JP6736537B2 - フェンダ支持構造、及びそれを具備する作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、前輪を覆うフェンダを支持するフェンダ支持構造、及びそれを具備する作業車両の技術に関する。
従来、前輪を覆うフェンダを支持するフェンダ支持構造の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の技術では、前輪のステアリング動作(操舵)に連動する連動部材に、ステー等を介して前輪を覆うフェンダを固定する技術が開示されている。このような構成によれば、前輪の操舵に伴ってフェンダも回動するため、前輪を操舵した状態でも当該前輪による泥はねを防止することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、前輪の操舵に伴ってフェンダを回動させると、当該フェンダが車体(例えば、ボンネット等)と干渉するおそれがある。
実登第2525483号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、前輪の左右への操舵に伴うフェンダの干渉を抑制することができるフェンダ支持構造、及びそれを具備する作業車両を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、前輪の操舵に伴って回動する第一回動体と、前記第一回動体に対して相対回動可能であり、前記前輪を覆うフェンダを支持する第二回動体と、前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記第二回動体の前記第一回動体に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させる保持機構と、前記前輪の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合、前記保持力に抗して前記前輪の操舵に伴う前記第二回動体の回動を規制する規制機構と、を具備し、前記保持機構は、前記第二回動体の回動軸と略平行な軸線を有するコイル状に巻回された本体部、及び前記本体部から径方向に突出するように形成された両端部を有するねじりばねと、前記第一回動体に固定され、前記両端部のいずれか一方と係合可能な第一固定部と、前記第二回動体に固定され、前記両端部のいずれか他方と係合可能な第二固定部と、を具備するものである。
請求項2においては、前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記ねじりばねを径方向外側から覆う保護部材をさらに具備するものである。
請求項3においては、前記第一固定部及び前記第二固定部は、前記第二回動体の回動軸と略平行な棒状に形成され、前記第二回動体が前記初期位置にある状態において、前記両端部のどちらにも係合するものである。
請求項4においては、前記両端部は、前記本体部から径方向内側に向かって突出するように形成されているものである。
請求項5においては、前記両端部は、前記第二回動体が前記初期位置にある状態において、前記第二回動体の回動軸の軸線方向から見て、径方向内側に向かって互いの隙間が小さくなるように形成され、前記第一固定部及び前記第二固定部は、前記隙間に配置されているものである。
請求項6においては、前記第一固定部及び前記第二固定部は、前記第二回動体の回動軸と略平行に延びる円柱状に形成され、前記第一固定部又は前記第二固定部のうち、径方向外側に位置するものは、径方向内側に位置するものよりも径が大きくなるように形成されているものである。
請求項7においては、前輪の操舵に伴って回動する第一回動体と、前記第一回動体に対して相対回動可能であり、前記前輪を覆うフェンダを支持する第二回動体と、前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記第二回動体の前記第一回動体に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させる保持機構と、前記前輪の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合、前記保持力に抗して前記前輪の操舵に伴う前記第二回動体の回動を規制する規制機構と、を具備し、前記規制機構は、車体が直進する状態における前記前輪の操舵角度を基準として、前記前輪の前側が車体の内側へと回動して前記第二回動体が規制される際の前記前輪の操舵角度が、前記前輪の後側が車体の内側へと回動して前記第二回動体が規制される際の前記前輪の操舵角度よりも大きくなるように形成されているものである。
請求項8においては、前輪の操舵に伴って回動する第一回動体と、前記第一回動体に対して相対回動可能であり、前記前輪を覆うフェンダを支持する第二回動体と、前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記第二回動体の前記第一回動体に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させる保持機構と、前記前輪の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合、前記保持力に抗して前記前輪の操舵に伴う前記第二回動体の回動を規制する規制機構と、を具備し、前記規制機構は、前記第二回動体に固定され、前記前輪の前側が車体の内側へと所定の操舵角度だけ回動した際に車体の一部分と当接することで前記第二回動体の回動を規制する第一規制部と、前記第二回動体に固定され、前記前輪の後側が車体の内側へと所定の操舵角度だけ回動した際に前記一部分と当接することで前記第二回動体の回動を規制する第二規制部と、を具備するものである。
請求項9においては、前記規制機構は、前記第一規制部及び前記第二規制部の前記第二回動体に対する固定位置を変更可能な調節機構をさらに具備するものである。
請求項10においては、前記一部分は、前記前輪に動力を伝達するフロントアクスル機構のケースの接合部であるものである。
請求項11においては、前記前輪の操舵角度が、車体が直進する操舵角度にされた状態において、前記第一規制部の方が、前記第二規制部よりも前記一部分から左右方向に離れた位置にあるものである。
請求項12においては、前記第一回動体と前記第二回動体との間をシールするシール部材をさらに具備するものである。
請求項13においては、前記第二回動体は、前記第一回動体を上方及び側方から覆うように配置されるものである。
請求項14においては、前記フェンダ支持構造を具備するものである。
請求項15においては、前記フェンダは、その前端が、前後方向において前記前輪の前端と同一、又は前記前輪の前端よりも前方に位置するように形成されるものである。
請求項16においては、前記フェンダは、前記前輪の外周を、半分以上覆うように形成されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、前輪の左右への操舵に伴うフェンダの干渉を抑制することができる。特に、前輪が一方向に操舵された場合のみならず、他方向に操舵された場合にもフェンダの干渉を抑制することができるため、当該フェンダの形状の自由度を向上させることができる。また、保持機構に異物が付着するのを効果的に防止することができる。また、簡素な構成で保持力を得ることができる。
請求項2においては、ねじりばねが他の部材と干渉するのを防止することができる。
請求項3においては、簡素な構成で保持力を得ることができる。すなわち、前輪が左右のどちらに操舵されたとしても、第一固定部及び第二固定部が、ねじりばねの両端部のいずれか一方に係合して保持力を得ることができる。このように、前輪の操舵方向にかかわらず、2つの固定部(第一固定部及び第二固定部)とねじりばねによって保持力を得ることができる。
請求項4においては、高い保持力を得易くすることができる。すなわち、両端部を本体部の内側に形成することで、コイル状に巻回された本体部の径を大きくし易くすることができる。これによって、当該ねじりばねの復元力(保持力)が確保し易くなる。
請求項5においては、第一固定部及び第二固定部とねじりばねの両端部とを係合しやすくすることができる。
請求項6においては、第二回動体の回動位置を初期位置に保持するための保持力を適切に発生させることができる。
請求項7においては、前輪の左右への操舵に伴うフェンダの干渉を抑制することができる。特に、前輪が一方向に操舵された場合のみならず、他方向に操舵された場合にもフェンダの干渉を抑制することができるため、当該フェンダの形状の自由度を向上させることができる。また、保持機構に異物が付着するのを効果的に防止することができる。また、より適切にフェンダを前輪に追従させることができる。すなわち、通常、車体(例えばボンネット)の前側の幅が後側の幅よりも狭く形成されているため、前輪の前側が車体の内側へと回動する場合には、前輪の後側が車体の内側へと回動する場合に比べて、よりフェンダを車体に近づけることができる。このため、前輪の前側が車体の内側へと回動する際には、より大きい操舵角度で第二回動体を規制することで、広い回動範囲でフェンダを前輪に追従させることができる。
請求項8においては、前輪の左右への操舵に伴うフェンダの干渉を抑制することができる。特に、前輪が一方向に操舵された場合のみならず、他方向に操舵された場合にもフェンダの干渉を抑制することができるため、当該フェンダの形状の自由度を向上させることができる。また、保持機構に異物が付着するのを効果的に防止することができる。また、簡素な構成で第二回動体の回動を規制することができる。
請求項9においては、第二回転体の回動が規制される前輪の操舵角度を任意に変更することができる。これによって、車体の形状や作業内容、作業者の好みに応じた設定が可能となる。
請求項10においては、第一規制部及び第二規制部が当接する部位の確認が容易となる。これによって、第一規制部及び第二規制部の位置の調節が容易となる。
請求項11においては、より適切にフェンダを前輪に追従させることができる。
請求項12においては、保持機構に異物が付着するのを効果的に防止することができる。
請求項13においては、第一回動体及び第二回動体の内部への異物の侵入を効果的に防止することができる。
請求項14においては、前輪の左右への操舵に伴うフェンダの干渉を抑制することができる。
請求項15においては、前輪の泥はね、特に、後進時の泥はねを効果的に抑制することができる。
請求項16においては、前輪の泥はねを効果的に抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図。 フロントアクスル機構及びフェンダ支持構造を示した後方斜視図。 フロントアクスル機構及びフェンダ支持構造を示した上方斜視図。 フェンダ支持構造を示した側面断面図。 A−A断面模式図。 カバー部材が一方向に回動した状態を示した平面断面模式図。 カバー部材が他方向に回動した状態を示した平面断面模式図。 (a)規制機構を示した平面模式図。(b)前輪が一方向に操舵された際の規制機構を示した平面模式図。(c)前輪が他方向に操舵された際の規制機構を示した平面模式図。 (a)前輪が一方向に操舵された状態を示した平面模式図。(b)前輪フェンダが規制される様子を示した平面模式図。 (a)前輪が他方向に操舵された状態を示した平面模式図。(b)前輪フェンダが規制される様子を示した平面模式図。 (a)前輪フェンダの第一変形例を示した側面図。(b)前輪フェンダの第二変形例を示した側面図。 (a)前輪フェンダと前輪の回動軸を異なる位置に配置した例を示した平面模式図。(b)前輪が左方に操舵された様子を示した平面模式図。(c)前輪が右方に操舵された様子を示した平面模式図。 ねじりばねの変形例を示した平面断面模式図。
まず、図1を用いて、一実施形態に係るフェンダ支持構造100を具備するトラクタ1の概略について説明する。
トラクタ1は、主として機体フレーム2、フロントアクスル機構3、前輪4、後輪5、エンジン6、ボンネット7、ステアリングホイール8、座席9、前輪フェンダ10、後輪フェンダ11及びフェンダ支持構造100を具備する。
機体フレーム2は、その長手方向を前後方向として配置される。機体フレーム2の前部はフロントアクスル機構3を介して左右一対の前輪4に支持される。機体フレーム2の後部はリアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪5に支持される。前輪4は、概ね上方から前輪フェンダ10によって覆われる。後輪5は、概ね上方から後輪フェンダ11によって覆われる。
前輪フェンダ10は、その前端が、前輪4の前端よりもやや前方に位置するように形成されている。これによって、トラクタ1が後進(後退)する際の前輪4による泥はね等を効果的に防止することができる。当該前輪フェンダ10は、後述するフェンダ支持構造100によって支持されている。
機体フレーム2の前部にはエンジン6が設けられる。エンジン6はボンネット7に覆われる。エンジン6の動力は、適宜の変速装置で変速された後、フロントアクスル機構3を経て前輪4に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪5に伝達可能とされる。エンジン6の動力によって前輪4及び後輪5が回転駆動され、トラクタ1の走行が行われる。
機体フレーム2の前後中途部から後部にかけては、ステアリングホイール8、変速操作具(不図示)、座席9等を有する運転操作部が設けられる。ステアリングホイール8は、その回動操作量に応じて左右一対の前輪4の切れ角を調節(変更)し、トラクタ1を操舵することができる。
次に、図2及び図3を用いて、フロントアクスル機構3について、より具体的に説明する。なお、図2及び図3には、主にフロントアクスル機構3の右側の部分(右側の前輪4の近傍)を図示しているが、フロントアクスル機構3の左側も略同様に(左右略対称に)形成されている。
フロントアクスル機構3は、エンジン6からの動力を前輪4に伝達すると共に、当該前輪4の切れ角を調節することでトラクタ1を操舵するものである。フロントアクスル機構3は、主としてデフケース31、ベベルギヤケース32及び前輪ケース33を具備する。
デフケース31は、フロントアクスル機構3の左右中央部を形成する箱状の部材である。デフケース31は、長手方向を左右方向に向けて配置される。デフケース31は、その左右両端部を連通するような中空状に形成される。デフケース31の中央部は、機体フレーム2に対して揺動可能となるように連結される。デフケース31の左右両端部には、フランジ部31aが形成される。
ベベルギヤケース32は、中空状に形成された箱状の部材である。ベベルギヤケース32の内側の端部(図2及び図3では、左端部)には、フランジ部32aが形成される。ベベルギヤケース32のフランジ部32aは、デフケース31のフランジ部31aにボルト等を用いて固定される。このように、デフケース31とベベルギヤケース32は、フランジ部31a及びフランジ部32aにおいて互いに接合されている。
前輪ケース33は、中空状に形成された箱状の部材である。前輪ケース33は、ベベルギヤケース32に対して回動可能に連結される。より具体的には、前輪ケース33は、略上下方向に向けられた回動軸を中心として、ベベルギヤケース32に対して左右に回動することができる。前輪ケース33の側部には図示せぬ前車軸が設けられ、当該前車軸を介して前輪4が固定される。
前輪ケース33には、図示せぬステアリングシリンダが連結される。ステアリングホイール8が回動操作されると、当該回動操作量に応じてステアリングシリンダが伸縮する。これによって、前輪ケース33がベベルギヤケース32に対して回動し、ひいては前輪4を操舵することができる。
また、デフケース31、ベベルギヤケース32及び前輪ケース33の内部には、動力を伝達するための部材(軸部材やギヤ等)が配置され、当該軸部材等によってエンジン6からの動力が前輪4へと伝達される。
次に、図2から図8までを用いて、フェンダ支持構造100について、より具体的に説明する。なお、以下では、右側の前輪フェンダ10を支持するフェンダ支持構造100について説明するが、左側の前輪フェンダ10を支持するフェンダ支持構造100も同様(右側のフェンダ支持構造100と左右対称)に構成されている。
フェンダ支持構造100は、前輪フェンダ10を支持するものである。フェンダ支持構造100は、主としてベース部材110、回動軸120、カバー部材130、シール部材140、保持機構150及び規制機構160を具備する。
図4及び図5に示すベース部材110は、円形板状の部材である。ベース部材110は、前輪ケース33(図2及び図3参照)の上部(前輪ケース33の回動軸の軸線上)に固定される。これによって、ベース部材110は、前輪ケース33と一体的に回動する。
回動軸120は、略円柱状の部材である。回動軸120は、軸線を略上下方向に向けた状態で配置される。回動軸120の軸線は、前輪ケース33の回動軸の軸線と一致するように配置されている。回動軸120の上下中途部は、上下両端部に比べて径が大きくなるように形成される。回動軸120の下端部は、ベース部材110の中央部に形成された貫通孔に挿通されて固定される。
図2から図5までに示すカバー部材130は、中空状に形成された箱状の部材である。カバー部材130は、底面が開放されている。カバー部材130の内面は、平面断面視円形状(ベース部材110の外径よりもやや大きい径を有する円形状)となるように形成される。カバー部材130は、ベース部材110を上方から覆うように配置される。カバー部材130の内面(内周面)とベース部材110の外周面との間には第一ブッシュ131が配置される。
カバー部材130の下端部は、ベース部材110を側方(径方向外側)から覆うように配置される。これによって、カバー部材130は、ベース部材110を側方及び上方から覆うことができる。第一ブッシュ131は、略円筒状に形成される。第一ブッシュ131は、軸線を略上下方向に向けた状態で配置される。第一ブッシュ131は、カバー部材130の内面(内周面)に沿うように配置される。第一ブッシュ131は、カバー部材130の内面の上端部近傍から下端部近傍に亘るように配置される。第一ブッシュ131の下端部は、カバー部材130の内面(内周面)とベース部材110の外周面との間に配置される。
カバー部材130の上面には貫通孔が形成され、当該貫通孔に回動軸120の上端部が挿通される。当該貫通孔の内周面と回動軸120の外周面との間には第二ブッシュ132が配置される。第二ブッシュ132の上下には、それぞれスラストカラー133が設けられる。また、上側のスラストカラー133のすぐ上方において、回動軸120に止め輪134が設けられる。また、カバー部材130の貫通孔は、蓋部材135によって上方から閉塞される。
図2及び図3に示すように、カバー部材130の外側面には、フェンダブラケット136が固定される。フェンダブラケット136は、当該カバー部材130から略上方に向かって延びるように形成される。フェンダブラケット136の上端部は、前輪フェンダ10に固定される。このように、フェンダブラケット136を介して、前輪フェンダ10がカバー部材130によって支持される。
このように構成されたカバー部材130は、回動軸120を中心としてベース部材110に対して相対的に回動することができる。
図4に示すシール部材140は、カバー部材130の内部への異物(水、泥、埃等)の侵入を防止するものである。シール部材140は、カバー部材130の内周面の下端部に設けられる。これによって、シール部材140は、カバー部材130の内周面とベース部材110の外周面の間の隙間を埋めることができる。
より詳細には、カバー部材130の内面(内周面)には、凹部137が形成される。凹部137は、カバー部材130の内面(内周面)の下端部を径方向外側に拡径することにより形成されている。シール部材140は、円環状に形成される。シール部材140は、カバー部材130の凹部137に嵌め合わされて固定される。シール部材140は、第一ブッシュ131のすぐ下方に配置される。シール部材140の内周面は、ベース部材110と接する。これによって、シール部材140は、カバー部材130とベース部材1100の間をシールすることができる。
図4及び図5に示す保持機構150は、カバー部材130のベース部材110に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させるものである。保持機構150は、カバー部材130の内部に収容される。保持機構150は、主として第一固定軸151、第二固定軸152及びねじりばね153を具備する。
第一固定軸151は、円柱状の部材である。第一固定軸151は、軸線を略上下方向に向けた状態で配置される。第一固定軸151は、回動軸120に対して径方向に隣接するように配置される。第一固定軸151の下端部は、ベース部材110に圧入されて固定される。
第二固定軸152は、第一固定軸151と同じ形状に形成された円柱状の部材である。第二固定軸152は、軸線を略上下方向に向けた状態で配置される。第二固定軸152は、第一固定軸151に対して径方向に隣接するように(第一固定軸151の径方向外側に)配置される。第二固定軸152の上端部は、カバー部材130に圧入されて固定される。
第一固定軸151及び第二固定軸152は、回動軸120と略平行に延びるように配置されている。すなわち、第一固定軸151と第二固定軸152は、互いに平行に配置される。このように配置することにより、保持機構150の省スペース化(小型化)が図り易くなる。
ねじりばね153は、素線を適宜屈曲させて形成されるコイルばねである。ねじりばね153は、主として本体部153a、上端部153b及び下端部153cを具備する。
本体部153aは、素線をコイル状に巻回して形成された部分である。本体部153aの外径は、カバー部材130の内周面の内径より若干小さくなるように形成される。本体部153aは、軸線を略上下方向(回動軸120の軸線と略平行)に向けた状態で、回動軸120を外側から囲むように配置される。
上端部153bは、素線の一端(上側の端部)を径方向内側に向けて屈曲させて形成された部分である。これによって、上端部153bは、本体部153aから径方向内側に向かって突出するように形成される。上端部153bは、径方向において、本体部153aから回動軸120の近傍まで延びるように形成される。
下端部153cは、素線の他端(下側の端部)を径方向内側に向けて屈曲させて形成された部分である。これによって、下端部153cは、本体部153aから径方向内側に向かって突出するように形成される。下端部153cは、径方向において、本体部153aから回動軸120の近傍まで延びるように形成される。
ここで、ねじりばね153に外力が加わらない状態において、上端部153bと下端部153cは、平面視(図5参照)において略平行に延びるように形成される。また、平面視において、上端部153bと下端部153cの間には、一定の隙間が形成される。当該隙間の幅は、第一固定軸151及び第二固定軸152の外径と略同一となるように形成される。ねじりばね153は、当該隙間に第一固定軸151及び第二固定軸152が位置するように配置される。この状態におけるカバー部材130のベース部材110に対する回動位置を、カバー部材130の「初期位置」と称する。カバー部材130が初期位置にある場合、第一固定軸151及び第二固定軸152は、上端部153bと下端部153cに挟まれるようにして、当該上端部153b及び下端部153cに係合している。
このように、保持機構150は、カバー部材130の内部(ベース部材110とカバー部材130によって囲まれた空間)に収容される。また保持機構150が収容される当該空間は、シール部材140によって密閉され、外部からの異物の侵入が防止されている。
このように構成された保持機構150によって、カバー部材130の回動位置を初期位置(図5参照)に保持しようとする保持力が発生する。
例えば、図6に示すように、カバー部材130がベース部材110に対して平面視時計回りに回動した場合、当該カバー部材130に固定された第二固定軸152も回動軸120を中心として平面視時計回りに回動する。すると、当該第二固定軸152がねじりばね153の下端部153cと係合し、当該下端部153cも平面視時計回りに回動する。一方、ねじりばね153の上端部153bは第一固定軸151と係合し、その位置から回動することはない。これによって、ねじりばね153がねじられるため、当該ねじりばね153の付勢力によって第二固定軸152を元の位置(初期位置)に戻そうとする復元力(保持力)が発生する。
この際、ねじりばね153の本体部153aは、第一固定軸151及び第二固定軸152によってねじられることによって、径が小さくなる。しかし、本体部153aはカバー部材130の内周面付近に沿うように配置されており、当該本体部153aの内側にはスペースが確保されている。このため、本体部153aの径が小さくなったとしても、当該本体部153aが他の部材等に干渉することがない。
このように、本体部153aをカバー部材130の内周面付近に配置することで、当該本体部153aがねじられた際に他の部材と干渉し難くすることができる。これによって、ベース部材110に対するカバー部材130の相対的な回動量(可動範囲)を大きく確保することができる。
さらに、カバー部材130の内周面には、第一ブッシュ131が設けられている。当該第一ブッシュ131によって、ねじりばね153がカバー部材130と干渉するのを防止することができる。これによって、カバー部材130やねじりばね153の変形や損傷を防止することができる。
また、図7に示すように、カバー部材130がベース部材110に対して平面視反時計回りに回動した場合、当該カバー部材130に固定された第二固定軸152も回動軸120を中心として平面視反時計回りに回動する。すると、当該第二固定軸152がねじりばね153の上端部153bと係合し、当該上端部153bも平面視反時計回りに回動する。一方、ねじりばね153の下端部153cは第一固定軸151と係合し、その位置から回動することはない。これによって、ねじりばね153がねじられるため、当該ねじりばね153の付勢力によって第二固定軸152を元の位置(初期位置)に戻そうとする復元力(保持力)が発生する。
このように、カバー部材130がベース部材110に対して回動しようとすると、第一固定軸151及び第二固定軸152が、それぞれねじりばね153の両端部(上端部153b又は下端部153c)と係合することで、当該カバー部材130を初期位置に保持しようとする保持力が発生する。このため、基本的には、ベース部材110とカバー部材130が相対的に回動することはなく、前輪4の操舵に伴ってベース部材110が回動すると、カバー部材130も当該ベース部材110と一体的に回動することになる。
図2、図3及び図8に示す規制機構160は、ベース部材110の回動に伴うカバー部材130の回動を規制するものである。規制機構160は、主として前側ステー161、前側規制部162、後側ステー163及び後側規制部164を具備する。
前側ステー161は、略板状の部材である。前側ステー161は、カバー部材130の前端部に固定される。前側ステー161の左端部は、前方に向かって屈曲される。当該前側ステー161の左端部(前方に向かって屈曲された部分)には、後述する前側規制部162を挿通するための貫通孔(不図示)が形成され、当該貫通孔に対応する位置に前側ナット161aが固定される。
前側規制部162は、前側ステー161から左方に突出する部分である。前側規制部162は、前側ステー161の左端部(前方に向かって屈曲された部分)に固定される。前側規制部162は、ボルトにより形成される。前側ステー161の左端部に形成された貫通孔に前側規制部162(ボルト)を挿通し、前側ナット161aに締結することで、当該前側規制部162が前側ステー161に固定される。この際、前側規制部162の前側ナット161aへの締め込み量を変更することで、当該前側規制部162の位置(カバー部材130に対する固定位置)を任意に調節することができる。
後側ステー163は、略板状の部材である。後側ステー163は、カバー部材130の後端部に固定される。後側ステー163の左端部は、後方に向かって屈曲される。当該後側ステー163の左端部(後方に向かって屈曲された部分)には、後述する後側規制部164を挿通するための貫通孔(不図示)が形成され、当該貫通孔に対応する位置に後側ナット163aが固定される。
後側規制部164は、後側ステー163から左方に突出する部分である。後側規制部164は、後側ステー163の左端部(後方に向かって屈曲された部分)に固定される。後側規制部164は、前側規制部162と同様に、ボルトにより形成される。後側ステー163の左端部に形成された貫通孔に後側規制部164(ボルト)を挿通し、後側ナット163aに締結することで、当該後側規制部164が後側ステー163に固定される。この際、後側規制部164の後側ナット163aへの締め込み量を変更することで、当該後側規制部164の位置(カバー部材130に対する固定位置)を任意に調節することができる。
トラクタ1が直進するように前輪4の操舵角度が調節されている状態において、図8(a)に示すように、前側ステー161と後側ステー163は前後略対称となるように形成されている。またこの状態において、フランジ部32aと前側規制部162の間の距離x1は、フランジ部32aと後側規制部164の間の距離x2よりも大きくなるように(すなわち、前側規制部162の方が、後側規制部164よりもフランジ部32aから離れた位置となるように)、前側規制部162及び後側規制部164がそれぞれ配置されている。
このように構成された規制機構160によって、ベース部材110の回動に伴うカバー部材130の回動が規制される。
以下では、上述の如く構成されたフェンダ支持構造100によって、前輪フェンダ10の回動が規制される様子について説明する。
図8(b)及び図9(a)に示すように、前輪4が左方に(前輪4の前側がトラクタ1の車体内側に向くように)操舵されると、ベース部材110と共にカバー部材130も左方(平面視反時計回り)に回動される。従って、カバー部材130に支持された前輪フェンダ10も、前輪4の操舵に伴って回動することになる。そして、前輪4の左方への操舵角度が所定の値(操舵角度A1)となった際に、前側規制部162がフランジ部32aと当接する。これによって、カバー部材130の回動が規制される。
前側規制部162がフランジ部32aに当接した状態からさらに前輪4が左方に操舵されると、ベース部材110は左方に回動するものの、カバー部材130は前側規制部162によって規制されて回動することができない。このため、カバー部材130は回動することなく、ベース部材110だけが前輪4の操舵に伴って回動する。この状態では、相対的に見ると、カバー部材130は、ベース部材110に対して平面視時計回りに回動することになる(図6参照)。このように、前側規制部162によって、保持機構150の保持力に抗して、カバー部材130の回動が規制されることになる。
このように、前側規制部162がフランジ部32aに当接した状態では、前輪フェンダ10は回動することなく、前輪4だけが左方へと操舵される(図9(b)参照)。このように、所定の操舵角度A1において、前輪フェンダ10の回動が規制されるため、当該前輪フェンダ10がトラクタ1の車体(ボンネット7等)に干渉するのを抑制することができる。特に、本実施形態では、前輪フェンダ10の前端が、前輪4の前端よりも前方に位置するように形成されているため、前輪4を左方に操舵した際に当該前輪フェンダ10がボンネット7に干渉し易い。このため、本実施形態のようなフェンダ支持構造100(前輪フェンダ10の回動を規制する構成)が特に有用である。
また、図8(c)及び図10(a)に示すように、前輪4が右方に(前輪4の前側がトラクタ1の車体外側に向くように)操舵されると、ベース部材110と共にカバー部材130も右方(平面視時計回り)に回動される。従って、カバー部材130に支持された前輪フェンダ10も、前輪4の操舵に伴って回動することになる。そして、前輪4の右方への操舵角度が所定の値(操舵角度A2)となった際に、後側規制部164がフランジ部32aと当接する。これによって、カバー部材130の回動が規制される。
後側規制部164がフランジ部32aに当接した状態からさらに前輪4が右方に操舵されると、ベース部材110は右方に回動するものの、カバー部材130は後側規制部164によって規制されて回動することができない。このため、カバー部材130は回動することなく、ベース部材110だけが前輪4の操舵に伴って回動する。この状態では、相対的に見ると、カバー部材130は、ベース部材110に対して平面視反時計回りに回動することになる(図7参照)。このように、前側規制部162によって、保持機構150の保持力に抗して、カバー部材130の回動が規制されることになる。
このように、後側規制部164がフランジ部32aに当接した状態では、前輪フェンダ10は回動することなく、前輪4だけが右方へと操舵される(図10(b)参照)。このように、所定の操舵角度A2において、前輪フェンダ10の回動が規制されるため、当該前輪フェンダ10がトラクタ1の車体(ボンネット7等)に干渉するのを抑制することができる。
また、図8(a)に示すように、前側規制部162の方が、後側規制部164よりもフランジ部32aから離れた位置となるように構成されているため、操舵角度A1(図8(b)参照)は操舵角度A2(図8(c)参照)よりも大きくなる。すなわち、前輪4が左方に操舵された場合に前輪フェンダ10の回動が規制される操舵角度A1が、前輪4が右方に操舵された場合に前輪フェンダ10の回動が規制される操舵角度A2よりも大きくなるように設定されている。これによって、トラクタ1の車体の形状(特に、ボンネット7の形状)に応じた適切な前輪フェンダ10の回動の規制を行うことができる。
すなわち、一般的にボンネット7は先鋭状(前方に向かって左右幅が狭くなる形状)に形成されている。このため、前輪フェンダ10を右方に回動する場合に比べて、左方に回動させる場合の方が、当該前輪フェンダ10とボンネット7が干渉し難く、回動角度を大きく確保することができる。従って、操舵角度A1が操舵角度A2よりも大きくなるように設定することで、前輪フェンダ10とボンネット7の干渉を防止しつつ、前輪フェンダ10を極力前輪4に追従させ、当該前輪4による泥はね等を効果的に防止することができる。
なお、左側の前輪フェンダ10を支持するフェンダ支持構造100についても同様(右側のフェンダ支持構造100と左右対称)に構成されているため、同様に、前輪4による泥はね等を効果的に防止することができる。
以上の如く、本実施形態に係るフェンダ支持構造100は、
前輪4の操舵に伴って回動するベース部材110(第一回動体)と、
前記ベース部材110に対して相対回動可能であり、前記前輪4を覆う前輪フェンダ10(フェンダ)を支持するカバー部材130(第二回動体)と、
前記ベース部材110及び前記カバー部材130に収容され、前記カバー部材130の前記ベース部材110に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させる保持機構150と、
前記前輪4の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合、前記保持力に抗して前記前輪4の操舵に伴う前記カバー部材130の回動を規制する規制機構160と、
を具備するものである。
このように構成することにより、前輪4の左右への操舵に伴う前輪フェンダ10の干渉を抑制することができる。特に、前輪4が一方向に操舵された場合のみならず、他方向に操舵された場合にも前輪フェンダ10の干渉を抑制することができるため、当該前輪フェンダ10の形状の自由度を向上させることができる。
また、保持機構150をベース部材110及びカバー部材130に収容することで、当該保持機構150に異物(水、泥、埃等)が付着するのを防止することができ、ひいては不具合の発生を防止することができる。
また、フェンダ支持構造100は、
前記ベース部材110と前記カバー部材130との間をシールするシール部材140をさらに具備するものである。
このように構成することにより、保持機構150及びベース部材110の内部への異物の侵入を防止することができ、保持機構150に異物が付着するのを効果的に防止することができる。
また、前記カバー部材130は、
前記ベース部材110を上方及び側方から覆うように配置されるものである。
このように構成することにより、ベース部材110の上面に異物が堆積するのを防止することができ、保持機構150及びベース部材110の内部への異物の侵入を効果的に防止することができる。
また、前記保持機構150は、
前記カバー部材130の回動軸120と略平行な軸線を有するコイル状に巻回された本体部153a、及び前記本体部153aから径方向に突出するように形成された両端部(上端部153b及び下端部153c)を有するねじりばね153と、
前記ベース部材110に固定され、前記両端部のいずれか一方と係合可能な第一固定軸151(第一固定部)と、
前記カバー部材130に固定され、前記両端部のいずれか他方と係合可能な第二固定軸152(第二固定部)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、簡素な構成で保持力を得ることができる。
また、フェンダ支持構造100は、
前記ベース部材110及び前記カバー部材130に収容され、前記ねじりばね153を径方向外側から覆う第一ブッシュ131(保護部材)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、ねじりばね153が他の部材(カバー部材130等)と干渉するのを防止することができ、ひいては当該ねじりばね153やカバー部材130等の変形や損傷を防止することができる。
また、前記第一固定軸151及び前記第二固定軸152は、
前記カバー部材130の回動軸120と略平行な棒状に形成され、前記カバー部材130が前記初期位置にある状態において、前記両端部(上端部153b及び下端部153c)のどちらにも係合するものである。
このように構成することにより、簡素な構成で保持力を得ることができる。すなわち、前輪4が左右のどちらに操舵されたとしても、第一固定軸151及び第二固定軸152が、ねじりばね153の両端部のいずれか一方に係合して保持力を得ることができる。このように、前輪4の操舵方向にかかわらず、2つの固定部(第一固定軸151及び第二固定軸152)とねじりばね153によって保持力を得ることができる。
また、前記両端部(上端部153b及び下端部153c)は、
前記本体部153aから径方向内側に向かって突出するように形成されているものである。
このように構成することにより、高い保持力を得易くすることができる。すなわち、両端部を本体部153aの内側に形成することで、コイル状に巻回された本体部153aの径を大きくし易くすることができる。これによって、当該ねじりばねの復元力(保持力)が確保し易くなる。
また、前記規制機構160は、
車体が直進する状態における前記前輪4の操舵角度を基準として、前記前輪4の前側が車体の内側へと回動して前記カバー部材130が規制される際の前記前輪4の操舵角度A1が、前記前輪4の後側が車体の内側へと回動して前記カバー部材130が規制される際の前記前輪4の操舵角度A2よりも大きくなるように形成されているものである。
このように構成することにより、より適切に前輪フェンダ10を前輪4に追従させることができる。すなわち、通常、車体(例えばボンネット7)の前側の幅が後側の幅よりも狭く形成されているため、前輪4の前側が車体の内側へと回動する場合には、前輪4の後側が車体の内側へと回動する場合に比べて、より前輪フェンダ10を車体に近づけることができる。このため、前輪4の前側が車体の内側へと回動する際には、より大きい操舵角度でカバー部材130を規制することで、広い回動範囲で前輪フェンダ10を前輪4に追従させることができる。
また、前記規制機構160は、
前記カバー部材130に固定され、前記前輪4の前側が車体の内側へと所定の操舵角度A1だけ回動した際に車体の一部分と当接することで前記カバー部材130の回動を規制する前側規制部162(第一規制部)と、
前記カバー部材130に固定され、前記前輪4の後側が車体の内側へと所定の操舵角度A2だけ回動した際に前記一部分と当接することで前記カバー部材130の回動を規制する後側規制部164(第二規制部)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、簡素な構成でカバー部材130の回動を規制することができる。
また、前記規制機構160は、
前記前側規制部162及び前記後側規制部164の前記カバー部材130に対する固定位置を変更可能な調節機構(前側ナット161a及び後側ナット163a)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、カバー部材130の回動が規制される前輪4の操舵角度を任意に変更することができる。これによって、車体の形状や作業内容、作業者の好みに応じた設定が可能となる。
また、前記一部分は、
前記前輪4に動力を伝達するフロントアクスル機構30のケース(ベベルギヤケース32)の接合部(フランジ部32a)である。
このように構成することにより、前側規制部162及び後側規制部164が当接する部位(フランジ部32a)の確認が容易となる。これによって、前側規制部162及び後側規制部164の位置の調節が容易となる。
また、フェンダ支持構造100は、
前記前輪4の操舵角度が、車体が直進する操舵角度にされた状態において、
前記前側規制部162の方が、前記後側規制部164よりも前記フランジ部32aから左右方向に離れた位置にあるものである。
このように構成することにより、より適切に前輪フェンダ10を前輪4に追従させることができる。
また、トラクタ1(作業車両)は、フェンダ支持構造100を具備するものである。
このように構成することにより、前輪4の左右への操舵に伴う前輪フェンダ10の干渉を抑制することができる。
また、前記前輪フェンダ10は、
その前端が、前後方向において前記前輪4の前端よりも前方に位置するように形成されるものである。
このように構成することにより、前輪4の泥はね、特に、後進時の泥はねを効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態に係るベース部材110は、本発明に係る第一回動体の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前輪フェンダ10は、本発明に係るフェンダの実施の一形態である。
また、本実施形態に係るカバー部材130は、本発明に係る第二回動体の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る上端部153b及び下端部153cは、本発明に係るねじりばねの両端部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一固定軸151は、本発明に係る第一固定部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二固定軸152は、本発明に係る第二固定部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前側規制部162は、本発明に係る第一規制部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後側規制部164は、本発明に係る第二規制部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前側ナット161a及び後側ナット163aは、本発明に係る調節機構の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るベベルギヤケース32のフランジ部32aは、本発明に係るフロントアクスル機構のケースの接合部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一ブッシュ131は、本発明に係る保護部材の実施の一形態である。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、規制機構160は、本実施形態の構成に限るものではなく、前輪4の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合に、カバー部材130の回動を規制することができるものであればよい。また、前側規制部162及び後側規制部164が当接する部位は、フロントアクスル機構30のフランジ部32aに限るものではなく、任意に設定することができる。
また、本実施形態ではナット(前側ナット161a及び後側ナット163a)を用いて前側規制部162及び後側規制部164の固定位置を変更可能としたが、本発明はこれに限るものではなく、任意の方法で前側規制部162等の固定位置を変更可能とすることができる。
また、本実施形態においては、操舵角度A1が、操舵角度A2よりも大きくなるように形成されるものとしたが、本発明はこれに限らず、当該操舵角度A1及び操舵角度A2は、トラクタ1の形状(ボンネット7の形状)等に応じて適宜設定することが可能である。
また、本実施形態においては、前輪フェンダ10の前端は、前輪4の前端よりもやや前方に位置するように形成される(図1参照)ものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図11(a)に示す第一変形例のように、前後方向において、前輪フェンダ10の前端を、前輪4の前端と同一位置Yに配置することも可能である。このように、前輪フェンダ10の前端が、前輪4の前端と同一か、前輪4の前端よりも前方に位置するように形成することで、当該前輪4による泥はね、特に、後進時の泥はねを効果的に防止することができる。
また、図11(b)に示す第二変形例のように、前輪フェンダ10を、前輪4の外周の半分以上を覆うように形成することも可能である。より具体的には、側面視において、前輪4の外周の半分以上(すなわち、前輪4の回動軸を中心として180度以上の範囲)を、外側から覆うように前輪フェンダ10を形成することも可能である。このように構成することにより、前輪4の外周の広い範囲を覆うことができるため、当該前輪4の泥はねを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態においては、前輪フェンダ10の回動軸(すなわち、カバー部材130の回動軸120)は、前輪4の回動軸(すなわち、前輪ケース33の回動軸)の軸線と一致するように配置されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、図12(a)に示すように、前輪フェンダ10の回動軸(図12におけるC1)と、前輪4の回動軸(図12におけるC2)とを、異なる位置に配置することも可能である。具体的には、図12に示す例では、前輪フェンダ10の回動軸C1を、前輪4の回動軸C2よりも外側(前輪4側)に位置するように設定している。このように構成することにより、図12(b)及び図12(c)に示すように、前輪フェンダ10がよりトラクタ1の車体(ボンネット7等)に干渉し難くなる。また、前輪フェンダ10と前輪4とのずれが少なくなるため、前輪4による泥はねをより効果的に防止することができる。このような観点から、前輪フェンダ10の回動軸C1は、極力前輪4の幅方向中心に近い位置に設定することが望ましい。
また本実施形態では、ねじりばね153の両端部(上端部153b及び下端部153c)は、カバー部材130が初期位置にある状態において、平面視略平行に延びるように形成されるものとした(図5参照)が、本発明はこれに限るものではない。
例えば、図13に示す変形例のように、ねじりばね153の両端部(上端部153b及び下端部153c)は、先端(径方向内側)に向かって互いの隙間が小さくなる(互いに近接する)ように形成されるものであってもよい。当該隙間に第一固定軸151及び第二固定軸152を配置することによって、第一固定軸151及び第二固定軸152が、当該両端部(上端部153b及び下端部153c)と係合し易くなる。これによって、第一固定軸151及び第二固定軸152と当該両端部との係合が、車体の揺れ等によって意図せず解除されるのを防止することができる。
また、この場合、平面視における上端部153bと下端部153cとの間の隙間は、径方向外側ほど大きくなる。従ってこの場合、図13に示す変形例のように、第一固定軸151及び第二固定軸152のうち、径方向外側に位置するもの(本実施形態では、第二固定軸152)の径を大きくすることが好ましい。すなわち、カバー部材130が初期位置にある状態において、第一固定軸151及び第二固定軸152のいずれもが、上端部153b及び下端部153cと接する(係合する)ように、当該第一固定軸151及び第二固定軸152の径を適宜設定することが望ましい。これによって、カバー部材130の回動位置を初期位置に保持するための保持力を適切に発生させることができる。
以上の如く、変形例に係るねじりばね153の両端部(上端部153b及び下端部153c)は、
前記カバー部材130が前記初期位置にある状態において、前記カバー部材130の回動軸120の軸線方向から見て、径方向内側に向かって互いに近接するように形成され、
前記第一固定軸151及び前記第二固定軸152は、
前記両端部の間に配置されているものである。
このように構成することにより、第一固定軸151及び第二固定軸152と当該両端部とを係合しやすくすることができる。
また、前記第一固定軸151及び前記第二固定軸152は、
前記カバー部材130の回動軸120と略平行に延びる円柱状に形成され、
前記第一固定軸151又は前記第二固定軸152のうち、第二固定軸152(径方向外側に位置するもの)は、第一固定軸151(径方向内側に位置するもの)よりも径が大きくなるように形成されているものである。
このように構成することにより、カバー部材130の回動位置を初期位置に保持するための保持力を適切に発生させることができる。
なお、上記実施形態においては、ねじりばね153の両端部(上端部153b及び下端部153c)が平面視(図5や図14参照)において近接した位置(第一固定軸151及び第二固定軸152を挟む位置)に配置される例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、カバー部材130を初期位置に戻そうとする復元力(保持力)が得られるものであればよい。例えば、当該ねじりばね153の両端部を、互いに離れた位置(例えば、回動軸120を中心として180度異なる位置等)に配置することも可能である。
また、保持機構150の構成は上記実施形態に限るものではなく、カバー部材130を初期位置に保持しようとする保持力を発生させることができるものであればよい。例えば、ねじりばね153に代えて、その他種々の付勢部材を用いることも可能である。
また、上記実施形態においては、作業車両としてトラクタ1を例示したが、本発明はその他種々の作業車両(農業車両、建設車両、産業車両等)に適用することが可能である。
1 トラクタ
4 前輪
10 前輪フェンダ
30 フロントアクスル機構
32 ベベルギヤケース
32a フランジ部
100 フェンダ支持構造
110 ベース部材
130 カバー部材
150 保持機構
151 第一固定軸
152 第二固定軸
153 ねじりばね
153a 本体部
153b 上端部
153c 下端部
160 規制機構
162 前側規制部
164 後側規制部

Claims (16)

  1. 前輪の操舵に伴って回動する第一回動体と、
    前記第一回動体に対して相対回動可能であり、前記前輪を覆うフェンダを支持する第二回動体と、
    前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記第二回動体の前記第一回動体に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させる保持機構と、
    前記前輪の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合、前記保持力に抗して前記前輪の操舵に伴う前記第二回動体の回動を規制する規制機構と、
    を具備し、
    前記保持機構は、
    前記第二回動体の回動軸と略平行な軸線を有するコイル状に巻回された本体部、及び前記本体部から径方向に突出するように形成された両端部を有するねじりばねと、
    前記第一回動体に固定され、前記両端部のいずれか一方と係合可能な第一固定部と、
    前記第二回動体に固定され、前記両端部のいずれか他方と係合可能な第二固定部と、
    を具備するフェンダ支持構造。
  2. 前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記ねじりばねを径方向外側から覆う保護部材をさらに具備する、
    請求項1に記載のフェンダ支持構造。
  3. 前記第一固定部及び前記第二固定部は、
    前記第二回動体の回動軸と略平行な棒状に形成され、前記第二回動体が前記初期位置にある状態において、前記両端部のどちらにも係合する、
    請求項1又は請求項2に記載のフェンダ支持構造。
  4. 前記両端部は、
    前記本体部から径方向内側に向かって突出するように形成されている、
    請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のフェンダ支持構造。
  5. 前記両端部は、
    前記第二回動体が前記初期位置にある状態において、前記第二回動体の回動軸の軸線方向から見て、径方向内側に向かって互いの隙間が小さくなるように形成され、
    前記第一固定部及び前記第二固定部は、
    前記隙間に配置されている、
    請求項4に記載のフェンダ支持構造。
  6. 前記第一固定部及び前記第二固定部は、
    前記第二回動体の回動軸と略平行に延びる円柱状に形成され、
    前記第一固定部又は前記第二固定部のうち、径方向外側に位置するものは、径方向内側に位置するものよりも径が大きくなるように形成されている、
    求項5に記載のフェンダ支持構造。
  7. 前輪の操舵に伴って回動する第一回動体と、
    前記第一回動体に対して相対回動可能であり、前記前輪を覆うフェンダを支持する第二回動体と、
    前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記第二回動体の前記第一回動体に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させる保持機構と、
    前記前輪の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合、前記保持力に抗して前記前輪の操舵に伴う前記第二回動体の回動を規制する規制機構と、
    を具備し、
    前記規制機構は、
    車体が直進する状態における前記前輪の操舵角度を基準として、前記前輪の前側が車体の内側へと回動して前記第二回動体が規制される際の前記前輪の操舵角度が、前記前輪の後側が車体の内側へと回動して前記第二回動体が規制される際の前記前輪の操舵角度よりも大きくなるように形成されているフェンダ支持構造。
  8. 前輪の操舵に伴って回動する第一回動体と、
    前記第一回動体に対して相対回動可能であり、前記前輪を覆うフェンダを支持する第二回動体と、
    前記第一回動体及び前記第二回動体に収容され、前記第二回動体の前記第一回動体に対する相対的な回動位置を、所定の初期位置に保持しようとする保持力を発生させる保持機構と、
    前記前輪の操舵角度が左右にそれぞれ所定の値以上となった場合、前記保持力に抗して前記前輪の操舵に伴う前記第二回動体の回動を規制する規制機構と、
    を具備し、
    前記規制機構は、
    前記第二回動体に固定され、前記前輪の前側が車体の内側へと所定の操舵角度だけ回動した際に車体の一部分と当接することで前記第二回動体の回動を規制する第一規制部と、
    前記第二回動体に固定され、前記前輪の後側が車体の内側へと所定の操舵角度だけ回動した際に前記一部分と当接することで前記第二回動体の回動を規制する第二規制部と、
    を具備するフェンダ支持構造。
  9. 前記規制機構は、
    前記第一規制部及び前記第二規制部の前記第二回動体に対する固定位置を変更可能な調節機構をさらに具備する、
    請求項8に記載のフェンダ支持構造。
  10. 前記一部分は、
    前記前輪に動力を伝達するフロントアクスル機構のケースの接合部である、
    請求項8又は請求項9に記載のフェンダ支持構造。
  11. 前記前輪の操舵角度が、車体が直進する操舵角度にされた状態において、
    前記第一規制部の方が、前記第二規制部よりも前記一部分から左右方向に離れた位置にある、
    請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載のフェンダ支持構造。
  12. 前記第一回動体と前記第二回動体との間をシールするシール部材をさらに具備する、
    請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載のフェンダ支持構造。
  13. 前記第二回動体は、
    前記第一回動体を上方及び側方から覆うように配置される、
    請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載のフェンダ支持構造。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載のフェンダ支持構造を具備する作業車両。
  15. 前記フェンダは、
    その前端が、前後方向において前記前輪の前端と同一、又は前記前輪の前端よりも前方に位置するように形成される、
    請求項14に記載の作業車両。
  16. 前記フェンダは、
    前記前輪の外周を、半分以上覆うように形成される、
    請求項14又は請求項15に記載の作業車両。
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