JP4364779B2 - トラクタ - Google Patents
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Description
これに対して、フェンダを前車軸ケースに揺動自在に設けて、前輪の動きに追従させて泥除けができるように構成することが考えられる。しかしながら、トラクタは、通常、旋回時に旋回内側車輪の最大切れ角(操舵角)が旋回外側車輪の最大切れ角よりも大きく設定されており、したがって、操舵角の大きな旋回内側車輪の動きにフェンダを追従させようとした場合に、このフェンダがトラクタ車体に接触するおそれがある。
すなわち、第1に、前車軸ケース4の端部にキングピン5廻りに操舵可能に車軸支持体11を設け、この車軸支持体11に支持された車軸9に車輪2を設け、この車輪2を覆う車輪フェンダ26を有するトラクタにおいて、前記前車軸ケース4上に縦軸30を設け、この縦軸30に車輪フェンダ26を取り付けるフェンダ支持体27を揺動自在に支持し、前記車軸支持体11とフェンダ支持体27とを車軸支持体11の旋回内側操舵角α1を減少してフェンダ支持体27の旋回内側揺動角α2とする連動手段35で連動連結していることを特徴とする。
第2に、前記連動手段35は、キングピン5の軸心Zから連動位置までの車軸支持体11の旋回外側操舵角β1を減少してフェンダ支持体27の旋回外側揺動角β2として連動しており、前記旋回内側揺動角α2の操舵角減少比率Aは、旋回外側揺動角β2の操舵角減少比率Bより大であることを特徴とする。
第3に、前記連動手段35は、フェンダ支持体27から揺動部材36を突出し、この揺動部材36と前記車軸支持体11のキングピン軸心Zから径方向に離れた連動位置とを連動体37で連結していることを特徴とする。
第4に、前記連動手段35を前車軸ケース4の後部側に設けていることを特徴とする。
これによれば、泥土、異物等が連動手段35に極力当たらないようにできる。
図3乃至図6は、左右前輪2、左右後輪(図示略)を駆動する四輪駆動型のトラクタ1を例示している。トラクタ1の前下部にはトラクタ車体を構成する前車軸フレーム3が設けられ、この前車軸フレーム3の下部に前車軸ケース4がセンタピン廻り揺動自在に設けられている。
図6において、この前車軸ケース4の左右両端部にはキングピン5を支持する支承ケース6が設けられている。この支承ケース6には、ベアリング7を介してキングピン5廻り揺動自在にハブケース8(ファイナルギアケース)が連結されている。ハブケース8は前輪2を駆動する前車軸9を回転自在に支持している。
前記前車軸ケース4の内部には、デフ装置と、このデフ装置を介して駆動されるデフヨーク軸13が設けられている。デフヨーク軸13の端部には、キングピン5を駆動する第1駆動ギア14が設けられている。
前記キングピン5は、下部が左右方向外向きになるように傾斜して設けられ、上部、下部がそれぞれ支承ケース6、ハブケース8に軸心Z廻り回転自在に支持されている。
前記前車軸9には前記第2駆動ギア16によって駆動される第2従動ギア17が設けられており、前車軸9はこの第2従動ギア17を介して前輪2を駆動する。
前車軸ケース4の前部には、ステアリングギアボックスとピットマンアームが設けられている。一方、前記車軸支持体11には前記ピットマンアームに連結されるナックルアームが形成されており、ナックルアームはタイロッドを介してピットマンアームに連結され、これによって、トラクタ1は、操縦ハンドルの操作に連動して車軸支持体11、前輪2を操舵できるようになっている。
前記フェンダ支持体27は、パイプ材を屈曲して形成されており、車輪フェンダ26を支持する支持脚部27aと、車輪フェンダ26を取り付けるフェンダ取付部27bとを有している。前記支持脚部27aは、パイプ材を2本をほぼ平行に並設して構成されている。
前記支持台28は、前車軸ケース4の上面に固定される基板29と、この基板29から上方に突出形成された縦軸30とを有する。前記基板29は、Uボルト31を介して前車軸ケース4に固定されている。前記縦軸30は円柱状または円筒状とされており、基板29に一体に形成されている。
前記フェンダ支持体27と車軸支持体11の間には、フェンダ支持体27を車軸支持体11の揺動に連動させる連動手段35が設けられている。この連動手段35は、前記フェンダ支持体27のボス部34の外側面から突出された揺動部材36と、この揺動部材36と前記車軸支持体11とを連結する連動体37とを有している。
前記連動体37は、その両端部に環状部44が形成されている。この連動体37は、その一端部(一方の環状部44)が前記突出部40のねじ孔41に螺合されたボルト42の軸部に挿通されることによって揺動部材36と連結されている。
上述のように、連動体37によって車軸支持体11とフェンダ支持体27とを連結することにより、フェンダ支持体27は、操縦ハンドルの操作によって車軸支持体11を動かしたときに、この車軸支持体11の動きに連動するようになる。したがって、フェンダ支持体27に支持された車輪フェンダ26は車軸支持体11の揺動による前輪2の操舵の動きに追従できる。
このとき、連動体37と車軸支持体11の連結部(連動位置)は、キングピン軸心Zの後方に位置(以下、この位置を連結部の中立位置という)しており、一方、揺動部材36の突出部40は後方外向きに突出されている(以下、この位置を揺動部材36の中立位置という)。このような連動体37と車軸支持体11の連結部と前記突出部40との位置関係により、連動体37は前車軸ケース4の後部側で揺動部材36と車軸支持体11とを連結することになる。したがって、連動手段35は、前車軸9の後部側に配置されて、トラクタ1の走行時に泥、ゴミ等の異物と接触し難くなっている。
このとき、車軸支持体11は旋回内側車輪の旋回内側操舵角α1(キングピン軸心Zと連動位置を結ぶ線と前後方向Xとが為す角度)と同じ角度で揺動し、連動手段35は、揺動部材36を縦軸30を中心として中立位置から反時計回りに揺動させる。フェンダ支持体27は、この揺動部材30の揺動に伴って反時計回りに揺動する(以下、このフェンダ支持体27の揺動角度を旋回内側揺動角α2という)。このとき連動手段35は、旋回内側操舵角α1を減少させて旋回内側揺動角α2としており、したがって、フェンダ支持体27に支持された車輪フェンダ26は、トラクタ旋回時に旋回内側車輪よりも小さな角度で揺動し、トラクタ車体に接触しないようになっている。
図1、図2に示すように、前記縦軸30廻りに揺動する揺動部材36の突出部40と、連動体37と、キングピン軸心Z廻りに揺動自在とされた車軸支持体11とによっていわゆる両手てこ機構が構成されている。
すなわち、図2において、揺動部材36を両てこ機構の従動リンク46とし、車軸支持体11のキングピン軸心Zから連動位置までの部分を原動リンク47とし、連動体37を中間リンク48として模式的に示している。この両てこ機構において従動リンク46である揺動部材36の突出部40の突出長さは、原動リンク47である前記車軸支持体11のキングピン軸心Zから連動位置までの距離よりも長くされている。
なお、この実施形態では、旋回内側操舵角α1は最大で約50°とされており、この場合に、連動手段35はこの角度を減少させて旋回内側揺動角α2を約29°としている。また、旋回外側操舵角β1は最大で約42°とされており、この場合、連動手段35は、この角度を減少させて旋回外側揺動角β2を約38°としている。なお、旋回内側操舵角α1、旋回外側操舵角α2の最大角度(最大切れ角)は、50°、42°に限らず適宜設定可能である。また、上記した旋回内側揺動角α2、旋回外側揺動角β2は、29°、38°に限らず、両てこ機構において中間リンク48である連動体37のターンバックルの長さを変更することにより調節(変更)できる。
すなわち、上述したように、例えば旋回内側操舵角α1の最大角度(50°)は、旋回外側操舵角β1の最大角度(42°)よりも大きくされており、旋回内側揺動角α2の操舵角減少比率Aを旋回外側揺動角β2の操舵角減少比率Bよりも大とすることによって、トラクタ旋回時に大きく揺動する旋回内側車輪の旋回内側操舵角α1を大きく減少させて旋回内側の車輪フェンダ26がトラクタ車体に接触することを防止するとともに、旋回外側車輪を覆う車輪フェンダ26ができるだけ旋回外側車輪から離れないように追従させることができるようになる。
2 車輪
4 前車軸ケース
5 キングピン
9 車軸
11 車軸支持体
26 車輪フェンダ
27 フェンダ支持体
30 縦軸
35 連動手段
36 揺動部材
37 連動体
α1 旋回内側操舵角
α2 旋回内側揺動角
β1 旋回外側操舵角
β2 旋回外側揺動角
A 旋回内側揺動角の操舵角減少比率
B 旋回外側揺動角の操舵角減少比率
Claims (4)
- 前車軸ケース(4)の端部にキングピン(5)廻りに操舵可能に車軸支持体(11)を設け、この車軸支持体(11)に支持された車軸(9)に車輪(2)を設け、この車輪(2)を覆う車輪フェンダ(26)を有するトラクタにおいて、
前記前車軸ケース(4)上に縦軸(30)を設け、この縦軸(30)に車輪フェンダ(26)を取り付けるフェンダ支持体(27)を揺動自在に支持し、
前記車軸支持体(11)とフェンダ支持体(27)とを車軸支持体(11)の旋回内側操舵角(α1)を減少してフェンダ支持体(27)の旋回内側揺動角(α2)とする連動手段(35)で連動連結していることを特徴とするトラクタ。 - 前記連動手段(35)は、キングピン軸心(Z)から連動位置までの車軸支持体(11)の旋回外側操舵角(β1)を減少してフェンダ支持体(27)の旋回外側揺動角(β2)として連動しており、前記旋回内側揺動角(α2)の操舵角減少比率(A)は、旋回外側揺動角(β2)の操舵角減少比率(B)より大であることを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
- 前記連動手段(35)は、フェンダ支持体(27)から揺動部材(36)を突出し、この揺動部材(36)と前記車軸支持体(11)のキングピン軸心(Z)から径方向に離れた連動位置とを連動体(37)で連結していることを特徴とする請求項1または2に記載のトラクタ。
- 前記連動手段(35)を前車軸ケース(4)の後部側に設けていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトラクタ。
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