JP6739756B2 - ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法 - Google Patents
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Description
例えば、ルテニウムを担体に担持した触媒を使用する方法が報告されているが(特許文献3)、この方法で合成されるビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体比率は一般的に50%以下である。
特許文献7に記載された方法では、トランス体が99%と極めて高い比率で得られるものの、異性化のために3つの工程を行い、また誘導体化に用いるアルデヒドをリサイクルするため、非常に複雑な工程を経る必要があり、工業的に実施することは容易ではない。
特許文献8に記載された方法では、トランス体の含有率を高めるため、前駆体である1,4−ジシアノシクロヘキサンから晶析によりトランス体を分離し、残ったシス体を異性化してリサイクルすることが行われている。しかしながら、この方法では、非常に長い工程を必要とし、工業的には不利である。
特許文献9に記載された方法では、トランス体を高い比率で得るためには、多量の触媒を用いるか、あるいは高温条件を必要とするため、効率が悪い。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、工業的に重要な化合物であるビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化反応において、高温、高圧反応や複雑な多段階工程を経ることなく、高い異性体含有率を有するビス(アミノメチル)シクロヘキサンを簡便かつ効率的に得ることを目的とする。
[1]
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法であって、
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと、
アルカリ金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属、及びアルカリ土類金属含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、
ベンジルアミン化合物と、
を含む反応液中に不活性ガスを導入しながらビス(アミノメチル)シクロヘキサンを異性化する方法。
[2]
前記不活性ガスが、ヘリウム、アルゴン、及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、上記[1]に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[3]
前記ベンジルアミン化合物が、ベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、上記[1]又は[2]に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[4]
前記ベンジルアミン化合物が4−メチルベンジルアミンである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[5]
前記アルカリ金属含有化合物がナトリウムアミドを含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[6]
異性化反応温度が100〜140℃である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[7]
前記不活性ガスの導入方法がバブリングである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[8]
前記ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[9]
前記ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[10]
トランス体含有率が77%以上の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る、上記[8]に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
[11]
シス体含有率が80%以上の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る、上記[9]に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
本発明は、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法であって、
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと、
アルカリ金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、
ベンジルアミン化合物と、
を含む反応液中に、不活性ガスを導入しながらビス(アミノメチル)シクロヘキサンを異性化することを含む、方法である。
異性体組成(シス/トランス比率)は、Valian製のキャピラリーカラムであるCP−Volamineを取り付けたガスクロマトグラフィーを用いて分析した。1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンはトランス体の方がシス体よりも低沸点であるため、ガスクロマトグラフィーで先に検出される異性体がトランス体、後に検出される異性体がシス体である。1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンはシス体の方がトランス体よりも低沸点であるため、ガスクロマトグラフィーで先に検出される異性体がシス体、後に検出される異性体がトランス体である。トランス体比率は、トランス体の面積値/(シス体の面積値+トランス体の面積値)×100により算出し、シス体比率は100−トランス体比率により算出した。
回収率は、上記ガスクロマトグラフィー分析の内標法により求めたビス(アミノメチル)シクロヘキサンの重量から、下記式を用いて算出した。
回収率(%)=(反応液中のビス(アミノメチル)シクロヘキサン重量)/(仕込みのビス(アミノメチル)シクロヘキサン重量)×100
ベンジルアミン化合物、アルカリ金属含有化合物は試薬として入手できるものを使用した。異性体組成(シス/トランス比率)が60/40の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)としては、触媒としてRu−アルミナを用いて、パラキシリレンジアミンを公知の技術(例えば、特開昭50−126638号公報に開示された方法)により核水添し、さらに蒸留により精製したものを使用した。
500mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、4−メチルベンジルアミン(4−MBA)8.0g、ナトリウムアミド2.9gを加え、SUS316製3mmφの配管をフラスコの液中に導入し、ここからアルゴンを流速200mL/minで連続的に吹き込みながら、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は18/82であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は89%であった。図1に、トランス体比率の経時変化を示した。
500mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、メタキシリレンジアミン9.0g、ナトリウムアミド2.9gを加え、SUS316製3mmφの配管をフラスコの液中に導入し、ここからアルゴンを流速200mL/minで連続的に吹き込みながら、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は17/83であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は87%であった。
500mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、ベンジルアミン7.1g、ナトリウムアミド2.9gを加え、SUS316製3mmφの配管をフラスコの液中に導入し、ここからアルゴンを流速200mL/minで連続的に吹き込みながら、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は19/81であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は96%であった。
500mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、4−メチルベンジルアミン(4−MBA)8.0g、水素化ナトリウム(50−72%)3.0gを加え、SUS316製3mmφの配管をフラスコの液中に導入し、ここからアルゴンを流速200mL/minで連続的に吹き込みながら、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は18/82であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は93%であった。
300mLのオートクレイブに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、4−メチルベンジルアミン(4−MBA)8.0g、ナトリウムアミド2.9gを加え、密閉状態にて、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は29/71であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は92%であった。図1に、トランス体比率の経時変化を示した。
300mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)100g、4−メチルベンジルアミン(4−MBA)4.0g、ナトリウムアミド1.4gを加え、アルゴン雰囲気下、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は24/76であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は90%であった。図1に、トランス体比率の経時変化を示した。
500mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、メタキシリレンジアミン9.0g、ナトリウムアミド2.9gを加え、アルゴン雰囲気下、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は44/56であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は98%であった。
500mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、ベンジルアミン7.1g、ナトリウムアミド2.9gを加え、アルゴン雰囲気下、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は31/69であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は93%であった。
500mLのフラスコに、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シス/トランス=60/40)200g、4−メチルベンジルアミン(4−MBA)8.0g、水素化ナトリウム(50−72%)3.0gを加え、アルゴン雰囲気下、120℃で5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の異性体組成(シス/トランス)は35/65であり、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は93%であった。
Claims (10)
- ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法であって、
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと、
アルカリ金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属、及びアルカリ土類金属含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、
ベンジルアミン化合物と、
を含む反応液中に不活性ガスをバブリングにより導入しながらビス(アミノメチル)シクロヘキサンを異性化する方法。 - 前記不活性ガスが、ヘリウム、アルゴン、及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- 前記ベンジルアミン化合物が、ベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1又は2に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- 前記ベンジルアミン化合物が4−メチルベンジルアミンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- 前記アルカリ金属含有化合物がナトリウムアミドを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- 異性化反応温度が100〜140℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- 前記ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- 前記ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- トランス体含有率が77%以上の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る、請求項7に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
- シス体含有率が80%以上の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを得る、請求項8に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性化方法。
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