JP6761764B2 - 水素センサ及び燃料電池自動車、並びに水素検出方法 - Google Patents

水素センサ及び燃料電池自動車、並びに水素検出方法 Download PDF

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Description

本開示は、水素センサ及び燃料電池自動車、並びに水素検出方法に関する。
特許文献1には、従来の水素センサが開示されている。この水素センサは、基板と、Pt蒸着膜と、SnO焼結体と、SiO膜と、ヒータとを備える。SiO膜は、水素分子を選択的に通過させる。
特公昭61−31422号公報
B. Majkusiak, J. Walczak "THEORETICAL LIMIT FOR THE SiO2 THICKNESS IN SILICON MOS DEVICES", Science and Technology of Semiconductor-On-Insulator Structures and Devices Operating in a Harsh Environment, Volume 185 of the series NATO Science Series II: Mathematics, Physics and Chemistry pp 309-320.
本開示は、省電力性に優れた水素センサを提供する。
本開示の一態様に係る水素センサは、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、かつ、バルク領域及び局所領域を含む金属酸化物層と、前記第1の電極、前記第2の電極、及び前記金属酸化物層を覆い、かつ、前記第2の電極に達する開口を有する第1の絶縁膜と、前記開口内で前記第2の電極に接する第2の絶縁膜とを備える。
本開示によれば省電力性に優れた水素センサが提供されうる。
図1Aは、第1の実施形態に係る水素センサの構成例を示す断面図である。 図1Bは、第1の実施形態に係る水素センサの構成例を示す上面図である。 図2Aは、DG SOI(Double Gate−Silicon On Insulator)の構造を示す断面図である。 図2Bは、電子の存在確率とシリコン酸化膜厚との関係を示すグラフである。 図2Cは、シリコン酸化膜を1秒間に透過する水素分子数とシリコン酸化膜の膜厚との関係を示すグラフである。 図3Aは、第1の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図3Bは、第1の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図3Cは、第1の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図3Dは、第1の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図3Eは、第1の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図3Fは、第1の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図3Gは、第1の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図4は、第1の実施形態に係る水素センサの抵抗状態の遷移の一例を示す図である。 図5は、第1の実施形態の変形例に係る水素センサの構造を示す断面図である。 図6Aは、第1の実施形態の変形例に係る水素センサの評価システムを示す図である。 図6Bは、第1の実施形態の変形例に係る水素センサの評価結果を示す図である。 図6Cは、第1の実施形態の変形例に係る水素センサの評価結果を示す図である。 図7Aは、第2の実施形態に係る水素センサの構成例を示す断面図である。 図7Bは、第2の実施形態に係る水素センサの構成例を示す上面図である。 図8Aは、第2の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図8Bは、第2の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図8Cは、第2の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図8Dは、第2の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図8Eは、第2の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図8Fは、第2の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図8Gは、第2の実施形態に係る水素センサの製造方法の一例を示す断面図である。 図9は、第2の実施形態の変形例1に係る水素センサの構造を示す断面図である。 図10は、第3の実施形態に係る燃料電池自動車の構成例を示す模式図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、図面において、実質的に同一の構成、動作、および効果を表す要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。また、以下において記述される数値、材料、組成、形状、成膜方法などは、すべて本開示の実施形態を具体的に説明するために例示するものであり、本開示はこれらに限定されない。以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
本開示において、用語「第1の」及び「第2の」は、時間的又は空間的な順番を記述するためではなく、類似の構成要素を区別するために使用されている。「第1の」及び「第2の」は、適宜交換可能である。
(第1の実施形態)
[水素センサの構成]
第1の実施形態に係る水素センサは、抵抗膜(金属酸化物層)と金属膜とが積層されてなる金属−絶縁膜−金属(MIM)構造の気体センサにおいて、検査対象の気体に向かって配置される金属上に絶縁膜を設けた水素センサである。当該水素センサは、抵抗膜内に形成される局所領域での自己発熱と気体感応性とを利用することにより、ヒータで加熱することなく低い消費電力で、絶縁膜を通過した可燃性ガスに含まれる水素ガスを検出することができる。ここで、可燃性ガスとは、一例として、水素、一酸化炭素、メタン、アルコールなどを含むガスである。絶縁膜を、水素ガスを選択的に通過させる材料で構成することにより、当該水素センサは、可燃性ガスの中から水素ガスを選択的に検出することができる。
図1Aは、第1の実施形態に係る水素センサ100の一構成例を示す断面図である。
図1Bは、第1の実施形態に係る水素センサ100の一構成例を示す上面図である。図1Aの断面は、図1Bの1A−1Aの切断線において矢印方向に見た断面に対応する。
水素センサ100は、基板101、絶縁膜102、第1の電極103、抵抗膜104、局所領域105、第2の電極106、絶縁膜107、ビア108、配線109、及び絶縁膜110、を備えている。ここで、抵抗膜104は「金属酸化物層」の一例であり、絶縁膜107は「第1の絶縁膜」の一例であり、絶縁膜110は「第2の絶縁膜」の一例である。
絶縁膜102は、基板101上に形成され、第1の電極103は、絶縁膜102上に配置されている。絶縁膜107は、第2の電極106上に配置され、絶縁膜110は、第2の電極106及び絶縁膜107上に配置されている。
第1の電極103と第2の電極106とは、絶縁膜102の上方において主面同士を対向して配置されている。抵抗膜104は、第1の電極103の主面と第2の電極106の主面とに接して配置されている。
絶縁膜107には、検査対象である気体に含まれる水素ガスが、絶縁膜110を通過して第2の電極106に到達するための開口107aが設けられている。言い換えると、絶縁膜107は、第2の電極106と絶縁膜110とが接している接続領域Aを除いて、第1の電極103、第2の電極106、及び抵抗膜104を覆っている。絶縁膜110の上面(つまり、第2の電極106と接している主面に対向する他面)は、少なくとも接続領域Aに対向する部分において露出している。
抵抗膜104は、第1の電極103と第2の電極106との間に介在し、第1の電極103と第2の電極106との間に与えられた電気的信号に基づいて抵抗値が変化する層である。具体的に、抵抗膜104は、第1の電極103と第2の電極106との間に与えられた電圧(電位差)に応じて高抵抗状態と低抵抗状態とを可逆的に遷移する。水素センサ100は、絶縁膜110を通過して第2の電極106に到達した水素ガスに応じて高抵抗状態から低抵抗状態へ遷移する。
局所領域105は、抵抗膜104と同一の金属酸化物で構成されており、抵抗膜104の内部に、第2の電極106と接して配置され、第1の電極103に接していない。局所領域105の酸素不足度は、その周囲(すなわち抵抗膜104のバルク領域)の酸素不足度よりも大きい。局所領域105の酸素不足度は、第1の電極103と第2の電極106との間に与えられる電気的信号に応じて可逆的に変化する。また、局所領域105は、絶縁膜110を通過して第2の電極106に到達した水素ガスに応じて、酸素不足度が小さい状態から酸素不足度が大きい状態へ変化する。
局所領域105は、酸素欠陥サイトから構成されるフィラメント(導電パス)がその内部で発生し消失すると考えられる微小な領域である。抵抗膜104における抵抗変化は、局所領域105中で酸化還元反応が起こってフィラメントが発生又は消失することによって、生じると考えられる。
絶縁膜107は、第2の電極106の上面を覆っている部分において、ビア108が絶縁膜107を貫通して第2の電極106に接続されている。ビア108の上に配線109が配置されている。
絶縁膜110は、水素ガスを選択的に通過させる機能を有しており、この機能は絶縁膜110の膜厚に依存する。水素ガスを選択的に通過させるとは、水素ガスを通過させ、水素ガス以外のガスを通過させにくくすることを意味する。
例えば、絶縁膜110がシリコン酸化膜である場合、その膜厚が薄すぎると、第2の電極106中の電子がシリコン酸化膜を透過して染み出す。そして、染み出した電子は、外部から来た分子と相互作用して、分子の吸着、または分子から水素原子の解離等を引き起こす可能性がある。
水素ガス以外のガスを通過させない下限の厚さは、例えば、非特許文献1の開示に基づいて、0.5nmと計算される。
図2Aは、非特許文献1に記載の、DG−SOI(Double Gate−Silicon On Insulator)構造を有する構造体700の断面図である。構造体700では、シリコン基板701の両上下主面に、シリコン酸化膜702、703、ポリシリコン膜704、705が堆積されている。計算のために、シリコン基板701の厚さtsおよびポリシリコン膜の厚さtgをいずれも5nmとし、シリコン酸化膜702、703の厚さtoxを制御する。
図2Bは、構造体700において、シリコン酸化膜702、703の厚さtoxを変えて、シリコン基板701中の電子の存在確率(Ps1〜Ps4)を計算した結果を示している。Ps1〜Ps4は、図2Aに示したDG−SOI構造におけるシリコン基板701内の電子のエネルギー準位に対応している。図2Bは、各エネルギー準位における電子の存在確率を示す。toxが0.5nm以下であると、シリコン基板701中の電子の存在確率が1より顕著に小さくなる。これは、シリコン基板701中の電子がシリコン酸化膜702、703を通り抜けてポリシリコン膜704、705に漏れ出ていることを意味している。toxが0.5nm以上であれば、シリコン基板701中の電子の存在確率がほぼ1となる。これは、シリコン基板701中の電子がシリコン酸化膜702、703を通り抜けることができずポリシリコン膜704、705に漏れ出ないことを意味している。
当該計算結果から、電子は、膜厚toxが0.5nm以上のシリコン酸化膜を、実質的に通り抜けることができない。従って、第2の電極106上に厚さ0.5nm以上のシリコン酸化膜を堆積することで、第2の電極106中の電子が外部に存在する分子と相互作用することを防止できる。その結果、第2の電極106表面に外部のガスが吸着することはなく、また触媒作用を有する第2の電極106で水素原子を有する分子から水素原子が解離されることもない。
シリコン酸化膜が厚すぎると、シリコン酸化膜を通過して第2の電極106に達した水素分子によって抵抗膜104が抵抗変化を起こすまでの時間がかかるようになる。そのため、所望の応答時間を実現するためには、シリコン酸化膜の厚さに上限がある。例えば、燃料電池車に用いられる水素センサに求められ応答時間は、1秒以内である。
水素センサ100において、抵抗膜104を高抵抗状態から低抵抗状態に遷移させるために要する水素分子の個数は、水素センサ100の材料及び寸法に依存する。本発明者らが検討した水素センサの一具体例では、当該個数は2200個である。つまり、当該水素センサには、1秒以内に少なくとも2200個の水素分子がシリコン酸化膜を通過し、第2の電極106へ到達することが求められる。
シリコン酸化膜表面に水素分子密度Nの水素ガスが存在し、t秒間にシリコン酸化膜を透過する水素分子数をnとすると、nは次式で与えられる。
Figure 0006761764
図2Cは、式1を基に、水素分子密度Nが0.1%の場合に、シリコン酸化膜を1秒間に透過する水素分子数とシリコン酸化膜の膜厚との関係を計算した結果を示すグラフである。破線は、抵抗膜104の抵抗変化に必要な水素分子数の一例である2200を表している。図2Cから分かるように、シリコン酸化膜厚が8.5nm以下であれば、抵抗変化に必要な2200個の水素分子が1秒以内に第2の電極106表面に到達する。
以下では、水素センサ100の原理的な抵抗変化動作について説明する。
本開示において、金属酸化物の「酸素不足度」とは、当該金属酸化物と同じ元素から構成される化学量論的組成の酸化物における酸素の量に対する、当該金属酸化物における酸素の不足量の割合をいう(ここで、酸素の不足量とは、化学量論的組成の金属酸化物における酸素の量から当該金属酸化物における酸素の量を引いた値である)。もし、当該金属酸化物と同じ元素から構成される化学量論的組成の金属酸化物が複数存在しうる場合、当該金属酸化物の酸素不足度は、それらの化学量論的組成の金属酸化物のうち最も高い抵抗値を有する1つに基づいて定義される。化学量論的組成の金属酸化物は、他の組成の金属酸化物と比べて、より安定でありかつより高い抵抗値を有している。
例えば、金属がタンタル(Ta)の場合、上述の定義による化学量論的組成の酸化物はTaであるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%であり、TaO1.5の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。また、酸素過剰の金属酸化物は、酸素不足度が負の値となる。なお、本開示では、特に断りのない限り、酸素不足度は、正の値、0、負の値をとり得る。
酸素不足度の小さい酸化物は化学量論的組成の酸化物により近いため抵抗値が高く、酸素不足度の大きい酸化物は酸化物を構成する金属により近いため抵抗値が低い。
「酸素含有率」とは、総原子数に占める酸素原子の比率である。例えば、Taの酸素含有率は、総原子数に占める酸素原子の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。従って、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。
局所領域105は、第1の電極103と第2の電極106との間に初期ブレイク電圧を印加することによって、抵抗膜104内に形成される。言い換えると、初期ブレイク電圧とは、局所領域105を形成するために、第1の電極103と第2の電極106との間に印加される電圧である。初期ブレイク電圧は、書き込み電圧より絶対値が大きい電圧であってもよい。書き込み電圧とは、抵抗膜104を高抵抗状態と低抵抗状態との間で可逆的に遷移させるために、第1の電極103と第2の電極106との間に印加される電圧である。初期ブレイク電圧は、書き込み電圧より絶対値が小さい電圧であってもよい。この場合は、初期ブレイク電圧を繰り返し印加するか、または所定時間連続して印加してもよい。初期ブレイク電圧の印加により、図1Aに示すように、第2の電極106と接し、第1の電極103と接していない局所領域105が形成される。
局所領域105は、酸素欠陥サイトから構成されるフィラメント(導電パス)を含むと考えられる。局所領域105の大きさは、電流を流すために必要なフィラメントに見合う微小な大きさである。局所領域105におけるフィラメントの形成は、パーコレーションモデルを用いて説明される。
パーコレーションモデルとは、局所領域105中での酸素欠陥サイトのランダムな分布を仮定し、酸素欠陥サイトの密度がある閾値を越えると酸素欠陥サイトのつながりが形成される確率が増加するという理論に基づくモデルである。
パーコレーションモデルによれば、フィラメントは、局所領域105中の複数の酸素欠陥サイトがつながることにより形成される。抵抗膜104における抵抗変化は、局所領域105における酸素欠陥サイトの発生及び消失を通じて発現する。
ここで、「酸素欠陥」とは、金属酸化物中で酸素が化学量論的組成から欠損していることを意味する。「酸素欠陥サイトの密度」は、酸素不足度とも対応している。つまり、酸素不足度が大きくなると、酸素欠陥サイトの密度も大きくなる。
局所領域105は、水素センサ100の抵抗膜104に1ケ所のみ形成されてもよい。抵抗膜104に形成されている局所領域105の数は、例えば、EBAC(Electron Beam Absorbed Current)解析によって確認することができる。
抵抗膜104内に局所領域105が存在する場合、第1の電極103と第2の電極106との間に電圧を印加した際、抵抗膜104内の電流は局所領域105に集中的に流れる。
局所領域105のサイズは小さい。そのため、局所領域105は、例えば、抵抗値を読み出す時に流れる数十μA程度の電流によって発熱し、この発熱がかなりの温度上昇を引き起こす。数十μA程度の電流が流れるとき、その消費電力は0.1mW未満である。
第2の電極106は、触媒作用のある金属(例えばPt)で構成され、局所領域105は第2の電極106に接する。これらの構成によれば、局所領域105における発熱によって第2の電極106が加熱され、水素ガスから水素原子が効率よく解離する。
検査対象である気体中に水素ガスがあるとき、第2の電極106において、水素ガスから水素原子が解離され、解離された水素原子は局所領域105内の酸素原子と結合し、その結果、局所領域105の抵抗値が低下する。
このようにして、水素センサ100は、第2の電極106が水素ガスに接触すると第1の電極103と第2の電極106との間の抵抗値が低下する特性を有する。当該特性により、検査対象である気体が第2の電極106に接触したとき、第1の電極103と第2の電極106との間の抵抗値の低下を検出することによって、気体に含まれる水素ガスを検出することができる。
なお、局所領域105が高抵抗状態及び低抵抗状態の何れの状態であっても、水素ガスが第2の電極106に接触したときに、抵抗値のさらなる低下が生じる。そのため、水素センサ100は、局所領域105が高抵抗状態及び低抵抗状態の何れの状態にあっても、水素ガスを検出できる。ただし、抵抗値の低下をより明確に検出できるように、局所領域105をあらかじめ電気的に高抵抗状態に設定した水素センサ100を用いてもよい。
以下では、安定的な抵抗変化特性を得るための水素センサ100の細部について説明する。
抵抗膜104は、酸素不足型の金属酸化物から構成される。当該金属酸化物の母体金属は、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)等の遷移金属と、アルミニウム(Al)とから少なくとも1つ選択されてもよい。遷移金属は複数の酸化状態をとることができるため、異なる抵抗状態を酸化還元反応により実現することが可能である。
ここで、酸素不足型の金属酸化物とは、同一の金属元素を含有する化学量論的組成の金属酸化物に比べて、酸素不足度が大きい金属酸化物である。化学量論的組成の金属酸化物が典型的に絶縁体であるのに対し、酸素不足型の金属酸化物は典型的に半導体的な特性を有する。酸素不足型の金属酸化物を抵抗膜104に用いることで、水素センサ100は、再現性がよくかつ安定した抵抗変化動作を実現できる。
例えば、抵抗膜104を構成する金属酸化物としてハフニウム酸化物を用いる場合、その組成をHfOと表記した場合にxが1.6以上であるとき、抵抗膜104の抵抗値を安定して変化させることができる。この場合、ハフニウム酸化物の膜厚は、3〜4nmとしてもよい。
また、抵抗膜104を構成する金属酸化物としてジルコニウム酸化物を用いる場合、その組成をZrOと表記した場合にxが1.4以上であるとき、抵抗膜104の抵抗値を安定して変化させることができる。この場合、ジルコニウム酸化物の膜厚は、1〜5nmとしてもよい。
また、抵抗膜104を構成する金属酸化物としてタンタル酸化物を用いる場合、組成をTaOと表記した場合にxが2.1以上であるとき、抵抗膜104の抵抗値を安定して変化させることができる。
以上の各金属酸化物層の組成についてはラザフォード後方散乱法を用いて測定できる。
第1の電極103および第2の電極106の材料としては、例えば、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、W(タングステン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)、TaN(窒化タンタル)およびTiAlN(窒化チタンアルミニウム)などから選択される。
具体的に、第2の電極106は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)など、水素原子を含有する気体分子から水素原子を解離する触媒作用を有する材料で構成する。また、第1の電極103は、例えば、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)など、金属酸化物を構成する金属と比べて標準電極電位が、より低い材料で構成してもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。
また、基板101としては、例えば、シリコン単結晶基板または半導体基板を用いることができるが、これらに限定されない。抵抗膜104は比較的低い基板温度で形成することが可能であるため、例えば、樹脂材料などの上に抵抗膜104を形成することもできる。
また、水素センサ100は、抵抗膜104に電気的に接続された負荷素子として、例えば固定抵抗、トランジスタ、またはダイオードをさらに備えてもよい。
水素センサ100は、第1の電極103と第2の電極106との間に所定の電圧が印加されたときに抵抗膜104に流れる電流を測定する測定回路を備えてもよい。水素センサ100は、第1の電極103と第2の電極106との間に所定の電圧を常時印加する電源回路を備えてもよい。このような構成によれば、測定回路や電源回路を備えるモジュール部品として、利便性が高い水素センサが得られる。
[水素センサの製造方法と動作]
次に、図3A〜図3Gを参照しながら、水素センサ100の製造方法の一例について説明する。
まず、図3Aに示すように、例えば単結晶シリコンである基板101上に、厚さ200nmの絶縁膜102を熱酸化法により形成する。そして、第1の電極103として例えば厚さ100nmのPt薄膜を、スパッタリング法により絶縁膜102上に形成する。なお、第1の電極103と絶縁膜102との間にTi、TiNなどの密着層をスパッタリング法により形成することもできる。その後、第1の電極103上に、抵抗膜104となる酸素不足型の金属酸化物層を、例えばTaターゲットを用いた反応性スパッタリング法で形成する。以上により抵抗膜104が形成される。
ここで、抵抗膜104の膜厚は、初期抵抗値を適切に低くくし、かつ、安定した抵抗変化特性を確保するために、例えば、1nm以上8nm以下程度であってもよい。
次に、抵抗膜104上に、第2の電極106として例えば厚さ150nmのPt薄膜をスパッタリング法により形成する。
次に、図3Bに示すように、フォトリソグラフィー工程によって、フォトレジストによるマスク111を形成する。その後、図3Cに示すように、マスク111を用いたドライエッチングによって、第1の電極103、抵抗膜104、及び第2の電極106を素子の形状に形成する。
その後、図3Dに示すように、絶縁膜102、第1の電極103、抵抗膜104、及び第2の電極106を覆うように絶縁膜107を形成する。そして、エッチングによって、絶縁膜107に第2の電極106の上面の一部に到達するビアホール107bを設ける。
次に、図3Eに示すように、絶縁膜107の上面及びビアホール107bの内部を充填するように導体膜108’を形成する。その後、図3Fに示すように、CMP(Chemical Mechanical Planarization)によって絶縁膜107上の導体膜108’を除去してビアホール107b内にビア108を形成する。さらに新たな導体膜を絶縁膜107上に配置してパターニングすることによって、ビア108と接続する配線109を形成する。
次に、図3Gに示すように、エッチングによって、絶縁膜107に第2の電極106の上面の一部が露出する開口107aを設け、その後、絶縁膜110を、厚さが0.5nmから8.5nmの間になるように堆積する。
その後、第1の電極103と第2の電極106との間に初期ブレイク電圧を印加することにより、抵抗膜104内に図1Aに示す局所領域105を形成する。以上の工程により、水素センサ100が完成する。
ここで、水素センサ100の電圧印加による抵抗変化特性の一例について、サンプル素子による実測結果を説明する。なお、水素センサ100の水素ガスによる抵抗変化特性については、後述する。
図4は、サンプル素子で実測された抵抗変化特性を示すグラフである。
図4の測定結果が得られたサンプル素子である水素センサ100は、第1の電極103および第2の電極106並びに抵抗膜104の大きさを0.5μm×0.5μm(面積0.25μm)としたものである。また、抵抗膜104としてのタンタル酸化物の組成をTaOと表記したとき、y=2.47としている。さらに、抵抗膜104の厚みを5nmとしている。このような水素センサ100に対して、第1の電極103と第2の電極106との間に読み出し用電圧(例えば0.4V)を印加した場合、初期抵抗値RIは約10〜10Ωである。
図4に示されるように、水素センサ100の抵抗値が初期抵抗値RI(高抵抗状態における抵抗値HRより高い値)である場合、初期ブレイク電圧を第1の電極103と第2の電極106との間に印加することにより、抵抗状態が変化する。その後、水素センサ100の第1の電極103と第2の電極106との間に、書き込み用電圧として、例えばパルス幅が100nsでかつ極性が異なる2種類の電圧パルス(正電圧パルスと負電圧パルス)を交互に印加すると、図4に示すように抵抗膜104の抵抗値が変化する。
すなわち、書き込み用電圧として正電圧パルス(パルス幅100ns)を電極間に印加した場合、抵抗膜104の抵抗値が低抵抗値LRから高抵抗値HRへ増加する。他方、書き込み用電圧として負電圧パルス(パルス幅100ns)を電極間に印加した場合、抵抗膜104の抵抗値が高抵抗値HRから低抵抗値LRへ減少する。なお、電圧パルスの極性は、第1の電極103の電位を基準として第2の電極106の電位が高い場合が“正”であり、第1の電極103の電位を基準として第2の電極106の電位が低い場合が“負”である。
水素ガスの監視を開始する前に、第1の電極103と第2の電極106との間に正の電圧パルスを印加する。これにより、高抵抗状態(HR)に設定された水素センサ100を用いて水素ガスを検出できる。この場合、低抵抗状態(LR)の水素センサ100を用いて水素ガスを検出する場合と比べて、抵抗値の低下をより明確に検出でき、水素ガスの検出特性が向上する。
(変形例)
図5は、第1の実施形態の変形例に係る水素センサの一構成例を示す断面図である。以下、第1の実施形態の水素センサ100と異なる点についてのみ説明する。
本変形例の水素センサ200は、抵抗膜204が、第1の電極103に接する第1の金属酸化物層204aと第2の電極106に接する第2の金属酸化物層204bとを含む点で、第1の実施形態の水素センサ100と異なる。なお、抵抗膜204は、2層に限らず3層以上の積層体であってもよい。
第1の金属酸化物層204a及び第2の金属酸化物層204b内には、電気的パルスの印加及び水素ガスに応じて酸素不足度が可逆的に変化する局所領域105を備えている。局所領域105は、少なくとも第2の金属酸化物層204bを貫通して第2の電極106と接して形成される。
言い換えると、抵抗膜204は、少なくとも第1の金属酸化物を含む第1の金属酸化物層204aと、第2の金属酸化物を含む第2の金属酸化物層204bとの積層構造を含む。そして、第1の金属酸化物層204aは、第1の電極103と第2の金属酸化物層204bとの間に配置され、第2の金属酸化物層204bは、第1の金属酸化物層204aと第2の電極106との間に配置されている。
第2の金属酸化物層204bの厚みは、第1の金属酸化物層204aの厚みより薄くてもよい。この場合、局所領域105が第1の電極103と接しない構造を容易に形成できる。第2の金属酸化物層204bの酸素不足度は、第1の金属酸化物層204aの酸素不足度より小さくてもよい。この場合、第2の金属酸化物層204bの抵抗値は、第1の金属酸化物層204aの抵抗値より高いため、抵抗膜204に印加された電圧の多くは第2の金属酸化物層204bに印加される。この構成は、例えば、初期ブレイク電圧を第2の金属酸化物層204bに集中させ、局所領域105の形成に必要な初期ブレイク電圧を低減するために役立つ。
また、本開示において、第1の金属酸化物層204aと第2の金属酸化物層204bを構成する金属が同一である場合に、「酸素不足度」に代えて「酸素含有率」という用語を用いることがある。「酸素含有率が高い」とは、「酸素不足度が小さい」ことに対応し、「酸素含有率が低い」とは「酸素不足度が大きい」ことに対応する。
ただし、後述するように、本実施形態に係る抵抗膜204は、第1の金属酸化物層204aと第2の金属酸化物層204bとを構成する金属は同一である場合に限定されるものではなく、異なる金属であってもよい。すなわち、第1の金属酸化物層204aと第2の金属酸化物層204bとは異なる金属の酸化物であってもよい。
第1の金属酸化物層204aを構成する第1の金属と、第2の金属酸化物層204bを構成する第2の金属とが同一である場合、酸素含有率は酸素不足度と対応関係にある。すなわち、第2の金属酸化物の酸素含有率が第1の金属酸化物の酸素含有率より大きいとき、第2の金属酸化物の酸素不足度は第1の金属酸化物の酸素不足度より小さい。
抵抗膜204は、第1の金属酸化物層204aと第2の金属酸化物層204bとの界面近傍に、局所領域105を備える。局所領域105の酸素不足度は、第2の金属酸化物層204bの酸素不足度より大きく、第1の金属酸化物層204aの酸素不足度と異なる。
局所領域105は、第1の電極103と第2の電極106との間に初期ブレイク電圧を印加することによって、抵抗膜204内に形成される。初期ブレイク電圧により、第2の電極106と接し、第2の金属酸化物層204bを貫通して第1の金属酸化物層204aに一部が侵入し、第1の電極103と接していない局所領域105が形成される。
このように構成された水素センサ200の水素ガスによる抵抗変化特性の一評価例について説明する。
図6Aは、水素センサ200の評価に用いた評価システムの一例を示すブロック図である。図6Aに示す評価システム900は、水素センサ200を格納する密閉容器910、電源920、及び電流測定器930を備える。密閉容器910は、導入弁913、914を介して、それぞれ水素ボンベ911、窒素ボンベ912に接続されるとともに、排気弁915を介して内部のガスを排出可能に構成されている。
図6Bは、水素センサ200の一評価例を示すグラフである。横軸は時間(sec)を表わし、縦軸は第1の電極103と第2の電極106間を流れる電流値(a.u.)を表わしている。実験では、まず、水素センサ200が置かれている密閉容器910内に窒素ガスを導入し、その後、水素ガスを導入した。図6Bは、このときの結果を示しており、横軸に、窒素導入、水素導入を行った2期間を示している。導入ガスを窒素ガスから水素ガスに切り替えてから、電流値が増加し始め、水素導入から1sec以内に電流が飽和した(図6Bでは、横軸の時間をa.u.で記載)。
本評価例においては、第1の電極103と第2の電極106との間に所定の電圧(電位差)が印加されており、これにより、局所領域105が高抵抗状態に予め設定されていた。水素ガスの監視動作では、第1の電極103と第2の電極106との間に0.6Vの検知電圧を印加した。水素ガスが検出された状態で、第1の電極103と第2の電極106との間には10〜20μAの電流が流れた。従って、水素センサ200によれば、高々0.006〜0.012mWの非常に小さい消費電力で、水素ガスを監視できることが分かる。
なお、第1の電極103と第2の電極106との間に0.4Vの検知電圧を印加した場合、水素ガスによる抵抗変化が起こらず、水素ガスを検出できなかった。これは、0.4Vの検知電圧の印加では局所領域105での発熱量が不足し、第2の電極106の触媒作用が十分に促進されなかったためと考えられる。水素ガスを検出可能とするには、例えば、0.6Vの検知電圧の印加が必要であったと考えられる。
また、図6Cは、水素センサ200の一評価例を示すグラフである。横軸は時間(sec)を表わし、縦軸は第1の電極103と第2の電極106間を流れる電流値(a.u.)を表わしている。実験では、まず、水素センサ200が置かれている密閉容器910内に窒素ガスを導入し、その後、アルコールガスを導入した。
図6Cは、このときの結果を示しており、横軸に、窒素導入、アルコール導入を行った2期間を示している。導入ガスを窒素ガスからアルコールに切り替えても電流が流れないことが分かる。
本評価例においては、第1の電極103と第2の電極106との間に所定の電圧(電位差)が印加されており、これにより、局所領域105が高抵抗状態に予め設定されていた。水素ガスの監視動作では、第1の電極103と第2の電極106との間に0.6Vの検知電圧を印加したが、アルコールに対しては反応することはなかった。
この結果から、発明者は、水素センサ200での水素ガスの検出メカニズム、及びアルコールと反応しないメカニズムを以下のように推測する。
水素センサ200において、水素導入から1sec以内に電流値が飽和していることから、抵抗膜104を抵抗変化させるために必要な個数の水素分子は、絶縁膜110を1sec以内に通過していると考えられる。他方、アルコールガスに対して、水素センサ200は無反応であるので、アルコール分子は絶縁膜110を通過せずに第2の電極106と接していないと考えられる。従って、絶縁膜110は水素ガスを容易に通過させ、水素以外のガスを通過させにくい選択性を有する絶縁膜である。
絶縁膜110を通過した水素ガスが第2の電極106に接すると、第2の電極106の触媒作用により、水素ガスから水素原子が解離する。解離された水素原子は、平衡状態を保とうとして、第2の電極106中を拡散して、局所領域105にまで到達する。
この水素原子によって、微小な局所領域105中で還元反応が発生し、局所領域105中の酸素不足度が増加する。その結果、局所領域105中のフィラメントが繋がりやすくなり、局所領域105の抵抗値が減少する。この結果、第1の電極103と第2の電極106との間を流れる電流が増加すると考えられる。
なお、上述の動作は、水素センサ200に限られず、要部の構造が水素センサ200と実質的に等しい水素センサ100や後述する他の水素センサでも生じると考えられる。
以上の説明のように、本実施形態に係る水素センサ100、200によれば、絶縁膜110が水素ガスを選択的に透過することで、水素ガスを選択的に検出する水素センサが得られる。また、抵抗状態を検知するための電流だけで発熱し、別途のヒータで加熱することなく水素ガスを検出できる、省電力性に優れた水素センサが得られる。
[補足]
図1Aにおいて、水素センサ100は、第1の電極103と、金属酸化物層104と、第2の電極106と、第1の絶縁膜107と、第2の絶縁膜110とを備える。
金属酸化物層104は、局所領域105を含む。金属酸化物層104のうち、局所領域105を囲む領域はバルク領域と呼ばれうる。ここで、「局所領域105を囲む」とは、局所領域105の外周面を全て囲むことに限定されない。局所領域105の酸素不足度は、バルク領域の酸素不足度よりも大きい。
第1の絶縁膜107は、第1の電極103、金属酸化物層104、及び第2の電極106を覆っている。第1の絶縁膜107は、第2の電極106に達する開口107aを有する。
第2の絶縁膜110は、第1の絶縁膜107と、開口107内の第2の電極106とを覆う。第2の絶縁膜110は、第1の絶縁膜107の上面と、開口107の内周面と、第2の電極106の上面の一部と接する。第2の絶縁膜110の膜厚は、第1の絶縁膜107の膜厚よりも薄い。第2の絶縁膜110は、平面状の部分と有底筒状の部分とを有する。第2の絶縁膜110は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、又は酸化アルミニウム膜である。
図1Bに示されるように、第2の電極106の主面に垂直な方向から見たとき、局所領域105は、開口107aの内側に位置する。言い換えると、図1Aに示されるように、開口107aを通る方向において、第2の絶縁膜110、第2の電極106、及び、局所領域105がこの順で配置される。
図1Aにおいて、水素センサ100は、第1の絶縁膜107を貫通して第2の電極106に接続される導電性プラグ108と、導電性プラグ108に接続される配線109を備える。図1Aにおいて、第2の絶縁膜110は、導電性プラグ108と配線109とを覆っている。
(第2の実施形態)
[水素センサの構成]
第2の実施形態に係る水素センサは、上述した第1の実施形態に係る水素センサと同様に、抵抗膜(金属酸化物層)と金属膜とが積層されてなる金属−絶縁膜−金属(MIM)構造の気体センサにおいて、検査対象の気体に向かって配置される金属上に絶縁膜を設けた水素センサである。当該水素センサは、抵抗膜内に形成される局所領域での自己発熱と気体感応性とを利用することにより、ヒータで加熱することなく低い消費電力で、絶縁膜を通過した可燃性ガスに含まれる水素ガスを検出することができる。ここで、可燃性ガスとは、一例として、水素、一酸化炭素、メタン、アルコールなどを含むガスである。また、絶縁膜を、水素ガスを選択的に通過させる材料で構成することにより、当該水素センサは、水素ガスを選択的に検出することができる。
図7Aは、第2の実施形態に係る水素センサ300の一構成例を示す断面図である。
図7Bは、第2の実施形態に係る水素センサ300の一構成例を示す上面図である。図7Aの断面は、図7Bの7A−7Aの切断線において矢印方向に見た断面に対応する。
水素センサ300は、基板301、絶縁膜302、第1の電極303、抵抗膜304、第2の電極306、絶縁膜310、絶縁膜307、ビア308、及び配線309、を備えている。ここで、抵抗膜304は「金属酸化物層」の一例であり、絶縁膜310は「第1の絶縁膜」の一例であり、絶縁膜307は「第2の絶縁膜」の一例である。
絶縁膜302は、基板301上に配置され、第1の電極303は、絶縁膜302上に配置されている。絶縁膜310は、第2の電極306上に配置され、絶縁膜307は絶縁膜310上に配置されている。
第1の電極303と第2の電極306とは、絶縁膜302の上方において主面同士を対向して配置されている。抵抗膜304は、第1の電極303の主面と第2の電極306の主面とに接して配置されている。
絶縁膜307には、検査対象である気体に含まれる水素ガスが、絶縁膜310を通過して第2の電極306に到達するための開口307aが設けられている。言い換えると、絶縁膜307は、第2の電極306と絶縁膜310とが接している接続領域Bを除いて、第1の電極303、第2の電極306、及び抵抗膜304を覆っている。絶縁膜307は、第2の電極306に対しては、絶縁膜310を介して間接的に覆っている。絶縁膜310の上面(つまり、第2の電極306と接している主面に対向する他面)は、接続領域Bに対向する部分において露出している。
抵抗膜304は、第1の電極303と第2の電極306との間に介在し、第1の電極303と第2の電極306との間に与えられる電気的信号に基づいて抵抗値が変化する層である。例えば、抵抗膜304は、第1の電極303と第2の電極306との間に与えられる電圧(電位差)に応じて高抵抗状態と低抵抗状態とを可逆的に遷移する。水素センサ300は、絶縁膜310を通過して第2の電極306に到達する水素ガスに応じて高抵抗状態から低抵抗状態へ遷移する。
局所領域305は、抵抗膜304の内部に、第2の電極306と接して配置され、第1の電極303に接していない。局所領域305の酸素不足度は、その周囲(すなわち抵抗膜304のバルク領域)の酸素不足度よりも大きい。局所領域305の酸素不足度は、第1の電極303と第2の電極306との間に与えられる電気的信号に応じて可逆的に変化する。また、局所領域305は、絶縁膜310を通過して第2の電極306に到達する水素ガスに応じて、酸素不足度が小さい状態から酸素不足度が大きい状態へ変化する。
局所領域305は、酸素欠陥サイトから構成されるフィラメント(導電パス)がその内部で発生し消失すると考えられる微小な領域である。抵抗膜304における抵抗変化は、局所領域305中で、酸化還元反応が起こってフィラメント中が発生又は消失することによって、生じると考えられる。
絶縁膜307は、第2の電極306の上面を覆っている部分において、ビア308が絶縁膜307を貫通して第2の電極306に接続されている。ビア308の上に配線309が配置されている。
水素センサ300における抵抗変化現象、水素検知のメカニズムは、第1の実施形態の水素センサ100、200における抵抗変化現象、水素検知のメカニズムと同様であるため、ここでは説明を省略する。
以上のように構成される水素センサ300によれば、第1の実施形態で説明した水素センサ100、200と同様の効果が得られる。
[水素センサの製造方法と動作]
次に、図8A〜図8Fを参照しながら、本実施形態の水素センサ300の製造方法の一例について説明する。
まず、図8Aに示すように、例えば単結晶シリコンである基板301上に、厚さ200nmの絶縁膜302を熱酸化法により形成する。そして、第1の電極303として例えば厚さ100nmのPt薄膜を、スパッタリング法により絶縁膜302上に形成する。なお、第1の電極303と絶縁膜302との間にTi、TiNなどの密着層をスパッタリング法により形成することもできる。その後、第1の電極303上に、抵抗膜304となる酸素不足型の金属酸化物層を、例えばTaターゲットを用いた反応性スパッタリング法で形成する。以上により抵抗膜304が形成される。
ここで、抵抗膜304の膜厚は、初期抵抗値を適切に低くし、かつ、安定した抵抗変化特性を確保するために、例えば、1nm以上8nm以下程度であってもよい。
次に、抵抗膜304上に、第2の電極306として例えば厚さ150nmのPt薄膜をスパッタリング法により形成し、その後、第2の電極306上に絶縁膜310の厚さが0.5nmから8.5nmの間になるように堆積する。
次に、図8Bに示すように、フォトリソグラフィー工程によって、フォトレジストによるマスク311を形成する。その後、図8Cに示すように、マスク311を用いたドライエッチングによって、第1の電極303、抵抗膜304、第2の電極306、及び絶縁膜310を素子の形状に形成する。
その後、図8Dに示すように、絶縁膜302、第1の電極303、抵抗膜304、及び第2の電極306を覆うように絶縁膜307を形成する。そして、エッチングによって、絶縁膜307に第2の電極306の上面の一部に到達するビアホール307bを設ける。
次に、図8Eに示すように、絶縁膜307の上面及びビアホール307bの内部を充填するように導体膜308’を形成する。その後、図8Fに示すように、CMPによって絶縁膜307上の導体膜308’を除去してビアホール307b内にビア308を形成する。さらに新たな導体膜を絶縁膜307上に配置してパターニングすることによって、ビア308と接続する配線309を形成する。
次に、図8Gに示すように、エッチングによって、絶縁膜307に第2の電極306の上面に形成した絶縁膜310の一部が露出する開口307aを設ける。
その後、第1の電極303と第2の電極306との間に初期ブレイク電圧を印加することにより、抵抗膜304内に図8Aに示す局所領域305を形成する。以上の工程により、水素センサ300が完成する。
このように構成される水素センサ300の電圧印加による抵抗変化特性は、図4に示す水素センサ100の電圧印加による抵抗変化特性と略同等である。また、水素センサ300においても、水素センサ100について説明したメカニズムと同様のメカニズムで水素ガスによる抵抗変化を生じるので、低消費電力で水素ガスが検知できる。
(変形例)
図9は、第2の実施形態の変形例に係る水素センサ400の一構成例を示す断面図である。以下、第2の実施形態の水素センサ300と異なる点についてのみ説明する。
本変形例の水素センサ400は、抵抗膜404が、第1の電極303に接する第1の金属酸化物層404aと、第2の電極306に接する第2の金属酸化物層404bとを含む点で、第2の実施形態の水素センサ300と異なる。
なお、抵抗膜404は、2層に限らず3層以上の積層体であってもよい。
第1の金属酸化物層404a及び第2の金属酸化物層404b内には、電気的パルスの印加及び水素含有ガスに応じて酸素不足度が可逆的に変化する局所領域305を備えている。局所領域305は、少なくとも第2の金属酸化物層404bを貫通して第2の電極306と接して形成され、かつ第2の金属酸化物層404bに比べて酸素不足度が大きい。
言い換えると、抵抗膜404は、少なくとも第1の金属酸化物を含む第1の金属酸化物層404aと、第2の金属酸化物を含む第2の金属酸化物層404bとの積層構造を含む。そして、第1の金属酸化物層404aは、第1の電極303と第2の金属酸化物層404bとの間に配置され、第2の金属酸化物層404bは、第1の金属酸化物層404aと第2の電極306との間に配置されている。
第2の金属酸化物層404bの厚みは、第1の金属酸化物層404aの厚みより薄くてもよい。この場合、局所領域305が第1の電極303と接しない構造を容易に形成できる。第2の金属酸化物層404bの酸素不足度は、第1の金属酸化物層404aの酸素不足度より小さくてもよい。この場合、第2の金属酸化物層404bの抵抗値は、第1の金属酸化物層404aの抵抗値より高いため、抵抗膜404に印加された電圧の多くは第2の金属酸化物層404bに印加される。この構成は、例えば、初期ブレイク電圧を第2の金属酸化物層404bに集中させ、局所領域305の形成に必要な初期ブレイク電圧を低減するために役立つ。
抵抗膜404は、第1の金属酸化物層404aと第2の金属酸化物層404bとを構成する金属が同一である場合に限定されるものではなく、異なる金属であってもよい。すなわち、第1の金属酸化物層404aと第2の金属酸化物層404bとは異なる金属の酸化物であってもよい。
第1の金属酸化物層404aを構成する第1の金属と、第2の金属酸化物層404bを構成する第2の金属とが同一である場合、酸素含有率は酸素不足度と対応関係にある。すなわち、第2の金属酸化物の酸素含有率が第1の金属酸化物の酸素含有率より大きいとき、第2の金属酸化物の酸素不足度は第1の金属酸化物の酸素不足度より小さい。
抵抗膜404は、第1の金属酸化物層404aと第2の金属酸化物層404bとの界面近傍に、局所領域305を備える。局所領域305の酸素不足度は、第2の金属酸化物層404bの酸素不足度より大きく、第1の金属酸化物層404aの酸素不足度と異なる。
局所領域305は、第1の電極303と第2の電極306との間に初期ブレイク電圧を印加することによって、第1の金属酸化物層404aと第2の金属酸化物層404bとの積層構造を備える抵抗膜404内に形成される。初期ブレイク電圧により、第2の電極306と接し、第2の金属酸化物層404bを貫通して第1の金属酸化物層404aに一部が侵入し、第1の電極303と接していない局所領域305が形成される。
以上のように構成された水素センサ300、400によれば、絶縁膜310が水素ガスを選択的に透過することで、水素ガスを選択的に検出する水素センサが得られる。また、抵抗状態を検知するための電流だけで発熱し、別途のヒータで加熱することなく水素ガスを検出できる、省電力性に優れた水素センサが得られる。
[補足]
図7Aにおいて、水素センサ300は、第1の電極303と、金属酸化物層304と、第2の電極306と、第1の絶縁膜310と、第2の絶縁膜307とを備える。
金属酸化物層304は、局所領域305を含む。金属酸化物層304のうち、局所領域305を囲む領域はバルク領域と呼ばれうる。ここで、「局所領域305を囲む」とは、局所領域305の外周面を全て囲むことに限定されない。局所領域305の酸素不足度は、バルク領域の酸素不足度よりも大きい。
第1の絶縁膜310は、第2の電極306の上面を覆っている。例えば、第1の絶縁膜310の主面に垂直な方向から見て、第1の絶縁膜310の輪郭は、第2の電極306の輪郭と一致している。第1の絶縁膜110は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、又は酸化アルミニウム膜である。
第2の絶縁膜307は、第1の電極303、金属酸化物層304、及び第2の電極306を覆っている。第2の絶縁膜307は、第1の絶縁膜310に達する開口307aを有する。第2の絶縁膜307の膜厚は、第1の絶縁膜310の膜厚よりも薄い。
図7Bに示されるように、第2の電極306の主面に垂直な方向から見たとき、局所領域305は、開口307aの内側に位置する。言い換えると、図7Aに示されるように、開口307aを通る方向において、第1の絶縁膜310、第2の電極306、及び、局所領域305がこの順で配置される。
図7Aにおいて、水素センサ300は、第2の絶縁膜307及び第1の絶縁膜310を貫通して第2の電極306に接続される導電性プラグ308と、導電性プラグ308に接続される配線309を備える。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る燃料電池自動車は、前述の第1及び第2の実施形態及びそれらの変形例で説明したいずれかの水素センサを備える。この燃料電池自動車は、水素センサを用いて車内の水素ガスを検出する。
図10は、第3の実施形態に係る燃料電池自動車800の一構成例を示す側面図である。
燃料電池自動車800は、客室810、荷室820、ガスタンク室830、燃料タンク831、水素センサ832、配管840、燃料電池室850、燃料電池851、水素センサ852、モータ室860、モータ861を備える。
燃料タンク831は、ガスタンク室830内に設けられており、燃料ガスとして、水素ガスを保持している。水素センサ832は、ガスタンク室830での燃料ガス漏れを検出する。
燃料電池851は、燃料極、空気極および電解質を有した基本単位となるセルが積み重なって燃料電池スタックとして構成されている。燃料電池851は、燃料電池室850内に設けられている。燃料タンク831内の水素ガスは、配管840を通して燃料電池室850内の燃料電池851へ送り込まれる。燃料電池851は、この水素ガスと大気中の酸素ガスとを反応させることにより発電する。水素センサ852は、燃料電池室850での水素ガス漏れを検出する。
モータ861は、モータ室860内に設けられており、燃料電池851が発電した電力で回転し、燃料電池自動車800を走行させる。
前述したように、本開示に係る水素センサでは、一例として0.01mW程度の非常に小さい消費電力で、水素ガスを検出できる。そのため、水素センサの優れた省電力性を活かして、燃料電池自動車の待機電力を大幅に増やすことなく、水素ガス漏れを常時監視することができる。
例えば、燃料電池自動車800におけるイグニッションキーの操作状態にかかわらず、水素センサ832、852に所定の電圧を常時印加してもよい。この場合、水素センサ832、852に流れる電流量に基づいて、ガスタンク室830内の燃料タンク831の外部、及び燃料電池室850内の燃料電池851の外部に水素ガスがあるか否かが判定されてもよい。
これにより、例えば、イグニッションキーの操作を受けた時点で、水素ガス漏れの有無が既に判定されているため、イグニッションキーの操作を受けてから水素ガス漏れの有無を判断する場合と比べ、燃料電池自動車の始動時間を短縮できる。また、燃料電池自動車の走行後、例えば燃料電池自動車をガレージに格納した後も、水素ガス漏れを監視し続けることにより、安全性を向上できる。
(その他の変形例)
以上、本開示のいくつかの態様に係る水素センサ、水素ガス検出方法、及び燃料電池自動車について、実施形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施形態に施したものや、各々の実施形態における構成要素を組み合わせて構築される形態が、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、前述の水素センサは、さらに、第1の電極と第2の電極との間に所定の電圧が印加されたときに抵抗膜に流れる電流を測定する測定回路を備えてもよい。また、さらに、第1の電極と第2の電極との間に所定の電圧を常時印加する電源回路を備えてもよい。
このような構成によれば、測定回路や電源回路を備えるモジュール部品として、利便性が高い水素センサが得られる。
また、水素センサ100、300に、局所領域105、305を接続領域A、Bの直下に意図的に形成するための構成を設けてもよい。例えば、水素センサ100、300において、接続領域A、Bの直下に位置する第1の電極103、303の上面に凸部を有する針状部を設けてもよい。また、水素センサ100、300において、接続領域A、Bの直下を除いた抵抗膜104、304に、酸化又は窒化などにより高抵抗化された領域を形成してもよい。
上記の構成によって、初期ブレイク電圧を印加した際の電界を接続領域A、Bの直下に集中させることができる。そのため、局所領域105、305は、図1A、図7Aに示されるように、接続領域A、Bの直下に形成され易くなる。局所領域105、305を接続領域A、Bの直下に意図的に形成することで、水素ガスの検出特性に優れた水素センサが得られる。
(実施形態の概要)
1つの態様に係る水素センサは、主面同士が対向して配置された第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極の前記主面と前記第2の電極の前記主面とに接して配置された金属酸化物層と、前記金属酸化物層の内部に前記第2の電極と接して配置されかつ前記金属酸化物層に比べて酸素不足度が大きい局所領域と、前記第2の電極の前記主面に対向する他面に主面を接して配置された第1の絶縁膜と、前記第2の電極と前記第1の絶縁膜とが接している接続領域を除外して、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記金属酸化物層を覆う第2の絶縁膜と、を備え、前記第1の絶縁膜の前記主面に対向する他面は、前記接続領域に対向する部分において露出しており、前記第1の絶縁膜を透過した水素分子が前記第2の電極に接すると前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下する特性を有している。
このような構成によれば、第1の電極と第2の電極との間を流れる電流は酸素不足度が大きい局所領域に集中することになる。その結果、少ない電流で、前記局所領域の温度を上昇させることができる。これにより、金属酸化物層の内部に形成される局所領域での自己発熱と気体感応性とを利用して、ヒータで加熱することなく水素含有ガスを検出でき、省電力性に優れた水素センサが得られる。
前記局所領域が、前記第1の電極と前記第2の電極との間に流れる電流によって発熱することで、前記第2の電極の前記局所領域と接した部分において前記水素分子から水素原子が解離され、解離された水素原子が、前記金属酸化物層の内部の前記局所領域内の酸素原子と結合することで、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値(金属酸化物層の内部の局所領域の抵抗値)が低下する。
より詳細には、局所領域の温度が上昇すると第2の電極の表面の温度も上昇する。温度上昇に従って、第2の電極の触媒作用によって第2の電極で水素分子から水素原子が解離する効率が向上する。
前記第1の絶縁膜を通過した水素分子が第2の電極に接触すると、前記水素分子から水素原子が解離し、解離した水素原子は前記第2の電極中を拡散して前記局所領域にまで到達する。そして、前記局所領域に存在する金属酸化物の酸素と結合して水(HO)となることで、前記局所領域の酸素不足度がさらに増大する。これによって、局所領域は電流が流れやすくなり、第1の電極と第2の電極との間の抵抗が低下する。
また、前記第1の絶縁膜は、水素分子を選択的に透過してもよい。
このような構成によれば、前記第1の絶縁膜が、水素分子を選択的に透過することで、前記水素センサは、検査対象の気体に含まれる水素ガスを選択的に検出できる。
また、前記第1の絶縁膜はシリコン酸化膜であってもよい。
このような構成によれば、シリコン酸化膜が有している水素選択性を用いて、前記水素センサは、検査対象の気体に含まれる水素ガスを選択的に検出できる。
また、前記第1の絶縁膜は、前記金属酸化物層を抵抗変化させるために必要な数の水素分子を、所定時間以内に透過させる膜厚で設けられていてもよい。
このような構成によれば、前記第1の絶縁膜を適した膜厚で設けることで、前記水素センサが水素ガスの検知に要する時間を前記所定時間以内に抑えることができる。
また、前記シリコン酸化膜の膜厚は、8.5nm以下であってもよい。
このような構成によれば、本発明者らが具体的に検討した事例である、約2200個の水素分子が第2の電極に到達することで前記金属酸化物層に抵抗変化が生じる水素センサにおいて、検査対象ガスに含まれる水素分子密度が0.1%の水素ガスを1秒以内に検出することができる。
また、前記シリコン酸化膜の膜厚は0.5nm以上であってもよい。
このような構成によれば、第2の電極中の電子は、前記シリコン酸化膜を実質的に通り抜けることができない。その結果、シリコン酸化膜を通り抜けた電子が外部に存在する分子と相互作用して水素選択性が損なわれるリスクが低減される。
また、前記金属酸化物層は、第1の金属酸化物で構成される第1の金属酸化物層と、前記第1の金属酸化物に比べて酸素不足度が小さい第2の金属酸化物で構成される第2の金属酸化物層とを積層してなり、前記第1の金属酸化物層は前記第1の電極に接し、前記第2の金属酸化物層は前記第2の電極に接しており、前記局所領域は、少なくとも前記第2の金属酸化物層を貫通して前記第2の電極と接して形成され、かつ前記第2の金属酸化物層に比べて酸素不足度が大きくてもよい。
このような構成によれば、前記金属酸化物層に、抵抗変化特性に優れた積層構造を採用することで、水素ガスの検出特性に優れた水素センサが得られる。
また、前記第2の電極は、前記水素分子を水素原子へ解離させる触媒作用を有する材料で構成されていてもよい。
このような構成によれば、前記第2の電極の前記局所領域と接した部分において前記水素分子から水素原子が解離され、解離された水素原子が、前記金属酸化物層の内部に形成されている前記局所領域内の酸素原子と結合することで、前記局所領域の抵抗値が低下し、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下する。
また、前記第2の電極は、白金又はパラジウムで構成されていてもよい。
このような構成によれば、前記第2の電極は、白金又はパラジウムの触媒作用により、前記水素分子から水素原子を解離させることができる。
また、前記第1の金属酸化物及び前記第2の金属酸化物の各々は、遷移金属酸化物又はアルミニウム酸化物であってもよい。
このような構成によれば、前記第1の金属酸化物及び前記第2の金属酸化物の各々に、抵抗変化特性に優れた遷移金属酸化物またはアルミニウム酸化物を用いることで、水素ガスの検出特性に優れた水素センサが得られる。
また、前記遷移金属酸化物は、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、及びジルコニウム酸化物の何れかであってもよい。
このような構成によれば、前記遷移金属酸化物として抵抗変化特性に優れたタンタル酸化物、ハフニウム酸化物、及びジルコニウム酸化物を用いることで、水素ガスの検出特性に優れた水素センサが得られる。
また、前記金属酸化物層は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加される電圧に基づいて高抵抗状態と前記高抵抗状態に比べて抵抗値が低い低抵抗状態とに可逆的に遷移してもよい。
このような構成によれば、前記金属酸化物層の抵抗状態を、水素ガスによる遷移とは別に、電気的に遷移させることができる。例えば、前記金属酸化物層を、電気的に高抵抗状態に設定してから、前記絶縁膜に検査対象の気体を接触させてもよく、これにより、抵抗値の低下が明確に検出できるようになり、水素ガスの検出特性が向上する。
また、前記第1の絶縁膜は、前記接続領域に加えて、当該接続領域を除いた前記第2の電極の前記他面の少なくとも一部の上に配置されていてもよい。
このような構成によれば、水素センサの製造プロセスを簡便にできる。
また、前記水素センサは、さらに、前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定の電圧が印加されたときに前記金属酸化物層に流れる電流を測定する測定回路を備えてもよい。
また、前記水素センサは、さらに、前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定の電圧を常時印加する電源回路を備えてもよい。
このような構成によれば、測定回路や電源回路を備えるモジュール部品として、利便性が高い水素センサが得られる。特には、前記水素センサの省電力性を活かして、水素ガス漏れをわずかな電力で監視し続けることができる。
また、前記局所領域が、前記第1の電極と前記第2の電極との間に流れる電流によって発熱することで、前記第2の電極の前記局所領域と接した部分において前記水素分子から水素原子が解離され、解離された水素原子が、前記金属酸化物層の前記局所領域内の酸素原子と結合することで、前記金属酸化物層の抵抗値が低下してもよい。
このような構成によれば、第1の電極と第2の電極との間を流れる電流は酸素不足度が大きい局所領域に集中することになる。その結果、少ない電流で、前記局所領域の温度を上昇させることができる。これにより、金属酸化物層の内部に形成される局所領域での自己発熱と気体感応性とを利用して、ヒータで加熱することなく水素含有ガスを検出でき、省電力性に優れた水素センサが得られる。
前記局所領域が、前記第1の電極と前記第2の電極との間に流れる電流によって発熱することで、前記第2の電極の前記局所領域と接した部分において前記水素分子から水素原子が解離され、解離された水素原子が、前記金属酸化物層の前記局所領域内の酸素原子と結合することで、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下する。
より詳細には、局所領域の温度が上昇すると第2の電極の表面の温度も上昇する。温度上昇に従って、第2の電極の触媒作用によって第2の電極で水素原子を有する気体分子から水素原子が解離する効率が向上する。
前記第1の絶縁膜を通過した水素原子を有する気体分子が第2の電極に接触すると、前記水素分子から水素原子が解離し、解離した水素原子は前記第2の電極中を拡散して前記局所領域にまで到達する。そして、前記局所領域に存在する金属酸化物の酸素と結合して水となることで、前記局所領域の酸素不足度がさらに増大する。これによって、局所領域は電流が流れやすくなり、第1の電極と第2の電極との間の抵抗が低下する。
また、前記第2の絶縁膜が前記第2の電極の前記他面を覆っている部分に前記第2の絶縁膜を貫通して前記第2の電極に接続されたビアと、前記ビアに接続された導体とを備えてもよい。
このような構成によれば、検査対象ガスを接触させるために前記第2の絶縁膜が除外されている前記接続領域の面積を維持しつつ、前記第2の絶縁膜が配置されている部分を用いて、前記第2の電極と電気的に接続することができる。
1つの態様に係る水素検出方法は、水素センサによる水素検出方法であって、前記水素センサは、主面同士が対向して配置された第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極の前記主面と前記第2の電極の前記主面とに接して配置された金属酸化物層と、前記金属酸化物層の内部に前記第2の電極と接して配置されかつ前記金属酸化物層に比べて酸素不足度が大きい局所領域と、前記第2の電極の前記主面に対向する他面に接して配置された絶縁膜と、を備え、前記水素検出方法は、前記絶縁膜の前記第2の電極に接している接続領域に対向する部分に、水素ガスを含む気体が接するようにし、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下することをもって前記水素ガスを検出するものである。
このような方法によれば、抵抗状態を検知するための電流だけで発熱し、別途のヒータで加熱することなく水素ガスを検出する前記水素センサにより、省電力性に優れた水素検出が可能になる。また、前記絶縁膜を、水素ガスを選択的に通過させる特性を有する材料で構成することにより、当該水素センサは、前記可燃性ガスの中から水素ガスを選択的に検出することができる。
1つの態様に係る燃料電池自動車は、水素ガスのタンクが配置されたガスタンク室内、及び燃料電池が配置された燃料電池室内の少なくとも一方に前記水素センサを配置した燃料電池自動車である。
このような構成によれば、前記水素センサの優れた省電力性を活かして、前記燃料電池自動車の待機電力を大幅に増やすことなく、燃料ガス漏れを常時監視することができる。
例えば、イグニッションキーの操作を受けた時点で、燃料ガス漏れの有無が既に判定されているので、イグニッションキーの操作を受けてから燃料ガス漏れの有無を判定するために水素センサを駆動する場合と比べ、燃料電池自動車の始動時間を短縮できる。また、前記燃料電池自動車の走行後、例えば前記燃料電池自動車をガレージに格納した後も、燃料ガス漏れを監視し続けることにより、安全性を向上できる。
1つの態様に係る水素検出方法は、前記燃料電池自動車において、前記水素センサに所定の電圧を常時印加し、前記水素センサに流れる電流量に基づいて、前記ガスタンク室内の前記タンクの外部、及び前記燃料電池室内の前記燃料電池の外部の少なくとも一方に水素ガスがあるか否かを判定するものである。
このような方法によれば、前記水素センサの優れた省電力性を活かして、前記燃料電池自動車の待機電力を大幅に増やすことなく、燃料ガス漏れを常時監視することができる。
例えば、イグニッションキーの操作を受けた時点で、燃料ガス漏れの有無が既に判定されているので、イグニッションキーの操作を受けてから燃料ガス漏れの有無を判定するために水素センサを駆動する場合と比べ、燃料電池自動車の始動時間を短縮できる。また、前記燃料電池自動車の走行後、例えば前記燃料電池自動車をガレージに格納した後も、燃料ガス漏れを監視し続けることにより、安全性を向上できる。
本開示に係る水素センサは、例えば、燃料電池自動車等に用いられうる。
100、200、300、400 水素センサ
101、301 基板
102、107、110、302、307、310 絶縁膜
103、303 第1の電極
104、204、304、404 抵抗膜
105、305 局所領域
106、306 第2の電極
107a、307a 開口
107b、307b ビアホール
108、308 ビア
108’、308’ 導体膜
109、309 配線
111、311 マスク
204a、404a 第1の金属酸化物層
204b、404b 第2の金属酸化物層
700 構造体
701 シリコン基板
702、703 シリコン酸化膜
704、705 ポリシリコン膜
800 燃料電池自動車
810 客室
820 荷室
830 ガスタンク室
831 燃料タンク
832 水素センサ
840 配管
850 燃料電池室
851 燃料電池
852 水素センサ
860 モータ室
861 モータ
900 評価システム
910 密閉容器
911 水素ボンベ
912 窒素ボンベ
913、914 導入弁
915 排気弁
920 電源
930 電流測定器

Claims (43)

  1. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、バルク領域と、前記バルク領域に囲まれ、かつ、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する局所領域とを含む金属酸化物層と、
    前記第1の電極、前記第2の電極、及び前記金属酸化物層を覆い、かつ、前記第2の電極に達する開口を有する第1の絶縁膜と、
    前記開口内で前記第2の電極に接する第2の絶縁膜とを備える、
    水素センサ。
  2. 前記第2の絶縁膜の膜厚は、前記第1の絶縁膜の膜厚よりも薄く、
    前記第2の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜の主面と、前記開口の内周面とさらに接する、
    請求項1に記載の水素センサ。
  3. 前記第2の電極の主面に垂直な方向から見て、前記局所領域は、前記開口の内側に位置する、
    請求項1又は2に記載の水素センサ。
  4. 前記第2の絶縁膜は、水素分子を選択的に透過し、
    所定の量の水素分子が前記第2の絶縁膜を透過して前記第2の電極に接すると、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の水素センサ。
  5. 前記第2の絶縁膜は、シリコン酸化膜である、
    請求項4に記載の水素センサ。
  6. 前記シリコン酸化膜の膜厚は8.5nm以下である、
    請求項5に記載の水素センサ。
  7. 前記シリコン酸化膜の膜厚は0.5nm以上である、
    請求項6に記載の水素センサ。
  8. 前記第2の絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、又は酸化アルミニウム膜である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の水素センサ。
  9. 前記金属酸化物層は、
    第1の電極に接し、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する第1の金属酸化物層と、
    第2の電極に接し、かつ、前記バルク領域を含む第2の金属酸化物層とを備え、
    前記局所領域は、前記第2の電極に接し、かつ、前記第2の金属酸化物層を貫通する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の水素センサ。
  10. 前記第2の電極は、水素分子から水素原子を解離させる触媒作用を有する、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の水素センサ。
  11. 前記第2の電極は、白金又はパラジウムを含有する、
    請求項10に記載の水素センサ。
  12. 前記金属酸化物層は、遷移金属酸化物及びアルミニウム酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、
    請求項1から11のいずれか一項に記載の水素センサ。
  13. 前記金属酸化物層は、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、及びアルミニウム酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、
    請求項12に記載の水素センサ。
  14. 前記金属酸化物層の抵抗値は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加される電圧に基づいて可逆的に遷移する、
    請求項1から13のいずれか一項に記載の水素センサ。
  15. 前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜は、同一の材料で構成される、
    請求項1から14のいずれか一項に記載の水素センサ。
  16. 前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値を測定する測定回路をさらに備える、
    請求項1から15のいずれか一項に記載の水素センサ。
  17. 前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する電源回路をさらに備える、
    請求項1から16のいずれか一項に記載の水素センサ。
  18. 前記電源回路は、前記電圧の印加によって前記局所領域を発熱させる、
    請求項17に記載の水素センサ。
  19. 前記第1の絶縁膜を貫通して前記第2の電極に接続される導電性プラグをさらに備える、
    請求項1から18のいずれか一項に記載の水素センサ。
  20. 前記導電性プラグに接続される配線をさらに備え、
    前記第2の絶縁膜は、前記導電性プラグと前記配線とを覆う、
    請求項19に記載の水素センサ。
  21. 水素ガスを貯めるタンクと、
    燃料電池と、
    請求項1から10のいずれか一項に記載の水素センサとを備える、
    燃料電池自動車。
  22. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、バルク領域と、前記バルク領域に囲まれ、かつ、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する局所領域とを含む金属酸化物層と、
    前記第2の電極を挟んで前記金属酸化物層と対向する第1の絶縁膜と、
    前記第1の電極、前記第2の電極、前記金属酸化物層、及び前記第1の絶縁膜を覆い、かつ、前記第1の絶縁膜に達する開口を有する第2の絶縁膜と、を備える、
    水素センサ。
  23. 前記第1の絶縁膜の膜厚は、前記第2の絶縁膜の膜厚よりも薄い、
    請求項22に記載の水素センサ。
  24. 前記第2の電極の主面に垂直な方向から見て、前記局所領域は、前記開口の内側に位置する、
    請求項22又は23に記載の水素センサ。
  25. 前記第1の絶縁膜は、水素分子を選択的に透過し、
    所定の量の水素分子が前記第1の絶縁膜を透過して前記第2の電極に接すると、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下する、
    請求項22から24のいずれか一項に記載の水素センサ。
  26. 前記第1の絶縁膜は、シリコン酸化膜である、
    請求項25に記載の水素センサ。
  27. 前記シリコン酸化膜の膜厚は8.5nm以下である、
    請求項26に記載の水素センサ。
  28. 前記シリコン酸化膜の膜厚は0.5nm以上である、
    請求項27に記載の水素センサ。
  29. 前記第1の絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、又は酸化アルミニウム膜である、
    請求項22から24のいずれか一項に記載の水素センサ。
  30. 前記金属酸化物層は、
    第1の電極に接し、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する第1の金属酸化物層と、
    第2の電極に接し、かつ、前記バルク領域を含む第2の金属酸化物層とを備え、
    前記局所領域は、前記第2の電極に接し、かつ、前記第2の金属酸化物層を貫通する、
    請求項22から29のいずれか一項に記載の水素センサ。
  31. 前記第2の電極は、水素分子から水素原子を解離させる触媒作用を有する、
    請求項22から30のいずれか一項に記載の水素センサ。
  32. 前記第2の電極は、白金又はパラジウムを含有する、
    請求項31に記載の水素センサ。
  33. 前記金属酸化物層は、遷移金属酸化物及びアルミニウム酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、
    請求項22から32のいずれか一項に記載の水素センサ。
  34. 前記金属酸化物層は、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、及びアルミニウム酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、
    請求項33に記載の水素センサ。
  35. 前記金属酸化物層の抵抗値は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加される電圧に基づいて可逆的に遷移する、
    請求項22から34のいずれか一項に記載の水素センサ。
  36. 前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜は、同一の材料で構成される、
    請求項22から35のいずれか一項に記載の水素センサ。
  37. 前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値を測定する測定回路をさらに備える、
    請求項22から36のいずれか一項に記載の水素センサ。
  38. 前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する電源回路をさらに備える、
    請求項22から37のいずれか一項に記載の水素センサ。
  39. 前記電源回路は、前記電圧の印加によって前記局所領域を発熱させる、
    請求項38に記載の水素センサ。
  40. 前記第2の絶縁膜及び前記第1の絶縁膜を貫通して前記第2の電極に接続される導電性プラグをさらに備える、
    請求項22から39のいずれか一項に記載の水素センサ。
  41. 水素ガスを貯めるタンクと、
    燃料電池と、
    請求項22から40のいずれか一項に記載の水素センサとを備える、
    燃料電池自動車。
  42. 水素センサを用いた水素検出方法であって、
    前記水素センサは、
    第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、バルク領域と、前記バルク領域に囲まれ、かつ、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する局所領域とを含む金属酸化物層と、
    前記第1の電極、前記第2の電極、及び前記金属酸化物層を覆い、かつ、前記第2の電極に達する開口を有する第1の絶縁膜と、
    前記開口内で前記第2の電極に接する第2の絶縁膜とを備えており、
    前記水素検出方法は、
    前記第2の絶縁膜のうち前記第2の電極に接している領域に、ガスを接触させるステップと、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下したことを検出することで、前記ガスに含有される水素ガスを検出するステップとを含む、
    水素検出方法。
  43. 水素センサを用いた水素検出方法であって、
    前記水素センサは、
    第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、バルク領域と、前記バルク領域に囲まれ、かつ、前記バルク領域よりも大きい酸素不足度を有する局所領域とを含む金属酸化物層と、
    前記第2の電極を挟んで前記金属酸化物層と対向する第1の絶縁膜と、
    前記第1の電極、前記第2の電極、前記金属酸化物層、及び前記第1の絶縁膜を覆い、かつ、前記第1の絶縁膜に達する開口を有する第2の絶縁膜と、を備えており、
    前記水素検出方法は、
    前記開口を介して前記第1の絶縁膜にガスを接触させるステップと、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が低下したことを検出することで、前記ガスに含有される水素ガスを検出するステップとを含む、
    水素検出方法。
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