JP6315412B2 - ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献9に記載の方法では、非常に長い工程を必要とし、工業的には不利である。
〔1〕
蒸留塔の塔底部において、アルカリ金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、ベンジルアミン化合物と、の存在下、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体を異性化して、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を得る異性化工程と、
前記蒸留塔の塔頂部より、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を、蒸留分離する蒸留工程と、を有し、
前記化合物の使用量が、前記ベンジルアミン化合物1当量に対して、0.10〜4モル当量であり、
前記ベンジルアミン化合物の使用量が、前記ビス(アミノメチル)シクロヘキサン100wt%に対して、0.10〜10wt%であり、
前記異性化工程における異性化反応温度が、80〜140℃であり、
前記異性化工程及び前記蒸留工程が、同時に実施される、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
〔2〕
前記蒸留工程において、前記塔頂部より得られる前記1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体含有率が、84%以上である、前項〔1〕に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
〔3〕
前記蒸留工程において、前記塔頂部より得られる前記1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体含有率が、90%以上である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
〔4〕
前記ベンジルアミン化合物が、ベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
〔5〕
前記アルカリ金属が、金属ナトリウムを含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
〔6〕
前記アルカリ金属含有化合物が、アルカリ金属水素化物及びアルカリ金属アミドからなる群より選ばれる1種以上を含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
〔7〕
前記アルカリ金属水素化物が、水素化ナトリウムを含む、前項〔6〕に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
〔8〕
前記アルカリ金属アミドが、ナトリウムアミドを含む、前項〔6〕に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
本実施形態のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法は、
蒸留塔の塔底部において、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体を異性化して、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を得る異性化工程と、
前記蒸留塔の塔頂部より、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を、蒸留分離する蒸留工程と、を有し、
前記異性化工程における異性化反応温度が、80〜140℃であり、
前記異性化工程及び前記蒸留工程が、同時に実施される、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
本実施形態のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法を示す概略図を図1に示す。蒸留塔3は、塔底部に備えられた供給管1と、塔頂部に備えられた第1の排出管2と、塔底部に備えられた第2の排出管4と、を備える。供給管1からは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体とトランス体の混合物が蒸留塔3へ、供給される。また、第1の排出管2からは、蒸留により分離されたビス(アミノメチル)シクロヘキサンが排出される。さらに、第2の排出管4からは、蒸留により分離された高沸点化合物が排出される。
異性化工程は、蒸留塔の塔底部において、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体を異性化して、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を得る工程である。
本実施形態のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法では、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを用いる。このなかでも、本発明の効果の観点から、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。なお、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、それぞれトランス体とシス体の混合物であってもよい。
ベンジルアミン化合物としては、特に限定されないが、例えばベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミンといったモノベンジルアミン化合物;ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミンといった2級ベンジルアミン化合物;メタキシリレンジアミンやパラキシリレンジアミンのような2つのアミノメチル基を有する化合物などが挙げられる。このなかでも、反応効率の観点から、ベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。これら化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
異性化工程に用いられ得る化合物は、アルカリ金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物である。これら化合物を用いることにより異性化反応をより効率的に進行させることができる。これら化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
蒸留工程は、蒸留塔の塔頂部より、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を、蒸留分離する工程である。蒸留工程においては、上記異性化工程により得られる、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体のみならず、上記異性化工程の原料中に存在していた、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体も蒸留することができる。
異性体組成(シス/トランス比率)は、Valian製のキャピラリーカラムであるCP−Volamineを取り付けたガスクロマトグラフィーを用いて分析した。1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンはトランス体の方がシス体よりも低沸点であり、ガスクロマトグラフィーで先に検出される異性体がトランス体、後に検出される異性体がシス体である。1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンはシス体の方がトランス体よりも低沸点であり、ガスクロマトグラフィーで先に検出される異性体がシス体、後に検出される異性体がトランス体である。トランス体比率は、トランス体の面積値/(シス体の面積値+トランス体の面積値)×100で、シス体比率は100−トランス体比率で算出を行った。
回収率(%)=(留分中のビス(アミノメチル)シクロヘキサン+充填塔のホールド分のビス(アミノメチル)シクロヘキサン+ボトム中のビス(アミノメチル)シクロヘキサン)/(仕込みのビス(アミノメチル)シクロヘキサン)×100
留出率は下記式で算出した。
留出率(%)=留分中のビス(アミノメチル)シクロヘキサン/仕込みのビス(アミノメチル)シクロヘキサン×100
異性体組成(シス/トランス比率)が59.3/40.7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)はパラキシリレンジアミンを触媒としてRu−アルミナを用いて公知の技術(例えば、特許文献2)で核水添し、蒸留により精製したものを使用した。
蒸留塔としては、図1に示すものを用いた。具体的には、バッチ方式で、原料を塔底部に供給し、目的とする異性体を塔頂部から分離蒸留した。
異性体組成(シス/トランス比率)が59.3/40.7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン6gに4−メチルベンジルアミン(4−MBA)0.2g、ナトリウムアミド0.2gを加え、アルゴン雰囲気下で120℃、4時間異性化反応を行った。なお、蒸留は行わなかった。異性化後の異性体組成(シス/トランス比率)は17/83であり、回収率は96.3%であった。更に2時間異性化反応を継続したが、異性体比は変動せず、平衡組成に達していると考えられる。
異性体組成(シス/トランス比率)が59.3/40.7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを107g測りとり、内径25mmのスルザーパックを充填した(理論段数7段)蒸留塔を使用して、下記条件で、蒸留を行った。得られた1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体は最大で67.5%であり、留出率が増加するにつれてトランス体の比率が低下した。留出率とトランス体比率の変化について、図2に記載した。
(条件)
塔底部温度 :104〜113℃
塔頂部圧力 :2.3〜4.5mmHg
塔底部圧力 :3.5〜5.3mmHg
還流比 :60〜120
内径25mmのスルザーパックを充填した(理論段数7段)蒸留塔の塔底部に、異性体組成(シス/トランス比率)が59.3/40.7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン201g、4−メチルベンジルアミン(4−MBA)4.2g、ナトリウムアミド1.6gを仕込み、10時間経過後、下記条件で、蒸留及び異性化反応を行った。
(条件)
塔底部温度 :104〜113℃
塔頂部圧力 :2.3〜4.5mmHg
塔底部圧力 :3.5〜5.3mmHg
還流比 :60〜120
異性体組成(シス/トランス比率)が59.3/40.7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン150g、4−メチルベンジルアミン(4−MBA)6.2g、ナトリウムアミド6.2gを用いた以外は実施例1と同様の方法で異性化反応及び蒸留を行った。トータルで留分として70%回収した。平均の異性体組成(シス/トランス比率)は7.1/92.9であった。ボトム液を含めた1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン回収率は90.6%、異性体組成(シス/トランス比率)は9.2/90.8であった。留出率とトランス体比率の変化について、図4に記載した。
異性体組成(シス/トランス比率)が59.3/40.7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン200gに4−メチルベンジルアミン(4−MBA)8g、ナトリウムアミド8gを加え、アルゴン雰囲気下で120℃、5時間異性化反応を行った。
(条件)
塔底部温度 :150−165℃
塔頂部圧力 :15mmHg
塔底部圧力 :37〜39mmHg
還流比 :120
2…第1の排出管
3…蒸留塔
4…第2の排出管
Claims (8)
- 蒸留塔の塔底部において、アルカリ金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属含有化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、ベンジルアミン化合物と、の存在下、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体を異性化して、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を得る異性化工程と、
前記蒸留塔の塔頂部より、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体、及び/又は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス体を、蒸留分離する蒸留工程と、を有し、
前記化合物の使用量が、前記ベンジルアミン化合物1当量に対して、0.10〜4モル当量であり、
前記ベンジルアミン化合物の使用量が、前記ビス(アミノメチル)シクロヘキサン100wt%に対して、0.10〜10wt%であり、
前記異性化工程における異性化反応温度が、80〜140℃であり、
前記異性化工程及び前記蒸留工程が、同時に実施される、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。 - 前記蒸留工程において、前記塔頂部より得られる前記1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体含有率が、84%以上である、請求項1に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
- 前記蒸留工程において、前記塔頂部より得られる前記1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトランス体含有率が、90%以上である、請求項1又は2に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
- 前記ベンジルアミン化合物が、ベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
- 前記アルカリ金属が、金属ナトリウムを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
- 前記アルカリ金属含有化合物が、アルカリ金属水素化物及びアルカリ金属アミドからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
- 前記アルカリ金属水素化物が、水素化ナトリウムを含む、請求項6に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
- 前記アルカリ金属アミドが、ナトリウムアミドを含む、請求項6に記載のビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造方法。
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