗膜」は「金属酸化物層」の一例である。
絶縁膜107には、第2の電極106を検査対象である気体に接触させるための開口107aが設けられている。言い換えると、第2の電極106の上面の少なくとも一部は、絶縁膜107に覆われておらず、絶縁膜107から露出している。
ビア108は、絶縁膜107のうち第2の電極106を覆っている部分を貫通し、第2の電極106に接続されている。ビア108の上に配線109が配置されている。
抵抗膜104は、第1の電極103及び第2の電極106の間に配置される。抵抗膜104の抵抗値は、第1の電極103及び第2の電極106の間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に変化する。例えば、抵抗膜104は、第1の電極103及び第2の電極106の間に与えられる電圧と、第2の電極106に接触した気体における水素含有ガスの有無とに応じて、高抵抗状態と低抵抗状態との間で可逆的に遷移する。
ここで、水素含有ガスとは、水素原子を有する分子からなる気体の総称である。水素含有ガスの例として、水素ガス、メタンガス、アルコールガス、及びアンモニアガスが挙げられる。
抵抗膜104の厚みは、例えば、初期抵抗値を低くするために8nm以下としてもよく、かつ、安定した抵抗変化を得るために1nm以上としてもよい。
抵抗膜104は、第2の電極106と接して配置され、第1の電極103に接していない局所領域105を含む。局所領域105の酸素不足度は、その周囲(すなわち抵抗膜104のバルク領域)の酸素不足度よりも大きい。局所領域105の酸素不足度は、第1の電極103及び第2の電極106の間への電気的信号の印加と、第2の電極106に接触した気体における水素含有ガスの有無とに応じて、可逆的に変化する。局所領域105は、酸素欠陥サイトの連なりで構成されるフィラメント(導電パス)を含む微小な領域である。
本開示において、金属酸化物の酸素不足度とは、当該金属酸化物と同じ元素から構成されるストイキオメトリックな金属酸化物における酸素の量に対する、当該金属酸化物における酸素の不足量の比である(ここで、酸素の不足量とは、ストイキオメトリックな金属酸化物における酸素の量から当該金属酸化物における酸素の量を引いた値である)。もし、当該金属酸化物と同じ元素から構成されるストイキオメトリックな金属酸化物が複数存在しうる場合、当該金属酸化物の酸素不足度は、それらのストイキオメトリックな金属酸化物のうち最も高い抵抗値を有する1つに基づいて定義される。ストイキオメトリックな金属酸化物は、他の組成の金属酸化物と比べて、より安定でありかつより高い抵抗値を有している。
一例として、タンタル酸化物TaO1.5の酸素不足度について説明する。ストイキオメトリックなタンタル酸化物はTaであり、したがって、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%である。これに対して、タンタル酸化物TaO1.5の酸素不足度は、(2.5−1.5)/2.5=40%となる。
本開示では、特に断りのない限り、酸素不足度は正の値、0、負の値も含むものとして説明する。金属酸化物は、その酸素不足度が正のとき、酸素不足の組成を有する。金属酸化物は、その酸素不足度が0のとき、ストイキオメトリックな組成を有する。金属酸化物は、その酸素不足度が負のとき、酸素過剰の組成を有する。
金属酸化物が酸素不足な組成を有する場合、酸素不足度が小さいほど、その金属酸化物はストイキオメオリックな組成に近くなり、その抵抗値は高くなる。反対に、酸素不足度が大きいほど、その金属酸化物は、金属に近くなり、その抵抗値は低くなる。
本開示において、金属酸化物の酸素含有率とは、当該金属酸化物の総原子数に対する酸素原子の比率である。例えば、タンタル酸化物Taの酸素含有率は、5/(2+5)=71.4atm%となる。酸素不足型のタンタル酸化物の酸素含有率は、0より大きく、かつ、71.4atm%より小さい。
局所領域105は、第1の電極103と第2の電極106との間に所定の電圧(すなわち初期ブレイク電圧)を印加することによって、抵抗膜104内に形成される。初期ブレイク電圧の絶対値は、例えば、抵抗膜104の抵抗状態を可逆的に遷移させるための電圧の絶対値よりも大きい。あるいは、初期ブレイク電圧の絶対値は、抵抗膜104の抵抗状態を可逆的に遷移させるための電圧の絶対値よりも小さくてもよい。後者の場合、初期ブレイク電圧は、第1の電極103と第2の電極106との間に繰り返し印加されてもよく、所定時間連続して印加されてもよい。初期ブレイク電圧の印加により、図1Aに示すような局所領域105が形成される。
局所領域105は、酸素欠陥サイトの連なりで構成されるフィラメント(導電パス)を含みうる。局所領域105の大きさは、電流を流すために必要なフィラメントに見合う微小な大きさである。局所領域105におけるフィラメントの形成は、パーコレーションモデルを用いて説明される。
パーコレーションモデルに基づけば、局所領域105中でランダムに分布している酸素欠陥サイトの密度がある閾値を越えると、酸素欠陥サイトのつながりが形成されやすくなり、フィラメントが形成される。抵抗膜104における抵抗変化は、局所領域105における酸素欠陥サイトの発生及び消失を通じて発現する。
ここで、金属酸化物の酸素欠陥とは、仮にその金属酸化物がストイキオメトリックな組成を有していた場合に酸素が占めたであろうサイトから、酸素が欠損していることを意味する。酸素欠陥サイトの密度は、酸素不足度とも対応している。つまり、酸素不足度が大きくなると、酸素欠陥サイトの密度も大きくなる。
局所領域105は、気体検出素子100の1つの抵抗膜104に1ケ所のみ形成されてもよい。抵抗膜104に形成されている局所領域105は、例えば、EBAC(Electron Beam Absorbed Current)解析によって確認することができる。
抵抗膜104が局所領域105を有するため、第1の電極103と第2の電極106との間に電圧を印加した際、電流は抵抗膜104内のうち局所領域105に集中的に流れる。
局所領域105の径は、非常に小さいため、例えば1V程度の電圧の印加に応じて局所領域105に数十μA程度の電流が流れると、局所領域105でかなりの温度上昇(例えば100℃を超える温度上昇)が生じる。したがって、小さな消費電力(例えば、0.1mW未満)で、局所領域105およびその周辺を加熱することができる。
例えば、第2の電極106のうち局所領域105と接した部分は、局所領域105での発熱によって加熱される。そのため、第2の電極106が触媒作用のある金属(例えばPt)である場合には、加熱によって触媒作用が高まり、水素含有ガスから水素原子を解離する効率が高まる。
解離された水素原子は、以下のメカニズムによって、抵抗膜104の抵抗値を変化させると推察される。
解離された水素原子は、平衡状態を維持するために、第2の電極106中を拡散して、局所領域105にまで到達する。この水素原子は局所領域105中の酸素と結合し、水分子となる。これにより、局所領域105中の酸素不足度が増加し、局所領域105中でフィラメントが繋がりやすくなり、局所領域105の抵抗値が減少する。その結果、第1の電極103と第2の電極106との間を流れる電流が増加する。
逆に、第2の電極106近傍に水素含有ガスが存在しなくなると、解離された水素原子は、平衡状態を維持するために、第2の電極106表面近傍で水素分子となり、第2の電極106の表面から外部へ出て行く。このとき、水分子を構成していた水素原子が局所領域105から第2の電極106中に戻り、残った酸素原子は局所領域105中の酸素欠陥サイトに戻る。これにより、局所領域105中の酸素不足度が減少し、局所領域105中のフィラメントが繋がりにくくなり、抵抗値が増加する。その結果、第1の電極103と第2の電極106との間を流れる電流が減少する。
このようにして、気体検出素子100は、第2の電極106が水素含有ガスに接すると抵抗膜104の抵抗値が低下し、第2の電極106が水素含有ガスに接しなくなると抵抗膜104の抵抗値が増大する特性を有する。そのため、気体検出素子100は、第1の電極103と第2の電極106との間の抵抗値に基づいて、水素含有ガスの有無を検知することができる。
水素含有ガスによる抵抗値の低下は、局所領域105が高抵抗状態にある場合にも、低抵抗状態にある場合にも生じうる。そのため、局所領域105は、高抵抗状態に設定されていてもよく、低抵抗状態に設定されていてもよい。局所領域105が高抵抗状態に設定されている場合、抵抗値の低下をより明確に検出できる。
以下では、気体検出素子100の詳細について説明する。
抵抗膜104は、例えば、酸素不足型の金属酸化物から構成される。金属酸化物の母体金属は、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)等の遷移金属と、アルミニウム(Al)とから選択される少なくとも1つであってもよい。遷移金属は複数の酸化状態をとることができるため、酸化還元反応によって、その抵抗状態が変化しうる。
酸素不足型の金属酸化物の多くは、典型的に、半導体のような特性を有する。酸素不足型の金属酸化物を抵抗膜104に用いることで、気体検出素子100において、再現性がよくかつ安定して抵抗変化が生じる。
例えば、抵抗膜104がハフニウム酸化物HfOで構成される場合、xが1.6以上であってもよい。これにより、抵抗膜104の抵抗値が安定して変化しうる。ハフニウム酸化物の膜厚は、例えば、3〜4nmとしてもよい。
例えば、抵抗膜104がジルコニウム酸化物ZrOで構成される場合、xが1.4以上であってもよい。これにより、抵抗膜104の抵抗値が安定して変化しうる。ジルコニウム酸化物の膜厚は、例えば、1〜5nmとしてもよい。
例えば、抵抗膜104がタンタル酸化物TaOで構成される場合、xが2.1以上であってもよい。これにより、抵抗膜104の抵抗値が安定して変化しうる。
抵抗膜104の金属酸化物の組成はラザフォード後方散乱法を用いて測定されうる。
第1の電極103および第2の電極106のそれぞれの材料は、例えば、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、W(タングステン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)、TaN(窒化タンタル)およびTiAlN(窒化チタンアルミニウム)から選択される少なくとも1つであってもよい。
第2の電極106は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、又はパラジウム(Pd)であってもよい。これらの材料は、水素含有ガスから水素原子を解離する触媒作用を有する。第1の電極103は、例えば、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、窒化タンタル(TaN)、又は窒化チタン(TiN)であってもよい。これらの材料の標準電極電位は、抵抗膜104に含有される金属の標準電極電位に比べて低い。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい。
基板101としては、例えば、シリコン単結晶基板または半導体基板を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。抵抗膜104は比較的低い基板温度で形成することが可能であるため、例えば、樹脂材料などの上に抵抗膜104を形成することもできる。
気体検出素子100は、抵抗膜104に電気的に接続された負荷素子をさらに備えてもよい。負荷素子として、例えば固定抵抗、トランジスタ、またはダイオードが挙げられる。
[2.気体検出素子の製造方法]
次に、図2A〜図2Gを参照しながら、気体検出素子100の製造方法の一例について説明する。
まず、図2Aに示すように、基板101上に、絶縁膜102、第1の電極103、抵抗膜104、第2の電極106がこの順で積層される。
例えば、基板101は単結晶シリコン基板であり、絶縁膜102は厚さ200nmのシリコン熱酸化膜であり、第1の電極103は厚さ100nmのPt薄膜であり、抵抗膜104は厚さ1nm以上8nm以下の酸素不足型のタンタル酸化物の薄膜であり、第2の電極は厚さ150nmのPt薄膜である。
この場合、絶縁膜102は、熱酸化法によって基板101上に形成される。第1の電極103は、スパッタリング法によって絶縁膜102上に形成される。抵抗膜104は、反応性スパッタリング法によって第1の電極103上に形成される。第2の電極106は、スパッタリング法によって抵抗膜104上に形成される。なお、第1の電極103と絶縁膜102との間にTi、TiNなどの密着層がスパッタリング法によって形成されてもよい。
次に、図2Bに示すように、フォトリソグラフィーによって、フォトレジストによるマスク300が形成される。
次に、図2Cに示すように、マスク300を用いたドライエッチングによって、第1の電極103、抵抗膜104、及び第2の電極106が、所定の形状に加工される。
次に、図2Dに示すように、絶縁膜102、第1の電極103、抵抗膜104、及び第2の電極106を覆うように絶縁膜107が形成される。そして、エッチングによって、絶縁膜107に第2の電極106の上面の一部に到達するビアホール107bが設けられる。
次に、図2Eに示すように、絶縁膜107の上面及びビアホール107bの内部に導体膜108’が形成される。
次に、図2Fに示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によって、絶縁膜107上の導体膜108’が除去され、これによりビアホール107b内にビア108が形成される。そして、新たな導体膜が、絶縁膜107上に形成されてパターニングされ、これにより配線109が形成される。
次に、図2Gに示すように、エッチングによって、絶縁膜107に開口が設けられる。第2の電極106の上面の一部は、開口107aにおいて、絶縁膜107から露出している。
最後に、第1の電極103と第2の電極106との間に初期ブレイク電圧を印加し、これにより、抵抗膜104内に図1Aに示すような局所領域105が形成される。以上の工程によって、気体検出素子100が完成する。
[3.電圧印加による抵抗変化]
電圧印加に応じた気体検出素子100の抵抗変化特性の一例について説明する。なお、水素含有ガスに応じた気体検出素子100の抵抗変化特性については、後述する。
ここでは、気体検出素子100のサンプルを用いて抵抗値が測定された。
サンプルにおいて、第1の電極103、第2の電極106、及び抵抗膜104の大きさは、0.5μm×0.5μm(面積0.25μm)であった。抵抗膜104の材料は、タンタル酸化物TaO2.47であった。抵抗膜104の厚みは5nmであった。
サンプルの抵抗値は、第1の電極103と第2の電極106との間に0.4Vの読み出し用電圧を印加することによって読み出された。
図3は、気体検出素子100のサンプルにおける抵抗変化特性を示す。
サンプルの初期抵抗値RIは約107〜108Ωであった。このサンプルに対して、初期ブレイク電圧が印加された。その結果、図3に示されるように、抵抗値が減少した。その後、サンプルに対して、パルス幅が100nsでかつ極性が異なる2種類の電圧パルスが交互に印加された。その結果、図3に示すよう抵抗値が可逆的に変化した。
具体的には、正電圧パルス(パルス幅100ns)がサンプルに印加されると、抵抗値が低抵抗値LRから高抵抗値HRへ増加した。他方、負電圧パルス(パルス幅100ns)がサンプルに印加されると、抵抗値が高抵抗値HRから低抵抗値LRへ減少した。なお、電圧パルスの極性は、第1の電極103の電位を基準として第2の電極106の電位が高い場合を“正”とし、第1の電極103の電位を基準として第2の電極106の電位が低い場合を“負”とした。
このような電圧印加による抵抗変化特性を利用して、水素含有ガスの検知を開始する前に、抵抗膜104の抵抗状態を所定の抵抗状態に設定することができる。例えば、第1の電極103と第2の電極106との間に正の電圧パルスを印加することにより、抵抗膜104を高抵抗状態に設定してもよい。これにより、抵抗値の低下をより明確に検出でき、水素含有ガスの検出特性が向上する。
[4.気体検出素子の構成の変形例]
図4は、参考形態の変形例に係る気体検出素子の構成を模式的に示す断面図である。以下、参考形態の気体検出素子100と異なる点についてのみ説明する。
本変形例の気体検出素子200は、抵抗膜204が積層体である点が、気体検出素子100と異なる。具体的には、抵抗膜204は、第1の電極103に接する第1の金属酸化物層204aと第2の電極106に接する第2の金属酸化物層204bとを含む。なお、抵抗膜204は、2層に限らず3層以上の金属酸化物層を積層してもよい。
第1の金属酸化物層204a及び第2の金属酸化物層204b内には、局所領域105が設けられている。局所領域105は、第2の金属酸化物層204bを貫通する。局所領域105は、第2の電極106と接し、かつ、第1の電極103と接しない。
第2の金属酸化物層204bの厚みは、第1の金属酸化物層204aの厚みより薄くてもよい。この場合、局所領域105が第1の電極103と接しない構造を容易に形成できる。第2の金属酸化物層204bの酸素不足度は、第1の金属酸化物層204aの酸素不足度より小さくてもよい。この場合、第2の金属酸化物層204bの抵抗値は、第1の金属酸化物層204aの抵抗値より高いため、抵抗膜204に印加された電圧の多くは第2の金属酸化物層204bに印加される。そのため、例えば、低い初期ブレイク電圧で、第2の金属酸化物層204bに局所領域105を形成することができる。
第1の金属酸化物層204aを構成する金属は、第2の金属酸化物層204bを構成する金属と同一であってもよく、異なっていてもよい。
第1の金属酸化物層204aを構成する第1の金属と、第2の金属酸化物層204bを構成する第2の金属とが同一である場合、酸素含有率は酸素不足度と対応関係にある。すなわち、第2の金属酸化物の酸素含有率が第1の金属酸化物の酸素含有率より大きいとき、第2の金属酸化物の酸素不足度は第1の金属酸化物の酸素不足度より小さい。
局所領域105の酸素不足度は、第2の金属酸化物層204bの酸素不足度より大きく、第1の金属酸化物層204aの酸素不足度と異なる。
[5.水素含有ガスによる抵抗変化]
水素含有ガスに応じた気体検出素子200の抵抗変化特性の一例について説明する。ここでは、気体検出素子200のサンプルを用いて抵抗値の変化が測定された。
図5Aは、気体検出素子200の評価に用いた評価システムの一例を示すブロック図である。図5Aに示す評価システム900は、気体検出素子200を格納する密閉容器910、電源回路920、及び電流測定器930を備える。密閉容器910は、導入弁913を介して水素ボンベ911に接続され、導入弁914を介して窒素ボンベ912に接続され、排気弁915を介して外部空間に接続されている。
図5Bは、気体検出素子200のサンプルにおける抵抗変化特性を示す。横軸は時間(a.u.)を表し、縦軸は第1の電極103と第2の電極106との間を流れる電流値(a.u.)を表している。
本測定では、気体検出素子200のサンプルが用意された。このサンプルの抵抗膜204は、電圧印加によって高抵抗状態に設定されていた。次に、このサンプルが密閉容器910内に格納された。その後、サンプルの電極間に0.6Vの検知電圧を継続的に印加して、サンプルを流れる電流を監視した。まず、密閉容器910内に窒素ガスが導入された。その後、窒素ガスの導入が停止され、密閉容器910内に水素ガスが導入された。その後、水素ガスの導入が停止され、密閉容器910内に窒素ガスが再度導入された。
図5Bに示されるように、導入ガスが窒素ガスから水素ガスに切り替わってから、電流値が増加し始めた。また、導入ガスが水素ガスから窒素ガスに切り替わってから、電流値が減少し始めた。
水素ガスが導入されている間、第1の電極103と第2の電極106との間には10〜20μAの電流が流れた。従って、このサンプルによれば、0.006〜0.012mWの非常に小さい消費電力で、水素含有ガスの有無を検知できた。
以上の測定結果により、気体検出素子200が水素含有ガスを検知できることが示された。本測定結果によれば、気体検出素子200と類似の構造を有する気体検出素子(例えば気体検出素子100)においても、同様の抵抗変化を示すと推察される。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る気体センサについて説明する。第1の実施形態の説明のうち、参考形態の説明と重複するものについては、説明が省略される場合がある。
[1.気体センサの構成]
図6は、第1の実施形態に係る気体センサ1000の一構成例を示す断面図である。気体センサ1000は、複数の気体検出素子200を検出セルとして備える。複数の気体検出素子200のそれぞれは、例えば、参考形態で説明された気体検出素子200と同様の構造を有する。図6に示される気体センサ1000には、5個の気体検出素子200が配列されている。5個の気体検出素子200の第2の電極106の膜厚は、互いに異なっている。
なお、気体センサ1000に含まれる気体検出素子200の数は、5個に限定されない。また、気体センサ1000は、複数の気体検出素子200の代わりに、例えば、参考形態で説明された複数の気体検出素子100を備えてもよい。気体センサ1000の基板101及び絶縁膜102のそれぞれは、複数の気体検出素子200にわたって共通であってもよい。同様に、気体センサ1000の絶縁膜107は、複数の気体検出素子200における複数の第1の電極103、複数の抵抗膜204及び複数の第2の電極106を覆う共通の層であってもよい。
図6では、5個の気体検出素子200の第2の電極106の膜厚がすべて異なっているが、複数の気体検出素子200の第2の電極106の膜厚のうち少なくとも2つが異なる値であればよい。例えば、複数の気体検出素子200のうち、最大の膜厚を有する第2の電極106の膜厚は、最小の膜厚を有する第2の電極106の膜厚の1.5倍以上であってもよい。
[2.気体センサの製造方法]
気体センサ1000の製造方法として、基本的には、図2Aから図2Gを参照しながら説明された製造方法と同じ製造方法が用いられうる。ただし、気体センサ1000の製造方法では、第2の電極106の膜厚を気体検出素子200ごとに異ならせるために、複数回のエッチング工程が追加される。
これらエッチング工程を、図7Aから図7Lに示す。
まず、図7Aに示されるように、基板101、絶縁膜102、第1の電極103、抵抗膜204、及び第2の電極106がこの順で積層される。各層の製造方法および材料は、例えば、図2Aを参照しながら説明されたものと同様であってもよい。
次に、図7Bに示されるように、第2の電極106の上にマスク310が形成される。マスク310の形成方法および材料は、例えば、図2Bを参照しながら説明されたものと同様であってもよい。そして、図7Cに示されるように、第2の電極106のうちマスク310で覆われていない部分が、エッチングによって薄膜化される。
次に、図7Dに示されるように、第2の電極106の上にマスク311が形成される。そして、図7Eに示されるように、第2の電極106のうちマスク310、311で覆われていない部分が、エッチングによってさらに薄膜化される。
次に、図7Fに示されるように、第2の電極106の上にマスク312が形成される。そして、図7Gに示されるように、第2の電極106のうちマスク310、311、312で覆われていない部分が、エッチングによってさらに薄膜化される。
次に、図7Hに示されるように、第2の電極106の上にマスク313が形成される。そして、図7Iに示されるように、第2の電極106のうちマスク310、311、312、313で覆われていない部分が、エッチングによってさらに薄膜化される。
次に、図7Jに示されるように、第2の電極106の上にマスク314が形成される。そして、図7Kに示されるように、第2の電極106のうちマスク310、311、312、313、314で覆われていない部分が、エッチングで除去される。
次に、図7Lに示されるように、マスク310、311、312、313、314が除去される。
その後、図2D〜2Gを参照しながら説明されたのと同様に、開口107aを有する絶縁膜107、ビア108、及び配線109が形成される。最後に、各気体検出素子200に対して初期ブレイク電圧が印加され、これにより、局所領域105が形成される。
以上の工程によって、気体センサ1000が完成する。
[3.検出感度と第2の電極の膜厚との関係]
水素含有ガスに対する気体検出素子の検出感度と、第2の電極の膜厚との関係について説明する。なお、以下では、説明の簡便のため、気体センサ2000を構成する検出セルのそれぞれが、図1Aに示される構造を有する場合、すなわち、各検出セルが単層の抵抗膜104を有する場合について説明される。なお、以下の説明は、気体センサ2000が図6に示される構造を有する場合、すなわち、各検出セルが積層体の抵抗膜204を有する場合についても同様に成り立つ。
図8Aは、気体検出素子の抵抗状態と酸素欠陥の状態を模式的に示す。図8Aの左側は、高抵抗状態の気体検出素子100を示し、図8Aの右側は、低抵抗状態の気体検出素子100を示す。
シミュレーション評価によれば、高抵抗状態の気体検出素子100の抵抗値が約40kΩであるとき、局所領域105には約7870個の酸素欠陥110が存在すると推測される。このとき、酸素欠陥110の密度は、フィラメントを形成するためには不十分である。
この状態から、水素原子が第2の電極106を通過して局所領域105に到達すると、この水素原子が局所領域内の酸素と反応することで新たな酸素欠陥110が発生する。その結果、気体検出素子100は、高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。
シミュレーション評価によれば、低抵抗状態の気体検出素子100の抵抗値が約4kΩであるとき、局所領域105には約10090個の酸素欠陥110が存在すると推測される。このとき、酸素欠陥110の密度は、フィラメントを形成するためには十分である。
したがって、水素含有ガスが気体検出素子100の抵抗値を十分に(例えば1桁程度)低下させるためには、そのような抵抗値の低下のために要求される酸素欠陥110の増加数と同程度(例えば、10090−7870=2220個)の水素原子が、局所領域105に到達する必要がある。
図8Bは、気体検出素子100の抵抗値と局所領域105に存在する酸素欠陥110の数との関係の一例を表す図である。
局所領域105に到達する水素原子の数は、例えば、式(1)に従って見積もることができる。式(1)では、第2の電極106中における水素原子の拡散が考慮されている。
Figure 0006782642
ここで、nは局所領域105に到達する水素原子の数を表し、xは、第2の電極106の膜厚を表し、tは時間を表し、pは水素含有ガスの水素濃度を表し、Aは局所領域105のうち第2の電極106に接する面の面積を表す。
式(1)に示されるように、単位時間当たりに局所領域105に到達する水素原子数は、第2の電極106に接触しているガスに含有される水素原子数Nと、第2の電極106の膜厚xに依存する。
第2の電極106が白金(Pt)である場合、式(1)の各パラメータは表1に示される値をとる。
Figure 0006782642
図9Aは、気体検出素子100を水素含有ガスに暴露した時間と、局所領域に到達する水素分子の数との関係の一例を示す。ここでは、第2の電極106が白金であり、その厚さは18.6nmとした。図9Aには、水素濃度が0.1%、1%、10%、100%である場合のグラフが示されている。
図9Aに示されるように、局所領域105に到達する水素分子の数は、所定の臨界時間を過ぎると急激に増加した。これらの臨界時間は、水素濃度が高いほど短かった。
図9Bは、一例として、水素ガスに暴露し始めてから1秒経過した時点において局所領域105に水素分子が2220個到達するという条件下における、水素濃度と白金電極の膜厚の相関性を示す。図9Bからもわかるように、水素濃度が低いほど第2の電極106の膜厚は薄い。言い換えると、水素濃度が低いガスから水素を検出するためには、第2の電極106の膜厚が薄いことが要求される。
これらの検討から、第2の電極106の膜厚を調整することによって、気体検出素子100の水素含有ガスに対する検出感度を設定することが分かる。言い換えると、第2の電極106の膜厚を調整することによって、水素含有ガスに対する気体検出素子100の抵抗変化の応答時間を設定することができる。
本開示において、「応答時間」とは、検出セル(すなわち気体検出素子)が水素含有ガスに曝されてから、検出セルの抵抗値が有意に変化するまでの時間を意味する。「有意に変化する」とは、検出セルの抵抗値が所定の判定レベルを下回るように低下することを意味する。
水素含有ガスに対する抵抗変化の応答時間が異なる複数の気体検出素子100は、例えば、次の性質を有する。(1)水素含有ガスに所定の時間暴露したときに所定の大きさの抵抗変化が生じるために必要な水素含有ガスの水素濃度が、複数の気体検出素子100の間で互いに異なる。(2)所定の水素濃度の水素含有ガスに暴露したときに、抵抗値が有意に変化するために必要な暴露時間が、複数の気体検出素子100の間で互いに異なる。
[4.水素濃度の判定]
図10Aは、図6に示される気体センサ1000に含まれる複数の検出セル(すなわち気体検出素子100)を参照符号A〜Eで示す。図10Bは、図10Aに示される検出セルA〜Eにおける第2の電極106の膜厚と、水素含有ガスを導入してから1秒後に抵抗変化が1桁程度低下するために必要な水素濃度とを示す。
検出セルA、B、C、D、及びEの第2の電極106の膜厚は、それぞれ、18.6nm、35.0nm、45.6nm、52.1nm、及び61.3nmとした。このとき、検出セルA、B、C、D、及びEの抵抗値は、それぞれ、水素濃度が0.1%、1%、3%、5%、及び10%の水素含有ガスの導入開始から1秒後に、1桁程度低下する。これらの第2の電極106の膜厚及び水素濃度の値は、シミュレーションにより見積もられたものである。
図10Bの最下段は、ある水素濃度を有する水素含有ガスを検出セルA〜Eに導入してから1秒後における検出セルA〜Eの抵抗値を示す。この例では、水素含有ガスの導入前において、検出セルA〜Eの抵抗値はHRに設定されていたものとする。
図10Bの最下段に示されるように、水素含有ガスの導入開始から1秒経過時において、検出セルA、B及びCの抵抗値は、HRからLRに低下しており、検出セルD及びEの抵抗値は、HRのままである。この場合、導入された水素含有ガスの濃度は3%以上5%未満の範囲内にあると判定できる。
図示していない別の例として、水素含有ガスの導入開始から1秒経過時に、検出セルA、B、C、及びDの抵抗値がHRからLRに低下しており、検出セルEの抵抗値のみがHRのままであったとする。この場合、導入された水素含有ガスの濃度は5%以上10%未満の範囲内にあると判定できる。
ここで、ある検出セルに抵抗変化が生じたか否かは、その検出セルの抵抗値があらかじめ設定した閾値THを下回ったか否かによって判定されてもよい。閾値THは、例えば、抵抗変化前の抵抗値と抵抗変化後の抵抗値の間に設定されうる。また、検出セルの抵抗値は、その検出セルに所定の電圧を印加したときに流れる電流値を測定することによって測定されてもよい。
図11Aは、水素濃度を判定するための気体センサ1001の一例を示す回路図である。
図11Aに示される気体センサ1001は、図6に示される気体センサ1000に加えて、複数の検出セル(すなわち気体検出素子200)にそれぞれ接続された電流測定器931〜935と、及び電源回路920とを備える。ここで、気体センサ1001のうち電流測定器931〜935及び電源回路920を含む部分は、本開示の「測定回路」の一例である。
電流測定器931〜935のそれぞれは、対応する検出セルに流れる電流値と、所定の閾値とを比較し、その結果を出力するコンパレータを含む。この閾値は、対応する検出セルが高抵抗状態にあるか低抵抗状態にあるかを判定するための基準となる。
水素含有ガスの測定をする前において、複数の検出セルは、高抵抗状態にセットされている。この状態で、電源回路920は、複数の検出セルの第1の電極103と第2の電極106との間に所定の電圧を印加する。これにより、複数の検出セルに流れる電流は、それぞれ、電流測定器931〜935によって監視される。
この状態で、複数の検出セルが検査対象である気体に曝される。この気体が水素含有ガスである場合、各検出セルの抵抗値は、気体の水素濃度と第2の電極106の膜厚とに応じた応答時間で、低下する。検出セルごとに第2の電極106の膜厚は異なるため、検出セルごとに応答時間も異なる。
ある検出セルの抵抗値が低下すると、この検出セルに接続されている電流測定器(例えば、電流測定器931)に流れる電流値が増大する。電流測定器931〜935内のコンパレータは、この電流値が所定の閾値を超えたときに、水素含有ガスを検知したことを示す信号を出力する。この信号は、例えば、気体センサ1001内の判定回路(図示せず)に出力される。
検出セルごとに応答時間が異なるため、水素含有ガスの導入開始から所定時間(例えば1秒)経過時において、例えば、電流測定器931〜935のうちの一部は水素含有ガスを検知しており、残部は水素含有ガスをまだ検知していない。したがって、判定回路(図示せず)は、電流測定器931〜935から入力される信号に基づいて、水素含有ガスの水素濃度を判定することができる。なお、気体センサ1001における水素濃度の分解能は、複数の検出セルにおける第2の電極106の膜厚の差異に依存する。
図11Bは、水素濃度を判定するための気体センサ1002の一例を示す回路図である。図11Bに示される気体センサは、図6に示される気体センサ1000に加えて、複数の検出セルに接続された電流測定器930と、電源回路920とを備える。ここで、気体センサ1002のうち電流測定器930及び電源回路920を含む部分は、本開示の「測定回路」の一例である。
気体センサ1002のうち、気体センサ1001と異なる点について説明する。
電流測定器930は、複数の検出セルに流れる電流の総和を合成電流として監視する。電流測定器930は、例えば、合成電流と複数の閾値のそれぞれとを比較し、その結果を出力するコンパレータを含む。これらの閾値は、複数の検出セルのうちの何個が高抵抗状態から低抵抗状態に変化したかを判定するために設定されている。したがって、気体センサ1002は、水素含有ガスの導入開始から所定時間(例えば1秒)経過時における合成電流から、水素含有ガスを検知した検出セルの個数を特定でき、当該個数に応じて水素含有ガスの水素濃度を判定できる。
水素含有ガスの導入開始は、気体センサ1001、1002によって検知されてもよい。例えば、最も感度が高い検出セルが水素含有ガスを検知した時点が、水素含有ガスが導入され始めた時点として設定されてもよい。気体センサ1001、1002は、このように設定されることによって、例えば、水素含有ガスが意図的に導入されていない環境で利用されうる。
電源回路920は、複数の検出セルの第1の電極103と第2の電極106との間に所定の電圧を常時印加してもよい。これにより、気体センサ1000、2000を省電力で駆動しながら、水素含有ガス中の水素濃度の変化を短時間で検知することができる。
なお、ここでは、複数の検出セルを流れる電流値を測定する例について説明されたが、これは、「前記複数の検出セルのそれぞれの前記第1の電極及び前記第2の電極の間の抵抗値を測定する」の一例である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る気体センサについて説明する。第2の実施形態の説明のうち、参考形態及び/又は第1の実施形態と共通する事項については説明が省略される場合がある。
[1.気体センサの構成]
図12は、第2の実施形態に係る気体センサ2000の一構成例を示す断面図である。気体センサ2000は、複数の気体検出素子200を検出セルとして備える。複数の気体検出素子200のそれぞれは、例えば、参考形態で説明された気体検出素子200と同様の構造を有する。図12に示される気体センサ2000には、5個の気体検出素子200が配列されている。5個の気体検出素子200の局所領域105の径は、互いに異なっている。
なお、気体センサ2000に含まれる気体検出素子200の数は、5個に限定されない。また、気体センサ2000は、複数の気体検出素子200の代わりに、例えば、参考形態で説明された複数の気体検出素子100を備えてもよい。気体センサ2000の基板101及び絶縁膜102のそれぞれは、複数の気体検出素子200にわたって共通であってもよい。同様に、気体センサ2000の絶縁膜107は、複数の気体検出素子200における複数の第1の電極103、複数の抵抗膜204及び複数の第2の電極106を覆う共通の層であってもよい。
図12では、5個の気体検出素子200の局所領域105の径がすべて異なっているが、複数の気体検出素子200の局所領域105の径のうち少なくとも2つが異なる値であればよい。局所領域105の径の大小関係は、気体センサ2000の上面からEBAC解析をすることにより確認される。
[2.気体センサの製造方法]
気体センサ2000の製造方法として、基本的には、図2Aから図2Gを参照しながら説明された製造方法と同じ製造方法が用いられうる。ただし、気体センサ2000の製造方法では、局所領域105の径を気体検出素子200ごとに異ならせるために、気体検出素子200ごとに異なる初期ブレイク電圧が印加される。
図13は、初期ブレイク電圧と局所領域の径との関係の一例を示す。図13に示すように、初期ブレイク電圧値が大きいほど、局所領域105の径が大きくなる。
[3.検出感度と局所領域の径との関係]
水素含有ガスに対する気体検出素子の検出感度と、局所領域の径との関係について説明する。なお、以下では、説明の簡便のため、気体センサ1000を構成する検出セルのそれぞれが、図1Aに示される構造を有する場合、すなわち、各検出セルが単層の抵抗膜104を有する場合について説明される。なお、以下の説明は、気体センサ1000が図6に示される構造を有する場合、すなわち、各検出セルが積層体の抵抗膜204を有する場合についても同様に成り立つ。
参考形態で説明されたように、気体検出素子100の抵抗値は、水素原子が局所領域105内の酸素と結合することで減少する。したがって、気体検出素子の抵抗値の下がりやすさ(すなわち検出感度)は、水素原子と局所領域105内の酸素との結合のしやすさに依存する。
図14Aは、径がR1である局所領域105内の酸素欠陥110を模式的に示し、図14Bは、径がR2(>R1)である局所領域105内の酸素欠陥110の状態を模式的に示す。
水素原子は、局所領域105の断面(断面積A)を通過し、所定の領域(体積V)内に広がる。ここで、断面積Aは局所領域105の径Rの2乗に比例し、かつ、体積Vは局所領域105の径の3乗に比例すると仮定すると、局所領域105の体積あたりの断面積(A/V)は、局所領域105の径に反比例する。ここで、上記の式(1)によれば、局所領域105に到達する水素原子の数nは、局所領域105の断面積Aに比例する。したがって、単位体積あたりの水素原子の数(n/V)も、局所領域105の径に反比例する。すなわち、局所領域105の径が小さいほど、局所領域105内の水素原子の密度が高くなる。そして、酸素欠陥は水素と酸素との反応によって生成されるため、水素原子の密度が高いほど、酸素欠陥110の密度が高くなり、局所領域105の抵抗値が下がりやすくなる。言い換えると、局所領域105の径が小さいほど、水素含有ガスに対する検出感度が高くなる。
図13は、サンプル(i)〜(iv)に対して印加された初期ブレイク電圧と、それによって形成された局所領域105の径との関係を示している。サンプル(i)〜(iv)には、それぞれ、2.4V、2.6V、2.8V、3.0Vの初期ブレイク電圧が印加された。サンプル(i)〜(iv)の局所領域105の径は、それぞれ、13.0、13.8、14.2、16.0(a.u.)であった。
これらの例によれば、サンプル(ii)、(iii)及び(iv)の局所領域105の径は、それぞれ、サンプル(i)の局所領域105の径の、約1.06倍、約1.09倍、約1.23倍であった。従って、サンプル(ii)、(iii)及び(iv)の局所領域105の酸素欠陥110の密度は、それぞれ、サンプル(i)の局所領域105の酸素欠陥110の密度の、94%(=1/1.06)、92%(=1/1.09)、81%(=1/1.23)程度と見積もられる。したがって、サンプル(i)、(ii)、(iii)及び(iv)は、この順で検出感度が低くなると考えられる。
[4.水素濃度の判定]
気体センサ2000は、水素含有ガスの水素濃度を判定することができる。
具体的には、第1の実施形態で説明された気体センサ1001、1002において、気体センサ1000を気体センサ2000に置き換えることができる。気体センサ1001、1002の動作については、第1の実施形態で説明されたとおりである。
(実施形態の概要)
開示される1つの態様に係る気体センサは、気体検出感度が互いに異なる複数の気体検出素子を備え、前記複数の気体検出素子の各々は、主面同士が対向して配置された第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極の前記主面と前記第2の電極の前記主面とに接して配置された金属酸化物層と、前記第1の電極、前記第2の電極及び前記金属酸化物層を覆う絶縁膜と、を有し、前記第2の電極の前記主面に対向する他面の少なくとも一部は前記絶縁膜に覆われることなく露出しており、前記金属酸化物層の内部に、前記第2の電極と接しかつ前記金属酸化物層に比べて酸素不足度が大きい局所領域を有し、前記複数の気体検出素子の各々は、前記第2の電極が水素原子を有する気体分子を含む気体に接すると前記金属酸化物層の抵抗値が低下する特性を有するものである。
この構成によれば、第1の電極と第2の電極との間を流れる電流は酸素不足度が大きい局所領域に集中することになる。その結果、少ない電流で、前記局所領域の温度を上昇させることができる。これにより、金属酸化物層の内部に形成される局所領域での自己発熱と気体感応性とを利用して、ヒータで加熱することなく水素含有ガスを検出でき、省電力性に優れた気体センサが得られる。
また、前記複数の気体検出素子において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が互いに異なる検出感度で低下することをもって、前記気体に含まれる水素濃度範囲を判定することができる。
また、前記複数の気体検出素子の各々において、前記第2の電極は、前記水素原子を前記気体分子から解離させる触媒作用を有する材料で構成されていてもよい。
また、前記複数の前記気体検出素子の各々の当該気体検出素子において、前記局所領域が、前記第1の電極と前記第2の電極との間に流れる電流によって発熱することで、前記第2の電極の前記局所領域と接した部分において前記気体分子から水素原子が解離され、解離された水素原子が、前記金属酸化物層の前記局所領域内の酸素原子と結合することで、前記金属酸化物層の抵抗値が低下してもよい。
この構成によれば、水素原子を有する気体分子が第2の電極に接触すると、前記気体分子から水素原子が解離し、解離した水素原子は前記第2の電極中を拡散して前記局所領域にまで到達する。そして、前記局所領域に存在する金属酸化物の酸素と結合して水(HO)となることで、前記局所領域の酸素不足度がさらに増大する。これによって、局所領域は電流が流れやすくなり、第1の電極と第2の電極との間の抵抗が低下する。
水素原子を有する気体分子が第2の電極の表面近傍に存在しなくなると、局所領域にあるHOが、酸素が不足した金属酸化物と化学反応することで分解される。分解された水素原子は第2の電極中を拡散し、第2の電極表面に到達し、そこで水素分子となり、気体中に放出される。一方の酸素原子は、酸素が不足した金属酸化物と結合することで、局所領域の酸素不足度が減少する。これによって、局所領域は電流が流れにくくなり、第1の電極と第2の電極との間の抵抗が増大する。
また、前記複数の気体検出素子の前記第2の電極の厚みは、互いに異なっていてもよい。
この構成によれば、前記第2の電極の膜厚を気体検出素子ごとに不同に形成することによって、気体検出感度が互いに異なる前記複数の気体検出素子が構成される。
また、前記複数の気体検出素子の前記局所領域の径は、互いに異なっていてもよい。
この構成によれば、前記局所領域の径を気体検出素子ごとに不同に形成することによって、気体検出感度が互いに異なる前記複数の気体検出素子が構成される。
また、前記複数の気体検出素子の各々において、前記金属酸化物層は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加される電圧に基づいて高抵抗状態と前記高抵抗状態に比べて抵抗値が低い低抵抗状態とに可逆的に遷移してもよい。
この構成によれば、前記金属酸化物層をあらかじめ電気的に高抵抗状態に設定しておくことによって、前記金属酸化物層の抵抗値の低下をより明確に検出することが可能になるので、水素濃度範囲の判定をより確実に行うことができる。
また、前記複数の気体検出素子の各々において、前記金属酸化物層は、第1の金属酸化物で構成される第1の金属酸化物層と、前記第1の金属酸化物に比べて酸素不足度が小さい第2の金属酸化物で構成される第2の金属酸化物層とを積層してなり、前記第1の金属酸化物層は前記第1の電極に接し、前記第2の金属酸化物層は前記第2の電極に接しており、前記局所領域は、少なくとも前記第2の金属酸化物層を貫通して前記第2の電極と接して形成され、かつ前記第2の金属酸化物層に比べて酸素不足度が大きくてもよい。
また、前記複数の気体検出素子の各々において、前記第2の電極は、白金またはパラジウムで構成されていてもよい。
また、前記複数の前記気体検出素子の各々において、前記第1の金属酸化物及び前記第2の金属酸化物の各々は遷移金属酸化物又はアルミニウム酸化物であってもよい。
また、前記複数の前記気体検出素子の各々において、前記遷移金属酸化物は、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、またはジルコニウム酸化物のいずれかであってもよい。
これらの構成によれば、適した構造及び材料を採用することで、優れた抵抗変化特性と高い信頼性とを有する気体センサが得られる。
また、さらに、前記複数の気体検出素子の前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定の電圧が印加されたときに前記複数の気体検出素子に流れる電流を測定する測定回路を備えてもよい。
この構成によれば、前記測定回路によって測定した電流から前記複数の気体検出素子の抵抗状態を特定することにより、気体に含まれる水素濃度範囲を判定することができる。
また、さらに、前記複数の気体検出素子の前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定の電圧を常時印加する電源回路を備えてもよい。
この構成によれば、前記気体センサの優れた省電力性を活かしつつ、水素含有ガス中の水素濃度範囲を短時間で判定することができる。
本開示の一態様に係る水素濃度判定方法は、気体検出感度が各々異なる複数の気体検出
素子を用いた気体センサを水素含有ガスに暴露し、暴露開始から所定時間経過時に、前記複数の気体検出素子の抵抗値を測定することで前記水素含有ガスの水素濃度範囲を判定するものである。
この方法によれば、気体検出素子ごとに気体検出感度が異なることを利用して、前記所定時間経過時に抵抗値が低下している気体検出素子と抵抗値が低下していない気体検出素子とを特定することにより、前記気体に含まれる水素濃度範囲を判定することができる。
本開示の一態様に係る水素濃度判定方法は、気体検出感度が各々異なる複数の気体検出素子を用いた気体センサを水素含有ガスに暴露し、気体検出感度が最も高い気体検出素子の抵抗値が低下した時点から所定時間経過時に、前記複数の気体検出素子の抵抗値を測定することで前記水素含有ガスの水素濃度範囲を判定するものである。
この方法によれば、前記気体センサの水素含有ガスへの暴露が開始された時点が分からない場合であっても、気体検出感度が最も高い前記気体検出素子の抵抗値が低下した時点を基準にして、前記気体に含まれる水素濃度範囲を判定することができる。
本開示に係る気体センサは、特に水素含有ガスの水素濃度を判定するガス検知に有用である。
100、200 気体検出素子
101 基板
102 絶縁膜
103 第1の電極
104、204 抵抗膜
105 局所領域
106 第2の電極
107 絶縁膜
107a 開口
107b ビアホール
108 ビア
108’ 導体膜
109 配線
110 酸素欠陥
204a 第1の金属酸化物層
204b 第2の金属酸化物層
300、310、311、312、313、314 マスク
900 評価システム
910 密閉容器
911 水素ボンベ
912 窒素ボンベ
913、914 導入弁
915 排気弁
920 電源回路
930、931、932、933、934、935 電流測定器
1000、1001、1002、2000 気体センサ

Claims (19)

  1. 絶縁層に覆われた複数の検出セルを備え、
    前記複数の検出セルのそれぞれは、
    第1の電極と、
    前記絶縁層から露出した露出面を有する第2の電極と、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の間に配置され、バルク領域と、前記バルク領域に囲まれ、かつ、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する局所領域とを含む金属酸化物層とを備え、
    前記金属酸化物層の抵抗値は、水素原子を含有する気体が前記第2の電極に接したときに、所定の応答時間で低下し、
    前記所定の応答時間は、前記複数の検出セル毎に異なる、
    気体センサ。
  2. 前記第2の電極の膜厚は、前記複数の検出セル毎に異なる、
    請求項1に記載の気体センサ。
  3. 前記複数の検出セルのうち、最大の膜厚を有する前記第2の電極の前記膜厚は、最小の膜厚を有する前記第2の電極の前記膜厚の1.5倍以上である、
    請求項2に記載の気体センサ。
  4. 前記局所領域の径は、前記複数の検出セル毎に異なる、
    請求項1に記載の気体センサ。
  5. 前記複数の検出セルのそれぞれにおいて、前記局所領域は、前記第2の電極を挟んで前記露出面と対向する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の気体センサ。
  6. 前記複数の検出セルのそれぞれにおいて、前記金属酸化物層は、第1の電極に接し、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する第1の金属酸化物層と、第2の電極に接し、かつ、前記バルク領域を含む第2の金属酸化物層とを備え、
    前記複数の検出セルのそれぞれにおいて、前記局所領域は、前記第2の電極に接し、かつ、前記第2の金属酸化物層を貫通する、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の気体センサ。
  7. 前記複数の検出セルのそれぞれにおいて、前記第2の電極は、前記気体に含まれる分子から前記水素原子を解離させる、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の気体センサ。
  8. 前記複数の検出セルのそれぞれにおいて、前記第2の電極は、白金又はパラジウムを含有する、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の気体センサ。
  9. 前記複数の検出セルのそれぞれにおいて、前記金属酸化物層の抵抗値は、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に印加される電圧に基づいて、可逆的に遷移する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の気体センサ。
  10. 前記複数の検出セルのそれぞれの前記第1の電極及び前記第2の電極の間の抵抗値を測定する測定回路をさらに備える、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の気体センサ。
  11. 前記複数の検出セルのそれぞれにおいて測定された前記抵抗値に基づいて、前記気体における水素濃度を判定する判定回路をさらに備える、
    請求項10に記載の気体センサ。
  12. 前記複数の検出セルのそれぞれの前記第1の電極及び前記第2の電極の間に電圧を印加する電源回路をさらに備える、
    請求項1から11のいずれか一項に記載の気体センサ。
  13. 前記電源回路は、前記複数の検出セルのそれぞれの前記第1の電極及び前記第2の電極の間に前記電圧を常時印加する、
    請求項12に記載の気体センサ。
  14. 前記電源回路は、前記電圧の印加によって前記局所領域を発熱させる、
    請求項12又は13に記載の気体センサ。
  15. 前記複数の検出セルのそれぞれにおいて、前記金属酸化物層は、遷移金属酸化物及びアルミニウム酸化物の少なくとも一方を含有する、
    請求項1から14のいずれか一項に記載の気体センサ。
  16. 前記遷移金属酸化物は、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、又はジルコニウム酸化物である、
    請求項15に記載の気体センサ。
  17. 水素含有ガスに対する抵抗変化の応答時間が異なる複数の検出セルを備える気体センサを用いた水素濃度判定方法であって、
    前記気体センサが水素原子を含有する気体に暴露された時点から所定時間経過したときに、前記複数の検出セルの複数の抵抗値を測定するステップと、
    前記複数の抵抗値の情報から前記水素濃度を判定するステップとを含む、
    水素濃度判定方法。
  18. 前記複数の検出セルのそれぞれは、絶縁層に覆われ、
    第1の電極と、
    前記絶縁層から露出した露出面を有する第2の電極と、
    前記第1の電極及び前記第2の電極の間に配置され、バルク領域と、前記バルク領域に囲まれ、かつ、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する局所領域とを含む金属酸化物層とを備え、
    前記金属酸化物層の抵抗値は、前記水素原子を含有する前記気体が前記第2の電極に接したときに、所定の応答時間で低下し、
    前記所定の応答時間は、前記複数の検出セル毎に異なる、
    請求項17に記載の水素濃度判定方法。
  19. 前記複数の抵抗値の少なくとも1つの低下を検知することによって、前記気体センサが前記気体に暴露されたことを検知するステップをさらに含む、
    請求項17又は18に記載の水素濃度判定方法。
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